JP2022160202A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇圧コンバータなどの電圧調整装置を別途設けることなく、充電設備の電圧を調整して電源を充電することができる電力変換装置を提供する。【解決手段】電源2と、複数相のコイル3u,3v,3wを有する回転機と、電源2の正極と負極とに接続された複数のコンデンサ6,7と、複数のコンデンサ6,7のうちの中間端子と複数相のそれぞれのコイル3u,3v,3wとを接続する複数の中間スイッチ素子Q7~Q12と、複数相のそれぞれのコイル3u,3v,3wと電源2の正極との間に設けられた複数の正極側スイッチ素子Q1,Q3,Q5と、電源2の負極との間に設けられた複数の負極側スイッチ素子Q2,Q4,Q6とを備えた電力変換装置1において、中間端子と複数のコンデンサ6,7の負極側端子とに、電源2を充電するための充電用電源15が接続される充電ポート16を備えている。【選択図】図1

Description

この発明は、電源から出力された電力を変換する電力変換装置に関するものである。
特許文献1には、第1エネルギー蓄積源と第2エネルギー蓄積源とを直列に接続することにより、第1エネルギー蓄積源を電力源とした第1機能モードと、第2エネルギー蓄積源を電力源とした第2機能モードと、第1エネルギー蓄積源および第2エネルギー蓄積源を電力源とした第3機能モードとを選択的に切り替えるように構成された電力変換装置が記載されている。すなわち、特許文献1に記載された電力変換装置は、三つの電圧レベルを選択できるように構成されている。
特許第6405466号
電気自動車やプラグインハイブリッド車両などの車両は、車両の外部に設けられた充電設備から充電池に電力を供給して充電することができる。そのような充電設備として、急速充電設備を使用した場合であっても、通常、充電設備の電圧よりも充電池の電圧が高いため、充電設備の電圧を昇圧して蓄電池を充電することになる。特許文献1に記載された電力変換装置は、上記のような充電設備の電圧を変更して充電池に供給する機能は備えていないため、別途昇圧コンバータなどの電圧調整装置を設ける必要があり、電圧調整装置を含む電力変換装置が大型化する可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、昇圧コンバータなどの電圧調整装置を別途設けることなく、充電設備の電圧を調整して電源を充電することができる電力変換装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、電源と、複数相のコイル、および前記複数相のコイルの一方の端子が接続された中性点とを有する回転機と、前記電源の正極と前記電源の負極とに直列に接続された複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサのうちの中間端子と前記複数相のそれぞれのコイルとを接続する複数の中間スイッチ素子と、前記複数相のそれぞれのコイルと前記電源の正極との間に設けられた複数の正極側スイッチ素子を有する上アーム素子と、前記複数相のそれぞれのコイルと前記電源の負極との間に設けられた複数の負極側スイッチ素子を有する下アーム素子とを備えた電力変換装置において、前記中間端子と前記複数のコンデンサの正極側端子または負極側端子とに、前記電源を充電するための充電用電源が接続される充電ポートを備えていることを特徴とするものである。
また、この発明は、前記中間スイッチ素子、前記正極側スイッチ素子、および前記負極側スイッチ素子を制御するコントローラを更に備え、前記コントローラは、前記充電ポートに前記充電用電源が接続され、かつ前記充電用電源の電圧が前記電源の電圧よりも低い場合に、前記複数相のコイルのうちの前記中性点を介することなく前記中間端子と導通状態とする所定コイルと、前記複数相のコイルのうちの他の制御コイルとを選択し、前記複数の中間スイッチ素子のうちの前記中間端子と前記所定コイルとの間に介在する中間スイッチ素子を導通状態とする信号を出力し、前記正極側スイッチ素子および前記負極側スイッチ素子のうち、前記中性点を介することなく前記制御コイルに接続されたスイッチ素子をオンオフ制御して、前記電源と前記充電用電源との間で電力を伝達するように構成されていてよい。
また、この発明は、前記コントローラは、前記回転機の回転方向における停止角を検出し、前記中間端子と導通状態とすることによって前記回転機の回転角が変化する場合における前記回転角の変化量が最小となるコイルを、前記所定コイルとして選択するように構成されていてよい。
また、この発明は、前記所定コイルは、前記複数相のコイルのうちの少なくとも二相のコイルを含んでよい。
また、この発明は、前記制御コイルは、前記複数相のコイルのうちの少なくとも二相のコイルを含み、前記コントローラは、前記制御コイルのうちの所定の第1コイルに接続された前記正極側スイッチおよび前記負極側スイッチのスイッチング位相と、前記制御コイルのうちの所定の第2コイルに接続された前記正極側スイッチおよび前記負極側スイッチのスイッチング位相とを異ならせるように構成されていてよい。
そして、この発明は、前記コントローラは、前記複数の中間スイッチ素子、前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子をオンオフ制御することにより前記回転機のトルクを制御するように構成され、前記回転機のトルクを制御する際における前記複数の中間スイッチ素子、前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子に出力するスイッチング周波数よりも、前記電源と前記充電用電源との間で電力を伝達する際における前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子に出力するスイッチング周波数を高周波数に制御するように構成されていてよい。
この発明によれば、直列に接続されたコンデンサを電源の正極と負極とに接続し、そのコンデンサの中間端子と各相のコイルとを接続するように中間スイッチ素子が設けられている。したがって、中間スイッチ素子、正極側スイッチ素子、および負極側スイッチ素子を制御することにより、回転機に印加する電圧を多段階の電圧に制御して、回転機のトルクを制御することができる。また、そのコンデンサの中間端子とコンデンサの正極側端子または負極側端子に、電源を充電するための充電用電源を接続する充電ポートを備えているため、中間スイッチ素子、正極側スイッチ素子、および負極側スイッチ素子を制御することにより、電力変換装置を昇圧コンバータとして機能させることができる。したがって、回転機を制御するための電力変換装置に、充電電圧を変化させるための電圧調整装置などを設ける必要がなく、電気ユニットを小型化することができる。
この発明の実施形態における電力変換装置の一例を説明するための構成図である。 蓄電池を充電するための制御例を説明するためのフローチャートである。 蓄電池の電圧が充電用電源の電圧よりも高い場合に形成される回路状態を簡略して示す等価回路図である。 PMW制御によるスイッチ信号を定める制御の一例を説明するための制御ブロック図である。 充電用電源の電圧を昇圧している過程での各スイッチに入力するゲート信号の一例を示す図である。 充電用電源の電圧を昇圧して蓄電池を充電している過程での各相のコイルに流れる電流値、蓄電池を流れる電流値、蓄電池および充電用電源の電圧値を示すグラフである。 5相の交流モータを制御する電力変換装置の一例を説明するための構成図である。 電力変換装置の他の例を説明するための構成図である。
この発明の実施形態における電力変換装置の一例を説明するための構成図を図1に示してある。図1に示す電力変換装置1は、この発明の実施形態における「電源」に相当する蓄電池2と、この発明の実施形態における「回転機」に相当するモータ3との間で通電する電力を変換するものである。蓄電池2は、従来の電気自動車やハイブリッド車両に設けられた蓄電池と同様に構成されている。すなわち、蓄電池2は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を直列に接続した組電池によって構成されている。
モータ3は、従来の電気自動車やハイブリッド車両の駆動力源として設けられたモータと同様に構成されている。このモータ3は、スター結線の三相交流モータであって、2相以上の複数相のコイルを備えている。図1に示す例では、U相、V相、W相の三相のコイル3u、3v、3wを備えた同期モータによって構成されている。
蓄電池2の正極には、正極母線4が接続され、蓄電池2の負極には、負極母線5が接続されている。その正極母線4と負極母線5との間には、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7とが接続されている。具体的には、第1コンデンサ6の一方の端子(正極側端子)が正極母線4に接続され、他方の端子(負極側端子)が第2コンデンサ7の一方の端子(正極側端子)に接続され、第2コンデンサ7の他方の端子(負極側端子)が負極母線5に接続されている。すなわち、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7とは、直列に接続されている。なお、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との接続点を、以下の説明では中間端子と記す。
また、正極母線4と負極母線5との間には、上アームスイッチ(素子)8と下アームスイッチ(素子)9とが設けられている。具体的には、上アームスイッチ8の高電位側端子であるコレクタが正極母線4に接続され、低電位側端子であるエミッタが、下アームスイッチ9の高電位側端子であるコレクタに接続され、下アームスイッチ9の低電位側端子であるエミッタが、負極母線5に接続されている。すなわち、上アームスイッチ8と下アームスイッチ9とは、直列に接続されている。
上述したように図1に示すモータ3は、三相交流モータであるため、上アームスイッチ8と下アームスイッチ9とは、それぞれ三つのスイッチによって構成されている。具体的には、上アームスイッチ8は、U相コイル3uに接続された第1スイッチQ1、V相コイル3vに接続された第3スイッチQ3、およびW相コイル3wに接続された第5スイッチQ5によって構成されている。また、下アームスイッチ9は、U相コイル3uに接続された第2スイッチQ2、V相コイル3vに接続された第4スイッチQ4、およびW相コイル3wに接続された第6スイッチQ6によって構成されている。なお、上記第1スイッチQ1、第3スイッチQ3、および第5スイッチQ5が、この発明の実施形態における「正極側スイッチ素子」に相当し、第2スイッチQ2、第4スイッチQ4、および第6スイッチQ6が、この発明の実施形態における「負極側スイッチ素子」に相当する。
これらの各スイッチQ1~Q6は、従来知られた絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって構成され、そのIGBTには、それぞれ、逆並列にフライホールダイオードD1~D6が接続されている。
上記の第1スイッチQ1と第2スイッチQ2との接続点にU相コイル3uの一端が接続され、第3スイッチQ3と第4スイッチQ4との接続点にV相コイル3vの一端が接続され、第5スイッチQ5と第6スイッチQ6との接続点にW相コイル3wの一端が接続されている。そして、U相コイル3u、V相コイル3v、およびW相コイル3wの他端が接続され、その各コイル3u,3v,3wが接続された部分が中性点10となっている。
また、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との中間端子には、その中間端子と各コイル3u,3v,3wとを接続するための第7スイッチQ7~第12スイッチQ12が設けられている。具体的には、第7スイッチQ7、第9スイッチQ9、および第11スイッチQ11のそれぞれのコレクタが、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との中間端子に接続されている。また、第7スイッチQ7のエミッタに第8スイッチQ8のエミッタが接続され、第8スイッチQ8のコレクタが第1スイッチQ1と第2スイッチQ2との接続点に接続されている。同様に、第9スイッチQ9のエミッタに第10スイッチQ10のエミッタが接続され、第10スイッチQ10のコレクタが第3スイッチQ3と第4スイッチQ4との接続点に接続されている。さらに、第11スイッチQ11のエミッタに第12スイッチQ12のエミッタが接続され、第12スイッチQ12のコレクタが第5スイッチQ5と第6スイッチQ6との接続点に接続されている。これらの第7スイッチQ7~第12スイッチQ12が、この発明の実施形態における「中間スイッチ素子」に相当する。
なお、各スイッチQ7~Q12は、上述した第1スイッチQ1~第6スイッチQ6と同様にIGBTによって構成され、それぞれのスイッチQ7~Q12には、逆並列にフライホールダイオードD7~D12が接続されている。
上述した電力変換装置1には、各コイル3u,3v,3wに通電される電流を検出する電流計11や、蓄電池2の充電残量(SOC)、劣化状態(SOH)、温度、電圧などを監視するセル監視ユニット12が設けられている。さらに、上記の電流計11やセル監視ユニット12によって検出されたデータなどに基づいて、各スイッチQ1~Q12を制御するインバータ制御装置(コントローラ)13が設けられている。
上述したように構成された電力変換装置1は、第1スイッチQ1ないし第12スイッチQ12を制御することにより、モータ3に印加する電圧を0Vを含む三段階の電圧に制御することができる3レベルインバータ(以下、単にインバータと記す)14となっている。具体的には、第1スイッチQ1、第2スイッチQ2、第7スイッチQ7、および第8スイッチQ8を制御することによって、U相コイル3uに印加する電圧を制御することができ、第3スイッチQ3、第4スイッチQ4、第9スイッチQ9、および第10スイッチQ10を制御することによって、V相コイル3vに印加する電圧を制御することができ、第5スイッチQ5、第6スイッチQ6、第11スイッチQ11、および第12スイッチQ12を制御することによって、W相コイル3wに印加する電圧を制御することができるように構成されている。すなわち、第1スイッチQ1ないし第12スイッチQ12をPWM制御(オンオフ制御)することにより、モータ3のトルクを制御できるように構成されている。
また、この電力変換装置1は、車両の外部に設けられた充電設備などの充電用電源15を接続し、その充電用電源15の電圧を昇圧して蓄電池2を充電することができるように構成されている。図1に示す例では、充電用電源15を接続するための充電ポート16が、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との間の中間端子と、負極母線5(第2コンデンサ7の負極側端子)とに形成されている。なお、図1に示す例では、充電用電源15が接続されることにより、通電状態に切り替わる開閉スイッチ17a,17bが設けられている。そして、充電用電源15が充電ポート16に接続されて蓄電池2を充電する場合に、インバータ制御装置13が、図2に示すフローチャートに基づいてインバータ14を制御するように構成されている。
図2に示す制御例では、まず、充電用電源15が接続されているか否かを判断する(ステップS1)。このステップS1は、上記開閉スイッチ17a,17bが通電状態であるか否かなどに基づいて判断することができる。
充電用電源15が接続されていないことによりステップS1で否定的に判断された場合は、充電制御を実行しない待機モードに設定する(ステップS2)。したがって、各スイッチQ1~Q12をオフに設定して(ステップS3)、このルーチンを一旦終了する。
それとは反対に、充電用電源15が接続されていることによりステップS1で肯定的に判断された場合は、充電用電源15の電圧が蓄電池2の電圧よりも低いか否かを判断する(ステップS4)。このステップS4は、充電ポート16の電位差が正極母線4と負極母線5との電位差よりも低いか否かなどに基づいて判断することができる。
充電用電源15の電圧が蓄電池2の電圧以上であることによりステップS4で否定的に判断された場合は、充電制御について定められたモードのうちの通常充電モードを設定して(ステップS5)、このルーチンを一旦終了する。この通常充電モードは、充電用電源15と蓄電池2とを導通させて蓄電池2を充電するモードであって、上アームスイッチ8と、第7スイッチQ7および第8スイッチQ8、または第9スイッチQ9および第10スイッチQ10、あるいは第11スイッチQ11および第12スイッチQ12のいずれかをオンに設定し、もしくは上アームスイッチ8、および第7スイッチQ7ないし第12スイッチQ12の全てをオンに設定する。
それとは反対に、充電用電源15の電圧が蓄電池2の電圧よりも低いことによりステップS4で肯定的に判断された場合は、充電制御について定められたモードのうちの低電圧充電モードを設定する(ステップS6)。この低電圧充電モードは、電力変換装置1を昇圧コンバータとして機能させて蓄電池2を充電する場合に設定されるモードである。したがって、ステップS6に続いて、電力変換装置1を昇圧コンバータとして機能させるための制御が実行される。
具体的には、まず、第7スイッチQ7および第8スイッチQ8と、第9スイッチQ9および第10スイッチQ10と、第11スイッチQ11および第12スイッチQ12とのいずれか一対のスイッチ(例えば、第7スイッチQ7および第8スイッチQ8)を選択し、その一対のスイッチをオンに設定する(ステップS7)。このステップS7は、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との中間端子と所定コイル3u(3v,3w)とを中性点10を介することなく導通状態とするためのステップである。したがって、他の対のスイッチ(例えば、第9スイッチQ9~第12スイッチQ12)はオフに設定される。
なお、ステップS7では、上述したようにいずれか一対のスイッチを導通状態とすることにより、上記中間端子と所定コイル3u(3v,3w)とを導通状態としてもよく、いずれか二対のスイッチ(例えば、第7スイッチQ7および第8スイッチQ8と、第9スイッチQ9および第10スイッチQ10)を導通状態としてもよい。
上記ステップS7を実行することによって電力変換装置1は、図3に示す簡略した等価回路図の構成となる。具体的には、充電用電源15の正極に導通状態となった一対のスイッチを介して二つの直列のコイルが接続され、そのコイルの一端が、一対のスイッチの接続点に接続されている。すなわち、ステップS6で第7スイッチQ7と第8スイッチQ8とをオンに設定した場合には、U相コイル3uおよびV相コイル3vをリアクトルとして機能させることにより、充電用電源15、U相コイル3uおよびV相コイル3v、第3スイッチQ3および第4スイッチQ4、および蓄電池2を備えた昇圧コンバータが構成され、またはU相コイル3uおよびW相コイル3wをリアクトルとして機能させることにより、充電用電源15、U相コイル3uおよびW相コイル3w、第5スイッチQ5および第6スイッチQ6、および蓄電池2を備えた昇圧コンバータが構成される。したがって、第3スイッチQ3~第6スイッチQ6をPWM制御(オンオフ制御)することによって、充電用電源15の電圧を昇圧して蓄電池2を充電することができる。
そのため、ステップS7に続いて、ステップS6で通電状態とされた相のコイル(例えば、U相コイル3u)以外のコイルに中性点10を介することなく接続されたスイッチ(例えば、第3スイッチQ3ないし第6スイッチQ6)をPWM制御して(ステップS8)、このルーチンを一旦終了する。なお、PWM制御されるスイッチに中性点10を介することなく接続されたコイルが、この発明の実施形態における「制御コイル」に相当する。
図4には、ステップS7によって第7スイッチQ7および第8スイッチQ8が導通状態とされた場合に、第3スイッチQ3、第4スイッチQ4、第5スイッチQ5、および第6スイッチQ6のオンオフ信号を定めるための制御ブロック図を示してある。図4に示す例では、U相コイル3uに通電する要求電流値と、U相コイル3uを通電している電流の検出値であるフィードバック値とがPI制御器18に入力され、それらの値に基づいてU相コイル3uに通電する目標電流値が求められる。
続いて、そのU相コイル3uの目標電流値を通電するためにU相コイル3uに印加する目標電圧値と、蓄電池2の電圧値Vdcとに基づいてV相コイル3vおよびW相コイル3wの変調率Mv,Mwを求める。ついで、変調率Mv,Mwおよびキャリヤ電圧が比較部19に入力され、従来知られた三角波比較方式により各スイッチQ3~Q6に出力するべき信号のデューティー比が求められる。そして、比較部19によって求められたデューティー比に基づいてPWM出力部20から各スイッチQ3~Q6に信号が出力される。
そのように各スイッチQ3~Q6に出力される信号を図5に示してある。図5に示すように、第7スイッチQ7および第8スイッチQ8のゲート信号は、常時オンに維持され、第1スイッチQ1、第2スイッチQ2、第9スイッチQ9、第10スイッチQ10、第11スイッチQ11、および第12スイッチQ12のゲート信号はオフに維持されている。それに対して、第3スイッチQ3および第5スイッチQ5のゲート信号は、所定のオンデューティー比となるようにオンオフ動作され、その第3スイッチQ3および第5スイッチQ5のゲート信号がオフされるタイミングで、第4スイッチQ4および第6スイッチQ6のゲート信号がオンされている。
図6は、上述したように各スイッチQ1~Q12を制御した場合における各コイル3u,3v,3wを通電する電流値、蓄電池2を通電する電流値、および蓄電池2の部分での電圧値と、充電用電源5の電圧値とを計測した結果を示してある。なお、図6では、コイル3u,3v,3wの中性点10側に向けて流れる電流を正の値で示し、コイル3u,3v,3wの中性点10側から流れる電流を負の値で示してある。図6に示すように充電用電源15からU相コイル3uを介して、V相コイル3vおよびW相コイル3wを電流が流れている。すなわち、蓄電池2の正極側から負極側に向けて電流が流れ、蓄電池2が充電されていることが分かる。また、蓄電池2に流れる電流値とV相コイル3vやW相コイル3wに流れる電流値は同一であるとともに、U相コイル3uに流れる電流値の半分となっている。すなわち、充電用電源15の電圧が昇圧されていることが分かる。
上述したように第1スイッチQ1~第12スイッチQ12を制御することによりモータ3のトルクを制御することに加えて、充電用電源15の電圧を昇圧させる電圧調整装置として機能することができる。言い換えると、モータ3を制御するための電力変換装置1に、充電電圧を変化させるための電圧調整装置などを設ける必要がなく、電気ユニットを小型化することができる。
また、上述したように構成することにより、U相コイル3uとV相コイル3vとをリアクトル(巻線インダクタンス)とした昇圧チョッパ回路と、U相コイル3uとW相コイル3wとをリアクトル(巻線インダクタンス)とした昇圧チョッパ回路とが並列となる。そのため、V相コイル3vとW相コイル3wとに通電される電流値を低下させることができ、充電過程での銅損を低減することができる。つまり、充電効率を向上させることができる。また、そのように巻線インダクタンスを並列化することにより、等価インダクタンスを低減することができ、より大きな電流を通電することができる。
なお、充電ポート16は、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との間の中間端子と、正極母線4(第1コンデンサ6の正極側端子)とに形成されていてもよい。また、上述したように充電用電源15によって蓄電池2を充電する場合には、モータ3のコイル3u,3v,3wをリアクトルとして機能させるものであるため、永久磁石の位相に応じてモータ3の回転角が変化する可能性がある。そのため、上記ステップS7では、まず、モータ3の回転方向における停止角を、レゾルバなどによって検出し、中間端子と導通状態とすることによってモータ3の回転角が変化する場合における回転角の変化量が最小となるコイルを選択し、その選択されたコイルと中間端子との間に介在するスイッチを導通状態とすることが好ましい。
このようにステップS7で導通状態とするスイッチを選択することにより、蓄電池2を充電している最中に、意図せずに車両が駆動することを抑制することができる。
さらに、ステップS8によってPWM制御するスイッチが複数対の場合、すなわち、二相以上のコイルを、この発明の実施形態における「制御コイル」として用いる場合には、所定のコイル(第1コイル)に接続された一対のスイッチのスイッチング位相と、他のコイル(第2コイル)に接続された一対のスイッチのスイッチング位相とをずらすことが好ましい。具体的には、二対のスイッチをPWM制御する場合には、所定の一対のスイッチの位相と、他の一対のスイッチの位相とを180度ずらすことが好ましい。このようにゲート信号の位相をずらすリンターリーブ動作を行うことにより、電流の変動を抑制する各コンデンサ6,7(Xコンデンサ)の負荷を低減することができ、それらのコンデンサ6,7を小型化(低容量化)することができる。
また、蓄電池2を充電する際には、通常、車両が停止し車室内が静かなため、蓄電池2を充電することによって生じる音(ノイズ)を可及的に低下させることが好ましい。そのため、ステップS8によってPWM制御する場合のスイッチング周波数は、モータ3を駆動するために行うスイッチング周波数よりも高周波数とすることが好ましい。
なお、この発明の実施形態の電力変換装置は、3相の交流モータを制御するものに限らず、5相の交流モータなどの多相の交流モータを制御するように構成されていてもよい。図7には、5相の交流モータを制御する電力変換装置1の一例を示してあり、図1に示す電力変換装置1に、第13スイッチQ13~第20スイッチQ20、X相コイル3x、およびY相コイル3yが追加して設けられている。
具体的には、第13スイッチQ13のコレクタが正極母線4に接続され、そのエミッタが第14スイッチQ14のコレクタに接続され、第14スイッチQ14のエミッタが負極母線5に接続されている。同様に、第15スイッチQ15のコレクタが正極母線4に接続され、そのエミッタが第16スイッチQ16のコレクタに接続され、第16スイッチQ16のエミッタが負極母線5に接続されている。そして、第13スイッチQ13と第14スイッチQ14との接続点にX相コイル3xの一端が接続され、第15スイッチQ15と第16スイッチQ16との接続点にY相コイル3yの一端が接続され、それらのコイル3x,3yの他端が中性点10に接続されている。
また、第17スイッチQ17のコレクタが、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との中間端子に接続され、第17スイッチQ17のエミッタに第18スイッチQ18のエミッタが接続され、第18スイッチQ18のコレクタが第13スイッチQ13と第14スイッチQ14との接続点に接続されている。同様に、第19スイッチQ19のエミッタに第20スイッチQ20のエミッタが接続され、第20スイッチQ20のコレクタが第15スイッチQ15と第16スイッチQ16との接続点に接続されている。
なお、各スイッチQ13~Q20はIGBTによって構成され、それぞれのスイッチQ13~Q20には、逆並列にフライホールダイオードD13~D20が接続されている。
このように構成された電力変換装置1も、図1に示す電力変換装置1と同様に、充電用電源15が接続された場合に、第7スイッチQ7~第12スイッチQ12および第17スイッチQ17~第20スイッチQ20のうちの少なくともいずれか一対のスイッチを導通状態とし、第1スイッチQ1~第6スイッチQ6および第13スイッチQ13~第16スイッチQ16のうちの、上記導通状態とされたスイッチが接続されたコイルとは異なるコイルに接続されたスイッチをPWM制御することにより、電力変換装置1を昇圧コンバータとして機能させることができる。
またさらに、この発明の実施形態における電力変換装置は、いわゆるA-NPC形態のマルチレベルインバータ回路に限らない。図8には、他の構成の電力変換装置1を示してある。なお、図1と同様の構成についてはその説明を省略する。図8に示す電力変換装置1は、第1スイッチQ1のエミッタに第21スイッチQ21のコレクタが接続され、その第21スイッチQ21のエミッタに第22スイッチQ22のコレクタが接続され、更に第22スイッチQ22のエミッタに第2スイッチQ2のコレクタが接続されている。
同様に第3スイッチQ3のエミッタに第23スイッチQ23のコレクタが接続され、その第23スイッチQ23のエミッタに第24スイッチQ24のコレクタが接続され、更に第24スイッチQ24のエミッタに第4スイッチQ4のコレクタが接続されている。またさらに、第5スイッチQ5のエミッタに第25スイッチQ25のコレクタが接続され、その第25スイッチQ25のエミッタに第26スイッチQ26のコレクタが接続され、更に第26スイッチQ26のエミッタに第6スイッチQ6のコレクタが接続されている。
これらの各スイッチQ21~Q26は、上述した第1スイッチQ1~第6スイッチQ6などと同様にIGBTによって構成され、それぞれのスイッチQ21~Q26には、逆並列にフライホールダイオードD21~D26が接続されている。
また、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第1スイッチQ1および第21スイッチQ21の接続点とが、第27ダイオードD27を介して接続され、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第22スイッチQ22および第2スイッチQ2の接続点とが、第28ダイオードD28を介して接続されている。同様に、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第3スイッチQ3および第23スイッチQ23の接続点とが、第29ダイオードD29を介して接続され、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第24スイッチQ24および第4スイッチQ4の接続点とが、第30ダイオードD30を介して接続されている。またさらに、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第5スイッチQ5および第25スイッチQ25の接続点とが、第31ダイオードD31を介して接続され、第1コンデンサ6および第2コンデンサ7の中間端子と、第26スイッチQ26および第6スイッチQ6の接続点とが、第32ダイオードD32を介して接続されている。
そして、第21スイッチQ21と第22スイッチQ22との接続点にU相コイル3uの一端が接続され、第23スイッチQ23と第24スイッチQ24との接続点にV相コイル3vの一端が接続され、第25スイッチQ25と第26スイッチQ26との接続点にW相コイル3wの一端が接続されている。
このように構成された電力変換装置1も図1に示す電力変換装置1と同様に、充電用電源15の電圧を昇圧して蓄電池2を充電する場合には、まず、第1コンデンサ6と第2コンデンサ7との中間端子とモータ3のいずれかのコイルとを導通状態とする。すなわち、第21スイッチQ21、第23スイッチQ23、および第25スイッチQ25の少なくともいずれか一つ(例えば、第21スイッチQ21)を導通状態とする。つまり、これらの第21スイッチQ21、第23スイッチQ23、および第25スイッチQ25が、この発明の実施形態における「中間スイッチ素子」として機能する。なお、第22スイッチQ22、第24スイッチQ24、および第26スイッチQ26は、導通状態であっても、非導通状態であってもよい。
そして、第1スイッチQ1ないし第6スイッチQ6のうちの、上記中間端子と導通状態となったコイルに、中性点10を介して接続されたスイッチをPWM制御(オンオフ制御)することによって、充電用電源15の電圧を昇圧して蓄電池2を充電することができる。
1 電力変換装置
2 蓄電池
3 モータ
3u,3v,3w,3x,3y コイル
4 正極母線
5 負極母線
6,7 コンデンサ
8 上アームスイッチ
9 下アームスイッチ
10 中性点
13 インバータ制御装置
14 インバータ
15 充電用電源
16 充電ポート
18 制御器
19 比較部
20 出力部
D1~D26 ダイオード
Q1~Q26 スイッチ

Claims (6)

  1. 電源と、
    複数相のコイル、および前記複数相のコイルの一方の端子が接続された中性点とを有する回転機と、
    前記電源の正極と前記電源の負極とに直列に接続された複数のコンデンサと、
    前記複数のコンデンサのうちの中間端子と前記複数相のそれぞれのコイルとを接続する複数の中間スイッチ素子と、
    前記複数相のそれぞれのコイルと前記電源の正極との間に設けられた複数の正極側スイッチ素子を有する上アーム素子と、
    前記複数相のそれぞれのコイルと前記電源の負極との間に設けられた複数の負極側スイッチ素子を有する下アーム素子と
    を備えた電力変換装置において、
    前記中間端子と前記複数のコンデンサの正極側端子または負極側端子とに、前記電源を充電するための充電用電源が接続される充電ポートを備えている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記中間スイッチ素子、前記正極側スイッチ素子、および前記負極側スイッチ素子を制御するコントローラを更に備え、
    前記コントローラは、
    前記充電ポートに前記充電用電源が接続され、かつ前記充電用電源の電圧が前記電源の電圧よりも低い場合に、前記複数相のコイルのうちの前記中性点を介することなく前記中間端子と導通状態とする所定コイルと、前記複数相のコイルのうちの他の制御コイルとを選択し、
    前記複数の中間スイッチ素子のうちの前記中間端子と前記所定コイルとの間に介在する中間スイッチ素子を導通状態とする信号を出力し、
    前記正極側スイッチ素子および前記負極側スイッチ素子のうち、前記中性点を介することなく前記制御コイルに接続されたスイッチ素子をオンオフ制御して、前記電源と前記充電用電源との間で電力を伝達するように構成されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項2に記載の電力変換装置において、
    前記コントローラは、
    前記回転機の回転方向における停止角を検出し、
    前記中間端子と導通状態とすることによって前記回転機の回転角が変化する場合における前記回転角の変化量が最小となるコイルを、前記所定コイルとして選択するように構成されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項2または3に記載の電力変換装置において、
    前記所定コイルは、前記複数相のコイルのうちの少なくとも二相のコイルを含む
    ことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項2ないし4のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記制御コイルは、前記複数相のコイルのうちの少なくとも二相のコイルを含み、
    前記コントローラは、
    前記制御コイルのうちの所定の第1コイルに接続された前記正極側スイッチおよび前記負極側スイッチのスイッチング位相と、前記制御コイルのうちの所定の第2コイルに接続された前記正極側スイッチおよび前記負極側スイッチのスイッチング位相とを異ならせるように構成されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項2ないし5のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記コントローラは、
    前記複数の中間スイッチ素子、前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子をオンオフ制御することにより前記回転機のトルクを制御するように構成され、
    前記回転機のトルクを制御する際における前記複数の中間スイッチ素子、前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子に出力するスイッチング周波数よりも、前記電源と前記充電用電源との間で電力を伝達する際における前記複数の正極側スイッチ素子、および前記複数の負極側スイッチ素子に出力するスイッチング周波数を高周波数に制御するように構成されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
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