JP2022181017A - スパッタリング装置、成膜方法、及び物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定してプラズマ光をモニタすることを可能にするスパッタリング装置を提供する。【解決手段】スパッタリング装置100は、容器101とともに成膜室4を画成し、容器101に対して回転軸C1まわりに回転駆動され、複数のターゲット2が周方向R1に並べて装着されるカソードユニット1と、カソードユニット1とともに回転するようカソードユニット1に支持され、複数のターゲット2のうち対応するターゲット2の近傍に発生したプラズマの光を導光して出力する導光部201と、導光部201と間隔をあけて配置され、導光部201から出力された光を導光する導光部202と、導光部202に導光された光をモニタする計測器21と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、スパッタリング技術に関する。
金属製のターゲットに反応性ガスを供給し、スパッタリングにより絶縁性の薄膜を形成する成膜方法が知られている。この種の成膜方法では、反応性ガスの供給量が少ないと、成膜速度は速いが導電性の薄膜が形成され、反応性ガスの供給量が多いと、成膜速度は遅いが絶縁性の薄膜が形成される。絶縁性の薄膜を高速に成膜する方法として、スパッタリング時にターゲットの表面近傍に発生するプラズマの発光強度に基づいて反応性ガスの供給量を制御し、遷移モードと呼ばれる領域で成膜をする遷移モード成膜技術が知られている。
遷移モード成膜技術においては、プラズマの発光をモニタする必要があり、モニタ値の変化を抑制するために、モニタ対象であるプラズマに対する集光ユニットの相対位置の変動を抑制する必要がある。特許文献1には、集光ユニットをチャンバに固定して、ターゲット近傍をモニタする構成が開示されている。
一方、特許文献2には、回転軸まわりに回転駆動され、複数のターゲットが周方向に並べて装着されるカソードユニットを備えるスパッタリング装置が開示されている。特許文献2によれば、レンズの形状やターゲット材の変更によりスパッタ粒子の放出角度分布が変化しても、カソードユニットを回転軸周りに回転させてレンズに対するターゲット成膜面の角度を調整することにより、所望の膜厚分布を実現することができる。
光学素子には複数種類の化合物層を含む反射防止膜が用いられることが多く、各層は高い精度で所望の膜厚分布で形成する必要がある。そこで、特許文献1の反応性スパッタリング装置に、複数種類の化合物膜を成膜できる特許文献2のカソードユニットを組み合わせる構成は、このような反射防止膜の成膜に好ましい。ところが、特許文献1のように集光ユニットをチャンバに対して固定していると、回転軸周りにターゲットを回転させることによって、集光ユニットとターゲット成膜面(即ちプラズマ)の相対位置が変動し、安定してプラズマ光をモニタすることができなくなる恐れがある。
本発明は、回転軸まわりに回転駆動され、複数のターゲットが周方向に並べて装着されるカソードユニットを用いる反応性スパッタにおいて、安定してプラズマ光をモニタすることを可能にするスパッタリング装置を提供することを目的とする。
本発明のスパッタリング装置は、外囲器と、前記外囲器とともに成膜室を画成し、前記外囲器に対して回転軸まわりに回転駆動され、複数のターゲットが周方向に並べて装着されるカソードユニットと、前記カソードユニットとともに回転するよう前記カソードユニットに支持され、前記複数のターゲットのうち対応するターゲットの近傍に発生したプラズマの光を導光して出力する第1導光部と、前記第1導光部と間隔をあけて配置され、前記第1導光部から出力された光を導光する第2導光部と、前記第2導光部に導光された光をモニタするモニタ部と、を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、安定してプラズマ光をモニタすることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係るスパッタリング装置100の説明図である。図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係るカソードユニット1の概略構成図である。スパッタリング装置100は、本実施形態ではマグネトロンスパッタリング装置である。スパッタリング装置100は、反応性スパッタリングにより、成膜対象であるワーク(被成膜物)Wの表面に絶縁性の薄膜を形成する。スパッタリング装置100によってワークWの表面に薄膜を形成することにより、最終品又は中間品等の物品が製造される。ワークWは、例えばレンズ基体であり、形成される膜は、例えば複数種類の金属酸化物層からなる積層膜である、反射防止膜である。
スパッタリング装置100は、外囲器の一例である容器101と、容器101に対して回転可能に支持されたカソードユニット1と、を備える。容器101は、真空容器本体である。容器101及びカソードユニット1によって成膜室4が画成される。容器101には、成膜室4を低真空まで排気可能な粗引き用の真空ポンプと、成膜室4を高真空まで排気可能な本引き用の真空ポンプと、が取り付けられている。
成膜室4に隣接する位置には、不図示のロードロック室が設けられていてもよい。その際、不図示のロードロック室と成膜室4との間には、不図示の仕切弁が設けられるのが好ましく、不図示の仕切弁によって成膜室4の真空を破壊せずにワークWの供排可能となる。なお、成膜室4を大気圧状態にしてワークWを成膜室4に直接供給し、成膜室4を真空状態に排気する構成であってもよい。
また、スパッタリング装置100は、成膜室4に配置され、成膜室4に供給されたワークWを保持するホルダ8を備える。また、スパッタリング装置100は、駆動機構102と、容器101に設置された一対の軸受9と、軸受9を介して容器101に回転可能に支持され、駆動機構102により回転軸C1を中心に回転駆動されるカソードユニット1と、を備える。駆動機構102は、カソードユニット1に直接、又は不図示の伝達機構を介して接続された不図示のモータを有し、カソードユニット1を回転駆動可能に構成されている。
カソードユニット1は、複数のターゲット2が周方向R1に並べて装着されるように構成されている。カソードユニット1に装着された複数のターゲット2は、成膜室4に位置する。そして、カソードユニット1が回転軸C1を中心に回転することにより、複数のターゲット2のうち1つが、ホルダ8、即ちホルダ8に保持されたワークWと対向することになる。
カソードユニット1は、一対の軸受9を介して容器101に回転可能に支持された筒状部材1aと、筒状部材1aの内側に配置された、複数のカソード30及び複数のマグネット3と、を有する。複数のターゲット2は、筒状部材1aの外側に固定して配置されている。複数のターゲット2の各々は、金属ターゲットである。複数のターゲット2は、いずれも同種材質のターゲットであってもよいし、すべて互いに異なる種類の材質のターゲットであってもよい。カソードユニット1に複数種類のターゲット2を設置すると、1つの成膜室内で複数種類の材質の層からなる積層膜を形成することができる。
カソードユニット1の内側の空間、即ち筒状部材1aの内側の空間には、大気が存在している。よって、カソードユニット1の内側の空間、即ち筒状部材1aの内側の空間は、大気圧状態である。各カソード30は、複数のマグネット3のうち対応するマグネット3と一体に構成されている。各カソード30及び各マグネット3は、対応するターゲット2の裏面の近傍に設置されており、対応するターゲット2の表面近傍に高密度のプラズマを生成することができる。各マグネット3は、対応するターゲット2との相対位置が変わらないように筒状部材1aに固定されている。カソードユニット1の内側の空間には、さらに冷却液によってターゲットを冷却する冷却機構が設けられているのも好ましい。
ターゲット2の数は、図2(a)に示すように偶数であってもよいし、図2(b)に示すように奇数であってもよい。また、ターゲット2の形状は、図2(a)に示すように平板形状であってもよいし、図2(b)に示すように湾曲した形状であってもよい。また、ターゲット2の表面の外形は、多角形であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。
本実施形態において、カソードユニット1は、回転軸C1の延びる方向が垂直方向となるように配置されているが、回転軸C1の延びる方向は、これに限定するものではない。例えばカソードユニット1は、回転軸C1の延びる方向が水平方向となるように配置されていてもよい。
また、スパッタリング装置100は、成膜室4に配置され、成膜室4に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部5と、容器101の外部に配置され、反応性ガス供給部5と接続されたマスフローコントローラ6と、を備える。反応性ガス供給部5は、例えばノズルで構成されている。反応性ガスは、例えば酸素(O2)である。マスフローコントローラ6は、反応性ガス供給部5から成膜室4に供給する反応性ガスの流量を調整する。なお、反応性ガス供給部5は、容器101の内面における上面、下面又は側面に配置してもよい。反応性ガス供給部5は、カソードユニット1とホルダ8との間、即ち複数のターゲット2のうちホルダ8と対向するターゲット2の近傍に配置されるのが好ましい。
また、スパッタリング装置100は、成膜室4に配置され、成膜室4に不活性ガスを供給する不図示の不活性ガス供給部を備える。不活性ガスは、例えばアルゴン(Ar)である。
カソードユニット1は、複数のターゲット2のうち対応するターゲット2がワークWと対向する回転角度に位置決めされる。カソードユニット1を回転させることで、成膜に用いるターゲット2を切り替えることができる。即ち、カソードユニット1を回転させることで、複数のターゲット2のうち成膜に用いるターゲット2を、ワークWに対向させることができる。反応性ガス供給部5から反応性ガスが、不図示の不活性ガス供給部から不活性ガスが、それぞれ真空状態にある成膜室4に供給される。成膜室4が所定の圧力に到達後、不図示の電源より、対応するカソード30、即ち対応するターゲット2へ電圧が印加されると、対応するターゲット2の表面の近傍にプラズマが発生する。このとき、マグネット3によって形成される磁場により、ターゲット2の表面の近傍におけるプラズマの発生位置が決まる。マグネット3によって形成される磁場は、マグネット3の形態及び配置位置によって決まる。プラズマ中のイオン化した不活性ガスの粒子がターゲット2の表面に衝突することで、ターゲット2の表面がスパッタリングされ、ターゲット粒子がはじき出される。はじき出されたターゲット粒子は、ターゲット2の表面において反応性ガスと結合した成膜粒子となっているか、又は成膜室4に存在する反応性ガスと結合して成膜粒子となる。そして、複数の成膜粒子のうちの一部がワークWの表面に付着する。成膜粒子がワークWの表面上に堆積することで、ワークWの表面に絶縁性の薄膜、例えば金属酸化膜が形成される。ワークWに形成される薄膜の膜厚分布は、カソードユニット1の回転角度を変化させることで調整することができる。即ち、制御用PC22は、カソードユニット1の回転角度が変化するよう駆動機構102を制御する。
本実施形態では、スパッタリング装置100は、反応性スパッタリングによってワークWの表面に絶縁性の薄膜を形成する。反応性スパッタリングでは、金属のターゲット2の表面状態として、成膜速度や膜質の異なる3つのモードが存在する。3つのモードは、金属モード、化合物モード、及び金属モードと化合物モードとの間の遷移モードである。
化合物モードは、ターゲット2の表面の化合物を維持するのに十分な量の反応性ガスが存在する状態である。反応性ガスがO2の場合、化合物は金属酸化物である。化合物モードの場合、十分に反応が進み化学量論比を満足する化合物を得やすいが、他の2つのモードに比べ成膜速度が遅い。ターゲット2の表面の化合物膜の結合力やターゲット材料と化合物膜との結合力は、金属などのターゲット材料の結合力よりも強い。これらの結合を切り、ターゲット2をスパッタして化合物をたたき出すには、より多くのエネルギーが必要になるため、化合物のスパッタ率は金属のスパッタ率よりも低くなり、その結果、成膜速度が遅くなる。
金属モードは、ターゲット2の表面を化合物化するのに十分な量の反応性ガスが存在せず、ターゲット2の表面が化合物よりも金属の割合が高い状態である。その結果、成膜速度は化合物モードよりも速くなるが、形成される薄膜は、反応が十分に進んでいない金属的なものとなる。したがって、所望の絶縁性の薄膜が形成されないことがある。
遷移モードは、化合物モードと金属モードとの中間の量の反応性ガスが存在する状態である。ターゲット2の表面は部分的に化合物が形成され、化合物と金属とが混在する。そのため、成膜速度は、化合物モードよりも速くなるが、不安定な状態である。
本実施形態の反応性スパッタリングでは、化合物モードよりも成膜速度の速い遷移モードにおいて、プラズマエミッションモニタ制御、即ちPEM制御によって絶縁性の薄膜をワークWの表面に化合物膜を形成する。スパッタリング装置100は、プラズマの発光をモニタするモニタ部の一例である計測器21と、計測器21によってモニタされたプラズマの発光強度に基づいて、反応性ガスの流量を制御する制御部の一例である制御用PC22と、を備える。計測器21および制御用PC22は、容器101の外部に配置されている。マスフローコントローラ6および計測器21は、制御用PC22と通信可能に接続されている。
スパッタリング装置100は、プラズマ光を計測器21に導光する導光経路を形成する導光系200を備える。ここで、カソードユニット1は、容器101に対して回転するが、計測器21は、容器101に対して回転しない。
導光系200は、第1導光部の一例である導光部201と、導光部201と空間をあけて配置された第2導光部の一例である導光部202と、を有する。導光部202は、光が進行する方向において、導光部201の下流に配置される。導光部201は、カソードユニット1とともに回転するようカソードユニット1に支持されている。導光部201は、複数のターゲット2のうち対応するターゲット2の近傍に発生したプラズマの光を導光して導光部202に出力する。導光部202は、導光部201と間隔をあけて配置されており、導光部201から出力された光を導光して計測器21に出力する。
計測器21は、例えば分光器で構成され、回折格子及びCCDセンサを有する。計測器21は、導光部201及び導光部202を介して取得したプラズマ光を分光分析して、所定波長毎の光の強度を示す情報である光強度値、即ちモニタ値を、電気信号として制御用PC22へ送信する。制御用PC22は、取得した光強度値に基づいてマスフローコントローラ6を制御することで、反応性ガスの流量を制御する。
導光部201,202について説明する。導光部201は、集光ユニット11、光ファイバー12、真空フィードスルー13、レンズ14、及びミラー15を有する。導光部202は、レンズ16及び光ファイバー17を有する。光ファイバー12は、第1光ファイバーの一例であり、光ファイバー17は、第2光ファイバーの一例である。レンズ14は、第1レンズの一例であり、レンズ16は、第2レンズの一例である。集光ユニット11及び光ファイバー12は、成膜室4に配置され、レンズ14及びミラー15は、大気がある筒状部材1aの内側に配置されている。導光部202、即ちレンズ16及び光ファイバー17は、大気がある筒状部材1aの内側に配置されている。ここで、光ファイバーとは、光ファイバー本体が被覆部材で被覆されたものをいう。
導光部201の各部について詳細に説明する。集光ユニット11の数は、ターゲット2の数以下であればよく、本実施形態では、ターゲット2の数と同じである。光ファイバー12、真空フィードスルー13、及びレンズ14のそれぞれの数は、集光ユニット11の数と同じである。ミラー15は、例えば多角錐形状であり、集光ユニット11の数と同じ数の反射面15aを有する。即ち、導光部201において、集光ユニット11、光ファイバー12、真空フィードスルー13、レンズ14、及びミラー15の反射面15aにより、集光ユニット11と同じ数の導光経路P1が画成される。そして、カソードユニット1を回転させることにより、成膜に用いるターゲットとともに、光をモニタするのに用いる導光経路P1が切り替わる。導光部201の導光経路P1において、集光ユニット11、光ファイバー12、真空フィードスルー13、レンズ14、及び反射面15aは、この順で光の進行する方向に配置されている。よって、導光経路P1において、レンズ14は、光ファイバー12に対して光が進行する方向の下流に配置されている。ここで、反射面15aは、反射部の一例である。なお、ミラー15に含まれる複数の反射面15aの角度は、全て同じ角度であってもよいし、個別に違う角度であってもよい。また、各反射部がミラー15の各反射面15aである場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば各反射部が、複数のミラーで構成されていてもよい。また、各反射部が、1つ又は複数のプリズムで構成されていてもよい。
各集光ユニット11は、コリメータであり、成膜室4に配置されている。プラズマの位置は、マグネット3により形成される磁場によって決まるため、集光ユニット11は、マグネット3及びターゲット2に対する相対位置の変動を抑制する必要がある。各集光ユニット11は、対応するターゲット2の近傍に発生したプラズマの光を集光する位置に配置されている。具体的には、各集光ユニット11は、対応するターゲット2の近傍に発生したプラズマの光を集光するよう、対応するターゲット2の表面近傍に、対応するターゲット2の表面と平行な向きに配置されている。各集光ユニット11は、対応するターゲット2、即ち対応するマグネット3との相対位置が変動しないよう、カソードユニット1に固定されている。
各集光ユニット11と各真空フィードスルー13とは、各光ファイバー12で接続されている。各真空フィードスルー13は、カソードユニット1の筒状部材1aの側壁を貫通するように筒状部材1aに固定されている。
各レンズ14は、入射光を平行光とするコリメートレンズである。真空フィードスルー13は、筒状部材1aの外側から内側へプラズマの光を導光するよう、筒状部材1aに固定されている。
ミラー15は、回転軸C1上に配置されている。各反射面15aは、対応する真空フィードスルー13及びレンズ14を介して導光された光を導光部202に向けて反射する。具体的には、各反射面15aは、対応する真空フィードスルー13及びレンズ14を介して導光された光を導光部202のレンズ16に向けて回転軸C1の延びる方向に反射する。このように、導光部201は、導光した光を回転軸C1の延びる方向に出力する。
図3(a)は実施形態に係るレンズ14と真空フィードスルー13との配置関係を示す説明図である。図3(a)に示すように、真空フィードスルー13は、図1の光ファイバー12が接続される光ファイバー本体13aを有する。レンズ14は、光ファイバー本体13aの径の中心に対して、光軸中心が同軸となる位置に配置されている。また、レンズ14は、焦点が光ファイバー本体13aの端面の近傍の位置となるように配置されており、好ましくは焦点が光ファイバー本体13aの端面と一致するように配置されている。
以上、導光部201の構成である集光ユニット11、光ファイバー12、真空フィードスルー13、レンズ14およびミラー15は、カソードユニット1に支持されている。そのため、導光部201は、カソードユニット1と一体に回転軸C1まわりに回転する。
次に、導光部202の各部について詳細に説明する。レンズ16及び光ファイバー17により、導光経路P2が画成される。導光部202の導光経路P2において、レンズ16は、光ファイバー17に対して光が進行する方向の上流に配置されている。
レンズ16は、回転軸C1に対してレンズ16の光軸中心が同軸となる位置に配置されている。レンズ16は、入射光を集光するコリメートレンズである。図3(b)は、実施形態に係るレンズ16と光ファイバー17との配置関係を示す説明図である。図3(b)に示すように、光ファイバー17は、光ファイバー本体17aを有する。光ファイバー17は、レンズ16の光軸中心に対して光ファイバー本体17aの径中心が同軸となる位置に配置されている。また、光ファイバー本体17aは、端面がレンズ16の焦点の近傍の位置となるように配置されており、好ましくは端面が焦点の位置と一致するように配置されている。
導光部202および計測器21は、容器101に固定されていてもよいし、不図示の別の部材に固定されていてもよい。そのため、導光部202は、カソードユニット1とともに回転しないように、カソードユニット1から分離されている。
以上の構成により、ターゲット2の表面近傍で発生したプラズマの発光の一部は、集光ユニット11内に入射した後、光ファイバー12、真空フィードスルー13を経由してカソードユニット1の内側へと伝搬する。真空フィードスルー13より出射された光は、レンズ14へ入射された後にコリメートされ、ミラー15の反射面15aで反射される。反射光は、レンズ16へ入射後に集光され、光ファイバー17へと導光される。レンズ16および光ファイバー17は、それぞれの光軸中心が回転軸C1と同軸となるように配置されているため、カソードユニット1の回転角度に関わらず光を導光することができる。光ファイバー17より出射された光は、計測器21でモニタ値として計測され、モニタ値は制御用PC22へと送信される。光ファイバー12を含む導光部201の全体がカソードユニット1と連動し、光ファイバー17を含む導光部202がカソードユニット1と連動しないので、カソードユニット1の回転動作による光ファイバー12,17の屈曲および捻れを防止できる。これにより、プラズマの発光を計測器21まで安定的に導光することができ、モニタ値が変化するのを抑制することができる。
また、光ファイバー12,17が回転に伴って屈曲したり捻れたりするのを防止できるので、光ファイバー12,17の耐久性が向上する。
以上に説明したように、プラズマ光の導光系200を、カソードユニット1とともに回転駆動される導光部201と、回転駆動されない導光部202とに分離することで、モニタ値が変動するのを抑制し、プラズマ発光を安定して計測することができる。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
上述の実施形態では、カソードユニット1の数が1つである場合を例に説明したが、これに限定するものではない。カソードユニット1の数は、複数であってもよい。
1…カソードユニット、4…成膜室、21…計測器(モニタ部)、100…スパッタリング装置、101…容器(外囲器)、201…導光部(第1導光部)、202…導光部(第2導光部)
Claims (15)
- 外囲器と、
前記外囲器とともに成膜室を画成し、前記外囲器に対して回転軸まわりに回転駆動され、複数のターゲットが周方向に並べて装着されるカソードユニットと、
前記カソードユニットとともに回転するよう前記カソードユニットに支持され、前記複数のターゲットのうち対応するターゲットの近傍に発生したプラズマの光を導光して出力する第1導光部と、
前記第1導光部と間隔をあけて配置され、前記第1導光部から出力された光を導光する第2導光部と、
前記第2導光部に導光された光をモニタするモニタ部と、を備える、
ことを特徴とするスパッタリング装置。 - 前記成膜室に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部と、
前記モニタ部によりモニタされた光の強度に基づいて、前記反応性ガスの流量を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1導光部は、前記プラズマの光を集光する位置に配置された集光ユニットを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1導光部は、第1光ファイバーを有し、
前記第2導光部は、第2光ファイバーを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1導光部は、前記第1導光部の導光経路において、前記第1光ファイバーに対して下流に配置された第1レンズを有し、
前記第2導光部は、前記第2導光部の導光経路において、前記第2光ファイバーに対して上流に配置された第2レンズを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1レンズ及び前記第2レンズのそれぞれがコリメートレンズである、
ことを特徴とする請求項5に記載のスパッタリング装置。 - 前記カソードユニットは、
筒状部材と、
前記筒状部材の内側に配置された複数のマグネットと、を有し、
前記第1導光部は、
前記筒状部材の外側から内側へ前記プラズマの光を導光する真空フィードスルーを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1導光部は、前記筒状部材の内側に配置され、前記真空フィードスルーを介して導光された光を前記第2導光部に反射する反射部を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載のスパッタリング装置。 - 前記第1導光部は、導光した光を前記回転軸の延びる方向に出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスパッタリング装置を用いて被成膜物に化合物膜を成膜する、
ことを特徴とする成膜方法。 - 請求項2に記載のスパッタリング装置を用いて被成膜物に化合物膜を成膜する成膜方法であって、
前記カソードユニットに金属ターゲットを設置し、
前記反応性ガス供給部から酸素を含むガスを供給し、
前記化合物膜として金属酸化物を含む膜を形成する、
ことを特徴とする成膜方法。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスパッタリング装置を用いて被成膜物に化合物膜を成膜して物品を製造する、
ことを特徴とする物品の製造方法。 - 請求項2に記載のスパッタリング装置を用いて被成膜物に化合物膜を成膜して物品を製造する方法であって、
前記カソードユニットに金属ターゲットを設置し、
前記反応性ガス供給部から酸素を含むガスを供給し、
前記化合物膜として金属酸化物を含む膜を形成する、
ことを特徴とする物品の製造方法。 - 前記化合物膜が複数種類の金属酸化物層を含む積層膜である、
ことを特徴とする請求項13に記載の物品の製造方法。 - 前記被成膜物がレンズである、
ことを特徴とする請求項14に記載の物品の製造方法。
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