JP2022178077A - 分離膜の製造方法 - Google Patents

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拓也 奥野
Takuya Okuno
真二 石川
Shinji Ishikawa
博匡 俵山
Hiromasa Tawarayama
靖則 近江
Yasunori Omi
恭平 上野
Kyohei UENO
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Abstract

【課題】加熱水蒸気雰囲気下での処理によって製造される分離膜の成形不良を抑制し、安定して分離膜を製造できる方法を提供する。【解決手段】無機酸化物多孔質支持体上にゼオライト膜が形成された分離膜の製造方法であって、支持体のゼオライト形成部分の主成分がSiO2であり、ゼオライトの種結晶を支持体の表面層に担持させ、構造規定剤を含有するアルカリ成分を支持体の表面層または全体に含ませる第一工程と、第一工程で得られた第一形成体を乾燥させる第二工程と、第二工程で得られた第二形成体に水を含ませる第三工程と、第三工程で得られた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第四工程と、を含む、分離膜の製造方法。【選択図】図2

Description

本開示は、分離膜の製造方法に関する。
特許文献1には、ゼオライトの種結晶と構造規定剤を含有するアルカリ成分とを支持体の表面に形成する第一工程と、第一工程で得られた形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第二工程と、を含む分離膜の製造方法が開示されている。
国際公開第2018-131707号
本発明者らは、ゼオライトの種結晶とアルカリ成分とが表面に担持された支持体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する方法において、処理容器における配置によって成膜の再現性にばらつきが生じ、場合によっては膜剥がれ等の成形不良が起こることを見出した。
本開示は、加熱水蒸気雰囲気下での処理によって製造される分離膜の成形不良を抑制し、安定して分離膜を製造できる方法を提供することを目的とする。
本開示の分離膜の製造方法は、
無機酸化物多孔質支持体上にゼオライト膜が形成された分離膜の製造方法であって、
前記支持体のゼオライト形成部分の主成分がSiOであり、
ゼオライトの種結晶を前記支持体の表面層に担持させ、構造規定剤を含有するアルカリ成分を前記支持体の表面層または全体に含ませる第一工程と、
前記第一工程で得られた第一形成体を乾燥させる第二工程と、
前記第二工程で得られた第二形成体に水を含ませる第三工程と、
前記第三工程で得られた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第四工程と、
を含む。
本開示によれば、加熱水蒸気雰囲気下での処理によって製造される分離膜の成形不良を抑制し、安定して分離膜を製造できる方法を提供できる。
図1は実施形態に係る分離膜を示す図である。 図2は実施形態に係る分離膜の製造方法のフローを示す図である。 図3は実施形態に係る分離膜の製造器具を示す図である。 図4は実施例に係る分離膜の膜剥がれの様子を示す図である。 図5は比較例に係る分離膜の膜剥がれの様子を示す図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1) 実施形態に係る分離膜の製造方法は、
無機酸化物多孔質支持体上にゼオライト膜が形成された分離膜の製造方法であって、
前記支持体のゼオライト形成部分の主成分がSiOであり、
ゼオライトの種結晶を前記支持体の表面層に担持させ、構造規定剤を含有するアルカリ成分を前記支持体の表面層または全体に含ませる第一工程と、
前記第一工程で得られた第一形成体を乾燥させる第二工程と、
前記第二工程で得られた第二形成体に水を含ませる第三工程と、
前記第三工程で得られた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第四工程と、
を含む。
上記の分離膜の製造方法によれば、加熱水蒸気雰囲気下での処理によって製造される分離膜の成形不良を抑制し、安定して分離膜を製造できる。
(2)上記(1)の分離膜の製造方法は、
前記第四工程において、処理温度に到達した時点での処理雰囲気が飽和水蒸気雰囲気であるように前記処理雰囲気を昇温して、前記第三形成体を前記処理温度で所定の時間処理してもよい。
上記の分離膜の製造方法では、ゼオライト膜の成長のための水が不足することを好適に予防することができ、分離膜の成形不良をさらに抑制し、より安定して分離膜を製造できる。
(3)上記(1)または(2)の分離膜の製造方法は、
前記支持体の形状が管状、棒状または平板状である場合に、前記第四工程において、前記支持体の長手方向または面方向が水平方向に沿うように配置して前記第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理してもよい。
支持体の形状が管状、棒状または平板状である場合に、支持体の長手方向または面方向が水平方向に沿うように配置して第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理することで、均一性に優れるゼオライト膜を備える分離膜を製造できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の分離膜の製造方法の実施形態の詳細を、図面を参照しつつ説明する。
(分離膜)
まず、図1を参照して本実施形態に従って製造される分離膜を説明する。図1は実施形態に係る分離膜20の縦断面を示す図である。分離膜20は略円筒形状であり、中心孔24を持つ無機酸化物多孔質支持体21を有している。支持体21の外周にはゼオライト膜22が成膜されている。なお、分離膜の形状は、管状、棒状、平板状、シート状等、任意の形状とすることもできるが、分離効率の点から流体との接触面積をより広くするために、本実施形態では管状としている。管状の場合には分離膜の直径は20mm以下であってもよく、径方向が短手方向となり、軸方向が長手方向となるようにしてもよい。管状の場合の分離膜の長さは、例えば40mm以上、80mm以上、120mm以上としてもよい。
分離膜20は、分子ふるい効果や親水/疎水性を活用したガス分離膜、ベーパーレーション膜、膜分離反応器などに使用することができ、とくにエタノール/水分離用の分離膜として好適に使用できる。
本実施形態において用いられる無機酸化物多孔質支持体21としては、本実施形態によりゼオライト膜22が形成される部分(支持体の表面部分)の主成分がSiOであるものであればよく、例えば、アルミナなどの基材表面に非晶質SiOを形成した支持体や、支持体全体が非晶質SiOで形成される支持体を用いることができる。また、支持体21がSiOを90質量%以上含有する非晶質体からなってもよく、支持体21がSiOを99質量%以上含有する非晶質体からなってもよく、支持体21がAlを1質量%未満で含有してもよい。支持体のSiO含有割合が増加し、またAlおよび不純物の含有割合が低下することで、ゼオライト膜22への支持体中に存在するAl、アルカリ元素、ボロンなどの溶出が抑えられ、分離膜20の疎水性を維持できる。また、微量のアルミナ溶存は、シリカ支持体のアルカリに対する耐久性を向上させることを可能にするため、ゼオライトを成膜する処理の際、支持体溶出を抑制することで支持体の強度を維持することを可能にする。
支持体21は、ゼオライト膜22における流体の透過をほぼ干渉することなく該薄膜を支持するために、その気孔率は35~70%、平均細孔径は250nm~600nmでもよい。なお、「気孔率」は、単位体積当たりの気孔容積が占める割合として算出できる。支持体21の厚さは、機械的強度とガス透過性のバランスから0.2mm~5mmであってもよく、0.5mm~3mmであってもよい。
支持体21のゼオライト形成部分の比表面積は5m/g以上400m/g以下でもよい。5m/g未満であると、表面積が小さいため粒子表面に担持できる構造規定剤の量が不十分になるおそれがあり、またアルカリ成分によるシリカ成分の溶出量が不足して、完全にゼオライトに変換することが出来なくなるおそれがある。逆に比表面積が400m/gより大きいと、構造規定材の担持量が過剰になるおそれがあり、また支持体へのアルカリ成分の浸透によりシリカ成分が必要以上に溶出し、支持体強度の低下をもたらす場合がある。当該比表面積は、前者の観点からは支持体21の表面に存在する粒子の直径が0.5μm以下になる10m/g以上でもよく、後者の観点からは前記粒子の直径が50nm以上となる100m/g以下でもよい。
本実施形態の分離膜20が支持体21上に備えるゼオライト膜22は、従来の水熱合成法により得られるゼオライト膜と比べて緻密質の膜である。そのため、本実施形態のゼオライト膜22の膜厚は薄くても分離能に優れ、透過流束の大きい分離膜を提供できる。ゼオライト膜22の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5μm~30μmであってもよい。厚さが0.5μm未満では、ゼオライト膜22にピンホールが発生しやすく、十分な分離性能を得ることができないおそれがあり、また、厚さが30μmを超えると流体の透過速度が小さくなりすぎ、実用上十分な透過性能が得られにくくなるおそれがある。ゼオライト膜22は、MFI型ゼオライトでもよく、ハイシリカMFI型ゼオライト(シリカライト)でもよい。
(分離膜の製造方法)
続いて、図2を参照して本実施形態の分離膜の製造方法を説明する。図2は、分離膜の製造方法のフローを示す図である。本実施形態の分離膜の製造法は、ゼオライトの種結晶を支持体21の表面層(ゼオライト形成部分)に担持させ、構造規定剤を含有するアルカリ成分を支持体21の表面層または全体に含ませる第一工程S1と、第一工程S1で得られた第一形成体を乾燥させる第二工程S2と、第二工程S2で得られた第二形成体に水を含ませる第三工程S3と、第三工程S3で得られた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第四工程S4と、を含む。
第一工程S1は、ゼオライトの種結晶を支持体21の表面層に担持させる工程と、構造規定剤を含有するアルカリ成分を支持体21の表面層または全体に含ませる工程と、を含む。これらの工程は分離して実施してもよく、同時に実施してもよい。
支持体21の表面層に担持されるゼオライトの種結晶は、通常のゼオライト粒子の製造方法で作られたゼオライト粒子である。ゼオライトの種結晶は、MFI型のハイシリカゼオライト種結晶でもよい。ゼオライト種結晶の粒子径は特に限定されないが、例えば5μm以下、好ましくは3μm以下である。種結晶の担持は種々の方法で実施できる。例えば、種結晶の担持は、ゼオライト種結晶の水分散液に支持体21を浸漬して引き上げるディップコート法によっておこなえる。また、種結晶の担持は、ゼオライトを分散させたポリマーフィルムを調製し、ゼオライト分散フィルムを支持体21の外表面上に巻きつけ後にポリマー部分を焼成除去することでも、可能である。また、種結晶の担持は、電気泳動法によっても可能である。電気泳動法によれば、種結晶の位置および密度が制御され、最終的に得られるゼオライト膜22の緻密質性を向上できる。
構造規定剤は、ゼオライトの孔を構築する有機化合物の型剤であり、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩、トリメチルアダマンタンアンモニウム塩などが用いられる。
アルカリ成分はアルカリ性の水溶液を表し、好ましくは、有機アンモニウム水酸化物および/または、有機アンモニウムハロゲン塩とアルカリ金属水酸化物とを含有する水溶液である。有機アンモニウム水酸化物としては、例えばテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)が挙げられ、有機アンモニウムハロゲン塩としては、例えばテトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)が挙げられ、アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられる。
アルカリ成分として、有機アンモニウム水酸化物を含有する水溶液を用いた場合、ゼオライト膜がシリカ成分と有機アンモニウムのみから形成されるので不純物成分のきわめて少ない分離膜を形成可能であり、支持体や膜からの不純物溶出を抑制できる。また、アルカリ成分として、有機アンモニウムハロゲン塩及びアルカリ金属水酸化物を含有する水溶液を用いた場合、有機アンモニウム水酸化物よりも成分が安定であり、かつアルカリ濃度をアルカリ金属水酸化物の濃度によって調整可能であるため、過剰なアルカリによる支持体の破壊などが生じにくいプロセスを構築できる。また、アルカリ成分中の構造規定剤の濃度は、結晶成長を進行させる観点から0.05M以上でもよい。さらに、アルカリ成分中の構造規定剤の濃度は、支持体の消耗を抑制する観点から0.5M以下でもよく、0.3M以下でもよい。
アルカリ成分を支持体21の表面層または全体に含ませる工程は、種結晶が表面層に担持された支持体21の上下に封をし、TPAOH水溶液等のアルカリ成分に浸した後に引き上げる工程でもよい。また、種結晶の担持に用いる種結晶の水分散液にアルカリ成分を加えて、種結晶の担持と同時にアルカリ成分を支持体21の表面層または全体に含ませてもよい。
第二工程S2は、第一工程S1で得られた種結晶が担持されアルカリ成分が含浸された支持体21(第一形成体)を乾燥させる工程である。第一形成体を乾燥させることで、支持体21上のアルカリ成分の厚みおよび濃度むらを抑制できる。また、第一形成体を乾燥させることでアルカリ成分のpHが上昇して支持体の表面層の一部が溶解し、溶解した表面層の一部とアルカリ成分に含まれる構造既定剤とが混じりあうと考えられる。第二工程S2における乾燥は特に限定されるものではないが、40℃以上99℃以下の条件で、0.5時間以上としてもよい。
第三工程S3は、第二工程S2で得られた種結晶が担持されアルカリ成分が含浸された後に乾燥された支持体21(第二形成体)に水を含ませる工程である。水を含ませる方法は特に限定されないが、例えば水に支持体21を浸漬させて引き上げる方法、水をスプレーで支持体21に噴霧する方法、水を支持体21に塗布する方法、支持体21より高温の高湿度雰囲気下に支持体21を保持することにより結露を起こさせる方法、などを採用できる。支持体21に含ませる水の量は特に限定されるものではないが、例えば、支持体21の空隙容量以下とすることで下部に水滴が発生することによる水量及び構造規定剤の分布の不均一化が抑制できる。また、処理中の水滴の落下等による構造規定剤の濃度低下を抑制できる。
第四工程S4は、第三工程S3で得られた、種結晶が担持されアルカリ成分が含浸された後に乾燥され、その後さらに水を含浸させられた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気で処理する工程である。第四工程S4では、加熱水蒸気処理容器中に第三工程S3で得られた第三形成体を設置し、所定の温度、例えば140℃以上180℃以下の温度で所定時間、例えば24時間熱処理を行うことで、種結晶周辺にゼオライト膜を形成できる。第四工程における加熱水蒸気雰囲気下での処理は、結晶成長の観点で4時間以上でもよく、ゼオライト結晶構造を安定化させる観点から8時間以上でもよい。また、当該処理は、結晶性悪化の抑制や製造時間の短縮の観点から、処理時間が36時間以下でもよい。
図3は、加熱水蒸気処理容器に第三形成体40を設置するための支持器具30(分離膜の製造器具の一例)を示す図である。支持器具30は、円板上のベース板32と、ベース板32に固定されたテフロン(登録商標)製の4本の支持棒34と、を備える。支持棒34の1つはベース板32の中央に配置され、支持棒34の残りの3つは中央の支持棒34を中心とする円周上で(周辺で)等間隔に配置されている。各部材の形状、大きさは特に限定されるものではないが、図3に示す支持器具30では、長さ40mm、外径10mm、内径8.4mmの管状の第三形成体40が各支持棒34の上下に1つずつ配置できる態様とされている。
支持体21の形状が管状、棒状または平板状である場合には、第四工程S4において、支持体21の長手方向または面方向が水平方向に沿うように配置して第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理してもよい。第三形成体に含まれる水は重力の影響で下にたまりやすい。特に支持体が大きい場合には、下方ではゼオライト膜の成長が促進される一方、上方ではゼオライト膜の成長が抑制され、不均一なゼオライト膜が形成されるおそれがある。支持体の形状が管状、棒状または平板状である場合に、支持体の長手方向または面方向が水平方向に沿うように配置して第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理することで、均一性に優れるゼオライト膜を備える分離膜を製造できる。特に、支持体21の長手方向の長さが120mm以上である場合には、支持体21の長手方向が水平方向に沿うように配置することで、その効果が顕著に現れる。
加熱水蒸気処理容器に入れられて加熱水蒸気雰囲気下とするために用いられる水の量は、成膜領域への水蒸気供給の観点から飽和水蒸気量の2倍以上としてもよい。また、膜構造に欠陥の発生を抑制する観点から、加熱水蒸気処理容器に入れられる水の量は飽和水蒸気量の20倍以下としてもよい。また、その一部が支持体内部に含まれていてもよい。飽和水蒸気量(WH2O-S)は、単位体積(1m)での加熱処理温度(T)における飽和水蒸気圧(Ps)での水蒸気質量であり、単位はg/mである。容器容積(V)内の質量とする場合WH2O-S×V(g)となる。飽和水蒸気量は、近似式より所定の温度における飽和水蒸気圧(P(t))を求め、気体の状態方程式から水蒸気量に換算することで得られる。飽和水蒸気圧の近似式としては、以下のWagner式がある。
Figure 2022178077000002
ここで、Pc=221200[hPa]:臨界圧、Tc=647.3[K]:臨界温度、x=1-(t+273.15)/Tc、A=-7.76451、B=1.45838、C=-2.7758、D=-1.23303(A~D:係数)である。得られた飽和水蒸気圧P(t)から気体の状態方程式:P/RT=n/Vにより単位体積あたりの水蒸気モル数が求まり、水の分子量より飽和水蒸気量が得られる。
また、第四工程S4において、処理温度(例えば140℃以上180℃以下の温度)に到達した時点での処理雰囲気が飽和水蒸気雰囲気であるように前記処理雰囲気を昇温して、前記第三形成体を前記処理温度で所定の時間処理してもよい。処理雰囲気が飽和水蒸気雰囲気でないと、第三形成体に含まれた水が雰囲気中に蒸発してしまい、ゼオライト膜の成長のための水が不足するおそれがある。少なくとも加熱水蒸気雰囲気での処理温度に到達した時点での処理雰囲気が飽和水蒸気雰囲気であるように前記処理雰囲気を昇温することで、ゼオライト膜の成長のための水が不足することを好適に予防することができ、分離膜の成形不良をさらに抑制し、より安定して分離膜を製造できる。なお、通常、加熱水蒸気処理容器を密閉した状態で昇温することで、処理温度に到達した時点での処理雰囲気を飽和水蒸気雰囲気にできる。
第一工程S1から第四工程S4を通して得られた形成体は、洗浄後乾燥したのち、350℃~600℃で所定時間、例えば12時間焼成することで、構造規定剤を燃焼除去し、分離膜20を形成する。
(作用)
ゼオライトの種結晶が表面層に担持され、アルカリ成分が表面層または全体に担持された支持体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する方法では、加熱水蒸気雰囲気下での処理中に支持体に含まれる水の量がゼオライト膜の成長に影響を及ぼす。例えば処理容器における支持体の配置によって、支持体が加熱水蒸気から吸収する水の量が少ない場合には、膜剥がれ等の成形不良が起こる可能性がある。
実施形態に係る分離膜の製造方法は、ゼオライトの種結晶が表面層に担持され、アルカリ成分が表面層または全体に担持された第一形成体を乾燥させた(第一工程および第二工程S2)後に、乾燥された第二形成体に水を含ませて(第三工程S3)、水を含んだ第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する(第四工程S4)方法である。加熱水蒸気雰囲気下での処理の前にあらかじめ水を含ませることで、ゼオライト膜の成長に要する水があらかじめ支持体に与えられる。これにより、ゼオライト膜の成長のための水が不足することを予防することができ、分離膜の成形不良を抑制し、安定して分離膜を製造できる。
なお、第一形成体を乾燥させる第二工程S2および乾燥した第二形成体に水を含ませる第三工程S3を省略して、第一工程S1に由来する水によってゼオライト膜の成長に要する水をあらかじめ支持体に与える方法では、上記の方法と比べて分離性能に劣る分離膜となるおそれがある。上記の方法で得られる分離膜が第二工程S2および第三工程S3を省略した方法で得られる分離膜より分離性能に優れると考えられる理由としては、第一形成体を乾燥させる第二工程S2においてアルカリ成分のpHが上昇して支持体21の表面層の一部が溶解し、アルカリ成分に含まれる構造既定剤と混じりあって緻密な層を形成していることが考えられる。
以下、本開示に係る具体的な実施例を説明する。なお、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
(多孔質シリカ支持体)
外付けCVD法により、外径10mm、内径8.4mm、長さ300mm、気孔率64%、平均細孔径500nmの多孔質シリカ管を作成し、これを切断した管を、多孔質シリカ支持体として使用した。
(種結晶)
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.1:0.2:40となるように混合し、室温で60分撹拌することにより種結晶生成用ゾルを得た。このゾルをポリプロピレン製容器内で100℃、144時間撹拌条件下で反応させ、MFI型ゼオライト結晶(Silicalite-1)を合成した。このゼオライト結晶を吸引濾過により回収し、熱水で洗浄後、60℃、10時間の乾燥処理を行い、粒子径約1μmのハイシリカゼオライト種結晶を得た。なお、コロイダルシリカは触媒化成工業株式会社製 Cataloid SI-30(登録商標)(SiO 30.17%,NaO 0.4%,HO 69.43%)を使用した。
(例1)
長さ40mm、外径10mm、内径8.4mmの支持体に上記のハイシリカゼオライト種結晶をディップコートにより担持させた。その後熱処理を行い、構造規定剤を含むアルカリ成分として0.1M TPAOH水溶液を種結晶付の支持体に2回塗布した。その後60℃で1h乾燥させて、次いで支持体を水に浸漬することで0.35gの水を支持体に含ませた。さらに、φ7mmのテフロン(登録商標)製で長さ約195mmの棒を支持体に内挿した。1つの棒に2つの支持体を取り付けて、図3に示すように、棒の上下で間隔をあけた位置でOリング及びテフロン(登録商標)テープを用いて、2つの支持体を固定した。図3に示すように、支持体を固定したテフロン(登録商標)製の棒を、直径約52.5mmのベース板の中央に1本、周辺に3本として固定した後、蒸気処理を行うための圧力容器に設置した。下側の支持体は、ベース板上面から50mmの位置に支持体下端が来るように固定した。圧力容器の内径はベース板外径と同程度であった。容器内には処理温度で容器内が飽和水蒸気で満たされるのに必要な水量の2倍以上の量を同封した。温度を160℃として、24時間蒸気処理を行った。
上記処理によって得られた支持体の膜剥離率(不良率)を評価した。評価は、支持体にローダミンB水溶液を塗布した際に色素が内部に浸漬したサンプル数の割合を算出することによっておこなった。ローダミンB水溶液による着色の様子を図4に示し、膜剥離率を表1に示す。また、含水工程を行わなかった以外は上記の方法と同じ方法に従って得られた比較用の支持体の、ローダミンB水溶液による着色の様子を図5に示し、膜剥離率を表1に併せて示す。なお、表1では圧力容器における配置毎の膜剥離率が示される。また、図4は圧力容器内での中央上の位置に固定された含水工程有の支持体の着色の様子を示す図である。また、図5は圧力容器内での周辺下の位置に固定された含水工程無の支持体の着色の様子を示す図である。含水工程を省いた例では特に周辺部の下で膜剥がれが多く発生したが、蒸気処理前に含水させることにより、何れの固定位置でも膜剥離率が低下し、特に容器外周部の下部で、顕著に膜剥がれが抑制された。
Figure 2022178077000003
(例2から例7)
長さ80mm、外径10mm、内径8.4mmのシリカ多孔質支持体を用いて、TPAOH塗布、含水量及び蒸気処理温度を変化させて、支持体を図3における中央の支持棒にベース板上面から50mmの位置に支持体下端が来るように固定した以外は、例1と同様の処理をおこない、例2から例7の支持体を作成した。アルカリ成分のTPAOH濃度、支持体に含ませる水の量及び水蒸気処理温度については表2に示す通りとして、それぞれ0.1M~0.3M、0.4g~1.0g及び140℃~150℃でおこなった。
例2から例7の支持体を焼成することで構造規定剤を除去して例2から例7の分離膜を得た。各分離膜の分離係数及び透過流束を表2に示す。何れの条件でも高い分離性能を示す分離膜が形成されていることを確認し、これらの含水量、処理温度の範囲であれば、良好なゼオライト膜が得られると考えられる。なお、分離係数及び透過流束は、浸透気化試験(PV:Pervaporation)により評価した。詳細には、エタノール10%水溶液を、ウォーターバス中で50℃に加熱し、その中に片端封止、逆端を真空ポンプに接続した分離膜を入れ、内部を減圧して所定時間毎にサンプリングコールドトラップにて透過液体を採取した。得られた減圧側の液体組成を、液体クロマトグラフィーにて測定して、エタノールの分離濃縮の状態を評価した。分離係数(αEtOH)及び透過流束(Jtotal)は、以下の式に従って算出した。
Figure 2022178077000004
Figure 2022178077000005
(例8)
長さ120mm、外径10mm、内径8.4mmの支持体を、飽和蒸気圧雰囲気で昇温可能な圧力容器に縦方向または横方向に固定して、150℃で24時間の蒸気処理を行った以外は例1と同様の条件で、例8の支持体を作成した。その後、当該支持体を425℃で32時間焼成して構造既定剤を除去し、得られた分離膜を中央で2分割し、分離膜1、分離膜2とした。上記と同様の浸透気化試験を分割したそれぞれの分離膜について行った結果を表3に示す。表3より、縦方向に固定した場合は長手方向で分離性能が大きく異なるのに対し、横方向に固定した場合は性能差がなく、全体的な性能低下も見られなかった。
Figure 2022178077000006
以上、特定の実施形態および実施例に基づいて本開示を説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
20:分離膜
21:無機酸化物多孔質支持体
22:ゼオライト膜
24:中心孔
30:支持器具
32:ベース板
34:支持棒
40:第三形成体

Claims (3)

  1. 無機酸化物多孔質支持体上にゼオライト膜が形成された分離膜の製造方法であって、
    前記支持体のゼオライト形成部分の主成分がSiOであり、
    ゼオライトの種結晶を前記支持体の表面層に担持させ、構造規定剤を含有するアルカリ成分を前記支持体の表面層または全体に含ませる第一工程と、
    前記第一工程で得られた第一形成体を乾燥させる第二工程と、
    前記第二工程で得られた第二形成体に水を含ませる第三工程と、
    前記第三工程で得られた第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第四工程と、
    を含む、分離膜の製造方法。
  2. 前記第四工程において、処理温度に到達した時点での処理雰囲気が飽和水蒸気雰囲気であるように前記処理雰囲気を昇温して、前記第三形成体を前記処理温度で所定の時間処理する、請求項1に記載の分離膜の製造方法。
  3. 前記支持体の形状が管状、棒状または平板状である場合に、前記第四工程において、前記支持体の長手方向または面方向が水平方向に沿うように配置して前記第三形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する、請求項1または請求項2に記載の分離膜の製造方法。
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