JP2022186108A - 装飾体キットおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 立体形状を有する基材の先端に結晶性無機塩の結晶が析出した装飾体が、隣り合う結晶ブロックの間の隙間が狭いか隙間のない、全体が結晶で覆われた装飾体となる装飾体キットを提供する。【解決手段】立体形状を有する吸水性の基材と、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液と、前記立体形状を有する吸水性の基材の基端部が設置可能で前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を満たすようになされた容器とからなる装飾体用キットであって、前記立体形状を有する吸水性の基材が、複数の三次元形状を形成する吸水性の基材を組み合わせて構成され、前記三次元形状を形成する吸水性の基材が紙であり、前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、カット部を有し、カットされた両側の間には隙間がなく両側が接触可能であることを特徴とする装飾体用キット、およびその使用方法である。【選択図】図2
Description
本発明は、室内で飾るように設計された装飾体用キットおよび装飾体の使用方法に関する。
室内において、立体形状を有する吸水性の基材の末端に結晶性無機塩の結晶を析出させ桜やクリスマスツリーに見立てて装飾用として用いる装飾体は公知である。この装飾体は結晶性無機塩の水溶液に立体形状を有する吸水性の基材の基端部を浸して水を吸い上げ、基材の上部の末端に無機塩の結晶を析出させて装飾体としている(特許文献1ないし3)。
立体形状を有する吸水性の基材は、三次元形状を形成する吸水性の基材を複数組み合わせて立体的に形成しておき、無機塩の結晶を夫々の基材の上部の末端に析出させて、全体として意図する装飾体とするものである。三次元形状を形成する吸水性の基材が紙である場合には、装飾体キットを使用する直前に三次元形状を形成するように切り取られた紙基材を折り曲げてより立体的にして無機塩の結晶が装飾体の全体に広がるようにしている。
立体形状を有する吸水性の基材は、三次元形状を形成する吸水性の基材を複数組み合わせて立体的に形成しておき、無機塩の結晶を夫々の基材の上部の末端に析出させて、全体として意図する装飾体とするものである。三次元形状を形成する吸水性の基材が紙である場合には、装飾体キットを使用する直前に三次元形状を形成するように切り取られた紙基材を折り曲げてより立体的にして無機塩の結晶が装飾体の全体に広がるようにしている。
図5は、従来の無機塩水溶液に浸す直前の三次元形状を形成する吸水性の基材(以下、単に基材という場合がある)の一部の状態を示す斜視図である。図5において、三次元形状を形成する吸水性の基材1は木の枝2、2’となるように切り取られ、複数の枝が乱立している。この枝2、2’は交互に反対側に折り曲げられている。一枚の紙基材を三次元とするには一枚の基材に切り込みをいれ、基材の一部を切り取って残した基材の部分と他の残した基材の部分とが離れた状態3にしておく。使用時にこれらを枝のように折り曲げてより立体感を向上させている。
しかしながら、基材の一部である枝を折り曲げても結晶性無機塩を溶解した水溶液(以下、単に水溶液とよぶ場合がある)を吸い上げると、折り曲げた箇所は段々と元の状態に戻ってしまい、折角折り曲げてより立体的に見せようと意図した形状にはならない。
図6は、従来の装飾体の例を示す平面図である。
図6の左側は従来の基材の末端部分(枝)を交互に反対側に折り曲げた状態を上から見た平面図である。図6の右側はその下端部を水溶液の中に浸した後の結晶が析出する前の状態を上から見た平面図である。二つの図からわかるように水溶液に浸す前の枝2は折れて広がっているように見えるが、基材に水溶液を浸すと枝2は折れ曲がる前の状態にほぼ戻っている。このような基材を無機塩を含む水溶液に浸して結晶を枝2の末端に析出させても、無機塩の結晶の範囲が広がらず、外から見ると隣り合う結晶ブロックの間の隙間が広くあき結晶が装飾体の全体を覆うようには見えなくなるという問題がある。
図7は、図6の右側の状態の側面図である。枝と枝との間は空間があり枝同士は離れていることが分かる。水溶液に浸すと折られた枝2がほぼ元の状態に戻っていることを示している。
図8は、従来の装飾体の例を示す写真である。枝を折り曲げても水溶液を吸収すると元の状態に戻るので、結晶ブロックの間が広くあいている。従来の装飾体では、どうしてもこのような隙間が出来るという問題がある。この隙間をできるだけ狭くして、全体が結晶で覆われるような装飾体が望まれている。
図6の左側は従来の基材の末端部分(枝)を交互に反対側に折り曲げた状態を上から見た平面図である。図6の右側はその下端部を水溶液の中に浸した後の結晶が析出する前の状態を上から見た平面図である。二つの図からわかるように水溶液に浸す前の枝2は折れて広がっているように見えるが、基材に水溶液を浸すと枝2は折れ曲がる前の状態にほぼ戻っている。このような基材を無機塩を含む水溶液に浸して結晶を枝2の末端に析出させても、無機塩の結晶の範囲が広がらず、外から見ると隣り合う結晶ブロックの間の隙間が広くあき結晶が装飾体の全体を覆うようには見えなくなるという問題がある。
図7は、図6の右側の状態の側面図である。枝と枝との間は空間があり枝同士は離れていることが分かる。水溶液に浸すと折られた枝2がほぼ元の状態に戻っていることを示している。
図8は、従来の装飾体の例を示す写真である。枝を折り曲げても水溶液を吸収すると元の状態に戻るので、結晶ブロックの間が広くあいている。従来の装飾体では、どうしてもこのような隙間が出来るという問題がある。この隙間をできるだけ狭くして、全体が結晶で覆われるような装飾体が望まれている。
本発明は、立体形状を有する基材の先端に結晶性無機塩の結晶が析出した装飾体が、隣り合う結晶ブロックの間の隙間が狭いか隙間のない、全体が結晶で覆われた装飾体となる装飾体キットを提供することを目的とする。
発明者は、鋭意検討した結果、三次元形状を形成する吸水性の基材を立体的にするように紙を切り取るにあたり、特定の切り方をすれば水溶液を吸っても戻りにくくすることができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、立体形状を有する吸水性の基材と、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液と、前記立体形状を有する吸水性の基材の基端部が設置可能で前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を満たすようになされた容器とからなる装飾体用キットであって、
前記立体形状を有する吸水性の基材が、複数の三次元形状を形成する吸水性の基材
を組み合わせて構成され、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が紙であり、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、カット部を有し、カットされた両側の間には隙間がなく両側が接触可能であることを特徴とする装飾体用キットである。
すなわち、本発明は、立体形状を有する吸水性の基材と、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液と、前記立体形状を有する吸水性の基材の基端部が設置可能で前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を満たすようになされた容器とからなる装飾体用キットであって、
前記立体形状を有する吸水性の基材が、複数の三次元形状を形成する吸水性の基材
を組み合わせて構成され、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が紙であり、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、カット部を有し、カットされた両側の間には隙間がなく両側が接触可能であることを特徴とする装飾体用キットである。
さらに本発明は、前記カット部は角部を有することを特徴とする。
さらに本発明は、前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、結晶性無機塩(B)を含有することを特徴とする。
さらに本発明は、前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、結晶性無機塩(B)を含有することを特徴とする。
また本発明は、上記の装飾体用キットの使用方法であって、前記三次元形状を形成する吸水性の基材を2枚または3枚以上組み合わせた後、三次元形状を形成する吸水性の基材の前記カットされた部分の両側が離れるように反対方向に折り曲げた後、前記立体形状を有する吸水性の基材を前記容器に設置し、前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を前記容器に入れ、前記立体形状を有する吸水性の基材の末端に結晶性無機塩の結晶を析出させることを特徴とする装飾体キットの使用方法である。
本発明によれば、立体形状を有する基材の先端に結晶性無機塩の結晶が析出した装飾体が、隣り合う結晶ブロックの間の隙間が狭いか隙間のない、全体が結晶で覆われた装飾体となる装飾体キットを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
本発明において、三次元形状を形成する吸水性の基材(以下、単に吸水性の基材または単に基材という場合がある)は紙である。水を吸い上げ基材の上部の末端に結晶性無機塩の結晶が析出する紙であれば特に限定はないが、たとえば、濾紙やコースター原紙などの吸収紙素材などを使用するのが好ましい。基材の大きさ、厚みについては、水溶液を吸い上げ結晶が十分析出すれば特に限定はなく、目的に合わせて決めればよい。
立体形状を有する吸水性の基材は特に限定はないが、たとえば、花、樹木、動物や建築物などを形成したものが挙げられる。立体形状を有する基材は、二つまたはそれ以上の複数の切り取った小さい三次元形状を形成する吸水性の基材を組み合わせて得られる。二つまたはそれ以上の切り取った基材を組み合わせて立体的にすると、基材を安定して直立させることができる。基材を組み合わせる方法としては、基材の一部に切り込みを入れて夫々の切込みを嵌合または係合させて固定することにより立体形状とすることができる。
このような切り込みや形状などのついては、特開平7-329496号公報、特開平8-2194号公報に記載されているものが使用できる。
このような切り込みや形状などのついては、特開平7-329496号公報、特開平8-2194号公報に記載されているものが使用できる。
前記基材はカット部を有し、カットされた両側の間には隙間がなく両側が接触可能であることを必須とする。すなわち、たとえば、カッターナイフやハサミで切っただけで、何も切り取っていない状態をいう。カットすると、両側が接触したままであるが、より接触するためには、より鋭利で薄いものを使用するのがよい。この状態では三次元形状ではないが、夫々のカット部を交互に反対側に開けば三次元形状を形成する。さらにこのようなカット部を有する基材を二枚または三枚以上組み合わせればより三次元の状態となる。組み合わせの枚数が多いほど立体的となりやすい。すなわち、基材を組み合わせた後。カットされた両側を反対側に離す、好ましくは反対側に折り曲げるとさらに立体感が増す。
カット部を反対側に開いたり折ったりした状態の基材を水または無機塩の水溶液に浸すと、開く前の元の状態に戻ろうとするが、接触する部分、特に根元の部分が互いにひっかかると元の状態に戻りにくくなる。すなわち、カットされた両側の間に隙間がなく両側が接触可能であるカット部があるとひっかかりができ、広がりやすい。この状態で結晶が析出するとより広く結晶が析出することができる。
また、前記カット部は角部を有するのが好ましい。角部とは、頂点と頂点の両側の二つの半直線から構成される。具体的には、折れた直線風にカットされている状態である。カット部が角部を有することにより、該基材部が結晶性無機塩を溶解した水溶液を含侵しても、さらに角部が反対側にひっかかりそれ以上は戻らなくなる。それによって、無機塩の結晶が析出する範囲が広がり、結晶ブロックの間の隙間が少なくなる。本発明においては、角部が若干丸くなっていても、本質的に該基材部が結晶性無機塩を溶解した水溶液を含侵しても、折り曲げる前の状態に戻りにくくなるものであればよく、そのようなものも含むものとする。
このような状態のカット部が数で装飾体全体の半分以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。カット部が多いほど装飾体は結晶で覆われ結晶ブロックの間の隙間が少なくなり、全体が結晶で覆われた状態になりやすい。
図1は、本発明の一実施形態の装飾体となる基材の例を示す平面図である。図1の左側は基材の末端部分(枝)を交互に反対側に折り曲げた状態を上から見た平面図である。図1の右側はその下端部を水溶液の中に浸した後の結晶が析出する前の状態を上から見た平面図である。図6に、この図1に対応する従来の状態を示してあるので、これらを比較すると、本発明の基材が水溶液に浸しても枝2の戻りが小さく、枝2の広がりが従来のものに比較して大きいことがわかる。
図2は、図1の右側の状態の側面図である。水溶液に浸したときに折られた枝2が戻る割合が小さく、枝2の広がりが大きい。図7に、従来の装飾体の基材の場合が示してあるので、比較するとその差がよくわかる。
図1は、本発明の一実施形態の装飾体となる基材の例を示す平面図である。図1の左側は基材の末端部分(枝)を交互に反対側に折り曲げた状態を上から見た平面図である。図1の右側はその下端部を水溶液の中に浸した後の結晶が析出する前の状態を上から見た平面図である。図6に、この図1に対応する従来の状態を示してあるので、これらを比較すると、本発明の基材が水溶液に浸しても枝2の戻りが小さく、枝2の広がりが従来のものに比較して大きいことがわかる。
図2は、図1の右側の状態の側面図である。水溶液に浸したときに折られた枝2が戻る割合が小さく、枝2の広がりが大きい。図7に、従来の装飾体の基材の場合が示してあるので、比較するとその差がよくわかる。
水溶液に用いる結晶性無機塩(A)としては、リン酸一カリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カルシウム、および硝酸アンモニウムのうち、少なくとも一種類以上を使用することができる。好ましいのはリン酸一カリウムである。
水溶液には、さらに結晶性がある塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウムなどを必要に応じ添加してもよい。これらの無機塩も本発明における結晶性無機塩(A)に含めるものとする。
水溶液には、さらに結晶性がある塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウムなどを必要に応じ添加してもよい。これらの無機塩も本発明における結晶性無機塩(A)に含めるものとする。
結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液にはさらに無機酸および/または有機酸を混合して最終の無機塩の結晶量を増やすことができる。
無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、ホウ酸などが挙げられる。有機酸としては、たとえば、蟻酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸などが挙げられる。好ましいのは無機酸と有機酸の併用である。
無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、ホウ酸などが挙げられる。有機酸としては、たとえば、蟻酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸などが挙げられる。好ましいのは無機酸と有機酸の併用である。
水溶液中における結晶性無機塩(A)の量は、飽和濃度範囲内で使用されるが、水溶液中の結晶性無機塩(A)の濃度が結晶性無機塩(A)の飽和濃度の70%以上96%以下であるのが好ましい。より好ましくは80%以上90%以下である。70%以上であれば、基材の末端に十分に結晶が析出することができる。96%以下であれば、0℃に近い低温状態でも水溶液中で結晶が析出しにくい。たとえば、リン酸一カリウムの飽和濃度は22g/100mL(25℃)であるので、15.4g/100mL以上21.1g/100mL以下が好ましい。
種類の異なる結晶性無機塩(A)を混合する場合は、主たる結晶性無機塩の濃度が上記範囲にあるのが好ましい。
種類の異なる結晶性無機塩(A)を混合する場合は、主たる結晶性無機塩の濃度が上記範囲にあるのが好ましい。
該水溶液には香料を配合してもよい。香料としては、たとえば、ゲラニオール、シトラール、テルピネオール、l-メントール、リナロール、リモネンなどを使用することができる。これらを水中に乳化分散して含ませることができる。
無機酸および/または有機酸(以下、単に酸という場合がある )の量は、好ましくは結晶性無機塩(A)1モルに対して0.1モル以上5.0モル以下である。より好ましくは、0.5モル以上4.0モル以下である。0.1モル以上であれば、結晶性無機塩(A)の結晶が基材の末端に析出することが明確に確認でき、5.0モル以下であれば経済的である。酸はそのまま水溶液中に添加してもよいが、5~20倍程度に希釈して添加してもよい。好ましいのは量が正確に投入できる点で後者である。
装飾体キットに用いられる容器は、底に結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を満たす空間が形成されていればよいが、吸水性の基材を安定した状態で支承しこの水溶液を吸い上げられる構造であるのが好ましい。支承するような構造としては、たとえば、基材を差し込むための底の十字状の切込などが挙げられる。なお、容器の底の形状としては、特に正方形などの矩形状の板に限定されるものではなく、円状、楕円状などであってもよい。後記する立体形状を有する吸水性の基材が支承なしで安定的に直立することができる構造であれば容器に特に支承構造を備えなくてもよい。
容器の材質は結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を安定に保持できれば限定はなく、プラスチック製、ガラス製、ステンレス製などが挙げられる。容器の大きさ、水溶液を満たす空間の深さなどは基材の大きさや水溶液の量などによって決めればよい。
本発明の吸水性の基材には、結晶性無機塩(B)を含ませるのが好ましい。結晶性無機塩(B)は前記の結晶性無機塩(A)と同じであっても異なっていてもよい。同じ結晶性無機塩(A)であるのが、析出する結晶が結晶性無機塩(A)と同じになるので好ましい。
吸水性の基材に結晶性無機塩(B)を含ませる方法は、特殊な方法は必要ではなく、たとえば、結晶性無機塩(B)の水溶液に基材を浸漬して該水溶液を含浸するか、結晶性無機塩(B)の水溶液を基材にスプレーして付与し、その後乾燥すればよい。結晶性無機塩(B)は、吸水性の基材の全体が含んでいてもよいが、基材の末端部分にのみ結晶性無機塩を含んでもよい。結晶性無機塩(B)の水溶液として結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液に浸漬してもよい。また、染料を用いるときは染料と同時に結晶性無機塩(B)を溶解して用いてもよい。上記の吸水性の基材に結晶性無機塩(B)を含ませる方法は、基材を小さく切り取った後で実施してもよいし、小さく切り取る前に実施してもよい。
事前に基材に結晶性無機塩(B)を含浸させておくと、特開2021-28150号公報に記載してあるように、結晶が従来よりも著しく早く析出するので、カット部に析出した結晶が、カットの両側の基材が戻るときの妨げになり、基材がより広く広がり、その結果より広く結晶が析出する。
また、吸水性の基材には特定の染料を含ませるのが好ましい。基材に染料を含ませておくと、結晶性無機塩が基材の末端に移動していくときに引きつられて移動して、その結果結晶が染料を含むことができる。そうすれば結晶が染料で染まったかのように見える。異なる色の染料を用いれば異なる色の結晶が得られる。そしてカラフルな結晶を楽しむことができる。
このような染料としては水溶性であって、且つ吸水性の基材と反応しにくいものがよい。染料が水溶性であれば多かれ少なかれそのような傾向があるが、染料が基材と反応すれば染料は移動しないので結晶が染料を含むことができない。染料としてはスルフォン酸Na基、カルボン酸Na基などを含む酸性染料、直接染料などのアニオン染料が好ましい。特に好ましいのは、反応性が小さい食用色素に用いる染料である。食用色素であれば結晶と共に口に入ったとしても安全であり、実使用上好ましい。
基材に染料を含ませる方法としては、基材を染料水溶液に浸漬して含浸するか、染料水溶液をスプレーして付与し、その後乾燥すればよい。染料水溶液の染料濃度を変えれば基材への染料含有量も制御できる。
基材の処理温度は常温ないし50℃が好ましい。乾燥温度も常温乾燥ないし50℃が好ましい。結晶性無機塩(B)の水溶液を作成する場合にも水溶液中における結晶性無機塩(B)の濃度は、0.01質量%以上、5.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.1質量%以上、2.5質量%以下である。
本発明の装飾体キットは、上記の基材、結晶性無機塩(A)を含有する水溶液および容器からなる。
また本発明は、上記の装飾体用キットの使用方法であって、三次元形状を形成する吸水性の基材を2枚または3枚以上組み合わせた後、三次元形状を形成する吸水性の基材のカットされた部分が離れるように折り曲げた後、立体形状を有する吸水性の基材を容器に設置し、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を容器に入れ、基材の末端に結晶性無機塩の結晶を析出させることを特徴とする装飾体キットの使用方法である。
すなわち、まず三次元形状を形成する吸水性の基材を複数組み合わせて立体形状を有する吸水性の基材を作成する。その後、三次元形状を形成する吸水性の基材のカットされた部分が離れるように折り曲げた後、立体形状を有する吸水性の基材を容器に設置し、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を容器に入れればよい。
すなわち、まず三次元形状を形成する吸水性の基材を複数組み合わせて立体形状を有する吸水性の基材を作成する。その後、三次元形状を形成する吸水性の基材のカットされた部分が離れるように折り曲げた後、立体形状を有する吸水性の基材を容器に設置し、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を容器に入れればよい。
カットされた部分の両側の基材を反対方向に離れるように折り曲げる方法は、特に限定はなく、両側の二つの基材の戻りがより少なくなるように紙を折るのがより好ましい。角部にはより多く結晶が析出するので戻りがより抑制され、より大きい広がりが形成できる。
図3は、本発明における三次元形状を形成する吸水性の基材のカットされた部分が離れるように交互に反対側に折り曲げる方法を示す概念図である。左側がカットされた状態を示し、右側がカットの両側を交互に反対側に開いた状態を示している。カットされた部分4が矢印の通りに交互に反対側に折り曲げられている。左側の点線5が折れる箇所のラインであり、右側の折った箇所のラインに相当する。
図4は、本発明の一実施態様の装飾体キットを用いて結晶を析出させた状態の写真である。隣り合う結晶ブロックの間の隙間が狭いか隙間のない、全体が結晶で覆われた装飾体となっている。基材の枝の部分が水溶液を吸収しても折れ曲がる前の状態に戻りにくくなることによるものである。図8と比較するとその差がはっきりとわかる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
(製造例1)(結晶性無機塩(A)の水溶液の製造)
1Lビーカーにリン酸一カリウム 2.6g、10重量%塩化ナトリウム水溶液 0.8gと「PEG1000」(ポリエチレングリコール、数平均分子量1000)の10重量%水溶液 0.8g、8.5重量%リン酸水溶液 0.4gおよび水 12.2gを入れ室温下スターラーで3時間攪拌して固形物を溶解して無色透明液状の結晶性無機塩(A)の水溶液を得た。
1Lビーカーにリン酸一カリウム 2.6g、10重量%塩化ナトリウム水溶液 0.8gと「PEG1000」(ポリエチレングリコール、数平均分子量1000)の10重量%水溶液 0.8g、8.5重量%リン酸水溶液 0.4gおよび水 12.2gを入れ室温下スターラーで3時間攪拌して固形物を溶解して無色透明液状の結晶性無機塩(A)の水溶液を得た。
(製造例2)(結晶性無機塩(B)を含んだ染料水溶液の製造)
100mlのビーカーに結晶性無機塩(B)であるリン酸一カリウム0.2gと赤色102号(食用色素)の1質量%水溶液1gを水20gに加えて、室温下スターラーで3時間攪拌して赤色透明液状の結晶性無機塩(B)を含んだ染料水溶液(1)を得た。
100mlのビーカーに結晶性無機塩(B)であるリン酸一カリウム0.2gと赤色102号(食用色素)の1質量%水溶液1gを水20gに加えて、室温下スターラーで3時間攪拌して赤色透明液状の結晶性無機塩(B)を含んだ染料水溶液(1)を得た。
(実施例1)
コースター原紙(厚み0.8mm)を用いて、三次元の形状を形成する吸水性の基材を樹木状(高さ10cm、幅8cm)に切り取った後、枝となるように端部から複数カットした。これを2枚作成した。この基材を上記の染料水溶液(1)に浸した後取り出しすぐに37℃の乾燥機の中に入れ1時間乾燥して、結晶性無機塩(B)を含んだ吸水性の基材2枚を得た。この2枚の基材を用いて図2のように組み立てた後、夫々のカット部の両側を折り曲げた。
アクリル製の円形容器(半径4cm、深さ1cm)を25℃の室内に準備して、この中に製造例1で製造した水溶液を注いだ。この液の中に上記のように形成した立体形状を有する樹木を置いた。すぐに根元から液が浸透し始めた。室内の温度は20℃であり。空調設備を稼働して部屋内の空気を循環させた。約6時間後、図3に示すような、樹木の全体は無機塩の結晶で覆われた装飾体が得られた。
コースター原紙(厚み0.8mm)を用いて、三次元の形状を形成する吸水性の基材を樹木状(高さ10cm、幅8cm)に切り取った後、枝となるように端部から複数カットした。これを2枚作成した。この基材を上記の染料水溶液(1)に浸した後取り出しすぐに37℃の乾燥機の中に入れ1時間乾燥して、結晶性無機塩(B)を含んだ吸水性の基材2枚を得た。この2枚の基材を用いて図2のように組み立てた後、夫々のカット部の両側を折り曲げた。
アクリル製の円形容器(半径4cm、深さ1cm)を25℃の室内に準備して、この中に製造例1で製造した水溶液を注いだ。この液の中に上記のように形成した立体形状を有する樹木を置いた。すぐに根元から液が浸透し始めた。室内の温度は20℃であり。空調設備を稼働して部屋内の空気を循環させた。約6時間後、図3に示すような、樹木の全体は無機塩の結晶で覆われた装飾体が得られた。
(比較例1)
比較として、図7のような形状(カットではなく枝と枝の間に空間があるように切り取られている)に切り取って交互に折り曲げた、立体状の樹木(高さ10cm、幅8cm)を同様に処理したところ、無機塩の結晶が析出した装飾体が得られた。図8に示すような、結晶ブロック間の隙間ができ、中の幹に相当する部分が見えてしまっている。
比較として、図7のような形状(カットではなく枝と枝の間に空間があるように切り取られている)に切り取って交互に折り曲げた、立体状の樹木(高さ10cm、幅8cm)を同様に処理したところ、無機塩の結晶が析出した装飾体が得られた。図8に示すような、結晶ブロック間の隙間ができ、中の幹に相当する部分が見えてしまっている。
以上の結果より、本発明の装飾体キットは、従来よりも結晶が広がり、結晶ブロックの間の隙間が少なく全体が結晶で覆われる装飾体となることがわかった。本発明が有効であることが確認できた。
1 三次元形状を形成する吸水性の基材
2 枝
3 基材の一部を切り取って残した基材の部分と他の残した基材の部分とが離れた状態
4 カットされた部分
5 折れる箇所のライン
6 折った箇所のライン
2 枝
3 基材の一部を切り取って残した基材の部分と他の残した基材の部分とが離れた状態
4 カットされた部分
5 折れる箇所のライン
6 折った箇所のライン
Claims (4)
- 立体形状を有する吸水性の基材と、結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液と、前記立体形状を有する吸水性の基材の基端部が設置可能で前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を満たすようになされた容器とからなる装飾体用キットであって、
前記立体形状を有する吸水性の基材が、複数の三次元形状を形成する吸水性の基材
を組み合わせて構成され、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が紙であり、
前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、カット部を有し、カットされた両側の間には隙間がなく両側が接触可能であり、前記カット部は角部を有することを特徴とする装飾体用キット。 - 前記カット部は角部を有することを特徴とする請求項1記載の装飾体用キット。
- 前記三次元形状を形成する吸水性の基材が、結晶性無機塩(B)を含有することを特徴とする請求項1または2記載の装飾体用キット。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装飾体用キットの使用方法であって、前記三次元形状を形成する吸水性の基材を2枚または3枚以上組み合わせた後、三次元形状を形成する吸水性の基材の前記カットされた部分の両側が離れるように反対方向に折り曲げた後、前記立体形状を有する吸水性の基材を前記容器に設置し、前記結晶性無機塩(A)を溶解した水溶液を前記容器に入れ、前記立体形状を有する吸水性の基材の末端に結晶性無機塩の結晶を析出させることを特徴とする装飾体キットの使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021094174A JP2022186108A (ja) | 2021-06-04 | 2021-06-04 | 装飾体キットおよびその使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021094174A JP2022186108A (ja) | 2021-06-04 | 2021-06-04 | 装飾体キットおよびその使用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022186108A true JP2022186108A (ja) | 2022-12-15 |
Family
ID=84441896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021094174A Pending JP2022186108A (ja) | 2021-06-04 | 2021-06-04 | 装飾体キットおよびその使用方法 |
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-
2021
- 2021-06-04 JP JP2021094174A patent/JP2022186108A/ja active Pending
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