JP2022170901A - 分析装置 - Google Patents

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Kenichiro Hirose
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Abstract

【課題】分析対象物の表面状態をユーザに把握させることで、成分分析におけるユーザビリティを向上させる。【解決手段】分析観察装置Aは、1次電磁波を出射する電磁波出射部71と、2次電磁波を収集する反射型対物レンズ74と、2次電磁波を受光して強度分布スペクトルを生成する第1検出器77Aと、強度分布スペクトルに基づいてサンプルSPの成分分析を行う制御部21と、を備える。分析観察装置Aは、サンプルSPの斜め側方から照明光を照射する側射照明84と、反射光を収集してその受光量を検出する第1カメラ81と、2次電磁波を第1検出器77Aへ導く一方、反射光を第1カメラ81へ導くように光路を分光する分光素子75と、をさらに備え、制御部21は、強度分布スペクトルに基づいてサンプルSPの成分分析を行うとともに、第1カメラ81により検出された反射光の受光量に基づいてサンプルの画像データを生成する。【選択図】図8A

Description

ここに開示する技術は、分析装置に関する。
例えば特許文献1には、サンプルの成分分析を行うための分析装置(分光装置)が開示されている。具体的に、特許文献1に開示されている分光装置は、レーザ誘起ブレークダウン分光法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)を用いた成分分析を行うべく、1次電磁波(紫外レーザ光)を集光するための集光レンズと、1次電磁波に対応してサンプル表面で発生した2次電磁波(プラズマ)を収集するための収集ヘッドと、を備えている。前記特許文献1によれば、2次電磁波の信号からサンプルのスペクトルのピークを測定することで、測定されたピークに基づいたサンプルの化学分析を実行することができる。
特開2020-113569号公報
ところで、成分分析におけるユーザビリティを高めるためには、分析対象物の表面に形成された凹凸等、その表面状態をユーザに把握させる必要がある。前記特許文献1に係る構成は、そうしたニーズに応えることができないため、ユーザビリティを向上させる上で不都合である。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、分析対象物の表面状態をユーザに把握させることで、成分分析におけるユーザビリティを向上させることにある。
本開示の第1の態様は、分析対象物を分析するための1次電磁波を出射する電磁波出射部と、前記電磁波出射部から前記1次電磁波が出射されたことにより前記分析対象物において発生した2次電磁波を収集する収集ヘッドと、前記分析対象物において発生しかつ前記収集ヘッドによって収集された前記2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する検出器と、前記検出器により生成された前記強度分布スペクトルに基づいて、前記分析対象物の成分分析を行う処理部と、を備える分析装置に係る。この分析装置は、前記収集ヘッドを取り囲むように配置され、前記分析対象物の斜め側方から照明光を照射する側射照明と、前記収集ヘッドを介して前記分析対象物で反射された反射光を収集し、該収集された反射光の受光量を検出する撮像部と、前記収集ヘッドによって収集された前記2次電磁波と、前記収集ヘッドによって収集された前記反射光と、を共通の光路を介して受光するとともに、前記2次電磁波を前記検出器へ導く一方、前記反射光を前記撮像部へ導くように前記共通の光路を分光する分光素子と、をさらに備える。
そして、本開示の第1の態様によれば、前記処理部は、前記強度分布スペクトルに基づいて前記分析対象物の成分分析を行うとともに、前記撮像部により検出された前記反射光の受光量に基づいて前記分析対象物の画像データを生成する。
前記第1の態様によると、前記分析装置は、撮像部を備えているとともに、その撮像部による撮像に用いる照明装置として、分析対象物に斜め上方から照明光を照射する側射照明を備えてなる。このように、収集ヘッドの周囲に側射照明を設けることで、同軸照明等、他の照明を用いたのでは捉えがたい表面状態をユーザに把握させることができる。これにより、成分分析におけるユーザビリティを向上させることができる。
また、本開示の第2の態様によれば、前記収集ヘッドは、径方向の中央部に開口部が設けられていて、前記1次電磁波の出射に対応して前記分析対象物において発生した前記2次電磁波を反射する1次反射面が前記開口部の周囲に設けられた1次ミラー、および、前記1次反射面によって反射された前記2次電磁波を受光してさらに反射させる2次反射面が設けられた2次ミラーを有し、前記1次ミラーおよび前記2次ミラーによって前記2次電磁波を集光して前記開口部に導く反射型対物レンズによって構成され、前記側射照明は、前記反射型対物レンズの外周を囲うように配置される、としてもよい。
前記第2の態様によると、側射照明を反射型対物レンズの外周に配置することで、反射型対物レンズのコンパクト化を損なうことなく、より広域にわたって照明光を照射することができる。これによって、視認性に優れた画像データを生成し、分析対象物の表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。このように、前記第2の態様は、収集ヘッドとして反射型対物レンズを用いる場合において、取り分け有効となる。
また、本開示の第3の態様によれば、前記側射照明は、前記反射型対物レンズを環状に囲ってなる環状照明によって構成され、前記側射照明に対応した円環の中心軸は、前記反射型対物レンズの光軸と同軸になるように配置される、としてもよい。
前記第3の態様によると、反射型対物レンズの光軸まわりに回転対称となるように、照明光を照射することができる。このことは、撮像部によって撮像される領域に十分な照明光を照射する上で有利になる。
また、本開示の第4の態様によれば、前記側射照明は、前記照明光を発する光源と、前記光源から発せられた前記照明光を透過させ、該照明光を前記反射型対物レンズの光軸に直交する径方向において拡散する拡散部材と、を有する、としてもよい。
前記第4の態様によると、拡散部材を介して照明光を出射することで、より広域にわたって照明光を照射することができる。これにより、2次ミラーによって生じ得るケラレの発生を抑制することができる。ケラレの発生を抑制することで、より視認性に優れた画像データを生成し、分析対象物の表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、本開示の第5の態様によれば、前記側射照明は、前記反射型対物レンズの外周を覆う筐体を有し、前記光源は、前記反射型対物レンズの外周面から離間した状態で、前記筐体によって支持される、としてもよい。
前記第5の態様によると、光源と、1次ミラーおよび2次ミラーとの熱的な接続が抑制される。これにより、光源からの発熱に起因した、1次ミラーおよび2次ミラーに対する熱的な影響を抑制することができる。1次ミラーおよび2次ミラーに対する熱的な影響を抑制することで、両ミラーの位置ずれを抑制することができる。このことは、処理部による成分分析の精度を確保するとともに、画像解像度を向上させる上で有効である。
また、本開示の第6の態様によれば、前記光源は、前記反射型対物レンズの光軸方向において、前記2次ミラーよりも前記分析対象物から離間するように配置される、としてもよい。
前記第6の態様によると、光源を必要以上に載置面に接近させないように構成することで、光軸方向における拡散部材の取付スペースを確保することができる。また、光源を必要以上に載置面から離間させないように構成することで、側射照明を過度に大径化することなく、反射型対物レンズに対して側射照明がなす傾斜角度を十分に確保することができる。これにより、適切な領域に照明光を照射することができ、視認性に優れた画像データを生成することができる。その結果、分析対象物の表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、本開示の第7の態様によれば、前記側射照明は、前記反射型対物レンズの光軸まわりの周方向に沿って複数のブロックに分割され、各ブロックを個別に点灯可能に構成される、としてもよい。
前記第7の態様によると、側射照明は、種々の角度から照明光を照射することができる。これにより、分析対象物の表面状態を、より明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、本開示の第8の態様によれば、前記分析装置は、前記電磁波出射部から出射される前記1次電磁波と同軸化された光路を介して照明光を照射する同軸照明を備え、前記処理部は、前記側射照明および前記同軸照明の少なくとも一方から照明光を照射させるように、前記側射照明および前記同軸照明の少なくとも一方に制御信号を入力する、としてもよい。
前記第8の態様によれば、分析装置は、照射方向の異なる2種類の照明装置を使い分けることができる。これにより、よりバラエティに富んだ画像データを生成することができ、ひいては、分析対象物の表面状態をユーザに把握させる上で有利になる。
また、本開示の第9の態様によれば、前記分析装置は、前記電磁波出射部、前記収集ヘッド、前記検出器および前記撮像部を収容してなる分析筐体と、前記分析対象物からの反射光を集光する対物レンズと、該対物レンズを介して集光された反射光を収集し、該収集された反射光の受光量を検出する第2の撮像部と、を収容してなり、前記分析筐体によって保持される観察筐体と、を備え、前記観察筐体には、前記対物レンズを取り囲むように配置され、前記分析対象物の斜め側方から照明光を照射する第2の側射照明と、前記対物レンズを介して集光される前記反射光と共通の光路を介して照明光を照射する第2の同軸照明と、の少なくとも一方が設けられ、前記処理部は、前記第2の側射照明および前記第2の同軸照明の少なくとも一方から照明光を照射させるように、該第2の側射照明または前記第2の同軸照明の少なくとも一方に制御信号を入力する、としてもよい。
前記第9の態様によれば、前記分析装置は、分析用の光学系ばかりでなく、観察用の光学系においても、照射方向の異なる2種類の照明装置を使い分けることができる。これにより、よりバラエティに富んだ画像データを生成することができ、ひいては、分析対象物の表面状態をユーザに把握させる上で有利になる。
また、本開示の第10の態様によれば、前記分析装置は、前記分析対象物に前記収集ヘッドを向かい合わせた第1の状態と、前記分析対象物に前記対物レンズを向かい合わせた第2の状態と、の間で前記分析筐体および前記観察筐体をスライドさせるスライド機構を備え、前記処理部は、前記第1の状態と、前記第2の状態との間の切替前後で、前記第1の状態における前記側射照明に係る照明条件および前記同軸照明に係る照明条件と、前記第2の状態における前記第2の側射照明に係る照明条件および前記第2の同軸照明に係る照明条件と、のうち、切替前に参照された照明条件を再現するように、切替後の照明条件を設定する、としてもよい。
前記第10の態様によると、分析対象物の観察時と分析時とで、可能な限り同じ条件下で画像データを生成することができる。これにより、観察時に生成される画像データと、分析時に生成される画像データとをユーザに違和感を与えることなく切り替えることが可能になり、ユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、本開示の第11の態様によれば、前記第1の状態における前記分析対象物と前記収集ヘッドの中央部との距離は、前記第2の状態における前記分析対象物と前記対物レンズの中央部との距離と一致するように設定される、としてもよい。
前記第11の態様によると、前記分析装置は、分析対象物の観察時と分析時とで、ワーキングディスタンスを一致させるように構成されている。これにより、分析対象物の観察時と分析時とで、可能な限り同じ条件下で画像データを生成することができる。その結果、観察時に生成される画像データと、分析時に生成される画像データとをユーザに違和感を与えることなく切り替えることが可能になり、ユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、本開示の第12の態様によれば、前記電磁波出射部は、前記1次電磁波としてのレーザ光を出射するレーザ光源によって構成され、前記収集ヘッドは、前記電磁波出射部から出射されたレーザ光の照射に対応して前記分析対象物において発生した光を集光し、前記検出器は、前記分析対象物において発生しかつ前記収集ヘッドによって集光された光の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する、としてもよい。
以上説明したように、本開示によれば、分析対象物の表面状態をユーザに把握させることで、成分分析におけるユーザビリティを向上させることができる。
図1は、分析観察装置の全体構成を例示する模式図である。 図2は、光学系アセンブリを例示する斜視図である。 図3は、光学系アセンブリを例示する側面図である。 図4は、光学系アセンブリを例示する正面図である。 図5は、光学系アセンブリを例示する分解斜視図である。 図6は、光学系アセンブリの構成を模式化して示す側面図である。 図7は、分析光学系の構成を例示する模式図である。 図8Aは、反射型対物レンズおよび側射照明の構成を例示する縦断面図である。 図8Bは、反射型対物レンズおよび側射照明の構成を例示する縦断面図である。 図9は、第1および第2検出器の取付構造について説明するための図である。 図10は、反射型対物レンズおよび側射照明の構成を例示する底面図である。 図11は、2次ミラーの構成を例示する斜視図である。 図12は、偏向素子の構成を例示する斜視図である。 図13は、2次ミラーと偏向素子の位置関係を例示する平面図である。 図14は、1次ミラー、2次ミラーおよび偏向素子の位置関係を例示する縦断面図である。 図15は、スライド機構の構成について説明する模式図である。 図16Aは、ヘッド部の水平移動について説明するための図である。 図16Bは、ヘッド部の水平移動について説明するための図である。 図17Aは、傾斜機構の動作について説明するための図である。 図17Bは、傾斜機構の動作について説明するための図である。 図18は、コントローラ本体の構成を例示するブロック図である。 図19は、制御部の構成を例示するブロック図である。 図20は、分析観察装置の基本動作を例示するフローチャートである。 図21は、照明設定部による照明条件の設定手順を例示するフローチャートである。 図22は、分析光学系によるサンプルの分析手順と、照明制御部による点灯状態の制御手順を例示するフローチャートである。 図23は、分析観察装置の表示画面を例示する図である。 図24は、第2モードにおいて側射照明を用いて生成される画像データを例示する図である。 図25は、第2モードにおいて同軸照明を用いて生成される画像データを例示する図である。 図26は、第1モードにおいて同軸照明を用いて生成される画像データを例示する図である。 図27は、第1モードにおいて側射照明を用いて生成される画像データを例示する図である。 図28は、側射照明の変形例を示す底面図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
<分析観察装置Aの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る分析装置としての分析観察装置Aの全体構成を例示する模式図である。図1に例示される分析観察装置Aは、観察対象物および分析対象物としてのサンプルSPの拡大観察を行うとともに、該サンプルSPの成分分析を行うこともできる。
詳しくは、本実施形態に係る分析観察装置Aは、例えば微少物体等の試料、電子部品、被加工物等からなるサンプルSPを拡大して撮像することで、そのサンプルSPにおいて成分分析が行われるべき部位を探索したり、その外観の検査、計測等を行ったりすることができる。分析観察装置Aは、その観察機能に着目した場合、拡大観察装置と呼称したり、単に顕微鏡と呼称したり、あるいは、デジタルマイクロスコープと呼称したりすることができる。
分析観察装置Aはまた、サンプルSPの成分分析に際し、レーザ誘起ブレークダウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)、レーザ誘起プラズマ分光法(Laser Induced Plasma Spectroscopy:LIPS)等と呼称される手法を実施することができる。分析観察装置Aは、その分析機能に着目した場合、成分分析装置と呼称したり、単に分析装置と呼称したり、あるいは、分光装置と呼称したりすることもできる。
図1に示すように、本実施形態に係る分析観察装置Aは、主要な構成要素として、光学系アセンブリ(光学系本体)1と、コントローラ本体2と、操作部3と、を備える。
このうち、光学系アセンブリ1は、サンプルSPの撮像および分析を行うとともに、その撮像結果および分析結果に対応した電気信号を外部に出力することができる。
コントローラ本体2は、第1カメラ81等、光学系アセンブリ1を構成する種々の部品を制御するための制御部21を有する。コントローラ本体2は、制御部21を介して、光学系アセンブリ1にサンプルSPの観察および分析を行わせることができる。コントローラ本体2はまた、種々の情報を表示可能な表示部22を有する。この表示部22には、光学系アセンブリ1において撮像された画像、サンプルSPの分析結果を示すデータ等を表示することができる。
操作部3は、ユーザによる操作入力を受け付けるマウス31、コンソール32およびキーボード33を有する(キーボード33は、図18にのみ図示)。コンソール32は、ボタン、調整ツマミ等を操作することで、コントローラ本体2に画像データの取込、明るさ調整、第1カメラ81のピント合わせ等を指示することができる。
なお、操作部3は、マウス31、コンソール32およびキーボード33を3つとも有する必要はなく、任意の1つまたは2つを有していてもよい。また、マウス31、コンソール32およびキーボード33に加えてまたは代えて、タッチパネル式の入力装置、音声式の入力装置等を用いてもよい。タッチパネル式の入力装置の場合、表示部22に表示されている画面上の任意の位置を検出可能に構成することができる。
<光学系アセンブリ1の詳細>
図2~図4は、それぞれ、光学系アセンブリ1を例示する斜視図、側面図および正面図である。また、図5は光学系アセンブリ1の分解斜視図であり、図6は光学系アセンブリ1の構成を模式化して示す側面図である。
図1~図6に示すように、光学系アセンブリ1は、各種機器を支持するとともにサンプルSPが載置されるステージ4と、このステージ4に取り付けられるヘッド部6と、を備える。ここで、ヘッド部6は、分析光学系7が収容された分析筐体70に、観察光学系9が収容された観察筐体90を装着してなる。ここで、分析光学系7はサンプルSPの成分分析を行うための光学系である。観察光学系9はサンプルSPの拡大観察を行うための光学系である。ヘッド部6は、サンプルSPの分析機能と拡大観察機能とを兼ね備えた装置群として構成されている。
なお、以下の説明では、図1~図4に示すように光学系アセンブリ1の前後方向および左右方向が定義される。すなわち、ユーザと対面する一側が光学系アセンブリ1の前側であり、これと反対側が光学系アセンブリ1の後側であり、ユーザと光学系アセンブリ1とが対面したときに、そのユーザから見て右側が光学系アセンブリ1の右側であり、ユーザから見て左側が光学系アセンブリ1の左側である。なお、前後方向および左右方向の定義は、説明の理解を助けるためのものであり、実際の使用状態を限定するものではない。いずれの方向が前となるように使用してもよい。
また、以下の説明では、光学系アセンブリ1の左右方向を「X方向」とし、光学系アセンブリ1の前後方向を「Y方向」とし、光学系アセンブリ1の上下方向を「Z方向」とし、このZ軸に平行な軸を中心に回転する方向を「φ方向」と定義する。X方向とY方向とは同一水平面上で互いに直交しており、その水平面に沿った方向を「水平方向」と定義する。Z軸は、その水平面に対して直交する法線の方向である。これらの定義についても、適宜変更することが可能である。
また詳細は後述するが、ヘッド部6は、図2~図6に示す中心軸Acに沿って移動したり、この中心軸Acまわりに揺動したりすることができる。この中心軸Acは、図6等に示すように、前述の水平方向、特に前後方向に沿って延びるように構成される。
(ステージ4)
ステージ4は、作業台等に設置されるベース41と、ベース41に接続されたスタンド42と、ベース41またはスタンド42によって支持された載置台5と、を有する。このステージ4は、載置台5およびヘッド部6の相対的な位置関係を規定するための部材であり、少なくとも、ヘッド部6の観察光学系9および分析光学系7を取付可能に構成される。
ベース41は、ステージ4の略下半部を構成しており、図2に示すように、左右方向の寸法に比して、前後方向の寸法が長い台座状に形成される。ベース41は、作業台等に設置される底面を有する。ベース41の前側部分には、載置台5が取り付けられる。
また、図6等に示すように、ベース41の後側部分(特に、載置台5よりも後側に位置する部分)には、第1支持部41aと第2支持部41bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2支持部41a,41bは、双方ともベース41から上方へ突出するように設けられる。第1および第2支持部41a,41bには、前記中心軸Acと同心になるように配置される円形の軸受孔(不図示)が形成される。
スタンド42は、ステージ4の上半部を構成しており、図2~図3、図6等に示すように、ベース41(特にベース41の底面)に対して垂直な上下方向に延びる柱状に形成される。スタンド42における上側部分の前面には、別体の装着具43を介してヘッド部6が取り付けられる。
また、図6等に示すように、スタンド42の下側部分には、第1取付部42aと第2取付部42bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2取付部42a,42bは、前述の第1および第2支持部41a,41bに対応した構成とされている。具体的に、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bは、第1取付部42aと第2取付部42bによって第1支持部41aを挟み込むとともに、第1支持部41aと第2支持部41bによって第2取付部42bを挟み込むようにレイアウトされる。
また、第1および第2取付部42a,42bには、第1および第2支持部41a,41bに形成された軸受孔と同心かつ同径に構成された円形の軸受孔(不図示)が形成される。これら軸受孔に対し、クロスローラベアリング等のベアリング(不図示)を介して軸部材44が挿入される。この軸部材44は、その軸心が前述の中心軸Acと同心になるように配置される。軸部材44を挿入することで、ベース41とスタンド42は、相対的に揺動可能に連結される。軸部材44は、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bとともに、本実施形態における傾斜機構45を構成する。
傾斜機構45を介してベース41とスタンド42を連結することで、スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動可能な状態で、ベース41によって支持されることになる。スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動することで、所定の基準軸Asに対して左右方向に傾斜することになる(図17Aおよび図17Bを参照)。この基準軸Asは、図4等に示す非傾斜状態においては、載置台5の上面(載置面51a)に垂直に延びる軸とすることができる。また、中心軸Acは、傾斜機構45による揺動の中心軸(回転中心)として機能することになる。
具体的に、本実施形態に係る傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。前述のように、スタンド42にはヘッド部6が取り付けられることになるため、このヘッド部6もまた、基準軸Asに対して左右方向に傾斜させることができる。ヘッド部6を傾斜させることは、分析光学系7および観察光学系9を傾斜させること、ひいては、後述の分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを傾斜させることに等しい。
装着具43は、スタンド42の長手方向(非傾斜状態では上下方向に一致する。以下、これを「略上下方向」と呼称する)に沿ってヘッド部6を案内するレール部43aと、レール部43aに対するヘッド部6の相対位置をロックするためのロックレバー43bと、を有する。このうち、レール部43aにはヘッド部6の後面部分(具体的にはヘッド取付部材61)が挿入され、これを略上下方向に沿って移動させることができる。そして、ヘッド部6を所望位置に設定した状態でロックレバー43bを操作することで、ヘッド部6を所望位置に固定することができる。また、図2~図3に示される第1操作ダイヤル46を操作することで、ヘッド部6の位置調整を行うこともできる。
さらに、ステージ4またはヘッド部6には、該ヘッド部6を略上下方向に移動させるためのヘッド駆動部47が内蔵される。このヘッド駆動部47は、コントローラ本体2によって制御される不図示のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を略上下方向の直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいてヘッド部6を移動させる。ヘッド駆動部47がヘッド部6を移動させることで、このヘッド部6、ひいては分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを略上下方向に沿って移動させることができる。
載置台5は、ベース41の前後方向中央部よりも前側に配置されており、このベース41の上面に取り付けられている。載置台5は、開放空間に設けられた電動式の載置台として構成されており、その載置面51a上に載置されたサンプルSPを水平方向に沿って移動させたり、上下方向に沿って昇降させたり、φ方向に沿って回動させたりすることができる。
具体的に、本実施形態に係る載置台5は、サンプルSPを載置するための載置面51aを有する載置台本体51と、ベース41および載置台本体51の間に配置されかつ載置台本体51を変位させる載置台支持部52と、後述の図18に示す載置台駆動部53と、を有する。
載置台本体51は、その上面が載置面51aを構成している。この載置面51aは、略水平方向に沿って延びるように形成される。載置面51aには、大気開放状態、すなわち真空室等に収容されない状態でサンプルSPが載置される。
載置台支持部52は、ベース41と載置台本体51とを連結する部材であり、上下方向に沿って延びる略円柱状に形成される。載置台支持部52には、載置台駆動部53を収容することができる。
載置台駆動部53は、コントローラ本体2によって制御される不図示かつ複数のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて載置台本体51を移動させる。載置台駆動部53が載置台本体51を移動させることで、この載置台本体51、ひいては、その載置面51aに載置されたサンプルSPを、水平方向および上下方向に沿って移動させることができる。
同様に、載置台駆動部53は、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて、載置台本体51をφ方向に沿って回転させることもできる。載置台駆動部53が載置台本体51を回転させることで、載置面51aに載置されたサンプルSPを、φ方向に回動させることもできる。
また、図2に例示される第2操作ダイヤル54等を操作することで、載置台本体51を手動で移動および回転させることもできる。第2操作ダイヤル54の詳細は省略する。
なお、ベース41およびスタンド42の説明に戻ると、前述したベース41には、第1傾斜センサSw3が内蔵されている。この第1傾斜センサSw3は、重力方向に対する、載置面51aに垂直な基準軸Asの傾きを検出することができる。一方、スタンド42には、第2傾斜センサSw4が取り付けられている。この第2傾斜センサSw4は、重力方向に対する分析光学系7の傾き(より詳細には、重力方向に対する分析光軸Aaの傾き)を検出することができる。第1傾斜センサSw3と第2傾斜センサSw4の検出信号は、双方とも制御部21に入力される。
(ヘッド部6)
ヘッド部6は、分析筐体70に収容された分析光学系7と、観察筐体90に収容された観察光学系9と、ヘッド取付部材61と、筐体連結具64と、スライド機構(水平駆動機構)65と、を有する。ヘッド取付部材61は、分析筐体70をスタンド42に接続するための部材である。筐体連結具64は、観察筐体90を分析筐体70に接続するための部材である。スライド機構65は、スタンド42に対して分析筐体70をスライド移動させるための機構である。
詳しくは、本実施形態に係るヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後側に配置されており、スタンド42にヘッド部6を取り付けるための板状部材として構成される。前述のように、ヘッド取付部材61は、スタンド42の装着具43に固定される。
ヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後面と略平行に延びるプレート本体61aと、プレート本体61aの下端部から前方に突出するカバー部材61bと、を有する。プレート本体61aは、サンプルSPに反射型対物レンズ74を向かい合わせた後述の第1モード(第1の状態)においては、前後方向においてヘッド部6の後面から離間する。プレート本体61aは、サンプルSPに対物レンズ92を向かい合わせた後述の第2モード(第2の状態)においては、ヘッド部6の後面と密着または近接する。
また、図15に示すように、ヘッド取付部材61の左端部には、スライド機構65を構成するガイドレール65aが取り付けられている。ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61と、ヘッド部6における他の要素(具体的には、分析光学系7、観察光学系9および筐体連結具64)と、を水平方向に相対変位可能に連結する。
以下、分析光学系7および分析筐体70、観察光学系9および観察筐体90、筐体連結具64、ならびに、スライド機構65の構成について順番に説明する。
-分析光学系7-
図7は、分析光学系7の構成を例示する模式図である。図8Aおよび図8Bは、反射型対物レンズ74および側射照明84の構成を例示する縦断面図である。図10は、反射型対物レンズ74および側射照明84の構成を例示する底面図である。
また、図11は、2次ミラー12の構成を例示する斜視図であり、図12は、偏向素子73の構成を例示する斜視図であり、図13は、2次ミラー12と偏向素子73の位置関係を例示する平面図であり、図14は、1次ミラー11、2次ミラー12および偏向素子73の位置関係を例示する縦断面図である。
分析光学系7は、分析対象物としてのサンプルSPの分析を行うための部品の集合であり、各部品が分析筐体70に収容されるようになっている。分析光学系7を構成する部品は、電磁波出射部71と、反射型対物レンズ74によって構成される収集ヘッドと、第1検出器77Aおよび第2検出器77Bによって構成される検出器と、が含まれる。分析筐体70には、少なくともこれらの部品が収容されている。また、サンプルSPの分析を行うための要素には、処理部としての制御部21も含まれる。
分析光学系7は、例えばLIBS法を用いた分析を行うことができる。この分析光学系7には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC1が接続される。この通信ケーブルC1は必須ではなく、分析光学系7とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
なお、ここでいう「光学系」の語は、広義で用いる。すなわち、分析光学系7は、レンズ等の光学素子に加え、光源、撮像素子等を包括したシステムとして定義される。観察光学系9についても同様である。
図7に示すように、本実施形態に係る分析光学系7は、電磁波出射部71と、出力調整手段72と、偏向素子73と、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74と、波長選択素子としての分光素子75と、第1パラボリックミラー76Aと、第1検出器77Aと、第1ビームスプリッター78Aと、第2パラボリックミラー76Bと、第2検出器77Bと、第2ビームスプリッター78Bと、同軸照明79と、結像レンズ80と、撮像部としての第1カメラ81と、側射照明84と、を含んでなる。分析光学系7の構成要素のうちの一部は、図6にも示す。また、側射照明84は、図8A、図8Bおよび図10にのみ示す(図7では図示省略)。
電磁波出射部71は、サンプルSPを分析するための1次電磁波を出射する。特に、本実施形態に係る電磁波出射部71は、1次電磁波としてのレーザ光を出射するレーザ光源によって構成される。
詳細な図示は省略するが、本実施形態に係る電磁波出射部71は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成される励起光源と、その励起光源から出力されたレーザを集光してレーザ励起光として出射するフォーカシングレンズと、そのレーザ励起光に基づいて基本波を生成するレーザ媒質と、基本波をパルス発振するためのQスイッチと、基本波を共振させるためのリアミラーおよび出力ミラーと、出力ミラーから出力されたレーザ光の波長を変換する波長変換素子と、を有する。
ここで、レーザ媒質としては、1パルスあたりのエネルギーを高くとるべく、例えばロッド状のNd:YAGを用いることが好ましい。なお、本実施形態では、誘導放出によってレーザ媒質から放出される光子の波長(いわゆる基本波長)は、本実施形態では赤外域の1064nmに設定されている。
また、Qスイッチとしては、基本波の強度が所定の閾値を超えると透過率が増大するパッシブQスイッチを用いることができる。パッシブQスイッチは、例えばCr:YAG等の過飽和吸収体によって構成される。パッシブQスイッチを用いることで、レーザ媒質に所定以上のエネルギーが蓄積されたタイミングで自動的にパルス発振することが可能になる。また、減衰率を外部から制御可能ないわゆるアクティブQスイッチを用いることもできる。
また、波長変換素子としては、LBO(LiB)等の非線形光学結晶を2つ用いた構成とされている。2つの結晶を用いることで、基本波から3次高調波を生成することができる。3次高調波の波長は、本実施形態では紫外域の355nmに設定されている。
すなわち、本実施形態に係る電磁波出射部71は、1次電磁波として、紫外線からなるレーザ光を出力することができる。これにより、ガラスの様に光学的に透明なサンプルSPに対してもLIBS法による分析を行うことができる。加えて、紫外域にあるレーザ光は、人間の網膜に到達する割合が非常に少ない。網膜上でレーザ光が結像しないように構成することで、装置の安全性を高めることができる。
出力調整手段72は、電磁波出射部71と偏向素子73を結ぶ光路上に配置されており、レーザ光(1次電磁波)の出力を調整することができる。具体的に、本実施形態に係る出力調整手段72は、1/2波長板72aと、偏光ビームスプリッター72bと、を有する。1/2波長板72aは、偏光ビームスプリッター72bに対して相対的に回転するように構成されており、その回転角度を制御することで、偏光ビームスプリッター72bを通過する光量を調整することができる。
出力調整手段72によってその出力が調整されたレーザ光(1次電磁波)は、不図示のミラーによって反射されて光学ベース700内に進入する。
図7に示すように、光学ベース700は、分析筐体70の内部に配置されており、分析光学系7を構成する光学素子の収容スペースを区画している。具体的に、本実施形態に係る光学ベース700には、偏向素子73と、分光素子75と、第1パラボリックミラー76Aと、第1ビームスプリッター78Aと、第2パラボリックミラー76Bと、第2ビームスプリッター78Bと、同軸照明79を構成する光学素子79bと、結像レンズ80と、が収容される。また、光学ベース700は、分析筐体70の内部空間において、電磁波出射部71と隣接して配置される。光学ベース700は、分析筐体70の内部に設けられた「第2の筐体」に相当する。
偏向素子73は、電磁波出射部71から出射されたレーザ光(1次電磁波)が入射するとともに、このレーザ光(1次電磁波)を反射型対物レンズ74の光軸方向(分析光軸Aaに沿った方向)に偏向させる。
詳しくは、偏向素子73は、電磁波出射部71から出力されて出力調整手段72を通過した1次電磁波を反射させ、反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに導く一方、この1次電磁波に対応してサンプルSPにおいて発生した2次電磁波(サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる光であり、以下、「プラズマ光」とも呼称する)を通過させ、これを第1検出器77A、第2検出器77Bに導くようにレイアウトされている。偏向素子73はまた、撮像用に集光した可視光を通過させ、その大部分を第1カメラ81に導くようにレイアウトされている。
反射型対物レンズ74は、電磁波出射部71からの1次電磁波の出射に対応してサンプルSPにおいて発生した2次電磁波を収集する収集ヘッドとして機能する。特に、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、1次電磁波としてのレーザ光を集光してサンプルSPに照射するとともに、サンプルSPに照射されたレーザ光(1次電磁波)に対応してサンプルSPにおいて発生したプラズマ光(2次電磁波)を収集するように構成されている。この場合、2次電磁波は、サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる電磁波に相当する。
反射型対物レンズ74は、電磁波出射部71からの1次電磁波の出射に係る光学系と、第1カメラ81での反射光の受光ならびに第1および第2検出器77A,77Bでの2次電磁波の受光に係る光学系と、を同軸化するように構成されている。言い換えると、反射型対物レンズ74は、2種類の光学系で共有化されている。
本実施形態では、1つの反射型対物レンズ74によって、サンプルSPへの1次電磁波の照射と、サンプルSPからの2次電磁波の収集と、第1カメラ81によるサンプルSPの撮像と、からなる3つの機能を互いに阻害させることなく実現することができる。
また、本実施形態では、分析光学系7から出射される1次電磁波の焦点が合う焦点深度は、第1カメラ81の焦点が合う被写界深度よりも深い。このように構成することで、分析光学系7の第1カメラ81を用いてサンプルSPを観察している観察状態から該サンプルSPに対して1次電磁波を照射したとしても、1次電磁波の焦点を再調整する必要がなくなる。これにより、分析光学系7から出射される1次電磁波の焦点を、第1カメラ81で観察していた位置に自動的に合わせることができる。
さらに、1次電磁波の焦点が合う焦点深度は、検出器77A、77Bに導かれる2次電磁波の焦点が合う焦点深度よりも深くてもよい。すなわち、2次電磁波の集光効率を高めるために、反射型対物レンズ74の集光光学系の開口数を大きくすることにより、1次電磁波の焦点深度よりも深度が浅くなるように構成されていてもよい。
反射型対物レンズ74は、前述の略上下方向に沿って延びる分析光軸Aaを有する。分析光軸Aaは、観察光学系9の対物レンズ92が有する観察光軸Aoと平行になるように設けられる。以下の説明における「径方向」とは、分析光軸Aaに沿って延びる単位ベクトルに直交し、かつ、該分析光軸Aaから放射状に延びる方向を指す。同様に、「周方向」とは、分析光軸Aaに沿って延びる単位ベクトルおよび径方向に直交し、かつ、分析光軸Aaを周回する方向を指す。また、分析光学系7に係る「光軸方向」とは、分析光軸Aaに沿って延びる方向を指す。
詳しくは、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、2枚のミラーからなるシュヴァルツシルト型の対物レンズである。この反射型対物レンズ74は、図7、図8Aおよび図8Bに示すように、分析筐体70に装着される接続部材74aと、接続部材74aを介して分析筐体70に接続されるミラー筐体74bと、円環状かつ相対的に大径の1次ミラー11と、円板状かつ相対的に小径の2次ミラー12と、2次ミラー12をミラー筐体74bに接続するための支持部材14と、を有する。
接続部材74aは、分析光軸Aaと同軸の貫通孔が設けられた台座状に形成される。接続部材74aは、周方向に固定された状態(回転不能な状態)で、光学ベース700の下端に締結される。この締結によって、反射型対物レンズ74の角度位置が固定されるようになっている。また、接続部材74aは、該接続部材74aの貫通孔と、光学ベース700の下端に設けられた貫通孔と、が相互に連通するように配置される。
ミラー筐体74bは、下方に向かうにしたがってテーパ状に縮径した円筒状に形成される。ミラー筐体74bは、周方向に固定された状態で、接続部材74aの下面に固定されるようになっている。ミラー筐体74bの内周面は、1次ミラー11と2次ミラー12とをそれぞれ支持する。
1次ミラー11と2次ミラー12は、双方とも、分析光軸Aaまわりに回転対称となるように形成される。反射型対物レンズ74は、1次ミラー11および2次ミラー12によって2次電磁波を集光し、集光した2次電磁波を1次ミラー11の開口部11aに導くように構成されている。
1次ミラー11は、分析光軸Aaと同軸化された中心軸を有し、かつ径方向の中央部に貫通孔が設けられた円筒状の部材によって構成されている。図8Aおよび図8Bに示すように、1次ミラー11の貫通孔は、1次電磁波および2次電磁波を通過させるための開口部11aを構成する。1次ミラー11における下側の端面には鏡面加工が施されており、1次反射面11bを構成する。円筒状に形成された1次ミラー11は、ミラー筐体74bによって支持される。
詳しくは、1次ミラー11には、径方向の中央部に開口部11aが設けられていて、1次電磁波の出射に対応してサンプルSPにおいて発生した2次電磁波を反射する1次反射面11bが設けられる。1次反射面11bは、開口部11aの周囲に設けられる。
2次ミラー12は、分析光軸Aaと同軸化された光軸を有するレンズによって構成されている。図8A、図8Bおよび図11に示すように、2次ミラー12を構成するレンズには、その上側の端面に鏡面加工を施してなる2次反射面12bと、鏡面加工を施さずに1次電磁波を透過させるように構成した透過領域12aと、が設けられている。また、2次ミラー12においてレンズを支持する支持部材14は、2次電磁波を通過させるための中空のスペースを区画する。2次ミラー12は、支持部材14を介してミラー筐体74bによって支持される。2次ミラー12は、支持部材14、ミラー筐体74b、接続部材74aおよび光学ベース700を介して分析筐体70に接続されるようになっている。
詳しくは、2次反射面12bは、2次ミラー12の外縁部に設けられており、1次ミラー11の1次反射面11bによって反射された2次電磁波を受光してさらに反射させる。2次反射面12bは、略ドーナツ状に形成されている。透過領域12aは、2次ミラー12の中央部に設けられており、1次電磁波が透過するように配置される。透過領域12aは、略円板状に形成されている。
図8Aおよび図8Bに示すように、2次ミラー12を構成するレンズとしては、その凸面を上方に向けてかつ凹面を下方に向けた凹メニスカスレンズを用いることができる。2次反射面12bは、前記レンズの周縁に設けられており、その鏡面を略上方に向けた環状に形成される。
透過領域12aは、前記レンズ(例えば凹メニスカスレンズ)の径方向中央部に設けられる。透過領域12aを透過する1次電磁波は、ビーム径を拡大しながら伝搬することになる。
図11に示すように、支持部材14は、環状のミラー支持部材14aと、ミラー支持部材14aに接続される第2の支持脚部14bと、を有する。支持部材14は、透過領域12aと、その周囲に設けられた2次反射面12bとにより構成される2次ミラー12を支持し、該2次ミラー12をミラー筐体74bの内壁部に接続することができる。
ミラー支持部材14aは、2次反射面12bの周囲に配置され、分析光軸Aaと同軸の環状に形成される。ミラー支持部材14aは、ミラー筐体74bの内周面に回転不能な状態で取り付けられる。ミラー支持部材14aは、ミラー筐体74bおよび接続部材74aを介して分析筐体70に取り付けられる。ミラー支持部材14aの内周面と、前記凹メニスカスレンズおよび後述の3次レンズ13を収容する筒状体の外周面と、によって、2次電磁波が通過するスペースが区画される。
第2の支持脚部14bは、2次反射面12bの外縁部から放射状に延び、ミラー筐体74bの内周面に接続される。詳しくは、第2の支持脚部14bは、前記筒状体から放射状に延びるように構成される。本実施形態に係る第2の支持脚部14bは、周方向において略120°おきに3本設けられている。
また、略上下方向における透過領域12aと載置面51aとの間には、3次レンズ13が配置されている。この3次レンズ13は、透過領域12aを通過した1次電磁波を透過させ、これを集光する。
3次レンズ13は、レンズ本体13aと、光学薄膜13bと、を有する。3次レンズ13は、1次ミラー11および2次ミラー12と同軸になるように配置される。
レンズ本体13aは、2次ミラー12を構成する凹メニスカスレンズ全体の外径よりは小径かつ、該凹メニスカスレンズにおける透過領域12a単体の外径よりは大径の両凸レンズによって構成されてもよい。レンズ本体13aを透過する1次電磁波は、径方向に集光しながら伝搬することになる。
透過領域12aとレンズ本体13aとによって構成される光学系の焦点位置は、1次ミラー11と2次ミラー12とによって構成される光学系の焦点位置に一致する(図8Aおよび図8Bの黒点fを参照)。
光学薄膜13bは、レンズ本体13aの下面に設けられており、透過領域12aと、載置面51aと、の間に介在する。光学薄膜13bは、サンプルSPによって反射された可視光等の反射光を遮断する。これにより、撮像部としての第1カメラ81は、1次反射面11bおよび2次反射面12bによって反射された反射光を収集することになる。なお、光学薄膜13bは、2次ミラー12を構成する凹メニスカスレンズにおいて、透過領域12aの反対側に位置する凹面に設けてもよい。光学薄膜13bは、光軸方向において、透過領域12aと載置面51aとの間に配置すればよい。なお、3次レンズ13に光学薄膜13bを設ける代わりに、あるいは、この光学薄膜13bに加えて、偏向素子73によって可視光を遮光してもよいし、偏向素子73と3次レンズ13とを結ぶ光路中に、可視光を遮断する遮光部材を設けてもよい。
前述のように構成された反射型対物レンズ74において、1次ミラー11は、その開口部11aを介して1次電磁波を通過させる。開口部11aを通過した1次電磁波は、2次ミラー12の透過領域12aと、3次レンズ13のレンズ本体13aと、を順番に透過してサンプルSPに照射される(図8Aおよび図14の光路L1を参照)。
その際、2次ミラー12は、その透過領域12aを透過するレーザ光(1次電磁波)のビーム径を拡大させ、3次レンズ13は、透過領域12aによって拡径されたレーザ光を所定の焦点位置fに集光する。3次レンズ13によって集光されたレーザ光は、前記焦点位置fに対応した焦点距離で収束する。このレーザ光は、該所定の焦点距離以上離れるにつれて円錐状に拡散する。仮に、反射型対物レンズ74が光学ベース700に締結されていない場合、レーザ光は、図14の光路L1に示す平行光のまま、収束することなく伝搬することになる。
なお、3次レンズ13は必須ではない。3次レンズ13を設ける代わりに、2次ミラー12を凸レンズによって構成してもよい。
サンプルSPにレーザ光(1次電磁波)が照射されると、その1次電磁波に対応したプラズマ光(2次電磁波)が発生し、反射型対物レンズ74に向かって戻る。反射型対物レンズ74によって収集されたプラズマ光は、1次ミラー11に導かれる。
1次ミラー11は、その1次反射面11bによって、サンプルSPから戻る2次電磁波を反射する。1次反射面11bによって反射された2次電磁波は、2次ミラー12の2次反射面12bに導かれる。
2次ミラー12は、1次反射面11bによって反射された2次電磁波を2次反射面12bによって受光して、これを略上方に向けて出射する。2次反射面12bによって反射された2次電磁波は、円筒状(中空円柱状)の光路に沿って伝搬する。その際、2次電磁波が形成する光路は、図8Aに示すように、円柱状に伝搬する1次電磁波の光路を包囲するように構成される。言い換えると、1次電磁波は、2次電磁波の光路における円筒の中空部分を、該2次電磁波と同軸になるように伝搬することになる。
そして、円筒状の光路に沿って伝搬する2次電磁波は、1次電磁波と同軸化された状態で1次ミラー11の開口部11aから出射する。開口部11aから出射された2次電磁波は、図14に示すように偏向素子73に導かれる(図8Aおよび図14の光路L2を参照)。
反射型対物レンズ74に入力される1次電磁波、および、反射型対物レンズ74から出力される2次電磁波は、双方とも偏向素子73を介して他の要素と光学的に接続される。この偏向素子73は、前述した反射型対物レンズ74に適した構成とされている。
具体的に、本実施形態に係る偏向素子73は、反射領域731と、中空領域732と、を有する部分ミラーによって構成される。このうち、反射領域731は、1次電磁波を反射型対物レンズ74の光軸方向に沿って反射するように、透過領域12aに対向して配置される。中空領域732は、反射型対物レンズ74によって集光された2次電磁波を通過させる。
詳しくは、偏向素子73は、貫通孔73bが設けられた板状の素子支持部材73aと、貫通孔73bの中央部に配置され、反射領域731を構成するミラー部材73cと、ミラー部材73cの外側面から放射状に延び、貫通孔73bの内側面に接続される第1の支持脚部73dと、を有する。貫通孔73bは、素子支持部材73aを光軸方向に貫く。
このうち、素子支持部材73aは、矩形薄板状に形成されており、光軸方向において分光素子75と反射型対物レンズ74の開口部11aとの間に配置されている。素子支持部材73aは、その板厚方向を光軸方向に対して傾斜させた姿勢で分析筐体70に取り付けられる。
貫通孔73bは、図14に示すように、反射型対物レンズ74の光軸方向に沿って素子支持部材73aを貫くように形成されている。つまり、貫通孔73bは、素子支持部材73aの板厚方向に対して傾斜した方向に延びている。
そして、貫通孔73bは、図13に示すように、反射型対物レンズ74の光軸方向に沿って見た場合に、一定の内径を有する円形状の横断面を有するように形成されている。この場合、貫通孔73bの中心軸は、反射型対物レンズ74の光軸、すなわち分析光軸Aaに一致する。すなわち、この貫通孔73bは、その素子支持部材73aの板厚方向に沿って見た場合は長円状に見えるように形成されており、これを分析光軸Aaに垂直な平面に投影した場合において、略真円状の投影面を有するように構成されている。
ミラー部材73cは、その鏡面を斜め下方に向けた姿勢で配置された光学ミラーによって構成されている。ミラー部材73cの鏡面は、反射領域731を構成する。この反射領域731は、光軸方向において透過領域12aと並んでおり、1次電磁波を反射して、これを透過領域12aへと導くことができる。
そして、ミラー部材73cは、図13に示すように、反射型対物レンズ74の光軸方向に沿って見た場合に、一定の内径を有する円形状となるように形成されている。この場合、ミラー部材73cの中心軸は、貫通孔73bの中心軸および分析光軸Aaに一致する。すなわち、このミラー部材73cは、その鏡面に垂直な方向に沿って見た場合は長円状に形成されており、これを分析光軸Aaに垂直な平面に投影した場合において、略真円状の投影面を有するように構成されている。
貫通孔73bの内側面と、ミラー部材73cの外側面と、によって中空領域732が区画される。この中空領域732は、反射領域731に対して径方向の外側に配置されており、2次電磁波を通過させる。
ここで、図13に示すように、分析光軸Aaに沿って2次ミラー12、支持部材14および偏向素子73を平面視した場合、ミラー部材73cの外径は、2次反射面12bの内径よりも小径に形成されている。そのため、図14の光路L2に示すように、2次反射面12bによって反射されて円柱状に伝搬する2次電磁波は、反射領域731に遮られることなく中空領域732を通過する。
第1の支持脚部73dは、ミラー部材73cの外側面から放射状に延び、貫通孔73bの内側面に接続される。詳しくは、第1の支持脚部73dは、周方向において略120°おきに3本設けられている。
図13に示すように、第1および第2の支持脚部73d,14bは、前記光軸方向に沿って見た場合に、互いに重なり合うように配置される。ここで、周方向における第1の支持脚部73dの厚みは、周方向における第2の支持脚部14bの厚みと略一致する。第2の支持脚部14bの間を縫うように出力される2次電磁波は、第1の支持脚部73dによって遮られることなく中空領域732を通過することができる。
反射領域731および第1の支持脚部73dによって遮られることなく中空領域732を通過した2次電磁波は、分光素子75に至る。分光素子75は、反射型対物レンズ74の光軸方向において偏向素子73と第1ビームスプリッター78Aとの間に配置されており、サンプルSPで発生した2次電磁波のうちの一部を第1検出器77Aに導く一方、他部を第2検出器77B等へ導く。後者のプラズマ光は、その大部分が第2検出器77Bに導かれるものの、その残りは第1カメラ81に至る。
詳しくは、サンプルSPから戻る2次電磁波には、1次電磁波としてのレーザ光に対応した波長以外にも種々の波長成分が含まれる。そこで、本実施形態に係る分光素子75は、サンプルSPから戻る2次電磁波のうち短い波長帯域の電磁波を反射させ、それを第1検出器77Aに導く。分光素子75はまた、それ以外の帯域の電磁波を透過させ、それを第2検出器77Bに導く。
さらに詳しくは、分光素子75は、所定波長未満の波長領域に属する紫外側の第1成分に比して、該所定波長以上の波長領域に属する赤外側の第2成分の透過率が高い材料により構成されている。そうした材料には、ガラス材料、合成樹脂等が含まれる。
例えばガラス材料を用いた場合、ガラス自体は電磁波の反射率が低いため、ガラス表面に前記第1成分に属する電磁波を反射する光学薄膜を蒸着させることで紫外側の波長領域に属する電磁波を反射させ、それを第1検出器77Aに導くように構成することができる。
そして、本実施形態に係る分光素子75は、反射型対物レンズ74によって集光された2次電磁波を受光する。この分光素子75は、いわゆるダイクロイックミラーであり、入射した2次電磁波のうち、紫外側の第1成分に対応した2次電磁波を反射させる一方、赤外側の第2成分に対応した2次電磁波を透過させる。前述のように、分光素子75の主体となる材料は、第1成分の透過率が相対的に低く、第2成分の透過率が相対的に高い。そのため、分光素子75は、紫外側の第1成分を透過させた場合に比して、ガラス等の材料への吸収に起因した、2次電磁波全体のロスを最小限に押さえ込むことができる。
第1パラボリックミラー76Aは、いわゆる放物面鏡であり、分光素子75と第1検出器77Aとの間に配置される。第1パラボリックミラー76Aは、分光素子75によって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第1検出器77Aに入射させる。
詳しくは、第1パラボリックミラー76Aは、反射型対物レンズ74によって集光されて偏向素子73を通過した後に、分光素子75によって反射された可視光帯域を含む紫外側の2次電磁波を反射する。この第1パラボリックミラー76Aは、該第1パラボリックミラー76Aによって反射した2次電磁波を第1検出器77A上に集光するように構成される。
ここで、第1検出器77Aは、サンプルSPにおいて発生したプラズマ光(2次電磁波)の波長ごとの強度分布である強度分布スペクトルを生成する。特に、この第1検出器77Aは、分光素子75によって反射された紫外側の2次電磁波が入射するように構成されており、2次電磁波を受光するための入射スリット77aを有している。
なお、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置は、入射スリット77aと一致するように配置してもよいし、入射スリット77aと不一致になるように配置してもよい。後者の配置は、ジャストフォーカスからずらしたレイアウトに相当する。このレイアウトは、レーザの戻り光のエネルギーが強く、入射スリット77aにダメージを与え得るケースにおいて有効である。
また、第1検出器77Aは、図7および図9に示す第1プレート701によって支持されている。この第1プレート701は、光学ベース700の上面に接続されている。第1検出器77Aは、第1プレート701を介して光学ベース700に接続されることになる。これの接続によって、第1パラボリックミラー76A等、導光光学系7aに対する入射スリット77aの位置決めを安定させることができる。
また、第1検出器77A付近には、該第1プレート701に対する第1検出器77Aの相対位置を調整する第1調整機構771が設けられる(図7にのみ図示)。この第1調整機構771を用いることで、導光光学系7aに対する入射スリット77aの相対位置を調整することができる。
なお、第1プレート701を光学ベース700に接続する構成は、必須ではない。例えば、第1プレート701を分析筐体70の内壁部に接続するように構成してもよい。そのように構成した場合、第1調整機構771は、該分析筐体70に対する第1検出器77Aの相対位置を調整することになる。
第1検出器77Aは、サンプルSPにおいて発生しかつ反射型対物レンズ74によって集光された2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。第1検出器77Aは、反射型対物レンズ74を始点とした2次電磁波の光路において、第2検出器77Bよりも上流側で分光された2次電磁波を受光するように構成されている。サンプルSPにおいて発生したプラズマ光のうち、紫外側の第1成分は、レンズ等の透過を伴うことなく、複数回反射されることによって第1検出器77Aへ導かれる。すなわち、紫外側の第1成分は、透過光学系を経由することなく、反射型対物レンズ74および第1パラボリックミラー76A等の反射光学系を介して第1検出器77Aへと導かれる。色収差が生じないため、分析精度を向上させることができる。
特に、レーザ光源によって電磁波出射部71を構成するとともに、レーザ光の照射に対応して発生した光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第1検出器77Aは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
第1検出器77Aとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第1検出器77Aは、紫外側の前記第1成分の検出に適した構成とされている。第1検出器77Aの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置に一致するようにアライメントされている。第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルは、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
第1ビームスプリッター78Aは、分光素子75を透過した光のうちの一部(可視光帯域を含む赤外側の2次電磁波)を反射して第2検出器77Bに導く一方、他部(可視光帯域の一部)を透過して第2ビームスプリッター78Bに導く。可視光帯域に属するプラズマ光のうち、相対的に多量のプラズマ光が第2検出器77Bに導かれ、相対的に少量のプラズマ光が、第2ビームスプリッター78Bを介して第1カメラ81に導かれる。
第2パラボリックミラー76Bは、いわゆる放物面鏡であり、第1ビームスプリッター78Aと第2検出器77Bとの間に配置される。第2パラボリックミラー76Bは、第1ビームスプリッター78Aによって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第2検出器77Bに入射させる。
詳しくは、第2パラボリックミラー76Bは、偏向素子73を通過して分光素子75を透過した後に、第1ビームスプリッター78Aによって反射された赤外側の2次電磁波を反射する。この第2パラボリックミラー76Bは、該第2パラボリックミラー76Bによって反射した2次電磁波を第2検出器77B上に集光するように構成される。
ここで、第2検出器77Bは、第1検出器77Aと同様に、筐体としての分析筐体70から載置台5に載置されたサンプルSPに対してレーザ光(1次電磁波)が照射された場合に、該サンプルSPにおいて発生したプラズマ光(2次電磁波)の波長ごとの強度分布である強度分布スペクトルを生成する。特に、この第2検出器77Bは、分光素子75を透過した赤外側のプラズマ光が入射するように構成されており、プラズマ光を受光するための入射スリット77aを有している。
なお、第2パラボリックミラー76Bの焦点位置は、第2検出器77Bの入射スリット77aと一致するように配置してもよいし、入射スリット77aと不一致になるように配置してもよい。後者の配置は、ジャストフォーカスからずらしたレイアウトに相当する。このレイアウトは、レーザの戻り光のエネルギーが強く、入射スリット77aにダメージを与え得るケースにおいて有効である。
また、第2検出器77Bは、図7および図9に示す第2プレート702によって支持されている。この第2プレート702は、光学ベース700の上面に接続されている。第2検出器77Bは、第2プレート702を介して光学ベース700に接続されることになる。これの接続によって、第2パラボリックミラー76B等、導光光学系7aに対する入射スリット77aの位置決めを安定させることができる。
また、第2検出器77B付近には、該第2プレート702に対する第2検出器77Bの相対位置を調整する第2調整機構772が設けられる。この第2調整機構772を用いることで、導光光学系7aに対する入射スリット77aの相対位置を調整することができる。
なお、第2プレート702を光学ベース700に接続する構成は、必須ではない。例えば、第2プレート702を分析筐体70の内壁部に接続するように構成してもよい。そのように構成した場合、第2調整機構772は、該分析筐体70に対する第2検出器77Bの相対位置を調整することになる。
第2検出器77Bは、サンプルSPにおいて発生しかつ反射型対物レンズ74によって集光された2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。第2検出器77Bは、反射型対物レンズ74を始点とした2次電磁波の光路において、第1検出器77Aよりも下流側で分光された2次電磁波を受光するように構成されている。サンプルSPにおいて発生したプラズマ光のうち、赤外側の第2成分は、分光素子75を透過する以外は、複数回の反射を通じて第2検出器77Bへ導かれる。すなわち、赤外側の第2成分は、反射型対物レンズ74および第1パラボリックミラー76A等の反射光学系を介して第1検出器77Aへと導かれる。色収差の発生を最小限に抑えられるため、分析精度を向上させることができる。
特に、レーザ光源によって電磁波出射部71を構成するとともに、レーザ光の照射に対応して発生した光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第2検出器77Bは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
第2検出器77Bとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第2検出器77Bは、赤外側の前記第2成分の検出に適した構成とされている。第2検出器77Bの入射スリットは、第2パラボリックミラー76Bの焦点位置に一致するようにアライメントされている。第2検出器77Bによって生成された強度分布スペクトルは、第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルと同様に、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
制御部21には、第1検出器77Aによって生成された紫外側の強度分布スペクトルと、第2検出器77Bによって生成された赤外側の強度分布スペクトルと、が入力される。制御部21は、それらの強度分布スペクトルに基づいて、後述の基本原理を用いてサンプルSPの成分分析を行う。制御部21は、紫外側の強度分布スペクトルと、赤外側の強度分布スペクトルとを組み合わせて用いることで、より広い周波数域を利用した成分分析を行うことができる。
第2ビームスプリッター78Bは、LED光源79aから発せられて光学素子79bを通過した照明光(可視光)を反射して、これを第1ビームスプリッター78A、分光素子75、偏向素子73および反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。サンプルSPで反射された反射光(可視光)は、反射型対物レンズ74を介して分析光学系7に戻る。
第2ビームスプリッター78Bは、分析光学系7に戻った反射光のうち、第1ビームスプリッター78Aを透過した反射光と、第1および第2検出器77A,77Bに到達せずに第1ビームスプリッター78Aを透過したプラズマ光と、をさらに透過させ、結像レンズ80を介して第1カメラ81に入射させる。
同軸照明79は、照明光を発するLED光源79aと、LED光源79aから発せられた照明光が通過する光学素子79bと、を有する。同軸照明79は、いわゆる「同軸落射照明」として機能する。LED光源79aから照射される照明光は、電磁波出射部71から出力されてサンプルSPに照射されるレーザ光(1次電磁波)、および、サンプルSPから戻る光(2次電磁波)と同軸に伝搬する。
詳しくは、同軸照明79は、電磁波出射部71から出射される1次電磁波と同軸化された光路を介して照明光を照射する。具体的に、照明光の光路のうち偏向素子73と反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、1次電磁波の光路と同軸化されている。また、照明光の光路のうち第1ビームスプリッター78Aと反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、2次電磁波の光路と同軸化されている。
同軸照明79は、図7に示す例では分析筐体70に内蔵されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、分析筐体70の外部に光源をレイアウトし、その光源と分析光学系7とを光ファイバーケーブルを介して光学系に結合してもよい。
側射照明84は、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74を取り囲むように配置される。側射照明84は、サンプルSPの側方(言い換えると、分析光軸Aaに対して傾斜した方向)から照明光を照射する。
詳しくは、側射照明84は、反射型対物レンズ74の外周を囲うように配置される。さらに詳しくは、側射照明84は、反射型対物レンズ74を環状に囲ってなる環状照明によって構成されている。側射照明84に対応した円環の中心軸(側射照明84をリングとみなした場合における中心軸)は、分析光軸Aaと同軸になるように配置されている。
具体的に、本実施形態に係る側射照明84は、筐体84aと、照明光を発するLED光源(光源)84bと、LED光源84bから発せられた照明光を透過させる導光部材84cと、拡散板84dと、を有する。
筐体84aは、反射型対物レンズ74を構成する接続部材74aおよびミラー筐体74bよりも大径の略円筒状に形成される。筐体84aは、反射型対物レンズ74の外周(接続部材74aおよびミラー筐体74b)を覆う。図8Aおよび図8Bに示すように、本実施形態に係る筐体84aは、反射型対物レンズ74ではなく分析筐体70によって支持されている。筐体84aの内周面は、反射型対物レンズ74の外周面に対して径方向に離間する。
筐体84aは、LED光源84bと、導光部材84cと、拡散板84dと、を収容する。LED光源84b、導光部材84cおよび拡散板84dは、径方向において、反射型対物レンズ74の外周面と、筐体84aの内周面と、の間に配置される。
LED光源84bは、筐体84aの内周面によって支持されている。LED光源84bは、周方向に沿って環状に配置されており、環状の照明光を出射することができる。また、図10に示すように、分析光軸Aaに沿って反射型対物レンズ74を底面視した場合、LED光源84bは、周方向に沿って複数のブロック(図例では4つのブロック)に分割されている。LED光源84bは、分割された各ブロックを個別に点灯可能に構成されている。図10に示す例では、周方向を時計とみなしたときの3時方向に位置する一ブロックから照明光を出射させたり、6時方向および9時方向等、複数のブロックから照明光を出射させたりすることができる。LED光源84bから出射された照明光は、導光部材84cおよび拡散板84dを介してサンプルSPに照射される。
具体的に、本実施形態に係るLED光源84bは、径方向においては、反射型対物レンズ74の外周面よりも、筐体84aの内周面に近接するように配置される。LED光源84bは、1次ミラー11および2次ミラー12よりも径方向の外方に配置される。LED光源84bはまた、分析光軸Aaに沿った方向(反射型対物レンズ74の光軸方向)においては、2次ミラー12よりも分析筐体70に接近するように(言い換えると、2次ミラー12よりもサンプルSPから離間するように)、例えば1次ミラー11と2次ミラー12との間に配置することができる。
また、図8Aおよび図8Bに示すように、LED光源84bは、反射型対物レンズ74の外周面から離間した状態で、言い換えると、反射型対物レンズ74に対して非接触状態で位置決めされている。側射照明84は、光学ベース700を介して反射型対物レンズ74に接続されるように構成されており、直接的には反射型対物レンズ74に接続されないように構成されている。さらに、図8Aおよび図8Bに示すように、LED光源84bの上方には通気口84eが設けられている。この通気口84eは、筐体84aの側面に開口している。
反射型対物レンズ74は、複数のレンズを組み合わせて1つの対物レンズとして構成したものであり、1枚のレンズから構成した対物レンズに比して、温度変化に敏感である。そのため、温度変化によって測定精度が低下しないように、反射対物レンズ74への伝熱を抑制するような工夫を施すことが望ましい。
そこで、前述のように、反射型対物レンズ74に対してLED光源84bを非接触状態で接続するとともに、筐体84aに通気口84eを設けることで、LED光源84bから反射型対物レンズ74への伝熱を抑制することができる。
導光部材84cは、LED光源84bから発せられた照明光を、径方向において拡散する。導光部材84cによって拡散された照明光は、径方向に拡大しながら出射される(図8Bの光路L3を参照)。
具体的に、本実施形態に係る導光部材84cは、分析光軸Aaに沿って載置面51aに向かうにしたがって、径方向において連続的に縮径させた内周面と、同じく径方向において連続的に縮径させた外周面と、を有する環状部材からなる。
ここで、導光部材84cの内周面は、分析光軸Aaに沿って載置面51aに向かうにしたがって、外周面よりも急峻に縮径する。そのため、径方向における導光部材84cの板厚は、分析光軸Aaに沿って載置面51aに向かうにしたがって、徐々に厚くなるように形成されている。
そして、導光部材84cを通過した照明光は、導光部材84cの内周面と外周面との間の角度θlに応じて拡大する。角度θlの大きさを調整することで、側射照明84から出射される照明光の広がりをコントロールすることができる。特に、本実施形態に係る角度θlは、該導光部材84cを通過した照明光が、少なくとも1次電磁波の焦点位置fを含んだ領域に照射されるように構成されている。導光部材84cによって拡大された照明光は、拡散板84dを通過して載置面51aに照射される。
側射照明84は、前述の同軸照明79と比べて、電磁波出射部71から出射される1次電磁波に対して傾斜した光路を介して照明光を照射する。分析観察装置Aは、同軸照明79と側射照明84とを使い分けて用いることができる。
そのために、処理部としての制御部(具体的には、後述の照明制御部27)21は、側射照明84および同軸照明79の少なくとも一方から照明光を照射させるように、該側射照明84および同軸照明79の少なくとも一方に制御信号を入力する。
制御部21によって生成される制御信号を調整することで、前述のように、LED光源84bを構成する各ブロックを個別に点灯させることができる。その他、同軸照明79または側射照明84の光量等、各照明の点灯状態を制御部21によって制御することができる。
第1カメラ81は、分析筐体70に収容されており、図7および図9に示すように、光学ベース700の上端に接続されている。第1カメラ81は、サンプルSPで反射された反射光を、反射型対物レンズ74を介して収集する。第1カメラ81は、収集された反射光の受光量を検出することで、サンプルSPを撮像する。第1カメラ81の光軸は、1次電磁波、2次電磁波および前記照明光と同軸化されている。なお、第1カメラ81によって収集される反射光には、側射照明84から照射される照明光に起因した反射光と、同軸照明79から照射される照明光に起因した反射光と、の両方が含まれる。つまり、撮像部としての第1カメラ81は、同軸照明79と側射照明84とで共有化されている。
詳しくは、撮像部としての第1カメラ81は、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74によって収集された反射光を受光する。ここで、第1カメラ81は、反射型対物レンズ74によって集光される2次電磁波と共通の光路を介して反射光を収集する。ここで、共通の光路は、反射光の光路のうち、反射型対物レンズ74と分光素子75を結ぶ光路に相当する。この光路は、分光素子75によって分光される。
つまり、本実施形態に係る分光素子75は、2次電磁波と反射光とを共通の光路を介して受光するとともに、2次電磁波を検出器(第1検出器77A)へ導く一方、反射光を撮像部(第1カメラ81)へ導くように前記共通の光路を分光することができる。ここで、第1光路は、分光素子75と、第1パラボリックミラー76Aと、入射スリット77aと、を結ぶ光路に相当する。第2光路は、分光素子75と、第1カメラ81と、を結ぶ光路に相当する。
このように、反射光の光路のうち第1ビームスプリッター78Aと反射型対物レンズ74とを結ぶ部分は、2次電磁波の光路と同軸化されている。また、反射光の光路のうち偏向素子73と反射型対物レンズ74とを結ぶ部分は、1次電磁波の光路と同軸化されている。また、反射光の光路のうち第2ビームスプリッター78Bと反射型対物レンズ74とを結ぶ部分は、照明光の光路と同軸化されている。
本実施形態に係る第1カメラ81は、その受光面に配置された複数の画素によって結像レンズ80を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第1カメラ81は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるイメージセンサによって構成されているが、この構成には限定されない。第1カメラ81としては、例えばCCD(Charged-Coupled Device)からなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第1カメラ81は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。
なお、サンプルSPから戻る光は、第1検出器77Aと、第2検出器77Bと、第1カメラ81と、に分割されて入射する。そのため、第1カメラ81における受光量は、観察光学系9における後述の第2カメラ93に比して小さくなる。これにより、第1カメラ81から入力される電気信号に基づいた画像データ(第2画像データI2)は、第2カメラ93から入力される電気信号に基づいた画像データ(第1画像データI1)とは明るさが異なる傾向にある。そこで、第1カメラ81では、その露光時間を調整することで、第2カメラ93によって生成される画像データと同様の明るさを確保するようになっている。
ここまでに説明した光学部品は、前述の分析筐体70に収容される。分析筐体70の下面には、貫通孔70aが設けられている。反射型対物レンズ74は、この貫通孔70aを介して載置面51aと対峙する。
分析筐体70内には、図7に示す遮蔽部材83が配置されていてもよい。この遮蔽部材83は、貫通孔70aと反射型対物レンズ74の間に配置されており、コントローラ本体2から入力される電気信号に基づいて、レーザ光の光路上に挿入することができる(図7の点線部を参照)。遮蔽部材83は、少なくともレーザ光を透過不能に構成されている。
光路上に遮蔽部材83を挿入することで、分析筐体70からのレーザ光の出射を制限することができる。遮蔽部材83は、電磁波出射部71と出力調整手段72との間に配置してもよい。
図15に示すように、分析筐体70は、分析光学系7の収容スペースに加え、スライド機構65の収容スペースも区画している。その意味では、分析筐体70をスライド機構65の一要素とみなすこともできる。
具体的に、本実施形態に係る分析筐体70は、左右方向の寸法に比して前後方向の寸法が短い箱状に形成されている。そして、分析筐体70の前面70bの左側部分は、前後方向におけるガイドレール65aの移動代を確保するべく、前方に向かって突出している。以下、この突出した部分を「突出部」と呼称し、これに符号70cを付す。この突出部70cは、上下方向においては、前記前面70bの下半部に配置される(言い換えると、前面70bの左側部分の下半部のみが突出するようになっている)。
-光路同士の関係について-
分析光学系7は、出力調整手段72、偏向素子73の反射領域731、1次ミラー11の開口部11a、および、2次ミラー12の透過領域12aを介してサンプルSPに1次電磁波を入射させる。ここで、図14に示すように、反射領域731と、開口部11aと、透過領域12aとは、分析光軸Aaに沿って順番に並んでいる。そのため、本実施形態に係る透過領域12aは、電磁波出射部71から出射されて開口部11aを通過した1次電磁波を透過させることで、該1次電磁波を分析光軸Aaに沿って出射させることができる。
分析光軸Aaに沿って出射された1次電磁波は、サンプルSPに照射されて散乱または吸収される。サンプルSPでは、1次電磁波の照射により2次電磁波が発生する。発生した2次電磁波は、反射型対物レンズ74を介して分析光学系7に戻る。一般に、そうして戻った2次電磁波には、種々の波長が含まれることになる。
そこで、分析光学系7は、1次ミラー11の1次反射面11b、2次ミラー12の2次反射面12b、1次ミラー11の開口部11a、偏向素子73の中空領域732、分光素子75、および、第1パラボリックミラー76Aを介して紫外側の2次電磁波を第1検出器77Aに入射させる。
分析光学系7はまた、1次ミラー11の1次反射面11b、2次ミラー12の2次反射面12b、1次ミラー11の開口部11a、偏向素子73の中空領域732、分光素子75、第1ビームスプリッター78A、および、第2パラボリックミラー76Bを介して赤外側の2次電磁波を第2検出器77Bに入射させる。
このように、分析光学系7は、光ファイバの非介在下で2次電磁波を検出器77A,77Bに入射させる。言い換えると、本実施形態に係る分析光学系7は、光ファイバを通過させることなく2次電磁波を検出器77A、77Bまで導く。分析光学系7は、2次電磁波の光路に関しては、いわゆるファイバレスの構成とされている。
また、本実施形態に係る分析光学系7は、ガラス材料を透過させることなく、電磁波の反射のみを利用して、紫外側の2次電磁波を第1検出器77Aまで導く。分析光学系7は、紫外側の2次電磁波の光路に関しては、ファイバレス、かつ、オール反射系(電磁波の反射のみを利用した光学系)の構成とされている。
分析光学系7はまた、赤外側の2次電磁波を第2検出器77Bまで導く際には、分光素子75のみを透過させる。分析光学系7は、赤外側の2次電磁波の光路に関しては、ファイバレス、かつ、電磁波の透過を可能な限り抑制した構成とされている。
また、本実施形態に係る分析光学系7は、分析光軸Aaに沿って並んだ反射領域731と、開口部11aと、透過領域12aと、を順番に通過させることで、第1電磁波をストレートに照射する。一方、2次反射面12bは、反射型対物レンズ74の光軸方向において、1次反射面11bよりも載置面51aに近接するように配置されている。
そのため、サンプルSPにおいて発生した2次電磁波は、1次反射面11bによって反射された後に該1次反射面11bから2次反射面12bに向かって伝搬する際に、一旦、載置面51aに近接する方向に伝搬することになる。その後、2次反射面12bによって反射された2次電磁波は、その伝搬方向を折り返して、載置面51aから離間する方向に伝搬することになる。
このように、2次電磁波は、複数回の反射を経て伝搬されるようになっている。2次電磁波の光路は、複数回の反射に起因した折り返しを有する分だけ、例えば1次電磁波のようにストレートに伝搬させた場合に比して、その光路長が長くなる。
また、前述のように2次ミラー12として凹メニスカスレンズを用いるとともに3次レンズ13として凸レンズを用いた場合、または、3次レンズ13を用いることなく2次ミラー12として凸レンズを用いた場合、反射型対物レンズ74に入射した紫外レーザ光は、いずれかの凸レンズによって集光されて、所定の焦点距離Dfで焦点を迎えることになる。いずれの構成においても、反射型対物レンズ74は、焦点距離Df以上離れるつれて紫外レーザ光のエネルギー密度を漸減させることで、該紫外レーザ光を円錐状に拡散させることができる。
-分析光学系7による分析の基本原理-
制御部21、特に後述のスペクトル解析部213は、検出器としての第1検出器77Aおよび第2検出器77Bから入力された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。具体的な分析手法としては、前述のようにLIBS法を用いることができる。LIBS法は、サンプルSPに含まれる成分を元素レベルで分析する手法(いわゆる元素分析法)である。
一般に、物質に高いエネルギーを付与すると、原子核から電子が分離することで、その物質はプラズマ状態となる。原子核から分離した電子は、一時的に高エネルギーかつ不安定な状態となるものの、その状態からエネルギーを失うことで、再び原子核によって捕捉されて低エネルギーかつ安定な状態に遷移する(換言すれば、プラズマ状態から非プラズマ状態に戻る)ことになる。
ここで、電子から失われるエネルギーは、電磁波として電子から放出されるものの、その電磁波のエネルギーの大きさは、各元素に固有の殻構造に基づいたエネルギー準位によって規定されることになる。つまり、プラズマから非プラズマ状態に電子が戻る際に放出される電磁波のエネルギーは、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の軌道)毎に固有の値を持つ。電磁波のエネルギーの大きさは、その電磁波の波長によって規定される。ゆえに、電子から放出される電磁波の波長分布、すなわちプラズマ化に際して物質から放出される光の波長分布を解析することで、その物質に含まれる成分を元素レベルで解析することができるようになる。このような手法は、一般に原子発光分光(Atomic Emission Spectroscopy:AES)法と呼称される。
LIBS法は、このAES法に属する分析手法である。具体的に、LIBS法では、物質(サンプルSP)に対してレーザ(1次電磁波)を照射することで、その物質にエネルギーを付与することになる。ここで、レーザの照射部位が局所的にプラズマ化されるため、そのプラズマ化に伴い発せられる光(2次電磁波)の強度分布スペクトルを解析することで、物質の成分分析を行うことができるようになっている。
すなわち、上記のように、各プラズマ光(2次電磁波)の波長は、元素毎に固有の値を持つため、強度分布スペクトルが特定の波長においてピークを形成する場合、そのピークに対応した元素がサンプルSPの成分となる。そして、強度分布スペクトルに複数のピークが含まれる場合、各ピークの強度(受光量)を比較することで、各元素の成分比を算出することができる。
LIBS法によれば、真空引きが不要であり、大気開放状態で成分分析を行うことができる。また、サンプルSPの破壊試験ではあるものの、サンプルSP全体を溶解させるなどの処理は不要であり、サンプルSPの位置情報が残存する(局所的な破壊試験にすぎない)。
-観察光学系9-
観察光学系9は、観察対象物としてのサンプルSPの観察を行うための部品の集合であり、各部品が観察筐体90に収容されるようになっている。観察光学系9を構成する部品には、対物レンズ92と、第2の撮像部としての第2カメラ93とが含まれる。観察筐体90には、少なくともこれらの部品が収容されている。また、サンプルSPの観察を行うための要素には、処理部としての制御部21も含まれる。
観察光学系9は、対物レンズ92を有する観察ユニット9aを備える。この観察ユニット9aは、図3等に示すように、観察筐体90の下端側に配置された筒状のレンズ鏡筒に相当する。観察ユニット9aは、分析筐体70によって保持される。観察ユニット9aは、観察筐体90から単体で取り外すことができる。
観察筐体90には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC2と、外部から照明光を導光するための光ファイバーケーブルC3と、が接続される。なお、通信ケーブルC2は必須ではなく、観察光学系9とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
具体的に、観察光学系9は、図6に示すように、ミラー群91と、対物レンズ92と、第2の撮像部としての第2カメラ93と、第2の同軸照明94と、第2の側射照明95と、を含んでなる。
対物レンズ92は、略上下方向に沿って延びる観察光軸Aoを有し、照明光を集光して載置台本体51に載置されたサンプルSPに照射するとともに、そのサンプルSPからの光(反射光)を集光する。観察光軸Aoは、分析光学系7の反射型対物レンズ74が有する分析光軸Aaと平行になるように設けられる。対物レンズ92によって収集された反射光は、第2カメラ93によって受光される。
ミラー群91は、対物レンズ92によって収集された反射光を透過させ、これを第2カメラ93に導く。本実施形態に係るミラー群91は、図6に例示されるように全反射ミラーとビームスプリッター等を用いて構成することができる。ミラー群91はまた、第2の同軸照明94から照射された照明光を反射して、これを対物レンズ92に導く。
第2カメラ93は、対物レンズ92によって集光された反射光を収集するとともに、収集された反射光の受光量を検出することでサンプルSPを撮像する。具体的に、本実施形態に係る第2カメラ93は、その受光面に配置された複数の画素によってサンプルSPから対物レンズ92を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第2カメラ93は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。本実施形態に係る第2カメラ93は、第1カメラ81と同様にCMOSからなるイメージセンサによって構成されているが、CCDからなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第2カメラ93は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。
第2の同軸照明94は、光ファイバーケーブルC3から導光された照明光を出射する。第2の同軸照明94は、対物レンズ92を介して集光される反射光と共通の光路を介して照明光を照射する。つまり、第2の同軸照明94は、対物レンズ92の観察光軸Aoと同軸化された「同軸落射照明」として機能することになる。なお、光ファイバーケーブルC3を介して外部から照明光を導光する代わりに、観察ユニット9aの内部に光源を内蔵してもよい。その場合、光ファイバーケーブルC3は不要となる。
第2の側射照明95は、図6に模式的に例示したように、対物レンズ92を取り囲むように配置されたリング照明によって構成される。第2の側射照明95は、分析光学系7における側射照明84と同様に、サンプルSPの斜め上方から照明光を照射する。詳細な図示は省略するが、第2の側射照明95を円環とみなしたときの中心軸は、観察光軸Aoに一致する。また、側射照明84と同様に、第2の側射照明95は、周方向において複数のブロックに分割されており、各ブロックを個別に点灯可能に構成されている。
図10に示す例では、第2の側射照明95は、分析光学系7の側射照明84と同様に、周方向を時計とみなしたときの0時位置と、3時位置と、6時位置と、9時位置と、に配置された4つのブロックに分割されており、3時方向に位置する一ブロックから照明光を出射させたり、6時方向および9時方向等、複数のブロックから照明光を出射させたりすることができる。
分析観察装置Aは、第2の同軸照明94と第2の側射照明95とを使い分けて用いることができる。そのために、処理部としての制御部(具体的には、後述の照明制御部216)21は、第2の側射照明95および第2の同軸照明94の少なくとも一方から照明光を照射させるように、第2の側射照明95および第2の同軸照明94の少なくとも一方に制御信号を入力する。
制御部21によって生成される制御信号を調整することで、前述のように、第2の側射照明95を構成する各ブロックを個別に点灯させることができる。その他、第2の同軸照明94または第2の側射照明95の光量等、各照明の点灯状態を制御部21によって制御することができる。
-筐体連結具64-
筐体連結具64は、分析筐体70に観察筐体90を連結するための部材である。筐体連結具64が両筐体70,90を連結することで、分析光学系7と、観察光学系9とが一体的に移動するようになる。
筐体連結具64は、分析筐体70の内外、すなわち分析筐体70の内部もしくは外部、または、スタンド42に取り付けることができる。特に本実施形態では、筐体連結具64は、分析筐体70の外面に取り付けられるようになっている。
具体的に、本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70における前述の突出部70cに取付可能に構成されており、突出部70cよりも右側に観察ユニット9aを保持するようになっている。
また、図3に示すように、筐体連結具64によって分析筐体70に観察筐体90が連結された状態では、突出部70cの前面が、筐体連結具64および観察筐体90の前側部分よりも前方に突出するようになっている。このように、本実施形態では、筐体連結具64が観察筐体90を保持した状態では、側方視したとき(スライド機構65による観察光学系9および分析光学系7の移動方向に対して直交する方向から見たとき)に、観察筐体90と、分析筐体70のうちの少なくとも一部(本実施形態では突出部70c)と、が重なり合うようにレイアウトされている。
本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70に対して観察筐体90を固定することで、観察光軸Aoに対する分析光軸Aaの相対位置を固定することができる。
具体的には、図15に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、スライド機構65によって載置台5に対して観察光学系9および分析光学系7が相対的に移動する方向(本実施形態では前後方向)に沿って並ぶように配置される。特に本実施形態では、観察光軸Aoは、分析光軸Aaに比して前側に配置されるようになっている。
また、図15に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、水平方向に沿った方向でありかつ前述の移動方向(本実施形態では前後方向)に直交する非移動方向(本実施形態では左右方向)における位置が一致するように配置される。
-スライド機構65-
図15は、スライド機構65の構成について説明する模式図である。また、図16Aおよび図16Bは、ヘッド部6の水平移動について説明するための図である。
スライド機構65は、観察光学系9によるサンプルSPの撮像と、分析光学系7によって強度分布スペクトルを生成する場合における電磁波(レーザ光)の照射(換言すれば、分析光学系7の電磁波出射部71による電磁波の照射)と、を観察対象物としてのサンプルSPにおける同一箇所に対して実行可能となるように、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を水平方向に沿って移動させるよう構成されている。
スライド機構65による相対位置の移動方向は、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの並び方向とすることができる。図15に示すように、本実施形態に係るスライド機構65は、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を前後方向に沿って移動させる。
本実施形態に係るスライド機構65は、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70を相対的に変位させるものである。分析筐体70と観察ユニット9aとは筐体連結具64によって連結されているため、分析筐体70を変位させることで、観察ユニット9aも一体的に変位することになる。
具体的に、本実施形態に係るスライド機構65は、ガイドレール65aと、アクチュエータ65bと、を有する、このうち、ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61の前面から前方に突出するように構成されている。
詳しくは、ガイドレール65aの基端部は、ヘッド取付部材61に固定されている。一方、ガイドレール65aの先端側部分は、分析筐体70内に区画された収容スペースに挿入されており、分析筐体70に対して挿抜可能な状態で取り付けられている。ガイドレール65aに対する分析筐体70の挿抜方向は、ヘッド取付部材61と分析筐体70とを離間または接近させる方向(本実施形態では前後方向)に等しい。
アクチュエータ65bは、例えば制御部21からの電気信号に基づいて作動するリニアモータまたはステッピングモータとすることができる。このアクチュエータ65bを駆動させることで、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70ひいては観察光学系9および分析光学系7を相対的に変位させることができる。アクチュエータ65bとしてステッピングモータを用いる場合、そのステッピングモータにおける出力軸の回転運動を、前後方向の直線運動に変換する運動変換機構がさらに設けられることになる。
スライド機構65はさらに、観察光学系9および分析光学系7の移動量を検出するための移動量センサSw2を有する。移動量センサSw2は、例えばリニアスケール(リニアエンコーダ)やフォトインタラプタ等で構成することができる。
移動量センサSw2は、分析筐体70とヘッド取付部材61との間の相対距離を検出し、その相対距離に対応した電気信号をコントローラ本体2に入力する。コントローラ本体2は、移動量センサSw2から入力された相対距離の変化量を算出することで、観察光学系9および分析光学系7の変位量を決定するようになっている。
図16Aおよび図16Bに示すように、スライド機構65が作動することで、ヘッド部6が水平方向に沿ってスライドし、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置が移動(水平移動)することになる。この水平移動によって、ヘッド部6は、反射型対物レンズ74をサンプルSPに対峙させた第1モードと、対物レンズ92をサンプルSPに対峙させた第2モードと、の間で切り替わるようになっている。スライド機構65は、第1モードと第2モードとの間で、分析筐体70および観察筐体90をスライドさせることができる。
図16Aおよび図16Bに示すように、第1モードにおいては、ヘッド部6は相対的に前進した状態にあり、第2モードにおいては、ヘッド部6は相対的に後退した状態にある。第1モードは、分析光学系7によってサンプルSPの成分分析を行うための動作モードであり、第2モードは、観察光学系9によってサンプルSPの拡大観察を行うための動作モードである。
特に、本実施形態に係る分析観察装置Aは、第1モードにおいて反射型対物レンズ74が指向する箇所と、第2モードにおいて対物レンズ92が指向する箇所と、が同一箇所となるように構成されている。具体的に、分析観察装置Aは、第1モードにおいて分析光軸AaとサンプルSPとが交わる箇所と、第2モードにおいて観察光軸AoとサンプルSPとが交わる箇所と、が同一になるように構成されている(図16Bを参照)。
そうした構成を実現するために、スライド機構65が作動したときのヘッド部6の移動量D2は、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離D1と同一となるように設定されている(図15を参照)。加えて、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの並び方向は、図15に示すように、ヘッド部6の移動方向と平行になるように設定されている。
また、本実施形態では、略上下方向における筐体連結具64の寸法を調整することで、第1モード(第1の状態)におけるサンプルSPと反射型対物レンズ74の中央部(より詳細には、分析光軸Aaと反射型対物レンズ74とが交わる部位)との距離は、第2モード(第2の状態)におけるサンプルSPと対物レンズ92の中央部(より詳細には、観察光軸Aoと対物レンズ92とが交わる部位)との距離と一致するように設定されている。この設定は、オートフォーカスにより合焦位置を求めることで行うこともできる。このように設定することで、サンプルSPの分析時である第1モードと、サンプルSPの観察時である第2モードとで焦点位置を一致させることができる。両モードで焦点位置を一致させることで、モードの切替前後でピントが合った状態を維持することができるようになる。
なお、筐体連結具64の寸法を調整することにより、第1モードと第2モードとで焦点位置がおおよそ一致するように設計し、モード切替時にオートフォーカスにより焦点位置をより精密に調整してもよい。このようにすることで、予め焦点位置がおおよそ一致するように設計されているためオートフォーカスに要する時間を短縮させることができる。
通常、反射型対物レンズ74のWDは、前記対物レンズ92のような一般的な対物レンズに比して短い。そこで、本実施形態では、反射型対物レンズ74のレンズ径を対物レンズ92よりも大径に設定することで、反射型対物レンズ74のWDを通常よりも長くするように構成されている。
以上のように構成することで、第1モードと第2モードとの切替を行う前後のタイミングにおいて、観察光学系9によるサンプルSPの画像生成と、分析光学系7による強度分布スペクトルの生成(具体的には、分析光学系7によって強度分布スペクトルが生成される場合における、分析光学系7による1次電磁波の照射)と、をサンプルSP中の同一箇所に対して同一方向から実行することができるようになる。
また、ヘッド取付部材61における前述のカバー部材61bは、図16Bに示すように、ヘッド部6を相対的に後退させた状態である第1モードにおいては、分析光学系7をなす反射型対物レンズ74を覆う(遮蔽状態)ように配置され、ヘッド部6を相対的に前進させた状態である第2モードにおいては、反射型対物レンズ74から離間する(非遮蔽状態)ように配置される。
前者の遮蔽状態では、レーザ光が意図せずして出射されたとしても、該レーザ光をカバー部材61bによって遮蔽することが可能となる。そのことで、装置の安全性を向上させることができる。
(傾斜機構45の詳細)
図17Aおよび図17Bは、傾斜機構45の動作について説明するための図である。以下、図17Aおよび図17Bを参照しつつ、筐体連結具64との関係等、傾斜機構45についてさらに説明する。
傾斜機構45は、前述の軸部材44等によって構成される機構であり、載置面51aに垂直な基準軸Asに対し、分析光学系7および観察光学系9のうち少なくとも観察光学系9を傾斜させることができる。
前述のように、本実施形態では、筐体連結具64が分析筐体70と観察筐体90とを一体的に連結することで、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置が保持されるようになっている。したがって、観察光軸Aoを有する観察光学系9を傾斜させると、分析光軸Aaを有する分析光学系7は、図17Aおよび図17Bに示すように、観察光学系9と一体的に傾斜することになる。
このように、本実施形態に係る傾斜機構45は、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置を保持した状態で、分析光学系7および観察光学系9を一体的に傾斜させるようになっている。
また、スライド機構65の動作と、傾斜機構45の動作と、は互いに独立しており、両動作の組み合わせが許容されている。したがって、スライド機構65は、傾斜機構45によって少なくとも観察光学系9を傾斜させた姿勢を保持した状態で、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る分析観察装置Aは、図17Bの両矢印A1に示すように、観察光学系9を傾斜させたままの状態で、ヘッド部6を前後にスライド可能とされている。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、スライド機構65は、傾斜機構45によって観察光学系9および分析光学系7を双方とも傾斜させた状態を保持しつつ、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させるようになっている。
また、分析観察装置Aは、ユーセントリック観察が行えるように構成されている。すなわち、分析観察装置Aにおいては、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ平行な3つの軸で形成される装置固有の三次元座標系が定義されている。制御部21の記憶装置21bには、分析観察装置Aの三次元座標系における後述する交差位置の座標がさらに記憶されている。交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの工場出荷時に予め記憶装置21bに記憶されていてもよい。また、記憶装置21bに記憶される交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの使用者により更新可能としてもよい。
図17Aおよび図17Bに示すように、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度を「傾きθ」と呼称すると、分析観察装置Aは、傾きθが例えば所定の第1閾値θmaxを下回る場合に、レーザ光の出射を許容するように構成されている。傾きθを第1閾値θmax未満に収めるために、傾斜機構45にハード的な制約を課すことができる。例えば傾斜機構45に不図示のブレーキ機構を設けることで、傾斜機構45の動作範囲を物理的に制限してもよい。
対物レンズ92の光軸である観察光軸Aoは、中心軸Acに交差している。対物レンズ92が中心軸Acを中心として揺動する場合、観察光軸Aoと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する観察光軸Aoの角度(傾きθ)が変化する。このように、ユーザは、対物レンズ92を傾斜機構45によって中心軸Acを中心として揺動させた際、例えば、サンプルSPの観察対象部分が上記の交差位置にある場合には、対物レンズ92が傾斜した状態になったとしても、第2カメラ93の視野中心が同じ観察対象部分から移動しないユーセントリック関係が維持される。したがって、サンプルSPの観察対象部分が第2カメラ93の視野(対物レンズ92の視野)から外れることを防止することができる。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、反射型対物レンズ74の光軸である分析光軸Aaは、観察光軸Aoと同様に中心軸Acに交差している。反射型対物レンズ74が中心軸Acを中心として揺動する場合、分析光軸Aaと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度(傾きθ)が変化する。
また前述のように、傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。ところが、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成した場合、スタンド42を過度に傾けてしまっては、分析光学系7から出射されるレーザ光が、ユーザに向かって照射されてしまう可能性がある。
そこで、基準軸Asに対する観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの傾きをθとすると、傾きθは、少なくともレーザ光が出射され得る状況下においては、所定の安全基準を満足する範囲内に収めることが望ましい。具体的に、本実施形態に係る傾きθは、前述のように、所定の第1閾値θmaxを下回る範囲内で調整可能とされている。
<コントローラ本体2の詳細>
図18は、コントローラ本体2の構成を例示するブロック図である。また、図19は、制御部21の構成を例示するブロック図である。本実施形態では、コントローラ本体2と光学系アセンブリ1とが別体に構成されているが、本開示は、そのような構成には限定されない。コントローラ本体2の少なくとも一部を光学系アセンブリ1に設けてもよい。
前述のように、本実施形態に係るコントローラ本体2は、種々の処理を行う制御部21と、制御部21が行う処理に係る情報を表示する表示部22と、を備える。このうちの制御部21は、CPU、システムLSI、DSP等からなる処理装置21aと、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどからなる記憶装置21bと、入出力バス21cと、を有する。
制御部21は、サンプルSPからの光の受光量に基づいたサンプルSPの画像データの生成と、強度分布スペクトルに基づいたサンプルSPの含有物質の分析と、を双方とも実行可能に構成されている。
詳しくは、図18に例示されるように、制御部21には、少なくとも、マウス31、コンソール32、キーボード33、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、LED光源84b、第2カメラ93、第2の同軸照明(第2同軸照明)94、第2の側射照明(第2側射照明)95、アクチュエータ65b、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4が電気的に接続されている。
制御部21によって、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、電磁波出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、LED光源84b、第2カメラ93、第2同軸照明94、第2側射照明95およびアクチュエータ65bが電気的に制御される。
また、第1カメラ81、第2カメラ93、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4の出力信号は、制御部21に入力される。制御部21は、入力された出力信号に基づいた演算等を実行し、その演算結果に基づいた処理を実行する。
例えば、制御部21は、第1傾斜センサSw3の検出信号と、第2傾斜センサSw4の検出信号とに基づいて、載置面51aに垂直な基準軸Asに対する分析光学系7の傾きθを算出する。制御部21は、その傾きが所定の閾値を超える場合、ユーザに警告等を通知する。
また、制御部21は、筐体連結具64によって分析光学系7に固定されている観察ユニット9aに対応した観察光学系9の種類のうち、少なくとも対物レンズ92の種類を識別するとともに、その識別結果に基づいてサンプルSPの撮像に係る処理を実行することができる。ここで、対物レンズ92の種類の識別は、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて行うことができる。制御部21は、サンプルSPの撮像に係る処理として、例えば、第2カメラ93の露光時間の調整および照明光の明るさの調整等を実行することができる。
具体的に、本実施形態に係る制御部21は、図19に示すように、モード切替部211と、スペクトル取得部212と、スペクトル解析部213と、画像処理部214と、照明設定部215と、照明制御部216と、を有する。これらの要素は、論理回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
-モード切替部211-
モード切替部211は、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って分析光学系7および観察光学系9を進退させることで、第1モードから第2モードへと切り替えたり、第2モードから第1モードに切り替えたりする。
具体的に、本実施形態に係るモード切替部211は、予め記憶装置21bに記憶されている観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離を事前に読み込む。次いで、モード切替部211は、スライド機構65のアクチュエータ65bを作動させることで、分析光学系7および観察光学系9を進退させる。
ここで、モード切替部211は、移動量センサSw2によって検出された観察光学系9および分析光学系7の変位量と、事前に読み込んだ距離とを比較して、前者の変位量が後者の距離に達したか否かを判定する。そして、変位量が所定距離に達したタイミングで、分析光学系7および観察光学系9の進退を停止する。なお、所定距離は予め定められていてもよく、また所定距離とアクチュエータ65bによる最大可動範囲とが一致するように構成されていてもよい。
なお、モード切替部211によって第2モードへと切り替えた後に、ヘッド部6を傾斜させることもできる。
-スペクトル取得部212-
スペクトル取得部212は、第1モードにおいて分析光学系7からレーザ光を出射させることで、強度分布スペクトルを取得する。具体的に、本実施形態に係るスペクトル取得部212は、電磁波出射部71から1次電磁波としてのレーザ光(紫外レーザ光)を出射させ、これを、反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。サンプルSPにレーザ光を照射すると、サンプルSPの表面が局所的にプラズマ化するとともに、プラズマ状態から気体等に戻るときに、エネルギー準位間の幅に対応したエネルギーを有する光(2次電磁波)が電子から放出される。そうして放出された2次電磁波は、反射型対物レンズ74を通じて分析光学系7に戻り、第1カメラ81、第1検出器77Aおよび第2検出器77Bに到達する。
第1カメラ81に戻った光に基づいて、画像処理部214が画像データを生成する。また、第1および第2検出器77A,77Bに戻った光に基づいて、スペクトル取得部212が受光量を波長毎に分光して強度分布スペクトルを生成する。スペクトル取得部212によって生成された強度分布スペクトルは、スペクトル解析部213に入力される。
なお、スペクトル取得部212は、第1および第2検出器77A,77Bによる受光タイミングを、レーザ光の出射タイミングと同期させる。このように設定することで、スペクトル取得部212は、レーザ光の出射タイミングに合わせて強度分布スペクトルを取得することができる。
-スペクトル解析部213-
スペクトル解析部213は、スペクトル取得部212によって生成された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。既に説明したように、LIBS法を用いた場合、サンプルSPの表面が局所的にプラズマ化され、プラズマ状態から気体等に戻るときに放出される光のピーク波長は、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の電子軌道)毎に固有の値を持つ。したがって、強度分布スペクトルのピーク位置を特定することで、そのピーク位置に対応した元素がサンプルSPに含まれている成分であると判定することができ、また、ピーク同士の大きさ(ピークの高さ)を比較することで、各元素の成分比を決定するとともに、決定された成分比に基づいて、サンプルSPの組成を推定することもできる。
スペクトル解析部213による分析結果は、表示部22上に表示されたり、所定のフォーマットで記憶装置21bに記憶したりすることができる。
-画像処理部214-
画像処理部214は、観察光学系9における第2カメラ93によって生成される画像データ(後述の第1画像データI1)、分析光学系7における第1カメラ81によって生成される画像データ(後述の第2画像データI2)、およびスペクトル解析部213による分析結果等に基づいて、表示部22上の表示態様を制御することができる。
特に、本実施形態に係る画像処理部214は、第2カメラ93によって撮像される領域(例えば、領域の中心位置)と、第1カメラ81によって撮像される領域(例えば、領域の中心位置)と、を第1モードと第2モードとの切替前後で一致させる。画像処理部214は、各領域を一致させるように、第1および第2カメラ81,93、ひいては、各カメラ81,93によって生成される第1および第2画像データI1,I2の表示態様を調整することができる。
その他、画像処理部214は、後述の図26および図27に示すように、第2画像データI2上に、レーザ光の照射位置(より一般には、電磁波が照射される領域)を示す指標P1を重ねて表示することもできる。
-照明設定部215-
照明設定部215は、第1モードから第2モードへの切替、または、第2モードから第1モードへの切替に際し、モード切替前の照明条件を記憶して、そうして記憶された照明条件に基づいて、モード切替後の照明条件を設定する。
詳しくは、本実施形態に係る照明設定部215は、第1モードと第2モードとの間の切替前後で、第1モードにおける同軸照明79に係る照明条件および側射照明84に係る照明条件と、第2モードにおける第2同軸照明94に係る照明条件および第2側射照明95に係る照明条件と、のうち、切替前に参照された照明条件を再現するように、切替後の照明条件を設定する。
ここで照明条件とは、第1カメラ81、同軸照明79および側射照明84に係る制御パラメータと、第2カメラ93、第2同軸照明94および第2側射照明95に係る制御パラメータと、を指す。照明条件には、各照明の光量、各照明の点灯状態等を含む。照明条件は、設定変更可能な複数の項目からなる。
各照明の光量に関連した制御パラメータには、LED光源79aに流れる電流の大きさ、電流を通電するタイミング、通電時間等が含まれる。例えば、LED光源79aに流れる電流の大きさを通じて、同軸照明79の光量を制御すことができる。この制御パラメータには、第1カメラ81、第2カメラ93等の露光時間も含まれる。
各照明の点灯状態に関連した制御パラメータには、例えば、側射照明84および第2側射照明95をそれぞれ構成するブロックのうち、どのブロックを点灯させるかを示す情報が含まれる。
照明設定部215は、複数の設定項目からなる照明条件のうち、現在の照明条件、すなわちモード切替前に参照されていた項目と、モード切替後に設定可能な項目と、を比較して、共通の項目を抽出する。
照明設定部215は、抽出された共通の項目については、モード切替前の設定内容が流用されるように照明条件を設定し、それを記憶装置21bに記憶させる。例えば、第2モードから第1モードへの切替に際し、切替前の第2モードにおいては第2側射照明95が使用されていて、切替後の第1モードにおいて側射照明84が使用される場合を考える。この場合、照明設定部215は、第2側射照明95の光量と、4つのブロックからなる第2側射照明95のうち、切替前の第2モードにおいて点灯状態とされていたブロックを記憶する。照明設定部215は、光量と、点灯状態とされていたブロックと、を含んだ照明条件を設定し、それを記憶装置21bに記憶させる。
なお、仮に、切替前後の照明条件の一方に固有の項目が存在する場合、例えば、切替後の状態にのみ設定可能な項目が存在し、切替前の設定項目を参照できない場合、、照明設定部215は、照明条件の初期設定を読み込んだり、前回使用時に用いられた照明条件を読み込んだりすることで、今回の照明条件を設定することができる。すなわち、記憶装置21bには、過去の使用時に参照された照明条件が、その使用順で記憶されており、照明設定部215は、その記憶内容に基づいて、照明条件のうち流用不可能な項目を設定することができる。
また、モード切替後に、操作部3を通じて照明条件を手動で変更することもできる。
また、照明条件の初期設定および調整に際しては、分光素子75、結像レンズ80等、サンプルSPで反射した光が第1カメラ81へ戻る際に通過する分析光学系7の光学素子の可視光透過率、および第1カメラ81を構成する撮像素子の受光感度と、ミラー群91等、観察光学系9を構成する光学素子の可視光透過率、および第2カメラ93を構成する撮像素子の受光感度と、を考慮してもよい。
また、第1モードから第2モード、または、第2モードから第1モードへの切替時に、表示部22上に表示される画像データの明るさを一定にするべく照明の光量を調整することで、第1カメラ81および第2カメラ93の露光時間を共通にすることができる。
これにより、第1カメラ81と第2カメラ93のフレームレートを共通にすることができる。なお、前記画像データの明るさは、例えば、第1カメラ81および第2カメラ93の各々に関連した前記可視光透過率と受光感度の積が一定になるように制御することで、一定にすることができる。
-照明制御部216-
照明制御部216は、照明設定部215が設定した照明条件を記憶装置21bから読み込むとともに、読み込んだ照明条件を反映するように、同軸照明79、側射照明84、第2同軸照明94または第2側射照明95を制御する。この制御によって、同軸照明79および側射照明84の一方または双方を点灯させたり、第2同軸照明94および第2側射照明95の一方または双方を点灯させたりすることができる。
照明制御部216はまた、第1モードにおけるレーザ光の出射に際しては、照明条件の内容にかかわらず、同軸照明79および側射照明84を全て一時的に消灯する。
照明制御部216はまた、同軸照明79または側射照明84の消灯を行う前に、消灯の実行時点で参照されていた照明条件を記憶装置21bに記憶させる。
照明制御部216は、レーザ光の出射が完了した後のタイミング(例えば、スペクトル解析部213による解析と前後したタイミング)で、同軸照明79およびは側射照明84の消灯を解除する。その際、照明制御部216は、消灯を行う前に記憶装置21bに記憶させた照明条件を読み込んで、それを同軸照明79または側射照明84の点灯に反映させる。
<制御フローの具体例>
図20は、分析観察装置Aの基本動作を例示するフローチャートである。また、図21は、照明設定部215による照明条件の設定手順を例示するフローチャートであり、図22は、分析光学系7によるサンプルSPの分析手順と、照明制御部216による点灯状態の制御手順を例示するフローチャートである。さらに、図23は、分析観察装置Aの表示画面を例示する図である。
まず、図20のステップS1では、第2モードにおいて、観察光学系9による分析対象の探索が実行される。このステップS1では、ユーザによる操作入力に基づいて、制御部21が、第2カメラ93の露光時間、光ファイバーケーブルC3によって導光される照明光など、第2カメラ93によって生成される画像データ(第1画像データI1)の明るさ等の条件を調整しながら、サンプルSPの各部のうち、分析光学系7によって分析されるべき部分(分析対象)を探索する。このとき、制御部21は、必要に応じて、第2カメラ93によって生成される第1画像データI1を保存する。
なお、第2カメラ93の露光時間の調整および照明光の明るさの調整は、ユーザによる操作入力を伴わずとも、レンズセンサSw1の検出信号に基づいて制御部21が自動的に実行するように構成することもできる。
図23は、第2モードにおいて、載置面51a上に載置されたサンプルSPを斜め上方から撮像したときの表示画面を例示している。図23に示すように、サンプルSPの上面には、文字「A」を示す溝M1が設けられている。
また、図24は、第2モードにおいて第2側射照明95を用いつつ、サンプルSPを真上から撮像したとき(θ=±0°)のときの表示画面を例示している。この場合、表示部22上には、第2カメラ93の検出信号に基づいて画像処理部214が生成した第1画像データI1が表示される。
一方、図25は、第2モードにおいて第2同軸照明94を用いつつ、サンプルSPを真上から撮像したとき(θ=±0°)のときの表示画面を例示している。この場合、表示部22上には、第2カメラ93の検出信号に基づいて画像処理部214が生成した第1画像データI1が表示される。
図24および図25に例示するように、第2側射照明85を用いた場合と、第2同軸照明94とを場合とでは、第1画像データI1の明暗のコントラストが反転したかのような画像が得られる。詳しくは、例えば、金属のように表面が均一なサンプルSPを用いた場合、金属表面から正反射光が多く発せられるため、第2同軸照明94を用いた場合は対物レンズ92によって相対的に多くの反射光が収集され、相対的に明るい画像となる。一方、同様のサンプルSPに対して第2側射照明85を用いた場合は、対物レンズ92によって相対的に少量の正反射光が収集されるため、相対的に暗い画像となる。
このように、照明の種類によって画像の明暗を相異させることで、一方の照明を用いた場合は視認し難い情報(例えば、サンプルSPの表面状態)であっても、他方の照明を用いた場合は視認し易くなることがある。
例えば、図24および図25に示す例では、溝M1に加えて、サンプルSPの表面に存在する傷Sc1,Sc2等、微少な凹凸構造の明暗が変化する。図24では溝M1は視認し易いものの、傷Sc1,Sc2は視認し難い。また、傷Sc3は、図24ではさらに視認し難い。一方、図25では溝M1は視認し難くなるものの、傷Sc1,Sc2は視認し易くなる。また、傷Sc3は、図25では明瞭に視認される。このように、サンプルSPの種別に応じて照明を変更することで、ユーザは、サンプルSPの表面状態より適切に把握することができる。
続くステップS2では、制御部21は、ユーザによる操作入力に基づいて、第2モードから第1モードへの切替指示を受け付ける。この時点では、モード切替部211によるスライド機構65の動作は未実行である。
続いて、ステップS3では、モード切替を実行する前に、照明設定部215による照明条件の設定が実行される。ステップS3で行われる処理は、図21に示す通りである。すなわち、図20のステップS3は、図21のステップS31~ステップS40によって構成されている。
まず、図21のステップS31において、照明設定部215は、現在の照明条件(第2モードにおいて参照中の照明条件)を構成する各項目を取得する。
続くステップS32において、照明設定部215は、第1モードで参照されるべき照明条件を構成する各項目のうち、第1モードで使用可能な項目を取得する。
続くステップS33において、照明設定部215は、ステップS31で取得した現在の照明条件の各項目と、ステップS32で取得された使用可能な項目と、を比較して、双方で共通の項目を抽出する。
続くステップS34において、照明設定部215は、ステップS33において共通の項目が抽出されたか否か(共通の項目が存在するか否か)を判定し、この判定がYESの場合はステップS35へ進む一方、NOの場合はステップS36へ進む。
ステップS35において、照明設定部215は、複数の項目からなる照明条件のうち、ステップS33で抽出された共通の項目(側射照明84および第2側射照明95において何時方向のブロックを点灯させるか等、第1モードと第2モードで流用可能な項目)については、現在の照明条件を流用する。一方、ステップS33で抽出されなかった項目(例えば、分析光学系7の構成に関連した第1モード固有の設定項目)については、前回使用した設定、初期設定等を読み込む。照明設定部215は、各項目の設定が完了すると、制御プロセスをステップS39へ進め、第1モード用の照明条件として記憶装置21bに記憶させる。
一方、ステップS36において、照明設定部215は、前回使用した設定が存在するか否かを判定し、この判定がYESの場合はステップS37へ進む一方、NOの場合はステップS38へ進む。ステップS37において、照明設定部215は、照明条件として前回使用した設定を読み込んでステップS39へ進み、読み込んだ照明条件を、第1モード用の照明条件として記憶装置21bに記憶させる。また、ステップS38において、照明設定部215は、照明条件として初期設定を読み込んでステップS39へ進み、読み込んだ照明条件を、第1モード用の照明条件として記憶装置21bに記憶させる。
ステップS39から続くステップS40において、照明制御部216は、観察用の照明(第2同軸照明94または第2側射照明95)を消灯して図21に示すフローを終了する。その後、制御プロセスは、図20のステップS3からステップS4に進む。
ステップS4では、モード切替部211がスライド機構65を作動させて観察光学系9と分析光学系7とを一体的にスライド移動させることで、第2モードから第1モードへの切替が実行される。
続くステップS5では、モード切替が完了した後に、照明制御部216による照明制御、ならびに、スペクトル取得部212およびスペクトル解析部213によるサンプルSPの成分分析が実行される。ステップS5で行われる処理は、図22に示す通りである。すなわち、図20のステップS5は、図22のステップS51~ステップS61によって構成されている。
まず、ステップS51において、照明制御部216は、照明設定部215によって設定された照明条件を、記憶装置21bから読み込む。続くステップS52において、照明制御部216は、ステップS51で読み込んだ照明条件を反映するように、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を点灯させる。これにより、第1カメラ81の露光時間、LED光源79aから発せられる照明光の光量等、分析用の照明に係る各制御パラメータは、第2モードにおける制御パラメータを可能な限り再現することになる。
本実施形態では、成分分析用の反射型対物レンズ74は、観察用の対物レンズ92に比して、観察時の被写体深度が浅い。そのため、ステップS52から続くステップS53において、照明制御部216は、第2画像データI2中の各所においてオートフォーカスを実行し、全焦点画像の生成を実行する。
また、画像処理部214は、反射型対物レンズ74よりも対物レンズ92の拡大倍率が低い場合には、第2モードから第1モードへの切替に際して保存された第1画像データI1をマッピング画像とし、そのマッピング画像内のどの箇所が第2画像データI2として撮像されているかを表示部22上に表示することができる。
図25は、第1モードにおいて、同軸照明79を用いつつサンプルSPを真上から撮像したとき(θ=±0°)のときの表示画面を例示している。この場合、表示部22上には、第1カメラ81の検出信号に基づいて画像処理部214が生成した第2画像データI2が表示される。
一方、図26は、第2モードにおいて、側射照明84を用いつつサンプルSPを真上から撮像したとき(θ=±0°)のときの表示画面を例示している。この場合、表示部22上には、第1カメラ81の検出信号に基づいて画像処理部214が生成した第2画像データI2が表示される。
同軸照明79を用いた場合と側射照明84を用いた場合を比較すると、第2側射照明95および第2同軸照明94の比較と同様に、第2画像データI2の明暗のコントラストが反転したかのような画像が得られる。2種類の照明を使い分けることで、前述したように、溝M1に加えて、サンプルSPの表面に存在する傷Sc1,Sc2等、微少な凹凸構造の明暗が変化する。サンプルSPの種別に応じて照明を変更することで、ユーザは、サンプルSPの表面状態をより適切に把握することができる。
また、画像処理部214は、レーザ光の照射位置(レーザ照射点)を示唆するマークP1を第2画像データI2上にオーバーレイ表示することもできる。このマークP1は、レーザ光の照準を示す。ユーザは、マークP1の位置をチェックすることで、分析対象が適切に設定されているか否かを確認することができる。画像処理部214は、その確認結果を示す操作入力(例えば、ユーザによる手入力)に基づいて、制御プロセスを進めることができる。
ここで、分析対象が適切に設定されていない場合、ヘッド部6は、例えばユーザによる操作入力に基づいて、載置台駆動部53を駆動して載置台本体51の位置を調整する。これにより、マークP1に対するサンプルSPの相対位置を補正することができる。
続くステップS54において、制御部21は、レーザ光の照射指示を受け付けたか否かを判定する。この判定は、例えば、ユーザによる操作入力に基づいて実行される。この判定がYESになるまで、制御部21はステップS54を繰り返す。
続くステップS55において、画像処理部214は、レーザ光を照射する直前の第2画像データI2を記憶装置21bに保存する。それに続くステップS56において、照明制御部216は、その時点における照明の点灯状態(レーザ光の出射直前のタイミングにおける照明条件)を記憶装置21bに記憶させる。続くステップS57では、照明制御部216は、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を消灯する。
そして、ステップS58において、スペクトル取得部212は、分析光学系7からサンプルSPへとレーザ光を出射させる。このステップS58では、第1および第2検出器77A,77Bによって、サンプルSPのプラズマ化に起因して発せられる光(2次電磁波)が受光される。その際、第1および第2検出器77A,77Bによる受光タイミングは、レーザ光の出射タイミングと同期するように設定される。スペクトル取得部212は、レーザ光の出射タイミングに合わせて強度分布スペクトルを取得する。
続くステップS59において、照明制御部216は、分析用の照明(同軸照明79または側射照明84)を点灯させる。続くステップS60において、照明制御部216は、記憶装置21bに記憶させた照明条件を読み込むとともに、その照明条件を反映するように分析用の照明を制御する。これにより、レーザ光の出射直前の点灯状態が再現される。なお、ステップS59とステップS60は、その順番を入れ替えてもよいし、両ステップを同時に実行するように構成してもよい。
続くステップS61では、スペクトル解析部213が強度分布スペクトルを解析することで、サンプルSPに含まれる元素の成分および成分比の分析と、成分比に基づいた材料の推定と、を実行する。材料の推定結果は、例えば表示部22上に表示される。これにより、図20のステップS5が完了し、図20に示すフローが終了する。
<分析観察装置Aの主要な特徴部>
(測定精度の向上に資する特徴部)
以上説明したように、本実施形態に係る透過領域12aは、図8Aおよび図14に例示されるように、電磁波出射部71から出射されて開口部11aを通過した1次電磁波を透過させることで、該1次電磁波を反射型対物レンズ74の分析光軸Aaに沿って出射させる。1次電磁波は、分析光軸Aaに対して同軸化された状態、でサンプルSPに照射される。これにより、サンプルSPにおいて発生した2次電磁波を、1次ミラー11によって可能な限り十分に収集することが可能になる。これにより、第1および第2検出器77A,77Bに到達する2次電磁波の強度を高め、ひいては、分析観察装置Aの検出精度を高めることができる。
また、図7に示すように、反射型対物レンズ74によって収集された2次電磁波は、第1または第2パラボリックミラー76A,76Bを介して第1または第2検出器77A,77Bに至る。このように、反射系のみを利用して2次電磁波を導くように構成することで、光ファイバを不要としたファイバレスの構成を実現することができるようになる。これにより、2次電磁波の損失を可能な限り抑制し、ひいては、分析観察装置Aの検出精度を高める上で有利になる。
また、図7に示すように、第1および第2パラボリックミラー76A,76Bそれぞれの焦点位置を、第1および第2検出器77A,77Bそれぞれの入射スリット77a,77aにアライメントすることで、第1および第2検出器77A,77Bにおいて受光される2次電磁波のゲインを最大限に高めることができる。このことは、分析観察装置Aの検出精度を高める上で有効である。
また、図7に示すように、分析観察装置Aは、ガラス材料の透過に伴う損失が懸念される紫外側の第1成分については、ガラス材料を主体とした分光素子75を透過させることなく第1検出器77Aまで導く一方、第1成分に比して損失の影響が小さい赤外側の第2成分については、分光素子75を透過させて第2検出器77Bまで導くように構成されている。このように構成することで、2次電磁波の損失を可能な限り抑制しつつ、複数の検出器による検出を実現することができる。複数の検出器による検出は、波長分解能の向上に資する。したがって、このような構成は、2次電磁波の損失抑制および波長分解能の向上に因る測定精度の向上に資する。
また、図14に示すように、偏向素子73は、1次電磁波については反射領域731によって反射して反射型対物レンズ74まで導く一方、2次電磁波については中空領域732を通過させる。2次電磁波に中空領域732を通過させることで、2次電磁波の損失を抑制することができる。したがって、こうした構成は、反射領域731による1次電磁波の同軸化と、2次電磁波の損失抑制に因る測定精度の向上と、を両立する上で有効である。
また、図12に示すように、1つの偏向素子73によって、反射領域731と中空領域732とを同時に成立させることができる。そうした構成は、反射領域731による1次電磁波の同軸化と、2次電磁波の損失抑制に因る測定精度の向上と、を両立する上で有効である。
また、図14に示すように、第1の支持脚部73d付近の領域を通過した2次電磁波は、第2の支持脚部14bによって遮られることなく、偏向素子73を通過することができる。このことは、2次電磁波の損失を抑制し、ひいては分析観察装置Aにおける測定精度の向上を図る上で有効である。
また、図13に示すように、中空領域732を区画する貫通孔73bは、反射型対物レンズ74の分析光軸Aa方向に沿って延びるように形成される。このように形成することで、貫通孔73bを分析光軸Aaまわりに所定角度回転させたときに、その貫通孔73bが平面視で回転対称(図例では3回対称)となるように構成することができる。これにより、貫通孔73bの内周面と、中空領域732を通過する2次電磁波との間の距離を確保し、貫通孔73bと2次電磁波との干渉を抑制することができる。このことは、2次電磁波の損失を抑制する上で有効であり、測定精度の向上に資する。
また、図7に示すように、1次電磁波に加えて、第1カメラ81の光軸も反射型対物レンズ74と同軸化される。これにより、1つの反射型対物レンズ74によって、サンプルSPへの1次電磁波の照射と、サンプルSPからの2次電磁波の収集と、第1カメラ81によるサンプルSPの撮像と、からなる3つの機能を互いに阻害させることなく実現することができる。
また、透過領域12aと載置面51aとの間に光学薄膜13bを介在させることで、透過領域12aを介した反射光の収集を抑制し、1次反射面11bおよび2次反射面12bによってのみ反射光を収集することができる。これにより、第1カメラ81において反射光が2重に結像されてしまう虞を抑制し、ひいては測定精度の向上に有利になる。
また、図7に示すように、第1カメラ81の光軸に加えて、同軸照明79も反射型対物レンズ74と同軸化される。これにより、1つの反射型対物レンズ74によって、サンプルSPへの1次電磁波の照射と、サンプルSPからの2次電磁波の収集と、第1カメラ81によるサンプルSPの撮像と、サンプルSPへの照明光の照射と、からなる4つの機能を互いに阻害させることなく実現することができる。
(ユーザビリティの向上に資する特徴部)
また、本実施形態に係る分析観察装置Aは、分析用の撮像部としての第1カメラ81を備えているとともに、その第1カメラ81による撮像に用いる照明装置として、図8Aおよび図8Bに示すように、分析対象物に斜め上方から照明光を照射する側射照明84を備えてなる。このように、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74の周囲に側射照明84を設けることで、同軸照明等、他の照明を用いたのでは捉えがたい表面状態をユーザに把握させることができる。これにより、成分分析におけるユーザビリティを向上させることができる。
また、側射照明84を反射型対物レンズ74の外周に配置することで、反射型対物レンズ74のコンパクト化を損なうことなく、より広域にわたって照明光を照射することができる。これにより、視認性に優れた画像データを生成し、サンプルSPの表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、本実施形態に係る側射照明84は、例えば図10に示すように、反射型対物レンズ74の分析光軸Aaまわりに回転対称となるように照明光を照射することができる。このことは、第1カメラ81によって撮像される領域に対して照明光を十分に照射する上で有利になる。
また、図8Bに示すように、導光部材84cを介して照明光を出射することで、より広域にわたって照明光を照射することができる。これにより、2次ミラー12および第2の支持脚部14b等によって生じ得るケラレの発生を抑制することができる。ケラレの発生を抑制することで、画像データにシェーディングが発生するのを抑制することができる。これにより、より視認性に優れた画像データを生成し、サンプルSPの表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、図8Aおよび図8Bに示すように、側射照明84と反射型対物レンズ74とが直に接続されないように構成することで、LED光源84bと、1次ミラー11および2次ミラー12との熱的な接続が抑制される。これにより、LED光源84bからの発熱に起因した、1次ミラー11および2次ミラー12に対する熱的な影響を抑制することができる。1次ミラー11および2次ミラー12に対する熱的な影響を抑制することで、両ミラー11,12の位置ずれを抑制することができる。このことは、制御部21による成分分析の精度を確保する上で有効である。
また、図8Aおよび図8Bに示すように、LED光源84bを光軸方向において1次ミラー11と2次ミラー12との間に配置することで、LED光源84bを必要以上に載置面51aに接近させないように構成することができる。これにより、光軸方向における導光部材84cの収容スペースを十分に確保することができる。また、LED光源84bを必要以上に載置面51aから離間させないように構成することで、側射照明84を過度に大径化することなく、反射型対物レンズ74に対して側射照明84がなす傾斜角度を十分に確保することができる。これにより、適切な領域に照明光を照射することができ、視認性に優れた画像データを生成することができる。その結果、サンプルSPの表面状態をより明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、図10に示すように、複数のブロックからなる側射照明84は、それぞれを個別に点灯させることで、種々の角度から照明光を照射することができる。これにより、サンプルSPの表面状態を、より明確にユーザに把握させることができるようになる。
また、本実施形態に係る分析観察装置Aは、照射方向の異なる2種類の照明装置を使い分けることができる。これにより、よりバラエティに富んだ画像データを生成することができ、ひいては、サンプルSPの表面状態をユーザに把握させる上で有利になる。
また、分析観察装置Aは、分析光学系7ばかりでなく、観察光学系9においても、照射方向の異なる2種類の照明装置を使い分けることができる。これにより、よりバラエティに富んだ画像データを生成することができ、ひいては、サンプルSPの表面状態をユーザに把握させる上で有利になる。
また、図21および図22を用いて説明したように、処理部としての制御部21は、サンプルSPの観察時と分析時とで、可能な限り同じ条件下で画像データを生成することができる。これにより、観察時に生成される画像データ(第1画像データI1)と、分析時に生成される画像データ(第2画像データI2)とをユーザに違和感を与えることなく切り替えることが可能になり、ユーザビリティを向上させる上で有利になる。
また、本実施形態に係る分析観察装置Aは、サンプルSPの観察時と分析時とで、焦点距離を一致させるように構成されている。これにより、サンプルSPの観察時と分析時とで、可能な限り同じ条件下で画像データを生成することができるようになる。その結果、観察時に生成される画像データ(第1画像データI1)と、分析時に生成される画像データ(第1画像データI1)とをユーザに違和感を与えることなく切り替えることが可能になり、ユーザビリティを向上させる上で有利になる。
《他の実施形態》
(ハード構成に係る変形例)
図28は、側射照明の変形例を示す底面図である。
前記実施形態では、側射照明84は、環状の照明光を出射可能な環状照明によって構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。本開示に係る側射照明は、収集ヘッドとしての反射型対物レンズ74を取り囲むように配置されかつサンプルSPに対して斜め上方から照明光を照射するような照明装置一般を含む。すなわち、側射照明は、図28の上段に例示するような環状照明としての側射照明84には限定されず、図28の中段に例示する矩形状照明84’を側射照明としてもよいし、図28の下段に例示する十字状照明84”を側射照明としてもよい。
また、前記実施形態では、分析筐体70の外面によって観察筐体90を支持するように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。観察筐体90または観察ユニット9aを分析筐体70の内面によって支持するように構成してもよい。この場合、観察筐体90または観察ユニット9aは、分析光学系7と同様に、分析筐体70に収容されることになる。
また前記実施形態では、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaは、互いに平行になるように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。観察光軸Aoと分析光軸Aaとがねじれの位置になるように、分析光学系7および観察光学系9を配置することもできる。
(分析方法の変形例)
前記実施形態に係る分析観察装置Aは、電磁波出射部71から1次電磁波としてのレーザ光を出射させることで、LIBS法による成分分析を行うように構成されていたが、本開示は、そうした構成には限定されない。
例えば、1次電磁波として赤外光を用いることで、LIBS法ではなく赤外分光法による分析を行ってもよい。具体的には、赤外光を観察対象物に照射し、透過または反射した光(2次電磁波)を測定することで、観察対象物に含まれる分子の化学構造を分析してもよい。電磁波として単色光を用い、単色光を観察対象物に照射することで生じるラマン散乱光を用いて観察対象物の結晶性などの物性を調べる、ラマン分光法による分析を行ってもよい。また、電磁波として約180~3000nm程度の紫外領域、可視領域および赤外領域の光を用いることで、紫外可視近赤外分光法による分析を行ってもよい。具体的には、電磁波を観察対象物に照射し、透過または反射した光を測定することで、観察対象物に含まれる目的成分の定性・定量分析を行ってもよい。さらに、電磁波としてX線を用いることで、X線領域の分光分析を行ってもよい。具体的には、X線を観察対象物(試料)に照射し、それによって発生する固有のX線である蛍光X線のエネルギーおよび強度により観察対象物の元素を分析する蛍光X線分析を行ってもよい。電磁波の代わりに電子線を用い、電子線を観察対象物に照射することによって発生する反射電子のエネルギーおよび強度により観察対象物の表面を分析してもよい。本開示に係る構成は、それらの分光を行う場合にも適用可能である。
A 分析観察装置(分析装置)
1 光学系アセンブリ
2 コントローラ本体
21 制御部(処理部)
215 照明設定部
216 照明制御部
64 筐体連結具
65 スライド機構
7 分析光学系
70 分析筐体
71 電磁波出射部
73 偏向素子
731 反射領域
732 中空領域
73a 素子支持部材
73b 貫通孔
73c ミラー部材
73d 第1の支持脚部
74 反射型対物レンズ(収集ヘッド)
11 1次ミラー
11a 開口部
11b 1次反射面
12 2次ミラー
12a 透過領域
12b 2次反射面
13 3次レンズ
13b 光学薄膜
14 支持部材
14a ミラー支持部材
14b 第2の支持脚部
75 分光素子
76A 第1パラボリックミラー(パラボリックミラー)
76B 第2パラボリックミラー(パラボリックミラー)
77A 第1検出器(検出器)
77B 第2検出器(検出器)
77a 入射スリット(受光部)
79 同軸照明
81 第1カメラ(撮像部)
84 側射照明
84a 筐体
84b LED光源(光源)
84d 拡散板
9 観察光学系
90 観察筐体
92 対物レンズ
93 第2カメラ(第2の撮像部)
94 第2同軸照明(第2の同軸照明)
95 第2側射照明(第2の側射照明)
Aa 分析光軸(反射型対物レンズの光軸)
Ao 観察光軸
I1 第1画像データ
I2 第2画像データ
SP サンプル(分析対象物)

Claims (12)

  1. 分析対象物を分析するための1次電磁波を出射する電磁波出射部と、
    前記電磁波出射部から前記1次電磁波が出射されたことにより前記分析対象物において発生した2次電磁波を収集する収集ヘッドと、
    前記分析対象物において発生しかつ前記収集ヘッドによって収集された前記2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する検出器と、
    前記検出器により生成された前記強度分布スペクトルに基づいて、前記分析対象物の成分分析を行う処理部と、を備える分析装置であって、
    前記収集ヘッドを取り囲むように配置され、前記分析対象物の斜め側方から照明光を照射する側射照明と、
    前記収集ヘッドを介して前記分析対象物で反射された反射光を収集し、該収集された反射光の受光量を検出する撮像部と、
    前記収集ヘッドによって収集された前記2次電磁波と、前記収集ヘッドによって収集された前記反射光と、を共通の光路を介して受光するとともに、前記2次電磁波を前記検出器へ導く一方、前記反射光を前記撮像部へ導くように前記共通の光路を分光する分光素子と、をさらに備え、
    前記処理部は、前記強度分布スペクトルに基づいて前記分析対象物の成分分析を行うとともに、前記撮像部により検出された前記反射光の受光量に基づいて前記分析対象物の画像データを生成する
    ことを特徴とする分析装置。
  2. 請求項1に記載された分析装置において、
    前記収集ヘッドは、
    径方向の中央部に開口部が設けられていて、前記1次電磁波の出射に対応して前記分析対象物において発生した前記2次電磁波を反射する1次反射面が前記開口部の周囲に設けられた1次ミラー、および、
    前記1次反射面によって反射された前記2次電磁波を受光してさらに反射させる2次反射面が設けられた2次ミラーを有し、
    前記1次ミラーおよび前記2次ミラーによって前記2次電磁波を集光して前記開口部に導く反射型対物レンズによって構成され、
    前記側射照明は、前記反射型対物レンズの外周を囲うように配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  3. 請求項2に記載された分析装置において、
    前記側射照明は、前記反射型対物レンズを環状に囲ってなる環状照明によって構成され、
    前記側射照明に対応した円環の中心軸は、前記反射型対物レンズの光軸と同軸になるように配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  4. 請求項2または3に記載された分析装置において、
    前記側射照明は、
    前記照明光を発する光源と、
    前記光源から発せられた前記照明光を透過させ、該照明光を前記反射型対物レンズの光軸に直交する径方向において拡散する拡散部材と、を有する
    ことを特徴とする分析装置。
  5. 請求項4に記載された分析装置において、
    前記側射照明は、前記反射型対物レンズの外周を覆う筐体を有し、
    前記光源は、前記反射型対物レンズの外周面から離間した状態で、前記筐体によって支持される
    ことを特徴とする分析装置。
  6. 請求項4または5に記載された分析装置において、
    前記光源は、前記反射型対物レンズの光軸方向において、前記2次ミラーよりも前記分析対象物から離間するように配置される
    ことを特徴とする分析装置。
  7. 請求項2から6のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記側射照明は、前記反射型対物レンズの光軸まわりの周方向に沿って複数のブロックに分割され、各ブロックを個別に点灯可能に構成される
    ことを特徴とする分析装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記電磁波出射部から出射される前記1次電磁波と同軸化された光路を介して照明光を照射する同軸照明を備え、
    前記処理部は、前記側射照明および前記同軸照明の少なくとも一方から照明光を照射させるように、前記側射照明および前記同軸照明の少なくとも一方に制御信号を入力する
    ことを特徴とする分析装置。
  9. 請求項8に記載された分析装置において、
    前記電磁波出射部、前記収集ヘッド、前記検出器および前記撮像部を収容してなる分析筐体と、
    前記分析対象物からの反射光を集光する対物レンズと、該対物レンズを介して集光された反射光を収集し、該収集された反射光の受光量を検出する第2の撮像部と、を収容してなり、前記分析筐体によって保持される観察筐体と、を備え、
    前記観察筐体には、
    前記対物レンズを取り囲むように配置され、前記分析対象物の斜め側方から照明光を照射する第2の側射照明と、
    前記対物レンズを介して集光される前記反射光と共通の光路を介して照明光を照射する第2の同軸照明と、の少なくとも一方が設けられ、
    前記処理部は、前記第2の側射照明および前記第2の同軸照明の少なくとも一方から照明光を照射させるように、該第2の側射照明または前記第2の同軸照明の少なくとも一方に制御信号を入力する
    ことを特徴とする分析装置。
  10. 請求項9に記載された分析装置において、
    前記分析対象物に前記収集ヘッドを向かい合わせた第1の状態と、
    前記分析対象物に前記対物レンズを向かい合わせた第2の状態と、
    の間で前記分析筐体および前記観察筐体をスライドさせるスライド機構を備え、
    前記処理部は、前記第1の状態と、前記第2の状態との間の切替前後で、
    前記第1の状態における前記側射照明の照明条件および前記同軸照明に係る照明条件と、
    前記第2の状態における前記第2の側射照明の照明条件および前記第2の同軸照明に係る照明条件と、
    のうち、切替前に参照された照明条件を再現するように、切替後の照明条件を設定する
    ことを特徴とする分析装置。
  11. 請求項10に記載された分析装置において、
    前記第1の状態における前記分析対象物と前記収集ヘッドの中央部との距離は、前記第2の状態における前記分析対象物と前記対物レンズの中央部との距離と一致するように設定される
    ことを特徴とする分析装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載された分析装置において、
    前記電磁波出射部は、前記1次電磁波としてのレーザ光を出射するレーザ光源によって構成され、
    前記収集ヘッドは、前記電磁波出射部から出射されたレーザ光の照射に対応して前記分析対象物において発生した光を集光し、
    前記検出器は、前記分析対象物において発生しかつ前記収集ヘッドによって集光された光の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する
    ことを特徴とする分析装置。
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