JP2022159606A - 凝集分離処理システム、凝集分離処理方法、凝集状態検知装置、および凝集状態検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができる凝集分離処理システムを提供する。【解決手段】被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理装置5と、凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像装置22と、撮像装置22によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像の画像解析を行い、画像解析の結果に基づいて凝集分離処理装置5における凝集条件を制御する凝集制御装置20と、凝集剤が添加された被処理水の一部について凝集物を分離させるための曲がりチャネル10と、曲がりチャネル10で得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定装置12と、測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、試験的に変化させた凝集条件および凝集分離処理装置における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する、凝集分離処理システム1である。【選択図】図1
Description
本発明は、凝集分離処理システム、凝集分離処理方法、凝集状態検知装置、および凝集状態検知方法に関する。
水処理において、被処理水中に無機凝集剤や高分子凝集剤等の凝集剤を添加して、懸濁物質等を凝集させてフロックを形成し、固液分離する凝集処理が行われる。
凝集処理における凝集条件は、従来、回転数を制御できる複数の撹拌翼を備えるジャーテスタと呼ばれる試験装置を用い、凝集、固液分離に最適な凝集剤の添加量等を決定する試験(ジャーテスト)によって決めていた。また、このジャーテストを自動化したオートジャーテスタも知られている(特許文献1参照)。
オートジャーテスタは部品点数が多く、メンテナンス性が悪い、高価になるという課題がある。また、ジャーテスタは、同時に4条件~6条件の試験が可能であるが、1回の試験には、通常、凝集剤の混和、フロック形成、重力による沈降分離、処理水質の測定に合計30分以上要する。
実際の凝集処理において、被処理水の処理水質に応じてジャーテストで凝集条件を決める場合、急激な被処理水の水質変動があった場合に、合計30分以上要するジャーテストでは時間遅れが生じてしまい、急激な被処理水の水質変動に追従できず、処理水質が悪化する場合がある。また、ジャーテストによる凝集条件の選定には、ある程度の経験が必要であり、測定者によって凝集条件の選定までの時間に差異が生じることがあった。
本発明の目的は、凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができる凝集分離処理システム、凝集分離処理方法、凝集状態検知装置、および凝集状態検知方法を提供することにある。
本発明は、被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理装置と、前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像の画像解析を行う解析手段と、前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理装置における凝集条件を制御する凝集制御手段と、前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について凝集物を分離させるための、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルと、前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定手段と、前記チャネル処理水質測定手段によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理装置における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定手段と、を備える、凝集分離処理システムである。
前記凝集分離処理システムにおいて、前記チャネル処理水質測定手段によって測定された前記チャネル処理水の水質に基づいて所定の出力を行う出力手段を備えることが好ましい。
前記凝集分離処理システムにおいて、前記凝集制御手段は、前記判定した結果に基づいて前記凝集分離処理装置における凝集条件を調整することが好ましい。
前記凝集分離処理システムにおいて、前記解析手段は、前記撮像手段によって撮像された画像について濃淡処理を行い、前記濃淡処理を行った画像について微分処理を行い、前記微分処理を行った結果から特徴量を算出することによって前記画像解析を行うことが好ましい。
前記凝集分離処理システムにおいて、前記解析手段は、前記微分処理を行った結果から、エッジピクセル数または前記エッジピクセル数に基づき得られる数値を前記特徴量として算出することが好ましい。
本発明は、被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理工程と、前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について画像解析を行う解析工程と、前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理工程における凝集条件を制御する凝集制御工程と、前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルを用いて凝集物を分離させるチャネル分離工程と、前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定工程と、前記チャネル処理水質測定工程によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理工程における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定工程と、を含む、凝集分離処理方法である。
前記凝集分離処理方法において、前記チャネル処理水質測定工程によって測定された前記チャネル処理水の水質に基づいて所定の出力を行う出力工程を含むことが好ましい。
前記凝集分離処理方法において、前記判定した結果に基づいて前記凝集分離処理工程における凝集条件を調整することが好ましい。
前記凝集分離処理方法における前記解析工程において、前記撮像工程によって撮像された画像について濃淡処理を行い、前記濃淡処理を行った画像について微分処理を行い、前記微分処理を行った結果から特徴量を算出することによって前記画像解析を行うことが好ましい。
前記凝集分離処理方法における前記解析工程において、前記微分処理を行った結果から、エッジピクセル数または前記エッジピクセル数に基づき得られる数値を前記特徴量として算出することが好ましい。
本発明は、被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理装置における前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像の画像解析を行う解析手段と、前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理装置における凝集条件を制御する凝集制御手段と、前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について凝集物を分離させるための、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルと、前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定手段と、前記チャネル処理水質測定手段によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理装置における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定手段と、を備える、凝集状態検知装置である。
本発明は、被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理工程における前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について画像解析を行う解析工程と、前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理工程における凝集条件を制御する凝集制御工程と、前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルを用いて凝集物を分離させるチャネル分離工程と、前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定工程と、前記チャネル処理水質測定工程によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理工程における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定工程と、を含む、凝集状態検知方法である。
本発明により、凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができる凝集分離処理システム、凝集分離処理方法、凝集状態検知装置、および凝集状態検知方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る凝集分離処理システムの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
凝集分離処理システム1は、凝集分離処理装置5と、凝集分離処理装置5における凝集状態を検知するための凝集状態検知装置3と、を備える。
凝集分離処理装置5は、被処理水に凝集剤を添加して混和するための凝集混和手段として、凝集混和装置50と、混和された混和液中にフロックを形成するためのフロック形成手段として、フロック形成装置52と、形成されたフロックを含む濃縮水と分離処理水とに分離するための分離手段として、分離装置54と、を備える。凝集分離処理装置5は、分離処理水についてろ過処理を行うろ過処理手段として、砂ろ過装置56を備えてもよい。
凝集状態検知装置3は、凝集分離処理装置5における凝集剤が添加された被処理水の一部について凝集物を分離させるための、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネル10と、曲がりチャネル10で得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定手段として、水質測定装置12と、を備える。凝集状態検知装置3は、水質測定装置12によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて所定の出力を行う出力手段として、出力部14を備えてもよい。
凝集状態検知装置3は、凝集分離処理装置5における凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像手段として、撮像装置22と、撮像装置22によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について画像解析を行う解析手段、その画像解析の結果に基づいて凝集分離処理装置5における凝集条件を制御する凝集制御手段、水質測定装置12によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、試験的に変化させた凝集条件および凝集分離処理装置5における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定手段として、制御装置20と、を備える。
図1の凝集分離処理システム1において、凝集混和装置50の入口に被処理水配管60が接続されている。凝集混和装置50の混和液出口とフロック形成装置52の入口とは、混和液配管62により接続されている。フロック形成装置52の出口と分離装置54の入口とは、凝集液配管64により接続されている。分離装置54の出口と砂ろ過装置56の入口とは、分離処理水配管66により接続されている。砂ろ過装置56の出口には、処理水配管68が接続されている。凝集混和装置50には、被処理水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段として、凝集剤添加配管70と、被処理水にpH調整剤を添加するpH調整剤添加手段として、pH調整剤添加配管72とが、それぞれが接続されている。また、凝集混和装置50には、撮像装置22が設置されている。被処理水配管60には、被処理水の水質を測定する被処理水水質測定手段として、被処理水水質測定装置58が設置されていてもよい。
凝集混和装置50の評価用混和液出口と曲がりチャネル10の入口とは、評価用混和液配管16により接続されている。曲がりチャネル10の出口と水質測定装置12の入口とは、チャネル処理水配管18により接続されている。水質測定装置12には、出力部14が設置されていてもよい。
制御装置20は、撮像装置22と、水質測定装置12と、凝集剤添加配管70に設置された凝集剤の添加量を調整する凝集剤添加量調整手段(図示せず)と、それぞれ電気的接続等により通信可能に接続されている。制御装置20は、pH調整剤添加配管72に設置されたpH調整剤の添加量を調整するpH調整剤添加量調整手段(図示せず)と、電気的接続等により通信可能に接続されていてもよい。
本実施形態に係る凝集分離処理方法および凝集分離処理システム1の動作、凝集状態検知方法および凝集状態検知装置3の動作について説明する。
図1の凝集分離処理システム1において、例えば、懸濁物質等を含む被処理水は被処理水配管60を通して凝集混和装置50へ送液され、凝集混和装置50において、被処理水に凝集剤が凝集剤添加配管70を通して添加され急速撹拌されて混和される(凝集混和工程)。凝集混和装置50において、被処理水にpH調整剤がpH調整剤添加配管72を通して添加されて、pH調整が行われてもよい(pH調整工程)。混和液は、混和液配管62を通してフロック形成装置52へ送液され、フロック形成装置52においてフロックが形成される(フロック形成工程)。形成されたフロックを含む凝集液は、凝集液配管64を通して分離装置54へ送液され、分離装置54において重力による沈降分離、ろ過等により固液分離が行われ、濃縮水と分離処理水とに分離される(分離工程)(以上が、凝集分離処理工程)。分離処理水は、分離処理水配管66を通して砂ろ過装置56へ送液され、砂ろ過装置56においてろ過処理が行われる(ろ過処理工程)。分離装置54で得られた濃縮水は、濃縮水配管(図示せず)を通して排出される。ろ過処理で得られた処理水は、処理水配管68を通して排出される。
撮像装置22は、凝集混和装置50の槽に貯留された、凝集剤やpH調整剤が添加された被処理水の画像を例えば水面上部から撮像する(撮像工程)。制御装置20は、後述するように、撮像装置22によって撮像された、例えば試験的に凝集剤の添加率を増減させた被処理水の画像について画像解析を行い(解析工程)、その画像解析の結果に基づいて凝集分離処理装置5における凝集条件を制御する(凝集制御工程)。制御装置20は、撮像装置22によって撮像された、例えば試験的に凝集剤の添加率を増減させた被処理水の画像について、コントラストの差からエッジ数を計算し、凝集状態の評価を行う。そして、あらかじめ定めたエッジ数となるように、例えば凝集剤やpH調整剤の添加率を増減させて凝集条件を制御する。
一方、凝集混和装置50から抜き出された評価用混和液は、評価用混和液配管16を通して、曲がりチャネル10へ送液される。評価用混和液は、曲がりチャネル10の入口から渦巻き状チャネルの流路に導入され、流路を流れていくと、凝集物と液体(水)との密度差と重力と流体力学的作用とにより、流路の例えば外周側のチャネル処理水と流路の例えば内周側のチャネル濃縮水とに分離される(チャネル分離工程)。曲がりチャネル10で得られたチャネル処理水は、チャネル処理水配管18を通して水質測定装置12へ送液され、水質測定装置12によって、チャネル処理水の水質が測定される(チャネル処理水質測定工程)。曲がりチャネル10で得られたチャネル濃縮水は、チャネル濃縮水配管を通して排出される。
制御装置20は、水質測定装置12によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、試験的に変化させた凝集条件の適正、および画像解析の結果に基づいて制御した凝集分離処理装置5における凝集条件の適正を判定する(判定工程)。
水質測定装置12によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、出力部14において例えば凝集悪化を知らせる警報等の所定の出力が行われてもよい(出力工程)。
本実施形態に係る凝集分離処理方法および凝集分離処理システムでは、被処理水中に凝集剤を添加し混合する凝集混和装置50の槽に撮像装置22を設置して、例えば試験的に凝集条件を変化させて撮像された画像について画像解析を行い、その画像解析結果に基づいて凝集混和装置50における凝集条件を制御する。試験的に凝集条件を変化させたことによる凝集状態の変化を、凝集混和装置50に接続された評価用混和液配管16から、評価用の固液分離装置である曲がりチャネル10へと供給し、試験的な凝集条件の変更が砂ろ過装置56の処理水の水質に現れるよりも早く凝集状態の評価を行い、試験的な凝集条件の変化が適正であったかを判定する。また、画像解析結果に基づいて凝集混和装置50における凝集条件を変化させたことによる凝集状態の変化を、凝集混和装置50に接続された評価用混和液配管16から、評価用の固液分離装置である曲がりチャネル10へと供給し、試験的な凝集条件の変更が砂ろ過装置56の処理水の水質に現れるよりも早く凝集状態の評価を行い、凝集条件の変化が適正であったかを判定する。
例えば、試験的に凝集剤の添加率を増減させると、凝集混和装置50における凝集状態が変化して凝集状態が悪化し、その水がフロック形成装置52、分離装置54、砂ろ過装置56にて処理されると、処理水の水質が悪化する可能性がある。そこで、凝集混和装置50からサンプリングして評価用の固液分離装置である曲がりチャネル10へと供給し、凝集混和装置50において試験的に凝集条件を変更した際の処理水が出てくるよりも早く、凝集状態を評価する。これによって、試験的に変化させた凝集条件の適正を判定し、凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができる。また、画像解析結果に基づいて、例えば、凝集剤の添加率を増減させたり、pH調整剤の添加率を増減させると、凝集混和装置50における凝集状態が変化して凝集状態が悪化し、その水がフロック形成装置52、分離装置54、砂ろ過装置56にて処理されると、処理水の水質が悪化する可能性がある。そこで、凝集混和装置50からサンプリングして評価用の固液分離装置である曲がりチャネル10へと供給し、凝集混和装置50において凝集条件を変更した際の処理水が出てくるよりも早く、凝集状態を評価する。これによって、変化させた凝集条件の適正を判定し、凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができる。
曲がりチャネル10内でのフロックの分離は、フロックの粒子径や密度によって決まるため、凝集混和装置50における凝集条件の変更によって例えば凝集剤の添加量が増減すると、凝集剤の不足や過剰状態となることがあり、それによって凝集が悪化すれば、曲がりチャネル10出口のチャネル処理水の水質も悪化する。
曲がりチャネル10における固液分離自体は数十秒~数分で終わるため、凝集分離処理装置5における砂ろ過装置56の処理水の水質が悪化する前に、凝集混和装置50における凝集剤の添加率の増減が適正であったかどうかが判定可能である。
従来の方法では、凝集分離処理装置5における例えば凝集剤の添加率の増減により凝集が悪化した場合、砂ろ過後の処理水の水質悪化を検知していたため、凝集混和装置、フロック形成装置、分離装置、砂ろ過装置と滞留時間があり、凝集の悪化を早期に検知することができなかった。本実施形態に係る凝集分離処理方法および凝集分離処理システムでは、試験的に凝集条件を変化する際に例えば凝集剤の量を増減させて添加した混和液を凝集分離処理装置5の凝集混和装置50からサンプリングし、評価用混和液として、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネル10に通水してチャネル処理水質を連続で監視する。また、撮像装置22により撮像された画像の画像解析の結果に基づいて凝集条件を制御する際に例えば凝集剤の量を増減させて添加した混和液を凝集分離処理装置5の凝集混和装置50からサンプリングし、評価用混和液として、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネル10に通水してチャネル処理水質を連続で監視する。これにより、凝集分離処理装置5における凝集条件の適正を早期に検知することができる。例えば、チャネル処理水質が所定の閾値を超えた場合に凝集悪化を知らせる警報等の出力を出せばよい。警報が出た場合には、凝集分離処理装置5における凝集剤の添加率やpH調整剤の添加率を調整することによって、凝集沈殿処理の処理水の水質が悪化する時間を減らすことができる。例えば、本実施形態による方法であれば、例えば5~10分程度で凝集悪化を検知することができ、従来の方法では、通常はフロック形成装置の滞留時間は30~60分程度、分離装置の滞留時間は60分程度であるため、従来の方法よりも、90~120分程度早く凝集悪化を検知することができる。
また、撮像装置22による凝集混和装置50におけるフロックの観察と、曲がりチャネル10によるチャネル処理水の水質の監視とを併用することによって、凝集混和装置50によって試験的に凝集条件を変化させた際の効果を短時間で検知することができる。
曲がりチャネル10では、評価用混和液の凝集状態が良好な場合にはチャネル処理水質も良好であるが、凝集分離処理装置5において例えば凝集剤の添加率を変化させる際に凝集剤を過剰または過小に添加した場合に処理水質が悪化することがある。これは例えば凝集剤の量を過小に添加した場合に凝集剤が不足した状態となり、凝集に必要な水質条件が満たされなくなることによって凝集物の粒子が微小化するためである。そのため、チャネル処理水質を監視することによって、早期に凝集状態の異常検知をすることができる。
評価用混和液の凝集物の固液分離方法としては、沈降分離、砂ろ過、フィルター等が考えられるが、沈降分離は時間を要する、砂ろ過は逆洗が必要であり、フィルターはろ材交換が必要である等のデメリットがあり、連続的に水質を測定するための固液分離処理としては、曲率を有する曲がりチャネルによって連続的に凝集物を分離することが望ましい。
曲がりチャネル10は、被処理液(評価用混和液)を流入するための被処理液入口と、流体が流れるための例えば矩形状の1つの流路を有する配管が渦巻き状に形成された渦巻き状チャネルと、処理液(チャネル処理水)を排出するための、流路の例えば外周側から分かれた処理液出口と、濃縮液(チャネル濃縮水)を排出するための、流路の例えば内周側から分かれた濃縮液出口と、を有する。図2に曲がりチャネル10の流路の断面を示すが、固体粒子(凝集物)を含む被処理液が被処理液入口から渦巻き状チャネルに導入されると、矩形状の流路の断面には二次流れ(ディーン渦)が生じる。これは遠心力による外向きの流れと、直進しようとする流れが外壁により強制的に曲げられることによる内向きへの圧力によるものである。
固体粒子はこの二次流れ(ディーン渦)の中では内周側に集まるとされるが、固体粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスによっては、固体粒子が外周側に集まる場合もある。この場合には、曲がりチャネル10は、流路の内周側から分かれた処理液出口と、流路の外周側から分かれた濃縮液出口と、を有していてもよい。曲がりチャネル10は、曲がりチャネル10における固体粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスを調整することにより、固体粒子と液体との密度差と、重力と、流体力学的作用とによって、被処理液から固体粒子を分離することができる。
曲がりチャネル10は、曲率を有する壁面を含む流路を有するものであればよく、特に制限はない。曲がりチャネル10は、例えば、曲率を有する壁面を含む1つの流路を有する配管が渦巻き状に形成されたものである。曲がりチャネル10の流路の断面形状は、矩形状、円状、楕円状等が挙げられ、ディーン渦の形成のためには、流路の断面形状が矩形状であることが望ましい。すなわち、曲がりチャネル10は、上壁面と下壁面と曲率を有する側壁面とを含む流路を有する。
被処理液の流量に応じて曲がりチャネル10の内側に固体粒子が濃縮されるのか、外側に濃縮されるのかが変わるため、チャネル処理水配管18およびチャネル濃縮水配管は、被処理液の流量に応じて適宜変更してもよい。
曲がりチャネル10は、固体粒子の分離の目的に応じて決められた所定の曲率、長さ、および幅を有することが好ましい。
固体粒子の分離に最適となる曲がりチャネルの仕様は、固体粒子の性状(密度、粒子径等)によって変化するため、流動解析ソフトを用いて決定することが望ましい。流動解析ソフトとしては、例えば、「ANSYS Fluent」(ANSYS社)等が挙げられる。
曲がりチャネル10へ評価用混和液をサンプリングする箇所は、凝集状態の変化を早期に検知するために、凝集混和装置50が好ましいが、混和液配管62からサンプリングしてもよいし、フロック形成装置52からサンプリングしても凝集状態の変化を検知することは可能である。
水質測定装置12としては、チャネル処理水の水質を測定することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、濁度、色度、有機物濃度(TOC)、pH、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する装置である。有機物濃度(TOC)やアルカリ度等の凝集に関する水質を測定してもよいが、測定機器が高価となるため望ましくない。このため、濁度、色度、pHのうちの少なくとも1つの測定を行う装置であることが好ましく、濁度の測定を行う装置であることがより好ましい。
出力部14における出力としては、凝集悪化を知らせる表示や音等の視聴覚的に認知可能な警報の他に、凝集状態の変化に対応するための対応方法等が表示されてもよい。出力部14は、例えば、情報を表示、出力することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示手段や、スピーカ等の音声出力手段等が挙げられる。例えば、警報の方法としては、制御盤のタッチパネル上に表示する、インターネット通信を介して運転員に通知する、監視室等に通知する等が挙げられる。
出力部14は、チャネル処理水の水質が所定の閾値を超えた場合に警報を出してもよい。警報の閾値は、1つに予め決めてもよいし、被処理水の濁度等の水質に応じて段階的、比例的に変化させてもよい。
凝集分離処理装置5において、被処理水水質測定装置58によって被処理水の濁度等の水質が測定され(被処理水水質測定工程)、被処理水の水質の測定結果に応じて凝集混和装置50で凝集剤が添加されてもよい。例えば、凝集剤の添加は、被処理水の濁度等の水質に応じて段階的に添加量が決められてもよいし、係数をかけて決められてもよい。
被処理水水質測定装置58としては、被処理水の水質を測定することができるものであればよく、特に制限はない。被処理水水質測定装置58としては、水質測定装置12と同様のものが挙げられる。
撮像装置22は、例えば、カメラや画像センサ等である。画像センサを用いる場合、カラーセンサや、モノクロセンサ、赤外線センサであってもよいが、制御装置20が後述する濃淡処理を行うことから赤外線センサを用いることが好ましい。また、水面の光の乱反射により撮像が阻害される場合、撮像装置22と凝集混和装置50の槽との間に偏光フィルターを設置することが望ましい。偏光フィルターは、例えば、撮像装置22のレンズに取り付けるタイプのものであってもよい。
図3は、制御装置20の内部構成の一例を示す図である。制御装置20は、濃淡処理部210と、微分処理部220と、判定部230とを有する。なお、図3には、制御装置20が有する構成要素のうち、本実施形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
濃淡処理部210は、撮像装置22が撮像した画像について濃淡処理を施す。この濃淡処理は、投影処理ともいい、画像の濃淡(明暗)を、3段階以上の階調、例えば256段階の階調(0~255階調)に数値化する処理である。微分処理部220は、濃淡処理部210が濃淡処理を施した結果について微分処理を行う。具体的には、微分処理部220は、濃淡処理部210が濃淡処理を行った結果である数値データを微分処理することにより、その数値データ(階調)の変化の割合を算出する。判定部230は、微分処理部220が微分処理を行った結果に基づいて特徴量を算出する。判定部230は、算出した特徴量に基づいて、凝集物の状態を判定する。
図4は、撮像手段によって撮像された画像について画像解析を行う方法の一例を説明するためのフローチャートである。
凝集混和装置50の槽には被処理水が貯留されており、被処理水に凝集剤が添加されている状態である。まず、撮像装置22が、凝集混和装置50内の試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像をそれぞれ撮像し、撮像した画像を制御装置20が取り込む(ステップS1)。すると、濃淡処理部210が、制御装置20内に取り込んだ画像について濃淡処理を施す(ステップS2)。続いて、微分処理部220が、濃淡処理部210が濃淡処理を行った結果である数値データを微分する(ステップS3)。すると、微分処理部220が、微分処理部220が微分処理を行った結果に基づいて特徴量を算出する(ステップS4)。なお、ステップS4の処理は、微分処理部220ではなく判定部230が行ってもよい。そして、判定部230は、試験的に凝集条件を変化させて算出した特徴量の変化量に基づいて、凝集物の状態を判定する(ステップS5)。例えば、算出した特徴量の変化量が所定の閾値より大きい場合には、凝集条件が適正でないと判定し、算出した特徴量の変化量が所定の閾値より小さい場合には、凝集条件が適正であると判定する。
このように、制御装置20は、撮像装置22が撮像した、凝集混和装置50内の試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について、濃淡処理および微分処理を行い、その処理の結果から得られた特徴量の変化量に基づいて、凝集混和装置50内の凝集物の状態を判定する。そのため、凝集混和装置50内の水の状態をより正確に判定することができる。
制御装置20は、判定した結果に基づいて凝集分離処理装置5における凝集条件を調整してもよい。図5は、このような場合の制御装置20の内部構成の例を示す図である。
制御装置20は、図3の制御装置20の機能に加えて、凝集物の状態を判定した結果に基づいて、凝集混和装置50へ凝集条件を制御するための制御信号を送信する機能を有する。例えば、制御装置20は、凝集剤添加配管70に設置された凝集剤の添加量を調整するポンプ、バルブ等の凝集剤添加量調整手段(図示せず)に凝集剤の添加を制御するための制御信号を送信する。また、制御装置20は、pH調整剤添加配管72に設置されたpH調整剤の添加量を調整するポンプ、バルブ等のpH調整剤添加量調整手段(図示せず)にpH調整剤の添加を制御するための制御信号を送信する。凝集剤添加量調整手段は、制御装置20から送信されてくる制御信号に従って、凝集剤の添加(添加量)を調整する。pH調整剤添加量調整手段は、制御装置20から送信されてくる制御信号に従って、pH調整剤の添加(添加量)を調整する。
図5に示した制御装置20は、濃淡処理部210と、微分処理部220と、判定部230と、制御信号生成部240と、送信部250とを有する。なお、図5には、制御装置20が有する構成要素のうち、本実施形態に関わる主要な構成要素のみを示した。濃淡処理部210、微分処理部220および判定部230それぞれは、図3の制御装置20におけるものと同じものである。
図6は、濃淡処理および微分処理の一例を説明するための図である。図6(a)は、撮像装置22が撮像した画像の一例を示す。図6(a)に示した画像には、2つの凝集物がそれらの一部が互いに重なり合って存在している。濃淡処理部210は、この画像の濃淡(明度)を判定し、それを数値化(濃淡処理)する。図6(b)は、図6(a)に示した画像のA-A’における濃淡(明度)を数値化したものをグラフに示した図である。図6(b)に示すように、図6(a)に示した画像のA-A’における各濃淡(各明度)のそれぞれが、それぞれに応じた数値となり、グラフに示される。微分処理部220は、図6(b)に示すように濃淡処理により算出された数値をもとに微分処理することで、濃淡(明度)の変化率(絶対値)を算出する。つまり、微分処理部220は、グラフで示された濃淡(明度)の数値データの変化点(エッジ)を検出する。図6(c)は、濃淡処理部210が濃淡処理を行った結果について微分処理部220が微分処理を行った結果を示すグラフである。図6(c)に示すように、濃淡(明度)の数値データの変化点および変化率が検出されている。図6(c)のおけるシグナルは、濃淡(明度)の変化率(絶対値)を示す。エッジとなり得る濃淡変化が大きな箇所は微分値が大きくなる。判定部230は、微分処理の結果得られたエッジのピクセル数を特徴量として算出するものであってもよいし、所定の変化率以上であるエッジのピクセル数を特徴量として算出するものであってもよい。このような処理によって、エッジピクセル数を特徴量として凝集物の状態を判定することができる。また、判定部230は、微分処理の結果得られたエッジのピクセル数(濃淡の変化点の数)に、その変化率の大きさに応じた係数を乗じて特徴量を算出するものであってもよい。
試験的に凝集条件を変化させて、例えば、試験的に凝集剤の添加率を増減させて、算出したエッジのピクセル数の変化量が所定の閾値より大きい場合には、凝集条件が適正でないと判定し、算出したエッジのピクセル数の変化量が所定の閾値より小さい場合には、凝集条件が適正であると判定する。
図7は、二値化処理および微分処理の一例を説明するための図である。図7(a)は、撮像装置22が撮像した画像の一例を示す。図7(a)に示した画像には、2つの凝集物がそれらの一部が互いに重なり合って存在している。図7(b)は、図7(a)に示した画像のA-A’における濃淡(明度)を上述した濃淡処理ではなく二値化処理したものをグラフに示した図である。図7(b)に示すように、図7(a)に示した画像のA-A’における各濃淡(各明度)のそれぞれが、所定の閾値との大小関係に基づいて二値化、すなわち、白色か黒色かの2段階の階調に数値化されて、グラフに示される。図7(c)は、図7(b)に示したグラフのデータについて微分処理を行った結果を示すグラフである。二値化の処理を行うと、図7(c)に示したような濃淡(明度)の変化点の一部が表現されないものとなってしまう。水中の凝集物を撮像する場合、複数の凝集物が深さ方向に互いに重なることが多く、二値化処理を用いた場合は、水中の凝集物の状態を正確に把握することが困難な場合がある。
制御信号生成部240は、判定部230が算出した特徴量に基づいて、凝集剤添加量調整手段が凝集混和装置50への凝集剤の添加を制御するための制御信号やpH調整剤添加量調整手段が凝集混和装置50へのpH調整剤の添加を制御するための制御信号を生成する。制御信号生成部240は、特徴量の変化量とあらかじめ設定された閾値とを比較し、比較の結果に基づいて制御信号を生成する。制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が凝集混和装置50へ添加する凝集剤の量を増やすか、減らすか、維持するかを示す情報や、pH調整剤添加量調整手段が凝集混和装置50へ添加するpH調整剤の量を増やすか、減らすか、維持するかを示す情報が含まれる制御信号を生成する。または、制御信号生成部240は、電流値や電圧値、または添加する凝集剤やpH調整剤の量を示す制御信号を生成する。制御信号が電流値や電圧値を示すものである場合、制御信号が示す電流値や電圧値は、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段を駆動させるための電流値や電圧値である。制御信号生成部240は、添加すべき量の凝集剤やpH調整剤を凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が添加するために必要な電流値や電圧値を制御信号に含める。つまり、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が、送信されてきた制御信号に含まれる電流値や電圧値で駆動することで、必要な量の凝集剤やpH調整剤を添加することができる。特徴量の変化量と閾値との比較の結果と、どのような制御信号を作成するかを示す情報とは、あらかじめ対応付けて設定されているものである。制御信号生成部240は、この対応付けを参照して制御信号を作成する。制御信号の信号形態については特に規定しない。例えば、特徴量の変化量が閾値を超えている場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を減らすような電流値や電圧値を示す制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。また、特徴量の変化量が閾値未満である場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を増やすような電流値や電圧値を示す制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。また、特徴量の変化量が閾値と同じ値である場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が添加する凝集剤やpH調整剤の量を維持するような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。
なお、制御信号生成部240は、特徴量の変化量と複数の閾値とを比較してもよい。この場合、例えば、制御信号生成部240は、特徴量の変化量とAおよびAよりも大きな値であるBの2つの閾値とを比較し、特徴量の変化量がA未満である場合、特徴量の変化量がA以上B未満の値である場合、および特徴量の変化量がB以上である場合のそれぞれで、複数の種類の凝集剤の添加量を制御するような制御信号を生成するものであってもよい。
送信部250は、制御信号生成部240が生成した制御信号を凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ送信する。この送信は、無線を用いるものであってもよいし、有線を用いるものであってもよい。また、制御装置20と凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段との間の接続形態は、互いに通信が可能な接続形態であればよく、これらが互いに直接接続されているものであってもよいし、通信ネットワークを介して接続されているものであってもよい。なお、送信部250は、制御信号生成部240が生成した信号が示す電流値の電流を凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ流すものであってもよいし、制御信号生成部240が生成した信号が示す電圧値の電圧を凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段に印加するものであってもよい。
図8は、撮像手段によって撮像された画像について画像解析を行い、判定した結果に基づいて凝集分離処理装置5における凝集条件の制御を調整する方法の一例を説明するためのフローチャートである。
凝集混和装置50の槽には被処理水が貯留されており、被処理水に凝集剤が添加されている状態である。まず、撮像装置22が、凝集混和装置50内の試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像をそれぞれ撮像し、撮像した画像を制御装置20が取り込む(ステップS11)。すると、濃淡処理部210が、制御装置20内に取り込んだ画像について濃淡処理を施す(ステップS12)。続いて、微分処理部220が、濃淡処理部210が濃淡処理を行った結果である数値データを微分する(ステップS13)。すると、判定部230が、微分処理部220が微分処理を行った結果に基づいて、そのエッジピクセル数を特徴量として算出する(ステップS14)。続いて、制御信号生成部240は、算出した特徴量の変化量とあらかじめ設定されている閾値とを比較する(ステップS15)。ここでは、制御信号生成部240が、算出した特徴量の変化量とあらかじめ設定されている1つの閾値とを比較する場合を例に挙げて説明する。
算出した特徴量の変化量が閾値未満である場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を増やすようにポンプのストロークアップを指示する制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるように指示する制御信号を生成する(ステップS16)。例えば、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を増やすような電流値や電圧値を示す制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。そして、制御信号生成部240が生成した制御信号を送信部250が凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ送信する。
また、算出した特徴量の変化量と閾値とが互いに同じ値である場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が添加する凝集剤やpH調整剤の量を維持するようにポンプのストロークアップ維持を指示する制御信号を生成する(ステップS17)。例えば、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が添加する凝集剤やpH調整剤の量を維持するような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。そして、制御信号生成部240が生成した制御信号を送信部250が凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ送信する。
また、算出した特徴量の変化量が閾値を超える値である場合、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を減らすようにポンプのストロークダウンを指示する制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるように指示する制御信号を生成する(ステップS18)。例えば、制御信号生成部240は、凝集剤添加量調整手段が添加する凝集剤の量を減らすような電流値や電圧値を示す制御信号や、pH調整剤添加量調整手段が添加するpH調整剤の量を所定のpHに近づけるような電流値や電圧値を示す制御信号を生成する。そして、制御信号生成部240が生成した制御信号を送信部250が凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ送信する。
その後、制御装置20は、規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS19)。規定時間が経過したと判定された場合、ステップS11の処理が行われる。つまり、規定時間を周期として、ステップS11~S19の処理が行われる。規定時間が経過したかどうかは、例えば、制御装置20に規定時間を計測するタイマを設けておき、そのタイマがタイムアウトした場合に規定時間が経過したと判定するものであってもよい。
なお、制御装置20は、特徴量の変化量と閾値との比較に基づいて、凝集条件として、凝集混和装置50に設けられた撹拌機構の動作(例えば、回転数等)を制御するものであってもよい。
このように、制御装置20は、撮像装置22が撮像した、凝集混和装置50内の試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について、濃淡処理を行うことで画像の濃淡を数値化し、数値化したデータについて微分処理を行い、微分処理の結果、数値化したデータの変化点であるエッジピクセル数を特徴量として算出し、算出した特徴量の変化量とあらかじめ設定された閾値との比較の結果に基づいて、凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段が凝集混和装置50へ添加する凝集剤やpH調整剤の量を制御する制御信号を生成して凝集剤添加量調整手段やpH調整剤添加量調整手段へ送信する。そのため、凝集混和装置50の凝集状態を容易に監視でき、かつ凝集状態に応じて凝集剤やpH調整剤の添加量を適切に制御することができる。
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであってもよい。
制御装置20は、例えば、プログラムを演算するCPU等の演算手段、プログラムや演算結果を記憶するROMおよびRAM等の記憶手段等を含んで構成されるマイクロコンピュータと電子回路等で構成される。
上述した制御装置20が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしてもよい。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を制御装置20にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置20に読み込ませ、実行するものであってもよい。制御装置20にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標)Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の移設可能な記録媒体の他、制御装置20に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置20に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
本実施形態に係る凝集分離処理方法および凝集分離処理システムで用いられる凝集剤としては、無機凝集剤および高分子凝集剤のうちの少なくとも1つが用いられる。
無機凝集剤としては、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系無機凝集剤、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム系無機凝集剤等が挙げられる。
無機凝集剤の添加量は、例えば、1~100mg/Lの範囲である。
高分子凝集剤としては、ノニオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤またはカチオン性高分子凝集剤等、特に制限されるものではないが、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミド・アクリル酸塩共重合体、アクリルアミドプロパンスルフォン酸ナトリウム、キトサン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートおよびポリアミジン等が挙げられる。高分子凝集剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子凝集剤の添加量は、例えば、0.1~2mg/Lの範囲である。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤である。pHは、例えば、4~11の範囲に調整すればよい。
凝集分離処理(凝集混和工程、フロック形成工程、分離工程)における液温度は、特に制限はなく、例えば、15~35℃の範囲である。粘性等によって分離性が変わるため、液温度はできるだけ一定になるように調整することが望ましい。
凝集分離装置における処理対象である被処理水は、例えば、懸濁物質等を含む水であり、例えば、河川水、工業用水、排水等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示す凝集分離処理システムを用いて、試験を行った。試験は、懸濁物質の模擬物質としてカオリンを水道水に添加して調製した模擬水を用いて行った。凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いた。撮像装置としてカメラで撮像した凝集混和装置におけるフロックの画像から、コントラストの差によってエッジ数を算出した。具体的には、凝集剤添加率を変化させたときのエッジ数の変化量から、凝集剤の増加、減少、維持といった制御を行った。水質測定装置として、濁度計(OPTEX製、TC-100)を用いて、曲がりチャネルのチャネル処理水の濁度(SS)を測定した。図9に、運転時間(h)に対する、PAC添加量(mg/L)、被処理水SS(mg/L)、処理水SS(mg/L)を示す。また、図10に、運転時間(h)に対するチャネル処理水の濁度(度)を示す。
図1に示す凝集分離処理システムを用いて、試験を行った。試験は、懸濁物質の模擬物質としてカオリンを水道水に添加して調製した模擬水を用いて行った。凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いた。撮像装置としてカメラで撮像した凝集混和装置におけるフロックの画像から、コントラストの差によってエッジ数を算出した。具体的には、凝集剤添加率を変化させたときのエッジ数の変化量から、凝集剤の増加、減少、維持といった制御を行った。水質測定装置として、濁度計(OPTEX製、TC-100)を用いて、曲がりチャネルのチャネル処理水の濁度(SS)を測定した。図9に、運転時間(h)に対する、PAC添加量(mg/L)、被処理水SS(mg/L)、処理水SS(mg/L)を示す。また、図10に、運転時間(h)に対するチャネル処理水の濁度(度)を示す。
ここで、図9に示すように凝集剤添加率が下がったとき(運転時間2.2時間付近)、制御変更を加えてから約5分後に、図10に示すように曲がりチャネルのチャネル処理水の水質(濁度)が悪化した。これは凝集混和装置において凝集剤が不足していることを示唆しており、これ以上凝集剤を減らすと、さらに凝集が悪化するリスクがある。曲がりチャネルのチャネル処理水の濁度が上がったことをトリガーとして、次のステップの凝集剤制御は、凝集混和装置に添加する凝集剤を増やす方向にした。凝集剤を増やした結果、曲がりチャネルのチャネル処理水の水質は改善しており、凝集剤増加制御が適切であることを確認することができた。砂ろ過装置の処理水の水質を検知する方法では、凝集混和装置、フロック形成装置、分離装置、砂ろ過装置の滞留時間があるため、凝集が悪化してもすぐに対応することが困難であるが、曲がりチャネルのチャネル処理水の水質を検知することによって、処理水の濁度の悪化は避けることができた。
本試験によって、撮像装置単独での凝集制御では凝集が悪化することがあるものの、曲がりチャネルのチャネル処理水の水質を測定し、チャネル処理水の水質が悪化したときに凝集分離処理装置における凝集条件の制御を調整することによって、処理水の水質悪化を抑制することができた。
このように、実施例の方法によって、凝集処理における凝集条件を迅速に選定することができた。また、処理水の水質悪化を抑制することができた。
1 凝集分離処理システム、3 凝集状態検知装置、5 凝集分離処理装置、10 曲がりチャネル、12 水質測定装置、14 出力部、16 評価用混和液配管、18 チャネル処理水配管、20 制御装置、22 撮像装置、50 凝集混和装置、52 フロック形成装置、54 分離装置、56 砂ろ過装置、58 被処理水水質測定装置、60 被処理水配管、62 混和液配管、64 凝集液配管、66 分離処理水配管、68 処理水配管、70 凝集剤添加配管、72 pH調整剤添加配管。
Claims (12)
- 被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理装置と、
前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像の画像解析を行う解析手段と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理装置における凝集条件を制御する凝集制御手段と、
前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について凝集物を分離させるための、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルと、
前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定手段と、
前記チャネル処理水質測定手段によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理装置における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする凝集分離処理システム。 - 請求項1に記載の凝集分離処理システムであって、
前記チャネル処理水質測定手段によって測定された前記チャネル処理水の水質に基づいて所定の出力を行う出力手段を備えることを特徴とする凝集分離処理システム。 - 請求項1または2に記載の凝集分離処理システムであって、
前記凝集制御手段は、前記判定した結果に基づいて前記凝集分離処理装置における凝集条件を調整することを特徴とする凝集分離処理システム。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の凝集分離処理システムであって、
前記解析手段は、前記撮像手段によって撮像された画像について濃淡処理を行い、前記濃淡処理を行った画像について微分処理を行い、前記微分処理を行った結果から特徴量を算出することによって前記画像解析を行うことを特徴とする凝集分離処理システム。 - 請求項4に記載の凝集分離処理システムであって、
前記解析手段は、前記微分処理を行った結果から、エッジピクセル数または前記エッジピクセル数に基づき得られる数値を前記特徴量として算出することを特徴とする凝集分離処理システム。 - 被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理工程と、
前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について画像解析を行う解析工程と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理工程における凝集条件を制御する凝集制御工程と、
前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルを用いて凝集物を分離させるチャネル分離工程と、
前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定工程と、
前記チャネル処理水質測定工程によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理工程における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする凝集分離処理方法。 - 請求項6に記載の凝集分離処理方法であって、
前記チャネル処理水質測定工程によって測定された前記チャネル処理水の水質に基づいて所定の出力を行う出力工程を含むことを特徴とする凝集分離処理方法。 - 請求項6または7に記載の凝集分離処理方法であって、
前記判定した結果に基づいて前記凝集分離処理工程における凝集条件を調整することを特徴とする凝集分離処理方法。 - 請求項6~8のいずれか1項に記載の凝集分離処理方法であって、
前記解析工程において、前記撮像工程によって撮像された画像について濃淡処理を行い、前記濃淡処理を行った画像について微分処理を行い、前記微分処理を行った結果から特徴量を算出することによって前記画像解析を行うことを特徴とする凝集分離処理方法。 - 請求項9に記載の凝集分離処理方法であって、
前記解析工程において、前記微分処理を行った結果から、エッジピクセル数または前記エッジピクセル数に基づき得られる数値を前記特徴量として算出することを特徴とする凝集分離処理方法。 - 被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理装置における前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像の画像解析を行う解析手段と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理装置における凝集条件を制御する凝集制御手段と、
前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について凝集物を分離させるための、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルと、
前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定手段と、
前記チャネル処理水質測定手段によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理装置における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする凝集状態検知装置。 - 被処理水に凝集剤を添加して凝集分離処理を行う凝集分離処理工程における前記凝集剤が添加された被処理水の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって撮像された、試験的に凝集条件を変化させた被処理水の画像について画像解析を行う解析工程と、
前記画像解析の結果に基づいて、前記凝集分離処理工程における凝集条件を制御する凝集制御工程と、
前記凝集剤が添加された前記被処理水の一部について、曲率を有する壁面を含む流路を有する曲がりチャネルを用いて凝集物を分離させるチャネル分離工程と、
前記曲がりチャネルで得られたチャネル処理水の水質を測定するチャネル処理水質測定工程と、
前記チャネル処理水質測定工程によって測定されたチャネル処理水の水質に基づいて、前記試験的に変化させた凝集条件および前記凝集分離処理工程における凝集条件のうちの少なくとも1つの適正を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする凝集状態検知方法。
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2021
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