JP2022158699A - 変性ジエン系ポリマー - Google Patents

変性ジエン系ポリマー Download PDF

Info

Publication number
JP2022158699A
JP2022158699A JP2021063768A JP2021063768A JP2022158699A JP 2022158699 A JP2022158699 A JP 2022158699A JP 2021063768 A JP2021063768 A JP 2021063768A JP 2021063768 A JP2021063768 A JP 2021063768A JP 2022158699 A JP2022158699 A JP 2022158699A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
formula
based polymer
modified diene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021063768A
Other languages
English (en)
Inventor
拓巳 兼子
Takumi Kaneko
一喜 志賀
Kazuyoshi Shiga
茂 山子
Shigeru Yamago
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2021063768A priority Critical patent/JP2022158699A/ja
Priority to US17/711,603 priority patent/US11820838B2/en
Publication of JP2022158699A publication Critical patent/JP2022158699A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C19/00Chemical modification of rubber
    • C08C19/12Incorporating halogen atoms into the molecule
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C19/00Chemical modification of rubber
    • C08C19/20Incorporating sulfur atoms into the molecule
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C19/00Chemical modification of rubber
    • C08C19/22Incorporating nitrogen atoms into the molecule

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】架橋形態を制御し得るジエン系ポリマーを提供する。【解決手段】変性ジエン系ポリマーは、式(1)で表される構造を有することを特徴とする。【化1】TIFF2022158699000020.tif43161[式(1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。Zが、有機基、もしくは、有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子である。]【選択図】なし

Description

本発明は、主鎖に特定の官能基が導入された変性ジエン系ポリマーに関する。
共役ジエン化合物を含有する単量体組成物を重合して得られるジエン系ポリマーは、分子鎖中に二重結合を有する。そのため、ジエン系ポリマーは、架橋構造を形成し得る原料として利用されている。このような、ジエン系ポリマーは、分子鎖中の二重結合に共架橋剤が付加重合しグラフト鎖を形成することで、架橋構造が形成される。ここで、ジエン系ポリマーの架橋形態は、得られる架橋物(硬化物)の機械的物性に影響を及ぼす。そこで、ジエン系ポリマーおよび共架橋剤に、さらに添加剤を加えることで、架橋形態を変化させ架橋物の特性を制御することが提案されている。
しかし、添加剤による架橋形態の制御は、全てのグラフト鎖に効率的かつ均一に働くことができない。また、添加剤によって、架橋密度を低下させる非グラフト鎖や副反応による副生成物の生成などが生じ、架橋物の機械的特性を低下させる要因となる場合がある。
ところで、ポリオレフィン系ポリマーについては、分子鎖中に官能基を導入することで、架橋形態を制御することが提案されている。例えば、特許文献1、非特許文献1、2には、光活性アミド化合物を光照射もしくは加熱させることでラジカルを発生させ、オレフィン系ポリマーに、ジチオカルボニル基を有する置換基を導入する方法が記載されている。
国際公開第2019/070889号
ジル B・ウィリアムソン(Jill B. Williamson)、外3名、「Regioselective C-H Xanthylation as a Platform for Polyolefin Functionalization」、アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition)、ドイツ、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(Wiley-VCH)、2018年、Vol.57、p.6291-6265 ジル B・ウィリアムソン(Jill B. Williamson)、外5名、「Chemo- and Regioselective Functionalization of Isotactic Polypropylene: A Mechanistic and Structure-Property Study」、アメリカ化学会誌(Journal of the American Chemical Society)、(アメリカ合衆国)、アメリカ化学会(American Chemical Society)、 2019年、Vol.141、 No.32、p.12815-12823
ポリオレフィン系ポリマーでは、分子鎖中に官能基を導入することで、架橋形態を制御することが可能となる。しかしながら、ジエン系ポリマーでは、引用文献1等に記載の手法を用いて分子鎖中に官能基を導入しようとすると、官能基を導入する際にジエン系ポリマー同士で架橋を形成してしまう。そのため、官能基を導入したジエン系ポリマーを、共架橋剤を用いて架橋する際に、悪影響を及ぼす。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、架橋形態を制御し得る変性ジエン系ポリマーを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の変性ジエン系ポリマーは、式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
Figure 2022158699000001
[式(1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
Zが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子である。]
本発明の変性ジエン系ポリマーは、分子鎖の一部にジチオエステル構造を有する置換基が導入されている。そのため、共架橋剤を用いてこの変性ジエン系ポリマーを架橋すると、ジチオエステル構造を有する置換基が導入された部位に、グラフト鎖が形成されやすくなると考えられる。よって、本発明の変性ジエン系ポリマーを用いることで、得られる架橋物の架橋形態を制御できると考えられる。
本発明の変性ジエン系ポリマーを用いることで、得られる架橋物の架橋形態を制御でき、架橋物の機械的特性を制御できる。
変性ジエン系ポリマーNo.1の1H-NMRスペクトルである。 変性ジエン系ポリマーNo.1、2および未変性のポリブタジエンのIRスペクトルである。 変性ジエン系ポリマーNo.1、2および未変性のポリブタジエンのIRスペクトルである。 変性ジエン系ポリマーNo.1、2および未変性のポリブタジエンのUV-VISスペクトルである。
[変性ジエン系ポリマー]
本発明の変性ジエン系ポリマーは、式(1)で表される構造を有することを特徴とする。式(1)で表される構造は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
Figure 2022158699000002
[式(1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
Zが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子である。]
前記R1およびR2で表される炭素数1以上のアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。前記アルキル基の炭素数は18以下が好ましく、より好ましくは12以下、さらに好ましくは6以下である。前記直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。前記分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。前記環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アリール基の炭素数は20以下が好ましく、14以下がより好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。なお、アリール基は、水素原子がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基の炭素数は、20以下が好ましく、14以下がより好ましい。アラルキル基は、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがアリール基で置換されたものである。前記アラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アラルキル基に含まれるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α-クミル基、1-フェニルエチル基等が挙げられる。なお、アラルキル基は、アラルキル基に含まれるアリール基の水素原子がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記R1およびR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記式(1)において、R1およびR2は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~18のアルキル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
前記Zで表される有機基としては、下記のものが挙げられる。
前記アルキル基には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が含まれる。前記アルキル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基には、直鎖状アルケニル基、分岐鎖状アルケニル基、環状アルケニル基が含まれる。前記アルケニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
前記アルキニル基には、直鎖状アルキニル基、分岐鎖状アルキニル基、環状アルキニル基が含まれる。前記アルキニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。
前記アリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アリール基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アラルキル基の炭素数は20以下が好ましい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α-クミル基、1-フェニルエチル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリル基は、ヘテロ環化合物のいずれかの環員原子から1個の水素原子を除去した基である。前記ヘテロ環化合物は、環員原子として炭素原子と炭素原子以外の原子を有する環式化合物であり、4員環~7員環が好ましい。前記ヘテロ環化合物を構成する炭素原子以外の原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される少なくとも1種が好ましい。前記ヘテロシクリル基としては、ピロリジル基、ピペリジル基、ピロリル基、ピリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、フリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロチオピラニル基、チエニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリジニル基、オキサゾリル基、チアゾリジニル基、チアゾリル基、ピペラジル基、モルホリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
前記アラルキルオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アラルキルオキシ基としては、α-クミルオキシ基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルオキシ基としては、ピロリルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基等が挙げられる。
前記アルカノイル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
前記アロイル基の炭素数は20以下が好ましい。前記アロイル基としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルカルボニル基としては、ピロリルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピリミジルカルボニル基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基の炭素数は、19以下が好ましい。前記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の炭素数は、21以下が好ましい。前記アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルオキシカルボニル基としては、ピロリルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ピリミジニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルカノイルオキシ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルカノイルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ等が挙げられる。
前記アロイルオキシ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アロイルオキシ基としては、ベンゾイルオキシ基、1-ナフトイルオキシ基等が挙げられる。
前記ヘテロシクリルカルボニルオキシ基としては、ピロリルカルボニルオキシ基、ピリジルカルボニルオキシ基、ピリミジニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記アルキルチオ基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ドデシルチオ基等が挙げられる。
前記アリールチオ基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリールチオ基としては、フェニルチオ基等が挙げられる。
前記有機基の一部の水素原子が置換された有機基の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、オキソ基、ハロゲン原子が挙げられる。
前記有機基の一部の水素原子が置換された有機基としては、シアノアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアミノ基等が挙げられ、具体的には、オキソピロリジン-1-イル基、メチルフェニルアミノ基、メチルピリジルアミノ基、3,5-ジメチルピラゾリル基、4-クロロ-3,5-ジメチルピラゾリル基、シアノメチル基、2-シアノブタン-2-イル基、1-シアノエタン-1-イル基、2-シアノプロパン-2-イル基、2-フェニルプロパン-2-イル基、1-シアノ-1-フェニルエタン-1-イル基、2-(エトキシカルボニル)プロパン-2-イル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記式(1)において、Zは、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、または、式(11)~(16)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2022158699000003
[式(11)~(16)において、R11~R16は、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記(1)で表される構造は、式(1-1)で表される構造が特に好ましい。式(1)におけるZの部分にピラゾール環を有することで、前記変性ジエン系ポリマーを用いて架橋構造を形成する際に、架橋制御性が向上する。
Figure 2022158699000004
[式(1-1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
1、X2およびX3は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(1-1)中のR1およびR2の具体例は、式(1)中のR1およびR2の具体例として例示したものが挙げられる。また、前記式(1-1)中のR1およびR2は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~18のアルキル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
前記式(1-1)中のX1~X3で表される炭素数1以上のアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が含まれる。前記炭素数1以上のアルキル基の炭素数は18以下が好ましく、12以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記式(1-1)中のX1~X3で表される炭素数6以上のアリール基としては、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記炭素数6以上のアリール基の炭素数は20以下が好ましく、14以下がより好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記式(1-1)中のX1~X3で表される炭素数6以上のアラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記炭素数6以上のアラルキル基の炭素数は20以下が好ましく、15以下がより好ましい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α-クミル基、1-フェニルエチル基等が挙げられる。
前記式(1-1)中のX1~X3は、炭素数1~4のアルキル基、または、水素原子が好ましい。
前記変性ジエン系ポリマー中の式(1)で表される構造の含有率は、所望とする架橋態様に応じて適宜調整すればよい。前記変性ジエン系ポリマーを含有するポリマー組成物から弾性材料を形成する場合、変性ジエン系ポリマー中の式(1)で表される構造の含有率は、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、100質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
(他の成分)
前記変性ジエン系ポリマーは、式(2)で表される構造を有することが好ましい。式(2)で表される構造は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
Figure 2022158699000005
[式(2)において、R3およびR4は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(2)中のR3およびR4の具体例は、式(1)中のR1およびR2の具体例として例示したものが挙げられる。また、前記式(2)中のR3およびR4は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~18のアルキル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
前記変性ジエン系ポリマーは、式(1)で表される構造、および、式(2)で表される構造以外に、他のビニルモノマーに由来する構造を有していてもよい。他のビニルモノマーとしては、スチレン等の芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル等の(メタ)アクリルモノマー、イソブテン等のアルケン等が挙げられる。
変性ジエン系ポリマー中の式(1)で表される構造と式(2)で表される構造の合計含有率は、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、一層好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。変性ジエン系ポリマーが、式(1)で表される構造と式(2)で表される構造のみを有していてもよい。
前記変性ジエン系ポリマーは、紫外線-可視光吸収スペクトルにおいて、波長350nm~600nm(より好ましくは380nm~500nm)に吸収ピーク(極大値)を有することが好ましい。この波長領域に出現するピークはジエン系ポリマーに導入された置換基に由来するものであると考えられる。この波長領域に吸収ピークを有することで、変性ジエン系ポリマーの合成時の反応の制御が容易になり、得られる変性ジエン系ポリマー中に架橋構造が形成されることを抑制できる。
前記変性ジエン系ポリマーは、分子鎖間に架橋構造が形成されていないことが好ましい。架橋構造の有無は、溶媒にトルエンを使用した膨潤試験を行い、その結果からFlory-Rehnerの式を用いて網目鎖密度を算出することで評価できる。前記変性ジエン系ポリマーの網目鎖密度は、0.05mmol/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.02mmol/cm3以下、さらに好ましくは0.01mmol/cm3以下である。網目鎖密度が0.05mmol/cm3以下であれば未変性ジエン系ポリマーと同等の加工性を有する。
[変性ジエン系ポリマーの製造方法]
前記変性ジエン系ポリマーは、ジエン系ポリマーに、ジチオエステル構造を有する官能基を導入することで製造できる。ジチオエステル構造を有する官能基は、ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを反応させることで導入できる。これらのジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを反応させる方法は特に限定されないが、これらの混合物に光線を照射する方法が好ましい。
変性ジエン系ポリマーの製造方法としては、ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを混合し、混合物を調製する第1工程;不活性雰囲気下で、前記混合物に光線を照射する第2工程を有することが好ましい。ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物との反応を光線を用いて行うことで、得られる変性ジエン系ポリマーにおいて、分子鎖間に架橋が形成されることを抑制できる。
(第1工程)
前記第1工程では、ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを混合し、ジチオエステル化合物をジエン系ポリマー中に均一に分散させて、これらの混合物を調整する。
前記ジエン系ポリマーとしては、1種の共役ジエンモノマーの重合体、2種以上の共役ジエンモノマーの共重合体、共役ジエンモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。
前記共役ジエンモノマーとしては、式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022158699000006
[式(3)において、R5およびR6は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(3)中のR5およびR6の具体例は、式(1)中のR1およびR2の具体例として例示したものが挙げられる。また、前記式(3)中のR5およびR6は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~18のアルキル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
前記共役ジエンモノマーとしては、1,4-ブタジエン、1,2-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンが好ましい。
前記他のビニルモノマーとしては、スチレン等の芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル等の(メタ)アクリルモノマー等、イソブテン等のアルケンが挙げられる。
前記ジエン系ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンイソプレン共重合体、ブタジエンイソプレン共重合体、イソブテンイソプレン共重合体などが挙げられる。
前記ジエン系ポリマーとしては、シス-1,4-結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。シス-1,4-結合の含有率が高いハイシスポリブタジエンを用いることで、反発性能の高い架橋物が得られる。前記ハイシスポリブタジエンは、1,2-ビニル結合の含有量が2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2-ビニル結合の含有量が少ないほど、反発性能の高い架橋物が得られる。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4-シス結合が高含量、1,2-ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ジチオエステル化合物としては、式(4)で表される化合物、または、式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022158699000007
[式(4)および(5)において、Zが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子である。
7は、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。]
前記式(4)および(5)中のZの具体例は、式(1)中のZの具体例として例示したものが挙げられる。前記式(4)および(5)において、Zは、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、または、式(11)~(16)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2022158699000008
[式(11)~(16)において、R11~R16は、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記式(4)中のR7としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、カルボキシル基もしくはこれらの炭化水素基の一部の水素原子が置換された基、またはハロゲン原子が好ましい。
前記式(4)中のR7としては、式(6)で表される構造が好ましい。R7が式(6)で表される構造であれば、ジチオエステル化合物から発生するR基ラジカル(R・)が効率的にポリマーラジカルを補足し、ポリマー鎖同士の架橋をより抑制できる。
Figure 2022158699000009
[式(6)中、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
前記アルキル基には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が含まれる。前記アルキル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基には、直鎖状アルケニル基、分岐鎖状アルケニル基、環状アルケニル基が含まれる。前記アルケニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
前記アルキニル基には、直鎖状アルキニル基、分岐鎖状アルキニル基、環状アルキニル基が含まれる。前記アルキニル基の炭素数は18以下が好ましい。前記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。
前記アラルキル基に含まれるアリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アラルキル基の炭素数は20以下が好ましい。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、α-クミル基、1-フェニルエチル基等が挙げられる。
前記アリール基は、単環状アリール基、多環状アリール基が含まれる。前記アリール基の炭素数は20以下が好ましい。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記R7が有する置換基としては、アミノ基、シアノ基、オキソ基、ハロゲン原子が挙げられる。
前記R7としては、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~20のアラルキル基が好ましく、より好ましくはt-ブチル基、α-クミル基、t-オクチル基、ベンジル基である。
前記(4)、(5)で表される化合物は、式(4-1)、(5-1)で表される化合物が特に好ましい。式(1)におけるZの部分にピラゾール環を有することで、効率的に変性ジエン系ポリマーを合成できる。
Figure 2022158699000010
[式(4-1)および(5-1)において、X1、X2およびX3は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
7は、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。]
前記式(4-1)および(5-1)中のX1~X3の具体例は、式(1-1)中のX1~X3の具体例として例示したものが挙げられる。また、前記式(4-1)および(5-1)中のX1~X3は、炭素数1~4のアルキル基、または、水素原子が好ましい。
前記式(4-1)中のR7の具体例は、式(4)中のR7の具体例として例示したものが挙げられる。また、前記式(4-1)中のR7は、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~20のアラルキル基が好ましく、より好ましくはt-ブチル基、α-クミル基、t-オクチル基、ベンジル基である。
前記ジチオエステル化合物の配合量は、所望とする架橋態様に応じて適宜調整すればよい。前記変性ジエン系ポリマーを含有するポリマー組成物から弾性材料を形成する場合、ジチオエステル化合物の配合量は、ジエン系ポリマー100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、600質量部以下が好ましく、より好ましくは480質量部以下、さらに好ましくは300質量部以下である。
前記ジエン系ポリマーおよびジチオエステル化合物を混合する方法は特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
(第2工程)
前記第2工程では、不活性雰囲気下で、混合物に光線を照射し、ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを反応させ、ジエン系ポリマーの分子鎖にジチオエステル構造を有する官能基を導入する。
前記不活性雰囲気下としては、窒素雰囲気下、アルゴンなどの希ガス雰囲気下などが挙げられる。
前記混合物に照射する光線の種類および照射時間は、ジエン系ポリマーとジチオエステル化合物とを反応させることができれば特に限定されない。例えば、前記光線として波長250nm~600nmのものを使用し、照射時間を1分~120時間とすればよい。
前記混合物へ光線を照射する態様としては、混合物をシート状に成形し、このシートに光線を照射する態様;混合物を混錬しながら光線を照射する態様などが挙げられる。
光線を所定時間照射することで、ジエン系ポリマーにジチオエステル構造を有する官能基が導入された変性ジエン系ポリマーが得られる。なお、得られた変性ジエン系ポリマーは、有機溶剤を用いて洗浄することで、未反応のジチオエステル化合物を除去することが好ましい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
1.1HNMR(核磁気共鳴)測定
核磁気共鳴(NMR)測定装置(周波数400MHz)を用いて、1HNMRを測定行った。溶媒にはCDCl3を用いた。
2.赤外分光法(IR)
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて、IR測定を行った。測定手法には全反射測定法(ATR法)を用いて測定を行った。
3.紫外可視分光法(UV-VIS)
紫外可視光分光光度計(UV-VIS)を用いて、UV-VIS拡散透過率測定を行った。測定は積分球を使用して行った。
4.クロロホルム溶解試験
バイアル瓶に試料約100mgとクロロホルム約5mlを加えて1日放置し、試料の溶解を目視で評価した。
5.網目鎖密度測定
バイアル瓶に試料約100mgとトルエン約5mlを加えて、40℃で2日間放置した。試料が溶解せず膨潤した場合、バイアル瓶から試料を取り出して質量を測定し、膨潤前後の試料質量からFlory-Rehnerの式を用いて網目鎖密度を算出した。試料が全て溶解した場合、網目鎖密度が0.01mmol/cm3未満とみなした。
Figure 2022158699000011
ν:網目鎖密度
V0:溶剤(トルエン)のモル体積(108.15cm3/mol)
μ:ポリブタジエンと溶剤(トルエン)の相互作用定数(0.49)
Figure 2022158699000012
VSample:膨潤前の試料の体積
VT:膨潤により吸収されたトルエンの体積
WF:膨潤前サンプル質量
WS:膨潤後サンプル質量
ρT:トルエン(40℃)の密度(0.8507g/cm3
[ジチオエステル化合物の準備]
(ジチオエステル化合物No.1)
撹拌子を備えた100mL一口フラスコに、3,5-ジメチルピラゾール 1.86g(20.0mmol)を量り取り、テトラヒドロフラン 30.0mLを加え、さらに粉末状水酸化カリウム 1.16g(20.6mmol)を加え、撹拌し、淡黄色溶液を得た。
次いで、この溶液を撹拌しながら、二硫化炭素 1.98g(26.0mmol)を滴下した。滴下終了から1時間経過後に、桐山ロートを用いて析出した沈殿をろ取した。ろ過物をジエチルエーテルで洗浄した後、50℃で減圧乾燥し式(7)で表される3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-ジチオカルボン酸カリウムを得た。
Figure 2022158699000013
撹拌子を備えた一口フラスコ(100mL)に、窒素雰囲気下で、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを860mg(2.00mmol)量り取った。続いて、このフラスコに、α-クミルアルコールを4.0mL加え、撹拌して淡黄色溶液を得た。次に、この淡黄色溶液に、3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-ジチオカルボン酸カリウムを438mg(2.00mmol)加え、室温にて、16.5時間撹拌を行った。所定時間経過後、減圧して反応液を濃縮した。得られた濃縮液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(8)で表されるジチオエステル化合物No.1を24.5mg得た。
Figure 2022158699000014
(ジチオエステル化合物No.2)
ジチオエステル化合物No.2は、式(9)で表される化合物(シグマアルドリッチ社製)を使用した。
Figure 2022158699000015
[変性ジエン系ポリマーの作製]
(変性ジエン系ポリマーNo.1)
2軸ロールを用いて、ポリブタジエンゴム(JSR社製、BR730)40.36gと、上記で得たジチオエステル化合物No.1 1.23gとを混合し、ロール排出時の厚みが2mm以下となるように、混合物をシート状に排出した。排出されたシート状の混合物を長さ75mm、幅15mm程度に切り分けシート片を得た。
次に、アルゴンパージしたグローブボックス内に、2本の支柱を設置し、ここに地面と水平となるように横棒を架け渡した。この横棒に糸を用いてシート片を吊るした。また、シート片の両面に光を照射できるように、シート片を挟むように2つの光源(Kessil社製、「A 160 WE Tuna Blue」、光線の波長380nm~500nm)を設置した。なお、シート片と光源は、15cm~20cm程度離した。光源を使用して、シート片に光を480分間照射し、ポリブタジエンゴムとジチオエステル化合物No.1とを反応させた。反応後、シート片を有機溶媒(アセトン:テトラヒドロフラン=1:2の混合溶媒)で洗浄し、未反応物を除去して、変性ジエン系ポリマーNo.1を作製した。
(変性ジエン系ポリマーNo.2)
2軸ロールを用いて、ポリブタジエンゴム(JSR社製、BR730)40.36gと、前記ジチオエステル化合物No.2 1.72gとを混合し、ロール排出時の厚みが2mm以下となるように、混合物をシート状に排出した。排出されたシート状の混合物を長さ75mm、幅15mm程度に切り分けシート片を得た。
次に、アルゴンパージしたグローブボックス内に、2本の支柱を設置し、ここに地面と水平となるように横棒を架け渡した。この横棒に糸を用いてシート片を吊るした。また、シート片の両面に光を照射できるように、シート片を挟むように2つの光源(Kessil社製、「A 160 WE Tuna Blue」、光線の波長380nm~500nm)を設置した。なお、シート片と光源は、15cm~20cm程度離した。光源を使用して、シート片に光を480分間照射し、ポリブタジエンゴムとジチオエステル化合物No.2とを反応させた。反応後、シート片を有機溶媒(アセトン:テトラヒドロフラン=1:2の混合溶媒)で洗浄し、未反応物を除去して、変性ジエン系ポリマーNo.2を作製した。
[評価]
上記で得た変性ジエン系ポリマーNo.1および2、ならびに、変性していないポリブタジエンゴムについて、1HNMR測定、IR測定、UV-VIS測定、クロロホルム溶解試験、および、網目鎖密度測定を行った。表1にクロロホルム溶解試験、網目鎖密度測定の結果を示した。図1に、変性ジエン系ポリマーの1HNMR測定の結果を示した。図2、3にIR測定の結果を示した。図4にUV-VIS測定の結果を示した。
Figure 2022158699000016
1HNMR測定、IR測定およびUV-VIS測定の結果より、変性ジエン系ポリマーNo.1は式(1-1)で表される構造を有することが確認され、変性ジエン系ポリマーNo.2は、式(1)で表される構造を有することが確認された。
変性ジエン系ポリマーNo.1および未変性のポリブタジエンゴムは、クロロホルムおよびトルエンに溶解した。よって、これらは分子鎖同士が架橋されていない。これに対して、変性ジエン系ポリマーNo.2は、クロロホルムに溶解せず、試料が膨潤した。よって、変性ジエン系ポリマーNo.2はジチオエステル構造を有する官能基を導入する際に、ジエン系ポリマーの分子鎖間で若干架橋が形成されている。
本発明の変性ジエン系ポリマーは、ジチオエステル構造を有する置換基が導入された部位に、グラフト鎖が形成されやすくなると考えられる。よって、本発明の変性ジエン系ポリマーは、架橋構造を形成し得る原料として有用である。

Claims (5)

  1. 式(1)で表される構造を有することを特徴とする変性ジエン系ポリマー。
    Figure 2022158699000017
    [式(1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    Zが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アロイルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ジアルキルホスホネート基、ジアリールホスホネート基、ジアルキルホスフィネート基、ジアリールホスフィネート基、もしくは、これらの有機基の一部の水素原子が置換された有機基、または、水素原子、ハロゲン原子である。]
  2. 前記式(1)において、Zが、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、または、式(11)~(16)で表される構造である請求項1に記載の変性ジエン系ポリマー。
    Figure 2022158699000018
    [式(11)~(16)において、R11~R16は、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  3. 式(1-1)で表される構造を有する請求項1または2に記載の変性ジエン系ポリマー。
    Figure 2022158699000019
    [式(1-1)において、R1およびR2は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。
    1、X2およびX3は、炭素数1以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数6以上のアラルキル基、水素原子、ハロゲン原子を表す。]
  4. 紫外線-可視光吸収スペクトルにおいて、波長350nm~600nmに吸収ピークを有する請求項1~3のいずれか一項に記載の変性ジエン系ポリマー。
  5. Flory-Rehnerの式で算出された網目鎖密度が、0.05mmol/cm3以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ジエン系ポリマー。
JP2021063768A 2021-04-02 2021-04-02 変性ジエン系ポリマー Pending JP2022158699A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021063768A JP2022158699A (ja) 2021-04-02 2021-04-02 変性ジエン系ポリマー
US17/711,603 US11820838B2 (en) 2021-04-02 2022-04-01 Modified diene-based polymer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021063768A JP2022158699A (ja) 2021-04-02 2021-04-02 変性ジエン系ポリマー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022158699A true JP2022158699A (ja) 2022-10-17

Family

ID=83450804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021063768A Pending JP2022158699A (ja) 2021-04-02 2021-04-02 変性ジエン系ポリマー

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11820838B2 (ja)
JP (1) JP2022158699A (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3213075A (en) * 1963-01-25 1965-10-19 Phillips Petroleum Co Prevention of cold flow in polybutadiene
WO2007007681A1 (ja) * 2005-07-08 2007-01-18 Tosoh Corporation クロロプレン系ブロック共重合体及びソープレスポリクロロプレン系ラテックス、並びにこれらの製造法
KR20170067841A (ko) * 2014-10-09 2017-06-16 커먼웰쓰 사이언티픽 앤드 인더스트리얼 리서치 오가니제이션 다목적 raft 제제
WO2019070889A1 (en) 2017-10-03 2019-04-11 The University Of North Carolina At Chapel Hill REGYLELECTIVE C-H XANTHYLATION AS PLATFORM TECHNOLOGY FOR FUNCTIONALIZATION OF POLYMERS

Also Published As

Publication number Publication date
US20220315672A1 (en) 2022-10-06
US11820838B2 (en) 2023-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lian et al. Aluminum and zinc complexes based on an amino-bis (pyrazolyl) ligand: synthesis, structures, and use in MMA and lactide polymerization
Liu et al. Direct azidation of isotactic polypropylene and synthesis of ‘grafted to’derivatives thereof using azide–alkyne cycloaddition chemistry
Li et al. Synthesis and antioxidant activities in polyolefin of dendritic antioxidants with hindered phenolic groups and tertiary amine
Narathichat et al. Assessment degradation of natural rubber by moving die processability test and FTIR spectroscopy
KR20000005048A (ko) 니트록실 함유 화합물
JP5521165B2 (ja) ヒドロキシスチレンダイマー誘導体、その製造方法、連鎖移動剤およびラジカル重合性モノマーの重合方法
Liu et al. Unprecedented 3, 4-isoprene and cis-1, 4-butadiene copolymers with controlled sequence distribution by single yttrium cationic species
Kasza et al. Synthesis of hyperbranched poly (ethyleneimine) based macromolecular antioxidants and investigation of their efficiency in stabilization of polyolefins
Schulte et al. New seven-and eight-membered cyclic alkoxyamines for the living free radical polymerization
Maki et al. Xanthate-mediated controlled radical polymerization of N-vinylindole derivatives
Ding et al. Effects of a novel chitosan based macromolecule antioxidant COS-GMMP on the thermo-oxidative aging of styrene-butadiene rubber/silica composites
JPS62225503A (ja) テレケレポリマ−及びその製法
Passaglia et al. Functionalization of a styrene/butadiene random copolymer by radical addition of l-cysteine derivatives
Belekian et al. Effect of nitroxyl-based radicals on the melt radical grafting of maleic anhydride onto polyethylene in presence of a peroxide
Su et al. Ring-Opening Metathesis Polymerization of 1, 1-Disubstituted 1-Methylcyclopropenes
Ding et al. Diselenide mediated controlled radical polymerization under visible light irradiation: mechanism investigation and α, ω-ditelechelic polymers
Demarteau et al. Halomethyl-cobalt (bis-acetylacetonate) for the controlled synthesis of functional polymers
Gawin et al. Ruthenium Amide Complexes–Synthesis and Catalytic Activity in Olefin Metathesis and in Ring‐Opening Polymerisation
JP2022158699A (ja) 変性ジエン系ポリマー
JP2022158700A (ja) 変性ジエン系ポリマーの製造方法
Guo et al. Highly active and thermally robust pyridylbenzotriazole iron-based catalysts for preparation of polyisoprenes that feature high wet traction and low rolling resistance
JP2022535662A (ja) ペンダントイミダゾール官能基を担持するグラフト化ポリマー
Salabert et al. Photochemical polymerization of N-phenyl mono-1, 3-benzoxazines in aqueous media
JP2018048303A (ja) アリルホウ素化による官能化エラストマーの製造法
JP2021095368A (ja) ジチオエステル化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240226