JP2022161034A - カカオ組成物を含有する飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリフェノール含有量が多く、風味が良好な飲料を提供する。【解決手段】以下の(a)~(d)のいずれかのカカオ組成物を含有する、飲料:(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物、(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物、(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物、(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、カカオ組成物を含有する飲料に関する。
カカオポリフェノールは、健康への様々な働きが期待される成分の一つであり、飲料への配合が検討されている。
例えば、特許文献1は、水と混合して1%~約10%の溶液を形成させるために、ココア抽出物、ココア濃縮物、ココア粉末、又はカカオ豆組成物の1つ又は複数の形態のある量のココア製品を選択する段階、水又は混合物のpHをpH4以下に調節する段階、水及びココア製品を50°F超の温度において混合する段階、及び混合物を精製又は濾過する段階とを含み、それによって精製又は濾過された混合物は室温において少なくとも1カ月間安定に貯蔵されることが可能である、ココア組成物を製造する方法を記載する。この文献では、好ましい態様において、ココア組成物中に一般に存在する収斂性の味又は苦味を低減するために、フルーツ、ハーブ、又は野菜のジュース若しくは抽出物などのジュース又は抽出物と、組み合わせることが記載されている。また特許文献2は、少なくとも約5重量%の水分含量、および約4.8~約6.8のpHを有する、加熱処理された、レディ・トゥ・イートまたはレディ・トゥ・ドリンク製品であって、前記製品が、該製品1g当たり、少なくとも約0.2μgのポリフェノールを含み、前記ポリフェノールが、可食性のフラバン-3-オールおよび/または可食性のプロアントシアニジンである、ことを特徴とする製品を記載し、好ましい態様として、前記飲料1g当たり、約0.6~約2.0mgのカカオ・ポリフェノールを含む、スキムミルク系カカオ飲料が記載されている。またこの文献には、pH調整が風味を改善し、および/または、典型的にはポリフェノールに関連する苦味および渋みの軽減する旨が記載されている。
また特許文献3は、食用酸と、カテキン、エピカテキンおよびプロシアニジンオリゴマー2~10を含むカカオ抽出物と、スクラロースと、水とを含む美味しい飲料を記載する。この文献は、食用酸には、カカオ抽出物を含む組成物の美味しさを改善する等の利益があること、及び実施例4においてカカオ抽出物の渋味と苦味を減少させる、美味しい味覚には、少なくとも18%w/wの酸が必要であることを記載する。さらに特許文献4は、プロアントシアニジン1~250mg/L(プロシアニジンB1換算)とカフェインを含有する容器詰飲料を記載する。この文献は、1~250mg/Lのプロアントシアニジンをカフェインとともに飲料に配合することによって、飲みやすく、持続的な摂取に好適な容器詰飲料が得られる旨を記載する。
一方、チョコレートの原材料であるカカオ豆にはポリフェノールが豊富に含まれており、従来のカカオ豆の加工品としては、カカオマスやココアパウダーが良く知られているが、それ以外にもいくつか検討されてきている。例えば、特許文献5は、チョコレートやココアパウダーの原料として利用されるカカオニブスに関し、クリスピーを改善し、ニブスの悪臭を除去し、チョコレート製造におけるコンチング時間を短縮できるものとして、カカオニブスを蒸煮処理し、次いでこれに適量の酵素を添加し、水とともに30~60℃で反応せしめた後、乾燥しローストすることを特徴とするカカオニブスの処理方法を提案する。このようにして得られたニブスは、チョコレートのほか、それ以外のキャンデー、キヤラメル、ケーキ、ビスケット等の菓子に用いることができ、広範囲の製菓原料とすることができる旨が述べられている。また特許文献6は、カカオ豆、コーヒー豆等の嗜好飲料用豆類を直接摂食できる新しい食品に加工する方法として、嗜好飲料用豆類を水又は塩類希薄水溶液に浸漬後取り出し、次いで調味液に浸漬して、該調味液が嗜好飲料用豆類に吸収される時間浸漬した後、取り出し、次いで乾燥することを特徴とする味付け嗜好飲料用豆類の製造法を提案する。この方法では調味液に浸漬することにより味付けする前に、水又は塩類希薄水溶液に浸漬する前処理をすることで、嗜好飲料用豆類が共通して持っている苦みが抑えられ、甘くてソフトな食感を有する味付け豆が得られ、このような味付け豆を直接摂食できる旨が説明されている。さらに特許文献7は、ポリフェノールオキシダーゼ活性が低下し、ポリフェノール含有量が高いカカオ豆を得る方法として、非発酵、非焙煎の生カカオ豆を水蒸気による蒸煮と乾燥を組み合わせた工程で処理することを提案する。ここでは、蒸煮後のカカオ豆に関し、総ポリフェノール含有量はカカオ豆100gあたり0~30gの範囲であり、また低分子量ポリフェノール含有量はカカオ豆100gあたり0~20gであることが説明されている。また得られたカカオ豆から、ポリフェノール含有量が高い、カカオリカー、ココアパウダー、又は抽出物が製造でき、そのようなカカオ豆に由来する製品を、菓子製品、チョコレート、カカオ含有製品に使用できることが説明されている。
また、アズキ、インゲンマメ、ラッカセイ、及び大豆を煮熟し、磨砕し、加重を与えて脱水して得た生餡、及び糖液に生餡を加えて練り上げて調製した練り餡について、澱粉の存在と餡粒子の形状、テクスチャー特性等が報告されている(非特許文献1)。この報告は、アズキ以外は通常は餡の原料としないインゲンマメ、ラッカセイ、及び大豆を原料として餡を製造しているが、カカオ豆の使用に関しては述べられていない。一般には、餡に適しているのは澱粉含有量が多いものとされており、カカオ豆は、アズキ、インゲンマメ、ラッカセイ、及び大豆のいずれよりも、澱粉含有量は低く、そして油分が高い。そのため、カカオ豆は、ローストした後の乾燥状態で磨砕して特徴的な香気と物性を有するよう加工することが一般的である。
日本家政学会誌,Vol.50,No.4,pp323-332,1999
カカオポリフェノールを多く含む飲料を調製する場合、高ポリフェノール素材であるカカオエキスやココアパウダー等の従来のカカオ素材を配合して調製するのが一般的である。しかしながら、飲料に対し、通常程度の量で摂取した場合に生理機能を得るのに十分な量のポリフェノールが摂取できるよう、カカオ素材を多く配合した場合、苦味や渋味が増して嗜好性が損なわれるという問題がある。
そのため、カカオポリフェノールが強化された風味が良好な飲料が求められている。
出願人は、カカオ豆を原料とした、カカオ豆を用いた新たな食品素材を検討してきた(特許文献8)。本発明は以下を提供する。
[1] 以下の(a)~(d)のいずれかのカカオ組成物を含有する、飲料、又はその飲料を調製するための調製物 :
(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物、
(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物、
(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物、
(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物。
[2] ポリフェノール含有量が0.01重量%以上である、1に記載の飲料、又は調製物。
[3] ポリフェノール含有量が0.5重量%以上である、1又は2に記載の飲料、又は調製物。
[4] プロシアニジン含有量が0.02重量%以上である、1~3のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
[5] 原料中のカカオ組成物の配合量が1~40重量%である、1~4のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
[1] 以下の(a)~(d)のいずれかのカカオ組成物を含有する、飲料、又はその飲料を調製するための調製物 :
(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物、
(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物、
(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物、
(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物。
[2] ポリフェノール含有量が0.01重量%以上である、1に記載の飲料、又は調製物。
[3] ポリフェノール含有量が0.5重量%以上である、1又は2に記載の飲料、又は調製物。
[4] プロシアニジン含有量が0.02重量%以上である、1~3のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
[5] 原料中のカカオ組成物の配合量が1~40重量%である、1~4のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
飲料に、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合することで、ポリフェノールを豊富に含有し、苦味及び渋味が少ないという特徴を有する飲料を得ることができる。
本発明は、以下の(a)~(d)のいずれかのカカオ組成物を含有する、飲料に関する。
(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物
(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物
(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物
(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物
なお本発明に関し、飲料に含有される成分や素材の量を割合(%、又は部)で表す場合は、特に記載した場合を除き、重量(質量)に基づいている。
(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物
(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物
(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物
(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物
なお本発明に関し、飲料に含有される成分や素材の量を割合(%、又は部)で表す場合は、特に記載した場合を除き、重量(質量)に基づいている。
<飲料>
本発明に関し、飲料とは、液状の食物であって、飲み込むことにより摂取するものをいう。飲み物ともいう。スープ等の通常食事として扱われるもの、及びドリンク剤が含まれる。なお本発明に関し食品というときは、特に記載した場合を除き、飲料を含む。本発明に関し、飲料を調製するための調製物というとき、調製物は、溶解して目的の飲料を調製するための固形物、希釈して目的の飲料を調製するための濃縮物を含む。なお、以下では、飲料とその飲料を調製するための調製物のうち、飲料を例に説明することがあるが、当業者であればその説明を適宜その飲料を調製するための調製物に適用して理解することができる。
本発明に関し、飲料とは、液状の食物であって、飲み込むことにより摂取するものをいう。飲み物ともいう。スープ等の通常食事として扱われるもの、及びドリンク剤が含まれる。なお本発明に関し食品というときは、特に記載した場合を除き、飲料を含む。本発明に関し、飲料を調製するための調製物というとき、調製物は、溶解して目的の飲料を調製するための固形物、希釈して目的の飲料を調製するための濃縮物を含む。なお、以下では、飲料とその飲料を調製するための調製物のうち、飲料を例に説明することがあるが、当業者であればその説明を適宜その飲料を調製するための調製物に適用して理解することができる。
<カカオ組成物>
(主な特徴)
飲料に用いられるカカオ組成物は、カカオ豆を原料として加工された素材であり、以下の特徴を有する:
1)未破砕カカオ豆細胞を含有する。
2)粒度分布が10μm~1.5mmである。
あるいは、以下の特徴を有する。
3)油分含有量に対するフリーファット含有量の重量比率が60%以下である。なお本発明に関し、組成物等について含有される成分の割合又は率をいうときは、特に記載した場合を除き、重量に基づく。
あるいは、以下の特徴を有する。
4)カカオ豆細胞中の未破砕細胞の個数比率が30%以上である。
あるいは、以下の特徴を有する。
1)未破砕カカオ豆細胞を含有する。
5)破断強度が3kgf以下である。
なお、カカオ組成物には、ホールの生カカオ豆は含まれない。ホールの生カカオ豆の例としては、天然のカカオ豆自体、発酵したカカオ豆自体が挙げられる。またカカオ組成物には既存のカカオニブは含まれない。カカオニブとは、カカオ豆からシェルが除去されたものであり、水分存在下で加熱されていないものである。ただし、カカオニブは、一般的なチョコレート及びココア製造で慣用されている加熱殺菌処理及び又はロースト処理されたものを含む。カカオニブには、前記のものの破砕物も含む。
(主な特徴)
飲料に用いられるカカオ組成物は、カカオ豆を原料として加工された素材であり、以下の特徴を有する:
1)未破砕カカオ豆細胞を含有する。
2)粒度分布が10μm~1.5mmである。
あるいは、以下の特徴を有する。
3)油分含有量に対するフリーファット含有量の重量比率が60%以下である。なお本発明に関し、組成物等について含有される成分の割合又は率をいうときは、特に記載した場合を除き、重量に基づく。
あるいは、以下の特徴を有する。
4)カカオ豆細胞中の未破砕細胞の個数比率が30%以上である。
あるいは、以下の特徴を有する。
1)未破砕カカオ豆細胞を含有する。
5)破断強度が3kgf以下である。
なお、カカオ組成物には、ホールの生カカオ豆は含まれない。ホールの生カカオ豆の例としては、天然のカカオ豆自体、発酵したカカオ豆自体が挙げられる。またカカオ組成物には既存のカカオニブは含まれない。カカオニブとは、カカオ豆からシェルが除去されたものであり、水分存在下で加熱されていないものである。ただし、カカオニブは、一般的なチョコレート及びココア製造で慣用されている加熱殺菌処理及び又はロースト処理されたものを含む。カカオニブには、前記のものの破砕物も含む。
カカオ組成物の特徴の一つは、水分存在下で加熱(湿式加熱)されていることである。カカオ豆を加熱処理する際に水分が存在するか否かは、処理されたカカオ豆の成分やその組成に影響を与えうる。湿式加熱の例として、茹で、蒸し、蒸煮、水分存在下でのマイクロ波加熱が挙げられる。湿式加熱というときは、殺菌又はローストを目的とした加熱は含まない。湿式加熱のための温度及び時間は、後述するように、含まれるポリフェノールオキシダーゼをある程度失活させることができ、また破断強度が一定の範囲値となるように軟化される条件であることが好ましい。
水分存在下で加熱され、かつ未破砕細胞を比較的多く残すように粉砕されたカカオ豆加工品(湿式加熱粉砕品)及びその乾燥物(湿式加熱粉砕乾燥品)のみならず、そのように破砕するためのカカオ豆の湿式加熱処理物(湿式加熱豆)及びその乾燥物(湿式加熱乾燥豆)、湿式加熱乾燥豆の粉砕物(湿式加熱乾燥粉砕品)、カカオ豆の乾燥物(乾燥豆)であって湿式加熱し、粉砕するためのものの実施はいずれも、直接的又は間接的にカカオ組成物の実施に該当しうる。
またカカオ組成物の特徴の一つは、特別な粒度分布を有することであるが、従来のカカオ豆加工品とともに粒子サイズが小さいほうから並べると、カカオマス及びカカオリカー、カカオ組成物、カカオニブ、ホールの豆の順である。なお通常のカカオマスは、粒度分布において98%以上の粒子が0.5~100μmの範囲内にあり、単一のピークを有し、ピークが5~20μmの範囲にある。また、カカオニブの粒子サイズは、粗砕の程度にもよるが、通常は粒子が視認できる程度であり、目開き1mmの篩をほとんど通過しない。
(原料カカオ豆)
カカオ豆は、カカオ(Theobroma cacao)の種子を指し、カカオ組成物の原料となるカカオ豆の品種や産地は、特に制限されない。カカオ品種の例として、フォラステロ種、クリオロ種、トリニタリオ種、これらの派生種、交配種が挙げられる。産地の例として、ガーナ、コートジボワール、ナイジェリア、ブラジル、ベネズエラ、トリニダード・トバゴが挙げられる。
カカオ豆は、カカオ(Theobroma cacao)の種子を指し、カカオ組成物の原料となるカカオ豆の品種や産地は、特に制限されない。カカオ品種の例として、フォラステロ種、クリオロ種、トリニタリオ種、これらの派生種、交配種が挙げられる。産地の例として、ガーナ、コートジボワール、ナイジェリア、ブラジル、ベネズエラ、トリニダード・トバゴが挙げられる。
一般に、チョコレートの原料として用いられるカカオ豆は、カカオポッド(カカオの実)からパルプとともに取り出され、発酵され、乾燥されるが、本発明のカカオ豆加工品に用いられる原料カカオ豆は、未破砕のカカオ豆細胞が含有されていれば、加工の有無又は程度は、特に制限されない。カカオ豆の加工の例として、発酵、パルプの除去、乾燥、焙煎(ロースト、焙炒ということもある。)、酵素失活処理が挙げられる。
ポリフェノール含有量が高い組成物を得るとの観点からは、原料カカオ豆は、ポリフェノールが減少する工程を経ていないことが好ましい。ポリフェノールは、発酵条件において促進される酵素の作用や高温で減少する。したがって、本発明に好ましく用いられる原料カカオ豆は、完全発酵されていないことが好ましく、またローストされていないことが好ましい。完全発酵とは、カカオ豆の収穫後に7日間以上発酵させたものをいう。
色調が鮮やかな組成物を得るとの観点からは、原料カカオ豆は、カカオポッドから取り出した直後の新鮮なカカオ豆や、それからパルプを直ちに除いた新鮮なカカオ豆であることが好ましい。またこのような新鮮なカカオ豆は、カカオ豆に内在する酵素、例えばポリフェノールオキシダーゼを失活させる処理が直ちにされていることが好ましい。カカオ豆に内在するポリフェノールオキシダーゼ活性が残存しているとカカオ豆のポリフェノールに作用し、濃褐色の色調に変化するからである。
フリーファット含有率が低い組成物を得るとの観点からは、原料カカオ豆はホール豆であることが好ましい。破砕の程度によっては、カカオ豆細胞が壊れ、細胞内に含まれていた油脂が遊離するからである。
(カカオ組成物の形態、粒度分布)
カカオ組成物は、カカオ豆の破砕物であるということができる。カカオ豆の破砕は、後述するように得られる組成物が未破砕カカオ豆細胞を含有すれば、サイズに制限はない。カカオ豆細胞のサイズは様々であるが、最小径は約10μmであるから、カカオ組成物は、約10μm以上の粒子を含みうる。前記粒子とは、カカオ豆細胞そのもの、又はカカオ豆細胞の集合体をいう。前記カカオ豆細胞の集合体には、カカオ豆細胞が分離されず接着した組織の状態で残存している形態や、カカオ豆細胞が分離された後に凝集された形態も含まれる。カカオ組成物の粒度分布は、例えば10μm~1.5mmであり、好ましくは10μm~1.2mmであり、より好ましくは10μm~1mmである。
カカオ組成物は、カカオ豆の破砕物であるということができる。カカオ豆の破砕は、後述するように得られる組成物が未破砕カカオ豆細胞を含有すれば、サイズに制限はない。カカオ豆細胞のサイズは様々であるが、最小径は約10μmであるから、カカオ組成物は、約10μm以上の粒子を含みうる。前記粒子とは、カカオ豆細胞そのもの、又はカカオ豆細胞の集合体をいう。前記カカオ豆細胞の集合体には、カカオ豆細胞が分離されず接着した組織の状態で残存している形態や、カカオ豆細胞が分離された後に凝集された形態も含まれる。カカオ組成物の粒度分布は、例えば10μm~1.5mmであり、好ましくは10μm~1.2mmであり、より好ましくは10μm~1mmである。
本発明に関し、粒度分布というときは、特に記載した場合を除き、対象となる組成物に含まれる粒度の分布の度合いをいう。また本発明に関し、組成物の粒度分布が特定の範囲内にあるというときは、特に記載した場合を除き、その組成物をレーザー回折式粒度分布測定に供したときに、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の粒子の粒子径が、その特定の範囲内に含まれることをいう。ここでいう%は、体積に基づく値(相対粒子量)である。
カカオ組成物に含まれる粒子のメディアン径は、200~400μmであり、好ましくは240~380μmであり、より好ましくは280~360μmであり、さらに好ましくは300~340μmである。モード径は280~480μmであり、好ましくは310~460μmであり、より好ましくは350~430μmであり、さらに好ましくは370~410μmである。平均径は150~350μmである。また、カカオ組成物は粒子径が0.2mm~0.7mmの範囲内にある粒子の相対粒子量が5%以上である。なお測定は、レーザー回折式粒度分布測定法により、体積基準とする。
破砕の手段は特に制限されず、例として、ミキサー等による磨砕、カカオ豆細胞サイズ以上の目開きの篩で漉すことが挙げられる。
またカカオ組成物は、ペーストか、又はその乾燥物の形態であることができる。すなわち、カカオ組成物は、加熱処理カカオ豆の破砕物であるということができる。カカオ組成物の一態様では、茹で、蒸し、蒸煮、マイクロ波加熱等の水分存在下での加熱手段により、破砕が容易な状態の材料である。加熱処理により、カカオ豆は内在するポリフェノールオキシダーゼが失活されている。また加熱処理カカオ豆は、原料カカオ豆が細胞単位で分離できる状態になっていると考えられる。ペーストは、粒餡のように、比較的大きな固形物が含まれた状態であってもよい。
形態がペースト状であるカカオ組成物は、水分を15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上含む。ペースト状であるカカオ組成物に含まれる水分の上限値は、ペースト状である限り特に制限はなく、下限値がいずれの場合であっても、例えば70%以下であり、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下であり、さらに好ましくは40%以下である。形態が乾燥物、より特定すると粉末状であるカカオ組成物の水分は、5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3%以下である。粉末状であるカカオ組成物に含まれる水分の下限値には特に制限はなく、上限値がいずれの場合であっても、例えば0%、0.1%以下、0.5%以下、1%以下であり得る。
(未破砕カカオ豆細胞の含有)
カカオ組成物は、未破砕のカカオ豆細胞を含有する。未破砕とは、細胞膜が破砕されていないことをいう。対象となる組成物に未破砕カカオ豆細胞が含有されているかどうかは、マイクロスコープ等を用いた観察により、細胞膜に囲まれた細胞の存在が確認できるか否かにより判断できる。またカカオ豆細胞が未破砕であれば、脂質及びタンパク質が細胞内にとどまっていることから、未破砕のカカオ豆細胞が含有されているかどうかは、タンパク質と脂質とをそれぞれ染色し、観察してタンパク質と脂質の所在が同じであるか否かにより判断できる。
カカオ組成物は、未破砕のカカオ豆細胞を含有する。未破砕とは、細胞膜が破砕されていないことをいう。対象となる組成物に未破砕カカオ豆細胞が含有されているかどうかは、マイクロスコープ等を用いた観察により、細胞膜に囲まれた細胞の存在が確認できるか否かにより判断できる。またカカオ豆細胞が未破砕であれば、脂質及びタンパク質が細胞内にとどまっていることから、未破砕のカカオ豆細胞が含有されているかどうかは、タンパク質と脂質とをそれぞれ染色し、観察してタンパク質と脂質の所在が同じであるか否かにより判断できる。
カカオ組成物における、含有されるカカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞の割合は、フリーファットを細胞から放出させない等の観点からは、高いほうが好ましい。カカオ豆細胞に対する未破砕のカカオ豆細胞の割合は、カカオ豆加工品をマイクロスコープで観察し、一定領域において確認される全細胞の数及び未破砕のカカオ豆細胞の数から算出できる。具体的には、以下の方法による。
(1) サンプル0.03gに2mlの水を加えて撹拌し、さらに0.5mlの0.01%メチレンブルー溶液を加えて、撹拌した後、スライドガラスに滴下し、カバーガラスを載せて顕微鏡で観察する(倍率:450倍)。
(2) 観察像、又はそれを撮影した画像から、必要に応じ画像解析ソフトを用いて、サンプルのエリア面積(A)と破砕細胞数(B)を求める。破砕細胞数は、エリアに含まれる破砕されている細胞を目視により選択してカウントすることにより得られる。
(3) 未破砕細胞を半径10μmの円として、一つの未破砕細胞の面積(C)を算出する(10×10×3.14=314μm2)。
(4) エリア面積(A)を一つの未破砕細胞の面積(C)で除して全細胞数(D)を算出する。
(5) カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)は、以下の式により算出する。このとき、全細胞数(D)が100~300の範囲であるエリアを、5以上、好ましくは10以上用いて、各々について以下の式で値を算出し、得られた値を平均してそのサンプルのカカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合とすることができる。
(1) サンプル0.03gに2mlの水を加えて撹拌し、さらに0.5mlの0.01%メチレンブルー溶液を加えて、撹拌した後、スライドガラスに滴下し、カバーガラスを載せて顕微鏡で観察する(倍率:450倍)。
(2) 観察像、又はそれを撮影した画像から、必要に応じ画像解析ソフトを用いて、サンプルのエリア面積(A)と破砕細胞数(B)を求める。破砕細胞数は、エリアに含まれる破砕されている細胞を目視により選択してカウントすることにより得られる。
(3) 未破砕細胞を半径10μmの円として、一つの未破砕細胞の面積(C)を算出する(10×10×3.14=314μm2)。
(4) エリア面積(A)を一つの未破砕細胞の面積(C)で除して全細胞数(D)を算出する。
(5) カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)は、以下の式により算出する。このとき、全細胞数(D)が100~300の範囲であるエリアを、5以上、好ましくは10以上用いて、各々について以下の式で値を算出し、得られた値を平均してそのサンプルのカカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合とすることができる。
カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)=(D-B)/D×100
カカオ組成物のこの割合は、例えば30%以上であり、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、最も好ましくは100%である。
未破砕カカオ豆細胞は細胞膜が破砕されていないため、油脂分やポリフェノール等の成分が細胞内に維持される。一般的なカカオ豆加工品であるカカオマスは、通常、製造工程で約20μm以下となるまで細かく粉砕される。そのため、カカオマス中には、破砕されたカカオ豆細胞から油脂分やポリフェノール等が放出されて存在している。一方、カカオ組成物では、細胞膜が破砕されていないカカオ豆細胞中に、カカオ豆由来の油脂分やポリフェノールが封じられているため、それらの成分がしみ出しにくいという特性を有する。
(フリーファット含有率)
カカオ組成物は、油分あたりのフリーファット含有率が低い。チョコレート分野において、フリーファット(遊離油脂)とは、材料中に遊離状態で存在する油脂をいう。フリーファットは、チョコレートの流動性や粘度等に影響を与える。また、フリーファットを多く含む材料からは油がしみ出しやすいと考えられる。
カカオ組成物は、油分あたりのフリーファット含有率が低い。チョコレート分野において、フリーファット(遊離油脂)とは、材料中に遊離状態で存在する油脂をいう。フリーファットは、チョコレートの流動性や粘度等に影響を与える。また、フリーファットを多く含む材料からは油がしみ出しやすいと考えられる。
本発明に関し、油分あたりのフリーファット含有率というとき(単に、フリーファット含有率ということもある。)は、特に記載した場合を除き、以下の方法により測定・算出されたものをいう。すなわち、対象となる組成物に含まれる油脂類に占めるフリーファットの割合(重量基準)をいう。
フリーファット含有量測定
(1) サンプル約5g(a)を50ml遠沈管に入れる
(2) n-ヘキサン25mlを加える
(3) 130回/分×3分間、振幅4cmで振とうする
(4) 3000rpm,4℃,10分間遠心分離
(5) 100ml三角フラスコの重量(b)を測定
(6) 上記(4)の上澄をろ紙上に移してろ過し、100ml三角フラスコでろ液を回収
(7) 窒素ガスを吹き付けてn-ヘキサンを蒸発させる
(8) 真空定温乾燥機にて、98℃、減圧下で4時間保持し、n-ヘキサンを蒸発させる
(9) デシケーター内で空冷後、三角フラスコの重量(c)を測定する
(1) サンプル約5g(a)を50ml遠沈管に入れる
(2) n-ヘキサン25mlを加える
(3) 130回/分×3分間、振幅4cmで振とうする
(4) 3000rpm,4℃,10分間遠心分離
(5) 100ml三角フラスコの重量(b)を測定
(6) 上記(4)の上澄をろ紙上に移してろ過し、100ml三角フラスコでろ液を回収
(7) 窒素ガスを吹き付けてn-ヘキサンを蒸発させる
(8) 真空定温乾燥機にて、98℃、減圧下で4時間保持し、n-ヘキサンを蒸発させる
(9) デシケーター内で空冷後、三角フラスコの重量(c)を測定する
<x>組成物中のフリーファット含有率(サンプル重量あたりのフリーファット含有率)(%)=(c-b)/a×100
<y>油分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/a中の油分×100
<z>固形分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/(a-a中の水分)×100
<y>油分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/a中の油分×100
<z>固形分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/(a-a中の水分)×100
カカオ組成物の油分あたりのフリーファット含有率は例えば60%以下であり、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは28%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは16%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。油のしみ出しが特に少なく、水系食品との相溶性にも優れるとの観点からは、カカオ組成物の油分あたりのフリーファット含有率は、30%以下であることが好ましい。
カカオ組成物の固形分あたりのフリーファット含有率は例えば42%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは16%以下であり、さらに好ましくは14%以下であり、さらに好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。油のしみ出しが特に少なく、水系食品との相溶性にも優れるとの観点からは、カカオ組成物の固形分あたりのフリーファット含有率は、16%以下であることが好ましい。
カカオ組成物中のフリーファット含有率は例えば41%以下であり、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは14%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。油のしみ出しが特に少なく、水系食品との相溶性にも優れるとの観点からは、カカオ組成物中のフリーファット含有率は、10%以下であることが好ましい。
一般に、加工されていないカカオ豆のフリーファット含有率は低いが、従来のカカオ豆加工品は、加工工程により細胞が破砕されているため、フリーファット含有率が高い。一方、カカオ組成物は、細胞膜が破砕されていないカカオ豆細胞中に、カカオ豆由来の油脂が封じられているため、カカオ豆に由来する油脂を相応に高濃度で含有するにも関わらず、フリーファット含有率が低いという、従来のカカオ豆加工品にはない際立つ特性を有する。
(ポリフェノール含有量)
カカオ組成物は、ポリフェノール含有量が高い。また、カカオ組成物は、プロシアニジン含有量が高い。加熱処理により、カカオ豆に内在するポリフェノールオキシダーゼが失活されているからである。
カカオ組成物は、ポリフェノール含有量が高い。また、カカオ組成物は、プロシアニジン含有量が高い。加熱処理により、カカオ豆に内在するポリフェノールオキシダーゼが失活されているからである。
カカオ組成物のポリフェノール含有量の下限値は、固形分あたり、例えば1.0%以上であり、より特定すると1.5%以上であり、さらに特定すると1.8%以上であり、好ましくは2.0%以上であり、 より好ましくは2.4%以上であり、さらに好ましくは2.8%以上であり、さらに好ましくは3.2%以上であり、さらに好ましくは3.6%以上であり、さらに好ましくは3.8%以上であり、さらに好ましくは4.0%以上である。カカオ組成物に含まれるポリフェノール含有量の上限値は、下限値がいずれの場合であっても、固形分あたり、例えば10%以下であり、好ましくは8%以下であり、より好ましくは7.6%以下であり、さらに好ましくは7.2%以下であり、 さらに好ましくは6.8%以下であり、さらに好ましくは6.4%以下である。
本発明に関し、ポリフェノール含有量は、特に記載した場合を除き、フォーリンチオカルト法で測定し、(-)-エピカテキンに換算して算出した値を指す。フォーリンチオカルト法によるポリフェノールの測定方法は、全国チョコレート業公正取引協議会「チョコレート類のカカオポリフェノールに係る表示基準」別紙「カカオポリフェノール測定法」を参照することができる。なお、カカオ組成物に含まれるポリフェノールは、カカオ豆由来のものであるので、カカオポリフェノールといわれることがある。またカカオ組成物のポリフェノール含有量は、種々のポリフェノール化合物の総量として測定された値であるので、総ポリフェノール含有量、又はポリフェノール総量等と称することができる。
カカオ組成物においては、ポリフェノールのうち、プロシアニジンが多く含まれていることが好ましい。カカオ組成物のプロシアニジン含有量の下限値は、固形分あたり、例えば0.2%以上であり、好ましくは0.3%以上であり、 より好ましくは0.5%以上であり、さらに好ましくは0.7%以上であり、さらに好ましくは1.1%以上であり、さらに好ましくは1.3%以上であり、さらに好ましくは1.5%以上であり、さらに好ましくは1.7%以上である。カカオ組成物に含まれるプロシアニジン含有量の上限値は、下限値がいずれの場合であっても、固形分あたり、例えば5%以下であり、好ましくは4%以下であり、より好ましくは3.5%以下であり、さらに好ましくは3.0%以下であり、 さらに好ましくは2.7%以下であり、さらに好ましくは2.2%以下である。
本発明に関し、プロシアニジン含有量は、特に記載した場合を除き、カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、及びシンナムタンニンA2を、HPLCを用いて測定した値を指す。
(破断強度)
カカオ組成物は、後述するように水分存在下で加熱処理され、破断強度が一定の範囲値となるように軟化されていてもよい。カカオ組成物の破断強度は、例えば3kgf以下であり、2.87kgf以下であることが好ましく、2.49以下であることがより好ましく、2.46以下であることがさらに好ましく、2.28kgf以下であることがさらに好ましい。下限値は、上限値がいずれの場合であっても0.5kgf以上とすることができ、1.0kgf以上とすることが好ましく、1.42kgf以上とすることがより好ましく、1.69kgf以上であることがさらに好ましい。
カカオ組成物は、後述するように水分存在下で加熱処理され、破断強度が一定の範囲値となるように軟化されていてもよい。カカオ組成物の破断強度は、例えば3kgf以下であり、2.87kgf以下であることが好ましく、2.49以下であることがより好ましく、2.46以下であることがさらに好ましく、2.28kgf以下であることがさらに好ましい。下限値は、上限値がいずれの場合であっても0.5kgf以上とすることができ、1.0kgf以上とすることが好ましく、1.42kgf以上とすることがより好ましく、1.69kgf以上であることがさらに好ましい。
本発明に関し、破断強度というときは、特に記載した場合を除き、次のように測定する。
減圧下、100℃、4時間以上乾燥させたサンプルを、レオメーターにより、直径3mm円柱状のプランジャーを用いて進入深度4.0mm、進入速度2cm/minで測定する。サンプルの温度は22~24℃とする。得られた測定値がばらつく場合は、適切なサンプル数に対して測定を行う。適切なサンプル数は、当業者であれば適宜決定できるが、例えば、一の組成物から50のサンプルを取り、50の測定値の平均値をその組成物の破断強度としてもよい。
減圧下、100℃、4時間以上乾燥させたサンプルを、レオメーターにより、直径3mm円柱状のプランジャーを用いて進入深度4.0mm、進入速度2cm/minで測定する。サンプルの温度は22~24℃とする。得られた測定値がばらつく場合は、適切なサンプル数に対して測定を行う。適切なサンプル数は、当業者であれば適宜決定できるが、例えば、一の組成物から50のサンプルを取り、50の測定値の平均値をその組成物の破断強度としてもよい。
(他の原料)
カカオ組成物は、食品として許容される添加物を含んでいてもよい。そのような添加物の例は、甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、賦形剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、保存剤、緩衝剤、pH調整剤、乳化剤、安定剤等である。
カカオ組成物は、食品として許容される添加物を含んでいてもよい。そのような添加物の例は、甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、賦形剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、保存剤、緩衝剤、pH調整剤、乳化剤、安定剤等である。
(カカオ組成物の製造方法)
カカオ組成物は、以下の工程を含む製造方法により製造することができる:
・原料カカオ豆を水分存在下で加熱処理し、加熱処理カカオ豆を得る工程、
・得られた加熱処理カカオ豆を破砕する工程。
また本発明は、フリーファット含有率の低い、組成物を得るのに適した、下記を含む製造方法を提供する:
・原料カカオ豆を水分存在下で加熱処理し、加熱処理カカオ豆を得る工程、あるいは、
・原料カカオ豆を細胞単位で分離が容易となるように加工する工程。
カカオ組成物は、以下の工程を含む製造方法により製造することができる:
・原料カカオ豆を水分存在下で加熱処理し、加熱処理カカオ豆を得る工程、
・得られた加熱処理カカオ豆を破砕する工程。
また本発明は、フリーファット含有率の低い、組成物を得るのに適した、下記を含む製造方法を提供する:
・原料カカオ豆を水分存在下で加熱処理し、加熱処理カカオ豆を得る工程、あるいは、
・原料カカオ豆を細胞単位で分離が容易となるように加工する工程。
カカオ組成物の製造方法における加熱処理のための手段は、水分存在下での加熱手段であって、続く破砕工程が容易に行えるように、また好ましくはカカオ豆では内在するポリフェノールオキシダーゼが失活するように、原料カカオ豆を加工することができれば、特に制限されない。加熱の手段の例として、茹で(煮熱、ボイルということもある。)、蒸し、蒸煮、マイクロ波加熱が挙げられる。
加熱処理のための温度及び時間は、ポリフェノールオキシダーゼをある程度失活させることができ、また原料カカオ豆の破断強度を上述した値とすることができる条件であることが好ましい。このような条件の例は、80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは沸騰した水中で、10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上、煮熱することである。
水分存在下での加熱処理は、水を熱媒体とするため、熱伝導率が高い。また加熱の温度と時間を適切にすることにより、カカオ豆の細胞壁及び/又は細胞壁間の接着部を軟化させることができると考えられる。
カカオ組成物の製造方法における破砕のための手段は、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物が得られるのであれば、特に制限されない。破砕物のサイズに制限はない。最小の粒度としては、カカオ豆細胞のサイズであり、例えば直径約20μmである。
破砕の手段は特にされず、例として、ミキサー等による磨砕(grind)、カカオ豆細胞サイズ以上の目開きの篩で漉すこと(mash)が挙げられる。漉すための装置の例として、ステンレス製の32メッシュ、60メッシュ等の篩等が挙げられる。磨砕のための装置の例として、餡製造に汎用される撹拌機等が挙げられる。
<カカオ組成物の配合量>
飲料は、原材料として、カカオ組成物を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができるが、原材料中のカカオ組成物の配合量は、好ましくは1~50%、より好ましくは2~45%、さらに好ましくは3~41%である。また、カカオ組成物の配合量は固形分に対する量として表すことができる。原材料中の固形分に対するカカオ組成物の配合量は、好ましくは10~100%、より好ましくは15~95%、さらに好ましくは20~90%である。カカオ組成物の配合量がこの範囲より低い場合、飲料を通常程度の量で摂取した場合に生理機能を得るのに十分な量のポリフェノールが摂取できるとは言い難い。また、この範囲より高い場合、高粘度化して飲み込みづらくなるため、良好な飲料を得ることが難しい。
飲料は、原材料として、カカオ組成物を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができるが、原材料中のカカオ組成物の配合量は、好ましくは1~50%、より好ましくは2~45%、さらに好ましくは3~41%である。また、カカオ組成物の配合量は固形分に対する量として表すことができる。原材料中の固形分に対するカカオ組成物の配合量は、好ましくは10~100%、より好ましくは15~95%、さらに好ましくは20~90%である。カカオ組成物の配合量がこの範囲より低い場合、飲料を通常程度の量で摂取した場合に生理機能を得るのに十分な量のポリフェノールが摂取できるとは言い難い。また、この範囲より高い場合、高粘度化して飲み込みづらくなるため、良好な飲料を得ることが難しい。
<カカオ組成物を含む飲料の特徴>
本発明により提供される、カカオ組成物を含む飲料は、カカオポリフェノールが豊富に含まれているにも関わらず、カカオポリフェノールを未破砕のカカオ細胞を含むカカオ組成物として含有するため、苦味、渋味が感じられにくいという利点がある。
本発明により提供される、カカオ組成物を含む飲料は、カカオポリフェノールが豊富に含まれているにも関わらず、カカオポリフェノールを未破砕のカカオ細胞を含むカカオ組成物として含有するため、苦味、渋味が感じられにくいという利点がある。
<カカオポリフェノール含有量>
配合原料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量は、前述の、又は実施例の項中に記載の方法により測定できる。また飲料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量は、配合した原材料中の含有量それぞれを合計することにより算出できる。なおポリフェノール含有量の測定方法(フォーリンチオカルト法)はOH基を定量する方法であるため、飲料によってはポリフェノール以外の成分が測定される懸念がある。そのような懸念がある場合は、対照として目的の素材を含有しない飲料を製造し、ベースとして差し引くことにより、目的の素材の配合によるポリフェノール含有量を適切に測定することができる。
配合原料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量は、前述の、又は実施例の項中に記載の方法により測定できる。また飲料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量は、配合した原材料中の含有量それぞれを合計することにより算出できる。なおポリフェノール含有量の測定方法(フォーリンチオカルト法)はOH基を定量する方法であるため、飲料によってはポリフェノール以外の成分が測定される懸念がある。そのような懸念がある場合は、対照として目的の素材を含有しない飲料を製造し、ベースとして差し引くことにより、目的の素材の配合によるポリフェノール含有量を適切に測定することができる。
また、飲料中のポリフェノール含有量又はプロシアニジン含有量の測定は、ポリフェノール含有素材(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物、ココアパウダー、カカオエキスパウダー)を前処理としてレファイナーで微細化した後に、約40℃の水に入れて混合して調製した飲料代替物について行ってもよい。
飲料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量は、ヒト体内での消化を模した前処理を行って得られた試料について測定してもよい。カカオ組成物に限らず、カカオ原料はタンパク質と結合しやすく、結合した状態ではポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量を測定することが難しいため、ヒト体内での消化を模した前処理を行うことが好ましい場合がある。前処理を行って測定されたポリフェノール含有量は、原料に含まれる量から計算した理論値ではなく、ヒト体内の消化を模した処理後に得られるポリフェノール及びプロシアニジンとしての含有量であるといえる。
飲料中には、カカオポリフェノールを、ポリフェノール含有量として少なくとも0.01%以上、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.15%以上、さらに好ましくは0.5%以上含有する。カカオポリフェノールの上限は飲料の風味に応じて調整することができ、ポリフェノール含有量として例えば3.5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2%以下とすることができる。
飲料中には、プロシアニジンを、プロシアニジン含有量として少なくとも0.005%以上、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.015%以上、さらに好ましくは0.02%以上含有する。飲料中のプロシアニジンの含有量の上限は、飲料の風味に応じて調整することができ、例えば1%以下、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.15%以下とすることができる。
溶解してその飲料を調製するための調製物は、溶解して飲料としたときに、上で説明した含有量となるように、調製することができる。当業者であれば、飲料について成分の含有量が示されたとき、その飲料を調製するための調製物における含有量を適宜設計できる。
<飲料の形態、原材料>
本発明の飲料の形態は、適宜とすることができる。非アルコール飲料であってもよく、アルコール飲料であってもよい。
本発明の飲料の形態は、適宜とすることができる。非アルコール飲料であってもよく、アルコール飲料であってもよい。
非アルコール飲料の例として、清涼飲料(炭酸飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、茶飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、美容ドリンク、等)、果実飲料(果汁飲料、果肉飲料、野菜ジュース等)、乳飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料、ゼリー飲料が挙げられる。
アルコール飲料の例として、例えば、清酒、焼酎、ビール、果実酒、ワイン、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール類、粉末酒、発泡酒等を挙げることができる。
本発明の飲料を調製するための調製物の形態は、粉末状、顆粒状、タブレット状、ペースト状、濃縮液状の形態であってもよい
本発明の飲料の原材料には、本発明の効果を損なわない限り、カカオ組成物以外の原材料を適宜添加することができる。他の原材料の例として、カカオ組成物を分散させるための液体として、牛乳(生乳の他、脱脂乳、部分脱脂乳、脱塩脱脂乳、脱塩乳、成分調整乳、ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、部分脱脂濃縮乳、脱塩脱脂濃縮乳を含む)、豆乳、水、炭酸水、果汁、野菜汁、酒類等が挙げられる。さらに、糖類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、植物油脂、甘味料、着色料、香料、保存料、酸味料、増粘剤、安定剤、乳化剤、色素、酸化防止剤、調味料、濃縮果汁、炭酸ガス、pH調節剤等の添加物が挙げられる。ゼリー飲料の場合のゲル化剤の例として、ゼラチン、増粘多糖類(ペクチン、アラビアガム、澱粉、カラギーナン、タマリンドガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、トラガントガム、カラヤガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム等)が挙げられる。
<飲料の製造方法>
本発明の飲料の製造方法は、発明の効果を妨げない限りは特に限定されないが、他の原材料との混合、水等による抽出等、公知の製造方法によって製造される。原料の混合手段は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。カカオ組成物の細胞を未破砕で維持する為に、せん断力や圧縮力がかからない混合装置が望ましい。
本発明の飲料の製造方法は、発明の効果を妨げない限りは特に限定されないが、他の原材料との混合、水等による抽出等、公知の製造方法によって製造される。原料の混合手段は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。カカオ組成物の細胞を未破砕で維持する為に、せん断力や圧縮力がかからない混合装置が望ましい。
カカオ組成物の配合の段階は、本発明の組成物の特性を著しく損なわない限り、特に制限されない。例えば、製造の初期の段階に、他の原材料に混合して配合することができる。
例えば、清涼飲料の場合、カカオ組成物及び水を含む他の原料を調合する工程(調合工程)、充填工程を含む方法により製造することができる。調合工程は、水を除く原料を先に混合した後、水を加えて一定の割合に調整する工程であってもよい。
本発明の飲料は、容器に充填することができる。飲料が充填される容器として、紙容器、ペットボトル、ガラス瓶、スチール缶、アルミニウム缶、瓶、レトルトパウチ、スパウトパウチ等が挙げられる。飲料が充填される容器は、液体を保存できるものであれば特に限定されない。
飲料を調製するための調製物は、例えば、固形のカカオ組成物と他の固形の原材料を混合して容器に封入することにより製造できる。又はカカオ組成物と他の原材料を調合して製造した液状の混合物を、公知の手段で乾燥することにより製造することができる。
飲料、及びその飲料を調製するための調製物には、カカオ豆加工品を含有している旨、その量が多い旨、ポリフェノール含有している旨、その量が多い旨、ポリフェノールにより期待できる効果を表示することができ、また特定の対象に対して当該食品の摂取を薦める旨を表示することができる。表示は、直接的に又は間接的にすることができ、直接的な表示の例は、製品自体、パッケージ、容器、ラベル、タグ等の有体物への記載であり、間接的な表示の例は、ウェブサイト、店頭、パンフレット、展示会、書籍、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、郵送物、電子メール、音声等の、場所又は手段による、広告・宣伝活動を含む。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
<未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(カカオ組成物)の調製>
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥させたカカオ豆を原料として、下記の方法で、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(粉末状)を調製した。
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥させたカカオ豆を原料として、下記の方法で、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(粉末状)を調製した。
軟化工程(加熱工程)
(1) 鍋に、カカオ豆重量の5倍重量の水を入れ、沸騰させる。
(2) 前記(1)に原料のカカオ豆を入れて、1時間煮る。
(3) ザルにカカオ豆をあけて、水を切る。
(1) 鍋に、カカオ豆重量の5倍重量の水を入れ、沸騰させる。
(2) 前記(1)に原料のカカオ豆を入れて、1時間煮る。
(3) ザルにカカオ豆をあけて、水を切る。
シェル剥離工程
手作業にて、カカオ豆からシェルを剥離する。
手作業にて、カカオ豆からシェルを剥離する。
破砕工程(裏ごし工程)
篩(32Me)にて、裏ごしする。
篩(32Me)にて、裏ごしする。
粉末化工程
(1) 破砕工程により得られた破砕物を、減圧乾燥機にて乾燥させ(乾燥条件98℃、2時間)、水分3%以下の粉末カカオ豆破砕物を調製する。
(2) 前記粉末カカオ豆破砕物は、再度32Me篩を通過させて粉末化する。
(1) 破砕工程により得られた破砕物を、減圧乾燥機にて乾燥させ(乾燥条件98℃、2時間)、水分3%以下の粉末カカオ豆破砕物を調製する。
(2) 前記粉末カカオ豆破砕物は、再度32Me篩を通過させて粉末化する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を、以下の実施例で用いた。
<カカオポリフェノール含有量の測定>
配合原料中及び飲料中のポリフェノール含有量を、下記の「ポリフェノール含有量の測定方法」にしたがって測定した。配合原料中及び飲料中のプロシアニジン含有量を、下記の「プロシアニジン含有量の測定方法」にしたがって測定した。ただし、飲料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量の測定は、前処理として、ポリフェノール含有素材(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物、ココアパウダー、カカオエキスパウダー)をレファイナーで微細化した後に、約40℃の水に入れて混合して調製した飲料を用いて実施した。
配合原料中及び飲料中のポリフェノール含有量を、下記の「ポリフェノール含有量の測定方法」にしたがって測定した。配合原料中及び飲料中のプロシアニジン含有量を、下記の「プロシアニジン含有量の測定方法」にしたがって測定した。ただし、飲料中のポリフェノール含有量及びプロシアニジン含有量の測定は、前処理として、ポリフェノール含有素材(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物、ココアパウダー、カカオエキスパウダー)をレファイナーで微細化した後に、約40℃の水に入れて混合して調製した飲料を用いて実施した。
ポリフェノール含有量の測定方法
ポリフェノール含有量は、フォーリンチオカルト法で測定し、(-)-エピカテキン換算量として算出した。具体的には、全国チョコレート業公正取引協議会「チョコレート類のカカオポリフェノールに係る表示基準」別紙「カカオポリフェノール測定法」に記載された方法により測定し、算出した。
ポリフェノール含有量は、フォーリンチオカルト法で測定し、(-)-エピカテキン換算量として算出した。具体的には、全国チョコレート業公正取引協議会「チョコレート類のカカオポリフェノールに係る表示基準」別紙「カカオポリフェノール測定法」に記載された方法により測定し、算出した。
プロシアニジン含有量の測定方法
HPLCにて測定した。詳細には、カラムは、Deverosil-ODS-HG5(4.6mm×250mm、φ5μ、野村化学株式会社製)を使用した。溶離液は、A液とB液で構成され、A液は0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液は0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液を使用した。カラムへ通す溶離液の流速は0.8ml/分、グラジェントの条件は、溶離液全体に占めるB液の割合を、開始時点で10%、開始5分後で10%、開始35分後で25%、開始40分後で100%、開始45分後で100%とした。サンプルインジェクション量は10μLであり、エピカテキンを標準品として、各成分をエピカテキン当量で定量した。
各成分:カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2
HPLCにて測定した。詳細には、カラムは、Deverosil-ODS-HG5(4.6mm×250mm、φ5μ、野村化学株式会社製)を使用した。溶離液は、A液とB液で構成され、A液は0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液は0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液を使用した。カラムへ通す溶離液の流速は0.8ml/分、グラジェントの条件は、溶離液全体に占めるB液の割合を、開始時点で10%、開始5分後で10%、開始35分後で25%、開始40分後で100%、開始45分後で100%とした。サンプルインジェクション量は10μLであり、エピカテキンを標準品として、各成分をエピカテキン当量で定量した。
各成分:カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2
<未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(カカオ組成物)を配合した飲料の製造>
1.ポリフェノール含有素材の配合率を揃えて製造した飲料の比較
(配合)
1.ポリフェノール含有素材の配合率を揃えて製造した飲料の比較
(配合)
各試験区で使用したポリフェノール含有素材
A(実施例):粉末状の未破壊カカオ細胞を含有する組成物(ポリフェノール含有量35mg/g、プロシアニジン含有量3.6mg/g)
B(比較例):ココアパウダー(油分12%、アルカリゼーション無、ポリフェノール含有量52mg/g、プロシアニジン含有量4.8mg/g)
C(比較例):カカオエキスパウダー(特許6268333の方法により製造、ポリフェノール含有量169mg/g、プロシアニジン含有量89mg/g)
A(実施例):粉末状の未破壊カカオ細胞を含有する組成物(ポリフェノール含有量35mg/g、プロシアニジン含有量3.6mg/g)
B(比較例):ココアパウダー(油分12%、アルカリゼーション無、ポリフェノール含有量52mg/g、プロシアニジン含有量4.8mg/g)
C(比較例):カカオエキスパウダー(特許6268333の方法により製造、ポリフェノール含有量169mg/g、プロシアニジン含有量89mg/g)
(製法)
約40℃の水にポリフェノール含有素材を入れ、ボルテックスで5分間混合した。
約40℃の水にポリフェノール含有素材を入れ、ボルテックスで5分間混合した。
(評価基準)
下記の基準に基づき、専門パネル2名による官能評価を行った。
各項目について5段階で評価した。
3:強く苦味を感じる/強く渋味を感じる
2:やや苦味を感じる/やや渋味を感じる
1:ほとんど苦味を感じない
下記の基準に基づき、専門パネル2名による官能評価を行った。
各項目について5段階で評価した。
3:強く苦味を感じる/強く渋味を感じる
2:やや苦味を感じる/やや渋味を感じる
1:ほとんど苦味を感じない
なお、1であれば、課題を解決しているといえる。
(結果)
結果を下表に示す。
結果を下表に示す。
上記の結果より、カカオポリフェノールを、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物として配合することにより、カカオポリフェノール含有量が豊富であり(1.68%以上)、従来から用いられているココアパウダー(試験区B)やカカオエキス(試験区C)よりも、苦味、渋味が少ない飲料を得ることができた。苦味や渋味が少ない為、様々なフレーバーとの組合せが可能であり、飲料のベース原料でありながら、カカオポリフェノールが強化できることを確認した。
2. ポリフェノール含有素材高配合飲料の製造例
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料1)
ぬるま湯(約40℃)90mlに、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物4g、砂糖6gを入れ、均一になるまで混合して、ココア飲料を調製する。なお得られたココア飲料を乾燥することにより、ココア飲料を調製するための調製物が得られる。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料1)
ぬるま湯(約40℃)90mlに、未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物4g、砂糖6gを入れ、均一になるまで混合して、ココア飲料を調製する。なお得られたココア飲料を乾燥することにより、ココア飲料を調製するための調製物が得られる。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料2)
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物8gと砂糖5gに牛乳を10ml加え、加熱しながらよく練る。さらに150mlの牛乳を加え、良くかきまぜて、ミルクココア飲料を調製する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物8gと砂糖5gに牛乳を10ml加え、加熱しながらよく練る。さらに150mlの牛乳を加え、良くかきまぜて、ミルクココア飲料を調製する。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料3)
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gと裏ごししたカカオパルプ(株式会社フルッタフルッタ社製)90mlを混合して、果汁飲料を調製する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gと裏ごししたカカオパルプ(株式会社フルッタフルッタ社製)90mlを混合して、果汁飲料を調製する。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料4)
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gとプロテインパウダー(株式会社明治社製 ザバスホエイプロテイン100ココア味)21gと水200mlを混合して、プロテイン飲料を調製する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gとプロテインパウダー(株式会社明治社製 ザバスホエイプロテイン100ココア味)21gと水200mlを混合して、プロテイン飲料を調製する。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料5)
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gとプロテインパウダー(株式会社明治社製 ザバスホエイプロテイン100ココア味)21gと牛乳200mlを混合して、乳飲料を調製する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物10gとプロテインパウダー(株式会社明治社製 ザバスホエイプロテイン100ココア味)21gと牛乳200mlを混合して、乳飲料を調製する。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料6)
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物15gと栄養調整食品(株式会社明治社製 明治メイバランスMiniカップ ヨーグルト味)1本(125ml)を混合して、栄養飲料を調製する。
未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物15gと栄養調整食品(株式会社明治社製 明治メイバランスMiniカップ ヨーグルト味)1本(125ml)を混合して、栄養飲料を調製する。
(未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物を配合した飲料7)
上述の試験区Aの飲料30mlにシロックウォッカ15mlと生クリーム15mlを混合して、アルコール飲料を調製する。
上述の試験区Aの飲料30mlにシロックウォッカ15mlと生クリーム15mlを混合して、アルコール飲料を調製する。
3. ポリフェノール含有素材高配合ゼリー飲料の製造例
ポリフェノール含有素材として、粉末状の未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(ポリフェノール含有量44mg/g、プロシアニジン含有量14mg/g)を使用した。
(製法)
(1)液糖160g+冷水100gに増粘剤を2g添加した。
(2)ゲル化剤を水500gに分散し、90℃で10分間保持した。
(3)ポリフェノール含有素材を(1)に投入した。
(4)(2)と(3)を混合し、pH調整剤を添加し、残部の水を加えた。
(5)90℃で10分間殺菌した。
(1)液糖160g+冷水100gに増粘剤を2g添加した。
(2)ゲル化剤を水500gに分散し、90℃で10分間保持した。
(3)ポリフェノール含有素材を(1)に投入した。
(4)(2)と(3)を混合し、pH調整剤を添加し、残部の水を加えた。
(5)90℃で10分間殺菌した。
(評価)
下記の基準により、専門家2名により、風味(苦味、渋味)を評価した。
下記の基準により、専門家2名により、風味(苦味、渋味)を評価した。
苦味の官能評価
コントロール(カカオ原料未配合)と比較し、苦味を評価した。
◎:カカオ原料未配合のゼリー飲料と同様の苦味である。
〇:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、若干苦味が感じられるが問題ない範囲である。
△:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、苦味が感じられるが、許容範囲の品質である。
×:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、明らかに苦く、許容範囲を超え、ゼリー飲料として違和感を覚える。
コントロール(カカオ原料未配合)と比較し、苦味を評価した。
◎:カカオ原料未配合のゼリー飲料と同様の苦味である。
〇:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、若干苦味が感じられるが問題ない範囲である。
△:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、苦味が感じられるが、許容範囲の品質である。
×:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、明らかに苦く、許容範囲を超え、ゼリー飲料として違和感を覚える。
渋味の官能評価
コントロール(カカオ原料未配合)と比較し、渋味を評価した。
◎:カカオ原料未配合のゼリー飲料と同様の渋味である。
〇:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、若干渋味が感じられるが問題ない範囲である。
△:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、渋味が感じられるが、許容範囲の品質である。
×:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、明らかに渋く、許容範囲を超え、ゼリー飲料として違和感を覚える。
コントロール(カカオ原料未配合)と比較し、渋味を評価した。
◎:カカオ原料未配合のゼリー飲料と同様の渋味である。
〇:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、若干渋味が感じられるが問題ない範囲である。
△:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、渋味が感じられるが、許容範囲の品質である。
×:カカオ原料未配合のゼリー飲料と比較すると、明らかに渋く、許容範囲を超え、ゼリー飲料として違和感を覚える。
なおいずれの項目においても、◎、〇又は△であれば課題を解決しているといえる。
(カカオポリフェノール含有量の測定)
配合原料中のポリフェノール含有量を、前述の「ポリフェノール含有量の測定方法」にしたがって測定した。配合原料中のプロシアニジン含有量を、前述の「プロシアニジン含有量の測定方法」にしたがって測定した。
配合原料中のポリフェノール含有量を、前述の「ポリフェノール含有量の測定方法」にしたがって測定した。配合原料中のプロシアニジン含有量を、前述の「プロシアニジン含有量の測定方法」にしたがって測定した。
またゼリー飲料中のポリフェノール含有量は、下記の前処理を行った後の試料について、前述の「ポリフェノール含有量の測定方法」にしたがって測定して測定値Aを得て、またポリフェノール含有素材を差し引いて製造した対照ゼリー飲料について同様に測定を行い、測定値Bを得て、下式により求めた。
ゼリー飲料中のポリフェノール含有量(mg/g)=測定値A(mg/g)-測定値B(mg/g)
ゼリー飲料中のプロシアニジン含有量は、下記の前処理を行った後、得られた試料について前述の「プロシアニジン含有量の測定方法」にしたがって測定し、測定値Aを得て、またポリフェノール含有素材を差し引いて製造した対照ゼリー飲料について同様に測定を行い、測定値Bを得て、下式により求めることができる。
ゼリー飲料中のプロシアニジン含有量(mg/g)=測定値A(mg/g)-測定値B(mg/g)
前処理
(1) 凍結乾燥機を用いてサンプルを乾燥させた。
(2) ミルを用いて粉砕した。
(1) 凍結乾燥機を用いてサンプルを乾燥させた。
(2) ミルを用いて粉砕した。
(結果)
<未破砕カカオ豆細胞を含有する組成物(カカオ組成物)の製造、分析>
下記を準備・製造した。
(カカオ豆原料A)
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆を、原料Aとして、以下で用いた。
下記を準備・製造した。
(カカオ豆原料A)
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆を、原料Aとして、以下で用いた。
(カカオ豆原料B)
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥したものを、原料Bとして、以下で用いた。
カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥したものを、原料Bとして、以下で用いた。
(比較例)
従来の発酵、乾燥、ロースト、及び磨砕工程を経て、従来のカカオ豆加工品としてのカカオマスを調製した。また、このカカオマスを、従来の油圧プレス機で処理して、油分12%又は油分22%のココアパウダーを調製した。
従来の発酵、乾燥、ロースト、及び磨砕工程を経て、従来のカカオ豆加工品としてのカカオマスを調製した。また、このカカオマスを、従来の油圧プレス機で処理して、油分12%又は油分22%のココアパウダーを調製した。
(カカオ組成物)
原料A、又はBを用い、加熱処理工程、シェル剥離工程、及び破砕工程(裏ごし工程)を経て、カカオ豆加工品A1(原料A使用、32メッシュによる裏ごし品)、A2(原料A使用、32メッシュ及び60メッシュによる裏ごし品)、B1(原料B使用、32メッシュによる裏ごし品)、B2(原料B使用、32メッシュ及び60メッシュによる裏ごし品)を得た。
原料A、又はBを用い、加熱処理工程、シェル剥離工程、及び破砕工程(裏ごし工程)を経て、カカオ豆加工品A1(原料A使用、32メッシュによる裏ごし品)、A2(原料A使用、32メッシュ及び60メッシュによる裏ごし品)、B1(原料B使用、32メッシュによる裏ごし品)、B2(原料B使用、32メッシュ及び60メッシュによる裏ごし品)を得た。
それぞれの工程は、下記のように実施した。
(加熱処理工程)
(1) 鍋に、原料カカオ豆の重量の5倍重量の水を入れ、沸騰させる。
(2) (1)に原料カカオ豆を入れ、原料Aは30分間、原料Bは1時間煮る。
(3) ザルにカカオ豆をあけて、水を切る。
なお、ボイル時の水の量は、5倍量でも20倍量でもポリフェノール残存率に違いはなく、ボイル時間は、ポリフェノール残存率に影響を与えることが分かった。
(1) 鍋に、原料カカオ豆の重量の5倍重量の水を入れ、沸騰させる。
(2) (1)に原料カカオ豆を入れ、原料Aは30分間、原料Bは1時間煮る。
(3) ザルにカカオ豆をあけて、水を切る。
なお、ボイル時の水の量は、5倍量でも20倍量でもポリフェノール残存率に違いはなく、ボイル時間は、ポリフェノール残存率に影響を与えることが分かった。
(シェル剥離工程)
手作業にて、カカオ豆からシェルを剥離する。
手作業にて、カカオ豆からシェルを剥離する。
(破砕工程(裏ごし工程))
(1) 篩(32メッシュ、目開き500μm)で裏ごしする。
(2) 必要に応じ、(1)を篩(60メッシュ、目開き250μm)でさらに裏ごしする。
(1) 篩(32メッシュ、目開き500μm)で裏ごしする。
(2) 必要に応じ、(1)を篩(60メッシュ、目開き250μm)でさらに裏ごしする。
(ポリフェノール含有量の測定)
ポリフェノール含有量は、上述のフォーリンチオカルト法で測定した。
ポリフェノール含有量は、上述のフォーリンチオカルト法で測定した。
ポリフェノール残存率は、原料Aを用いた場合は、カカオポッドから取り出した生豆のポリフェノール総量を100%として算出した。また、原料Bを用いた場合は、カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥させたカカオ豆のポリフェノール総量を100%として算出した。
(プロシアニジンの測定)
プロシアニジンは、上述のようにHPLCで定量した。
プロシアニジンは、上述のようにHPLCで定量した。
プロシアニジン残存率は、原料Aを用いた場合は、カカオポッドから取り出した生豆のプロシアニジン含有量を100%として算出した。また、原料Bを用いた場合は、カカオポッドから取り出したパルプ付きカカオ豆のパルプを除去し、乾燥させたカカオ豆のプロシアニジン含有率を100%として算出した。
(フリーファットの測定)
フリーファットは、下記の方法で測定した。
(1) サンプル約5g(a)を50ml遠沈管に入れる
(2) n-ヘキサン25mlを加える
(3) 130回/分×3分間、振幅4cmで振とう
(4) 3000rpm,4℃,10分間遠心分離
(5) 100ml三角フラスコの重量(b)を測定
(6) 上記(4)の上澄をろ紙上に移してろ過し、100ml三角フラスコでろ液を回収
(7) 窒素ガスを吹き付けてn-ヘキサンを蒸発させる
(8) 真空定温乾燥機にて、98℃、減圧下で4時間保持し、n-ヘキサンを蒸発させる
(9) デシケーター内で空冷後、三角フラスコの重量(c)を測定
フリーファットは、下記の方法で測定した。
(1) サンプル約5g(a)を50ml遠沈管に入れる
(2) n-ヘキサン25mlを加える
(3) 130回/分×3分間、振幅4cmで振とう
(4) 3000rpm,4℃,10分間遠心分離
(5) 100ml三角フラスコの重量(b)を測定
(6) 上記(4)の上澄をろ紙上に移してろ過し、100ml三角フラスコでろ液を回収
(7) 窒素ガスを吹き付けてn-ヘキサンを蒸発させる
(8) 真空定温乾燥機にて、98℃、減圧下で4時間保持し、n-ヘキサンを蒸発させる
(9) デシケーター内で空冷後、三角フラスコの重量(c)を測定
サンプル重量中のフリーファット含有率(%)=(c-b)/a×100
油分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/a中の油分×100
固形分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/(a-a中の水分)×100
油分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/a中の油分×100
固形分あたりのフリーファット含有率(%)=<x>/(a-a中の水分)×100
(油のしみ出しの比較観察)
原料Aの60メッシュ裏ごし処理品(カカオ豆加工品A2)、カカオマス、及び融解させた市販のミルクチョコレートをそれぞれマイクロチューブにおよそ2g測り取り、遠心分離(16,000rpm、10分間)した後、各材料からの油の分離を目視で観察した。
原料Aの60メッシュ裏ごし処理品(カカオ豆加工品A2)、カカオマス、及び融解させた市販のミルクチョコレートをそれぞれマイクロチューブにおよそ2g測り取り、遠心分離(16,000rpm、10分間)した後、各材料からの油の分離を目視で観察した。
(構造観察)
下記の手順で、マイクロスコープにより観察した。
(1) サンプルをスライドガラスに載せる
(2) n-ヘキサンを滴下する
(3) メチレンブルー溶液を滴下する
(4) ヨウ素液を滴下する
(5) マイクロスコープにて観察
下記の手順で、マイクロスコープにより観察した。
(1) サンプルをスライドガラスに載せる
(2) n-ヘキサンを滴下する
(3) メチレンブルー溶液を滴下する
(4) ヨウ素液を滴下する
(5) マイクロスコープにて観察
また、下記の手順で、共焦点顕微鏡により観察した。
(1) サンプルをスライドガラスに載せる
(2) Nile Mix染色液を滴下する
(3) カバーガラスを載せる
(4) 共焦点顕微鏡にて観察
(1) サンプルをスライドガラスに載せる
(2) Nile Mix染色液を滴下する
(3) カバーガラスを載せる
(4) 共焦点顕微鏡にて観察
Nile Mix染色液:1,2-Propanediolに2%超純水を入れて混合し、溶媒を調製する。Nile Red 0.02g 及び Nile Blue A 0.01gを前記溶媒に入れて1Lに調整した後、1時間以上撹拌混合する。
(未破砕細胞の割合の測定)
下記の手順で、未破砕細胞の割合を測定・算出した。
(1) 測定試料0.03gをコニカルチューブに入れて、2mlの超純水を加えて撹拌し、さらに0.5mlの0.01%メチレンブルー溶液(メチレンブルー三水和物(分子式 : C16H18N3SCl・3H2O 分子量 : 373.90)を超純水にて溶解、希釈し、0.01%(w/v)のメチレンブルー溶液 とする)を加えて撹拌した後、スライドガラスに滴下し、カバーガラスを載せてマイクロスコープで観察する(倍率:450倍)。
(2) 前記画像を画像解析ソフト「ImageJ」(フリーソフト、以下URLからダウンロードが可能:https://imagej.net/Welcome、バージョン1.50)を用いて、以下の「エリア面積(A)」、「破砕細胞数(B)」を得る。
エリア面積(A):画像を二値化(make binary)した後に、「Analyze」機能を用いることにより「Area」として解析される。なお、二値化した際に、光の加減で空洞になってしまった部分については「fill holes」により埋めて解析した。
破砕細胞数(B):「Cell Counter」機能により、画像から目視で破砕されている細胞を選択して手動でカウントする。
(3) 一つの未破砕細胞面積(C)については、細胞を半径10μmの円とした概算値とすることにより算出する(10×10×3.14=314μm2)。
(4) エリア面積(A)を一つの未破砕細胞面積(C)で除して全細胞数(D)を得る。
カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)は、以下の式により算出する。全細胞数(D)が100~300の範囲であるエリアを5以上について値を算出し、平均値を求める。
下記の手順で、未破砕細胞の割合を測定・算出した。
(1) 測定試料0.03gをコニカルチューブに入れて、2mlの超純水を加えて撹拌し、さらに0.5mlの0.01%メチレンブルー溶液(メチレンブルー三水和物(分子式 : C16H18N3SCl・3H2O 分子量 : 373.90)を超純水にて溶解、希釈し、0.01%(w/v)のメチレンブルー溶液 とする)を加えて撹拌した後、スライドガラスに滴下し、カバーガラスを載せてマイクロスコープで観察する(倍率:450倍)。
(2) 前記画像を画像解析ソフト「ImageJ」(フリーソフト、以下URLからダウンロードが可能:https://imagej.net/Welcome、バージョン1.50)を用いて、以下の「エリア面積(A)」、「破砕細胞数(B)」を得る。
エリア面積(A):画像を二値化(make binary)した後に、「Analyze」機能を用いることにより「Area」として解析される。なお、二値化した際に、光の加減で空洞になってしまった部分については「fill holes」により埋めて解析した。
破砕細胞数(B):「Cell Counter」機能により、画像から目視で破砕されている細胞を選択して手動でカウントする。
(3) 一つの未破砕細胞面積(C)については、細胞を半径10μmの円とした概算値とすることにより算出する(10×10×3.14=314μm2)。
(4) エリア面積(A)を一つの未破砕細胞面積(C)で除して全細胞数(D)を得る。
カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)は、以下の式により算出する。全細胞数(D)が100~300の範囲であるエリアを5以上について値を算出し、平均値を求める。
カカオ豆細胞中の未破砕細胞の割合(%)=(D-B)/D×100
(粒度分布)
粒度分布計(レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所))にて測定した。図面の縦軸は、各粒子径の体積分布が全体の体積に占める割合を示す相対粒子量を%で示し、横軸は粒子径をμmで示した。
粒度分布計(レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所))にて測定した。図面の縦軸は、各粒子径の体積分布が全体の体積に占める割合を示す相対粒子量を%で示し、横軸は粒子径をμmで示した。
(水分)
水分は、日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foodlabeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 5.炭水化物 イ 水分 (3)減圧加熱乾燥法に従って測定した。
水分は、日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foodlabeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 5.炭水化物 イ 水分 (3)減圧加熱乾燥法に従って測定した。
(油分)
油分は、日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 2.脂質 (1)エーテル抽出法に従って測定した。
油分は、日本国消費者庁Webページの「別添 栄養表示関係」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/foods_index_18_180119_0003.pdf)における「別添 栄養成分等の分析方法等」 2.脂質 (1)エーテル抽出法に従って測定した。
(結果)
測定結果を下表に示した。
測定結果を下表に示した。
従来のカカオ豆加工品であるカカオマスやココアパウダーは、含有する油分に対するフリーファットの割合が70%以上であるのに対して、カカオ組成物(表中のカカオ豆加工品A1~B2を指す。)は30%以下であり、著しく低かった。
また、ポリフェノール残存率は、従来のカカオ豆加工品であるカカオマスは40~51%であるのに対して、カカオ組成物では70%以上であり、従来の加工法により得られる素材に対して著しく高い残存率を有していた。プロシアニジン残存率も、従来のカカオ豆加工品であるカカオマスは16~21%であるのに対して、カカオ組成物では70%以上であり、従来の加工法により得られる素材に対して著しく高い残存率を有していた。
マイクロスコープによる観察では、加熱処理後のカカオ豆は、細胞膜が残存し、細胞内部に水分を含んで膨張した澱粉粒の存在が確認できた(図1b)。加熱処理後に破砕されたカカオ組成物についても、細胞膜が残存し、細胞内の成分は保持されていた(図1c)。一方、カカオマスは、細胞膜が破砕されて、細胞内部の成分が放出されていた(図1d)。
また、共焦点顕微鏡観察では、未加工のカカオ豆では、細胞内に脂質が存在することが確認でき、カカオ組成物では、タンパク質と脂質の所在が同じであることから、細胞が破砕されず、細胞内に脂質がとどまっていることが確認できた。一方、カカオマスは、タンパク質と脂質の所在が異なることから(図2c)、細胞が破砕されて細胞内に存在した脂質やタンパク質が放出されていた。
また、未破砕細胞の割合(未破砕細胞率)を算出した結果を、下表に示した。
カカオ豆加工品B2のカカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞の割合を上表に基づき平均値として算出したところ、74.7%であった。
粒度分布では、カカオマスは、粒子径が5~10μmの範囲にピークを有していた(図3b)一方で、カカオ組成物(カカオ豆加工品A2、60メッシュ裏ごし品)は、カカオマスとは異なり、粒子径がほぼ20μm以上であり、大きな粒子径を有していた(図3a)。図3aにおいて、粒子の100%が10μm~1.5mmの範囲内に含まれていたことから、カカオ豆加工品A2の粒度分布は10μm~1.5mmの範囲内であった。
なお、カカオ組成物(図3a)のメディアン径は318.8μm、モード径は391.7μm、平均径は269.9μmであった。カカオマス(図3b)のメディアン径は7.4μm、モード径は7.5μm、平均径は6.8μmであった。
また、油のしみ出しに関しては、カカオマス、及び融解させた市販のミルクチョコレートについては分離した油が観察されたが、カカオ豆加工品A2には油の分離が見られなかった(図4)。
<破断強度の測定>
加熱したカカオ豆の破断強度を測定した。
加熱したカカオ豆の破断強度を測定した。
(材料及び方法)
サンプルA~Dの調製手順を下記に示した。
A:未発酵乾燥カカオ豆
未発酵豆(乾燥豆)を減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
B:未発酵ローストカカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)をロースターにて126℃、40分ロースト
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
C:未発酵ボイル(1時間)乾燥カカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)を沸騰水にて1時間ボイル
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
D:未発酵ボイル(2時間)乾燥カカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)を沸騰水にて2時間ボイル
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
サンプルA~Dの調製手順を下記に示した。
A:未発酵乾燥カカオ豆
未発酵豆(乾燥豆)を減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
B:未発酵ローストカカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)をロースターにて126℃、40分ロースト
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
C:未発酵ボイル(1時間)乾燥カカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)を沸騰水にて1時間ボイル
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
D:未発酵ボイル(2時間)乾燥カカオ豆
(1) 未発酵豆(乾燥豆)を沸騰水にて2時間ボイル
(2) 減圧乾燥機にて100℃、4時間乾燥
破断強度は、下記の条件により測定した。
・使用機器:FUDOH社レオメーターRTC-3010D-CW
・S.ADJ(進入深度):4.0mm
・T.SPEED(進入速度):2cm/min
・プランジャー:直径3mm円柱状
・測定方法:各サンプル(ホールカカオ豆)を架台の中心部に設置し、サンプル温度は22~24℃にて測定した。
・使用機器:FUDOH社レオメーターRTC-3010D-CW
・S.ADJ(進入深度):4.0mm
・T.SPEED(進入速度):2cm/min
・プランジャー:直径3mm円柱状
・測定方法:各サンプル(ホールカカオ豆)を架台の中心部に設置し、サンプル温度は22~24℃にて測定した。
(結果)
結果を下表及び図5に示した。
結果を下表及び図5に示した。
ボイル加熱により、カカオ豆の破断強度が著しく小さくなった。また、ボイル時間を長くすることにより、破断強度が小さくなった。
ポリフェノール高含有の飲料を調製する場合、従来のポリフェノール含有素材(カカオエキスパウダー等)を飲料の原材料として配合すると、風味品質が良好でない。しかし、本発明により風味品質が良好であるポリフェノール高含有の飲料の調製が可能となる。
Claims (6)
- 以下の(a)~(d)のいずれかのカカオ組成物を含有する、飲料、又はその飲料を調製するための調製物:
(a)粒度分布が10μm~1.5mmの範囲内にあり、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物、
(b)油分あたりのフリーファット含有率が60重量%以下であるカカオ組成物、
(c)カカオ豆細胞中の未破砕カカオ豆細胞が30%以上であるカカオ組成物、
(d)破断強度が3kgf以下である、未破砕カカオ豆細胞を含有するカカオ組成物。 - ポリフェノール含有量が0.01重量%以上である、請求項1に記載の飲料、又は調製物。
- ポリフェノール含有量が0.5重量%以上である、請求項1に記載の飲料、又は調製物。
- プロシアニジン含有量が0.02重量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
- 原料中のカカオ組成物の配合量が1~40重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料、又は調製物。
- 原料中のカカオ組成物の配合量が1~40重量%である、請求項4に記載の飲料、又は調製物。
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JP2022064087A Pending JP2022161034A (ja) | 2021-04-07 | 2022-04-07 | カカオ組成物を含有する飲料 |
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- 2022-04-07 JP JP2022064087A patent/JP2022161034A/ja active Pending
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