JP2022170810A - 車上装置及び判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】列車の車上装置1において、軌道に設置された磁石を検出できるようにすること。【解決手段】磁気センサ部10は、永久磁石7の発生磁界を検出するために所定の位置関係で配置された複数の磁気センサ素子12を有する。車上制御装置30は、磁気センサ素子12それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出し、永久磁石7の設置位置を通過する際に検出される磁界分布の基準となる基準磁界分布と、検出した磁界分布とを比較することで、永久磁石7の設置位置を通過したか否かを判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、車上装置等に関する。
鉄道の列車制御システムの構成要素である列車位置検知装置には、地上装置で列車位置を検出するタイプと、車上装置で自列車の位置を認識するタイプとがある。
前者のタイプの地上装置としては、軌道回路が最も多く用いられており、近年では車軸検知装置なども多く用いられるようになりつつある。これらの装置は、高い安全性を有しているが、検知する位置分解能を高めようとした場合、それに応じて多くの設備を必要とするという課題がある。
後者のタイプとしては、速度発電機やパルスジェネレータなどを利用して取得した自列車の速度情報を積算することで走行距離を算出し、自列車の位置を認識する方法が一般的である。この方法は、多くの設備を必要としない利点があるが、速度発電機などから取得される列車の速度情報は、車輪の空転や滑走による誤差を含む可能性が高いため、安全性の観点から、何らかの方法により絶対位置を検知して定期的に誤差をリセットする必要がある。絶対位置の検知手法としては、軌道に設置した地上子等の地上設備を検出する手法が一般的である。しかしながら、列車が走行する軌道は長大であることから、位置検知のための地上設備を多数設置する必要があり、その設置や保守に要するコストが大きいという問題があった。
ところで、自動車の自動運転技術の分野ではあるが、永久磁石を路面に埋込み、その磁石を車両に搭載した磁気センサで検出することで磁石に対する車両の相対位置を認識する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6355607号公報
上述の特許文献1の技術を鉄道分野に応用する方法が考えられる。具体的には、列車の位置検知用の地上設備として磁石を軌道に設置し、車上装置がこの磁石を検出することで列車位置の誤差をリセットする方法である。しかしながら、この方法を実現するには、次の課題を解決する必要がある。
すなわち、列車に搭載した磁気センサで磁石を検出するが、鉄道においては鉄橋等の磁界を発生する巨大な磁気源が存在する。このような磁気源と位置検知用の磁石とを区別して検出する必要がある。例えば、検出した磁界強度の時系列変化と列車速度の時系列変化とから走行距離(列車位置)に対する磁界強度の変化を求め、この走行距離に対しての磁界強度の変化から磁気源のサイズを推定することで、位置検知用の磁石であるかその他の磁気源であるかを区別する方法が考えられる。ある走行距離で検出される磁界強度は磁気源のサイズ及び磁気源からの距離に応じた大きさとなるから、走行距離に対する磁界強度の変化は、磁気源のサイズに応じて異なる形状のグラフになる。しかし、上述した通り、車上装置で取得される速度情報は空転や滑走等による誤差を含んでいるから、車上装置が認識している走行距離も誤差を含んでいる。このため、走行距離に対する磁界強度の変化も誤差を含むことになり、確実な検出方法とはいい難い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、列車の車上装置において、軌道に設置された磁石を検出できるようにすることである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
予め定められた設置位置に磁石が設置された軌道上を走行する車両に搭載される車上装置であって、
前記設置位置を通過する際に前記磁石の発生磁界を検出するために所定の位置関係で配置された複数の磁気センサ素子を有する磁気センサ部と、
前記磁気センサ素子それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出する検出部と、
前記設置位置を通過する際に前記検出部が検出する前記磁界分布の基準となる基準磁界分布と、前記検出部が検出した磁界分布とを比較することで、前記設置位置を通過したか否かを判定する判定部と、
を備える車上装置である。
他の発明として、
予め定められた設置位置に磁石が設置された軌道上を走行する車両に搭載される車上装置であって、前記設置位置を通過する際に前記磁石の発生磁界を検出するために所定の位置関係で配置された複数の磁気センサ素子を有する磁気センサ部を備えた車上装置が、前記設置位置の通過を判定するための判定方法であって、
前記磁気センサ素子それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出することと、
前記設置位置を通過する際に検出される前記磁界分布の基準となる基準磁界分布と、前記検出された磁界分布とを比較することで、前記設置位置を通過したか否かを判定することと、
を含む判定方法を構成してもよい。
第1の発明等によれば、列車の車上装置において、軌道に設置された磁石を検出することができる。つまり、複数の磁気センサ素子の検出値に基づく磁界分布を検出し、検出した磁界分布を、磁石の設置位置を通過する際に検出される磁界分布の基準となる基準磁界分布と比較することで、当該磁石の設置位置を通過したことを判定する。これにより、磁石をその他の磁気源と区別して検出することができるとともに、磁石の設置位置を通過したことを判定することができる。そして、軌道に設置した磁石を地上設備として用いた列車位置検知装置を、地上子等を地上設備として用いた従来の列車位置検知装置と比較して低いコストで構築することができる。
第2の発明は、第1の発明において、
前記磁気センサ部は、少なくとも、前記車両の左右方向に配置した複数の磁気センサ素子を有する、
車上装置である。
第2の発明によれば、磁気センサ部が有する複数の磁気センサ素子は、少なくとも、車両の走行方向である前後方向に対して直交する左右方向に配置されている。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記磁気センサ部は、少なくとも、前記車両の前後左右の方向に沿った平面状に配置した複数の磁気センサを有する、
車上装置である
第3の発明によれば、磁気センサ部が有する複数の磁気センサ素子は、少なくとも、車両の前後左右方向に沿った平面状に配置されている。
第4の発明は、第1~第3の何れかの発明において、
前記磁石には、大きさ、設置向き、着磁パターンのうちの何れかが異なる複数種類の磁石があり、
前記軌道には、前記磁石が設置される前記設置位置毎に、設置される前記磁石の種類が予め定められており、
前記基準磁界分布には、前記磁石の種類毎の基準磁界分布があり、
前記判定部は、前記検出部が検出した磁界分布を、前記磁石の種類別の基準磁界分布それぞれと比較して、通過する設置位置に設置されている前記磁石の種類を判定する、
車上装置である。
第4の発明によれば、磁石には、大きさや設置向き、着磁パターンが異なる複数種類があり、軌道には、設置位置毎に設置される磁石の種類が予め定められている。磁石の種類が異なると、当該磁石の発生磁界が異なるから、車上装置において検出される磁界分布が異なる。このため、磁石の種類別の基準磁界分布それぞれと、検出された磁界分布とを比較することで、設置位置を通過した磁石の種類を判別することができる。
第5の発明は、第4の発明において、
前記基準磁界分布には、前記磁石の種類別であり、且つ、前記設置位置に対する相対位置別、の基準磁界分布があり、
前記判定部は、前記検出部が時系列に検出した磁界分布を前記基準磁界分布それぞれと比較し、適合すると判定した回数に基づいて、通過する設置位置に設置されている前記磁石の種類を判定する、
車上装置である。
第5の発明によれば、磁石の種類別に加えて、更に、当該磁石の設置位置に対する相対位置別の複数の基準磁界分布がある。そして、走行する車両が磁石の設置位置を通過する際には、時系列に検出した磁界分布を、それぞれの基準磁界分布と適合判定することになる。そして、適合した回数が例えば所定回数以上となった場合に当該種類の磁石を検出したと判定する。これにより、通過した設置位置に設置されている磁石の種類を精度よく判定することができる。
第6の発明は、第1~第5の何れかの発明において、
前記磁気センサ素子は、複数の検出軸を有し、
前記検出部は、前記検出軸毎に前記磁界分布を検出し、
前記基準磁界分布には、前記検出軸毎の基準磁界分布があり、
前記判定部は、前記検出軸毎に、当該検出軸の基準磁界分布と、前記検出部が検出した当該検出軸の前記磁界分布とを比較する、
車上装置である。
第6の発明によれば、磁石の発生磁界は三次元空間における磁界分布であるから、複数の検出軸を有する磁気センサ素子とし、検出軸毎に検出した磁界分布と基準磁界分布とを比較することで、磁石の発生磁界をより正確に検出し、磁石の設置位置を通過したか否かをより精度よく判定することができる。
車上装置の適用例。 磁気センサ部の構成例。 磁界分布の表し方の説明図。 永久磁石の種類の判定の説明図。 永久磁石の種類の一例。 図5の永久磁石の設置位置を通過する際の磁気センサ部との位置関係図。 図5の永久磁石による磁界分布の一例。 図5の永久磁石による磁界分布の一例。 図5の永久磁石による磁界分布の一例。 永久磁石の種類の一例。 図10の永久磁石の設置位置を通過する際の磁気センサ部との位置関係図。 図10の永久磁石による磁界分布の一例。 図10の永久磁石による磁界分布の一例。 図10の永久磁石による磁界分布の一例。 永久磁石の種類の一例。 図15の永久磁石による磁界分布の一例。 図15の永久磁石による磁界分布の一例。 図15の永久磁石による磁界分布の一例。 永久磁石の種類の一例。 図19の永久磁石による磁界分布の一例。 図19の永久磁石による磁界分布の一例。 図19の永久磁石による磁界分布の一例。 永久磁石の種類の一例。 図23の永久磁石による磁界分布の一例。 図23の永久磁石による磁界分布の一例。 図23の永久磁石による磁界分布の一例。 複数種類の永久磁石による磁界分布の相関係数の一例。 車上制御装置の機能構成図。 検出データの一例。 設置磁石データの一例。 判定処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
[全体構成]
図1は、本実施形態の車上装置の適用例を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の車上装置1は、軌道5を走行する鉄道車両3に搭載され、磁気センサ部10と、車上制御装置30とを備える。軌道5には、複数の永久磁石7が、種類毎に予め定められた設置位置に設置されている。本実施形態では、永久磁石7は、左右のレール間に設置されることとする。永久磁石7の種類は、大きさや設置向き、着磁パターンによって定められる。
磁気センサ部10は、鉄道車両3の底部や台車であって、軌道5に設置された永久磁石7の設置位置を通過する際に当該永久磁石7を検出可能な位置に設置される。好適には、当該永久磁石7の設置位置を通過する際に当該永久磁石7に対向することとなる位置に磁気センサ部10を設置するとよい。
車上制御装置30は、速度発電機やパルスジェネレータなどを利用して取得した速度情報を積算することで、鉄道車両3の走行位置を随時算出する。また、本実施形態では、永久磁石7の設置位置は予め決められていることとするため、磁気センサ部10により永久磁石7が検出されると、車上制御装置30は、その検出された永久磁石7の設置位置を用いて、算出している走行位置を補正する。
[磁気センサ部]
図2は、磁気センサ部10の構成の一例を示す図である。図2では、磁気センサ部10を上方から見た概略平面図を示している。図2に示すように、磁気センサ部10は、軌道5に対向する平面状に配置された複数の磁気センサ素子12を有する。図2の例では、鉄道車両3の左右方向に4列、前後方向に4列の合計16個の磁気センサ素子12を平面状に配置して有する磁気センサ部10を示している。隣り合う磁気センサ素子12の間隔は、互いの磁気センサ素子12が重ならない位置であって、左右方向及び前後方向ともに磁気センサ素子12の中心の間隔が150mm以内であると好適である。
磁気センサ素子12は、磁界を検出して当該磁界の大きさや向きに応じた電流又は電圧を検出値として出力する素子である。磁気センサ素子12は、例えば、ホール素子、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)、フラックス・ゲートセンサなどである。
磁気センサ素子12は、3つの検出軸(X軸、Y軸及びZ軸)を有する3軸のセンサであり、X軸を鉄道車両3の前後方向、Y軸を鉄道車両3の左右方向、Z軸を鉄道車両3の上下方向にそれぞれ一致させて配置されている。磁気センサ素子12の検出値は、車上制御装置30へ出力される。車上制御装置30は、各磁気センサ素子12の検出値に基づいて磁界分布を検出する。
図3は、本実施形態における磁界分布の表し方を説明する図である。磁気センサ素子12は3つの検出軸を有する3軸のセンサであり、車上制御装置30は、この3つの検出軸別に、各磁気センサ素子12の当該検出軸の検出値に基づく磁界分布を検出する。1つの検出軸についての磁界分布は、各磁気センサ素子12の当該検出軸の検出値を要素I(i,j)とした二次元配列として表現する。磁気センサ素子12の検出値は、正負が磁界の向きを表し、大きさ(絶対値)が磁界の大きさ(強さ)を表す。二次元配列は、磁気センサ部10における磁気センサ素子12の配置位置に対応しており、鉄道車両3の前後方向(走行方向)を二次元配列のi方向、鉄道車両3の左右方向(枕木方向)をj方向、に対応させている。
軌道5には、複数種類の永久磁石7が、種類別に予め定められた設置位置に設置されている。永久磁石7の種類は、大きさ、設置向き、着磁パターンによって定められる。永久磁石7の種類が異なると、当該永久磁石7が発生する磁界(発生磁界)が異なるから、当該永久磁石7の設置位置を鉄道車両3が通過するときに当該鉄道車両3に搭載された磁気センサ部10が検出する磁界分布が異なる。これを利用して、車上制御装置30は、磁気センサ部10が検出する磁界分布に基づき、検出した永久磁石7の種類を判定する。そして、判定した種類の永久磁石7の設置位置を用いて走行位置を補正する。
図4は、永久磁石7の種類の判定を説明する図である。永久磁石7の種類の判定は、当該永久磁石7の種類に対応付けて予め定められた基準磁界分布と、磁気センサ部10で検出した磁界分布(検出磁界分布)とを比較することで行う。基準磁界分布は、対応する種類の永久磁石7の設置位置を通過する際に検出する磁界分布の基準である。また、永久磁石7の種類別の基準磁界分布として、当該種類の永久磁石7の設置位置に対する相対位置別の複数の基準磁界分布が定められる。
磁界分布は検出軸毎に検出されるから、基準磁界分布も検出軸毎に定められる。具体的には、鉄道車両3が、永久磁石7の設置位置に対する相対位置を通過したタイミングにおいて、当該鉄道車両3に搭載された磁気センサ部10により検出されるであろう磁界分布が、当該永久磁石7の当該相対位置に対応する基準磁界分布として定められる。図4の例では、設置位置に対応する位置、設置位置から100mm手前の位置、200mm手前の位置、の3箇所の相対位置それぞれについて基準磁界分布が定められている。なお、図4では、永久磁石7の設置位置及びその手前の位置を相対位置としているが、設置位置を通過した設置位置の奥方の位置を含めることとしてもよい。
基準磁界分布は、例えば、軌道5に永久磁石7を設置した後に、実際に鉄道車両3が軌道5を走行した際に検出された磁界分布に基づいて定めることができる。或いは、永久磁石7と磁気センサ部10との相対位置関係によって当該磁気センサ部10で検出される磁界分布が決まるから、実験室や工場等における実験結果や、コンピュータを用いたシミュレーションによって定めることもできる。
軌道5を走行する鉄道車両3は、永久磁石7の設置位置を通過する際には、当該永久磁石7の設置位置の手前であって遠い相対位置から順に通過してゆく。このため、車上制御装置30は、磁気センサ部10により検出された磁界分布(検出磁界分布)と、永久磁石7の種類別、及び、当該永久磁石7の設置位置に対応する相対位置別の基準磁界分布それぞれとが適合するか否かの判定を、所定時間間隔(例えば、数m秒程度の間隔)で繰り返し行う。そして、永久磁石7の1つの種類についての設置位置別の基準磁界分布のうち、所定数以上の基準磁界分布と連続して適合し、且つ、その適合した順序が、当該鉄道車両3が通過する相対位置の順序(つまり、設置位置から遠い設置位置の順序)である場合に、当該種類の永久磁石7を検出したと判定する。例えば、鉄道車両3が走行中に検出磁界分布が時系列に検出されてゆくが、最新の検出磁界分布が、種類αの永久磁石7の基準磁界分布のうちの設置位置から200mm手前の位置の基準磁界分布に適合すると判定されたとする。その直後に、次の時点で検出された最新の検出磁界分布が、種類αの永久磁石7の基準磁界分布のうちの設置位置から100mm手前の位置の基準磁界分布に適合すると判定されたとする。すると、2回連続して、同じ種類の永久磁石7の基準磁界分布に適合すると判定され、且つ、その適合の順序が、鉄道車両3が通過する相対位置の順序であることとなる。連続する所定数が「2」であれば、この2回の連続判定によって、種類αの永久磁石7を検出したと判定する。
[検出磁界と基準磁界分布との適合判定]
検出磁界分布と基準磁界分布とが適合するか否かは、その相関係数に基づいて判定する。磁界分布は、検出軸別に、複数の磁気センサ素子12による当該検出軸の検出値によって表される(図3参照)。従って、検出軸別に、当該検出軸の検出磁界分布と基準磁界分布との相関係数を算出する。1つの検出軸の検出磁界分布と基準磁界分布との相関係数は、検出磁界分布及び基準磁界分布の各要素の値を用いて、次式(1)に従って、正規化した相互相関係数として算出される。
Figure 2022170810000002
式(1)において、「I(i,j)」は、検出磁界分布の要素の値(磁気センサ素子(i,j)による検出値)であり、「I」は、検出磁界分布の各要素I(i,j)の平均値であり、「T(i,j)」は、基準磁界分布の要素の値であり、「T」は、基準磁界分布の各要素T(i,j)の平均値であり、「σ」は、検出磁界分布の各要素I(i,j)の標準偏差であり、「σ」は、基準磁界分布の各要素T(i,j)の標準偏差である。
相関係数は「-1.0~1.0」の範囲の値となり、「1.0」が完全に適合することを表す。そして、全て(3つ)の検出軸についての相関係数が所定の閾値(例えば、「0.9」)以上である場合に、検出磁界分布が基準磁界分布に適合すると判定する。なお、検出軸別の相関係数の平均又は合計を算出して総合相関係数とし、この総合相関係数が所定の閾値(例えば、相関係数の平均を総合相関係数とするならば「0.9」、相関係数の合計を総合相関係数とするならば「2.7」)以上である場合に、検出磁界分布が基準磁界分布に適合すると判定してもよい。なお、相関係数が正の場合には磁性が同じであり、負の場合には磁性が逆であることを示し、「-1.0」の場合は磁界の大きさ(絶対値)が同じであるが磁性が逆であることを示す。
車上制御装置30は、上述した適合判定に基づいて、永久磁石7を検出したか否かの判定を行う。具体的には、上述した通り、時系列に検出する検出磁界分布が、1つの種類についての設置位置別の複数の基準磁界分布のうちの所定数以上の基準磁界分布に連続して適合したと判定し、且つ、その適合した順序が、当該鉄道車両3が通過する相対位置の順序である場合に、当該種類の永久磁石7を検出したと判定する。永久磁石7を検出したと判定すると、車上制御装置30は、次に、車上で算出している走行位置を補正するために、当該永久磁石7の設置位置を通過したタイミングを判定する。例えば、検出した永久磁石7の設置位置に定められている基準磁界分布に適合する検出磁界分布の検出タイミングを、当該永久磁石7の設置位置の通過タイミングとみなして判定する。この通過タイミングにおいて算出されていた走行位置を、当該永久磁石7の設置位置に補正する。
[磁石の種類の例]
図5,図10,図15,図19,図23は、永久磁石7の種類の例を示す図である。図5,図10,図15,図19,図23それぞれに示す永久磁石7a~7eは、何れも、上面視において略正方形状をなす厚みの薄い角型形状に形成されている。なお、永久磁石7の形状は、角型形状に限らず、丸型等の他の形状であってもよい。
また、図7~図9,図12~図14,図16~図18,図20~図22は、それぞれ、図5,図10,図15,図19,図23に示す永久磁石7a~7eの設置位置を通過する際に検出される磁界分布(検出磁界分布)であり、3つの検出軸(X軸、Y軸及びZ軸)それぞれについての検出磁界分布を示している。この検出磁界分布は、磁気センサ部10の構成を、図2に一例を示したように、左右方向に4列、前後方向に4列の合計16個の磁気センサ素子12を、隣り合う磁気センサ素子12の中心間隔を「120mm」の間隔で配置して有する構成とし、永久磁石7の設置位置を通過するときの当該永久磁石7と磁気センサ部10との上下方向の間隔を「150mm」として、シミュレーション演算により算出された値である。
なお、永久磁石7の設置位置を鉄道車両3が通過するタイミングとは、永久磁石7の上面視における正方形状の中心と、略正方形状である磁気センサ素子12の配置面の中心とが、平面視において一致するタイミングとする。
図5,図10は、大きさが異なる2種類の永久磁石7a,7bの一例である。永久磁石7a,7bは、ともに、上下方向(厚み方向)に着磁された着磁パターンであり、上がN極、下がS極となる設置向きである。
図5に示す永久磁石7aの大きさは、磁気センサ部10の大きさより小さい。具体的には、永久磁石7aは、前後方向及び左右方向の長さが「100mm」の大きさである。磁気センサ部10の大きさは、磁気センサ素子12が「150mm」の中心間隔で配置されていることから、前後方向及び左右方向の長さが「500mm程度」の大きさである。従って、図6に示すように、永久磁石7aの設置位置を鉄道車両3が通過するときに、上面視において、永久磁石7aの全体が、当該鉄道車両3が備える磁気センサ部10によって覆われることになる。なお、図6では、磁気センサ部10と永久磁石7aとの上下間隔を実際より広げて図示している。図7~図9は、永久磁石7aの設置位置を鉄道車両が通過するとき、つまり、永久磁石7aと磁気センサ部10との位置関係が図6に示す関係であるときに、磁気センサ部10により検出される磁界分布である。
また、図10の永久磁石7bの大きさは、磁気センサ部10の大きさより大きい。具体的には、永久磁石7bは、前後方向及び左右方向の長さが「800mm」の大きさである。磁気センサ部10の大きさは、前後方向及び左右方向の長さが「500mm程度」であるから、図11に示すように、永久磁石7bの設置位置を鉄道車両3が通過するときに、上面視において、永久磁石7bの一部のみが、当該鉄道車両3が備える磁気センサ部10によって覆われることになる。なお、図11では、磁気センサ部10と永久磁石7bとの上下間隔を実際より広げて図示している。図12~図14は、永久磁石7bの設置位置を鉄道車両が通過するとき、つまり、永久磁石7bと磁気センサ部10との位置関係が図11に示す関係であるときに、磁気センサ部10により検出される磁界分布である。
図7~図9に示す永久磁石7aによる磁界分布と、図12~図14に示す永久磁石7bによる磁界分布とを比較すると、磁気センサ素子12の配置面であるXY平面に沿ったX軸及びY軸の検出値に基づく磁界分布については、磁界の向き(検出値の正負)や磁界の大きさ(検出値の絶対値)の変化の仕方が類似している。一方、磁気センサ素子12の配置面であるXY平面に垂直なZ軸の検出値に基づく磁界分布については、磁界の向き(検出値の正負)は同じであるが、磁気センサ素子12の配置面に対向する永久磁石7a,7bの大きさの違いから、磁界の大きさ(検出値の絶対値)の変化の仕方が異なっている。
図7~図9に示す永久磁石7aによる磁界分布と、図12~図14に示す永久磁石7bによる磁界分布との相関係数を算出すると、X軸の検出値に基づく磁界分布については「0.9」、Y軸の検出値に基づく磁界分布については「0.9」、Z軸の検出値に基づく磁界分布については「-0.9」となる。従って、磁界分布から、大きさが異なる永久磁石7a,7bを判別して検出することができる。
図15,図19,図23は、着磁パターンが異なる3種類の永久磁石7c~7eの例である。永久磁石7c~7eは大きさが同じである。具体的には、前後方向及び左右方向の長さがともに「100mm」の大きさである。従って、永久磁石7c~7eと磁気センサ部10との大きさの関係は、図6に示した、永久磁石7aと磁気センサ部10との大きさの関係と同様となる。
図15に示す永久磁石7cは、着磁パターンが、上面視の磁性が対角で同じ極性となるように着磁された着磁パターンである。また、永久磁石7cの設置向きは、図15において、上面の左上及び右下がN極、右上及び左下がS極となる設置向きである。図16~図18は、永久磁石7cの設置位置を鉄道車両3が通過するときに、磁気センサ部10により検出される磁界分布である。
永久磁石7ではN極からS極に向かう磁束が発生するため、着磁パターンが同じであっても設置向きが異なると、磁気センサ部10で検出される磁界分布(検出磁界分布)が異なる。そのため、着磁パターンが同じであっても設置向きが異なる永久磁石7は、異なる種類の永久磁石7として扱うことができる。例えば、永久磁石7cと着磁パターンは同じであるが、上面の左上及び右下がS極、右上及び左下がN極となる設置向きで配置した永久磁石7は、永久磁石7cとは異なる種類として扱う。
図19に示す永久磁石7dは、上下方向の着磁パターンが異なる磁石片を左右に並べたような着磁パターンを構成しており、上面の磁極が、左をN極、右をS極とする設置向きである。図20~図22は、永久磁石7dの設置位置を鉄道車両3が通過するときに、磁気センサ部10により検出される磁界分布である。
また、この永久磁石7dについても同様に、永久磁石7dと着磁パターンは同じであるが設置向きが異なる永久磁石は、永久磁石7dとは異なる種類として扱う。例えば、上面の磁極が、右をN極、左をS極とする設置向きは、別の種類として扱う。同様に、上面の磁極が、上をN極、下をS極とする設置向きや、上面の磁極が、下をN極、上をS極とする設置向きの永久磁石7もまた、永久磁石7dとは異なる種類として扱う。
図23に示す永久磁石7eは、前後方向に着磁された着磁パターンであり、上面視において前をN極、後ろをS極とする設置向きである。図24~図26は、永久磁石7eの設置位置を鉄道車両3が通過するときに、磁気センサ部10により検出される磁界分布である。
また、この永久磁石7eについても同様に、永久磁石7eと着磁パターンは同じであるが設置向きが異なる永久磁石は、永久磁石7eとは異なる種類として扱う。例えば、上面視において後ろをN極、前をS極とする設置向きや、右をN極、左をS極とする設置向き、左をN極、右をS極とする設置向きについては、何れの設置向きの永久磁石7も、永久磁石7eとは異なる種類として扱う。
図27に、永久磁石7c~7eそれぞれによる磁界分布について算出した相関係数を示す。図27に示した相関係数は、各検出軸(X軸、Y軸及びZ軸)別の相関係数の平均値である。また、図16~18、図20~22,図24~26に示した磁界分布を用いて算出した値である。図27に示すように、異なる種類の永久磁石7による磁界分布の相関係数は小さい。従って、種類が異なる永久磁石7c~7eを判別して検出できることが分かる。
[機能構成]
図28は、車上制御装置30の機能構成を示すブロック図である。図28によれば、車上制御装置30は、操作部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータとして構成することができる。
操作部102は、例えばボタンスイッチやタッチパネル、キーボード等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に応じた各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等の音出力装置で実現され、処理部200からの音信号に応じた各種音出力を行う。通信部108は、例えば有線或いは無線による通信装置で実現され、所与の通信ネットワークを介して外部装置との通信を行う。
処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、車上制御装置30を構成する各部への指示やデータ転送を行い、車上制御装置30の全体制御を行う。また、処理部200は、記憶部300に記憶された判定プログラム302を実行することで、走行位置算出部202、走行位置補正部204、検出部206、判定部208の各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。
走行位置算出部202は、鉄道車両3の走行位置を随時算出する。具体的には、例えば、車軸に取り付けられた速度発電機やパルスジェネレータ等による回転検知信号から求められる速度情報を用いて所与の起点位置からの走行距離を積算することで、走行位置を随時算出する。
走行位置補正部204は、走行位置算出部202により算出される走行位置を、判定部208により判定された種類の永久磁石7の設置位置を用いて補正する。具体的には、検出部206により検出された磁界分布(検出磁界分布)が判定部208により判定された種類の永久磁石7の設置位置に対応する基準磁界分布と適合すると判定されたタイミングを、その設置位置の通過タイミングとする。そして、当該通過タイミングにおいて算出していた走行位置を、当該設置位置で更新することで、走行位置を補正する。
検出部206は、磁気センサ部10の磁気センサ素子12が有する複数の検出軸毎に、磁気センサ素子12それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出する。具体的には、1つの検出軸についての磁界分布を、各磁気センサ素子12の当該検出軸の検出値を要素I(i,j)とした二次元配列として表現する。二次元配列は、磁気センサ部10における磁気センサ素子12の配置位置に対応しており、鉄道車両3の前後方向(走行方向)を二次元配列のi方向、鉄道車両3の左右方向(枕木方向)をj方向、に対応させている(図3参照)。
検出部206により検出された磁界分布は、検出データ320として蓄積記憶される。図29は、検出データ320の一例を示す図である。検出データ320は、磁気センサ部10により検出された磁界分布に関するデータであり、磁気センサ部10による1回の検出毎に生成される。1つの検出データ320は、検出ID321に対応付けて、検出時刻322と、X軸検出磁界分布データ323と、Y軸検出磁界分布データ324と、Z軸検出磁界分布データ325と、検出時刻322において走行位置算出部202が算出していた算出走行位置329とを格納している。また、検出データ320は、相関係数データ326と、判定結果327とを格納している。相関係数データ326は、判定部208により算出された、当該磁界分布と、永久磁石7の種類別及び相対位置別の基準磁界分布それぞれとの相関係数を格納する。永久磁石7の種類別及び相対位置別の基準磁界分布を識別する識別情報である基準磁界分布IDに、算出された検出軸毎の相関係数を対応付けて格納している。基準磁界分布は、設置磁石データ310(図30参照)に格納されている、永久磁石7の種類別及び相対位置別の基準磁界分布である。設置磁石データ310には、相対位置の基準となる設置位置データ312も格納されている。判定結果327は、判定部208により、当該検出磁界分布と適合すると判定された基準磁界分布を示すデータ(基準磁界分布ID等)を格納する。
判定部208は、永久磁石7の設置位置を通過する際に検出部206が検出する磁界分布の基準となる基準磁界分布と、検出部206が検出した磁界分布とを比較することで、永久磁石7の設置位置を通過したか否かを判定する。基準磁界分布には、検出軸毎の基準磁界分布があり、判定部208は、磁気センサ素子12の検出軸毎に、当該検出軸の基準磁界分布と、検出部206が検出した当該検出軸の磁界分布とを比較する。また、検出部206が検出した磁界分布を、永久磁石7の種類別の基準磁界分布それぞれと比較して、通過する設置位置に設置されている永久磁石7の種類を判定する。また、検出部206が時系列に検出した磁界分布を基準磁界分布それぞれと比較し、適合すると判定した回数に基づいて、通過する設置位置に設置されている永久磁石7の種類を判定する。
具体的には、所定時間間隔(例えば、数m秒程度の間隔)毎に、検出部206により検出された磁界分布(検出磁界分布)と、永久磁石7の種類別及び当該永久磁石7の設置位置に対応する相対位置別の基準磁界分布それぞれとが適合するか否かの判定を繰り返し行う。そして、永久磁石7の1つの種類についての設置位置別の基準磁界分布のうち、所定数以上の基準磁界分布と連続して適合し、且つ、その適合した順序が、当該鉄道車両3が通過する相対位置の順序(つまり、設置位置から遠い設置位置の順序)である場合に、当該種類の永久磁石7を検出したと判定する。検出磁界分布と基準磁界分布とが適合するか否かは、式(1)で算出される検出軸毎の相関係数に基づいて判定する。
永久磁石7の種類別及び相対位置別の基準磁界分布は、設置磁石データ310として定められている。図30は、設置磁石データ310の一例を示す図である。設置磁石データ310は、軌道5に設置されている永久磁石7に関するデータであり、永久磁石7の種類毎に用意されている。1つの設置磁石データ310は、種類ID311に対応付けて、当該種類の永久磁石7の設置位置データ312と、基準磁界分布データ313とを格納している。
設置位置データ312は、当該種類の永久磁石7が設置される位置(設置位置)のデータである。設置位置データ312に格納される設置位置は、1つだけとは限らず、複数の設置位置が格納され得る。同じ種類ID311の永久磁石7を複数の設置位置に設置する場合には、予め定めた設置条件に従って設置することとして、走行位置の算出補正において誤りが生じないようにする。例えば、種類違いの永久磁石7を巡回して配置する設置条件として、検出した前後の永久磁石7の種類がこの設置条件に合致しているか否かを判定することで、誤った設置位置を判定しないようにする。その他の例として、永久磁石7の種類に応じて特定用途の位置に設置することを設置条件としてもよい。この場合、例えば、各駅に停車する場合の定位置に設置する永久磁石7の種類を固定とする設置条件としたり、10km単位のキロポスト位置に設置する永久磁石7の種類を固定とする設置条件とする。車上で算出している走行位置に誤差が生じているとしても、その誤差が1kmになるようなことはない。永久磁石7の種類を検出して設置位置を判定する際に、対応する設置位置が複数あったとしても、これらの設置条件を合わせて判定することで、正しい設置位置を選択・判定することができる。また、設置位置はキロ程で表現することができる。
基準磁界分布データ313は、当該種類の永久磁石7に対応する基準磁界分布に関するデータであり、設置位置に対する相対位置別に用意されている。当該種類の永久磁石7に複数の設置位置が対応付けられている場合であっても、同じ種類の永久磁石7であるため、相対位置が同じであれば基準磁界分布データ313も同じとなる。1つの基準磁界分布データ313は、基準磁界分布IDに対応付けて、該当する相対位置と、X軸基準磁界分布データと、Y軸基準磁界分布データと、Z軸基準磁界分布データとを格納している。
図28に戻り、記憶部300は、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置で実現され、処理部200が車上制御装置30を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作部102や通信部108を介した入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、判定プログラム302と、設置磁石データ310と、検出データ320とが記憶される。
[処理の流れ]
図31は、車上制御装置30が行う判定処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が判定プログラム302を実行することで実現される処理であり、例えば、始発駅からの出発に先立って開始される。
先ず、走行位置算出部202が、走行位置の算出を開始する(ステップS1)。そして、検出部206が、磁気センサ部10により磁界が検出されたかを判断する。具体的には、磁気センサ部10が有する各磁気センサ素子の各検出軸の検出値のうち、所定数以上の大きさが所定の閾値以上である場合に、磁界が検出されていると判断する。
磁界が検出されたならば(ステップS3:YES)、検出部206は、各磁気センサ素子12の検出値に基づいて、検出軸毎に磁界分布を検出する(ステップS5)。次いで、判定部208が、検出部206により検出された磁界分布(検出磁界分布)と、永久磁石7の種類別及び設置位置からの相対位置別の基準磁界分布それぞれとの相関係数を算出する(ステップS7)。そして、算出した相関係数が所定の閾値以上であるかによって、検出磁界分布と各基準磁界分布とが適合したかを判定する。
検出磁界分布に適合する基準磁界分布があるならば(ステップS9:YES)、続いて、適合した基準磁界分布の連続性を判定する(ステップS11)。つまり、検出磁界分布が、同じ種類の相対位置別の基準磁界分布のうちの所定数以上の基準磁界分布と連続して適合しており、且つ、その適合した順序が鉄道車両3の走行方向によって決まる通過順であるならば、連続性有りと判定する。連続性有りと判定したならば(ステップS13:YES)、該当する種類の永久磁石7を検出したと判定する(ステップS15)。そして、走行位置補正部204が、判定された種類の永久磁石7の設置位置を用いて、走行位置を補正する(ステップS17)。このとき、時系列に検出されている検出磁界分布のうち、判定された種類の永久磁石7の設置位置に対応する相対位置(すなわち相対位置ゼロ)の基準磁界分布に適合した検出磁界分布を特定する。そして、特定した検出磁界分布の検出時刻322において算出されていた算出走行位置329が、判定された種類の永久磁石7の設置位置となるように、走行位置算出部202が算出している走行位置を補正する。
その後、終着駅への到着といった終了条件を満たしたことにより本処理を終了するかを判断し、終了しないならば(ステップS19:NO)、ステップS3に戻り、同様の処理を繰り返す。終了するならば(ステップS19:YES)、本処理は終了となる。
[作用効果]
本実施形態によれば、車上装置1において、軌道5に設置された永久磁石7を検出することができる。つまり、磁気センサ部10が有する複数の磁気センサ素子12の検出値に基づく磁界分布を検出し、検出した磁界分布を、永久磁石7の設置位置を通過する際に検出される磁界分布の基準となる基準磁界分布と比較することで、当該永久磁石7の設置位置を通過したことを判定する。これにより、永久磁石7をその他の磁気源と区別して検出することができるとともに、永久磁石7の設置位置を通過したことを判定することができる。そして、軌道5に設置した永久磁石7を地上設備として用いた列車位置検知装置を、地上子等を地上設備として用いた従来の列車位置検知装置と比較して低いコストで構築することができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
1…車上装置
10…磁気センサ部
12…磁気センサ素子
30…車上制御装置
200…処理部
202…走行位置算出部
204…走行位置補正部
206…検出部
208…判定部
300…記憶部
302…判定プログラム
310…設置磁石データ
320…検出データ
3…鉄道車両
5…軌道
7(7a~7e)…永久磁石

Claims (7)

  1. 予め定められた設置位置に磁石が設置された軌道上を走行する車両に搭載される車上装置であって、
    前記設置位置を通過する際に前記磁石の発生磁界を検出するために所定の位置関係で配置された複数の磁気センサ素子を有する磁気センサ部と、
    前記磁気センサ素子それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出する検出部と、
    前記設置位置を通過する際に前記検出部が検出する前記磁界分布の基準となる基準磁界分布と、前記検出部が検出した磁界分布とを比較することで、前記設置位置を通過したか否かを判定する判定部と、
    を備える車上装置。
  2. 前記磁気センサ部は、少なくとも、前記車両の左右方向に配置した複数の磁気センサ素子を有する、
    請求項1に記載の車上装置。
  3. 前記磁気センサ部は、少なくとも、前記車両の前後左右の方向に沿った平面状に配置した複数の磁気センサを有する、
    請求項1又は2に記載の車上装置。
  4. 前記磁石には、大きさ、設置向き、着磁パターンうちの何れかが異なる複数種類の磁石があり、
    前記軌道には、前記磁石が設置される前記設置位置毎に、設置される前記磁石の種類が予め定められており、
    前記基準磁界分布には、前記磁石の種類毎の基準磁界分布があり、
    前記判定部は、前記検出部が検出した磁界分布を、前記磁石の種類別の基準磁界分布それぞれと比較して、通過する設置位置に設置されている前記磁石の種類を判定する、
    請求項1~3の何れか一項に記載の車上装置。
  5. 前記基準磁界分布には、前記磁石の種類別であり、且つ、前記設置位置に対する相対位置別、の基準磁界分布があり、
    前記判定部は、前記検出部が時系列に検出した磁界分布を前記基準磁界分布それぞれと比較し、適合すると判定した回数に基づいて、通過する設置位置に設置されている前記磁石の種類を判定する、
    請求項4に記載の車上装置。
  6. 前記磁気センサ素子は、複数の検出軸を有し、
    前記検出部は、前記検出軸毎に前記磁界分布を検出し、
    前記基準磁界分布には、前記検出軸毎の基準磁界分布があり、
    前記判定部は、前記検出軸毎に、当該検出軸の基準磁界分布と、前記検出部が検出した当該検出軸の前記磁界分布とを比較する、
    請求項1~5の何れか一項に記載の車上装置。
  7. 予め定められた設置位置に磁石が設置された軌道上を走行する車両に搭載される車上装置であって、前記設置位置を通過する際に前記磁石の発生磁界を検出するために所定の位置関係で配置された複数の磁気センサ素子を有する磁気センサ部を備えた車上装置が、前記設置位置の通過を判定するための判定方法であって、
    前記磁気センサ素子それぞれの検出値に基づく磁界分布を検出することと、
    前記設置位置を通過する際に検出される前記磁界分布の基準となる基準磁界分布と、前記検出された磁界分布とを比較することで、前記設置位置を通過したか否かを判定することと、
    を含む判定方法。
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