JP2022186591A - 新規な架橋剤、硬化性組成物、プリプレグ、積層体、金属張積層板および配線基板 - Google Patents

新規な架橋剤、硬化性組成物、プリプレグ、積層体、金属張積層板および配線基板 Download PDF

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Kazumi Hashimoto
亮介 神谷
Ryosuke Kamiya
義富 森澤
Yoshitomi Morisawa
司 臼田
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Abstract

【課題】硬化性組成物に用いて好適で、高周波条件における誘電正接(Df)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高い(半)硬化物を得ることが可能な新規な架橋剤の提供。【解決手段】下式(X)で表される架橋剤。TIFF2022186591000036.tif4091(Lは単結合、置換/無置換の芳香環、置換/無置換のC1~C20のアルキレン基、または、置換/無置換のC1~C20のアルキレン基と置換/無置換の芳香環との組合せ;nは2~4の整数;RはH、OH、有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はC。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な架橋剤、硬化性組成物、プリプレグ、積層体、金属張積層板および配線基板に関する。
電気機器および電子機器等の用途に、配線基板(プリント配線板とも言う。)が使用される。配線基板は例えば、以下のようにして、製造できる。硬化性組成物を繊維基材に含浸させ、硬化性組成物を(半)硬化させて、プリプレグを作製する。1つ以上のプリプレグを一対の金属箔で挟み、得られた第1の仮積層体を加熱加圧して、金属張積層板を作製する。この金属張積層板の最表面にある金属箔を用いて、配線等の導体パターン(回路パターンとも言う。)を形成する。最表面の金属箔は、第1の仮積層体の片面側にのみ配置してもよい。
得られた配線基板に対してさらに、1つ以上のプリプレグを重ね、これを一対の金属箔で挟み、得られた第2の仮積層体を加熱加圧し、最表面にある金属箔を用いて配線等の導体パターンを形成することで、多層配線基板(多層プリント配線板とも言う。)を製造できる。最表面の金属箔は、第2の仮積層体の片面側にのみ配置してもよい。
プリプレグの加熱加圧物は、繊維基材、樹脂および無機充填材(フィラーとも言う。)等を含み、コンポジット基材とも呼ばれる。配線基板において、コンポジット基材は、絶縁層として機能する。
プリプレグに含まれる樹脂は硬化性組成物の(半)硬化物であり、コンポジット基材に含まれる樹脂は硬化性組成物の硬化物である。
近年、携帯用電子機器等の用途では、通信の高速化と大容量化が進み、信号の高周波化が進んでいる。この用途に用いられる配線基板には、高周波領域での伝送損失の低減が求められる。伝送損失には、主に金属箔の表面抵抗に起因する導体損失と、コンポジット基材の誘電正接(D)に起因する誘電損失とがある。このため、上記用途に用いられる配線基板のコンポジット基材に含まれる樹脂には、高周波領域での誘電損失の低減が求められる。一般的に、誘電正接(D)は周波数に依存し、同じ材料であれば、周波数が高くなる程、誘電正接(D)が大きくなる傾向がある。コンポジット基材に含まれる樹脂は、高周波条件における誘電正接(D)が低いことが好ましい。
プリプレグまたはコンポジット基材と金属箔との熱膨張係数(CTE)の差が大きいと、プリプレグと金属箔とを含む第1の仮積層体、またはコンポジット基材とプリプレグと金属箔とを含む第2の仮積層体を加熱加圧する際に、金属箔のずれまたは剥離が生じる恐れがある。プリプレグまたはコンポジット基材と金属箔との熱膨張係数(CTE)の差は、小さい方が好ましい。一般的に、樹脂は金属箔より熱膨張係数(CTE)が大きいので、プリプレグおよびコンポジット基材の熱膨張係数(CTE)は小さい方が好ましい。
配線基板は、比較的高温の環境下で使用される場合がある。この場合でも、配線基板の信頼性を確保するために、プリプレグおよびコンポジット基材に含まれる樹脂は、充分な高さのガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
配線基板においては、コンポジット基材と金属箔との密着性が重要である。従来、コンポジット基材と金属箔との密着性向上のために、金属箔のコンポジット基材側の表面を粗面化する技術がある。しかしながら、この技術では、高周波電流の損失が生じやすく、好ましくない。
金属箔のコンポジット基材側の表面を粗面化せずに、コンポジット基材と金属箔との密着性を高める技術として、特許文献1には、ポリフェニレンオキサイドおよびトリアルケニルイソシアヌレートからなるポリフェニレンオキサイド系樹脂と、トリメトキシビニルシラン(TMVS)およびトリエトキシビニルシラン(TEVS)等のビニルシランとを含む配線基板用樹脂組成物およびこれを用いて得られた配線基板が開示されている(請求項1~4)。
特開2004-259899号公報 韓国特許第10-1481417号明細書
JOURNAL OF POLYMER SCIENCE, PART A: POLYMER CHEMISTRY 2015, 53, 1707-1718. J. Org. Chem. 2013, 78, 3329-3335.
特許文献1で用いられているトリメトキシビニルシラン(TMVS)およびトリエトキシビニルシラン(TEVS)等のビニルシランは、Siと極性原子である酸素原子(O)との結合を含むシランカップリング剤である。
本発明者らが検討したところ、硬化性組成物に、Siと極性原子である酸素原子(O)との結合を含むシランカップリング剤を添加した場合、得られるコンポジット基材は誘電正接(D)が増加する傾向があることが分かった。
本発明者らは、2つ以上の反応性ビニル基を含み、Siと極性原子との結合を含まない特定の化学構造を有する有機ケイ素化合物が、硬化性組成物の架橋剤として使用でき、これを含む硬化性組成物を用いて得られるコンポジット基材は、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高く、高周波領域で用いられる配線基板用として良好な特性を有することを見出した。
なお、特許文献1では、シランカップリング剤を用いることで、コンポジット基材と金属箔との密着性を高めており、有機ケイ素化合物の架橋剤としての使用については、記載および示唆がない。
その他の本発明の本発明の関連技術として、非特許文献1、2および特許文献2が挙げられる。
非特許文献1では、Siに2つの4-ビニルフェニル基と2つのアルキル基(具体的には、-C17)とが結合した有機ケイ素化合物が合成されている。反応スキームは、以下の通りである。非特許文献1では、合成された有機ケイ素化合物を重合し、得られた直鎖ポリマーについて蛍光特性の評価が行われている。非特許文献1では、有機ケイ素化合物はモノマーとして使用されており、架橋剤としての使用について記載および示唆がなく、誘電特性についても記載がない。
Figure 2022186591000001
非特許文献2では、Siに2つの2-ビニルフェニル基と2つのアルキル基(具体的には、-Me、-Etまたは-Ph)とが結合した有機ケイ素化合物が合成されている。非特許文献2では、合成された有機ケイ素化合物を閉環メタセシス(Ring-closing metathesis)し、ジベンゾヘテロピン類を合成している。反応スキームは、以下の通りである。非特許文献2には、有機ケイ素化合物の用途について記載がなく、架橋剤としての使用について記載および示唆がなく、誘電特性についても記載がない。
Figure 2022186591000002
特許文献2では、Siに2つの2-、3-または4-ビニルフェニル基および2つのアルキル基が置換した複数の有機ケイ素化合物が合成されている。以下の[化3]に、特許文献2で合成された有機ケイ素化合物の例を示す。特許文献2では、有機ケイ素化合物はガスバリア用途であり、架橋剤としての使用について記載および示唆がなく、誘電特性についても記載がない。
Figure 2022186591000003
上記以外にも、Siと結合した4つの原子がすべて非極性原子であり、2つ以上の反応性ビニル基を有する有機ケイ素化合物はいくつか報告されている。しかしながら、過去には、Siと結合した4つの原子がすべて非極性原子であり、2つ以上の反応性ビニル基を有する有機ケイ素化合物の架橋剤としての使用について報告がない。Siと結合した4つの原子がすべて非極性原子であり、2つ以上の反応性ビニル基を有する有機ケイ素化合物はすべて、架橋剤として新規である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、硬化性組成物に用いて好適で、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高い(半)硬化物を得ることが可能な新規な架橋剤およびこれを用いた硬化性組成物の提供を目的とする。
本発明の新規な架橋剤は、プリプレグ、金属張積層板および配線基板等の用途に用いられる硬化性組成物に用いて好適なものであるが、任意の用途に使用可能なものである。
本発明は、以下の新規な架橋剤、硬化性組成物、プリプレグ、積層体、金属張積層板および配線基板を提供する。
[1] 下式(X)で表される架橋剤。
Figure 2022186591000004
(上式中、Lは単結合、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基と置換基を有していてもよい芳香環との組合せである。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
[2] 下式(1)で表される、[1]の架橋剤。
Figure 2022186591000005
(上式中、Mは、単結合または置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基である。ベンゼン環は置換基を有していてもよい。ベンゼン環上のビニル基の置換位置は任意である。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
[3] [1]または[2]の架橋剤と、当該架橋剤と架橋し得る2つ以上の架橋性官能基を有する硬化性化合物とを含む硬化性組成物。
[4] 繊維基材と、[3]の硬化性組成物の半硬化物または硬化物とを含むプリプレグ。
[5] 基材と、[3]の硬化性組成物からなる硬化性組成物層とを含む、積層体。
[6] 基材と、[3]の硬化性組成物の半硬化物または硬化物を含む(半)硬化物含有層とを含む、積層体。
[7] 前記基材が樹脂フィルムまたは金属箔である、[5]または[6]の積層体。
[8] [3]の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを含む、金属張積層板。
[9] [3]の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、配線とを含む、配線基板。
本発明によれば、硬化性組成物に用いて好適で、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高い(半)硬化物を得ることが可能な新規な架橋剤およびこれを用いた硬化性組成物を提供できる。
本発明に係る第1の実施形態の金属張積層板の模式断面図である。 本発明に係る第2の実施形態の金属張積層板の模式断面図である。 本発明に係る一実施形態の配線基板の模式断面図である。
本明細書において、(半)硬化は、半硬化および硬化の総称である。
本明細書において、特に分けて記載しない限り、「配線基板」は、多層配線基板を含むものとする。
本明細書において、「高周波領域」は、周波数1GHz以上の領域と定義する。
本明細書において、特に明記しない限り、「数平均分子量(Mn)」はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により求められるポリスチレン換算の数平均分子量である。
本明細書において、特に明記しない限り、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[新規な架橋剤]
本発明の架橋剤は、下式(X)で表される。
Figure 2022186591000006
(上式中、Lは単結合、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基と置換基を有していてもよい芳香環との組合せである。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
本発明の架橋剤は、好ましくは、下式(1)で表される。
Figure 2022186591000007
(上式中、Mは、単結合または置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基である。ベンゼン環は置換基を有していてもよい。ベンゼン環上のビニル基の置換位置は任意である。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
本発明の架橋剤は任意の用途に使用でき、硬化性組成物、プリプレグ、積層体、金属張積層板および配線基板等に好適である。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、本発明の架橋剤と、この架橋剤と架橋し得る2つ以上の架橋性官能基を有する硬化性化合物とを含む。
硬化性組成物は、熱硬化性でも活性エネルギー線硬化性でもよい。活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線および電子線等の活性エネルギー線の照射によって硬化する組成物である。金属張積層板および配線基板等の用途では、熱硬化性が好ましい。
硬化性化合物としては、モノマー、オリゴマーおよびプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種以上用いることができる。
硬化性化合物の硬化物としては、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、炭化水素エラストマー、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ブタジエン樹脂、水添または非水添スチレンブタジエン樹脂、ビニル系樹脂、シクロオレフィンポリマー、芳香族重合体、ジビニル芳香族重合体およびこれらの組合せ等が挙げられる。
金属張積層板および配線基板等の用途では、硬化性化合物の硬化物は、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)を含むことが好ましい。
本明細書において、「ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)」は、特に明記しない限り、非変性ポリフェニレンエーテル樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含むものとする。
上記用途において、硬化性化合物としては例えば、下式(P)で表されるポリフェニレンエーテルオリゴマーが好ましい。
Figure 2022186591000008
式(P)の両端のXはそれぞれ独立に、下式(x1)または下式(x2)で表される基である。これら式中、「*」は酸素原子との結合手を示す。
Figure 2022186591000009
mは、好ましくは1~20、より好ましくは3~15である。
nは、好ましくは1~20、より好ましくは3~15である。
硬化性組成物の(半)硬化物は、硬化性化合物と本発明の架橋剤との反応生成物を含む。
オリゴマーの数平均分子量(Mn)は特に制限されず、好ましくは1000~5000、より好ましくは1000~4000である。
硬化性組成物は、1種以上の重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、その他の公知の重合開始剤、およびこれらの組合せを用いることができる。具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイドおよびアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
硬化性組成物は必要に応じて、1種以上の添加剤を含むことができる。添加剤としては、無機充填材(フィラーとも言う。)、相溶化剤および難燃剤等が挙げられる。
無機充填材としては、例えば、球状シリカ等のシリカ、アルミナ、酸化チタンおよびマイカ等の金属酸化物;水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;タルク;ホウ酸アルミニウム;硫酸バリウム;炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは、1種以上用いることができる。中でも、低熱膨張性の観点から、シリカ、マイカおよびタルク等が好ましく、球状シリカがより好ましい。
無機充填材は、エポキシシランタイプ、ビニルシランタイプ、メタクリルシランタイプ、またはアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものでもよい。シランカップリング剤による表面処理のタイミングは、特に制限されない。予め、シランカップリング剤で表面処理された無機充填材を用意してもよいし、硬化性組成物の調製時にインテグラルブレンド法でシランカップリング剤を添加してもよい。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤およびリン系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種以上用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAおよびヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤;塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤等が挙げられる。リン系難燃剤としては、例えば、縮合リン酸エステルおよび環状リン酸エステル等のリン酸エステル;環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物;ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸塩系難燃剤;リン酸メラミンおよびポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤;ジフェニルホスフィンオキサイド基を有するホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
硬化性組成物は必要に応じて、1種以上の有機溶媒を含むことができる。有機溶媒としては特に制限されず、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素等が挙げられる。
硬化性組成物において、固形分濃度および配合組成は、用途等に応じて設計できる。
プリプレグ等の用途では、固形分濃度は、好ましくは50~90質量%である。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、繊維基材と、本発明の硬化性組成物の(半)硬化物とを含む。(半)硬化物は必要に応じて、無機充填材(フィラー)等の添加剤を含むことができる。
プリプレグは、硬化性組成物を繊維基材に含浸させ、熱硬化等により(半)硬化させることで、製造できる。
繊維基材の材料としては特に制限されず、ガラス繊維、シリカ繊維および炭素繊維等の無機繊維;アラミド繊維およびポリエステル繊維等の有機繊維;これらの組合せ等が挙げられる。金属張積層板および配線基板等の用途では、ガラス繊維等が好ましい。ガラス繊維基材の形態としては、ガラスクロス、ガラスペーパーおよびガラスマット等が挙げられる。
硬化性組成物の硬化条件は、硬化性組成物の組成に応じて設定でき、半硬化条件(完全硬化しない条件)が好ましい。
上式(P)で表されるポリフェニレンエーテルオリゴマーを含む硬化性組成物を用いる場合、例えば、80~180℃で1~10分間加熱する熱硬化が好ましい。
金属張積層板および配線基板等の用途では、得られるプリプレグ中の樹脂含有量が40~80質量%の範囲内となるように、硬化性組成物の組成および硬化条件を調整することが好ましい。
[積層体]
本発明の第1の積層体は、基材と、上記の本発明の硬化性組成物からなる硬化性組成物層とを含む。
本発明の第2の積層体は、基材と、上記の本発明の硬化性組成物の(半)硬化物を含む(半)硬化物含有層とを含む。
本発明の第1、第2の積層体において、基材としては特に制限されず、樹脂フィルム、金属箔およびこれらの組合せ等が挙げられる。
(半)硬化物含有層は、繊維基材と本発明の硬化性組成物の(半)硬化物とを含む層であってもよい。
樹脂フィルムとしては特に制限されず、公知のものを用いることができる。樹脂フィルムの構成樹脂としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマーおよびポリエーテルサルファイド等が挙げられる。
電気抵抗が低いことから、金属箔としては、銅箔、銀箔、金箔、アルミニウム箔およびこれらの組合せ等が好ましく、銅箔等がより好ましい。
[金属張積層板]
本発明の金属張積層板は、本発明の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを含む。
絶縁層は、繊維基材と本発明の硬化性組成物の硬化物とを含む層であってもよい。
電気抵抗が低いことから、金属箔としては、銅箔、銀箔、金箔、アルミニウム箔およびこれらの組合せ等が好ましく、銅箔等がより好ましい。金属箔は、表面に金属メッキ層を有するものでもよい。金属箔は、極薄金属箔とそれを支持するキャリア金属箔とを含むキャリア付き金属箔であってもよい。金属箔は、少なくとも一方の表面に、防錆処理、シラン処理、粗面化処理およびバリア形成処理等の表面処理が施されたものでもよい。
金属箔の厚みは特に制限されず、配線等の導体パターン(回路パターンとも言う。)の形成に好適であることから、好ましくは0.1~100μm、より好ましくは0.2~50μm、特に好ましくは1.0~40μmである。
金属張積層板は、片面に金属箔を有する片面金属張積層板であってもよいし、両面に金属箔を有する両面金属張積層板であってもよく、両面金属張積層板であることが好ましい。
片面金属張積層板は、1つ以上の上記のプリプレグと金属箔とを重ね、得られた第1の仮積層体を加熱加圧することで、製造できる。
両面金属張積層板は、1つ以上の上記のプリプレグを一対の金属箔で挟み、得られた第1の仮積層体を加熱加圧することで、製造できる。
金属箔として銅箔を使用した金属張積層板は、銅張積層板(Copper Clad Laminate:CCL)と呼ばれる。
絶縁層は好ましくは、プリプレグの加熱加圧物からなる。プリプレグの加熱加圧物は、繊維基材と樹脂とを含み、必要に応じて無機充填材および難燃剤等の1種以上の添加剤を含むことができる。プリプレグの加熱加圧物は、コンポジット基材とも呼ばれる。
第1の仮積層体の加熱加圧条件は特に制限されず、例えば、温度170~250℃、圧力0.3~30MPa、時間3~240分間が好ましい。
図1および図2に、本発明に係る第1、第2の実施形態の金属張積層板の模式断面図を示す。
図1に示す金属張積層板1は、プリプレグの加熱加圧物からなり、本発明の硬化性組成物の硬化物を含むコンポジット基材(硬化物含有層)11の片面に、金属箔(金属層)12が積層された片面金属張積層板(積層体)である。
図2に示す金属張積層板2は、プリプレグの加熱加圧物からなり、本発明の硬化性組成物の硬化物を含むコンポジット基材(硬化物含有層)11の両面に、金属箔(金属層)12が積層された両面金属張積層板である。
金属張積層板1、2は、上記以外の層を有していてもよい。
金属張積層板1、2は、コンポジット基材(硬化物含有層)11と金属箔(金属層)12との間に、これらの接着性を高めるために、接着層を有することができる。接着層の材料としては公知のものを用いることができ、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、接着性フッ素樹脂およびこれらの組合せ等が挙げられる。市販の接着性フッ素樹脂としては、AGC社製の「Fluon LM‐ETFE LH-8000」、「AH-5000」、「AH-2000」および「EA-2000」等が挙げられる。
コンポジット基材の厚みは、用途に応じて適宜設計できる。配線基板の断線予防の観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは70μm以上、特に好ましくは100μm以上である。配線基板の柔軟性、小型化および軽量化の観点から、好ましくは、300μm以下、より好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
[配線基板]
本発明の配線基板は、本発明の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、配線とを含む。
配線基板は、上記の本発明の金属張積層板の最表面にある金属箔を用いて配線等の導体パターン(回路パターン)を形成することで、製造できる。配線等の導体パターンを形成する方法としては、金属箔をエッチングして配線等を形成するサブトラクティブ法、および、金属箔の上にメッキで配線を形成するMSAP(Modified Semi Additive Process)法等が挙げられる。
図3に、本発明に係る一実施形態の配線基板の模式断面図を示す。図3に示す配線基板3は、図2に示した第2の実施形態の金属張積層板2の少なくとも一方の最表面にある金属箔12を用いて配線22W等の導体パターン(回路パターン)22を形成したものである。
配線基板3は、プリプレグの加熱加圧物からなり、本発明の硬化性組成物の硬化物を含むコンポジット基材(硬化物含有層、絶縁層)11の少なくとも片面に、配線22W等の導体パターン(回路パターン)22が形成されたものである。
得られた配線基板に対してさらに、1つ以上のプリプレグを重ね、これを一対の金属箔で挟み、得られた第2の仮積層体を加熱加圧し、最表面の金属箔を用いて配線等の導体パターンを形成することで、多層配線基板(多層プリント配線板とも言う。)を製造してもよい。最表面の金属箔は、仮積層体の片面側にのみ配置してもよい。
本発明の配線基板は、高周波領域(周波数10GHz以上の領域)で用いて好適である。
近年、携帯用電子機器等の用途では、通信の高速化と大容量化が進み、信号の高周波化が進んでいる。この用途に用いられる配線基板には、高周波領域での伝送損失の低減が求められる。このため、上記用途に用いられる配線基板のコンポジット基材に含まれる樹脂には、高周波領域での誘電損失の低減が求められる。一般的に、誘電正接(D)は周波数に依存し、同じ材料であれば、周波数が高くなる程、誘電正接(D)が大きくなる傾向がある。コンポジット基材に含まれる樹脂は、高周波条件における誘電正接(D)が低いことが好ましい。
プリプレグまたはコンポジット基材と金属箔との熱膨張係数(CTE)の差が大きいと、プリプレグと金属箔とを含む第1の仮積層体、またはコンポジット基材とプリプレグと金属箔とを含む第2の仮積層体を加熱加圧する際に、金属箔のずれまたは剥離が生じる恐れがある。プリプレグまたはコンポジット基材と金属箔との熱膨張係数(CTE)の差は、小さい方が好ましい。一般的に、樹脂は金属箔より熱膨張係数(CTE)が大きいので、プリプレグおよびコンポジット基材の熱膨張係数(CTE)は小さい方が好ましい。
配線基板は、比較的高温の環境下で使用される場合がある。この場合でも、配線基板の信頼性を確保するために、プリプレグおよびコンポジット基材に含まれる樹脂は、充分な高さのガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
本発明の架橋剤は、[背景技術]の項で挙げた特許文献1で使用されているシランカップリング剤とは異なり、Siと結合した4つの原子はすべて、非極性原子(具体的には、水素原子または炭素原子)である。
本発明者らが検討したところ、硬化性組成物に、式(X)、好ましくは式(1)で表される有機ケイ素化合物を添加した場合、この有機ケイ素化合物は、2つ以上の架橋性官能基を有する硬化性化合物を架橋する架橋剤として機能し、かつ、硬化性組成物の(半)硬化物の誘電正接(D)を効果的に低減できることが分かった。
また、架橋剤として式(X)、好ましくは式(1)で表される有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物の(半)硬化物は、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高いことが分かった。
また、架橋剤として式(X)、好ましくは式(1)で表される有機ケイ素化合物を含む硬化性組成物の(半)硬化物は、銅箔等の金属との密着性も実用的に良好であることが分かった。
硬化性組成物に、架橋剤として式(X)、好ましくは式(1)で表される有機ケイ素化合物を添加することで、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高い(半)硬化物を得ることができる。この(半)硬化物は、高周波領域で用いられる配線基板用として好適なコンポジット基材および絶縁層等に好適である。
本発明の硬化性組成物の(半)硬化物およびこれを含むコンポジット基材の高周波条件における誘電正接(D)は、例えば、以下のような範囲内であることが好ましい。
周波数10GHzにおける誘電正接(D)は小さい方が好ましく、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.005以下、特に好ましくは0.003以下である。下限値は特に制限されず、例えば0.0001である。
本発明の硬化性組成物の(半)硬化物およびこれを含むコンポジット基材の熱膨張係数(CTE)は、例えば、以下のような範囲内であることが好ましい。
熱膨張係数(CTE)は小さい方が好ましく、好ましくは70ppm/℃以下、より好ましくは60ppm/℃以下、特に好ましくは50ppm/℃以下、最も好ましくは40ppm/℃以下である。下限値は特に制限されず、例えば1ppm/℃である。
本発明の硬化性組成物の(半)硬化物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上である。上限値は特に制限されず、例えば300℃である。
誘電正接(D)、熱膨張係数(CTE)およびガラス転移温度(Tg)は、後記[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
式(X)で表される有機ケイ素化合物において、Lは単結合、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基と置換基を有していてもよい芳香環との組合せである。
芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、キノリン環、およびイソキノリン環等が挙げられ、ベンゼン環およびナフタレン環等が好ましい。
式(1)で表される有機ケイ素化合物において、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。ベンゼン環が有していてもよい置換基としては例えば、炭素数1~18のアルキル基およびアリール基が挙げられ、原料入手性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基およびトリル基が好ましい。ベンゼン環は、置換基を有さないことが好ましい。
式(1)で表される有機ケイ素化合物において、ベンゼン環上のビニル基の置換位置としては、オルト位、メタ位およびパラ位があり、いずれでもよい。上記置換位置は、オルト位またはパラ位であることができる。架橋反応時の立体障害が小さく、原料入手および合成が容易である観点から、上記置換位置はパラ位であることができる。
式(1)で表される有機ケイ素化合物において、反応性官能基の数(単に、官能基数とも言う。)nは、2~4である。
官能基数nは、2であることができる。
官能基数nは、3または4であることができる。
式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rは水素原子、水酸基または有機基であり、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基である。硬化性組成物の(半)硬化物の高周波条件での誘電正接(D)をより効果的に低減できることから、Rは、酸素原子(O)等の極性原子を含まないことが好ましい。Rは、置換基を有さない炭素数1~18のアルキル基であることが好ましい。より好ましくは炭素数1~18の直鎖のアルキル基である。
Rは、炭素数が多い方が、架橋構造の極性が低下し、硬化性組成物の(半)硬化物の高周波条件での誘電正接(D)をより効果的に低減でき、好ましい。合成容易性の観点から、炭素数の上限は、18である。硬化性組成物の(半)硬化物の高周波条件での誘電正接(D)の低減効果および合成容易性の観点から、Rの炭素数は、より好ましくは3~18、特に好ましくは8~18である。
式(X)で表される有機ケイ素化合物のRの好ましい態様は、式(1)で表される有機ケイ素化合物のRの好ましい態様と同様である。
式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Mは、単結合または置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基である。合成容易性の観点から、炭素数の上限は、20である。有機ケイ素化合物の合成容易性の観点から、Mは、好ましくは単結合または炭素数1~4のアルキレン基であり、より好ましくは単結合またはメチレン基である。
式(X)、好ましくは式(1)で表される有機ケイ素化合物は、公知の合成法により、合成することができる。具体的な合成例については、[実施例]の項を参照されたい。
以上説明したように、本発明によれば、硬化性組成物に用いて好適で、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高い(半)硬化物を得ることが可能な新規な架橋剤およびこれを用いた硬化性組成物を提供できる。
本発明の新規な架橋剤は、プリプレグ、金属張積層板および配線基板等の用途に用いられる硬化性組成物に用いて好適なものであるが、任意の用途に使用可能なものである。
[用途]
本発明の新規な有機ケイ素化合物は、架橋剤等として好適である。
本発明の架橋剤は、モノマー、オリゴマーおよびプレポリマー等の硬化性化合物を含む硬化性組成物に好適である。
本発明の新規な有機ケイ素化合物および新規な架橋剤は、プリプレグ、金属張積層板および配線基板等の用途に用いられる硬化性組成物に好適である。
本発明の架橋剤を含む硬化性組成物は、プリプレグ、金属張積層板および配線基板等の用途に用いられる硬化性組成物に好適である。
本発明の金属張積層板は、各種電気機器および各種電子機器等に使用される配線基板等に好適である。
本発明の配線基板は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末およびノートパソコン等の携帯用電子機器;携帯電話基地局および自動車等のアンテナ;サーバー、ルーターおよびバックプレーン等の電子機器;無線インフラ;衝突防止用等のレーダー;各種センサ(例えば、エンジンマネージメントセンサ等の自動車用センサ)等に好適である。
本発明の配線基板は特に、高周波信号を用いて通信を行う用途に好適であり、高周波領域において伝送損失の低減が求められる様々な用途に好適である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1~10、101が実施例であり、例31、32が比較例である。特に明記しない限り、室温は25℃程度である。
[市販試薬]
[実施例]の項において、触媒および試薬は、特に明記しない限り、市販品をそのまま反応に用いた。溶媒は、脱水および脱酸素された市販品を用いた。
[有機ケイ素化合物の評価項目と評価方法]
(構造)
合成した有機ケイ素化合物の構造は、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「JNM-AL300」)を用い、H-NMR測定を行うことで同定した。
(分子量)
合成した有機ケイ素化合物の分子量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-HRMS)(Agilent社製「7890A/JEOL社JMS-T200 AccuTOF GCx-plus」)を用いて、電子衝撃法(EI)により求めた。
[評価用サンプル(フィルム状硬化物)の作製方法]
硬化性化合物として、以下の2種類のポリフェニレンエーテルオリゴマーを用意した。
(SA9000)2官能メタクリル変性PPE(SABIC社製「SA9000」)、
(OPE-2st)2官能クロロメチルスチレン変性PPE(三菱ガス化学社製「OPE-2st」)。
SA9000およびOPE-2stは、下式で表される。
Figure 2022186591000010
上記の2官能メタクリル変性PPE(SA9000)または2官能クロロメチルスチレン変性PPE(OPE-2st)と、各例で合成したまたは用意した有機ケイ素化合物と、ラジカル重合開始剤としてのジクミルパーオキサイドと、トルエンとを、質量比7:3:0.1:7で混合し、室温で攪拌して、トルエン溶液(硬化性組成物)を調製した。
次に、アプリケータ(ヨシミツ精機社製)を用いて、厚み125μmのポリイミドフィルム上に、上記トルエン溶液を塗布して、厚さ250μmの塗布膜を形成した。
オーブンにて、空気雰囲気下、80℃で30分間加熱乾燥させた後、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱することで、塗布膜を熱硬化(熱架橋反応)させて、厚み約100μmの評価用サンプル(フィルム状硬化物)を得た。得られた評価用サンプルに対して、下記の評価を行った。
[フィルム状硬化物の評価項目と評価方法]
(比誘電率(D)および誘電正接(D))
評価用サンプル(フィルム状硬化物)の10GHzにおける比誘電率(D)および誘電正接(D)を、室温で、ベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製「E8361C」)を用い、SPDR法により測定した。
(ガラス転移温度Tg)
動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)を用いて、評価用サンプル(フィルム状硬化物)の動的粘弾性測定(DMA)を行い、ガラス転移温度(Tg)(℃)を測定した。測定は、周波数10Hz、昇温速度2℃/min、温度範囲25~300℃の条件で行った。
(熱膨張係数(CTE))
熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「TMA/SS7100」)を用い、ガラス転移温度(Tg)未満における、評価用サンプル(フィルム状硬化物)の熱膨張係数(CTE)を測定した。測定は、昇温速度5℃/min、温度範囲-50~340℃の条件で行った。
[例1]ドデシルトリス(3-ビニルフェニル)シラン(C12-T-m-St-Si)の合成
<ドデシルトリス(3-ホルミルフェニル)シランの合成>
窒素雰囲気下、500mLの四ツ口フラスコに、3-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール(24.0g、90.8mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-65℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、35mL、91mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-70℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にドデシルトリクロロシラン(7.20mL、24.2mmol)を40分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、室温で1時間攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相に酢酸エチル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を真空下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロホルム/n-ヘキサン=1:1(体積比))を用いて精製し、無色液体のドデシルトリス(3-ホルミルフェニル)シランを10.5g得た(収率:85%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000011
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.01(s,3H,CHO),8.00(brs,3H,s,Ar-H), 7.97(td,3H,J=7.68,1.71 Hz,Ar-H),7.76(d,3H,J=7.68Hz,Ar-H),7.58(t,3H,J=7.68Hz,Ar-H),1.56~1.33(m,6H,-CH-),1.22(brs,16H,-CH-),0.87(t,3H,J=6.83 Hz,CH).
<ドデシルトリス(3-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下でメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(22.6g、63.3mmol)とテトラヒドロフラン(144mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(7.98g、71.1mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ドデシルトリス(3-ホルミルフェニル)シラン(9.00g、17.6mmol)のテトラヒドロフラン(144mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、1時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(2.55mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)を加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(赤色のオイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、淡黄色液体のドデシルトリス(3-ビニルフェニル)シラン(C12-T-m-St-Si)を6.32g得た(収率:71%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000012
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.54(brs,3H,Ar-H),7.48(d,3H,J=6.83Hz,Ar-H),7.40(d,3H,J=6.83Hz,Ar-H),7.32(t,3H,J=6.83Hz,Ar-H),6.69(dd,3H,J=11.10,17.93Hz,-CH=CH),5.69(d,3H,J=17.93Hz,-CH=CH),5.21(d,3H,J=11.10Hz,-CH=CH),1.52-1.42(m,2H,-CH-),1.42-1.32(m,4H,-CH-),1.32-1.11(m,16H,-CH-),0.87(t,3H,J=6.83Hz,CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C3646Si:(M)506.337,found 506.329.
[例2]ドデシルトリス(4-ビニルフェニル)シラン(C12-T-p-St-Si)の合成
<ドデシルトリス(4-ホルミルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(24.0g、102mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-66℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、39mL、100mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-70℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にドデシルトリクロロシラン(8.08mL、27.2mmol)を40分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロホルム/n-ヘキサン=1:1(体積比))を用いて精製し、無色液体のドデシルトリス(4-ホルミルフェニル)シランを9.53g得た(収率:68%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000013
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.06(s,3H,CHO),7.89(d,6H,J=8.54Hz,Ar-H),7.67(d,6H,J=8.54Hz,Ar-H),1.47~1.39(m,6H,-CH-),1.23(brs,16H,-CH-),0.87(t,3H,J=6.83 Hz,Si-CH).
<ドデシルトリス(4-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(21.3g、59.6mmol)とテトラヒドロフラン(136mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(7.53g、67.1mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ドデシルトリス(4-ホルミルフェニル)シラン(8.50g、16.6mmol)のテトラヒドロフラン(136mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、1時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(2.55mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(黄色のオイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)にてを用いて精製し、淡黄色液体のドデシルトリス(4-ビニルフェニル)シラン(C12-T-p-St-Si)を4.73g得た(収率:56%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000014
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.47(d,6H,J=7.68Hz,Ar-H),7.39(d,6H,J=8.54Hz,Ar-H),6.72(dd,3H,J=10.7,17.5Hz,-CH=CH),5.79(d,3H,J=17.9Hz,-CH=CH),5.27(d,3H,J=11.1Hz,-CH=CH),1.49~1.22(m,22H,-CH-),0.86(t,3H,J=6.40Hz,CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C3646Si:(M)506.337,found 506.331.
[例3]メチルトリス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-T-p-St-Si)の合成
<トリス(4-ホルミルフェニル)メチルシランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(24.0g、102mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-70℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、39mL、100mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-70℃以下で2時間攪拌した。得られた懸濁液にトリクロロ(メチル)シラン(3.17mL、27.1mmol)を40分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、アセタール/アルデヒドの粗混合物を得た。粗混合物にテトラヒドロフラン(100mL)と塩酸(2mol/L、100mL)とを加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)を滴下した。反応液にジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を3回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(黄色のオイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル/n-ヘキサン=1:4(体積比))を用いて精製し、無色液体のトリス(4-ホルミルフェニル)メチルシランを9.95g得た(収率:98%、純度96%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000015
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.06(s,3H,CHO),7.89(d,6H,J=7.68Hz,Ar-H),7.67(d,6H,J=7.68Hz,Ar-H),0.97(s,3H,Si-CH).
<メチルトリス(4-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(27.5g、77.0mmol)とテトラヒドロフラン(128mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(9.74g、86.8mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、トリス(4-ホルミルフェニル)メチルシラン(8.00g、21.4mmol)のテトラヒドロフラン(128mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、2時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(0.60mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(黄色のオイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色液体のメチルトリス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-T-p-St-Si)を6.41g得た(収率:85%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000016
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.47(d,6H,J=7.68Hz,Ar-H),7.39(d,6H,J=7.68 Hz,Ar-H),6.72(dd,3H,J=11.1,17.9Hz,-CH=CH),5.78(d,3H,J=17.9Hz,-CH=CH),5.27(d,3H,J=11.1Hz,-CH=CH),0.81(s,3H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C2524Si:(M)352.165,found 352.162.
[例4]ジメチルビス(3-ビニルフェニル)シラン(C1-D-m-St-Si)の合成
<ビス(3-ホルミルフェニル)ジメチルシランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3-ブロモベンズアルデヒドジエチルアセタール(24.0g、90.8mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-65℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、35mL、91mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-70℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にジクロロジメチルシラン(4.40mL、36.3mmol)を30分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、室温で1時間攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相に酢酸エチル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロホルム/n-ヘキサン=1:2(体積比))を用いて精製し、淡黄色液体のビス(3-ホルミルフェニル)ジメチルシランを8.61g得た(収率:88%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000017
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.02(s,2H,CHO),8.02(s,2H,Ar-H),7.90(td,2H,J=7.68,1.71Hz,Ar-H),7.76(d,2H,J=7.68Hz,Ar-H),7.54(t,2H,J=7.68Hz,Ar-H),0.66(s,6H,Si-CH).
<ジメチルビス(3-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(25.6g、71.1mmol)とテトラヒドロフラン(128mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(9.03g、80.5mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ビス(3-ホルミルフェニル)ジメチルシラン(8.00g、29.8mmol)のテトラヒドロフラン(128mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、7時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(0.60mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(オイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色液体のジメチルビス(3-ビニルフェニル)シラン(C1-D-m-St-Si)を7.39g得た(収率:94%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000018
H-NMR(CDCl):δ(ppm)8.53(brs,2H,Ar-H),7.46-7.37(m,4H,Ar-H),7.32(t,2H,J=7.68Hz,Ar-H),6.71(dd,2H,J=11.10,17.07Hz,-CH=CH),5.73(d,2H,J=17.07Hz,-CH=CH),5.23(d,2H,J=11.10Hz,-CH=CH),0.56(s,6H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C1820Si:(M)264.133,found 264.130.
[例5]ジメチルビス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-D-p-St-Si)の合成
<ビス(4-ホルミルフェニル)ジメチルシランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(24.0g、102mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-65℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、39mL、100mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-70℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にジクロロジメチルシラン(4.93mL、40.7mmol)を40分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。
さらに、水相にジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、アセタール/アルデヒドの粗混合物を得た。粗混合物にテトラヒドロフラン(100mL)と塩酸(2mol/L、100mL)とを加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(240mL)を滴下した。反応液にジエチルエーテル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を3回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(淡黄色のオイル)を得た。粗物に酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶液(1:7(体積比)、120mL)を加え、加熱還流させた後、0℃までゆっくりと冷却した。懸濁液をろ過して、得られた固体を減圧下で乾燥してビス(4-ホルミルフェニル)ジメチルシランを8.40g得た(収率:77%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000019
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.03(s,2H,CHO),7.86(d,4H,J=7.68Hz,Ar-H),7.68(d,4H,J=8.54Hz,Ar-H),0.64(s,6H,Si-CH).
<ジメチルビス(4-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(25.6g、71.7mmol)とテトラヒドロフラン(128mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(9.03g、80.5mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ビス(4-ホルミルフェニル)ジメチルシラン(8.00g、29.8mmol)のテトラヒドロフラン(128mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、2時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(0.60mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(開溶剤:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色液体のジメチルビス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-D-p-St-Si)を7.27g得た(収率:92%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000020
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.48(d,4H,J=8.54Hz,Ar-H),7.38(d,4H,J=7.68Hz,Ar-H),6.71(dd,2H,J=11.1,17.9Hz,-CH=CH),5.77(d,2H,J=17.1Hz,-CH=CH),5.25(d,2H,J=10.2Hz,-CH=CH),0.54(s,6H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C1820Si:(M)264.133,found 264.131.
[例6]テトラキス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-Q-p-St-Si)の合成
<テトラキス(4-ホルミルフェニル)シランの合成>
300mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(12.0g、50.9mmol)とテトラヒドロフラン(150mL)とを仕込んだ。この溶液を-65℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、20mL、52mmol)を1時間かけて滴下し、反応溶液を-68℃以下で2時間攪拌した。得られた懸濁液にテトラクロロシラン(1.14mL、9.81mmol)を30分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、60mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(50mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、さらに、水相にジエチルエーテル(50mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、アセタール/アルデヒドの粗混合物を得た。粗混合物にテトラヒドロフラン(50mL)と塩酸(2mol/L、50mL)とを加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を滴下した。反応液にジエチルエーテル(50mL)を加え、有機相を分離する抽出を3回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(淡黄色のオイル)を得た。粗物に酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶液(1:3(体積比)、40mL)を加え、加熱還流させた後、0℃までゆっくりと冷却した。懸濁液をろ過して、得られた固体を減圧下で乾燥してテトラキス(4-ホルミルフェニル)シランを2.25g得た(収率:51%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000021
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.09(s,4H,CHO),7.94(d,8H,J=7.68Hz,Ar-H),7.73(d,8H,J=8.54Hz,Ar-H).
<テトラキス(4-ビニルフェニル)シランの合成>
100mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(8.03g、22.5mmol)と、カリウムtert-ブトキシド(3.03g、27.0mmol)と、テトラヒドロフラン(34mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、反応混合物を5分以上攪拌した。反応混合物に、テトラキス(4-ホルミルフェニル)シラン(2.10g、4.68mmol)のテトラヒドロフラン(34mL)溶液を10分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、2時間攪拌した。反応混合物を30℃、減圧下で濃縮し、得られた混合物に水(50mL)とジエチルエーテル(50mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(50mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(40mL)とジエチルエーテル(10mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物にメタノール(10mL)と4-tert-ブチルピロカテコール(0.6mg)とを加え、室温下で30分間攪拌した。懸濁液をろ過して、得られた固体を減圧下で乾燥して、テトラキス(4-ビニルフェニル)シラン(C1-Q-p-St-Si)を0.747g得た(収率:36%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000022
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.53(d,8H,J=7.68Hz,Ar-H),7.41(d,8H,J=8.54Hz,Ar-H),6.73(dd,4H,J=10.7,17.5Hz,-CH=CH),5.80(d,4H,J=17.9Hz,-CH=CH),5.29(d,4H,J=11.1Hz,-CH=CH).
[例7]ジメチルビス(2-ビニルフェニル)シラン(C1-D-o-St-Si)の合成
<ビス(2-ホルミルフェニル)ジメチルシランの合成の合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、2-ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(24.0g、102mmol)とテトラヒドロフラン(300mL)とを仕込んだ。この溶液を-70℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、39mL、100mmol)を1.5時間かけて滴下し、反応溶液を-69℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にジクロロジメチルシラン(4.93mL、40.7mmol)を30分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、120mL)でクエンチし、室温で1時間攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相に酢酸エチル(100mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行い、これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロホルム/n-ヘキサン=1:2(体積比))を用いて精製し、液体としてビス(2-ホルミルフェニル)ジメチルシラン(5)を9.50g得た(収率:87%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000023
H-NMR(CDCl):δ(ppm)9.92(s,2H,CHO),7.87(d,2H,J=8.54Hz,Ar-H),7.84(t,2H,J=8.54Hz,Ar-H),7.60(dd,2H,J=8.54,1.71Hz,Ar-H),7.56(td,2H,J=8.54,17.1Hz,Ar-H),0.67(s,6H,Si-CH).
<ジメチルビス(2-ビニルフェニル)シランの合成>
500mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(25.6g、71.7mmol)とテトラヒドロフラン(128mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(9.03g、80.5mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ビス(2-ホルミルフェニル)ジメチルシラン(8.00g、29.8mmol)のテトラヒドロフラン(128mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、2時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(0.60mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(200mL)とジエチルエーテル(200mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(200mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物にn-ヘキサン(160mL)とジエチルエーテル(40mL)とを加え、30分間攪拌した。混合物をろ紙を用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物(赤色のオイル)を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色固体のジメチルビス(2-ビニルフェニル)シラン(C1-D-o-St-Si)を6.64g得た(収率:84%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000024
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.53(dm,4H,J=7.68Hz,Ar-H),7.37(td,2H,J=7.68,1.71Hz,Ar-H),7.29~7.23(m,2H,Ar-H),6.82(dd,2H,J=11.1,17.1Hz,-CH=CH),5.54(d,2H,J=17.1Hz,-CH=CH),5.08(d,2H,J=1.71,11.1Hz,-CH=CH),0.61(s,6H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C1820Si:(M)264.133,found 264.132.
[例8]ジメチルビス(4-ビニルベンジル)シラン(C1-D-p-Bn-Si)の合成
50mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、マグネシウム(切削片状、0.878g、36.1mmol)とジエチルエーテル(20mL)とを仕込み、氷浴で冷却した。懸濁液に、4-(クロロメチル)スチレン(5.01g、32.8mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液を1.5時間かけて滴下した。上記と同じ温度で1時間攪拌した後、ジクロロジメチルシラン(1.99mL、16.4mmol)を10分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応液に水(15mL)を加え10分間以上攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相にジエチルエーテル(30mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色液体のジメチルビス(4-ビニルベンジル)シラン(C1-D-p-Bn-Si)を1.77g得た(収率:37%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000025
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.28(d,4H,J=8.54Hz,Ar-H),6.95(d,4H,J=8.54Hz,Ar-H),6.68(dd,2H,J=10.7,17.5Hz,-CH=CH),5.68(d,2H,J=17.9Hz,-CH=CH),5.16(d,2H,J=11.1Hz,-CH=CH),2.10(s,4H,Ar-CH-Si),-0.051(s,6H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C2024Si:(M)292.165,found 292.164.
[例9]ジメチルビス(2-ビニルベンジル)シラン(C1-D-o-Bn-Si)の合成
50mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、マグネシウム(切削片状、0.878g、36.1mmol)とジエチルエーテル(20mL)とを仕込み、氷浴で冷却した。懸濁液に、2-(クロロメチル)スチレン(5.01g、32.2mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液を45分かけて滴下した。上記と同じ温度で1時間攪拌した後、ジクロロジメチルシラン(1.99mL、16.4mmol)を10分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応液に水(15mL)を加え10分間以上攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相にジエチルエーテル(30mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色液体のジメチルビス(2-ビニルベンジル)シラン(C1-D-o-Bn-Si)を0.400g得た(収率:8%)。
反応スキーム、NMR分析結果およびHRMS分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000026
H-NMR(CDCl):δ(ppm)7.46(dd,2H,J=1.71,7.68Hz,Ar-H),7.16~6.89(m,6H,Ar-H),6.81(dd,2H,J=11.1,17.9Hz,-CH=CH),5.58(d,2H,J=1.71,17.1Hz,-CH=CH),5.21(d,2H,J=12.0Hz,-CH=CH),2.21(s,4H,Ar-CH-Si),0.091(s,6H,Si-CH).
HRMS(EI):m/z Calcd for C2024Si:(M)292.165,found 292.167.
[例10]ジメチルビス(6-ビニル-2-ナフチル)シラン(C1-D-Naph-Si)の合成
<6-ブロモ-2-ナフトアルデヒドジメチルアセタールの合成>
100mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、6-ブロモ-2-ナフトアルデヒド(4.50g、18.8mmol)とp-トルエンスルホン酸一水和物(0.357g、1.88mmol)とオルトぎ酸トリメチル(30mL、270mmol)とを仕込んだ。この溶液を5時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却し、pHが7~8になるように飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)を加えた。反応混合物に酢酸エチル(25mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン/酢酸エチル=30:1(体積比))を用いて精製し、固体の6-ブロモ-2-ナフトアルデヒドジメチルアセタールを5.48g得た(収率:100%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000027
H-NMR(CDCl):δ(ppm)8.00(d,1H,J=1.67Hz),7.91(s,1H),7.76(d,1H,J=8.70Hz),7.73(d,1H,J=9.06Hz),7.58(dm,1H,J=1.67Hz),7.55(dm,1H,J=2.03Hz),5.53(s,1H,-CH-O),3.37(s,6H,-(OCH).
<ジメチルビス(6-ホルミル-2-ナフチル)シランの合成>
200mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、6-ブロモ-2-ナフトアルデヒドジメチルアセタール(5.00g、17.8mmol)とテトラヒドロフラン(62mL)とを仕込んだ。この溶液を-70℃以下に冷却し、これに、n-BuLi/n-ヘキサン溶液(2.6mol/L、6.8mL、17.8mmol)を20分間かけて滴下し、反応溶液を-68℃以下で2時間攪拌した。得られた反応溶液にジクロロジメチルシラン(0.861mL、7.11mmol)を15分かけて滴下し、上記と同じ温度で2時間攪拌した。フラスコを室温まで加温し、12時間以上攪拌した。反応混合物を塩酸(2mol/L、25mL)でクエンチし、室温で1時間攪拌し、有機相を分離した。さらに、水相に酢酸エチル(25mL)を加え、有機相を分離する抽出を2回行い、これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を飽和食塩水(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗物を得た。粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロホルム/n-ヘキサン=1:1(体積比))を用いて精製し、高粘度な液体のジメチルビス(6-ホルミル-2-ナフチル)シランを2.60g得た(収率:99%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000028
H-NMR(CDCl):δ(ppm)10.17(s,2H,-CHO),8.33(s,2H),8.11(s,2H),8.00-7.91(m,6H),7.63(dd,2H,J=1.07,8.23Hz),0.76(s,6H,Si(CH).
<ジメチルビス(6-ビニル-2-ナフチル)シランの合成>
200mLの四ツ口フラスコに、窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(6.05g、16.9mmol)とテトラヒドロフラン(42mL)とを仕込んだ。フラスコを0℃に冷却し、懸濁液にカリウムtert-ブトキシド(2.14g、19.1mmol)を加えた。反応混合物を上記と同じ温度で5分以上攪拌した。反応混合物に、ジメチルビス(6-ホルミル-2-ナフチル)シラン(2.60g、7.06mmol)のテトラヒドロフラン(42mL)溶液を20分かけて滴下した。フラスコを室温まで加温し、1時間攪拌した。反応混合物に4-tert-ブチルピロカテコール(1.30mg)を加えた後、30℃、減圧下で濃縮した。得られた混合物に水(65mL)とジエチルエーテル(65mL)とを加え、有機相を分離する抽出を行った。さらに、水相にジエチルエーテル(65mL)を加え、有機相を分離する抽出を行った。これら抽出で得られた有機相を合わせた。合わせた有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗混合物を得た。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:n-ヘキサン)を用いて精製し、無色固体のジメチルビス(6-ビニル-2-ナフチル)シラン(C1-D-Naph-Si)を1.97g得た(収率:77%)。
反応スキームおよびNMR分析結果は、以下の通りである。
Figure 2022186591000029
H-NMR(CDCl):δ(ppm)8.00(s,2H),7.78(d,2H,J=8.11Hz),7.76(d,2H,J=8.46Hz),7.73(s,2H),7.63(dd,2H,J=1.67,8.58Hz),7.59(dd,2H,J=1.07,8.11Hz),6.88(dd,2H,J=11.09,17.52Hz),5.87(dd,2H,J=0.72,17.52Hz),5.34(dd,2H,J=0.60,10.85 Hz),0.70(s,6H,Si(CH).
[例31]
比較用の有機ケイ素化合物として、市販のシランカップリング剤であるトリメトキシビニルシラン(TMVS、TCI社商品)を用意した。
[例32]
比較用の有機ケイ素化合物として、市販のシランカップリング剤であるトリエトキシビニルシラン(TEVS、TCI社商品)を用意した。
[評価と結果]
例1~5、10、31、32において、得られたまたは用意した有機ケイ素化合物を用い、上記の[評価用サンプル(フィルム状硬化物)の作製方法]に従って評価用サンプルを作製し、評価した。評価結果を表1~表4に示す。
Figure 2022186591000030
Figure 2022186591000031
Figure 2022186591000032
Figure 2022186591000033
[結果のまとめ]
例1~5、10では、架橋剤として式(X)または式(1)で表される有機ケイ素化合物を用いて、フィルム状硬化物を得た。
例31、32では、比較用の有機ケイ素化合物であるシランカップリング剤を用いて、フィルム状硬化物を得た。
例1~5、10と例31、32との比較から、架橋剤として式(X)または式(1)で表される有機ケイ素化合物を用いることで、高周波条件における誘電正接(D)を効果的に低減できることが分かった。
例1~5、10では、高周波条件における誘電正接(D)が効果的に低減され、熱膨張係数(CTE)が充分に低く、ガラス転移温度(Tg)が充分に高いフィルム状硬化物を得ることができた。
[例101]
2官能メタクリル変性PPE(SA9000)と、例1で合成した有機ケイ素化合物と、ラジカル重合開始剤としてのジクミルパーオキサイドと、無機充填材としての球状シリカと、トルエンとを、質量比7:3:0.1:10:10で混合し、室温で攪拌して、硬化性組成物(ワニス)を調製した。
得られた硬化性組成物(ワニス)を繊維基材としてのガラスクロス(Eガラス、#2116)に含浸させた後、130℃で5分間加熱して、硬化性組成物を半硬化させて、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを2枚重ね、これらを一対の銅箔で挟み、得られた仮積層体を、200℃、1.5時間、3MPaの条件で加熱加圧して、金属張積層板を作製した。
本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更できる。
1、2:金属張積層板、3:配線基板、11:コンポジット基材、12:金属箔、22:導体パターン(回路パターン)、22W:配線。

Claims (14)

  1. 下式(X)で表される架橋剤。
    Figure 2022186591000034
    (上式中、Lは単結合、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基と置換基を有していてもよい芳香環との組合せである。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
  2. 下式(1)で表される、請求項1に記載の架橋剤。
    Figure 2022186591000035
    (上式中、Mは、単結合または置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基である。ベンゼン環は置換基を有していてもよい。ベンゼン環上のビニル基の置換位置は任意である。nは2~4の整数である。Rは水素原子、水酸基または有機基であり、Rが有機基であるとき、Siと結合した原子はCである。)
  3. ベンゼン環上のビニル基の置換位置は、オルト位またはパラ位である、請求項2に記載の架橋剤。
  4. nは2である、請求項2または3に記載の架橋剤。
  5. Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基である、請求項2~4のいずれか1項に記載の架橋剤。
  6. Mは、単結合または炭素数1~4のアルキレン基である、請求項2~5のいずれか1項に記載の架橋剤。
  7. プリプレグ、金属張積層板または配線基板の製造に用いられる硬化性組成物用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の架橋剤。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の架橋剤と、当該架橋剤と架橋し得る2つ以上の架橋性官能基を有する硬化性化合物とを含む、硬化性組成物。
  9. 繊維基材と、請求項8に記載の硬化性組成物の半硬化物または硬化物とを含む、プリプレグ。
  10. 基材と、請求項8に記載の硬化性組成物からなる硬化性組成物層とを含む、積層体。
  11. 基材と、請求項8に記載の硬化性組成物の半硬化物または硬化物を含む(半)硬化物含有層とを含む、積層体。
  12. 前記基材が樹脂フィルムまたは金属箔である、請求項10または11に記載の積層体。
  13. 請求項8に記載の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを含む、金属張積層板。
  14. 請求項8に記載の硬化性組成物の硬化物を含む絶縁層と、配線とを含む、配線基板。
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