JP2022178815A - 車両制御装置 - Google Patents

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Nobuhei Kusumoto
陽子 星野
Yoko Hoshino
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Abstract

【課題】運転者の運転能力のレベルに応じて運転支援制御の自動介入を適切に報知する車両制御装置を提供する。【解決手段】車両1の走行環境に起因して車両1に生じる可能性のある走行リスクを推定し、走行リスクの発生を回避するように車両1に対して運転支援制御を実行すると共に、運転支援制御の実行を車両1の運転者に報知する報知処理を実行する車両制御装置100であって、車両制御装置100は、運転者の運転能力の大きさを表す運転能力値(TA、TB)を推定する運転能力評価処理を実行し、運転支援制御の実行時において、運転能力値(TA、TB)が所定閾値より大きい高能力状態(領域B、C)のとき報知処理を実行するが、運転能力値(TA、TB)が所定閾値以下の低能力状態(領域A)のとき報知処理を実行しない。【選択図】図7

Description

本発明は、車両制御装置に係り、特に運転支援のための車両制御装置に関する。
従来、所定の作動条件が満たされると運転支援制御が自動的に作動するように構成される車両が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両では、運転者の状況(運転者の画像、音声)に応じて、運転者の切替操作なしで自動的に運転支援制御が作動するようになっている。通常、このような運転支援制御の自動介入は運転者に報知される。
特開2017-188127号
しかしながら、高齢者や軽度認知障害(MCI)を有する者は、身体機能や知覚機能等の低下により、運転支援制御が必要な機会が多い。このため、運転支援制御の自動介入の頻繁な報知が、運転者に煩わしさや混乱を生じさせるおそれがあった。一方、通常の運転能力を有する健常な運転者に対しては、運転支援制御の自動介入は頻繁に起こらないため、運転能力の維持又は向上を促進するように報知がなされることが好ましい。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、運転者の運転能力のレベルに応じて運転支援制御の自動介入を適切に報知する車両制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の走行環境に起因して車両に生じる可能性のある走行リスクを推定し、走行リスクの発生を回避するように車両に対して運転支援制御を実行すると共に、運転支援制御の実行を車両の運転者に報知する報知処理を実行する車両制御装置であって、車両制御装置は、運転者の運転能力の大きさを表す運転能力値を推定する運転能力評価処理を実行し、運転支援制御の実行時において、運転能力値が所定閾値より大きい高能力状態のとき報知処理を実行するが、運転能力値が所定閾値以下の低能力状態のとき報知処理を実行しないことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、低い運転能力を有する運転者の場合、運転支援制御の介入が比較的頻繁になるため、報知処理を無効化する。これにより、本発明では、運転者が頻繁な報知処理を煩わしく感じたり、報知処理によって混乱を起こしたりすることを回避することができる。一方、本発明では、中程度又は比較的高い運転能力を有する運転者の場合、運転支援制御の介入を報知することによって、運転能力の自発的な維持及び向上を促進することができる。
また、本発明において好ましくは、運転能力値は、車両の外部の交通参加者を含む対象物を認識する知覚能力の大きさを表す知覚能力値と、車両の車両操作を実行する運動能力の大きさを表す運動能力値と、を含む。このように構成された本発明では、このように構成された本発明では、運転能力を知覚能力と運動能力に区別して、これら能力の大きさの組み合わせに応じて、適切に報知処理を実行することができる。
また、本発明において好ましくは、知覚能力値は、運転者の視線が車両の外部の知覚対象物を捉える確率に応じて計算され、運動能力値は、運転者の車両操作により車両に生じた加速度に応じて計算される。このように構成された本発明では、知覚能力値と運動能力値を比較的容易に計算及び更新することができる。
また、本発明において好ましくは、低能力状態は、知覚能力値が第1知覚閾値以下の場合、又は、運動能力値が第1運動閾値以下の場合、又は、知覚能力値が第1知覚閾値より大きい値に設定された第2知覚閾値以下、且つ、運動能力値が第1運動閾値より大きい値に設定された第2運動閾値以下の場合であり、高能力状態は、知覚能力値が第1知覚閾値を超え、且つ、運動能力値が第2運動閾値を超える場合、又は、知覚能力値が第2知覚閾値を超え、且つ、運動能力値が第1運動閾値を超える場合である。このように構成された本発明では、閾値を設定することにより、各能力の大きさの組み合わせに応じて、より適切に報知処理を実行することができる。
また、本発明において好ましくは、低能力状態において、車両制御装置は、報知処理を実行せず、車両を所定の目的地まで自動的に走行させるように運転支援制御を実行する。このように構成された本発明では、運転能力が低下している運転者を目的地まで自動運転により安全に到達させることができる。
また、本発明において好ましくは、高能力状態において、車両制御装置は、知覚能力値が第1知覚閾値を超えるが第2知覚閾値未満、且つ、運動能力値が第2運動閾値を超える場合、又は、運動能力値が第1運動閾値を超えるが、第2運動閾値より大きい値に設定された第3運動閾値未満、且つ、知覚能力値が第2知覚閾値を超える場合において、報知処理を実行する。このように構成された本発明では、中程度の運転能力を有する運転者に対しては、車両支援制御の実行についての報知処理が実行されるので、運転者は車両支援制御が介入したことを、自らの運転能力を維持又は向上させる動機付けにすることができる。
また、本発明において好ましくは、高能力状態において、車両制御装置は、知覚能力値が第2知覚閾値以上、且つ、運動能力値が第2運動閾値より大きい値に設定された第3運動閾値以上の場合において、報知処理を実行すると共に、車両が走行路上の理想的な走行ラインを走行するための車両操作を運転者に報知する第2報知処理を実行する。このように構成された本発明では、比較的高い運転能力を有する運転者に対しては、車両支援制御の実行についての報知処理に加えて、理想的な車両操作を教示する第2報知処理が実行される。比較的高い運転能力を有する運転者であれば、車両支援制御が介入したときに、第2報知処理の情報を受け取り、自らの車両操作を理想的な車両操作に改善することができる。これにより、本発明では、比較的高い運転能力を有する運転者は、車両支援制御の介入を契機として、運転能力をさらに向上させることができる。
本発明の車両制御装置によれば、運転者の運転機能の状態に応じて運転支援の実行を適切に報知することができる。
本発明の実施形態の車両制御の説明図である。 本発明の実施形態の車両制御装置のブロック図である。 本発明の実施形態の車両制御装置の処理の流れを示す説明図である。 本発明の実施形態のヒューマン・マシンシステムの説明図である。 本発明の実施形態のヒューマン・マシンシステムの説明図である。 本発明の実施形態の運転能力と走行リスクに応じた報知処理の説明図である。 本発明の実施形態の運転能力に応じた報知処理の説明図である。 本発明の実施形態の運転者の視野の説明図である。 本発明の実施形態の運転者の注視点の説明図である。 本発明の実施形態のランダム点の説明図である。 本発明の実施形態のサリエンシーAUCの説明図である。 本発明の実施形態の運転者の走行状態の説明図である。 本発明の実施形態の目標走行経路の加速度の説明図である。 本発明の実施形態の合成加速度の説明図である。 本発明の実施形態の運転支援制御のフローチャートである。 本発明の実施形態の運転支援制御のフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置について説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置が提供する車両制御の概略を説明する。図1は、車両制御の説明図である。
本実施形態の車両制御装置100(図2参照)は、運転者が主体的に車両1の車両操作を行うことを前提として構成されている。このため、車両制御装置100は、運転者の状態に応じて、車両1の車両操作を適切なレベルで支援する。すなわち、本実施形態では、原則的に、車両1の運転支援制御は、運転者が実行したい車両操作と運転者が実行可能な車両操作との間の差分を埋めるように提供される。例えば、運転者の低下した運転機能が主に補助される。さらに、車両制御装置100は、所定時には車両1を自動運転制御に自動的に切り替えるように構成されている。
具体的には、車両制御装置100は、運転者が通常の運転能力を有する場合、特定時にのみ車両操作に介入して、運転支援制御(自動アクセル、自動ブレーキ、自動ステアリング等)を行う。特定時とは、例えば、運転者の運転能力が一時的に低下したとき(例えば、疲労、眠気)や、走行環境が比較的難しいとき(例えば、周囲交通状況が複雑、道路形状が複雑、周囲が暗い)である。また、車両制御装置100は、運転者(例えば、高齢者、MCI)の運転能力の一部が低下している場合(例えば、ステアリングホイールを操作する筋力が不足している)、低下した運転能力を補う。また、車両制御装置100は、低下した運転能力を維持又は回復させたり、運転能力をより向上させたりするように支援を行う。
一方、運転者の意識レベルや運転能力が、急激に又は所定時間(数分~数十分)を掛けて低下していく異常予兆が検出された場合(例えば、急性疾患の発症時や、眠気レベルが高いとき)、車両制御装置100は、安全走行を維持するように運転支援制御を行う。また、運転者の意識や運転能力が喪失した異常時には、事故発生を回避するため、車両制御装置100は、自動運転制御を実行すると共に、外部へ緊急事態を報知する処理を行う。
次に、図2を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置の構成について説明する。図2は、車両制御装置のブロック図である。図2に示すように、車両制御装置100は、主に、ECU(Electronic Control Unit)などのコントローラ10と、車載装置20と、車両制御システム40と、情報報知装置50を有する。
車載装置20には、車内カメラ21、車外カメラ22、レーダ23、車両1の挙動を検出する複数の車両挙動センサ(車速センサ24、加速度センサ25、ヨーレートセンサ26)及び運転者の操作を検出する複数の操作検出センサ(操舵角センサ27、操舵トルクセンサ28、アクセル開度センサ29、ブレーキ踏込量センサ30)、測位装置31、ナビゲーション装置32、情報通信装置33が含まれる。
また、車両制御システム40には、車両の走る機能、止まる機能、曲がる機能にそれぞれ対応するエンジン制御システム41、ブレーキ制御システム42、ステアリング制御システム43が含まれる。また、情報報知装置50には、表示装置51、音声出力装置52が含まれる。
コントローラ10は、プロセッサ11、プロセッサ11が実行する各種プログラム及びデータを記憶するメモリ12、入出力装置等を備えたコンピュータ装置により構成される。コントローラ10は、車載装置20から受け取った信号に基づき、車両制御(運転支援制御及び自動運転制御)を行うための制御信号を車両制御システム40及び情報報知装置50へ出力するように構成されている。
車内カメラ21は、車両1の運転者を撮像し画像情報を出力する。コントローラ10は、この画像情報に基づいて、特に、運転者の顔の表情及び上半身の姿勢を判別する。
車外カメラ22は、車両1の周囲(典型的には車両1の前方)を撮影し画像情報を出力する。コントローラ10は、この画像情報に基づいて、車外の対象物及びその位置を特定する。対象物は、少なくとも交通参加者及び走行路の境界を含む。具体的には、対象物は、周囲の移動体(車両、歩行者等)、移動しない構造物(障害物、駐車車両、走行路、区画線、停止線、交通信号、交通標識、交差点等)を含む。
レーダ23は、車両1の周囲(典型的には車両1の前方)に存在する対象物の位置及び速度を測定する。例えば、レーダ23は、ミリ波レーダ、レーザレーダ(LIDAR)、超音波センサ等を用いることができる。
車速センサ24は、車両1の速度(車速)を検出する。加速度センサ25は、車両1の加速度を検出する。ヨーレートセンサ26は、車両1に発生するヨーレートを検出する。操舵角センサ27は、車両1のステアリングホイール43bの回転角度(操舵角)を検出する。操舵トルクセンサ28は、ステアリングホイール43bの回動に伴う回転トルクを検出する。アクセル開度センサ29は、アクセルペダル41bの踏込量を検出する。ブレーキ踏込量センサ30は、ブレーキペダル42bの踏込量を検出する。
測位装置31は、GPS受信機及び/又はジャイロセンサを含み、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。ナビゲーション装置32は、内部に地図情報を格納しており、コントローラ10に地図情報を提供することができる。コントローラ10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、目的地までの全体走行経路(走行レーン、交差点、交通信号等を含む)を計算することができる。
情報通信装置33は、外部の通信機器と通信を行う。情報通信装置33は、例えば、他車両との車車間通信や、車外の通信装置との路車間通信を行い、種々の運転情報や交通情報(交通渋滞情報、制限速度情報など)を受信して、コントローラ10へ提供する。
エンジン制御システム41は、車両1のエンジン装置(内燃エンジン、電気モータ等)の駆動力を制御する。コントローラ10は、アクセルペダル41bからの入力に基づいて、エンジン制御装置41aへ制御信号を送信することにより、エンジン装置を駆動して、車両1を加速又は減速させることができる。
ブレーキ制御システム42は、車両1のブレーキ装置の駆動力を制御する。ブレーキ制御システム42は、例えば液圧ポンプやバルブユニットなどのブレーキアクチュエータを含む。コントローラ10は、ブレーキペダル42bからの入力に基づいて、ブレーキ制御装置42aへ制御信号を送信することにより、ブレーキ装置を駆動して、車両1を減速させることができる。
ステアリング制御システム43は、車両1のステアリング装置の駆動力を制御する。ステアリング制御システム43は、例えば電動パワーステアリングシステムの電動モータなどを含む。コントローラ10は、ステアリングホイール43bからの入力に基づいて、ステアリング制御装置43aへ制御信号を送信することにより、ステアリング装置を駆動して、車両1の進行方向を変更することができる。
表示装置51は、運転者に車両操作を支援するための支援情報(視覚情報)を表示領域に視覚表示することができる。具体的には、表示装置51は、HUDである。表示領域は、車両1のフロントガラス全体又は一部の大きさに相当し、支援情報が運転者の視界内に表示される。また、HUDに代えて、液晶ディスプレイを用いてもよい。
音声出力装置52は、例えば、スピーカであり、運転者に車両操作を支援するための支援情報(聴覚情報)を提供することができる。
次に、図3を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置の処理の流れについて説明する。図3は、車両制御装置の処理の流れを示す説明図である。具体的には、図3は、コントローラ10が車載装置20からの入力情報を処理することにより、車両制御システム40及び情報報知装置50を用いて、種々の車両制御(運転支援制御、自動運転制御)及び報知制御を提供することを示している。
車両制御の内容は、ADAS(先進運転支援システム)、自動アクセル、自動ブレーキ、自動ステアリング、自動車両姿勢安定化制御、自動運転(レベル3以上)、運転者の運転能力向上支援処理を含む。ADASは、少なくとも先行車追従、先行車衝突防止、車線逸脱防止等に対する支援機能を含む。自動車両姿勢安定化制御は、車両1の姿勢、すなわち車両ダイナミクス(ピッチ、ロール、ヨー)を安定化させ、横滑りや横転等を防止するための制御である。
車載装置20は、取得した情報を継続的にコントローラ10へ送信する。コントローラ10は、取得した情報に基づいて、以下の計算又は評価を行う。
コントローラ10は、車外カメラ22、レーダ23、車速センサ24、加速度センサ25、測位装置31、ナビゲーション装置32(地図情報)等からの入力情報に基づいて、車両1の周囲の走行環境における走行リスクを推定する(走行リスク評価処理)。具体的には、コントローラ10は、先ず車両1の周囲の対象物(車両、歩行者、境界線、ガードレール、停止線、交通標識等)の位置及び速度や、車両ダイナミクスに影響を及ぼす物理量(例えば、走行路のカーブ半径、路面摩擦係数)等を計算する。
走行リスクは、対象物との衝突や、車両1の姿勢安定性の喪失又は低下(例えば、カーブ路でスピン、横転等)を含む。リスク対象は、交通参加者(他車両、歩行者等)、ガードレール、境界線、交通信号(赤信号)、停止線等を含む。さらに、リスク対象は、走行路のリスク発生部位(カーブ路のクリッピングポイント等)を含む。これら対象物は、現在の車両挙動(車両ダイナミクス)が継続すると近い将来(例えば、10秒等の所定時間以内)にリスクを生じさせる可能性がある場合に、リスク対象となる。
また、コントローラ10は、運転者の運転能力を評価する(運転能力評価処理)。本実施形態では、運転能力は、知覚機能に基づく知覚能力と、身体機能に基づく運動能力を含む。まず、コントローラ10は、運転者の知覚能力を評価する(知覚能力評価処理)。具体的には、コントローラ10は、車内カメラ21の画像情報に基づいて、運転者が車両1の外部の知覚対象物(例えば、交通参加者、障害物、ガードレール、境界線、交通信号、停止線、建物等のランドマーク等)を認知する能力を推定する認知能力評価処理を実行する。
また、知覚能力評価のため、コントローラ10は、アクセル開度センサ29、ブレーキ踏込量センサ30、操舵トルクセンサ28等の情報に基づいて、走行リスク等に対して運転者が判断した車両操作を評価する判断能力評価処理をさらに実行してもよい。また、知覚能力評価において、運転者の覚醒度を用いてもよい。例えば、運転者の眼及び/又は口の開き具合、運転者の上半身の位置又は姿勢により、覚醒度を評価することができる。
また、コントローラ10は、アクセル開度センサ29、ブレーキ踏込量センサ30、操舵トルクセンサ28、加速度センサ25、車外カメラ22等の情報に基づいて、運転者の運動能力を評価する(運動能力評価処理)。運転者の運動能力は、車両1の車両操作を実行する能力である。具体的には、コントローラ10は、理想的な目標走行経路を走行するための車両操作に基づいて、運転者が実行した車両操作を評価する。
このため、コントローラ10は、理想的な走行経路である目標走行経路を計算する。目標走行経路は、現在から所定時間後(例えば、10秒後)までの目標走行軌跡(複数位置の位置情報)及び軌跡上の各位置における速度等の車両ダイナミクスを含む。コントローラ10は、運転要求(目的地等)、走行リスク評価等の結果を用いて、所定の安全性及び走行効率を有するように目標走行経路を計算する。コントローラ10は、所定制約条件(例えば、横加速度が所定値以下)を満たす理想的な走行ラインである目標走行経路を計算することができる。
運動能力評価は、例えば、理想的な車両操作によって生じる予想加速度に対する、運転者の車両操作によって生じた実際の加速度に基づいて評価される。すなわち、目標走行経路上の加速度と、実際の走行経路上の加速度が比較される。また、加速度以外にも、目標走行経路と実際の走行経路との位置的な差(距離)、目標走行経路上の速度と実際の走行時の速度との速度差、その他の車両ダイナミクス(速度、加速度、ヨーレート、3軸回転モーメント(ピッチ、ヨー、ロール)等)の差、又はこれらの組み合わせに基づいて、運動能力評価を実行してもよい。
また、コントローラ10は、運転者の運転能力に応じて、走行リスクに対して運転支援制御及び他の支援制御を提供する支援選択処理を実行する。具体的には、コントローラ10は、各運転支援制御の作動条件(例えば、他車両との衝突余裕時間がX秒に達したとき)が満たされたとき、その運転支援制御に対応する車両制御システム40へ制御信号を出力する。また、コントローラ10は、知覚能力評価の結果と運動能力評価の結果に基づき、運転支援制御の実行時に情報報知装置50を用いて報知処理及び第2報知処理を実行する。
次に、本発明の実施形態における運転者と車両により構成されるヒューマン・マシンシステムについて説明する。図4及び図5は本実施形態におけるヒューマン・マシンシステムの説明図である。
図4(A)は、運転支援制御及び自動運転制御が介入しない場合を示す。この場合、運転者(ヒューマン)は、車両の運転に関して、少なくとも認知機能、判断機能、及び身体機能を備え、これら運転機能を用いて、認知性能、判断性能、及び運動性能を発揮する。運転者は、認知機能を用いて対象を捕捉し(認知性能)、捕捉した対象に対して判断機能を用いて実行すべき車両操作を選択又は判断し(判断性能)、選択した車両操作を適切な操作量及びタイミングで身体機能を用いて実行する(運動性能)。一方、車両は、少なくとも走る機能、止まる機能、及び曲がる機能を備えている。車両は、これら走行機能が運転者による車両操作により利用されることにより、走行性能、制動性能、及び操縦安定性能を発揮して走行する。
このように、運転者が認知性能、判断性能、及び運動性能を発揮して車両を操作すると、車両が走行性能、制動性能、及び操縦安定性能を発揮する。これにより、ヒューマン・マシンシステムとしての車両は、安全な走行を実現することができる。従来、車両の3つの性能が効率よく発揮されるように、車両には、運転者の機能と車両の機能との間を介在するインターフェースが設けられている。これにより、総合的な車両性能(例えば、制動能力、燃費等)が向上されている。
一方、図4(B)は、運転者の運転能力が極めて低く、自動運転制御が介入する場合を示す(運転補助支援:自動運転)。この場合、車両が運転者の認知機能、判断機能、身体機能のすべて又はほとんどを代替する。例えば、認知機能は、車載カメラ、加速度センサ、レーダ等が代替する。判断機能は、車両のコンピュータが代替する。身体機能は、車載アクチュエータが代替する。運転者は、例外的に、エンジン始動等の最低限度の指示を行うだけの身体機能さえあればよく、ほとんどの運転機能及び運転能力(運転性能)を備えていなくてもよい。
また、図5(A)は、運転者(例えば、高齢者)の運転能力が中程度であり、運転支援制御が介入する場合を示す(安全担保支援)。車両1は、運転者の運転性能を補助するためのZ機能を有する。この例では、運転者の知覚性能(認知性能、判断性能)及び運動性能が低く、運転者の低い運転能力を車両1が補助している。これにより、運転者は低い運転能力についての運転機能が車両1によって補償される。このため、運転者は、運転を継続することにより自己の運転能力を維持して、運転寿命を延ばすことができる。
また、図5(B)は、運転者の運転能力が比較的高いが、運転支援制御が介入する場合を示す(運転能力向上支援)。車両1は、運転者の運転能力をさらに向上させるためのX機能を有する。この例では、知覚性能に関する運転支援(例えば、視線誘導制御)が介入しており、車両1は、運転者の運転能力を、より高い運転能力に引き上げるように、運転者が実行すべき運転行動に関するアドバイスを運転者へ提供する。例えば、高い運転能力を有するベテランドライバの推奨車両操作が運転者に教示される。これは、運転者がベテランドライバから運転技能を学習することに相当する。この処理により、運転者は、認知機能、判断機能、身体機能のうち、不得意な機能についての模範的な車両操作を学習して、運転能力の向上を図ることができる。
次に、図6及び図7を参照して、運転支援制御及び自動運転制御が介入した場合の報知処理について説明する。図6は運転能力と走行リスクに応じた報知処理の説明図、図7は運転能力に応じた報知処理の説明図である。図6では、横軸が運転者の運転能力を示し、縦軸が走行リスクを示す。図7では、横軸が知覚能力を示し、縦軸が運動能力を示す。
図6に示すように、本実施形態では、概して運転能力が低い場合(低能力状態の領域A)、運転支援制御が実行されても運転支援制御の介入を運転者へ報知する報知処理は実行されない(運転補助支援)。運転能力の低い運転者の場合、運転支援制御の介入は比較的頻繁に行われる。よって、本実施形態では、運転支援制御が頻繁に介入する運転者に対しては、報知処理を実行しないことにより、運転者の煩わしさや混乱を回避すると共に、運転意欲の減退を抑制する。
一方、概して運転能力が低くない場合(高能力状態の領域B及びC)、運転支援制御の介入を運転者へ報知する報知処理が実行される(安全担保支援、運転能力向上支援)。運転能力が中程度の場合(領域B)、このような報知処理は、運転者に運転能力を改善するきっかけを与える。さらに、運転能力が比較的高い場合(領域C)は、運転支援制御の介入を運転者へ報知する報知処理に加えて、運転能力を向上させるための支援(第2報知処理)が実行される。これにより、運転能力が比較的高い運転者は、さらに運転能力を向上させることができる。
報知処理では、情報報知装置50を用いて視覚情報(ランプの点灯、テキストメッセージ等)及び/又は聴覚情報(音声)により、運転支援制御の介入が運転者へ報知される。また、第2報知処理では、情報報知装置50を用いて、運転者の実際の車両操作と比較して、車両1が走行路上の理想的な走行ラインを走行するための車両操作についての視覚情報及び/又は聴覚情報を運転者に提供する。例えば、車両1が目標走行経路から逸脱する前の状態において計算された理想的な走行ライン(目標走行経路)を走行するための車両操作が示される。
また、図7に示すように、本実施形態では、知覚能力の大きさと運動能力の大きさに応じて、報知処理が無効化される。本実施形態では、知覚能力について、第1知覚閾値TA1、第2知覚閾値TA2が設定され、運動能力について、第1運動閾値TB1、第2運動閾値TB2、第3運動閾値TB3が設定される。第1知覚閾値TA1は、この閾値以下のとき、運転者が、例えば、脳疾患により視力が極めて低下した状態や極度の眠気により知覚機能が不作動の状態にあるように設定される。第2知覚閾値TA2は、この閾値以下のとき、運転者が、例えば、視力の低下により意識散逸になり易い状態にあるように設定される。第2知覚閾値TA2は、運転者の知覚能力が通常レベルよりやや低下した状態に相当するように設定されている。
また、第1運動閾値TB1は、この閾値以下のとき、運転者が、例えば、脳疾患により腕力が極めて低下した状態にあるように設定される。第2運動閾値TB2は、この閾値以下のとき、運転者が、例えば、腕力の低下が比較的進んだ状態にあるように設定される。第3運動閾値TB3は、この閾値以下のとき、運転者が、例えば、腕力が低下し始めた状態にあるように設定される。第3運動閾値TB3は、運転者の運動能力は通常レベルよりやや低下した状態に相当するように設定されている。
図7の領域A(図6の領域Aに相当)では、報知処理は実行されない。領域Aは、知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1以下、運動能力値TBが第1運動閾値TB1以下、又は、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以下且つ運動能力値TBが第2運動閾値TB2以下である。
図7の領域B(図6の領域Bに相当)では、報知処理が実行される。領域Bは、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2を超え、且つ運動能力値TBが第1運動閾値TB1を超えるが第3運動閾値TB3未満、又は、運動能力値TBが第2運動閾値TB2を超え、且つ知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1を超えるが第2知覚閾値TA2未満である。
図7の領域C(図6の領域Cに相当)では、報知処理及び第2報知処理が実行される。領域Cは、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以上且つ運動能力値TBが第3運動閾値TB3以上である。
次に、図8~図11を参照して、本実施形態の知覚能力評価について説明する。図8は運転者の視野の説明図、図9は運転者の注視点の説明図、図10はランダム点の説明図、図11はサリエンシーAUCの説明図である。
本実施形態では、サリエンシーを利用して運転者の知覚能力を評価する。「サリエンシー」は、ボトムアップ性注意を誘引する知覚刺激の程度を示す値であり、色、輝度、方向、動き等の特徴により変化する値である。例えば、画像に含まれる任意の領域とその領域の周囲の領域との間において色、輝度、方向、動き等の特徴の違いが顕著になるに連れて、ボトムアップ性注意を誘引する知覚刺激が強くなり、その任意の領域におけるサリエンシーが高くなる。画像に含まれる任意の点(又は領域)におけるサリエンシーが高くなるほど、その任意の点(又は領域)に人の刺激が惹きつけられ易くなる。
コントローラ10は、図8(A)に示すように、車外カメラ22の画像情報を用いて運転者の前方視野画像に相当する前方画像D1を生成する。前方画像D1は、車両1の外部の前方領域内の種々の視覚対象物(他車両、建物、木、林、壁、雲、空、白線等)を含む。次に、コントローラ10は、前方画像D1をサリエンシーマップ生成処理して、図8(B)に示すようなサリエンシーマップD2を生成する。サリエンシーマップ生成処理は、サリエンシーディテクション等の周知の技術を用いることができる。例えば、コントローラ10は、色、輝度、方向、動き等の特徴毎にサリエンシーマップを生成し、それらの特徴毎のサリエンシーマップを足し合わせることにより、最終的なサリエンシーマップD2を生成する。
図8(B)に示すように、サリエンシーマップD2は、車両1の外部におけるサリエンシーの分布を示す。図8(B)では、ハッチングの濃度によりサリエンシーの大きさが示されている(ハッチングが濃いほど、サリエンシーが高く誘目性が大きい)。
コントローラ10は、車内カメラ21の画像情報から運転者の視線方向を推定し、サリエンシーマップD2内の視線方向の注視点Pを特定する。サリエンシーマップD2及び注視点Pは所定時間(例えば、0.1秒)毎に繰り返し計算される。図9(A)に示すように、時間経過に伴い複数のサリエンシーマップD2内で注視点Pは移動する。
コントローラ10は、図9(B)に示すように、各サリエンシーマップD2内の注視点Pにおけるサリエンシーの大きさの時間推移を所定期間TS(例えば、10秒~10分)にわたって計算する。図9(B)は、運転者が誘目性の知覚対象物に視線を向ける程度を示す。一方、コントローラ10は、所定時間TSにおける各サリエンシーマップD2内に1つのランダム点を設定し(図10(A)参照)、各ランダム点におけるサリエンシーの大きさを計算する(図10(B)参照)。ランダム点のサリエンシーの大きさは、サリエンシーの基準を与える。
次に、コントローラ10は、図11に示すような、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を生成する。ROC曲線は、「注視点のサリエンシーが閾値を超える確率」と「ランダム点のサリエンシーが閾値を超える確率」との関係を示す。具体的には、サリエンシーに関する閾値を最小値から最大値まで段階的に変更していき、所定期間TS内の注視点のうちそのサリエンシーが閾値を超える数を、所定期間TS内の注視点の総数で除することにより、注視点のサリエンシーが閾値を超える確率を計算する。コントローラ10は、ランダム点においても同様の確率を計算する。そして、コントローラ10は、閾値毎に、「注視点のサリエンシーが閾値を超える確率」と「ランダム点のサリエンシーが閾値を超える確率」との組み合わせに基づいて、ROC曲線を導出する。
図11において、曲線C1は、運転者の視線が高サリエンシー領域に誘引される傾向がある場合のROC曲線であり、傾き1の基準直線C0よりも上側に位置する凸状曲線となる。一方、曲線C2は、運転者の視線が高サリエンシー領域に向かない傾向がある場合のROC曲線であり、基準直線C0よりも下側に位置する凹状曲線となる。コントローラ10は、導出したROC曲線の下側の面積であるAUC(Area Under the Curve)値を計算する。図11では、曲線C1のAUC値は、ハッチング領域の面積に相当する。
ROC曲線がC1の場合、運転者は注意力がなく集中していない状態で運転しており、誘目性が高い知覚対象物に注意を奪われ易い状態である。このときのAUC値は基準値よりも大きくなる。一方、ROC曲線がC2の場合、運転者は外部の知覚対象物に注意を向けていない状態で運転しており、居眠り又は失神状態を含む覚醒度が低い状態である。このときのAUC値は基準値よりも小さくなる。これらに対して、ROC曲線がC0の場合、注視点のサリエンシーの大きさとランダム点のサリエンシーの大きさが一致しており、運転者は外部視野領域を万遍なく適切に視認している状態である。基準直線C0のAUC値が基準値である。
本実施形態では、知覚能力値TAは、運転者の視線が車両1の外部の知覚対象物を捉える確率に基づいて推定される。具体的には、基準値(基準直線C0のAUC値:基準AUC値)に対する運転者のAUC値の乖離度(面積差の割合)によって、運転者の知覚能力値TAが計算される。例えば、知覚能力値TAは、(AUC値-基準AUC値)の絶対値の基準AUC値に対する割合(%)を100から減じた値である(TA=100-ABS|AUC値-基準AUC値|/基準AUC値×100)。運転者のAUC値が基準値から乖離していなければ、知覚能力値TAは「100」である(TA=100)。また、本実施形態では、例えば、第1知覚閾値TA1は「30」、第2知覚閾値TA2は「50」に設定される。
次に、図12~図14を参照して、本実施形態の運動能力評価について説明する。図12は運転者の走行状態の説明図、図13は目標走行経路の加速度の説明図、図14は合成加速度の説明図である。
図12は、車両1がカーブ路3を走行しているときの各位置における実際の加速度をベクトル表示している。このように、加速度ベクトルは時間変化する。加速度情報は、加速度センサ25により検出される。一方、コントローラ10は、カーブ路3を走行する際に目標走行経路、及び目標走行経路を走行する際の目標車両ダイナミクス(目標加速度等)を計算している。図13には、目標走行経路における理想的な加速度の時間変化(線E0)が示されている。目標走行経路では、前後方向加速度(線E1)の最大値の2倍の値が、横方向加速度(E2)の最大値となるように、速度及び操舵角が計算される。
図14には、実際の走行経路上の各位置における合成加速度ベクトルGk(k=1~n)が重ね合わせて示されている。合成加速度ベクトルは、大きさ及び方向を有し、前後方向加速度と横方向加速度を合成して計算される。また、図14には、目標走行経路における理想的な目標加速度ベクトルの範囲(破線GT:ベクトル先端が連結された範囲)が示されている。
本実施形態では、運動能力値TBは、運転者の車両操作により車両1に生じた加速度に基づいて推定される。具体的には、所定時間TMの走行において、目標走行経路の目標加速度に対する実際の加速度の乖離度によって、運転者の運動能力の大きさが計算される。具体的には、コントローラ10は、運転者の速度操作(アクセルペダル及びブレーキペダル)と操舵操作(ステアリングハンドル)により生じた実際の加速度と、目標加速度(理想加速度)との加速度差(絶対値)を所定時間TMにわたって積算し、運動能力値TBを算出する。例えば、加速度差の目標加速度の大きさに対する割合(%)の平均値を100から減じて運動能力値TBが計算される(TB=100-AVE[加速度差(絶対値)/目標加速度]×100)。加速度差がない場合の運動能力は「100」となる。また、本実施形態では、例えば、第1運動閾値TB1は「30」、第2運動閾値TB2は「50」、第3運動閾値TB3は「70」に設定される。
次に、本発明の実施形態による車両制御装置の運転支援制御の処理フローを説明する。図15及び図16は運転支援制御のフローチャートである。コントローラ10は、車両1のエンジン作動開始時から運転終了まで図15の処理フローを時間的に繰返し行う(例えば、0.1秒毎)。
まず、図15に示すように、コントローラ10は、所定時間毎(例えば、0.1秒毎)に車載装置20から現在の情報を取得し(S1)、現在までの所定時間にわたる情報を用いて運転能力を推定する(S2)。この処理では、コントローラ10は、取得した情報に基づいて、走行リスク評価、知覚能力評価、運動能力評価等の処理を実行し、運転能力値(知覚能力値TA、及び運動能力値TB)を算出する。
コントローラ10は、運転者の知覚能力値TA及び運動能力値TBと閾値との比較処理(S3~S6)を実行する。知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1以下の場合(S3:Yes)、運動能力値TBが第1運動閾値TB1以下の場合(S4:Yes)、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以下、且つ運動能力値TBが第2運動閾値TB2以下の場合(S5:Yes)、コントローラ10は、支援フラグFを「1」に設定する(S7)。すなわち、図7の領域Aでは支援フラグFが「1」に設定される。
また、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以上、且つ運動能力値TBが第3運動閾値TB3以上の場合(S6:Yes)、コントローラ10は、支援フラグFを「3」に設定する(S9)。すなわち、図7の領域Cでは支援フラグFが「3」に設定される。
また、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以上、且つ運動能力値TBが第3運動閾値TB3以上でない場合(S6:No)、コントローラ10は、支援フラグFを「2」に設定する(S8)。すなわち、図7の領域Bでは支援フラグFが「2」に設定される。
次に、コントローラ10は、支援フラグFをメモリ12内の支援フラグデータベースに記録する(S10)。また、コントローラ10は、運転終了時(エンジンオフ時、又は、車速ゼロ時)に、支援フラグデータベースに記録された支援フラグFのうち、最も数が多かった支援フラグF(「1」、「2」、又は「3」)を選択して、推奨支援フラグFRに設定する。
次に、コントローラ10は、車両1の走行中に図16の処理フローを時間的に繰返し行う(例えば、0.1秒毎)。まず、コントローラ10は、各運転支援制御の作動条件が成立したか否かを判定し(S11)、いずれの運転支援制御の作動条件も成立していない場合(S11:No)、処理を終了する。一方、いずれかの運転支援制御の作動条件が成立した場合(S11:Yes)、コントローラ10は、推奨支援フラグFRが「1」、「2」、「3」のいずれであるかを判定する(S12、S13)。
推奨支援フラグFRが「1」の場合(S12:Yes)、コントローラ10は、運転補助支援処理を実行し(S14)、処理を終了する。コントローラ10は、運転補助支援処理において、作動条件が成立した運転支援制御を実行する(S14a)。このため、コントローラ10は、車両制御システム40へ必要な制御信号を送出する。一方、コントローラ10は、運転支援制御が実行されたことを運転者へ報知する報知処理は実行しない。運転者は、運転支援制御についての視覚情報及び/又は聴覚情報を情報報知装置50から受け取らないが、車両1の挙動により運転支援制御が実行されたことを認識可能である。
なお、代替的に、この運転補助支援処理は、作動条件が成立した車両支援制御に加えて、目的地までの自動運転制御であってよい。目的地は、例えば、運転者が車両制御装置100に入力した目的地であってよい。また、目的地は、緊急停止するための走行路の道路脇であってもよい。この場合、車両1は、運転者の状態にかかわらず、目的地まで自動運転制御により安全に走行する。
また、推奨支援フラグFRが「2」の場合(S13:Yes)、コントローラ10は、安全担保支援処理を実行し(S15)、処理を終了する。コントローラ10は、安全担保支援処理において、作動条件が成立した運転支援制御(S15a)を実行すると共に、運転支援制御の介入についての報知処理(S15b)を実行する。運転者は、報知処理により、運転支援制御が介入したことを知ることができる。
また、推奨支援フラグFRが「3」の場合(S13:No)、コントローラ10は、運転能力向上支援処理を実行し(S16)、処理を終了する。コントローラ10は、運転能力向上支援処理において、作動条件が成立した運転支援制御(S16a)を実行すると共に、運転支援制御の介入についての報知処理(S16b)を実行する。さらに、コントローラ10は、車両1が走行路上の理想的な走行ラインを走行するための車両操作を運転者に報知する第2報知処理(S16c)を実行する。走行路上の理想的な走行ラインは、目標走行経路である。第2報知処理において、コントローラ10は、例えば、操作部(アクセルペダル41b、ブレーキペダル42b、ステアリングホイール43b等)の理想的な操作量と、運転者による操作量を示す情報を、情報報知装置50を用いて運転者に提供する。
なお、図15の処理フローにおいて、走行中において、支援フラグFの値で推奨支援フラグFRを繰り返し更新してもよい。この場合、走行中に推奨支援フラグFRが変化する。そして、コントローラ10は、走行中において、図16の処理フローを、時間的に変化する推奨支援フラグFRを用いて実行してよい。
以下に本発明の実施形態による車両制御装置100の作用について説明する。
本実施形態は、車両1の走行環境に起因して車両1に生じる可能性のある走行リスクを推定し、走行リスクの発生を回避するように車両1に対して運転支援制御(14a、15a、16a)を実行すると共に、運転支援制御の実行を車両1の運転者に報知する報知処理(15b、16b)を実行する車両制御装置100であって、車両制御装置100は、運転者の運転能力の大きさを表す運転能力値(TA、TB)を推定する運転能力評価処理(S2)を実行し、運転支援制御の実行時において、運転能力値(TA、TB)が所定閾値より大きい高能力状態(領域B、C)のとき報知処理(15b、16b)を実行するが、運転能力値(TA、TB)が所定閾値以下の低能力状態(領域A)のとき報知処理を実行しないことを特徴としている。
このように構成された本実施形態では、低い運転能力を有する運転者の場合、運転支援制御の介入が比較的頻繁になるため、報知処理を無効化する。これにより、本実施形態では、運転者が頻繁な報知処理を煩わしく感じたり、報知処理によって混乱を起こしたりすることを回避することができる。一方、本実施形態では、中程度又は比較的高い運転能力を有する運転者の場合、運転支援制御の介入を報知することによって、運転能力の自発的な維持及び向上を促進することができる。
また、本実施形態において好ましくは、運転能力値は、車両1の外部の交通参加者を含む知覚対象物を認識する知覚能力の大きさを表す知覚能力値TAと、車両1の車両操作を実行する運動能力の大きさを表す運動能力値TBと、を含む。このように構成された本実施形態では、運転能力を知覚能力と運動能力に区別して、これら能力の大きさの組み合わせに応じて、適切に報知処理を実行することができる。
また、本実施形態において好ましくは、知覚能力値TAは、運転者の視線が車両1の外部の知覚対象物を捉える確率に応じて計算され、運動能力値TBは、運転者の車両操作により車両1に生じた加速度に応じて推定される。このように構成された本実施形態では、知覚能力値と運動能力値を比較的容易に計算及び更新することができる。
また、本実施形態において好ましくは、低能力状態(領域A)は、
・知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1以下の場合、又は、
・運動能力値TBが第1運動閾値TB1以下の場合、又は、
・知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1より大きい値に設定された第2知覚閾値TA2以下、且つ、運動能力値TBが第1運動閾値TB1より大きい値に設定された第2運動閾値TB2以下の場合であり、高能力状態(領域B、C)は、
・知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1を超え、且つ、運動能力値TBが第2運動閾値TB2を超える場合、又は、
・知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2を超え、且つ、運動能力値TBが第1運動閾値TB1を超える場合である。
このように構成された本実施形態では、閾値を設定することにより、各能力の大きさの組み合わせに応じて、より適切に報知処理(15b、16b)を実行することができる。
また、本実施形態において好ましくは、低能力状態(S12:Yes)において、車両制御装置100は、報知処理を実行せず、車両1を所定の目的地まで自動的に走行させるように運転支援制御(S14a)を実行する。このように構成された本実施形態では、運転能力が低下している運転者を目的地まで自動運転により安全に到達させることができる。
また、本実施形態において好ましくは、高能力状態(S13:Yes)において、車両制御装置100は、
・知覚能力値TAが第1知覚閾値TA1を超えるが第2知覚閾値TA2未満、且つ、運動能力値TBが第2運動閾値TB2を超える場合、又は、
・運動能力値TBが第1運動閾値TB1を超えるが、第2運動閾値TB2より大きい値に設定された第3運動閾値TB3未満、且つ、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2を超える場合において、報知処理(S15b)を実行する。このように構成された本実施形態では、中程度の運転能力を有する運転者に対しては、車両支援制御の実行についての報知処理(S15b)が実行されるので、運転者は車両支援制御が介入したことを、自らの運転能力を維持又は向上させる動機付けにすることができる。
また、本実施形態において好ましくは、高能力状態(S13:No)において、車両制御装置100は、知覚能力値TAが第2知覚閾値TA2以上、且つ、運動能力値TBが第2運動閾値TB2より大きい値に設定された第3運動閾値TB3以上の場合において、報知処理(S16b)を実行すると共に、車両1が走行路上の理想的な走行ラインを走行するための車両操作を運転者に報知する第2報知処理(S16c)を実行する。このように構成された本実施形態では、比較的高い運転能力を有する運転者に対しては、車両支援制御の実行についての報知処理(S16b)に加えて、理想的な車両操作を教示する第2報知処理(S16c)が実行される。比較的高い運転能力を有する運転者であれば、車両支援制御が介入したときに、第2報知処理の情報を受け取り、自らの車両操作を理想的な車両操作に改善することができる。これにより、本実施形態では、比較的高い運転能力を有する運転者は、車両支援制御の介入を契機として、運転能力をさらに向上させることができる。
1 車両
10 コントローラ
20 車載装置
40 車両制御システム
50 情報報知装置
100 車両制御装置
TA 知覚能力値
TA1 第1知覚閾値
TA2 第2知覚閾値
TB 運動能力値
TB1 第1運動閾値
TB2 第2運動閾値
TB3 第3運動閾値

Claims (7)

  1. 車両の走行環境に起因して前記車両に生じる可能性のある走行リスクを推定し、前記走行リスクの発生を回避するように前記車両に対して運転支援制御を実行すると共に、前記運転支援制御の実行を前記車両の運転者に報知する報知処理を実行する車両制御装置であって、
    前記車両制御装置は、前記運転者の運転能力の大きさを表す運転能力値を推定する運転能力評価処理を実行し、前記運転支援制御の実行時において、前記運転能力値が所定閾値より大きい高能力状態のとき前記報知処理を実行するが、前記運転能力値が前記所定閾値以下の低能力状態のとき前記報知処理を実行しない、車両制御装置。
  2. 前記運転能力値は、前記車両の外部の交通参加者を含む知覚対象物を認識する知覚能力の大きさを表す知覚能力値と、前記車両の車両操作を実行する運動能力の大きさを表す運動能力値と、を含む、請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記知覚能力値は、前記運転者の視線が前記車両の外部の知覚対象物を捉える確率に応じて計算され、
    前記運動能力値は、前記運転者の車両操作により前記車両に生じた加速度に応じて計算される、請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記低能力状態は、
    前記知覚能力値が第1知覚閾値以下の場合、又は、
    前記運動能力値が第1運動閾値以下の場合、又は、
    前記知覚能力値が前記第1知覚閾値より大きい値に設定された第2知覚閾値以下、且つ、前記運動能力値が前記第1運動閾値より大きい値に設定された第2運動閾値以下の場合であり、
    前記高能力状態は、
    前記知覚能力値が前記第1知覚閾値を超え、且つ、前記運動能力値が前記第2運動閾値を超える場合、又は、
    前記知覚能力値が前記第2知覚閾値を超え、且つ、前記運動能力値が前記第1運動閾値を超える場合である、請求項2に記載の車両制御装置。
  5. 前記低能力状態において、前記車両制御装置は、前記報知処理を実行せず、前記車両を所定の目的地まで自動的に走行させるように前記運転支援制御を実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  6. 前記高能力状態において、前記車両制御装置は、
    前記知覚能力値が前記第1知覚閾値を超えるが前記第2知覚閾値未満、且つ、前記運動能力値が前記第2運動閾値を超える場合、又は、
    前記運動能力値が前記第1運動閾値を超えるが、前記第2運動閾値より大きい値に設定された第3運動閾値未満、且つ、前記知覚能力値が前記第2知覚閾値を超える場合において、
    前記報知処理を実行する、請求項4に記載の車両制御装置。
  7. 前記高能力状態において、前記車両制御装置は、
    前記知覚能力値が前記第2知覚閾値以上、且つ、前記運動能力値が前記第2運動閾値より大きい値に設定された第3運動閾値以上の場合において、前記報知処理を実行すると共に、前記車両が走行路上の理想的な走行ラインを走行するための車両操作を前記運転者に報知する第2報知処理を実行する、請求項4に記載の車両制御装置。
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