JP2022182311A - 着香剤組成物 - Google Patents

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Miho Moritaka
隼人 木下
Hayato Kinoshita
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Keiko Kawabata
あかね 宮島
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Abstract

【課題】柔軟剤と併用された場合の増粘、例えば柔軟剤投入口での増粘を抑制することができ、また、衣類などの対象物への賦香効果が高い着香剤組成物を提供する。【解決手段】(A)香料化合物、(B)炭素数2以上6以下の2価以上の多価アルコール、及び(C)水を含有する着香剤組成物であって、(B)を5質量%以上含有する、着香剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、着香剤組成物、及び繊維製品の賦香方法に関する。
近年、洗濯後の衣類の香りを楽しみたいという生活者が増加しており、香りの種類や香りが持続することなどが求められる。一般に、洗濯での衣類への賦香は、衣類に適用する洗剤や柔軟剤に香料を配合して行われるが、通常、柔軟剤は洗浄後の衣類に対して適用されるため、柔軟剤に配合される香料は賦香への影響が大きい。最近の洗濯機には柔軟剤の投入口が設けられており、水を流し込むことで所定量の柔軟剤が自動的に洗濯槽に投入されるようになっている。一方、衣類に着ける香りの種類を増やすためには複数の柔軟剤を用いることが、また、香りの持続性を高めるためには柔軟剤の使用量を増やすことが考えられる。しかし、使用者が柔軟剤などの洗濯物品を置くスペースは限られており、複数の柔軟剤を用意することが難しい場合も多い。また、洗濯機の柔軟剤投入口のサイズも限りがある。更に、昨今、香りに対する嗜好性の多様化などにより、衣類への賦香についても周囲への影響を考慮して適度にすることがより望まれる傾向にある。
香りづけを目的とした技術としては、例えば、洗浄剤組成物を含有する洗浄用製品の一種以上と、該洗浄用製品とは別の、専ら賦香に用いる香料含有製品の一種以上とからなる洗濯用物品(特許文献1)、所定の香錠剤を複数個含む1回用量のファブリック処理組成物であって、前記香錠剤は所定分子量のポリエチレングリコールと、遊離香料と、カプセル化香料を含む破砕可能な香料マイクロカプセルとを、それぞれ所定量含むファブリック処理組成物(特許文献2)、繊維処理剤組成物を包装容器中に含有してなる繊維処理用製品の1種以上と、該繊維処理用製品とは別の、香料を包装容器中に含有してなる香料含有製品の1種以上との組み合わせからなる、繊維処理用物品(特許文献3)が提案されている。
特開2000-169898号公報 特開2013-509508号公報 特開2020-23776号公報
特許文献1、2は、洗浄工程で香料を衣類に適用することも開示しているが、そのような方法で乾燥後の衣類に十分な香りを残すためには繊維処理剤組成物に香料を多く配合する必要がある。
また、洗濯の最初の工程である洗浄工程で着香剤を洗濯槽に添加する場合、すすぎ工程で香料が流れてしまい、十分な着香効果が得られない。
本発明者らは、柔軟剤を添加する工程(以下、仕上げ工程ともいう)で着香剤を添加する方法を検討した。しかしながら仕上げ工程で着香剤を添加する場合、本発明者らは新たな課題が生じることを見出した。現在市場にあるほとんどの柔軟剤は、陽イオン性界面活性剤を主剤とし、層をなしたラメラ構造を有する玉ねぎ状の分散体で構成されている。このような分散体に香料組成物のような溶剤を多く含んだ可溶化物を混合すると、分散体の構造が崩れる等して変化することから、混合物は増粘する傾向にある。全自動化された洗濯機は洗濯開始から終了迄、基本的に洗濯機の蓋を開けることがない。柔軟剤のような仕上げ剤は専用の投入口に入れておくことで、自動投入される。洗濯機の投入口に投入された柔軟剤は、粘度が高くなってくると洗濯槽に流れにくくなり、場合によってはゲル化して流れなくなり、投入口に残ったままになることがある。すなわち洗濯槽に思うように投入されないだけでなく、柔軟剤投入口の目詰まりの原因にもなりうる。
特許文献3は、無香性/微香性柔軟剤と香料高濃度の着香剤とを混合して用いるため、例えば、洗濯機の柔軟剤投入口内で増粘し、投入口に残存して思い通りの香りや香り強度にならない可能性がある。また、併用する柔軟剤は無香性であるか着香剤の香りを損なわない程度の微香性であるため、着香剤の香りのみしか楽しめない。
本発明は、柔軟剤と併用された場合の増粘、例えば柔軟剤投入口での増粘を抑制することができ、また、衣類などの対象物への賦香効果が高い着香剤組成物を提供する。
本発明者らは、香料化合物と炭素数2以上6以下の多価アルコールと水と含有する着香剤組成物が、洗濯開始から投入迄の間、柔軟剤との併用においても柔軟剤投入口で増粘することはなく、また衣類などの対象物への賦香効果に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、(A)香料化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)炭素数2以上6以下の2価以上の多価アルコール〔以下、(B)成分という〕、及び(C)水〔以下、(C)成分という〕を含有する着香剤組成物であって、(B)成分を5質量%以上含有する、着香剤組成物に関する。
また、本発明は、前記本発明の着香剤組成物を用いて繊維製品に着香する、繊維製品の着香方法に関する。
本発明によれば、柔軟剤と併用された場合の増粘、例えば柔軟剤投入口での増粘を抑制することができ、また、衣類などの対象物への賦香効果が高い着香剤組成物、及びこれを用いた繊維製品の着香方法が提供される。
本発明の着香材組成物は、例えば柔軟剤とともに洗濯機の柔軟剤投入口に投入して使用しても増粘しにくいことから、柔軟剤の種類の制約を受けずに市販柔軟剤と組み合わせて用いることができる。そのため、利用者は、様々な柔軟剤と組み合わせて、香りを自由にアレンジすることができる
[着香剤組成物]
本発明に係る着香剤組成物は、(A)成分、所定量の(B)成分、及び(C)成分を含有する着香剤組成物(以下、本発明の着香剤組成物という場合もある)である。
<(A)成分>
(A)成分は、香料化合物である。
本発明の(A)成分として用いることができる香料化合物に特に制限はない。(A)成分として用いることができる香料化合物としては、例えば、中島基貴、「香料と調香の基礎知識」、第4刷、産業図書株式会社、2005年4月20日、に記載の香料化合物や特許文献等を通じて柔軟剤に配合することが知られている香料化合物が挙げられる。また、香料メーカーが独自に調製した香料成分又は調香した香料組成物を使用することができる。
本発明の(A)成分のlogP値は、柔軟剤との混合抑制(以下、混合抑制ともいう)の観点から、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.0以下である。着香剤組成物と柔軟剤との混合を抑制することは、柔軟剤、着香剤組成物あるいはこれらの混合物の増粘の抑制にもつながる。
ここで、「logP値」とは、化合物の1-オクタノール/水の分配係数の対数値であり、1-オクタノールと水の2液相の溶媒系に化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡において、それぞれの溶媒中での溶質の平衡濃度の比を意味し、底10に対する対数「logP」の形で一般的に示される。すなわち、logP値は親油性(疎水性)の指標であり、この値が大きいほど疎水的であり、値が小さいほど親水的である。
logP値については、例えば、Daylight Chemical Information Systems, Inc.(DaylightCIS)等から入手し得るデータベースに多くの化合物のlogP値が掲載されていて参照することができる。また、実測のlogP値がない場合には、プログラム“CLOGP”(Daylight CIS)等で計算することができ、中でも、プログラム“CLOGP”により計算することが、信頼性も高く好適である。
プログラム“CLOGP”においては、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される「計算logP(ClogPという場合もある)」の値が、logPの実測値がある場合にはそれと共に出力される。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(A.Leo,Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C.Hansch, P.G.Sammens, J.B.Taylor andC.A.Ramsden,Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値は現在最も一般的で信頼できる推定値であるため、化合物の選択に際してlogPの実測値がない場合に、ClogP値を代わりに用いることが好適である。本発明においては、logPの実測値、又はプログラム“CLOGP”により計算したClogP値のいずれを用いてもよい。
例えば、β-イオノン(3.7)、γ-ウンデカラクトン(3.8)、γ-ノナラクトン(2.8)、γ-メチルイオノン(4.0)、アンブロキサン(5.3)、イソEスーパー(4.7)、エチルバニリン(1.8)、エチレンブラッシレート(4.6)、オイゲノール(3.0)、カシュメラン(IFF社製)(4.0)、クマリン(1.5)、ゲラニオール(2.4)、酢酸o,t-ブチルシクロヘキシル(4.1)、酢酸シトロネリル(4.2)、酢酸ジメチルベンジルカルビニル(2.8)、サンダルマイソールコア(3.9)、ジヒドロジャスモン酸メチル(2.4)、ジヒドロミルセノール(3.0)、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(2.9)、ジャバノール(ジボダン製)(4.7)、ネロリンヤラヤラ(3.2)、ハバノライド(フィルメニッヒ製)(6.2)、フルーテート(花王株式会社)(3.4)、ペオニル(ジボダン製)(4.0)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.8)、ヘリオトロピン(1.1)、メチルβ-ナフチルケトン(2.8)、メチルアンスラニレート(2.0)、ラズベリーケトン(1.1)、リモネン(4.4)、及びリリアール(3.9)を挙げることができる。なお()内の数値はlogP値である。
なお、本発明では、香料化合物の希釈剤や保留剤を含有してもよい。希釈剤及び保留剤としては、ジプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピルエステル、ジエチルフタレート、ペンジルベンゾエート、流動パラフィン、イソパラフィン、及び油脂等を挙げることができる。なおジプロピレングリコール(DPGという場合もある)等の一部の化合物は後述する(B)成分の多価アルコールであり、香料化合物の保留剤や希釈剤として添加したとしても、(B)成分としてカウントするものとする。
希釈剤及び保留剤は香料組成物として着香剤組成物に添加することが好ましい。具体的には、(A)成分、希釈剤及び保留剤との合計に対する希釈剤及び保留剤の量が、好ましくは0質量%以上20質量%以下である香料組成物として、希釈剤及び保留剤を本発明の着香剤組成物に添加することが好ましい。
本発明の着香剤組成物は、(A)成分を、組成物中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下含有する。なお、着香剤組成物中の(A)成分は、製品に合わせてその含有量を調整することができる。
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、炭素数2以上6以下の2価以上、好ましくは2価又は3価の多価アルコールである。(B)成分の炭素数は、2以上4以下が好ましい。(B)成分は、溶剤として機能するものであってよい。(B)成分は、水溶性であることが好ましく、20℃の水に対して混和性の多価アルコールであってよい。(B)成分は、柔軟剤などの仕上げ剤と併用した際の増粘を抑制する観点、及び仕上げ剤を含む洗濯槽中の水系処理液中への分散溶解の観点から配合される成分である。(B)成分について、水溶性とは20℃での溶解度が100以上である、すなわち20℃の水100gに100g以上溶解することをいう。
本発明では、(B)成分を用いることにより、可溶化能を高める、また着香剤組成物の比重を大きくすることができる。比重は、柔軟剤組成物との関係から、本発明の着香剤組成物は大きい方が好ましい。理由については後述する。
本発明の(B)成分の20℃での比重は、混合抑制の観点から、好ましくは1.03以上、より好ましくは1.05以上、更に好ましくは1.10以上であり、そして、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.30以下、更に好ましくは1.25以下である。
本発明の(B)成分の融点は、混合抑制の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下、更に好ましくは20℃以下である。
本発明の(B)成分の沸点は、混合抑制の観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、更に好ましくは250℃以上である。
本発明の(B)成分としては、例えば、プロピレングリコール(比重1.04)、エチレングリコール(比重1.11)、グリセリン(比重1.26)、ジエチレングリコール(比重1.12)、ジプロピレングリコール(比重1.02)等が挙げられる。可溶化の観点から(B)成分としては、好ましくは、プロピレングリコール、エチレングリコール、及びグリセリンから選ばれる1種以上であり、より好ましくは、プロピレングリコール、及びグリセリンから選ばれる1種以上である。グリセリンは組成物の比重を高める上でより好ましい成分である。
本発明の着香剤組成物は、混合抑制の観点から、(B)成分として、プロピレングリコール(以下、(B1)成分という)及びグリセリン(以下、(B2)成分という)から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、比重を高める上で(B2)成分を含有することがより好ましく、(B1)成分と(B2)成分の両方を含有することが更により好ましい。
本発明において、(B1)成分と(B2)成分の両方を含有する場合、(B1)成分の含有量と(B2)成分の含有量との質量比(B1)/(B2)は、混合抑制の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
また、本発明では、(B)成分に対する(B1)成分と(B2)成分の合計含有量の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更により好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
本発明の着香剤組成物は、比重を高め、そして水への溶解性を良好にする観点から、(B)成分を、組成物中、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する。
本発明の着香剤組成物は、水への分散溶解性の観点から、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下、更により好ましくは0.3以下である。
<(C)成分>
本発明の着香剤組成物の(C)成分は水である。本発明の着香剤組成物に適度の(C)成分の水を含むことで、洗濯機の柔軟剤投入口に設置されたトレイに流入してくる他の水に着香剤組成物が分散溶解することを阻害しない。水を含有しない着香剤組成物の場合、水の流入によりゲル化して溶けにくくなる場合がある。水は、脱イオン水、脱イオン水に次亜塩素酸塩を少量配合した滅菌した水、水道水等を用いることができる。本発明の着香剤組成物において、水の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
本発明の着香剤組成物は、繊維製品への着香性と安定性の観点から、(A)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(A)/(C)が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、そして、好ましくは1以下である。
本発明の着香剤組成物は、適度な比重に調整しやすい観点から、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下である。
<物性、任意成分等>
〔(D)成分:非イオン性界面活性剤〕
本発明の着香剤組成物は、香料の分散安定性の観点から、(D)成分として非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
(D)成分の非イオン性界面活性剤としては、炭素数8以上18以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基が平均2モル以上100モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明の(D)成分としては、下記一般式(D1)で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
1d-O-(EO)md(AO)nd-H (D1)
〔式中、R1dは炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、AOはプロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基から選ばれる一種以上のアルキレンオキシ基であり、EO及びAOはブロック又はランダムであってもよく、mdは平均付加モル数を示す5以上50以下の数であり、ndは平均付加モル数を示す0以上10以下の数であり、nd>0の時は、md>nd+5である。〕
一般式(D1)中、R1bは炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基であり、混合抑制の観点から、好ましくは炭素数10以上16以下のアルキル基又はアルケニル基である。R1dの炭素原子のうち酸素原子に結合する炭素原子は、第1炭素原子又は第2炭素原子であることが好ましい。すなわちR1dは一級アルコール又は二級アルコール由来のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、好ましくは直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基がより好ましい。
一般式(D1)中、EOはエチレンオキシ基であり、AOはプロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基の少なくとも何れかであり、好ましくはプロピレンオキシ基である。
一般式(D1)中、mbは平均付加モル数を示す5以上50以下の数であり、混合抑制の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上、そして、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは25以下である。脂肪族アルコールの比重が1.00未満であるのに対して、ポリオキシエチレンオキシ鎖の比重は1.10を超えることから、平均付加モル数は前記下限値以上が好ましく、増粘抑制の観点から上限値以下が好ましい。なおエチレンオキシ基の平均付加モル数が大きいポリオキシエチレンオキシ鎖は水によりゲル化し易くなるため、そのような構造を有する化合物はその含有量を減らすか、プロピレンオキシ基を加えるか、2級アルコール由来又は分岐アルキル基を有するアルコール由来のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を用いることが好ましい。
一般式(D1)中、またndは平均付加モル数を示す1以上10以下の数であって、nd>0の時はmd>nd+5である。ndは好ましくは0以上5以下の数である。
本発明の着香剤組成物が(D)成分を含有する場合、該組成物中の(D)成分の含有量は、混合抑制の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
〔(E)成分:陽イオン性界面活性剤〕
本発明の着香剤組成物は、香料化合物を組成物中に安定に分散、溶解させ、また柔軟剤を使用しない際は香料の繊維製品への吸着性の向上の観点から(E)成分として陽イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。また陽イオン性界面活性剤は繊維製品に抗菌効果も付与することができる。
(E)成分の陽イオン性界面活性剤としては、下記一般式(e1)で表される第3級アミン化合物又はその4級化物である第4級アンモニウム塩化合物が好ましい。
〔R1e-(T-R3e-〕N(R2e3-n (e1)
〔式中、R1eは、炭素数8以上、好ましくは10以上であり、そして炭素数23以下好ましくは20以下、より好ましくは18以下の炭化水素基、好ましくは直鎖アルキル基である。R2eは、炭素数1以上3以下の炭化水素基、フェニル基、ベンジル基及びHO-(C2pO)-C2q基から選ばれる基であり、n=1の時、R2eの2つ以上が伴にフェニル基又はベンジル基であることはない。R3eは、炭素数1以上6以下のアルキレン基又は-(C2pO)-を示し、Tは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-又はフェニレン基を示す。mは0又は1の数であり、mは0が好ましい。nは1又は2の数であり、nは1が好ましい。p及びqはそれぞれ2又は3の数である。rは0以上5以下の数である。同一分子内にR1e、R2e、HO-(C2pO)-C2q基、p、q、rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
前記一般式(e1)で表される第3級アミン化合物の4級化物は、一般式(e1)で表される第3級アミン化合物とアルキル化剤とを用いた4級化反応により得ることができる。アルキル化剤は、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等が挙げられ、塩化メチル、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる一種以上を用いることが好ましい。すなわち、(E)成分として、一般式(e1)で表される第3級アミン化合物を、塩化メチル、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上のアルキル化剤で4級化した4級化物が挙げられる。
本発明の(E)成分の陽イオン性界面活性剤としては第4級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、炭素数8以上18以下の直鎖アルキル基又は直鎖アルカノイル基を有する、N-アルキルトリメチルアンモニウム、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム、N-アルカノイルオキシエチル-N,N-ジヒドロキシエチル-N-メチルアンモニウム、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-エチルアンモニウム又はN-アルカノイルオキシエチル-N,N-ジヒドロキシエチル-N-エチルアンモニウムの塩素塩、メチル硫酸塩又はエチル硫酸塩であり、より好ましくは塩素塩であり、更により好ましくはN-アルキルトリメチルアンモニウム塩素塩、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-エチルアンモニウムエチル硫酸塩、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩素塩である。
本発明の着香剤組成物が(E)成分を含有する場合、該組成物中の(E)成分の含有量は、陽イオン性界面活性剤の一部は比重が小さい化合物が多いので混合抑制の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
〔(F)成分:酸剤〕
本発明の着香剤組成物は、組成物のpHを調整する観点から、(F)成分として酸剤を含有することができる。
酸剤としては、無機酸及び有機酸が挙げられ、無機酸の具体例としては、塩酸、及び硫酸が挙げられる。有機酸の具体例としては、炭素数1以上10以下の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1以上20以下の1価又は多価のスルホン酸、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸が挙げられる。より具体的には、メチル硫酸、エチル硫酸、p-トルエンスルホン酸、(o-、m-、p-)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、エチレンジアミン4酢酸、クエン酸、安息香酸、及びサリチル酸が挙げられる。
これらの中でも、無機酸であれば塩酸が好ましく、有機酸であれば炭素数1以上10以下の1価又は多価のカルボン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。
本発明の着香剤組成物が酸剤を含有する場合、その含有量は、(E)成分の種類や量によって適宜調整することができ、pHが前記範囲になる範囲であって、保存安定性を損なわない程度が好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の着香剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、更に、(D)成分及び(E)成分以外の界面活性剤、(B)成分以外の溶剤、塩化カルシウム等の無機塩、エチレンジアミン4酢酸塩及びメチルグリシン二酢酸塩等のキレート剤、BHT等の酸化防止剤、シリコーン等の消泡剤、プロキセル等の商品名で知られている防腐剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
なお1価のアルコール(ベンゼン環を有するアルコールを除く)は脂肪族アルコールも含めて比重が低く、本発明の着香剤組成物の比重を低減させることから、界面活性剤から持ち込まれる程度は許容されるが、組成物中の含有量は少ないことが好ましい。例えば、メタノール(比重0.79)、エタノール(比重0.81)、プロパノール(比重0.80)、n-ブタノール(比重0.81)は、組成物の比重を下げない程度で添加してもよい。本発明の着香剤組成物は、1価のアルコール(ベンゼン環を有するアルコールを除く)の含有量が、好ましくは(C)成分の含有量よりも少ないこと、例えば、好ましくは(C)成分の含有量の半分以下の含有量であり、その上で、組成物中、より好ましくは5質量%以下、更により好ましくは3質量%以下、更により好ましくは2質量%以下、更により好ましくは1質量%以下である。なお、1価のアルコールであってもベンゼン環を有する化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。例えばフェノキシエタノール(比重1.1)等は比重が1を超える上に防腐効果が期待でき、BHT(比重1.05)は酸化防止剤として知られているため、目的に必要ならば配合してもよい。
〔物性〕
本発明の発明者は(B)成分に注目することで、溶解性と伴に当該課題を解決するに至った理由として、比重の影響があると考えている。通常は、着香剤組成物と併用する他の組成物は混合容易性を追求することが多いが、本発明は柔軟剤との洗濯機のトレイ内での混合をなるべく抑制することで課題は解決されることを見出した。そのため、本発明の着香剤組成物は柔軟剤との混合を抑制する観点から、20℃での比重が併用する柔軟剤よりも若干高い条件にあることが好ましい。本発明の着香剤組成物の20℃での比重は、好ましくは1.00を超える値であり、より好ましくは1.01以上、更に好ましくは1.02以上、より好ましくは1.05以上、そして、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.15以下、更に好ましくは1.10以下である。比重を高めるためには(B)成分を比較的多く配合することが好ましい。一般的に柔軟剤は水が多く配合され、また柔軟基剤である陽イオン性界面活性剤は、アルキル基又はアルケニル基等の炭化水素基の炭素数が多く、一分子に占める炭化水素基の数が2つや3つである化合物を主流に含むことから油性が強く、水よりも比重が小さい場合が多い。こうした成分や組成による柔軟剤の比重は大きくても1.02未満であり、水が多い系であれば1.00以下である。本発明では、着香剤組成物の比重を柔軟剤よりも若干高くすることで洗濯機の仕上げ剤投入口に柔軟剤と着香剤を入れても混ざりにくくなり、混合による粘度増加を抑制することができる。着香剤組成物の比重は公知の方法で測定することができ、各成分の比重と配合濃度から算出してもよい。
本発明の着香剤組成物の30℃におけるpHは、混合抑制の観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは、2.7以上、より更に好ましくは2.9以上、そして、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.8以下、更に好ましくは4.5以下、より更に好ましくは4.2以下、より更に好ましくは4.0以下である。pHは、「JIS K 3362;2008の項目8.3に従って30℃において測定する。pHは、アルカリ剤や前述の酸剤等のpH調整剤により調整することができる。
本発明の着香剤組成物の30℃における粘度は、混合抑制の観点から、好ましくは15mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは30mPa・s以上、そして、好ましくは150mPa・s以下、より好ましくは130mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下、より更に好ましくは80mPa・s以下、より更に好ましくは50mPa・s以下である。着香剤組成物の粘度は、B型粘度計を用いて、No.1~No.3ローターのいずれかのローターを用い、60r/minで、測定開始から1分後の指示値である。着香剤組成物は30±1℃に調温して測定する。粘度計の測定領域が2つのローターで得られた場合であって、換算した粘度が異なる場合は、ローター番号の小さい方のデータを採用する。
本発明の着香剤組成物は、繊維製品用として好適であり、繊維製品としては、衣類、布帛、寝具、タオル等が挙げられる。
また、本発明の着香剤組成物は、柔軟剤組成物、更に繊維製品用柔軟剤組成物と併用して使用されることが好ましい。
また、本発明の着香剤組成物は、洗濯機の柔軟剤用投入口に投入して使用されることが好ましい。すなわち、本発明の着香剤組成物は、柔軟剤用投入口を備えた洗濯機の前記柔軟剤用投入口に投入して使用されることが好ましい。
〔着香剤組成物の製造方法〕
本発明の着香組成物は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を配合してなる組成物であってよい。(D)成分、(E)成分などの任意成分を配合してなる組成物であってよい。着香剤組成物について述べた各成分の含有量は、配合量に置き換えることができる。
本発明の着香剤組成物は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を混合することにより製造できる。(D)成分、(E)成分などの任意成分を混合することもできる。
本発明の着香剤組成物の製造方法は、本発明の着香剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。(A)成分、(B)成分、(C)成分、任意の(D)成分、(E)成分及びその他成分は、本発明の着香剤組成物で述べたものと同じであり、本発明の着香剤組成物に記載の各成分の含有量は、混合量に置き換えて本発明の着香剤組成物の製造方法に適用される。
[着香剤物品]
本発明により、本発明の着香剤組成物を、吐出口を有する容器に充填してなる着香剤物品が提供される。
本発明の着香剤物品に用いられる容器は、好ましくは開口面積が1.0mm以上15mm以下である吐出口を備えた容器である。このような容器に組成物を充填することにより、転倒による液体の流出を抑制するだけなく、例えばポンプ式ディスペンサー容器を用いる場合、ポンプのストロークと吐出量との関係から、簡便に着香剤を計量することができる。
本発明において、吐出口の開口面積とは、例えば、容器に充填された内容物が、容器から外部に吐出される際に最後に通過する吐出口の開口面積であってよい。容器としては、例えば特開2002-201488号公報に開示の口径を有する吐出口を備えた容器を使用することができる。また、容器は、前記開口面積を有する吐出器が装着された容器を用いることもできる。吐出器としては、例えば特開2009-120234号公報記載の吐出器を使用することができる。また、特表2012-505951の〔0066〕~〔0073〕に記載のポンプ容器において、吐出口の開口面積が1.0mm以上15mm以下のものを用いる事が出来る。本発明の課題を解決できる観点から、吐出口の開口面積は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは3.0mm以上、そして、好ましくは15mm以下、より好ましくは13mm以下、更に好ましくは12mm以下である。本発明に係る容器としては、例えばポンプ容器、プッシュプル容器、スクイズ容器等が挙げられる。ポンプ容器、更にポンプ式ディスペンサー容器が使い勝手から好ましい。
本発明の着香剤物品は、繊維製品用として好適であり、繊維製品としては、衣類、布帛、寝具、タオル等が挙げられる。
本発明の着香剤物品を繊維製品に適用する場合は、容器から本発明の着香剤組成物の必要量を吐出させて従来の柔軟剤と一緒に使用することができる。例えば、洗濯機の柔軟剤投入口に、所定量を吐出させて使用することができる。
[繊維製品の着香方法]
本発明は、本発明の着香剤組成物を用いて繊維製品に着香する、繊維製品の着香方法に関する。
本発明の繊維製品の着香方法には、本発明の着香剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。(A)成分、(B)成分、(C)成分、任意の(D)成分、(E)成分及びその他成分は、本発明の着香剤組成物で述べたものと同じである。
本発明では、例えば、本発明の着香剤組成物と水とを含有する処理液を繊維製品と接触させて繊維製品に着香することができる。
本発明の着香剤組成物は、好ましくは衣類等の繊維製品の質量に対して0.1質量%から3質量%となるように、繊維製品と接触させる。本発明の着香剤物品を用いる場合、この量となるように当該物品から本発明の着香剤物品から吐出させることが好ましい。繊維製品の質量に対する着香剤組成物の量が0.1質量%以上であると、前記着香剤組成物を用いることによる効果が十分に得られ、3質量%以下であると、効果と経済性とのバランスがよいものとなる。
本発明の繊維製品の着香方法では、繊維製品の質量に対する(A)成分の量は、繊維製品の香り持続性を付与する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。本発明の繊維製品の着香方法では、本発明の着香剤物品を、この量となるように用いることが好ましい。
前記着香剤組成物を溶解させる水の量は、一般的に浴比で決めることができる。なお、本明細書において「浴比」とは、衣類等の繊維製品の質量と着香剤組成物を含有する水の容量の比、[水の容量(リットル)]/[繊維製品の質量(kg)]をいう。この水の量は、本発明の着香剤組成物及び水を含有する処理液の量であってよい。洗濯機等を用いて着香剤組成物を溶解させた水を撹拌しながら繊維製品と着香剤組成物とを接触させる場合には、繊維製品同士の擦れを少なくし、毛羽・毛玉の発生を抑制する観点から、浴比は好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは17以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下である。
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。
<(A)成分>
(A―1):表1の香料組成物(アンバー系香料組成物)
(A-2):表1の香料組成物(シトラス系香料組成物)
Figure 2022182311000001
<(B)成分>
(B-1):エチレングリコール(分子量:62、融点:-12℃、沸点:198℃)
(B-2):グリセリン(分子量:92、融点:18℃、沸点:290℃)
(B-3):プロピレングリコール(分子量:76、融点:-59℃、沸点:188℃)
(B-4):ジプロピレングリコール(分子量:134、融点:-39℃、沸点:232℃)(香料組成物由来のものを含む)
<(B’)成分((B)成分の比較成分)>
(B’-1):エタノール(分子量:46、融点:-114℃、沸点:78℃)
(B’-2):2-プロパノール(分子量:60、融点:-90℃、沸点:82℃)
<(C)成分>
脱イオン水
<(D)成分>
(D-1):ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリル-ミリスチルエーテル(オキシプロピレン基の平均付加モル数が2であり、オキシエチレン基の平均付加モル数が18である)〔一般式(D1)中、R1dが炭素数12のアルキル基、mdが18、ndが2の化合物〕
(D-2):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数が9)〔一般式(D1)中、R1dが炭素数12のアルキル基、mdが9、ndが0の化合物〕
<(E)成分>
(E-1):n-テトラドデシルジメチルエチルアンモニウム・エチル硫酸塩
(E―2):塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩
<(F)成分>
(F-1):塩酸
<その他成分>
キレート剤:メチルグリシン二酢酸Na塩(0.01質量%[※])
消泡剤:ジメチルポリシロキサン及びシリカ混合型消泡剤(ダウ・ケミカル社製)(0.01質量%)
防腐剤:プロキセルBDN(83ppm)
その他溶剤:フェノキシエタノール(0.4質量%)
※カッコ内の数値は実施例又は比較例の組成物中の濃度を示す。
〔実施例1~8及び比較例1~4〕
(1)着香剤組成物の製造
表2に示す配合組成となるように各成分を混合することにより、着香剤組成物を調製した。具体的には、以下の通りである。なお、表中の組成の質量%は、有効分の質量%である。また、表中では、(B’)成分を(B)成分とみなして(A)/(B)を示した。
実施例及び比較例では、「(B-4)」と「その他成分」の組成物中の濃度は低いため、残部の水の量ないし(A)/(B)を算出する上で、それぞれの量は実質0質量%とし、表中では「微量」と示した。
300mLビーカーに、着香剤組成物のできあがり量が200gとなるのに必要な量の45質量%に相当する量の脱イオン水((C)成分)と、(B)成分又は(B’)成分、(D)成分、並びにその他成分であるキレート剤、消泡剤、その他溶剤及び防腐剤を入れ、(B)成分が脱イオン水中に均一に溶解するように、必要に応じて撹拌羽根を用いて撹拌することにより混合液を得た。なお、撹拌羽根としては、直径が5mmの撹拌棒の回転中心軸を基準として、長辺が90度方向になるように配置された撹拌羽根であって、羽根の数3枚、羽根の長辺/短辺=3cm/1.5cm、回転面に対して45度の角度で羽根が設置されたものを用いた。
混合液を、前記撹拌羽根で撹拌(300r/m)した。これに、(E)成分を反応混合物に投入し投入終了後、5分間撹拌した。次に、(A)成分を投入し投入後、5分間攪拌した。これに(F)成分を投入し、3分間撹拌した。更に、できあがり質量(200g)となるようにイオン交換水を加え、5分間撹拌して30℃の粘度及び比重が表に示す値の着香剤組成物を得た。なお組成物のpH(30℃)は(F)成分の塩酸を用いてpH3.2に合わせた。
着香剤組成物の比重は、着香剤組成物を300g作製し、比重計を入れるのに適した円筒状のガラス容器(本件では200mlのメスシリンダーを使用)に250g充填した(250g充填することで目盛りが無い部分で液界面が見える)。容器ごと20℃で1日静置して調温し、同じく20℃に調温しておいた標準比重計(日本計量機器株式会社製)を投入して比重を測定することで求めた。
<香り強度の評価>
あらかじめ、非イオン性界面活性剤(ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物(平均付加モル数8)を用いて、市販の木綿タオル(武井タオル製、TW-220)24枚を、日立全自動洗濯機NW-6CYの洗濯工程を5回繰り返した(非イオン性界面活性剤使用量4.5g、標準コース、水量45L、水温20℃、洗浄時間10分、ため濯ぎ2回)。その後、25℃、45%RHの条件下で1日間乾燥した。
National製電気バケツ式洗濯機(MiniMini、NA-35)に、20℃に温調した市水を4.5L注水し、前処理した木綿タオル2枚を投入し、1分間撹拌した。撹拌後、表3記載の着香組成物と特開2018-193653号公報記載の実施例3の柔軟剤組成物を木綿タオル1.5kg当たり10gとなる量にて投入し、5分間撹拌した。なお、着香剤組成物と柔軟剤は、着香剤組成物/柔軟剤=3/10の質量比で用いた。その後、二層式洗濯機(TOSHIBA VH-52G(H))の脱水槽にて3分間脱水し、25℃、45%RHの条件下で1日間乾燥した。また、着香剤組成物を投入せずに市水のみを用いて上記と同様に処理した木綿タオルを基準タオルとした。
評価の熟練者5名によって、表2記載の着香剤組成物で処理した木綿タオルの香りの強度を下記の方法にて評価した。得られた木綿タオルを基準タオルと比較し、下記の基準で点数づけし、平均点を算出した。
〔評価基準〕
0:基準タオルと同等の香り強度
1.0:基準タオルよりもやや香る
2.0:基準タオルよりも香る
3.0:基準タオルよりも明らかに香る
<混合抑制性の評価>
No.6規格ガラスビン((株)三商)(40Φmm×70mm)に、特開2018-193653号公報記載の実施例3の柔軟剤組成物と着香剤組成物とを、まず柔軟剤20gを泡立たないように注意しながらビンに入れ、その後にビンを傾けつつビンの口の下部の内壁に伝わせて着香剤組成物6gを投入し、ビンを起こしてから20℃で30分静置した。静置後、その外観を目視にて判断した。操作は25℃(室温)で行った。
[評価基準]
○:明らかに分離が見られる
△:分離の境目がわかりにくい
×:分離せず混合している
Figure 2022182311000002
(I)表2の実施例1~7の着香剤組成物で、(A)成分の濃度を3、4又は6質量%に変えた着香剤組成物(合計の質量%は(C)成分で調整する)、(II)表2の実施例8の着香剤組成物で、(A)成分の濃度を5、4又は6質量%に変えた着香剤組成物(合計の質量%は(C)成分で調整する)、(III)表2の実施例1~8の着香剤組成物で、(A)成分を(A-1)から(A-2)に置き換えた着香剤組成物もまたそれぞれ本発明の着香剤組成物である。なお香料組成物にはジプロピレングリコールが含まれることから、そのジプロピレングリコールは(B-4)成分として(B)成分にカウントし、残りの成分を香料化合物として扱う。
<洗濯機による評価>
表2の実施例1記載の着香剤組成物と特開2018-193653号公報記載の実施例3の柔軟剤組成物とを用いて洗濯機による評価を行った。柔軟剤組成物20ml、着香剤組成物3gを、洗濯機(Panasonic NA-FA70H6)の柔軟剤投入口にそれぞれ投入し、水量45L、衣類3.0kgで洗濯処理をおこなったところ、投入口の残存もなく香り強度においても着香剤組成物の香りが明らかに感じられた。
また、この評価において着香剤組成物における香料組成物を(A-1)から(A-2)に置き換えた着香剤組成物を用いた場合も、同様の結果となる。

Claims (13)

  1. (A)香料化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)炭素数2以上6以下の2価以上の多価アルコール〔以下、(B)成分という〕、及び(C)水〔以下、(C)成分という〕を含有する着香剤組成物であって、(B)成分を5質量%以上含有する、着香剤組成物。
  2. 更に(D)非イオン性界面活性剤〔以下、(D)成分という〕を含有する、請求項1に記載の着香剤組成物。
  3. (D)成分を5質量%以上20質量%以下含有する、請求項2に記載の着香剤組成物。
  4. 更に(E)陽イオン性界面活性剤を含有する、請求項1~3の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  5. (A)成分を0.5質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~4の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  6. (B)成分を5質量%以上20質量%以下含有する、請求項1~5の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  7. (C)成分を30質量%以上70質量%以下含有する、請求項1~6の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  8. 20℃での比重が1.00を超え1.20以下である、請求項1~7の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  9. 柔軟剤組成物と併用して使用される、請求項1~8の何れか一項に記載の着香剤組成物。
  10. 洗濯機の柔軟剤用投入口に投入して使用される、請求項1~9の何れか一項に記載の着香剤組成物
  11. 請求項1~10に何れか一項に記載の着香剤組成物を用いて繊維製品に着香する、繊維製品の着香方法。
  12. 前記着香剤組成物を、柔軟剤組成物による繊維製品の処理の際に用いて繊維製品に着香する、請求項11に記載の繊維製品の着香方法。
  13. 繊維製品の処理を柔軟剤用投入口を有する洗濯機で行い、前記着香剤組成物を前記投入口に投入して繊維製品に適用する、請求項11又は12に記載の繊維製品の着香方法。
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