JP2022156581A - 絶縁電線およびワイヤーハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】導体の断面が扁平形状になった扁平部を有しながら、複雑な形状への曲げを柔軟に行うことができる絶縁電線、およびそのような絶縁電線を備えたワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】導体11を構成する素線のそれぞれ、および絶縁被覆13を相互に連続させて、扁平部20と、低扁平部30と、を軸線方向xに沿って有し、軸線方向xに直交する断面における前記導体11の外形が、前記扁平部20において、扁平形状をとり、かつ前記低扁平部30において、前記扁平部20よりも扁平度の小さい形状をとり、前記扁平部20および前記低扁平部30の両方の前記導体11の前記断面において、前記導体11の外周に面する外周部のうち、前記扁平形状の幅方向外側に対応する幅方向端部において、前記導体11の中央部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっている、絶縁電線1とする。【選択図】図1

Description

本開示は、絶縁電線およびワイヤーハーネスに関する。
扁平状の導体を用いて構成したフラットケーブルが公知である。フラットケーブルを用いることで、断面略円形の導体を備えた一般的な電線を用いる場合と比較して、配策の際に占めるスペースを小さくすることができる。
従来一般のフラットケーブルにおいては、特許文献1,2等に開示されるように、導体として、平角導体がしばしば用いられる。平角導体は、金属の単線を断面四角形に成形したものである。また、出願人らの出願による特許文献3~5には、柔軟性と省スペース性を両立する観点から、複数の素線を撚り合わせた撚線を扁平形状に成形した電線導体が開示されている。
特開2014-130739号公報 特開2019-149242号公報 国際公開第2019/093309号 国際公開第2019/093310号 国際公開第2019/177016号
特許文献3~5に開示されるように、撚線を扁平形状とした扁平撚線を導体として備えた絶縁電線は、省スペース性と柔軟性の両立に優れたものとなる。しかし、扁平撚線は、扁平形状の高さ方向(フラット方向)への曲げにおいて非常に高い柔軟性を示すものの、扁平形状の幅方向(エッジワイズ方向)への曲げにおける柔軟性は、高さ方向に曲げる場合と比べて低くなりやすい。扁平撚線の省スペース性と、高さ方向への柔軟性を利用して、扁平撚線を備えた絶縁電線を、狭い空間等、様々な空間への配策に好適に用いることができる。しかし、扁平撚線を備えた絶縁電線を、三次元的な配策等、複雑な曲げを伴う用途に利用しようとすると、高さ方向への曲げのみでは、配策経路において求められる複雑な曲げに対応しきれない場合がある。
複雑な曲げに十分に対応するためには、扁平撚線を幅方向にも曲げる必要が生じるが、上記のように、扁平撚線の幅方向への曲げは、高さ方向への曲げに比べて、柔軟に行いにくい。そこで、自動車用電線等の分野において、扁平撚線が有する省スペース性を利用しながら、三次元的な配策等、複雑な曲げにも対応しやすい絶縁電線の開発が望まれる。特に、絶縁電線を大電流化に対応させるために、導体断面積が大きくなると、導体の柔軟性が低くなりやすいが、導体断面積が大きい絶縁電線においても、省スペース性と両立して、複雑な曲げにも対応できることが望ましい。
以上に鑑み、導体の断面が扁平形状になった扁平部を有しながら、複雑な形状への曲げを柔軟に行うことができる絶縁電線、およびそのような絶縁電線を備えたワイヤーハーネスを提供することを課題とする。
本開示の第一の形態にかかる絶縁電線は、複数の素線が撚り合わせられた導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有する絶縁電線であって、前記導体を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆を相互に連続させて、扁平部と、低扁平部と、を軸線方向に沿って有し、前記絶縁電線の軸線方向に直交する断面における前記導体の外形が、前記扁平部において、扁平形状をとり、かつ前記低扁平部において、前記扁平部よりも扁平度の小さい形状をとり、前記扁平部および前記低扁平部の両方の前記導体の前記断面において、前記導体の外周に面する外周部のうち、前記扁平形状の幅方向外側に対応する幅方向端部において、前記導体の中央部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっている。
本開示の第二の形態にかかる絶縁電線は、複数の素線が撚り合わせられた導体を扁平形状に圧縮し、外周を絶縁被覆で被覆して絶縁電線とした後、前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の領域において、前記扁平形状の幅方向外側から内側に向かって力を加えて、前記導体の扁平度を低下させることで、低扁平部を形成するとともに、前記低扁平部とした領域以外を、扁平部として残して製造されるものである。
本開示のワイヤーハーネスは、前記絶縁電線を含む。
本開示にかかる絶縁電線およびワイヤーハーネスは、導体の断面が扁平形状になった扁平部を有しながら、複雑な形状への曲げを柔軟に行うことができる絶縁電線、およびそのような絶縁電線を備えたワイヤーハーネスとなる。
図1A~1Cは、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線を示す概略図である。図1Aは斜視図である。図1Bは図1A中のA-A断面に相当する扁平部、図1Cは図1A中のB-B断面に相当する低扁平部を表示する斜視図である。各図において、導体を構成する素線は省略している。 図2は、上記絶縁電線の扁平部を示す断面図である。円で囲んだ中に、領域R1~R3を拡大して表示している。 図3は、上記絶縁電線の低扁平部を示す断面図である。円で囲んだ中に、領域R1~R3を拡大して表示している。 図4は、変形形態にかかる絶縁電線について、低扁平部を示す断面図である。 図5は、試験[1]において絶縁電線の柔軟性を評価するための方法を説明する図である。 図6A,6Bは、試験[2]において、それぞれ絶縁電線の扁平部および低扁平部の断面を詳細に観察した画像である。 図7A~7Cは、試験[3]において、それぞれ導体断面積が15mmm、60mmm、130mmmの場合について、絶縁電線の扁平部(左)および低扁平部(右)の断面を観察した画像である。 図8Aは、試験[4]において試料として用いた絶縁電線を示す外観写真である。図8Bは、図8A中の位置P1~P5で切断した断面を観察した画像である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の第一の形態にかかる絶縁電線は、複数の素線が撚り合わせられた導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有する絶縁電線であって、前記導体を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆を相互に連続させて、扁平部と、低扁平部と、を軸線方向に沿って有し、前記絶縁電線の軸線方向に直交する断面における前記導体の外形が、前記扁平部において、扁平形状をとり、かつ前記低扁平部において、前記扁平部よりも扁平度の小さい形状をとり、前記扁平部および前記低扁平部の両方の前記導体の前記断面において、前記導体の外周に面する外周部のうち、前記扁平形状の幅方向外側に対応する幅方向端部において、前記導体の中央部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっている。
上記絶縁電線は、導体が扁平形状となった扁平部と、扁平度の小さい形状をとる低扁平部とを連続して有している。低扁平部においては、導体の扁平度が低くなっていることで、扁平部と比較して、曲げ方向による柔軟性の差が小さくなり、扁平形状の幅方向を含めて、各方向に柔軟に曲げることができる。よって、上記絶縁電線においては、低扁平部を利用して、三次元的な配策等、複雑な形状への曲げを柔軟に行うことが可能となる。低扁平部における各方向への曲げ柔軟性と、扁平部における高さ方向への曲げの柔軟性および省スペース性を利用して、曲げの自由度と省スペース性の両方に優れた絶縁電線とすることができる。そのような絶縁電線は、自動車内等、空間が限られており、また複雑な経路への配策が必要となる箇所で、好適に用いることができる。
さらに、上記絶縁電線においては、扁平部および低扁平部において、素線の円形からの変形率が、導体の幅方向端部において、中央部よりも小さくなっている。このように、扁平部および低扁平部の両方において、素線の変形率が、導体の幅方向端部で、中央部よりも小さくなった絶縁電線は、導体を扁平形状に圧縮し、絶縁被覆を形成した後、扁平形状の導体を幅方向外側から圧縮するように力を加えて変形させて導体の扁平度を下げ、低扁平部を形成することで、簡便に形成することができる。扁平電線において、三次元的な配策等、複雑な形状への曲げが必要な箇所に、この方法で低扁平部を形成すれば、省スペース性と曲げ柔軟性を両立しながら、多様な空間に、多様な形状で絶縁電線を配策することが可能となる。
ここで、前記扁平部および前記低扁平部の両方の前記導体の前記断面において、前記導体の外周に面する外周部のうち、前記幅方向端部において、前記扁平形状の高さ方向外側に対応する高さ方向端部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっているとよい。また、前記低扁平部において、前記素線の円形からの変形率が、前記幅方向端部において、前記中央部の70%以下となっているとよい。それらのように、導体の幅方向端部における素線の変形率が、中央部のみならず高さ方向端部よりも小さくなった低扁平部、また幅方向端部の素線の変形率が中央部に比べて顕著に小さくなった低扁平部を備える絶縁電線は、上記のように、扁平形状に導体を圧縮した絶縁電線を原料として用い、その絶縁電線の一部の領域に低扁平部を形成することで、簡便に得られる。
前記低扁平部において、前記素線の円形からの変形率が、前記中央部で、5%以上となっているとよい。導体の中央部の素線の変形率を5%以上のように大きくすることで、導体を効率的に扁平形状に成形することができる。その扁平形状の導体に力を加えて変形させて低扁平部を形成する場合に、低扁平部においても、導体の中央部に、変形率5%以上で変形された素線が残ることになる。
前記断面における前記絶縁被覆の内周に囲まれた領域の面積のうち、素線に占められない空隙の割合である空隙率が、前記低扁平部において前記扁平部よりも大きいとよい。導体の周囲や素線間に形成された空隙は、導体の柔軟な曲げを補助するものとなる。低扁平部において、扁平部よりも大きな空隙が形成されていることで、低扁平部における柔軟性が高められる。導体を扁平形状に成形した絶縁電線に力を加えて変形させて低扁平部を形成する際に、絶縁被覆の内周面によって周長を規定された空間の中で、導体が扁平度の低い形状に変形されることで、導体において空隙が占める割合が増大する。
前記断面において、前記扁平部と前記低扁平部との間における前記導体の外周の長さの差が、前記扁平部における前記導体の外周の長さの5%以下であるとよい。導体を扁平形状に成形した絶縁電線に力を加えて変形させて、低扁平部を形成する際に、絶縁被覆の内周面によって導体の外周の長さの変化が制限される。よって、扁平部と低扁平部とで、導体の外周の長さの差が、扁平部における導体の外周の長さの5%以下に抑えられた絶縁電線は、導体全体が扁平形状に成形された絶縁電線を原料として、簡便に製造できるものとなる。
前記扁平部と前記低扁平部の両方において、前記導体の外周に、前記絶縁被覆が密着しているとよい。導体の外周に絶縁被覆が密着していることで、導体への通電によって発熱が起こった際に、扁平部と低扁平部の両方において、絶縁被覆を介した熱の散逸の効率を高めることができる。特に、導体断面積が大きく、大電流の印加に用いられる絶縁電線においては、通電時の熱の散逸が重要となる。導体全体を扁平形状に成形した絶縁電線に力を加えて変形させることで、低扁平部を形成する場合には、低扁平部において、導体と絶縁被覆の間に空隙が形成されやすいが、形成した低扁平部を含む部位を加熱して、絶縁被覆をいったん軟化または溶融させることで、導体の外周に絶縁被覆を密着させることができる。
この場合に、前記絶縁被覆は、前記扁平部と前記低扁平部の間に、前記導体の外形が連続的な傾斜を有して変化する遷移領域を有し、前記遷移領域においても、前記導体の外周に、前記絶縁被覆が密着しているとよい。すると、扁平部と低扁平部の間の遷移領域も含め、通電時の熱の散逸を促進することができる。また、扁平部と低扁平部の間で、導体および絶縁被覆の形状が徐々に変化するため、段差状に急激に変化する場合と比較して、導体や絶縁被覆に負荷や応力が発生しにくい。さらに、遷移領域を利用して、止水用のゴム栓等、外部の部材を、位置決めしながら、絶縁電線に密着させて配置しやすい。
あるいは、前記低扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向および高さ方向に対応する方向に沿って、前記導体の外側の領域を、それぞれ、幅方向導体外領域および高さ方向導体外領域として、前記幅方向導体外領域において、前記導体と前記絶縁被覆との間に、前記高さ方向導体外領域よりも大きな空隙が形成されているとよい。導体を扁平形状に成形した絶縁電線に力を加えて変形させることで、低扁平部を形成する場合には、低扁平部において、導体の幅方向の寸法が小さくなる分、幅方向導体外領域において、導体と絶縁被覆との間に、空隙が形成されやすい。加熱による絶縁被覆の密着を行わない場合には、導体を変形させる際に導体と絶縁被覆との間に形成された空隙が、そのまま残ることになる。この空隙は、素線間に形成された空隙とともに、低扁平部の柔軟性を向上させるのに寄与しうる。
前記絶縁電線は、軸線方向に沿って、複数の前記扁平部を有し、2つの前記扁平部の間に、前記低扁平部を有するとよい。このように、軸線方向の中途部に低扁平部が設けられた絶縁電線は、三次元的な配策等のために、中途部を複雑な形状に曲げる用途に、好適に用いることができる。
本開示の第二の形態にかかる絶縁電線は、複数の素線が撚り合わせられた導体を扁平形状に圧縮し、外周を絶縁被覆で被覆して絶縁電線とした後、前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の領域において、前記扁平形状の幅方向外側から内側に向かって力を加えて、前記導体の扁平度を低下させることで、低扁平部を形成するとともに、前記低扁平部とした領域以外を、扁平部として残して製造されるものである。
上記第二の形態にかかる絶縁電線においては、低扁平部においては、扁平部と比較して、曲げ方向による柔軟性の差が小さくなっており、三次元的な配策等、複雑な形状への曲げに低扁平部を利用することができる。低扁平部における各方向への曲げ柔軟性と、扁平部における高さ方向への曲げの柔軟性および省スペース性を利用して、曲げの自由度と省スペース性の両方に優れた絶縁電線とすることができる。扁平形状に成形した導体の外周に絶縁被覆を形成したうえで、その絶縁電線に力を加えて変形させて低扁平部を形成することで、そのように低扁平部と扁平部を一体に備えた絶縁電線を、簡便に形成することができる。また、具体的な配策箇所等に応じて求められる絶縁電線上の任意の位置に、自在に低扁平部を形成することができる。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、本開示にかかる前記絶縁電線を含む。上記のように、本開示にかかる絶縁電線は、低扁平部において、扁平形状の幅方向も含めて、各方向に高い曲げ柔軟性を示すため、その低扁平部を利用して、三次元的配策等、複雑な形状への絶縁電線の曲げを必要とする箇所に、ワイヤーハーネスを好適に適用することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態にかかる絶縁電線およびワイヤーハーネスについて、図面を用いて詳細に説明する。本明細書において、絶縁電線の各部の形状に関して、直線、平行、垂直等、部材の形状や配置を示す概念には、長さにして概ね±15%程度、また角度にして概ね±15°程度のずれ等、この種の絶縁電線において許容される範囲で、幾何的な概念からの誤差を含むものとする。本明細書において、絶縁電線や導体の断面とは、特記しない限り、軸線方向(長手方向)に垂直に切断した断面を示すものとする。
<絶縁電線の概略>
図1Aに、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線1を斜視図にて表示する。また、図1B,1Cに、それぞれ図1A中のA-A線およびB-B線にて切断した断面図を簡略化して示す。さらに、図2および図3に、それぞれ、図1Bに対応する扁平部、および図1Cに対応する低扁平部の断面を詳細に表示する。
本実施形態にかかる絶縁電線1は、導体11と、絶縁被覆13とを有している。導体11は、複数の素線12を撚り合わせた撚線として構成されている。絶縁被覆13は、導体11の外周を、全周にわたって被覆している。絶縁電線1は、軸線方向(x方向)に沿って、扁平部20と低扁平部30を有している。扁平部20と低扁平部30は、絶縁電線1の軸線方向に沿って一体に連続している。つまり、扁平部20と低扁平部30の間で相互に、導体11を構成する各素線12が、一体に連続している。また、扁平部20と低扁平部30の間で相互に、導体11を被覆する絶縁被覆13も、一体に連続している。
扁平部20においては、断面における導体11の外形が、扁平形状をとっている。ここで、導体11の外形が扁平形状をとっているとは、断面を構成する辺または径と平行に断面を横切り、断面全体を範囲に含む直線のうち、最長の直線の長さである幅wが、その直線に直交し、断面全体を範囲に含む直線の長さである高さhよりも、大きい状態を指す。導体11の断面は、扁平形状であれば、どのような具体的形状よりなってもよいが、本実施形態においては、導体11の断面は、長方形に近似できる形状を有している。長方形以外の扁平形状としては、例えば、楕円形、長円形、小判型(長方形の両側に円弧を接合した形状)を挙げることができる。省スペース性を高める等の観点から、扁平部20における縦横比w/hは、例えば、2以上、6以下程度としておくとよい。以降、低扁平部30を含め、絶縁電線1の全域において、扁平部20の扁平形状の幅方向および高さ方向に対応する方向を、それぞれ、幅相当方向(y方向)および高さ相当方向(z方向)と称する。
低扁平部30は、断面において、扁平部20よりも、導体11が扁平度の小さい形状をとっている。ここで、導体11の扁平度が小さいとは、導体11の断面における縦横比w/hが小さく、断面形状が扁平である程度が低いことを示す。低扁平部30の具体的な形状は特に限定されるものではなく、正方形や円形、六角形等、異方性がない、あるいは異方性が低い図形に近似できる形状の他、扁平部20よりも縦横比w/hの小さい長方形、楕円形、長円形等に近似できる形状を例示することができる。低扁平部30の扁平度は小さいほど良く、縦横比w/hが1となる、円形または正方形に近似できる形状を断面として有する形態が、最も好ましい。ただし、低扁平部30における縦横比w/hを、例えば2以下としておけば、後述する幅相当方向への曲げの柔軟性(屈曲性)を高める効果を、十分に得ることができる。また、低扁平部30における縦横比w/hを、扁平部20における縦横比w/hに対して、おおむね20%以上、また70%以下としておけばよい。なお、低扁平部30においては、幅相当方向の寸法wを、高さ相当方向の寸法hよりも小さくしないことが好ましい(w/h≧1とするとよい)。つまり、低扁平部30を縦長の断面形状としないことが好ましい。ただし、低扁平部30を縦長の断面形状とすることを妨げるものではなく、その場合には、低扁平部30における横縦比h/wを、扁平部20における縦横比w/hよりも小さくしておくことが好ましい。さらには、その低扁平部30の柔軟性を高める観点から、低扁平部30の横縦比h/wを、上に挙げた横長形状の場合の縦横比w/hと同様、2以下としておけばよい。また、低扁平部30における横縦比h/wを、扁平部20における縦横比w/hに対して、おおむね20%以上、また70%以下としておけばよい。
このように、扁平部20と低扁平部30を一体に有する絶縁電線1は、導体11を扁平形状に変形させた原料扁平電線から、好適に製造することができる。原料扁平電線は、複数の素線12が撚り合わせられた断面円形の導体11を扁平形状に圧縮し、その導体11の外周を絶縁被覆13で被覆することで、製造できる。この際、導体11の圧縮は、特許文献3~5に記載されるように、ローラを用いて、高さ方向両側から、さらには任意に幅方向両側から圧縮することで、好適に行うことができる。圧縮した導体11の外周への絶縁被覆13の形成は、樹脂組成物の押出成形によって行うことが好ましい。このようにして得られた原料扁平電線のうち、軸線方向に沿って一部の領域、具体的には低扁平部30を形成したい領域において、原料扁平電線の外から、幅方向(y方向)に沿って外側から内側に向かって、力を印加し、導体11を変形させる。力の印加によって、導体11の幅方向の寸法が小さくなり、導体11の扁平度が低下する。この操作によって、低扁平部30を形成することができる。力の印加は、手作業による加工、あるいはハンマー等の工具や、成形型、プレス機等の装置を用いた加工によって行うことができる。この際に導体11に加える力は、原料扁平電線を形成する際に、導体11の扁平化のために加える力よりも小さいことが好ましい。原料扁平電線において、力の印加によって低扁平部30を形成した領域以外の領域は、扁平部20として残される。
本実施形態にかかる絶縁電線1においては、扁平部20が、扁平形状を有していることにより、狭い空間に配策することや、上下に他の部材を配置することが行いやすく、高い省スペース性が得られる。また、導体11が撚線より構成されていることで、絶縁電線1を高さ相当方向に柔軟に曲げることができる。ただし、扁平部20においては、その扁平形状に由来し、高さ相当方向(z方向;フラット方向)には絶縁電線1を高い柔軟性をもって曲げることができるが、幅相当方向(y方向;エッジワイズ方向)への曲げ柔軟性は、高さ相当方向への曲げ柔軟性に比べて、低くなってしまう。これに対し、低扁平部30においては、導体11の断面形状の扁平度が低いため、各方向への曲げにおける柔軟性の差が小さくなっており、高さ相当方向だけでなく、幅相当方向にも高い曲げ柔軟性を示す。よって、本実施形態にかかる絶縁電線1においては、低扁平部30を、複雑な形状に曲げ変形させることが容易となっている。そのため、低扁平部30を利用して、自動車内等で、三次元配策のように、複雑な形状への曲げを伴う絶縁電線1の配策を、好適に行うことができる。
本実施形態において、絶縁電線1の軸線方向において、低扁平部30を設ける位置や数は、特に限定されるものではなく、三次元配策等、複雑な形状への曲げが想定される任意の箇所に、低扁平部30を形成すればよい。上記のように、原料扁平電線に対して、絶縁被覆13の外から導体11を変形させる力を加えるのみで、低扁平部30を形成できるので、共通の原料扁平電線を用いて、低扁平部30が必要とされる箇所が異なる種々の絶縁電線1を、簡便に製造することができる。好適な形態として、絶縁電線1の軸線方向に沿って、複数の扁平部20を形成し、2つの扁平部20の間に、低扁平部30を形成する形態を挙げることができる。さらには、1本の絶縁電線1の両端部に扁平部20を形成し、それら扁平部20の間に低扁平部30を形成する形態が好ましい。すると、機器への接続箇所等が設けられ、それほど複雑な配策経路を取らない絶縁電線1の両端部においては、扁平部20による高い省スペース性を利用できる一方で、絶縁電線1の中途部においては、低扁平部30における各方向への高い柔軟性を利用して、複雑な経路への配策に対応することができる。
本実施形態にかかる絶縁電線1においては、扁平部20と低扁平部30の間で、外形が不連続な段状に変化するよりも、扁平部20と低扁平部30の間に、導体11の外形が連続的な傾斜(テーパ形状)を有して変化する遷移領域40を有することが好ましい。すると、扁平部20と低扁平部30の間で、導体11の外形が急激に変化することによって、導体11に大きな負荷や応力が発生するのを、防ぐことができる。
本実施形態にかかる絶縁電線1において、導体11を構成する素線12の材質や線径、また導体断面積は、特に限定されるものではない。しかし、低扁平部30を形成することで各方向への曲げ柔軟性を向上させることの効果を高める観点から、ある程度導体断面積の大きい導体11を用いることが好ましい。その観点で、導体11の材質としては、銅や銅合金に比べて導電性が低いために、導体断面積を大きくされることが多いアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、導体断面積は、10mm以上、さらには50mm以上、100mm以上であることが好ましい。導体11を構成する素線12の外径としては、0.3以上、1.0mm以下の範囲を例示することができる。
本実施形態にかかる絶縁電線1は、単独の状態で使用しても、本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスの構成部材として用いてもよい。本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスは、上記実施形態にかかる絶縁電線1を含むものである。ワイヤーハーネスは、上記絶縁電線1を複数含むものとしてもよく、また、上記絶縁電線1に加えて、他種の絶縁電線を含むものとしてもよい。
<素線の変形率>
本実施形態にかかる絶縁電線1においては、上記のような製造方法とも関連して、断面における素線12の変形率に、不均一な分布を有している。ここで、素線12の変形率とは、ある素線12が円形からどれだけ逸脱した断面形状を有しているかを示す指標である。実際に導体11に含まれる、ある素線12について、断面を横切る最長の直線の長さを長径Aとし、その素線12の断面積と同じ面積を有する円の直径を円直径Rとすると、素線12の変形率Dを、以下の式(1)ように表すことができる。
D=(A-R)/R×100% (1)
なお、幅方向端部や中央部等、導体11の断面の一部の部位の素線12の変形率を評価する場合には、素線12の変形におけるばらつき等の影響を低減する観点から、図2,3に示す領域R1~R3のように、ある程度の面積にわたる領域に含まれる複数の素線12に対する平均値として、変形率を見積もることが好ましい。例えば、導体11の幅wの10~30%程度の長さにわたる辺を有する四角形やそのような長さの直径を有する円に囲まれた領域を設定すればよい。
本実施形態にかかる絶縁電線1においては、図2,3に示すように、扁平部20と低扁平部30の両方において、導体11の外周に面する外周部のうち、幅相当方向(y方向)に沿って外側(両端)の領域にあたる幅方向端部(領域R2)において、外周部の内側に位置する中央部(領域R1)よりも、素線12の変形率が小さくなっている。つまり、扁平部20および低扁平部30において、中央部の素線12よりも、幅方向端部の素線12の方が、円形に近い形状をとっている。なお、図2,3では、各素線12の変形を模式的に表示しており、導体11の中央部等において、素線12を扁平な楕円状に変形させて表示しているが、現実の導体11においては、そのような扁平形状のみならず、図6A,6B等の断面画像に含まれる素線のように、いびつな形状に変形する場合もある。
上記のように、本実施形態にかかる絶縁電線1を、扁平に成形した撚線導体を含んだ原料扁平電線から形成する場合に、その原料扁平電線に含まれる導体11は、ローラを用いた撚線への穏やかな力の印加によって扁平に変形されたものであることに起因して、特許文献3~5にも記載されるとおり、外周部、特に幅方向端部において、中央部に比べて、素線12の変形率が小さくなっている。この原料扁平電線から本実施形態にかかる絶縁電線1を製造する際に、扁平部20においては、原料扁平電線における導体11の構造が実質的にそのまま引き継がれる。低扁平部30においても、導体11全体の外形としては、扁平度の低い形状に変形されるが、各素線12の形状までは、ほぼ変化を受けない。よって、原料扁平電線において生じていた素線12の変形率の分布は、ほぼそのまま低扁平部30にも引き継がれる。よって、本実施形態にかかる絶縁電線1の扁平部20および低扁平部30においても、原料扁平電線と同様に、素線12の変形率が、幅方向端部において、中央部よりも小さくなる。
低扁平部30、また扁平部20において、幅方向端部と中央部での素線12の変形率の具体的な比率は、特に限定されるものではないが、幅方向端部の素線12の変形率が小さいほど好ましい。例えば、中央部における素線12の変形率に対する幅方向端部における素線12の変形率の比率(幅方向端部における変形率/中央部における変形率×100%)が、70%以下、さらには50%以下であることが好ましい。また、幅方向端部の素線12の変形率の値が、10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。幅方向端部の素線12の変形率は、小さいほど好ましく、下限は特に設けられない。
中央部の素線12の変形率は、特に限定されるものではないが、過度の変形による素線12への負荷の印加を避ける観点から、20%以下、さらには10%以下であることが好ましい。ただし、そのまま扁平部20となる原料扁平電線において、導体11の扁平形状への成形を効果的に行う観点から、中央部の変形率は、扁平部20、低扁平部30の両方で、5%以上であることが好ましい。
さらに、低扁平部30、また扁平部20の断面において、幅方向端部の素線12の変形率は、中央部のみならず、導体11の外周部のうち、高さ相当方向(z方向)に沿って外側(両端)の領域にあたる高さ方向端部(領域R3)の素線12の変形率よりも、小さくなっていることが好ましい。幅方向端部と高さ方向端部での素線12の変形率の具体的な比率も、特に限定されるものではないが、高さ方向端部における素線12の変形率に対する幅方向端部における素線12の変形率の比率(幅方向端部における変形率/高さ方向端部における変形率×100%)も、上記の中央部の変形率に対する比率と同様に、70%以下、さらには50%以下であることが好ましい。幅方向端部と中央部での素線12の変形率の関係は、特に限定されるものではない。
上記のように、本実施形態にかかる絶縁電線1は、軸線方向全域を扁平形状に成形した導体11の外周に絶縁被覆13を形成した原料扁平電線に対して、軸線方向の一部の領域において導体11を変形させることで、簡便に形成される。一方で、断面円形の撚線導体に対して、軸線方向の一部の領域でのみ、扁平形状への変形を行ったうえで、その撚線導体の外周に絶縁被覆13を形成する方法でも、断面扁平な領域と、断面の扁平度の低い領域とが共存する絶縁電線を製造することができる。しかし、この場合には、断面の扁平度が低い領域は、導体11への力の印加による変形を経ていないので、素線12が、中央部および外周部を含む断面全体で、ほぼ円形から変形されない状態に維持される。このように、導体11の一部の領域のみ扁平に変形させてから、絶縁被覆13を形成する場合には、扁平度の低い領域を絶縁電線1の軸線方向に沿って設ける位置を、導体13を準備する段階であらかじめ定めておく必要があり、本実施形態にかかる絶縁電線1において、低扁平部30を任意の位置に事後的に形成できるのとは異なる。
<導体と絶縁被覆の関係>
上記のように、扁平形状に成形した導体11の外周に絶縁被覆13を設けた原料扁平電線を用いて、扁平部20と低扁平部30を有する本実施形態にかかる絶縁電線1を形成する場合に、図4に示すように、低扁平部30において、導体11と絶縁被覆13の間に、素線12に占められない空隙が生じることが多い。原料扁平電線の外から導体11に力を加えて低扁平部30を形成する際に、導体11は変形するが、絶縁被覆13の内周の長さはほぼ変化しないからである。導体11に対して幅相当方向(y方向)の外側から内側に向かって力を印加し、幅相当方向に導体11を圧縮することに対応して、幅相当方向に沿って導体11の外側の領域にあたる幅方向導体外領域R4に、高さ相当方向に沿って導体11の外側の領域にあたる高さ方向導体外領域R5よりも、大きな空隙が形成されやすい。つまり、導体11と絶縁被覆13の内周面との距離が、幅方向導体外領域R4において、高さ方向導体外領域R5よりも大きくなりやすく、幅方向導体外領域R4への空隙の偏在が起こる。低扁平部30のみならず、低扁平部30と扁平部20の間の境界部においても、同様に、幅方向導体外領域R4への空隙の偏在が生じる場合がある。
本実施形態にかかる絶縁電線1は、低扁平部30において、図4に示すように、導体11の外周に絶縁被覆13が密着しておらず、特に幅方向導体外領域R4において導体11と絶縁被覆13との間に空隙が生じた状態のままで、使用してもよい。後に詳しく説明するように、導体11と絶縁被覆13の間の空隙は、低扁平部30の柔軟性を高めるのに寄与する。しかし、原料扁平電線の導体11を変形させて低扁平部30を形成しながら、あるいは導体11を変形させて低扁平部30を形成した後に、低扁平部30を含む領域において、絶縁被覆13を加熱して、絶縁被覆13をいったん軟化または溶融させてもよい。絶縁被覆13を軟化または溶融させた状態で、適宜、金型等を用いて、絶縁被覆13を導体11に向かって押し付ける力を加えることで、絶縁被覆13を導体11の外周に密着させることができる。すると、放冷を経て、図2,3に示すように、扁平部20と低扁平部30の両方において、絶縁被覆13が導体11の外周に密着した状態となる。絶縁被覆13を導体11に密着させて、絶縁被覆13と導体11の間に空気の層が介在されないようにすることで、導体11に通電した際に発生する熱を、絶縁被覆13を介して、外部に効率的に散逸させることができる。
絶縁電線1が、扁平部20と低扁平部30の間に、導体11の外形が連続的な傾斜を有して変化する遷移領域40を有する場合に、低扁平部30の導体11の外周に絶縁被覆13を密着させるのに合わせて、遷移領域40においても、導体11の外周に絶縁被覆13を密着させて、絶縁被覆13を含む絶縁電線1全体としての外形が、連続的な傾斜を有して変化する形態とすることが好ましい。すると、扁平部20と低扁平部30の間の領域で、導体11のみならず、絶縁被覆13においても、外形の急激な変化による大きな負荷の印加や応力の発生を、抑制することができる。また、絶縁電線1全体として、扁平部20と低扁平部30の間が、滑らかな傾斜によってつながることになるので、止水用のゴム栓等、外部の部材を、絶縁電線1の軸線方向に沿った所定の箇所に位置決めした状態で、絶縁電線1の外周に密着させて配置しやすい。
上記のように、原料扁平電線の外から力を加えて、低扁平部30を形成する際に、導体11は変形するが、絶縁被覆13の内周長はほぼ変化しないことに起因して、幅方向導体外領域R4に、導体11と絶縁被覆13の間の空隙が偏在するという特徴に加え、低扁平部30と扁平部20で、導体11の断面の外周の長さに差が生じにくいという特徴がもたらされる。低扁平部30を形成するために導体11を変形させる際に、導体11の外周の長さが、絶縁被覆13の内周の長さによって制限されるため、導体11の外周の長さを大幅に変化させることは難しいからである。得られた絶縁電線1の断面において、扁平部20と低扁平部30との間で、導体11の外周の長さの差が、扁平部20における導体11の外周の長さに対して、例えば5%以下となる。つまり、扁平部20における導体11の外周長をL1、低扁平部30における導体11の外周長をL2として、下記の式(2)で表現される周長差比率ΔLが5%以下となる。
ΔL=|L1-L2|/L1 (2)
なお、導体11の外周長は、断面において、導体11の最外周に配置された素線12の輪郭を、滑らかにつないだ輪郭線の長さとして評価すればよい。周長差比率ΔLが5%以下になっている等、扁平部20と低扁平部30の間で、導体11の外周長の差が小さくなった状態は、低扁平部30において、絶縁被覆13を加熱して導体11の外周に密着させる場合にも、維持される。絶縁被覆13の加熱による導体11への密着を行わない場合には、導体11の外周長L1,L2の代わりに、絶縁被覆13の内周長を用いて、周長差比率ΔLを評価してもよい。
<絶縁電線の空隙率>
本実施形態にかかる絶縁電線1においては、断面における空隙率が、低扁平部30において、扁平部20よりも大きくなっていることが好ましい。ここで、空隙率とは、絶縁電線1の断面において、絶縁被覆13の内周に囲まれた領域の面積のうち、素線12に占められない空隙の面積の割合を指す。
絶縁電線1の断面において、空隙が多く形成され、空隙率が大きくなっていると、導体11を曲げる際に、空隙への素線12の移動によって、絶縁電線1の柔軟な曲げが補助される。よって、低扁平部30が、扁平部20よりも大きな空隙率を有することで、低扁平部30において、扁平度の低い断面外形を有することの効果に加えて、各方向への曲げの柔軟性が、さらに高められる。その結果、絶縁電線1において、低扁平部30を利用した複雑な形状への曲げを実行しやすくなる。
上記のように、扁平形状に成形した導体11の外周に絶縁被覆13を設けた原料扁平電線の一部の領域において、幅方向外側から内側への向かう力を印加して導体11を変形させることで、低扁平部30を形成する場合には、低扁平部30において、扁平部20よりも空隙率を高めやすい。上で導体11と絶縁被覆13の関係について説明したように、変形の前後で、断面における絶縁被覆13の内周長はほぼ変化せず、その絶縁被覆13の内周長によって、導体11の外周長の変化が制限されるが、外周長が同じであれば、扁平度の低い図形の方が、扁平度の高い図形よりも、その外周に囲まれた領域の面積が大きくなる。つまり、低扁平部30において、扁平部20に比べて、導体11の外周に囲まれた領域の面積を大きくする余地がある。導体11の外周に囲まれた領域において、素線12が占める面積は一定なので、低扁平部30において、導体11全体としての外周に囲まれた領域の面積が大きくなると、その領域の内側で、空隙が占める面積、つまり空隙率が大きくなる。このような理由から、原料扁平電線からの変形を経て、低扁平部30の方が、扁平部20よりも、断面の空隙率が大きくなりやすい。
上で導体11と絶縁被覆13の関係について説明したように、原料扁平電線の導体11を変形させて低扁平部30を形成したままの状態では、低扁平部30において、導体11の外周と絶縁被覆13との間に空隙が形成されやすく、特に幅方向導体外領域R4に、空隙が偏在しやすい。このように、導体11の外側に形成される空隙も、素線12の移動による導体11の柔軟性の向上に寄与するものである。よって、それら導体11の外周に形成される空隙も含めて、絶縁電線1の断面において、絶縁被覆13の内周に囲まれた領域全体の空隙率(全域空隙率)が、低扁平部30において、扁平部20よりも高くなっていればよい。しかし、導体11の外周の内側に形成された空隙、つまり導体11を構成する素線12の間に形成された空隙の方が、導体11の曲げ柔軟性の向上に、高い効果を示す。よって、導体11の外周の内側に形成された空隙のみに着目した場合の空隙率(導体内空隙率)も、低扁平部30において、扁平部20よりも大きくなっていれば、さらに好ましい。導体11の外周の内側における空隙の分布、およびそれらの空隙の寄与による導体内空隙率は、加熱による導体11への絶縁被覆13の密着を経ても、実質的に維持される。
低扁平部30における具体的な空隙率(全域空隙率;本段落において同様)は、特に限定されるものではない。しかし、扁平部20の空隙率に対する低扁平部30の空隙率の比率、つまり扁平部20における空隙率をV1%、低扁平部30における空隙率をV2%として、下記の式(3)で表される空隙率比Vrが、1.2以上となっていればよい。
Vr=V2/V1 (3)
さらには、空隙率比Vrが、1.5以上、また2.0以上となっているとよい。また、低扁平部30における空隙率の値(V2)が、35%以上、さらには40%以上、45%以上となっているとよい。すると、低扁平部30において、高い柔軟性を確保しやすくなる。扁平部20においても、高さ相当方向への曲げ柔軟性を確保する観点から、空隙率(V1)が10%以上であることが好ましい。柔軟性の観点からは、空隙率(V1,V2)に特に上限は設けられないが、扁平部20および低扁平部30のそれぞれにおいて、所定の導体11の外形を安定に保持する等の観点から、おおむね50%以下としておくとよい。
以下に実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[1]導体の形状と絶縁電線の曲げ柔軟性
まず、扁平電線に低扁平部を形成した場合と、形成していない場合について、曲げ柔軟性を比較した。
(試料の準備)
最初に、扁平電線を作製した。まず、アルミニウム合金の素線を撚り合わせた断面円形の撚線を準備し、その撚線をローラによって扁平形状に圧縮することで、導体を作製した。撚線としては、導体断面積が130mm、素線径が0.42mmのものを用いた。扁平形状の縦横比w/hは約3とした。作製した導体の外周に、押出成形によって、絶縁被覆を形成した。絶縁被覆の構成材料としては、架橋ポリエチレンを用い、絶縁被覆の厚さは、2mmとした。
試料の1つとして、上記で作製した扁平電線をそのまま用いた。また、もう1つの試料として、上記で作製した扁平電線から、低扁平化電線を作製した。つまり、扁平電線に対して、軸線方向に沿って中途部の長さ6cmにわたる領域において、扁平形状の幅方向外側から内側に向かう力を印加して、導体の扁平形状の扁平度を低下させることで、低扁平部を形成した。低扁平部における導体の縦横比w/hは、約1とした。低扁平部を形成した後、電線の低扁平部を含む箇所を加熱し、絶縁被覆を導体に密着させた。
(評価方法)
上記で作製した各絶縁電線に対して、柔軟性を評価した。評価においては、図5に示すように、長さ50cmに切り出した絶縁電線1の一端に、重さ500gの錘T2を取り付け、他端から25cmの位置を支点T1として水平方向に支持した(図中破線にて表示)。この際、絶縁電線1の扁平形状の幅相当方向(y方向)を重力方向に配置し、絶縁電線1が錘T2の重力によって幅相当方向に曲げられるようにした。また、低扁平化電線については、低扁平部を形成した領域の中央に支点T1が配置されるようにした。各絶縁電線1について、錘T2を取り付けた端部が、錘の重力T2によって水平位置から垂下した距離d1を計測した。
(評価結果)
下の表1に、扁平電線と、低扁平化電線について、端部の垂下距離d1を示す。
Figure 2022156581000002
表1によると、錘による端部の垂下距離が、低扁平化電線において、扁平電線の2倍以上となっている。このことは、低扁平化電線の方が、扁平電線よりも、幅相当方向に、高い曲げ柔軟性を有することを意味している。低扁平化電線においては、扁平電線の一部の領域の扁平度を低下させたのみであるが、幅相当方向への曲げにおける柔軟性の向上に、高い効果を示している。
[2]導体における素線の変形
次に、扁平部と低扁平部で、導体を構成する素線の変形について比較した。
(試料の準備)
上記試験[1]と同様にして、扁平電線の軸線方向の中途部に低扁平部を形成して、低扁平化電線を作製した。ただし、低扁平部を形成した後、絶縁被覆の加熱による導体への絶縁被覆の密着は行っていない。導体断面積は130mmmとし、導体の縦横比w/hは、扁平部で約3、低扁平部で約1とした。得られた低扁平化電線をアクリル樹脂に包埋して固定し、扁平部と低扁平部のそれぞれにおいて、軸線方向に垂直に切断して、断面試料を作製した。
(評価方法)
扁平部および低扁平部のそれぞれの断面試料に対して、顕微鏡観察を行い、断面の各部における素線の変形について評価した。特に、低扁平部については、断面を撮影した顕微鏡画像を用いて、代表的な箇所について、素線の変形率を定量的に評価した。つまり、所定の領域に含まれる素線に対して、素線径を計測し、上記式(1)に従って、素線の変形率(D)を見積もった。各領域内で、得られた素線変形率の平均値を記録した。
(評価結果)
図6A,6Bに、それぞれ、扁平部および低扁平部の断面を撮影した画像を示す。また、下の表2に、低扁平部について、各部の素線変形率を評価した結果を示す。
Figure 2022156581000003
まず、図6Aの扁平部の断面を見ると、領域R1として表示した導体の中央部においては、素線が円形から著しく変形しているのに対し、領域R2として表示した幅方向端部においては、素線が円形に近い形状を保持しており、明らかに、中央部よりも幅方向端部の方が、素線の変形率が小さいことが分かる。さらに、領域R3として表示した高さ方向端部においても、円形から変形している素線が多く、高さ方向端部と比較しても、幅方向端部における素線の変形率の方が小さくなっていることが分かる。ローラを用いて導体全体を穏やかに扁平形状に変形させたことにより、幅方向端部の素線が、円形から大きくは変形されなかったものと考えられる。
次に、図6Bに示す低扁平部の断面を見ると、扁平部と同様に、領域R1として表示した導体の中央部においては、素線が円形から著しく扁平に変形しているのに対し、領域R2として表示した幅方向端部においては、素線がほぼ円形とみなせる形状を保持しており、明らかに、中央部よりも幅方向端部の方が、素線の変形率が小さいことが分かる。このことは、領域R1および領域R2における素線の変形率を定量的に解析した表2の結果において、さらに明確に示されている。素線変形率の値が、幅方向端部R2において、幅方向中央部R1の半分以下となっている。絶対値としても、幅方向端部R2における素線の変形率は、5%以下の小さな値となっている。
さらに、図6Bにおいて、領域R3として表示した高さ方向端部においても、円形から変形している素線が多く、高さ方向端部と比較しても、幅方向端部における素線の変形率の方が小さくなっていることが分かる。表2でも、幅方向端部R2における素線の変形率が、高さ方向端部R3の値と比較した場合にも、半分以下の小さな値となっている。
以上の結果から、導体の幅方向端部における素線の変形率が、中央部および高さ方向端部における変形率よりも小さくなっているという扁平部における特徴が、幅方向両側からの力の印加による導体の変形を経て、低扁平部にも受け継がれていることが確認される。
[3]導体における外周長および空隙率
(試料の準備)
上記試験[1]と同様にして、扁平電線の軸線方向の中途部に低扁平部を形成して、低扁平化電線を作製した。ただし、低扁平部を形成した後、絶縁被覆の加熱による導体への絶縁被覆の密着は行っていない。扁平電線としては、導体断面積が15mmm、60mmm、130mmmの3とおりのものを用いた。導体の縦横比w/hは、扁平部で約3、低扁平部で約1とした。絶縁被覆の厚さは、導体断面積が15mmの試料では1mm、他2種の試料については2mmとした。製造された各絶縁電線に対して、試験[2]と同様に、扁平部と低扁平部のそれぞれにおいて、断面試料を作製した。なお、この試験[3]において低扁平化電線の原料として用いた扁平電線は、試験[2]で用いたものよりも、導体に対する絶縁被覆の密着性が高いものである。
(評価方法)
各断面試料に対して、顕微鏡画像を撮影したうえで、画像解析によって、導体の外周長および空隙率を計測した。導体の外周長としては、画像中で、導体の外周を滑らかに結んで、輪郭線を設定し、その輪郭線の長さを計測した。空隙率としては、断面画像中で、絶縁被覆の内側の領域の面積のうち、素線に占められていない領域の総面積が占める割合を算出した。
(評価結果)
図7A~7Cに各絶縁電線の扁平部および低扁平部の断面画像を示す。それぞれ、導体断面積が15mmm、60mmm、130mmmの場合について、左側に扁平部を、右側に低扁平部を表示している。また、下の表3に、各試料の扁平部と低扁平部について、導体の外周長と空隙率の値をまとめる。導体の外周長については、上記式(2)によって求められる周長差比率ΔLも表示している。また、空隙率については、上記式(3)によって求められる空隙率比Vrも表示している。
Figure 2022156581000004
図7A~7Cのいずれの試料の画像においても、扁平部、低扁平部とも、導体の外周の全域に、絶縁被覆が密着している。また、いずれの試料においても、低扁平部において、扁平部よりも、素線間に多くの空隙が形成されているのが見て取れる。特に、導体断面積が小さい試料において、低扁平部と扁平部における空隙量の差が顕著である。
表3を見ると、いずれの試料についても、扁平部と低扁平部とで、導体の外周長が近い値をとっている。周長差比率も5%以下の小さな値となっている。つまり、導体の変形による低扁平化によって、導体の外周の長さはほぼ変化していないと言える。この結果は、扁平に成形した導体の外周が絶縁被覆に被覆された状態から、導体の変形によって低扁平部を形成しており、導体の外周長の変化が絶縁被覆の内周長によって制限されていることによると考えられる。なお、表3に掲載した導体の外周長は、上記のように、導体の外周を滑らかに結んで設定した輪郭線の長さを示しているが、そのようにして求めた外周長は、各試料画像中、絶縁被覆の内側の領域を二値化し、素線に相当する領域の外周の周長を解析した値とも、概ね一致することを確認している。
さらに、表3によると、図7A~7Cの断面画像において傾向が見られたとおり、いずれの試料においても、扁平部よりも低扁平部において、空隙率が大きくなっている。そして、空隙率比が、いずれの試料でも2.0以上となっている。つまり、低扁平部において、電線断面に空隙が占める割合が、扁平部の2倍以上に大きくなっている。この結果は、扁平度の小さい形状ほど、同じ長さの外周に囲まれた領域の面積が大きくなることを反映している。なお、導体断面積130mmの試料の扁平部について、複数の試料個体の複数の箇所に対して、同様に空隙率を評価したところ、空隙率の値に生じる誤差は、最大で5%程度となった。このことから、表3に示した扁平部と低扁平部の間の空隙率の差は、有意なものであることが確認される。
[4]導体と絶縁被覆の間の空隙
最後に、扁平電線の変形による低扁平化により、導体と絶縁被覆の間に生じる空隙の分布について調べた。
(試料の準備)
上記試験[2]で用いた試料を、この試験においても、そのまま用いた。試料となる絶縁電線をアクリル樹脂に包埋して固定したうえで、扁平部および低扁平部、また扁平部と低扁平部の間の境界部のそれぞれの箇所において切断して、断面試料を作製した。
(評価方法)
各位置で絶縁電線を切断して作製した断面試料に対して顕微鏡画像を撮影し、上記試験[3]と同様にして、画像解析によって空隙率を計測した。
(評価結果)
図8Aに、試料として用いた絶縁電線の外観写真を示す。写真は、扁平部の扁平面に対向する方向から撮影したものであり、左側が扁平部、右側が低扁平部となっている。写真中には、切断により断面試料を得た位置も合わせて表示している。図8Bに、各位置での断面の顕微鏡画像を表示している。各画像の上方に表示した符号が、図8A中に示した切断位置P1~P5と対応しており、位置P1が扁平部、位置P2が扁平部と低扁平部の間の境界部、位置P3~P5が低扁平部にあたる。なお、試験[2]で素線の変形率の解析に用いた断面画像は、位置P1および位置P5の断面に対応するものである。
図8Bの断面画像によると、位置P2の境界部および位置P3~P5の低扁平部のそれぞれの断面で、画像の横方向に対応する幅方向において、導体と絶縁被覆の間に、高さ方向よりも大きな空隙が形成されている。この幅方向導体外領域への空隙の偏在は、低扁平部を形成する際に、扁平導体に対して、幅方向外側から内側に向かう力を加えて、幅方向に導体の寸法を小さくしたことに対応付けられる。幅方向導体外領域への空隙の偏在は、低扁平部の中でも、境界部に近い位置P3,P4において特に顕著である。
さらに、下の表4に、各位置の断面における空隙率をまとめる。原料として用いた扁平電線における導体と絶縁被覆の間の密着力の違いにより、表4で得られている空隙率の値は、扁平部、低扁平部とも、上の表3に示した値よりも大きくなっている。しかし、この表4の結果においても、表3で見られたのと同様に、扁平部よりも低扁平部において、空隙率が大きくなっている。境界部においても、低扁平部に近い空隙率が得られている。
Figure 2022156581000005
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 絶縁電線
11 導体
12 素線
13 絶縁被覆
20 扁平部
30 低扁平部
40 遷移領域
d1 垂下距離
h 導体の高さ
w 導体の幅
x 絶縁電線の軸線方向
y 幅相当方向
z 高さ相当方向
P1~P5 切断位置
R1 中央部の領域
R2 幅方向端部の領域
R3 高さ方向端部の領域
R4 幅方向導体外領域
R5 高さ方向導体外領域
T1 支点
T2 錘

Claims (12)

  1. 複数の素線が撚り合わせられた導体と、
    前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有する絶縁電線であって、
    前記導体を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆を相互に連続させて、扁平部と、低扁平部と、を軸線方向に沿って有し、
    前記絶縁電線の軸線方向に直交する断面における前記導体の外形が、前記扁平部において、扁平形状をとり、かつ前記低扁平部において、前記扁平部よりも扁平度の小さい形状をとり、
    前記扁平部および前記低扁平部の両方の前記導体の前記断面において、前記導体の外周に面する外周部のうち、前記扁平形状の幅方向外側に対応する幅方向端部において、前記導体の中央部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっている、絶縁電線。
  2. 前記扁平部および前記低扁平部の両方の前記導体の前記断面において、前記導体の外周に面する外周部のうち、前記幅方向端部において、前記扁平形状の高さ方向外側に対応する高さ方向端部よりも、前記素線の円形からの変形率が小さくなっている、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記低扁平部において、前記素線の円形からの変形率が、前記幅方向端部において、前記中央部の70%以下となっている、請求項1または請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 前記低扁平部において、前記素線の円形からの変形率が、前記中央部で、5%以上となっている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. 前記断面における前記絶縁被覆の内周に囲まれた領域の面積のうち、素線に占められない空隙の割合である空隙率が、前記低扁平部において前記扁平部よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  6. 前記断面において、前記扁平部と前記低扁平部との間における前記導体の外周の長さの差が、前記扁平部における前記導体の外周の長さの5%以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  7. 前記扁平部と前記低扁平部の両方において、前記導体の外周に、前記絶縁被覆が密着している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  8. 前記絶縁被覆は、前記扁平部と前記低扁平部の間に、前記導体の外形が連続的な傾斜を有して変化する遷移領域を有し、前記遷移領域においても、前記導体の外周に、前記絶縁被覆が密着している、請求項7に記載の絶縁電線。
  9. 前記低扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向および高さ方向に対応する方向に沿って、前記導体の外側の領域を、それぞれ、幅方向導体外領域および高さ方向導体外領域として、
    前記幅方向導体外領域において、前記導体と前記絶縁被覆との間に、前記高さ方向導体外領域よりも大きな空隙が形成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  10. 前記絶縁電線は、軸線方向に沿って、複数の前記扁平部を有し、
    2つの前記扁平部の間に、前記低扁平部を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  11. 複数の素線が撚り合わせられた導体を扁平形状に圧縮し、外周を絶縁被覆で被覆して絶縁電線とした後、
    前記絶縁電線の軸線方向に沿って一部の領域において、前記扁平形状の幅方向外側から内側に向かって力を加えて、前記導体の扁平度を低下させることで、低扁平部を形成するとともに、
    前記低扁平部とした領域以外を、扁平部として残して製造される、絶縁電線。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の絶縁電線を含む、ワイヤーハーネス。
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