JP2022181423A - 乳化用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物に由来する新規な乳化用組成物を提供する。【解決手段】カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物の培養物またはその培養物からの抽出物を含む、乳化用組成物であって、前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)であり、前記培養物は、前記微生物を下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することで得られたものである、乳化用組成物:JPEG2022181423000010.jpg10166式中、R1は、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R2は、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、A1およびA2は、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化用組成物に関する。
界面活性剤は、医薬、化粧品、食品など、多くの産業分野において利用されている。界面活性剤は、油脂の加水分解で生産される脂肪酸を原料にして化学反応で工業生産されるものが多い。一方で、生物が生産する界面活性剤も存在する。このような界面活性剤の中でも、微生物が菌体外に生産するものは、バイオサーファクタントと呼ばれている。一般的に、バイオサーファクタントは、皮膚への低刺激性、易分解性、低い臨界ミセル濃度による高い界面活性能を有することが知られている。
例えば、特許文献1では、テトラクロロエチレンからバイオサーファクタントを活性汚泥中の微生物を利用して生成する方法が報告されている。
特開2016-174537号公報
本発明は、微生物に由来する新規な乳化用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を行った結果、下記の手段により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第一の態様は、カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物の培養物またはその培養物からの抽出物を含む、乳化用組成物であって、
前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)(本明細書中、単に「NNM23株」とも称する)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)(本明細書中、単に「NNM27株」とも称する)であり、
前記培養物は、前記微生物を下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することで得られたものである、乳化用組成物である:
Figure 2022181423000001
式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
本発明の第二の態様は、カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物を、下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することを含み、
前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)である、乳化用組成物の製造方法である:
Figure 2022181423000002
式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
本発明によれば、微生物に由来する新規な乳化用組成物が提供される。
実施例および比較例における培養液の状態を示す写真である。
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
<乳化用組成物>
本発明の第一の態様は、カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物の培養物またはその培養物からの抽出物を含む、乳化用組成物であって、
前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)であり、
前記培養物は、前記微生物を下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することで得られたものである、乳化用組成物である:
Figure 2022181423000003
式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
本発明において、カプリアビダス属の微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)である。
本発明に係る微生物としては、少なくともNNM27株を用いることが好ましい。
カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株は、平成27年9月4日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託されており、その受託番号は、NITE P-02114である。
カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株は、平成27年9月4日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託されており、その受託番号は、NITE P-02115である。
本発明において、カプリアビダス属の微生物の培養物は、カプリアビダス属の微生物を培養した培養液および前記培養液を遠心分離して得られる上清を意味する。
本発明に係る培養物は、NNM23株および/またはNNM27株を下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することで得られたものである。
Figure 2022181423000004
式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
上記式(I)において、飽和または不飽和の炭化水素基の炭素数は、好ましくは10~16であり、より好ましくは10~14である。
上記式(II)において、飽和または不飽和の炭化水素基の炭素数は、好ましくは13~19であり、より好ましくは15~19である。
上記式(I)および(II)において、飽和または不飽和の炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
飽和の炭化水素基の例としては、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基などが挙げられる。
不飽和の炭化水素基の例としては、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基などが挙げられる。
が飽和の炭化水素基である場合、R-CO-で表される基の例としては、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基(ラウロイル基)、トリデカノイル基、テトラデカノイル基(ミリストイル基)、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基(パルミトイル基)、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基(ステアロイル基)、ノナデカノイル基、エイコサノイル基などが挙げられる。
が不飽和の炭化水素基である場合、R-CO-で表される基の例としては、オレオイル基、リノレオイル基、α-リノレノイル基、γ-リノレノイル基、パルミトレノイル基などが挙げられる。
上記式(I)および(II)において、AおよびAは、好ましくはエチレン基である。
上記式(I)において、mが2以上の整数である場合、Aは、独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり得る。
上記式(II)において、nが2以上の整数である場合、Aは、独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり得る。
上記式(I)において、mは、好ましくは1~50の整数であり、より好ましくは1~30の整数であり、さらに好ましくは1~8の整数であり、特に好ましくは1~3の整数である。
上記式(II)において、nは、好ましくは0である。
上記式(I)で表される化合物の例としては、エチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、プロピレングリコールモノデシルエーテル、ブチレングリコールモノデシルエーテル、エチレングリコールモノウンデシルエーテル、ジエチレングリコールモノウンデシルエーテル、トリエチレングリコールモノウンデシルエーテル、プロピレングリコールモノウンデシルエーテル、ブチレングリコールモノウンデシルエーテル、エチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、プロピレングリコールモノドデシルエーテル、ブチレングリコールモノドデシルエーテル、エチレングリコールモノトリデシルエーテル、ジエチレングリコールモノトリデシルエーテル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテル、プロピレングリコールモノトリデシルエーテル、ブチレングリコールモノトリデシルエーテル、エチレングリコールモノテトラデシルエーテル、ジエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、トリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、プロピレングリコールモノテトラデシルエーテル、ブチレングリコールモノテトラデシルエーテル、エチレングリコールモノペンタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノペンタデシルエーテル、トリエチレングリコールモノペンタデシルエーテル、プロピレングリコールモノペンタデシルエーテル、ブチレングリコールモノペンタデシルエーテル、エチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、プロピレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ブチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、エチレングリコールモノヘプタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプタデシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘプタデシルエーテル、プロピレングリコールモノヘプタデシルエーテル、ブチレングリコールモノヘプタデシルエーテル、エチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、トリエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、プロピレングリコールモノオクタデシルエーテル、ブチレングリコールモノオクタデシルエーテル、エチレングリコールモノノナデシルエーテル、ジエチレングリコールモノノナデシルエーテル、トリエチレングリコールモノノナデシルエーテル、プロピレングリコールモノノナデシルエーテル、ブチレングリコールモノノナデシルエーテル、エチレングリコールモノエイコシルエーテル、ジエチレングリコールモノエイコシルエーテル、トリエチレングリコールモノエイコシルエーテル、プロピレングリコールモノエイコシルエーテル、ブチレングリコールモノエイコシルエーテルなどが挙げられる。
上記式(II)で表される化合物の例としては、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸(アラキジン酸)などの飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸などのモノ不飽和脂肪酸;リノール酸などのジ不飽和脂肪酸;α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ピノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸などのトリ不飽和脂肪酸が挙げられる。
本発明に係る微生物の培養に使用される培地は、上述の式(I)および/または式(II)で表される化合物を必須に含み、当該微生物が生育・増殖できるものであれば、特に制限されない。微生物の培養に使用する培地は、液体培地であっても固体培地であってもよい。培地は、乳化作用を有する成分を容易に回収できるとの観点から、好ましくは液体培地である。
培地に含まれる成分としては、上述の式(I)および/または式(II)で表される化合物、窒素源、無機塩およびその他の成分が挙げられる。
式(I)および/または式(II)で表される化合物の具体例は、上述のとおりである。
上述の式(I)および/または式(II)で表される化合物は、単独で添加してもまたは2種以上の混合物の形態で添加してもよい。
例えば、式(II)で表される化合物を2種以上含む材料として、ベニバナ油(サフラワー油)、オリーブ油、キャノーラ油(菜種油)、エゴマ油、ココナッツ油、ごま油、こめ油、米ぬか油、大豆油、コーン油、パーム油、パーム核油(ヤシ油)、ひまわり油、綿実油、落花生油などの油脂を使用することができる。
本発明に係る微生物の培養において、式(I)および/または式(II)で表される化合物は、炭素源に該当する。微生物の培養に使用する培地は、式(I)および/または式(II)で表される化合物以外の炭素源を含んでもよいが、式(I)および/または式(II)で表される化合物のみを炭素源(単一炭素源)とすることが好ましい。
式(I)および/または式(II)で表される化合物の配合量は、培地全量に対して、例えば0.02~20.0w/v%であり、好ましくは0.1~10.0w/v%であり、より好ましくは0.1~5.0w/v%であり、さらに好ましくは0.5~3.0w/v%である。当該配合量は、式(I)および/または式(II)で表される化合物を2種以上用いる場合はその合計量であり、上記油脂の場合はその質量である。
窒素源としては、肉エキス、魚肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、トリプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆加水分解物、大豆粉末、カゼイン、ミルクカゼイン、カザミノ酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素源;アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩、尿素等の無機窒素源などが挙げられる。上記窒素源を1種または2種以上選択して使用することができる。
窒素源の配合量(2種以上用いる場合はその合計量)は、本発明に係る微生物が生育・増殖できるものであれば、特に制限されない。
無機物としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、コバルト、ニッケル、モリブデン、銅、鉄、亜鉛などが挙げられる。これらの無機物が培地中に含有される形態については、特に制限されない。例えば、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、コバルト、ニッケル、銅、鉄及び亜鉛については、これらの、リン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩化物等のハロゲン化物などが挙げられる。具体的には、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛などが挙げられる。ホウ素については、ホウ酸などが挙げられる。モリブデンについては、酸化モリブデンなどが挙げられる。上記無機物を1種または2種以上選択して使用することができる。
無機物の配合量(2種以上用いる場合はその合計量)は、本発明に係る微生物が生育・増殖できるものであれば、特に制限されない。
その他の成分としては、溶媒、pH調整剤などが挙げられる。
溶媒としては、通常、水が用いられる。水としては、特に制限されず、純水、蒸留水、脱イオン水、RO水、などが挙げられる。
pH調整剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、クエン酸等の酸;または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、等の塩基などが挙げられる。
本発明に係る微生物の培養において使用できる培地の具体例としては、後述の実施例で使用した無機塩選択培地に上述の式(I)および/または式(II)で表される化合物を添加した培地が挙げられる。
培地の調製方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、式(I)および/または式(II)で表される化合物、窒素源および無機物を溶媒(例えば、水)に溶解することで調製することができる。
本発明に係る微生物の培養は、当該微生物が生育・増殖できるものであれば特に制限されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、培養は、好気的条件下、振盪あるいは通気攪拌などによって行われる。また、微生物を連続的にまたはバッチで培養してもよい。培養条件は、培地の組成や培養法によって適宜選択され、本発明に係る微生物が生育・増殖できる条件であれば特に制限されず、適宜選択されうる。通常、培養温度は、25~37℃である。また、培養に適当な培地のpHは、特に制限されないが、好ましくは5~11であり、より好ましくは6~10である。培養時間は、特に制限されず、培養液の乳化が確認できるまで培養すればよい。通常、培養時間は、約16~72時間であり、好ましくは約20~60時間である。
本発明に係る微生物の培養に先立ち、当該微生物をあらかじめ前培養してもよい。前培養は、本発明に係る微生物が生育・増殖できるものであれば特に制限されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、実施例に記載の方法を用いることができる。
前培養に使用される培地は、上述の培地を使用することができる。なお、培地に含まれる炭素源としては、上述の式(I)および式(II)で表される化合物以外のものを使用することができる。このような炭素源の例としては、グルコン酸、カプリン酸、アジピン酸、リンゴ酸、クエン酸、酢酸フェニル、酢酸、乳酸、コハク酸、グルクロン酸、ピルピン酸等の有機酸類およびその塩、ヘキサデカン等の炭化水素、麦、米等の天然物、グリセロール、メタノール、エタノール等のアルコール類、糖類、トリプトン、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
前培養の条件は、上記培養条件を適宜参照されうる。
このようにして、本発明に係る培養物としての培養液を得ることができる。
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を沈殿させて、上清を回収することができる。回収した上清には、本発明に係る微生物が生成した乳化作用を有する成分が含まれるため、本発明に係る培養物として使用することができる。遠心分離の条件は、特に制限されず、例えば3000~5000rpmで3~10分遠心分離を行えばよい。
本発明において、カプリアビダス属の微生物の培養物からの抽出物とは、培養物を溶媒抽出することにより得られる抽出液、その希釈液および濃縮液、ならびにそれらの乾燥物を意味する。
培養物から抽出物を抽出する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、以下の方法により、抽出物を得ることができる:
(工程1)培養物と溶媒(例えば、酢酸エチル)とを混合して、混合物を得る;
(工程2)混合物を遠心分離(例えば、600rpm、10分間)する;
(工程3)溶媒層を回収し、ロータリーエバポレーターなどを用いて溶媒層から溶媒を除去して、抽出液(抽出物)を得る。
抽出に用いられる溶媒としては、特に制限されず、従来公知の溶媒を使用することができる。溶媒の例としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状および環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類等が挙げられる。溶媒は、好ましくは酢酸エチル等のエステル類、エタノール等のアルコール類である。
溶媒の添加量は、使用する溶媒によっても異なるが、例えば培養液1体積部に対して、0.5~10体積部である。混合する際の温度は、特に制限されず、例えば25~37℃である。
工程3で得られた抽出液は、そのまま抽出物として使用することができる。また、従来公知の手法により、抽出液を希釈、濃縮または凍結乾燥したものを抽出物として使用することもできる。
<乳化用組成物の製造方法>
本発明の第二の態様は、カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物を、下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することを含み、
前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)である、乳化用組成物の製造方法である:
Figure 2022181423000005
式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
本発明に係る乳化用組成物の製造方法において、微生物(NNM23株およびNNM27株)、式(I)および式(II)で表される化合物、培養で使用される培地、微生物の培養方法ならびに培養により得られる培養物およびその抽出物は、上記説明と同様であるため、説明を省略する。
好ましい実施形態において、上述の抽出物を得るために、本発明に係る乳化用組成物の製造方法は、培養で得られた培養物から微生物を除去することを含む。
微生物を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法が挙げられる。例えば、培養液を遠心分離することにより菌体を沈殿させて、上清を回収する方法が挙げられる。遠心分離の条件は、上述のとおりである。
また、培養物から抽出物を抽出することにより、微生物を除去することができる。抽出物の抽出方法は、上述のとおりである。
<用途>
本発明に係る乳化用組成物は、微生物に由来する乳化成分を含むため、化粧品(例えば、化粧水、乳液、クリームなど)、洗剤などの分野で用いることができる。したがって、本発明の一実施形態は、本発明に係る乳化用組成物を含む、化粧品である。また、本発明の一実施形態は、本発明に係る乳化用組成物を含む、洗剤である。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
[前培養液の調製]
カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株を冷凍保存したグリセロールストック溶液から白金耳を用いて固体培地(富栄養寒天培地)上に接種して、30℃で培養した。
固体培地は、以下の表1の組成となるように、寒天以外の各成分を純水に溶解し、寒天の終濃度が0.8w/v%となるように添加し、高温高圧滅菌した後、適宜分注して固化させて調製した。
Figure 2022181423000006
固体培地上での生育を確認した後、固体培地上のコロニーを液体培地(0.5w/v%の単一炭素源(トリエチレングリコールブチルエーテル(BTG))を含む無機塩選択培養液)に接種して、好気的条件下、30℃で12~20時間(振とう速度:40rpm)培養して、前培養液を調製した。
液体培地は、以下の表2の組成となるように、各成分を純水に溶解して、無機塩選択培養液を調製した後、無機塩選択培養液にBTGを終濃度が0.5w/v%となるように添加し、高温高圧滅菌して調製した。
Figure 2022181423000007
[実施例1]
前培養液2mLを遠心分離(3000rpm、5分間)して、菌体を回収した。得られた菌体に対して、1Lの液体培地(0.5w/v%の単一炭素源(ジエチレングリコールモノドデシルエーテル(DDG))を含む無機塩選択培養液)を添加して、好気的条件下、30℃で振とう培養(振とう速度:40rpm)した。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、培養液の乳化を確認した(図1:約30時間培養後の培養液)。培養前には乳化が確認されておらず、培養に使用した液体培地には乳化作用を有する成分が含まれないため、培養液の乳化は、NNM27株が生成したバイオサーファクタントによるものと考えられる。
[実施例2]
単一炭素源(DDG)の濃度を0.1w/v%としたこと以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、培養液の上部において部分的な乳化を確認した(図1:約30時間培養後の培養液)。培養前には乳化が確認されておらず、培養に使用した液体培地には乳化作用を有する成分が含まれないため、培養液の乳化は、NNM27株が生成したバイオサーファクタントによるものと考えられる。
[実施例3]
単一炭素源として、DDGの代わりにベニバナ油を使用したこと以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、培養液の乳化を確認した(図1:約30時間培養後の培養液)。培養前には乳化が確認されておらず、培養に使用した液体培地には乳化作用を有する成分が含まれないため、培養液の乳化は、NNM27株が生成したバイオサーファクタントによるものと考えられる。
[実施例4]
単一炭素源として、DDGの代わりにオリーブ油を使用したこと以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、培養液の乳化を確認した(図1:約30時間培養後の培養液)。培養前には乳化が確認されておらず、培養に使用した液体培地には乳化作用を有する成分が含まれないため、培養液の乳化は、NNM27株が生成したバイオサーファクタントによるものと考えられる。
[実施例5]
単一炭素源として、DDGの代わりにキャノーラ油を使用したこと以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、培養液の乳化を確認した(図1:約30時間培養後の培養液)。培養前には乳化が確認されておらず、培養に使用した液体培地には乳化作用を有する成分が含まれないため、培養液の乳化は、NNM27株が生成したバイオサーファクタントによるものと考えられる。
[比較例1]
単一炭素源として、DDGの代わりにBTGを使用したこと以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、NNM27株の増殖は確認されたが、培養液の乳化は確認できなかった(図1)。なお、培養前にも乳化は確認されなかった。
[比較例2]
上記表2の組成となるように、各成分を純水に溶解した後、高温高圧滅菌して、無機塩選択培養液を調製した。
前培養液2mLを遠心分離(3000rpm、5分間)して、菌体を回収した。得られた菌体に対して、1Lの無機塩選択培養液を添加して、好気的条件下、30℃で振とう培養(振とう速度:40rpm)した。
約20~60時間培養して、培養液の状態を確認したところ、NNM27株の増殖および培養液の乳化は確認できなかった(図1:約30時間培養後の培養液)。なお、培養前にも乳化は確認されなかった。

Claims (9)

  1. カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物の培養物またはその培養物からの抽出物を含む、乳化用組成物であって、
    前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)であり、
    前記培養物は、前記微生物を下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することで得られたものである、乳化用組成物:
    Figure 2022181423000008

    式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
  2. 前記式(I)において、mは1~50の整数である、請求項1に記載の乳化用組成物。
  3. 前記式(II)において、nは0である、請求項1または2に記載の乳化用組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の乳化用組成物を含む、化粧品。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の乳化用組成物を含む、洗剤。
  6. カプリアビダス(Cupriavidus)属の微生物を、下記式(I)および/または式(II)で表される化合物を含む培地で培養することを含み、
    前記微生物は、カプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM23株(受託番号NITE P-02114)および/またはカプリアビダス・エスピー(Cupriavidus sp.)NNM27株(受託番号NITE P-02115)である、乳化用組成物の製造方法:
    Figure 2022181423000009

    式中、Rは、炭素数10~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、炭素数9~19の飽和または不飽和の炭化水素基であり、AおよびAは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0~50の整数である。
  7. 前記培養で得られた培養物から前記微生物を除去することを含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記式(I)において、mは1~50の整数である、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記式(II)において、nは0である、請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法。
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