以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する用語等、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書において、「フィルム」、「シート」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「加飾シート」は、加飾フィルムまたは加飾板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
まず、図1乃至図4を参照して、加飾成形品の構成および製造方法について説明する。
加飾成形品1は、例えば、移動体の内装部品や外装部品、建材の内装材や外装材、家電筐体として用いられる。移動体とは、例えば、自動車や鉄道車両、台車、船、飛行機、ヘリコプター、ドローン、ロボットである。図1に示すように、加飾成形品1は、成形部2と加飾シート3とを備えている。
成形部2は、樹脂材料が成形された部品であり、例えば、後述するように、樹脂材料を射出成形することにより作製される。成形部2をなす樹脂材料は特に限定されない。成形部2をなす樹脂材料として、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)、ポリプロピレンが例示される。成形部2は、透明でも、不透明でもよい。成形部2は、着色されていてもよい。
加飾シート3は、成形部2の表面の少なくとも一部を覆う。図示された例では、加飾シート3は、樹脂材料で作製された基材シート4に意匠層5や表面保護層6等を積層することにより作製される。基材シート4をなす樹脂材料として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリプロピレン等が例示される。例示した材料のシートを単層又は複数で用いてもよく、例えば、アクリル樹脂とABSを積層して用いてもよい。基材シート4は、透明でも不透明でもよい。基材シート4は着色されていてもよい。加飾シート3は、透明でもよく、不透明でもよい。
意匠層5は、例えば、色彩やパターン、図形、デザイン、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄が形成された層、木、布、革、石、金属等の素材を表現する絵柄が形成された層や、内部に凹凸構造を有し奥行きのある立体感を呈する層である。意匠層5は、印刷によって形成されてもよいし、転写によって形成されてもよい。
表面保護層6は、加飾成形品1の最表面を形成する。表面保護層6は、耐擦傷性等を有する。表面保護層6は、例えば樹脂材料により作製される。表面保護層6をなす樹脂材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化樹脂が例示される。
加飾シート3の構成は上述した例に限られない。例えば、加飾シート3は、紫外線吸収層、反射防止層、光拡散層、接着層、バッカー層、遮光パターン等の機能層を備えていてもよい。
このような加飾成形品1は、例えば、次のような方法で作製される。まず、図2に示すように、成形型10を準備する。成形型10は、加飾成形品1の形状に対応した形状を有している。成形型10は、雌型11および雄型12を有している。雌型11および雄型12は、それぞれ、成形用のキャビティC(図4参照)となる空間を画定するキャビティ面13、14を有する。雌型11には、キャビティC内の空気を排出するための吸引孔15が設けられている。
次に、図3に示すように、加飾シート3を雌型11のキャビティ面13に対面して配置し、シートクランプ16等を用いて雌型11に固定する。図示された例では、シートクランプ16は平面視において枠状に形成されている。次に、ヒータ17で加飾シート3を加熱して軟化させつつ、加飾シート3と雌型11のキャビティ面13との間の空気を、吸引孔15を通じて排出する。これにより、軟化した加飾シート3が伸張して、キャビティ面13に概ね沿った形状になる。このようにして、加飾シート3は予備成形される。
次に、図4に示すように、雄型12のキャビティ面14を雌型11のキャビティ面13に対向させ、雄型12を雌型11に密着させ固定する。次に、雌型11と雄型12との間に形成されたキャビティCに、加熱されて溶融した樹脂材料Rを充填する。樹脂材料Rは、成形部2をなす樹脂材料である。キャビティCに加熱された樹脂材料Rが充填されることにより、加飾シート3は雌型11のキャビティ面13に対応した形状になる。このようにして、加飾シート3は成形される。同時に、成形部2も成形される。キャビティC内の樹脂材料Rが冷却して固化した後、成形型10を開いて成形物を取り出し、必要に応じて加飾シート3の不要部分をトリミングする。以上により、加飾成形品1が作製される。
なお、加飾成形品1の製造方法は、図2乃至図4に示す方法に限られない。例えば、加飾シート3は、成形型10に適用される前に、成形型10とは別の予備成形型を用いて予備成形されてもよい。この場合、次のような方法で加飾成形品1を作製してもよい。すなわち、加熱した加飾シート3を予備成形型(図示せず)に沿って伸張させて、成形型10の雌型11のキャビティ面13に概ね対応した形状に予備成形する。次に、予備成形された加飾シート3を、予備成形型から取り外し、図4に示すように成形型10内に配置する。次に、キャビティCに溶融した樹脂材料Rを充填する。キャビティC内の樹脂が冷却して固化した後、成形型10を開いて成形物を取り出し、必要に応じて加飾シート3の不要部分をトリミングする。このようにして、加飾成形品1が得られる。
次に、一実施の形態による画像評価システム20について説明する。この画像評価システム20は、加飾成形品1を作製するための加飾シート3の画像を評価するためのシステムである。
画像評価システム
図5Aに示すように、画像評価システム20は、第1端末30と、第1端末30から提供された複数の画像データを表示可能な第2端末50とを備えている。また、画像評価システム20は、画像データを加工する加工部60を更に備えていてもよい。このうち第1端末30は、加飾シート3の画像データを格納部40に提供するように構成されていてもよい。また、格納部40は、第1端末30から提供された複数の画像データを保存するように構成されていてもよい。さらに、第2端末50は、第1端末30および格納部40のうちの少なくとも一方に、加飾シート3の画像データを提供するように構成されていてもよい。
ここで、第1端末30および/または第2端末50が提供する加飾シート3の画像データは、加飾シート3の2次元データであってもよく、加飾シート3の2次元データに加えて微細な表面構造(例えば、凹凸構造)に関するデータを含む3次元データであってもよい。例えば、第1端末30および第2端末50の一方が、加飾シート3の2次元データを提供し、その後、他方が表面に関するデータを提供し、格納部40において2次元データと表面に関するデータとを統合することにより、格納部40に3次元データが保存されるようにしてもよい。また、第1端末30が提供する加飾シート3の画像データは、加飾シート3のサンプルをスキャナで取り込んで作成した画像データであってもよく、画像編集用のソフトウエアを用いて作成した画像データであってもよい。加飾シート3のサンプルの製造を行わず、画像編集用のソフトウエアを用いて作成された画像データを用いることにより、加飾シートの意匠開発をより迅速に行うことが可能となる。加飾シート3の画像データは、例えば、加飾成形前の加飾シートを示す画像データである。言い換えると、加飾シート3の画像データは、加飾成形による加飾シートの伸びが実質的に考慮されていない加飾シートの画像データである。
第1端末30は、画像データの解像度の高さを変えた複数種類のデータを格納部40に提供してもよい。これにより、意匠開発の段階に応じて解像度の異なるデータを画像データとして利用することができる。例えば、実際に加飾シート3を作製する際に使用する画像データよりも、解像度を低くした、加飾シート3の画像データ(説明の便宜上、「低解像度の画像データ」と呼ぶことがある)を格納部40に提供し、意匠開発の初期段階では低解像度の画像データを用いてもよい。そして、実際に加飾シート3を作製する際に必要な解像度をもつ加飾シート3の画像データ(説明の便宜上、「高解像度の画像データ」と呼ぶことがある)を格納部40に提供してもよく、意匠開発の初期段階以降では高解像度の画像データを用いてもよい。このように、意匠開発の段階に応じて画像データの解像度を変更することにより、加飾シートメーカーとその顧客との間で効率的にデジタル環境下でのコミュニケーションをすることができる。この場合、第1端末30が格納部40の提供する、低解像度の画像データの解像度は、例えば、100dpi以上300dpi以下であってもよく、一例として、約150dpiであってもよい。これにより、例えば、第2端末50において、第2端末50のユーザーが意匠を選択するために多数の画像データを表示させた場合であっても、第2端末50への負荷を低減できる。また、第2端末50のユーザーが、複数の低解像度の画像データをダウンロードしやすくなり、ユーザーの利便性が向上する。また、例えば、加飾成形品の形状に対応させるために、長さが1mを超えるような長尺フィルムに印刷するために画像を長尺サイズに構成した場合であっても、画像データの容量の増加が抑えられ各種機械への負荷を低減できる。
次に、第1端末30、格納部40、第2端末50及び加工部60について詳細に説明する。ここでは、まず、第1端末30について説明する。
(第1端末)
第1端末30は、表示部31と、通信部32と、記憶部33と、処理部34と、操作部35とを有している。表示部31は、画像データを表示するための構成である。これにより、第1端末30は、画像データを表示可能である。表示部31は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の任意のディスプレイを用いることができる。例えば、第1端末30は、加飾シートを提供する加飾シートメーカーの端末である。
通信部32は、ネットワークを介して格納部40等と第1端末30との間で情報を送受信するためのインターフェースである。記憶部33は、画像データ等のデータを記憶するための構成である。この記憶部33は、例えばROMやRAMなどのメモリーであってもよい。
処理部34は、第1端末30における必要な処理を実行するための構成である。この処理部34は、例えば、所定のプログラムに基づいて動作するCPU(Central Processing Unit)により構成されていてもよい。
ここで、処理部34は、シミュレーションにより、成形時に発生する加飾シート3の伸びを検証してもよい。加飾シート3を用いて作製される加飾成形品1は、高低差の大きい凹凸や貫通孔等を有する3次元形状をもっている。この高低差は、図2乃至4に示されるキャビティ面13の高低差と捉えることができる。このため、加飾成形品1を作製した際に、3次元形状に追従する領域では加飾シート3に伸びが生じる。加飾シート3の伸びが大きい場合、加飾シート3が破けてしまう可能性がある。また、加飾シート3が破れなかった場合であっても、加飾シート3が伸びてしまうことにより、加飾シート3の絵柄が歪んでしまう可能性がある。この結果、加飾成形品1に付与される意匠と、目的とする意匠とが異なる場合がある。このような場合、加飾成形品1の表面形状や成形型の形状の設計を試行錯誤して修正することにより、加飾成形品1に付与される意匠を意図した意匠に近づけることができる。しかしながら、満足のいく加飾成形品1が作製されるまで加飾シートや成形型を作製し直すことは、加飾成形品1の作製にかかる時間およびコストの増大に繋がる。これに対して、処理部34が、シミュレーションにより、成形時の加飾シート3の伸びを検証することにより、加飾シート3から加飾成形品1を作製できるか否かについて容易に判定することができるとともに、加飾シート3の絵柄の歪みを予め把握することができる。
この場合、第1端末30は、加飾成形品1に関する3次元CADデータに基づいて、成形時の加飾シート3の伸びを検証したシミュレーションデータを作成してもよい。シミュレーションデータの作成には、例えば、3次元CADデータに基づいて生成される金型モデルのデータ、加飾シート3の物性データを用いてもよい。金型モデルのデータを用いてシミュレーションデータを作成する場合、まず、3次元CADデータに基づいて成形に用いる金型モデルを作製する。次に、金型モデルを用いて、成形前後の加飾シート3の伸び量をシミュレーションしてシミュレーションデータを作成する。加飾シート3の伸び量に応じて加飾シート3の画像データの絵柄の成形後の位置を決定することによって、成形後の絵柄の状態をシミュレーションすることができる。そして、第1端末30は、格納部40を介して、シミュレーションデータを第2端末50に提供してもよい。なお、処理部34がシミュレーションをする際、例えば、上述した加飾成形品1の成形工法等が考慮されてもよい。加飾成形品1の成形工法によって異なる成形型が使用され得る。加飾成形品1の成形工法によって異なる加飾シート3の構成が使用され、その結果、加飾シート3の物性が変わり得る。このため、成形工法に応じた成形型や加飾シート3に基づいて、処理部34が加飾シート3の伸びをシミュレーションしてもよい。これにより、加飾シート3の伸びをより正確に検証できる。
加飾成形品1の開発において、加飾シート3の意匠開発と加飾成形品1の開発とが並行して行われることがある。具体的には、加飾成形品1の仕様(例えば、形状)が決定する前に、加飾シート3の意匠開発が始まることがある。つまり、加飾シート3の意匠開発が進行する中で、加飾成形品1の形状が変更される場合がある。このような場合、シミュレーションデータの作成に用いる3次元CADデータ(説明の便宜上、仮の3次元CADデータと呼ぶことがある)と、変更された加飾成形品1の形状を表す3次元CADデータ(説明の便宜上、修正後の3次元CADデータと呼ぶことがある)とが異なる。加飾成形品1の開発が途上の段階においては仮の3次元CADデータを用い、加飾成形品1の開発が完了した段階(例えば、加飾シート3のサンプルを評価する段階)においては仮の3次元CADデータとは異なる、修正後の3次元CADデータを用いてもよい。
なお、加飾成形品1の3次元CADデータは、格納部40を介して、第2端末50から第1端末30に提供されてもよい。あるいは、加飾シート3を提供する側のユーザーが、加飾シート3を提供される側のユーザーに対して、加飾成形品1の形状等を提案する場合、提案する加飾成形品の3次元CADデータが、第1端末30の記憶部33に予め保存されていてもよい。
操作部35は、第1端末30のユーザーにより操作される入力装置であり、第1端末30は、操作部35に入力された操作に応じた処理を、処理部34に実行させるように構成されている。
この第1端末30は、例えば、デスクトップ型のパソコン、ノート型のパソコンまたはスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末であってもよい。
(格納部)
格納部40は、通信部41と、記憶部42と、処理部43とを有している。通信部41は、ネットワークを介して第1端末30等と格納部40との間で情報を送受信するためのインターフェースである。記憶部42は、第1端末30から提供された画像データ等を記憶するための構成である。この記憶部42は、例えばROMやRAMなどのメモリーであってもよい。
記憶部42には、各々の画像データに関連付けされた様々な情報が1以上のデータテーブルに格納されていてもよい。この場合、格納部40の記憶部42には、画像データによってもたらされる意匠のコンセプトや、加飾シート3の製造条件に関するデータが格納されていてもよい。例えば、図5Bに示すように、各々の画像データの意匠(例えば絵柄や色)、加飾シートを用いて成形する方法(成形工法)、加飾シートの材料、加飾シートに関するカーボンフットプリント(CFP)等に関する情報が、データテーブルに格納されていてもよい。これにより、第2端末50を操作するユーザーが、画像データに関連付けされた情報(例えば、成形時に採用可能な成形工法)に基づいて、画像データを検索できるようになっていてもよい。なお、成形工法としては、例えば、インサート成形法、サーモジェクト成形法またはインモールド成形法が挙げられる。また、図示はしないが、加飾シート3の層構成、材料または厚み等に関する情報が、データテーブルに格納されていても良い。さらに、加飾成形品1を作製する際の加飾シート3の伸びに関する情報が、データテーブルに格納されていても良い。
製造条件に関するデータを利用した一例として、例えば、成形工法ごとに、製造可能な加飾シートの仕様、加飾シートの製造数、加飾シートの製造納期、又は製造可能な加飾成形品1の形状等に関する情報が、データテーブルに格納されていてもよい。なお、「製造可能な加飾シートの仕様」としては、例えば、加飾シート3の層構成、絵柄、色、又は光沢感(グロス感若しくはマット感)といった質感等の情報が記載されていてもよい。また、「製造可能な加飾成形品1の形状」としては、成形時に加飾シートが伸びて破れることがないような加飾成形品1の高さH(図1参照)等の情報が記載されていてもよい。
製造条件に関するデータを利用した他の例として、例えば、図5Cに示すように、各画像データの意匠及び/又は成形工法ごとに、印刷可能なCMY及びBk(黒)及び特色(例えば、特定の混色、金、銀などのメタリック、グロス、マット)の情報が、データテーブルに格納されていてもよい。なお、図5Cに示す例においては、画像データ番号1における組合せのみを図示している。このような組合せが格納されたデータテーブルを使用する場合、第2端末50のユーザーは、気に入った画像データ番号(例えば、「1番」)を選択する。そうすると、第1端末30のユーザーは、記憶部42に格納されたデータテーブルを参照する。次に、第1端末30のユーザーは、第1端末30によって、画像データ番号「1番」に使用されている色の一部を製造可能な範囲の色に調整した、複数の画像データ(説明の便宜上、色調整された画像データと呼ぶことがある)を作成する。第1端末30は、第2端末50のユーザーが選択した画像データ及び色調整された画像データを第2端末50に提供する。これにより、図5Dに示すように、第2端末50上には、製造可能な色で表現された複数の画像データが表示される。第2端末50は、製造可能な構造を有する全画像データを一覧表示できるように構成されていてもよい。なお、図5Dにおいて、画像データの色の違いを濃淡で示している。そして、第2端末50のユーザーは、表示された複数の画像データを閲覧しながら、製造可能な条件を満たした画像データを選択できる。任意であるが、第2端末50は、製造可能な色で表現された画像データを参照する過程で、インサート成形法、サーモジェクト成形法またはインモールド成形法から、所望の成形法(例えば、インサート成形法)を選択してもよい。
製造条件に関するデータを利用した他の例として、例えば、図5Eに示すように、各画像データの意匠及び/又は成形工法ごとに、表現できるパターン(例えば、細線の幅の大小、色の濃淡、精細度、パターンの種類)が、データテーブルに格納されていてもよい。なお、図5Eに示す例においては、画像データ番号1における組合せのみを図示している。この場合、第2端末50のユーザーは、特定の意匠に関する画像データ番号(例えば、「1番」)を選択する。そうすると、第1端末30のユーザーは、記憶部42に格納されたデータテーブルを参照する。次に、第1端末30のユーザーは、第1端末30によって、画像データ番号「1番」のパターンの一部を製造可能な範囲で調整した、複数の画像データ(説明の便宜上、パターン調整された画像データと呼ぶことがある)を作成する。パターン調整された画像データの例として、意匠表現に用いる線の幅が大きい画像データと、線の幅が小さい画像データとが挙げられる。パターン調整された画像データの他の例として、意匠表現に用いるパターンの色が濃い画像データと、色が薄い画像データとが挙げられる。パターン調整された画像データの更に他の例として、意匠表現に用いるパターンの精細度が細かい画像データと、精細度が粗い画像データとが挙げられる。パターン調整された画像データの更に他の例として、意匠表現に用いるパターンが異なる画像データが挙げられる。第1端末30は、第2端末50のユーザーが選択した画像データ及びパターン調整された画像データを第2端末50に提供する。これにより、図5Fに示すように、第2端末50上には、製造可能なパターンで表現された複数の画像データが表示される。第2端末50は、製造可能な構造を有する全画像データを一覧表示できるように構成されていてもよい。なお、図5Fにおいて、図面を明瞭にするために、精細度の違いについての図示を省略している。そして、第2端末50のユーザーは、表示された複数の画像データを閲覧しながら、製造可能な条件を満たしたパターンの画像データを選択できる。任意であるが、第2端末50のユーザーは、製造可能なパターンで表現された画像データを参照する過程で、インサート成形法、サーモジェクト成形法またはインモールド成形法から、所望の成形法(例えば、インサート成形法)を選択してもよい。
製造条件に関するデータを利用した他の例として、例えば、図5Gに示すように、各画像データの意匠及び/又は成形工法ごとに、所定の領域ごとに表現できるパターン(例えば、細線の幅の大小、色の濃淡、精細度、パターンの種類)が、データテーブルに格納されていてもよい。なお、図5Gに示す例においては、画像データ番号1における組合せのみを図示している。図5Gの「A部」は、任意の領域(例えば、後述する図5H及び図5IのA部)であってもよく、「その他」は、A部以外の領域であってもよい。この場合、第2端末50のユーザーは、特定の意匠に関する画像データ番号(例えば、「1番」)を選択する。そうすると、第1端末30のユーザーは、記憶部42に格納されたデータテーブルを参照する。次に、第1端末30のユーザーは、上述したように、第1端末30によって、画像データ番号「1番」のパターンの一部を製造可能な範囲で調整した、複数の画像データ(説明の便宜上、パターン調整された画像データと呼ぶことがある)を作成する。この場合、図5Hに示すように、画像データ番号「1番」の細分化「1a」のパターンでは、A部の線幅が大きい画像データが作成される。一方、図5Iに示すように、画像データ番号「1番」の細分化「1c」のパターンでは、A部の線幅が小さい画像データが作成される。そして、第1端末30は、第2端末50のユーザーが選択した画像データ及びパターン調整された画像データを第2端末50に提供する。これにより、第2端末50上には、製造可能なパターンで表現された複数の画像データが表示される。第2端末50は、製造可能な構造を有する全画像データを一覧表示できるように構成されていてもよい。そして、第2端末50のユーザーは、表示された複数の画像データを閲覧しながら、製造可能な条件を満たしたパターンの画像データを選択できる。任意であるが、第2端末50のユーザーは、製造可能なパターンで表現された画像データを参照する過程で、インサート成形法、サーモジェクト成形法またはインモールド成形法から、所望の成形法(例えば、インサート成形法)を選択してもよい。
製造条件に関するデータを利用した他の例として、例えば、図5Jに示すように、各画像データの絵柄及び/又は成形工法ごとに、製造可能な質感に関する情報が、データテーブルに格納されていてもよい。質感に関する情報としては、凹凸の大小(2次元的なサイズ)、高低、若しくは疎密、又は光沢感(グロス感若しくはマット感)等が挙げられる。この場合、第2端末50のユーザーは、画像データ番号(例えば、「1番」)を選択する。そうすると、第1端末30のユーザーは、記憶部42に格納されたデータテーブルを参照する。次に、第1端末30のユーザーは、第1端末30によって、画像データ番号「1番」の凹凸及び/又は光沢感を製造可能な範囲で調整した、複数の画像データ(説明の便宜上、質感調整された画像データと呼ぶことがある)を作成する。第1端末30は、第2端末50のユーザーが選択した画像データ及び質感調整された画像データを第2端末50に提供する。これにより、図5Kに示すように、第2端末50上には、製造可能な質感で表現された画像データが表示される。なお、第2端末50は、製造可能な構造を有する全画像データを一覧表示できるように構成されていてもよい。そして、第2端末50のユーザーは、表示された複数の画像データを閲覧しながら、製造可能な条件を満たしたパターンの画像データを選択できる。任意であるが、第2端末50のユーザーは、製造可能な質感で表現された画像データを参照する過程で、インサート成形法、サーモジェクト成形法またはインモールド成形法から、所望の成形法(例えば、インサート成形法)を選択してもよい。
なお、記憶部42に格納された各種データテーブルは、第1端末30のユーザーのみが閲覧できるように構成されていてもよい。
処理部43は、格納部40における必要な処理を実行するための構成である。この処理部43は、例えば、所定のプログラムに基づいて動作するCPUにより構成されていてもよい。
ここで、格納部40は、第2端末50からの信号に基づいて、複数の画像データから所定の画像データを選択するとともに、選択された画像データを第2端末50に送信するように構成されている。これにより、第2端末50を操作するユーザーが、第2端末50によって、所望の画像データを閲覧できるようになっている。
格納部40は、第1端末30から提供された複数の画像データを、複数のグループに分類して保存していてもよい。また、格納部40は、第1端末30から提供された複数の画像データそれぞれに、属性情報を付与して保存してもよい。この場合、格納部40は、一の画像データが複数の属性情報を有するように、属性情報を付与してもよいし、一の画像データの属性情報が他の画像データの属性情報と一部又は全部が重複して有するように、属性情報を付与してもよい。なお、属性情報には、上述のデータテーブルの説明において例示した項目が含まれていてもよい。この場合、記憶部42は、第1端末30から提供された複数の画像データを、複数のグループに分類して保存していてもよい。例えば、記憶部42は、所定の特徴毎に、複数の画像データをグループ化して保存していてもよい。一例として、記憶部42は、色や絵柄といった特徴毎又は画像データに付与された属性情報毎に、複数の画像データをグループ化して保存していてもよい。また、記憶部42は、加飾成形品1が適用される移動体のコンセプト(例えば、「スポーティー」、「ナチュラル」、「インテリジェント」または「ラグジュアリー」等)に対応するテーマ毎に、複数の画像データをグループ化して保存していてもよい。
格納部40は、第2端末50を操作するユーザーの閲覧履歴や評価履歴に関する情報を有していてもよい。
この格納部40は、クラウドサーバであってもよい。なお、格納部40は、スタンドアローン型のサーバや、ファイルサーバ等であってもよい。
(第2端末)
第2端末50は、表示部51と、通信部52と、記憶部53と、処理部54と、操作部55とを有している。表示部51は、画像データを表示するための構成である。表示部51は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の任意の表示部を用いることができる。例えば、第2端末50は、加飾シート3を提供されるユーザーの端末、又は加飾成形品1を提供されるユーザーの端末である。
第2端末50が画像データを表示する際の表示条件は、第1端末30が画像データを表示する際の表示条件に基づいて決定されていることが好ましい。ここで、表示条件とは、画像データを表示するディスプレイの精細度、色および明るさを意味する。この場合、例えば、第1端末30の表示部31が液晶ディスプレイである場合、第2端末50の表示部51は、表示部31と同一の液晶ディスプレイであってもよい。これにより、表示部51に表示される画像データの表示態様を、表示部31によって表示される画像データの表示態様に近づけることができる。このため、例えば画像データを加工する際に、加飾シート3を提供される側のユーザーが求める修正点を、加飾シート3を提供する側のユーザーに対して正確に伝えることができる。この結果、加飾シート3を提供される側のユーザーが、所望の画像データを容易に得ることができる。また、例えば、第1端末30の表示部31が液晶ディスプレイである場合、第2端末50の表示部51は、表示部31と同一規格の色域に対応できる液晶ディスプレイであってもよい。
通信部52は、ネットワークを介して格納部40等と第2端末50との間で情報を送受信するためのインターフェースである。記憶部53は、画像データ等のデータを記憶するための構成である。この記憶部53は、例えばROMやRAMなどのメモリーであってもよい。
処理部54は、第2端末50における必要な処理を実行するための構成である。この処理部54は、例えば、所定のプログラムに基づいて動作するCPU(Central Processing Unit)により構成されていてもよい。
操作部55は、第2端末50のユーザーにより操作される入力装置であり、第2端末50は、操作部55に入力された操作に応じた処理を、処理部54に実行させるようになっている。
第2端末50は、格納部40を介して、加飾シート3から作製される加飾成形品1の3次元CADデータを第1端末30に提供してもよい。この場合、上述した記憶部53に、当該3次元CADデータが保存されていてもよい。
この第2端末50は、例えば、デスクトップ型のパソコン、ノート型のパソコンまたはスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末であってもよい。
(加工部)
加工部60は、画像データに対して、所定の加工処理を施すための構成である。加工部60は、第1端末30及び/又は第2端末50からの信号に基づいて、製造条件を満たすように、画像データの絵柄、色及び質感のうち少なくとも1つを変更してもよい。例えば、加工部60は、第1端末30及び/又は第2端末50からの信号に基づいて、画像データの絵柄、色又は光沢感(グロス感若しくはマット感)等を変更できるようになっていてもよい。また、画像データが3次元データである場合、加工部60は、第1端末30及び/又は第2端末50からの信号に基づいて、加飾シート3の表面に形成された凹凸の高さ等を変更できるように構成されていてもよい。この加工部60は、例えば、所定のプログラムに基づいて動作するCPUにより構成されていてもよい。
なお、加工部60は、第1端末30と一体化していてもよい。この場合、第1端末30を操作するユーザーが、画像データを変更することができる。すなわち、加飾シート3を提供する側のユーザーが、第1端末30上で画像データを変更できる。また、加工部60は、第2端末50と一体化していてもよい。この場合、第2端末50を操作するユーザーが、画像データを変更することができる。すなわち、加飾シート3を提供される側のユーザーが、第2端末50上で画像データを変更できる。この場合、加飾シート3を提供される側のユーザーが画像データを変更できるため、加飾シート3を提供される側のユーザーが、所望の画像データを容易に得ることができる。あるいは、加飾シート3を提供する側のユーザーおよび加飾シート3を提供される側のユーザーが、それぞれ加工部60にアクセス可能になっていてもよい。
上述した第1端末30、格納部40、第2端末50および加工部60は、インターネット等のネットワークを介して、互いに通信可能に接続されている。なお、ネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
画像評価方法
次に、本実施の形態による作用について説明する。ここでは、まず、加飾シート3から加飾成形品1を作製する前に、加飾シート3の画像を評価する画像評価方法について、図6により説明する。
まず、格納部40が、加飾シート3の画像データを第1端末30から取得する(図6の符号S1)。この際、第1端末30の記憶部33に保存された画像データが、格納部40に提供される(図6の符号S11)。そして、当該画像データが、格納部40の記憶部42に保存される。このとき、格納部40の記憶部42は、第1端末30から提供された複数の画像データを、所定の特徴毎にグループ化して保存していてもよい。また、格納部40には、各々の画像データに関連付けされた様々な情報が1以上のデータテーブルに格納されてもよい(図5B等参照)。この場合、格納部40の記憶部42には、加飾シート3の製造条件に関するデータが格納されてもよい。
次に、格納部40が、第2端末50からの信号に基づいて、画像データを第2端末50に提供する(図6の符号S2)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、所望の条件を入力する。例えば、第2端末50を操作するユーザーが、例えば、「スポーティー」といったコンセプトに対応する画像データを第2端末50に表示させたい場合、第2端末50の操作部55を操作することにより、当該条件を入力する。これにより、第2端末50から信号が送信され、格納部40の処理部43が、当該コンセプトに対応する画像データを第2端末50に送信する。なお、この際、複数の画像データが、第2端末50に送信されてもよい。このようにして、第2端末50が、格納部40から画像データを取得する(図6の符号S21)。第2端末50を操作するユーザーが、画像データの絵柄、色、コンセプト、対応工法、材料、又はカーボンフットプリント(CFP)等に関する条件を入力することにより、画像データを検索してもよい。また、格納部40に格納された加飾シート3の製造条件等に関するデータテーブルが参照されることにより、第2端末50のユーザーは、画像データを取得してもよい。この場合、第2端末50のユーザーは、特定の意匠に関する画像データ番号(例えば、図5Bに示す「1番」等)を選択する。そうすると、第1端末30のユーザーは、記憶部42に格納されたデータテーブルを参照する。次に、第1端末30のユーザーは、第1端末30によって、画像データ番号「1番」の色等を製造可能な範囲で調整した、複数の画像データを作成する。そして、第1端末30は、第2端末50のユーザーが選択した画像データ及び色調整された画像データ等を第2端末50に提供する。このようにして、第2端末50上に、製造可能なパターンで表現された複数の画像データが表示されてもよい。このように、第2端末50のユーザーは、コンセプトに合う画像データを選択し、その後、派生した絵柄をもつ画像データ、色が変更された画像データ、質感が調整された画像データを閲覧する。これにより、第2端末50のユーザーの作業効率を高めることができる。デジタル環境下では画像データの絵柄、色、質感等が自由に変更できてしまう一方で、実際には印刷によって再現できない画像データが作成されてしまうことがある。これに対して、製造条件に関する情報を利用して製造可能な条件を満たす、絵柄、色および質感をもつ画像データを提供することにより、画像データを提供する者と画像データを評価する者との間で行われる意匠開発をより迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
第2端末50が、格納部40から画像データを取得する工程(図6の符号S21)の前後で、画像データの解像度を変更してもよい。例えば、第2端末50に提供する画像データの解像度が、第2端末50に提供する後述する第1加工データの解像度よりも低くてもよい。言い換えれば、第2端末50が格納部40から画像データを取得する前、つまり、第2端末50のユーザーが多数の絵柄の中から特定の絵柄を選択する段階では、上述のように低解像度の画像データを用いてもよい。第2端末50が格納部40から画像データを取得した後、つまり、第2端末50のユーザーが特定の絵柄を評価する段階では、上述のように高解像度の画像データを用いてもよい。さらに、製造条件に関する情報を利用して製造可能な条件を満たす、絵柄、色および質感をもつ画像データを提供する場合にも、高解像度の画像データを用いてもよい。このように、意匠開発の段階に応じて画像データの解像度を変更することにより、加飾シートメーカーとその顧客との間で効率的にデジタル環境下でのコミュニケーションをすることができる。
次いで、格納部40が、画像データの評価結果を第2端末50から取得する(図6の符号S3)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、第2端末50に提供された画像データを閲覧するとともに、当該画像データを評価する。そして、画像データを閲覧したユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、画像データの評価結果を入力する(図6の符号S22)。
第2端末50を操作するユーザーは、画像データを閲覧した際に、当該画像データの絵柄が満足のいく絵柄であるか否かを判定してもよい。画像データの絵柄が満足のいく絵柄である場合、画像データを閲覧したユーザーは、第2端末50の操作部55を操作することにより、評価結果として、画像データの絵柄が満足のいく絵柄である旨を入力してもよい。
一方、画像データの絵柄が満足のいく絵柄でない場合、画像データを閲覧したユーザーは、第2端末50の操作部55を操作することにより、評価結果として、例えば、画像データの絵柄の色や形状等の変更を希望する旨を入力してもよい。なお、評価された画像データが、加飾シート3の絵柄だけでなく表面の凹凸に関する情報をもつ3次元データである場合、凹凸の高さ等の変更を希望する旨を入力してもよい。このようにして、第2端末50から信号が送信され、格納部40に評価結果が送信される。そして、格納部40が、第2端末50から評価結果を取得する(図6の符号S3)。
次に、格納部40から第1端末30に評価結果が送信され(図6の符号S4)、第1端末30が、評価結果を取得する(図6の符号S12)。
ここで、画像データの評価結果に基づいて、加工部60によって画像データを加工することにより、第1加工データを作成してもよい。すなわち、第2端末50を操作するユーザーの判定が、画像データの絵柄が満足のいく絵柄でないといった判定であった場合(図6のS13のNO)、加工部60によって画像データを加工することにより、第1加工データを作成してもよい(図6の符号S31)。この場合、例えば第1端末30を操作するユーザーが加工部60を操作することにより、画像データの絵柄の色や形状を加工してもよい。このとき、加工部60は、第2端末からの信号に基づいて、加飾シート3の製造条件を満たすように、画像データの絵柄、色及び質感のうち少なくとも1つを変更してもよい。なお、上述した画像データの絵柄が満足のいく絵柄であった場合(図6のS13のYES)、当該画像データをもつ加飾シート3を、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3として仮決定してもよい。
加工部60によって第1加工データを作成した場合、格納部40が、作成された第1加工データを加工部60から取得する(図6の符号S5)。この際、加工部60が作成した第1加工データが、格納部40に提供される(図6の符号S32)。そして、当該第1加工データが、格納部40の記憶部42に保存される。
次に、格納部40が、第1加工データを第2端末50に提供する(図6の符号S6)。この際、格納部40の処理部43が、第1加工データを第2端末50に送信する。このようにして、第2端末50が、格納部40から第1加工データを取得する(図6の符号S23)。
次いで、格納部40が、第1加工データの評価結果を第2端末50から取得する(図6の符号S7)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、画像データを評価した場合と同様に、第2端末50に提供された第1加工データを閲覧するとともに、当該第1加工データを評価する。そして、第1加工データを閲覧したユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、第1加工データの評価結果を入力する(図6の符号S24)。そして、格納部40が、第2端末50から評価結果を取得する(図6の符号S7)。
次に、格納部40から第1端末30に評価結果が送信され(図6の符号S8)、画像データの評価結果を取得した場合と同様に、第1端末30が、評価結果を取得する(図6の符号S12)。
その後、第2端末50を操作するユーザーの判定が、第1加工データの絵柄が満足のいく絵柄であるといった判定になるまで、上述した図6の符号S13、S31、S32、S5、S6、S23、S24、S7、S8、S12に示す工程が繰り返される。なお、第2端末50を操作するユーザーの判定が、第1加工データの絵柄が満足のいく絵柄であるといった判定にならない場合には、上述した図6の符号S2からの工程を繰り返し、新たな画像データの絵柄を評価してもよい。
そして、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3が仮決定される。
次に、加飾シート3の画像を、加飾成形品1の状態で評価する画像評価方法について、図7により説明する。
この際、まず、図6に示す方法により、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3を決定する。
また、格納部40が、加飾シート3を用いて作製される加飾成形品1に関する3次元CADデータを第2端末50から取得する(図7の符号S51)。この際、第2端末50の記憶部53に保存された3次元CADデータが、格納部40に送信される(図7の符号S71)。そして、当該3次元CADデータが、格納部40の記憶部42に保存される。第2端末50から取得する3次元CADデータは、仮の3次元CADデータであってもよいし、修正後の3次元CADデータであってもよい。なお、3次元CADデータが仮の3次元CADデータである場合、後の工程の中(例えば、図7の符号S65以降)で第2端末50から改めて修正後の3次元CADデータを取得してもよい。これにより、加飾シート3の意匠開発と加飾成形品1の開発とを並行して行うことができる。
次に、格納部40が、3次元CADデータを第1端末30に提供する(図7の符号S52)。この際、格納部40の処理部43が、3次元CADデータを第1端末30に送信する。このようにして、第1端末30が、格納部40から3次元CADデータを取得する(図7の符号S61)。
次いで、第1端末30によって、3次元CADデータに基づいて成形時の加飾シート3の伸びを検証したシミュレーションデータを作成する(図7の符号S62)。この際、まず、3次元CADデータに基づいて成形型10を決定し、決定された成形型10の3次元形状を表す成形型データを生成する。次に、成形型データに基づいて、加飾シート3を成形した場合におけるシミュレーションデータを作成する。そして、作成されたシミュレーションデータは、第1端末30の記憶部33に保存される。なお、加飾シート3を提供する側のユーザーが、加飾シート3を提供される側のユーザーに対して、加飾成形品1の形状等を提案する場合もある。この場合、上述した図7の符号S71、S51、S52、S61に示す工程が行われることなく、第1端末30が、記憶部33に予め保存された3次元CADデータに基づいて、加飾シート3の伸びを検証したシミュレーションデータを作成してもよい。
次に、格納部40が、作成されたシミュレーションデータを第1端末30から取得する(図7の符号S53)。この際、第1端末30の記憶部33に保存されたシミュレーションデータが、格納部40に提供される(図7の符号S63)。そして、当該シミュレーションデータが、格納部40の記憶部42に保存される。
次いで、格納部40が、シミュレーションデータを第2端末50に提供する(図7の符号S54)。この際、格納部40の処理部43が、シミュレーションデータを第2端末50に送信する。このようにして、第2端末50が、格納部40からシミュレーションデータを取得する(図7の符号S72)。
次に、格納部40が、シミュレーションデータの評価結果を第2端末50から取得する(図7の符号S55)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、第2端末50に提供されたシミュレーションデータを閲覧するとともに、当該シミュレーションデータを評価する。そして、シミュレーションデータを閲覧したユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、シミュレーションデータの評価結果を入力する(図7の符号S73)。
第2端末50を操作するユーザーは、シミュレーションデータを閲覧した際に、当該シミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄であるか否かを判定してもよい。シミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄である場合、シミュレーションデータを閲覧したユーザーは、第2端末50の操作部55を操作することにより、評価結果として、シミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄である旨を入力してもよい。
一方、シミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄でない場合、シミュレーションデータを閲覧したユーザーは、第2端末50の操作部55を操作することにより、評価結果として、例えば、シミュレーションデータの絵柄の色や形状等の変更を希望する旨を入力してもよい。なお、上述した画像データが、加飾シート3の絵柄だけでなく表面の凹凸に関する情報をもつ3次元データである場合、シミュレーションデータを評価する際に、評価結果として、凹凸の高さ等の変更を希望する旨を入力してもよい。このようにして、第2端末50から信号が送信され、格納部40に評価結果が送信される。そして、格納部40が、第2端末50から評価結果を取得する(図7の符号S55)。
次に、格納部40から第1端末30に評価結果が送信され(図7の符号S56)、第1端末30が、評価結果を取得する(図7の符号S64)。
ここで、シミュレーションデータの評価結果に基づいて、加工部60によって画像データを加工することにより、第2加工データを作成してもよい。すなわち、第2端末50を操作するユーザーの判定が、シミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄でないといった判定であった場合(図7のS65のNO)、加工部60によって画像データを加工することにより、第2加工データを作成してもよい(図7の符号S81)。この場合、例えば第1端末30を操作するユーザーが加工部60を操作することにより、画像データの絵柄の色や形状を加工してもよい。加工された絵柄の決定において、シミュレーションデータが利用され得る。これにより、再びシミュレーションデータを作成することを省くことができ、意匠開発を迅速に行うことができる。なお、上述したシミュレーションデータの絵柄が満足のいく絵柄であった場合(図7のS65のYES)、当該画像データをもつ加飾シート3を、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3として最終決定してもよい。
加工部60によって第2加工データを作成した場合、格納部40が、作成された第2加工データを加工部60から取得する(図7の符号S57)。この際、加工部60が作成した第2加工データが、格納部40に提供される(図7の符号S82)。そして、当該第2加工データが、格納部40の記憶部42に保存される。
次に、格納部40が、第2加工データを第2端末50に提供する(図7の符号S58)。この際、格納部40の処理部43が、第2加工データを第2端末50に送信する。このようにして、第2端末50が、格納部40から第2加工データを取得する(図7の符号S74)。
次いで、格納部40が、第2加工データの評価結果を第2端末50から取得する(図7の符号S59)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、シミュレーションデータを評価した場合と同様に、第2端末50に提供された第2加工データを閲覧するとともに、当該第2加工データを評価する。そして、第2加工データを閲覧したユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、第2加工データの評価結果を入力する(図7の符号S75)。そして、格納部40が、第2端末50から評価結果を取得する(図7の符号S59)。
次に、格納部40から第1端末30に評価結果が送信され(図7の符号S60)、シミュレーションデータの評価結果を取得した場合と同様に、第1端末30が、評価結果を取得する(図7の符号S64)。
その後、第2端末50を操作するユーザーの判定が、第2加工データの絵柄が満足のいく絵柄であるといった判定になるまで、上述した図7の符号S65、S81、S82、S57、S58、S74、S75、S59、S60、S64に示す工程が繰り返される。
そして、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3が最終決定される。
ところで、使用する加飾シート3が最終決定された場合、例えば、グラビア印刷によって、加飾シート3が量産される。この際、グラビア印刷に使用するシリンダーを作製する必要がある。一方、加飾シート3を量産した後に、加飾シート3の意匠が意図した意匠とは異なっていたことが判明する場合もある。このため、使用する加飾シート3が最終決定された場合であっても、加飾シート3を量産する前に、当該加飾シート3のサンプルを作製することが好ましい。この場合、加飾シート3のサンプルおよび加飾シート3は、以下のようにして製造することができる。
加飾シートのサンプルおよび加飾シートの製造方法
まず、図6および図7に示す画像評価方法によって、画像データを評価する(図8の符号S91)。
次に、評価された画像データから、サンプル用印刷データを作成する(図8の符号S92)。すなわち、最終決定された加飾シート3の画像データをサンプル用印刷データとする。
次いで、サンプル用印刷データに基づいて、加飾シート3のサンプルを作製する(図8の符号S93)。このようにして、加飾シート3のサンプルを得ることができる。なお、評価された画像データが、加飾シート3の絵柄だけでなく表面の凹凸に関する情報をもつ3次元データである場合、当該3次元データに基づいて加飾シート3の表面に凹凸構造を付与してもよい。例えば、3次元プリンタや2.5次元プリンタを用いて加飾シート3の表面に凹凸構造を再現することができる。
ここで、加飾シート3のサンプルの絵柄は、インクジェット方式または熱溶融型熱転写方式による印刷法により印刷されてもよい。なかでも、加飾シート3のサンプルの絵柄は、溶融型熱転写方式によって印刷されることが好ましい。上述したように、加飾シート3は、例えばグラビア印刷によって量産される。ここで、加飾シート3のサンプルの絵柄をインクジェット方式によって印刷する場合、ノズルの目詰まりを防止するために、グラビア印刷によって加飾シート3を量産する場合に使用するインキと同一のインキを用いることができない可能性がある。一方、加飾シート3のサンプルの絵柄を溶融型熱転写方式によって印刷する場合、グラビア印刷によって加飾シート3を量産する場合に使用するインキと同一のインキを用いることができる。また、加飾シート3のサンプルの絵柄を溶融型熱転写方式によって印刷する場合、シリンダーを作製することなく、加飾シート3のサンプルを作製することもできる。このため、加飾シート3のサンプルの意匠を、量産される加飾シート3の意匠に限りなく近づけることができるとともに、サンプルの製造コストを低減できる。
次に、作製されたサンプルを評価する(図8の符号S94)。この際、例えば、加飾シート3を提供される側のユーザーが、サンプルを実際に視認することにより、サンプルの絵柄を評価してもよい。なお、加飾シート3を提供される側のユーザーは、第2端末50に表示されたサンプルの絵柄を評価してもよい。サンプルの絵柄が満足のいく絵柄でない場合、最終決定された加飾シート3の画像データを更に加工することにより、サンプル用印刷データを修正することができる。このように、サンプルを作製した時点でサンプル用印刷データを修正することにより、グラビア印刷用のシリンダーを作製することなく、印刷用のデータに修正を加えることができる。このため、サンプルを作製した時点でサンプル用印刷データを修正することにより、加飾シート3を量産した後に印刷用のデータに修正を加える場合と比較して、加飾シート3の製造コストを低減できる。
一方、サンプルの絵柄が満足のいく絵柄であった場合、評価されたサンプルのサンプル用印刷データから、加飾シート用印刷データを作成する(図8の符号S95)。すなわち、サンプル用印刷データを加飾シート用印刷データとする。
サンプルを評価する工程では、実際にサンプルを用いて評価用の加飾成形品を作製してもよい。評価用の加飾成形品は、射出成形装置や3Dプリンタを用いて成形部2を作成し、当該成形部2の表面にサンプルを適用することによって作製できる。サンプルは、例えば、成形部2の表面に貼り付けられてもよい。評価用の加飾成形品を用いることで、サンプルの意匠を3次元形状に適用された状態として確認することができる。3Dプリンタを用いて成形部2を作製することにより、より簡便にサンプルの評価を行うことができる。さらに、加飾シート3の意匠決定時の3次元CADデータと、加飾シート3のサンプルを用いて加飾成形品を成形する際の3次元CADデータが異なっていてもよい。具体的には、加飾シート3の意匠決定時の3次元CADデータが、仮の3次元CADデータであって、試作品の形状を表す3次元CADデータであってもよい。一方、加飾シート3のサンプルを用いて加飾成形品を成形する際の3次元CADデータが、修正後の3次元CADデータであって、量産品の形状を表す3次元CADデータであってもよい。これにより、加飾シート3の意匠開発と、加飾成形品1の意匠開発とが並行して進行する場合、加飾成形品1の意匠開発の期間を短縮できる。
次に、加飾シート用印刷データに基づいて、加飾シート3を作製する(図8の符号S96)。この際、例えば、まず、加飾シート用印刷データに基づいて、グラビア印刷用のシリンダーを作製する。そして、当該シリンダーを用いて、加飾シート3を量産する。なお、例えば、加飾シート3の生産数が少ない場合等には、グラビア印刷用のシリンダーを作製することなく、サンプルの絵柄を印刷した場合と同様に、溶融型熱転写方式によって加飾シート3の絵柄を印刷してもよい。この場合、加飾シート3の製造コストを更に低減できる。
ここで、加飾シート3の絵柄は、メタリック顔料又はパール顔料を含むインキを用いて印刷されても良い。例えば、加飾シート3の絵柄は、サンプルを作製した際に使用したインキを用いて印刷されることが好ましい。これにより、加飾シート3の意匠を、サンプルの意匠に限りなく近づけることができる。このため、加飾シート3の意匠が、意図した意匠から異なってしまうことを抑制できる。なお、評価された画像データが、加飾シート3の絵柄だけでなく表面の凹凸構造に関する情報をもつ3次元データである場合、当該3次元データに基づいて加飾シート3の表面に凹凸構造を付与してもよい。例えば、3次元プリンタや2.5次元プリンタを用いて加飾シート3の表面に凹凸構造を再現することができる。
このようにして、加飾シート3が量産される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像評価システム20が、加飾シート3の画像データを格納部40に提供する第1端末30と、第1端末30から提供された複数の画像データを表示可能な第2端末50とを備えている。また、格納部40が、第2端末50からの信号に基づいて、複数の画像データから所定の画像データを選択するとともに、選択された画像データを第2端末50に送信する。これにより、加飾成形品1を実際に作製する前に、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾シート3の意匠を評価することができる。とりわけ、格納部40が、第2端末50からの信号に基づいて、複数の画像データから所定の画像データを選択するとともに、選択された画像データを第2端末50に送信する。このため、加飾シート3を提供される側のユーザーが求める意匠コンセプトに基づいて、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾シート3の意匠を評価することができる。さらに、加飾シート3を提供される側のユーザーが、第2端末50に表示された加飾シート3の意匠を評価する。これにより、加飾シート3を提供する側のユーザーと加飾シート3を提供される側のユーザーとが対面することなく、加飾シート3を提供される側のユーザーが加飾シート3の意匠を評価できる。この結果、意匠開発の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、格納部40が、第1端末30から提供された複数の画像データを、複数のグループに分類して保存する。これにより、格納部40が、加飾シート3を提供される側のユーザーが求める意匠を容易に選択することができる。このため、加飾シート3を提供される側のユーザーが、求める意匠を容易に評価することができる。この結果、意匠開発をより効率的に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、第2端末50が画像データを表示する際の表示条件が、第1端末30が画像データを表示する際の表示条件に基づいて決定されている。これにより、第2端末50の表示部51に表示される画像データの表示態様を、第1端末30の表示部31によって表示される画像データの表示態様に近づけることができる。このため、例えば画像データを加工する際に、加飾シート3を提供される側のユーザーが求める修正点を、加飾シート3を提供する側のユーザーに対して正確に伝えることができる。この結果、加飾シート3を提供される側のユーザーが、所望の画像データを容易に得ることができる。
また、本実施の形態によれば、画像評価システム20が、画像データを加工する加工部60を更に備えている。これにより、例えば画像データを修正する際に、容易に修正することができる。
また、本実施の形態によれば、格納部40に、加飾シート3の製造条件に関するデータが格納されており、加工部60が、第2端末50からの信号に基づいて、製造条件を満たすように、画像データの絵柄、色及び質感のうち少なくとも1つを変更する。これにより、加飾シート3を提供する側のユーザーが、加飾シート3を提供される側のユーザーに対して、実際に製造できる加飾シート3の画像データを提供できる。このため、意匠開発の更なる効率化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、第2端末50が、格納部40を介して、加飾シート3を用いて作製される加飾成形品1に関する3次元CADデータを第1端末30に提供する。また、第1端末30が、3次元CADデータに基づいて成形時の加飾シート3の伸びを検証したシミュレーションデータを作成する。さらに、第1端末30が、格納部40を介して、シミュレーションデータを第2端末50に提供する。これにより、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾成形品1を作製する際の加飾シート3の伸びを、加飾成形品1を実際に作製する前に評価することができる。このため、実際に作製される加飾成形品1に意図した意匠と異なる意匠が付与される虞を抑制しつつ、加飾成形品1の作製にかかる時間及びコストを低減させることができる。
また、本実施の形態によれば、画像評価方法が、加飾シート3の画像データを第1端末30から取得する工程と、第2端末50からの信号に基づいて、画像データを第2端末50に提供する工程と、画像データの評価結果を第2端末50から取得する工程とを備えている。この場合においても、加飾成形品1を実際に作製する前に、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾シート3の意匠を評価することができる。とりわけ、加飾シート3を提供される側のユーザーが求める意匠コンセプトに基づいて、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾シート3の意匠を評価することができる。この結果、意匠開発の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、画像評価方法が、画像データの評価結果に基づいて、加工部60によって画像データを加工することにより、第1加工データを作成する工程と、作成された第1加工データを加工部60から取得する工程と、第1加工データを第2端末50に提供する工程と、第1加工データの評価結果を第2端末50から取得する工程とを更に備えている。これにより、画像データを提供する工程から、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3の仮決定までの工程をスムーズに行うことができる。このため、意匠開発の更なる効率化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、画像評価方法が、加飾シート3を用いて作製される加飾成形品1に関する3次元CADデータを第2端末50から取得する工程と、3次元CADデータを第1端末30に提供する工程と、第1端末30によって、3次元CADデータに基づいて成形時の加飾シート3の伸びを検証したシミュレーションデータを作成する工程と、作成されたシミュレーションデータを第1端末30から取得する工程と、シミュレーションデータを第2端末50に提供する工程と、シミュレーションデータの評価結果を第2端末50から取得する工程とを更に備えている。これにより、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾成形品1を作製する際の加飾シート3の伸びを、加飾成形品1を実際に作製する前に評価することができる。このため、実際に作製される加飾成形品1に意図した意匠と異なる意匠が付与される虞を抑制しつつ、加飾成形品1の作製にかかる時間及びコストを低減させることができる。
また、本実施の形態によれば、画像評価方法が、シミュレーションデータの評価結果に基づいて、加工部60によって画像データを加工することにより、第2加工データを作成する工程と、作成された第2加工データを加工部60から取得する工程と、第2加工データを第2端末50に提供する工程と、第2加工データの評価結果を第2端末50から取得する工程とを更に備えている。これにより、シミュレーションデータを提供する工程から、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3の最終決定までの工程をスムーズに行うことができる。このため、意匠開発の更なる効率化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、加飾シートのサンプルの製造方法が、本実施の形態による画像評価方法によって、画像データを評価する工程と、評価された画像データから、サンプル用印刷データを作成する工程と、サンプル用印刷データに基づいて、加飾シート3のサンプルを作製する工程とを備えている。加飾シート3のサンプルは、インクジェット方式または熱溶融型熱転写方式による印刷法により、作製されてもよい。インクジェット方式または熱溶融型熱転写方式による印刷法でサンプルを作製する利点は、グラビア印刷のようにシリンダーの条件(シリンダー円周または幅)による制限がなく、例えば、グラビア印刷のシリンダー円周よりも長い長尺のサンプルを作製できることである。本実施の形態においては、加飾シート3のサンプルを作製する工程において、サンプルの絵柄が、溶融型熱転写方式によって印刷されている。このように、加飾シート3のサンプルの絵柄を溶融型熱転写方式によって印刷する場合、グラビア印刷によって加飾シート3を量産する場合に使用するインキと同一のインキを用いることができる。例えば、自動車用内装部品で用いられる、金、銀等のメタリック系顔料、又はパール系顔料等の光輝性顔料を含む特色インキと同様のインキを、熱溶融型熱転写方式の印刷装置で用いることができる。また、加飾シート3のサンプルの絵柄を溶融型熱転写方式によって印刷する場合、シリンダーを作製することなく、加飾シート3のサンプルを作製することもできる。このため、加飾シート3のサンプルの意匠を、量産される加飾シート3の意匠に限りなく近づけることができるとともに、サンプルの製造コストを低減できる。
また、本実施の形態によれば、加飾シートの製造方法が、本実施の形態による加飾シートのサンプルの製造方法によって、加飾シート3のサンプルを作製する工程と、作製されたサンプルを評価する工程と、評価されたサンプルのサンプル用印刷データから、加飾シート用印刷データを作成する工程と、加飾シート用印刷データに基づいて、加飾シート3を作製する工程とを備えている。これにより、加飾シート3の意匠が、意図した意匠から異なってしまうことを抑制できる。
さらに、本実施の形態によれば、加飾シート3を作製する工程において、加飾シート3の絵柄は、メタリック顔料又はパール顔料を含むインキを用いて印刷されている。これにより、加飾シート3の意匠を、サンプルの意匠に限りなく近づけることができる。このため、加飾シート3の意匠が、意図した意匠から異なってしまうことをより効果的に抑制できる。
なお、上述した本実施の形態において、加飾シート3のサンプルを作製する例について説明したが、これに限られない。例えば、加飾シート3のサンプルを作製することなく、評価された画像データから、加飾シート用印刷データを作成してもよい。すなわち、最終決定された加飾シート3の画像データを加飾シート用印刷データとしてもよい。
また、上述した本実施の形態において、画像評価方法が、加飾シート3の画像データを第1端末30から取得する工程と、第2端末50からの信号に基づいて、画像データを第2端末50に提供する工程と、画像データの評価結果を第2端末50から取得する工程とを備える例について説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3を仮決定する際に、まず、加飾シート3の画像データを第2端末50から取得してもよい。
この場合、まず、格納部40が、加飾シート3の画像データを第2端末50から取得する(図9の符号S101)。この際、第2端末50の記憶部53に保存された画像データが、格納部40に提供される(図9の符号S121)。そして、当該画像データが、格納部40の記憶部42に保存される。
次に、格納部40が、画像データを第1端末30に提供する(図9の符号S102)。この際、格納部40の処理部43が、画像データを第1端末30に送信する。このようにして、第1端末30が、格納部40から画像データを取得する(図9の符号S111)。なお、図示はしないが、第2端末50は、画像データを第1端末30に直接送信してもよい。
次いで、加工部60によって画像データを加工することにより、第1加工データを作成する(図9の符号S131)。この場合、例えば第1端末30を操作するユーザーが加工部60を操作することにより、画像データの絵柄の色や形状を加工してもよい。
次に、格納部40が、作成された第1加工データを加工部60から取得する(図9の符号S103)。この際、加工部60が作成した第1加工データが、格納部40に提供される(図9の符号S132)。そして、当該第1加工データが、格納部40の記憶部42に保存される。
次に、格納部40が、第1加工データを第2端末50に提供する(図9の符号S104)。この際、格納部40の処理部43が、第1加工データを第2端末50に送信する。このようにして、第2端末50が、格納部40から第1加工データを取得する(図9の符号S122)。
次いで、格納部40が、第1加工データの評価結果を第2端末50から取得する(図9の符号S105)。この際、まず、第2端末50を操作するユーザーが、第2端末50に提供された第1加工データを閲覧するとともに、当該第1加工データを評価する。そして、第1加工データを閲覧したユーザーが、第2端末50の操作部55を操作することにより、第1加工データの評価結果を入力する(図9の符号S123)。そして、格納部40が、第2端末50から評価結果を取得する(図9の符号S105)。
次に、格納部40から第1端末30に評価結果が送信され(図9の符号S106)、第1端末30が、評価結果を取得する(図9の符号S112)。
そして、第1加工データの絵柄が満足のいく絵柄であった場合(図9のS113のYES)、当該第1加工データをもつ加飾シート3を、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3として仮決定してもよい。
一方、第2端末50を操作するユーザーの判定が、第1加工データの絵柄が満足のいく絵柄でないといった判定であった場合(図9のS113のNO)、第2端末50を操作するユーザーの判定が、第1加工データの絵柄が満足のいく絵柄であるといった判定になるまで、上述した図9の符号S131、S132、S103、S104、S122、S123、S105、S106、S112に示す工程が繰り返される。
そして、加飾成形品1を作製する際に使用する加飾シート3が仮決定される。
本変形例においても、加飾成形品1を実際に作製する前に、加飾シート3を提供される側のユーザーが、加飾シート3の意匠を評価することができ、意匠開発の効率化を図ることができる。
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
本実施の形態に係る画像評価システムは、自動車用の内装部品または外装部品に適用される加飾シートに関する画像を、加飾シート提供者と顧客との間で評価するための画像評価システムであって、自動車用の内装部品または外装部品に適用される加飾シートに関する画像データを保存する格納部と、格納部に画像データを提供可能、かつ、格納部に保存された画像データを表示可能な第1端末、および格納部に保存された画像データを表示可能な第2端末とを備えていてもよい。さらに第1端末および/または第2端末の求めに応じて画像データを加工する加工部を備えていてもよい。
本実施の形態に係る自動車用の内装部品または外装部品に適用される加飾シートの意匠決定方法は、顧客に加飾シートに関する画像データを提供する工程と、顧客から前記画像データの評価結果を受け取る工程と、前記画像データの評価結果に基づいて前記画像データの色、絵柄、及び質感の少なくとも1つを変更した加工データを作成し、顧客に加工データを提供する工程と、顧客から前記加工データの評価結果を受け取る工程と、前記画像データ及び前記加工データの少なくとも1つに対して成形時の前記加飾シートの伸びを検証したシミュレーションデータを作成し、顧客にシミュレーションデータを提供する工程と、顧客から前記シミュレーションデータの評価結果を受け取る工程と、を備えていてもよい。