JP2022179313A - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents

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Akihiro Shoji
恵太 島田
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Abstract

【課題】 赤外波長域における部分分散比PC,tが比較的高い光学ガラスおよび光学素子を提供すること。【解決手段】 Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5カチオン%以上であり、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、PbおよびAsを実質的に含有せず、PC,tが式〔2-2〕を満たし、(I)~(IV)のうち1以上を満たす酸化物光学ガラス。【選択図】 なし

Description

本発明は、所望の光学的性質を有する光学ガラスおよび光学素子に関する。
監視カメラや防犯カメラは、暗視機能を備えているものが多く、これらの撮像光学系には赤外波長域における結像性能が求められる。一般的に、赤外波長域における結像性能は、可視短波長域における結像性能を重視するような一眼レフやミラーレスカメラ等の光学系では要求されない。
高次の色収差を補正するには、二種のレンズを組み合わせることがある。二種のレンズとしては、たとえば凸レンズと凹レンズとの組み合わせや、低分散レンズと高分散レンズとの組み合わせなどがある。この二種のレンズは、アッベ数の差が大きく、各波長域における部分分散比の差が小さいことが望まれる。
上記二種のレンズのうち、一方のレンズとして低分散性と異常部分分散性とを備えるフツリン酸ガラスを使用することがある。低分散性と異常部分分散性とを備えるフツリン酸ガラスは、これと組み合わせて使用されるレンズと比べて、アッベ数νdおよび赤外波長域における部分分散比PC,tが大きいことが多い。したがって、近赤外域での結像性能を高める場合、フツリン酸ガラスレンズと組み合わせる他方のレンズとして使用するガラスには、アッベ数νdが該フツリン酸ガラスよりも小さく、PC,tができるだけ該フツリン酸ガラスの値に近いことが求められ、すなわち、ΔPC,tが比較的大きいことが求められる。なお可視短波長域での結像性能を高める場合、フツリン酸ガラスレンズと組み合わせる他方のレンズとして使用するガラスには、同様の理由でΔPg,Fが比較的小さいことが求められる。
高分散性のガラスにおいて、ガラス組成で高分散化に寄与するガラス成分の含有量を増やしてアッベ数νdを減少させると、通常、可視短波長域における部分分散比Pg,Fは上昇し、赤外波長域における部分分散比PC,tは低下する。このような高分散性のガラスからなるレンズでは、上記フツリン酸ガラスのPC,tとの差が大きくなるため、可視長波長域での色収差を十分に補正できず、特に暗視カメラに使用するレンズとして適当ではない。
特許文献1および特許文献2では、異常部分分散性に着目し、分散性が所定範囲である光学ガラスが提案されているが、赤外波長域における部分分散比PC,tについては何ら着目されていない。
したがって、近赤外波長域にわたって高次の色収差を補正するためにフツリン酸ガラスレンズと組み合わせるレンズとして、PC,tが比較的高いガラスからなるレンズが求められている。
特開平10-130033号公報 特開2017-154963号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、赤外波長域における部分分散比PC,tが比較的高い光学ガラスおよび光学素子を提供することを目的とする。かかる目的のもと、高分散化しても部分分散比PC,tが過度に低下しないガラスを探索した結果、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5カチオン%以上であり、
Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
PbおよびAsを実質的に含有せず、
PC,tが下記式〔2-2〕を満たし、
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす酸化物光学ガラス。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
(2)Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5カチオン%以上であり、
3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.41以上1未満であり、
Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
PbおよびAsを実質的に含有せず、
下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす酸化物光学ガラス。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
(3)ガラス成分として、
Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
ΔPg,FおよびΔPC,tが下記(i)または(ii)を満たす、酸化物光学ガラス。
(i)ΔPg,Fが-0.0037より大きいのとき、ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031である。
(ii)ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038である。
(4)ガラス成分として、
Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
PC,tが下記式〔2-1〕を満たす、酸化物光学ガラス。
PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
(5)Pg,Fが下記式〔1-1〕を満たす、(4)に記載の酸化物光学ガラス。
Pg,F≦0.6463-0.001802×νd …〔1-1〕
(6)Nb5+およびTi4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++W6++Bi3+)]が0.5以上である、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
本発明によれば、赤外波長域における部分分散比PC,tが比較的高い光学ガラスおよび光学素子を提供できる。
本発明の実施形態において、光学ガラスのガラス組成は、特記しない限り、カチオン%にて表示する。カチオン%とは、全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。ガラス成分の含有量および合計含有量は、特記しない限りカチオン%基準であり、「%」は「カチオン%」を意味する。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
なお、アニオン%とは、全てのアニオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。
カチオン成分の価数(例えばB3+の価数は+3、Si4+の価数は+4、La3+の価数は+3)は、慣習により定まった値であり、ガラス成分としてのB、Si、Laを酸化物基準で表記する際、B23、SiO2、La23と表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、カチオン成分の価数まで分析しなくてもよい。また、アニオン成分の価数(例えばO2-の価数が‐2)も慣習により定まった値であり、上記のように酸化物基準におけるガラス成分を、例えばB23、SiO2、La23と表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、アニオン成分の価数まで分析しなくてもよい。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)等の方法で定量することができる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
本明細書において、ガラスの熱的安定性および再加熱時の安定性とは、ともにガラス中における結晶析出のしにくさを指す。特に、熱的安定性は熔融状態のガラスが固化する際の結晶析出のしにくさを指し、再加熱時の安定性はリヒートプレス時のように、固化したガラスを再加熱したときの結晶析出のしにくさを指すものとする。
本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
以下に、本発明の光学ガラスを、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態として説明する。第1実施形態では、ガラス組成と、アッベ数νdの関数で示した部分分散比PC,tとで、本発明の光学ガラスを説明する。第2実施形態では、ガラス組成で本発明の光学ガラスを説明する。第3実施形態では、ΔPC,tとΔPg,Fとの関係をΔPg,Fの関数で示すことで、本発明の光学ガラスを説明する。第4実施形態では、部分分散比PC,tをアッベ数νdの関数で示すことで、本発明の光学ガラスを説明する。
第1実施形態
第1実施形態に係る酸化物光学ガラスは、
Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5%以上であり、
Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
PbおよびAsを実質的に含有せず、
PC,tが下記式〔2-2〕を満たし、
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]は6.5%以上である。該合計含有量の下限は、好ましくは7%、7.5%、8%、8.5%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには20%、15%、12%、11.5%、11%、10.5%、10%の順により好ましい。該合計含有量を上記範囲とすることで、高屈折率および所望のアッベ数νdを維持できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.55以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは0.75であり、さらには0.80、0.85、0.90の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善できる。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]は0.4以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは0.42であり、さらには0.44、0.46、0.48、0.50の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.9、0.8、0.7、0.65、0.6、0.55の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、高分散性を維持できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]は8.6以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは8.8であり、さらには9.0、9.2、9.4、9.6、9.8の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは20であり、さらには18、16、14、13、12、11の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、アッベ数を調整できる。
第1実施形態に係る光学ガラスは、環境負荷が懸念される成分であるPbおよびAsを実質的に含まない。すなわち、PbイオンおよびAsイオンの各含有量は、0%である。また、Thも、PbおよびAsと同様に、環境負荷が懸念される成分である。したがって、Thイオンの含有量は0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%、または0~0.01%であってもよい。Thイオンの含有量は0%であることが好ましい。すなわち、Thは実質的に含まれないことが好ましい。なお、Pbイオンは、Pb2+の他、価数の異なるPbイオンを含むものとする。AsイオンおよびThイオンも、それぞれ価数の異なるイオンを含むものとする。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比PC,tは下記式〔2-2〕を満たす。
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
部分分散比Pg,Fは、下記式〔2-3〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔2-4〕、下記式〔2-5〕、下記式〔2-6〕、下記式〔2-7〕、下記式〔2-8〕の順に満たすことがより好ましい。
PC,t≧0.5731+0.004667×νd …〔2-3〕
PC,t≧0.5751+0.004667×νd …〔2-4〕
PC,t≧0.5771+0.004667×νd …〔2-5〕
PC,t≧0.5791+0.004667×νd …〔2-6〕
PC,t≧0.5811+0.004667×νd …〔2-7〕
PC,t≧0.5831+0.004667×νd …〔2-8〕
部分分散比PC,tが上記式を満たすことで、第1実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子は、広い波長範囲において色収差を良好に補正できる。
第1実施形態に係る光学ガラスは、下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
すなわち、第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(I)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]は0.85以下とすることができる。上記(I)の場合、該カチオン比の上限は、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、または0.55とすることもできる。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0.10であり、さらには0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(II)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]は0.97以下とすることができる。上記(II)の場合、該カチオン比の上限は、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、または0.55とすることもできる。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0.10であり、さらには0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
また、第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(II)の場合、Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.75以上とすることができる。上記(II)の場合、該カチオン比の下限は、0.77、0.79、0.81、0.83、0.85、0.87、または0.89とすることもできる。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.99、0.98、0.95の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(III)の場合、B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]は0.46以上とすることができる。上記(III)の場合、該カチオン比の下限は、0.50、0.51、0.53、0.55、0.57、または0.59とすることもできる。また、該カチオン比は、好ましくは1未満であり、その上限は、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(IV)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.75以上とすることができる。上記(IV)の場合、該カチオン比の下限は、0.80、0.85、または0.90とすることもできる。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(IV)の場合、B3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]は0.31以上とすることができる。該カチオン比の下限は、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.10、または1.20とすることもできる。該カチオン比の上限は、好ましくは10であり、さらには9、8、7、6、5、4、3、2、1.8の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、該カチオン比は上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおける上記以外のガラス成分の含有量および比率について、以下に非制限的な例を示す。
第1実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、好ましくは、Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有する。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+の含有量の下限は、好ましくは5%であり、さらには7%、9%、11%、13%、15%、17%、19%、21%の順により好ましい。また、Si4+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには40%、35%、32%、30%、28%、26%、24%の順により好ましい。Si4+はガラスのネットワーク形成成分である。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、Si4+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。Si4+の含有量が少なすぎると、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下し、また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性が低下するおそれがある。Si4+の含有量が多すぎると、ガラスの熔解性が低下するおそれがあり、また、熔融ガラスの粘性が増大して成形性が悪化するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、B3+の含有量の下限は、好ましくは10%であり、さらには15%、20%、25%、28%、30%、32%の順により好ましい。また、B3+の含有量の上限は、好ましくは60%であり、さらには55%、50%、45%、40%、38%、36%の順により好ましい。B3+はガラスのネットワーク形成成分である。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、B3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。B3+の含有量が少なすぎると、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下し、また、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。B3+の含有量が多すぎると、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%の順により好ましい。また、Zr4+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、8%、6%、5%の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、Zr4+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。Zr4+の含有量が少なすぎると、化学的耐久性が低下するおそれがある。Zr4+の含有量が多すぎると、液相温度LTが上昇するおそれがあり、また再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには1%、3%、5%、7%、7.5%、8%の順により好ましい。また、Nb5+の含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには20%、15%、12%、11.5%、11%、10.5%、10%の順により好ましい。Nb5+の含有量を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tの低下を抑制しながら高分散性を維持できる。Nb5+の含有量が少なすぎると、高分散性を維持できないおそれがある。Nb5+の含有量が多すぎると、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、好ましくは、Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有する。第1実施形態に係る光学ガラスは、より好ましくはLi+およびNa+を含有する。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Li+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには5%、10%、15%の順により好ましい。また、Li+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには40%、30%、25%の順により好ましい。Li+はガラスの低粘性化に寄与する成分であり、アルカリ金属の中では比較的赤外波長域における部分分散比PC,tを高める働きが大きい。Li+の含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、Li+の含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が増大するおそれがある。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Na+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには2%、4%、6%、8%の順により好ましい。また、Na+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには40%、30%、25%、20%、15%、10%の順により好ましい。Na+は、Li+と同様にガラスの低粘性化に寄与する成分である。Na+の含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、Na+の含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が増大するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、K+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%の順により好ましい。また、K+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。K+の含有量は0%であってもよい。K+は、液相温度を下げ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、K+の含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性、再加熱時の安定性が低下する。そのため、K+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量[Li++Na++K+]の下限は、好ましくは1%であり、さらには5%、10%、15%、20%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[Li++Na++K+]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、40%、35%、30%の順により好ましい。再加熱時の安定性の低下を抑制する観点から、合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Al3+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、2%、1%の順により好ましい。また、Al3+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.1%、0.2%、0.3%の順により好ましい。Al3+の含有量は0%であってもよい。Al3+は、適当量を含有することによりガラスの相分離を抑制する働きを有する。一方、ガラスの熱的安定性を保持する観点から、Al3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、P5+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、0.8%、1%の順により好ましい。P5+の含有量は0%であってもよい。P5+の含有量を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を保持できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Cs+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、5%の順により好ましい。Cs+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Cs+の含有量は0%であってもよい。
Cs+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下するおそれがある。そのため、Cs+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Mg2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Mg2+の含有量は0%であってもよい。
Mg2+は、アルカリ土類金属の中では赤外波長域における部分分散比PC,tを高める成分である。しかし、Mg2+の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下するおそれがある。そのため、Mg2+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ca2+の含有量の上限は好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Ca2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Ca2+の含有量は0%であってもよい。
Ca2+は、アルカリ土類金属の中では赤外波長域における部分分散比PC,tを高める成分である。しかし、Ca2+の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下するおそれがある。そのため、Ca2+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Sr2+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Sr2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Sr2+の含有量は0%であってもよい。
Sr2+は、アルカリ土類金属の中では屈折率を高める成分である。しかし、Sr2+の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。そのため、Sr2+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%の順により好ましい。Ba2+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1.0%、1.5%の順により好ましい。Ba2+の含有量は0%であってもよい。
Ba2+は、屈折率を高める成分であると同時に液相温度を下げガラスの安定性を高める成分である。しかし、Ba2+の含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ、また、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。また、Ba2+の含有量が少なすぎると、屈折率ndが低下し、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下するおそれがある。そのため、Ba2+の含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zn2+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Zn2+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.1%、0.5%、0.7%の順により好ましい。Zn2+の含有量は0%であってもよい。
Zn2+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。しかし、Zn2+の含有量が多すぎると比重が上昇するおそれ、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。そのため、ガラスの熱的安定性を改善し、所望の光学恒数を維持する観点から、Zn2+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、La3+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%の順により好ましい。また、La3+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%の順により好ましい。La3+の含有量は0%であってもよい。La3+は一定量導入することにより屈折率ndを高めることが出来る。しかし、La3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。また、高分散性が損なわれるおそれ、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。したがって、La3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Gd3+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Gd3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Gd3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下する。また、Gd3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの比重が増大し、好ましくない。また原料コストが増大するおそれがある。したがって、ガラスの熱的安定性を良好に維持しつつ、比重の増大を抑制する観点から、Gd3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Y3+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%の順により好ましい。また、Y3+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%の順により好ましい。Y3+の含有量は0%であってもよい。
3+は一定量導入することにより屈折率ndを高めることが出来る。しかしY3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。また、高分散性が損なわれるおそれがある。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Y3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、8%、6%、4%の順により好ましい。また、Ti4+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。Ti4+の含有量は0%であってもよい。Ti4+の含有量を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を実現し、また比重の増大を抑えることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ta5+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、9%、8%、6%の順により好ましい。また、Ta5+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%の順により好ましい。Ta5+の含有量は0%であってもよい。
Ta5+は、ガラスに高屈折低分散性を与え、赤外波長域における部分分散比PC,tを高める成分である。一方、Ta5+の含有量が多くなると、原料コストが高くなる。また、比重が上昇するおそれがある。そのため、Ta5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、W6+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、8%、6%、4%、2%、1%、0.5%、0.1%の順により好ましい。W6+の含有量の下限は、好ましくは0%である。W6+の含有量は0%であってもよい。透過率を高め、赤外波長域における部分分散比PC,tの低下を抑制し、また、比重を低減する観点から、W6+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、8%、6%の順により好ましい。また、Bi3+の含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%の順により好ましい。Bi3+の含有量は0%であってもよい。透過率を高め、また比重を低減する観点から、また白金製の製造装置へのダメージ低減の観点から、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Sc3+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Sc3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Hf4+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Hf4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。
Sc3+、Hf4+は、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、高価な成分である。そのため、Sc3+、Hf4+の各含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Lu3+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Lu3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。
Lu3+は、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Lu3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ge4+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Ge4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。
Ge4+は、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストを低減する観点から、Ge4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Yb3+の含有量は、好ましくは2%以下である。また、Yb3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。
Yb3+は、La3+、Gd3+、Y3+と比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させる。また、Yb3+の含有量が多すぎるとガラスの熱的安定性が低下する。ガラスの熱的安定性の低下を防ぎ、比重の増大を抑制する観点から、Yb3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、CuイオンおよびAgイオンの各含有量の上限は、好ましくは1%であり、さらには0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.03%の順により好ましい。また、CuイオンおよびAgイオンの各含有量の下限は、好ましくは0%である。ガラスの着色を抑制する観点から、CuイオンおよびAgイオンの各含有量は上記範囲とすることが好ましい。CuイオンおよびAgイオンは、それぞれ価数の異なるイオンを含むものとする。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Nb5+およびTi4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++W6++Bi3+)]の下限は、好ましくは0.5であり、さらには0.6、0.7、0.8、0.9、0.95の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.99、0.98、0.97の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tの低下を抑制する観点から、該カチオン比は上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+およびB3+の合計含有量[Si4++B3+]の下限は、好ましくは20%であり、さらには25%、30%、35%、40%、45%、50%、52%、54%、56%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは80%であり、さらには75%、70%、65%、60%の順により好ましい。該合計含有量を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、ガラスの熱的安定性を維持できる。該合計含有量が少なすぎると、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下し、また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性が維持できないおそれがある。該合計含有量が多すぎると、熔融ガラスの粘性が増大して成形性が悪化するおそれがある。また、屈折率が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+、B3+、およびAl3+の合計含有量[Si4++B3++Al3+]の下限は、好ましくは20%であり、さらには25%、30%、35%、40%、45%、50%、52%、54%、56%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは80%であり、さらには75%、70%、65%、60%の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、ガラスの熱的安定性および再加熱時の安定性を保持する観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+の含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[Li+/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.95、0.90、0.85、0.80、0.75の順により好ましい。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65の順により好ましい。再加熱時の安定性の低下を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Na+の含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[Na+/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.35の順により好ましい。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.05、0.10、0.15、0.20、0.25の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。再加熱時の安定性の低下を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、K+の含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[K+/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、0.40、0.35、0.30、0.25の順により好ましい。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.05、0.10、0.15の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。再加熱時の安定性の低下を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%の順により好ましい。該合計含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.3%、0.6%、0.9%、1.0%、1.2%、1.5%、1.7%、1.9%の順により好ましい。該合計含有量は0%であってもよい。該合計含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ、また、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。また、該合計含有量が少なすぎると、屈折率ndが低下し、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下するおそれがある。そのため、該合計含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+]の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%の順により好ましい。該合計含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.3%、0.6%、0.9%、1.0%、1.2%、1.5%、1.7%、1.9%の順により好ましい。該合計含有量は0%であってもよい。該合計含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ、また、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するおそれがある。また、該合計含有量が少なすぎると、屈折率ndが低下し、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下するおそれがある。そのため、該合計含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、La3+、Gd3+、およびY3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3+]の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。該合計含有量の下限は、好ましくは0%である。ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点、赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するのを防ぐ観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+およびZr4+の合計含有量[Nb5++Zr4+]の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、18%、16%、15%の順により好ましい。また、該合計含有量の下限は、好ましくは5%であり、さらには7%、9%、10%、11%、12%の順により好ましい。高分散性を損なうことなく赤外波長域における部分分散比PC,tが低下するのを最低限にとどめる観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ta5+およびZr4+の合計含有量[Ta5++Zr4+]の上限は好ましくは20.0%であり、さらには15.0%、12.0%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、5.0%の順により好ましい。また、該合計含有量の下限は、好ましくは1.0%であり、さらには1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%の順により好ましい。ガラスの熱的安定性を維持する観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。該合計含有量が少なすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。該合計含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがあり、原料コストが増大するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.99、0.98、0.97、0.96、0.95、0.94、0.93、0.92、0.91の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.5、0.6、0.7、0.8、0.9の順により好ましい。該カチオン比は1であってもよい。高屈折率を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ta5+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Ta5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.03、0.05、0.07の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。原料コストの増大を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Ti4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.03、0.05、0.07の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。高分散性を維持する観点、また可視短波長域における部分分散比Pg,Fの上昇を抑える観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは5.0%であり、さらには5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには19%、18%、17%、16%、15%の順により好ましい。屈折率ndを高め、またアッベ数νdを調整する観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+の含有量と、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Nb5+/(Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.9であり、さらには0.8、0.75、0.7の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0.1であり、さらには0.2、0.3、0.4、0.45の順により好ましい。高分散性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.9であり、さらには0.8、0.7、0.6、0.55、0.5、0.45、0.4の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0.01であり、さらには0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、高分散性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ta5+の含有量と、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Ta5+/(Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.03、0.05、0.07の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。原料コストの増大を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+の含有量と、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Ti4+/(Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.03、0.05、0.07の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。高分散性を維持する観点、また可視短波長域における部分分散比Pg,Fの上昇を抑える観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)/(Si4++B3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1、0.08の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.01、0.02、0.03の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)/(Si4++B3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1、0.08の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.01、0.02、0.03の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)/(Si4++B3+)]の上限は、好ましくは1.50であり、さらには1.40、1.30、1.20、1.10、1.00、0.90、0.80、0.70、0.60、0.55の順により好ましい。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0.10であり、さらには0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、La3+、Gd3+、およびY3+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(La3++Gd3++Y3+)/(Si4++B3+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2、0.1、0.08の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.01、0.02、0.03の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)/(Si4++B3+)]の上限は、好ましくは0.50であり、さらには0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.18の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12の順により好ましい。高屈折率および所望のアッベ数νdを維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは0.6であり、さらには0.5、0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.02、0.04、0.06の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは0.6であり、さらには0.5、0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.02、0.04、0.06の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、La3+、Gd3+、およびY3+の合計含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(La3++Gd3++Y3+)/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは0.5であり、さらには0.4、0.3、0.2の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.01、0.03、0.05の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量と、Li+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)/(Li++Na++K+)]の上限は、好ましくは0.60であり、さらには0.55、0.50、0.45、0.40の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0.05であり、さらには0.10、0.15、0.17、0.19、0.21、0.23、0.25の順により好ましい。高屈折率を維持し、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.99、0.98、0.97、0.96、0.95、0.94の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0.50であり、さらには0.55、0.60、0.65、0.70、0.75の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、La3+、Gd3+、およびY3+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(La3++Gd3++Y3+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは1であり、さらには0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1の順により好ましい。該カチオン比の下限は、好ましくは0であり、さらには0.01、0.02、0.03、0.04、0.05の順により好ましい。該カチオン比は0であってもよい。ガラスの熱的安定性の低下を抑制、また高屈折率を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、B3+の含有量と、Nb5+、Zr4+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Nb5++Zr4++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の上限は、好ましくは7.0であり、さらには6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0の順により好ましい。また、該カチオン比の下限は、好ましくは1.0であり、さらには1.2、1.4、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、Bi3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]の下限は、好ましくは0.17であり、さらには0.20、0.25、0.30、0.35、0.37、0.39、0.40の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは2.00であり、さらには1.80、1.60、1.40、1.20、1.00、0.80、0.60の順により好ましい。化学的耐久性を改善し、また、屈折率ndを高め、さらに高分散性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、屈折率ndが低下するおそれがあり、また、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、液相温度LTが上昇するおそれがあり、また再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+およびTa5+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、W6+、Bi3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Zr4++Ta5+)/(Nb5++Ti4++W6++Bi3++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]の下限は、好ましくは0.25であり、さらには0.30、0.35、0.37、0.39、0.40の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは3.10であり、さらには2.80、2.60、2.40、2.20、2.00、1.80、1.60、1.40、1.20、1.00、0.80、0.60、0.55の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、屈折率ndを高め、高分散性を維持し、ガラスの化学的耐久性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、屈折率ndが低下するおそれがあり、また、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係るガラスは、主として上述のガラス成分、すなわち、Si4+、B3+、Zr4+、Nb5+、Li+、Na+、K+、Al3+、P5+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、La3+、Gd3+、Y3+、Ti4+、Ta5+、W6+、Bi3+、Sc3+、Hf4+、Lu3+、Ge4+、およびYb3+で構成されていることが好ましい。上述のガラス成分の合計含有量は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98%以上である、さらに好ましくは99%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。
第1実施形態に係る光学ガラスは、酸化物ガラスであり、アニオン成分としてO2-を含む。O2-の含有量は、好ましくは90~100アニオン%であり、より好ましくは95~100アニオン%である。
第1実施形態に係る光学ガラスは、アニオン成分としてF-を含むことができる。F-の含有量は、好ましくは0~10アニオン%であり、より好ましくは0~5アニオン%である。
第1実施形態に係る光学ガラスは、アニオン成分として、O2-およびF-以外の成分を含んでいてもよい。O2-およびF-以外のアニオン成分として、Cl-、Br-、I-を例示できる。しかし、Cl-、Br-、I-は、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動する、ガラスの均質性が低下する、熔融設備の消耗が著しくなる等の問題が生じる。したがって、Cl-の含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.25アニオン%未満である。また、Br-およびI-の合計含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.1アニオン%未満、より一層好ましくは0アニオン%である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、F-、Cl-、Br-、およびI-の合計含有量[F-+Cl-+Br-+I-]の上限は、好ましくは5アニオン%であり、さらには3アニオン%、1アニオン%、0.5アニオン%、0.1アニオン%の順により好ましい。該合計含有量の下限は0アニオン%である。該合計含有量は0アニオン%であってもよい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動する、ガラスの均質性が低下する、熔融設備の消耗が著しくなる等の問題が生じる。したがって、該合計含有量は上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、基本的に上記ガラス成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有することも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
上記成分の他に、上記光学ガラスは、清澄剤としてSb3+等を少量含有することもできる。清澄剤の総量(外割添加量)は0%以上1%未満とすることが好ましく、0%以上0.9%以下、0%以上0.8%以下、0%以上0.7%以下、0%以上0.6%以下、0%以上0.5%以下、0%以上0.4%以下、0%以上0.3%以下、0%以上0.2%以下、0%以上0.1%以下、0%以上0.05%以下、0%以上0.03%以下とすることがより好ましい。
外割添加量とは、清澄剤を除く全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときの清澄剤の添加量をモル百分率で表したものである。
また、上記光学ガラスは、可視領域の広い範囲にわたり高い透過率が得られる。こうした特長を活かすには、着色性の元素を含まないことが好ましい。着色性の元素としては、Co、Ni、Fe、Cr、Eu、Nd、Er、V等を例示することができる。いずれの元素とも、100質量ppm未満であることが好ましく、0~80質量ppmであることがより好ましく、0~50質量ppmであることが更に好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
Ga、Te、Tb等は、導入が不要な成分であり、高価な成分でもある。そのため、質量%表示によるGa23、TeO2、TbO2の含有量の範囲は、いずれも、それぞれ0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%であることがより好ましく、0~0.01%であることが更に好ましく、0~0.005%であることが一層好ましく、0~0.001%であることがより一層好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
(ガラス特性)
<アッベ数νd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは好ましくは30~60であり、32~50、34~45、36~40、または37~39とすることもできる。
アッベ数νdは、各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的にアッベ数νdを低くする成分、すなわち高分散化成分は、Nb5+、Ti4+、Zr4+、W6+、Bi3+、Ta5+等である。一方、相対的にアッベ数νdを高くする成分、すなわち低分散化成分は、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、La3+、Ba2+、Ca2+、Sr2+等である。
本発明では、アッベ数νd、後述する部分分散比PC,tおよび部分分散比Pg,Fを次のように算出する。すなわち、日本産業規格(JIS) B 7071-1 光学ガラスの屈折率測定法-第1部:最小偏角法により、表Aに示す12の波長における屈折率を測定する。次に、JIS B 7071-1 光学ガラスの屈折率測定法-第1部:最小偏角法の附属書Bで定められているショットの分散式に、測定によって得た各線の屈折率をあてはめ、最小二乗法によりショットの分散式の定数を求める。そして、定数の定まったショットの分散式を使用して得た各線屈折率の値よりアッベ数νd、後述する部分分散比PC,tおよび部分分散比Pg,Fを算出する。
Figure 2022179313000001
ショットの分散式: n2=a0+a1λ2+a2λ-2+a3λ-4+a4λ-6+a5λ-8
ここで、nは屈折率、λは波長(μm)、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数である。
アッベ数νdは、d線、F線、C線における各屈折率nd、nF、nCを用いて次のように表される。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
<屈折率nd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.50~1.80であり、1.60~1.70、1.63~1.69、または1.66~1.68とすることもできる。
屈折率ndは各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的に屈折率ndを高める働きを有する成分(高屈折率化成分)は、Nb5+、Ti4+、Zr4+、Ta5+、La3+等である。一方、相対的に屈折率ndを低くする働きを有する成分(低屈折率化成分)は、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+等である。
<部分分散比Pg,F>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、可視短波長域における部分分散比Pg,Fの上限は、好ましくは0.5900であり、さらには0.5850、0.5820、0.5780、0.5770、0.5760、0.5750の順により好ましい。部分分散比Pg,Fを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。一方、部分分散比Pg,Fの下限は、特に限定されないが、通常0.5600であり、好ましくは0.5650である。
また、第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fは下記式〔1-1〕を満たすことが好ましい。
Pg,F≦0.6463-0.001802×νd …〔1-1〕
部分分散比Pg,Fは、下記式〔1-2〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔1-3〕、下記式〔1-4〕、下記式〔1-5〕、下記式〔1-6〕の順に満たすことがより好ましい。
Pg,F≦0.6458-0.001802×νd …〔1-2〕
Pg,F≦0.6453-0.001802×νd …〔1-3〕
Pg,F≦0.6448-0.001802×νd …〔1-4〕
Pg,F≦0.6446-0.001802×νd …〔1-5〕
Pg,F≦0.6443-0.001802×νd …〔1-6〕
第1実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子において、広い波長範囲において色収差を良好に補正する観点から、部分分散比Pg,Fは上記式を満たすことが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,Fの上限は、好ましくは-0.0020であり、さらには-0.0025、-0.0030、-0.0035、-0.0037、-0.0040の順により好ましい。一方、ΔPg,Fの下限は、特に限定されないが、通常-0.0100であり、好ましくは-0.0080である。ΔPg,Fを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。
部分分散比Pg,Fは、上記ショットの分散式を用いて算出する。
本願発明では、部分分散比Pg,Fは、上記表Aに示す12の異なる波長(スペクトル線)において測定した屈折率の値を用い、上記ショットの分散式と呼ばれる屈折率と波長とを関係付ける式の波長項の係数をフィッティングにより求め、これら係数を定めた後に当該分散式を用いて算出する。12の異なる波長において測定した屈折率の値を使用することにより、高い精度で部分分散比Pg,Fを算出することができる。一方、屈折率を測定する波長の数を減らし、簡略化した方法によって部分分散比Pg,Fを算出することもできるが、精度が十分でなく、12の異なる波長において測定した屈折率を使用して算出される値と比較して簡略な方法で算出した部分分散比Pg,Fのほうが小さい値になる傾向がある。すなわち、部分分散比Pg,Fの値が同じであっても、その算出方法によって実際の色収差の補正に関する性能に優劣が生じる場合がある。具体的には、上述のとおり簡略な方法で算出した部分分散比Pg,Fは小さく見積もられるから、そのPg,Fの値が12の異なる波長において測定した屈折率を使用して算出される部分分散比Pg,Fと同じ値であっても、実際の色収差の補正に関する性能は劣ることがある。
部分分散比Pg,Fは、g線、F線、C線における各屈折率ng、nF、nCを用いて次のように表される。
Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)
また、横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比Pg,Fとする平面において、ノーマルラインは下式により表される。
Pg,F(0)=0.6483-(0.001802×νd)
さらに、ノーマルラインからの部分分散比Pg,Fの偏差ΔPg,Fは次のように表される。
ΔPg,F=Pg,F-Pg,F(0)
<部分分散比PC,t>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、赤外波長域における部分分散比PC,tの下限は、好ましくは0.7200であり、さらには0.7300、0.7400、0.7450、0.7500、0.7550、0.7560、0.7570、0.7580、0.7590、0.7600の順により好ましい。部分分散比PC,tを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。一方、部分分散比PC,tの上限は、特に限定されないが、通常0.8500であり、好ましくは0.8400であり、さらには0.8300、0.8200、0.8100、0.8000の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPC,tの下限は、好ましくは0.0200であり、さらには0.0250、0.0270、0.0290、0.0310、0.0330、0.0350、0.0370の順により好ましい。一方、ΔPC,tの上限は、特に限定されないが、通常0.0900であり、好ましくは0.0800である。ΔPC,tを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。
部分分散比PC,tは、上記ショットの分散式を用いて算出する。
部分分散比PC,tは、t線、F線、C線における各屈折率nt、nF、nCを用いて次のように表される。
PC,t=(nC-nt)/(nF-nC)
また、横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比PC,tとする平面において、ノーマルラインは下式により表される。
PC,t(0)=0.5461-(0.004667×νd)
さらに、ノーマルラインからの部分分散比PC,tの偏差ΔPC,tは次のように表される。
ΔPC,t=PC,t-PC,t(0)
部分分散比PC,tは各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的に部分分散比PC,tを高める働きを有する成分は、Si4+、B3+、Al3+、Li+等である。一方、相対的に部分分散比PC,tを低くする働きを有する成分は、Sr2+、Ba2+、Zn2+、La3+、Ti4+、Nb5+、W6+等である。
<ΔPg,FおよびΔPC,t>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,FおよびΔPC,tは、好ましくは下記(i)または(ii)を満たす。
(i)ΔPg,Fが-0.0037より大きいとき、ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031である。
(ii)ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038である。
(i)第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,Fが-0.0037より大きいのとき、好ましくは下記式(A1)を満たし、さらには下記式(A2)、下記式(A3)、下記式(A4)、下記式(A5)の順に満たすことがより好ましい。
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031 …(A1)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.035 …(A2)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.037 …(A3)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.039 …(A4)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.041 …(A5)
(ii)第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、好ましくは下記式(B1)を満たし、さらには下記式(B2)、下記式(B3)、下記式(B4)、下記式(B5)の順に満たすことがより好ましい。
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038 …(B1)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.042 …(B2)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.044 …(B3)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.046 …(B4)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.048 …(B5)
<ガラスの比重>
第1実施形態に係る光学ガラスの比重は、好ましくは4.00以下であり、さらには3.50以下、3.10以下、3.05以下、3.00以下、2.95以下、2.90以下、2.85以下、2.80以下の順により好ましい。
相対的に比重を高くする成分は、Ba2+、La3+、Zr4+、Nb5+、Ta5+等である。一方、相対的に比重を低くする成分は、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+等である。これら成分の含有量を適宜調整することで比重を制御することができる。
<液相温度LT>
第1実施形態に係る光学ガラスの液相温度LTの上限は、好ましくは1300℃であり、さらには1270℃、1240℃、1210℃、1180℃、1150℃、1100℃の順により好ましい。液相温度を上記範囲とすることで、ガラスの熔融、成形温度を低下させることができ、その結果、熔融工程におけるガラス熔融器具(例えば、坩堝、熔融ガラスの攪拌器具など)の侵蝕ならびにガラス成分自身の揮発に起因する脈理の発生を低減できる。液相温度LTの下限は特に限定されないが、通常1000℃であり、好ましくは1050℃である。液相温度LTは、全てのガラス成分の含有量のバランスによって決まる。その中でも、液相温度LTに対しては、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+等の含有量の影響が大きい。またZr4+、Al3+等の含有量が多いと液相温度は上昇する。
液相温度は次のように決定する。10cc(10ml)のガラスを白金坩堝中に投入し1250℃~1400℃で15~30分熔融した後にガラス転移温度Tg以下まで冷却し、ガラスを白金坩堝ごと所定温度の熔解炉に入れ2時間保持する。保持温度は1000℃以上で5℃あるいは10℃刻みとし、2時間保持後、冷却し、100倍の光学顕微鏡でガラス内部の結晶の有無を観察する。この操作を温度毎に繰り返し、結晶の析出しなかった最低温度を液相温度とする。
<ガラス転移温度Tg>
第1実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgの下限は、好ましくは400℃であり、さらには450℃、470℃、480℃の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは600℃であり、さらには580℃、560℃、550℃、540℃、530℃、520℃、510℃の順により好ましい。
相対的にガラス転移温度Tgを下げる成分は、Li+、Na+、K+等である。相対的にガラス転移温度Tgを上げる成分は、La3+、Zr4+、Nb5+等である。これらの成分の含有量を適宜調整することでガラス転移温度Tgを制御できる。
<ガラスの光線透過性>
第1実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、着色度λ80およびλ5により評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について波長200~700nmの範囲で分光透過率を測定し、外部透過率が80%となる波長をλ80、外部透過率が5%となる波長をλ5とする。
第1実施形態に係る光学ガラスのλ80は、好ましくは450nm以下であり、より好ましくは430nm以下であり、さらに好ましくは410nm以下である。λ5は、好ましくは400nm以下であり、より好ましくは380nm以下であり、さらに好ましくは360nm以下である。
<化学的耐久性 耐水性Dw>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐水性Dwは、好ましくは5級以上であり、より好ましくは4級以上、さらに好ましくは3級以上である。
耐水性Dwは、比重に相当する質量の粉末ガラス(粒度425~600μm)を白金かごに入れ、それを純水(pH=6.5~7.5)80mLの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その減量率(%)によって表Bの級に分類し評価する。
Figure 2022179313000002
<化学的耐久性 耐酸性Da>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐酸性Daは、好ましくは5級以上であり、より好ましくは4級以上、さらに好ましくは3級以上である。
耐酸性Daは、比重に相当する質量の粉末ガラス(粒度425~600μm)を白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液80mLの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬して60分間処理し、その減量率(%)によって表Cの級に分類し評価する。
Figure 2022179313000003
<化学的耐久性 耐潜傷性DNaOH
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐潜傷性DNaOHは、好ましくは4級以上であり、より好ましくは3級以上、さらに好ましくは2級以上である。
耐潜傷性DNaOHは、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨されたガラス試料を、よく攪拌されている50℃、0.01mol/LのNaOH水溶液中に、15時間浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔mg/(cm2・15h)〕によって表Dの級に分類し評価する。
Figure 2022179313000004
<化学的耐久性 耐潜傷性DSTPP
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐潜傷性DSTPPは、好ましくは4級以上であり、より好ましくは3級以上、さらに好ましくは2級以上である。
耐潜傷性DSTPPは、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨されたガラス試料を、よく攪拌されている50℃、0.01mol/LのNa5310(STPP)水溶液中に、1時間浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔mg/(cm2・h)〕によって表Eの級に分類し評価する。
Figure 2022179313000005
<化学的耐久性 化学的耐久性D0
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、化学的耐久性D0は、好ましくは4級以上であり、より好ましくは3級以上、さらに好ましくは2級以上である。
化学的耐久性D0は、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨されたガラス試料を、毎分1Lの速度でイオン交換樹脂層を通って循環され、50℃、pH=7.0±0.2に保たれて、よく攪拌されている純水中に浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔10-3mg/(cm2・h)〕によって表Fの級に分類し評価する。
Figure 2022179313000006
(光学ガラスの製造)
第1実施形態に係るガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
(光学素子等の製造)
第1実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記光学ガラスの製造において、熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。光学素子は、上記光学ガラスからなるガラス成形体を加工する工程を含む方法により製造することができる。加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示することができる。こうした加工を行う際、上記ガラスを使用することにより、破損を軽減することができ、高品質の光学素子を安定して供給することができる。
第2実施形態
第2実施形態に係る酸化物光学ガラスは、
Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5%以上であり、
3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.41以上1未満であり、
Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
PbおよびAsを実質的に含有せず、
下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]は6.5%以上である。該合計含有量の下限は、好ましくは7%、7.5%、8%、8.5%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには20%、15%、12%、11.5%、11%、10.5%、10%の順により好ましい。該合計含有量を上記範囲とすることで、高屈折率および所望のアッベ数νdを維持できる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]は0.41以上1未満である。該カチオン比の下限は、好ましくは0.46であり、さらには0.50、0.51、0.53、0.55、0.57、0.59の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは0.90であり、さらには0.85、0.80、0.75、0.70、0.65の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高めることができる。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.55以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは0.75であり、さらには0.80、0.85、0.90の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善できる。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]は0.4以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは0.42であり、さらには0.44、0.46、0.48、0.50の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.9、0.8、0.7、0.65、0.6、0.55の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、高分散性を維持できる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]は8.6以上である。該カチオン比の下限は、好ましくは8.8であり、さらには9.0、9.2、9.4、9.6、9.8の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは20であり、さらには18、16、14、13、12、11の順により好ましい。該カチオン比を上記範囲とすることで、赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、アッベ数を調整できる。
第2実施形態に係る光学ガラスは、環境負荷が懸念される成分であるPbおよびAsを実質的に含まない。すなわち、PbイオンおよびAsイオンの各含有量は、0%である。また、Thも、PbおよびAsと同様に、環境負荷が懸念される成分である。したがって、Thイオンの含有量は0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%、または0~0.01%であってもよい。Thイオンの含有量は0%であることが好ましい。すなわち、Thは実質的に含まれないことが好ましい。なお、Pbイオンは、Pb2+の他、価数の異なるPbイオンを含むものとする。AsイオンおよびThイオンも、それぞれ価数の異なるイオンを含むものとする。
第2実施形態に係る光学ガラスは、下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす。
(I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
(II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
(III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
(IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
すなわち、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(I)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]は0.85以下とすることができる。上記(I)の場合、該カチオン比の上限は、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、または0.55とすることもできる。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0.10であり、さらには0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(II)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]は0.97以下とすることができる。上記(II)の場合、該カチオン比の上限は、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、または0.55とすることもできる。また、該カチオン比の下限は、好ましくは0.10であり、さらには0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、化学的耐久性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
また、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(II)の場合、Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.75以上とすることができる。上記(II)の場合、該カチオン比の下限は、0.77、0.79、0.81、0.83、0.85、0.87、または0.89とすることもできる。該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.99、0.98、0.95の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(III)の場合、B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]は0.46以上とすることができる。上記(III)の場合、該カチオン比の下限は、0.50、0.51、0.53、0.55、0.57、または0.59とすることもできる。また、該カチオン比は、好ましくは1未満であり、その上限は、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(IV)の場合、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]は0.75以上とすることができる。上記(IV)の場合、該カチオン比の下限は、0.80、0.85、または0.90とすることもできる。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記(IV)の場合、B3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]は0.31以上とすることができる。該カチオン比の下限は、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.10、または1.20とすることもできる。該カチオン比の上限は、好ましくは10であり、さらには9、8、7、6、5、4、3、2、1.8の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高める観点から、該カチオン比は上記範囲とすることが好ましい。
また、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比PC,tは下記式〔2-1〕を満たすことが好ましい。
PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
部分分散比Pg,Fは、下記式〔2-3〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔2-3〕、下記式〔2-4〕、下記式〔2-5〕、下記式〔2-6〕、下記式〔2-7〕、下記式〔2-8〕の順に満たすことがより好ましい。
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
PC,t≧0.5731+0.004667×νd …〔2-3〕
PC,t≧0.5751+0.004667×νd …〔2-4〕
PC,t≧0.5771+0.004667×νd …〔2-5〕
PC,t≧0.5791+0.004667×νd …〔2-6〕
PC,t≧0.5811+0.004667×νd …〔2-7〕
PC,t≧0.5831+0.004667×νd …〔2-8〕
第2実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子において、広い波長範囲における色収差を良好に補正する観点から、部分分散比PC,tは上記式を満たすことが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率は、第1実施形態と同様とすることができる。
また、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス特性は、第1実施形態と同様とすることができる。
さらに、第2実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造も、第1実施形態と同様とすることができる。
第3実施形態
第3実施形態に係る酸化物光学ガラスは、
ガラス成分として、
Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
ΔPg,FおよびΔPC,tが下記(i)または(ii)を満たす。
(i)ΔPg,Fが-0.0037より大きいとき、ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031である。
(ii)ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038である。
第3実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有する。
また、第3実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有する。第2実施形態に係る光学ガラスは、好ましくはLi+およびNa+を含有する。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,FおよびΔPC,tは下記(i)または(ii)を満たす。
(i)ΔPg,Fが-0.0037より大きいのとき、ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031である。
(ii)ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038である。
(i)第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,Fが-0.0037より大きいのとき、好ましくは下記式(A1)を満たし、さらには下記式(A2)、下記式(A3)、下記式(A4)、下記式(A5)の順に満たすことがより好ましい。
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031 …(A1)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.035 …(A2)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.037 …(A3)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.039 …(A4)
ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.041 …(A5)
(ii)第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、好ましくは下記式(B1)を満たし、さらには下記式(B2)、下記式(B3)、下記式(B4)、下記式(B5)の順に満たすことがより好ましい。
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038 …(B1)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.042 …(B2)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.044 …(B3)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.046 …(B4)
ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.048 …(B5)
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは6.5%であり、さらには7%、7.5%、8%、8.5%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには20%、15%、12%、11.5%、11%、10.5%、10%の順により好ましい。高屈折率および所望のアッベ数νdを維持する観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]の下限は、好ましくは0.55であり、さらには0.75、0.80、0.85、0.90の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。また、該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の下限は、好ましくは0.4であり、さらには0.42、0.44、0.46、0.48、0.50の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.9、0.8、0.7、0.65、0.6、0.55の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、高分散性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の下限は、好ましくは8.6であり、さらには8.8、9.0、9.2、9.4、9.6、9.8の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは20であり、さらには18、16、14、13、12、11の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、アッベ数を調整する観点から、該カチオン比は上記範囲とすることが好ましい。
第3実施形態に係る光学ガラスは、環境負荷が懸念される成分であるPbおよびAsを実質的に含まないことが好ましい。すなわち、PbイオンおよびAsイオンの各含有量は、0%であることが好ましい。また、Thも、PbおよびAsと同様に、環境負荷が懸念される成分である。したがって、Thイオンの含有量は0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%、または0~0.01%であってもよい。Thイオンの含有量は0%であることが好ましい。すなわち、Thは実質的に含まれないことが好ましい。なお、Pbイオンは、Pb2+の他、価数の異なるPbイオンを含むものとする。AsイオンおよびThイオンも、それぞれ価数の異なるイオンを含むものとする。
また、第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比PC,tは下記式〔2-1〕を満たすことが好ましい。
PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
部分分散比Pg,Fは、下記式〔2-3〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔2-3〕、下記式〔2-4〕、下記式〔2-5〕、下記式〔2-6〕、下記式〔2-7〕、下記式〔2-8〕の順に満たすことがより好ましい。
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
PC,t≧0.5731+0.004667×νd …〔2-3〕
PC,t≧0.5751+0.004667×νd …〔2-4〕
PC,t≧0.5771+0.004667×νd …〔2-5〕
PC,t≧0.5791+0.004667×νd …〔2-6〕
PC,t≧0.5811+0.004667×νd …〔2-7〕
PC,t≧0.5831+0.004667×νd …〔2-8〕
第3実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子において、広い波長範囲における色収差を良好に補正する観点から、部分分散比PC,tは上記式を満たすことが好ましい。
第3実施形態に係る光学ガラスは、第1実施形態で詳述した(I)~(IV)のうち1以上を満たしてもよい。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率は、第1実施形態と同様とすることができる。
また、第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス特性は、第1実施形態と同様とすることができる。
さらに、第3実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造も、第1実施形態と同様とすることができる。
第4実施形態
第4実施形態に係る酸化物光学ガラスは、
ガラス成分として、
Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
PC,tが下記式〔2-1〕を満たす。
PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
第4実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有する。
また、第4実施形態に係る光学ガラスは、ガラス成分として、Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有する。第2実施形態に係る光学ガラスは、好ましくはLi+およびNa+を含有する。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比PC,tは下記式〔2-1〕を満たす。
PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fは、下記式〔2-2〕を満たすことが好ましく、さらには、下記式〔2-3〕、下記式〔2-4〕、下記式〔2-5〕、下記式〔2-6〕、下記式〔2-7〕、下記式〔2-8〕の順に満たすことがより好ましい。
PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
PC,t≧0.5731+0.004667×νd …〔2-3〕
PC,t≧0.5751+0.004667×νd …〔2-4〕
PC,t≧0.5771+0.004667×νd …〔2-5〕
PC,t≧0.5791+0.004667×νd …〔2-6〕
PC,t≧0.5811+0.004667×νd …〔2-7〕
PC,t≧0.5831+0.004667×νd …〔2-8〕
部分分散比PC,tの算出方法は、第1実施形態で述べたとおりである。部分分散比PC,tが上記式を満たすことで、第4実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子は、広い波長範囲において色収差を良好に補正できる。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fは好ましくは下記式〔1-1〕を満たす。
Pg,F≦0.6463-0.001802×νd …〔1-1〕
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fは、下記式〔1-2〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔1-3〕、下記式〔1-4〕、下記式〔1-5〕、下記式〔1-6〕の順に満たすことがさらに好ましい。
Pg,F≦0.6458-0.001802×νd …〔1-2〕
Pg,F≦0.6453-0.001802×νd …〔1-3〕
Pg,F≦0.6448-0.001802×νd …〔1-4〕
Pg,F≦0.6446-0.001802×νd …〔1-5〕
Pg,F≦0.6443-0.001802×νd …〔1-6〕
部分分散比Pg,Fの算出方法は、第1実施形態で述べたとおりである。部分分散比Pg,Fが上記式を満たすことで、第4実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子は、広い波長範囲において色収差を良好に補正できる。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは6.5%であり、さらには7%、7.5%、8%、8.5%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには20%、15%、12%、11.5%、11%、10.5%、10%の順により好ましい。高屈折率および所望のアッベ数νdを維持する観点から、該合計含有量を上記範囲とすることが好ましい。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]の下限は、好ましくは0.55であり、さらには0.75、0.80、0.85、0.90の順により好ましい。また、該カチオン比の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.98、0.96、0.94の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、ガラスの熔解性を向上させ、さらに、熔融ガラスの粘性を低下させて成形性を改善する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。該カチオン比が小さすぎると、部分分散比PC,tが低下するおそれがある。また、該カチオン比が大きすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また屈折率ndが低下するおそれがある。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の下限は、好ましくは0.4であり、さらには0.42、0.44、0.46、0.48、0.50の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは1であり、さらには0.9、0.8、0.7、0.65、0.6、0.55の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、高分散性を維持する観点から、該カチオン比を上記範囲とすることが好ましい。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]の下限は、好ましくは8.6であり、さらには8.8、9.0、9.2、9.4、9.6、9.8の順により好ましい。該カチオン比の上限は、好ましくは20であり、さらには18、16、14、13、12、11の順により好ましい。赤外波長域における部分分散比PC,tを高め、また、アッベ数を調整する観点から、該カチオン比は上記範囲とすることが好ましい。
第4実施形態に係る光学ガラスは、環境負荷が懸念される成分であるPbおよびAsを実質的に含まないことが好ましい。すなわち、PbイオンおよびAsイオンの各含有量は、0%であることが好ましい。また、Thも、PbおよびAsと同様に、環境負荷が懸念される成分である。したがって、Thイオンの含有量は0~0.1%であることが好ましく、0~0.05%、または0~0.01%であってもよい。Thイオンの含有量は0%であることが好ましい。すなわち、Thは実質的に含まれないことが好ましい。なお、Pbイオンは、Pb2+の他、価数の異なるPbイオンを含むものとする。AsイオンおよびThイオンも、それぞれ価数の異なるイオンを含むものとする。
第4実施形態に係る光学ガラスは、第1実施形態で詳述した(I)~(IV)のうち1以上を満たしてもよい。
第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率は、第1実施形態と同様とすることができる。
また、第4実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス特性は、第1実施形態と同様とすることができる。
さらに、第4実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造も、第1実施形態と同様とすることができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
表1(表1(1)、表1(2)、表1(3))、表2(表2(1)、表2(2)、表2(3))、表3(表3(1)、表3(2)、表3(3))、表4(表4(1)、表4(2)、表4(3))、表5(表5(1)、表5(2)、表5(3))、表6(表6(1)、表6(2)、表6(3))、表7(表7(1)、表7(2)、表7(3))、表8(表8(1)、表8(2)、表8(3))、表9(表9(1)、表9(2)、表9(3))、表10(表10(1)、表10(2)、表10(3))に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
[光学ガラスの製造]
まず、ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表1~4に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。こうして得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1350℃~1400℃で2~4時間加熱して熔融ガラスとし、攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg近傍の温度で30分間熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1~4に示す各組成のとおりであることを確認した。なお、全てのガラスサンプルにおいて、PbイオンおよびAsイオンの含有量は0%であった。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルを、さらにガラス転移温度Tg付近で約30分から約2時間アニール処理した後、炉内で降温速度-30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを得た。得られたアニールサンプルについて、屈折率、アッベ数νd、部分分散比Pg,F、ΔPg,F、部分分散比PC,t、ΔPC,t、比重、ガラス転移温度Tg、液相温度LT、λ80およびλ5を測定した。
(i)屈折率nd、ng、nF、nC、アッベ数νd、部分分散比PC,tおよび部分分散比Pg,F
上記アニールサンプルについて、JIS B 7071-1 光学ガラスの屈折率測定法-第1部:最小偏角法により、表Aに示す12の波長における屈折率を測定した。
次にJIS B 7071-1 光学ガラスの屈折率測定法-第1部:最小偏角法の附属書Bで定められているショットの分散式に、測定によって得た各線の屈折率をあてはめ、最小二乗法によりショットの分散式の定数を求めた。そして、定数の定まったショットの分散式を使用してアッベ数νd、部分分散比PC,tおよび部分分散比Pg,Fを算出した。
Figure 2022179313000007
ショットの分散式: n2=a0+a1λ2+a2λ-2+a3λ-4+a4λ-6+a5λ-8
ここで、nは屈折率、λは波長(μm)、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数である。
なお、屈折ndとは、波長587.56nmにおける屈折率である。
アッベ数νdは、d線、F線、C線における各屈折率nd、nF、nCを用いて次のように表される。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
部分分散比PC,tは、t線、F線、C線における各屈折率nt、nF、nCを用いて次のように表される。
PC,t=(nC-nt)/(nF-nC)
部分分散比Pg,Fは、g線、F線、C線における各屈折率ng、nF、nCを用いて次のように表される。
Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)
(ii)ΔPC,t、ΔPg,F
横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比PC,tとする平面において、ノーマルラインPC,t(0)は下式により表される。
PC,t(0)=0.5461-(0.004667×νd)
ノーマルラインからの部分分散比PC,tの偏差であるΔPC,tを下記式に基づき算出した。
ΔPC,t=PC,t-PC,t(0)
また、横軸をアッベ数νd、縦軸を部分分散比Pg,Fとする平面において、ノーマルラインPg,F(0)は下式により表される。
Pg,F(0)=0.6483-(0.001802×νd)
ノーマルラインからの部分分散比Pg,Fの偏差ΔであるPg,Fを下記式に基づき算出した。
ΔPg,F=Pg,F-Pg,F(0)
(iii)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
(iv)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)を使用し、昇温速度10℃/分にて測定した。
(v)液相温度LT
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて約2時間保持し、冷却後、ガラス内部を40~100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を測定した。
(vi)λ80、λ5
上記アニールサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。光学研磨された一方の平面に垂直に入射する光線の強度を強度Aとし、他方の平面から出射する光線の強度を強度Bとして、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が80%になる波長をλ80とし、分光透過率が5%になる波長をλ5とした。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。
[化学的耐久性 耐水性Dw]
得られたガラスサンプルを粉末ガラス(粒度425~600μm)とし、比重に相当する質量の当該粉末ガラスを白金かごに入れ、それを純水(pH=6.5~7.5)80mLの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理した。減量率(%)によって表Bの級に分類し評価した。
Figure 2022179313000008
[化学的耐久性 耐酸性Da]
得られたガラスサンプルを粉末ガラス(粒度425~600μm)とし、比重に相当する質量の当該粉末ガラスを白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液80mLの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬して60分間処理した。その減量率(%)によって表Cの級に分類し評価した。
Figure 2022179313000009
[化学的耐久性 耐潜傷性DNaOH
得られたガラスサンプルを、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨された試料に加工した。これを、よく攪拌されている50℃、0.01mol/LのNaOH水溶液中に、15時間浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔mg/(cm2・15h)〕によって表Dの級に分類し評価した。
Figure 2022179313000010
[化学的耐久性 耐潜傷性DSTPP
得られたガラスサンプルを、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨された試料に加工した。これを、よく攪拌されている50℃、0.01mol/LのNa5310(STPP)水溶液中に、1時間浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔mg/(cm2・h)〕によって表Eの級に分類し評価した。
Figure 2022179313000011
[化学的耐久性 化学的耐久性D0
得られたガラスサンプルを、直径43.7mm(両面で30cm2)、厚さ約5mmの大きさの対面研磨された試料に加工した。これを、毎分1Lの速度でイオン交換樹脂層を通って循環され、50℃、pH=7.0±0.2に保たれて、よく攪拌されている純水中に浸漬したときの単位面積当たりの質量減〔10-3mg/(cm2・h)〕によって表Fの級に分類し評価した。
Figure 2022179313000012
Figure 2022179313000013
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Figure 2022179313000040
Figure 2022179313000041
Figure 2022179313000042
(実施例2)
実施例1において作製した各光学ガラスを用いて、公知の方法により、レンズブランクを作製し、レンズブランクを研磨等の公知方法により加工して各種レンズを作製した。
作製した光学レンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズである。
各種レンズは、アッベ数が65以上である低分散ガラス、例えばフツリン酸塩ガラスからなるレンズと組合せることにより、赤外域における高次の色収差を良好に補正することができた。
また、ガラスは比較的低比重であるため、各レンズとも同等の光学特性、大きさを有するレンズよりも重量が小さく、各種撮像機器、特に省エネルギー可能という理由等によりオートフォーカス式の撮像機器用として好適である。同様にして、実施例1で作製した各種光学ガラスを用いてプリズムを作製した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成を調整することにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製することができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。

Claims (7)

  1. Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5カチオン%以上であり、
    Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
    Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
    Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
    PbおよびAsを実質的に含有せず、
    PC,tが下記式〔2-2〕を満たし、
    PC,t≧0.5711+0.004667×νd …〔2-2〕
    下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす酸化物光学ガラス。
    (I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
    (II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
    Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
    (III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
    (IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
    3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
  2. Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量[Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+]が6.5カチオン%以上であり、
    3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.41以上1未満であり、
    Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.55以上であり、
    Zr4+の含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[Zr4+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が0.4以上であり、
    Si4+、B3+、Li+、Na+、K+、およびZr4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、Ta5+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Si4++B3++Li++Na++K++Zr4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6++Bi3+)]が8.6以上であり、
    PbおよびAsを実質的に含有せず、
    下記(I)~(IV)のうち1以上を満たす酸化物光学ガラス。
    (I) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.85以下である。
    (II) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Si4++B3+)]が0.97以下であり、
    Li+、Na+、Mg2+、およびCa2+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++Mg2++Ca2+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上である。
    (III) B3+の含有量と、Si4+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[B3+/(Si4++B3+)]が0.46以上である。
    (IV) Li+、Na+、およびK+の合計含有量と、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+の合計含有量とのカチオン比[(Li++Na++K+)/(Li++Na++K++Mg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+)]が0.75以上であり、
    3+およびLi+の合計含有量と、Si4+、Na+、およびK+の合計含有量とのカチオン比[(B3++Li+)/(Si4++Na++K+)]が0.31以上である。
  3. ガラス成分として、
    Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
    Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
    ΔPg,FおよびΔPC,tが下記(i)または(ii)を満たす、酸化物光学ガラス。
    (i)ΔPg,Fが-0.0037より大きいのとき、ΔPC,t≧2.875×ΔPg,F+0.031である。
    (ii)ΔPg,Fが-0.0037以下のとき、ΔPC,t≧4.750×ΔPg,F+0.038である。
  4. ガラス成分として、
    Si4+、B3+、Zr4+、およびNb5+を含有し、
    Li+、Na+、およびK+からなる群から選択される1以上を含有し、
    PC,tが下記式〔2-1〕を満たす、酸化物光学ガラス。
    PC,t≧0.5661+0.004667×νd …〔2-1〕
  5. Pg,Fが下記式〔1-1〕を満たす、請求項4に記載の酸化物光学ガラス。
    Pg,F≦0.6463-0.001802×νd …〔1-1〕
  6. Nb5+およびTi4+の合計含有量と、Nb5+、Ti4+、W6+、およびBi3+の合計含有量とのカチオン比[(Nb5++Ti4+)/(Nb5++Ti4++W6++Bi3+)]が0.5以上である、請求項1~5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
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