JP2022170616A - 安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 - Google Patents
安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022170616A JP2022170616A JP2021076889A JP2021076889A JP2022170616A JP 2022170616 A JP2022170616 A JP 2022170616A JP 2021076889 A JP2021076889 A JP 2021076889A JP 2021076889 A JP2021076889 A JP 2021076889A JP 2022170616 A JP2022170616 A JP 2022170616A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plastic
- temperature
- plastic composite
- composite material
- holes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/62—Plastics recycling; Rubber recycling
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
Abstract
【課題】安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置を提供することを目的とする。【解決手段】被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させた状態で加熱処理室内に設置し、第1工程では前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解し、化学量論的流量値よりも低い酸素量と前記小分子ガスが反応して燃焼することにより燃焼速度がほぼ一定に制御され、第2工程では前記酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、酸素の存在下、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料に残存する有機物を水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解する。【選択図】図1
Description
本発明は安全性が確保された状態で、CFRPなどのプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解する方法及び分解装置に関する。
典型的なプラスチック複合材料である炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRPと略記)は、「軽くて強い」を旗印に昨今では生活の隅々まで浸透している。しかし、ポリマー・マトリックス材として通常3次元ポリマーを使用する為、「溶剤には融けない、燃えない」為、廃棄物処理の問題を抱えている。廃CFRPの処理ばかりでなく、ここで使われている高価な炭素繊維(Carbon Fiber: CF)のリサイクルも望まれている。
CFRPの分解・リサイクルの方法として、常圧溶解法、超臨界・亜臨界流体法、熱分解、酸化物半導体の熱活性法、過熱水蒸気を熱媒体とした手法などがある(非特許文献1)。この中にあって、熱分解法は最も実用化に近い方法であるが、技術的な面ばかりでなく、回収される炭素繊維の品質などにも問題がある。例えば、空気中で、廃CFRPを炉内で加熱処理をすると、ポリマー母体の熱分解に伴う反応熱で炉内温度が制御できずに、異常に上昇することや、炉内爆発が起こる等の安全性が確保できない状態となることがしばしばある。これを防ぐ手段として、N2雰囲気、あるいは過熱水蒸気を熱媒体として使う炭化炉で加熱処理(第1工程)後に、空気下で、炭化物を燃焼する焼成炉(第2工程)の2段式を取るものも多い。さらに、大量に発生するVOC(Volatile Organic Compound、揮発性有機化合物)の問題やVOCが過熱水蒸気に溶け込み、タール類を含んだ廃水の処理も大きな問題となっている。
CFRPの分解・リサイクルの方法として、常圧溶解法、超臨界・亜臨界流体法、熱分解、酸化物半導体の熱活性法、過熱水蒸気を熱媒体とした手法などがある(非特許文献1)。この中にあって、熱分解法は最も実用化に近い方法であるが、技術的な面ばかりでなく、回収される炭素繊維の品質などにも問題がある。例えば、空気中で、廃CFRPを炉内で加熱処理をすると、ポリマー母体の熱分解に伴う反応熱で炉内温度が制御できずに、異常に上昇することや、炉内爆発が起こる等の安全性が確保できない状態となることがしばしばある。これを防ぐ手段として、N2雰囲気、あるいは過熱水蒸気を熱媒体として使う炭化炉で加熱処理(第1工程)後に、空気下で、炭化物を燃焼する焼成炉(第2工程)の2段式を取るものも多い。さらに、大量に発生するVOC(Volatile Organic Compound、揮発性有機化合物)の問題やVOCが過熱水蒸気に溶け込み、タール類を含んだ廃水の処理も大きな問題となっている。
このような状況下にあって、安全が確保された分解装置で、しかもVOCの処理も含めた100%乾式の装置の開発が待たれている。
本発明者の一人はポリマー、ガス体等の有機物からなる被処理物を分解する方法として、半導体を真性電気伝導領域となる温度に加熱し、この温度で起こるバンド間遷移により、電子・正孔キャリアーを大量に発生させ、被処理物を加熱処理により発現した強力な酸化力(i.e.電子を引き抜く力が強い)を持つ正孔に接触させ、酸素の存在下において被処理物を完全分解する「半導体の熱活性」(Thermal Activation of Semi-Conductors:以下TASCと略称)による処理方法について提案した(特許文献1、非特許文献2)。この現象は、半導体を350-500℃に加熱すると強い酸化作用(結合電子を引き抜く力が強い)を発現する効果で、ポリマーから結合電子を引き抜くと、不安定なラジカルがポリマー内に生成し、これがポリマー内を伝播してさらに増殖し、ポリマー全体を不安定化する。不安定化したポリマーは安定性を維持できずに、自滅するような形で裁断化が誘起され、プロパン等の小分子に裁断化される。続いて、裁断化された小分子は空気中の酸素と酸化反応により、二酸化炭素と水に完全分解される。つまり、あらゆるポリマー(熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマー)はTASC触媒により、酸素の存在下で、一瞬にして二酸化炭素と水に分解される。以上のように、TASC分解過程は、(1)酸化力(i.e.電子引き抜き)によるラジカルが生成する過程、(2)ラジカルの伝播により、巨大分子が不安定化され、小分子に分解される過程、(3)小分子化された分子が空気中の酸素との酸化反応により、完全燃焼する過程の3つの素過程から構成されている。つまり、2形態の酸化過程が関与していることが特徴である。この3つの過程の中で最も高温度を必要とするのは、(2)のラジカルの伝播過程である。その理由は、ポリマーは右往左往に折れ曲がっていたり、捻じれていることが多い。この障壁を越えてラジカルは伝播するので高い温度が必要である。特に、ポリマー同士が交差し、この間をジャンプする場合には、最も高い温度が必要となる。大量の正孔と電子とが生成する温度に関しては、例えば350℃程度の比較的低温であっても、大量の電子と正孔が温度上昇に伴って指数関数的に発生し、ポリマー内の結合電子は正孔の酸化力により電子が引き抜かれラジカルが生成する。しかしながら、最も高い障壁を超えてラジカルがジャンプするためには500℃程度の温度が必要となる。
TASC法で使用できる半導体は高温、酸素雰囲気で安定な半導体であれば良い。従って、酸化物半導体が好んで用いられる。酸化物半導体の例として、BeO、CaO、CuO、Cu2O、SrO2、BaO、MgO、NiO、CeO2、MnO、GeO、PbO、TiO、VO、ZnO、FeO、PdO、Ag2O、TiO2、MoO2、PbO2、IrO2、RuO2、Ti2O3、ZrO2、Y2O3、Cr2O3、ZrO2、WO3、MoO3、WO2、SnO2、Co3O4、Sb2O3、Mn3O4、Ta2O5、V2O5、Nb2O5、Mn2O3、Fe2O3、Y2O2S、MgFe2O4、NiFe2O4、ZnFe2O4、ZnCo2O4、MgCr2O4、FeCrO4、CoCrO4、CoCrO4、ZnCr2O4、CoAl2O4、NiAl2O4等がある。この中で、酸化クロム(Cr2O3)は高温安定性(融点:約2200℃)に優れ、さらに飲料用のガラス瓶の染色にも使われる安全な材料である。また、酸化鉄(α-Fe2O3:ヘマタイト)は、安定性はCr2O3には及ばないが、安全で廉価な材料であるので実用性が高い。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献3)。この方法は特にコストの高いカーボン・ファイバー等の繊維を切断するなどのダメージを与えることなく強化繊維を回収して再使用することができるので、非常に有用であり、強化繊維に限らず、無機物とポリマーを混合した複合材料から無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。
さらに、加熱処理室にVOC浄化装置を連結し、太陽光パネルや合わせガラスなどのプラスチックまたはプラスチック複合材料をTASC法により分解し、無害のガスに浄化する処理装置についても提案した(特許文献3、4)。
TASC法で用いる酸化物半導体をTASC触媒と呼ぶが、この触媒は「何回でも使うことが出来る」と言う意味で「触媒」に分類される。本触媒の機能は、巨大分子を小分子に裁断することであり、小分子化トリガー(decomposition trigger)と呼ばれるものである。従って、通常の化学触媒とは全く異なる機能を有する。化学触媒は、触媒物質と反応物質が活性錯合体を形成し、活性化エネルギーを下げて反応をより低温で進行させるものである。これに対し、TASC触媒は、上述のメカニズムにより、ポリマー等の被分解物を不安定化し、さらに小分子化して十分な酸素下で完全燃焼させるものである。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献3)。この方法は特にコストの高いカーボン・ファイバー等の繊維を切断するなどのダメージを与えることなく強化繊維を回収して再使用することができるので、非常に有用であり、強化繊維に限らず、無機物とポリマーを混合した複合材料から無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。
さらに、加熱処理室にVOC浄化装置を連結し、太陽光パネルや合わせガラスなどのプラスチックまたはプラスチック複合材料をTASC法により分解し、無害のガスに浄化する処理装置についても提案した(特許文献3、4)。
TASC法で用いる酸化物半導体をTASC触媒と呼ぶが、この触媒は「何回でも使うことが出来る」と言う意味で「触媒」に分類される。本触媒の機能は、巨大分子を小分子に裁断することであり、小分子化トリガー(decomposition trigger)と呼ばれるものである。従って、通常の化学触媒とは全く異なる機能を有する。化学触媒は、触媒物質と反応物質が活性錯合体を形成し、活性化エネルギーを下げて反応をより低温で進行させるものである。これに対し、TASC触媒は、上述のメカニズムにより、ポリマー等の被分解物を不安定化し、さらに小分子化して十分な酸素下で完全燃焼させるものである。
このように、TASC効果を利用した有機物の気体(VOC、排煙、悪臭など)あるいはミスト状のタール、PM等の完全分解を実現してきた。さらに、固体では、ポリマー複合化合物のポリマーのみを分解し、中から有価物を回収することに利用してきた。その例として、CFRPから炭素繊維、太陽電池パネルから、ガラス、シリコン・ウェーファー、電極、さらにボンド磁石からレア・アース粉体、合わせガラスからガラスの回収に及んでいる。
廃棄物資源循環学会誌24巻No.5, 2014 特集 炭素繊維強化プラスチック材料のリサイクル技術
T. Shinbara, T. Makino, K. Matsumoto, and J. Mizuguchi: Complete decomposition of polymers by means of thermally generated holes at high temperatures in titanium dioxide and its decomposition mechanism, J. Appl. Phys. 98, 044909 1-5 (2005)
水口 仁:半導体の熱活性によるFRPの完全分解とリサイクル技術、加工技術 47巻, 37-47 (2012)
本発明は、安全性が確保された状態で、CFRPなどのプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解する方法及び分解装置を提供することを目的とする。
段落(0004)から(0006)で述べたTASC法を活用して安全が確保された有機物の分解方法及び分解装置を開発する為には、TASC効果の特殊性を理解した上で、温度の制御及び酸素量の制御の双方を同時に、適切に行うことが必要となる。これらの構想の下に実験を重ね、鋭意工夫の結果、本発明をなすに至った。
本発明に係る被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法は、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させた状態で加熱処理室内に設置し、前記加熱処理室を予熱後に、前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解し、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1の温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量と前記小分子ガスが反応して燃焼することにより燃焼速度がほぼ一定に制御される第1工程と、前記酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、酸素の存在下、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料に残存する有機物を水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解する第2工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
本発明に係る被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置は、ガス導入口及びガス排出口を備えた加熱処理室を有し、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させた状態で前記加熱処理室内に設置し、前記加熱処理室を予熱後に、第1工程において前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解し、前記ガス導入口から前記加熱処理室に導入する前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1の温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量と前記小分子ガスが反応して燃焼することにより燃焼速度をほぼ一定に制御し、次いで第2工程において、前記酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、前記ガス導入口から空気を前記加熱処理室内に導入して、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料に残存する有機物を水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解することを特徴とする。
本願は、TASC特有の現象を基に、安全性が確保されたポリマー複合化合物の分解方法及び分解装置の発明に至ったものであるので、まず、その装置の全体像を説明し、発明に至った経緯を述べる。
図1は電気炉1とVOC浄化装置6から構成された分解装置で、炉内には触媒担持ハニカム4が内張りされている。また、炉内の被処理物5(例としてCFRP)は、触媒担持ハニカム4の上に置かれている。炉の床部には空気の導入口2があり、炉内に層流の形態で空気を導いている。電気炉の上部の排出口3を通して、外付けのVOC浄化装置6が配置されている。浄化装置の排出口には吸気ファン8が付いており、排出される浄化ガスを取り込んでいる。
触媒担持ハニカム4と接触するCFRPのマトリックス・ポリマーはTASC分解により裁断化され分子量が減少する。ある程度以下の分子量になるとガス状態となる。小分子化された可燃ガスは炉内に導入される空気の酸素成分と反応し、二酸化炭素と水になる。余剰の可燃ガスは内張りされた触媒担持ハニカム4を通過する際に、さらに小分子に分解され、VOC浄化装置6に入る。ここで、外部から空気導入口7を通して導入された空気(酸素)と反応して完全分解される。
図1は電気炉1とVOC浄化装置6から構成された分解装置で、炉内には触媒担持ハニカム4が内張りされている。また、炉内の被処理物5(例としてCFRP)は、触媒担持ハニカム4の上に置かれている。炉の床部には空気の導入口2があり、炉内に層流の形態で空気を導いている。電気炉の上部の排出口3を通して、外付けのVOC浄化装置6が配置されている。浄化装置の排出口には吸気ファン8が付いており、排出される浄化ガスを取り込んでいる。
触媒担持ハニカム4と接触するCFRPのマトリックス・ポリマーはTASC分解により裁断化され分子量が減少する。ある程度以下の分子量になるとガス状態となる。小分子化された可燃ガスは炉内に導入される空気の酸素成分と反応し、二酸化炭素と水になる。余剰の可燃ガスは内張りされた触媒担持ハニカム4を通過する際に、さらに小分子に分解され、VOC浄化装置6に入る。ここで、外部から空気導入口7を通して導入された空気(酸素)と反応して完全分解される。
発明に至った経緯は以下のようである。炉内爆発を防ぐ制御システムは反応温度と炉内に導入する酸素量の双方で反応を制御するシステムである。分解処理炉の中で、反応が暴走し反応熱で炉内爆発が起こるかは、基本的には、処理炉の大きさ(容量と電力)と処理量に依存する。十分大きな炉を使い、少量の有機物を処理するのであれば、反応熱に起因する炉内温度の上昇も無視できる程度となる。これに対し、限られた電気炉の大きさで、炉内スペースに被処理物質をできる限り多く置いた場合には、炉内の温度は反応熱により大きく上昇する。本発明は、後者の処理方法を取りながらも、安全性が確保されたシステムを構築することである。
まず、反応温度の制御方法について述べる。通常のポリマーの熱分解では、反応の活性化エネルギー(Activation Energy: Eg)は1つの固有の値である。反応はアレニウス式[exp[(-Eg/kT): kはボルツマン定数]に従って温度と共に指数関数的に進行するので、反応が始まると反応熱による温度上昇に伴い、爆発的に反応が進行することになる。
TASC法では、CFRPのマトリックス・ポリマーを小分子化するプロセスであるので、小分子化が進行するにつれて、反応の活性化エネルギーが低下することが考えられる。これをポリカーボネートの分解実験で示す(非特許文献2)。図2は酸化チタンの粉末上でポリカーボネートのTASC処理を行い、そのサンプルの熱重量分析の結果を示したものである。試料Aは未処理のポリカーボネート、試料Bは予め250-350℃で処理をしたもの、さらに試料Cは予め350℃で行ったものであり、各サンプルの重量減少を比較した。試料A、B、Cの重量減少の開始温度はこの順序で下がり、重量減少量は増加している。この実験結果はTASC処理温度が上がると、ポリカーボネートの小分子化(i.e. 分子量の減少)が進行していることを示している。比較的低い温度(350℃以下)では、段落(0004)で述べたように、主としてラジカルが伝播しやすい比較的低い障壁においてポリカーボネートの小分子化が起こっていると考えられる。これに対し、ポリマー間をラジカルがジャンプするような高い障壁に対しては、より高い温度(例えば500℃)が必要となる。これには、前者と後者のプロセスを個別に行う2段階の温度領域を設けるのが適当である。
前記第1の温度は300ないし450℃であり、前記第2の温度は400ないし600℃であり、第2の温度は第1の温度よりも高いことが必要である。
好ましくは、第2の温度は第1の温度よりも50℃以上、さらに好ましくは、100℃以上高いことが好ましい。
TASC法では、CFRPのマトリックス・ポリマーを小分子化するプロセスであるので、小分子化が進行するにつれて、反応の活性化エネルギーが低下することが考えられる。これをポリカーボネートの分解実験で示す(非特許文献2)。図2は酸化チタンの粉末上でポリカーボネートのTASC処理を行い、そのサンプルの熱重量分析の結果を示したものである。試料Aは未処理のポリカーボネート、試料Bは予め250-350℃で処理をしたもの、さらに試料Cは予め350℃で行ったものであり、各サンプルの重量減少を比較した。試料A、B、Cの重量減少の開始温度はこの順序で下がり、重量減少量は増加している。この実験結果はTASC処理温度が上がると、ポリカーボネートの小分子化(i.e. 分子量の減少)が進行していることを示している。比較的低い温度(350℃以下)では、段落(0004)で述べたように、主としてラジカルが伝播しやすい比較的低い障壁においてポリカーボネートの小分子化が起こっていると考えられる。これに対し、ポリマー間をラジカルがジャンプするような高い障壁に対しては、より高い温度(例えば500℃)が必要となる。これには、前者と後者のプロセスを個別に行う2段階の温度領域を設けるのが適当である。
前記第1の温度は300ないし450℃であり、前記第2の温度は400ないし600℃であり、第2の温度は第1の温度よりも高いことが必要である。
好ましくは、第2の温度は第1の温度よりも50℃以上、さらに好ましくは、100℃以上高いことが好ましい。
実際のエポキシ樹脂をマトリックスとしたCFRPを用いて、350-500℃の温度範囲で、エポキシ樹脂の分解率を処理時間の関数として実験を行った。その結果を図3に示す。本実験は、CFRPチップ(厚み3mm, 縦横20×50mm)を、酸化クロムを担持したハニカム上に載せ、山田電機製FN-215-Sマッフル炉[炉内寸法:150(縦)×200(横)×250(奥行)mm]の中で分解実験を行った。電気炉に導入した空気量は約200L/分である。本実験では試料の大きさに比べ炉内寸法は大きいので、サンプルの反応熱で炉内温度が変化することはなかった。350、400、450℃では60分の処理でも分解率はそれぞれ、32、75、95%である。これに対して、500℃では30分の処理でほぼ100%の分解率を達成している。本結果は、例えば、第1段で、400℃、60分の処理で75%程度を分解し、その後、第2段で、温度を500℃に上げ、25分で残りの25%を処理すれば、反応の暴走を抑えた温度プログラムが組めることになる。これが、図4に示す我々の2工程処理の基本概念である。この概念は商業ベースの大量処理が必要な場合に生かされるが、温度設定、処理時間等は、電気炉の大きさや処理するCFRP量により変化する。
段落(0014)の冒頭で述べたように、炉内爆発を防ぐには、反応温度の制御と、炉内に導入する酸素量制御の双方が必要である。ここでは、炉内に導入する酸素量について説明する。
燃焼の3要件は、燃えるものが存在すること、酸素が存在すること、発火源があることである。炉内爆発が起こる時(爆発限界を越えた時)には、大量の可燃ガスと十分な酸素が存在する時に、発熱体やスパークが原因で爆発が起こる。これに対し、爆発限界内での燃焼反応は安全である。この例として、ガス・レンジやバーナー等がある。大量の可燃がガスに対して、ガス・レンジ等の所望する火加減に応じた酸素を導入して燃焼させるものであり、これが酸素量の制御である。この方法は、原子力発電における核燃料棒をゆっくり下げ、反応を制御することとも酷似している。
一般に、炉内に酸素を導くことは爆発の危険性から一般には行われない。しかし、炉内に可燃ガスを充満させておくことは、より危険な状態と言える。要は、ガス・レンジやガス・バーナーの場合と同様に、(CFRPのTASC処理の際に生成する)可燃ガスに見合った量の酸素(i.e. 燃焼に必要な化学量論量の酸素)を導入し、完全燃焼を行なえば、炉内には、空気に由来するN2、完全燃焼に由来するH2OとCO2のみが存在するだけなので、極めて安全である。つまり、結果として、電気炉内を常時、酸素欠乏状態に保つ限り、安全性は確保される。
ここで、可燃ガスに見合った酸素量の見積り方法を述べる。エポキシ樹脂は、熱硬化性ポリマー(3次元ポリマー)であるので、熱可塑性ポリマーのようなモノマー単位の繰り返しは存在しない。熱可塑性樹脂の場合には、モノマーに酸素を作用させる熱化学方程式を立て、モノマー1モルに対して、何モルの酸素が必要であるかを算出することが可能である。しかし、熱硬化型樹脂には適用できない。
炭化水素が主成分であるエポキシ樹脂の場合には、熱化学方程式に現れる反応熱は主として、炭化水素の燃焼に起因すると考えられるので、エポキシ樹脂と同程度の密度を有する熱可塑性ポリマーであれば、エポキシ樹脂と同程度の燃焼熱が得られると考えた。エポキシ樹脂の密度(g/cm3)は約1.24、ポリカーボネートは約1.20であるので、ポリカーボネートが適当である。実際、燃焼熱の実測値は、エポキシ樹脂が30,710kJ/g,ポリカーボネートが31,080kJ/gであり、良い一致をみた。この結果を踏まえて、ポリカーボネートとエポキシ樹脂の重量を比較し、ポリカーボネートの熱化学方程から、エポキシ樹脂の処理重量に必要な酸素量を算出した。ポリカーボネート(モノマー換算の分子式C16H14O3、分子量254)の1モルを燃焼させるために必要な酸素量は18モルであり、1000gのポリカーボネートに対しては70.9モルとなる。標準状態の酸素体積は1587L(リットル)であり、空気量に換算すると7560Lとなる。これが化学量論的酸素量である。
少量の酸素を炉内やこれに通じるVOC浄化装置に導入することは、TASC反応の継続性(電気的中性の原理)にも必要で、価電子帯の正孔と伝導帯の電子を同数、消費することが求められる。さらに、電気炉やVOC浄化装置内の温度の一様性を確保するためにも必要である。
電気炉内で発生した余剰の可燃ガスは外付けしたVOC浄化装置に導き、ここで浄化(完全燃焼)を行うことが可能である。具体的に図1で説明すると、電気炉1内に導入口2から導入し、排出口3から排出されてVOC浄化装置6に入る空気(1)と、浄化装置に外部から空気導入口7を通して取りこむ空気(2)の合計が浄化装置の出口から吸引する吸気ファン8の吸引量となる(1+2)。可燃ガス量の処理量が増えた場合には、VOC浄化装置を増設することもできる。
上述のVOC浄化装置を使った完全燃焼システムでは、反応熱を自燃エネルギーとする熱回収が行える。また、別の利用方法として、発生する可燃ガスをガス・エンジンの燃料として利用し、発電することも可能である。さらに、ボイラー等の燃料ガスとしての用途もある。
燃焼の3要件は、燃えるものが存在すること、酸素が存在すること、発火源があることである。炉内爆発が起こる時(爆発限界を越えた時)には、大量の可燃ガスと十分な酸素が存在する時に、発熱体やスパークが原因で爆発が起こる。これに対し、爆発限界内での燃焼反応は安全である。この例として、ガス・レンジやバーナー等がある。大量の可燃がガスに対して、ガス・レンジ等の所望する火加減に応じた酸素を導入して燃焼させるものであり、これが酸素量の制御である。この方法は、原子力発電における核燃料棒をゆっくり下げ、反応を制御することとも酷似している。
一般に、炉内に酸素を導くことは爆発の危険性から一般には行われない。しかし、炉内に可燃ガスを充満させておくことは、より危険な状態と言える。要は、ガス・レンジやガス・バーナーの場合と同様に、(CFRPのTASC処理の際に生成する)可燃ガスに見合った量の酸素(i.e. 燃焼に必要な化学量論量の酸素)を導入し、完全燃焼を行なえば、炉内には、空気に由来するN2、完全燃焼に由来するH2OとCO2のみが存在するだけなので、極めて安全である。つまり、結果として、電気炉内を常時、酸素欠乏状態に保つ限り、安全性は確保される。
ここで、可燃ガスに見合った酸素量の見積り方法を述べる。エポキシ樹脂は、熱硬化性ポリマー(3次元ポリマー)であるので、熱可塑性ポリマーのようなモノマー単位の繰り返しは存在しない。熱可塑性樹脂の場合には、モノマーに酸素を作用させる熱化学方程式を立て、モノマー1モルに対して、何モルの酸素が必要であるかを算出することが可能である。しかし、熱硬化型樹脂には適用できない。
炭化水素が主成分であるエポキシ樹脂の場合には、熱化学方程式に現れる反応熱は主として、炭化水素の燃焼に起因すると考えられるので、エポキシ樹脂と同程度の密度を有する熱可塑性ポリマーであれば、エポキシ樹脂と同程度の燃焼熱が得られると考えた。エポキシ樹脂の密度(g/cm3)は約1.24、ポリカーボネートは約1.20であるので、ポリカーボネートが適当である。実際、燃焼熱の実測値は、エポキシ樹脂が30,710kJ/g,ポリカーボネートが31,080kJ/gであり、良い一致をみた。この結果を踏まえて、ポリカーボネートとエポキシ樹脂の重量を比較し、ポリカーボネートの熱化学方程から、エポキシ樹脂の処理重量に必要な酸素量を算出した。ポリカーボネート(モノマー換算の分子式C16H14O3、分子量254)の1モルを燃焼させるために必要な酸素量は18モルであり、1000gのポリカーボネートに対しては70.9モルとなる。標準状態の酸素体積は1587L(リットル)であり、空気量に換算すると7560Lとなる。これが化学量論的酸素量である。
少量の酸素を炉内やこれに通じるVOC浄化装置に導入することは、TASC反応の継続性(電気的中性の原理)にも必要で、価電子帯の正孔と伝導帯の電子を同数、消費することが求められる。さらに、電気炉やVOC浄化装置内の温度の一様性を確保するためにも必要である。
電気炉内で発生した余剰の可燃ガスは外付けしたVOC浄化装置に導き、ここで浄化(完全燃焼)を行うことが可能である。具体的に図1で説明すると、電気炉1内に導入口2から導入し、排出口3から排出されてVOC浄化装置6に入る空気(1)と、浄化装置に外部から空気導入口7を通して取りこむ空気(2)の合計が浄化装置の出口から吸引する吸気ファン8の吸引量となる(1+2)。可燃ガス量の処理量が増えた場合には、VOC浄化装置を増設することもできる。
上述のVOC浄化装置を使った完全燃焼システムでは、反応熱を自燃エネルギーとする熱回収が行える。また、別の利用方法として、発生する可燃ガスをガス・エンジンの燃料として利用し、発電することも可能である。さらに、ボイラー等の燃料ガスとしての用途もある。
以上の構想と実験を積み重ねた結果、課題を解決する手段としての発明を得た。
第1工程においては、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度で、プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量の下で、正孔の酸化力を利用して、プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解する。ここで、第1温度の保持時間で割った理由は、この温度で大半のポリマーが処理されるからである。発生する小分子ガスに対し酸素欠乏状態となるので、小分子ガスの発生速度が高くなっても消費される酸素と化学量論的に等価な小分子ガスしか燃焼せず、燃焼速度がほぼ一定に制御される。このことにより小分子ガスの燃焼が暴走して炉内温度が急上昇することは起こらず、安全性が確保された分解処理となる。第1工程において炉内で燃焼できない余剰の小分子ガスは、炉のガス排出口に接続したVOC浄化装置に流れ込みVOC浄化装置に外部から別途導入される空気により水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解される。第2工程においては、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、第1工程で分解されずプラスチックまたはプラスチック複合材料中に残留する有機物が、酸素の存在下水と二酸化炭素に分解される。炉の大きさと被処理物量の関係により、VOC浄化装置内の温度が設定温度より許容値を超えて上昇する場合は、VOC浄化装置を、2台以上を並列に接続することで対処する。また、装置の運転中に安全が確保されているかの指標は、電気炉ならびにVOC浄化装置の温度が設定温度から大きく逸脱すること、さらに、電気炉の排出口に設置されている酸素濃度計で酸素濃度が適切に推移しているかをモニターすることである。
第1工程においては、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度で、プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量の下で、正孔の酸化力を利用して、プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解する。ここで、第1温度の保持時間で割った理由は、この温度で大半のポリマーが処理されるからである。発生する小分子ガスに対し酸素欠乏状態となるので、小分子ガスの発生速度が高くなっても消費される酸素と化学量論的に等価な小分子ガスしか燃焼せず、燃焼速度がほぼ一定に制御される。このことにより小分子ガスの燃焼が暴走して炉内温度が急上昇することは起こらず、安全性が確保された分解処理となる。第1工程において炉内で燃焼できない余剰の小分子ガスは、炉のガス排出口に接続したVOC浄化装置に流れ込みVOC浄化装置に外部から別途導入される空気により水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解される。第2工程においては、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、第1工程で分解されずプラスチックまたはプラスチック複合材料中に残留する有機物が、酸素の存在下水と二酸化炭素に分解される。炉の大きさと被処理物量の関係により、VOC浄化装置内の温度が設定温度より許容値を超えて上昇する場合は、VOC浄化装置を、2台以上を並列に接続することで対処する。また、装置の運転中に安全が確保されているかの指標は、電気炉ならびにVOC浄化装置の温度が設定温度から大きく逸脱すること、さらに、電気炉の排出口に設置されている酸素濃度計で酸素濃度が適切に推移しているかをモニターすることである。
本発明によれば、化学量論量以下の酸素の存在下で、発生した小分子ガスの燃焼を行うので燃焼速度がほぼ一定に保たれ、炉内温度が急上昇することは起こらず、安全性が確保された状態でプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解することができる。また、比較的低温でラジカル伝播による小分子化するプロセスと、残留する有機物をより高い温度でラジカル・ジャンプにより小分子化するプロセスを個別に行う2段階の温度領域を設けたので、全処理時間を高温にする必要がなく、安全性が確保された状態でプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解することができる。
図1は本発明を実施するための安全を確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の処理装置を示す図であり、加熱処理室である電気炉1とVOC浄化装置6から構成されている。電気炉1内には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体である触媒担持ハニカム4が上下、左右、前後の6方向に内張りされている。また、電気炉1には3段の図示しない棚が設置されており、それぞれの棚には触媒担持ハニカム4が設置されその上に被処理物5が置かれている。棚の段数は処理量に応じて適宜調整して良い。被処理物5は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として以後説明を行うが、プラスチックまたはプラスチック複合材料全般に適用できる。電気炉1の床部には空気のガス導入口2があり、空気流量を制御しながら炉内に層流の形態で導いている。電気炉1の上部のガス排出口3を通して、外付けのVOC浄化装置6が配置されている。VOC浄化装置6には電気炉1からのガスの他に、空気導入口7から空気を必要な量だけ送り込んでいる。VOC浄化装置6の浄化ガス排出口10には吸気ファン8が付いており、排出される浄化ガスを取り込んでいる。排出口3に設置されている酸素濃度計9で酸素濃度が測定される。吸気ファン8からの吸引量を制御して結果的に電気炉1への導入空気量を制御しているが、ガス導入口から空気を電気炉に押し込む流量を直接制御するようにしても良い。
電気炉1には図示しないヒーターが組み込まれており、被処理物5であるCFRPの表面に触媒担持ハニカム4の酸化物半導体が接触した状態でヒーターに通電して予熱後に、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度に昇温すると、正孔の酸化力によりCFRPは小分子ガスに分解される。この第1工程において、電気炉1内のCFRP中の有機物を燃焼させるために必要な化学量論量以下の酸素と発生した小分子ガスとが反応して燃焼速度がほぼ一定に保たれる。燃焼しきれなかった余剰の小分子ガスは排出口3を通してVOC浄化装置6に送られる。VOC浄化装置6にはヒーターを埋め込んだ触媒担持ハニカムが多段に組み込まれており、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する温度に設定しておき、空気導入口7からの空気量を適宜調整すれば、流入する小分子ガスは正孔の酸化力により水と二酸化炭素に分解、浄化されて吸気ファン8に取り込まれる。
次に第2工程においては、酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度に昇温して、ガス導入口2から空気を電気炉1内に導入する。第2工程においては電気炉1内のCFRP中に残存する有機物は水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解され、好ましくは完全に水と二酸化炭素に分解される。
電気炉1には図示しないヒーターが組み込まれており、被処理物5であるCFRPの表面に触媒担持ハニカム4の酸化物半導体が接触した状態でヒーターに通電して予熱後に、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度に昇温すると、正孔の酸化力によりCFRPは小分子ガスに分解される。この第1工程において、電気炉1内のCFRP中の有機物を燃焼させるために必要な化学量論量以下の酸素と発生した小分子ガスとが反応して燃焼速度がほぼ一定に保たれる。燃焼しきれなかった余剰の小分子ガスは排出口3を通してVOC浄化装置6に送られる。VOC浄化装置6にはヒーターを埋め込んだ触媒担持ハニカムが多段に組み込まれており、酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する温度に設定しておき、空気導入口7からの空気量を適宜調整すれば、流入する小分子ガスは正孔の酸化力により水と二酸化炭素に分解、浄化されて吸気ファン8に取り込まれる。
次に第2工程においては、酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度に昇温して、ガス導入口2から空気を電気炉1内に導入する。第2工程においては電気炉1内のCFRP中に残存する有機物は水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解され、好ましくは完全に水と二酸化炭素に分解される。
実験には、下記の電気炉1、VOC浄化装置6、酸素濃度計9を用いた。
電気炉1:
(株)デンケン製の電気炉KDF-S100(炉内寸法:350x300x500mm, 消費電力:8kW)。電気炉1の内壁には、酸化クロムを担持したハニカム(厚み:30mm)を全面に貼り、入口もハニカム板を立てた。気化した可燃ガスの大半は、導入される空気(約200L/分)中の酸素とほぼ化学量論的に反応し、二酸化炭素と水になる。余剰の可燃ガスは、酸化クロムを担持したハニカムを通過する際に、さらに小分子化され、外付けのVOC浄化装置に入る。 電気炉の昇温過程は、室温から60分かけて300℃とし、300℃で90分間予備加熱を行った。その後、60分かけて400℃とし、第1工程(400℃、70分)を行った。引き続き、30分かけて600℃に昇温し、第2工程は600℃で30分実施した。
VOC浄化装置6:
(株)ジンテク製のVOC浄化装置(モデル:MT-130-200;100V/2.4kW)を使用した。本装置は、ヒーターを埋め込んだ130x200mm、厚さ30mmの触媒担持ハニカム8段から構成され、実験では前段6段のみを通電し、1.8kWのパワーで運転した。設定温度は500℃とした。
酸素濃度計9:
新コスモス電機製の酸素濃度計XP-3180Eを使用した。濃度計は、隔膜ガルバニ電池式であり、電気化学反応に基づく電流値で酸素濃度をモニターしている。本機には、高温ガスの熱を遮断するホット・エア・プローブが内蔵されているが、高温酸素ガスの測定における精度については不明である。多少の誤差を承知の上で、本濃度計を電気炉の排出口に設置し、酸素濃度の変化を測定した。
電気炉にチャージする廃CFRPと空気の導入量:
廃CFRPのチャージ量が1,000gに対して、分解実験を行った。電気炉1内に導入される一定量の空気量は、出口からファンで吸引し、浄化されたガスを排出した。廃CFRP1,000gに対して吸引量は約200L/分とした。VOC浄化装置の排出口から吸気ファン8で吸引し、浄化されたガスを排出した。1000gのCFRP中のポリマー母体重量を400gと見積もり、ポリマーを分解するために必要な酸素量を、処理時間としての第1工程の温度400℃の保持時間70分で割り算をすると、43L/分が算出される。これが化学量論的な流量である。これに対して、本実験ではこれより大きな数値である約200L/分を出口吸引風量として設定した理由を以下に説明する。安全性が確保された本装置における酸素流量は、電気炉内の酸素濃度の要件ばかりでなく、この他に装置側からの制約、特に吸引ファンの能力並びにVOC浄化装置内の温度を均一に保つ風量、装置自体の気密性等を考慮しなければならない。そもそも200L/分の風量値は非常に低風速であり、本装置に装備した吸引ファン8(オリエンタルモーター:MRS16V-B)で最小に設定できる限界値であった。この風量値で電気炉内の化学量論的な酸素流量とVOC浄化装置内の温度一様性を満足させることができるかが問題であった。実験的に検討した結果は後述するように、酸素濃度を温度の関数として示した図6において、200分を越えるあたりから酸素量が減少し、反応が終了すると元の酸素濃度に復帰する傾向にあることが如実に示されていることから、吸気ファン8での吸引量約200L/分であれば、電気炉1内では化学量論的な酸素流量が供給されることが示されたと言える。また、後述する図7において示されるように、VOC浄化装置の温度の一様性を確保できた。上記の理由から、出口風量を200L/分とし、この量を実施例2及び実施例3においても共通に用いた。
ガス導入口2から実際に導入された空気流量は、使用したヴェイン・タイプの風速計(Kimo Instruments:LV101S:最小風:0.8m/sec)の測定限界以下であったので明らかではないが、吸気ファン8から吸引される空気流量約200L/分よりもかなり小さい値である。この数値差の原因として、入口の成分は空気窒素と酸素であり、出口では窒素、水、二酸化炭素に変化すること、空気導入口7から空気が導入されること、及び電気炉1、VOC浄化装置6への配管及びVOC浄化装置6内の不十分な密閉度のため外部から空気が流入し得ることが考えられる。
電気炉1:
(株)デンケン製の電気炉KDF-S100(炉内寸法:350x300x500mm, 消費電力:8kW)。電気炉1の内壁には、酸化クロムを担持したハニカム(厚み:30mm)を全面に貼り、入口もハニカム板を立てた。気化した可燃ガスの大半は、導入される空気(約200L/分)中の酸素とほぼ化学量論的に反応し、二酸化炭素と水になる。余剰の可燃ガスは、酸化クロムを担持したハニカムを通過する際に、さらに小分子化され、外付けのVOC浄化装置に入る。 電気炉の昇温過程は、室温から60分かけて300℃とし、300℃で90分間予備加熱を行った。その後、60分かけて400℃とし、第1工程(400℃、70分)を行った。引き続き、30分かけて600℃に昇温し、第2工程は600℃で30分実施した。
VOC浄化装置6:
(株)ジンテク製のVOC浄化装置(モデル:MT-130-200;100V/2.4kW)を使用した。本装置は、ヒーターを埋め込んだ130x200mm、厚さ30mmの触媒担持ハニカム8段から構成され、実験では前段6段のみを通電し、1.8kWのパワーで運転した。設定温度は500℃とした。
酸素濃度計9:
新コスモス電機製の酸素濃度計XP-3180Eを使用した。濃度計は、隔膜ガルバニ電池式であり、電気化学反応に基づく電流値で酸素濃度をモニターしている。本機には、高温ガスの熱を遮断するホット・エア・プローブが内蔵されているが、高温酸素ガスの測定における精度については不明である。多少の誤差を承知の上で、本濃度計を電気炉の排出口に設置し、酸素濃度の変化を測定した。
電気炉にチャージする廃CFRPと空気の導入量:
廃CFRPのチャージ量が1,000gに対して、分解実験を行った。電気炉1内に導入される一定量の空気量は、出口からファンで吸引し、浄化されたガスを排出した。廃CFRP1,000gに対して吸引量は約200L/分とした。VOC浄化装置の排出口から吸気ファン8で吸引し、浄化されたガスを排出した。1000gのCFRP中のポリマー母体重量を400gと見積もり、ポリマーを分解するために必要な酸素量を、処理時間としての第1工程の温度400℃の保持時間70分で割り算をすると、43L/分が算出される。これが化学量論的な流量である。これに対して、本実験ではこれより大きな数値である約200L/分を出口吸引風量として設定した理由を以下に説明する。安全性が確保された本装置における酸素流量は、電気炉内の酸素濃度の要件ばかりでなく、この他に装置側からの制約、特に吸引ファンの能力並びにVOC浄化装置内の温度を均一に保つ風量、装置自体の気密性等を考慮しなければならない。そもそも200L/分の風量値は非常に低風速であり、本装置に装備した吸引ファン8(オリエンタルモーター:MRS16V-B)で最小に設定できる限界値であった。この風量値で電気炉内の化学量論的な酸素流量とVOC浄化装置内の温度一様性を満足させることができるかが問題であった。実験的に検討した結果は後述するように、酸素濃度を温度の関数として示した図6において、200分を越えるあたりから酸素量が減少し、反応が終了すると元の酸素濃度に復帰する傾向にあることが如実に示されていることから、吸気ファン8での吸引量約200L/分であれば、電気炉1内では化学量論的な酸素流量が供給されることが示されたと言える。また、後述する図7において示されるように、VOC浄化装置の温度の一様性を確保できた。上記の理由から、出口風量を200L/分とし、この量を実施例2及び実施例3においても共通に用いた。
ガス導入口2から実際に導入された空気流量は、使用したヴェイン・タイプの風速計(Kimo Instruments:LV101S:最小風:0.8m/sec)の測定限界以下であったので明らかではないが、吸気ファン8から吸引される空気流量約200L/分よりもかなり小さい値である。この数値差の原因として、入口の成分は空気窒素と酸素であり、出口では窒素、水、二酸化炭素に変化すること、空気導入口7から空気が導入されること、及び電気炉1、VOC浄化装置6への配管及びVOC浄化装置6内の不十分な密閉度のため外部から空気が流入し得ることが考えられる。
ステンレス製の2段の棚の各々に、厚さ30mmの酸化クロムを担持したハニカムを敷き、この上に50mm程度の角柱で長さが約150mmの廃CFRPを接触するように1,000gの廃CFRPを載せた。ハニカムとCFRP片が接触する点で、酸化クロム半導体はCFRPから結合電子を引き抜き、CFRP内にラジカルを生成し、これがCFRPの中を伝播して、CFRPのポリマー母体をガス化する。
上述の昇温プログラムに従い、廃CFRPの実験を行った。図5、6、7にそれぞれ処理時間の関数として、電気炉1内温度、酸素濃度、VOC浄化装置6の温度を示す。図5と7の図中の細めの直線は設定値の温度(SV値:Set Value)であり、点を繋ぐ曲線は実測のプロセス温度(PV値:Process Value)である。また、図6の点を繋ぐ曲線は酸素濃度の経時変化を表している。まず、図5の炉内温度は第1工程で設定値よりも最大で70℃程度高くなっているが暴走することはなかった。この第1工程で発生する可燃ガスは、炉内に導入される空気中の酸素と反応し、図6の酸素濃度の経時変化から分かるように、約21%レベルから2%程度まで減少している。その後、第1工程の終了に伴い、酸素濃度が上昇している。図5の第2工程では炉内温度は設定温度とほぼ同程度で、穏やかに反応が進行していることが分かる。第2工程の終了に近づくと、炉内の酸素濃度が上昇してくるが、21%レベルには戻っていない。可燃ガスの発生が終了しているので、本来は酸素濃度が21%レベルに復帰すべきように思われるが、酸素濃度計9の温度依存性や酸素濃度の算出方法に原因があるように思われる。廃CFRPのポリマー母体の分解率は100%であった。吸気ファン8から排出されるガスは水と二酸化炭素のみであった。
次に、図7のVOC浄化装置6の温度変化に視点を移す。図5の炉内温度の第1工程の温度上昇に対応して、一時的に、VOC浄化装置6の温度が設定温度より最大で約50℃程度上昇している。しかし、この程度の一時的な温度上昇は、特段、問題とはならない。
以上の結果より、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
上述の昇温プログラムに従い、廃CFRPの実験を行った。図5、6、7にそれぞれ処理時間の関数として、電気炉1内温度、酸素濃度、VOC浄化装置6の温度を示す。図5と7の図中の細めの直線は設定値の温度(SV値:Set Value)であり、点を繋ぐ曲線は実測のプロセス温度(PV値:Process Value)である。また、図6の点を繋ぐ曲線は酸素濃度の経時変化を表している。まず、図5の炉内温度は第1工程で設定値よりも最大で70℃程度高くなっているが暴走することはなかった。この第1工程で発生する可燃ガスは、炉内に導入される空気中の酸素と反応し、図6の酸素濃度の経時変化から分かるように、約21%レベルから2%程度まで減少している。その後、第1工程の終了に伴い、酸素濃度が上昇している。図5の第2工程では炉内温度は設定温度とほぼ同程度で、穏やかに反応が進行していることが分かる。第2工程の終了に近づくと、炉内の酸素濃度が上昇してくるが、21%レベルには戻っていない。可燃ガスの発生が終了しているので、本来は酸素濃度が21%レベルに復帰すべきように思われるが、酸素濃度計9の温度依存性や酸素濃度の算出方法に原因があるように思われる。廃CFRPのポリマー母体の分解率は100%であった。吸気ファン8から排出されるガスは水と二酸化炭素のみであった。
次に、図7のVOC浄化装置6の温度変化に視点を移す。図5の炉内温度の第1工程の温度上昇に対応して、一時的に、VOC浄化装置6の温度が設定温度より最大で約50℃程度上昇している。しかし、この程度の一時的な温度上昇は、特段、問題とはならない。
以上の結果より、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
実施例1と同様の条件で、廃CFRPの処理量を1,300gとして分解実験を行った。図8、9、10にそれぞれ処理時間の関数として、電気炉1内温度、酸素濃度、VOC浄化装置6の温度を示す。廃CFRPのポリマー母体の分解率は100%であった。吸気ファン8から排出されるガスは水と二酸化炭素のみであった。
廃CFRP1300gの実験においても、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
廃CFRP1300gの実験においても、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
実施例1と同様の条件で、廃CFRPの処理量を1,600gとして分解実験を行った。図11、12、13にそれぞれ処理時間の関数として、電気炉1内温度、酸素濃度、VOC浄化装置6の温度を示す。廃CFRPのポリマー母体の分解率は100%であった。吸気ファン8から排出されるガスは水と二酸化炭素のみであった。
廃CFRP1,600gの実験においても、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
図5、8、11を比較すると、廃CFRPの処理量は1,000g, 1,300g, 1,600gと変わっているにもかかわらず電気炉1内温度の上昇は同程度である。これは流入する酸素量は共通であるので、小分子ガスの燃焼は酸素量により制限されて3例で共通で、燃焼速度がほぼ一定に保たれたことを示している。また、図7、10,13を比較すると、VOC浄化装置内6の温度は廃CFRPの処理量が1,000g, 1,300g, 1,600gと増えるに従って上昇する傾向がみられるが、これはVOC浄化装置6に流れ込む余剰の小分子ガスが増えるためである。図11及び図13の温度上昇は許容範囲であり、安全性は確保されている。
本電気炉1で体積的に1台のVOC浄化装置6にて処理が可能な廃CFRPの最大量は約1,600gであった。CFRPがこの最大量を超えて、VOC浄化装置内6の温度が設定温度よりも許容値を超えて上昇する場合は、複数のVOC浄化装置6を電気炉1に並列に連結することで安全性を確保することができる。許容値は例えば設定値より200℃高い温度とか、設定値によらず800℃を上限にするとか、装置の耐熱温度などを基に予め決めておけばよい。
廃CFRP1,600gの実験においても、炉内の温度制御ならびに酸素濃度もかなり制御され、VOC浄化装置6の温度変化においても反応が穏やかに進行している様子がうかがえる。これにより、廃CFRPの分解装置は、安全が確保されていると判断される。
図5、8、11を比較すると、廃CFRPの処理量は1,000g, 1,300g, 1,600gと変わっているにもかかわらず電気炉1内温度の上昇は同程度である。これは流入する酸素量は共通であるので、小分子ガスの燃焼は酸素量により制限されて3例で共通で、燃焼速度がほぼ一定に保たれたことを示している。また、図7、10,13を比較すると、VOC浄化装置内6の温度は廃CFRPの処理量が1,000g, 1,300g, 1,600gと増えるに従って上昇する傾向がみられるが、これはVOC浄化装置6に流れ込む余剰の小分子ガスが増えるためである。図11及び図13の温度上昇は許容範囲であり、安全性は確保されている。
本電気炉1で体積的に1台のVOC浄化装置6にて処理が可能な廃CFRPの最大量は約1,600gであった。CFRPがこの最大量を超えて、VOC浄化装置内6の温度が設定温度よりも許容値を超えて上昇する場合は、複数のVOC浄化装置6を電気炉1に並列に連結することで安全性を確保することができる。許容値は例えば設定値より200℃高い温度とか、設定値によらず800℃を上限にするとか、装置の耐熱温度などを基に予め決めておけばよい。
本発明は安全性を確保してプラスチックまたはプラスチック複合材料を処理する方法及び処理装置を提供できるので、広い分野で使用することができ、産業上の利用価値は非常に高い。
1 電気炉
2 ガス導入口
3 ガス排出口
4 触媒担持ハニカム
5 被処理物
6 VOC浄化装置
7 空気導入口
8 吸気ファン
9 酸素濃度計
10 浄化ガス排出口
2 ガス導入口
3 ガス排出口
4 触媒担持ハニカム
5 被処理物
6 VOC浄化装置
7 空気導入口
8 吸気ファン
9 酸素濃度計
10 浄化ガス排出口
Claims (14)
- 被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解する方法であって、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させた状態で加熱処理室内に設置し、前記加熱処理室を予熱後に、前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解し、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1の温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量と前記小分子ガスが反応して燃焼することにより燃焼速度がほぼ一定に制御される第1工程と、前記酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、酸素の存在下、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料に残存する有機物を水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解する第2工程とを含むことを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 前記第1の温度は300ないし450℃であり、前記第2の温度は400ないし600℃であり、第2の温度は第1の温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させる方法は、酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体に被処理物を接触させる方法であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 前記プラスチックまたはプラスチック複合材料は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1ないし3に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 前記第1工程において発生した余剰の前記小分子ガスは前記加熱処理室のガス排出口に連結された酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置に導入され、前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する温度に保たれた前記VOC浄化装置内において、前記正孔の酸化力を利用して、別途設けられた空気導入口から導入される空気により前記小分子ガスが水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解されることを特徴とする請求項1ないし4に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 前記安全性が確保された状態は前記加熱処理室内温度の異常上昇が抑制された状態であり、かつ前記加熱処理室内爆発が抑制された状態であることを特徴とする請求項1ないし5に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する方法。
- 被処理物であるプラスチックまたはプラスチック複合材料を分解する装置であって、ガス導入口及びガス排出口を備えた加熱処理室を有し、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させた状態で前記加熱処理室内に設置し、前記加熱処理室を予熱後に、第1工程において前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する第1の温度にて、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を小分子ガスに分解し、前記ガス導入口から前記加熱処理室に導入する前記プラスチックまたはプラスチック複合材料中の有機物を燃焼させるために必要な酸素量を前記第1の温度の保持時間で割った値である化学量論的流量値よりも低い酸素量と前記小分子ガスが反応して燃焼することにより燃焼速度をほぼ一定に制御し、次いで第2工程において、前記酸化物半導体のバンド間遷移により、さらに大量の正孔と電子とが生成する第2の温度にて、前記ガス導入口から空気を前記加熱処理室内に導入して、前記正孔の酸化力を利用して、前記プラスチックまたはプラスチック複合材料に残存する有機物を水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解することを特徴とするプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記第1の温度は300ないし450℃であり、前記第2の温度は400ないし600℃であり、第2の温度は第1の温度よりも高いことを特徴とする請求項7に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記プラスチックまたはプラスチック複合材料の表面に酸化物半導体を接触させる方法は、酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体に被処理物を接触させる方法であることを特徴とする請求項7または8に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記プラスチックまたはプラスチック複合材料は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項7ないし9に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記ガス排出口は酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置に連結されており、前記VOC浄化装置は空気導入口と浄化ガス排出口を有し、前記第1工程において前記加熱処理室内に発生した余剰の前記小分子ガスを前記ガス排出口から前記VOC浄化装置に導入して、前記VOC浄化装置内を前記酸化物半導体のバンド間遷移により大量の正孔と電子とが生成する温度に保ち、前記正孔の酸化力を利用して、前記空気導入口から導入する空気により前記小分子ガスを水と二酸化炭素とが主成分として生成されるように分解して、前記浄化ガス排出口から排出することを特徴とする請求項7ないし10に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記安全性が確保された状態は前記加熱処理室内温度の異常上昇が抑制された状態であり、かつ前記加熱処理室内爆発が抑制された状態であることを特徴とする請求項7ないし11に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記安全性が確保された状態であることは、前記加熱処理室内並びに前記VOC浄化装置内の設定温度と動作中のシステム温度及び前記加熱処理室の前記ガス排出口に設置された酸素濃度計の値をモニターすることにより確認することを特徴とする請求項7ないし12に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
- 前記VOC浄化装置内の動作中のシステム温度が前記設定温度よりも許容値を超えて上昇する場合は、前記加熱処理室にVOC浄化装置を複数台、並列に連結することを特徴とする請求項7ないし13に記載のプラスチックまたはプラスチック複合材料を安全性が確保された状態で分解する装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021076889A JP2022170616A (ja) | 2021-04-28 | 2021-04-28 | 安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021076889A JP2022170616A (ja) | 2021-04-28 | 2021-04-28 | 安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022170616A true JP2022170616A (ja) | 2022-11-10 |
Family
ID=83944577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021076889A Pending JP2022170616A (ja) | 2021-04-28 | 2021-04-28 | 安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022170616A (ja) |
-
2021
- 2021-04-28 JP JP2021076889A patent/JP2022170616A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW321713B (ja) | ||
EP0218590B1 (en) | Process for combustion or decomposition of pollutants and equipment therefor | |
CN206045771U (zh) | 有机废气综合处理系统 | |
CN105605594B (zh) | 催化氧化处理大流量VOCs气体的节能方法 | |
CN203501187U (zh) | 一种处理含有高浓度有机污染物废气的装置 | |
CN204880159U (zh) | 催化燃烧装置 | |
CN104344409A (zh) | 一种处理含高浓度有机污染物废气的方法 | |
CN105194941A (zh) | 结果可控有机废气催化燃烧处理装置 | |
EP3181835B1 (en) | Integrated combustion device power saving system | |
CN105202552A (zh) | 温度可控有机废气催化燃烧处理装置 | |
CN203517820U (zh) | 蓄热式热力焚烧及光触媒净化的废气治理系统 | |
US5614156A (en) | Ultra-pyrolysis reactor for hazardous waste destruction | |
WO2016153096A1 (ko) | 난분해성 유해가스 소각처리를 위한 에너지 절약형 연소장치 및 이의 운전방법 | |
JP2022170616A (ja) | 安全性が確保されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の分解方法及び分解装置 | |
CN108151035B (zh) | 一种电热氧化VOCs装置及处理方法 | |
TWM586637U (zh) | 揮發性有機化合物氣體輸入裝置及有機揮發氣體處理系統 | |
KR101008491B1 (ko) | 증기발생기 화학 세정폐액 처리시스템 및 이를 이용한 방법 | |
KR20110017126A (ko) | 하이브리드 스크러버용 반응기 조립체 | |
CN106369615B (zh) | 一种有机废气的焚烧处理方法及装置 | |
JP2022121823A (ja) | ディーゼルエンジンの排ガスを乾式法で同時に分解する方法及び分解装置 | |
JP2000137095A (ja) | 原子炉で使用された黒鉛の処理方法 | |
CN111396900A (zh) | 一种微波辅助催化燃烧高浓度油脂废水的装置及工艺 | |
CN203893198U (zh) | 一种温控蓄热式热力焚化炉 | |
CN203489281U (zh) | 高效能焚化设备 | |
TWI689344B (zh) | 揮發性有機化合物氣體輸入裝置及有機揮發氣體處理系統 |