JP2022175400A - バリア性熱可塑性樹脂成形体、およびそれを用いた包装材 - Google Patents

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英夫 浅間
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Abstract

【課題】酸素バリア性、および水蒸気バリア性を両立する熱可塑性樹脂成形体を提供する。【解決手段】樹脂成形体は、少なくともポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むベース相中に、分散相としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂成形体であって、前記分散相が、前記樹脂成形体の厚み方向に対して扁平状に形成され、成形方向および成形幅方向に重なりをもって配置されており、成形方向及び幅方向の任意の厚み断面における、複数の前記分散相間の厚み方向距離dの平均値dave.と、前記ベース相及び前記分散相からなる分散ユニットの面積Sの平均値Save.とが、dave./(Save.^0.5)≦0.1を満たす関係にある。【選択図】図1

Description

本発明は、酸素バリア性、および水蒸気バリア性を両立する熱可塑性樹脂成形体、およびそれを用いた包装材に関する。
包装材(包装フィルムや包装体、容器)には内容物保護の観点から、ガスバリア性に優れた各種の樹脂フィルムや樹脂成形体が用いられている。包装材に一般的に用いられる材料としてはポリエチレン(以下「PE」)、ポリプロピレン(以下「PP」)等のオレフィン系樹脂を主体とした材料構成であり、これらオレフィン系樹脂は水蒸気に対してのバリア性に優れるが、酸素に対してのバリア性に劣る。一方、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」)等の親水性樹脂では、酸素に対するバリア性に優れており、水蒸気に対しバリア性に劣る。
包装材として求められるバリア性として、酸素バリア性と、水蒸気バリア性の両立が挙げられるが、従来は酸素バリア性を有する樹脂、水蒸気バリア性を有する樹脂を複数積層することで、酸素および水蒸気を両立するバリア性を得てきた。
特許文献1においては、積層によりバリア性の両立する技術が開示されている。
また、特許文献2では、表層にPEやPP等のポリオレフィン樹脂、中間層にEVOH、MXDナイロンに複合材として酸変性等の相溶化剤を組成とする積層体の技術が開示されている。
特開平10-080984号公報 特開2008-150539号公報
しかし、積層によりバリア性を両立する場合、積層フィルムの各々の間の接着性、および製造工手の複雑化する問題がある。
また、表層にPEやPP等のポリオレフィン樹脂、中間層にEVOH、MXDナイロンに複合材として酸変性等の相溶化剤を組成する場合も、積層フィルムの各々の間の接着性、および製造工手の複雑化する問題がある。
また、酸素および水蒸気のバリア性を両立する方法である、酸素バリア性を有する材料と水蒸気バリア性を有する材料の混合では、単純に混ぜ合わせた溶融ブレンドでは、酸素バリア性が十分に得られない問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、酸素バリア性に優れた材料を水蒸気バリア性に優れた材料に分散させ、かつ分散相である酸素バリア樹脂の形状、さらには分散相間の存在状態を制御することで、酸素バリアに有効である迷路効果の最適化が可能な熱可塑性樹脂成形体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、少なくとも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及びエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂成形体であって、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるベース相中に、分散相としてEVOHを含み、前記分散相が、前記樹脂成形体の厚み方向に対して扁平状に形成され、成形方向および成形幅方向に重なりをもって配置されており、成形方向及び幅方向の任意の厚み断面における、複数の前記分散相間の厚み方向距離dの平均値dave.と、前記ベース相及び前記分散相からなる分散ユニットの面積Sの平均値Save.が、dave./(Save.^0.5)≦0.1を満たす関係にある樹脂成形体である。
本発明の一態様によれば、酸素バリア性に優れた材料を水蒸気バリア性に優れた材料に分散させ、かつ分散相である酸素バリア樹脂の形状、さらには分散相間の存在状態を制御することで、酸素バリアに有効である迷路効果の最適化が可能な熱可塑性樹脂成形体を提供することができる。
本実施形態の樹脂成形体の一例を示す断面模式図である。 本実施形態の樹脂成形体の分散ユニットを示す断面模式図である。 分散相間距離を示す断面模式図である。 成形方向及び幅方向の厚み断面位置を説明する断面模式図である。 本実施形態の樹脂成形体の別の一例を示す断面模式図である。 本実施形態における、厚み断面に見られる分散相の断面形状例を示す概略図である。 本実施形態における、厚み断面に見られる分散相の別の断面形状例を示す概略図である。 本実施形態における、厚み断面に見られる分散相の別の断面形状例を示す概略図である。 本実施形態における、フィルム上方向から見た分散相の別の形状例を示す概略図である。 本実施形態における、フィルム上方向から見た分散相の別の形状例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に記述する。なお、図1は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするため適宜誇張して示している。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成材料について)
本実施形態における熱可塑性樹脂成形体1は図1で示すように、水蒸気バリア性を有したポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるベース相2と、分散相3として酸素バリア性に特化したEVOHとを含んでなる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるベース相2の主材料としては、包装材料として好適に使用されるためには適度な柔軟性を持ちならびに加工性が良い必要がある。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、オレフィン由来の構成単位を有するポリマーであれば良く、オレフィンをベースとした、低密度ポリエチレン(LDPE)、α-オレフィンとエチレンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等があるポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンとオレフィンを共重合したシクロオレフィンコポリマー及び、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン-酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られる、エチレン-メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のうち単体並びに複数を選択し適宜使用する事が可能である。
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)3は、エチレンおよび酢酸ビニルのラジカル重合等により得られるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を鹸化することにより生成され得る。EVOHの酸素バリア性は、よりエチレン含有量の少なさ、または高い加水分解度もしくは鹸化度、高い結晶性により改善され、20~50mol%のエチレン成分比率、90%以上の加水分解度を有するEVOHの使用が好ましい。
また、図5には本発明における別の形態を示している。水蒸気バリア性を有したポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるベース相2と、分散相3として酸素バリア性に特化したエチレン-ビニルアルコール共重合体と、さらに分散相3を包むように、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体から成る相溶化剤6が存在し、熱可塑性樹脂成形体1′を形成している。
オレフィンと官能基含有単量体の共重合体は、ベース相2を構成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂とは異なる樹脂であって、前記EVOHと結合し得る反応基が付与された分子構造からなる共重合体熱可塑性樹脂であり、化学的相性が悪いオレフィン系樹脂とEVOHの親和性を向上させる役目を担う相溶化剤として機能する。相溶化剤は、樹脂混合時に2種ポリマー間の界面張力を低下させ、相分離構造を安定化させる。相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂としては、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、マレイン酸変性ポリオレフィン(PO-g-MAH)等が挙げられる。
相溶化剤6は必ずしも必要ではないが、ベース相2と分散相3を相溶させ、界面密着力を向上させたり、相溶化させることで外観や成形性を向上させたりすることができるため、一定量の添加を行う方が好ましい。
前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、EVOH、オレフィンと官能基含有単量体の共重合体以外に、造核剤、補強フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、光安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックス等の添加材を用いても良い。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
造核剤及び補強フィラーとしては、タルク、シリカ、クレー、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、炭酸リチウムアルミナ、酸化チタン、アルミニウム、鉄、銀、銅等の金属、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、セルロースミクロフィブリル、酢酸セルロース等のセルロース類、ガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアクリレート繊維等の繊維状フィラー、カーボンナノチューブ等のカーボン類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、有機ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
熱安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ノニオン系化合物、カチオン系化合物、アニオン系化合物等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、無機化合物、ホウ素系化合物、シリコーン系化合物、硫黄系化合物、赤リン系化合物等が挙げられる。
難燃助剤としては、アンチモン化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物、水酸化マグ
ネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂成型体は、単層で用いられるだけでなく、他種樹脂成型体との積層体として使用されても良い。
(熱可塑性樹脂成形体1の構造)
本実施形態の熱可塑性樹脂成形体1は、ベース相2中の分散相3が厚み方向に対して扁平状に形成されており、少なくとも該分散相3とベース相2からなる分散ユニットの集合体である。扁平状の分散相同士は、成形方向および幅方向及び厚み方向に重なりをもって分布している。この重なりがあることで、酸素ガスが透過する際に直線状に通過することができず、いわゆる迷路効果による酸素ガスバリア性の向上が見られるものである。
図2は本実施形態の1を構成する分散ユニットUを示した図である。この分散ユニットは、1つの分散相3とそれを取り囲むベース相2からなり、図3に示したように、厚み断面における左右に隣り合う分散相間の距離をD、上下に重なり合う分散相間の距離をdとした時、着目する分散相3と上下左右に重なりを持つ別の分散相とのD及びdがいずれも1/2になる位置でベース相2を分割熱可塑性樹脂成形体したものと定義する。
この時、迷路構造が有効に発現される為には、上下に重なり合う分散相間の距離dの平均値dave.と、分散ユニットUの面積Sの平均値Save.が、dave./(Save.^0.5)≦0.1となる関係にあることが望ましい。
上記関係式が成立する範囲であれば、個々の分散ユニットの面積Sはどのようなサイズでも構わないが、分散ユニットの面積Sは4~400μmであることが好ましく、より好ましくは、4~200μmである。これは、分散ユニット面積Sが4μmより小さい場合、扁平状に引き伸ばされた際に簡単にちぎれ、十分に扁平状を形成できなくなり、また、分散ユニット面積Sが400μmより大きい場合は、分散が不十分であり、分散相の個数が減ることで分散相間の距離が非常に大きくなり、有効な迷路構造を形成することが難しくなってくる為である。一方で、分散ユニットの面積Sが4~400μmの範囲であると、安定した迷路構造の形成が可能となる利点がある。
分散相の断面形状は偏平であればよく、図6のような楕円形状でも、図7のような途中がくびれた形状でも、図8のような左右非対称な形状でもよい。また、分散相3をフィルムの上方向から見た場合、その形状は図9や図10のように、成形方向と成形幅方向に層状に形成されていることが好ましい。扁平状の分散相3が層状に形成されると、分散相同士の重なりも大きくなり、より迷路効果が向上しバリア性が向上するものである。
(分散相3の重量割合)
分散相であるEVOHの配合割合は、15~50重量%の範囲が好ましい。この配合割合が15重量%未満であると、分散相の重なりが不十分になりやすくなり、その結果、バリア性も不十分となる場合がある。重量割合が50重量%を超えると、いわゆる海島構造の海と島が逆転する。すなわち、EVOHがベース相2となる場合があり、その際に成形体表面で水蒸気を吸収しやすくなる場合がある。また、EVOHが多くなりすぎると、成形体の柔軟性が損なわれ、包装材として受け入れがたい物性となる場合がある。
(相溶化剤6の重量割合)
相溶化剤であるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体の配合割合は、0.5~15重量%の範囲である事が好ましい。この重量割合が0.5重量%未満であると、相溶化剤が分散相を十分に包み込むことが困難となり、界面密着性の低下などが起こる場合がある。重量割合が15重量%を超えると、相溶化剤6が過剰となり、ベース相2中に相溶化剤6が単独で存在する場合があり、それにより成形体の物性の低下を招く場合がある。
(製造方法)
本実施形態の熱可塑性樹脂成形体3を製作する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。
成形体の作製方法としては、射出成型機や、押出成形機、ならびにフィードブロックまたはマルチマニホールドを介しTダイで製膜する方法や、インフレーション法を用いた製膜方法を用いる事が可能である。
本実施形態では、押出成形機を用いたフィルム状の成形方法を説明する。
本実施形態では、押出成形機に上述の熱可塑性樹脂を混合し押出すことで、本実施形態の熱可塑性成形体3が作製される。押出成形機にはスクリューを樹脂が通過した後に、樹脂に負荷をかけ昇圧を促すオリフィス等の圧縮機構を有する。この圧縮機構により、分散相樹脂の形状を、より幅広いバリエーションを持って制御できる。
フィルムの冷却方法に関しては、上述成形機に準じて使用する事が可能であり、例えばTダイ法では、エアーチャンバー、バキュームチャンバー、エアナイフ等の空冷方式、冷水パンへ冷却ロールをディッピングする等の水冷方式等特に制限されることはないが、賦形による表面凹凸形状を付与する場合には、シリコーンゴム、NBRゴム、またはフッ素樹脂等を加工したニップロールと、金属を切削加工した冷却ロールとを0.1MPa以上の圧力を印加した接触部に溶融樹脂を流入し、冷却する方式が特に好ましい。
本実施形態によって得られる熱可塑性樹脂成形体のフィルム形状では、単体フィルム、または他基材と積層して包装材とすることができる。単体フィルムまたは積層体として用いる場合、スタンディングパウチの他に、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いる事が可能である。また、包装袋の製袋様式は特に制限されるものではない。
上述の様に、単体フィルム及び他基材と積層するどちらの場合でも、適宜、後工程適性を向上する表面改質処理を実施する事が可能である。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上、積層使用時のラミネート適性向上のために他基材と接触する面に対して表面改質処理を行う事が可能である。表面改質処理はコロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させる事により官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質を好適に用いる事が可能である。
なお製造方法は上述した方法に限定されるものではなく、成形機により製膜した樹脂成形体を、インラインまたはオフラインの延伸処理を施しても構わない。その他、適宜必要な工程や添加剤を加えることは制限されるものではない。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではないことはいうまでもない。また、以上の実施の形態を組み合わせて用いることは、任意である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
〈実施例1〉
ベース相であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂として、(株)プライムポリマー製ホモポリプロピレン樹脂(PP)F-300SPを使用した。分散相であるEVOHとして三菱ケミカル(株)製ソアノールD2908(エチレン比29mol%)を使用した。それぞれの配合割合(重量%)を、PP:EVOH=75:25に調整、ドライブレンドし単軸押出機に投入した。スクリュー部以降に圧縮率65%の圧縮部を通過するよう流路を設定し、成形温度230℃でTダイキャスト法にて厚み100μmのフィルムを製膜した。なお、スクリュー回転数、引取速度などは適宜調整を行った。
得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、上下に重なり合う分散相間の距離dの平均値dave.は1.8μm、分散ユニット面積Sの平均値Save.は400μm、dave./(Save.^0.5)は0.09であった。
〈実施例2〉
実施例1と同様の作製方法で、PPとEVOHの配合比を68:32に変更し、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は1.1μm、Save.は400μm、dave./(Save.^0.5)は0.05であった。
〈実施例3〉
実施例1と同様の作製方法で、PPとEVOHの配合比を53:47に変更し、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は1.1μm、Save.は400μm、dave./(Save.^0.5)は0.06であった。
〈実施例4〉
実施例1と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.9μm、Save.は100μm、dave./(Save.^0.5)は0.09であった。
〈実施例5〉
実施例2と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.8μm、Save.は100μm、dave./(Save.^0.5)は0.08であった。
〈実施例6〉
実施例3と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.6μm、Save.は100μm、dave./(Save.^0.5)は0.06であった。
〈実施例7〉
実施例2と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.4μm、Save.は25μm、dave./(Save.^0.5)は0.08であった。
〈実施例8〉
実施例3と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.3μm、Save.は25μm、dave./(Save.^0.5)は0.06であった。
〈実施例9〉
実施例2と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.2μm、Save.は4μm、dave./(Save.^0.5)は0.08であった。
〈実施例10〉
実施例3と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.1μm、Save.は4μm、dave./(Save.^0.5)は0.06であった。
〈実施例11〉
実施例2において、相溶化剤であるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体として三井化学(株)製無水マレイン酸変性ポリプロピレンのアドマーQE060を使用した。PP、EVOH、アドマーそれぞれの配合割合(重量%)を、PP:EVOH:アドマー=58:32:10に調整、ドライブレンドし単軸押出機に投入した。それ以外は、スクリュー回転、成形温度を適宜調整した以外は同様の作製方法で製膜した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.5μm、Save.は100μm、dave./(Save.^0.5)は0.05であった。
〈実施例12〉
実施例2において、相溶化剤であるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体として旭化成(株)製水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)タフテックH1221を使用した。EVOH、SEBSそれぞれの配合割合(重量%)を、PP:EVOH:SEBS=58:32:10に調整、ドライブレンドし単軸押出機に投入した。それ以外は、スクリュー回転、成形温度を適宜調整した以外は同様の作製方法で製膜した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は1.1μm、Save.は400μm、dave./(Save.^0.5)は0.05であった。
〈実施例13〉
実施例2において、相溶化剤であるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体として三井・ダウポリケミカル(株)製エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)のエバフレックスEVA450を使用した。PP、EVOH、EVAそれぞれの配合割合(重量%)を、PP:EVOH:EVA=81:14:5に調整、ドライブレンドし単軸押出機に投入した。それ以外は、スクリュー回転、成形温度を適宜調整した以外は同様の作製方法で製膜した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は2.2μm、Save.は484μm、dave./(Save.^0.5)は0.1であった。
〈実施例14〉
実施例2において、相溶化剤であるオレフィンと官能基含有単量体の共重合体として旭化成(株)SEBSのタフテックM1913を使用した。PP、EVOH、SEBSそれぞれの配合割合(重量%)を、PP:EVOH:SEBS=38:52:10に調整、ドライブレンドし単軸押出機に投入した。それ以外は、スクリュー回転、成形温度を適宜調整した以外は同様の作製方法で製膜した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.1μm、Save.は4μm、dave./(Save.^0.5)は0.05であった。
〈比較例1〉
実施例1と同様の作製方法で、PPとEVOHの配合比を90:10に変更し、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.6μm、Save.は25μm、dave./(Save.^0.5)は0.13であった。
〈比較例2〉
実施例1と同様の作製方法で、PPとEVOHの配合比を45:55に変更し、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、部分的に海島構造が逆転しており、偏平形状を有するEVOHの分散相が得られなかった。
〈比較例3〉
実施例2と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は2.2μm、Save.は400μm、dave./(Save.^0.5)は0.11であった。
〈比較例4〉
実施例3と同様の作製方法で、スクリュー回転、成形温度を調整した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.6μm、Save.は25μm、dave./(Save.^0.5)は0.11であった。
〈比較例5〉
実施例1において、ベース相であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂の代わりに、宇部興産(株)製ナイロン樹脂(Ny)1022B10を使用した。それ以外は、スクリュー回転、成形温度を適宜調整した以外は同様の作製方法で製膜した。得られた製膜フィルムの断面をSEMで観察したところ、dave.は0.5μm、Save.は100μm、dave./(Save.^0.5)は0.05であった。
〈評価結果〉
酸素バリア性の評価について、良好な条件を◎、〇とした。
(分散相の分散形状測定)
分散ユニットの面積及び分散相間の距離について、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S-4800により厚み断面の状態を観察し、倍率3000倍の画像を得た。画像内の無作為に選択した各20個の分散相について、各々該分散相を含有する分散ユニットサイズ及び分散相間の距離を測定し、平均値を算出した。
(酸素バリア性評価)
酸素バリア性評価では、GTRテック株式会社製 高感度水蒸気透過度測定装置 GTR-3000を用い、30℃、ドライ環境で酸素透過度の測定を実施した。酸素透過度が5cc/m・day・atm以下であれば◎、5cc/m・day・atmより大きく20cc/m・day・atm以下であれば〇、20cc/m・day・atmより大きければ×とした。
(面状態評価)
目視で、PP単体製膜時よりもフィルム表面が滑らかであれば◎、PP単体製膜時と同程度であれば〇、PP単体製膜時よりも荒れていれば×とした。
上記各実施例及び比較例における評価結果を表1及び表2に記載する。
Figure 2022175400000002
Figure 2022175400000003
(評価結果)
表1に示したように、実施例1~14では、酸素バリア性および水蒸気バリア性ともに良好で、優れたバリア樹脂成形体として提供できることが確認された。
一方、比較例1では、dave./(Save.^0.5)が0.1を超えており、酸素バリア性が不十分となっている。
また比較例2では、EVOHの割合が多すぎて海島構造に逆転が見られ、水蒸気バリア性が不足する結果となった。
比較例3及び比較例4では、dave./(Save.^0.5)が0.1を超えており、酸素バリア性が不足する結果となった。
比較例5では、ベース相(A)がオレフィン樹脂でなくナイロン樹脂のため、水蒸気を吸収してしまい、水蒸気バリア性が悪く不十分である。
本発明は、酸素バリア性、および水蒸気バリア性を両立する熱可塑性樹脂成形体として、これを用いた包装材、包装体として利用できる。
1 樹脂成形体
2 ベース相
3 分散相
4 成形方向厚み断面
5 幅方向厚み断面
6 相溶化剤
U 分散ユニット
d 分散相間の厚み方向の距離
D 分散相間の成形方向または幅方向の距離

Claims (3)

  1. 少なくとも、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及びエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂成形体であって、
    ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるベース相中に、分散相としてEVOHを含み、
    前記分散相が、前記樹脂成形体の厚み方向に対して扁平状に形成され、成形方向および成形幅方向に重なりをもって配置されており、
    成形方向及び幅方向の任意の厚み断面における、複数の前記分散相間の厚み方向距離dの平均値dave.と、前記ベース相及び前記分散相からなる分散ユニットの面積Sの平均値Save.とが、dave./(Save.^0.5)≦0.1を満たす関係にあることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 請求項1に記載の樹脂成形体において、該樹脂成形体を形成する全樹脂量に対する、前記EVOHの配合割合が、15~50重量%であることを特徴とする樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2の少なくとも1項に記載の樹脂成形体を用いてなることを特徴とする包装材。
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