JP2022169069A - 放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法 - Google Patents

放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することが可能な放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法を提供する。【解決手段】放射性核種製造システム100は、原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する放射性核種製造システムであって、原料核種を含む液体11を循環させる循環路10と、制動放射線22を発生させて液体11に照射する放射線発生部20と、を備え、循環路10内の上部に、白金族の純金属または白金族の合金を含む金属材50を有する。放射性核種製造方法は、原料核種を含む液体11を循環路10内で循環させながら、液体11に制動放射線22を照射して原料核種を放射性核種に変換し、液体11の放射線分解によって生成した酸素と水素を、循環路10内の上部の白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材50で再結合反応させて除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、制動放射線による核反応を利用して放射性核種を製造する放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法に関する。
アクチニウム225(Ac-225)は、アルファ線を放出する放射性核種であり、アルファ線内用療法に用いる治療用薬剤の原料として期待されている。従来、アクチニウム225(Ac-225)は、親核種であるトリウム229(Th-229)からの崩壊によって生産されている。
現在、臨床に利用可能なAc-225を供給可能な施設は、ドイツのカールスルーエにある超ウラン元素研究所(ITU:Institute for Transuranium Elements)、米国のオークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge National Laboratory)、ロシアのオブニンスクにあるロシア国立科学センタ物理エネルギ研究所(IPPE:Institute of Physics and Power Engineering)の3ヵ所のみである。
Th-229は自然界には無く、ウラン233(U-233)からの崩壊によって生成されている。しかし、今後は核物質防護の関係でU-233が生産されないことから、全世界におけるAc-225の生産可能量は、現存するU-233からTh-229を経由して生産可能な範囲に制限される。この量は、臨床前試験には十分であるが、臨床試験以降には大幅に不足することが予想されているため、加速器を用いた製造が望まれている。
加速器を用いてAc-225を製造する方法としては、Ra-226(p,2n)Ac-225反応を利用する方法が知られている。この方法では、天然に存在するラジウム226(Ra-226)にサイクロトロンで加速された陽子が照射されている。製造試験は、ORNLや、米国のブルックヘブン国立研究所(BNL:Brookhaven National Laboratory)や、日本の量子科学技術研究開発機構(QST:National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology)で進められているが、商用化はされていない。
加速器を用いてAc-225を製造する方法には、製造上の課題が存在している。サイクロトロンで加速された陽子のRa-226中の飛程は短いため、ターゲットを厚くしても、Ac-225を大量に製造できないという課題がある。陽子エネルギの殆どをターゲット中で失うが、ターゲットの十分な除熱が難しいため、陽子エネルギを従来よりも高くすることは困難である。
加速器を用いてAc-225を製造する方法としては、Ra-226(n,2n)Ra-225反応の後に、Ra-225をβ崩壊させてAc-225に変換する方法も知られている。この方法では、Ra-226に高速中性子が照射されている。しかし、中性子を照射する場合、遮蔽のために装置が大型化する課題や、装置の放射化によって放射性廃棄物が増加する課題がある。
また、Ra-226(γ,n)Ra-225反応の後に、Ra-225をβ崩壊させてAc-225に変換する方法が提案されている。この方法では、Ra-226に制動放射線が照射されている。制動放射線は、マイクロトロンや、線形加速器等で加速させた電子を原子番号が大きいターゲット材に照射して発生させている。特許文献1には、原料核種を含む流体を循環路内に循環させながら、循環路内の流体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する技術が記載されている。
特開2020-183926号公報
特許文献1のように、原料核種を含む流体を循環路内に循環させながら放射線を照射すると、固体状のターゲット材を用いなくとも、流体中で目的の放射性核種を製造することができる。ターゲット材は照射によって溶融しないため、長い時間間隔を空けて間欠的に放射線を照射する必要がない。また、ターゲット材中に生成した目的の放射性核種を得るために、ターゲット材を取出す操作が不要になる。そのため、目的の放射性核種を効率的に製造することができる。
しかし、原料核種を含む流体に放射線を照射すると、原料核種が核変換されるだけでなく、流体中の媒質が放射線分解されることがある。例えば、Ra-226(γ,n)Ra-225反応を利用する場合、Ra-226を含む塩化物、酸化物等を酸に溶解させた酸溶液が用いられる。酸溶液中には、水が含まれている。そのため、水の少なくとも一部が放射線分解されて、酸素ガスや水素ガスが発生する。
特許文献1のように、原料核種を含む流体を循環路内に循環させる場合、放射線の照射によってガスが発生すると、循環路内にガスが蓄積することが問題となる。ガスが蓄積すると、圧力が上昇して、流体の漏洩、配管の破裂等が起こる虞がある。そのため、放射性物質の拡散や製造従事者の被曝が安全上で問題となる。また、酸素ガスと水素ガスは、爆発限界の範囲内となり得るため、爆発の危険を生じる。
循環路内に発生したガスは、所定の圧力に達した段階で、外部に放出することも考えられる。しかし、このような対策をとる場合、循環路にガス放出口を設け、放出されるガス中の放射性物質を除去しなければならない。ガス放出口には、放射性ガス処理装置を設置する必要があるが、放射性ガス処理装置を設置すると、システム全体としての大型化や重量化に繋がる。
そこで、本発明は、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することが可能な放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る放射性核種製造システムは、原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する放射性核種製造システムであって、原料核種を含む液体を循環させる循環路と、制動放射線を発生させて前記液体に照射する放射線発生部と、を備え、前記循環路内の上部に、白金族の純金属または白金族の合金を含む金属材を有する。
また、本発明に係る放射性核種製造方法は、原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する放射性核種製造方法であって、原料核種を含む液体を循環路内で循環させながら、前記液体に制動放射線を照射して前記原料核種を放射性核種に変換し、前記液体の放射線分解によって生成した酸素と水素を、前記循環路内の上部の白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材で再結合反応させて除去する。
本発明によると、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することが可能な放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法を提供することができる。
本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 Ra-226の(γ,n)反応の反応断面積の理論値を示すグラフである。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態に係る放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図1に示すように、放射性核種製造システム100は、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、を備えている。
図中において、符号11は、循環路内の原料核種や生成核種を含む液体を示す。符号12は、液体の流れ方向を示す。符号13は、生成ガスを含む気相部を示す。符号21は、電子線を示す。符号22は、制動放射線を示す。
放射性核種製造システム100は、原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する装置である。放射性核種製造システム100では、液体中に含まれる所定の原料核種に、核反応の閾値以上のエネルギを持つ制動放射線を照射し、制動放射線による光核反応によって原料核種を目的の放射性核種に核変換する。
放射性核種製造システム100は、原料核種を含む液体11中に含まれる水が放射線分解された場合に、水の放射線分解で発生した酸素ガスと水素ガスを再結合反応させて除去するために、白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材50を備えている。
放射性核種製造システム100における放射性核種の製造は、次の方法で行われる。
原料核種を含む液体11を、循環路10内に導入して、循環路10内で循環させる。目的の放射性核種への核変換を進める際には、不図示の電子線照射装置から制動放射線発生用のターゲット20に向けて、高エネルギの電子線21を照射する。ターゲット20は、電子線21が起こす制動放射によって、目的の放射性核種を生成する核反応に必要な閾値以上のエネルギを持つ制動放射線22を発生させる。
そして、原料核種を含む液体11を循環路10内で循環させながら、原料核種を含む液体11に制動放射線22を照射して、原料核種を目的の放射性核種に変換する。原料核種を含む液体11を循環させるため、核反応によって生成した目的の放射性核種は、未変換の原料核種と共に、制動放射線22の照射域から離れて循環路10内を流れる。
核反応によって生成した目的の放射性核種は、必要に応じて、分離装置30において循環路10内から連続的または断続的に取り出される。未変換の原料核種は、循環路10内を更に流れ、制動放射線22の照射域に再供給されて制動放射線22を照射される。原料核種を含む液体11の循環や、制動放射線22の照射は、連続的または断続的に繰り返し行うことができる。
放射性核種の製造中には、原料核種を含む液体11の放射線分解によって生成した酸素と水素を、循環路10内の上部の金属材50で再結合反応させて除去する。金属材50は、白金族の純金属または白金族の合金で形成されるため、酸素と水素を結合させて水を生成する触媒活性を持つ。そのため、水の放射線分解によって酸素と水素が生成しても、金属材50の触媒活性で酸素と水素が水に戻り、循環路10内からガスが除去される。
原料核種としては、製造しようとする目的の放射性核種に応じて、適宜の核種を用いることができる。原料核種の具体例としては、ラジウム-226(Ra-226)、モリブデン-100(Mo-100)、亜鉛-68(Zn-68)、ハフニウム-178(Hf-178)、ゲルマニウム-70(Ge-70)等が挙げられる。
原料核種を核変換する核反応としては、製造しようとする目的の放射性核種、原料核種の種類、必要なエネルギ等に応じて、(γ,n)、(γ,p)、(γ,2n)、(γ,pn)等の光核反応を用いることができる。
核反応によって製造する放射性核種は、特に制限されるものではないが、放射線内用療法に用いられる治療用薬剤の原料や、放射線診断に用いられる放射性標識試薬等として有用な点で、α線放出核種、β線放出核種またはγ線放出核種が好ましい。製造する放射性核種は、光核反応の後に放射性壊変で生成する子孫核種であってもよい。
例えば、α線放出核種であるアクチニウム-225(Ac-225)を製造する場合、Ra-226(γ,n)Ra-225反応とβ崩壊を用いることができる。γ線放出核種であるテクネチウム-99m(Tc-99m)を製造する場合、Mo-100(γ,n)Tc-99m反応を用いることができる。β線・γ線放出核種である銅-67(Cu-67)を製造する場合、Zn-68(γ,p)Cu-67反応を用いることができる。β線・γ線放出核種であるルテチウム-177(Lu-177)を製造する場合、Hf-178(γ,p)Lu-177反応を用いることができる。β線放出核種であるガリウム-68(Ga-68)を製造する場合、Ge-70(γ,2n)Ge-68反応と電子捕獲反応を用いることができる。
目的の放射性核種の製造に制動放射線による光核反応を用いると、必要なエネルギを持つ入射粒子を、シンクロトロン、サイクロトロン等と比較して、小型の加速器で発生させることができる。また、中性子や荷電粒子による核反応を用いる場合と比較して、遮蔽材を厚く設ける必要がないため、装置を小型・軽量に設けることができる。
原料核種を含む液体11としては、原料核種を含む物質を溶媒に溶解させた溶液や、原料核種を含む物質を分散媒に分散させた分散液等を用いることができる。原料核種を含む液体11は、少なくとも微量の水を含む限り、低粘度な液状であってもよいし、水よりも高粘度なスラリ状等であってもよい。溶媒や分散媒としては、水や、酸溶液等を用いることができる。酸溶液としては、塩酸溶液、硝酸溶液等が挙げられる。
原料核種を含む物質としては、原料核種の種類、溶解性や分散性等に応じて、適宜の化学形態を用いることができる。原料核種を含む物質の具体例としては、酸化物、窒化物、水素化物、炭化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、錯体等の化合物等が挙げられる。
原料核種を含む液体11は、白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材50を用いる点からは、ハロゲン分子、ハロゲン化合物、ハロゲンイオン等の原料由来のハロゲンを含まないことが好ましい。すなわち、原料核種を含む物質や、溶媒や分散媒は、ハロゲンを含まない物質であることが好ましい。ハロゲンを含まない場合、金属材50の被毒を避けることができるため、酸素ガスや水素ガスを持続的に効率良く除去できる。
例えば、Ra-226を含む物質としては、塩化ラジウム(RaCl)、炭酸ラジウム(RaCO)等を用いることができるが、炭酸ラジウム(RaCO)がより好ましい。Mo-99を含む物質としては、三酸化モリブデン(MoO)等を用いることができる。Zn-68を含む物質としては、酸化亜鉛(ZnO)等を用いることができる。
図2は、Ra-226の(γ,n)反応の反応断面積の理論値を示すグラフである。
図2に示すように、Ra-226(γ,n)Ra-225反応は、原料核種の核変換に必要なエネルギの閾値が、6.4MeVである。この核反応の反応断面積には、15~20MeV付近に、巨大共鳴による極大がある。
このようなエネルギを持つ制動放射線は、線形加速器等で加速した高エネルギの電子を制動放射させた場合に得ることができる。線形加速器等の電子線加速器は、付与するエネルギが同じであれば、陽子加速器や重粒子加速器と比較して、装置を小型に設けることができる。
また、Ra-226(γ,n)Ra-225反応の反応断面積は、Ra-226(p,2n)Ac-225反応の反応断面積と同程度である。そのため、Ac-225の製造に制動放射線による光核反応を用いると、陽子線による中性子生成反応を用いる場合と比較して、同量のAc-225を小型の装置で得ることができる。
また、Ra-226(n,2n)Ra-225反応の反応断面積は、Ra-226(γ,n)Ra-225反応の反応断面積よりも一桁弱大きいが、Ra-226(n,2n)Ra-225反応を用いる場合、原料核種に高速中性子を照射する必要がある。高速中性子を発生させるためには、サイクロトロンによって加速した重陽子を、炭素のターゲットや、トリチウムを吸蔵させた金属等のターゲットに照射しなければならない。
しかし、ターゲットに重陽子を照射する場合、大掛かりなサイクロトロンや、収束レンズ等が必要になる。また、高エネルギの中性子が透過・散乱するため、機材が放射化されて汚染や放射性廃棄物を生じる。透過・散乱した中性子を遮蔽するために、厚い遮蔽材設ける必要がある。
これに対し、ターゲットに電子線を照射して制動放射線を発生させる場合、ターゲットから出射される中性子が少なくなる。また、ターゲットから放出される制動放射線は、鉛等の遮蔽材で比較的容易に遮蔽することができる。そのため、小型・軽量な装置で放射性核種を製造することができる。
例えば、Ra-226(γ,n)Ra-225反応を用いる場合、Ra-226を含む物質が溶解ないし分散した液体に制動放射線22を照射すると、Ra-226を含む物質が、Ra-225を含む物質に変換される。
Ra-225は、β崩壊を起こし、半減期14.8日で、Ac-225となる。未反応のRa-226と未崩壊のRa-225は、互いに混ざり合った状態となるが、化学形態が同じであるため、互いに分離することが容易でない。しかし、Ra-225は、循環路10における通常の変換効率では、Ra-226と比較して微量にしか生じないため、制動放射線を再照射された場合の影響は小さくなる。
Ac-225は、半減期10.0日でFr-221となる。Fr-221は、半減期4.9分で、At-217となる。At-217は、半減期32ミリ秒で、Bi-213となる。α線放出核種であるAc-225、および、その子孫核種は、治療用薬剤の原料として有用である。
Ac-225や、その子孫核種は、循環路10内で生成させた後に、循環路10外に取り出すことができる。一方、Ra-226およびRa-225は、α線を放出しないため、Ac-225等から分離除去することが好ましい。また、Ra-226は、比較的高価であるため、分離後に原料核種として再利用することが好ましい。
図1に示すように、循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けることができる。図1では、制動放射線22の照射域の位置が、循環路10の鉛直方向に延びる区間のうち、液体11が下向きに流れる区間とされている。但し、制動放射線22の照射域の位置は、循環路10上で特に限定されるものではない。
循環路10は、原料核種を含む液体11を循環させる流路であり、配管状等の構造材によって閉環状に形成される。循環路10は、原料核種を含む液体11や放射性物質の漏洩を防ぐために、液密且つ気密に設けられる。循環路50を形成する構造材の外側には、構造材を囲むように放射線を遮蔽する遮蔽体を設けることができる。
循環路10を形成する構造材の材料としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼や、鉄合金、ニッケル合金、タングステン、白金族等の適宜の材料を用いることができる。遮蔽体は、鉛、鉄、これらの合金等の遮蔽材や、樹脂、ゴム等に遮蔽材を配合した複合材料等、適宜の材料で形成することができる。
循環路10を設けると、原料核種を含む液体11を循環させながら、液体中の原料核種に制動放射線22を照射することができる。通常、核反応によって生成する生成核種は微量であり、原料核種の大部分は未変換のまま残存する。しかし、原料核種を含む液体11を循環させると、核反応によって生成した目的の放射性核種を必要に応じて外部に取り出しつつ、未変換の原料核種には制動放射線22を再照射することができる。そのため、目的の放射性核種を高い変換効率で効率良く製造することができる。
また、循環路10を設けると、原料核種を含む液体11を循環させながら、制動放射線22を照射することができるため、ビーム加熱による循環路10内の液体11の温度上昇を抑制することができる。また、原料核種を含む液体11の濃度、循環速度ないし循環距離に基づいて、目的の放射性核種の製造量を容易に調整することができる。また、循環路10内の空間を原料核種や放射性核種の貯蔵・保管に用いることができる。
制動放射線発生用のターゲット20は、荷電粒子を照射されて制動放射線を発生する材料で形成される。ターゲット20は、効率的に制動放射を起こす限り、適宜の材料で形成することができる。ターゲット20は、板状、箔状等のターゲット材をターゲットホルダに固定した構造、ターゲット材をターゲットに埋設した構造、ターゲット材を容器に入れた構造等、適宜の構造に設けることができる。
制動放射線発生用のターゲット20は、制動放射線の発生させる能力の観点から、原子番号が大きく、且つ、密度が高い材料で形成されることが好ましい。ターゲット20の好ましい材料としては、タングステン(W)、タンタル(Ta)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)や、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)等の白金族が挙げられる。
制動放射線発生用のターゲット20は、不図示の電子線照射装置から高エネルギの電子線21を照射される。電子線照射装置としては、電子銃等の電子源と、電子を加速させる加速器を備えた装置が用いられる。加速器としては、線形加速器、マイクロトロン、ベータトロン等を用いることができる。加速器としては、高エネルギの電子線を小型の装置で得られる点で、線形加速器が好ましい。
図1において、制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。別体として設けると、交換等の保守・管理が容易になる。ターゲット20への電子線21、および、ターゲット20からの制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の側方から入射する向きとされている。
一般に、電子線は、加速器から水平方向に出射される。また、制動放射線発生用のターゲットに電子線を入射させたとき、制動放射線は、電子線の進行方向と同方向に強く放射される。また、電子線の一部は、制動放射線発生用のターゲットを透過し、ターゲットの後方で大きな熱負荷を生じるが、熱負荷を緩和する観点からは、電子線を液体に入射させることが望ましい。
電子線21および制動放射線22を循環路10の側方から入射する向きとすると、加速器から水平方向に出射される電子線21の軌道を偏向させることなく、循環路10内の液体11に入射させることができる。偏向させる曲部のビーム輸送管や、偏向磁石等が不要となるため、装置を小型・軽量に設けることができる。
分離装置30は、循環路10内に生成した目的の放射性核種を原料核種から分離するための装置である。分離装置30は、被処理液が流入する入口と、分離処理後の処理液が流出する出口とを設け、これらを循環路10の途中に接続して、循環路10上に備えることができる。分離装置30では、核反応で生成した放射性核種の放射性壊変によって生じる子孫核種を分離してもよい。
分離装置30としては、分離する核種に応じて、クロマトグラフ、遠心分離器、沈降分離器、蒸発分離器等を用いることができる。
クロマトグラフとしては、液体クロマトグラフィ用のカラムを用いることができる。カラムとしては、原料核種を含む化学形態および目的の放射性核種を含む化学形態のうち、一方に対する親和性が高く、他方に対する親和性が低いものを用いることができる。カラムに充填される固定相は、固体、液体、ゲル等のいずれであってもよい。
例えば、クロマトグラフにおいて、原料核種を含む化学形態が固定相に親和的な場合は、カラムからの透過液を循環路10の外部に排出して回収し、カラムからの溶出液を循環路10に戻す。目的の放射性核種を含む化学形態が固定相に親和的な場合は、カラムからの透過液を循環路10に戻し、カラムからの溶出液を循環路10の外部に排出して回収する。
遠心分離器としては、ディスク式、デカンタ式、サイクロン式等の適宜の装置を用いることができる。沈降分離器としては、遠心沈降式、重力沈降式、浮上分離式、重液分離式等の適宜の装置を用いることができる。遠心分離器や沈降分離器では、沈殿剤や凝集剤を用いてもよい。沈殿剤や凝集剤としては、原料核種を含む化学形態および目的の放射性核種を含む化学形態のうち、一方に強く作用し、他方に弱く作用するか不作用のものを用いることができる。
例えば、遠心分離器や沈降分離器において、原料核種を含む化学形態が沈降する場合は、上清画分を循環路10の外部に排出して回収し、沈降画分を循環路10に戻す。目的の放射性核種を含む化学形態が沈降する場合は、上清画分を循環路10に戻し、沈降画分を循環路10の外部に排出して回収する。
蒸発分離器としては、液体を蒸発させる蒸発缶や加熱源、蒸気を凝縮させるコンデンサ等を備えた適宜の装置を用いることができる。蒸発分離器では、原料核種を含む化学形態と、目的の放射性核種を含む化学形態とで、蒸発温度が大きく異なる場合に、蒸発温度差を利用した気液分離によって核種同士を分離することができる。
例えば、蒸発分離器において、原料核種が蒸気側に分離される場合は、蒸発しなかった液体を循環路10の外部に排出して回収し、蒸気を凝縮させて循環路10に戻す。目的の放射性核種が蒸気側に分離される場合は、蒸気を循環路10の外部に排出して回収し、蒸発しなかった液体を循環路10に戻す。
分離装置30を設けると、原料核種を含む液体11中に生成した目的の放射性核種を、未変換の原料核種から分離できるため、原料核種を含む液体11を循環させながら、目的の放射性核種の回収と未変換の原料核種への照射とを続けることができる。目的の放射性核種が逐次取り出されて、制動放射線22の照射による核変換の変換効率が向上するため、目的の放射性核種を効率良く製造することができる。
ポンプ40は、循環路50内の液体11を循環させる。ポンプ40は、液体を吸い込む吸込口と、加圧された液体を吐出する吐出口とを、循環路10の途中に接続して、循環路10上に備えることができる。ポンプ40は、吐出量が流量制御されてもよいし、動作がオン/オフ制御されてもよい。ポンプ40としては、遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ、ジェットポンプ等、適宜の方式を用いることができる。
ポンプ40を設けると、原料核種を含む液体11を循環路10内で強制的に循環させることができる。そのため、制動放射線22の照射を続けて、目的の放射性核種を効率良く製造することができる。また、ターゲット20の後方の液体11が強制的に入れ替えられるため、ターゲット20を透過した電子線21による液体11の温度上昇を抑制することができる。
金属材50は、白金族の純金属または白金族の合金で形成されており、酸素と水素を結合させて水を生成する再結合反応を触媒する。金属材50は、循環路10内の上部に設けられる。白金族は、酸素と水素から水を生成する触媒活性と、高い放射線耐性を備えているため、循環路10への設置に適している。金属材50は、白金族を主体として形成され、白金族で形成された表面を有するが、白金族以外の部位を有してもよい。
白金族の純金属や白金族の合金としては、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)等や、これらを主成分とする合金が挙げられる。金属材50としては、一種の純金属や合金を設けてもよいし、複数種の純金属や合金を設けてもよい。
循環路10内の上部は、水の放射線分解によって酸素ガスや水素ガスが生成したとき、液中を上昇したガスが蓄積し易い場所である。循環路10内の上部には、循環路10の天井部に位置する構造材の表面や、循環路10の天井部に近接した側部の表面や、循環路10の天井部に近接した上側の空間等、循環路10を形成する配管状等の構造材の内側であって、ガスに接触する可能性がある場所が含まれる。
原料核種を含む液体11に制動放射線22を照射すると、液体11に含まれる水の少なくとも一部が放射線分解される場合がある。水が放射線分解されると、酸素ガスや水素ガスが発生する。ガスは、循環路10内の液体11と比較して軽いため、液中を上昇して、循環路10内の上部に蓄積する。ガスの生成量が多い場合、循環路10内の上部には、気相部13が形成される。
循環路10内にガスが蓄積すると、循環路10内の圧力が上昇し、原料核種を含む液体11の漏洩や、原料核種、目的の放射性核種、これらの子孫核種等の放射性物質の漏洩や、循環路10を形成する配管状の構造材の破裂等が起こる虞がある。漏洩や破裂等が起こると、放射性物質の拡散や製造従事者の被曝に繋がる。また、酸素ガスと水素ガスは、組成比、温度および圧力が、循環路50内で爆発限界の範囲内となり得るため、水素爆発を起こす虞がある。
例えば、Ra-226(γ,n)Ra-225反応を用いる場合、制動放射線だけでなく、Ac-225、および、その子孫核種から放出されるα線によっても、水の放射線分解が起こり、大量の酸素ガスや水素ガスが発生する。Ra-226は、α崩壊によって、Rn-222となる。Rn-222は、単原子分子の気体として存在する。そのため、循環路10で漏洩や破裂等が起こると、気体のRn-222も環境中に拡散する虞がある。
原料核種として50GBqのRa-226を用いるとすると、α崩壊によって、1秒間に5.0×1010個のRn-222が生成する。Rn-222は、半減期3.8日で子孫核種となる。子孫核種の多くは、固体状の化学形態をとる。そのため、Ra-226の放射性壊変で生じるガスは、水の放射線分解で生じるガスよりも少なくなる。Ra-226等の原料核種は、液中の水と比較して、圧力の上昇への影響は小さいといえる。
しかし、循環路10で漏洩や破裂等が起こると、微量のRn-222も外部に放出される。気体のRn-222が放出されると、放射性壊変後の子孫核種が固体状の化学形態となったとき、環境中に付着することが懸念される。環境中に付着した放射性核種は周囲を汚染し続けるため、循環路10内の圧力の上昇を抑制することが望まれる。
循環路10内に発生したガスは、漏洩や破裂等が起こる前に、所定の圧力に達した段階で、外部に放出することも考えられる。しかし、ガスを放出させる場合、循環路10にガス放出口を設け、放出されるガス中の放射性物質を除去するために、放射性ガス処理装置を設置しなければならない。通常、放射性ガス処理装置は、大掛かりなフィルタ、吸着塔、モニタリング機器等を備える。そのため、放射性ガス処理装置を設置すると、システム全体としての大型化や重量化が問題となる。
このような問題に対し、循環路10内の上部に白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材50を設けると、水の放射線分解が起こって酸素ガスと水素ガスが生成しても、酸素と水素を再結合反応させて水に戻すことができる。酸素ガスや水素ガスが循環路10内に蓄積され難くなるため、循環路10内の圧力の上昇が抑制される。
そのため、循環路10内の上部に金属材50を設けると、過圧による循環路10内の液体11の漏洩や、原料核種、目的の放射性核種、これらの子孫核種等の放射性物質の漏洩や、循環路10を形成する配管状の構造材の破裂等を防ぐことができる。放射性物質の拡散や製造従事者の被曝が防止される。また、循環路10内に蓄積する酸素-水素混合ガスを減らして、水素爆発による危険を低減することができる。
図1において、金属材50は、循環路10を形成する構造材と一体的に設けられている。金属材50は、循環路10の上部側の区間の天井部に、循環路10の内側に露出するように配置されている。
金属材50としては、循環路10を形成する構造材と一体的に設ける場合、循環路10を形成する構造材の表面に、白金族で形成された細溝、細穴等を設けることができる。白金族で形成された細溝、細穴等が設けられていると、大きな表面積が得られるため、再結合反応の反応効率が高くなる。
表面に白金族で形成された細溝、細穴等が設けられた構造材は、細溝、細穴等の表面を含む一部のみが白金族で形成されてもよいし、全部が白金族で形成されてもよい。一部を白金族で形成する方法としては、白金族の被覆材を圧着等で接合する方法や、白金族をメッキする方法等を用いることができる。
このような放射性核種製造システム100や、これを用いた放射性核種製造方法によると、循環路10の上部に金属材50が設けられるため、水の放射線分解による酸素ガスや水素ガスの蓄積が抑制される。放射性核種を効率的に製造できる循環路10を用いた製造において、ガスの放出のために大掛かりな放射性ガス処理装置を設ける必要がなく、原料核種を含む液体11の漏洩や、放射性物質の漏洩や、循環路10を形成する配管状の構造材の破裂等が抑制される。その結果、放射性物質の拡散や、製造従事者の被曝や、水素爆発が防止される。よって、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。
特に、放射性核種製造システム100によると、金属材50が循環路10を形成する構造材と一体的に設けられているため、金属材50が循環路10を形成する配管状の構造材の内側に部品として取り付けられる場合と比較して、金属材50による循環路10内の液体11に対する圧力損失や、金属材50の表面への分散質等の堆積を低減することができる。
図3は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図3に示すように、金属材50は、循環路10を形成する配管状の構造材の内側に部品として取り付けられてもよい。図3には、このような金属材50を備える放射性核種製造システム200を示す。
放射性核種製造システム200は、前記の放射性核種製造システム100と同様に、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、を備えている。放射性核種製造システム200の主要な構成は、金属材50の形態を除いて、前記の放射性核種製造システム100と略同様である。
図3において、制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の側方から入射する向きとされている。循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けられている。
放射性核種製造システム200において、金属材50は、循環路10の上部に部品として取り付けられている。部品としての金属材50は、循環路10の上部側の区間の天井部に近接した位置に、循環路10の内側に露出するように配置されている。部品としての金属材50は、溶接、ろう付け、接合部品を用いた機械的接合等、適宜の方法で取り付けることができる。
金属材50としては、循環路10の上部に部品として取り付ける場合、白金族で形成された単線状もしくはバンドル状の細線や、白金族で形成された細線によるメッシュや、細線によるメッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル等に白金族をメッキした部材や、金属製、セラミックス製等の担体に白金族の粒子を担持させた部材等を用いることができる。これらの金属材50によると、大きな表面積が得られるため、再結合反応の反応効率を向上させることができる。
このような放射性核種製造システム200や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、金属材50が循環路10を形成する配管状の構造材の内側に部品として取り付けられているため、金属材50が循環路10を形成する構造材と一体的に設けられる場合と比較して、金属材50の交換、洗浄、再生等を容易に行うことができる。
図4は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図4に示すように、電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとされてもよい。図4には、このような構成を備える放射性核種製造システム300を示す。
放射性核種製造システム300は、前記の放射性核種製造システム100と同様に、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、を備えている。放射性核種製造システム300の主要な構成は、ターゲット20等の配置を除いて、前記の放射性核種製造システム100と略同様である。
図4において、金属材50は、循環路10を形成する構造材と一体的に設けられている。金属材50は、循環路10の上部側の区間の天井部に、循環路10の内側に露出するように配置されている。循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けられている。
制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。ターゲット20は、循環路10の上部に配置された金属材50の上方に配置されている。ターゲット20と金属材50とは、電子線21の照射口と循環路10上の制動放射線22の照射域との間において、同軸上に配置されている。
放射性核種製造システム300において、電子線21は、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとされる。このような向きとして、制動放射線発生用のターゲット20に対して上方から照射された電子線21の一部を、ターゲット20の後方の循環路10の上部に設けられた金属材50にも照射する。金属材50に電子線21を照射すると、電子線21のエネルギの一部が付与されて、金属材50が加熱される。
一般に、電子線は、加速器から水平方向に出射される。そのため、電子線21は、ターゲット20に対して上方から入射するように、電子線照射装置からの軌道を偏向させてもよい。また、一般に、制動放射線発生用のターゲットに電子線を入射させたとき、制動放射線は、電子線の進行方向と同方向に強く放射される。そのため、制動放射線22も、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとなる。
電子線21は、金属材50の内部または金属材50よりも後方で全エネルギを失うエネルギで照射することが好ましい。また、電子線21は、循環路10内の液体11を通過しないエネルギで照射することが好ましい。このようなエネルギで照射すると、電子線21を循環路10内に入射させて、熱負荷の集中を緩和することができる。
このような放射性核種製造システム300や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、電子線21および制動放射線22が、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとされるため、電子線21を金属材50にも照射することができる。電子線21を照射して金属材50を適切な温度に加熱すると、再結合反応の触媒活性が高められるため、酸素ガスや水素ガスの除去速度を向上させることができる。
図5は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図5に示すように、金属材50は、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)として機能してもよい。すなわち、金属材50は、再結合反応を触媒するだけでなく、電子線21を照射されて制動放射線22を発生させる機能を有してもよい。図5には、このような構成を備える放射性核種製造システム400を示す。
放射性核種製造システム400は、前記の放射性核種製造システム300と同様に、循環路10と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、を備えている。放射性核種製造システム400の主要な構成は、放射線発生部の構成を除いて、前記の放射性核種製造システム300と略同様である。
図5において、金属材50は、循環路10を形成する構造材と一体的に設けられている。金属材50は、循環路10の上部側の区間の天井部に、循環路10の内側に露出するように配置されている。電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとされている。循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けられている。
放射性核種製造システム400において、電子線21は、制動放射線発生用のターゲット20ではなく、循環路10の上部に設けられた金属材50に照射される。電子線21は、金属材50に対して上方から照射される。金属材50は、白金族の純金属または白金族の合金で形成されているため、電子線21が起こす制動放射によって、制動放射線22を発生させることができる。
一般に、電子線は、加速器から水平方向に出射される。そのため、電子線21は、金属材50に対して上方から入射するように、電子線照射装置からの軌道を偏向させてもよい。また、一般に、ターゲット材に電子線を入射させたとき、制動放射線は、電子線の進行方向と同方向に強く放射される。そのため、制動放射線22も、循環路10内の液体11に対して循環路10の上方から入射する向きとなる。
電子線21は、金属材50の内部または金属材50よりも後方で全エネルギを失うエネルギで照射することが好ましい。また、電子線21は、循環路10内の液体11を通過しないエネルギで照射することが好ましい。このようなエネルギで照射すると、電子線21を循環路10内に入射させて、熱負荷の集中を緩和することができる。
金属材50としては、制動放射線を発生させる機能を兼ねる場合、表面に白金族で形成された細溝、細穴等が設けられた構造材を用いることができる。このような構造材は、細溝、細穴等の表面を含む一部のみが白金族で形成されてもよいし、全部が白金族で形成されてもよいが、制動放射線量を確保できる適切な厚さに設けることが好ましい。金属材50としては、細線や、メッシュや、白金族をメッキした部材や、担体に白金族の粒子を担持させた部材等を併用してもよい。
このような放射性核種製造システム400や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、金属材50が制動放射線22を発生させるため、金属材50とは別に制動放射線発生用のターゲットを設ける必要がない。そのため、ターゲットを設ける場合と比較して、装置を小型・軽量に設けることができる。また、電子線21が金属材50に照射されるため、金属材50がビーム加熱される。電子線21を照射して金属材50を適切な温度に加熱すると、再結合反応の触媒活性が高められるため、酸素ガスや水素ガスの除去速度を向上させることができる。
図6は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図6に示すように、電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の下方から入射する向きとされてもよい。図6には、このような構成を備える放射性核種製造システム500を示す。
放射性核種製造システム500は、前記の放射性核種製造システム100と同様に、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、金属材50と、を備えている。また、加熱器41と、冷却器42と、を備えている。放射性核種製造システム500の主要な構成は、ターゲット20等の配置や、ポンプ40に代えて加熱器41と冷却器42を備える点を除いて、前記の放射性核種製造システム100と略同様である。
図6において、金属材50は、循環路10を形成する構造材と一体的に設けられている。金属材50は、循環路10の上部側の区間の天井部に、循環路10の内側に露出するように配置されている。循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けられている。
制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。ターゲット20は、循環路10の下部側の区間よりも下方に配置されている。ターゲット20は、循環路10の鉛直方向に延びる区間の下方に配置されることが好ましい。
放射性核種製造システム500において、電子線21は、循環路10内の液体11に対して循環路10の下方から入射する向きとされる。このような向きとして、制動放射線発生用のターゲット20に対して上方から照射された電子線21の一部を、ターゲット20の後方の循環路10の下部側の区間にある原料核種を含む液体11にも照射する。
電子線21を照射すると、循環路10の下部側の区間にある原料核種を含む液体11が加熱される。液体11が加熱されると、体積が膨張して密度が小さくなり、循環路10内に上向流が生じる。そのため、ポンプ40の設置を省略しても、循環路10内の液体11の循環的な流れを付勢することができる。
一般に、電子線は、加速器から水平方向に出射される。そのため、電子線21は、ターゲット20に対して下方から入射するように、電子線照射装置からの軌道を偏向させてもよい。また、一般に、制動放射線発生用のターゲットに電子線を入射させたとき、制動放射線は、電子線の進行方向と同方向に強く放射される。そのため、制動放射線22も、循環路10内の液体11に対して循環路10の下方から入射する向きとなる。
電子線21は、ターゲット20よりも後方の循環路10内で全エネルギを失うエネルギで照射することが好ましい。また、電子線21は、循環路10内の液体11を通過しないエネルギで照射することが好ましい。このようなエネルギで照射すると、電子線21を循環路10内に入射させて、熱負荷の集中を緩和しつつ、循環路10内の液体11を加熱することができる。
加熱器41は、循環路50内の液体11を加熱するための装置である。加熱器41は、循環路10上や、循環路10を形成する構造材の周囲に備えることができる。加熱器41は、循環路10の鉛直方向に延びる区間の下部に配置することが好ましい。加熱器41としては、ジャケット式、コード巻回式、シーズ埋設式等の電熱ヒータや、ジャケット式、チューブ式等の熱交換器等、適宜の方式を用いることができる。
加熱器41を設けると、循環路50内の液体11を強制的に加熱して、循環路50内に上向流を発生させることができる。そのため、ポンプ40の設置を省略しても、循環路10内の液体11の循環的な流れを付勢することができる。なお、電子線21の照射によって循環路10内の液体11が循環する場合は、加熱器41の設置を省略してもよい。
冷却器42は、循環路50内の液体11を冷却するための装置である。冷却器42は、循環路10上や、循環路10を形成する構造材の周囲に備えることができる。冷却器42は、加熱器41が備えられる区間とは反対側の循環路10の鉛直方向に延びる区間の上部に配置することが好ましい。冷却器42としては、ジャケット式、チューブ式等の熱交換器等、適宜の方式を用いることができる。
冷却器42を設けると、循環路50内の液体11を強制的に冷却して、循環路50内に下向流を発生させることができる。そのため、ポンプ40の設置を省略しても、循環路10内の液体11の循環的な流れを付勢することができる。なお、自然放熱によって循環路10内の液体11が循環する場合は、冷却器42の設置を省略してもよい。
このような放射性核種製造システム500や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、電子線21および制動放射線22が、循環路10内の液体11に対して循環路10の下方から入射する向きとされるため、電子線21を循環路10内の下部の液体11にも照射することができる。電子線21を照射して液体11を加熱すると、ポンプを用いなくとも循環させることが可能になる。
図7は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図7に示すように、循環路50内の上部に気体を滞留させる気体室60を設けて、気体室60内に金属材30を設けてもよい。図7には、このような構成を備える放射性核種製造システム600を示す。
放射性核種製造システム600は、前記の放射性核種製造システム100と同様に、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、を備えている。放射性核種製造システム600の主要な構成は、気体室60や金属材50の配置を除いて、前記の放射性核種製造システム100と略同様である。
図7において、制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の側方から入射する向きとされている。循環路10は、原料核種を含む液体11を鉛直方向に循環させる向きに設けられている。
放射性核種製造システム600において、循環路10の上部には、気体室60が設けられている。気体室60は、循環路10の上部側の区間の天井部よりも上方に、循環路10の閉環部と連通する空間として設けられている。気体室60には、水の放射線分解で発生した酸素ガスや水素ガスが、循環路10の閉環部の液体11から離脱して流入することができる。原料核種を含む液体11は、例えば、循環路10の閉環部の天井部の高さまで導入される。このような液量によって、気体室60内に気相部13が維持される。
金属材50は、気体室60の上部に部品として取り付けられている。部品としての金属材50は、気体室60の天井部に近接した気相部13に、原料核種を含む液体11に接触しないように配置される。部品としての金属材50は、気体室60内の上部に、溶接、ろう付け、接合部品を用いた機械的接合等、適宜の方法で取り付けることができる。
金属材50としては、気体室60に部品として取り付ける場合、白金族で形成された単線状もしくはバンドル状の細線や、白金族で形成された細線によるメッシュや、細線によるメッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル等に白金族をメッキした部材や、金属製、セラミックス製等の担体に白金族の粒子を担持させた部材等を用いることができる。これらの金属材50によると、大きな表面積が得られるため、再結合反応の反応効率を向上させることができる。
なお、図7において、金属材50は、気体室60の上部に部品として取り付けられているが、金属材50は、気体室60を形成する構造材と一体的に設けられてもよい。また、部品としての金属材50や、構造材としての金属材50は、気体室60の上部に限定されるものではなく、原料核種を含む液体11に接触しない限り、気体室60側部や、気体室60の下部に設けられてもよい。
このような放射性核種製造システム600や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、循環路10の上部に設けられた気体室60内に金属材30を設けているため、金属材50と原料核種を含む液体11との接触を防止することができる。循環路10内の液体11がハロゲンを含む場合であっても、金属材50にハロゲンが接触しないため、金属材50の被毒を避けることができる。
図8は、本発明に係る放射性核種製造システムの一例を示す模式図である。
図8に示すように、循環路10は、原料核種を含む液体11を水平方向に循環させる構成とされてもよい。図8には、このような構成を備える放射性核種製造システム700を示す。
放射性核種製造システム700は、前記の放射性核種製造システム600と同様に、循環路10と、制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)20と、分離装置(分離部)30と、ポンプ40と、金属材50と、気体室60と、を備えている。放射性核種製造システム700の主要な構成は、循環路10の形態を除いて、前記の放射性核種製造システム600と略同様である。
図8において、制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材に近接して設けられており、循環路10を形成する構造材や金属材50とは別体として設けられている。ターゲット20は、循環路10の側方に配置されている。電子線21および制動放射線22は、循環路10内の液体11に対して循環路10の側方から入射する向きとされている。
放射性核種製造システム700において、循環路10は、閉環部が水平方向と平行とされており、原料核種を含む液体11を水平方向に循環させる向きに設けられている。水平な循環路10の上部には、気体室60が設けられている。気体室60は、循環路10の閉環部の天井部よりも上方に、循環路10の閉環部と連通する空間として設けられている。
気体室60には、水の放射線分解で発生した酸素ガスや水素ガスが、循環路10の閉環部の液体11から離脱して流入することができる。原料核種を含む液体11は、例えば、循環路10の閉環部の天井部の高さまで導入される。このような液量によって、気体室60内に気相部13が維持される。
図8において、気体室60は、分離装置30とポンプ40との間の区間に設けられている。このような配置であると、ガスに対する制動放射線22の照射や、ポンプ40へのガスの流入を減らすことができる。但し、気体室60は、制動放射線22の照射域と分離装置30との間の区間、ポンプ40と制動放射線22の照射域との間の区間等に設けられてもよい。また、気体室60は、循環路10の一部の区間の上方に設けてもよいし、循環路10の全部の区間の上方に設けてもよい。
金属材50は、気体室60の上部に部品として取り付けられている。部品としての金属材50は、気体室60の気相部13に、原料核種を含む液体11に接触しないように配置される。部品としての金属材50は、気体室60内に、溶接、ろう付け、接合部品を用いた機械的接合等、適宜の方法で取り付けることができる。
金属材50としては、気体室60に部品として取り付ける場合、白金族で形成された単線状もしくはバンドル状の細線や、白金族で形成された細線によるメッシュや、細線によるメッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタル等に白金族をメッキした部材や、金属製、セラミックス製等の担体に白金族の粒子を担持させた部材等を用いることができる。これらの金属材50によると、大きな表面積が得られるため、再結合反応の反応効率を向上させることができる。
なお、図8において、金属材50は、気体室60の上部に部品として取り付けられているが、金属材50は、気体室60を形成する構造材と一体的に設けられてもよい。また、部品としての金属材50や、構造材としての金属材50は、気体室60の上部に限定されるものではなく、原料核種を含む液体11に接触しない限り、気体室60側部や、気体室60の下部に設けられてもよい。
このような放射性核種製造システム700や、これを用いた放射性核種製造方法によると、前記の放射性核種製造システム100の場合と同様に、小型・軽量で安全性が高い装置で効率良く放射性核種を製造することができる。特に、原料核種を含む液体11を水平方向に循環させる循環路10を備えるため、鉛直方向に循環させる場合と比較して、原料核種を含む液体11を低出力のポンプで循環させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成の一部を他の形態に追加したり、或る実施形態の構成の一部を省略したりすることができる。
例えば、前記の放射性核種製造システム300~700において、循環路10内の上部には、構造材としての金属材50が設けられてもよいし、部品としての金属材50が設けられてもよいし、これらの組み合わせが設けられてもよい。
また、前記の放射性核種製造システム100,200において、電子線21および制動放射線22が、循環路10内の原料核種を含む溶液に対して、循環路10の上方や下方から照射される構成とされてもよい。
また、前記の放射性核種製造システム100~400において、循環路10が、原料核種を含む液体11を水平方向に循環させる構成とされてもよい。金属材50は、水平な循環路10の上部のうち、一部の区間の上部に設けてもよいし、全部の区間の上部に設けてもよい。
また、前記の放射性核種製造システム100~300,500~700において、制動放射線発生用のターゲット20は、循環路10を形成する構造材とは別体として設けられているが、循環路10を形成する構造材と一体的に設けられてもよい。一体的に設けると、循環路10およびターゲット20を効率的に製造できる。
また、前記の放射性核種製造システム100~400,600,700において、制動放射線22は、循環路10の直線的に延びる区間に対して平行に入射させてもよい。例えば、循環路10の上部側の区間の中心軸付近や、下部側の区間の中心軸付近や、循環路10の側部側の区間の中心軸付近を通るように、制動放射線22を照射することができる。直線的な区間に平行に入射させると、制動放射線22と原料核種との反応量が増加するため、目的の放射性核種を効率良く製造することができる。
また、前記の放射性核種製造システム100~700において、循環路10は、略矩形の閉環状に設けられているが、循環路10の流路形状、経路形状は、特に限定されるものではない。循環路10は、配管状の区間に加え、流路幅が拡大したチャンバ状、構造材に埋設されたチャンネル状等の区間を備えてもよい。また、循環路10は、円形状、円形部と矩形部との組み合わせ、蛇行状等の二次元的な閉環状や、三次元的な閉環状に設けられてもよい。
また、循環路10は、閉環部に対して迂回路が設けられてもよい。例えば、循環路10の閉環部に、分離装置を迂回する迂回路を接続して、目的の放射性核種を取り出すか否かを、流路で切り替えることができる。
100…放射性核種製造システム、10…循環路、11…循環路内の原料核種や生成核種を含む液体、12…液体の流れ方向、13…生成ガスを含む気相部、20…制動放射線発生用のターゲット(放射線発生部)、21…電子線、22…制動放射線、30…分離装置(分離部)、40…ポンプ、41…加熱器、42…冷却器、50…金属材、60…気体室

Claims (15)

  1. 原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する放射性核種製造システムであって、
    原料核種を含む液体を循環させる循環路と、
    制動放射線を発生させて前記液体に照射する放射線発生部と、を備え、
    前記循環路内の上部に、白金族の純金属または白金族の合金を含む金属材を有する放射性核種製造システム。
  2. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記原料核種が、ラジウム226(Ra-226)である放射性核種製造システム。
  3. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記液体が、ハロゲン分子、ハロゲン化合物およびハロゲンイオンを含まない液体である放射性核種製造システム。
  4. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記金属材が、細線、メッシュ、または、表面に細溝もしくは細穴が設けられた前記循環路を形成する構造材である放射性核種製造システム。
  5. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記放射線発生部は、電子線を照射されて前記制動放射線を発生させる制動放射線発生用のターゲットであり、
    前記電子線および前記制動放射線が、前記液体に対して前記循環路の側方から入射する放射性核種製造システム。
  6. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記放射線発生部は、電子線を照射されて前記制動放射線を発生させる制動放射線発生用のターゲットであり、
    前記電子線および前記制動放射線が、前記液体に対して前記循環路の上方または下方から入射する放射性核種製造システム。
  7. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記放射線発生部が、前記循環路を形成する構造材に近接して設けられるか、または、前記循環路を形成する構造材と一体的に設けられる放射性核種製造システム。
  8. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記循環路内の上部の前記金属材が、前記放射線発生部として機能して、前記制動放射線を発生させる放射性核種製造システム。
  9. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記液体を循環させるポンプを循環路上に備えた放射性核種製造システム。
  10. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記制動放射線の照射によって生成した放射性核種を前記原料核種から分離する分離部を循環路上に備えた放射性核種製造システム。
  11. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記液体を鉛直方向に循環させる前記循環路を備えた放射性核種製造システム。
  12. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記液体を水平方向に循環させる前記循環路を備えた放射性核種製造システム。
  13. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記循環路内の上部に、気体を滞留させる気体室を有し、
    前記気体室内に、前記金属材を有する放射性核種製造システム。
  14. 請求項1に記載の放射性核種製造システムであって、
    前記循環路内の前記液体を加熱する加熱器と、
    前記循環路内の前記液体を冷却する冷却器と、を備え、
    前記加熱器は、前記循環路の下部に配置され、
    前記冷却器は、前記循環路の上部に配置された放射性核種製造システム。
  15. 原料核種を含む液体に制動放射線を照射して放射性核種を製造する放射性核種製造方法であって、
    原料核種を含む液体を循環路内で循環させながら、前記液体に制動放射線を照射して前記原料核種を放射性核種に変換し、
    前記液体の放射線分解によって生成した酸素と水素を、前記循環路内の上部の白金族の純金属または白金族の合金で形成された金属材で再結合反応させて除去する放射性核種製造方法。
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