JP2022183703A - 歩行支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩行者に対して適切な歩行支援を行うことができる歩行支援装置を提供する。【解決手段】路面基準のグローバル座標系、白杖1に内蔵されたIMU90を基準とする杖座標系、白杖1に内蔵されたカメラ20を基準とするカメラ座標系を設定し、グローバル座標系のz軸とカメラ座標系のζj軸との関係から、視覚障碍者が白杖1を振ることに起因するカメラ20の最大傾き角度を求めて、カメラ20から取得された画像の回転処理を行う。カメラ20の最大傾き角度と水平方向での白杖1の振り幅との関係から、左右方向での白杖1の振り幅の差異を求めて、視覚障碍者が白杖1を右手および左手の何れで把持しているかを推定する。その推定結果により、横断歩道からの逸脱の判定を行うための判定値を変更し、その変更された判定値を用いて逸脱判定を行う。これにより、視覚障碍者が白杖1を持っている手に応じた適切な歩行支援を行うことが可能になる。【選択図】図12
Description
本発明は歩行支援装置に係る。特に、本発明は、視覚障碍者等の歩行者に対して適切な歩行支援を行うための対策に関する。
視覚障碍者等の歩行者が安全に歩行(例えば安全に横断歩道を横断)できるように、当該歩行者に対して各種の通知(例えば横断歩道を横断している際の当該横断歩道からの逸脱を回避するために、歩行方向の変更を促す通知等)を行う歩行支援装置として、特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1には、視覚を用いずに行動する者(視覚障碍者)が歩く方向を決定する方向決定部と、決定した方向へ視覚障碍者が歩くためのガイド情報を生成するガイド情報生成部とを備え、視覚障碍者が携帯するカメラからの画像と、予め記憶されている参照画像とのマッチングによって視覚障碍者の歩行方向を決定し、音声等によって視覚障碍者に対して歩行方向を案内することが開示されている。
ところで、歩行者(視覚障碍者等)が例えば横断歩道を横断している状況において、横断歩道からの逸脱を回避するべく歩行方向の変更を促す通知を適切に行うためには、横断歩道の横断中に当該横断歩道の位置(歩行者に対する横断歩道の相対的な位置)をカメラ等の画像取得手段からの情報によって正確に認識しておくことが必要である。特許文献1に開示されている歩行支援装置では、カメラによって横断歩道などの被写体を撮影し、その結果から得られる画像と、予め記憶されたリファレンス画像とのマッチング処理を行うことにより、横断歩道を認識すると共に、横断方向を渡る際の正しい方向を視覚障碍者にガイドする。また、視覚障碍者が横断歩道を横断している際の基準方向からのずれ量を算出し、算出したずれ量に基づいてガイド情報を生成し、視覚障碍者に通知する。これにより、視覚障碍者が横断歩道から逸脱することを抑制している。
しかしながら、カメラ等の画像取得手段によって取得された歩行者の前方の画像としては、画像取得手段の撮影光軸の方向が歩行者の歩行方向に常に一致した状態のものとして得られている保証はない。以下、具体的に説明する。
本発明の発明者らは、一般に視覚障碍者は白杖を持って歩行することに鑑み、白杖に画像取得手段(カメラ)を内蔵させ、当該画像取得手段によって前方の画像を撮影しながら視覚障碍者に対して歩行支援のための通知(横断歩道からの逸脱を回避するべく歩行方向の変更を促す通知等)を行うことを既に提案しているが、視覚障碍者による白杖の把持状態は刻々と変化することが想定される。一例として、一般に視覚障碍者は白杖を左右に振って前方の路面状態を確認しながら歩行する。つまり、白杖を左右に振ることで、当該白杖に内蔵された画像取得手段の撮影光軸が左右に振られることになる。このため、視覚障碍者の歩行方向に対して画像取得手段の撮影光軸の方向が大きく変化することになり、前記通知を適切に行うために必要な横断歩道の正確な位置(視覚障碍者に対する横断歩道の相対的な位置)を、この取得された画像(画像取得手段の撮影光軸が左右に振られながら撮影された画像)から認識することは困難である。
本発明の発明者らは、視覚障碍者に対して適切な歩行支援を行うためには、視覚障碍者による白杖の把持状態を考慮しながら、画像取得手段によって取得される前方の画像に基づく歩行支援のための情報を生成する必要があることについて考察した。
尚、歩行者(視覚障碍者)が安全に歩行できるようにするために正確な認識が要求される対象としては横断歩道に限られるものではなく、歩道上の障害物(例えば駐輪している自転車等)や縁石等も想定される。また、歩行者の歩行方向に対して画像取得手段の撮影光軸の方向が大きく変化する状況としては、白杖を把持した視覚障碍者が歩行する状況に限られるものではなく、高齢者が使用する杖に画像取得手段を内蔵させた場合に当該高齢者が杖を突きながら歩行する(杖の突き位置によっては画像取得手段の撮影光軸が左右に振られることがある)状況等も想定される。また、視覚障碍者による白杖の把持状態が刻々と変化する要因は当該白杖を左右に振りながら歩行することに限定されず、視覚障碍者の姿勢変化等も要因となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、歩行者に対して適切な歩行支援を行うことができる歩行支援装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、歩行者に把持され、当該歩行者の歩行方向前方の状況に応じて歩行を支援するための通知を前記歩行者に対して行う歩行支援装置を前提とする。そして、この歩行支援装置は、前記把持されている場合における前記歩行者の把持状態を推定する把持状態推定部と、前記把持状態推定部により推定された把持状態の推定結果に基づいて、前記歩行者に対する歩行支援のための情報を生成する歩行支援情報生成部とを備えていることを特徴とする。
この特定事項により、把持状態推定部により推定された把持状態(歩行者による歩行支援装置の把持状態)の推定結果に基づいて、歩行支援情報生成部は、歩行者に対する歩行支援のための情報を生成する。そして、この生成された歩行支援のための情報に従って、歩行者の歩行を支援するための通知を歩行者に対して行う。このように歩行者による歩行支援装置の把持状態に応じた歩行支援のための情報を生成することにより、この把持状態に応じた適切な歩行支援を行うことが可能になる。
また、歩行支援装置が、視覚障碍者が把持する白杖である場合に、前記把持状態推定部は、前記把持状態として前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手が右手であるか左手であるかを推定可能となっており、前記歩行支援情報生成部は、前記視覚障碍者が前記白杖を右手で把持している場合と左手で把持している場合とで、歩行支援のための前記通知を行うか否かを判断するための判定値を異なるものとした上で前記視覚障碍者に対する歩行支援のための情報を生成するようになっている。
一般に視覚障碍者は白杖を左右に振って前方の路面状態を確認しながら歩行する。この場合、白杖を右手で把持している場合と左手で把持している場合とでは、白杖の左右方向の振り幅が異なる可能性が高い。例えば、白杖を右手で把持している場合には、左側の振り幅よりも右側の振り幅の方が大きくなる傾向がある。逆に、白杖を左手で把持している場合には、右側の振り幅よりも左側の振り幅の方が大きくなる傾向がある。このため、視覚障碍者が白杖を把持している手に関わらず歩行支援のための通知を行うか否かを判断するための判定値をそのまま使用して前記判断を行ってしまうと適切な歩行支援が行えない可能性がある。このため、本解決手段では、視覚障碍者が白杖を右手で把持している場合と左手で把持している場合とで、前記判定値を異なるものとした(右手で把持している場合には右側の振り幅の方が大きくなることを考慮した判定値とし、左手で把持している場合には左側の振り幅の方が大きくなることを考慮した判定値とした)上で視覚障碍者に対する歩行支援のための情報を生成するようにしている。これにより、視覚障碍者に対する適切な歩行支援を行うことが可能になる。
また、前記視覚障碍者の歩行方向前方の画像を取得可能な画像取得手段、および、3軸加速度と3軸角速度とを取得可能な慣性計測装置が内蔵されており、路面基準のグローバル座標系、前記画像取得手段の位置を原点とする画像取得手段座標系、前記慣性計測装置の位置を原点とする杖座標系がそれぞれ設定されており、前記把持状態推定部は、前記各座標系の情報に基づいて、前記白杖の左右の振り角度が零の位置を推定すると共に、当該位置から前記白杖の左右の振り角度に基づいて、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっている。
前述したように視覚障碍者は白杖を左右に振りながら歩行する。このため、慣性計測装置によって3軸加速度および3軸角速度を取得することで、グローバル座標系と杖座標系との関係を求めることができ、画像取得手段および慣性計測装置は白杖に内蔵されており、相互の位置関係が特定できることから、グローバル座標系と画像取得手段座標系との関係も求めることができる。そして、白杖の左右の振り角度は、その振り角度に応じた画像取得手段の傾き(鉛直方向に対する傾き)が生じた場合のグローバル座標系と画像取得手段座標系とが成す角度に相関があるため、この角度に基づいて白杖の左右の振り角度も求めることができる。前述したように白杖を右手で把持している場合には、左側の振り幅よりも右側の振り幅の方が大きくなる傾向があり、逆に、白杖を左手で把持している場合には、右側の振り幅よりも左側の振り幅の方が大きくなる傾向があることから、これら振り幅を比較することにより、視覚障碍者が白杖を把持している手が右手であるか左手であるかを推定することが可能である。
白杖を把持している手を推定する手段として具体的には、前記把持状態推定部が、前記画像取得手段座標系における前記画像取得手段の鉛直方向に対する傾きを求め、この鉛直方向との角度差を水平方向の角度差に変換し、左右の振り角度によって、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっている。
このような角度変換によって左右の振り角度を求めて視覚障碍者が白杖を把持している手を推定するようにしていることにより、推定の信頼性を高めることができる。
また、白杖を把持している手を推定するその他の手段として、前記歩行者が横断歩道を横断する場合における左右方向の逸脱の警告を行うようにしたものにあっては、前記視覚障碍者の歩行方向前方の画像を取得可能な画像取得手段を備えさせ、前記把持状態推定部が、前記画像取得手段によって取得された画像における前記横断歩道の画像内占有率に基づいて、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成が挙げられる。
この構成によれば、画像取得手段からの情報のみから視覚障碍者が白杖を把持している手を推定できるため、白杖の構成の簡素化を図ることができる。
また、前記把持状態推定部が、前記画像取得手段座標系における前記画像取得手段の傾き角度によって、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成とすることも可能である。
この構成によれば、画像取得手段座標系の情報のみから視覚障碍者が白杖を把持している手を推定できるため、情報処理系の処理負担の軽減を図ることができる。
また、歩行者が把持している手を推定するその他の手段として、前記歩行者が把持する把持部に作用する圧力分布によって前記歩行者が把持している手を推定する構成や、前記把持部を把持する前記歩行者の手の指紋認証によって前記歩行者が把持している手を推定する構成が挙げられる。
これら構成は白杖を把持している手からの情報を直接取得することで歩行者が把持している手を推定できるものであり、信号処理等の簡素化を図ることができ、情報処理系の処理負担の軽減を図ることができる。
本発明では、歩行支援装置が歩行者に把持されている状態を推定し、この推定された把持状態の推定結果に基づいて、歩行者に対する歩行支援のための情報を生成するようにしている。これにより、歩行者による歩行支援装置の把持状態に応じた適切な歩行支援を行うことが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る歩行支援装置を、視覚障碍者が使用する白杖として適用した場合について説明する。
-白杖の概略構成-
図1は、歩行支援システム10を内蔵した白杖(歩行支援装置)1を示す図である。この図1に示すように、白杖1は、シャフト部2、グリップ部(把持部)3、チップ部(石突き)4を備えている。
図1は、歩行支援システム10を内蔵した白杖(歩行支援装置)1を示す図である。この図1に示すように、白杖1は、シャフト部2、グリップ部(把持部)3、チップ部(石突き)4を備えている。
シャフト部2は、中空の略円形断面を有するロッド状であって、アルミニウム合金やガラス繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂等で形成されている。
グリップ部3は、シャフト部2の基端部(上端部)に設けられ、ゴム等の弾性体で成るカバー31が装着されて構成されている。また、本実施形態における白杖1のグリップ部3は、視覚障碍者(歩行者)が把持する際の持ち易さと滑り難さを考慮し、先端側(図1における上側)が僅かに湾曲した形状となっている。
チップ部4は、硬質の合成樹脂などで形成された略有底筒状の部材であって、シャフト部2の先端部に外挿されて接着やねじ止めなどの手段で固定されている。尚、チップ部4は、先端側の端面が半球状となっている。
本実施形態に係る白杖1は、折り畳み不能な直杖であるが、シャフト部2の中間の一箇所または複数箇所で折り畳み可能或いは伸縮可能とされたものであってもよい。
-歩行支援システムの構成-
本実施形態の特徴は、前記白杖1に内蔵された歩行支援システム10にある。以下、この歩行支援システム10について説明する。
本実施形態の特徴は、前記白杖1に内蔵された歩行支援システム10にある。以下、この歩行支援システム10について説明する。
図2は、白杖1のグリップ部3の内部を示す概略図である。この図2に示すように、歩行支援システム10は、白杖1のグリップ部3に内蔵されている。また、図3は、歩行支援システム10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
これらの図に示すように、歩行支援システム10は、複数台(本実施形態にあっては2台)のカメラ(画像取得手段)20A,20B、近距離無線通信機40、振動発生機(通知手段)50、バッテリ60、充電ソケット70、慣性計測装置(以下、IMUという)90、制御装置80等を備えている。
各カメラ20A,20Bは、それぞれグリップ部3の根元部における当該グリップ部3の前面(視覚障碍者の進行方向に向く面)に埋め込まれ、視覚障碍者の進行方向前側(歩行方向前方)を撮影する。これらカメラ20A,20Bは、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で成る。また、カメラ20A,20Bの構成や配設位置は前述したものには限定されず、例えば、シャフト部2の前面(視覚障碍者の進行方向に向く面)に埋め込まれたものであってもよい。
これらカメラ20A,20Bの特徴としては、歩行する視覚障碍者の進行方向の前方の画像であって、当該視覚障碍者が横断歩道に達した際における、当該横断歩道の白線のうち視覚障碍者に最も近い位置にある白線、および、視覚障碍者の前方に位置する信号機(例えば歩行者用信号機)の両方を含む画像を取得可能な広角のカメラとして構成されている。つまり、視覚障碍者が横断歩道の手前まで達した時点で、視覚障碍者の足元付近(足元から少し前方の位置)に存在する横断歩道における最も手前側にある白線と、横断先の地点に設置された信号機との両方を撮影可能な構成となっている。これらカメラ20A,20Bにおいて必要とされる視野角度は、前述したように視覚障碍者に最も近い位置にある白線(横断歩道の白線)および信号機の両方を含む画像を取得(撮影)可能なものとして適宜設定される。
尚、以下では、これら2台のカメラ20A,20Bを特に区別する必要が無い場合には、1台のカメラを代表して説明し、その符号を20とすることとする。
近距離無線通信機40は、前記カメラ20A,20BおよびIMU(Inertial Measurement Unit)90と、制御装置80との間で近距離無線通信を行うための無線通信装置である。例えば、周知のBluetooth(登録商標)等の通信手段によって、カメラ20A,20BおよびIMU90と制御装置80との間で近距離無線通信を行い、カメラ20A,20Bが撮影した画像の情報やIMU90が取得した情報(後述する3軸加速度および3軸角速度の各情報)を制御装置80に向けて無線送信する構成となっている。
振動発生機50は、グリップ部3の根元部における前記カメラ20A,20Bの上側に配設されている。この振動発生機50は、内蔵されたモータの作動に伴って振動し、その振動をグリップ部3に伝達することによって、当該グリップ部3を把持している視覚障碍者に向けて種々の通知が行えるようになっている。この振動発生機50の振動による視覚障碍者に向けての通知の具体例については後述する。
バッテリ60は、前記カメラ20A,20B、近距離無線通信機40、振動発生機50、制御装置80、IMU90のための電力を蓄電する二次電池で構成されている。
充電ソケット70は、バッテリ60に電力を蓄える際に充電ケーブルが接続される部分である。例えば、視覚障碍者が在宅中に家庭用電源からバッテリ60を充電する際に充電ケーブルが接続される。
IMU90は、カメラ20Bの下側に配設されている。このIMU90は、3軸のジャイロと3方向の加速度計とを備え、これらによって白杖1における当該IMU90の配設位置の3次元の加速度(3軸加速度)と角速度(3軸角速度)とを計測する。尚、このIMU90には、信頼性向上のために圧力計やGPS等のセンサが内蔵される場合もある。
制御装置80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、制御プログラムを記憶するROM(Read-Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random-Access Memory)、および、入出力ポート等を備えている。
そして、この制御装置80は、前記制御プログラムによって実現される機能部として、情報受信部81、横断歩道検出部82、信号機認識部83、切り替わり認識部84、把持状態推定部85、歩行支援情報生成部86、情報送信部87を備えている。以下、これら各部の機能の概略について説明する。
(情報受信部)
情報受信部81は、前記カメラ20(20A,20B)が撮影した画像の情報を、当該カメラ20から近距離無線通信機40を介して所定時間間隔をもって受信する。また、この情報受信部81は、前記IMU90が計測した3軸加速度および3軸角速度の情報を、当該IMU90から近距離無線通信機40を介して所定時間間隔をもって受信する。尚、これら画像の情報と、3軸加速度および3軸角速度の情報との受信タイミングは同期していることが好ましい。
情報受信部81は、前記カメラ20(20A,20B)が撮影した画像の情報を、当該カメラ20から近距離無線通信機40を介して所定時間間隔をもって受信する。また、この情報受信部81は、前記IMU90が計測した3軸加速度および3軸角速度の情報を、当該IMU90から近距離無線通信機40を介して所定時間間隔をもって受信する。尚、これら画像の情報と、3軸加速度および3軸角速度の情報との受信タイミングは同期していることが好ましい。
(横断歩道検出部)
横断歩道検出部82は、情報受信部81が受信した画像の情報(カメラ20によって撮影された画像の情報)に基づいて(より具体的には受信した画像の情報を、後述する把持状態推定部85による推定動作に従って補正することにより生成された画像に基づいて)、横断歩道を認識したり、横断歩道における各白線の位置を検出する。
横断歩道検出部82は、情報受信部81が受信した画像の情報(カメラ20によって撮影された画像の情報)に基づいて(より具体的には受信した画像の情報を、後述する把持状態推定部85による推定動作に従って補正することにより生成された画像に基づいて)、横断歩道を認識したり、横断歩道における各白線の位置を検出する。
具体的には、図4に示す画像が生成(後述する補正動作によって生成)された場合において、横断歩道CWを構成する複数の白線WL1~WL7に対してBoundary Box(図4の一点鎖線を参照)を設定する。例えば周知のマッチング処理によって横断歩道CWの白線WL1~WL7を確定し、これら確定された白線WL1~WL7に対してBoundary Boxを設定する。また、予めアノテーションされた白線のデータ(ラベルが付けられた白線のデータ;深層学習によって白線を認識するための教師データ)を利用して白線WL1~WL7を確定し、これら確定された白線WL1~WL7に対してBoundary Boxを設定するようにしてもよい。
そして、横断歩道検出部82は、これらBoundary Boxのうち最も歩行者寄りのBoundary Boxの下端位置(図4におけるLNを参照)を検出する。本実施形態では、各白線WL1~WL7に対してBoundary Boxを設定し、画像上において最も下側に位置するBoundary Boxの下端位置LNを検出するようにしているが、Boundary Boxを設定することなく、画像上において確定された複数の白線WL1~WL7のうち最も下側に位置する白線WL1の下端位置を検出するものであってもよい。
尚、前記Boundary Boxは、後述するように、視覚障碍者の停止位置の特定、信号機TLの位置の特定、視覚障碍者が横断歩道CWを横断する際の進行方向の特定、横断歩道CWの横断完了の判断等に利用される。これらの詳細については後述する。
(信号機認識部)
信号機認識部83は、前述した画像(例えば把持状態推定部85による推定動作に従って補正することにより生成された画像:図4)の情報から信号機TLの位置の認識および信号機TLの状態の認識(赤信号および青信号の何れであるかの認識)を行う。具体的には、前記画像上における信号機TLの存在領域を推定し、この推定された領域の内部における信号機TLの位置および当該信号機TLの状態それぞれの認識を行う。前記画像上における信号機TLの存在領域を推定するに当たっては、前述の如く認識された白線WL1~WL7に設定されたBoundary Boxのうち、最も遠い位置にあるBoundary Boxの画像内座標を特定すると共に、図4に示すように、前記Boundary Box(認識された白線WL1~WL7のうち最も遠い位置にある白線WL7に設定されたBoundary Box)の上辺に接する四角形(幅寸法がws、高さ寸法がhsの四角形)を規定し、これを信号機TLの領域(信号機TLの存在領域)AとしてのCrop範囲を出力する。この際、Crop範囲は正方形であってもよいし長方形であってもよい。尚、前記寸法ws,hsは任意に設定可能であるが、信号機TLの配設位置が含まれるように経験的にまたは実験的に設定される。また、信号機認識部83によって行われる信号機の状態の判断(色の検出)は、一般的な物体検出アルゴリズムまたはルールベースアルゴリズムが用いられる。
信号機認識部83は、前述した画像(例えば把持状態推定部85による推定動作に従って補正することにより生成された画像:図4)の情報から信号機TLの位置の認識および信号機TLの状態の認識(赤信号および青信号の何れであるかの認識)を行う。具体的には、前記画像上における信号機TLの存在領域を推定し、この推定された領域の内部における信号機TLの位置および当該信号機TLの状態それぞれの認識を行う。前記画像上における信号機TLの存在領域を推定するに当たっては、前述の如く認識された白線WL1~WL7に設定されたBoundary Boxのうち、最も遠い位置にあるBoundary Boxの画像内座標を特定すると共に、図4に示すように、前記Boundary Box(認識された白線WL1~WL7のうち最も遠い位置にある白線WL7に設定されたBoundary Box)の上辺に接する四角形(幅寸法がws、高さ寸法がhsの四角形)を規定し、これを信号機TLの領域(信号機TLの存在領域)AとしてのCrop範囲を出力する。この際、Crop範囲は正方形であってもよいし長方形であってもよい。尚、前記寸法ws,hsは任意に設定可能であるが、信号機TLの配設位置が含まれるように経験的にまたは実験的に設定される。また、信号機認識部83によって行われる信号機の状態の判断(色の検出)は、一般的な物体検出アルゴリズムまたはルールベースアルゴリズムが用いられる。
(切り替わり認識部)
切り替わり認識部84は、前記信号機認識部83によって認識された信号機TLの状態が、赤信号から青信号に切り替わったことを認識する。この信号の切り替わりを認識した際、この切り替わり認識部84は、切り替わり信号を情報送信部87に送信する。この切り替わり信号は、情報送信部87から振動発生機50に送信される。振動発生機50は、この切り替わり信号を受けたことに連動して、所定のパターンで振動し、視覚障碍者に、信号機TLが赤信号から青信号に切り替わったことに起因して横断歩道の横断を許可する通知(横断開始通知)を行うことになる。
切り替わり認識部84は、前記信号機認識部83によって認識された信号機TLの状態が、赤信号から青信号に切り替わったことを認識する。この信号の切り替わりを認識した際、この切り替わり認識部84は、切り替わり信号を情報送信部87に送信する。この切り替わり信号は、情報送信部87から振動発生機50に送信される。振動発生機50は、この切り替わり信号を受けたことに連動して、所定のパターンで振動し、視覚障碍者に、信号機TLが赤信号から青信号に切り替わったことに起因して横断歩道の横断を許可する通知(横断開始通知)を行うことになる。
(把持状態推定部)
次に、本実施形態の特徴である把持状態推定部85について説明する。この把持状態推定部85は、白杖1が視覚障碍者に把持されている状態を推定する機能部である。本実施形態において、この把持されている状態としては、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかをいう。以下、この把持状態推定部85における把持状態の推定について説明する。
次に、本実施形態の特徴である把持状態推定部85について説明する。この把持状態推定部85は、白杖1が視覚障碍者に把持されている状態を推定する機能部である。本実施形態において、この把持されている状態としては、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかをいう。以下、この把持状態推定部85における把持状態の推定について説明する。
<課題の説明>
前述したように、視覚障碍者は白杖1を左右に振って前方の路面状態を確認しながら歩行する。つまり、白杖1を左右に振ることで、当該白杖1に内蔵されたカメラ20(20A,20B)の撮影光軸が左右に振られることになる。このため、視覚障碍者の歩行方向に対してカメラ20の撮影光軸の方向が大きく変化することになり、横断歩道CWの正確な位置(視覚障碍者に対する横断歩道CWの相対的な位置)を、この取得された画像(カメラ20の撮影光軸が左右に振られながら撮影された画像)から認識することは困難となっている。以下、このような状況について具体的に説明する。
前述したように、視覚障碍者は白杖1を左右に振って前方の路面状態を確認しながら歩行する。つまり、白杖1を左右に振ることで、当該白杖1に内蔵されたカメラ20(20A,20B)の撮影光軸が左右に振られることになる。このため、視覚障碍者の歩行方向に対してカメラ20の撮影光軸の方向が大きく変化することになり、横断歩道CWの正確な位置(視覚障碍者に対する横断歩道CWの相対的な位置)を、この取得された画像(カメラ20の撮影光軸が左右に振られながら撮影された画像)から認識することは困難となっている。以下、このような状況について具体的に説明する。
図5は、視覚障碍者Huが白杖1を振りながら横断歩道CWを横断している状態を示す平面図である。この図5におけるx軸は視覚障碍者Huの歩行方向に沿う軸(視覚障碍者Huの視線前方の軸:前方向が正)である。また、y軸はx軸に直交する左右方向軸(視覚障碍者Huの左方向が正)であり、z軸はx軸およびy軸それぞれに直交する鉛直方向軸(上方向が正)である。また、この図5は、視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している状態を示している。また、この図5では、白杖1が視覚障碍者Huの前側に位置している状態を実線で示し、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振っている状態を一点鎖線で示し、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振っている状態を二点鎖線で示している。
このように視覚障碍者Huが白杖1を左右に振りながら横断歩道CWを横断している状態にあっては、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振っている状況ではカメラ20の撮影光軸も左側に振られるため、仮に視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしてもカメラ20によって撮影される画像は横断歩道CWの左側の画像となる(一方のカメラ20Bの撮影画像である図6を参照)。一方、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振っている状況ではカメラ20の撮影光軸も右側に振られるため、仮に視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしてもカメラ20によって撮影される画像は横断歩道CWの右側の画像となる(一方のカメラ20Bの撮影画像である図7を参照)。そして、x軸に対して視覚障碍者Huが白杖1を左側に振る際の最大角度(最も大きく振られた状態での角度)をθlとし、x軸に対して視覚障碍者Huが白杖1を右側に振る際の最大角度をθrとした場合、視覚障碍者Huの肩関節および腕の可動範囲の影響から、白杖1を右側に振る際の最大角度θrの方が、白杖1を左側に振る際の最大角度θlよりも大きくなる傾向がある(θl<θr)。図6および図7は、このような状況においてカメラ20によって撮影された画像を示しており、視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしても、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振っている状況でカメラ20によって撮影された横断歩道CWの幅方向(画像内での横断歩道CWの左側部分の幅方向)の寸法w1 (図6における幅寸法w1)に対し、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振っている状況でカメラ20によって撮影された横断歩道CWの方向(画像内での横断歩道CWの右側部分の幅方向)の寸法w1(図7における幅寸法w1)は短くなっている。このため、視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしても、画像の幅寸法w0に対する横断歩道CWの幅方向の寸法w1 図5に示すように視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している場合には、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振った場合の方が白杖1を左側に振った場合よりも横断歩道CWの画像内占有率rwは小さくなっている(図6および図7を参照)。
これに対し、図示しないが、視覚障碍者Huが左手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している場合には、白杖1を左側に振る際の最大角度θlの方が、白杖1を右側に振る際の最大角度θrよりも大きくなる傾向があるため(θl>θr)、視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしても、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振った場合の方が白杖1を右側に振った場合よりも横断歩道CWの画像内占有率rwは小さくなる。
このように、視覚障碍者Huが左右の何れの手で白杖1を把持しているかによって、白杖1の左右の振り幅(振り角度)が異なり、その影響によって、横断歩道CWの画像内占有率rwも変動することになる。
図5~図7を用いた説明では、カメラ20が傾くことなく(カメラ20の上下方向が鉛直方向(z軸方向)に一致した状態が維持されて)視覚障碍者Huが白杖1を左右に振りながら横断歩道CWを横断する場合を想定しているが、実際には、視覚障碍者Huが白杖1を左右に振った場合、カメラ20が傾くことになる。つまり、カメラ20の上下方向が鉛直方向(z軸方向)に対して傾くことになる。具体的には、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振った場合には、カメラ20の上下方向が鉛直方向に対して右側に傾く(x軸方向の前方を向いた場合の右側に傾く)ことになる。逆に、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振った場合には、カメラ20の上下方向が鉛直方向に対して左側に傾く(x軸方向の前方を向いた場合の左側に傾く)ことになる。この状況を図8~図10を用いて説明する。
図8は、視覚障碍者Huが白杖1を振りながら横断歩道CWを横断している状態を示す正面図である。この図8においてもx軸は視覚障碍者Huの歩行方向に沿う軸(視覚障碍者Huの視線前方の軸)である。また、y軸はx軸に直交する左右方向軸であり、z軸はx軸およびy軸それぞれに直交する鉛直方向軸である。また、この図8も、視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している状態を示している。また、この図8でも、白杖1が視覚障碍者Huの前側に位置している状態を実線で示し、視覚障碍者Huが白杖1を左側(図8における右側)に振っている状態を一点鎖線で示し、視覚障碍者Huが白杖1を右側(図8における左側)に振っている状態を二点鎖線で示している。
このように視覚障碍者Huが白杖1を左右に振りながら横断歩道CWを横断している状態にあっては、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振っている状況ではカメラ20の撮影光軸が左側に振られるだけでなく、カメラ20の上下方向が鉛直方向に対して右側に傾くことになるため、仮に視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしてもカメラ20によって撮影される画像は横断歩道CWの左側の画像となると共に左側に傾いた画像となる(一方のカメラ20Bの撮影画像である図9を参照)。一方、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振っている状況ではカメラ20の撮影光軸が右側に振られるだけでなく、カメラ20の上下方向が鉛直方向に対して左側に傾くことになるため、仮に視覚障碍者Huが横断歩道CWの幅方向の中央部を歩行していたとしてもカメラ20によって撮影される画像は横断歩道CWの右側の画像となると共に右側に傾いた画像となる(一方のカメラ20Bの撮影画像である図10を参照)。そして、x軸に対して視覚障碍者Huが白杖1を左側に振る際のy軸に対するカメラ20の最大傾き角度をφlとし、x軸に対して視覚障碍者Huが白杖1を右側に振る際のy軸に対するカメラ20の最大傾き角度をφrとした場合、前述したように白杖1を右側に振る際の最大角度θrの方が、白杖1を左側に振る際の最大角度θlよりも大きくなる傾向があることに起因して(図5を参照)、白杖1を右側に振る際の最大傾き角度φrの方が、白杖1を左側に振る際の最大傾き角度φlよりも大きくなる傾向がある(φl<φr)。図9および図10は、このような状況においてカメラ20によって撮影された画像を示しており、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振っている状況での最大傾き角度φlに対し、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振っている状況での最大傾き角度φrの方が大きくなっている。そして、前述した横断歩道CWの画像内占有率rw(=w1/w0)を算出するための横断歩道CWの幅方向の寸法(画像内における幅方向の寸法)w1は、この最大傾き角度の影響を受けた長さ寸法(例えば傾いた横断歩道CWの白線の画像に外接するBoundary Boxの幅寸法)として求められるため、この最大傾き角度が大きいほど寸法w1は小さい値として求められてしまうことになり、画像内で横断歩道CWが傾いていることの影響によって横断歩道CWの幅方向の寸法w1を正確に求めることができなくなる。
前述の場合、視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断していたために、視覚障碍者Huが白杖1を右側に振った場合の方が、白杖1を左側に振った場合よりも最大傾き角度が大きくなり、その結果、右側に振った場合の方が、横断歩道CWの画像内占有率rwは、よりいっそう小さくなっているが、視覚障碍者Huが左手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している場合には、視覚障碍者Huが白杖1を左側に振った場合の方が、白杖1を右側に振った場合よりも最大傾き角度が大きくなり、その結果、左側に振った場合の方が、横断歩道CWの画像内占有率rw このような状況に鑑み、把持状態推定部85では、以下の手法によって、視覚障碍者Huが白杖1を把持している手(左右の何れかの手)を推定し、それに応じて画像を補正して、前記横断歩道検出部82による横断歩道CWの認識が正確に行えるようにしている。
<各座標系の説明>
先ず、画像の補正に使用する各座標系について説明する。図11は、視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している状態において路面基準のグローバル座標系を説明するための視覚障碍者Huの側面図である。この図11においてもx軸は視覚障碍者Huの歩行方向に沿う軸(視覚障碍者Huの視線前方の軸)である。また、y軸はx軸に直交する左右方向軸であり、z軸はx軸およびy軸それぞれに直交する鉛直方向軸である。そして、これら軸を有する座標系を、路面基準の直交右手座標系としてグローバル座標系xg=(x,y,z)Tとする。
先ず、画像の補正に使用する各座標系について説明する。図11は、視覚障碍者Huが右手に白杖1を把持して横断歩道CWを横断している状態において路面基準のグローバル座標系を説明するための視覚障碍者Huの側面図である。この図11においてもx軸は視覚障碍者Huの歩行方向に沿う軸(視覚障碍者Huの視線前方の軸)である。また、y軸はx軸に直交する左右方向軸であり、z軸はx軸およびy軸それぞれに直交する鉛直方向軸である。そして、これら軸を有する座標系を、路面基準の直交右手座標系としてグローバル座標系xg=(x,y,z)Tとする。
また、図12(杖座標系およびカメラ座標系を説明するための白杖1の一部を示す側面図)および図13(杖座標系およびカメラ座標系を説明するための白杖1の一部を示す正面図)に示すように、白杖1に備えられたIMU90の配設位置を原点として、白杖1の軸方向をz0軸(上方向が正)、このz0軸に直交する前方向をx0軸(前方向が正)、これらz0軸およびx0軸それぞれに直交する左右方向をy0軸(視覚障碍者Huの左方向が正)とする直交右手座標系を杖座標系xc=(x0,y0,z0)Tとする。尚、説明の簡素化のために、グローバル座標系xgの原点と杖座標系xcの原点とは同一位置とする。
更に、白杖1にN個(本実施形態の場合にはN=2)のカメラ20を備えている場合における、カメラj(j=1,…,N)の撮影光軸方向をξj軸(前方向が正)、このξj軸に直交する上方をζj軸(上方向が正)、これらξj軸およびζj軸それぞれに直交する左右方向をηj軸(視覚障碍者Huの左方向が正)とする直交右手座標系をカメラ座標系(本発明でいう画像取得手段座標系)xp=(ξj,ηj,ζj)Tとする。
<画像回転処理の説明>
IMU90によって計測された3軸加速度および3軸角速度の情報を把持状態推定部85が受けた場合に、取得された加速度ベクトルをa=(ax,ay,az)Tとし、取得された角速度ベクトルをω=(ωx,ωy,ωz)Tとする。
IMU90によって計測された3軸加速度および3軸角速度の情報を把持状態推定部85が受けた場合に、取得された加速度ベクトルをa=(ax,ay,az)Tとし、取得された角速度ベクトルをω=(ωx,ωy,ωz)Tとする。
これら3軸加速度および3軸角速度は各時刻t=ti(i=1,…,n)で取得され、時刻tiにおける取得データはそれぞれa=a(ti)およびω=ω(ti)と表される。この場合、杖座標系xcとグローバル座標系xgとの関係は以下の式(1)で表すことができる。
ここで、Rcは座標変換マトリクスであり、以下の式(2)である。
一方、杖座標系xcとカメラ座標系xp(1個のカメラ20を対象とした場合のカメラ座標系はxj)の関係としては、カメラ20の位置が白杖1において不変であることから、白杖1の位置や姿勢に関わらず、以下の式(3)で表すことができる。
ここで、AjおよびBjはアフィン変換マトリクスであり、カメラ20およびIMU90それぞれの配設位置によって一意的に求められるものである。
そして、式(1)および式(3)により(式(3)に式(1)を代入することにより)、カメラ座標系xjとグローバル座標系xgとの関係は以下の式(4)として得ることができる。
この式(4)から、図14に示すように、グローバル座標系xgにおけるz軸(路面に対する鉛直上向きの軸)とカメラ座標系xjにおけるζj軸(撮影光軸に対して直交する上向きの軸)との成す角φjを算出することができる。つまり、白杖1が左右に振られることに起因したカメラ20の傾きを算出することができる。
このようにしてカメラ20の傾きである角φjが算出されたことにより、この角φjだけ画像を回転補正することで(図14の画像を時計回り方向に角φjだけ回転補正することで)、図15に示すように、カメラ20の傾きを0とした場合の画像を生成することが可能となる。つまり、横断歩道CWの各白線WLを水平方向に延在するものとした画像として得ることができる。このため、この白線WLの画像に外接するようにBoundary Boxを設定した場合には、カメラ20の傾きによる悪影響を排除することができ、このBoundary Boxの幅寸法を実際の白線WLの幅寸法に略一致させることが可能になり、前述した横断歩道CWの画像内占有率rwを適正に求めることができる。つまり、カメラ20の傾きの影響を受けておらず、左右の振り幅の差の影響のみを受けた画像内占有率rwとして求めることができる。
図14および図15は、白杖1が左側に振られたことで傾いた画像を回転補正(時計回り方向に回転補正)する場合を例に挙げたが、白杖1が右側に振られたことで傾いた画像を回転補正(反時計回り方向に回転補正)する場合も同様の処理が行われる。
尚、画像回転処理としては前述したものには限定されず、横断歩道CWの白線WLが一つでも検出できている場合(例えば周知のマッチング処理等によって白線WLが一つでも検出できている場合)には、その白線WLに対して外接するBoundary Boxを設定し、当該Boundary Box内での白線WLのエッジ抽出の結果を用いて白線WLの傾き(カメラ20の傾きである角φjに相当)が認識できるので、その傾き角度角だけ画像を回転補正することで、カメラ20の傾きを0とした場合の画像を生成することが可能である。
<白杖の振り幅推定の説明>
前述したように、式(4)によりグローバル座標系xgにおけるz軸とカメラ座標系xjにおけるζj軸との成す角φjを算出することが可能であるが、カメラ20の最大傾き角度φ(φl,φr)と、水平方向での白杖1の振り角度である前記最大角度θ(θl,θr)とは相関があることを利用すれば、同様にして、カメラ座標系xjの撮影光軸方向であるξj軸とグローバル座標系xgのx軸との成す角θjを算出することも可能である。以下、具体的に説明する。
前述したように、式(4)によりグローバル座標系xgにおけるz軸とカメラ座標系xjにおけるζj軸との成す角φjを算出することが可能であるが、カメラ20の最大傾き角度φ(φl,φr)と、水平方向での白杖1の振り角度である前記最大角度θ(θl,θr)とは相関があることを利用すれば、同様にして、カメラ座標系xjの撮影光軸方向であるξj軸とグローバル座標系xgのx軸との成す角θjを算出することも可能である。以下、具体的に説明する。
前述したように白杖1を左側に振った場合のカメラ20の最大傾き角度をφlとしx軸に対する最大角度をθlとすると共に、白杖1を右側に振った場合のカメラ20の最大傾き角度をφrとしx軸に対する最大角度をθrとした場合、視覚障碍者Huによる白杖1の持ち方や視覚障碍者Huの姿勢等によってx軸に対する角度(最大角度)θjにはバラツキが生じる。これに対し、カメラ20の最大傾きに起因するz軸との成す角φjは、前記加速度ベクトルの時刻歴データにより推定することが可能であるため、これら角度φlとφrとの絶対値比較が可能である(バラツキを生じることなく絶対値比較が可能である)。このため、式(4)から、前記角度φから前記角度θを算出する(角度φを角度θに変換する)以下の推定式(5)を求めることができる。
ここでαiは角度φを変数とする単調増加関数であり、αi(-x)=-1×αi(x)と仮定できる。
更に、視覚障碍者Huの歩行時において白杖1を左右に振る際の加速度応答成分を加速度計測データより差し引くことによって、鉛直方向(z軸方向)に直交する移動方向を推定できる。
これにより、視覚障碍者Huの歩行時におけるθ=0(白杖1の振り幅が0の場合)の視覚障碍者Huの視線方向であるx軸を加速度データから測定することができる。そして、式(5)から、θ=0の位置からの白杖1の左右の振り幅の大きさを推定することができ、この左右の振り幅の大きさの差によって、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持しているのか左手で把持しているのかを推定することが可能になる。つまり、θ=0の位置からの白杖1の左右の振り幅として、右側の振り幅が左側の振り幅よりも大きい場合には、視覚障碍者Huは白杖1を右手で把持していると推定することができる。逆に、θ=0の位置からの白杖1の左右の振り幅として、左側の振り幅が右側の振り幅よりも大きい場合には、視覚障碍者Huは白杖1を左手で把持していると推定することができる。
(歩行支援情報生成部)
前述した把持状態推定部85によって推定された把持状態(視覚障碍者Huによる白杖1の把持状態)に応じ、歩行支援情報生成部86は、視覚障碍者Huに対する歩行支援のための情報を生成する。例えば、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持しているのか左手で把持しているのかの推定結果に応じて、横断歩道CWからの逸脱の判定を行うための値(以下、判定値という)を変更(補正)し、その変更された判定値を用いて逸脱判定を行う。そして、逸脱すると判定した場合には、逸脱判定信号を情報送信部87に送信する。この逸脱判定信号の生成が、本発明でいう「視覚障碍者に対する歩行支援のための情報の生成」に相当する。この逸脱判定信号は、情報送信部87から振動発生機50に送信される。振動発生機50は、この逸脱判定信号を受けたことに連動して、所定のパターンで振動し、視覚障碍者Huに、横断歩道CWから逸脱する可能性があることの通知(逸脱警告)を行うことになる。
前述した把持状態推定部85によって推定された把持状態(視覚障碍者Huによる白杖1の把持状態)に応じ、歩行支援情報生成部86は、視覚障碍者Huに対する歩行支援のための情報を生成する。例えば、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持しているのか左手で把持しているのかの推定結果に応じて、横断歩道CWからの逸脱の判定を行うための値(以下、判定値という)を変更(補正)し、その変更された判定値を用いて逸脱判定を行う。そして、逸脱すると判定した場合には、逸脱判定信号を情報送信部87に送信する。この逸脱判定信号の生成が、本発明でいう「視覚障碍者に対する歩行支援のための情報の生成」に相当する。この逸脱判定信号は、情報送信部87から振動発生機50に送信される。振動発生機50は、この逸脱判定信号を受けたことに連動して、所定のパターンで振動し、視覚障碍者Huに、横断歩道CWから逸脱する可能性があることの通知(逸脱警告)を行うことになる。
具体的な一例として、この歩行支援情報生成部86による判定値の変更動作としては、視覚障碍者Huが横断歩道CWを横断している状況において、横断歩道CWからの逸脱を回避するべく歩行方向の変更を促す通知を行う場合に適用する際にあっては、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持している場合には、右側の振り幅が大きくなり、画像の右端と横断歩道CWの右端との間の距離が長く検出されてしまう傾向となるので、視覚障碍者Huが横断歩道CWの右側に逸脱すると判定するための判定値(画像の右端と横断歩道CWの右端との間の距離が所定値以上になったら右側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うための判定値;後述する式(17)を用いた判定での値;w5)を、視覚障碍者Huが白杖1を左手で把持している場合における判定値(同様に、画像の右端と横断歩道CWの右端との間の距離が所定値以上になったら右側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うための判定値;w5)よりも小さく設定(実際に計測されている値よりも小さくなるように補正)する。
同様に、視覚障碍者Huが白杖1を左手で把持している場合には、左側の振り幅が大きくなり、画像の左端と横断歩道CWの左端との間の距離が長く検出されてしまう傾向となるので、視覚障碍者Huが横断歩道CWの左側に逸脱すると判定するための判定値(画像の左端と横断歩道CWの左端との間の距離が所定値以上になったら左側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うための判定値;後述する式(17)を用いた判定での値;w3)を、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持している場合における判定値(同様に、画像の左端と横断歩道CWの左端との間の距離が所定値以上になったら左側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うための判定値;w3)よりも小さく(実際に計測されている判定値よりも小さくなるように補正)設定する。
このように視覚障碍者Huが何れの手で白杖1を把持しているかに応じて前記判定値を変更する動作が、本発明でいう「視覚障碍者が白杖を右手で把持している場合と左手で把持している場合とで、歩行支援のための通知を行うか否かを判断するための判定値を異なるものとする」動作に相当する。
また、この歩行支援情報生成部86は、前述したように視覚障碍者Huの歩行時におけるθ=0(白杖1の振り幅が0)の視覚障碍者Huの視線方向であるx軸を加速度データから測定することができると共に、白杖1を右側に振る際の最大角度θrおよび白杖1を左側に振る際の最大角度θlが測定できるので、視覚障碍者Huが白杖1を左右に振りながら歩行している際に所定時間間隔で取得された画像を合成することにより、θ=0の位置を中心(左右方向の中心)とした前方の画像(以下、単に前方画像と呼ぶ)を作成することも可能となっている。
-歩行支援動作-
次に、前述の如く構成された歩行支援システム10による歩行支援動作について説明する。先ず、歩行支援動作の概要について説明する。
次に、前述の如く構成された歩行支援システム10による歩行支援動作について説明する。先ず、歩行支援動作の概要について説明する。
(歩行支援動作の概要)
ここでは、視覚障碍者の歩行中における時間をt∈[0,T]と表し、当該視覚障碍者の状態を表す変数(状態変数)をs∈RTとする。また、時刻tのときの状態変数はst∈{0,1,2}の整数で表現され、それぞれ、歩行状態(st=0)、停止状態(st=1)、横断状態(st=2)を表すものとする。ここでいう歩行状態とは、例えば視覚障碍者が交差点(信号機TLおよび横断歩道CWのある交差点)に向かって歩行している状態が想定される。また、停止状態とは、視覚障碍者が横断歩道CWの手前に達し、信号待ちによって(赤信号から青信号に切り替わるのを待って)停止している状態(歩行していない状態)が想定される。また、横断状態とは、視覚障碍者が横断歩道CWを横断している状態が想定される。
ここでは、視覚障碍者の歩行中における時間をt∈[0,T]と表し、当該視覚障碍者の状態を表す変数(状態変数)をs∈RTとする。また、時刻tのときの状態変数はst∈{0,1,2}の整数で表現され、それぞれ、歩行状態(st=0)、停止状態(st=1)、横断状態(st=2)を表すものとする。ここでいう歩行状態とは、例えば視覚障碍者が交差点(信号機TLおよび横断歩道CWのある交差点)に向かって歩行している状態が想定される。また、停止状態とは、視覚障碍者が横断歩道CWの手前に達し、信号待ちによって(赤信号から青信号に切り替わるのを待って)停止している状態(歩行していない状態)が想定される。また、横断状態とは、視覚障碍者が横断歩道CWを横断している状態が想定される。
本実施形態は、時刻tでカメラ20によって撮影された画像Xt∈Rw0×h0(w0,h0はそれぞれ画像の縦と横の画像サイズを表す)が入力された際に、視覚障碍者の歩行を支援することを目的とした出力y∈RTを求めるアルゴリズムを提案するものとなっている。ここで、視覚障碍者の歩行を支援する出力としては、yt∈{1,2,3,4}の整数で表現され、それぞれ、停止指示(yt=1)、歩行指示(yt=2)、右逸脱警告(yt=3)、左逸脱警告(yt=4)を表すものとする。以下の説明では停止指示を停止通知という場合もある。また、歩行指示を歩行通知または横断通知という場合もある。これらの指示(通知)および警告は、振動発生機50の振動のパターンによって視覚障碍者に対して行われる。視覚障碍者は、予め、指示(通知)および警告と、振動発生機50の振動のパターンとの関係を把握しており、振動発生機50の振動のパターンをグリップ部3から感じ取ることで指示および警告の種類を把握することになる。
また、後述するように、視覚障碍者の状態を表す変数sの遷移を判定する関数(以下、状態遷移関数という)f0,f1,f2と、横断歩道CWからの逸脱(左右方向への逸脱)を判断する状態遷移関数f3が存在しており、これら状態遷移関数f0~f3が前記ROMに記憶されている。これら状態遷移関数f0~f3の具体例については後述する。
(出力yおよび状態遷移関数fiの概要)
前述した視覚障碍者の歩行を支援する出力yt∈{1,2,3,4}について説明する。
前述した視覚障碍者の歩行を支援する出力yt∈{1,2,3,4}について説明する。
尚、以下では、2台のカメラ20A,20Bのうち1台のカメラ20によって撮影された画像を対象として説明する。また、以下の説明では、発明の理解を容易にするために前記前方画像(θ=0の位置を左右方向の中心として作成された前方の画像)に基づいて各出力を行う場合を例に挙げて説明する。
前述したように出力ytとしては、視覚障碍者の歩行支援を目的として、停止指示(yt=1)、歩行指示(yt=2)、右逸脱警告(yt=3)、左逸脱警告(yt=4)の4種類の出力が存在する。
停止指示(yt=1)は、歩行する視覚障碍者が横断歩道の手前まで達した時点で当該視覚障碍者に歩行を停止する旨の通知を行うものである。例えば、前方画像が、図16(視覚障碍者が横断歩道CWに向かう歩行状態にある際における前方画像の一例を示す図)に示す状態であれば、横断歩道CWまでの距離が比較的長いため、停止指示(yt=1)は行わず、視覚障碍者は歩行状態(st=0)が継続され、前方画像が、図17(視覚障碍者が横断歩道CWに達した状態における前方画像の一例を示す図)に示す状態となった場合には、視覚障碍者が横断歩道CWの手前に達したタイミングであることから、停止指示(yt=1)を出力して、当該視覚障碍者に歩行を停止する旨の通知を行うことになる。この停止指示(yt=1)を行う条件が成立しているか否かの判定(状態遷移関数の算出結果に基づく判定)については後述する。
歩行指示(yt=2)は、信号機TLが赤信号から青信号に切り替わったことで、視覚障碍者に歩行(横断歩道CWの横断)を指示する旨の通知を行うものである。例えば、横断歩道CWの手前で視覚障碍者が停止状態(st=1)にある状況で、前方画像に基づいて信号機TLが赤信号から青信号に切り替わった場合に、歩行指示(yt=2)を出力して、当該視覚障碍者に横断歩道CWの横断を開始する旨の通知を行う。この歩行指示(yt=2)を行う条件が成立しているか否かの判定(状態遷移関数の算出結果に基づく判定)についても後述する。
そして、本実施形態では、この歩行指示(yt=2)を行うタイミングとして、信号機TLの状態が赤信号から青信号に切り替わったタイミングとしている。つまり、仮に、視覚障碍者が横断歩道CWに達した時点で既に信号機TLが青信号となっていたとしても歩行指示(yt=2)は行わず、信号機TLが一旦赤信号となり、その後に青信号に切り替わったタイミングで歩行指示(yt=2)を行うようにしている。これによって、視覚障碍者が横断歩道CWを横断するに当たって、信号機TLが青信号となっている時間を十分に確保することができるようにし、視覚障碍者が横断歩道CWを横断している途中で信号機TLが青信号から赤信号に切り替わってしまうといった状況を招き難くしている。
右逸脱警告(yt=3)は、横断歩道CWを横断している視覚障碍者が横断歩道CWから右側に逸脱する方向に向かって歩行している際に、当該視覚障碍者に対して横断歩道CWから右側に逸脱する虞があることの警告を行うものである。例えば、前方画像が図18(視覚障碍者が横断歩道CWの横断状態にある際における前方画像の一例を示す図)に示す状態にあって、視覚障碍者が横断歩道CWの横断状態(st=2)にある状況で、前方画像が、図19(横断歩道CWの横断状態にある視覚障碍者が横断歩道CWの右側に逸脱する方向に向かって歩行している際の前方画像の一例を示す図)に示す状態となった場合には、視覚障碍者が横断歩道CWから右側に逸脱する方向に向かって歩行していることから、右逸脱警告(yt=3)を出力して、当該視覚障碍者に警告を行うことになる。
左逸脱警告(yt=4)は、横断歩道CWを横断している視覚障碍者が横断歩道CWから左側に逸脱する方向に向かって歩行している際に、当該視覚障碍者に対して横断歩道CWから左側に逸脱する虞があることの警告を行うものである。例えば、前方画像が図18に示す状態にあって、視覚障碍者が横断歩道CWの横断状態(st=2)にある状況で、前方画像が、図20(横断歩道CWの横断状態にある視覚障碍者が横断歩道CWの左側に逸脱する方向に向かって歩行している際の前方画像の一例を示す図)に示す状態となった場合には、視覚障碍者が横断歩道CWから左側に逸脱する方向に向かって歩行していることから、左逸脱警告(yt=4)を出力して、当該視覚障碍者に警告を行うことになる。
これら右逸脱警告(yt=3)および左逸脱警告(yt=4)を行う条件が成立しているか否かの判定(状態遷移関数の算出結果に基づく判定)についても後述する。
(歩行支援で用いる特徴量)
次に、視覚障碍者に対する歩行支援で用いる特徴量について説明する。視覚障碍者に対して、横断歩道CWの手前での歩行の停止通知、および、その後の横断開始通知等の各種通知を適切に行うためには、横断歩道CWの位置(横断歩道CWにおいて最も手前側にある白線WL1の位置)、および、信号機TLの状態(青信号であるか赤信号であるか)を前方画像に基づいて正確に認識しておくことが必須である。つまり、白線WL1の位置および信号機TLの状態を反映させたモデル式を構築しておき、このモデル式に従って、現在、視覚障碍者が置かれている状況を把握できるようにしておく必要がある。
次に、視覚障碍者に対する歩行支援で用いる特徴量について説明する。視覚障碍者に対して、横断歩道CWの手前での歩行の停止通知、および、その後の横断開始通知等の各種通知を適切に行うためには、横断歩道CWの位置(横断歩道CWにおいて最も手前側にある白線WL1の位置)、および、信号機TLの状態(青信号であるか赤信号であるか)を前方画像に基づいて正確に認識しておくことが必須である。つまり、白線WL1の位置および信号機TLの状態を反映させたモデル式を構築しておき、このモデル式に従って、現在、視覚障碍者が置かれている状況を把握できるようにしておく必要がある。
図21および図22は、視覚障碍者に対する歩行支援で用いる特徴量{w3,w4,w5,h3,r,b}T∈R6の概要を示している。r,bは、それぞれ信号機TLの状態(赤信号および青信号)の検出結果(0:未検出、1:検出)を表している。この信号機TLの状態の検出に際し、前述したように図4において破線で囲まれた領域Aが抽出されることで信号機TLの状態の認識が行われることになる。また、w3,w4,w5,h3は、前記横断歩道検出部82によって認識された横断歩道CWの白線WL1~WL7のうち、最も手前に位置する白線WL1に対するBoundary Boxを用いて図22に示すように定義される。つまり、w3は画像の左端からBoundary Boxの左端(白線WL1の左端に相当)までの距離であり、w4はBoundary Boxの幅寸法(白線WL1の幅寸法に相当)であり、w5は画像の右端からBoundary Boxの右端(白線WL1の右端に相当)までの距離であり、h3は画像の下端からBoundary Boxの下端(白線WL1の手前側の端縁に相当)までの距離である。
深層学習を用いて横断歩道CWおよび信号機TLを検出する関数をgとした場合、時刻tにおける画像(前方画像)Xt∈Rw0×h0を用いて予測された横断歩道CWおよび信号機TLのBoundary Boxをg(Xt)と表現すると、視覚障碍者の歩行を支援するために必要な特徴量としては、以下の式(6)として表現できる。
ここで、
は前記特徴量j(t)を抽出する演算子であり、前記g(Xt)に対する後処理を行うためのものであり、p1は1フレーム当たりのBoundary Boxの最大数である。
(状態遷移関数)
次に、状態遷移関数について説明する。この状態遷移関数は、前述したように、停止指示(yt=1)、歩行指示(yt=2)、右逸脱警告(yt=3)、左逸脱警告(yt=4)それぞれの通知を行う条件が成立しているか否かを判定するために用いられるものである。
次に、状態遷移関数について説明する。この状態遷移関数は、前述したように、停止指示(yt=1)、歩行指示(yt=2)、右逸脱警告(yt=3)、左逸脱警告(yt=4)それぞれの通知を行う条件が成立しているか否かを判定するために用いられるものである。
時刻t+1での状態量(状態変数)st+1は、横断歩道CWの特徴量に対する時刻履歴情報J={j(0),j(1),…j(t)}と、現在の状態量(状態変数)st、および、時刻t+1での前方画像Xt+1を用いて以下の式(8)のように表すことができる。
この式(8)における状態遷移関数fは、現在時刻の状態量に応じて以下の式(9)のように定義することができる。
つまり、視覚障碍者の歩行の推移としては、歩行(例えば横断歩道CWに向かう歩行)→停止(例えば横断歩道CWの手前での停止)→横断(例えば横断歩道CWの横断)→歩行(例えば横断歩道CWの横断完了後の歩行)を繰り返すことになるが、歩行状態(st=0)にある視覚障碍者に対して停止指示(yt=1)を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数がf0(J,Xt+1)であり、停止状態(st=1)にある視覚障碍者に対して横断(歩行)指示(yt=2)を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数がf1(J,Xt+1)であり、横断状態(st=2)にある視覚障碍者に対して歩行(横断の完了)の通知を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数がf2(J,Xt+1)である。また、横断状態(st=2)にある視覚障碍者に対して横断歩道CWからの逸脱の警告を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数がf3(J,Xt+1)である。
以下、各状態量(状態変数)それぞれに応じた状態遷移関数について具体的に説明する。
(歩行状態で適用される状態遷移関数)
現在時刻の状態量が歩行状態(st=0)である場合に使用される状態遷移関数f0(j,Xt+1)は、前記式(6)の特徴量を用いて以下の式(10)~(12)とすることができる。
現在時刻の状態量が歩行状態(st=0)である場合に使用される状態遷移関数f0(j,Xt+1)は、前記式(6)の特徴量を用いて以下の式(10)~(12)とすることができる。
ここで、HはHeaviside関数であり、δはDelta関数である。また、α1,α2は判定基準に用いられるパラメータであり、t0は利用する過去の状態を指定するパラメータである。また、I2={0,1,0,0,0,0}T、I4={0,0,0,1,0,0}Tである。
この式(10)を用いれば、α1>h3、且つ、w4>α2の条件が過去t0時間では成立しておらず、時刻t+1で初めて成立した場合にのみ「1」が得られ、それ以外の場合には「0」が得られることになる。つまり、α1>h3が成立したことで、視覚障碍者の足元に、横断歩道CWにおける最も手前に位置する白線WL1(白線のBoundary Boxの下端)が位置し、w4>α2が成立したことで、その白線WL1は視覚障碍者の進行方向に直交する方向に延在する(白線のBoundary Boxの幅寸法が所定寸法を超えている)ものであることが判定された場合に「1」が得られるものとなっている。
このようにして式(10)において「1」が得られた場合には、停止指示(yt=1)を行う条件が成立したとして、歩行状態にある視覚障碍者に停止指示(例えば横断歩道CWの手前での歩行の停止指示;停止通知)を行うことになる。
また、本実施形態では、横断歩道CWが視覚障碍者の足元にある条件を(α1>h3)だけでなく、検出された横断歩道CWの幅の制約(w4>α2)を加えていることで、視覚障碍者の進行方向にある横断歩道CW以外の横断歩道(交差点において、視覚障碍者の進行方向に直交する方向の横断歩道等)が、画像Xt+1に含まれる場合の誤検知を防止している。つまり、道路の交差点等において横断方向が互いに異なる複数の横断歩道が存在している場合であっても、視覚障碍者が横断すべき横断歩道CW(白線WL1が、視覚障碍者が横断すべき方向に対して交差する方向に延びていることで、当該白線WL1の幅寸法が比較的広く認識されている横断歩道CW)とその他の横断歩道(白線の幅寸法が比較的狭く認識されている横断歩道)とを明確に判別することができ、視覚障碍者に向けての横断の開始通知を高い精度で正確に行うことが可能になっている。
(停止状態で適用される状態遷移関数)
前時刻の状態量が停止状態(st=1)である場合に使用される状態遷移関数f1(j,Xt+1)は、以下の式(13)~(15)とすることができる。
前時刻の状態量が停止状態(st=1)である場合に使用される状態遷移関数f1(j,Xt+1)は、以下の式(13)~(15)とすることができる。
ここでX’t+1は、Xt+1から画像のトリミングと拡大処理とを行って得られたものである。つまり、信号機TLの認識精度が十分に高められた画像X’t+1となっている。また、I5={0,0,0,0,1,0}T、I6={0,0,0,0,0,1}Tである。
式(13)では、過去t0時間に赤信号を検知した後で、時刻t+1で初めて青信号を検知した場合にのみ「1」が得られ、それ以外の場合には「0」が得られることになる。
このようにして式(13)において「1」が得られた場合には、歩行(横断)指示(yt=2)を行う条件が成立したとして、停止状態にある視覚障碍者に横断指示(例えば横断歩道の横断指示;横断通知)を行うことになる。
また、信号機がない交差点の横断歩道では前述のロジックでの状態遷移ができない場合がある。この課題を解決するために、新たなパラメータt1>t0を導入し、時間t1の間、停止状態からの状態遷移がないと判断された場合に、歩行状態に遷移するようにしてもよい。
(横断状態で適用される状態遷移関数)
前時刻の状態量が横断状態(st=2)である場合に使用される状態遷移関数f2(j,Xt+1)は、以下の式(16)とすることができる。
前時刻の状態量が横断状態(st=2)である場合に使用される状態遷移関数f2(j,Xt+1)は、以下の式(16)とすることができる。
この式(16)では、過去t-t0から、現在時刻t+1の間に一度も信号機TLおよび足元の横断歩道CWが検出できなかった場合にのみ「1」が得られ、それ以外の場合には「0」が得られることになる。つまり、横断歩道CWを渡りきったことで信号機TLおよび足元の横断歩道CWが検出できなかった場合にのみ「1」が得られることになる。
このようにして式(16)において「1」が得られた場合には、横断完了の通知を行う条件が成立したとして、歩行状態にある視覚障碍者に横断完了(横断歩道の横断の完了)の通知を行うことになる。
(横断歩道からの逸脱を判定する状態遷移関数)
視覚障碍者の横断歩道CWの横断中に、横断歩道CWからの逸脱を判定する状態遷移関数f3(j,Xt+1)は、以下の式(17)~(19)とすることができる。
視覚障碍者の横断歩道CWの横断中に、横断歩道CWからの逸脱を判定する状態遷移関数f3(j,Xt+1)は、以下の式(17)~(19)とすることができる。
ここで、α3は判定基準に用いられるパラメータである。また、I1={1,0,0,0,0,0}T、I3={0,0,1,0,0,0}Tである。
この式(17)では、検出された横断歩道CWの位置におけるフレームの中心からのズレ量が許容量以上であれば「1」が得られ、それ以外では「0」が得られることになる。つまり、w3の値が所定値よりも大きくなった場合(左逸脱の場合)や、w5の値が所定値よりも大きくなった場合(右逸脱の場合)に「1」が得られることになる。
本実施形態の場合には、式(17)において適用されるw3およびw5の値が、視覚障碍者Huが左右何れの手で白杖1を把持しているかに応じて異なる値(補正された値)とされる。
つまり、前述したように、視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持している場合には、右側の振り幅が大きくなり、画像の右端と横断歩道CWの右端との間の距離が長く検出されてしまう傾向となるので、式(17)において適用されるw5の値を所定量だけ小さくする(画像上での値よりも所定量だけ小さくする)ように補正し、この補正されたw5の値が所定値以上になったら(w5の値がw3の値よりも大きく、且つ画像内での横断歩道CWの右側の領域の比率(w5/w0)が所定値以上になったら)右側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うようにしている。尚、この際のw5の値に対する補正量は、白杖1を右側に振る際の前記最大角度θrまたは白杖1を右側に振る際の前記最大傾き角度をφrに応じ、角度が大きいほど補正量を大きく設定することになる。
同様に、視覚障碍者が白杖1を左手で把持している場合には、左側の振り幅が大きくなり、画像の左端と横断歩道CWの左端との間の距離が長く検出されてしまう傾向となるので、式(17)において適用されるw3の値を所定量だけ小さくする(画像上での値よりも所定量だけ小さくする)ように補正し、この補正されたw3の値が所定値以上になったら(w3の値がw5の値よりも大きく、且つ画像内での横断歩道CWの左側の領域の比率(w3/w0)が所定値以上になったら)左側に逸脱する可能性があるとする逸脱判定を行うようにしている。尚、この際のw3の値に対する補正量は、白杖1を左側に振る際の前記最大角度θlまたは白杖1を左側に振る際の前記最大傾き角度をφlに応じ、角度が大きいほど補正量を大きく設定することになる。
このようにして式(17)において「1」が得られた場合には、右逸脱警告(yt=3)または左逸脱警告(yt=4)を行うことになる。
(歩行支援動作)
次に、歩行支援システム10による歩行支援動作の流れについて説明する。
次に、歩行支援システム10による歩行支援動作の流れについて説明する。
図23は、前述した歩行支援動作の一連の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、視覚障碍者が路上(歩道上)を歩行している状況において、所定時刻tから所定時刻t+1までの間で1回のルーチンが実施されるように所定時間間隔を存して繰り返して実施される。以下の説明では各状態遷移関数における変数(J,Xt+1)の記載を省略する。
先ず、ステップST1において視覚障碍者が歩行状態にある状況で、ステップST2において、前記横断歩道検出部82によって認識された、横断歩道CWを含む画像領域における当該横断歩道CWの白線WL1の位置(より具体的には、最も手前に位置する白線WL1のBoundary Boxの位置)に基づき、前述した停止指示(yt=1)を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数f0(前記式10)において「1」が得られたか否かを判定する。
この状態遷移関数f0において「0」が得られている場合には、停止指示(yt=1)を行う条件が成立していない、つまり、視覚障碍者は未だ横断歩道CWの手前に達していないとしてNO判定され、ステップST1に戻る。視覚障碍者が横断歩道CWの手前に達するまで、ステップST2ではNO判定されるため、ステップST1,ST2の動作を繰り返すことになる。
視覚障碍者が横断歩道CWの手前に達し、状態遷移関数f0において「1」が得られた場合には、ステップST2でYES判定され、ステップST3に移る。このステップST3では、視覚障碍者に対して停止指示(yt=1)を行う。具体的には、視覚障碍者が持っている白杖1の振動発生機50が、停止指示(停止通知)を示すパターンで振動する。これにより、白杖1のグリップ部3を把持している視覚障碍者は、振動発生機50の振動のパターンを感じ取ることで停止指示されたことを認識し、歩行を停止することになる。
ステップST4において視覚障碍者が停止状態にある状況で、ステップST5において、前述した歩行指示(yt=2)を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数f1(前記式13)において「1」が得られたか否かを判定する。この状態遷移関数f1による判定動作に際しては、前述した図4で示したように、破線で囲まれた領域Aが抽出され、例えばこの領域Aが拡大処理されることで信号機TLの状態を容易に判断することが可能になる。
この状態遷移関数f1において「0」が得られている場合には、歩行指示(yt=2)を行う条件が成立していない、つまり、信号機TLは未だ青信号に切り替わっていないとしてNO判定され、ステップST4に戻る。信号機TLが青信号に切り替わるまで、ステップST5ではNO判定されるため、ステップST4,ST5の動作を繰り返すことになる。
信号機TLが青信号に切り替わり、状態遷移関数f1において「1」が得られた場合には、ステップST5でYES判定され、ステップST6に移る。この動作が、切り替わり認識部(信号機の状態が、停止指示状態から横断許可状態に切り替わったことを認識する切り替わり認識部)84の動作に相当する。
ステップST6では、視覚障碍者に対して歩行(横断)指示(yt=2)を行う。具体的には、視覚障碍者が持っている白杖1の振動発生機50が、歩行指示(横断開始通知)を示すパターンで振動する。これにより、白杖1のグリップ部3を把持している視覚障碍者は歩行指示されたことを認識し、横断歩道CWの横断を開始することになる。
ステップST7において視覚障碍者が横断歩道CWの横断状態にある状況で、ステップST8において、横断歩道CWからの逸脱の警告を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数f3(前記式17)において「1」が得られたか否かを判定する。この状態遷移関数f3を用いた判定動作にあっては、前述したように、視覚障碍者が左右何れの手で白杖1を把持しているかに応じて、式(17)におけるw3およびw5の値が補正され、この状態で、状態遷移関数f3において「1」が得られたか否かを判定することになる。
状態遷移関数f3において「1」が得られ、ステップST8でYES判定された場合、ステップST9において、その横断歩道CWからの逸脱の方向が右方向(右逸脱)であるか否かを判定する。そして、横断歩道CWからの逸脱の方向が右方向であり、ステップST9でYES判定された場合にはステップST10に移り、視覚障碍者に対して右逸脱警告(yt=3)を行う。具体的には、視覚障碍者が持っている白杖1の振動発生機50が、右逸脱警告を示すパターンで振動する。これにより、白杖1のグリップ部3を把持している視覚障碍者は右逸脱警告されたことを認識し、歩行方向を左方向に向けて変更することになる。
一方、横断歩道CWからの逸脱の方向が左方向であり、ステップST9でNO判定された場合にはステップST11に移り、視覚障碍者に対して左逸脱警告(yt=4)を行う。具体的には、視覚障碍者が持っている白杖1の振動発生機50が、左逸脱警告を示すパターンで振動する。これにより、白杖1のグリップ部3を把持している視覚障碍者は左逸脱警告されたことを認識し、歩行方向を右方向に向けて変更することになる。このようにして逸脱警告を行った後、ステップST14に移る。
横断歩道CWからの逸脱がなく、状態遷移関数f3において「0」が得られている場合には、ステップST8でNO判定され、ステップST12に移る。このステップST12では、現在、ステップST10またはステップST11における逸脱警告の発生中であるか否かを判定する。逸脱警告の発生中でなく、ステップST12でNO判定された場合には、ステップST14に移る。一方、逸脱警告の発生中であり、ステップST12でYES判定された場合には、ステップST13に移り、逸脱警告を解除してステップST14に移る。
ステップST14では、横断完了の通知を行う条件の成立の有無を判定するための状態遷移関数f2(前記式16)において「1」が得られたか否かを判定する。
この状態遷移関数f2において「0」が得られている場合には、横断完了の通知を行う条件が成立していない、つまり、視覚障碍者は横断歩道CWの横断中であるとしてNO判定され、ステップST7に戻る。横断歩道CWの横断が完了するまで、ステップST14ではNO判定されるため、ステップST7~ST14の動作を繰り返すことになる。
つまり、視覚障碍者の横断中に横断歩道CWからの逸脱が発生する場合には前述した逸脱警告が行われ、この逸脱が解消された場合には、逸脱警告が解除されるといった動作を、横断歩道CWの横断が完了するまで行われる。
視覚障碍者が横断歩道CWの横断を完了し、状態遷移関数f2において「1」が得られた場合には、ステップST14でYES判定され、ステップST15に移り、視覚障碍者に対して横断完了の通知を行う。具体的には、視覚障碍者が持っている白杖1の振動発生機50が、横断完了を示すパターンで振動する。これにより、白杖1のグリップ部3を把持している視覚障碍者は横断完了の通知が行われたことを認識し、通常の歩行状態に戻ることになる。
このようにして、視覚障碍者が横断歩道CWを横断する度に前述した動作が繰り返されることになる。
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、視覚障碍者Huが左右何れの手で白杖1を把持しているかを推定し、その推定結果に応じた情報(視覚障碍者Huに対する歩行支援のための情報)を生成するようにしている。具体的には、横断歩道CWからの逸脱の判定を行うための式(17)の判定値を、視覚障碍者Huが左右何れの手で白杖1を把持しているかに応じて補正するようにしている。これにより、視覚障碍者Huによる白杖1の把持状態に応じた適切な歩行支援を行うことが可能になる。
以上説明したように、本実施形態では、視覚障碍者Huが左右何れの手で白杖1を把持しているかを推定し、その推定結果に応じた情報(視覚障碍者Huに対する歩行支援のための情報)を生成するようにしている。具体的には、横断歩道CWからの逸脱の判定を行うための式(17)の判定値を、視覚障碍者Huが左右何れの手で白杖1を把持しているかに応じて補正するようにしている。これにより、視覚障碍者Huによる白杖1の把持状態に応じた適切な歩行支援を行うことが可能になる。
また、本実施形態では、グローバル座標系、カメラ座標系、杖座標系それぞれの情報に基づいて白杖1の左右の振り角度を推定して視覚障碍者Huが白杖1を把持している手を推定するようにしている。このため、視覚障碍者Huの白杖1の持ち方や視覚障碍者Huの姿勢等のバラツキの影響を受けることなく、視覚障碍者Huが白杖1を把持している手が右手であるか左手であるかを高い精度で推定することが可能である。
また、本実施形態では、信号機TLの状態が赤信号から青信号に切り替わったことを条件として視覚障碍者Huに向けて横断の開始通知を行うようにしている。このため、視覚障碍者Huが横断歩道CWを横断するに当たって、信号機TLの状態が青信号となっている時間を十分に確保することができる。
-把持状態推定部の変形例-
次に、把持状態推定部85による把持状態の推定(白杖1が視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持された状態であるかの推定)についての複数の変形例を説明する。
次に、把持状態推定部85による把持状態の推定(白杖1が視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持された状態であるかの推定)についての複数の変形例を説明する。
<画像内占有率に基づく推定>
前述したように視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、横断歩道CWの画像内占有率rwに差異が生じるので(図6および図7を参照)、白杖1が右側に振られた場合の画像内占有率rwと左側に振られた場合の画像内占有率rwとを比較することによって、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
前述したように視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、横断歩道CWの画像内占有率rwに差異が生じるので(図6および図7を参照)、白杖1が右側に振られた場合の画像内占有率rwと左側に振られた場合の画像内占有率rwとを比較することによって、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
具体的に、白杖1が右側への最大角度θrまで振られた状態での横断歩道CWの画像内占有率rwが、白杖1が左側への最大角度θlまで振られた状態での横断歩道CWの画像内占有率rwよりも小さい場合には、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していると推定される。逆に、白杖1が左側への最大角度θlまで振られた状態での横断歩道CWの画像内占有率rwが、白杖1が右側への最大角度θrまで振られた状態での横断歩道CWの画像内占有率rwよりも小さい場合には、視覚障碍者Huが左手で白杖1を把持していると推定される。
<カメラの最大傾き角度に基づく推定>
また、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、取得された画像におけるy軸に対するカメラ20の最大傾き角度φに差異が生じるので、白杖1が右側に振られた場合の最大傾き角度φrと左側に振られた場合の最大傾き角度φlとを比較することによっても、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
また、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、取得された画像におけるy軸に対するカメラ20の最大傾き角度φに差異が生じるので、白杖1が右側に振られた場合の最大傾き角度φrと左側に振られた場合の最大傾き角度φlとを比較することによっても、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
具体的に、白杖1が右側へ振られた際の最大傾き角度φrが、白杖1が左側へ振られた際の最大傾き角度φlよりも大きい場合には、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していると推定される。逆に、白杖1が左側へ振られた際の最大傾き角度φl視覚障碍者Huが左手で白杖1を把持していると推定される。
<グリップ部の圧力分布に基づく推定>
また、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、グリップ部3の各部における圧力分布に差異が生じるので、グリップ部3の表面(例えば表面全体)に圧力センサ(圧電素子等)を配置させることで、視覚障碍者の左右の何れの手で把持されているのかを推定することが可能である。
また、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合と左手で白杖1を把持している場合とでは、グリップ部3の各部における圧力分布に差異が生じるので、グリップ部3の表面(例えば表面全体)に圧力センサ(圧電素子等)を配置させることで、視覚障碍者の左右の何れの手で把持されているのかを推定することが可能である。
具体的に、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持している場合には、グリップ部3の右側部に掌がグリップ部3の左側部に指先が位置することになり、右側部では広範囲に比較的低い圧力が作用しているのに対し、左側部では部分的に比較的高い圧力が作用している状態となる。この状態が圧力センサによって検知された場合には、視覚障碍者Huは右手で白杖1を把持していると推定できる。同様にして、グリップ部3の左側部において広範囲に比較的低い圧力が作用しているのに対し、右側部において部分的に比較的高い圧力が作用している状態が圧力センサによって検知された場合には、視覚障碍者Huは左手で白杖1を把持していると推定できる。
<指紋認識に基づく推定>
また、グリップ部3の表面(例えば表面全体)に指紋センサを配置させることで、視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持されているのかを推定することも可能である。具体的に、歩行支援システム10のRAMに視覚障碍者Huの両手の指紋情報を記憶させておき、指紋センサによって認識された指紋が視覚障碍者Huの左右の何れの手のものであるかを判定することによって、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
また、グリップ部3の表面(例えば表面全体)に指紋センサを配置させることで、視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持されているのかを推定することも可能である。具体的に、歩行支援システム10のRAMに視覚障碍者Huの両手の指紋情報を記憶させておき、指紋センサによって認識された指紋が視覚障碍者Huの左右の何れの手のものであるかを判定することによって、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定することが可能である。
-応用例-
次に、前述した技術を利用する応用例について説明する。
次に、前述した技術を利用する応用例について説明する。
<持ち手変更指示>
例えば、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していることで、カメラ20A,20Bによる信号機TLの認識(撮影)が困難な状況となっている場合には、視覚障碍者Huに対し白杖1の持ち手を変える(左手で白杖1を把持する)ように指示することが可能である。
例えば、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していることで、カメラ20A,20Bによる信号機TLの認識(撮影)が困難な状況となっている場合には、視覚障碍者Huに対し白杖1の持ち手を変える(左手で白杖1を把持する)ように指示することが可能である。
具体的には、横断歩道CWの一部を覆うように車両が停車していることで、カメラ20A,20Bの視野において車両が信号機TLを覆い隠している状況であって、カメラ20A,20Bからの情報によって横断歩道CWは検出できているものの信号機TLが検出できていない状況においては、白杖1が視覚障碍者の左右の何れの手で把持された状態であるかを推定し、視覚障碍者Huに対し白杖1の持ち手を変えるように指示する。つまり、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していると推定されている場合には左手で白杖1を把持するように指示し(音声または振動によって指示し)、視覚障碍者Huが左手で白杖1を把持していると推定されている場合には右手で白杖1を把持するように指示する(同様に、音声または振動によって指示する)ことになる。
この白杖1の持ち手を変える動作を行わせることで、カメラ20A,20Bの視野において車両が信号機TLを覆い隠している状況が解消されて信号機TLが検出できる可能性を高めることができる。
<注意喚起への応用>
また、視覚障碍者Huに自転車等の移動体が接近する状況において、移動体の乗員への注意喚起のために、白杖1から周辺の路面への光(レーザ光等)の照射を行う(例えば視覚障碍者Huを囲むように周囲の路面に円形の光を照射する)ようにするものにあっては、この白杖1からの光の一部が視覚障碍者Huによって遮られて路面へ到達しない可能性があるが、この際、白杖1が視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持された状態であるかを推定し、それに応じて移動体の乗員に対し、音声等による警告を行うようにすることができる。
また、視覚障碍者Huに自転車等の移動体が接近する状況において、移動体の乗員への注意喚起のために、白杖1から周辺の路面への光(レーザ光等)の照射を行う(例えば視覚障碍者Huを囲むように周囲の路面に円形の光を照射する)ようにするものにあっては、この白杖1からの光の一部が視覚障碍者Huによって遮られて路面へ到達しない可能性があるが、この際、白杖1が視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持された状態であるかを推定し、それに応じて移動体の乗員に対し、音声等による警告を行うようにすることができる。
つまり、視覚障碍者Huが右手で白杖1を把持していると推定されている場合には、視覚障碍者Huよりも左側の路面へ光が到達せず、この左側での注意喚起(左側から接近してくる移動体の乗員に対する注意喚起)が不十分となる可能性があるが、この場合、視覚障碍者Huの左側に向けて音声を発して警告を行う(例えば白杖1の左右両側にスピーカを配置し、左側のスピーカのみから警告を行う)。これにより、左側での注意喚起を十分に行うことができる。同様に、視覚障碍者Huが左手で白杖1を把持していると推定されている場合には、視覚障碍者Huの右側に向けて音声を発して警告を行う(例えば白杖1の左右両側にスピーカを配置し、右側のスピーカのみから警告を行う)。これにより、右側での注意喚起を十分に行うことができる。
<落下判定への応用>
視覚障碍者Huが誤って白杖1を手放してしまった場合(以下、白杖1の落下という)、視覚障碍者Huにあっては、道路上に横たわる白杖1を見つけ出すことが困難であった。
視覚障碍者Huが誤って白杖1を手放してしまった場合(以下、白杖1の落下という)、視覚障碍者Huにあっては、道路上に横たわる白杖1を見つけ出すことが困難であった。
前述した技術では、前記グローバル座標系xgと、前記IMU90における杖座標系xcとを用いており、白杖1が落下して道路上に横たわった状態では、グローバル座標系xgのz軸に対して杖座標系xcのz0軸が略直交することになる。このことを利用し、グローバル座標系xgと杖座標系xcとを比較することにより、白杖1が落下したことを推定し、音声等によって白杖1の位置を視覚障碍者Huに知らせるようにすることができる。
具体的には、グローバル座標系xgのz軸と杖座標系xcのz0軸とを使用した以下の式(20)が定義される。
この式(20)にあっては、一定時間t1においてグローバル座標系xgのz軸と杖座標系xcのz0軸とが直交し、白杖1が移動していない場合に「1」が得られ(D=1)、白杖1が落下したと判定される。そして、この場合、白杖1に内蔵されたスピーカ等によって音声により白杖1の位置を視覚障碍者Huに知らせるようにする。
これにより、視覚障碍者Huは道路上の白杖1を容易に見つけ出すことが可能になる。
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
尚、本発明は、前記実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態および変形例では、視覚障碍者Huが使用する白杖1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、歩行者が高齢者である場合の杖等であってもよい。
また、前記実施形態および変形例では、視覚障碍者Huが安全に歩行できるようにするために正確な認識が要求される対象を横断歩道CWとした場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、歩道上の障害物(例えば駐輪している自転車等)や縁石等を対象としたものであってもよい。
また、前記実施形態および変形例では、白杖1が視覚障碍者Huの左右の何れの手で把持された状態であるかを推定した結果に応じて式(17)の判定値(w3やw5)を補正するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、前方画像を補正(前方画像の中心位置を左右方向に補正:視覚障碍者Huが白杖1を右手で把持している場合には前方画像上のw5が長くなる傾向にあるので、該前方画像の中心位置を右側に移動させて前方画像上のw5を所定量だけ短くするように補正し、視覚障碍者Huが白杖1を左手で把持している場合には前方画像上のw3が長くなる傾向にあるので、該前方画像の中心位置を左側に移動させて前方画像上のw3を所定量だけ短くするように補正)するようにしてもよい。
また、前記実施形態および変形例では、視覚障碍者Huが横断歩道CWを横断する場合における左右方向の逸脱の警告を行う場合に対して本発明を適用することを例示した。本発明はこれに限らず、その他の歩行支援(前記停止指示や歩行指示等の歩行支援)に対しても適用が可能である。
また、前記実施形態および変形例では、白杖1に充電ソケット70を備えさせ、家庭用電源からバッテリ(二次電池)60を充電するようにしていた。本発明はこれに限らず、白杖1の表面に太陽光発電シートを貼り付けておき、当該太陽光発電シートで発電した電力によってバッテリ60を充電するようにしてもよい。また、二次電池に代えて一次電池を使用するようになっていてもよい。また、白杖1に振り子式発電機を内蔵し、該振り子式発電機を利用してバッテリ60を充電するようにしてもよい。
また、前記実施形態および変形例では、振動発生機50の振動パターンによって通知の種類を分けるようにしていた。本発明はこれに限らず、音声によって通知を行うようにしてもよい。
本発明は、歩行する視覚障碍者に対して歩行支援を行う歩行支援装置としての白杖に適用可能である。
1 白杖(歩行支援装置)
3 グリップ部(把持部)
10 歩行支援システム
20 カメラ(画像取得手段)
80 制御装置
85 把持状態推定部
86 歩行支援情報生成部
90 IMU(慣性計測装置)
Hu 視覚障碍者(歩行者)
xg グローバル座標系
xc 杖座標系
xp カメラ座標系(画像取得手段座標系)
θl 左側の最大角度(左側の最大振り角度)
θr 右側の最大角度(右側の最大振り角度)
3 グリップ部(把持部)
10 歩行支援システム
20 カメラ(画像取得手段)
80 制御装置
85 把持状態推定部
86 歩行支援情報生成部
90 IMU(慣性計測装置)
Hu 視覚障碍者(歩行者)
xg グローバル座標系
xc 杖座標系
xp カメラ座標系(画像取得手段座標系)
θl 左側の最大角度(左側の最大振り角度)
θr 右側の最大角度(右側の最大振り角度)
Claims (8)
- 歩行者に把持され、当該歩行者の歩行方向前方の状況に応じて歩行を支援するための通知を前記歩行者に対して行う歩行支援装置であって、
前記把持されている場合における前記歩行者の把持状態を推定する把持状態推定部と、
前記把持状態推定部により推定された把持状態の推定結果に基づいて、前記歩行者に対する歩行支援のための情報を生成する歩行支援情報生成部と、
を備えていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項1記載の歩行支援装置において、
当該歩行支援装置は、視覚障碍者が把持する白杖であり、
前記把持状態推定部は、前記把持状態として前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手が右手であるか左手であるかを推定可能となっており、
前記歩行支援情報生成部は、前記視覚障碍者が前記白杖を右手で把持している場合と左手で把持している場合とで、歩行支援のための前記通知を行うか否かを判断するための判定値を異なるものとした上で前記視覚障碍者に対する歩行支援のための情報を生成することを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項2記載の歩行支援装置において、
前記視覚障碍者の歩行方向前方の画像を取得可能な画像取得手段、および、3軸加速度と3軸角速度とを取得可能な慣性計測装置が内蔵されており、
路面基準のグローバル座標系、前記画像取得手段の位置を原点とする画像取得手段座標系、前記慣性計測装置の位置を原点とする杖座標系がそれぞれ設定されており、
前記把持状態推定部は、前記各座標系の情報に基づいて、前記白杖の左右の振り角度が零の位置を推定すると共に、当該位置から前記白杖の左右の振り角度に基づいて、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項3記載の歩行支援装置において、
前記把持状態推定部は、前記画像取得手段座標系における前記画像取得手段の鉛直方向に対する傾きを求め、この鉛直方向との角度差を水平方向の角度差に変換し、左右の振り角度によって、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項2記載の歩行支援装置において、
前記歩行支援情報生成部は、歩行支援のための通知として、前記歩行者が横断歩道を横断する場合における左右方向の逸脱の警告を行うようになっており、
前記視覚障碍者の歩行方向前方の画像を取得可能な画像取得手段を備えており、
前記把持状態推定部は、前記画像取得手段によって取得された画像における前記横断歩道の画像内占有率に基づいて、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項3記載の歩行支援装置において、
前記把持状態推定部は、前記画像取得手段座標系における前記画像取得手段の傾き角度によって、前記視覚障碍者が前記白杖を把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項1または2記載の歩行支援装置において、
前記歩行者が把持する把持部を備えており、
前記把持状態推定部は、前記把持部に作用する圧力分布によって、前記歩行者が把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。 - 請求項1または2記載の歩行支援装置において、
前記歩行者が把持する把持部を備えており、
前記把持状態推定部は、前記把持部を把持する前記歩行者の手の指紋認証によって、前記歩行者が把持している手を推定する構成となっていることを特徴とする歩行支援装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021091147A JP2022183703A (ja) | 2021-05-31 | 2021-05-31 | 歩行支援装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021091147A JP2022183703A (ja) | 2021-05-31 | 2021-05-31 | 歩行支援装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022183703A true JP2022183703A (ja) | 2022-12-13 |
Family
ID=84437697
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021091147A Pending JP2022183703A (ja) | 2021-05-31 | 2021-05-31 | 歩行支援装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022183703A (ja) |
-
2021
- 2021-05-31 JP JP2021091147A patent/JP2022183703A/ja active Pending
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