JP2022157002A - 酸化タングステンスパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

【課題】高電力条件でDCスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制でき、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を安定してスパッタ成膜することが可能な酸化タングステンスパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】母相となる酸化タングステン相11に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相12が存在し、添加金属酸化物相12の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化タングステン膜を成膜する際に使用される酸化タングステンスパッタリングターゲットに関するものである。
上述の酸化タングステン膜は、エレクトロクロミック表示素子や遮光部材等の各種分野において使用されており、例えば、LEDチップにおける高仕事関数層として使用されている。また、特許文献1には、有機EL素子の陽電極として酸化タングステン膜(WO膜)を用いることが開示されている。
上述の酸化タングステン膜は、特許文献1に記載されているように、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法によって成膜されている。
ここで、特許文献2,3には、Nb,Ta,Ti,Zr,Y,Al,Siのいずれか一種又は二種以上の添加金属の酸化物を添加した酸化タングステンスパッタリングターゲットが提供されている。
これら特許文献2,3に記載された酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を成膜することが可能となる。
特開2013-076163号公報 特開2020-153014号公報 特開2020-153015号公報
ところで、特許文献2,3に記載されたように、Nb,Ta,Ti,Zr,Y,Al,Siのいずれか一種又は二種以上の金属の酸化物を含有させた酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、酸化タングステン粉と金属酸化物粉とを混合し、得られた混合粉末を焼結することによって製造される。この酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、母相となる酸化タングステン相に、上述の金属酸化物相が分散した組織となる。
ここで、上述の金属酸化物粉は、混合時に凝集し易いため、焼結体からなる酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、金属酸化物相が粗大化する傾向にあった。
そして、上述の金属酸化物相が粗大化した場合には、高い電力を負荷してDCスパッタ(直流スパッタ)を行った際に、異常放電が発生しやすくなり、安定して酸化タングステン膜を成膜できないおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、高電力条件でDCスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制でき、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を安定してスパッタ成膜することが可能な酸化タングステンスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の酸化タングステンスパッタリングターゲットは、母相となる酸化タングステン相に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相が存在し、前記添加金属酸化物相の平均粒径が50μm以下であることを特徴としている。
この構成の酸化タングステンスパッタリングターゲットによれば、母相となる酸化タングステン相に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相が存在しているので、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を成膜することができる。
そして、前記添加金属酸化物相の平均粒径が50μm以下に抑制されているので、高電力条件でスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
ここで、本発明の酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、金属成分として、前記添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.10以上0.67以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.10以上とされているので、成膜された酸化タングステン膜のアルカリ耐性を確実に向上させることが可能となる。一方、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.67以下とされているので、成膜した酸化タングステン膜のエッチング特性が確保され、エッチング処理を良好に行うことができる。
また、本発明の酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、抗折強度が100N/mm以上であることが好ましい。
この場合、抗折強度が100N/mm以上であることから、取り扱い時やスパッタ時における酸化タングステンスパッタリングターゲットの割れの発生を抑制することができ、使用寿命の延長を図ることができる。
また、本発明の酸化タングステンスパッタリングターゲットにおいては、母相となる酸化タングステン相において、酸素量のばらつきが±10%以内とされていることが好ましい。
この場合、酸化タングステン相において、酸素量のばらつきが±10%以内に制限されているので、特性が安定した酸化タングステン膜を成膜することができる。
本発明によれば、高電力条件でDCスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制でき、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を安定してスパッタ成膜することが可能な酸化タングステンスパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲットの組織の観察写真である。 本発明の一実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。
以下に、本発明の実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10は、高仕事関数層として用いられる酸化タングステン膜を成膜するものである。
なお、本実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10においては、その形状に特に限定はなく、スパッタ面が矩形状をなす矩形平板型スパッタリングターゲットであってもよいし、スパッタ面が円形をなす円板型スパッタリングターゲットとしてもよい。あるいは、スパッタ面が円筒面とされた円筒型スパッタリングターゲットであってもよい。
本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10においては、図1に示すように、酸化タングステン相11と、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相12と、を有する。本実施形態では、図1に示すように、母相となる酸化タングステン相11に、添加金属酸化物相12が島状に分散した組織とされている。
そして、本実施形態においては、上述の添加金属酸化物相12の平均粒径が50μm以下とされている。
また、本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10においては、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.10以上0.67以下の範囲内であることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10においては、抗折強度が100N/mm以上であることが好ましい。
また、本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10においては、母相となる酸化タングステン相11における酸素量のばらつきが±10%以内とされていることが好ましい。
ここで、本実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10において、添加金属酸化物相12の平均粒径、組成、抗折強度、酸素量のばらつきを、上述のように規定した理由について説明する。
(添加金属酸化物相の平均粒径)
本実施形態では、図1に示すように、母相となる酸化タングステン相11内に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相12が存在した組織とされている。添加金属酸化物相12が存在することにより、成膜した酸化タングステン膜のアルカリ耐性を向上させることが可能となる。
ここで、上述の添加金属酸化物相12が粗大である場合には、2.5W/cm以上の高電力条件でDCスパッタした際に、異常放電が発生しやすくなり、パーティクルが多く発生し、安定して酸化タングステン膜を成膜することができなくなるおそれがある。
このため、本実施形態においては、添加金属酸化物相12の平均粒径を50μm以下に制限している。
なお、高電力条件でDCスパッタした際の異常放電の発生をさらに抑制するためには、添加金属酸化物相12の平均粒径を40μm以下とすることが好ましく、35μm以下とすることがさらに好ましい。
(添加金属の合計含有量)
本実施形態において、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.10とすることにより、成膜した酸化タングステン膜のアルカリ耐性を確実に向上させることが可能となる。一方、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.67以下に制限することにより、成膜した酸化タングステン膜のエッチング特性を確保することができる。
このため、本実施形態においては、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.10以上0.67以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、成膜した酸化タングステン膜のアルカリ耐性をさらに確実に向上させるためには、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.15以上とすることがさらに好ましく、0.20以上とすることがより好ましい。また、成膜した酸化タングステン膜のエッチング特性をさらに確保するためには、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.60以下とすることがさらに好ましく、0.55以下とすることがより好ましく、0.40以下とすることがより一層好ましい。
(抗折強度)
本実施形態において、抗折強度が100N/mm以上である場合には、取り扱い時やスパッタ時の割れの発生を抑制でき、酸化タングステンスパッタリングターゲット10の寿命延長を図ることができる。
このため、本実施形態においては、抗折強度を100N/mm以上とすることが好ましい。
なお、酸化タングステンスパッタリングターゲット10における割れの発生をさらに抑制するためには、抗折強度を120N/mm以上とすることがさらに好ましく、150N/mm以上とすることがより好ましい。
(酸化タングステン相における酸素量のばらつき)
本実施形態において、母相となる酸化タングステン相11における酸素量のばらつきが±10%以内とされている場合には、高電力条件でスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生をさらに抑制でき、さらに安定して酸化タングステン膜を成膜することが可能となる。
このため、本実施形態においては、母相となる酸化タングステン相11における酸素量のばらつきを±10%以内とすることが好ましい。
なお、異常放電の発生をさらに抑制するためには、母相となる酸化タングステン相11における酸素量のばらつきを±8%以内とすることがさらに好ましく、±6%以内とすることがより好ましい。
次に、本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10の製造方法について、図2を参照して説明する。
本実施形態に係る酸化タングステンスパッタリングターゲット10の製造方法においては、図2に示すように、酸化タングステン粉末準備工程S01と、混合工程S02と、焼結工程S03と、機械加工工程S04と、を備えている。
(酸化タングステン粉末準備工程S01)
WO粉末を還元処理することにより、WO粉末及びW1849粉末を含有するWO粉末を得る。なお、このWO粉末は、WO粉末を含んでいてもよい。ここで、WO粉末の純度は99.9mass%以上とされている。還元処理の条件を調整することにより、WO粉末のXを制御する。
上記還元処理としては、例えばWO粉末を水素雰囲気中で所定時間、所定温度で関して水素還元を行う。この水素還元ではWOからWO2.9、WO2.72、WO、Wの順に還元が進行する。還元の進行状況をコントロールすることによって還元状態の異なった上記組成の混合状態の粉末を作製し、WO粉末のXの値を細かく変動させることが可能である。
さらに、WO粉末のXの値を制御及び微調整する方法として、上述のように還元処理した粉末に、WO、WO2.9、WO2.72、WO、Wからなる粉末を適宜混合することも可能である。
ここで、WOのXの定量は、サンプリングしたWOを重量測定した後、大気中で800℃×1時間の熱処理を行い、熱処理後に重量測定を行う。そして、全てがWOとなっていることをX線回折分析によって確認し、W量を以下の式によって算出する。そして、求めたW量から酸素の割合をXとして算出する。
Wの重量=熱処理後の重量×M/MWO3
W(mass%)=(Wの重量/熱処理前のWOの重量)×100
:Wの原子量(183.85),MWO3:WOの原子量(231.85)
得られたWO粉末を混合することにより、酸化タングステン粉末を得る。ここで、混合方法としては、例えばジルコニアボールを用いた乾式のボールミル、あるいは、湿式のボールミルを適用することができる。なお、混合方法は、限定されるものではなく、ミキサーやブレンダー、具体的には、ヘンシェル、ロッキング、レコン等を適用することができる。
ここで、酸化タングステン粉末の平均粒径は、1μm以上30μm以下の範囲内であることが好ましい。
(混合工程S02)
次に、上述の酸化タングステン粉末に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属酸化物粉末を添加して混合し、焼結原料粉末を得る。
ここで、混合方法としては、ジルコニアボールを用いた湿式のボールミルを適用することができる。湿式で混合・粉砕することにより、原料粉末の凝集を低減させ、添加金属酸化物粉末を微細に分散させることができ、添加金属粉末の凝集や粗大化を抑制することが可能となる。
なお、酸化タングステン粉末準備工程S01と混合工程S02とを同時に実施してもよい。この場合においても、WO粉末および添加金属酸化物粉末の混合・粉砕を、湿式で行うことになる。
(焼結工程S03)
次に、上述の焼結原料粉末を、加圧及び加熱することで焼結し、焼結体を得る。本実施形態では、熱間等方圧加圧法(HIP)により、焼結体を得た。
この焼結工程S03における焼結温度は750℃以上1400℃以下の範囲内、焼結温度での保持時間は1時間以上4時間以下の範囲内、加圧圧力は10MPa以上145MPa以下の範囲内とした。
(機械加工工程S04)
次に、得られた焼結体を所定の寸法となるように機械加工する。
これにより、本実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である酸化タングステンスパッタリングターゲット10によれば、母相となる酸化タングステン相11の中に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相12が存在しているので、アルカリ耐性に優れた酸化タングステン膜を成膜することができる。
そして、添加金属酸化物相12の平均粒径が50μm以下に抑制されているので、高電力条件でスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
本実施形態において、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.10以上である場合には、成膜された酸化タングステン膜のアルカリ耐性を、確実に向上させることが可能となる。
一方、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.67以下である場合には、成膜した酸化タングステン膜のエッチング特性が確保され、エッチング処理を良好に行うことができる。
また、本実施形態において、抗折強度が100N/mm以上である場合には、取り扱い時やスパッタ時における酸化タングステンスパッタリングターゲット10の割れの発生を抑制することができ、割れが発生するスパッタリングターゲットよりも酸化タングステンスパッタリングターゲット10の寿命延長を図ることができ、安定したスパッタを行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、本発明に係る酸化タングステンスパッタリングターゲットの作用効果について評価した評価試験の結果を説明する。
まず、上述のWO粉末を水素還元処理することによりWO粉末を製造した。本実施例では、還元の度合いを調整することにより、表1に示すように、異なるxの値のWO粉末を作製した。なお、原料粉末の平均粒径を2.4μmとした。
また、各種添加金属の酸化物粉末として、Nb粉末(純度:99.9mass%、粒径D50:4.6μm)、Ta粉末(純度:99.9mass%、粒径D50:3.5μm)、TiO粉末(純度:99.9mass%、粒径D50:2.6μm)、SiO粉末(純度:99.9mass%、粒径D50:1.9μm)、Ga粉末(純度:99.9mass%、粒径D50:2.3μm)、を準備した。
そして、表1に示す配合で、WO粉末と添加元素酸化物粉末を、直径5mmのジルコニアボールを用いたロールミルによって粉砕・混合し、焼結原料粉末を得た。このとき、混合条件を表1に示すものとした。なお、本発明例については、湿式によりWO粉末と添加元素酸化物粉末とを混合した。
得られた焼結原料粉末を用いて、表1に示す条件で焼結工程を実施し、焼結体を得た。なお、表1において、「HP」は真空雰囲気でのホットプレス、「HIP」は熱間等方圧加圧法を示す。
そして、得られた焼結体を機械加工し、直径122.5mm×厚さ5mmの円板状の酸化タングステンスパッタリングターゲットを製造した。
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価を実施した。
(酸化タングステンスパッタリングターゲットの組成)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットからサンプルを切り出して粉砕し、酸で前処理した。次いでICP-AESによって、各種金属成分を定量分析し、得られた結果から、金属成分として、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を算出した。結果を表2に示す。
(添加金属酸化物相の平均粒径)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットから観察試料を採集し、スパッタ面に平行な面を観察面になるように研磨処理を行った後、EPMAを用いて、倍率3000倍の写真を撮影した。
得られた添加金属の元素マッピング像により、母相である酸化タングステン相に島状に分散した添加金属酸化物相を特定した。画像解析ソフト(ImageJ)により撮影した画像に対して色のしきい値処理を行った。色のしきい値処理で得られた画像で、観察領域全体に対して、添加金属酸化物相の個数と面積を測定した。画像解析ソフトによる測定した個数と総面積のデータで、観察範囲内の添加金属酸化物相の平均面積を計算した。その平均面積を真円の面積としてみなし、直径を計算し、添加金属酸化物相体の平均粒径とした。評価結果を表2に示す。
(酸化タングステン相における酸素量のばらつき)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットの酸化タングステン相からWO試料を採取した。
サンプリングしたWO試料を重量測定した後、大気中で800℃×1時間の熱処理を行い、熱処理後に重量測定を行った。全てがWOとなっていることをX線回折分析によって確認し、W量を以下の式によって算出した。そして、求めたW量から酸素の割合Xを算出した。
Wの重量=熱処理後の重量×M/MWO3
W(mass%)=(Wの重量/熱処理前のWOの重量)×100
:Wの原子量(183.85),MWO3:WOの原子量(231.85)
上述のようにして、酸化タングステンスパッタリングターゲットの任意の10箇所からサンプリングしたWO試料の酸素の割合Xを酸素量として算出した。測定した10箇所の酸素量Xの平均値Xaveを表2のXの測定値に記載した。また、測定した10箇所の酸素量の標準偏差をσとして、酸素量のばらつきE(%)を算出した。
E(%)=σ/Xave×100
(抗折強度)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットから、厚さが3mm、スパッタ面方向に対して幅が5mm、長さが30mmである試験片を採取し、採取した試験片を用いて、支点間距離20mm、試験荷重5kN、速度0.5mm/minの条件で3点曲げ試験を行った。測定装置として島津製作所社製の万能引張試験機オートグラフを用いた。
(密度)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットの重量と寸法より、測定密度を算出した。
また、酸化タングステンスパッタリングターゲットの組成に合わせて、組成材料の密度と添加量で理論密度を求めた。
各組成の理論密度に対して、下記の式で酸化タングステンスパッタリングターゲットの相対密度を算出した。
相対密度(%)=(測定密度)/(理論密度)×100
(スパッタ試験における異常放電発生回数)
得られた酸化タングステンスパッタリングターゲットをCu製のバッキングプレートにInはんだを用いて接合し、これをスパッタ装置にセットし、以下の条件でDCスパッタを行い、スパッタリング時の異常放電発生回数を測定した。
ターゲットサイズ:φ122.5mm×5mmt
電源:DC615W
到達真空度:5×10-5Pa以下
ガス圧:0.65Pa
スパッタリングガス:Ar=27sccm、O2=3sccm
ターゲット-基板(TS)距離:75mm
厚さ5mmの酸化タングステンスパッタリングターゲットで、連続DCスパッタを行い、異常放電の発生回数をスパッタ電源装置に付属するアーキングカウンター機能にて自動的にDCスパッタの異常放電の回数(回数/時間)を計測した。
上記のスパッタ条件で10分間のプレスパッタを行い、酸化タングステンスパッタリングターゲットをセットした際に大気で表面に吸着した成分を除去した。10分間のプレスパッタが完了後、一旦放電を停止し、電源装置に計測した異常放電回数をリセットした。その後、同じ条件で連続DCスパッタを行った。その後、電源装置に計測した異常放電回数を確認・記録した。
なお、表3において、「初期」はスパッタ開始時に1時間連続スパッタを行った結果である。「中期」はエロージョン部の深さがターゲット厚さの1/2に到達した状態で、1時間連続スパッタを行った結果である。「終期」はエロージョン部のターゲットの残存厚さが1mmとなった状態で、1時間連続スパッタを行った結果である。
(パーティクルの発生個数)
上述の異常放電発生回数の評価と同様の条件でDCスパッタを実施した。このとき、スパッタ装置に、ウィックス社の真空中パーティクルモニタISPM-S-ICFを取り付け、レーザー光散乱方式で、最小250nmまでの粒子を測定した。
なお、酸化タングステンスパッタリングターゲットをセットする前、スパッタ装置の防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、真空引きを行い、上述条件の真空度まで真空引き後、10分のプレスパッタを行って、ターゲット表面に吸着した成分を除去し、一旦放電を停止した。真空中パーティクルモニタの計測機能を起動して、ガス圧1.40Pa、スパッタ出力100Wで放電を開始した。5分間、モニタの計測機能が停止なく、スパッタ放電も安定で行うことを確認したのち、上述のスパッタ条件とし、連続DCスパッタを行った。放電終了後、真空中パーティクルモニタを停止し、計測したパーティクル数を記録した。
なお、表3における「初期」、「中期」、「終期」は、上述の異常放電発生回数の評価と同様である。
(アルカリ耐性)
DCスパッタ装置で、到達真空度5×10-5Pa以下、スパッタ出力300W、Arガス流量90sccm、酸素流量10sccmの条件で、ガラス基板に100nmの厚さの酸化タングステン膜を成膜した。
得られた膜を水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)2.38mass%水溶液に浸し、膜が消失するまでの時間を計測した。
膜が消失するまでの時間が60秒以上であればフォトレジスト工程の現像に耐え得るアルカリ耐性を持つと判断した。表3には、膜が消失するまでの時間が60秒以上の場合を「〇」、膜が消失するまでの時間が60秒未満の場合を「×」と表記した。
(エッチング特性)
DCスパッタ装置で、到達真空度5×10-5Pa以下、スパッタ出力300W、Arガス流量90sccm、酸素流量10sccmの条件で、ガラス基板に50nmの厚さの酸化タングステン膜を成膜した。
得られた膜を過酸化水素とアンモニアの混合水溶液(H-NH)に浸し、膜の溶解状況を目視で確認し、膜が消失するまでの時間を計測した。
膜が消失するまでの時間が10分以下であれば、エッチング特性に優れていると判断した。表3には、膜が消失するまでの時間が10分以下の場合を「〇」、膜が消失するまでの時間が10分を超える場合を「×」として表記した。
(平均透過率)
DCスパッタ装置で、到達真空度5×10-5Pa以下、スパッタ出力300W、Arガス流量94sccm、酸素流量6sccmの条件で、ガラス基板に100nmの厚さの酸化タングステン膜を成膜した。
得られた膜をHITACHI製の紫外可視近赤外分光光度計 UH4150で、膜の透過率を測定した。波長450nm~650nmの可視光の平均透過率を測定した。
(抵抗値)
DCスパッタ装置で、到達真空度5×10-5Pa以下、スパッタ出力300W、Arガス流量94sccm、酸素流量6sccmの条件で、ガラス基板に100nmの厚さの酸化タングステン膜を成膜した。
得られた膜を日東電工製のハイレスタ-UX MCP-HT800 高抵抗率計で、膜の抵抗値を測定した。
ここで、ガラス基板の中心部において、抵抗値を3回測定し、3回の平均値を表3の「抵抗値」の欄に記載した。
(仕事関数)
DCスパッタ装置で、到達真空度5×10-5Pa以下、スパッタ出力300W、Arガス流量90sccm、酸素流量10sccmの条件で、シリコンウェハー基板に10nmの厚さの酸化タングステン膜を成膜した。
得られた膜を紫外光電子分光法(UPS)で仕事関数を測定した。
Figure 2022157002000002
Figure 2022157002000003
Figure 2022157002000004
比較例1においては、添加金属酸化物相の平均粒径が55.4μmとされており、スパッタ成膜の初期から異常放電が多発し、パーティクルも多く発生した。また、中期以降では、異常放電がさらに多くなり、安定して成膜することができなかった。このため、パーティクルの評価を中止した。
比較例2においては、添加金属酸化物相の平均粒径が79.2μmとされており、スパッタ成膜の初期から異常放電が多発し、パーティクルも多く発生した。また、中期以降では、異常放電がさらに多くなり、安定して成膜することができなかった。このため、パーティクルの評価を中止した。また、添加金属の酸化物の添加量が多く、添加金属の合計含有量をM(原子%)、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.67を超えており、膜のエッチング特性が「×」となった。
これに対して、本発明例1-14においては、添加金属酸化物相の平均粒径が50μm以下とされており、スパッタの初期から終期まで、異常放電の発生が抑えられ、安定して成膜することができた。また、パーティクルの発生個数も少なくなった。また、成膜した酸化タングステン膜においては、アルカリ耐性に優れていた。
なお、添加金属の合計含有量をM(原子%)、タングステンの含有量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)を0.67以下とした本発明例1-8,10,11,13,14においては、成膜した酸化タングステン膜のエッチング特性にも優れていた。
以上のことから、本発明例によれば、高電力条件でスパッタを実施した場合であっても、割れの発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能な酸化タングステンスパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。
10 酸化タングステンスパッタリングターゲット
11 酸化タングステン相
12 添加金属酸化物相

Claims (4)

  1. 母相となる酸化タングステン相に、Nb,Ta,Ti,Si,Gaから選択される一種または二種以上から選択される添加金属の酸化物からなる添加金属酸化物相が存在し、
    前記添加金属酸化物相の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする酸化タングステンスパッタリングターゲット。
  2. 金属成分として、前記添加金属の合計含有量をM(原子%)とし、タングステンの含有
    量をW(原子%)とした場合に、M/(W+M)が0.10以上0.67以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の酸化タングステンスパッタリングターゲット。
  3. 抗折強度が100N/mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸化タングステンスパッタリングターゲット。
  4. 母相となる酸化タングステン相において、酸素量のばらつきが±10%以内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化タングステンスパッタリングターゲット。
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