JP2022187954A - 果汁発酵物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を、酵母を用いて発酵させることで得られる高酸度の果汁発酵物及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】 メチニコウィア属に属する酵母で、高酸度の果汁発酵物を製造できることを見出し、本発明を完成した。【選択図】なし
Description
本発明は、果汁発酵物等に関する。
レモン、ライム等の香酸甘橘やウメ等の果汁は、クエン酸やリンゴ酸等の有機酸含有量が多く酸味が強いため、そのまま喫食されることは少なく、飲食物の嗜好性を高める目的で副原料としてよく利用されている。
さらに嗜好性の多様化に対応すべく、香酸柑橘果汁の発酵に関して各種検討がなされており、乳酸菌による発酵については、レモン果汁発酵液の製造方法であって、レモン果汁液を乳酸菌で発酵させる発酵工程を含み、前記レモン果汁発酵液の乳酸濃度が全量を基準として1000質量ppm以上である、レモン果汁発酵液の製造方法(特許文献1)が開示されており、酵母による発酵については、ライムジュースに転化糖シロップを加え、pH8.1でサッカロマイセス・セレビシエを接種し発酵させる方法(特許文献2)が開示されている。
本発明では、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を、酵母を用いて発酵させることで得られる高酸度の果汁発酵物及びその製造方法を提供することを課題とする。
発明者らは、メチニコウィア属に属する酵母で、高酸度の果汁発酵物を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]の態様に関する。
[1]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母で発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物。
[2]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、[1]記載の果汁発酵物。
[3]エタノール濃度が1.0容量%以下である、[1]又は[2]記載の果汁発酵物。
[4]イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコール含有量が発酵前より増加している、[1]~[3]の何れかに記載の果汁発酵物。
[5]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁に、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母を接種し、発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物の製造方法。
[6]酵母接種時のpHが4.0以下である、[5]記載の製造方法。
[7]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、[5]又は[6]記載の製造方法。
[8]活性化させた酵母を接種することを特徴とする、[5]~[7]の何れかに記載の製造方法。
[9][1]~[4]の何れかに記載の果汁発酵物を含む飲食品。
[1]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母で発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物。
[2]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、[1]記載の果汁発酵物。
[3]エタノール濃度が1.0容量%以下である、[1]又は[2]記載の果汁発酵物。
[4]イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコール含有量が発酵前より増加している、[1]~[3]の何れかに記載の果汁発酵物。
[5]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁に、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母を接種し、発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物の製造方法。
[6]酵母接種時のpHが4.0以下である、[5]記載の製造方法。
[7]クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、[5]又は[6]記載の製造方法。
[8]活性化させた酵母を接種することを特徴とする、[5]~[7]の何れかに記載の製造方法。
[9][1]~[4]の何れかに記載の果汁発酵物を含む飲食品。
本発明によって、メチニコウィア属に属する酵母を接種することで、高酸度の果汁発酵物の製造が可能になった。さらに、発酵により風味が改善された果汁発酵物を提供することが可能になった。また、簡便に高酸度の果汁発酵物を製造できる製造方法を提供できる。
本発明の果汁発酵物は、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁に、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母を接種し、発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物であって、接種する酵母としては、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母であれば特に限定されないが、酸度3重量%で増殖可能な酵母が好ましく、酸度4重量%で増殖可能な酵母がより好ましく、酸度5重量%で増殖可能な酵母がさらに好ましく、酸度6重量%で増殖可能な酵母がさらに好ましく、pH2.0~3.0の範囲内でも増殖可能な酵母が好ましく、メチニコウィア・プルシェリマ(Metschnikowia pulcherrima)、メチニコウィア・アガベス(Metschnikowia agaves)等が例示でき、1種又は2種以上を使用してもよい。
接種するメチニコウィア属に属する酵母は、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を発酵可能であれば特に限定されないが、前培養等により活性化させていることが好ましく、例えば、乾燥、冷蔵又は冷凍していたストック菌を、好ましくは20~40℃、より好ましくは25~35℃で、好ましくは1~72時間、より好ましくは5~24時間、液中で振盪すればよく、炭素源、窒素源、無機物、その他前記菌が必要とする微量栄養素等を含有する一般的な微生物用液体培地を用いるのが好ましい。活性化とは、増殖し易い状態にすることである。
本発明では、メチニコウィア属に属する酵母の接種は、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁に、酵母を接種すればよく、接種量は特に限定されないが該果汁に対して好ましくは0.2~10容量%、より好ましくは0.5~5容量%で、発酵条件としては、通気、振盪、攪拌等により好気的に発酵するのが好ましい。発酵温度は例えば10~40℃が例示でき、20~35℃が好ましく、培養時間は例えば2~72時間が例示でき、4~48時間が好ましく、6~36時間がより好ましい。
本発明で発酵させる果汁は、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する酸味の強い果汁であれば特に限定されず、発酵開始時、酸度1.0重量%以上の果汁が好ましく、酸度2.0重量%以上が好ましく、酸度3.0重量%以上が好ましく、酸度4.0重量%以上がより好ましく、酸度5.0重量%以上がさらに好ましく、酸度5.5重量%以上が特に好ましく、酸度11重量%以下が好ましい。酸度は、液体中の有機酸の含有量を水酸化ナトリウムによる中和滴定法で測定してクエン酸換算した値を意味する。
酵母接種時のpHは特に限定されないが、pH4.0以下が好ましく、pH3.5以下がより好ましく、pH3.0以下がさらに好ましく、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁のpHは、通常pH4.0以下、おおよそpH2.0~3.5の範囲内であり、pH調整を行ってもよいが、該pHでもメチニコウィア属に属する酵母は生育可能なため、pH5.0以上へのpH調整は特に必要ではなく、pH調整によって非解離状態のクエン酸及び/又はリンゴ酸量が減少し、酸度が下がるため、pH調整は行わないのが好ましい。
本発明で使用するクエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁は、高酸度の果汁であれば原料は特に限定されず、レモン、ライム、シークワーサー、ユズ、スダチ、カボス、ダイダイ等の香酸柑橘の果汁、ウメ、アンズ、スモモ等のスモモ亜属に属する果実の果汁等、クエン酸及び/又はリンゴ酸を高含有する果汁が例示でき、1種又は2種以上を使用してもよく、例えば濃縮果汁を前記酸度に希釈して使用することができる。
また、クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁は、低糖度であるのが好ましく、糖度8重量%以下が好ましく、6重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、4重量%以下が特に好ましく、果汁由来の糖度のみで糖類を添加しないのが最も好ましく、例えば糖度/酸度の比は、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.8以下が特に好ましく、低糖度の果汁を使用することで、低カロリーであることに加え、生成されるエタノール濃度を抑えることができる。尚、高酸度果汁の場合、酸度と糖度の合計がおおよそBrix糖度(屈折糖度)として計測されることから、Brix糖度から酸度を差し引いて糖度を算出し、糖度/酸度の比とする。
本発明では、発酵助剤として窒素化合物やミネラル等を使用してもよく、窒素化合物としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物、DL-アラニン、L-グルタミン酸等のアミノ酸類、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、コーンスティープリカー等の有機窒素化合物が使用できる。ミネラルとしては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、塩化鉄、塩化カルシウム、塩化第二鉄、モリブデン酸ナトリウム等が使用できる。さらに、得られる果汁発酵物の酸度をより高めるために、発酵中に果汁を追加してもよく、好ましくは対数増殖期以降に1又は2回以上に分けて添加してもよい。
高酸度の果汁を発酵させることで得られる本発明の果汁発酵物は、高酸度であれば特に限定されないが、酸度3.0重量%以上が好ましく、酸度5.0重量%以上がより好ましく、酸度7.0重量%以上がさらに好ましく、酸度9.0重量%以上が特に好ましい。また、酵母の増殖により発酵前の果汁に比べ風味が改善されている。
本発明の果汁発酵物中のエタノール濃度は、低濃度であれば特に限定されないが、1容量%以下が好ましく、0.8容量%以下がより好ましく、0.6容量%以下がさらに好ましく、0.4容量%以下が特に好ましく、0.2容量%以下が最も好ましく、低濃度のエタノール発酵物のため、アルコール飲料以外へも使用することが可能で、幅広い食品に利用できる。
また、本発明の果汁発酵物は、イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコールを含むのが好ましく、イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコールが発酵前より増加しているのが好ましく、何れか一方が発酵前の少なくとも1.2倍量であるのがより好ましく、少なくとも1.3倍量であるのがさらに好ましく、少なくとも1.5倍量であるのが特に好ましく、少なくとも2倍量であるのが最も好ましく、イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコールを含むことで、フローラルな風味を感じることができ、発酵前の果汁に比べ風味が改善されていると考えられる。
本発明の果汁発酵物は、各種飲食品等に添加して使用することができ、高酸度果汁の風味を付与することができるが、天然由来のクエン酸、リンゴ酸等の有機酸を高含有するため、健康食品としての利用も期待できる。各種飲食品への添加量は特に限定されないが、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは0.05~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%である。添加する飲食品は特に限定されないが、非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料、アイスクリーム等の冷菓、ゼリー、ヨーグルト等の生菓子、ドレッシング、ソース等の調味料、健康食品等に利用できる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
[調製1]
濃縮レモン果汁(クエン酸酸度:31.8重量%、Brix:35°)143gと水道水357gを混合することで、濃縮還元レモン果汁(調製品1)を得た。
濃縮レモン果汁(クエン酸酸度:31.8重量%、Brix:35°)143gと水道水357gを混合することで、濃縮還元レモン果汁(調製品1)を得た。
調製品1のレモン果汁を、50gずつ200mL容のバッフル付三角フラスコに入れ、前培養したメチニコウィア・アガベス(Metschnikowia agaves NBRC10860株)を1容量%接種して、30℃で24時間振盪発酵させることでレモン果汁発酵物(実施品1)を得た。
尚、前培養液は、終濃度10重量%の還元水飴及び終濃度2重量%の酵母エキスを含む滅菌した液体培地で、30℃、20時間、前記酵母を振盪培養したものを使用した。
尚、前培養液は、終濃度10重量%の還元水飴及び終濃度2重量%の酵母エキスを含む滅菌した液体培地で、30℃、20時間、前記酵母を振盪培養したものを使用した。
[比較例1]
酵母としてトルラスポラ・デルブレッキ(Torulaspora delbrueckii BIODIVA;LALLEMAND社製)(比較例1-1)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae NBRC2346株)(比較例1-2)又はクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis NBRC1267株)(比較例1-3)を用いること以外は実施例1と同様にして、比較品1-1~1-3を得た。
酵母としてトルラスポラ・デルブレッキ(Torulaspora delbrueckii BIODIVA;LALLEMAND社製)(比較例1-1)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae NBRC2346株)(比較例1-2)又はクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis NBRC1267株)(比較例1-3)を用いること以外は実施例1と同様にして、比較品1-1~1-3を得た。
[評価試験1]
実施品1、調製品1及び比較品1-1~1-3について、pH、Brix(糖用屈折計)、酸度(中和滴定法により測定し、クエン酸換算)、グルコース濃度(F‐キットD‐グルコース、ロシュ社製)及びエタノール濃度(F‐キット エタノール、ロシュ社製)を測定し、表1に示した。また、酵母の増殖について、増殖が認められたものを○、認められなかったものを×として表1に示した。尚、高酸度果汁である調製品1について、酸度と糖度の合計がおおよそBrixとして計測されることから、Brixと酸度から糖度を算出して糖度/酸度の比を算出し、結果を表1に示した。さらに、実施品1、調製品1及び比較品1~3について、水道水で10倍希釈したものを官能評価し、爽やかな酸味又はフローラルな風味があるものを○、前記風味がないものを×として表1に記載した。
実施品1、調製品1及び比較品1-1~1-3について、pH、Brix(糖用屈折計)、酸度(中和滴定法により測定し、クエン酸換算)、グルコース濃度(F‐キットD‐グルコース、ロシュ社製)及びエタノール濃度(F‐キット エタノール、ロシュ社製)を測定し、表1に示した。また、酵母の増殖について、増殖が認められたものを○、認められなかったものを×として表1に示した。尚、高酸度果汁である調製品1について、酸度と糖度の合計がおおよそBrixとして計測されることから、Brixと酸度から糖度を算出して糖度/酸度の比を算出し、結果を表1に示した。さらに、実施品1、調製品1及び比較品1~3について、水道水で10倍希釈したものを官能評価し、爽やかな酸味又はフローラルな風味があるものを○、前記風味がないものを×として表1に記載した。
実施例1では酵母の増殖が認められ、高酸度のレモン果汁発酵物が得られたが、比較例1-1~1-3では酵母の増殖が認められなかった。酸度及びエタノール濃度は、実施品1、調製品1及び比較品1-1~1-3で差は無く、発酵の有無による変化は認められなかったが、実施品1のグルコース濃度は、調製品1に比べて低く、発酵により減少したと思われる。また、実施品1は、爽やかな酸味に加えてフローラルな風味を有しており、フローラルな風味が付与されたことで、高酸度であっても酸味だけではなく、より好ましい改善された風味となっていた。よって、メチニコウィア属に属するメチニコウィア・アガベスを接種することにより、風味の改善された高酸度果汁発酵物が得られることが分かった。
酵母としてメチニコウィア・プルシェリマ(Metschnikowia pulcherrima FLAVIA;LALLEMAND社製)を用いること以外は実施例1と同様にして、レモン果汁発酵物(実施品2)を得た。
[評価試験2]
実施品2及び調製品1について、評価試験1と同様に評価すると共に、ガスクロマトグラフィー(以下GC)を用いて以下の測定条件で香気成分濃度を測定した。結果を表2に示す。
実施品2及び調製品1について、評価試験1と同様に評価すると共に、ガスクロマトグラフィー(以下GC)を用いて以下の測定条件で香気成分濃度を測定した。結果を表2に示す。
<GCの測定条件>
・検出器:FID(250℃)
・カラム:InertCap Pure-WAX
(ID:0.25mm×30m、df:0.25μm、GLサイエンス株式会社製)
・カラム温度:40℃(5分間保持)→10℃/分で昇温→250℃(3分間保持)
・キャリアーガス:ヘリウム(100kPa)、1.3ml/分
・注入温度:250℃
・内部標準物質:シクロヘキサノール
・検体:試料を、常法に従ってジエチルエーテル抽出した。
・検出器:FID(250℃)
・カラム:InertCap Pure-WAX
(ID:0.25mm×30m、df:0.25μm、GLサイエンス株式会社製)
・カラム温度:40℃(5分間保持)→10℃/分で昇温→250℃(3分間保持)
・キャリアーガス:ヘリウム(100kPa)、1.3ml/分
・注入温度:250℃
・内部標準物質:シクロヘキサノール
・検体:試料を、常法に従ってジエチルエーテル抽出した。
実施例2で酵母の増殖が認められ、高酸度のレモン果汁発酵物が得られた。酸度及びエタノール濃度は、実施品2及び調製品1で差は無く、発酵の有無による変化は認められなかったが、実施品2のグルコース濃度は、調製品1に比べて低く、発酵により減少したと思われる。また、実施品2は、発酵によって生成したと考えられるイソアミルアルコール及びフェネチルアルコールを含有し、爽やかな酸味に加えてフローラルな風味を有しており、フローラルな風味が付与されたことで、高酸度であっても酸味だけではなく、より好ましい改善された風味となっていた。よって、メチニコウィア属に属するメチニコウィア・プルシェリマを接種することで、風味の改善された高酸度果汁発酵物が得られることが分かった。
[調製2]
濃縮ウメ果汁(クエン酸酸度:18.5重量%、Brix:30°)33gと水道水67gを混合することで、濃縮還元ウメ果汁(調製品2)を得た。
濃縮ウメ果汁(クエン酸酸度:18.5重量%、Brix:30°)33gと水道水67gを混合することで、濃縮還元ウメ果汁(調製品2)を得た。
調製品1の代わりにウメ果汁である調製品2を使用すること、及び酵母としてメチニコウィア・プルシェリマを用いること以外は実施例1と同様にして、ウメ果汁発酵物(実施品3)を得た。
[評価試験3]
実施品3及び調製品2について、評価試験2と同様にして評価した。結果を表3に示す。
実施品3及び調製品2について、評価試験2と同様にして評価した。結果を表3に示す。
実施例3で酵母の増殖が認められ、高酸度のウメ果汁発酵物が得られた。酸度は、実施品3及び調製品2で差は無く、発酵の有無による変化は認められなかったが、実施品2のグルコース濃度は、調製品2に比べて低く、一方でエタノール濃度は調製品2に比べて高かったことから、発酵によりグルコースが減少すると共にエタノールが増加したと思われる。また、実施品3は、発酵によって生成したと考えられるイソアミルアルコール及びフェネチルアルコールを含有し、爽やかな酸味に加えてフローラルな風味を有しており、フローラルな風味が付与されたことで、高酸度であっても酸味だけではなく、より好ましい改善された風味となっていた。よって、高酸度のウメ果汁であっても、メチニコウィア属に属するメチニコウィア・プルシェリマを接種することで、風味の改善された高酸度果汁発酵物が得られることが分かった。
[試験例]
濃縮レモン果汁(クエン酸酸度:31.8重量%、Brix:35°)を水道水で希釈して、試験例1-1(酸度4.5重量%、Brix5°)、試験例1-2(酸度9.1重量%、Brix10°)、試験例1-3(酸度10.9重量%、Brix12°)及び試験例1-4(酸度13.6重量%、Brix15)のレモン果汁を調製し、また、濃縮ウメ果汁(クエン酸酸度:18.5重量%、Brix:30°)を水道水で希釈して、試験例2-1(酸度3.1重量%、Brix5°)、試験例2-2(酸度6.2重量%、Brix10°)、試験例2-3(酸度9.3重量%、Brix15°)及び試験例2-4(酸度12.4重量%、Brix15°)のウメ果汁を調製した。調製した各果汁を使用すること以外は実施例2と同様にして、メチニコウィア属に属するメチニコウィア・プルシェリマを接種することで各果汁発酵物の取得を試みた。また、試験例1-5(酸度4.5重量%、Brix5°)のレモン果汁及び試験例2-5(酸度3.1重量%、Brix5°)のウメ果汁を調製し、トルラスポラ・デルブレッキを接種することで各果汁発酵物の取得を試みた。
濃縮レモン果汁(クエン酸酸度:31.8重量%、Brix:35°)を水道水で希釈して、試験例1-1(酸度4.5重量%、Brix5°)、試験例1-2(酸度9.1重量%、Brix10°)、試験例1-3(酸度10.9重量%、Brix12°)及び試験例1-4(酸度13.6重量%、Brix15)のレモン果汁を調製し、また、濃縮ウメ果汁(クエン酸酸度:18.5重量%、Brix:30°)を水道水で希釈して、試験例2-1(酸度3.1重量%、Brix5°)、試験例2-2(酸度6.2重量%、Brix10°)、試験例2-3(酸度9.3重量%、Brix15°)及び試験例2-4(酸度12.4重量%、Brix15°)のウメ果汁を調製した。調製した各果汁を使用すること以外は実施例2と同様にして、メチニコウィア属に属するメチニコウィア・プルシェリマを接種することで各果汁発酵物の取得を試みた。また、試験例1-5(酸度4.5重量%、Brix5°)のレモン果汁及び試験例2-5(酸度3.1重量%、Brix5°)のウメ果汁を調製し、トルラスポラ・デルブレッキを接種することで各果汁発酵物の取得を試みた。
[評価試験3]
酵母接種により、酵母がよく増殖したものを○、やや増殖したものを△、増殖しなかったものを×とし、表4に示した。また、pH及びエタノール濃度を測定し、表4に示した。尚、酵母接種時の各果汁のBrix及び酸度も表4にまとめた。
酵母接種により、酵母がよく増殖したものを○、やや増殖したものを△、増殖しなかったものを×とし、表4に示した。また、pH及びエタノール濃度を測定し、表4に示した。尚、酵母接種時の各果汁のBrix及び酸度も表4にまとめた。
試験例1-1~1-3、2-1~2-3で酵母の増殖が認められたが、試験例1-4、1-5、2-4及び2-5では、酵母の増殖は認められなかった。
試験例1-1~1-3、2-1~2-3は、酸度が4.5~10.9重量%で、試験例1-4及び2-4は、酸度が12.4重量%以上だった。また、試験例1-5及び2-5は、トルラスポラ・デルブレッキを使用していた。
以上より、酸度と酵母の増殖との間に関連性があると考えられ、発酵開始時の酸度を12重量%より低くすることで、メチニコウィア属に属する酵母により、高酸度果汁を発酵できることが分かった。
試験例1-1~1-3、2-1~2-3は、酸度が4.5~10.9重量%で、試験例1-4及び2-4は、酸度が12.4重量%以上だった。また、試験例1-5及び2-5は、トルラスポラ・デルブレッキを使用していた。
以上より、酸度と酵母の増殖との間に関連性があると考えられ、発酵開始時の酸度を12重量%より低くすることで、メチニコウィア属に属する酵母により、高酸度果汁を発酵できることが分かった。
Claims (9)
- クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁を、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母で発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物。
- クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、請求項1記載の果汁発酵物。
- エタノール濃度が1.0容量%以下である、請求項1又は2記載の果汁発酵物。
- イソアミルアルコール及び/又はフェネチルアルコール含有量が発酵前より増加している、請求項1~3の何れか1項に記載の果汁発酵物。
- クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁に、前記果汁を発酵可能なメチニコウィア属に属する酵母を接種し、発酵させることによって得られる、酸度3.0重量%以上の果汁発酵物の製造方法。
- 酵母接種時のpHが4.0以下である、請求項5記載の製造方法。
- クエン酸及び/又はリンゴ酸を含有する果汁が香酸甘橘果汁又はスモモ亜属に属する果実の果汁である、請求項5又は6記載の製造方法。
- 活性化させた酵母を接種することを特徴とする、請求項5~7の何れか1項に記載の製造方法。
- 請求項1~4の何れか1項に記載の果汁発酵物を含む飲食品。
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