JP2022165286A - プラント制御装置、プラント制御方法、および発電プラント - Google Patents

プラント制御装置、プラント制御方法、および発電プラント Download PDF

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高裕 森
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Abstract

【課題】一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気タービンを適切に停止することが可能なプラント制御装置を提供する。【解決手段】一の実施形態によれば、プラント制御装置は、ガスタービンからの排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラにより生成された蒸気により駆動される蒸気タービンと、ガスタービンおよび蒸気タービンにより駆動される発電機と、排熱回収ボイラからの蒸気を搬送する第1流路と、第1流路から蒸気タービンに蒸気を搬送する第2流路と、第1流路から蒸気タービンをバイパスして蒸気を搬送する第3流路と、第1流路内の蒸気に関する値を計測する計測器と、を備える発電プラントを制御する。前記装置は、前記値に基づいて第3流路上の第2弁を制御することで、蒸気タービンの負荷を所定の負荷へと変化させ、第2弁が前記装置により制御される場合に第2流路上の第1弁を制御することで、蒸気タービンを停止する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、プラント制御装置、プラント制御方法、および発電プラントに関する。
ガスタービン(GT)と、排熱回収ボイラ(HRSG)と、蒸気タービン(ST)とを組み合わせて構成するコンバインドサイクル発電プラントが知られている。排熱回収ボイラは、ガスタービンの排ガスから熱回収し主蒸気を生成する。蒸気タービンは、排熱回収ボイラが生成する主蒸気により駆動される。
特開2020-112069号公報 特開2018-003824号公報 特開2021-025419号公報
コンバインドサイクル発電プラントの系統構成方式は、おおまかには一軸型コンバインドサイクルと多軸型コンバインドサイクルとに分類される。以下、コンバインドサイクル発電プラントのプラント停止方法に組み込まれるST(蒸気タービン)停止方法について説明する。
多軸型では、ガスタービン用の1台以上の発電機と、蒸気タービン用の発電機が、独立して設置されている。ガスタービンの出力(GT出力)は、ガスタービン用の発電機が発生している電力量(GT発電機MW)を計測することで簡単に検知でき、蒸気タービンの出力(ST出力)は、蒸気タービン用の発電機が発生している電力量(ST発電機MW)を計測することで簡単に検知できる。多軸型におけるST停止方法は、すでに確立されている。多軸型における蒸気タービンは、ST発電機MWを使用してST負荷(ST出力)を制御することで、適切に停止することができるからである。
これに対し、一軸型では、ガスタービンと、蒸気タービンと、ガスタービンおよび蒸気タービンに共通の発電機が、1つの同じ軸に直結されている。一軸型における発電機MWは、GT出力とST出力との合算値に対応しているため、発電機MWからST出力を単独で検知することができない。そのため、一軸型における蒸気タービンは、多軸型における蒸気タービンに比べて、適切に停止することが難しい。
そこで、本発明の実施形態は、一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気タービンを適切に停止することが可能なプラント制御装置、プラント制御方法、および発電プラントを提供する。
一の実施形態によれば、プラント制御装置は、ガスタービンと、前記ガスタービンからの排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービンおよび前記蒸気タービンにより駆動される発電機と、前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気を搬送する第1流路と、前記第1流路から前記蒸気タービンに前記蒸気を搬送する第2流路と、前記第1流路から前記蒸気タービンをバイパスして前記蒸気を搬送する第3流路と、前記第1流路内の前記蒸気に関する値を計測する少なくとも1つの計測器と、前記第2流路に設けられた第1弁と、前記第3流路に設けられた第2弁と、を備える発電プラントを制御する。前記装置は、前記計測器により計測された前記値に基づいて前記第2弁を制御することで、前記蒸気タービンの負荷を所定の負荷へと変化させる第2弁制御部と、前記第2弁が前記第2弁制御部により制御される場合に前記第1弁を制御することで、前記蒸気タービンを停止する第1弁制御部とを備える。
第1実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。 第1実施形態のプラント制御装置の構成を示す回路図である。 第2実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。 第2実施形態のプラント制御装置の構成を示す回路図である。 比較例の発電プラントの構成を示す模式図である。 比較例のプラント制御装置の構成を示す回路図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から図6では、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の説明中で用いられる種々の物理量に関し、これらの物理量の値を示す具体的な数値は説明を理解しやすくするための一例であり、これらの物理量の値はこれらの数値のみに限定されるものではない。
(比較例)
(1)比較例の発電プラント100
図5は、比較例の発電プラント100の構成を示す模式図である。図5の発電プラント100は、一軸型のコンバインドサイクル(C/C)発電プラントである。
図5の発電プラント100は、発電プラント100の動作を制御するプラント制御装置101を備え、さらには、ガスタービン(GT)102と、蒸気タービン(ST)103と、排熱回収ボイラ(HRSG)104と、MCV弁(加減弁)105と、燃料調節弁106と、圧縮機107と、燃焼器108と、蒸発器109と、ドラム110と、過熱器111と、蒸気配管112と、復水器113と、循環水ポンプ114と、海水115の取込部および排出部と、燃料116の供給部と、主配管117と、バイパス配管118と、タービンバイパス弁119と、発電機120と、発電機遮断器121とを備えている。図5はさらに、発電機遮断器121に接続された系統グリッド122と、蒸気タービン103のロータ103aと、蒸気タービン103のケーシング103bとを示している。図5の発電プラント100はさらに、MWトランスデューサMW-Trと、主蒸気圧力センサに相当する圧力センサPS-1とを備えている。
燃料調節弁106は、燃料配管に設けられている。燃料調節弁106を開弁すると、燃料配管から燃焼器108に燃料116が供給される。圧縮機107は、その入口から空気を導入し、燃焼器108に圧縮空気を供給する。燃焼器108は、燃料116を圧縮空気中の酸素と共に燃焼させ、高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。
図5の発電プラント100は、一軸型のC/C発電プラントであるため、ガスタービン102と蒸気タービン103と発電機120は、1つの同じ回転軸(ロータ)に固定されている。そのため、発電機120は、この回転軸を介してガスタービン102および蒸気タービン103により駆動される。
ガスタービン102は、燃焼ガスにより回転駆動されることで、上記の回転軸を回転させる。発電機120は、この回転軸に接続されており、この回転軸の回転を利用して発電を行う。ガスタービン102から排出されたガスタービン排ガスA1は、排熱回収ボイラ104に送られる。排熱回収ボイラ104は、後述するように、ガスタービン排ガスA1の熱を用いて主蒸気A2を生成する。なお、排熱回収ボイラ104は図示されない他の蒸気、例えば蒸気タービン103の起動時に必要とされる補助蒸気等も生成するので、それらと区別するためにこの蒸気を主蒸気と呼ぶ。
蒸発器109、ドラム110、および過熱器111は、排熱回収ボイラ104内に設けられており、排熱回収ボイラ104の一部を構成している。ドラム110内の水は、蒸発器109に送られ、蒸発器109内でガスタービン排ガスA1により加熱されることで飽和蒸気となり、飽和蒸気がドラム110に溜まる。飽和蒸気は、過熱器111に送られ、過熱器111内でガスタービン排ガスA1により過熱されることで過熱蒸気となる。排熱回収ボイラ104により生成された過熱蒸気は、主蒸気A2として蒸気配管112に排出される。圧力センサPS-1は、蒸気配管112に設けられており、蒸気配管112内の主蒸気A2の圧力を測定し、この圧力の測定結果をプラント制御装置101に出力する。
蒸気配管112は、主配管117とバイパス配管118とに分岐している。主配管117は蒸気タービン103に接続されており、バイパス配管118は復水器113に接続されている。MCV弁105は、主配管117に設けられている。タービンバイパス弁119は、バイパス配管118に設けられている。排熱回収ボイラ104から蒸気配管112に排出された主蒸気A2は、蒸気配管112内を搬送され、蒸気配管112から主配管117およびバイパス配管118に流入する。
MCV弁105は、後述するプラント制御装置100からの開度指令値B2を受けて開弁し、開弁すると主配管117からの主蒸気A2(以下「MCV流入蒸気A3」と呼ぶ)が蒸気タービン103に供給される。蒸気タービン103は、MCV流入蒸気A3により回転駆動され、そのとき発電機120も、蒸気タービン103により駆動される。蒸気タービン103の排気口から排出された排気蒸気は、復水器113に送られる。復水器113は、排気蒸気や後述するバイパス蒸気A4を海水115により冷却し、これにより、冷却された蒸気が凝縮して復水に戻る。循環水ポンプ114は、海水115を海から取り込み、復水器113に供給する。
一方、タービンバイパス弁119は、後述するプラント制御装置101からの開度指令値B3を受けて開弁し、開弁するとバイパス配管118からの主蒸気A2(以下「バイパス蒸気A4」と呼ぶ)が蒸気タービン103をバイパスして復水器113に送られる。
発電機120は、発電機遮断器121やMWトランスデューサMW-Trが設けられた電力送電線に接続されており、この電力送電線を介して系統グリッド122に接続されている。発電機120が発電した電力(これはガスタービン102と蒸気タービン103が駆動した電力の合算値となる)は、この電力送電線を介して系統グリッド122へと送電される。MWトランスデューサMW-Trは、発電機120の電力(発電機MW)を測定し、この電力の測定結果をプラント制御装置101に出力する。
プラント制御装置101は、発電プラント100の種々の動作を制御し、例えばMCV弁105やタービンバイパス弁119の開閉や開度を制御する。なお、発電プラント100が停止している状態からプラント起動が行われるとき、排熱回収ボイラ104からの蒸気発生を受けてタービンバイパス弁119が最初に開弁されて、その後に温度、流量、圧力それぞれの通気要件が成立してからMCV弁105が開弁(STの通気)される。
これら両弁はST通気の後もしばらくの間は双方ともに開弁状態にあり、協調しながら発電プラント100の起動が進行していく。このようにタービンバイパス弁119側が先に開弁されており、MCV弁105が後追いで開弁する操作手順については、それは通常の制御方法であり手法的には確立されている。しかし発電プラント100のプラント停止ではこの手順が逆転し、MCV弁105が開弁中に、後追いでタービンバイパス弁119が開弁される。その制御には発電プラント停止に特有の問題が以下のように生じる。
(2)発電プラント停止とSTアンローディング
ここで発電プラント停止に関して、簡単に説明する。
先ず発電プラント100を停止するときは、ガスタービン102の燃料調節弁106を徐々に閉弁し燃料116を低減させガスタービン102の負荷を降下させていく(GT負荷降下)。燃料116の低減に伴いガスタービン排ガスA1の温度や保有する熱量は低下する。このGT負荷降下により主蒸気A2の圧力、流量および温度は低下する。
しかしGT負荷降下中に著しく燃料116を低下させると、ガスタービン排ガスA1が低温となる。その結果、主蒸気A2(MCV流入蒸気A3)の温度も低下して、蒸気タービン103に熱応力の問題を生じる。
そこでGT負荷はガスタービン排ガスA1の温度が、ST側の熱応力の問題を生じない下限の温度(例えば約550℃)までGT負荷降下させた後、当該負荷で保持しこの間に後述のSTアンローディングが行われる。以下、このGT負荷を「停止時GTホールド負荷」と呼ぶ。この停止時GTホールド負荷は、ガスタービン102の(定格100%負荷に対する)凡そ15%負荷相当の極低負荷となる。しかし毎回の発電プラント停止における停止時GTホールド負荷はある定まった値ではなく、例えば15%を挟んでバラツキを有する。このバラツキの理由はガスタービン排ガスA1の温度は大気温度に依存するためである。
一方、蒸気タービン103の方ではGT負荷降下の最中にはMCV弁105は全開100%の状態にあり、またタービンバイパス弁119は全閉の状態にある。MCV弁105は全開であるが、GT負荷降下中ではガスタービン排ガスAの温度や熱量が低下するのに伴い、主蒸気A2すなわちMCV流入蒸気A3の圧力、流量および温度が低下する。そのため、蒸気タービン103の出力(ST負荷)は、徐々に降下していき停止時GTホールド負荷に到達したときのST負荷は約40%乃至50%程度のST負荷となる。先に述べたとおり停止時GTホールド負荷はGT負荷15%程度の極低負荷ではあるが、ガスタービン102には電力発生分の他に圧縮機107を駆動するための多くの燃料116が供給されており、排熱回収ボイラ104は未だ相当な熱量の主蒸気A2を発生させている。この状態で蒸気タービン103を停止する。最終的な蒸気タービン103の停止状態は、MCV弁105を全閉させた状態であり、この状態をSTトリップと呼ぶ。
しかし、40%乃至50%のST負荷で運転中の蒸気タービン103をいきなりSTトリップに移行させると、蒸気タービン103や発電プラント100の諸設備に多大なショックを与えるおそれがある。
そこで徐々にST負荷を低減させて低負荷状態にしてからSTトリップとすることが必要となる。冒頭に述べたように、もし多軸型コンバインドの場合であれば蒸気タービン103単独のST発電機MWを計測できる。よって、これを使用して40%乃至50%のST負荷から徐々に蒸気タービン103のST負荷を低減させて、適切な低負荷状態を確認した後にSTトリップとすることができる。しかし発電プラント100は一軸型コンバインドサイクルなので、ガスタービン102と蒸気タービン103は共同で発電機120を駆動し、発電機MWはガスタービン負荷と蒸気タービン負荷の合算値として検知されるのみであり、蒸気タービン103の単独のST負荷は判らない。そこで次善の方策としてMCV弁105を所定の閉弁レートを保ちながらゆっくりと一定のレートで閉弁して、徐々にST負荷を低減させていく。この停止操作をSTアンローディング(ST Unloading)と呼ぶ。これを以下、制御回路の作用を用いて説明する。
(3)比較例のプラント制御装置101
図6は、比較例のプラント制御装置101に内蔵されるMCV弁105およびタービンバイパス弁119の制御回路を示している。実際のプラント制御装置101は、その他の制御回路(例えばGT負荷を降下させる回路)も含むが、このような制御回路は本比較例との関連が希薄であり、記載は省略されている。
図6のプラント制御装置101は、MCV弁105の制御回路内に、切替器200と、設定器201と、設定器202と、変化率制限器203と、設定器204と、比較器205と、設定器206とを備えている。図6のプラント制御装置101はさらに、タービンバイパス弁119の制御回路内に、サンプルホールド210と、減算器211と、PID(Proportional-Integral-Derivative)コントローラ212と、ワンショットタイマー213とを備えている。
(3a)MCV105のSTアンローディング制御
STアンローディングは停止時GTホールド負荷のとき、MCV弁105を一定のレートで閉弁して、蒸気タービンを停止する操作である。
切替器200(Analog Swich、ASW)は、図示されないガスタービン負荷制御部が検知し出力する停止時GTホールド負荷D1を取りこむ。これに加えて、切替器200は2つの入力ポートを保有しており、ポート1は設定器201に設定された0%を取りこみ、ポート2は設定器202に設定された100%を取りこむ。切替器200は停止時GTホールド負荷D1のON-OFFの状態に応じて動作する。具体的には、切替器200は、停止時GTホールド負荷D1がONのときはポート1を選択し、開度目標値B1として0%を出力し、停止時GTホールド負荷D1がOFFのときはポート2を選択し、開度目標値B1として100%を出力する。
変化率制限器203は、切替器200より開度目標値B1を取りこみ、開度目標値B1が急激に低下したとき、所定のレート(変化率)で穏やかにB1に追従して低減する開度指令値B2を生成する。この場合のレートは、変化率制限器203に設定されるDECEL(Ramp Decceleration Rate)であり、変化率制限器203は設定器204に設定された10%/分をDECELとして取りこむ。これより開度指令値B2は100%から0%までを10分で低下するように変化率が制限される。なお変化率制限器203は開度目標値B1が上昇したとき、所定のレートで穏やかに増加させる機能も有するが、比較例に係るSTアンローディングでは、開度指令値B2を増加させる局面は生じないので、増加に関する回路の記載は省略する。開度指令値B2はMCV弁105に接続され、MCV弁105の弁開度は開度指令値B2と等しくなる様に構成されている。
比較器205は変化率制限器203から開度指令値B2を取得する。比較器205は設定器206に設定された3%を設定値として取りこみ、開度指令値B2が3%より小さいとき、比較器205はSTトリップ指令D2をONにして出力し、開度指令値B2が3%より大きいときはSTトリップ指令D2をOFFにする。STトリップ指令D2は、図示されないSTトリップ電磁弁(トリップ機構)に接続されている。STトリップ指令D2がONになると、MCV弁105が全閉され、蒸気タービン103が停止する。
(3b)作用
発電プラント100のプラント停止において、このSTアンローディング回路は以下のように作用する。
発電プラント100の停止は、最初にGT負荷降下を行いガスタービン102の燃料116を停止時GTホールド負荷に到達するまで低下させる。このGT負荷降下の間は停止時GTホールド負荷D1はOFFしており、切替器200が出力する開度目標値B1は100%が選択され、変化率制限器203が生成する開度指令値B2も100%であり、MCV105は全開100%を保持している。
GT負荷が停止時GTホールド負荷まで低下したとき、停止時GTホールド負荷D1がONに転じて切替器200が出力する開度目標値B1は0%が選択されて、ここにSTアンローディングが開始される。すなわち、変化率制限器203が生成する開度指令値B2は、B1に追従して100%から0%に向けて10%/分のレートで低減し、B2に駆動されるMCV弁105は10%/分の一定レートで100%から0%に向けて閉弁操作がなされる。
開度指令値B2が3%まで低下したとき(これはSTアンローディングが開始されて9分42秒後)、STトリップ指令D2がONして、トリップ機構であるSTトリップ電磁弁(図示されない)に伝えられる。これにより、MCV弁105は3%開度より即時に全閉されて、蒸気タービン103はSTトリップ(完全停止)となる。
なお、STトリップ(完全停止)後も発電プラント100のプラント停止は継続される。プラント制御装置101は(図示されない制御回路により)STトリップを確認した後、停止時GTホールド負荷を保持していたガスタービン102の燃料116を低減させて更に負荷を低下させた後、発電機遮断器121を開放する(解列)。その後も燃料116を低減させてガスタービン102は回転数を落としていき、所定の回転数に到達したとき燃料116を遮断して、プラント停止は終了する。
(3c)タービンバイパス弁119の圧力制御
主蒸気圧力P1は、圧力センサPS-1により計測され、サンプルホールド210に入力される。一方、ワンショットタイマー213は、停止時GTホールド負荷D1がONしたとことを入力し、パルス状のワンショット信号B4をONにして出力し、その1秒後にB4はOFFになる。
サンプルホールド210は、ワンショット信号B4がONのときの主蒸気圧力P1を記憶し、この主蒸気圧力P1をSV値として出力する。サンプルホールド210は、ワンショット信号がOFFした後も記憶した主蒸気圧力P1を保持して、この主蒸気圧力P1を継続してSV値として出力する。
減算器211は、プロセス値(PV値)として、圧力センサPS-1が計測した主蒸気圧力の計測値を取得する。そして、減算器211は、PV値からSV値を減算して、偏差Δ1を出力する。
PIDコントローラ212は、減算器211から偏差Δ1を取得して、偏差Δ1をゼロにするようにPID制御を行う。PIDコントローラ212から出力される操作量(MV値)は、タービンバイパス弁119の開度指令値B3である。よって、タービンバイパス弁119は、主蒸気圧力をSV値に保持する圧力制御を行う。主蒸気圧力とドラム110の内部圧力は(配管圧力損失の差を少し有するが)ほぼ等しいので、タービンバイパス弁119は、ドラム110の内部圧力をSV値に保持する圧力制御を行うとも言える。このような圧力制御を行うことで、タービンバイパス弁119は、ドラム110の圧力を安定させることができる。
(3d)サンプルホールド210の設置理由と作用
サンプルホールド210は以下の理由で設置される。
先に述べたとおり最初にGT負荷降下が行われている間はタービンバイパス弁119は全閉しており、MCV弁105は全開している。この状態でガスタービン排ガスA1の熱量は低減するので、主蒸気A2の圧力は低下する。このときドラム110の内部圧力も低下するが、その低下のレート(変化率)は比較的緩慢に低下するので、ドラム110の水位への影響はない。
しかし停止時GTホールド負荷に到達し、STアンローディングによるMCV弁105の閉弁操作が始まると、ドラム110の内部圧力は速いレートで昇圧する。よって、その場合ドラム110の水位は不安定になる。この昇圧を改めて説明すればMCV弁105の開度を減じる結果、蒸気タービン103に流入できない余剰のMCV流入蒸気A3が発生する。これが主蒸気A2の圧力を昇圧させ、ひいてはドラム110の内部圧力を昇圧させる。そのときタービンバイパス弁119の圧力制御は、この余剰分を復水器113に逃がすようにして、昇圧を回避することを期待される。
ここで問題になるのは、GT負荷降下の間にどれだけ主蒸気圧力P1が低下するかは事前には判らないことである。そこでサンプルホールド210は、停止時GTホールド負荷D1がONに転じた瞬間の、言い換えればMCV閉弁が起こる直前の主蒸気圧力P1を記憶してSV値を生成する。このように圧力制御の設定値がSV値として与えられた状態でSTアンローディングが開始されると、MCV閉弁に伴い主蒸気圧力P1が昇圧することで、すぐさま主蒸気圧力P1>SV値の大小関係が成立する。この場合、PIDコントローラ212は主蒸気圧力P1をSV値に保つようにタービンバイパス弁119を即時に開弁して、圧力上昇を回避できる。すなわち、タービンバイパス弁119が即時に閉弁状態から開弁状態に移行することで、圧力上昇を回避できる。
以上に述べた実圧トラッキングという手法を用いれば、事前にGT負荷降下中の主蒸気圧力P1がどこまで低下するのかが判らなくても、圧力制御は適切なSV値を選定することができて、ドラム110の水位を安定させてプラント停止を継続することができる。
(4)比較例の問題
(4a)期待される挙動
上述のドラム水位の安定化に加えて、タービンバイパス弁119の開弁は、MCV弁105の閉弁操作に伴い余剰となったMCV流入蒸気A3(主蒸気A2)をバイパス蒸気A4として復水器113に棄てる作用をもたらす。これより蒸気タービン103を駆動するMCV流入蒸気A3の流量は低減して、蒸気タービン103の負荷は降下する。更にMCV弁105の開度が絞られると、余剰蒸気は増えてタービンバイパス弁119の開弁は増し、MCV流入蒸気A3の流量もより低下する。すなわちタービンバイパス弁119がバイパス蒸気A4に相当する分を駆動蒸気(MCV流入蒸気A3)から抜くことでST負荷降下が実現する。
(4b)現実の挙動
しかし現実的にはMCV弁105を一定のレートで閉弁させても、タービンバイパス弁119は意図されるような一定レートでの開弁とはならないため、ST負荷降下はムラのある不安定な制御となる。その概要とこれをひき起こす理由を以下に述べる。
先ず理解されなければならないのは、加熱器111と蒸気配管112を合算した配管ボリュームは非常に大きな容量(体積)となることである。従って100%全開状態からMCV弁105の開度を少々絞ってみても、この大容量の圧力を上昇させるまですこし時間を要する。換言すれば主蒸気圧力P1の値がSV値を上回る現象は遅れて発生するので、圧力制御によりタービンバイパス弁119が開弁を開始するのも遅れる。その結果、STアンローディングを開始してしばらくの間は、バイパス蒸気A4の抜けは起こらず、ST負荷降下はなされない状況となる。
この状況をしばらく継続した後、MCV弁105の開度もある程度絞られたときに、主蒸気圧力P1は急激な上昇を見せはじめ、これに応答して漸くタービンバイパス弁119は開弁を開始する。しかしこのとき同バイパス弁の圧力制御は、プロセス制御一般にみられるオーバーシュートを伴う傾向がある。そのため、その弁開度は必要以上に大きく開弁する応答波形となり、多量のバイパス蒸気A4が抜ける結果、急激なST負荷降下を呈する。そしてタービンバイパス弁119がオーバーシュートした後は、その反動でアンダーシュートが発生し、今度はバイパス蒸気A4による「抜き」が減る結果、ST負荷は降下ではなく上昇する挙動を示す。これらオーバーシュートやアンダーシュートはPIDコントローラ212のゲインチューニングによりある程度は緩和できる。しかし、本来ST負荷を降下させることを目的とするSTアンローディングにおいて、それと真逆の負荷上昇が生じる可能性は好ましくない。
以上述べたようにSTアンローディングにおいてMCV弁105を一定のレートで閉弁させても、タービンバイパス弁119の圧力制御では、同バイパス弁は一定レートで開弁操作はなされない。そのためSTアンローディング中には、ST負荷降下がなされない局面や、あるいは急激なST負荷降下が行われる局面や、場合によっては逆のST負荷上昇が発生する局面等が混在し、ムラのある不安定なST負荷降下となる。
(5)発電機MWを使用する場合のST停止方法(参考)
先に述べたように多軸型コンバインドサイクルではST発電機MWを計測できるので、これをST停止方法に使用する場合を参考までに紹介する。それは計測された発電機MWをフィードバック制御のPV値として使用し、発電機MWを一定のレートで低減させながら、ST負荷降下をさせるフィードバック制御の一類型であり、これが望ましい停止方法をもたらす。なぜなら発電機MWは蒸気タービンの出力状態(負荷)を最も的確に示す指標であるからである。例えばこの制御方式において、前記比較例の如くタービンバイパス弁(119相当の弁)が閉塞気味となり、バイパス蒸気(A4に相当)が復水器にうまく抜けない問題が生じた場合は、PV値の発電機MWは正常な低減を示さないので、これを察知してMCV弁(105相当の弁)の更なる閉弁を促すようにフィードバック補正が働く。よって比較例の問題は自動的に解消或いは緩和されるように作用する。
因みに技術史的に発電プラントの沿革を遡れば、コンバインドサイクルが登場する以前、一般の汽力ボイラ発電プラントにおけるST停止方法も同様の制御方式が採用されてきた。いわばST発電機MWを使用してST停止を行うことは従来からの伝統の手法であり、一軸型コンバインドサイクルのみが、この手法から疎外されてきたとも言い得る。
(第1実施形態)
以上を背景に一軸型コンバインドサイクルに適用される第1実施形態は、発電機MWの代替となるST負荷の指標、すなわち蒸気タービン103の駆動蒸気の流量、に着目したST負荷降下及び停止方法を採用する。
(1)第1実施形態のプラント100a
図1は、第1実施形態の発電プラント100aの構成を示す模式図である。図1の発電プラント100aは、一軸型コンバインドサイクルである。
図1の発電プラント100aは、発電プラント100aの動作を制御するプラント制御装置101aを備えている。図1の発電プラント100aはさらに、図5の発電プラント100の構成要素に加えて、主蒸気A2の流量を計測する流量センサFS-1と、タービンバイパス弁119の出口圧を計測する圧力センサPS-2とを備えている。図5において、蒸気配管112、主配管117、およびバイパス配管118はそれぞれ、第1、第2および第3流路の例である。また、MCV弁105およびタービンバイパス弁119はそれぞれ、第1および第2弁の例である。さらに、流量センサFS-1、圧力センサPS-1、およびMWトランスデューサMW-Trはそれぞれ、流量計測器、圧力計測器、および電力計測器の例である。流量センサFS-1および圧力センサPS-1は、少なくとも1つの計測器の例である。
流量センサFS-1は、蒸気配管112に設けられており、蒸気配管112内の流量の測定結果をプラント制御装置101aに出力する。圧力センサPS-2は、バイパス配管118に設けられており、バイパス配管118内の圧力の測定結果をプラント制御装置101aに出力する。圧力センサPS-2は、バイパス配管118上でタービンバイパス弁119の下流側に設けられている。
第1実施形態はタービンバイパス弁119の制御に関し、比較例とは異なるタイプの制御を採用する。これに伴い図1の発電プラント100aは、タービンバイパス弁119の開度指令値が「B3」から「E8」に置き換わっている。なお、タービンバイパス弁119の実際の弁開度〔%〕は、速やかに開度指令値E8〔%〕に追従してE8〔%〕と同じになる。よって、本実施形態が係わる技術領域では、開度指令値E8とは、タービンバイパス弁119の開度E8と読み替えることが可能である。以下、文脈に応じて開度指令値E8と開度E8の表記を併用する。
また、第1実施形態では、MCV弁105の制御も比較例とは異なる。そのため、図1の発電プラント100aでは、MCV弁105の開度指令値が「B2」から「E2」に置き換わっている。タービンバイパス弁119の場合と同じく、MCV弁105の開度指令値E2は、MCV弁105の開度E2と読み替えることが可能であり、以下の文脈に応じて開度指令値E2と開度E2の表記を併用する。
図1においては、主蒸気A2の流量をFA2と表記し、タービンバイパス蒸気A4の流量をFA4と表記し、MCV流入蒸気A3の流量をFA3と表記する。
(2)駆動蒸気流量に着目したST停止方法
繰返すように、一軸型コンバインド発電プラントでは単独のST発電機MWを計測できない。そこで第1実施形態は、発電機MWに替わり、蒸気タービン103の駆動蒸気であるMCV流入蒸気A3(図2中では駆動蒸気流量C6として示される)に着目する。一般に熱力学的に蒸気タービンの出力(負荷)に関し、駆動蒸気の圧力および温度が一定の場合、ST負荷は駆動蒸気の流量に近似的に比例することが知られている。この場合、MCV流入蒸気A3の流量を一定のレートで低下させれば、ST負荷も(ほぼ)一定のレートで低減する。
因みに付帯要件である圧力および温度に関しては、第1実施形態は比較例と同じく停止時GTホールド負荷を保持した状態で蒸気タービン103の停止を行う。そのため、第1実施形態では、その間のMCV流入蒸気A3(主蒸気A2)の温度と圧力はほぼ一定であり、要件は充足されている。従って、MCV流入蒸気A3の流量を一定のレートで低減させれば、ST負荷は概ね一定に低下する。しかしMCV弁105に直接的に閉弁制御を施して、駆動蒸気の流量を一定に低減するようなMCV105の閉弁操作を行うことはしない。なぜなら、一言で言えばそれではSTアンローディングと大差なく、タービンバイパス弁119の適切な開弁はなされず、比較例と同じ問題を呈するからである。これらに係る技術的な詳細は後程の考察で改めて言及するが、この点を踏まえた上で、本実施形態は次のようなST負荷降下および停止方法とする。
(3)系統構成に着目したST負荷降下および停止方法
第1実施形態において着目する「駆動蒸気の流量」、すなわち、MCV流入蒸気A3の流量(FA3)は、主蒸気A2の流量(FA2)からバイパス蒸気A4の流量(FA4)を減算した値である。FA3=FA2-FA4の関係が成立し、且つ停止時GTホールド負荷を保持したときのFA2は一定であるため、FA4を一定レートで増加させれば、FA3は一定レートで減少する。
これを利用して本実施形態では、タービンバイパス弁119に新規の開弁制御を施し、バイパス蒸気A4の流量(FA4)を一定レートで増加させて、MCV流入蒸気A3の流量(FA3)を一定レートで減少させる。このことは、「圧力制御」を採用していた比較例のタービンバイパス弁119が、本実施形態では「流量制御」に転換されることを意味する。流量制御の採用により、タービンバイパス弁119は、主蒸気A2(すなわちドラム110の内部圧力)の圧力を制御してドラム110の水位を安定させる本来の機能を果たせなくなる。そこで本実施形態では、MCV弁105がこの圧力制御を担い、圧力制御によりMCV105の閉弁操作が行われる。
(4)バイパス蒸気A4の流量(FA4)の算出
タービンバイパス弁119の流量を取扱う制御では、バイパス蒸気A4の流量(FA4)を把握することが必要となる。その目的の為には、タービンバイパス弁119が設置されるバイパス配管118に新たに流量センサを設けて流量計測を行うことでもよい。しかし第1実施形態では、流量センサに替わり圧力センサPS-1、PS-2を用いて流量FA4を算出する。
一般に調節弁の弁体を通過する流量F(質量流量)は、流量係数Cvを使用して次のように求まることが知られている。
F=Cv*γ*√{(Pin-Pout)/G}・・・(1)
ここに、
F・・・流量
Cv・・・流量係数
Pin・・・弁一次圧(入口圧)
Pout・・・弁二次圧(出口圧)
γ・・・・密度
G・・・比重
である。
流量係数Cvは調節弁設計上の主要諸元であり、一般にタービンバイパス弁の製造メーカーより情報提供を受けることが可能である。その場合、弁開度に応じて流量係数Cvは決まるので、横軸(x軸)を弁開度、縦軸(y軸)を流量係数Cvとしたグラフである関数F(x)により情報提供がなされることが一般的である。
図1の発電プラント100aにおいて、タービンバイパス弁119が後述する流量制御により、開度E8〔%〕に開弁したとき、本弁を通過する流量、すなわちバイパス蒸気A4の流量(FA4)は、式(1)の関係を利用して次のように表せる。
A4=Cv*γ*√{(P1-P2)/G}・・・(2)
ここに、
A4・・・バイパス蒸気A4の流量
Cv・・・開度E8でのタービンバイパス弁119の流量係数
P1・・・圧力センサPS-1の計測値
P2・・・圧力センサPS-2の計測値
γ・・・・バイパス蒸気A4の密度
G・・・・バイパス蒸気A4の比重
である。
圧力P1は、主蒸気A2の圧力であり、若干の圧力損失があるがタービンバイパス弁119の入口圧にほぼ等しい。よって、圧力センサPS-1が計測する主蒸気圧力でP1は与えられる。圧力P2は、タービンバイパス弁119の出口圧であり、圧力センサPS-2がこれを計測する。また停止時GTホールド負荷を保持した状態でのバイパス蒸気A4の温度と圧力はほぼ一定であり、γとGは蒸気表(Steam table)より数値として求めることができる。
さて開度E8に応じて流量係数Cvは決まるので、x軸に開度E8、y軸をCvとしたグラフを関数Fφ(x)とすれば、Cvは次のように表せる。
Cv=Fφ(E8)・・・(3)
これを式(2)に代入すれば次のとおりである。
A4=Fφ(E8)*γ*√{(P1-P2)/G}・・・(4)
これを変形すれば
Fφ(E8)=FA4/γ*√{G/(P1-P2)}・・・(5)
関数Fφ(x)の逆関数であるF-1φ(x)をFσ(x)と表せば、式(5)は次のように変形できる。
E8=Fσ(FA4/γ*√{G/(P1-P2)})・・・(6)
この式(6)の右辺のFA4は「バイパス蒸気目標流量C7」として次の図2の制御回路により算出・提供される制御量である。また逆関数のFσ(x)はFφ(x)のグラフのx軸とy軸を入れ替えるだけなので、簡単に求まる。
これより式(6)に示すタービンバイパス弁119の開度指令値E8は、図2の制御回路により以下のように実現し、生成することが可能となる。
(5)第1実施形態のプラント制御装置101a
図2は、第1実施形態のプラント制御装置101aの構成を示す回路図である。
図2は、停止時GTホールド負荷に到達した後にST停止を行う、MCV弁105の制御回路およびタービンバイパス弁119の制御回路を示している。本実施形態のプラント制御装置101aは、これらの制御回路によりMCV弁105およびタービンバイパス弁119を制御して、蒸気タービン103を停止する。
図2のプラント制御装置101aは、MCV弁105の制御回路内に、ワンショットタイマー300と、サンプルホールド301と、減算器302と、PIDコントローラ303と、比較器360と、設定器361とを備えている。図2のプラント制御装置101aはさらに、タービンバイパス弁119の制御回路内に、サンプルホールド320と、ワンショットタイマー321と、切替器322と、設定器323と、除算器324と、設定器325と、変化率制限器326と、設定器327と、減算器328と、減算器340と、設定器341と、除算器342と、開平器343と、設定器344と、除算器345と、乗算器346と、関数発生器347とを備えている。図2において、MCV弁105の制御回路は第1弁制御部の例であり、タービンバイパス弁119の制御回路は第2弁制御部の例である。
以下、先にタービンバイパス弁119の制御回路について説明し、次にMCV弁105の制御回路について説明する。
(5a)タービンバイパス弁119の流量制御
主蒸気A2の流量FA2は、流量センサFS-1により計測されて主蒸気流量F1として取り込まれ、サンプルホールド320に入力される。なお、発電プラント等の発生蒸気量の単位系は、一般にはt/h(トン/時間)が採用されるが、本明細ではより直截に理解され易い制御回路とするため、主蒸気流量F1の単位は、t/分(トン/分)を採用する。
一方、ワンショットタイマー321は、停止時GTホールド負荷D1がONしたことを入力し、パルス状のワンショット信号C2をONにして出力し、その1秒後にC2はOFFになる。サンプルホールド320は、ワンショット信号C2がONのときの主蒸気流量F1を記憶し、これを主蒸気流量メモリ値C3として出力する。サンプルホールド320は、ワンショット信号がOFFした後も主蒸気流量メモリ値C3を記憶・保持してその値を出力する(なお停止時GTホールド負荷D1は、信号C1として分岐されて、後述するMCV弁105の圧力制御にも使用される)。
切替器322は、ワンショットタイマー321からワンショット信号C2を取りこむ。これに加えて、切替器322は2つの入力ポートを保有しており、ポート1はサンプルホールド320が記憶する主蒸気流量メモリ値C3を取りこみ、ポート2は設定器323に設定された0(零)を取りこむ。切替器322は、ワンショット信号C2のON-OFFの状態に応じて動作する。具体的には、切替器322は、ワンショット信号C2がONのときはポート1を選択し、タービン目標流量C4として主蒸気流量メモリ値C3を出力し、ワンショット信号C2がOFFのときはポート2を選択し、タービン目標流量C4として0を出力する。
変化率制限器326は、タービン目標流量C4が上昇したとき、所定のレートでC4に追従して増加する駆動蒸気流量C6を生成する。この場合の所定のレートは、変化率制限器326が取り込むACCEL(Ramp Acceleration Rate)であり、変化率制限器326は、設定器327に設定された99999t/分をACCELとして取りこむ。これにより、タービン目標流量C4が急増したとき、変化率制限器326は駆動蒸気流量C6を99999t/分の上昇レートで制限する。但し99999t/分の上昇レートは、極端に大きなレートなので、事実上はこれは無制限である。すなわち、タービン目標流量C4が急に増加する場合は、変化率制限器326が出力する駆動蒸気流量C6はほぼ瞬時にタービン目標流量C4に到達して、駆動蒸気流量C6は主蒸気流量メモリ値C3に等しくなる。
一方、除算器324は、サンプルホールド320から主蒸気流量メモリ値C3を取りこみ、これを設定器325に設定された10で除算(割り算)して流量低減レートC5を出力する。この流量低減レートC5は、t/分の単位を有する。
変化率制限器326は、切替器322より入力するタービン目標流量C4が急激に低下したときに、所定のレートでC4に向かってゆっくり低減する駆動蒸気流量C6を生成する。この場合の所定のレートは、変化率制限器326が取り込むDECEL(Ramp Decceleration Rate)であり、変化率制限器326は、除算器324から流量低減レートC5をDECELとして取りこむ。
そして減算器328は、主蒸気流量F1から、変化率制限器326により出力された駆動蒸気流量C6を減算して、バイパス蒸気目標流量C7を出力する。
圧力センサPS-1により計測された主蒸気圧力P1は、分岐されて減算器340に入力される。
減算器340は、圧力センサPS-2が計測するタービンバイパス弁119の出口圧であるP2も取得する。減算器340は、P1からP2を減算してP1-P2を算出し、これをE3として出力する。設定器341には、バイパス蒸気A4の比重であるGが設定されている。除算器342は、設定器341からのGと減算器340の出力E3とを取得し、G÷E3を演算してE4を出力する。
開平器343は、E4を入力し、その平方根を演算してこれをE5として出力する。設定器344には、バイパス蒸気A4の密度であるγが設定されている。除算器345は、開平器343からの出力E5と設定器344からのγとを取得し、E5÷γを演算してE6を出力する。
乗算器346は、減算器328からのバイパス蒸気目標流量C7と除算器345からの出力E6とを取得し、C7×E6を演算してE7を出力する。このE7を算術式で表せば下記の式(7)のようになる。
E7=C7/γ*√{G/(P1-P2)}・・・(7)
乗算器346からの出力E7は、関数発生器347に入力される。関数発生器347はその内部にFσ(x)のグラフを内蔵している。このグラフのx軸として関数発生器347にE7が入力されると、このグラフのy軸のFσ(E7)が決定される。関数発生器347は、これをタービンバイパス弁119の開度指令値E8として出力する。なお、関数Fσ(x)は、先述のタービンバイパス弁119の流量係数CvであるグラフFφ(x)の逆関数F-1φ(x)である。
以上より、開度指令値E8はFσ(E7)で与えられ、算術式で表せば下記の式(8)のようになる。
開度指令値E8=Fσ(C7/γ*√{G/(P1-P2)})・・・(8)
式(8)は、上記式(6)の右辺のFA4をバイパス蒸気目標流量C7で置き換えたものである。よって、タービンバイパス弁119の制御回路は、上記式(6)を実現したものとなっている。
本実施形態のタービンバイパス弁119の制御回路は、開度指令値E8によりタービンバイパス弁119を制御することで、蒸気タービン103の負荷(ST負荷)を「所望するST負荷」へと変化させる。本実施形態の「所望するST負荷」は、ゼロ(0%)である。この「所望するST負荷」は、所定の負荷の例であり、そのさらなる詳細については後述する。
(5b)MCV弁105の圧力制御
分岐された信号C1である停止時GTホールド負荷D1は、ワンショットタイマー300に取り込まれる。ワンショットタイマー300は、停止時GTホールド負荷D1がONしたことを入力し、パルス状のワンショット信号E1をONにして出力し、その1秒後にE1はOFFになる。
圧力センサPS-1が計測した主蒸気圧力P1は、サンプルホールド301に入力される。サンプルホールド301は、ワンショット信号E1がONのときの主蒸気圧力P1を記憶し、これをSV値として出力する。サンプルホールド301は、ワンショット信号E1がOFFした後も記憶したSV値を保持し、その値を継続してSV値として出力する。
減算器302は、プロセス値(PV値)として、主蒸気圧力P1を取得する。そして、減算器302は、PV値からSV値を減算して偏差Δ2を出力する。
PIDコントローラ303は、減算器302から偏差Δ2を取得して、偏差Δ2をゼロにするようにPID制御を行う。PIDコントローラ303から出力される操作量(MV値)は、MCV弁105の開度指令値E2である。よって、MCV弁105は、主蒸気A2の圧力をSV値に保持する圧力制御を行う。主蒸気圧力とドラム110の内部圧力は(配管圧力損失の差を少し有するが)ほぼ等しいので、MCV弁105は、ドラム110の内部圧力をSV値に保持する圧力制御を行うとも言える。このような圧力制御を行うことで、MCV弁105は、ドラム110の圧力を安定させることができる。
比較器360は、PIDコントローラ303から開度指令値E2を取得する。比較器360は、設定器361に設定された3%を設定値として取りこむ。比較器360は、開度指令値E2が3%より小さいときは、STトリップ指令D2をONにして出力し、開度指令値E2が3%より大きいときは、STトリップ指令D2をOFFにする。STトリップ指令D2は、図示されないSTトリップ電磁弁(トリップ機構)に接続されている。STトリップ指令D2がONになると、MCV弁105が全閉され、蒸気タービン103が停止する。
以上のように、本実施形態のタービンバイパス弁119の制御回路は、流量センサFS-1により計測された流量F1、圧力センサPS-1により計測された圧力P1、および圧力センサPS-1により計測された圧力P2に基づいて、タービンバイパス弁119を制御する。これにより、ST負荷を「所望するST負荷」へと変化させることができる。この際、本実施形態のタービンバイパス弁119の制御回路は、上述の説明から理解されるように、MWトランスデューサMW-Trにより計測された電力(発電機MW)に基づかずに、タービンバイパス弁119を制御する。よって、図2にはMWトランスデューサMW-Trが示されておらず、上記の発電機MWはタービンバイパス弁119の制御回路に入力されていない。
さらに、タービンバイパス弁119の制御回路によりタービンバイパス弁119が制御される場合に、本実施形態のMCV弁105の制御回路は、圧力センサPS-1により計測された圧力P1に基づいて、MCV弁105を制御する。これにより、図2のPV値を図2のSV値に保持することや、蒸気タービン103を停止することができる。このPV値は、圧力センサPS-1により計測された圧力P1であり、主蒸気A2の圧力に相当する。一方、このSV値は、ワンショット信号E1がONのときの圧力P1であり、ワンショット信号E1がOFFした後もサンプルホールド301内に記憶されている。
(6)作用
本実施形態の発電プラント100aのプラント停止に関し、図2のタービンバイパス弁119の流量制御とMCV弁105の圧力制御の作用を説明する。
比較例と同様に発電プラント100aを停止するときは、ガスタービン102の燃料調節弁106を徐々に閉弁し燃料116を低減させガスタービン102の負荷を降下させていく(GT負荷降下)。燃料116の低減に伴い、ガスタービン排ガスA1の温度や保有する熱量は低下する。このGT負荷降下により主蒸気A2の圧力、流量および温度は低下する。GT負荷はガスタービン排ガスAの温度が極端に低下しない、許容できる下限の温度すなわち停止時GTホールド負荷D1まで降下する。
GT負荷が停止時GTホールド負荷D1に到達したとき、図2の制御回路によるST停止操作が開始される。すなわち、停止時GTホールド負荷D1がONして、ワンショットタイマ321のワンショット信号C2がONすると、サンプルホールド320にはその瞬間に計測された主蒸気流量F1が主蒸気流量メモリ値C3として記憶され、切替器322の出力であるタービン目標流量C4も主蒸気流量メモリ値C3となる。そのとき、変化率制限器326の出力である駆動蒸気流量C6は、ほぼ瞬時に主蒸気流量メモリ値C3に到達する(なぜならACCELは99999t/分の極大レートのため)。この「C3」という駆動蒸気流量C6は、初期値の例である。
ワンショット信号C2はONした1秒後にOFFするので、切替器322が出力するタービン目標流量C4は1秒後に設定器323に設定されている0(零)になる。そのとき駆動蒸気流量C6は、変化率制限器326の作用により主蒸気流量メモリ値C3の値から0(零)に向かって低減レートのDECELで低減する。この場合のDECELは除算器324が主蒸気流量メモリ値C3を10で除算して演算した流量低減レートC5なので、駆動蒸気流量C6は、主蒸気流量メモリ値C3の値から10分を掛けて0に向けて一定レートで低減する。この「0」という駆動蒸気流量C6は、最終値の例である。
以上の一連のST停止手順と、比較例(図6)のSTアンローディングとの間にはあるアナロジー(類似)が指摘できる。すなわち比較例のSTアンローディングでは100%を有するMCV弁105の開度が10分を掛けて一定レートで0に低減するように作用するが、本実施形態では主蒸気流量メモリ値C3を有する駆動蒸気流量C6が10分を掛けて一定レートで0に低減する。この場合、開度100%は「主蒸気流量メモリ値C3」に対応し、10%/分は「流量低減レートC5」に対応している。但し、本実施形態では、停止時GTホールド負荷D1がONしたときの駆動蒸気流量C6がどのような値になるか実際にやってみないと精度よくは判らない。そこで、サンプルホールド320は、停止時GTホールド負荷D1がONに転じた瞬間の、主蒸気流量F1を「主蒸気流量メモリ値C3」として記憶するのである。この手法は制御上、実流量トラッキングと呼ばれる。そして主蒸気流量メモリ値C3を10で除算して「流量低減レートC5」を算出する。
本実施形態の基本的なST停止法は、以上の必要措置を施した上で、駆動蒸気流量C6を流量低減レートC5の一定レートで低減する。先に述べたようにST発電機MWは蒸気タービン103の駆動蒸気流量C6に近似的に比例する。そのため、駆動蒸気流量C6を10分掛けて一定レートで0に低減させれば、ST負荷(MW)もほぼ一定のレートで低減する。この方法は、従来技術において単独のST発電機MWを計測できるときに採用されるST負荷降下を模したものとも言い得る。
しかし第1実施形態は駆動蒸気流量C6を求めた後、このC6に基づきMCV弁105を直接的に流量制御することは行わない。第1実施形態は減算器328の働きにより、全体の主蒸気流量F1から駆動蒸気流量C6を減算してバイパス蒸気目標流量C7を算出して、当該バイパス蒸気目標流量C7が復水器113に流入するタービンバイパス弁119の開度指令値E8を(上記(8)に従い)生成する。その結果、本実施形態のMCV弁105には、残余の主蒸気A2(即ち駆動蒸気流量C6)が通過する。
これを以下、時系列的に説明する。
最初、停止時GTホールド負荷D1がONに転じた瞬間は、主蒸気流量F1の計測値は主蒸気流量メモリ値C3であり、駆動蒸気流量C6も主蒸気流量メモリ値C3である。そのため、減算器328は等量のメモリ値C3同志を減算するので、減算器328による減算結果は0(零)であり、タービンバイパス弁119の開度E8は0(全閉)である。
従ってそれ以前と同様に主蒸気流量F1の全量はMCV弁105を通過している。しかしその後の駆動蒸気流量C6は、10分間の間、流量低減レートC5の一定レートで低減し、逆に減算器328からは、流量低減レートC5のレート(極性は逆のプラス)で増加するバイパス蒸気目標流量C7が算出される。減算器328から算出されるバイパス蒸気目標流量C7が増加するに従い、タービンバイパス弁119の開度E8は、上記式(8)に従って次第に開弁していく。
蒸気タービン103に流入する蒸気量とは、計測された主蒸気流量F1からバイパス蒸気(FA4)を減算した残余である。そのため、MCV流入蒸気A3の流量(FA3)は、主蒸気流量メモリ値C3から10分をかけて一定レートで0に低減していく駆動蒸気流量C6となる(C6として制御することが可能となる)。上述のように、停止時GTホールド負荷保持の期間中に計測される主蒸気流量F1の値はほぼ一定(主蒸気流量メモリ値C3)であるので、バイパス蒸気目標流量C7の増加分は、それと等量のMCV流入蒸気A3の流量(FA3)の低減分になる。
一方、発電プラント100aのMCV弁105の圧力制御は以下のように作用する。
上述のプロセスを経てタービンバイパス弁119が開度E8にて開弁されて、復水器113にバイパス蒸気目標流量C7が流出するとき、この分だけ圧力P1が減圧され、ドラム110の内部圧力は高速のレートで減圧され、ドラム110の水位が不安定になる。そのとき、MCV弁105の圧力制御は、復水器113に逃げたバイパス蒸気目標流量C7と等量のMCV流入蒸気A3の流量を絞り、減圧を回避することが期待される。
しかしここで比較例のタービンバイパス弁119の圧力制御と同様の不都合が生じる。すなわち、GT負荷降下の間にどれだけ主蒸気圧力P1が低下するかは事前には判らないことである。
そこで、サンプルホールド301は、停止時GTホールド負荷D1がONに転じた瞬間の、すなわちタービンバイパス弁119の開弁が起こる直前の、主蒸気圧力P1を記憶してSV値を生成する。このように圧力制御の設定値がSV値として与えられた状態でタービンバイパス弁119の開弁が開始された場合、バイパス蒸気目標流量C7が復水器113に流入した直後に主蒸気圧力P1が減圧すると、すぐさま主蒸気圧力P1<SV値の大小関係が成立する。その結果、PIDコントローラ303が主蒸気圧力P1をSV値に保つようにMCV弁を開度E2に閉弁操作して、圧力の減圧を回避できる。
以上に述べた実圧トラッキングという手法を用いれば、事前にGT負荷降下中の主蒸気圧力P1がどこまで低下するのかが判らなくても、圧力制御は適切なSV値を選定することができる。これにより、ドラム110の水位を安定させてプラント停止を継続することができる。
タービンバイパス弁119の開度E8が大きくなるにしたがって、復水器113に逃げるタービンバイパス蒸気A4の流量(FA4)も大きくなり、圧力保持のためにMCV弁105を開度E2は徐々に小さくなっていく。なお、ST負荷降下を行う場合に一般にイメージされるMCV弁105の「閉弁」という動作は、この圧力制御の結果としてもたらされ、MCV流入蒸気A3の流量(FA3)は、主蒸気流量メモリ値C3から10分をかけて0(零)に低減される。
但し、零に到達する近傍のタイミングでは、MCV弁105が極端に微開(例えば3%以下)になると圧力損失が大きくなりすぎて、この状態が長時間継続すると弁体にとってよくない。そこで、比較器360は、変化率制限器361から開度指令値E2と、設定器361に設定された3%を設定値として取りこみ、開度指令値E2が3%より小さくなったとき、STトリップ指令D2をONにして出力する。このSTトリップ指令D2は、トリップ機構であるSTトリップ電磁弁(図示されない)に伝えられ、MCV弁105は3%開度より即時に全閉されて、蒸気タービン103はSTトリップ(完全停止)となる。
図2の制御回路は以上のように作用するが、その後も発電プラント100aのプラント停止は継続される。プラント制御装置101aは、(図示されない制御回路により)STトリップを確認した後、停止時GTホールド負荷を保持していたガスタービン102の燃料116を低減させて更に負荷を低下させる。プラント制御装置101aはその後、発電機遮断器121を開放する(解列)。その後も燃料116を低減させてガスタービン102は回転数を落としていき、ガスタービン102の回転数が所定の回転数に到達したとき燃料116を遮断して、プラント停止は終了する。
(7)考察
以上のとおり、第1実施形態は駆動蒸気流量C6を求めた後、減算器328の働きにより、全体の主蒸気流量F1から駆動蒸気流量C6を減算してバイパス蒸気目標流量C7を算出して、タービンバイパス弁119から当該バイパス蒸気目標流量C7を復水器113に流出させる。その結果、MCV弁105には残余の主蒸気A2(即ち駆動蒸気流量C6)が通過する。
このように、タービンバイパス弁119に流量制御を施し、その結果MCV弁105は「間接的」に流量制御がなされるという手法は、有効な制御法である。以下「間接的」に流量制御されることの効果とメリットを説明する。そのためには「直接的」な流量制御と比較し両者を対照するのが判り易い。この場合の直接的な制御とは、上記式(1)に示す弁体の弁一次圧力と弁二次圧力との弁差圧を計測し、MCV弁105の流量係数Cvと弁差圧との関係を利用して(第1実施形態のタービンバイパス弁119の制御法に倣うやり方で)駆動蒸気流量C6が通過するようなMCV弁105の開度指令値を直求める制御法である。MCV弁105の弁差圧に関しては、弁一次圧(入口圧)は既に主蒸気圧力PS-1で計測されているので、弁二次圧(出口圧)を計測する新たな圧力センサを設置することとなる。
しかしこの制御法ではうまくいかないと考えられる。
その第一の理由は、MCV弁105側の都合だけで一方的にMCV弁105を閉弁してみても、タービンバイパス弁119の圧力制御はそれと協調のとれた開弁を実現しないからである。その結果、比較例におけるSTアンローディングと同じ問題が生じる。
その第二の理由は、MCV弁105を通過する蒸気流量を求めるのは難しく、本実施形態が採用するタービンバイパス弁119を通過する蒸気流量を求める方が簡単であるからである。上記式(1)に示すとおり弁体を通過する流量Fは、弁一次圧と弁二次圧の弁差圧により決定される。そしてMCV弁105の弁二次圧とは蒸気タービン103の初段圧力であり、その圧力値は後流のタービン段落(第二段、第三段、、、)に影響を受けて決定される。そしてMCV弁105が開度を減じる過程で、蒸気タービン103の内部を通過する駆動蒸気流量が低減するとき、タービン段落全体の圧力バランスも変動し、結局それは弁二次圧力に波及する。別の言い方をすると、ある弁差圧に基づき、所定の駆動蒸気流量C6を通過させるMCV弁105の開度指令値を算出し、それに従ってMCV弁105が閉操作されると、その閉操作の瞬間に、それまで算出の前程であった弁差圧は変動している。そのため、目標とする駆動蒸気流量C6を通過させるためには、再度、変動後の弁差圧に基づき新しい開度指令値を求める必要がある。これの繰返しとなってしまう。つまり開度指令値と弁差圧は(いわゆる数学で言うところの)収束演算の結果で定まる値であり、MCV弁105の開度指令値は安定せず、制御は難しくなる。
これに対し、本実施形態が取扱うタービンバイパス弁119を通過する蒸気流量に関しては、タービンバイパス弁119の出口側(弁二次側)は、復水器113に接続されている。容器としての復水器113は、蒸気タービン103の数倍の容積を有しており、その器内圧は(バイパス蒸気A4がいくら流入しようが)真空が保持される。よってタービンバイパス弁119の開度指令値E8が変動しても、弁二次圧に影響を与えない。従って、本実施形態では、バイパス蒸気目標流量C7を実現する開度指令値E8は弁一次圧によってのみ決定され、上記のような収束演算的な難解さから解放されている。よってタービンバイパス弁119による流量制御は簡単で安定したものとなる。
以上のように、本実施形態では、MCV弁105に所定の蒸気量(駆動蒸気流量C6)を通過させようとする場合、全体の主蒸気A2から余計なバイパス蒸気A4(バイパス蒸気目標流量C7)を復水器113に抜いて、後に残った残余分をMCV弁に流す。これにより、円滑で無理のないST負荷降下およびST停止方法が実現できる。なお復水器113の器内圧は真空が保持されるので、タービンバイパス弁119の弁二次圧を計測する圧力センサPS-2も、ほぼ常時真空値を計測する。従ってPS-2の設置を省略して、同弁二次圧を真空値の固定数として制御回路を構成する変形例も可能である。これに対し第1実施形態では、基本となる上記式(1)に忠実な構成とするため圧力センサPS-2を設置し、容易な理解に配慮した。
最後に比較例と本実施形態の圧力制御を比較する。
先に述べたタービンバイパス弁119による比較例の圧力制御の問題をここに再度掲載すれば、加熱器111と蒸気配管112を合算した配管ボリュームは非常に大きな容量になるので、MCV弁105の開度を少々絞ってみても、この大容量の圧力を上昇させるまで時間を要する。その結果、STアンローディングの開始後も、しばらくはバイパス蒸気A4の抜けは起こらず、ST負荷降下が開始されない。
本実施形態でも、この大容量の配管ボリュームは同じなので、タービンバイパス弁119の開弁開始の直後、バイパス蒸気A4の抜けが多少発生しても、この大容量の圧力を低下させるまで時間を要する。その結果、本実施形態のMCV弁105の圧力制御が主蒸気圧力の低下を検知して、その開度を減じるまでに遅れが生じる。
しかしこの遅れによるプラント運転上の支障は生じない。なぜならバイパス蒸気A4の抜けが実際にある限りは、ST負荷降下は確実に行われているからである。その後タービンバイパス弁119がバイパス蒸気A4を増加させるに従い、円滑な主蒸気圧力の低下が生じ、これに応答してMCV弁105の圧力制御は安定して閉弁操作を行うことが可能となる。本実施形態によれば、比較例にみられる突発的な主蒸気圧力の上昇に起因して、圧力制御がオーバーシュートやアンダーシュートの応答を示すような問題を抑制することが可能となる。
(第2実施形態)
(1)第2実施形態のプラント100b
図3は、第2実施形態の発電プラント100bの構成を示す模式図である。図3の発電プラント100bは、一軸型コンバインドサイクルである。第2実施形態では、「ST冷却停止」と言われる蒸気タービン103の新しい制御方法を提案する。
図3の発電プラント100bは、発電プラント100bの動作を制御するプラント制御装置101bを備えている。図3の発電プラント100bはさらに、図1の発電プラント100aの構成要素に加えて、蒸気タービン103を構成する部材の温度を計測する温度センサTS-1を備えている。温度センサTS-1は、温度計測器の例である。
本実施形態では、温度センサTS-1が、蒸気タービン103のロータ103aの温度を計測し、具体的には、ST第1段内面メタル部の温度を計測する。よって、温度センサTS-1は、蒸気タービン103のロータ103aの第1段落部に接続されており、この温度の測定結果をプラント制御装置101bに出力する。
(2)ST冷却停止の概要
第2実施形態が取扱うST冷却停止につき、その概要や目的に簡単に触れる。
先の第1実施形態は、いわゆる設備運用に基づき発電プラント100aを停止する通常のST停止方法を採用している。一方、第2実施形態が係るST冷却停止は、主蒸気A2の温度を徐々に低減させながら蒸気タービン103を冷却した後にST停止(トリップ)を行うST停止方法である。
しばしば見受ける多くのケースでは、発電プラント100bを停止した後にプラント定期検査が予定される場合にST冷却停止を適用する。プラント定期検査では、蒸気タービン103を分解・開放して、各種検査や消耗品・パーツ類の交換を含む保守作業が予定される(そのためST冷却停止は「ST保守停止」とも呼ばれる)。
その際には早く分解に取り掛かりたいのだが、その障害になるのがタービン部材が保有する高温の残熱である。例えば最新のコンバインドサイクルでは、主蒸気A2は600℃近傍の高温であるため、第1実施形態により通常にST停止をさせた後では、タービン部材は概ね600℃近傍の高温残熱を保有する。
この高温残熱は次回の蒸気タービン起動時にはホット起動モードによる高速起動をもたらすので、一般には好都合と認識される。つまりプラント定期検査などがない限り、残熱は高温であればあるほど歓迎されるのである。しかし分解作業に取り掛かるとなると、作業員の安全作業の面にも係り、分解が可能となる概ね300℃またはそれ以下の温度領域の残熱になるまで自然冷却の待ちを余儀なくされる。その待ち時間は貴重な定期検査の時間を浪費する。
ST冷却停止は、この待ち時間を短くするために行われる。ST冷却停止に依れば、タービン部材の残熱を400℃近傍の残熱にまで下げることが可能となる。この400℃の残熱を先に述べた600℃近傍の通常停止の高温残熱と比較した場合、前記冷却待ち時間に換算すれば概ね40時間程度の節約・早期化となる。なお、更なる節約効果を追求するようなST冷却停止(例えば残熱300℃近傍)は、ガスタービン102にとっても蒸気タービン103にとっても負担が大き過ぎるので、そこまでの冷却は現在実用化されていない。
(3)従来技術によるST冷却停止の操作手順
一軸型コンバインドサイクルのST冷却停方法は、各発電プラントで様々なバリエーションを有するが、昨今の一軸型コンバインドサイクル発電プラント100cで実施されているST冷却停止の事例を従来技術としてここに紹介する。この発電プラント100cは図示はされないが、第2実施形態の発電プラント100b(図3)と同じ構成の一軸型コンバインドサイクルである。但しそのプラント制御装置は図3の101bとは別の従来技術による制御装置が備わるものとして、図3を読替えるものとする。
以下の解説には極力具体的な数値を使用して説明の便宜を図る。発電プラント100cの蒸気タービン103は、600℃の高温の主蒸気A2により駆動される。そしてこれにST冷却停止を施し、その冷却完了の指標・判断としてはST第1段内面メタル温度が430℃まで冷却されすることを数値的目標とする。なおST第1段内面メタル部は、蒸気タービン103の熱的状態を表す代表的な部材であり、図3上での温度センサTS-1により計測される。
さて発電プラント100cのST冷却停止を開始するときは、通常のST停止法(第1実施形態)と同じで、先ずはガスタービン102のGT負荷降下から開始される。そしてガスタービン102の燃料調節弁106を徐々に閉弁し燃料116を低減させガスタービン102の負荷を「停止時GTホールド負荷」まで降下させる(GT負荷は約15%)。
因みに燃料116の低減に伴いガスタービン排ガスAの温度や保有する熱量は低下するが、その程度は軽微である。例えば「停止時GTホールド負荷」でのガスタービン排ガスA1は、依然として充分な高温(約550℃)を有する。第1実施形態のST停止方法では、この状態でST停止を行う。その結果、ST第1段内面メタル温度は、上述したように、概ね600℃近傍の高温残熱を保有する。
一方、ST冷却停止では、ST第1段内面メタル温度を430℃にまで冷却する必要がある。単純に考えても、ST第1段内面メタル温度を430℃にするためには主蒸気A2の温度は概ね400℃近傍まで低減させる必要があり、そのためにはガスタービン排ガスA1の温度も400℃程度にする必要がある。すなわちST冷却停止のときには、ガスタービン102側も400℃の極低排ガス温度に特化した特殊運転に入る必要がある。以下、この特殊運転を「冷却停止時GT極低温度」またはその運転・制御と呼ぶ。
排ガスA1の温度を下げるための代表的な手段は、燃料116の量を減らすことがである。そこで、「冷却停止時GT極低温度」の制御が開始されると、ガスタービン102は燃料116の量を減らしてGT負荷15%からGT負荷10%に向け負荷降下する。しかし燃料116が少量しか供給されないと、ガスタービン102は安定した燃焼を保てない。つまり、ST冷却停止の運転自体が不可能になる。そこで、「冷却停止時GT極低温度」の制御中はガスタービン102は概ね10%程度のGT負荷が保持される。
しかし、この負荷では、要望される400℃以下の排ガスA1には届かない。燃料116の供給量減少に制約がある以上は、「冷却停止時GT極低温度」は他の手段を用いて排ガスA1の温度を400℃に低減する。そのためには圧縮機107の入口案内翼を開操作する温度マッチング制御を利用し、この手法を応用・流用して燃焼器108に多量の空気を流入させて排ガスA1の温度を400℃以下に低下させる。なお、入口案内翼による温度マッチング制御は、本実施形態との直接的な係わりは薄いため、ここでの詳細説明は割愛する。
そして、ST冷却停止中に配慮すべきことは、ガスタービン排ガスA1は約550℃から400℃に向けて約2時間程度を掛けて緩慢な低下レートでゆっくりと400℃に低下させることである。もし温度マッチング制御の降下レートを高速にして排ガスA1の温度を一気に400℃に低減すると、主蒸気A2の温度も一気に低下する。そして、蒸気タービン103は急激に冷却された主蒸気A2で駆動される結果、熱収縮による過大な熱応力が生じる。さらには、蒸気タービン103のロータ103aとケーシング103bとの間で熱収縮の度合いが異なる状況が増大して、「タービン伸び差」が大きくなり、蒸気タービン103の運転継続に大きな支障を生じる。
ここで、ST冷却停止と表裏の関係にあるコールド起動について触れておく。発電プラントのコールド起動では、冷機状態の蒸気タービン103に対し、いきなり高温の主蒸気A2で通気(起動)を行うと、熱膨張による過大な熱応力やタービン伸び差という問題が生じる。よって、このような過激な起動法は厳禁されている。すなわち、蒸気タービン103の運転にとって、熱い主蒸気A2で急速加熱することも、冷たい主蒸気A2で急速冷却することも好ましくない。但し、加熱と冷却は真逆の現象なので、熱応力(値)やタービン伸び差(値)の極性即ちプラス/マイナスは反転した値として現われる。
話をST冷却停止の温度マッチング制御に戻す。蒸気タービン103が好ましくない運転に陥らないように、温度マッチング制御は、ガスタービン排ガスA1を約550℃から400℃に向けて約2時間の緩慢な降下レートでゆっくりと低減する(2時間以上とするケースも多く見受けられる)。主蒸気A2の温度も、ほぼこの降下レートに沿うように冷却される。
ここで指摘されるのは、ST冷却期間中に蒸気タービン103は凡そST負荷30%乃至40%の比較的高負荷で運転されることである。同冷却停止中のガスタービン102は凡そ極低のGT負荷10%であるにも係わらず、圧縮機107を駆動するための燃料116も供給される。そのため、ガスタービン102は極低負荷でも、排熱回収ボイラ104は相当な流量の主蒸気A2を発生させる。この理由によりST負荷は比較的高くなるのだが、第2実施形態はこの事象に着目する実施形態であり、後ほど詳述する。
主蒸気A2が冷却されるので、これに駆動される蒸気タービン103の内部部材も冷却されていく。温度センサTS-1が計測するST第1段内面メタル部は部材温度を監視する代表点であり、この温度も次第に低下していく。蒸気タービン103は厚い部材で構成されているので、冷却蒸気(すなわち駆動蒸気)が部材の表面を冷却しても、部材内部まで冷却されるのには時間を要する。そしてST第1段内面メタル部が430℃の温度まで低下したとき、ST冷却停止は完了と判断され蒸気タービン103をトリップ(完全停止)する。
(4)従来技術の問題
上述のST冷却停止では、主蒸気A2の温度冷却に際し、緩慢で慎重な降下レートを選択しているにも係わらず、蒸気タービン103に大きなタービン伸び差が生じる。
ここで、タービン伸び差について簡単に説明する。蒸気タービン103では、ケーシング103b内を車軸であるロータ103aが貫いている。ロータ103aおよびケーシング103bが駆動蒸気により加熱されるとき、ケーシング103bの長手方向には熱膨張による‘伸び’が生じ、ケーシング103bが長くなる。同様に、ロータ103aの長さ方向にも熱膨張による‘伸び’が生じ、ロータ103aが長くなる。両者は異なる長さ・度合いで熱膨張するので、両者間には伸びの偏差が存在する。これが「タービン伸び差」であり、略して「伸び差」とも呼ばれる。
本実施形態ではこれとは逆にST冷却停止中に駆動蒸気による冷却を受ける。よって、ケーシング103bとロータ103aは異なる度合いで熱収縮して‘短くなる’ので、やはり伸び差が生じる。これら伸び差は、いわゆるタービン監視計器の一種であり、渦電流による計測原理を用いた伸び差計により計測される(図示されない)。蒸気タービンの運転においては、この伸び差は必然的に生じる。そのため、想定内の伸び差は設計上に折り込み済であって、従って通常の起動・停止では運転上での支障は生じない。しかし、過去のST冷却停止では、想定された数値より伸び差が大きくなるケースがある。この場合は、ロータ103a(回転部)とケーシング103b(静止部)とで摩擦・接触等が生じるおそれが増すので、保安上、冷却完了前に蒸気タービン103は緊急停止される。
この場合、蒸気による冷却を受けて、ロータ103aの熱収縮は速くなる(ロータ103aは速く短くなる)のに対し、ケーシング103bの熱収縮は遅くなり、時間と伴に伸び差が拡大していく。これはロータショート現象と呼ばれる。
なお、一般に蒸気タービンの容量、構成、製造方法は多種多様である。蒸気タービンのモデル機種の中には、上記の手順に順じてST冷却停止を行っても、ロータショート現象は殆ど生じず(あるいは想定内の範囲に収まり)、ST冷却に何ら問題の生じないモデル機種もある。伸び差の小さいモデル機種を「白」とし、伸び差の大きいモデル機種を「黒」とするならば、この白黒間にはさまざまな階調のグラデーションを持った灰色機種が存在する。これら多様な色調が示唆するのは、ロータショート現象の複雑さであり、その原因究明の困難さであり、その対策は試行錯誤的なアプローチとなる。
よって、試運転等のST冷却停止試行で大きな伸び差が観測された場合は、ロータショート現象を緩和するための調整・チューニングが施される。例えば排ガスA1を約550℃から400℃に向け降下させる時間を5時間に延長するなどの更に遅い降下レートにして、主蒸気A2の冷却速度を落とす。あるいはST冷却停止完了の目標値である430℃そのものを、例えば480℃の温度に妥協する等の処置が採られてきた。
しかし、前者の対策では、ST冷却停止の完了が遅くなり、非経済的なガスタービン運転(燃料116の殆どが発電に貢献せず、圧縮機107の駆動に費やされる)が長時間に渡り継続してしまう。一方、後者の対策では、分解・開放までの待ち時間が長くなってしまう。いずれにしても、従来技術で問題が生じた場合は、排ガスA1や主蒸気A2やメタル部材の温度という、温度に係る領域での対策・調整に限定されていた。試運転期間内でのこの調整作業は大きな負担であった。
(5)ST負荷と伸び差
これに対し、第2実施形態では、「ST負荷」の領域に係る対策を施した新しいST冷却停止を提供する。上述のように、ロータ103aの熱収縮が速くなり、ケーシング103bでは熱収縮が遅くなり、伸び差が大きくなるロータショート現象が、伸び差問題の原因とされる。これは、ボリュームの小さいロータ103aが速く熱収縮し、ボリュームの大きいケーシング103bが遅く熱収縮することが原因である。駆動蒸気(以下「冷却蒸気」と呼ぶ)の流量が多いと、ボリュームの小さいロータ103aがより急速に熱収縮し、ボリュームの小さいロータ103aとボリュームの大きいケーシング103bとの熱収縮との差が拡大し、よりロータショート現象が助長されると予想される。そこで本実施形態では、冷却蒸気量(ST負荷)を低減させることで、ロータ103aとケーシング103bの熱収縮の速度差を緩和することを図る。
これが効果的と考える根拠の1つは、従来技術によるST冷却停止では、ST負荷30%乃至40%の高いST負荷で冷却を実施しているからである。この背景には、ST冷却停止中は、ガスタービン102は凡そ10%程度のGT負荷が保持されており、更にガスタービン102には電力発生分に加えて圧縮機107を駆動するための燃料116が供給されているため、GT負荷10%の極低負荷でも排熱回収ボイラ104は相当な流量の主蒸気A2を発生させることがある。このようなヒートバランス下で比較的高流量の主蒸気A2で駆動される結果、蒸気タービン103は比較的高いST負荷30%乃至40%で冷却が行われる。
なお、より正確にいうと、ST冷却停止中は蒸気タービン103の定格100%負荷に対する30%乃至40%程度の高負荷が維持される。当該ST負荷数値に‘乃至’の文言が付されているのは、主蒸気A2が高温状態のST冷却停止開始時では負荷40%、主蒸気A2の冷却時には負荷は30%に低減するからである。
本実施形態の効果を示唆する二つ目の根拠は、上述したタービン起動時のコールド起動である。参考になるのが、ST負荷を発電機MWとして単独に検知できる汽力ボイラ発電プラント等の蒸気タービンの事例である。ST負荷の大小に係る議論は、汽力ボイラ発電プラントにおけるコールド起動の事例を参考にする。
冷機状態の蒸気タービンに対しては、充分な高温である主蒸気で通気(起動)を行い、タービン昇速を行う。そしてタービン回転数が系統グリッドの周波数に一致して、発電機遮断器を入り(並列)がなされた後、ST負荷は初負荷(一般的には5%負荷)に上昇する。しかしコールド起動では初負荷到達後の直後からいきなり高負荷に向けての負荷上昇は行なわない。初負荷到達後は「初負荷ヒートソーク」と称して、ST負荷5%の極低負荷運転を凡そ90分前後のオーダーで継続維持する。
この初負荷ヒートソークの負荷保持は、熱膨張が引き起こす可能性のある大きな熱応力や大きな伸び差(熱膨張時では逆のロータロング現象に起因)に配慮したものである。簡単に言えばタービン熱膨張に備えて、コールド起動ではST負荷5%での慣らし運転が配慮されているのである。翻ってST冷却停止のタービン熱収縮では、その6倍から8倍に相当するST負荷30%乃至40%でのタービン冷却が従来行われている。ST冷却停止とコールド起動では、前者は停止であり後者は起動である等、諸般の運転条件が異なる。しかし、趨勢的に数倍の高いST負荷を見直し、伸び差の緩和対策とすることは合理的な措置と言えよう。
具体的には第2実施形態は、ST負荷10%の低負荷によるST冷却停止を採用する。ST冷却停止中のGT負荷10%は既に下限にあり、これ以下に負荷降下して主蒸気A2を減らすことはできない。そのため、ST負荷10%を実現するためにはタービンバイパス弁109を開弁することが必要となる。
このST負荷10%を選定する根拠は、コールド起動でのST負荷5%を参考に、従来技術におけるST負荷40%の1/4であるST負荷10%を選定したものである。先に述べたように、ST負荷は駆動蒸気の流量に近似的に比例する(蒸気の圧力と温度条件が一定下)ので、概ね蒸気タービン103を通過するの冷却蒸気(駆動蒸気)の流量も従来1/4になる。またST負荷10%であれば、ST冷却中にMCV弁105の開度が極端に微開(例えば3%以下)になり、トリップ保護を不要とすることができる。なお、ST負荷10%は説明上の便宜にも配慮して選定する一例であり、この近傍のST負荷を選定してもよい。
(6)第2実施形態のプラント制御装置101b
図4は、第2実施形態のプラント制御装置101bの構成を示す回路図である。
図4のプラント制御装置101bは、MCV弁105の制御回路内に、ワンショットタイマー400と、サンプルホールド401と、減算器402と、PIDコントローラ403と、比較器460と、設定器461とを備えている。図4のプラント制御装置101bはさらに、タービンバイパス弁119の制御回路内に、サンプルホールド420と、ワンショットタイマー421と、切替器422と、設定器423と、除算器424と、設定器425と、変化率制限器426と、設定器427と、減算器428と、減算器440と、設定器441と、除算器442と、開平器443と、設定器444と、除算器445と、乗算器446と、関数発生器447とを備えている。図4において、MCV弁105の制御回路は第1弁制御部の例であり、タービンバイパス弁119の制御回路は第2弁制御部の例である。
図4における400番台の各ブロックは、図2における参照番号が100だけ小さい300番台のブロックと対応している。例えば、図4のPIDコントローラ403は、図2のPIDコントローラ303と対応している。以下、図4の各ブロックについて、図2の対応ブロックとの相違点を中心に説明し、図2の対応ブロックとの共通点については説明を適宜省略する。
また、図4における信号K1~K7、L1~L8、D3~D4はそれぞれ、図2における信号C1~C7、E1~E8、D1~D2と対応している。また、図4における信号SV、PV、Δ3はそれぞれ、図2における信号SV、PV、Δ2と対応している。以下、図4の各信号について、図2の対応信号との相違点を中心に説明し、図2の対応信号との共通点については説明を適宜省略する。
第2実施形態のST冷却停止法は、高負荷からST負荷10%にST負荷降下を行う必要がある。これは言い換えるなら、MCV105弁を全開から10%負荷相当の中間開度まで閉弁する操作が必要となる。
しかし、上述のように、MCV105を「直接的」に閉弁制御を行うST負荷降下はうまくいかない。そこで第2実施形態は第1実施形態に倣って、これに準じた手段でこれらを克服して新しいST冷却停止の方法を実現する。簡単に言えば第1実施形態と同様のST負荷降下を行い、ST負荷10%になったときに、ST負荷降下を中断する。このため図4の制御回路は図2の制御回路と類似したものとなる。具体的には、これらの回路の相違は、以下の第1の相違、第2の相違、第3の相違、第4の相違、および第5の相違の5つである。従って、図4の制御回路の構成および作用の詳細な説明は割愛し、これらの5つの相違を中心に以下説明する。但し、図4と図2との間では、上述のように信号の符号やブロックの番号が異なっている。図2の制御回路と図4の制御回路との間には、以下のような相違がある。
(6a)タービンバイパス弁119の流量制御
(第1の相違)
[図2の制御回路]
図2の設定器323には、0(零)が設定されている。これにより、最終的に駆動蒸気流量C6は0になる。
[図4の制御回路]
図4の設定器423は、図2の設定器323のカウンターパートである。図4の設定器423には、正の値であるW(t/分)が設定されている。これにより、最終的に駆動蒸気流量K6はW(t/分)になる。
W(t/分)は、ST負荷10%を出力する駆動蒸気流量K6であり、以下のように算出される。すなわち、主蒸気A2の圧力および温度を概ね7MPaおよび550℃と想定し、蒸気タービン103が7MPaおよび550℃の駆動蒸気でST負荷10%を出力する場合に必要となる駆動蒸気流量をヒートバランス(熱平衡)等に基づき算出する。これにより、W(t/分)が算出される。
言い換えれば、W(t/分)は、ST負荷10%を駆動蒸気流量K6に換算した値である。よって、駆動蒸気流量K6をW(t/分)に設定することで、ST負荷10%を実現することができる。幸いなことにST負荷10%の精度上の厳密さは求められず、550℃の温度は最終的には400℃近傍に冷却される。そのときのST負荷は多少低下して例えばST負荷7%に低減するが、なんら深刻な問題は生じない。
本実施形態のタービンバイパス弁119の制御回路は、第1実施形態のそれと同様に、開度指令値L8によりタービンバイパス弁119を制御することで、蒸気タービン103の負荷(ST負荷)を「所望するST負荷」へと変化させる。第1実施形態の「所望するST負荷」は、設定器323の値「0」に対応する0%なのに対し、本実施形態の「所望するST負荷」は、設定器423の値「W(t/分)」に対応する10%である。本実施形態の「所望するST負荷」は、正の値となっている。この「所望するST負荷」は、所定の負荷の例であり、そのさらなる詳細については後述する
(第2の相違)
[図2の制御回路]
図2のワンショットタイマー321は「停止時GTホールド負荷」D1信号と接続されている。
[図4の制御回路]
図4のワンショットタイマー421は「冷却停止時GT極低温度開始」D3信号と接続されている。
(6b)MCV弁105の圧力制御
(第3の相違)
[図2の制御回路]
図2のワンショットタイマー300は「停止時GTホールド負荷」D1信号と接続されている。
[図4の制御回路]
図4のワンショットタイマー400は「冷却停止時GT極低温度開始」D3信号と接続されている。
(第4の相違)
[図2の制御回路]
比較器360は、PIDコントローラ303から開度指令値E2を取得する。比較器360は、設定器361に設定された3%を設定値として取りこみ、開度指令値E2が3%より小さいとき、比較器360はSTトリップ指令D2をONにする。
[図4の制御回路]
PIDコントローラ403から開度指令値L2を取得する比較器は存在せず、それに係るSTトリップ指令D2をONにする回路も存在しない。
(第5の相違)
[図2の制御回路]
第1実施形態にはST第1段内面メタル部の温度センサTS-1は存在せず、これらに係るSTトリップ指令をONにする回路も存在しない。
[図4の制御回路]
比較器460は、ST第1段内面メタル部の温度センサTS-1が計測するST第1段内面メタル温度T1を取得する。比較器460は、設定器461に設定された430℃を設定値として取りこむ。ST第1段内面メタル温度T1が430℃より低下したとき、比較器460は、STトリップ指令D4をONにする。STトリップ指令D4は、図示されないSTトリップ電磁弁(トリップ機構)に接続されている。STトリップ指令D4がONになると、MCV弁105が全閉され、蒸気タービン103が停止する。
(7)第2実施形態によるST冷却停止の作用
発電プラント100bにおいて、プラント制御装置は101bに内蔵される図4のタービンバイパス弁119の流量制御とMCV弁105の圧力制御を使用したST冷却停止の操作を説明する。
第2実施形態の発電プラント100bは、従来技術の説明に引用した発電プラント100cと同じ構成の一軸型コンバインドサイクルであり、これと同様に発電プラント100bの蒸気タービン103は600℃の高温の主蒸気A2により駆動される。そしてこれにST冷却停止を施し、ST第1段内面メタル温度を430℃まで冷却することを数値的目標とする。
発電プラント100bのST冷却停止を開始するときは、通常のST停止法(第1実施形態)と同じで、先ずはガスタービン102のGT負荷降下から開始される。そしてガスタービン102の燃料調節弁106を徐々に閉弁し燃料116を低減させガスタービン102の負荷を「停止時GTホールド負荷」まで降下させる。停止時GTホールド負荷は、ガスタービン102の(定格100%負荷に対する)凡そ15%負荷相当の低負荷であるが、ガスタービン排ガスA1は依然として高温(約550℃)を有する。
そこで、ガスタービン制御では、前述した「冷却停止時GT極低温度」の制御が開始される。すなわちガスタービン102はGT負荷15%からGT負荷10%に向けGT負荷降下されて、同負荷を維持した状態で圧縮機107の入口案内翼を開操作する温度マッチング制御が開始される。この手法により燃焼器108に多量の空気を流入させて、ガスタービン排ガスA1を約550℃近傍から2時間を掛けて、ほぼ一定の低下レートでゆっくりと400℃に低下させる。このガスタービン排ガスA1の温度低下に伴い、主蒸気A2の温度もほぼ同じ低下レートにより2時間を掛けて400℃近傍に向けてゆっくりと冷却される。
以上のガスタービン102の制御や、それにより冷却される主蒸気A2の温度低下は、従来技術によるST冷却停止の場合と同じ操作、同じ現象、同じ挙動である。
図4のタービンバイパス弁119の流量制御では、「冷却停止時GT極低温度」の制御が開始されたことを検知すると、「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONして、ワンショットタイマ421のワンショット信号K2がONする。サンプルホールド420にはその瞬間に計測された主蒸気流量F1が主蒸気流量メモリ値K3として記憶され、切替器422の出力であるタービン目標流量K4も主蒸気流量メモリ値K3となる。そのとき変化率制限器426の出力である駆動蒸気流量K6はほぼ瞬時に主蒸気流量メモリ値K3に到達する(なぜならACCELは99999t/分の極大レートのため)。
ワンショット信号K2は、ONした1秒後にOFFするので、切替器422が出力するタービン目標流量K4は1秒後に設定器423に設定されているW(t/分)になる。
そのとき、駆動蒸気流量K6は、変化率制限器426の作用により、主蒸気流量メモリ値K3の値からW(t/分)に向かって低減レートのDECELで低減する。この場合のDECELは、除算器424が主蒸気流量メモリ値K3を10で除算して演算した流量低減レートK5なので、駆動蒸気流量K6は、主蒸気流量メモリ値K3から10分を掛けてW(t/分)に向けて一定レートで低減する。そして減算器428は、主蒸気流量F1から変化率制限器426からの駆動蒸気流量K6を減算してバイパス蒸気目標流量K7を出力する。
最初、「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONに転じた瞬間は、主蒸気流量F1の計測値は主蒸気流量メモリ値K3であり、駆動蒸気流量K6も主蒸気流量メモリ値K3である。そのため、減算器428は等量のメモリ値K3同志を減算するので、バイパス蒸気目標流量K7は0(零)であり、タービンバイパス弁119の開度L8も0(全閉)である。従ってそれ以前と同様に主蒸気流量F1の全量はMCV弁105を通過している。
しかしその後の駆動蒸気流量K6は、10分の間、流量低減レートK5の一定レートで低減する。逆に減算器428からは流量低減レートK5のレート(極性は逆のプラス)で増加するバイパス蒸気目標流量K7が増加するに従い、タービンバイパス弁119の開度L8は、上記式(8)に従って次第に開弁していく。なお、式(8)に係る制御回路と機能は、図2(第1実施形態)と同様であり、図4の説明からは省略する。
蒸気タービン103に流入する蒸気量とは、計測された主蒸気流量F1からバイパス蒸気(FA4)を減算した残余である。そのため、MCV流入蒸気A3の流量(FA3)は、主蒸気流量メモリ値K3から10分をかけてW(t/分)に低減していき、10分経過以後もW(t/分)に維持される。ここにW(t/分)とはST負荷10%を出力する駆動蒸気流量であるから、「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONして10分経過した時点で蒸気タービン103はST負荷10%に到達する。
ここで注意すべきは、当該10分を経過した後では、タービンバイパス弁119の開度L8は徐々にその開度を低下させていく制御が働き、この作用がMCV流入蒸気A3をW(t/分)に保持するということである。なぜならその後「冷却停止時GT極低温度」の制御中では2時間を掛けて排ガスA1の温度が低下する間に、主蒸気A2の流量も多少低減していく。すなわち、主蒸気流量F1は低下していくから、主蒸気流量F1からW(t/分)を減算して生成されるバイパス蒸気目標流量K7も徐々に低減し、タービンバイパス弁119の開度L8は徐々にその開度を低下されていく。
一方、発電プラント100bのMCV弁105の圧力制御は以下のように作用する。
「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONに転じる前、MCV弁105は全開で、タービンバイパス弁119は全閉しており、そのとき蒸気タービン103は約ST負荷40%を有する。「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONに転じた後、前記のプロセスを経てタービンバイパス弁119の開弁が開始されて、バイパス蒸気目標流量K7が復水器113に流出すると、その分だけ主蒸気圧力P1を減圧させ、ドラム110の内部圧力が減圧してドラム110の水位が不安定になる。
そこで、サンプルホールド401は、「冷却停止時GT極低温度開始」D3がONに転じた瞬間の、すなわちタービンバイパス弁119の開弁が起こる直前の、主蒸気圧力P1を記憶してSV値を生成する。このように圧力制御の設定値がSV値として与えられた状態でタービンバイパス弁119の開弁が開始されると、復水器113にバイパス蒸気目標流量K7が逃げて主蒸気圧力P1が減圧する。その結果、すぐさま主蒸気圧力P1<SV値の大小関係が成立して、PIDコントローラ403は主蒸気圧力P1をSV値に保つようにMCV弁を開度L2に閉弁操作して、圧力の減圧を回避する。
タービンバイパス弁119の開度L8が大きくなるにしたがって、復水器113に逃げるタービンバイパス蒸気A4の流量(FA4)も大きくなり、圧力保持のためにMCV弁105の開度L2は徐々に絞られる。開度L2が絞られるにつれてST負荷は低下していき「冷却停止時GT極低温度」D3がONして10分経過した時点でST負荷10%に到達する。上述のように、ST負荷10%のときMCV流入蒸気A3の流量(FA3)はW(t/分)である。
このST負荷40%からST負荷10%に低下する間の10分では、短時間のために主蒸気A2の温度は殆ど低下せず、凡そ550℃の高温が保持されながらST負荷10%に到達する。その後、110分(2時間から10分を差し引いた時間)の間に、主蒸気A2の温度は400℃近傍に向けてゆっくりと冷却される。
本冷却の過程で駆動蒸気流量はW(t/分)が維持される。しかし、蒸気温度低下のためST負荷は徐々に低下し、主蒸気A2の温度が400℃近傍まで冷却された時点では、ST負荷は約7%程度にまで低下する。換言すれば、本実施形態ではST負荷7%乃至10%によるST冷却停止を実現し、従来技術のST負荷30%乃至40%より圧倒的な低負荷でのST冷却停止方法が実現する。
この低負荷では、冷却蒸気(MCV流入蒸気A3)の流量が従来技術の凡そ1/4まで低減する。そのため、この少量の冷却蒸気量によりロータ103aの熱収縮の速度を緩くすることが期待できる。従ってロータ103aとケーシング103b間の熱収縮の大きな差を解消してロータショート現象を緩和し、伸び差の問題を生じさせることなく蒸気タービン103を冷却することができる。
先に述べたとおり、本実施形態のガスタービン排ガスA1の温度低下や主蒸気A2の温度低下の制御は、従来技術と同様に行われる。主蒸気A2(冷却蒸気)の温度が低下するのに従い、すこし時間遅れを伴いながらST第1段内面メタル温度もそれに追従して低下していく。しかし、冷却蒸気の流量は凡そ1/4になったので、ST第1段内面メタル温度T1が430℃に低下するまで従来技術により多少遅くなる。しかし、これは伸び差対策の対価・代償であり、以て瞑すべし瑕瑾と言えよう。
比較器460はST第1段内面メタル温度T1が430℃より低下したことを判断し、STトリップ指令D4をONにする。これはトリップ機構であるSTトリップ電磁弁(図示されない)に伝えられ、MCV弁105は即時に全閉される。その結果、蒸気タービン103はSTトリップ(完全停止)となり、ST冷却停止は完了する。
なお、第1実施形態では蒸気タービン105へのショックに配慮し、MCV弁の開度が3%以下になってからSTトリップを実施している。一方、本実施形態では約ST負荷7%の充分な極低負荷状態にあるので、MCV弁105の開度3%以下を確認することなくSTトリップを行うことで問題は生じない。その後の発電プラント100bのプラント停止は第1実施形態と同様なので、説明は割愛する。
もしもST負荷10%によるST冷却停止試行においても依然として大きな伸び差が観測された場合は、冷却蒸気量を更に絞り、例えばST負荷6%にしてST冷却停止を行うことも可能である。その場合は図4の設定器423には、ST負荷10%を出力する駆動蒸気流量(=W(t/分))に替わり、ST負荷6%を出力する駆動蒸気流量を設定すればよい。
すなわち、本実施形態では、タービンバイパス弁119が全閉状態(従来技術)におけるST負荷30%乃至40%より小さい任意のST負荷でST冷却停止を行うことができる。但しあまりにST負荷が小さいとMCV弁105が微開(概ね開度3%またはそれ以下)となり長時間これが継続すると弁体を損傷するので、この点に配慮する必要がある。
いずれにしても前記「さまざまな階調のグラデーション」に象徴されるロータショート現象の複雑さ・多様性に対しては、従来より実施されてきた排ガスA1や主蒸気A2の温度の領域での調整に加えて、本実施形態による冷却蒸気量(ST負荷)による対策をうまく組み合わせて実施することが現実的であろう。
(8)第1および第2実施形態の考察
以下、第1および第2実施形態の詳細を整理する。
商用運転中すなわち通常運転中における発電プラントは、系統グリッドへの電力需給関係に基づき、発電プラントの負荷(発電機MW)が厳密に負荷制御されている。一軸型コンバインド発電プラント100a/100bにおいては、燃料調節弁106を調整することで、コンバインド負荷が制御される(高効率を確保するためMCV弁105は100%全開しており調整の余地はない)。コンバインド負荷におけるGT負荷とST負荷の分担比率は特別に意識されることはなく、制御される対象でもない。従って蒸気タービン単独のST負荷を制御しようとするニーズ・需要は、一軸型コンバインドにおいては従来無かった。更に技術的には、蒸気タービン単独の発電機MWが不明(一軸型コンバインドでは計測不能)という高い障壁があり、これを実現する技術はこれまで存在しなかった。
しかし多様なプラント運転方法に改善の目を向けたとき、例えば第2実施形態では伸び差問題の対策として、ST冷却停止を行う際のST負荷に注文を付けたいというニーズが浮かび上がる。
これらを背景として、第1および第2実施形態は、ST単独の発電機MWが判らないという状況下で、いかにして「所望するST負荷」を獲得するかとの課題に応えている。この場合の「所望するST負荷」は、第2実施形態では、ST冷却が行われるST負荷10%である。第1実施形態では、蒸気タービン103を完全停止するのだから、「所望するST負荷」とはST負荷0(零)である。
そして両実施形態ともに、いきなりST負荷を「所望するST負荷」に急降下させて運転状態を突変させると、蒸気タービン含む発電プラント全体に衝撃を与え、無理な運転を強いることになる。そこで、両実施形態では、現状のST負荷から一定レートで徐々にこれを低減しながら、最終的にST負荷10%や0(零)に降下する。従って、これら連続的に変化する途中の各ST負荷は全て「所望するST負荷」に該当する。しかし典型的で判り易い「所望するST負荷」を選ぶならば、第2実施形態のST負荷10%がその代表であり、以下の文脈において「所望するST負荷」とはST負荷10%のことを指す。
さて「所望するST負荷」の獲得、すなわちST負荷の調整は、従来であれば(例えば汽力ボイラ発電プラントにおける蒸気タービンでは)、MCV弁105が蒸気タービン内を通過する駆動蒸気の流量を調整してST負荷制御の主役を担う。その前提には発電機MWが計測され、これをPV値にするフィードバック制御のST負荷制御が適用できるということがある。
しかしST単独の発電機MWが判らないという一軸型コンバインドにおいて、第1および第2実施形態は、ST負荷(発電機MW)と蒸気タービン内を通過する駆動蒸気流量が概ね比例するという熱力学の性質を利用し、「所望するST負荷」を駆動蒸気流量に換算する。そして従来のST負荷制御の主役であったMCV弁105に替わり、本実施形態はタービンバイパス弁119が蒸気流量を調整して「所望するST負荷」に対して余分となる蒸気量を復水器に逃がす方式を採用する。この方式を採用する理由は、MCV弁105を直接的に閉弁制御していては、それと協調のとれたタービンバイパス弁119の開弁が難しいからである。
この難しさについては、比較例のSTアンローディングに係る問題で具体的に説明されている。その内容を端的に言えば、それはタービンバイパス弁を“過不足なく”あるいは“適切なレートで”開弁することの難しさである。例えば、タービンバイパス弁119が全閉状態にある状態から、圧力制御により同弁を適切に開弁させることは、一般的に考えられているよりもはるかに困難である。
よって、これらの実施形態のもうひとつの課題を挙げるならば、それはタービンバイパス弁119の好適な開弁方法の提供である。これらの実施形態では、従来の圧力制御と流量制御の担当を入替えて、一般に圧力制御が適用されるタービンバイパス弁119が流量制御(ST負荷制御)を担い、それに伴う圧力変動はMCV弁105の圧力制御が吸収している。MCV弁105は、この圧力制御を介して間接的に閉弁操作が行われ、従来の主従関係が逆転しているのである。
ここで「所望するST負荷」を駆動蒸気流量に換算したことがもたらす別の利得を指摘する。それは、本換算によりこの方式が可能になるということ、つまり本来、電気(電力)の物理量であるST負荷を駆動蒸気流量に換算したおかげで、蒸気量を取扱うタービンバイパス弁119がST負荷の制御に介入できるのである。
以上を総括すれば、ST単独の発電機MWが判らない一軸型コンバインドにおいて「所望するST負荷」を獲得するには、タービンバイパス弁119が「所望するST負荷」に対して余分となる蒸気量を復水器113に逃がすのが洗練され且つ実用的な手法となる。なお、このときにポイントとなるのが、余分となる蒸気量を復水器113に一定レートで徐々に逃がすことである。
さて以下、別の観点より第1および第2実施形態に備わる実用性につき解説する。
これらの実施形態は、「所望するST負荷(発電機MW)」と駆動蒸気流量とが概ね比例関係にあることに立脚すると既に述べた。この比例関係はあくまで近似であって、精度的は「所望するST負荷」と実際に実現するST負荷の間には誤差を生じる。
これを改善するためには、駆動蒸気の流量のみならず、駆動蒸気の温度および圧力も使用すれば、より高い精度を得ることができる。例えば、第2実施形態の設定器423に設定する固定値のW(t/分)に替わり、計測された主蒸気A2の温度および圧力に基づいて、駆動蒸気流量を設定してもよい。具体的には、このような温度および圧力を有する駆動蒸気でST負荷10%を出力するときに必要となる駆動蒸気流量(変数)をヒートバランスに基づいて算出して、駆動蒸気流量をこの算出値に設定すれば、より良い精度が確保される。
しかし、この補正でも精度的に誤差を有することは否めず、正確にST負荷10%を実現することは叶わない。高い精度を得るために注入したコスト(費やした労力や複雑な計算の導入)が、どれだけの精度向上(効果)をもたらすのかについては、実際のST単独の発電機MWが判らない以上は確認のしようがなく、注入したコストの妥当性は評価できない。
このような事由もあり、これらの実施形態における「所望するST負荷」は、駆動蒸気流量で近似された負荷となっている。このような近似は、これらの実施形態にロバスト性(頑強性)と高い実用性をもたらす。例えばST冷却停止時のST負荷10%は、従来技術におけるST負荷40%の1/4であることが選定の根拠であり、伸び差問題を解消するために理論的に導き出されたST負荷の値ではない。これは、伸び差の発生メカニズムが複雑であるという技術的限界にも起因している。これらの実施形態では、凡そ1/4に低減された冷却蒸気が効果を発揮して、伸び差問題が解消すればよいという実用性が重視されている。
換言すれば、ST負荷10%はあくまで目安であり、高い精度でST負荷10%を追求する必要はない。見方を変えれば、「所望するST負荷」の実現に高い精度を要求されないプラント停止方法に適用対象を見出したことに、これらの実施形態の着眼があるとも言える。この点、通常運転中の発電プラントは、定められた電力量(ST負荷)を生み出し送電する社会インフラとしての使命を有し、そこには近似とか誤差が許容される余地は少ない。ここの扱いが、プラント停止と大きく相違するのである。
(9)再熱蒸気タービンとカスケードバイパスの場合
第1および第2実施形態は、非再熱型の蒸気タービン103の事例である。しかし一軸型コンバインドサイクル発電プラントは、排熱回収ボイラ内に再熱器を備え、且つ、蒸気タービンとして高圧タービン、中圧タービン、および低圧タービンを備えている場合がある。すなわち、当該蒸気タービンは、3圧方式により構成される再熱式蒸気タービンである場合がある。これらの実施形態は、再熱型蒸気タービンにも適用可能であり、この点に関して以下で補足する。
再熱式における高圧タービンをバイパスする高圧タービンバイパス系統は、主に2つのタイプが知られている。
第1のタイプは、高圧タービンバイパス弁の通過蒸気を直接に復水器に導くタイプである。このタイプでは、高圧タービンと高圧タービンバイパス弁との関係が、第1および第2実施形態の蒸気タービン103とタービンバイパス弁119との関係と同じである。そのため、両実施形態の制御回路をそのまま第1のタイプに適用することができる。
第2のタイプは、カスケードバイパス系統と呼ばれるタイプである。このタイプでは、高圧タービンバイパス弁を通過した蒸気は、再熱器の入口部(高圧タービンの排気部)に導かれ、再熱器を通過した後、再熱器の出口部から分岐される中圧タービンバイパス弁により復水器に導かれる。この中圧タービンバイパス弁は、再熱器内圧力を一定にする圧力制御により開弁操作される。従って、両実施形態のタービンバイパス弁119の制御を高圧タービンバイパス弁に適用すれば、高圧タービンバイパス弁の通過蒸気は再熱器の器内圧力を上昇させて、この圧力上昇を相殺するように中圧タービンバイパス弁は開弁操作される。この結果、余剰の蒸気量が復水器に導かれる。以上の作用により、第1および第2実施形態はカスケードバイパス系統にも適用できる。
以上のように、第1および第2実施形態によれば、一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気タービン103を適切に停止することが可能となる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法、およびプラントは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法、およびプラントの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
100、100a、100b:コンバインドサイクル発電プラント、
101、101a、100b:プラント制御装置、
102:ガスタービン、103:蒸気タービン、103a:ロータ、
103b:ケーシング、104:排熱回収ボイラ、105:MCV弁(加減弁)、
106:燃料調節弁、107:圧縮機、108:燃焼器、109:蒸発器、
110:ドラム、111:過熱器、112:蒸気配管、113:復水器、
114:循環水ポンプ、115:海水、116:燃料、
117:主配管、118:バイパス配管、119:タービンバイパス弁、
120:発電機、121:発電機遮断器、122:系統グリッド、
200:切替器、201:設定器、202:設定器、203:変化率制限器、
204:設定器、205:比較器、206:設定器、
210:サンプルホールド、211:減算器、
212:PIDコントローラ、213:ワンショットタイマー、
300:ワンショットタイマー、301:サンプルホールド、
302:減算器、303:PIDコントローラ、
320:サンプルホールド、321:ワンショットタイマー、322:切替器、
323:設定器、324:除算器、325:設定器、
326:変化率制限器、327:設定器、328:減算器、
340:減算器、341:設定器、342:除算器、
343:開平器、344:設定器、345:除算器、
346:乗算器、347:関数発生器、
360:比較器、361:設定器、
400:ワンショットタイマー、401:サンプルホールド、
402:減算器、403:PIDコントローラ、
420:サンプルホールド、421:ワンショットタイマー、422:切替器、
423:設定器、424:除算器、425:設定器、
426:変化率制限器、427:設定器、428:減算器、
440:減算器、441:設定器、442:除算器、
443:開平器、444:設定器、445:除算器、
446:乗算器、447:関数発生器、
460:比較器、461:設定器、
MW-Tr:MWトランスデューサ、FS-1:流量センサ、
PS-1:圧力センサ、PS-2:圧力センサ、TS-1:温度センサ

Claims (15)

  1. ガスタービンと、
    前記ガスタービンからの排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記ガスタービンおよび前記蒸気タービンにより駆動される発電機と、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気を搬送する第1流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンに前記蒸気を搬送する第2流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンをバイパスして前記蒸気を搬送する第3流路と、
    前記第1流路内の前記蒸気に関する値を計測する少なくとも1つの計測器と、
    前記第2流路に設けられた第1弁と、
    前記第3流路に設けられた第2弁と、
    を備える発電プラントを制御するプラント制御装置であって、
    前記計測器により計測された前記値に基づいて前記第2弁を制御することで、前記蒸気タービンの負荷を所定の負荷へと変化させる第2弁制御部と、
    前記第2弁が前記第2弁制御部により制御される場合に前記第1弁を制御することで、前記蒸気タービンを停止する第1弁制御部と、
    を備えるプラント制御装置。
  2. 前記発電プラントは、前記発電機の電力を計測する電力計測器をさらに備え、
    前記第2弁制御部は、前記電力計測器により計測された前記電力に基づかずに前記第2弁を制御することで、前記蒸気タービンの負荷を前記所定の負荷へと変化させる、請求項1に記載のプラント制御装置。
  3. 前記計測器は、前記第1流路内の前記蒸気の流量を計測する流量計測器と、前記第1流路内の前記蒸気の圧力を計測する圧力計測器とを含み、
    前記第2弁制御部は、前記流量計測器により計測された前記流量および前記圧力計測器により計測された前記圧力に基づいて前記第2弁を制御することで、前記蒸気タービンの負荷を前記所定の負荷へと変化させる、請求項1または2に記載のプラント制御装置。
  4. 前記第1弁制御部は、前記圧力計測器により計測された前記圧力に基づいて前記第1弁を閉弁することで、前記蒸気タービンを停止する、請求項3に記載のプラント制御装置。
  5. 前記所定の負荷は、ゼロである、請求項4に記載のプラント制御装置。
  6. 前記発電プラントは、前記蒸気タービンのロータの温度を計測する温度計測器をさらに備え、
    前記第1弁制御部は、前記温度計測器により計測された前記温度に基づいて前記第1弁を閉弁することで、前記蒸気タービンを停止する、請求項3に記載のプラント制御装置。
  7. 前記第1流路内の前記蒸気の温度を低下させて前記蒸気タービンを冷却した後に、前記蒸気タービンを停止する、請求項6に記載のプラント制御装置。
  8. 前記所定の負荷は、正の値である、請求項6または7に記載のプラント制御装置。
  9. 前記所定の負荷は、前記第2弁が閉弁状態にある場合の前記蒸気タービンの負荷よりも小さい、請求項6から8のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  10. 前記第1弁制御部は、前記蒸気タービンを停止する前の前記第1弁の開度を、前記圧力計測器により計測される前記圧力が設定値に保持されるように制御し、
    前記設定値は、前記第2弁が閉弁状態から開弁状態に移行する瞬間に前記圧力計測器により計測された前記圧力である、請求項3に記載のプラント制御装置。
  11. 前記第2弁制御部は、前記蒸気タービンが前記所定の負荷を出力するために必要となる駆動蒸気流量を算出し、前記流量計測器により計測された前記流量から前記駆動蒸気流量を減算してバイパス蒸気流量を算出し、前記バイパス蒸気流量に基づいて前記第2弁を制御する、請求項3または10に記載のプラント制御装置。
  12. 前記駆動蒸気流量は、初期値から最終値に一定のレートで減少し、
    前記初期値は、前記第2弁が閉弁状態から開弁状態に移行する瞬間に前記流量計測器により計測された前記流量であり、
    前記最終値は、ゼロである、
    請求項11に記載のプラント制御装置。
  13. 前記駆動蒸気流量は、初期値から最終値に一定のレートで減少し、
    前記初期値は、前記第2弁が閉弁状態から開弁状態に移行する瞬間に前記流量計測器により計測された前記流量であり、
    前記最終値は、正の値である、
    請求項11に記載のプラント制御装置。
  14. ガスタービンと、
    前記ガスタービンからの排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記ガスタービンおよび前記蒸気タービンにより駆動される発電機と、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気を搬送する第1流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンに前記蒸気を搬送する第2流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンをバイパスして前記蒸気を搬送する第3流路と、
    前記第1流路内の前記蒸気に関する値を計測する少なくとも1つの計測器と、
    前記第2流路に設けられた第1弁と、
    前記第3流路に設けられた第2弁と、
    を備える発電プラントを制御するプラント制御方法であって、
    前記計測器により計測された前記値に基づいて前記第2弁を第2弁制御部により制御することで、前記蒸気タービンの負荷を所定の負荷へと変化させ、
    前記第2弁が前記第2弁制御部により制御される場合に前記第1弁を第1弁制御部により制御することで、前記蒸気タービンを停止する、
    ことを含むプラント制御方法。
  15. ガスタービンと、
    前記ガスタービンからの排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記ガスタービンおよび前記蒸気タービンにより駆動される発電機と、
    前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気を搬送する第1流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンに前記蒸気を搬送する第2流路と、
    前記第1流路から前記蒸気タービンをバイパスして前記蒸気を搬送する第3流路と、
    前記第1流路内の前記蒸気に関する値を計測する少なくとも1つの計測器と、
    前記第2流路に設けられた第1弁と、
    前記第3流路に設けられた第2弁と、
    前記計測器により計測された前記値に基づいて前記第2弁を制御することで、前記蒸気タービンの負荷を所定の負荷へと変化させる第2弁制御部と、
    前記第2弁が前記第2弁制御部により制御される場合に前記第1弁を制御することで、前記蒸気タービンを停止する第1弁制御部と、
    を備える発電プラント。
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