JP2022160297A - スイッチング素子を制御する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイッチング素子の制御において、類型の異なる異常をそれぞれ検出する。【解決手段】スイッチング素子14を制御する装置22に具現化される。この装置は、スイッチング素子のゲート電圧Vgを制御して、スイッチング素子のスイッチング動作を制御するゲート駆動回路30と、スイッチング素子のゲート電圧と通電電流Ic、Vsとに基づいて、スイッチング素子に接続された回路4、12の異常を検出する異常検出回路32とを備える。異常検出回路32は、第1異常検出回路40と第2異常検出回路50とを有する。第1異常検出回路は、通電電流が第1電流閾値Vthsを超えている状態で、ゲート電圧が第1電圧閾値Vthgを超えたときに、第1異常検出信号F1を出力する。第2異常検出回路は、ゲート電圧が第2電圧閾Vthgを超えている状態で、通電電流が第2電流閾値Vthsを超えたときに、第2異常検出信号F2を出力する。【選択図】図2
Description
本明細書に開示される技術は、スイッチング素子を制御する装置に関する。
特許文献1に、電源から負荷への供給電力を制御する電力変換回路において、絶縁ゲート型のスイッチング素子を制御する装置が記載されている。この装置では、スイッチング素子のゲート電圧と、スイッチング素子の通電電流とに基づいて、スイッチング素子に接続された回路の異常を検出する異常検出回路が設けられている。異常検出回路は、第1類型の異常を検出する第1異常検出回路と、第2類型の異常を検出する第2異常検出回路とを有する。ここでいう第1類型の異常とは、直列に接続された二つのスイッチング素子の一方が短絡故障している状態で、他方のスイッチング素子がターンオンされた状態であり、特許文献1では「短絡」と称されている。一方、第2類型の異常とは、モータといった負荷の内部で短絡故障している状態で、いくつかのスイッチング素子がターンオンされた状態であり、特許文献1では「過電流」と称されている。
第1異常検出回路は、通電電流が第1電流閾値を超えるとともに、ゲート電圧が第1電圧閾値を超えたときに、第1異常検出信号を出力するように構成されている。同様に、第2異常検出回路は、通電電流が第2電流閾値を超えるとともに、ゲート電圧が第2電圧閾値を超えたときに、第2異常検出信号を出力するように構成されている。ここで、「過電流」を検出するための第2電流閾値には、「短絡」を検出するための第1電流閾値よりも、小さな電流値が設定されている。そのため、第2異常検出回路では、ノイズに起因する第2異常検出信号の誤出力が生じやすい。従って、第2異常検出信号に対しては、高周波のノイズ成分を除去するノイズフィルタが設けられている。
通常、第1電流閾値及び第2電流閾値は、スイッチング素子の性能が無用に制限されないように、スイッチング素子の定格電流よりも大きな値に設定されることが好ましい。その一方で、第1電流閾値及び第2電流閾値は、スイッチング素子の故障を回避するために、スイッチング素子の飽和電流よりも小さな値に設定する必要がある。この点に関して、例えば、近年の小型化されたスイッチング素子では、定格電流から飽和電流までのマージンが比較的に小さくなっており、そのような狭いマージンのなかでは、第1電流閾値と第2電流閾値との間に十分な差を設けることが難しくなっている。この場合、第1電流閾値と第2電流閾値とが実質的に等しくなってしまい、第2異常検出回路だけでなく、第1異常検出回路においても、ノイズに起因する誤検出が同様に生じてしまう。これに対して、第1異常検出回路にもノイズフィルタを設けることが考えられる。しかしながら、第1異常検出回路と第2異常検出回路との二つの回路が、実質的に同じ構成となってしまい、「短絡」や「過電流」といった異なる類型の異常を、それぞれ適切に検出することができなくなる。
上記を鑑み、本明細書は、スイッチング素子の制御において、類型の異なる異常をそれぞれ検出するための新たな技術を提供する。
本明細書が開示する技術は、電源(2)から負荷(4)への供給電力を制御する絶縁ゲート型のスイッチング素子(14)を制御する装置(22)に具現化される。この装置は、前記スイッチング素子のゲート電圧(Vg)を制御して、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御するゲート駆動回路(30)と、前記スイッチング素子の前記ゲート電圧と、前記スイッチング素子の通電電流(Ic、Vs)とに基づいて、前記スイッチング素子に接続された回路(4、12)の異常を検出する異常検出回路(32)とを備える。前記異常検出回路(32)は、第1異常検出回路(40;140)と第2異常検出回路(50;250)とを有する。第1異常検出回路は、前記通電電流が第1電流閾値(Vths;Vths1)を超えている状態で、前記ゲート電圧が第1電圧閾値(Vthg;Vthg1)を超えたときに、第1異常検出信号(F1)を出力する。第2異常検出回路は、前記ゲート電圧が第2電圧閾値(Vthg;Vthg2)を超えている状態で、前記通電電流が第2電流閾値(Vths;Vths2)を超えたときに、第2異常検出信号(F2)を出力する。
上記した装置では、異常検出回路が、スイッチング素子のゲート電圧と、スイッチング素子の通電電流とに基づいて、スイッチング素子に接続された回路の異常を検出する。異常検出回路は、第1異常検出回路と第2異常検出回路とを有する。第1検出回路は、通電電流が第1電流閾値を超えている状態で、ゲート電圧が第1電圧閾値を超えたときに、第1異常検出信号を出力する。即ち、最初に通電電流が第1電流閾値を超過し、その後にゲート電圧が第1電圧閾値を超過したときに、第1異常検出信号が出力される。一方、第2異常検出回路は、ゲート電圧が第2電圧閾値を超えている状態で、通電電流が第2電流閾値を超えたときに、第2異常検出信号を出力する。即ち、最初にゲート電圧が第2電圧閾値を超過し、その後に通電電流が第2電流閾値を超過したときは、第2異常検出信号が出力される。
このように、本明細書が開示する技術では、通電電流やゲート電圧といった指標を、それぞれの閾値と単に比較するだけでなく、それらの指標が各自の閾値を超えたタイミングの先後をさらに考慮する。これは、通電電流が上昇するタイミングや速度と、ゲート電圧が上昇するタイミングや速度が、異常の類型によって異なるという知見に立脚している。これにより、第1電流閾値と第2電流閾値との間や、第1電圧閾値と第2電圧閾値との間に、大きな差を必ずしも設けることなく、類型の異なる異常をそれぞれ検出することができる。
本技術の一実施形態において、前記異常検出回路は、前記第1異常検出回路による前記第1異常検出信号から、第1周期(TD1)未満の変動成分を除去する第1ノイズフィルタ(62)と、前記第2異常検出回路による前記第2異常検出信号から、前記第1周期よりも長い、第2周期(TD2)未満の変動成分を除去する第2ノイズフィルタ(64)とをさらに備えてもよい。このような構成によると、第1異常検出回路と第2異常検出回路とのそれぞれが検出すべき異常の類型に応じて、それぞれの異常検出回路に適切なノイズフィルタを個別に設けることができる。
本技術の一実施形態において、前記第2電流閾値は、前記第1電流閾値と等しい値であってもよい。加えて、又は代えて、前記第2電圧閾値は、前記第2電圧閾値と等しい値であってもよい。本技術によると、二つの異常検出回路の間で同じ閾値を採用しても、類型の異なる異常をそれぞれ検出することができる。そして、二つの異常検出回路の間で同じ閾値を採用すれば、例えば二つの異常検出回路の一部を共通化することによって、構成の簡素化を図ることができる。
本技術の一実施形態において、前記第1異常検出回路(40)及び第2異常検出回路(50)は、前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第1電流閾値(Vths)を超えているときに、電流判定信号(Cs)を出力する電流モニタ回路(42)と、前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第1電圧閾値(Vthg)を超えているときに、電圧判定信号(Cv)を出力する電圧モニタ回路(44)とを共有してもよい。このように、二つの異常検出回路の間で、電流モニタ回路及び電圧モニタ回路を共有させることによって、構成の簡素化を図ることができる。
本技術の一実施形態において、前記第1異常検出回路は、前記電圧モニタ回路による前記電圧判定信号の立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号(Ev)を一時的に出力する電圧エッジ検出回路(46)と、前記電流モニタ回路による前記電流判定信号と、前記電圧エッジ検出回路による前記電圧エッジ検出信号とに基づいて、前記第1異常検出信号を出力する第1判定回路(48)とをさらに有してもよい。このような構成によると、第2異常検出回路によって検出されるべき類型の類型が、第1異常検出回路によって意図せず検出されることを回避又は抑制することができる。
上記の実施形態において、前記電圧エッジ検出回路は、前記電圧判定信号が入力される第1D型フリップフロップ回路(70)と、前記第1D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第2D型フリップフロップ回路(72)と、前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第1反転回路(74)と、前記第1反転回路の出力信号と、前記第1D型フリップフロップ回路の前記出力信号とが入力されて、前記電圧エッジ検出信号を出力する第1論理和回路(76)とを有してもよい。このような構成によると、電圧判定信号の立ち上がりに応じて、電圧エッジ検出信号を1クロック周期だけ出力する電圧エッジ検出回路を、簡素な論理回路で構成することができる。
上記の実施形態において、前記電圧エッジ検出回路は、前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第3D型フリップフロップ回路(273)をさらに有してもよい。この場合、前記第1反転回路(74)には、前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号に代えて、前記第3D型フリップフロップ回路の出力信号が入力されてもよい。このような構成によると、電圧判定信号の立ち上がりに応じて、電圧エッジ検出信号を2クロック周期だけ出力する電圧エッジ検出回路を、簡素な論理回路で構成することができる。
本技術の一実施形態において、前記第2異常検出回路は、前記電流モニタ回路による前記電流判定信号の立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号(Es)を一時的に出力する電流エッジ検出回路(56)、及び、前記電圧モニタ回路による前記電圧判定信号と、前記電流エッジ検出回路による前記エッジ検出信号とに基づいて、前記第2異常検出信号を出力する第2判定回路(58)、をさらに有してもよい。このような構成によると、第1異常検出回路によって検出されるべき類型の類型が、第2異常検出回路によって意図せず検出されることを回避又は抑制することができる。
本技術の一実施形態において、前記電流エッジ検出回路は、前記電流判定信号が入力される第4D型フリップフロップ回路(80)と、前記第4D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第5D型フリップフロップ回路(82)と、前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第2反転回路(84)と、前記第2反転回路の出力信号と、前記第5D型フリップフロップ回路の前記出力信号とが入力されて、前記電流エッジ検出信号を出力する第2論理和回路(86)とを有してもよい。このような構成によると、電流判定信号の立ち上がりに応じて、電流エッジ検出信号を1クロック周期だけ出力する電流エッジ検出回路を、簡素な論理回路で構成することができる。
上記の実施形態において、前記電流エッジ検出回路は、前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第6D型フリップフロップ回路(273)をさらに有してもよい。この場合、前記第2反転回路(74)には、前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号に代えて、前記第6D型フリップフロップ回路の出力信号が入力されてもよい。このような構成によると、電流判定信号の立ち上がりに応じて、電流エッジ検出信号を2クロック周期だけ出力する電流エッジ検出回路を、簡素な論理回路で構成することができる。
本技術の一実施形態において、前記第3の閾値は、前記第1の閾値と異なる値であってもよい。加えて、又は代えて、前記第4の閾値は、前記第2の閾値と異なる値であってもよい。このように、本技術では、二つの異常検出回路に対して、異なる閾値を採用することもできる。
本技術の一実施形態において、前記第1異常検出回路(140)は、前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第1電流閾値(Vths1)を超えているときに、第1電流判定信号(Cs1)を出力する第1電流モニタ回路(142)と、前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第1電圧閾値(Vthg1)を超えているときに、第1電圧判定信号(Cv1)を出力する第1電圧モニタ回路(144)とを有してもよい。加えて、又は代えて、前記第2異常検出回路(150)は、前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第2電流閾値(Vths2)を超えているときに、第2電流判定信号(Cs2)を出力する第2電流モニタ回路(152)と、前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第2電圧閾値(Vthg2)を超えているときに、第2電圧判定信号(Cv2)を出力する第2電圧モニタ回路(154)とを有してもよい。このように、二つの異常検出回路に対して、異なる閾値を採用する場合は、二つの異常検出回路のそれぞれに、電流モニタ回路及び電圧モニタ回路を個別に設けてもよい。
本技術の一実施形態において、前記第1異常検出回路は、前記第1電圧モニタ回路による前記第1電圧判定信号の立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号(Ev)を一時的に出力する電圧エッジ検出回路(146)と、前記第1電流モニタ回路による前記第1電流判定信号と、前記電圧エッジ検出回路による前記電圧エッジ検出信号とに基づいて、前記第1異常検出信号を出力する第1判定回路(148)とをさらに有してもよい。このような構成によると、第2異常検出回路によって検出されるべき類型の類型が、第1異常検出回路によって意図せず検出されることを回避又は抑制することができる。
本技術の一実施形態において、前記第2異常検出回路は、前記第2電流モニタ回路による前記第2電流判定信号の立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号(Es)を一時的に出力する電流エッジ検出回路(156)と、前記第2電圧モニタ回路による前記第2電圧判定信号と、前記電流エッジ検出回路による前記電流エッジ検出信号とに基づいて、前記第2異常検出信号を出力する第2判定回路(158)とをさらに有してもよい。このような構成によると、第1異常検出回路によって検出されるべき類型の類型が、第2異常検出回路によって意図せず検出されることを回避又は抑制することができる。
(実施例1) 図面を参照して、実施例1の電力変換装置10について説明する。図1に示すように、電力変換装置10は、バッテリ2からモータ4への供給電力を調節する装置である。電力変換装置10は、例えば、電力制御ユニットとも称される。特に限定されないが、本実施例の電力変換装置10は、電動車両に採用され、再充電可能なバッテリ2から、車輪を駆動する走行用のモータ4への供給電力を調節する。但し、電力変換装置10は、電動車両に限られず、様々な電気機器や設備に採用されることができる。この場合、電源についてはバッテリ2に限定されず、負荷についてもモータ4に限定されない。
電力変換装置10は、電力変換回路12と制御ユニット20とを備える。電力変換回路12は、バッテリ2とモータ4との間へ、電気的に介装されている。即ち、バッテリ2は、電力変換回路12を介して、モータ4へ電気的に接続されている。電力変換回路12は、複数のスイッチング素子14を備える。各々のスイッチング素子14は、絶縁ゲート型のスイッチング素子である。各々のスイッチング素子14は、ゲート端子14gを有しており、ゲート端子14gに印加されるゲート電圧に応じてターンオン及びターンオフされる。また、スイッチング素子14は、センス端子14sをさらに有する。詳しくは後述するが、センス端子14sは、スイッチング素子14に流れる通電電流の大きさを示すセンス電圧を出力する。
一例ではあるが、本実施例におけるスイッチング素子14は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタである。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタは、一般にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とも称される。但し、スイッチング素子14は、IGBTに限られず、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)といった、絶縁ゲート型の電界効果トランジスタであってもよい。各々のスイッチング素子14には、還流ダイオード16が逆並列の向きで接続されている。なお、還流ダイオード16は、スイッチング素子14に内蔵されていてもよい。
電力変換回路12の具体的な構成については、特に限定されない。一例として、本実施例における電力変換回路12は、三相インバータ回路であって、六つのスイッチング素子14を有する。各々のスイッチング素子14は、バッテリ2の正極又は負極と、モータ4のU相端子4u、V相端子4v又はW相端子4wのいずれかとの間を、電気的に接続及び遮断する。この種の三相インバータ回路では、各々のスイッチング素子14に対して、他の一つのスイッチング素子14が、バッテリ2の両極間で直列に接続されている。なお、電力変換回路12は、三相インバータ回路に限定されず、例えばDC-DCコンバータ回路であってもよい。
制御ユニット20は、複数のゲートドライバ22と、プロセッサ24とを有する。複数のゲートドライバ22の各々は、対応する一つのスイッチング素子14に接続されており、当該スイッチング素子14のスイッチング動作を制御する。制御ユニット20は、各々のゲートドライバ22と通信可能に接続されている。制御ユニット20は、各々のゲートドライバ22へ動作指令を与えたり、各々のゲートドライバ22から動作状態を示す信号を受信する。制御ユニット20が受信する信号には、後述する異常信号FAILが含まれる。
図2に示すように、ゲートドライバ22は、ゲート駆動回路30と、異常検出回路32とを備える。ゲート駆動回路30は、スイッチング素子14のゲート端子14gに接続されている。ゲート駆動回路30は、制御ユニット20から受信するゲート駆動信号Sgに応じて、スイッチング素子14のゲート電圧Vgを制御する。これにより、ゲート駆動信号Sgに応じて、スイッチング素子14のスイッチング動作が制御される。異常検出回路32は、スイッチング素子14のゲート端子14g及びセンス端子14sに接続されている。異常検出回路32は、スイッチング素子14のゲート電圧Vgと、スイッチング素子14の通電電流Icの大きさを示すセンス電圧vsとに基づいて、電力変換回路12やモータ4の異常を検出する。異常検出回路32による検出結果は、前述した異常信号FAILとして、制御ユニット20に送信される。
ここで、スイッチング素子14のセンス端子14sについて説明する。センス端子14sは、スイッチング素子14の通電電流Icに比例するセンス電流を出力する。センス端子14sには、センス抵抗14rが接続されており、これによって、通電電流Icに対応するセンス電圧Vsが生成される。なお、スイッチング素子14の通電電流Icを検出する態様は、これに限定されない。即ち、スイッチング素子14は、センス端子14sを必ずしも有さなくてもよい。
異常検出回路32は、第1異常検出回路40と、第2異常検出回路50と、第1フィルタ回路62と第2フィルタ回路64と、異常信号出力回路66とを有する。第1異常検出回路40は、通電電流Icを示すセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超えている状態で、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたときに、第1異常検出信号F1を出力する。第2異常検出回路50は、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えている状態で、通電電流Icを示すセンス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたときに、第2異常検出信号F2を出力する。上記の構成によると、第1異常検出回路40は、第1類型の異常である「短絡」を検出することができ、第2異常検出回路50は、第2類型の異常である「過電流」を検出することができる。この点について、後段において詳細に説明する。
第1フィルタ回路62は、第1異常検出回路40による第1異常検出信号F1から、第1周期未満の変動成分を除去するノイズフィルタである。第2フィルタ回路64は、第2異常検出回路50による第2異常検出信号F2から、第1周期よりも長い、第2周期未満の変動成分を除去するノイズフィルタである。前述したように、第1異常検出回路40と第2異常検出回路50は、互い異なる類型の異常を検出するように構成されている。そのことから、本実施例のゲートドライバ22では、第1異常検出回路40と第2異常検出回路50とのそれぞれに、検出すべき異常の類型に合わせたノイズフィルタが個別に設けられている。
異常信号出力回路66は、第1フィルタ回路62及び第2フィルタ回路64に接続されており、第1フィルタ回路62を通過した第1異常検出信号F1と、第2フィルタ回路64を通過した第2異常検出信号F2を受信する。そして、異常信号出力回路66は、第1異常検出信号F1又は第2異常検出信号F2を受信したときに、異常信号FAILを生成して、プロセッサ24へ送信する。このとき、異常信号出力回路66は、第1異常検出信号F1と第2異常検出信号F2とのいずれかを受信したのかに応じて、異常の類型を示す識別情報を異常信号FAILに付与することができる。
次に、一例ではあるが、第1異常検出回路40及び第2異常検出回路50の構成について説明する。第1異常検出回路40は、電流モニタ回路42と、電圧モニタ回路44と、電圧エッジ検出回路46と、第1判定回路48とを有する。電流モニタ回路42は、スイッチング素子14のセンス端子14sに接続されており、センス電圧Vs(即ち、スイッチング素子14の通電電流Ic)を監視する。そして、電流モニタ回路42は、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えているときに、電流判定信号Csを出力する。電流モニタ回路42は、例えば比較器を用いて構成することができる。電流判定信号Csは、例えば、二値信号のハイレベルであってよい。
電圧モニタ回路44は、スイッチング素子14のゲート端子14gに接続されており、ゲート電圧Vgを監視する。電圧モニタ回路44は、スイッチング素子14のゲート電圧Vgが、電圧閾値Vthgを超えているときに、電圧判定信号Cvを出力する。電圧判定信号Cvは、例えば、二値信号のハイレベルであってよい。電圧エッジ検出回路46は、電圧モニタ回路44による電圧判定信号Cvの立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号Evを一時的に出力する。即ち、電圧エッジ検出信号Evは、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたタイミングで一時的に出力され、その後にゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超過し続けても、電圧エッジ検出信号Evは出力されない。電圧エッジ検出信号Evは、例えば、二値信号のハイレベルであってよい。
第1判定回路48は、電流モニタ回路42による電流判定信号Csと、電圧エッジ検出回路46による電圧エッジ検出信号Evとに基づいて、第1異常検出信号F1を出力する。詳しくは、第1判定回路48は、電流モニタ回路42及び電圧エッジ検出回路46に接続されており、電流モニタ回路42による電流判定信号Csと、電圧エッジ検出回路46による電圧エッジ検出信号Evとをそれぞれ受信する。そして、第1判定回路48は、電流判定信号Csと電圧エッジ検出信号Evとを同時に受信したときに、第1異常検出信号F1を出力する。第1判定回路48は、例えば、論理和回路(即ち、AND回路)を用いて構成することができる。
上記の構成によると、第1判定回路48は、通電電流Icを示すセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超えている状態で、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたときに限って、第1異常検出信号F1を出力することができる。前述したように、電圧エッジ検出信号Evは、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたタイミングで、一時的に出力される。このとき、電流判定信号Csも出力されていれば、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えている状態で、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたことを意味する。逆に、電流判定信号Csが出力されていなければ、第1異常検出信号F1は出力されず、そのまま電圧エッジ検出信号Evの出力も停止される。従って、その後にセンス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたとしても、第1異常検出信号F1は出力されることがない。なお、この場合は、第2判定回路58において、第2異常検出信号F2が出力される。
第2異常検出回路50は、電流モニタ回路42と、電圧モニタ回路44と、電流エッジ検出回路56と、第2判定回路58とを有する。即ち、電流モニタ回路42及び電圧モニタ回路44は、第1異常検出回路40と第2異常検出回路50との間で共有されている。本実施例では、二つの異常検出回路40、50の間で、共通の閾値Vths、Vthgが採用されており、二つの異常検出回路40、50の一部を共通化することによって、構成の簡素化が図られている。
電流エッジ検出回路56は、電流モニタ回路42による電流判定信号Csの立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号Esを一時的に出力する。即ち、電流エッジ検出信号Esは、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたタイミングで一時的に出力され、その後にセンス電圧Vsが電流閾値Vthsを超過し続けても、電流エッジ検出信号Esは出力されない。電流エッジ検出信号Esについても、例えば、二値信号のハイレベルであってよい。
第2判定回路58は、電圧モニタ回路44による電圧判定信号Cvと、電流エッジ検出回路56による電流エッジ検出信号Esとに基づいて、第2異常検出信号F2を出力する。詳しくは、第2判定回路58は、電圧モニタ回路44及び電流エッジ検出回路56に接続されており、電圧モニタ回路44による電圧判定信号Cvと、電流エッジ検出回路56による電流エッジ検出信号Esとをそれぞれ受信する。そして、第2判定回路58は、電圧判定信号Cvと電流エッジ検出信号Esとを同時に受信したときに、第2異常検出信号F2を出力する。第2判定回路58は、例えば、論理和回路を用いて構成することができる。
上記の構成によると、第2判定回路58は、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えている状態で、通電電流Icを示すセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超えたときに限って、第2異常検出信号F2を出力することができる。前述したように、電流エッジ検出信号Esは、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたタイミングで、一時的に出力される。このとき、電圧判定信号Cvも出力されていれば、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えている状態で、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたことを意味する。逆に、電圧判定信号Cvが出力されていなければ、第2異常検出信号F2は出力されず、そのまま電流エッジ検出信号Esの出力も停止される。従って、その後にゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたとしても、第2異常検出信号F2は出力されることがない。なお、この場合は、第1判定回路48において、第1異常検出信号F1が出力される。
図3、図4を参照して、電圧エッジ検出回路46及び電流エッジ検出回路56の構成について説明する。電圧エッジ検出回路46及び電流エッジ検出回路56は、機能的に、エッジ検出回路とラッチ回路とを組み合わせたものに相当する。しかしながら、電圧エッジ検出回路46及び電流エッジ検出回路56の構成は、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例における電圧エッジ検出回路46は、電圧判定信号Cvが入力される第1D型フリップフロップ回路70、第1D型フリップフロップ回路70の出力信号が入力される第2D型フリップフロップ回路72、第2D型フリップフロップ回路72の出力信号が入力される第1反転回路74、及び、第1反転回路74の出力信号と第1D型フリップフロップ回路70の出力信号とが入力されて、電圧エッジ検出信号Evを出力する第1論理和回路76とを有する。
上記の構成によると、図4に示すように、電圧エッジ検出回路46は、電圧判定信号Cvの立ち上がりに応じて、電圧エッジ検出信号Evを1クロック周期(1CLK)だけ出力することができる。このように、電圧エッジ検出回路46は、直列に接続された二つのD型フリップフロップ回路70、72に、第1反転回路74を組み合わせることによって、簡素な論理回路で構成することができる。
電流エッジ検出回路56についても、電圧エッジ検出回路46と同様の構成を採用することができる。即ち、図3に示すように、電流エッジ検出回路56は、電流判定信号Csが入力される第4D型フリップフロップ回路80、第4D型フリップフロップ回路80の出力信号が入力される第5D型フリップフロップ回路82、第5D型フリップフロップ回路82の出力信号が入力される第2反転回路84、及び、第2反転回路84の出力信号と第4D型フリップフロップ回路80の出力信号とが入力されて、電流エッジ検出信号Esを出力する第2論理和回路86とを有してもよい。図4に示すように、電流エッジ検出回路56についても、電流判定信号Csの立ち上がりに応じて、電流エッジ検出信号Esを1クロック周期(1CLK)だけ出力することができる。
前述したように、第1異常検出回路40は、第1類型の異常である「短絡」を検出することができる。この点について、図5、図6を参照して説明を加える。図5に示すように、電力変換回路12では、各々のスイッチング素子14に対して、他の一つのスイッチング素子14が直列に接続されている。従って、直列に接続された二つのスイッチング素子14が同時にターンオンされると、バッテリ2の両極間が二つのスイッチング素子14を介して短絡されてしまう。そのことから、通常は、二つのスイッチング素子14が、同時にターンオンされることは禁止されている。しかしながら、一方のスイッチング素子14に短絡故障が生じた状態で、他方のスイッチング素子14がターンオンされると、バッテリ2の両極間が二つのスイッチング素子14を介して短絡され、過大な短絡電流SCが流れる。このような異常を、本明細書では、第1類型の異常又は「短絡」と称する。
図6に示すように、時刻t1において「短絡」が生じたとする。即ち、一方のスイッチング素子14に短絡故障が生じた状態で、時刻t1において、他方のスイッチング素子14がターンオンされたとする。この場合、ゲート電圧Vgが、スイッチング素子14のしきい値電圧へ近づくにつれて、スイッチング素子14の通電電流Icが急速に増大していく。その結果、時刻t2において、通電電流Icに対応するセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超過する。通電電流Icが過剰に増大することで、ゲート電圧Vgも徐々に上昇していく。その結果、時刻t3において、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vtghを超過する。このとき、第1異常検出回路40では、第1判定回路48が、電流モニタ回路42による電流判定信号Csと、電圧エッジ検出回路46による電圧エッジ検出信号Evとを同時に受信することで、第1異常検出信号F1を出力する。
第2異常検出回路50においても、時刻t3の時点で、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vtghを超過することで、第2判定回路58に電圧判定信号Cvが入力される。しかしながら、電流エッジ検出回路56による電流エッジ検出信号Esは、その出力が既に中止されている。従って、第2判定回路58から第2異常検出信号F2が出力されることはない。その結果、第1フィルタ回路62に設定された第1周期TD1だけ遅れて、異常信号出力回路66から異常信号FAILが出力される。異常信号FAILは、プロセッサ24によって受信される。異常信号FAILを受信したプロセッサ24は、保護動作として、スイッチング素子14のターンオンが禁止されるようにゲート駆動信号Sgを出力する。その結果、時刻t4においてスイッチング素子14がターンオフされ、通電電流Icは急速に低下する。
一方、第2異常検出回路50は、第2類型の異常である「過電流」を検出することができる。この点について、図7、図8を参照して説明を加える。図7に示すように、電力変換回路12が正常に動作していても、モータ4の内部で短絡故障が生じると、電力変換回路12では、ターンオンされているスイッチング素子14に過電流OCが流れる。このような異常を、本明細書では、第2類型の異常又は「過電流」と称する。通常、「過電流」が生じたときの過電流OCの大きさは、「短絡」が生じたときの短絡電流SCの大きさよりも、小さくなることが多い。
図8に示すように、時刻t5において「過電流」が生じたとする。いくつかのスイッチング素子14がターンオンされた状態で、モータ4に短絡(例えば相間短絡)が生じたとする。この場合、ゲート電圧Vgについては、スイッチング素子14がターンオンされていたことから、既に電圧閾値Vthgを超えている。モータ4に短絡が生じたことで、スイッチング素子14の通電電流Icは徐々に増大していく。その結果、時刻t6において、通電電流Icに対応するセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超過する。このとき、第2異常検出回路50では、第2判定回路58が、電圧モニタ回路44による電圧判定信号Cvと、電流エッジ検出回路56による電流エッジ検出信号Esとを同時に受信することで、第2異常検出信号F2を出力する。
第1異常検出回路40においても、時刻t6の時点で、センス電圧Vsが電流閾値Vtgsを超過することで、第1判定回路48に電流判定信号Csが入力される。しかしながら、電圧エッジ検出回路46による電圧エッジ検出信号Evは、その出力が既に中止されている。従って、第1判定回路48から第1異常検出信号F1が出力されることはない。その結果、第2フィルタ回路64に設定された第2周期TD2だけ遅れて、異常信号出力回路66から異常信号FAILが出力される。異常信号FAILを受信したプロセッサ24は、保護動作として、スイッチング素子14のターンオンが禁止されるようにゲート駆動信号Sgを出力する。その結果、時刻t7においてスイッチング素子14がターンオフされ、通電電流Icは急速に低下する。
図9は、第1類型の異常の一例である「短絡」が生じたときに、異常検出回路32で実行される動作の流れを示すフローチャートである。「短絡」が生じることによって、スイッチング素子14の通電電流Icは急速に増大する(ステップS12)。その結果、先ずはセンス電圧Vsが電流閾値Vthsを超過する(S14でYES)。次いで、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超過する(S16でYES)。その結果、第1周期TD1だけ遅れて、ゲートドライバ22からプロセッサ24へ異常信号FAILが出力される(ステップS18)。プロセッサ24は、異常信号FAILを受けて、保護動作を開始する(ステップS20)。
図10は、第2類型の異常の一例である「過電流」が生じたときに、異常検出回路32で実行される動作の流れを示すフローチャートである。「過電流」が生じることによって、スイッチング素子14の通電電流Icは徐々に増大する(ステップS22)。通常、複数のスイッチング素子14のいずれかは、既にターンオンされているので、当該スイッチング素子14に接続されたゲートドライバ22では、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを既に超過している(S24でYES)。次いで、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超過する(S26でYES)。その結果、第2周期TD2だけ遅れて、ゲートドライバ22からプロセッサ24へ異常信号FAILが出力される(ステップS28)。プロセッサ24は、異常信号FAILを受けて、保護動作を開始する(ステップS30)。
以上のように、本実施例のゲートドライバ22では、異常検出回路32が、スイッチング素子14のゲート電圧Vgと、スイッチング素子14の通電電流Icとに基づいて、電力変換回路12やモータ4に生じた異常を検出する。異常検出回路32は、第1異常検出回路40と第2異常検出回路50とを有する。第1異常検出回路40は、通電電流Isに対応するセンス電圧Vsが、電流閾値Vthsを超えている状態で、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えたときに、第1異常検出信号F1を出力する。即ち、最初にセンス電圧Vsが電流閾値を超過し、その後にゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超過したときに、第1異常検出信号F1が出力される。一方、第2異常検出回路50は、ゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超えている状態で、センス電圧Vsが電流閾値Vthsを超えたときに、第2異常検出信号F2を出力する。即ち、最初にゲート電圧Vgが電圧閾値Vthgを超過し、その後にセンス電圧Vsが電流閾値Vthsを超過したときに、第2異常検出信号F2が出力される。
このように、本実施例に採用された技術では、通電電流Is(ここではセンス電圧Vs)やゲート電圧Vgといった指標を、それぞれの閾値と単に比較するだけでなく、それらの指標が各自の閾値を超えたタイミングの先後をさらに考慮する。これは、通電電流Icが上昇するタイミングや速度と、ゲート電圧Vgが上昇するタイミングや速度が、異常の類型によって異なるという知見に立脚している。これにより、類型の異なる異常に対して共通の閾値を採用した場合でも、それらの異常をそれぞれ検出することができる。
(実施例2) 図11を参照して、実施例2の電力変換装置について説明する。実施例2の電力変換装置は、実施例1の電力変換装置10において、ゲートドライバ22の構成を変更したものである。図11は、実施例2におけるゲートドライバ122の構成を示す。以下の説明では、実施例1との相違点を主に説明し、共通する構成については、同じ符号を付すことによって説明を省略する。
図11に示すように、実施例2におけるゲートドライバ122では、第1異常検出回路140と第2異常検出回路150との間において、異なる電流閾値Vths1、Vyhs2と、異なる電圧閾値Vthg1、Vyhg2とが採用されている。そのために、第1異常検出回路140は、第1電流モニタ回路142と第1電圧モニタ回路144とを有する。第1電流モニタ回路142は、スイッチング素子14の通電電流Icに対応するセンス電圧Vsが、第1電流閾値Vths1を超えているときに、第1電流判定信号Cs1を出力する。第1電圧モニタ回路144は、スイッチング素子14のゲート電圧Vgが、第1電圧閾値Vthg1を超えているときに、第1電圧判定信号Cv1を出力する。
第1異常検出回路140はさらに、電圧エッジ検出回路146と第1判定回路148とを有する。電圧エッジ検出回路146は、第1電圧モニタ回路144による第1電圧判定信号Cv1の立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号Evを一時的に出力する。第1判定回路148は、第1電流モニタ回路142による第1電流判定信号Cs1と、電圧エッジ検出回路146による電圧エッジ検出信号Evとに基づいて、第1異常検出信号F1を出力する。なお、本実施例における電圧エッジ検出回路146及び第1判定回路148のそれ自体の構成については、実施例1における電圧エッジ検出回路46及び第1判定回路48と同じであってもよい。
同様に、第2異常検出回路150は、第2電流モニタ回路152と第2電圧モニタ回路154とを有する。第2電流モニタ回路152は、スイッチング素子14の通電電流に対応するセンス電圧Vsが、第2電流閾値Vths2を超えているときに、第2電流判定信号Cs2を出力する。第2電圧モニタ回路154は、スイッチング素子14のゲート電圧Vgが、第2電圧閾値Vthg2を超えているときに、第2電圧判定信号Cv2を出力する。前述したように、第2電流閾値Vths2は、第1電流閾値Vths1とは異なる値であり、例えば、第1電流閾値Vths1よりも小さくてもよい。また、第2電圧閾値Vthg2も、第1電圧閾値Vthg1とは異なる値であり、例えば、第1電圧閾値Vthg1よりも大きくてもよい。
第2異常検出回路150はさらに、電流エッジ検出回路156と第2判定回路158とを有する。電流エッジ検出回路156は、第2電流モニタ回路152による第2電流判定信号Cs2の立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号Esを一時的に出力する。第2判定回路158は、第2電圧モニタ回路154による第2電圧判定信号Cv2と、電流エッジ検出回路156による電流エッジ検出信号Esとに基づいて、第2異常検出信号F2を出力する。なお、本実施例における電流エッジ検出回路156及び第2判定回路158のそれ自体の構成については、実施例2における電流エッジ検出回路56及び第2判定回路58と同じであってもよい。
以上のように、本明細書が開示する技術では、二つの異常検出回路140、150に対して、異なる電流閾値Vths1、Vths2や、異なる電圧閾値Vthg1、Vthg2を採用することもできる。この場合、二つの電流閾値Vths1、Vths2の間や、二つの電圧閾値Vthg1、Vthg2の間に、大きさな差を与えることなく、例えば「短絡」や「過電流」といった類型の異なる異常をそれぞれ検出することができる。
(実施例3) 図12、図13を参照して、実施例3の電力変換装置について説明する。実施例3の電力変換装置は、実施例1の電力変換装置10において、電圧エッジ検出回路46及び電流エッジ検出回路56の構成を変更したものである。図12は、実施例3における電圧エッジ検出回路246及び電流エッジ検出回路256の構成を示す。以下の説明では、実施例1との相違点を主に説明し、共通する構成については、同じ符号を付すことによって説明を省略する。
図12に示すように、本実施例における電圧エッジ検出回路246は、実施例1の電圧エッジ検出回路46(図3参照)と比較して、第3D型フリップフロップ回路273をさらに有する。第3D型フリップフロップ回路273には、第2D型フリップフロップ回路72の出力信号が入力される。そして、第1反転回路74には、第2D型フリップフロップ回路72の出力信号に代えて、第3D型フリップフロップ回路273の出力信号が入力される。このような構成によると、図13に示すように、本実施例の電圧エッジ検出回路246は、電圧判定信号Cvの立ち上がりに応じて、電圧エッジ検出信号Evを2クロック周期(2CLK)だけ出力することができる。このように、本明細書に開示された電圧エッジ検出回路46、246は、直列に接続されたD型フリップフロップ回路70、72、273の数を変更することで、電圧エッジ検出信号Evが出力される期間を変更することができる。
電流エッジ検出回路256についても、電圧エッジ検出回路246と同様の構成を有する。即ち、図12に示すように、電流エッジ検出回路256は、実施例1の電流エッジ検出回路56(図3参照)と比較して、第6D型フリップフロップ回路283をさらに有する。第6D型フリップフロップ回路283には、第5D型フリップフロップ回路82の出力信号が入力される。そして、第2反転回路84には、第5D型フリップフロップ回路82の出力信号に代えて、第6D型フリップフロップ回路283の出力信号が入力される。このような構成によると、図13に示すように、本実施例の電流エッジ検出回路256は、電流判定信号Csの立ち上がりに応じて、電流エッジ検出信号Esを2クロック周期(2CLK)だけ出力することができる。
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:バッテリ、4:モータ、10:電力変換装置、12:電力変換回路、14:スイッチング素子、14g:ゲート端子、20:制御ユニット、22、122:ゲートドライバ、24:プロセッサ、30:ゲート駆動回路、32:異常検出回路、40、140:第1異常検出回路、42、142、152:電流モニタ回路、44、144、154:電圧モニタ回路、46、146:電圧エッジ検出回路、48:第1判定回路、50、150:第2異常検出回路、56、156:電流エッジ検出回路、58:第2判定回路、62:第1フィルタ回路、64:第2フィルタ回路、66:異常信号出力回路、70、72、73、80、82、283:D型フリップフロップ回路、74、84:反転回路、76、86:論理和回路
Claims (14)
- 電源(2)から負荷(4)への供給電力を制御する絶縁ゲート型のスイッチング素子(14)を制御する装置22であって、
前記スイッチング素子のゲート電圧(Vg)を制御して、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御するゲート駆動回路(30)と、
前記スイッチング素子の前記ゲート電圧と、前記スイッチング素子の通電電流(Ic、Vs)とに基づいて、前記スイッチング素子に接続された回路(4、12)の異常を検出する異常検出回路(32)と、
を備え、
前記異常検出回路(32)は、
前記通電電流が第1電流閾値(Vths;Vths1)を超えている状態で、前記ゲート電圧が第1電圧閾値(Vthg;Vthg1)を超えたときに、第1異常検出信号(F1)を出力する第1異常検出回路(40;140)と、
前記ゲート電圧が第2電圧閾値(Vthg;Vthg2)を超えている状態で、前記通電電流が第2電流閾値(Vths;Vths2)を超えたときに、第2異常検出信号(F2)を出力する第2異常検出回路(50;250)と、を有する、
装置。 - 前記異常検出回路は、
前記第1異常検出回路による前記第1異常検出信号から、第1周期(TD1)未満の変動成分を除去する第1ノイズフィルタ(62)と、
前記第2異常検出回路による前記第2異常検出信号から、前記第1周期よりも長い、第2周期(TD2)未満の変動成分を除去する第2ノイズフィルタ(64)とをさらに備える、請求項1に記載の装置。 - 前記第2電流閾値は、前記第1電流閾値と等しい値であり、
前記第2電圧閾値は、前記第2電圧閾値と等しい値である、請求項1又は2に記載の装置。 - 前記第1異常検出回路(40)及び前記第2異常検出回路(50)は、
前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第1電流閾値(Vths)を超えているときに、電流判定信号(Cs)を出力する電流モニタ回路(42)と、
前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第1電圧閾値(Vthg)を超えているときに、電圧判定信号(Cv)を出力する電圧モニタ回路(44)と、を共有する、
請求項3に記載の装置。 - 前記第1異常検出回路は、
前記電圧モニタ回路による前記電圧判定信号の立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号(Ev)を一時的に出力する電圧エッジ検出回路(46)と、
前記電流モニタ回路による前記電流判定信号と、前記電圧エッジ検出回路による前記電圧エッジ検出信号とに基づいて、前記第1異常検出信号を出力する第1判定回路(48)と、をさらに有する、
請求項4に記載の装置。 - 前記電圧エッジ検出回路は、
前記電圧判定信号が入力される第1D型フリップフロップ回路(70)と、
前記第1D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第2D型フリップフロップ回路(72)と、
前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第1反転回路(74)と、
前記第1反転回路の出力信号と、前記第1D型フリップフロップ回路の前記出力信号とが入力されて、前記電圧エッジ検出信号を出力する論理和回路(76)と、を有する、
請求項5に記載の装置。 - 前記電圧エッジ検出回路は、前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第3D型フリップフロップ回路(273)をさらに有し、
前記第1反転回路(74)には、前記第2D型フリップフロップ回路の出力信号に代えて、前記第3D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される、請求項6に記載の装置。 - 前記第2異常検出回路は、
前記電流モニタ回路による前記電流判定信号の立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号(Es)を一時的に出力する電流エッジ検出回路(56)と、
前記電圧モニタ回路による前記電圧判定信号と、前記電流エッジ検出回路による前記エッジ検出信号とに基づいて、前記第2異常検出信号を出力する第2判定回路(58)と、をさらに有する、
請求項4から7のいずれか一項に記載の装置。 - 前記電流エッジ検出回路は、
前記電流判定信号が入力される第4D型フリップフロップ回路(70)と、
前記第4D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第5D型フリップフロップ回路(72)と、
前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第2反転回路(74)と、
前記第2反転回路の出力信号と、前記第5D型フリップフロップ回路の前記出力信号とが入力されて、前記電流エッジ検出信号を出力する論理和回路(76)と、を有する、
請求項8に記載の装置。 - 前記電流エッジ検出回路は、前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される第6D型フリップフロップ回路(273)をさらに有し、
前記第2反転回路(74)には、前記第5D型フリップフロップ回路の出力信号に代えて、前記第6D型フリップフロップ回路の出力信号が入力される、請求項9に記載の装置。 - 前記第3の閾値は、前記第1の閾値と異なる値であり、
前記第4の閾値は、前記第2の閾値と異なる値である、請求項1又は2に記載の装置。 - 前記第1異常検出回路(140)は、
前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第1電流閾値(Vths1)を超えているときに、第1電流判定信号(Cs1)を出力する第1電流モニタ回路(142)と、
前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第1電圧閾値(Vthg1)を超えているときに、第1電圧判定信号(Cv1)を出力する第1電圧モニタ回路(144)と、を有し、
前記第2異常検出回路(150)は、
前記スイッチング素子の前記通電電流が、前記第2電流閾値(Vths2)を超えているときに、第2電流判定信号(Cs2)を出力する第2電流モニタ回路(152)と、
前記スイッチング素子の前記ゲート電圧が、前記第2電圧閾値(Vthg2)を超えているときに、第2電圧判定信号(Cv2)を出力する第2電圧モニタ回路(154)と、を有する、
請求項11に記載の装置。 - 前記第1異常検出回路は、
前記第1電圧モニタ回路による前記第1電圧判定信号の立ち上がりを検出して、電圧エッジ検出信号(Ev)を一時的に出力する電圧エッジ検出回路(146)と、
前記第1電流モニタ回路による前記第1電流判定信号と、前記電圧エッジ検出回路による前記電圧エッジ検出信号とに基づいて、前記第1異常検出信号を出力する第1判定回路(148)と、をさらに有する、
請求項12に記載の装置。 - 前記第2異常検出回路は、
前記第2電流モニタ回路による前記第2電流判定信号の立ち上がりを検出して、電流エッジ検出信号(Es)を一時的に出力する電流エッジ検出回路(156)と、
前記第2電圧モニタ回路による前記第2電圧判定信号と、前記電流エッジ検出回路による前記電流エッジ検出信号とに基づいて、前記第2異常検出信号を出力する第2判定回路(158)と、をさらに有する、
請求項12又は13に記載の装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN116318090A (zh) * | 2023-05-15 | 2023-06-23 | 广东巨风半导体有限公司 | 一种逻辑保护电路及其控制方法、功率模块 |
CN116318090B (zh) * | 2023-05-15 | 2023-08-11 | 广东巨风半导体有限公司 | 一种逻辑保护电路及其控制方法、功率模块 |
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