JP2022190660A - マスク群、有機デバイスの製造方法及び有機デバイス - Google Patents

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直起 西村
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宏志 矢野
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Abstract

【課題】電極の光の透過率を高めるマスク群、および該マスク群を用いた有機デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】マスク群は、2つ以上のマスク50を備え、法線方向に沿う断面で見た場合、貫通孔53の接続部533を通り、第1面51aと角度θをなす直線として領域画定直線Lが定義され、領域画定直線Lが第1面51aと第1交点CP1で交わり、第1交点CP1よりも貫通孔の内側に有効領域57が画定され、第1交点CP1よりも貫通孔の外側に周囲領域58が画定され、角度θは、35°以上70°以下であり、マスク第2領域における貫通領域は、2つのマスクの貫通孔が重なる孔重なり領域を含んでいてもよく、孔重なり領域は、マスク積層体に含まれる2つのマスクの貫通孔の周囲領域が重なる第1孔重なり領域を含んでいる。【選択図】図15

Description

本開示の実施形態は、マスク群、有機デバイスの製造方法及び有機デバイスに関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の電子デバイスにおいて、高精細な表示装置が、市場から求められている。表示装置は、例えば、400ppi以上または800ppi以上等の画素密度を有する。
応答性の良さと、または/および消費電力の低さとを有するため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、画素を構成する材料を蒸着により基板に付着させる方法が知られている。例えば、まず、素子に対応するパターンで陽極が形成されている基板を準備する。続いて、マスクの貫通孔を介して有機材料を陽極上に付着させ、陽極上に有機層を形成する。続いて、マスクの貫通孔を介して導電性材料を有機層上に付着させ、有機層の上に陰極を形成する。
陰極は、複数のマスクを用いる蒸着法によって形成される場合がある。この場合、各マスクによって陰極を構成する層が形成され、互いに隣り合う層同士が重なる電極重なり領域が形成される。このことにより、各層が電気的に接続される。
特開2019-060028号公報 特開2005-183153号公報
陰極の電極重なり領域の厚みが厚くなると、光の透過率が低下する。
本開示の一実施形態によるマスク群は、2つ以上のマスクを備えていてもよい。前記マスクは、遮蔽領域及び貫通孔を備えていてもよい。2つ以上の前記マスクが重ねられたマスク積層体は、前記マスクの法線方向に沿って見た場合に前記貫通孔に重なる貫通領域を備えていてもよい。前記マスクの法線方向に沿って見た場合、前記マスク積層体は、第1開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第1領域と、前記第1開口率よりも小さい第2開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第2領域と、を備えていてもよい。前記マスクは、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含んでいてもよい。前記貫通孔は、前記第1面側に位置する第1凹部と、前記第2面側に位置する第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部とが接続された接続部と、を含んでいてもよい。前記法線方向に沿う断面で見た場合、前記接続部を通り、前記第1面と角度θをなす直線として領域画定直線が定義されてもよい。前記領域画定直線が前記第1面と第1交点で交わってもよい。前記第1交点よりも前記貫通孔の内側に有効領域が画定され、前記第1交点よりも前記貫通孔の外側に周囲領域が画定されてもよい。前記角度θは、35°以上70°以下であってもよい。前記マスク第2領域における前記貫通領域は、2つの前記マスクの前記貫通孔が重なる孔重なり領域を含んでいてもよい。前記孔重なり領域は、前記マスク積層体に含まれる2つの前記マスクの前記貫通孔の前記周囲領域が重なる第1孔重なり領域を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態によれば、光の透過率を高めることができる。
本開示の一実施形態による有機デバイスの一例を示す平面図である。 有機デバイスの第2表示領域を示す平面図である。 有機デバイスの第2電極を示す平面図である。 図3に示す有機デバイスから第2電極を取り除いた状態を示す平面図である。 図3に示す有機デバイスのA-A線に概略的に沿った断面図である。 図3に示す有機デバイスのB-B線に概略的に沿った断面図である。 図3に示す第2電極の電極重なり領域を示す平面図である。 図7に示す電極重なり領域を示す断面図である。 電極重なり領域の比較例を示す断面図である。 マスク装置を備えた蒸着装置の一例を示す図である。 マスク装置の一例を示す平面図である。 マスク装置のマスクを示す平面図である。 第1マスク装置を示す平面図である。 第2マスク装置を示す平面図である。 第3マスク装置を示す図である。 マスクの断面構造の一例を示す断面図である。 貫通孔の有効領域及び周囲領域を示す断面図である。 図3に示す第2電極を形成するための第1マスクの一例を示す平面図である。 図3に示す第2電極を形成するための第2マスクの一例を示す平面図である。 図3に示す第2電極を形成するための第3マスクの一例を示す平面図である。 図3に示す第2電極を形成するためのマスク積層体の一例を示す平面図である。 図19に示すマスク積層体の孔重なり領域を示す平面図である。 図20に示す孔重なり領域を示す断面図である。 図3に示す第2電極の変形例を示す平面図である。 図22に示す第2電極の電極重なり領域を示す平面図である。 図23に示す電極重なり領域を示す断面図である。 図22に示す第2電極を形成するためのマスク積層体の孔重なり領域を示す平面図である。 図25に示す孔重なり領域を示す断面図である。 図15に示す貫通孔の有効領域及び周囲領域の変形例を示す断面図である。 図3に示す第2電極の変形例を示す平面図である。 図28に示す第2電極の電極重なり領域を示す平面図である。 図28に示す第2電極を形成するための第1マスクの一例を示す平面図である。 図28に示す第2電極を形成するための第2マスクの一例を示す平面図である。 図28に示す第2電極を形成するためのマスク積層体の孔重なり領域を示す平面図である。 図32に示すマスク積層体の孔重なり領域を示す平面図である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみによっては互いから区別されない。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈する。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、本開示の実施形態は、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値や要素を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。例えば、「マスク50A~50C」という表現によって画定される範囲は、マスク50A、50B、50Cを含んでいる。
本明細書の一実施形態においては、複数のマスクを備えるマスク群が、有機EL表示装置を製造する際に電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスク群の用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスク群に対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の有機デバイスの電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。
本開示の第1の態様は、
マスク群であって、
2つ以上のマスクを備え、
前記マスクは、遮蔽領域及び貫通孔を備え、
2つ以上の前記マスクが重ねられたマスク積層体は、前記マスクの法線方向に沿って見た場合に前記貫通孔に重なる貫通領域を備え、
前記マスクの法線方向に沿って見た場合、前記マスク積層体は、第1開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第1領域と、前記第1開口率よりも小さい第2開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第2領域と、を備え、
前記マスクは、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含み、
前記貫通孔は、前記第1面側に位置する第1凹部と、前記第2面側に位置する第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部とが接続された接続部と、を含み、
前記法線方向に沿う断面で見た場合、前記接続部を通り、前記第1面と角度θをなす直線として領域画定直線が定義され、前記領域画定直線が前記第1面と第1交点で交わり、前記第1交点よりも前記貫通孔の内側に有効領域が画定され、前記第1交点よりも前記貫通孔の外側に周囲領域が画定され、
前記角度θは、35°以上70°以下であり、
前記マスク第2領域における前記貫通領域は、2つの前記マスクの前記貫通孔が重なる孔重なり領域を含み、
前記孔重なり領域は、前記マスク積層体に含まれる2つの前記マスクの前記貫通孔の前記周囲領域が重なる第1孔重なり領域を含む、マスク群、
である。
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるマスク群において、前記第1孔重なり領域は、前記マスクの前記貫通孔の前記有効領域から離間していてもよい。
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様によるマスク群において、前記孔重なり領域は、前記マスク積層体に含まれる1つの前記マスクの前記貫通孔の前記有効領域と他の1つの前記マスクの前記貫通孔の前記周囲領域とが重なる第2孔重なり領域を含んでいてもよい。
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによるマスク群において、前記領域画定直線は、前記第2凹部の壁面の任意の点に接していてもよい。
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによるマスク群において、前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域のそれぞれにおいて、前記マスクに、複数の前記貫通孔が位置していてもよい。
本開示の第6の態様は、有機デバイスの製造方法であって、基板上の第1電極上の有機層上に、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによるマスク群を用いて第2電極を形成する第2電極形成工程を備えていてもよい。前記第2電極形成工程は、前記マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第1層を形成する工程と、他の前記マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第2層を形成する工程と、を備えていてもよい。
本開示の第7の態様は、上述した第6の態様による有機デバイスの製造方法において、前記第2電極を形成する蒸着材料の飛来方向が前記マスクの前記第1面となす角度をθ1としてもよい。前記接続部を通るとともに前記第2凹部に接する直線が前記第1面となす角度をθ2としてもよい。前記角度θ1が前記角度θ2よりも大きい場合、前記領域画定直線の前記角度θは、前記角度θ1であってもよい。
本開示の第8の態様は、
有機デバイスであって、
基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置する第2電極と、を備え、
前記基板の法線方向に沿って見た場合、前記有機デバイスは、第1占有率を有する前記第2電極を含む第1表示領域と、前記第1占有率よりも小さい第2占有率を有する前記第2電極を含む第2表示領域と、を備え、
前記第2電極は、互いに異なる前記有機層上に位置する2つ以上の層を含み、
前記層は、層本体領域と、前記層本体領域の厚みよりも薄い厚みを有する層周囲領域と、を含み、
前記第2表示領域における前記第2電極は、2つの前記層が重なる電極重なり領域を含み、
前記電極重なり領域は、前記層の前記層周囲領域が重なる第1電極重なり領域と、1つの前記層の前記層本体領域と、他の1つの前記層の前記層周囲領域とが重なる第2電極重なり領域と、を含む、有機デバイス、
である。
本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
有機デバイス100について説明する。有機デバイス100は、本実施形態のマスク群を用いることにより形成される電極を備える。図1は、有機デバイス100の基板110の法線方向に沿って見た場合の有機デバイス100の一例を示す平面図である。以下の説明において、基板などの基礎となる物質の面の法線方向に沿って見ることを、平面視とも称する。
有機デバイス100は、基板110(図5参照)と、基板110の第1面111または第2面112に沿って並ぶ複数の素子115と、を含む。素子115は、例えば画素である。有機デバイス100は、図1に示すように、平面視において第1表示領域101及び第2表示領域102を含んでいてもよい。第2表示領域102は、第1表示領域101よりも小さい面積を有していてもよい。図1に示すように、第2表示領域102は、第1表示領域101によって囲まれていてもよい。図示はしないが、第2表示領域102の外縁の一部が、第1表示領域101の外縁の一部と同一直線上に位置していてもよい。
図2は、図1の第2表示領域102及びその周囲を拡大して示す平面図である。第1表示領域101において、素子115は、異なる2方向に沿って並んでいてもよい。図1及び図2に示す例において、第1表示領域101の2つ以上の素子115は、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよい。第1表示領域101の2つ以上の素子115は、素子第1方向G1に交差する素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第2方向G2は、素子第1方向G1に直交していてもよい。
有機デバイス100は、第2電極140を備える。第2電極140は、後述する有機層130の上に位置している。第2電極140は、2つ以上の有機層130に電気的に接続されていてもよい。例えば、第2電極140は、平面視において2つ以上の有機層130に重なっていてもよい。第1表示領域101に位置する第2電極140を、第2電極140Xとも表す。第2表示領域102に位置する第2電極140を、第2電極140Yとも表す。
第2電極140Xは第1占有率を有する。第1占有率は、第1表示領域101に位置する第2電極140の面積の合計を、第1表示領域101の面積で割ることによって算出される。第2電極140Yは第2占有率を有する。第2占有率は、第2表示領域102に位置する第2電極140の面積の合計を、第2表示領域102の面積で割ることによって算出される。第2占有率は、第1占有率よりも小さくてもよい。例えば図2に示すように、第2表示領域102は、非透過領域103及び透過領域104を含んでいてもよい。透過領域104は、平面視において第2電極140Yと重なっていない。非透過領域103は、平面視において第2電極140Yと重なっている。
第1占有率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、第1表示領域101は、第2電極140の後述する第1層140A~第3層140Cのいずれかに占有される領域と、第1層140A~第3層140Cのいずれにも占有されない領域と、を含む。しかしながら、このことに限られることはなく、第1占有率は100%であってもよい。この場合、第1表示領域101の全体が、第2電極140の第1層140A~第3層140Cのいずれかに占有される。第2占有率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、第2表示領域102は、第2電極140の第1層140A~第3層140Cのいずれかに占有される領域と、第1層140A~第3層140Cのいずれにも占有されない領域と、を含む。
第1占有率に対する第2占有率の比は、例えば、0.2以上でもよく、0.3以上でもよく、0.4以上でもよい。第1占有率に対する第2占有率の比は、例えば、0.6以下でもよく、0.7以下でもよく、0.8以下でもよい。第1占有率に対する第2占有率の比の範囲は、0.2、0.3及び0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.6、0.7及び0.8からなる第2グループによって定められてもよい。第1占有率に対する第2占有率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1占有率に対する第2占有率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1占有率に対する第2占有率の比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.2以上0.8以下でもよく、0.2以上0.7以下でもよく、0.2以上0.6以下でもよく、0.2以上0.4以下でもよく、0.2以上0.3以下でもよく、0.3以上0.8以下でもよく、0.3以上0.7以下でもよく、0.3以上0.6以下でもよく、0.3以上0.4以下でもよく、0.4以上0.8以下でもよく、0.4以上0.7以下でもよく、0.4以上0.6以下でもよく、0.6以上0.8以下でもよく、0.6以上0.7以下でもよく、0.7以上0.8以下でもよい。
非透過領域103の透過率を、第1透過率とも称する。透過領域104の透過率を、第2透過率とも称する。透過領域104が第2電極140Yを含まないため、第2透過率が第1透過率よりも高い。このため、透過領域104を含む第2表示領域102においては、有機デバイス100に到達した光が透過領域104を透過して基板110の裏側の光学部品などに到達できる。光学部品は、例えばカメラなどの、光を検出することにより何らかの機能を実現する部品である。第2表示領域102が非透過領域103を含むため、素子115が画素である場合、第2表示領域102に映像を表示できる。このように、第2表示領域102は、光を検出し、且つ映像を表示できる。光を検出することによって実現される第2表示領域102の機能は、例えば、カメラ、指紋センサ、顔認証センサなどのセンサなどである。透過領域104の第2透過率が高いほど、センサが受光する光量を増やすことができる。第2表示領域102の第2占有率が低いほど、センサが受光する光量を増やすことができる。
素子第1方向G1及び素子第2方向G2における非透過領域103の寸法、及び素子第1方向G1及び素子第2方向G2における透過領域104の寸法のいずれかが1mm以下である場合、顕微分光光度計を用いて第1透過率及び第2透過率を測定してもよい。顕微分光光度計としては、オリンパス株式会社製OSP-SP200又は大塚電子株式会社製LCFシリーズのいずれかを用いてもよい。いずれの顕微分光光度計も、380nm以上780nm以下の可視域で透過率を測定できる。石英、TFT液晶用ホウケイ酸ガラス又はTFT液晶用無アルカリガラスのいずれかをレファレンスとして用いてもよい。550nmにおける測定結果を、第1透過率及び第2透過率として用いてもよい。
素子第1方向G1及び素子第2方向G2における非透過領域103の寸法、及び素子第1方向G1及び素子第2方向G2における透過領域104の寸法のいずれもが1mmより大きい場合、分光光度計を用いて第1透過率及び第2透過率を測定してもよい。分光光度計としては、株式会社島津製作所製の紫外可視分光光度計UV-2600i又はUV-3600i Plusのいずれかを用いてもよい。分光光度計に微小光束絞りユニットを取り付けることにより、最大で1mmの寸法を有する領域の透過率を測定できる。大気をレファレンスとして用いてもよい。550nmにおける測定結果を、第1透過率及び第2透過率として用いてもよい。
第1透過率TR1に対する第2透過率TR2の比であるTR2/TR1は、例えば、1.2以上でもよく、1.5以上でもよく、1.8以上でもよい。TR2/TR1は、例えば、2以下でもよく、3以下でもよく、4以下でもよい。TR2/TR1の範囲は、1.2、1.5及び1.8からなる第1グループ、及び/又は、2、3及び4からなる第2グループによって定められてもよい。TR2/TR1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。TR2/TR1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。TR2/TR1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1.2以上4以下でもよく、1.2以上3以下でもよく、1.2以上2以下でもよく、1.2以上1.8以下でもよく、1.2以上1.5以下でもよく、1.5以上4以下でもよく、1.5以上3以下でもよく、1.5以上2以下でもよく、1.5以上1.8以下でもよく、1.8以上4以下でもよく、1.8以上3以下でもよく、1.8以上2以下でもよく、2以上4以下でもよく、2以上3以下でもよく、3以上4以下でもよい。
図2に示すように、第2電極140Yは、素子第1方向G1に並ぶ2つ以上の電極ライン140Lを含んでいてもよい。電極ライン140Lは、素子第2方向G2に延びていてもよい。例えば、電極ライン140Lは、第1表示領域101の第2電極140Xに接続されている第1端140L1及び第2端140L2を含んでいてもよい。第2端140L2は、素子第2方向G2において第1端140L1とは反対側に位置している。図示はしないが、第2表示領域102の外縁の一部が、第1表示領域101の外縁の一部と同一直線上に位置している場合、第2電極140Xに接続されている電極ライン140Lの端が1つのみであってもよい。
図3は、第1表示領域101の第2電極140X及び第2表示領域102の第2電極140Yを拡大して示す平面図である。第2電極140X及び第2電極140Yはいずれも、平面視において有機層130に重なっていてもよい。有機層130は、素子115の一構成要素である。
第1表示領域101において、有機層130は、素子第1方向G1に沿って第1ピッチP1(図4参照)で並んでいてもよい。第2表示領域102において、有機層130は、素子第1方向G1に沿って第2ピッチP2で並んでいてもよい。第2ピッチP2は、第1ピッチP1よりも大きくてもよい。このことにより、第2電極140Yの第2占有率が小さくなる。これにより、透過領域104の面積が大きくなり、センサが受光する光量を増やすことができる。
第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比は、例えば、1.1以上でもよく、1.3以上でもよく、1.5以上でもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比は、例えば、2.0以下でもよく、3.0以下でもよく、4.0以下でもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比の範囲は、1.1、1.3及び1.5からなる第1グループ、及び/又は、2.0、3.0及び4.0からなる第2グループによって定められてもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1.1以上4.0以下でもよく、1.1以上3.0以下でもよく、1.1以上2.0以下でもよく、1.1以上1.5以下でもよく、1.1以上1.3以下でもよく、1.3以上4.0以下でもよく、1.3以上3.0以下でもよく、1.3以上2.0以下でもよく、1.3以上1.5以下でもよく、1.5以上4.0以下でもよく、1.5以上3.0以下でもよく、1.5以上2.0以下でもよく、2.0以上4.0以下でもよく、2.0以上3.0以下でもよく、3.0以上4.0以下でもよい。第1ピッチP1に対する第2ピッチP2の比が小さい場合、第1表示領域101の画素密度に対する第2表示領域102の画素密度の差が小さくなる。これにより、第1表示領域101と第2表示領域102の間に視覚的な差が生じることを抑制できる。
電極ライン140Lは、平面視において、素子第2方向G2に沿って並ぶ2つ以上の有機層130に重なっていてもよい。
第2電極140の層構成について説明する。
第2電極140は、複数の層を含んでいてもよい。例えば、第2電極140は、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを含んでいてもよい。第1層140A、第2層140B及び第3層140Cはそれぞれ、蒸着法によって形成される層である。より具体的には、第1層140Aは、第1マスク50Aを用いる蒸着法によって形成される。第2層140Bは、第2マスク50Bを用いる蒸着法によって形成される。第3層140Cは、第3マスク50Cを用いる蒸着法によって形成される。
図7及び図8に示すように、第2電極140の各層140A~140Cは、層本体領域141及び層周囲領域142を含む。
層本体領域141は、平面視で層の中央に位置しており、後述するシャドーの影響を受け難い領域である。層本体領域141は、層周囲領域142の厚みよりも厚い厚みを有している。層本体領域141は、比較的平坦に形成されていてもよい。層本体領域141は、貫通孔53の後述する有効領域57によって画定されてもよい。
層周囲領域142は、層本体領域141の外側であって、層本体領域141の周囲に位置している。層周囲領域142は、シャドーの影響を受け易い領域である。層周囲領域142は、層本体領域141の厚みよりも薄い厚みを有している。層周囲領域142は、厚みが変化する領域であってもよい。層周囲領域142は、貫通孔53の後述する周囲領域58によって画定されてもよい。
層周囲領域142は、層本体領域141の厚みtaの95%以下の厚みを有する領域であってもよい。すなわち、層周囲領域142の厚みは、層本体領域141の厚みtaの95%以下の範囲で変化していてもよい。例えば、厚みtaに対する厚みの百分率は、80%以下、50%以下であってもよい。
第2電極140の各層140A~140Cは、平面視において、略多角形状の輪郭を有していてもよく、又は略円形状の輪郭を有していてもよい。例えば、各層は、略四角形状、略六角形状又は略八角形状の輪郭を有していてもよい。図3に示す例においては、各層140A~140Cが略正八角形状の輪郭を有している。各層140A~140Cは、同一の平面輪郭を有していてもよい。互いに対向する2つの辺が素子第1方向G1に沿っており、互いに対向する他の2つの辺が素子第2方向G2に沿っている。各層140A~140Cの輪郭が略多角形状の輪郭である場合、輪郭のうちの四隅は湾曲していてもよい。
第1層140Aは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2において第2層140B及び第3層140Cに接続されていてもよい。第1層140Aは、平面視において有機層130と重なっていてもよい。例えば、第1層140Aは、後述する第1有機層130Aと重なっていてもよい。第1層140Aは、第2層140B及び第3層140Cとは異なる有機層130上に位置していてもよい。
第2層140Bは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2において第1層140A及び第3層140Cに接続されていてもよい。第2層140Bは、平面視において有機層130と重なっていてもよい。例えば、第2層140Bは、後述する第2有機層130Bと重なっていてもよい。第2層140Bは、第1層140A及び第3層140Cとは異なる有機層130上に位置していてもよい。
第3層140Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2において第1層140A及び第2層140Bに接続されていてもよい。第3層140Cは、平面視において有機層130と重なっていてもよい。例えば、第3層140Cは、後述する第3有機層130Cと重なっていてもよい。第3層140Cは、第1層140A及び第2層140Bとは異なる有機層130上に位置していてもよい。
第1表示領域101においては、素子第1方向G1及び素子第2方向G2に沿って、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cが繰り返し並んでいてもよい。図3に示す例においては、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cが、正三角形の頂点に配置されている。このように配置された3つの層140A、140B、140Cにより、上述した第1電極120及び有機層130とともに1つの画素が構成されている。
第2表示領域102においては、素子第1方向G1及び素子第2方向G2に沿って、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cが繰り返し並んでいてもよい。図3に示す例においては、第1表示領域101と同様に正三角形の頂点に配置された3つの層140A、140B、140Cにより、1つの画素が構成されている。画素は、素子第1方向G1において間隔を置いて配置されている。素子第1方向G1において、隣り合う画素の間に、透過領域104が介在されている。画素は、素子第2方向G2において間隔を置いて配置されている。素子第2方向G2において隣り合う2つの画素の間に、第2層140Bが介在されている。この第2層140Bに対応する第1電極120と有機層130は形成されておらず、この画素を構成しない第2層140Bと基板110との間には、絶縁層160が介在されている。この画素を構成しない第2層140Bによって、電極ライン140Lが構成されて、第2電極140の導電性が確保されている。
図4は、図3に示す有機デバイス100から第2電極140を取り除いた状態を示す平面図である。有機層130は、第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cを含んでいてもよい。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cは、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。以下の説明において、第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cに共通する有機層の構成を説明する場合には、「有機層130」という用語及び符号を用いる。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cは、第2電極140の3つの層140A~140Cと同様に、正三角形の頂点に配置されている。
平面視における第2電極140及び有機層130の配置は、高倍率のデジタルマイクロスコープを用いて有機デバイス100を観察することによって検出される。検出結果に基づいて、上述の占有率、面積、寸法、間隔などを算出できる。有機デバイス100がカバーガラスなどのカバーを備える場合、カバーを取り除いた後、第2電極140及び有機層130を観察してもよい。カバーは、剥がすこと、又は破壊することなどによって取り除いてもよい。デジタルマイクロスコープではなく走査型電子顕微鏡を用いてもよい。
次に、有機デバイス100の層構成の一例について説明する。図5は、図3に示す有機デバイスのA-A線に概略的に沿った断面図である。図6は、図3に示す有機デバイスのB-B線に概略的に沿った断面図である。
有機デバイス100は、上述したように、基板110と、基板110上に位置する素子115と、を備える。素子115は、上述したように、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を有していてもよい。
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいてもよい。絶縁層160は、第1電極120の端部に重なっていてもよい。
絶縁層160は、平面視において、後述する電極重なり領域148に重なっていてもよい。例えば、平面視において、電極重なり領域148が、絶縁層160の輪郭によって囲まれていてもよい。
電極重なり領域148は、第2電極140の複数の層を含む。このため、電極重なり領域148は、第2電極140の1つの層に比べて低い透過率を有する。電極重なり領域148を透過した光が有機デバイス100から出射すると、光の強度にムラが生じることがある。絶縁層160が電極重なり領域148に重なることにより、光の強度にムラが生じることを抑制できる。
電極重なり領域148は、平面視において2つの層が部分的に重なっている領域である。図3に示す例において、電極重なり領域148は、平面視において、第1層140Aと第2層140Bとが重なっている領域、第1層140Aと第3層140Cとが重なっている領域、及び、第2層140Bと第3層140Cとが重なっている領域を含む。3つの層140A、140B、140Cが重なっている領域は存在していなくてもよい。
図7及び図8に示すように、電極重なり領域148は、各層の層周囲領域142が重なる第1電極重なり領域149を含んでいてもよい。図7は、電極重なり領域148を示す平面図である。図8は、電極重なり領域148を示す断面図である。
例えば、第1電極重なり領域149は、第1層140Aの層周囲領域142と第2層140Bの層周囲領域142とが重なっている領域、第1層140Aの層周囲領域142と第3層140Cの層周囲領域142とが重なっている領域、及び、第2層140Bの層周囲領域142と第3層140Cの層周囲領域142とが重なっている領域を含む。本実施形態における電極重なり領域148は、各層の層周囲領域142が重なる第1電極重なり領域149によって構成されている。電極重なり領域に、各層の層本体領域141は重なっていなくてもよい。各層の層本体領域141同士は重なっていなくてもよい。
図8に示すように、層周囲領域142同士が重なることにより、電極重なり領域148における第2電極140の厚みを低減できる。例えば、図9に示すように、層本体領域141同士が重なる場合、電極重なり領域148における第2電極140の最大厚みtbは、層本体領域141の厚みtaの2倍になる。これに対して、層周囲領域142同士が重なる場合、電極重なり領域148における第2電極140の厚みtbは、層本体領域141の厚みtaの2倍未満になる。このため、層本体領域141同士が重ならないことにより、電極重なり領域148における第2電極140の厚みtbを低減できる。
図8に示すように、第1電極重なり領域149は、層本体領域141から離間していてもよい。第1電極重なり領域149と層本体領域141との間に、非重なり領域150が位置していてもよい。
例えば、第1層140Aの層周囲領域142と第2層140Bの層周囲領域142とが重なる第1電極重なり領域149は、第1層140Aの層本体領域141から離間していてもよい。この第1電極重なり領域149と第1層140Aの層本体領域141との間に、非重なり領域150が位置していてもよい。第1層140Aの層周囲領域142と第2層140Bの層周囲領域142とが重なる第1電極重なり領域149は、第2層140Bの層本体領域141から離間していてもよい。この第1電極重なり領域149と第2層140Bの層本体領域141との間に、非重なり領域150が位置していてもよい。
同様にして、第1層140Aの層周囲領域142と第3層140Cの層周囲領域142とが重なる第1電極重なり領域149は、各層140A、140Cの層本体領域141から離間していてもよい。
同様にして、第2層140Bの層周囲領域142と第3層140Cの層周囲領域142とが重なる第1電極重なり領域149は、各層140B、140Cの層本体領域141から離間していてもよい。
有機デバイス100は、アクティブ・マトリクス型であってもよい。例えば、図示はしないが、有機デバイス100は、スイッチを備えていてもよい。スイッチは、複数の素子115のそれぞれに電気的に接続されている。スイッチは、例えばトランジスタである。スイッチは、対応する素子115に対する電圧又は電流のON/OFFを制御できる。
基板110は、第1面111及び第2面112を含む。基板110は、絶縁性を有する板状の部材であってもよい。基板110は、好ましくは、光を透過させる透過性を有する。
基板110が所定の透過性を有する場合、基板110の透過性は、有機層130からの発光を透過させて表示を行うことができる程度の透過性であってもよい。例えば、可視光領域における基板110の透過率が70%以上であってもよく、80%以上であってもよい。基板110の透過率は、JIS K7361-1に準ずるプラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法により測定されてもよい。
基板110は、可撓性を有していてもよく、有していなくてもよい。有機デバイス100の用途に応じて基板110の材料を適宜選択してもよい。
基板110の材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板、若しくは無アルカリガラス等の可撓性のないリジッド材、又は、樹脂フィルム、光学用樹脂板、若しくは薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いてもよい。基板は、樹脂フィルムの片面または両面にバリア層を有する積層体であってもよい。
基板110の厚みは、基板110に用いられる材料や有機デバイス100の用途等に応じて適宜選択されてもよい。例えば、基板110の厚みは、0.005mm以上であってもよい。基板110の厚みは、5mm以下であってもよい。
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現してもよい。例えば、素子115が、有機EL表示装置の画素である場合、素子115は、映像を構成する光を放出できる。
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物、又はその他の導電性を有する無機材料などを含んでいてもよい。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物などの、透過性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
第1電極120を構成する材料としては、Au、Cr、Mo、Ag、若しくはMg等の金属;ITOと称される酸化インジウム錫、IZOと称される酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、若しくは酸化インジウム等の無機酸化物;又は、金属ドープされたポリチオフェン等の導電性高分子等を用いてもよい。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。また、2種類以上の材料を含む合金を用いてもよい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金等を用いてもよい。
有機層130は、有機材料を含む。有機層130に通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮できる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130としては、通電により光を放出する発光層、通電により光の透過率や屈折率が変化する層などを用いてもよい。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
第1電極120、第1有機層130A及び第2電極140を含む積層構造のことを、第1素子115Aとも称する。第1電極120、第2有機層130B及び第2電極140を含む積層構造のことを、第2素子115Bとも称する。第1電極120、第3有機層130C及び第2電極140を含む積層構造のことを、第3素子115Cとも称する。有機デバイス100が有機EL表示装置である場合、第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cはそれぞれサブ画素である。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cの組み合わせによって、1つの画素が構成されてもよい。
以下の説明において、第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cに共通する素子の構成を説明する場合には、「素子115」という用語及び符号を用いる。
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
有機層130が通電により光を放出する発光層を含む場合、有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層などを含んでいてもよい。
例えば、第1電極120が陽極である場合、有機層130は、発光層と第1電極120との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有していてもよい。正孔注入輸送層に、正孔注入層および正孔輸送層が積層されていてもよい。
第2電極140が陰極である場合、有機層130は、発光層と第2電極140との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有していてもよい。電子注入輸送層に、電子注入層および電子輸送層が積層されていてもよい。
発光層は、発光材料を含む。発光層は、レベリング性を向上させる添加剤を含んでいてもよい。
発光材料としては、公知の材料を用いてもよい。例えば、発光材料としては、色素系材料、金属錯体系材料又は高分子系材料等を用いてもよい。
色素系材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、又はピラゾリンダイマー等を用いてもよい。
金属錯体系材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、又は、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を用いてもよい。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、又はポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等を用いてもよい。
発光層は、発光効率の向上や発光波長を変化させる等の目的で、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、又はフルオレン誘導体等を用いてもよい。ドーパントとして、白金又はイリジウム等の重金属イオンを有していてもよく、燐光を示す有機金属錯体を使用してもよい。ドーパントは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
発光材料およびドーパントしては、例えば、特開2010-272891号公報の[0094]~[0099]、又は国際公開第2012/132126号の[0053]~[0057]に記載の材料を用いてもよい。
発光層の厚みは、電子と正孔との再結合を可能にすることにより発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されない。発光層の厚みは、例えば1nm以上としてもよく、500nm以下としてもよい。
正孔注入輸送層に用いられる正孔注入輸送性材料としては、公知の材料を用いてもよい。正孔注入輸送性材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、フェニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポルフィリン誘導体、又はスチリルアミン誘導体等を用いてもよい。その他の材料として、スピロ化合物、フタロシアニン化合物、又は金属酸化物等を例示することができる。正孔注入輸送性材料としては、例えば、特開2011-119681号公報、国際公開第2012/018082号、特開2012-069963号公報、又は国際公開第2012/132126号の[0106]に記載の化合物も適宜選択して用いてもよい。
正孔注入輸送層が、正孔注入層および正孔輸送層が積層された構成を有している場合には、正孔注入層が添加剤Aを含有してもよく、正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよく、正孔注入層および正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよい。添加剤Aは、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。添加剤Aとしては、例えば、フッ素系化合物、エステル系化合物、又は炭化水素系化合物等を用いてもよい。
電子注入輸送層に用いられる電子注入輸送性材料としては、公知の材料を用いてもよい。電子注入輸送性材料としては、例えば、アルカリ金属類、アルカリ金属の合金、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属類、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の有機錯体、マグネシウムのハロゲン化物や酸化物、又は酸化アルミニウム等を用いてもよい。電子注入輸送性材料としては、例えば、バソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンやペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリノール錯体等の金属錯体、フタロシアニン化合物、又はジスチリルピラジン誘導体等を用いてもよい。
電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入輸送層としてもよい。電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の金属錯体、又はこれらの高分子誘導体等を用いてもよい。ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、又はSr等を用いてもよい。
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含む。第2電極140は、後述するマスクを用いる蒸着法によって有機層130の上に形成される。第2電極140を構成する材料としては、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、又は炭素等を用いてもよい。これらの材料は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、第2電極140は、各材料からなる層を積層した構成を有していてもよい。第2電極140としては、2種類以上の材料を含む合金を用いてもよい。第2電極140としては、例えば、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、又はアルカリ金属類若しくはアルカリ土類金属類の合金等を用いてもよい。
第2電極140の層本体領域141の厚みtaは、例えば、5nm以上でもよく、10nm以上でもよく、50nm以上でもよく、100nm以上でもよい。層本体領域141の厚みtaは、例えば、200nm以下でもよく、500nm以下でもよく、1μm以下でもよく、100μm以下でもよい。層本体領域141の厚みtaの範囲は、5nm、10nm、50nm及び100nmからなる第1グループ、及び/又は、200nm、500nm、1μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。層本体領域141の厚みtaの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。層本体領域141の厚みtaの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。層本体領域141の厚みtaの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5nm以上100μm以下でもよく、5nm以上1μm以下でもよく、5nm以上500nm以下でもよく、5nm以上200nm以下でもよく、5nm以上100nm以下でもよく、5nm以上50nm以下でもよく、5nm以上10nm以下でもよく、10nm以上100μm以下でもよく、10nm以上1μm以下でもよく、10nm以上500nm以下でもよく、10nm以上200nm以下でもよく、10nm以上100nm以下でもよく、10nm以上50nm以下でもよく、50nm以上100μm以下でもよく、50nm以上1μm以下でもよく、50nm以上500nm以下でもよく、50nm以上200nm以下でもよく、50nm以上100nm以下でもよく、100nm以上100μm以下でもよく、100nm以上1μm以下でもよく、100nm以上500nm以下でもよく、100nm以上200nm以下でもよく、200nm以上100μm以下でもよく、200nm以上1μm以下でもよく、200nm以上500nm以下でもよく、500nm以上100μm以下でもよく、500nm以上1μm以下でもよく、1μm以上100μm以下でもよい。
層本体領域141の厚みtaが小さいほど、第2電極140の透過率が高くなり、非透過領域103の透過率も高くなる。非透過領域103に入射した光も、非透過領域103の透過率に応じてセンサに到達できる。非透過領域103の透過率を高くすることにより、センサが受光する光量を増やすことができる。
有機デバイス100の各構成要素の厚みは、走査型電子顕微鏡又は白色干渉計を用いて有機デバイス100の断面の画像を観察することによって測定してもよい。例えば、基板110の厚み及び第2電極140の厚みなどは、走査型電子顕微鏡又は白色干渉計を用いて測定してもよい。例えば、第2電極140の層本体領域141の厚みの測定には、株式会社菱化システム製の白色干渉計「VertScan(登録商標)、R6500H-A300」を用いてもよい。
上述の有機デバイス100の第2電極140を蒸着法によって形成する方法を説明する。図10は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
蒸着装置10は、その内部に、蒸着源6、ヒータ8、及びマスク装置40を備えていてもよい。蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を備えていてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼである。蒸着源6は、導電性材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。マスク装置40は、るつぼ6と対向するよう配置されている。
図10に示すように、マスク装置40は、少なくとも1つのマスク50と、マスク50を支持するフレーム41と、を備えていてもよい。フレーム41は、第1フレーム面41aと、第2フレーム面41bと、を含んでいてもよい。第1フレーム面41aにはマスク50が固定されていてもよい。第2フレーム面41bは、第1フレーム面41aの反対側に位置する。フレーム41は、開口42を含んでいてもよい。開口42は、第1フレーム面41aから第2フレーム面41bに貫通している。マスク50は、平面視において開口42を横切るようにフレーム41に固定されていてもよい。フレーム41は、その面に沿う方向にマスク50を引っ張った状態で支持していてもよい。これにより、マスク50が撓むことを抑制できる。
マスク50としては、後述する第1マスク50A、第2マスク50B又は第3マスク50Cが用いられてもよい。以下の説明において、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cに共通するマスクの構成を説明する場合には、「マスク50」という用語及び符号を用いる。この場合、後述する貫通孔及び遮蔽領域などのマスクの構成要素についても同様に、アルファベットが付されていない数字のみの符号であって、「53」又は「54」などの数字のみの符号を用いる。一方、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cのそれぞれに特有の内容を説明する場合には、数字の後に「A」、「B」又は「C」などの対応するアルファベットを付した符号を用いることもある。
マスク装置40のマスク50は、基板110の第1面111に対向している。マスク50を用いて蒸着材料7を付着させる対象物が基板110である。マスク50は、複数の貫通孔53を含む。貫通孔53は、蒸着源6から飛来した蒸着材料7を通過させる。貫通孔53を通過した蒸着材料7は、基板110の第1面111に付着する。マスク50は、第1面51a及び第2面51bを含む。第1面51aは、第1面111に対向している。第2面51bは、第1面51aの反対側に位置する。貫通孔53は、第1面51aから第2面51bに貫通している。
蒸着装置10は、基板110を保持する基板ホルダ2を備えていてもよい。基板ホルダ2は、基板110の厚み方向において移動可能であってもよい。基板ホルダ2は、基板110の第1面111に沿う方向において移動可能であってもよい。基板ホルダ2は、基板110の傾きを制御してもよい。例えば、基板ホルダ2は、基板110の外縁に取り付けられた複数のチャックを含んでもよい。各チャックは、基板110の厚み方向及び第1面111に沿う方向において独立に移動可能であってもよい。
蒸着装置10は、マスク装置40を保持するマスクホルダ3を備えていてもよい。マスクホルダ3は、マスク50の厚み方向において移動可能であってもよい。マスクホルダ3は、マスク50の第1面51aに沿う方向において移動可能であってもよい。例えば、マスクホルダ3は、フレーム41の外縁に取り付けられた複数のチャックを含んでもよい。各チャックは、マスク50の厚み方向及び第1面51aに沿う方向において独立に移動可能であってもよい。
基板ホルダ2及びマスクホルダ3の少なくともいずれか一方を移動させることにより、基板110に対するマスク装置40のマスク50の位置を調整できる。
蒸着装置10は、冷却板4を備えていてもよい。冷却板4は、基板110の第2面112側に配置されていてもよい。冷却板4は、冷却板4の内部に冷媒を循環させるための流路を有していてもよい。冷却板4は、蒸着工程の際に基板110の温度が上昇することを抑制できる。
蒸着装置10は、第2面112側に配置されている磁石5を備えていてもよい。磁石5は、冷却板4に重ねられていてもよい。磁石5は、磁力によってマスク50を基板110側に引き寄せる。これにより、マスク50と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりできる。このことにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制できる。このため、第2電極140の寸法精度や位置精度を高めることができる。あるいは、磁石5の代わりに、静電気力を利用する静電チャックを用いてマスク50を基板110側に引き寄せてもよい。
マスク装置40について説明する。図11は、マスク装置40を示す平面図である。マスク装置40は、2つ以上のマスク50を備えていてもよい。マスク50は、例えば溶接によってフレーム41に固定されていてもよい。
フレーム41は、一対の第1辺411と、一対の第2辺412と、を含む。フレーム41は、矩形の輪郭を有していてもよい。第1辺411には、張力を加えられた状態のマスク50が固定されていてもよい。第1辺411は、第2辺412よりも長くてもよい。一対の第1辺411及び一対の第2辺412は開口42を囲んでいてもよい。
フレーム41を構成する材料としては、後述するマスク50の材料と同一でもよい。例えば、フレーム41を構成する材料に、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。
マスク50は、少なくとも1つのセル52を含む。セル52は、貫通孔53及び貫通孔53の周囲に位置する遮蔽領域54を含む。セル52は、複数の貫通孔53によって構成されている。マスク50は、2つ以上のセル52を含んでいてもよい。マスク50を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つのセル52は、1つの有機EL表示装置の表示領域に、すなわち1つの画面に対応していてもよい。1つのセル52が複数の表示領域に対応していてもよい。2つのセル52の間に、遮蔽領域54が位置していてもよい。図示はしないが、マスク50は、2つのセル52の間に位置する貫通孔を含んでいてもよい。
セル52は、例えば、平面視において略四角形、さらに正確には平面視において略矩形の輪郭を有していてもよい。各セル52は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有していてもよい。例えば各セル52は、円形の輪郭を有していてもよい。
図12は、マスク50の一例を拡大して示す平面図である。マスク50は、マスク第1方向D1及びマスク第1方向D1に交差するマスク第2方向D2を有する。マスク第1方向D1は、マスク第2方向D2に直交していてもよい。マスク第1方向D1が素子第1方向G1に沿っていてもよく、マスク第2方向D2が素子第2方向G2に沿っていてもよい。
マスク50は、上述した貫通孔53及び遮蔽領域54を備える。貫通孔53は、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。
第1面51aの法線方向に沿ってマスク50を見た場合、マスク50は、マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を備える。マスク第3領域M3は、有機デバイス100の第1表示領域101に対応しているとともに、後述するマスク積層体55のマスク第1領域M1に重なる。マスク第4領域M4は、有機デバイス100の第2表示領域102に対応しているとともに、後述するマスク積層体55のマスク第2領域M2に重なる。
マスク第3領域M3に複数の貫通孔53が位置していてもよい。言い換えると、マスク第3領域M3に重なるマスク第1領域M1において、各マスク50に、複数の貫通孔53が位置していてもよい。マスク第3領域M3における複数の貫通孔53は、パターン状に位置していてもよい。例えば、複数の貫通孔53は、第1表示領域101における第2電極140の第1層140A~第3層140Cのいずれか1つに対応するように位置していてもよい。
マスク第3領域M3は、貫通孔53の面積の比率を示す第3開口率を有する。第3開口率は、マスク第3領域M3に位置する貫通孔53の面積の合計を、マスク第3領域M3の面積で割ることによって算出される。第3開口率を算出するための貫通孔53の面積は、第1面51aにおける貫通孔53の面積であってもよく、又は後述する貫通部534の平面面積であってもよい。第3開口率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、マスク第3領域M3は、貫通孔53に占有される領域と、貫通孔53に占有されない領域と、を含む。
マスク第4領域M4に複数の貫通孔53が位置していてもよい。言い換えると、マスク第4領域M4に重なるマスク第2領域M2において、各マスク50に、複数の貫通孔53が位置していてもよい。マスク第4領域M4における複数の貫通孔53は、パターン状に位置していてもよい。例えば、複数の貫通孔53は、第2表示領域102における第2電極140の第1層140A~第3層140Cのいずれか1つに対応するように位置していてもよい。
マスク第4領域M4は、貫通孔53の面積の比率を示す第4開口率を有する。第4開口率は、マスク第4領域M4に位置する貫通孔53の面積の合計を、マスク第4領域M4の面積で割ることによって算出される。第4開口率は、第3開口率よりも小さくてもよい。第4開口率を算出するための貫通孔53の面積は、第1面51aにおける貫通孔53の面積であってもよく、又は後述する貫通部534の平面面積であってもよい。第4開口率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、マスク第4領域M4は、貫通孔53に占有される領域と、貫通孔53に占有されない領域と、を含む。
第3開口率に対する第4開口率の比は、例えば、0.2以上でもよく、0.3以上でもよく、0.4以上でもよい。第3開口率に対する第4開口率の比は、例えば、0.6以下でもよく、0.7以下でもよく、0.8以下でもよい。第3開口率に対する第4開口率の比の範囲は、0.2、0.3及び0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.6、0.7及び0.8からなる第2グループによって定められてもよい。第3開口率に対する第4開口率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第3開口率に対する第4開口率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第3開口率に対する第4開口率の比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.2以上0.8以下でもよく、0.2以上0.7以下でもよく、0.2以上0.6以下でもよく、0.2以上0.4以下でもよく、0.2以上0.3以下でもよく、0.3以上0.8以下でもよく、0.3以上0.7以下でもよく、0.3以上0.6以下でもよく、0.3以上0.4以下でもよく、0.4以上0.8以下でもよく、0.4以上0.7以下でもよく、0.4以上0.6以下でもよく、0.6以上0.8以下でもよく、0.6以上0.7以下でもよく、0.7以上0.8以下でもよい。
マスク50は、アライメントマーク50Mを有していてもよい。アライメントマーク50Mは、例えばマスク50のセル52の隅に形成されている。アライメントマーク50Mは、マスク50を用いる蒸着法によって基板110に第2電極140を形成する工程において、基板110に対するマスク50の位置合わせのために用いられてもよい。アライメントマーク50Mは、例えば、開口42と重なる位置に形成されてもよく、あるいはフレーム41と重なる位置に形成されてもよい。マスク装置40を作製する際、マスク50とフレーム41の位置合わせのためにアライメントマーク50Mが用いられてもよい。
第2電極140を形成する工程においては、複数のマスク50が用いられてもよい。例えば図13A~図13Cに示すように、複数のマスク50は、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを備えていてもよい。第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cは、異なるマスク装置40を構成してもよい。図13Aに示すように、第1マスク50Aを備えるマスク装置40を第1マスク装置40Aとも称する。図13Bに示すように、第2マスク50Bを備えるマスク装置40を第2マスク装置40Bとも称する。図13Cに示すように、第3マスク50Cを備えるマスク装置40を第3マスク装置40Cとも称する。
第2電極140を形成する工程においては、例えば、蒸着装置10に、図13Aに示す第1マスク装置40Aを取り付けて、基板110に第2電極140の第1層140Aを形成する。続いて、蒸着装置10に、図13Bに示す第2マスク装置40Bを取り付けて、基板110に第2電極140の第2層140Bを形成する。続いて、蒸着装置10に、図13Cに示す第3マスク装置40Cを取り付けて、基板110に第2電極140の第3層140Cを形成する。このように、有機デバイス100の第2電極140を形成する工程においては、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cなどの複数のマスク50が順に用いられる。有機デバイス100の第2電極140を形成するために用いられる複数のマスク50の群のことを、「マスク群」とも称する。
図14は、マスク50の断面構造の一例を示す図である。マスク50は、複数の貫通孔53が形成された金属板51によって構成されている。貫通孔53は、第1面51aから第2面51bに金属板51を貫通している。
貫通孔53は、第1凹部531及び第2凹部532を含んでいてもよい。第1凹部531は、第1面51a側に位置する。第2凹部532は、第2面51b側に位置する。第1凹部531は、金属板51の厚み方向において第2凹部532に接続されている。
平面視において、第2凹部532の寸法r2は、第1凹部531の寸法r1よりも大きくてもよい。第1凹部531は、金属板51を第1面51a側からエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。第2凹部532は、金属板51を第2面51b側からエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。第1凹部531と第2凹部532とは接続部533において接続されている。第1面51aからの接続部533の高さhは、断面高さとも称される。断面高さは、後述するシャドーの影響要因になり得る。
符号534は、貫通部を表す。平面視における貫通孔53の開口面積は、貫通部534において最小になる。貫通部534は接続部533によって画定されてもよい。図14において、貫通部534は、寸法rによって示されている。寸法rは、寸法r1よりも小さく、寸法r2よりも小さい。
マスク50を用いた蒸着法においては、第2面51b側から第1面51a側へ貫通孔53の貫通部534を蒸着材料7が通過する。通過した蒸着材料7が基板110に付着することによって、基板110に上述の第2電極140が形成される、より具体的には、基板110に上述の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cなどの層が形成される。基板110に形成される層の平面輪郭は、主として、貫通部534の平面輪郭によって画定される。より詳細には、第2電極140の層本体領域141は、主として、貫通部534の平面輪郭によって画定される。第2電極140の層周囲領域142は、主として、第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭によって画定される。
蒸着材料7を基板110に蒸着させる蒸着工程においては、蒸着材料7の一部は、蒸着源6から基板110に向かって基板110の法線方向に沿って飛来する。しかしながら、法線方向に対して傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料7も存在し得る。この場合、傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料7の一部は、基板110に到達することなくマスク50の第2面51b及び貫通孔53の壁面に到達して付着する。貫通孔53においては、第2凹部532の壁面に付着しやすい。このため、基板110に形成される蒸着層の厚みは、貫通孔53の中央では所望の厚みを維持できるが、貫通孔53の壁面に近くなるにつれて薄くなりやすい。このような基板110への蒸着材料7の付着が、貫通孔53の壁面及び第2面51bによって阻害される現象のことを、シャドーと称する。
貫通孔53は、有効領域57及び周囲領域58を含む。有効領域57は、平面視で貫通孔53の中央に位置しており、上述したシャドーの影響を受け難い領域である。周囲領域58は、有効領域57の外側であって、有効領域57の周囲に位置している。周囲領域58は、シャドーの影響を受けやすい領域である。有効領域57及び周囲領域58は、第1面51a上に位置している。
有効領域57及び周囲領域58は、上述した接続部533を通る領域画定直線Lによって定義されてもよい。領域画定直線Lは、接続部533を通り、マスク50の第1面51aと角度θをなす直線として定義されてもよい。有効領域57は、領域画定直線Lが第1面51aと交わる第1交点CP1よりも貫通孔53の内側に画定される。周囲領域58は、この第1交点CP1よりも貫通孔53の外側に画定される。
領域画定直線Lは、蒸着材料7が飛来する飛来方向又は貫通孔53の断面形状のいずれかで定義されてもよい。図15に示す例では、領域画定直線Lは、貫通孔53の断面形状によって定義されている。
より具体的には、図15に示すように、蒸着源6から飛来する蒸着材料7の飛来方向が、マスク50の第1面51aとなす角度を飛来角度θ1とする。接続部533を通るとともに、第2凹部532の壁面の任意の点に接する直線がマスク50の第1面51aとなす角度をマスク角度θ2とする。図15に示す例では、マスク角度θ2が、飛来角度θ1よりも大きくなっている。この場合、シャドーの影響を受けやすい周囲領域58は、マスク角度θ2に依存する。このため、領域画定直線Lの角度θは、マスク角度θ2であってもよい。この場合、領域画定直線Lは、接続部533を通るとともに、第2凹部532の壁面の任意の点に接する。図15に示す例では、領域画定直線Lは、第2凹部532と第2面52bとの第2交点CP2を通る。図15に示す例では、周囲領域58の幅は、断面高さh/tanθ2で表される。
図15に示す領域画定直線Lが第1面51aとなす角度θ2は、例えば、35°以上でもよく、40°以上でもよく、45°以上でもよい。角度θ2は、例えば、50°以下でもよく、60°以下でもよく、70°以下でもよい。角度θ2の範囲は、35°、40°及び45°からなる第1グループ、及び/又は、50°、60°及び70°からなる第2グループによって定められてもよい。角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。角度θ2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。角度θ2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、35°以上70°以下でもよく、35°以上60°以下でもよく、35°以上50°以下でもよく、35°以上45°以下でもよく、35°以上40°以下でもよく、40°以上70°以下でもよく、40°以上60°以下でもよく、40°以上50°以下でもよく、40°以上45°以下でもよく、45°以上70°以下でもよく、45°以上60°以下でもよく、45°以上50°以下でもよく、50°以上70°以下でもよく、50°以上60°以下でもよく、60°以上70°以下でもよい。
貫通孔53は、平面視において、略多角形状の輪郭を有していてもよく、又は略円形状の輪郭を有していてもよい。例えば、貫通孔53は、略四角形状、略六角形状又は略八角形状の輪郭を有していてもよい。貫通孔53は、マスク50の厚み方向において、相似形状で形成されていてもよい。図16~図19に示す例においては、貫通孔53が略正八角形状の輪郭を有している。互いに対向する2つの辺がマスク第1方向D1に沿っており、互いに対向する他の2つの辺がマスク第2方向D2に沿っている。貫通孔53の輪郭が略多角形状の輪郭である場合、輪郭のうちの四隅は湾曲していてもよい。
貫通部534以外の金属板51の領域は、基板110に向かう蒸着材料7を遮蔽することができる上述した遮蔽領域54である。
マスク第4領域M4の遮蔽領域54は、金属板51を貫通しない凹部を含んでいてもよい。マスク第4領域M4に凹部を設けることにより、マスク第4領域M4の剛性を低下させることができる。これにより、マスク第4領域M4の剛性とマスク第3領域M3の剛性との間の差を低減できる。このため、剛性の差に起因してマスク50に皺が生じることを抑制できる。皺は、例えば、マスク50に張力を加える時に生じやすい。
マスク50の厚みTは、例えば、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよく、20μm以上でもよい。マスク50の厚みTは、例えば、25μm以下でもよく、30μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。マスク50の厚みTの範囲は、5μm、10μm、15μm及び20μmからなる第1グループ、及び/又は、25μm、30μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上100μm以下でもよく、5μm以上50μm以下でもよく、5μm以上30μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上15μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、10μm以上30μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、10μm以上15μm以下でもよく、15μm以上100μm以下でもよく、15μm以上50μm以下でもよく、15μm以上30μm以下でもよく、15μm以上25μm以下でもよく、15μm以上20μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、20μm以上50μm以下でもよく、20μm以上30μm以下でもよく、20μm以上25μm以下でもよく、25μm以上100μm以下でもよく、25μm以上50μm以下でもよく、25μm以上30μm以下でもよく、30μm以上100μm以下でもよく、30μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
マスク50の厚みTを測定する方法としては、接触式の測定方法を採用してもよい。接触式の測定方法としては、ボールブッシュガイド式のプランジャーを備える、ハイデンハイン社製の長さゲージHEIDENHAIN-METROの「MT1271」を用いてもよい。
貫通孔53の断面形状は、図14に示す形状には限られることはない。貫通孔53の形成方法は、エッチングに限られることはなく、様々な方法を採用可能である。例えば、貫通孔53が形成されるようにめっきを行うことによってマスク50を形成してもよい。
マスク50を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、マスク50の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いてもよい。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、又は38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを用いてもよい。このような鉄合金を用いることにより、マスク50の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板110としてガラス基板が用いられる場合に、マスク50の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板110に形成される蒸着層の寸法精度及び位置精度がマスク50と基板110との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制できる。
マスク群56について説明する。マスク群56は、2つ以上のマスク50を備える。本実施形態においては、マスク群56は、上述した第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを備える。第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを重ねることにより得られる積層体を、マスク積層体55とも称する。
次に、第1マスク50Aについて詳細に説明する。図16は、第1マスク50Aの第1面51aにおいてマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を拡大して示す平面図である。第1マスク50Aは、第1貫通孔53A及び第1遮蔽領域54Aを備える。第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4において、第1貫通孔53Aは、第2電極140の第1層140Aに対応する位置に配置されている。図16~図20などの平面図において示されている貫通孔53の輪郭は、マスク50A~50Cの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭である。第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭は、第1面51aにおける第1凹部531の輪郭に相当する。
図17を参照して、第2マスク50Bについて説明する。図17は、第2マスク50Bの第1面51aにおいてマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を拡大して示す平面図である。第2マスク50Bは、第2貫通孔53B及び第2遮蔽領域54Bを備える。第2貫通孔53Bは、第1貫通孔53Aと同様に、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4において、第2貫通孔53Bは、第2電極140の第2層140Bに対応する位置に配置されている。
図18を参照して、第3マスク50Cについて説明する。図18は、第3マスク50Cの第1面51aにおいてマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を拡大して示す平面図である。第3マスク50Cは、第3貫通孔53C及び第3遮蔽領域54Cを備える。第3貫通孔53Cは、第1貫通孔53Aと同様に、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4において、第3貫通孔53Cは、第2電極140の第3層140Cに対応する位置に配置されている。
各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53Cの形状及び配置を測定する方法においては、各マスク50A~50Cの法線方向に沿って平行光を第1面51a又は第2面51bの一方に入射させてもよい。この場合、平行光は、第1面51a又は第2面51bの他方から出射される。出射した光が占める領域の形状を、貫通孔53の形状として測定してもよい。出射した光が占める領域の形状は、上述した貫通部534の形状に相当する。
各マスク50A~50Cの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの形状及び配置を測定する場合には、第1面51aを画像処理することによって測定されてもよい。例えば、撮影装置を用いて、各マスク50A~50Cの第1面51aを撮像し、第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭に関する画像データを取得してもよい。
第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cの位置関係を説明する。図19は、マスク積層体55を示す平面図である。マスク積層体55は、重ねられた2つ以上のマスク50を備える。図19に示すマスク積層体55は、重ねられた第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを備える。
マスク積層体55においては、各マスク50A~50Cのアライメントマーク50Mが重なっていてもよい。若しくは、各マスク50A~50Cのセル52の配置に基づいて、各マスク50A~50Cが重ねられていてもよい。若しくは、各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53C及び遮蔽領域54A~54Cの配置に基づいて、各マスク50A~50Cが重ねられていてもよい。各マスク50A~50Cを重ねる際、各マスク50A~50Cには張力が加えられていてもよく、張力が加えられていなくてもよい。
2つ以上のマスク50を重ねた状態の図は、各マスク50の画像データを重ねることによって得られてもよい。例えば、画像処理装置を用いて、上述のようにして取得された各マスク50A~50Cの第1面51aの画像データを重ねる。これにより、図19のような図を作製できる。画像データを取得する際、各マスク50A~50Cには張力が加えられていてもよく、張力が加えられていなくてもよい。2つ以上のマスク50を重ねた状態の図は、各マスク50A~50Cを製造するための設計図面を重ねることによって得られてもよい。
図19に示すように、マスク積層体55は、貫通領域55Aを備える。貫通領域55Aは、平面視において、各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53Cの少なくとも1つを含む。すなわち、貫通領域55Aは、平面視において、各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53Cの少なくともいずれかに重なる。従って、蒸着工程において、貫通領域55Aに対応する基板110の領域には、少なくとも1つの層の第2電極140が形成される。貫通領域55Aは、各マスク50A~50Cの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭によって画定される。
平面視において、マスク積層体55は、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2を備える。マスク第1領域M1は、有機デバイス100の第1表示領域101に対応しているとともに、上述したマスク50のマスク第3領域M3に重なっている。マスク第2領域M2は、有機デバイス100の第2表示領域102に対応しているとともに、上述したマスク50のマスク第4領域M4に重なっている。
マスク第1領域M1において、貫通領域55Aは第1開口率を有する。第1開口率は、マスク第1領域M1における貫通領域55Aの面積の比率を示す。第1開口率は、マスク第1領域M1に位置する貫通領域55Aの面積の合計を、マスク第1領域M1の面積で割ることによって算出される。マスク第1領域M1が、平面視でマスク第3領域M3と一致していてもよい。
第1開口率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、マスク50A~50Cが重ねられた状態においても、マスク第1領域M1は、貫通孔53A~53Cのいずれかに占有される領域と、貫通孔53A~53Cのいずれにも占有されない領域と、を含む。しかしながら、このことに限られることはなく、第1開口率は100%であってもよい。この場合、マスク第1領域M1の全体が、貫通孔53A~53Cのいずれかに占有される。
マスク第2領域M2において、貫通領域55Aは第2開口率を有する。第2開口率は、マスク第2領域M2における貫通領域55Aの面積の比率を示す。第2開口率は、マスク第2領域M2に位置する貫通領域55Aの面積の合計を、マスク第2領域M2の面積で割ることによって算出される。マスク第2領域M2が、平面視でマスク第4領域M4と一致していてもよい。第2開口率は、第1開口率よりも小さくてもよい。
第2開口率は、0%よりも大きく、100%よりも小さくてもよい。この場合、マスク50A~50Cが重ねられた状態においても、マスク第2領域M2は、貫通孔53A~53Cのいずれかに占有される領域と、貫通孔53A~53Cのいずれにも占有されない領域と、を含む。
第1開口率に対する第2開口率の比は、例えば、0.2以上でもよく、0.3以上でもよく、0.4以上でもよい。第1開口率に対する第2開口率の比は、例えば、0.6以下でもよく、0.7以下でもよく、0.8以下でもよい。第1開口率に対する第2開口率の比の範囲は、0.2、0.3及び0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.6、0.7及び0.8からなる第2グループによって定められてもよい。第1開口率に対する第2開口率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1開口率に対する第2開口率の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1開口率に対する第2開口率の比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.2以上0.8以下でもよく、0.2以上0.7以下でもよく、0.2以上0.6以下でもよく、0.2以上0.4以下でもよく、0.2以上0.3以下でもよく、0.3以上0.8以下でもよく、0.3以上0.7以下でもよく、0.3以上0.6以下でもよく、0.3以上0.4以下でもよく、0.4以上0.8以下でもよく、0.4以上0.7以下でもよく、0.4以上0.6以下でもよく、0.6以上0.8以下でもよく、0.6以上0.7以下でもよく、0.7以上0.8以下でもよい。
貫通領域55Aは、孔重なり領域59を含んでいてもよい。孔重なり領域59は、平面視において、2つ以上のマスク50の貫通孔53が重なっている領域である。すなわち、孔重なり領域59は、平面視において、マスク積層体55に含まれる2つ以上のマスク50の貫通孔53の少なくとも2つを含む。より詳細には、孔重なり領域59は、各マスク50の第1面51aにおける貫通孔53が重なる領域である。
図19に示す例において、孔重なり領域59は、平面視において、第1貫通孔53Aと第2貫通孔53Bとが重なっている領域、第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cとが重なっている領域、及び、第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cとが重なっている領域を含む。従って、蒸着工程において、孔重なり領域59に対応する基板110の領域には、2つの層の第2電極140が形成される。貫通領域55Aに、第1貫通孔53A、第2貫通孔53B及び第3貫通孔53Cが重なっている領域は存在していなくてもよい。
図20及び図21に示すように、孔重なり領域59は、マスク積層体55に含まれる2つのマスク50の貫通孔53の周囲領域58が重なる第1孔重なり領域60を含んでもよい。図20は、孔重なり領域59を示す平面図である。図21は、孔重なり領域59を示す断面図である。図21においては、一例として、第1マスク50Aと第2マスク50Bとにより形成される孔重なり領域59を示している。
例えば、第1孔重なり領域60は、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第2貫通孔53Bの周囲領域58とが重なっている領域、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なっている領域、及び、第2貫通孔53Bの周囲領域58と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なっている領域を含む。本実施形態における孔重なり領域59は、貫通孔53の周囲領域58が重なる第1孔重なり領域60によって構成されている。本実施形態における孔重なり領域59に、貫通孔53の有効領域57は重なっていない。
第1孔重なり領域60は、有効領域57から離間していてもよい。第1孔重なり領域60と有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。
例えば、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第2貫通孔53Bの周囲領域58とが重なる第1孔重なり領域60は、第1貫通孔53Aの有効領域57から離間していてもよい。この第1孔重なり領域60と第1貫通孔53Aの有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。第1貫通孔53Aの周囲領域58と第2貫通孔53Bの周囲領域58とが重なる第1孔重なり領域60は、第2貫通孔53Bの有効領域57から離間していてもよい。この第1孔重なり領域60と第2貫通孔53Bの有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。
同様にして、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なる第1孔重なり領域60は、各貫通孔53A、53Cの有効領域57から離間していてもよい。この第1孔重なり領域60と各貫通孔53A、53Cの有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。
同様にして、第2貫通孔53Bの周囲領域58と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なる第1孔重なり領域60は、各貫通孔53B、53Cの有効領域57から離間していてもよい。この第1孔重なり領域60と、各貫通孔53B、53Cの有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。
貫通領域55Aが上述したような第1孔重なり領域60を含むことにより、図7及び図8に示すような第2電極140を形成できる。第1孔重なり領域60は、上述した第1電極重なり領域149に対応している。
孔重なり領域59の面積は、第1貫通孔53Aの面積よりも小さくてもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比は、例えば、0.02以上でもよく、0.05以上でもよく、0.10以上でもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比は、例えば、0.20以下でもよく、0.30以下でもよく、0.40以下でもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲は、0.02、0.05及び0.10からなる第1グループ、及び/又は、0.20、0.30及び0.40からなる第2グループによって定められてもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.02以上0.40以下でもよく、0.02以上0.30以下でもよく、0.02以上0.20以下でもよく、0.02以上0.10以下でもよく、0.02以上0.05以下でもよく、0.05以上0.40以下でもよく、0.05以上0.30以下でもよく、0.05以上0.20以下でもよく、0.05以上0.10以下でもよく、0.10以上0.40以下でもよく、0.10以上0.30以下でもよく、0.10以上0.20以下でもよく、0.20以上0.40以下でもよく、0.20以上0.30以下でもよく、0.30以上0.40以下でもよい。
孔重なり領域59の面積は、第2貫通孔53Bの面積よりも小さくてもよい。第2貫通孔53Bの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲としては、上述の「第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比」の範囲を採用してもよい。
孔重なり領域59の面積は、第3貫通孔53Cの面積よりも小さくてもよい。第3貫通孔53Cの面積に対する孔重なり領域59の面積の比の範囲としては、上述の「第1貫通孔53Aの面積に対する孔重なり領域59の面積の比」の範囲を採用してもよい。
図19に示すように、マスク第2領域M2に位置する貫通領域55Aは、マスク第1方向D1に並ぶ2つ以上の貫通ライン55Lを含んでいてもよい。貫通ライン55Lは、マスク第2方向D2に延びていてもよい。例えば、貫通ライン55Lは、マスク第1領域M1の貫通領域55Aに接続されている第3端及び第4端を含んでいてもよい。第4端は、マスク第2方向D2において第3端とは反対側に位置している。
有機デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
まず、第1電極120が形成されている基板110を準備する。第1電極120は、例えば、第1電極120を構成する導電層をスパッタリング法などによって基板110に形成した後、フォトリソグラフィー法などによって導電層をパターニングすることによって形成される。平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160が基板110に形成されていてもよい。
続いて、図5及び図6に示すように、第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層130Cを含む有機層130を第1電極120上に形成する。第1有機層130Aは、例えば、第1有機層130Aに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。例えば、マスクを介して第1有機層130Aに対応する第1電極120上に有機材料などを蒸着させることにより、第1有機層130Aを形成することができる。第2有機層130Bも、第2有機層130Bに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。第3有機層130Cも、第3有機層130Cに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。
続いて、第2電極形成工程を実施してもよい。第2電極形成工程においては、上述のマスク群56を用いて有機層130上に第2電極140を形成する。まず、第1マスク50Aを用いる蒸着法によって第2電極140の第1層140Aを形成する工程を実施してもよい。例えば、第1マスク50Aを介して金属などの導電性材料などを有機層130などの上に蒸着させる。これにより、第1層140Aを形成できる。続いて、第2マスク50Bを用いる蒸着法によって第2電極140の第2層140Bを形成する工程を実施してもよい。例えば、第2マスク50Bを介して金属などの導電性材料などを有機層130などの上に蒸着させる。これにより、第2層140Bを形成できる。続いて、第3マスク50Cを用いる蒸着法によって第2電極140の第3層140Cを形成する工程を実施してもよい。例えば、第3マスク50Cを介して金属などの導電性材料などを有機層130などの上に蒸着させる.これにより、第3層140Cを形成できる。このようにして、図5及び図6に示すように、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを含む第2電極140を形成できる。
なお、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成する順序は特には限定されない。例えば、第3層140C、第2層140B、第1層140Aの順に蒸着工程が実施されてもよい。
本開示の形態の効果についてまとめる。
第2表示領域102における第2電極140は、第1層140Aと第2層140Bとが重なる電極重なり領域148を含み、電極重なり領域148は、第1層140Aの層周囲領域142と、第2層140Bの層周囲領域142とが重なる第1電極重なり領域149を含んでいる。このことにより、第1電極重なり領域149における第2電極140の厚みを低減でき、第1電極重なり領域149における透過率を高めることができる。このため、第2表示領域102の非透過領域103の透過率を高めることができ、第2表示領域102の光の透過率を高めることができる。
マスク積層体55のマスク第2領域M2における貫通領域55Aが、2つのマスク50の貫通孔53が重なる孔重なり領域59を含み、孔重なり領域59が、2つのマスク50の周囲領域58が重なる第1孔重なり領域60を含む。このことにより、第2電極140の厚みを低減できる第1電極重なり領域149を形成できる。
第1電極重なり領域149は、層本体領域141から離間している。このことにより、第1電極重なり領域149に、層本体領域141が重なることを抑制でき、第1電極重なり領域149における第2電極140の厚みを低減できる。
マスク積層体55の第1孔重なり領域60が、有効領域57から離間している。このことにより、層本体領域141から離間した第1電極重なり領域149を形成できる。
マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、マスク50に、複数の貫通孔53が位置している。このことにより、複数の貫通孔53を、各マスク50のマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4のそれぞれに形成できる。例えば、有機デバイス100の第2電極140を、各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53Cに対応するようにパターン状に形成された層140A~140Cによって構成できる。この場合、第2電極140を形成するためのマスク50の枚数を低減でき、第2電極140を形成するための蒸着回数を低減できる。このため、蒸着材料7の使用量を低減でき、環境負荷を低減できる。また、マスク第3領域M3における貫通孔53A~53Cの周囲に遮蔽領域54が形成され、マスク50A~50Cの材料を残すことができる。このため、各マスク50A~50Cの機械的強度を確保できる。
なお、上述した一実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した一実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図22~図26を用いて第1変形例について説明する。図22は、第2表示領域の第2電極の変形例を示す平面図である。図23は、図22に示す電極重なり領域148を示す平面図である。図24は、図23に示す電極重なり領域を示す断面図である。図25は、孔重なり領域59を示す平面図である。図26は、図25に示す孔重なり領域59を示す断面図である。
例えば、図22~図24に示すように、電極重なり領域148は、上述した第1電極重なり領域149と、第2電極重なり領域151と、を含んでいてもよい。第2電極重なり領域151は、各層のうちの1つの層の層本体領域141と、他の1つの層の層周囲領域142とを含んでいる。
図22に示すように、第2電極140は、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを含んでいてもよい。図22に示す例においては、1つの第1層140Aと、1つの第2層140Bと、2つの第3層140Cとが、ひし形の頂点に配置されている。2つの第3層140Cは、素子第1方向G1に沿う対角線上に配置されている。このように配置された4つの層140A、140B、140Cにより、上述した第1電極120及び有機層130とともに1つの画素が構成されている。図22に示す例においては、第1表示領域101における画素と、第2表示領域102における画素は、同様に構成されている。
図23及び図24に示すように、第2電極重なり領域151は、第1層140Aの層本体領域141と第2層140Bの層周囲領域142とが重なっている領域、及び、第1層140Aの層周囲領域142と第2層140Bの層本体領域141とが重なっている領域を含む。例えば、第2電極重なり領域151は、第1層140Aの層本体領域141と第3層140Cの層周囲領域142とが重なっている領域、及び、第1層140Aの層周囲領域142と第3層140Cの層本体領域141とが重なっている領域を含む。例えば、第2電極重なり領域151は、第2層140Bの層本体領域141と第3層140Cの層周囲領域142とが重なっている領域、及び、第2層140Bの層周囲領域142と第3層140Cの層本体領域141とが重なっている領域を含む。各層140A~140Cの層本体領域141同士は重なっていない。
図24に示すように、層本体領域141と層周囲領域142とが重なることにより、電極重なり領域148における第2電極140の厚みtbを増大できる。このことにより、電極重なり領域148の断面面積を増大でき、電極重なり領域148の電気抵抗を低減できる。しかしながら、層本体領域141同士が重ならないことにより、電極重なり領域148における第2電極140の厚みtbを、層本体領域141の厚みtaの2倍未満にできる。
図22~図24に示す第2電極140を形成するためのマスク群56について、図25及び図26を用いて説明する。図26においては、一例として、第1マスク50Aと第2マスク50Bとにより形成される孔重なり領域59を示している。
図25及び図26に示すように、マスク積層体55の孔重なり領域59は、上述した第1孔重なり領域60と、第2孔重なり領域62と、を含んでもよい。第2孔重なり領域62は、マスク積層体55に含まれる1つのマスク50の貫通孔53の有効領域57と、他の1つのマスク50の貫通孔53の周囲領域58とを含んでいる。
例えば、第2孔重なり領域62は、第1貫通孔53Aの有効領域57と第2貫通孔53Bの周囲領域58とが重なっている領域、及び、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第2貫通孔53Bの有効領域57とが重なっている領域を含む。例えば、第2孔重なり領域62は、第1貫通孔53Aの有効領域57と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なっている領域、及び、第1貫通孔53Aの周囲領域58と第3貫通孔53Cの有効領域57とが重なっている領域を含む。例えば、第2孔重なり領域62は、第2貫通孔53Bの有効領域57と第3貫通孔53Cの周囲領域58とが重なっている領域、及び、第2貫通孔53Bの周囲領域58と第3貫通孔53Cの有効領域57とが重なっている領域を含む。各マスク50の有効領域57同士は重なっていない。
貫通領域55Aが上述した様な第1孔重なり領域60と第2孔重なり領域62とを含むことにより、図23及び図24に示すような第2電極140の電極重なり領域148を形成できる。第1孔重なり領域60は、上述した第1電極重なり領域149に対応し、第2孔重なり領域62は、上述した第2電極重なり領域151に対応している。
図27を用いて第2変形例について説明する。図27は、マスク50の有効領域57及び周囲領域58の変形例を示す断面図である。
図27に示す例では、領域画定直線Lは、蒸着材料7が飛来する飛来方向によって定義されている。
より具体的には、図27に示すように、飛来角度θ1が、マスク角度θ2よりも大きくなっている。この場合、シャドーの影響を受けやすい周囲領域58は、飛来角度θ1に依存する。このため、領域画定直線Lの角度θは、飛来角度θ1であってもよい。この場合、領域画定直線Lは、接続部533を通り、第1面51aと角度θ1をなす直線となる。図27に示す例では、周囲領域58の幅は、断面高さh/tanθ1で表される。
図27に示す領域画定直線Lの角度θは、図15に示す領域画定直線Lの角度θと同様の数値例が適用されてもよい。
図28~図33を用いて第3変形例について説明する。図28は、第2電極の変形例を示す平面図である。図29は、電極重なり領域を示す平面図である。図30は、第1マスクを示す平面図である。図31は、第2マスクを示す平面図である。図32は、マスク積層体を示す平面図である。図33は、マスク積層体の孔重なり領域を示す平面図である。
図28に示す例における第2電極140は、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを含んでいてもよい。第1層140A及び第3層140Cは、第1マスク50Dを用いる蒸着法によって形成される。第2層140Bは、第2マスク50Eを用いる蒸着法によって形成される。
第1層140A及び第3層140Cは、略正八角形状の輪郭を有している。第1層140A及び第3層140Cは、同一の平面輪郭を有していてもよい。第2層140Bは、第1層140A及び第3層140Cとは異なる平面輪郭を有していてもよい。第2層140Bは、長手方向を有する略八角形状の輪郭を有していてもよい。図28に示す第2層140Bの長手方向は、素子第2方向G2に沿っている。あるいは、第2層140Bは、素子第2方向G2に沿う長手方向を有するような略四角形状の輪郭を有していてもよい。この場合、第2層140Bの輪郭のうちの四隅は、面取りされていてもよい。
第1表示領域101においては、素子第1方向G1及び素子第2方向G2に沿って、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cが繰り返し並んでいてもよい。図28に示す例においては、1つの第1層140Aと、2つの第2層140Bと、1つの第3層140Cとが、四角形の頂点に配置されている。2つの第2層140Bは、対角線上に配置されている。このように配置された4つの層140A、140B、140B、140Cにより、上述した第1電極120及び有機層130とともに1つの画素が構成されている。
第2表示領域102においては、素子第1方向G1及び素子第2方向G2に沿って、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cが繰り返し並んでいてもよい。図28に示す例においては、第2表示領域102における画素は、第1表示領域101において1つの画素を構成していた2つの第2層140Bのうちの1つが取り除かれた構成を有している。第2表示領域102における画素は、素子第1方向G1において間隔を置いて配置されており、素子第1方向G1において隣り合う画素の間に、透過領域104が介在されている。第2表示領域102における画素は、素子第2方向G2において繰り返し並んでいる。
図29に示すように、第2電極140の電極重なり領域148は、図7及び図8に示す例と同様に、各層の層周囲領域142が重なる第1電極重なり領域149を含んでいてもよい。第1電極重なり領域149と層本体領域141との間に、非重なり領域150が位置していてもよい。
図28に示す第2電極140を形成するためのマスク群56について、図30~図33を用いて説明する。図30は、第1マスク50Dの第1面51aにおいてマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を拡大して示す平面図である。図31は、第2マスク50Eの第1面51aにおいてマスク第3領域M3及びマスク第4領域M4を拡大して示す平面図である。図32は、孔重なり領域59を示す平面図であり、図33は、孔重なり領域59を示す断面図である。
第3変形例におけるマスク群56は、第1マスク50D及び第2マスク50Eを備える。第3変形例におけるマスク積層体55は、第1マスク50D及び第2マスク50Eを重ねることにより得られる積層体である。
図30に示すように、第1マスク50Dは、第1貫通孔53A、第3貫通孔53C及び第1遮蔽領域54Dを備える。第1貫通孔53A及び第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4において、第1貫通孔53Aは、第2電極140の第1層140Aに対応する位置に配置され、第3貫通孔53Cは、第2電極140の第3層140Cに対応する位置に配置されている。図30~図33などの平面図において示されている貫通孔53A~53Cの輪郭は、マスク50D、50Eの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭である。第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭は、第1面51aにおける第1凹部531の輪郭に相当する。
図31に示すように、第2マスク50Eは、第2貫通孔53B及び第2遮蔽領域54Eを備える。第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第3領域M3及びマスク第4領域M4において、第2貫通孔53Bは、第2電極140の第2層140Bに対応する位置に配置されている。
第1貫通孔53A及び第3貫通孔53Cは、略正八角形状の輪郭を有している。第1貫通孔53A及び第3貫通孔53Cは、同一の平面輪郭を有していてもよい。第2貫通孔53Bは、第1貫通孔53A及び第3貫通孔53Cとは異なる平面輪郭を有していてもよい。第2貫通孔53Bは、長手方向を有する略八角形状の輪郭を有していてもよい。図31に示す第2貫通孔53Bの長手方向は、マスク第2方向D2に沿っている。あるいは、第2貫通孔53Bは、マスク第2方向D2に沿う長手方向を有するような略四角形状の輪郭を有していてもよい。この場合、第2貫通孔53Bの輪郭のうちの四隅は、面取りされていてもよい。
図32に示すように、マスク積層体55は、貫通領域55Aを備える。貫通領域55Aは、平面視において、各マスク50D、50Eの貫通孔53A~53Cの少なくとも1つを含む。すなわち、貫通領域55Aは、平面視において、各マスク50D、50Eの貫通孔53A~53Cの少なくともいずれかに重なる。
図32に示すように、貫通領域55Aは、図19に示す例と同様に、孔重なり領域59を含んでいてもよい。図33に示すように、孔重なり領域59は、図20及び図21に示す例と同様に、第1孔重なり領域60を含んでいてもよい。第1孔重なり領域60と有効領域57との間に、非重なり領域61が位置していてもよい。
上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。


Claims (8)

  1. マスク群であって、
    2つ以上のマスクを備え、
    前記マスクは、遮蔽領域及び貫通孔を備え、
    2つ以上の前記マスクが重ねられたマスク積層体は、前記マスクの法線方向に沿って見た場合に前記貫通孔に重なる貫通領域を備え、
    前記マスクの法線方向に沿って見た場合、前記マスク積層体は、第1開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第1領域と、前記第1開口率よりも小さい第2開口率を有する前記貫通領域を含むマスク第2領域と、を備え、
    前記マスクは、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含み、
    前記貫通孔は、前記第1面側に位置する第1凹部と、前記第2面側に位置する第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部とが接続された接続部と、を含み、
    前記法線方向に沿う断面で見た場合、前記接続部を通り、前記第1面と角度θをなす直線として領域画定直線が定義され、前記領域画定直線が前記第1面と第1交点で交わり、前記第1交点よりも前記貫通孔の内側に有効領域が画定され、前記第1交点よりも前記貫通孔の外側に周囲領域が画定され、
    前記角度θは、35°以上70°以下であり、
    前記マスク第2領域における前記貫通領域は、2つの前記マスクの前記貫通孔が重なる孔重なり領域を含み、
    前記孔重なり領域は、前記マスク積層体に含まれる2つの前記マスクの前記貫通孔の前記周囲領域が重なる第1孔重なり領域を含む、マスク群。
  2. 前記第1孔重なり領域は、前記マスクの前記貫通孔の前記有効領域から離間している、請求項1に記載のマスク群。
  3. 前記孔重なり領域は、前記マスク積層体に含まれる1つの前記マスクの前記貫通孔の前記有効領域と他の1つの前記マスクの前記貫通孔の前記周囲領域とが重なる第2孔重なり領域を含む、請求項1に記載のマスク群。
  4. 前記領域画定直線は、前記第2凹部の壁面の任意の点に接する、請求項1から3のいずれか一項に記載のマスク群。
  5. 前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域のそれぞれにおいて、前記マスクに、複数の前記貫通孔が位置している、請求項1から4のいずれか一項に記載のマスク群。
  6. 有機デバイスの製造方法であって、
    基板上の第1電極上の有機層上に、請求項1から5のいずれか一項に記載のマスク群を用いて第2電極を形成する第2電極形成工程を備え、
    前記第2電極形成工程は、
    前記マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第1層を形成する工程と、
    他の前記マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第2層を形成する工程と、を備える、有機デバイスの製造方法。
  7. 前記第2電極を形成する蒸着材料の飛来方向が前記マスクの前記第1面となす角度をθ1とし、前記接続部を通るとともに前記第2凹部に接する直線が前記第1面となす角度をθ2とし、
    前記角度θ1が前記角度θ2よりも大きい場合、前記領域画定直線の前記角度θは、前記角度θ1である、請求項6に記載の有機デバイスの製造方法。
  8. 有機デバイスであって、
    基板と、
    前記基板上に位置する第1電極と、
    前記第1電極上に位置する有機層と、
    前記有機層上に位置する第2電極と、を備え、
    前記基板の法線方向に沿って見た場合、前記有機デバイスは、第1占有率を有する前記第2電極を含む第1表示領域と、前記第1占有率よりも小さい第2占有率を有する前記第2電極を含む第2表示領域と、を備え、
    前記第2電極は、互いに異なる前記有機層上に位置する2つ以上の層を含み、
    前記層は、層本体領域と、前記層本体領域の厚みよりも薄い厚みを有する層周囲領域と、を含み、
    前記第2表示領域における前記第2電極は、2つの前記層が重なる電極重なり領域を含み、
    前記電極重なり領域は、前記層の前記層周囲領域が重なる第1電極重なり領域と、1つの前記層の前記層本体領域と、他の1つの前記層の前記層周囲領域とが重なる第2電極重なり領域と、を含む、有機デバイス。
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