<照明システムの概要>
図1は照明システム1の構成の一例を示す概略図である。照明システム1は、所定の照明空間に対して照明光を放射することが可能である。照明システム1は、屋内の空間に対して照明光を放射してもよいし、屋外の空間に対して照明光を放射してもよい。言い換えれば、照明システム1が放射する照明光は、屋内で利用されてもよい、屋外で利用されてもよい。また、複数の照明システム1が同じ空間に対して照明光を放射してもよいし、複数の照明システム1が互いに異なる複数の空間に対して照明光をそれぞれ放射してもよい。
図1に示されるように、照明システム1は、例えば、発光装置4と、複数の変換部5と、複数の照明部6と、処理装置7とを備える。発光装置4は、例えば、複数の発光部3と、複数の発光部3を制御する制御装置2とを備える。複数の発光部3は、複数の変換部5とそれぞれ接続されている。複数の変換部5は、複数の照明部6とそれぞれ接続されている。以後、発光部3と、当該発光部3に接続された変換部5と、当該変換部5に接続された照明部6とは、互いに対応する構成であるとする。
処理装置7は、可搬性の装置であって、後述するように照明システム1に関する設定で利用される。処理装置7は、例えば、ユーザが手で持つことが可能な携帯機器である。ユーザは、処理装置7を手に持った状態で、処理装置7を操作することが可能である。処理装置7は、例えば制御装置2と通信可能である。
各発光部3は、例えば、レーザ光L1を生成して出力することが可能である。発光部3は例えばレーザダイオード(laser diode:LD)である。レーザダイオードは半導体レーザとも呼ばれる。レーザ光L1としては、例えば、波長が460nm以下の短波長レーザ光が採用される。レーザ光L1は、440nm以下の短波長レーザ光であってもよい。この場合、レーザ光L1は、例えば405nmの紫色のレーザ光であってもよい。
複数の発光部3は例えば一つの外装ケース内に収容されている。複数の発光部3と制御装置2は一つの外装ケース内に収容されてもよい。また、複数の発光部3を収容する外装ケースと、制御装置2を収容する外装ケースとが別々に設けられてもよい。
複数の発光部3と複数の変換部5とは、例えば複数の光ファイバ10でそれぞれ接続される。光ファイバ10の一端は、例えば、着脱可能に発光部3に接続される。光ファイバ10の一端は、発光部3に対して例えばコネクタ接続される。光ファイバ10の他端は、例えば、着脱可能に変換部5に接続される。光ファイバ10の他端は、変換部5に対して例えばコネクタ接続される。光ファイバ10は、発光部3が出力するレーザ光L1が入射され、入射されたレーザ光L1を変換部5まで伝送する。光ファイバ10は、例えば、レーザ光L1を伝送するコアと、当該コアの周囲を覆うクラッドとを備える。光ファイバ10は、クラッドの周囲を覆う部材を備えてもよい。光ファイバ10は、例えば、石英ガラスから成る石英ファイバであってもよいし、プラスッチックから成るプラスチックファイバであってもよいし、他の材料から成る光ファイバであってもよい。
各変換部5は、光ファイバ10で伝搬されるレーザ光L1を変換光L2に変換することが可能である。各変換部5は波長変換部50を有する。波長変換部50は、光ファイバ10で伝送されるレーザ光L1が照射され、レーザ光L1の照射に応じてレーザ光L1の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する変換光L2を発する。波長変換部50は、レーザ光L1によって励起されて変換光L2を発する。変換光L2は、可視光であってもよい。また、変換光L2は、可視光に加え、近赤外域の光を含んでいてもよい。以後、レーザ光L1を励起光L1と呼ぶことがある。
波長変換部50としては、例えば、蛍光体を含む蛍光体部分500が採用される。蛍光体部分500が含む蛍光体は、レーザ光L1の照射に応じて蛍光を発することができる。蛍光体が発する蛍光の波長スペクトルにおけるピークを示す波長(ピーク波長ともいう)は、レーザ光L1の波長スペクトルのピーク波長よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
蛍光体部分500は例えば多数の蛍光体を含む。多数の蛍光体には、例えば1種類以上の蛍光体が含まれる。蛍光体部分500には、互いに異なるピーク波長を有する複数種類の蛍光体が含まれてもよい。この場合、蛍光体部分500には、例えば、励起光L1の照射に応じて赤色(R)の蛍光を発する蛍光体(赤色蛍光体ともいう)と、励起光L1の照射に応じて緑色(G)の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体ともいう)と、励起光L1の照射に応じて青色(B)の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体ともいう)とが含まれてもよい。赤色蛍光体には、例えば、励起光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が620nmから750nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。緑色蛍光体には、例えば、励起光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が495nmから570nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。青色蛍光体には、例えば、励起光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が450nmから495nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。
蛍光体部分500に複数種類の蛍光体が含まれる場合には、当該複数種類の蛍光体が発する蛍光が、蛍光体部分500が発する変換光L2を構成する。つまり、変換光L2は複数種類の色成分で構成される。蛍光体部分500に、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が含まれる場合には、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が発する蛍光が変換光L2を構成する。
蛍光体部分500に複数種類の蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、互いに異なる複数の波長ピークを有する。例えば、蛍光体部分500に3種類以上の蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、互いに異なる3つ以上の波長ピークを有する。蛍光体部分500に、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、赤色蛍光体が発する蛍光の波長ピークと、緑色蛍光体が発する蛍光の波長ピークと、青色蛍光体が発する蛍光の波長ピークとが含まれる。変換光L2は、疑似的な白色光であってもよいし、他の色温度の可視光であってもよい。
なお、蛍光体部分500には、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体以外の蛍光体が含まれてもよい。蛍光体部分500には、例えば、励起光L1の照射に応じて青緑色の蛍光を発する蛍光体(青緑色蛍光体ともいう)が含まれてもよい。また、蛍光体部分500には、例えば、励起光L1の照射に応じて黄色の蛍光を発する蛍光体(黄色蛍光体ともいう)が含まれてもよい。蛍光体部分500には、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、青緑色蛍光体及び黄色蛍光体の少なくとも1種類の蛍光体が含まれてもよい。
青緑色蛍光体には、例えば、励起光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が495nm程度の蛍光体が適用される。黄色蛍光体には、例えば、励起光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が570nmから590nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。
蛍光体部分500は、例えば、多数の蛍光体を含む低融点ガラスで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分500は、多数の蛍光体を含む結晶化ガラスで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分500は、多数の蛍光体を含むセラミックで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分500は、蛍光性を有するバルク状のセラミックで構成されてもよい。この場合には、蛍光体部分500は蛍光体だけで構成されているといえる。
複数の変換部5と複数の照明部6とは、例えば複数の光ファイバ11でそれぞれ接続される。光ファイバ11の一端は、例えば、着脱可能に変換部5に接続される。光ファイバ11の一端は、変換部5に対して例えばコネクタ接続される。光ファイバ11の他端は、例えば、着脱可能に照明部6に接続される。光ファイバ11の他端は、照明部6に対して例えばコネクタ接続される。光ファイバ11は、変換部5が発する変換光L2が入射され、入射された変換光L2を照明部6まで伝送する。光ファイバ11は、例えば、変換光L2を伝送するコアと、当該コアの周囲を覆うクラッドとを備える。光ファイバ11は、クラッドの周囲を覆う部材を備えてもよい。光ファイバ11は、例えば、石英ガラスから成る石英ファイバであってもよいし、プラスッチックから成るプラスチックファイバであってもよいし、他の材料から成る光ファイバであってもよい。
各照明部6は、光ファイバ11で伝送される変換光L2を照明光L3として外部に放射する。複数の照明部6は、照明光L3を屋内の空間あるいは屋外の空間に対して放射する。照明部6は、変換光L2が入射する光学系を備えてもよい。この光学系には、レンズ、拡散板及びリフレクタの少なくとも一つが含まれてもよい。照明部6が光学系を備える場合には、照明部6は、照明光L3の配光を調整する機能を有してもよい。なお、光ファイバ11の先端部(言い換えれば、光ファイバ11の変換部5側の端部とは反対側の端部)が照明部6を構成してもよい。本例では、各照明部6について、当該照明部6の照明光L3の放射エリアは、当該照明部6の周囲の複数の照明部6の照明光L3の放射エリアのそれぞれと部分的に重なっている。以後、照明部6が照明光L3を放射することを点灯と呼び、照明部6が照明光L3を放射しないことを消灯と呼ぶことがある。
照明システム1では、例えば、制御装置2が複数の発光部3のそれぞれを個別に制御することが可能である。制御装置2は、例えば、各発光部3について、当該発光部3に励起光L1を出力させたり、当該発光部3に励起光L1の出力を停止させたりすることができる。制御装置2は、複数の発光部3を制御することによって、複数の照明部6のすべてから照明光L3を放射させたり、複数の照明部6の一部だけから照明光L3を放射させたりすることができる。また、制御装置2は、例えば、発光部3での励起光L1の出力電力を制御することができる。つまり、制御装置2は、発光部3での励起光L1の出力電力を大きくしたり、小さくしたりすることができる。発光部3での励起光L1の出力電力が大きくなると、当該発光部3に対応する変換部5が発する変換光L2の光量が大きくなる。よって、発光部3での励起光L1の出力電力が大きくなると、当該発光部3に対応する照明部6が放射する照明光L3の光量が大きくなる。制御装置2は、発光部3を制御することによって、当該発光部3に対応する照明部6から放射される照明光L3の光量を制御することができる。発光部3と照明部6の間に位置する変換部5は中継器とも呼ばれる。
図2は照明システム1の各構成要素の配置例を示す概略図である。図2の例では、照明システム1は、家あるいはビル等の建物100内に構築されている。制御装置2及び複数の発光部3を備える発光装置4は、例えば、壁105の裏側106に配置されており、室内108から視認されない。複数の変換部5は、例えば、天井101の裏側102に配置されており、室内108から視認されない。発光部3と変換部5とを接続する光ファイバ10は、例えば、壁105の裏側106から天井101の裏側102に延びており、室内108から視認されない。複数の照明部6は、例えば、天井101の裏側102に配置されている。各照明部6の照明光L3の出射端60は、天井101から室内108に向けて露出している。各照明部6は天井101から室内108に向けて照明光L3を放射する。各照明部6の照明光L3の放射エリアAR3は、隣の照明部6の照明光L3の放射エリアAR3と部分的に重なっている。変換部5と照明部6を接続する光ファイバ11は、例えば、天井101の裏側102に配置されており、室内108から視認されない。処理装置7は、例えば室内108で利用される。ユーザ110は、例えば、処理装置7を手に持った状態で使用する。
本例では、発光装置4が動作するために発光装置4に対して外部から電力(言い換えれば電源)を与える必要がある。一方で、変換部5及び照明部6に対しては外部から電力(言い換えれば電源)を与える必要はない。そのため、図2の例のように、変換部5及び照明部6が天井101の裏側102に配置される場合、天井101の裏側102には照明システム1用の電気配線が不要となる。これにより、照明システム1の設置工事及びメンテナンス工事が容易となる。以下では、照明システム1の各構成要素が図2のように配置される場合を例に挙げて照明システム1について説明するが、照明システム1の各構成要素の配置例は図2の例に限られない。
<制御装置の構成例>
図3は制御装置2の構成の一例を示す概略図である。図3に示されるように、制御装置2は、例えば、制御部20と、通信部25と、複数の駆動部26とを備える。制御装置2は、その外部から電源(言い換えれば電力)が供給され、供給された電源に基づいて動作する。
制御部20は、制御装置2の他の構成要素を制御することによって、制御装置2の動作を統括的に管理することが可能である。制御部20は制御回路とも言える。制御部20は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続又は処理を実行するように構成された1以上の回路又はユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続き又は処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス及び構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
本例では、制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)21及び記憶部22を備える。記憶部22は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの、CPU21が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部22には、制御装置2を制御するためのプログラム220等が記憶されている。制御部20の各種機能は、CPU21が記憶部22内のプログラム220を実行することによって実現される。
なお、制御部20の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部20は、複数のCPU21を備えてもよい。また制御部20は、少なくとも一つのDSP(Digital Signal Processor)を備えてもよい。また、制御部20の全ての機能あるいは制御部20の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部22は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えてもよい。記憶部22は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えてもよい。
複数の駆動部26は、制御部20からの指示に応じて、複数の発光部3をそれぞれ駆動することが可能である。駆動部26は、発光部3に電力を供給することによって、発光部3を駆動して発光部3から励起光L1を出力させる。制御部20は、複数の駆動部26を通じて複数の発光部3のそれぞれを制御することが可能である。駆動部26は、例えば、半導体スイッチング素子を含む複数の電子部品で構成されており、駆動回路とも言える。
通信部25は、制御部20による制御によって、処理装置7と通信することが可能である。通信部25は通信回路とも言える。通信部25は、処理装置7と無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。処理装置7は、例えば、処理装置7とUSB(Universal Serial Bus)に準拠して通信してもよいし、RFID(radio frequency identifier)に基づいて通信してもよいし、WiFiに準拠して通信してもよいし、他の通信規格に準拠して通信してもよい。
<変換部の構成例>
図4は変換部5の構成の一例を示す概略図である。図4に示されるように、変換部5は、例えば、上述の波長変換部50と、通信部51と、記憶部52と、外装ケース58とを備える。波長変換部50、通信部51及び記憶部52は外装ケース58に収容されている。
通信部51は、処理装置7と通信することが可能である。通信部51は、処理装置7と例えば近距離無線通信を行うことが可能である。通信部51は通信回路ともいえる。変換部5の記憶部52は、例えば、当該変換部5に固有の識別情報である変換部識別情報150を記憶する。変換部識別情報150は例えばアドレスとも呼ばれる。記憶部52は記憶回路とも言える。記憶部52は、例えば不揮発性メモリである。
本例では、通信部51及び記憶部52は、例えばRFIDタグ55を構成する。RFIDタグ55は、例えば、ハードウェアとして、ICチップと、当該ICチップに接続されたアンテナとを備えている。「IC」は、Integrated Circuitの略語である。通信部51のアンテナ以外の構成と記憶部52とはICチップに含まれる。RFIDタグ55は、例えば、電池が不要なパッシブ型のRFIDタグである。パッシブ型のRFIDタグは、例えばRFIDリーダライタからの電波に基づいて電力を生成し、生成した電力に基づいて動作を行う。よって、パッシブ型のRFIDタグは、外部からの電力供給なしで動作することが可能である。RFIDタグ55の通信方式は、例えば、UHF帯の電波が使用される電波方式である。RFIDタグ55では、処理装置7が送信する電波を通信部51のアンテナが受信する。そして、ICチップは、アンテナで受信された電波に基づいて電力を生成し、生成した電力を電源として通信を行う。RFIDタグ55と処理装置7との間の通信距離は例えば数メートルである。
<処理装置の構成例>
図5は処理装置7の構成の一例を示す概略図である。図5に示されるように、処理装置7は、例えば、制御部70と、通信部75と、通信部76と、表示部77と、入力部78とを備える。また、処理装置7は、例えば電池を備えており、当該電池が出力する電力に基づいて動作を行う。電池は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。処理装置7は、例えば、タブレット型であってもよいし、ユーザ110の手で把持されるグリップを有するガンタイプであってもよいし、複数の機器が組合せされた装置であってもよい。
制御部70は、処理装置7の他の構成要素を制御することによって、処理装置7の動作を統括的に管理することが可能である。制御部70は制御回路とも言える。制御部70は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。制御装置2の制御部20が備えるプロセッサについての上記の説明は、処理装置7の制御部70が備えるプロセッサについても適用することができる。
本例では、制御部70は、例えば、CPU71及び記憶部72を備える。記憶部72は、ROM及びRAMなどの、CPU71が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部72には、処理装置7を制御するためのプログラム720等が記憶されている。制御部70の各種機能は、CPU71が記憶部72内のプログラム720を実行することによって実現される。
なお、制御部70の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部70は、複数のCPU71を備えてもよい。また制御部70は、少なくとも一つのDSPを備えてもよい。また、制御部70の全ての機能あるいは制御部70の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部72は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。
通信部75は、制御部70による制御によって、制御装置2の通信部25と通信することが可能である。通信部75は通信回路とも言える。通信部75は、通信部25とUSBに準拠して通信してもよいし、RFIDに基づいて通信してもよいし、WiFiに準拠して通信してもよいし、他の通信規格に準拠して通信してもよい。
通信部76は、制御部70による制御によって、変換部5の通信部51と通信することが可能である。言い換えれば、通信部76は、制御部70による制御によって、変換部5のRFIDタグ55と通信することが可能である。
本例では、処理装置7は、変換部5のRFIDタグ55に情報を書き込んだり、RFIDタグ55から情報を読み出したりすることが可能なRFIDリーダライタとして機能する。処理装置7では、通信部76と制御部70とでRFIDリーダライタが構成される。処理装置7は、自身の通信部76と、RFIDタグ55の通信部51とを通じて、RFIDタグ55の記憶部52に情報を書き込むことができる。また、処理装置7は、自身の通信部76と、RFIDタグ55の通信部51とを通じて、RFIDタグ55の記憶部52から情報を読み出すことができる。
表示部77は、制御部70によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。表示部77は、例えば、液晶ディスプレイであってもよいし、有機ELディスプレイであってもよいし、他の種類のディスプレイであってもよい。
入力部78は、ユーザ110からの入力を受け付けることが可能である。入力部78は、例えばタッチセンサを有する。このタッチセンサは、例えば、表示部77の表示画面に対するユーザ110のタッチ操作を検出することが可能である。ユーザ110は、表示部77の表示画面をタッチ操作することによって、処理装置7に様々な入力を行うことができる。表示部77と、その表示画面に対する操作を検出するタッチセンサとで、タッチパネルディスプレイが構成される。なお、入力部78は、ハードウェアボタンを備えてもよいし、音の入力を検出するマイクを備えてもよいし、ユーザ110のジェスチャーを検出するセンサ(例えば赤外線センサ)を備えてもよい。
<照明システムの運用中での制御装置の動作例>
次に、照明システム1の運用中での制御装置2の動作の一例について説明する。制御装置2は、例えば、記憶部22に記憶されている対応関係情報222及び変換部情報221に基づいて複数の発光部3を制御することによって照明空間での照明制御を行う。図6は対応関係情報222の一例を示す概略図である。図7は変換部情報221の一例を示す概略図である。
対応関係情報222は、発光部3と、変換部5と、照明部6の位置との対応関係を示す情報である。図6に示されるように、対応関係情報222では、各発光部3について、当該発光部3の発光部識別情報130(単に識別情報130ともいう)に対して、当該発光部3に対応する変換部5の変換部識別情報150と、当該発光部3に対応する照明部6の位置を示す照明部位置情報160(単に位置情報160ともいう)とが対応付けられている。発光部識別情報130は、発光部3に固有の識別情報であり、例えばアドレスとも呼ばれる。制御部20は、対応関係情報222を参照することにより、自身が制御する発光部3に接続された変換部5と、当該変換部5が発する変換光L2を照明光L3として放射する照明部6の位置とを特定することができる。照明部6の位置は、照明光L3の発光位置であると言えることから、制御部20は、対応関係情報222を参照することにより、自身が駆動する発光部3の励起光L1の出力に応じて空間に放射される照明光L3の発光位置(図2の例では天井101での発光位置)を特定することができる。以後、照明部6の位置を照明位置ともいう。
変換部情報221は変換部5に関する情報である。図7に示されるように、変換部情報221では、各変換部5について、当該変換部5の変換部識別情報150(単に識別情報150ともいう)に対して、当該変換部5についての特性情報151と、当該変換部5についての照射時間152とが対応付けられている。特性情報151は変換部5の特性を示す情報である。特性情報151には、例えば、波長変換部50の変換効率の初期値(言い換えれば仕様値)が含まれてもよい。波長変換部50の変換効率は、例えば、波長変換部50に対する励起光L1の照射時間が長くなると低下する傾向にある。また、特性情報151には、波長変換部50が発する変換光L2の色温度が含まれてもよい。つまり、特性情報151には、波長変換部50が発する変換光L2がどのような色の光であるのかを示す情報が含まれてもよい。変換部5が発する変換光L2の色温度は、当該変換部5に対応する照明部6が放射する照明光L3の色温度と同じである。
照射時間152は、変換部5の波長変換部50に対する励起光L1の照射時間である。本例では、制御装置2の制御部20が、各変換部5についての照射時間152を計測し、変換部情報221に含まれる各照射時間152を適宜更新する。これにより、変換部情報221には、波長変換部50に対して励起光L1の照射が開始されてから現在までの照射時間152(言い換えれば、最新の照射時間152)が含まれる。制御部20は、例えば、発光部3の駆動時間(言い換えれば、発光部3が励起光L1を出力している時間)を計測し、当該駆動時間を、当該発光部3に対応する変換部5についての照射時間152として変換部情報221に含める。このとき、制御部20は、対応関係情報222を参照して、当該発光部3の発光部識別情報130に対応する変換部識別情報150を特定する。そして、制御部20は、変換部情報221に含まれる、特定した変換部識別情報150に対して、当該発光部3の駆動時間を照射時間152として対応付ける。
照明システム1の運用中では、制御部20は、記憶部22内の対応関係情報222及び変換部情報221に基づいて、複数の駆動部26を通じて複数の発光部3を制御する。例えば、制御部20が、複数の照明部6のうち、対象エリアに存在する照明部6から照明光L3を放射させる場合を考える。つまり、制御部20が、複数の照明部6のうち、特定の対象エリアに存在する照明部6を点灯させる場合を考える。この場合、制御部20は、対応関係情報222から、対象エリアに含まれる位置を示す位置情報160を取得する。取得された位置情報160は、対象エリアに存在する照明部6の位置を示す。次に、制御部20は、対応関係情報222から、取得した位置情報160に対応する発光部識別情報130を取得する。取得された発光部識別情報130は、対象エリアに存在する照明部6に対応する発光部3の識別情報130である。そして、制御部20は、取得した発光部識別情報130に係る発光部3を駆動して当該発光部3から励起光L1を出力させる。これにより、対象エリアに存在する照明部6が点灯する。
制御部20は、対象エリアに存在する照明部6を点灯させる場合には、当該照明部6に対応する変換部5の照射時間152に応じて、当該照明部6に対応する発光部3の励起光L1の出力を調整してもよい。この場合、制御部20は、上記と同様にして、対応関係情報222から、対象エリアに含まれる位置を示す位置情報160を取得する。次に、制御部20は、対応関係情報222から、取得した位置情報160に対応する発光部識別情報130及び変換部識別情報150を取得する。取得された変換部識別情報150は、対象エリアに存在する照明部6に対応する変換部5の識別情報150である。次に、制御部20は、変換部情報221から、取得した変換部識別情報150に対応する照射時間152を取得する。取得された照射時間152は、対象エリアに存在する照明部6に対応する変換部5の照射時間152である。そして、制御部20は、取得した発光部識別情報130に係る発光部3を駆動して当該発光部3から励起光L1を出力させる。このとき、制御部20は、取得した照射時間152に応じて、発光部3の励起光L1の出力電力を調整する。例えば、制御部20は、照射時間152が大きいほど、発光部3の励起光L1の出力電力を大きくする。これにより、照射時間152に応じて波長変換部50の発光効率が低下する場合であっても、照明部6が放射する照明光L3の光量が変化しにくくなる。
なお、変換部5の照射時間152が大きくなると、当該変換部5の変換効率が低下して当該変換部5が使用できなくなることがある。照射時間152は、変換部5の寿命判定にも使用することができる。
他の例として、制御部20が対象エリアに存在する照明部6から照明光L3が放射されるのを停止する場合を考える。つまり、制御部20が対象エリアに存在する照明部6を消灯させる場合を考える。この場合、制御部20は、対応関係情報222から、対象エリアに含まれる位置を示す位置情報160を取得する。次に、制御部20は、対応関係情報222から、取得し位置情報160に対応する発光部識別情報130を取得する。そして、制御部20は、取得した発光部識別情報130に係る発光部3の駆動を停止して、当該発光部3に励起光L1の出力を停止させる。これにより、対象エリアに存在する照明部6が消灯する。
また、制御部20は、対象エリアに存在する照明部6を点灯させる場合には、当該照明部6に対応する変換部5の変換効率に応じて、当該照明部6に対応する発光部3の励起光L1の出力を調整してもよい。この例では、複数の変換部5の間において波長変換部50の変換効率の初期値にばらつきがあり、変換部情報221の特性情報151に変換効率の初期値が含まれているものとする。まず、制御部20は、対応関係情報222から、対象エリアに含まれる位置を示す位置情報160を取得する。次に、制御部20は、対応関係情報222から、取得した位置情報160に対応する発光部識別情報130及び変換部識別情報150を取得する。次に、制御部20は、変換部情報221から、取得した変換部識別情報150に対応する特性情報151に含まれる変換効率の初期値を取得する。取得された変換効率の初期値は、対象エリアに存在する照明部6に対応する変換部5の変換効率の初期値である。そして、制御部20は、取得した発光部識別情報130に係る発光部3を駆動して当該発光部3に励起光L1を出力させる。このとき、制御部20は、取得した変換効率の初期値に応じて、発光部3の励起光L1の出力電力を調整する。例えば、制御部20は、変換効率の初期値が小さいほど、発光部3の励起光L1の出力電力を大きくする。これにより、複数の変換部5の間において変換効率の初期値にばらつきがある場合であっても、複数の照明部6の間での照明光L3の光量のばらつきを低減することができる。
他の例として、照明光の調色が行われる場合を考える。この例では、対象エリアに存在する複数の照明部6が放射する照明光L3の色温度が互いに異なり、変換部情報221の特性情報151には色温度が含まれているものとする。まず、制御部20は、対象エリアに存在する複数の照明部6の位置情報160を取得する。具体的には、制御部20は、対応関係情報222から、対象エリアに含まれる複数の位置をそれぞれ示す複数の位置情報160を取得する。次に、制御部20は、対応関係情報222から、取得した複数の位置情報160にそれぞれ対応する複数の変換部識別情報150を取得する。次に、制御部20は、変換部情報221から、取得した複数の変換部識別情報150にそれぞれ対応する複数の特性情報151に含まれる色温度を取得する。ここで取得された複数の色温度は、対象エリアに存在する複数の照明部6にそれぞれ対応する複数の変換部5(複数の対象変換部5ともいう)が発する変換光L2の色温度である。つまり、取得された複数の色温度は、対象エリアに存在する複数の照明部6が放射する照明光L3の色温度である。次に、制御部20は、取得した複数の色温度に基づいて、複数の対象変換部5から、駆動対象の複数の変換部5を決定する。駆動対象の複数の変換部5が駆動されることによって、照明空間において所望の色の光が生成されるように調光が行われる。次に、制御部20は、対応関係情報222から、決定した駆動対象の複数の変換部5の識別情報150にそれぞれ対応する複数の発光部識別情報130を取得する。そして、制御部20は、取得した複数の発光部識別情報130に係る複数の発光部3を駆動して当該複数の発光部3を駆動する。当該複数の発光部3が駆動されると、制御部20が決定した駆動対象の複数の変換部5が駆動され、当該複数の変換部5にそれぞれ対応する複数の照明部6から互いに異なる色温度の照明光L3が放射される。これにより、当該複数の照明部6が放射する照明光L3が混ざり合って、照明光の調色が行われる。
なお、照明システム1の運用中での制御装置2の動作については、上記の例に限られない。例えば、制御装置2は、変換部情報221を使用せずに複数の発光部3を制御してもよい。
<対応付け処理について>
上述のように、本例では、制御装置2が照明制御を行うためには対応関係情報222が必要である。本例では、照明制御に必要な対応関係情報222は、予め記憶部22に記憶されているのではなく、照明システム1の組み立て及び設置が完了した後であって運用開始前に照明システム1で生成される。
また、本例では、照明システム1の組み立て及び設置が完了した時点では、制御装置2は、自身が直接制御する複数の発光部3を認識しているものの、各発光部3にどの変換部5が接続されているのか認識していない。また、制御装置2は、発光部3を駆動した場合に、当該発光部3の励起光L1の出力に応じてどの位置の照明部6が点灯するのか認識していない。つまり、制御装置2は、各発光部3について、当該発光部3の駆動に応じた照明位置を認識していない。
照明システム1では、その組み立て及び設置が完了した後であって運用開始前において、複数の発光部3と、複数の変換部5と、複数の照明部6の位置とがそれぞれ対応付けられる対応付け処理が行われる。対応付け処理では、複数の発光部3の発光部識別情報130と、複数の変換部5の変換部識別情報150と、複数の照明部6の位置情報160とがそれぞれ対応付けられて、上述の対応関係情報222が生成される。
図8は照明システム1が行う対応付け処理の一例を示すフローチャートである。制御装置2の記憶部22には、複数の発光部3の発光部識別情報130が予め記憶されている。対応付け処理では、記憶部22内の各発光部識別情報130に対して、変換部識別情報150及び照明部位置情報160が対応付けられる。対応付け処理では、処理装置7が使用される。ユーザ110は処理装置7を操作することによって、照明システム1に対応付け処理を実行させることができる。このとき、対応付け処理を行なう対象を処理対象という。対応付け処理では、複数の発光部3から処理対象の発光部3が決定され、決定された処理対象の発光部3の識別情報130に対して識別情報150及び位置情報160が対応付けされる対応付け単位処理が実行される。各発光部3を処理対象の発光部3として対応付け単位処理が実行されることによって、対応付け処理が完了する。図8には対応付け単位処理の一例が示されている。以後、対応付け単位処理を単に単位処理と呼ぶことがある。
図8に示されるように、単位処理では、まずステップs1において、処理装置7の制御部70が、処理対象となる発光部3をユーザ110が選択するための選択画面900を表示部77に表示させる。制御部70は、例えば、表示部77の表示画面に対する所定の操作を入力部78が検出すると、選択画面900を表示部77に表示させる。
図9は、表示部77の表示画面770に表示される選択画面900の一例を示す概略図である。選択画面900には、例えば、複数の発光部3にそれぞれ対応する複数の操作ボタン901(操作領域901ともいう)が含まれる。ユーザ110は、操作ボタン901に対して操作(例えばタップ操作)を行うことによって、操作された操作ボタン901に対応する発光部3がユーザ110によって選択される。操作ボタン901に対する操作は、発光部3を選択する選択操作であると言える。図9の例では、操作ボタン901には、発光部3の名前が示されているが、発光部3の外観を模試的に示す図形が示されてもよい。
ステップs1の後、ステップs2において、入力部78が操作ボタン901に対する操作を検出すると、言い換えれば、入力部78が選択操作を検出すると、処理装置7はステップs3を実行する。ステップs3では、制御部70が、操作された操作ボタン901に対応する発光部3、つまり選択操作で選択された発光部3(ユーザ選択発光部3ともいう)を通知する通知信号を通信部75に送信させる。
なお、操作ボタン901が操作されたとき、制御部20は、ユーザ110が選択した発光部3を処理対象とすることで問題がないか否かをユーザ110に確認するための確認画面910を表示部77に表示させてもよい。図10は確認画面910の一例を示す概略図である。確認画面910では、操作された操作ボタン910aが例えばハイライト表示されている。また、確認画面910には、操作ボタン911及び912が含まれている。操作ボタン911は、ユーザ110が選択した発光部3を処理対象とすることで問題がないときにユーザ110が操作するボタンである。操作ボタン912は、発光部3の選択を解除するための操作ボタンである。入力部78が操作ボタン911の操作を検出すると、処理装置7はステップs3を実行して、通知信号を制御装置2に送信する。一方で、入力部78が操作ボタン912の操作を検出すると、処理装置7は、再度ステップs1を実行して、選択画面900を再度表示部77に表示させる。以後、照明システム1は同様に動作する。
ステップs3の後、制御装置2の通信部25が処理装置7からの通知信号を受信すると、ステップs4において、制御部20は、複数の発光部3のうち、ユーザ選択発光部3を処理対象の発光部3として決定する。そして、制御部20は、駆動部26を通じて処理対象の発光部3を駆動する。処理対象の発光部3が駆動すると、ステップs5において、処理対象の発光部3は、それに接続された変換部5に励起光L1を出力する。単位処理では、処理対象の発光部3に接続された変換部5が処理対象の発光部3に対応付けられる。以後、処理対象の発光部3に接続された変換部5を処理対象の変換部5あるいは処理対象の変換部5xと呼ぶことがある。
処理対象の変換部5は、波長変換部50に、処理対象の発光部3が出力する励起光L1が照射されると、ステップs6において変換光L2を照明部6に出力する。照明部6は、処理対象の変換部5から変換光L2が入力されると、ステップs7において、入力された変換光L2を照明光L3として放射する。これにより、複数の照明部6のうち、処理対象の発光部3に対応する対応照明部6xだけが点灯する。つまり、ユーザ110によって選択された、単位処理の対象の発光部3に対応する対応照明部6xだけから照明光L3が放射される。
処理装置7を所持するユーザ110は、点灯中の対応照明部6xが放射する照明光L3を確認して、点灯中の対応照明部6xの近くまで移動する。本例では、ユーザ110は、処理装置7を所持した状態で対応照明部6xの下方まで移動する。これにより、処理装置7は、ユーザ110によって対応照明部6xの下方まで運ばれる。図11は、対応照明部6xの下方まで処理装置7が運ばれた様子の一例を示す概略図である。
本例では、各変換部5のRFIDタグ55の通信エリアAR5(言い換えれば通信部51の通信エリアAR5)は狭く設定されている。例えば、RFIDタグ55のアンテナの指向性を狭くすることによって、通信エリアAR5を狭くすることができる。各変換部5のRFIDタグ55の通信エリアAR5は、図11に示されるように、他のすべての変換部5の通信エリアAR5と離れており、重なっていない。これにより、RFIDリーダライタとして機能する処理装置7は、複数の変換部5のうち、一つの変換部5だけのRFIDタグ55から情報を読み出したり、一つの変換部5だけのRFIDタグ55に対して情報を書き込んだりすることができる。
また、変換部5は、それが接続されている照明部6の近くに配置さている。そして、変換部5の通信エリアAR5は、当該変換部5が接続された照明部6の放射エリアAR3と少なくとも部分的に重なっている。つまり、複数の変換部5のそれぞれは、自身が接続された照明部6の放射エリアAR3と少なくとも部分的に重なる通信エリアAR5を有する通信部51を備える。これにより、照明部6の近くまで運ばれた処理装置7は、当該照明部6に接続された変換部5だけと通信することが可能となる。本例では、照明部6の下方まで運ばれた処理装置7は、当該照明部6に接続された変換部5だけと通信することが可能となる。図11の例では、点灯中の対応照明部6xの下方に位置する処理装置7は、複数の変換部5のうち、対応照明部6xに接続された処理対象の変換部5xだけと通信することが可能となる。
なお、処理装置7が、複数の変換部5のうちの一つの変換部5だけと通信できるように、変換部5の通信エリアAR5を狭く設定するのではなく、処理装置7の通信部76の通信エリアを狭く設定してもよい。また、通信エリアAR5と通信部76の通信エリアの両方を狭く設定してもよい。
処理装置7では、ステップs2の後、ステップs11が実行される。ステップs11では、処理装置7が読み出し指示画面920を表示部77に表示させる。読み出し指示画面920は、処理装置7が処理対象の変換部5xから変換部識別情報150を読み出す読み出し処理の実行を処理装置7に指示するための画面である。
図12は読み出し指示画面920の一例を示す概略図である。読み出し指示画面920には、操作ボタン921及び922が含まれる。操作ボタン921は、処理装置7に読み出し処理の実行を指示するときにユーザ110が操作するボタンである。操作ボタン922は、現在の単位処理の中止を処理装置7に指示するときにユーザ110が操作するボタンである。上述のように、処理装置7が対応照明部6xの下方に位置するとき、処理装置7は処理対象の変換部5xから識別情報150を読み出すことができる。よって、処理装置7に読み出し処理を実行させたいユーザ110は、図11のように、対応照明部6xの下方にまで移動した後、操作ボタン921を操作する。操作ボタン921に対する操作は、処理対象の変換部5xから識別情報150を読み出すことを処理装置7に指示する読み出し指示操作であると言える。
ステップs11の後、ステップs12において、入力部78が操作ボタン921に対する操作を検出すると、つまり、入力部78が読み出し指示操作を検出すると、処理装置7はステップs13を実行する。一方で、入力部78が操作ボタン922の操作を検出すると、処理装置7は現在の単位処理を終了し、再度ステップs1を実行して新たな単位処理を開始する。以後、照明システム1は同様に動作する。
ステップs13では、処理装置7が、処理対象の変換部5xから変換部識別情報150を読み出す。ステップs13では、まず処理装置7の通信部76がリードコマンドを含む電波(電波信号あるいは送信信号ともいう)を送信する。処理対象の変換部5xでは、RFIDタグ55の通信部51が処理装置7から電波を受信すると、RFIDタグ55が当該電波から電力(言い換えれば電源)を生成し、生成した電力に基づいて動作を行う。動作中のRFIDタグ55は、受信した電波からリードコマンドを取得すると、記憶部52内の変換部識別情報150を読み出して処理装置7に送信する。処理装置7では、通信部76が処理対象の変換部5xから変換部識別情報150を受信する。これにより、対応照明部6xの下方に位置する処理装置7は、複数の変換部5のうち処理対象の変換部5xのみから変換部識別情報150を読み出すことができる。処理装置7が読み出した変換部識別情報150は、後述の処理において、処理対象の発光部3の発光部識別情報130に対して対応付けられる。
ステップs13の後、つまり、処理装置7が処理対象の変換部5xから変換部識別情報150を受信すると、処理装置7はステップs14を実行する。ステップs14では、制御部70が位置指定画面930を表示部77に表示させる。位置指定画面930は、処理対象の発光部3に対応付けられる照明部6の位置をユーザ110が指定するための画面である。位置指定画面930は、処理対象の発光部3に対応付けられる照明位置をユーザ110が指定するための画面であるとも言える。以後、処理対象の発光部3に対応付けられる照明部6の位置を、対応付け対象の照明位置ともいう。
図13は位置指定画面930の一例を示す概略図である。図13に示されるように、位置指定画面930には、処理対象の発光部3、言い換えればユーザ選択発光部3を特定するための選択発光部特定情報931が含まれる。また、位置指定画面930には、処理対象の発光部3に対応付けられる照明部6の位置をユーザ110が指定するための複数の操作ボタン932が含まれる。図13の例では、選択発光部特定情報931として、ユーザ選択発光部3の名称が採用されていが、ユーザ選択発光部3の外観を模式的に示す図形が採用されてもよい。
本例では、照明部6の設置候補位置を示す候補位置情報が、処理装置7の記憶部72に予め記憶されている。記憶部72には、互いに異なる位置を示す複数の候補位置情報が記憶されている。位置指定画面930に含まれる複数の操作ボタン932は、複数の候補位置情報にそれぞれ対応している。
操作ボタン932が操作されると、操作された操作ボタン932に対応する候補位置情報が示す位置が、対応付け対象の照明位置として指定される。言い換えれば、操作された操作ボタン932に対応する候補位置情報が、処理対象の発光部3の識別情報130に対応付けられる照明部位置情報160として指定される。操作ボタン932に対する操作は、対応付け対象の照明位置を指定する位置指定操作であると言える。言い換えれば、操作ボタン932に対する操作は、処理対象の発光部3の識別情報130に対応付けられる照明部位置情報160を指定する位置指定操作であると言える。以後、ユーザ110が位置指定画面930で指定する位置情報(本例では候補位置情報)を指定位置情報ともいう。
ステップs14の後、ステップs15において、入力部78が操作ボタン932に対する操作を検出すると、言い換えれば、入力部78が位置指定操作を検出すると、処理装置7はステップs16を実行する。ステップs16では、制御部70が、指定位置情報と、ステップs13で読み出された変換部識別情報150(つまり、処理対象の変換部5xの識別情報150)とを通信部75に送信させる。通信部75から送信される指定位置情報及び識別情報150は、制御装置2の通信部25で受信される。
ステップs16の後、ステップs17において、制御装置2の制御部20は、記憶部22内の処理対象の発光部3の識別情報130に対して、通信部25が受信した識別情報150、つまり処理対象の変換部5の識別情報150を対応付ける。さらに、制御部20は、記憶部22内の処理対象の発光部3の識別情報130に対して、通信部25が受信した指定位置情報を照明部位置情報160として対応付ける。これにより、単位処理が終了し、処理対象の発光部3に対して変換部5と照明位置とが対応付けされる。
ステップs17の後、ステップs1が再度実行されて、新たな単位処理が開始する。以後、照明システム1は同様に動作する。繰り返し実行される単位処理において、複数の発光部3のそれぞれが選択画面900でユーザ110によって選択されることによって、各発光部3に対して変換部5及び照明位置が対応付けられる。つまり、処理対象の発光部3が変更されながら繰り返し単位処理が実行されることによって、各発光部3の識別情報130に対して変換部5の識別情報150及び照明部位置情報160が対応付けられる。各発光部3の識別情報130に対して変換部5の識別情報150及び照明部位置情報160が対応付けられると、対応付け処理が終了する。制御装置2の記憶部22内の各発光部3の識別情報130に対して、変換部5の識別情報150及び照明部位置情報160が対応付けられると、上述の図6のような対応関係情報222が完成する。
なお、ステップs15において位置指定操作が行われたとき、制御部20は、ユーザ110が指定した位置を、処理対象の発光部3に対応付けられる照明位置としても問題がないか否かをユーザ110に確認するための確認画面940を表示部77に表示させてもよい。図14は確認画面940の一例を示す概略図である。確認画面940では、操作された操作ボタン932aが例えばハイライト表示されている。また、確認画面940には、操作ボタン941及び942が含まれている。操作ボタン941は、ユーザ110が指定した位置を、処理対象の発光部3に対応付けられる照明位置とすることで問題がないときにユーザ110が操作するボタンである。操作ボタン942は、位置の指定を解除するためのボタンである。入力部78が操作ボタン941の操作を検出すると、処理装置7はステップs16を実行して、変換部識別情報及び指定位置情報を制御装置2に送信する。一方で、入力部78が操作ボタン942の操作を検出すると、処理装置7は、再度ステップs14を実行して、位置指定画面930を再度表示部77に表示させる。以後、照明システム1は同様に動作する。
また、制御部20は、確認画面940が表示された後に操作ボタン941が操作されると、処理対象の発光部3と、処理対象の変換部5と、照明位置との対応付けが行われてもよいか否かをユーザ110に確認する確認画面950を表示してもよい。図15は、確認画面950の一例を示す概略図である。確認画面950には、例えば操作ボタン951及び952が含まれている。操作ボタン951は、対応付けが行われてもよいときにユーザ110が操作するボタンである。操作ボタン952は、照明システム1に現在の単位処理を中止させたいときに操作するボタンである。入力部78が操作ボタン951の操作を検出すると、処理装置7はステップs16を実行して、変換部識別情報及び指定位置情報を制御装置2に送信する。一方で、入力部78が操作ボタン952の操作を検出すると、現在の単位処理が中止され、再度ステップs1が実行されて新たな単位処理が開始する。以後、照明システム1は同様に動作する。なお、ステップs15の後、処理装置7は、確認画面940を表示せずに確認画面950を表示してもよい。
上記の例では、位置指定画面930の操作ボタン932が操作されることによって、処理対象の発光部3に対応付けられる照明位置が指定されているが、他の方法で照明位置が指定されてもよい。図16は、位置指定画面930の変形例を示す概略図である。図16に示される位置指定画面930(位置指定画面930Aともいう)には、複数の照明部6が設置される設置エリアの模式図935(設置エリア模式図935ともいう)が示されている。設置エリア模式図935は、例えば予め記憶部72に記憶されている。ユーザ110は、設置エリア模式図935をタッチ操作することによって、処理対象の照明位置を指定することができる。本例では、設置エリア模式図935中の各位置に対して、当該位置に対応する設置エリア内での実際の位置を示すエリア内位置情報が対応付けられている。制御装置2の記憶部22内には、設置エリア模式図935中の各位置に対するエリア内位置情報が予め記憶されている。入力部78が、設置エリア模式図935のある位置に対するタッチ操作すると、制御部70は、タッチ操作された当該ある位置に対応するエリア内位置情報を記憶部22から読み出す。そして、制御部70は、読み出したエリア内位置情報を、位置指定画面930Aでユーザ110が指定した指定位置情報として採用する。その後、ステップs16において、指定位置情報と変換部識別情報150とが処理装置7から制御装置2に送信される。
以上のような対応付け処理は、照明システム1の運用開始後にも実行されることがある。例えば、照明システム1の運用開始後に、発光部3及び変換部5の少なくとも一方が故障等により交換された場合には、対応関係情報222は更新される必要がある。また、照明システム1のレイアウト変更等により、複数の発光部3と複数の変換部5との間の接続関係が変化した場合及び照明部6の位置が変更された場合にも、対応関係情報222は更新される必要がある。また、照明システム1に対して、発光部3、変換部5及び照明部6が新たに追加された場合にも、対応関係情報222は更新される必要がある。このように、対応関係情報222の更新が必要な場合には、照明システム1では対応付け処理が実行されて、新たな対応関係情報222が生成される。そして、新たに生成された対応関係情報222によって、制御装置2の記憶部22内の対応関係情報222が更新される。
なお、変換部5では、波長変換部50が発光しているときだけ、RFIDタグ55が処理装置7と通信可能であってもよい。図18はこの場合の変換部5の構成の一例を示す概略図である。
図17に示される変換部5(変換部5Aともいう)はセンサ56をさらに備える。センサ56は、例えば、波長変換部50が発光していることを検出することが可能である。センサ56としては、例えば、電源が不要なセンサが使用される。
センサ56は、例えば、波長変換部50が発する変換光L2を直接検出することによって、波長変換部50が発光していることを検出してもよい。この場合、センサ56は、例えば、フォトダイオード等の光電変換素子を備える。
波長変換部50が発光している場合には波長変換部50の温度が上昇する。センサ56は、波長変換部50の周囲の温度を検出することによって、波長変換部50が発光していることを検出してよい。この場合、センサ56は、例えば、温度センサを備えており、当該温度センサを用いて波長変換部50の周囲の温度を検出する。そして、センサ56は、検出した温度がしきい値以上であるとき、波長変換部50が発光していると判定する。
センサ56は、例えば、波長変換部50が発光していることを検出している間だけ、RFIDタグ55を制御するための制御信号56aを出力する。RFIDタグ55は、制御信号56aが入力されている間だけ、処理装置7と通信することが可能である。この制御信号56aはイネーブル信号とも呼ばれる。RFIDタグ55は、制御信号56aが入力されている場合、リードコマンドを含む電波を処理装置7から受信すると、記憶部52内の識別情報150を処理装置7に送信する。一方で、RFIDタグ55は、制御信号56aが入力されていない場合、リードコマンドを含む電波を処理装置7から受信したとしても、動作を行わずに識別情報150を処理装置7に送信しない。本例では、通信部51は、波長変換部50が発光しているとき識別情報150を送信し、波長変換部50が発光していないとき識別情報150を送信しない。
なお、センサ56として、電源が必要なセンサが採用されてもよい。この場合、変換部5に電池を設けて、当該電池が出力する電力が電源としてセンサ56に供給されてもよい。あるいは、RFIDタグ55が処理装置7から受信する電波に基づいて生成する電力の一部が電源としてセンサ56に供給されてもよい。この場合、RFIDタグ55は、処理装置7から受信する、リードコマンドを含む電波に基づいて電力を生成した後すぐに、センサ56から制御信号56aが入力された場合、識別情報150を送信する。一方で、RFIDタグ55は、電力を生成した後すぐに、センサ56から制御信号56aが入力されない場合、識別情報150を送信しない。
複数の変換部5Aを備える照明システム1で上述の単位処理が実行される場合、複数の変換部5Aのうち、処理対象の変換部5Aのみが発光する。したがって、複数の変換部5Aのうち、処理対象の変換部5Aのみが処理装置7と通信することができる。よって、変換部5Aの通信エリアAR5が狭く設定されていない場合であっても、上記と同様に、処理装置7は、ステップs13において、複数の変換部5Aのうちの処理対象の変換部5Aのみから識別情報150を受信することができる。なお、RFIDタグ55の通信エリアAR5が比較的広く設定されている場合には、処理装置7は、対応照明部6の下方に位置しなくても、複数の変換部5Aのうち処理対象の変換部5Aだけと通信することができる。
照明システム1では、複数の発光部3の識別情報130と複数の照明部位置情報160とをそれぞれを対応付ける第1対応付け処理と、複数の発光部3の識別情報130と複数の変換部5の識別情報150とをそれぞれ対応付ける第2対応付け処理とが、別々に実行されてもよい。この場合、第1対応付け処理が実行された後に第2対応付け処理が実行されてもよいし、第2対応付け処理が実行された後に第1対応付け処理が実行されてもよい。第1対応付け処理では、処理対象の発光部3が選択され、選択された処理対象の発光部3の識別情報130に対して位置情報160が対応付けされる第1対応付け単位処理(単に第1単位処理ともいう)が繰り返し実行される。第2対応付け処理では、処理対象の発光部3が選択され、選択された処理対象の発光部3の識別情報130に対して識別情報150が対応付けされる第2対応付け単位処理(単に第2単位処理ともいう)が繰り返し実行される。
第1単位処理の一例を図8を用いて説明する。第1単位処理では、ステップs1~s7が実行される。また、処理装置7は、ステップs3の実行の後、ステップs11~s13を実行せずにステップs14及びs15を実行する。そして、第1単位処理では、ステップs16において変換部識別情報150は送信されずに、ステップs17において処理対象の発光部3の識別情報130に対して照明部位置情報160が対応付けられる。
第2単位処理を図8を用いて説明する。第2単位処理では、ステップs1~s7,s11~s13が実行される。そして、第2単位処理では、ステップs14及びs15が実行されず、ステップs16において指定位置情報が処理装置7から送信されない。第2単位処理では、ステップs17において、処理対象の発光部3の識別情報130に対して処理対象の変換部5の識別情報150が対応付けられる。
以上のように、本例では、処理対象の発光部3の発光部識別情報130と処理対象の変換部5の変換部識別情報150との対応付けが行われる場合、処理対象の変換部5に対応する対応照明部6xが照明光L3を放射している。このため、可搬性の処理装置7のユーザ110は、対応照明部6xの位置を特定して、対応照明部6xの近くに処理装置7を運ぶことができる。そして、処理対象の変換部5が対応照明部6xの近くに位置する場合、対応照明部6xの近くに運ばれた処理装置7は、その近くの処理対象の変換部5から変換部識別情報150を受信して制御装置2に送信することができる。これにより、可搬性の処理装置7を利用して、発光部識別情報130と変換部識別情報150との対応付けを簡単に行うことができる。
また、上述の図11の例では、変換部5の通信部51の通信エリアAR5は、他の通信部51の通信エリアAR5と重なっていない。そして、変換部5の通信部51の通信エリアAR5は、当該変換部5に接続された照明部6の放射エリアAR3と少なくとも部分的に重なっている。このような場合、処理対象の変換部5xに接続された対応照明部6xの近くまで運ばれた処理装置7は、処理対象の変換部5x以外の変換部5から変換部識別情報150を受信しにくくなる。よって、処理対象の変換部5xの変換部識別情報150と、処理対象の発光部3の発光部識別情報130とを適切に対応付けることができる。
また、上述の図17の例では、変換部5Aの通信部51は、波長変換部50が発光しているとき変換部識別情報150を送信し、波長変換部50が発光していないとき変換部識別情報150を送信しない。対応付け処理では、処理対象の変換部5Aの波長変換部50は発光し、処理対象の変換部5A以外の変換部5Aの波長変換部50は発光していないことから、処理装置7は、処理対象の変換部5A以外の変換部5Aから変換部識別情報150を受信しない、あるいは少なくとも受信しにくくなる。よって、処理対象の変換部5Aの変換部識別情報150と、処理対象の発光部3の発光部識別情報130との対応付けを適切に行うことができる。
<変換部への照射時間の書き込み>
照明システム1では、他の照明システム1で使用されていた変換部5が使用されることがある。例えば、照明システム1では、レイアウト変更等によって必要な変換部5の数が増加した場合、他の照明システム1で使用されていた変換部5が追加されることがある。また、照明システム1では、故障した変換部5が、他の照明システム1で使用されていた変換部5と交換されることがある。照明システム1において、他の照明システム1で使用されていた変換部5が使用されるようになる場合、制御装置2は、当該変換部5の照射時間152を新しく管理する必要がある。また、照明システム1で使用されていた変換部5が、他の照明システム1で使用される場合、他の照明システム1の制御装置2は、当該変換部5の照射時間152を新しく管理する必要がある。
そこで、本例では、変換部5が取り外される場合に、処理装置7が、取り外される変換部5の照射時間152を制御装置2から受け取り、受け取った照射時間152をその変換部5に書き込む。これにより、取り外される変換部5は、自身についての照射時間152を記憶することができる。そのため、取り外された変換部5が、他の照明システム1で使用される場合、他の照明システム1では、制御装置2が処理装置7を通じてその変換部5から照射時間152を取得することができる。よって、他の照明システム1では、制御装置2は、新たに使用されるようになった変換部5の照射時間152を管理(言い換えれば計測)することができる。また、照明システム1では、他の照明システム1から取り外された変換部5が使用される場合、制御装置2は、処理装置7を通じてその変換部5から照射時間152を取得することができる。よって、照明システム1では、制御装置2は、新たに使用されるようになった変換部5の照射時間152を管理することができる。以後、説明の対象の照明システム1を対象照明システム1と呼ぶことがある。
図18は、照明システム1において、処理装置7が、取り外される変換部5の照射時間152を制御装置2から受け取り、受け取った照射時間152をその変換部5に書き込む処理(照射時間読み出し書き込み処理ともいう)の一例を示す概略図である。以後、取り外される変換部5を取り外し変換部5yと呼ぶことがある。以下に説明する照射時間読み出し書き込み処理は、取り外し変換部5yの取り外しの前後のいずれで実行されてもよい。
照射時間読み出し書き込み処理では、図18に示されるように、まずステップs21が実行される。ステップs21では、処理装置7が、上述のステップs13と同様にして、取り外し変換部5yから変換部識別情報150を読み出す。次にステップs22において、処理装置7は、制御装置2に対して、取り外し変換部5yの照射時間152の読み出し要求を行う。具体的には、処理装置7の制御部70は、照射時間152の読み出し要求を示す要求信号を通信部75に送信させる。この要求信号には、取り外し変換部5yの識別情報150が含まれる。
処理装置7から要求信号を受信した制御装置2は、ステップs23において、記憶部22内の取り外し変換部5yの最新の照射時間152を処理装置7に通知する。ステップs23では、制御装置2の制御部20が、通信部25で受信された要求信号に含まれる識別情報150を取得する。次に、制御部20は、記憶部22内の変換部情報221から、取得した識別情報150に対応する照射時間152を取得する。そして、制御部20は、取得した照射時間152を通信部25に送信させる。これにより、処理装置7は、取り外し変換部5yの照射時間152を取得することができる。
取り外し変換部5yの照射時間152が通知された処理装置7は、ステップs24において、通知された照射時間152を取り外し変換部5yに書き込む。ステップs24では、まず、処理装置7の通信部76が、ライトコマンド及び照射時間152を含む電波を送信する。取り外し変換部5yでは、RFIDタグ55の通信部51が処理装置7から電波を受信すると、RFIDタグ55が当該電波から電力を生成し、生成した電力に基づいて動作を行う。動作中のRFIDタグ55は、受信した電波からライトコマンドを取得すると、当該電波に含まれる照射時間152を記憶部52内に書き込む。これより、図19に示されるように、取り外し変換部5yは、自身についての最新の照射時間152を記憶する。なお、処理装置7から照射時間152を受信した変換部5は、すでに照射時間152を記憶している場合、すでに記憶している照射時間152を新たに受信した最新の照射時間152に置き換えて、記憶部52内の照射時間152を最新に更新する。
次に、対象照明システム1において他の照明システム1で使用されていた変換部5が使用される場合の対象照明システム1の動作例について説明する。図20は当該動作例を示すフローチャートである。以後、対象照明システム1で使用される、他の照明システム1で使用されていた変換部5を、新導入変換部5と呼ぶことがある。新導入変換部5は、対象照明システム1の複数の変換部5に新たに追加されてもよいし、対象照明システム1の既存の変換部5と交換されてもよい。新導入変換部5には、図20の処理の開始前に、他の照明システム1の制御装置2内の最新の照射時間152が処理装置7によって書き込まれている。
図20に示されるように、ステップs31において、制御装置2は、新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151を互いに対応付けて記憶部22内の変換部情報221に対して追加する。例えば、ユーザ110は、処理装置7の入力部78を通じて、新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151を処理装置7に入力する。処理装置7は、入力された新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151を制御装置2に送信する。制御装置2は、処理装置7から受信した新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151を変換部情報221に追加する。また、制御装置2が、処理装置7が備える入力部78のような、ユーザ110からの入力を受け付けることが可能な入力部を備える場合、制御装置2は、当該入力部を通じて入力された新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151を変換部情報221に追加してもよい。
なお、対象照明システム1において複数の新導入変換部5が使用される場合、各新導入変換部5の識別情報150及び特性情報151が変換部情報221に追加される。また、対象照明システム1から変換部5が取り除かれる場合、取り除かれる変換部5の識別情報150、特性情報151及び照射時間152が変換部情報221から削除される。
ステップs31の後、ステップs32において、上述の対応付け処理が実行される。この対応付け処理において、新導入変換部5が記憶する照射時間152が制御装置2内の変換部情報221に追加される。
対応付け処理では、処理対象の変換部5xが照射時間152を記憶している場合、ステップs13において、処理対象の変換部5xは、記憶部52内の識別情報150及び照射時間152を処理装置7に送信する。処理装置7は、ステップs16において、指定位置情報と、処理装置7から受信した識別情報150及び照射時間152とを制御装置2に送信する。制御装置2は、ステップs17において、処理対象の発光部3の識別情報130に対して、受信した識別情報150及び指定位置情報を対応付ける。ここで、処理対象の変換部5xが新導入変換部5の場合、変換部情報221において、制御装置2が受信した識別情報150と同じ識別情報150に対して照射時間152が対応付けられていない。ステップs17において、制御装置2は、変換部情報221において、受信した識別情報150と同じ識別情報150に照射時間152が対応付けられていない場合、当該同じ識別情報150に対して受信した照射時間152を対応付けて変換部情報221を更新する。これにより、制御装置2の記憶部22には、新導入変換部5の識別情報150、特性情報151及び照射時間152が互いに対応付けられて記憶される。一方で、制御装置2は、変換部情報221において、受信した識別情報150と同じ識別情報150に照射時間152がすでに対応付けられている場合、受信した照射時間152を破棄する。これにより、処理対象の変換部5xが、照明システム1に既存の変換部5である場合には、変換部情報221は更新されない。この処理は、既存の複数の変換部5と既存の複数の発光部3との接続関係が変更されたときに実行される対応付け処理でも同様に行われる。
ステップs32の対応付け処理が完了して対象照明システム1の運用が再開すると、制御装置2は、記憶部22内の各照射時間152を更新する。これにより、新導入変換部5の照射時間152は、対象照明システム1において、他の照明システム1での更新に引き続いて適宜更新される。
本例では、変換部5が、自身の波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152を記憶する。このため、変換部5が記憶する照射時間152から、当該変換部5の波長変換部50の劣化具合を推定することができる。
例えば、ユーザ110が、他の照明システム1で使用されていたある変換部5に注目し、この注目する変換部5(注目変換部5ともいう)を対象照明システム1で使用することを検討する場合を考える。注目変換部5には、上述のようにして最新の照射時間152が記憶されているものとする。この場合、ユーザ110は、例えば、処理装置7を操作して、処理装置7に、注目変換部5から照射時間152を読み出させる。処理装置7では、制御部70は、注目変換部5から通信部76が受信した照射時間152を表示部77に表示させる。ユーザ110は、表示部77に表示される照射時間152を参照して、注目変換部5の劣化具合を推定する。ユーザ110は、表示部77に表示される照射時間152が一定時間よりも大きい場合には、注目変換部5の波長変換部50が大きく劣化していると判断して、注目変換部5を例えば廃棄する。一方で、ユーザ110は、表示部77に表示される照射時間152が一定時間以下である場合には、対象照明システム1において注目変換部5を使用することを決定する。その後、対象照明システム1では、上述のステップs31及びs32が実行される。
上記の例では、制御装置2が変換部5の照射時間152を計測しているが、変換部5自身が、自身の波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152を計測してもよい。図21は、照射時間152を計測する変換部5(変換部5Bともいう)の構成の一例を示す概略図である。図21に示されるように、変換部5Bは、給電部57及び計測部59をさらに備える。給電部57は計測部59に給電を行う。計測部59は波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152を計測する。計測部59は、給電部57からの電力(言い換えれば電源)に基づいて動作を行う。
給電部57は、例えば、波長変換部50の発光に起因して発電する発電部であってもよい。この場合、給電部57は、波長変換部50が発する変換光L2に基づいて発電する発電部(第1発電部ともいう)であってもよい。第1発電部は、例えば、光電変換を利用して電力を発生する光電変換素子を有する。給電部57が第1発電部である場合、給電部57は、波長変換部50が発光しているときだけ計測部59に電力を供給する。つまり、計測部59は、波長変換部50が発光しているときだけ動作する。
また、給電部57は、波長変換部50が発する熱に基づいて発電する発電部(第2発電部)であってもよい。第2発電部は、例えば、ゼーベック効果を利用して熱を電力に変換する熱電素子を有する。給電部57が第2発電部である場合、給電部57は、波長変換部50が発光しているときだけ計測部59に電力を供給する。つまり、計測部59は、波長変換部50が発光しているときだけ動作する。
計測部59は、例えば、少なくとも一つのプロセッサを含む。制御装置2の制御部20が備えるプロセッサについての上記の説明は、計測部59が備えるプロセッサについても適用することができる。計測部59は、例えば、制御部20と同様に、CPUと、プログラム等を記憶する記憶部とを備えてもよい。この場合、CPUが記憶部内のプログラムを実行することによって計測部59の機能が実現される。計測部59の全ての機能あるいは計測部59の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。
計測部59は、それ自身が動作している時間を計測し、計測した時間を、波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152とする。上述のように、給電部57は、波長変換部50が発光しているときにだけ動作する。したがって、給電部57が動作している時間は、波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152と見なすことができる。計測部59は、給電部57から電力が供給されている時間を計測し、計測した時間を照射時間152とするとも言える。計測部59は、計測中の照射時間152をRFIDタグ55の記憶部52に適宜書き込む。これにより、記憶部52には、最新の照射時間152が記憶される。処理装置7は、変換部5の記憶部52に記憶されている照射時間152を読み出すことができる。
このように変換部5自身が照射時間152を計測することによって、変換部5が取り外されるときに処理装置7は当該変換部5に照射時間152を書き込む必要がなくなる。
また、給電部57が、波長変換部50の発光に起因して発電する発電部である場合には、変換部5に対する外部からの給電は不要となる。
なお、変換部5自身が照射時間152を計測する場合であっても、制御装置2は照射時間152を計測してもよい。これにより、処理装置7は、変換部5からも制御装置2からも照射時間152を取得することができる。また、照明システム1が備える複数の変換部5のうちの一部の変換部5だけが照射時間152を計測してもよい。
また、給電部57は電池であってもよい。電池は一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。この場合、計測部59は、波長変換部50が発光していることを検出し、波長変換部50の発光時間を計測する。そして、計測部59は、波長変換部50の発光時間を、当該波長変換部50に対する励起光L1の照射時間152とする。計測部59は、例えば、上述のセンサ56を備えることによって、波長変換部50が発光していることを検出することができる。また、給電部57は、第1発電部、第2発電部及び電池の少なくとも2つを有してもよい。
複数の変換部5のそれぞれが照射時間152を計測する場合、処理装置7は、例えば照明システム1の運用中に、当該複数の変換部5のそれぞれから照射時間152を読み出すことができる。処理装置7は、読み出した複数の照射時間152の一覧を示す一覧画面960を表示部77に表示させてもよい。また、処理装置7は、制御装置2が照射時間152を計測する場合、制御装置2から複数の変換部5の照射時間152を読み出して、読み出した複数の照射時間152の一覧を示す一覧画面960を表示してもよい。
図22は一覧画面960の一例を示す概略図である。図22に示されるように、一覧画面960では、例えば、変換部5の名称と当該変換部5の照射時間152とが対応付けられて示されている。処理装置7は、入力部78が受け付けるユーザ指示に応じて、一覧画面960の表示を、図23のように、照射時間152が大きい順に並び替えてもよい。
処理装置7は、例えば、変換部5の照射時間152が一定時間以上である場合、図24に示されるように、当該変換部5の交換が必要であることを通知する通知情報961を例えば一覧画面960に示してもよい。これにより、ユーザ110は、交換すべき変換部5を容易に特定することができる。通知情報961は、一覧画面960以外の画面に示されてもよい。
照明システム1では、場所に応じて照明部6の点灯時間が変化することがある。例えば、人が長時間滞在する場所の照明部6の点灯時間が長くなり、人があまり滞在しない場所の照明部6の点灯時間が短くなることがある。このような場合、変換部5が接続される照明部6に応じて変換部5の照射時間152が変化することがある。例えば、人が長時間滞在する場所の照明部6に接続された変換部5の照射時間152が長くなり、人があまり滞在しない場所の照明部6に接続された変換部5の照射時間152が短くなることがある。
そこで、処理装置7は、図25に示されるように、例えば、最大の照射時間152の変換部5と、最小の照射時間152の変換部5との入れ替えを通知する通知情報962を例えば一覧画面960に示してもよい。通知情報962は一覧画面960以外の画面に示されてもよい。
処理装置7は、最大の照射時間152から最小の照射時間152を引いた差分値がしきい値以上の場合、照明システム1のレイアウトの再考を外部装置に通知してもよい。このとき、処理装置7は、照射時間152の一覧を示す一覧情報を外部装置に通知してもよい。外部装置は、例えば、照明システム1の設置業者が管理するコンピュータ装置であってもよい。この場合、設置業者は、例えば、コンピュータ装置の情報表示を通じて、照明システム1のレイアウトに再考が必要であることを知ることができる。また、処理装置7が一覧情報を送信する場合には、設置業者は、例えばコンピュータ装置が表示する照射時間152の一覧に基づいて、照明システム1のレイアウトを再考することができる。
上記の例では、波長変換部50を励起する励起光として、レーザ光が使用されているが、LED(Light Emitting Diode)が発する光が採用されてもよい。この場合、発光部3としてはLEDが採用される。
また、上記の例では、変換部5は、RFIDタグ55を備えているが、RFIDタグ55を備えていなくてもよい。この場合、変換部5の通信部51は、処理装置7と、WiFiに準拠して直接通信してもよいし、Bluetooth(登録商標)に準拠して直接通信してもよい。また、通信部51は、他の近距離無線通信規格に準拠して処理装置7と直接通信してもよい。
以上のように、照明システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。