JP2022158385A - 樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】常温常圧下で液体状態であり、硬化物の生分解性に優れる樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物の提供。【解決手段】分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有する及び立体造形用樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物に関する。
近年、樹脂を用いた多くの製品が開発されている。例えば、樹脂を用いて立体造形物を製造する3Dプリント技術が発達してきている。
3Dプリント技術を用いた3Dプリンターは誰でも手軽に立体造形物を作製できることから、世界中で沢山の人が使用すると見込まれている。よって、使われる樹脂の廃棄は重要な問題である。環境保全の観点から3Dプリンターで使われる樹脂は生分解性を有していることが好ましい。
例えば、生分解性を有する光硬化型樹脂を用いて立体造形物を製造することが提案されている(例えば、特許文献1及び2など参照)。
しかしながら、光造形により立体造形物を製造するために用いる樹脂においては、常温で液状である必要があるが、常温下において液体であり生分解性を有するものが未だ実用化されていない。
特開平9-31183号公報 特開平6-157603号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、常温常圧下で液体状態であり、硬化物の生分解性に優れる樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することで、常温常圧下で液体状態であり、硬化物の生分解性を向上させることができる樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物とすることができることを見出した。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする樹脂組成物である。
<2> 前記多官能(メタ)アクリルモノマーが、水酸基を有する、前記<1>に記載の樹脂組成物である。
<3> 前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する水酸基の存在率(%)が、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーに対して、10%以上33%以下である、前記<2>に記載の樹脂組成物である。
<4> 前記ポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が、組成物全量に対して30質量%以上100質量%以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<5> 単官能(メタ)アクリレートをさらに含有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<6> ガラス転移温度(Tg)が、常温以上である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<7> 前記単官能(メタ)アクリレートが、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びアクリロイルモルフォリンの少なくともいずれかである、前記<5>から<6>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<8> 分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする立体造形用樹脂組成物である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、常温常圧下で液体状態であり、硬化物の生分解性に優れる樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物を提供することができる。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<多官能(メタ)アクリルモノマー>
前記多官能(メタ)アクリルモノマーは、分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーがポリカプロラクトン骨格を主骨格として有することにより、得られる樹脂組成物の硬化物を酵素によって分解することができる生分解性を付与することができる。前記多官能(メタ)アクリルモノマーがポリカプロラクトン骨格を主骨格とすることにより、樹脂組成物の硬化物においてポリカプロラクトン骨格に由来する多数のエステル結合を含ませることができ、酵素の反応により分解させることができる。
なお、本発明において、「生分解性」とは、自然界に広く存在するリパーゼ酵素による分解性を意味する。より具体的には、「生分解性」とは、30℃、常圧下で4日間、酵素と反応又は微生物に接触させた状態において、その物質の重量が反応前又は接触前の重量に対して重量変化し、リパーゼ酵素を添加していないものと比較して変化率が大きいことを意味する。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーは、2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する(メタ)アクリルモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の樹脂組成物は、前記多官能(メタ)アクリルモノマーを含有するため、熱又は光によって硬化させることができる。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、分子量が1,000以下であり、かつポリカプロラクトン骨格を主骨格として有していれば特に制限はなく、例えば、下記構造式(1)~(2)で示されるものなどが挙げられる。
Figure 2022158385000001
ただし、構造式(1)中、Rは、分岐を有するアルキル基であり、X、Y及びZの合計が、1以上9以下の整数を表す。
Figure 2022158385000002
ただし、構造式(2)中、Rは、直鎖アルキル基又は直鎖アルキルエーテルであり、mとnの合計が、1以上9以下の整数を表す。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーの分子量は、1,000以下であり、300以上1,000以下が好ましく、500以上1,000以下がより好ましい。前記多官能(メタ)アクリルモノマーの分子量が1,000以下であると、常温常圧下において樹脂組成物を液体とすることができる。また、前記多官能(メタ)アクリルモノマーの分子量が300以上1,000以下であると、取り扱いしやすい適度な粘度とすることができる。
前記分子量の測定方法としては、特に制限はなく、従来用いられている公知の方法を使用することができ、目的に応じて、適宜選択することができる。
前記分子量の算出方法としては、例えば、水酸基価OH、分子が有する水酸基の数OH、水酸化カリウムの分子量(56.1)から、下記式を用いて算出する方法などが挙げられる。水酸基価はJIS K 0070:1992に準じて測定することができる。分子が有する水酸基の数は水酸化カリウム・エタノール溶液を滴定することで測定することができる。
Figure 2022158385000003
前記多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量としては、組成物全量に対して30質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、その構造中に(メタ)アクリル基とは異なる官能基を有していてもよい。
前記官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親水性基などが挙げられる。
前記親水性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記水酸基を有していることが好ましい。前記多官能(メタ)アクリルモノマーが前記水酸基を有していることにより、酵素が硬化物に作用しやすくなり、酵素による分解を促進させることができる。これは、親水性に乏しいポリカプロラクトン骨格が水酸基を有することによって、前記多官能(メタ)アクリルモノマーの重合物(硬化物)において親水性が向上し、硬化物に対して酵素が作用しやすくなったためと考えられる。よって水酸基が多く残存していることが好ましい。
前記水酸基を有する前記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、下記構造式(1’)で示されるものなどが挙げられる。
Figure 2022158385000004
ただし、構造式(1’)中、Rは、分岐を有するアルキル基であり、X、Y及びZの合計は、1以上9以下の整数を表す。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する前記官能基の存在率(%)としては、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーに対して、10%以上50%以下が好ましく、10%以上33%以下がより好ましく、20%以上33%以下がさらに好ましい。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する前記官能基の存在率(%)は、以下の方法で得ることができる。以下の方法では例として、官能基が水酸基である場合を示す。
まず、測定対象のサンプルを作製するのに用いた、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーを、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS20、Thermo製)により、3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピーク強度を測定する。測定した結果をピーク強度αとする。
次に、測定対象のサンプル(樹脂組成物)を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS20、Thermo製)により、3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピーク強度を測定する。測定した結果をピーク強度Xとする。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する前記官能基の存在率(%)は、測定したこれらのピーク強度を用いて、下記式1で求めることができる。
多官能(メタ)アクリルモノマーが有する官能基の存在率(%)
={(ピーク強度X)/(ピーク強度α)}×100 ・・・式1
また、前記官能基の種類に応じて測定するピーク強度の範囲を変更することにより、前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する前記官能基の存在率(%)を測定することができる。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、その構造中に(メタ)アクリル基とは異なる官能基を有する多官能(メタ)アクリルモノマーとする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水酸基を有する多官能(メタ)アクリルモノマーとする場合、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーに対して、(メタ)アクリル付加するアクリル酸クロライド(メタクリル酸クロライド)の仕込み量を前記(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーの当量以下して混合する方法などが挙げられる。このようにすることによって、前記(メタ)アクリルする前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーが有する水酸基のうち一部を、(メタ)アクリル化せずに未反応の水酸基として存在(残存)させることができる。
なお、前記多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、その構造中にウレタン結合及びエポキシ基を有さないことが好ましい。前記多官能(メタ)アクリルモノマーが、その構造中にウレタン結合及びエポキシ基を有さないことにより前記多官能(メタ)アクリルモノマーの分子量を小さくすることができ、本発明の樹脂組成物の粘度を小さくすることができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、カプロラクトン骨格を有する前記多官能(メタ)アクリレートと相溶することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、多孔質材料、発泡剤、色素、顔料、無機フィラー、生分解性の樹脂微粒子、重合禁止剤などが挙げられる。
なお、ここで、「カプロラクトン骨格を有する前記多官能(メタ)アクリレートと相溶する」とは、目視による外観が層分離しない、白濁せず透明であることを意味する。
<<単官能(メタ)アクリレート>>
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、モノマーであっても、オリゴマーであってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記樹脂組成物の硬化物の架橋密度が高すぎると硬化物が脆くなる。前記単官能(メタ)アクリレートを含有させることにより、前記樹脂組成物の硬化物の架橋密度が高くなりすぎることを抑制することができる。ポリカプロラクトン骨格はエステル結合を多数有し、ソフトなセグメントであるため、架橋密度を適度に調整することにより、本発明の樹脂組成物の硬化物の柔軟性を向上させることができる。
前記単官能アクリレートとしては、例えば、ベンジルアクリレート(Tg:6℃)、フェノキシエチルアクリレート(Tg:2℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Tg:-12℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg:15℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:94℃)、アクリロイルモルフォリン(Tg:145℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(Tg:-70℃)、オクチルアクリレート(Tg:-65℃)、n-ブチルアクリレート(Tg:-55℃)、エチルアクリレート(Tg:-20℃)などが挙げられる。
前記単官能メタクリレートとしては、例えば、ベンジルメタクリレート(Tg:54℃)、フェノキシエチルメタクリレート(Tg:2℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Tg:60℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:155℃)、2-エチルヘキシルメタクリレート(Tg:-10℃)、オクチルメタクリレート(Tg:-65℃)、n-ブチルメタアクリレート(Tg:20℃)、エチルメタクリレート(Tg:65℃)などが挙げられる。
これらの中でも、ガラス転移温度(Tg、℃)が常圧下において、常温(5℃以上35℃以下)以上であるものが好ましく、50℃以上がより好ましい。ガラス転移温度(Tg、℃)が常圧下において、常温(5℃以上35℃以下)以上であると、硬化物の形状を維持するのに十分な硬度を得ることができる。
即ち、前記単官能(メタ)アクリレートとしては、イソボルニルアクリレート(Tg:94℃)、(メタ)アクリロイルモルフォリン(Tg:145℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:155℃)が好ましい。
前記単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、組成物全量に対して10質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、組成物全量に対して50質量%以下であると、樹脂組成物の硬化物の生分解性を担保することができる。
<<多官能(メタ)アクリレート>>
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、モノマーであっても、オリゴマーであってもよく、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、組成物全量に対して1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上30質量%以下であると、硬化物の硬度を適切に制御することができる。
<<多孔質材料>>
前記多孔質材料としては、充填剤(フィラー)として使用することができる多孔質の材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記多孔質材料を含有することより、硬化物の硬度を向上させつつ、分解に際しては多孔質の領域から酵素が作用しやすくなり生分解性を向上させることができる。
前記多孔質材料としては、例えば、珪藻土、ゼオライト、活性炭などが挙げられる。
前記多孔質材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<発泡剤>>
前記発泡剤は、本発明の樹脂組成物に含有させ、硬化の際に発泡させることにより、硬化物を多孔質化させることができる材料である。前記発泡剤により前記硬化物を多孔質化させることによって、前記硬化物の生分解性を向上させることができる。
前記発泡剤としては、例えば、アゾジカーボンアミド、N,N’-ジニトロペンタメチレンテトラミン、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素塩、炭酸塩 などが挙げられる。
前記発泡剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<生分解性の樹脂微粒子>>
前記生分解性の樹脂微粒子は、生分解性を示す樹脂からなる微粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記生分解性の樹脂微粒子を本発明の樹脂組成物に含有させることにより、分解時に硬化物を細分化しやすくすることができる。即ち、生分解性の微粒子を含有することにより、分解時の起点になり、硬化物を細かくし表面積を大きくすることができ、生分解性を向上させることができる。また、前記硬化物の塊を細分化することにより生分解性の粒子(例えば、モデルガンに使用するビーズなど)を製造することができる。
前記生分解性の樹脂微粒子の材質としては、例えば、ポリ乳酸などが挙げられる。
前記生分解性の樹脂微粒子の体積平均粒径としては、5μm以上1mm以下が好ましい。
前記生分解性の樹脂微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の樹脂組成物の粘度(cP)としては、25℃において、20cP以上1,000cP以下が好ましく、50cP以上500cP以下がより好ましい。本発明の樹脂組成物の粘度(cP)が50cP以上500cP以下であると、例えば、本発明の樹脂組成物を光造形方式の利点を生かした微細構造を作製できないという問題がある。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg、℃)としては、常圧下において、常温(5℃以上35℃以下)以上であるものが好ましく、50℃以上がより好ましい。ガラス転移温度(Tg、℃)が常圧下において、常温(5℃以上35℃以下)以上であると、硬化物の形状を維持するのに十分な硬度を得ることができる。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg、℃)は、動的粘弾性測定装置(DMA:Dynamic Mechanical Analysis、製品名:RSA-3、TAインスツルメント社製)により測定することができる。具体的には、サンプルサイズ:幅5mm×長さ20mm、周波数:1MHzの測定条件で得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大点における温度をガラス転移温度(Tg、℃)とする。
本発明の樹脂組成物は、常温常圧下において液体であり、その硬化物は生分解性に優れるため、例えば、樹脂を使用した造形物、即ち、2次元又は3次元の造形物において、造形精度を向上させ、環境にやさしい材料とすることができる。
そのため、本発明の樹脂組成物は専ら立体造形物の製造に好適に使用することができる。
本発明の樹脂組成物を用いることができる立体造形物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鋳型に充填し、熱又は光により硬化する方法などが挙げられる。
(立体造形用樹脂組成物)
本発明の立体造形用樹脂組成物は、分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物と同様である。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、専ら立体造形物の製造に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例等を説明するが、本発明は、これらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
300mL3つ口フラスコにプラクセル305(カプロラクトンのトリオール、分子量:550、ダイセル社製)11g(0.02mol)、及びトリエチルアミン(分子量101.2)4.0g(0.04mol、原料に対するモル当量0.67)入れ、100mLのジクロロメタンを投入し、還流管と滴下ロートを取り付けて、氷浴中で撹拌して完全に溶解させ溶液A1得た。
次に、アクリル酸クロライド(分子量90.51)3.6g(0.04mol、原料に対するモル当量0.67)を、ジクロロメタン30mLで希釈し、滴下ロートを用いてゆっくりと溶液A1に投入し、溶液A2を得た。そのまま2時間撹拌させて、その後、30分間還流温度で撹拌した。
吸引ろ過により溶液A2からトリエチルアミン塩酸塩を除去し、その後に分液ロートを用いて水で3回洗い、エバポレータで溶媒を除去し無色透明の液体1を得た(収率:90%)。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS2、Thermo製)を用いて液体1を分析し、1625cm-1付近のアクリルの2重結合のピークが認められ、及び3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピークは残存していることを確認した。
(実施例2)
実施例1において、プラクセル305 11g(0.02mol)に対して、アクリル酸クロライド(分子量90.51)を4.9g(0.054mol、原料に対するモル当量0.9)に変更した以外は、実施例1と同様にして、淡黄色透明の液体2を得た(収率:95%)。
(実施例3)
実施例1において、プラクセル305 11g(0.02mol)に対して、アクリル酸クロライド(分子量90.51)を5.4g(0.06mol)に変更した以外は、実施例1と同様にして、淡黄色透明の液体3を得た(収率:90%)。
(実施例4)
300mL3つ口フラスコにプラクセル205(カプロラクトンのジオール、分子量:550、ダイセル社製)11g(0.02mol)、及びトリエチルアミン(分子量101.2)4.0g(0.04mol、原料に対するモル当量1)入れ、100mLのジクロロメタンを投入し、還流管と滴下ロートを取り付けて、氷浴中で撹拌して完全に溶解させ溶液B1得た。
次に、アクリル酸クロライド(分子量90.51)3.6g(0.04mol)をジクロロメタン30mLに希釈し、滴下ロートを用いてゆっくりと溶液B1に投入し溶液B2を得た。そのまま2時間撹拌させて、その後、30分間還流温度で撹拌した。
吸引ろ過により溶液B2からトリエチルアミン塩酸塩を除去し、分液ロートを用いて水で3回洗い、エバポレータで溶媒を除去し無色透明の液体4を得た(収率:91%)。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS20、Thermo製)を用いて液体4を分析し、1625cm-1付近のアクリルの2重結合のピークがみとめられ、及び3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピークが消失していることを確認した。
(実施例5)
実施例1において、プラクセル305 11g(0.02mol)をプラクセル303 6g(カプロラクトンのトリオール、分子量:300、0.02mol、ダイセル社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、淡黄色透明の液体5を得た(収率:92%)。
(比較例1)
実施例4において、プラクセル205 11g(0.02mol)をプラクセル210 22g(カプロラクトンのジオール、分子量:1,100、0.02mol、ダイセル社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、淡黄色のワックス6を得た(収率:90%)。
(比較例2)
プラクセルFA2D(カプロラクトンの単官能アクリレート、分子量:340、ダイセル社製)である。
(比較例3)
EBECRY3708(変性エポキシアクリレート、分子量:3,000、ダイセルオルネックス社製)である。
(比較例4)
EBECRY8402(ウレタンアクリレート、分子量:2,000、ダイセルオルネックス社製)である。
次に、以下のようにして、得られた液体1~9の「水酸基存在率(%)」、「粘度(cP)」を測定した。
-水酸基存在率(%)-
測定対象のサンプル(液体)を作製するのに用いた、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマー(プラクセル305、プラクセル205、プラクセル303、プラクセル210、プラクセルFA2D)のそれぞれにおいて、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS20、Thermo製)により、3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピーク強度を測定した。測定した結果をピーク強度αとする。
次に、測定対象のサンプル(樹脂組成物、液体1~9)のそれぞれを、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR、装置名:Nicolet iS20、Thermo製)により、3100cm-1~3600cm-1の水酸基(OH)のピーク強度を測定した。測定した結果をピーク強度Xとする。
水酸基存在率(%)(多官能(メタ)アクリルモノマーが有する前記水酸基の存在率(%))は、測定したこれらのピーク強度を用いて、下記式1で求めた。
水酸基存在率(%)
={(ピーク強度X)/(ピーク強度α)}×100 ・・・式1
-粘度(cP)-
測定対象のサンプル(樹脂組成物、液体1~9)のそれぞれを、25℃下において、回転レオメータ(装置名:G3、ティーエーインスツルメンツ製)を用いて粘度を測定した。
次に、得られた液体1~9を用いて硬化物を作製し、作製した硬化物に対して、以下のようにして「硬化物の重量減少率(%)(分解性)」を評価した。
-硬化物の重量減少率(%)(分解性)-
[硬化物の作製]
得られた各液体1~9 100質量部に対して、光重合開始剤イルガキュア1173(BASF社製)を1質量部添加した造形液を調製した。調整した造形液をそれぞれ、2枚のPETフィルムの間に挟んで塗工し、UVコンベアでUV照射(1J/cm)し、縦×横×厚みが3cm×3cm×0.5mmの硬化物を得た。得られたそれぞれの硬化物の重量を測定した(重量A)。
[生分解性の評価]
まず、酵素としてリパーゼPS(天野エンザイム社製)を硬化物1mgに対して5Uとなるように20mLの水(溶媒)に添加し、酵素液を調整した。
硬化物の全体が納まるガラス容器に得られた硬化物を入れ、酵素液に完全に浸漬させ、ガラス容器を密閉し、30℃で4日間放置した。
放置後、酵素液と硬化物とを、ろ別して分離し、硬化物を完全に乾燥させた後にその重量を測定した(重量B)。
酵素処理前の重量(重量A)に対する酵素処理後の重量(重量B)の割合を重量減少率(%)とし、生分解性の指標とした。
なお、対照実験として、酵素を含まない水のみを用いた試料を作製し、同様に評価した。
Figure 2022158385000005
比較例1の硬化物は線状のアクリルポリマーの側鎖にカプロラクトンがペンダントしている構造である。この硬化物(ポリマー)は生分解性を示さない。このように、線状ポリマーの側鎖に、カプロラクトン骨格を有しているだけでは硬化物(主鎖構造)の崩壊(分解)が起こらない。
実施例1~5は生分解性を示す。実施例1~5の硬化物は、2官能以上のアクリレートから成るため、3次元架橋構造を有しており、橋掛け部位に生分解性を有するポリカプロラクトンが含まれることで酵素により加水分解され、硬化物の崩壊(分解)が起こる。即ち、主骨格は多数のエステル結合を有しているものでないと酵素による生分解性は得られない。例えば、アルキルグリコール鎖、アルキル鎖などは酵素により分解されない。
また、実施例1~3に示すように、樹脂組成物に含まれる水酸基の存在率(%)が多くなればなるほど、生分解性の効果が向上することが確認できた。
比較例1、3及び4は分子量が1,000以上であり、モノマーがワックス状又は粘調液体となり、硬化前の物質に流動性がなく、本発明の課題を解決できない。
また、比較例3及び4に示すように、エポキシアクリレートやウレタンアクリレートを用いると分子量が大きくなり、粘調液体になりやすい。このようにモノマー粘度が高いことは低粘度が求められる立体造形に用いる材料の使用に不向きである。
一方、本発明の樹脂組成物においては、モノマーをアクリル酸クロリドによりアクリル化しているので、モノマーの分子量は、原材料の分子量にアクリルの数に応じてアクリル基の分子量(55)を付与することになる。つまり合成後の分子量が限定されており、融点や粘度を制御するうえで優れている。
リパーゼ酵素の有り無しの比較により、リパーゼを有りはリパーゼ無しの試料に比べて重量減少量が大きかった。
(実施例6~7及び比較例5)
次に、下記表2に示すように、実施例6~7及び比較例5の樹脂組成物を調整し、実施例1~5及び比較例1~4と同様にして、「粘度(cP)」を測定し、「硬化物の重量減少率(%)(分解性)」を評価した。
Figure 2022158385000006
本発明の樹脂組成物及び立体造形用樹脂組成物は、常温常圧下で液体状態であり、硬化物の生分解性に優れるので、例えば、立体造形物の製造などに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記多官能(メタ)アクリルモノマーが、水酸基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記多官能(メタ)アクリルモノマーが有する水酸基の存在率(%)が、(メタ)アクリル化する前の前記ポリカプロラクトン骨格を有するモノマーに対して、10%以上33%以下である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が、組成物全量に対して30質量%以上100質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 単官能(メタ)アクリレートをさらに含有する、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. ガラス転移温度(Tg)が、常温以上である、請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記単官能(メタ)アクリレートが、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びアクリロイルモルフォリンの少なくともいずれかである、請求項5から6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 分子量1,000以下のポリカプロラクトン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする立体造形用樹脂組成物。

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