JP2022155952A - 偏光子および偏光子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光性能の低下が抑制された偏光子を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態による偏光子は、ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムから構成され、少なくとも前記第一主面に前記樹脂フィルムが化学修飾された化学修飾部を有し、前記化学修飾部は、化学修飾されていない他の部位よりも疎水性が高い。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光子および偏光子の製造方法に関する。
液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置に搭載される画像表示パネルには、代表的には、偏光板が用いられている。実用的には、偏光板と位相差板とを一体化した位相差層付偏光板が広く用いられている(例えば、特許文献1)。しかし、偏光板に含まれる偏光子は、画像表示装置の長時間の使用や過酷な環境下(例えば、高温、高湿環境下)に置かれることにより、偏光性能が低下する場合がある。偏光性能の低下の一因として、例えば、脱色(色抜け)が考えられる。
特許第3325560号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、偏光性能の低下が抑制された偏光子を提供することにある。
本発明の実施形態によれば、偏光子が提供される。この偏光子は、ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムから構成され、少なくとも前記第一主面に前記樹脂フィルムが化学修飾された化学修飾部を有し、前記化学修飾部は、化学修飾されていない他の部位よりも疎水性が高い。
1つの実施形態においては、上記化学修飾部はフッ素を含む基を含む。
1つの実施形態においては、上記フッ素を含む基はトリフルオロアセチル基を含む。
1つの実施形態においては、上記化学修飾部は無水トリフルオロ酢酸により化学修飾されている。
1つの実施形態においては、上記偏光子のフッ素含有量は20μg/g以上である。
1つの実施形態においては、上記化学修飾部の接触角は90°以上である。
1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは8μm以下である
本発明の別の実施形態によれば、上記偏光子の製造方法が提供される。この製造方法は、ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムの少なくとも前記第一主面を化学修飾することを含む。
1つの実施形態においては、上記化学修飾により上記第一主面の接触角を5°以上上昇させる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、上記偏光子と、保護層または位相差層の少なくとも一つと、を有する。
本発明によれば、化学修飾部を形成することにより、偏光性能の低下が抑制された偏光子を得ることができる。
本発明の1つの実施形態による偏光子の模式的な断面図である。 本発明の1つの実施形態における偏光子の製造に用いられる積層物の概略の構成を示す模式的な断面図である。 本発明の1つの実施形態による偏光板の模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
A.偏光子
図1は、本発明の1つの実施形態による偏光子の模式的な断面図である。なお、図1では、図を見やすくするために偏光子の断面は、ハッチングを省略している。偏光子10は、互いに対向する第一主面10aおよび第二主面10bを有する樹脂フィルムから構成される。偏光子10の第一主面10aは、樹脂フィルムが化学修飾された化学修飾部を有する。化学修飾部は、第一主面10aの少なくとも一部に形成されていればよく、形成領域は特に限定されないが、例えば、第一主面10aの全体に亘って形成される。
上記偏光子は、ヨウ素を含む樹脂フィルムから構成される。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムが用いられる。
偏光子10の厚みは、好ましくは15μm以下であり、12μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよい。一方、偏光子の厚みは、好ましくは1μm以上である。
偏光子10は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子10の単体透過率(Ts)は、好ましくは41.0%以上であり、より好ましくは42.0%以上であり、さらに好ましくは42.5%以上である。一方、偏光子10の単体透過率は、例えば44.2%以下である。偏光子10の偏光度(P)は、好ましくは99.95%以上、より好ましくは99.98%以上であり、さらに好ましくは99.99%以上である。一方、偏光子10の偏光度は、例えば99.996%以下である。
上記単体透過率は、代表的には、紫外可視分光光度計を用いて測定し、視感度補正を行なったY値である。上記偏光度は、代表的には、紫外可視分光光度計を用いて測定して視感度補正を行なった平行透過率Tpおよび直交透過率Tcに基づいて、下記式により求められる。
偏光度(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
化学修飾部は、化学修飾されていない他の部位よりも疎水性が高い。このような化学修飾部を形成することにより、偏光子(樹脂フィルム)内への水分の侵入を抑制して、偏光性能の低下が抑制された偏光子(偏光板)を得ることができる。なお、他の部位には、樹脂フィルム表面だけでなく、樹脂フィルム内部も含まれる。
化学修飾部は少なくとも一方の主面(第一主面10a)に形成されていればよく、第一主面10aおよび第二主面10bのそれぞれに形成されていてもよい。1つの実施形態においては、例えば、製造工程を簡略化する観点から、一方の主面にのみ化学修飾部を形成する。別の実施形態においては、効果的に偏光性能の低下を抑制する観点から、いずれの主面にも化学修飾部を形成する。また、端面10cには、化学修飾部は形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
化学修飾部は、樹脂フィルムを化学修飾することにより形成され得る。例えば、樹脂フィルムのヒドロキシ基の修飾反応により形成され得る。樹脂フィルムのヒドロキシ基の修飾反応は、例えば、メチルエーテル、置換メチルエーテル、置換エチルエーテル、メトキシ置換ベンジルエーテル、シリルエーテル、エステル(ギ酸エステル、アセチル、ベンゾイル)、ミセル化エステル、スルホン酸エステル、スルフェン酸エステル、スルフィン酸エステル、カーボネート、カーバメート、環状アセタール、環状ケタール、環状オルトエステル、シリル誘導体基、環状カーボネート、環状ホウ酸エステル等の修飾基による置換が挙げられる。修飾反応の条件は、修飾基の種類等に応じて、適宜、適切な条件が採用され得る。例えば、樹脂フィルムと置換する修飾基の塩化物とを、必要に応じて触媒の存在下、0℃から100℃で1分から20時間、接触させることで修飾反応させる。
また例えば、上記化学修飾部は、樹脂フィルムのヒドロキシ基に、アルキル基、ハロゲノ基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アシル基、シリル基等の基(疎水性を向上させる基)を有する修飾化剤を反応させることにより形成され得る。化学修飾は、例えば、アルキル化、ハロゲン化、アシル化(例えば、アセチル化、エステル化)、シリル化、エーテル化等により行われる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。
上記アシル化に用いられるアシル化剤としては、例えば、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、ハロゲン化ベンゾイル、エステル、アミド、ケテンが挙げられる。具体例としては、無水トリフルオロ酢酸、無水酢酸、塩化アセチル、無水クロロ酢酸、塩化クロロアセチル、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、塩化ベンゾイルが挙げられる。
上記シリル化に用いられるシリル化剤としては、例えば、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリイソプロピルシラン、クロロトリフェニルシラン、ターシャリーブチルジメチルクロロシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロジイソプロピルシラン等のクロロシラン類が挙げられる。また、シリル化剤として、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド等のアミド系シリル化剤、N-トリメチルシリルイミダゾール等のアミン系シリル化剤等も用いることができる。
上記エーテル化に用いられるエーテル化剤としては、例えば、臭化ベンジル、4-メトキシベンジルクロリド、クロロメチルメチルエーテル、トリチルクロリドが挙げられる。
代表的には、上記化学修飾部はフッ素を含む基を有する。フッ素を含む基としては、例えば、一つ以上のフルオロ基を有するフルオロアルキル基、フルオロアシル基(例えば、トリフルオロアセチル基)が挙げられる。具体例としては、化学修飾部は、無水トリフルオロ酢酸により化学修飾されている。偏光子のフッ素含有量は、好ましくは20μg/g以上であり、より好ましくは30μg/g以上であり、さらに好ましくは40μg/g以上である。偏光子のフッ素含有量は、例えば100μg/g以上であってもよく、200μg/g以上であってもよく、300μg/g以上であってもよい。一方、偏光子のフッ素含有量は、例えば800μg/g以下である。また、偏光子のフッ素含有量は、好ましくは0.01μg/cm以上であり、より好ましくは0.02μg/cm以上であり、さらに好ましくは0.03μg/cm以上である。偏光子のフッ素含有量は、例えば0.1μg/cm以上であってもよく、0.2μg/cm以上であってもよく、0.3μg/cm以上であってもよい。一方、偏光子のフッ素含有量は、例えば0.5μg/cm以下である。なお、フッ素含有量は、イオンクロマトグラフィー(IC)により求めることができる。
化学修飾部(化学修飾部を有する主面)は、ATR測定によるFT-IRスペクトルにおいて、2940cm-1における吸光度に対する1787cm-1における吸光度の比が0.2を超えることが好ましく、より好ましくは0.25以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。一方、2940cm-1における吸光度に対する1787cm-1における吸光度の比は、例えば1未満である。なお、FT-IRスペクトルにおいて、2940cm-1付近の吸収ピークは樹脂フィルムのC-H伸縮振動に由来し、1787cm-1付近の吸収ピークはトリフルオロアセチル基のC=O伸縮振動に由来する。
化学修飾部(化学修飾部を有する主面)の接触角は、好ましくは90°以上であり、より好ましくは92°以上であり、さらに好ましくは94°以上である。一方、化学修飾部の接触角は、例えば115°以下であり、110°以下であってもよい。上記化学修飾されていない他の部位の接触角は、例えば86°以下である。
B.製造方法
上記偏光子は、ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムの少なくとも一方の主面(第一主面)を化学修飾することにより得ることができる。1つの実施形態においては、樹脂フィルムの第二主面に保護材が配置された状態で、樹脂フィルムの第一主面を化学修飾する。具体的には、樹脂フィルムと保護材との積層物を準備し、この積層物の樹脂フィルムの第一主面を化学修飾する。
B-1.積層物
図2は、本発明の1つの実施形態における偏光子の製造に用いられる積層物の概略の構成を示す模式的な断面図である。積層物100は、樹脂フィルム10と保護材1を有する。樹脂フィルム10は互いに対向する第一主面10aおよび第二主面10bを有し、樹脂フィルム10の第二主面10bに保護材1が配置される。
上記積層物に含まれる樹脂フィルムは、任意の適切な方法で作製され得る。1つの実施形態においては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理と延伸処理とを施すことを含む方法により作製される。当該方法は、不溶化処理、膨潤処理、架橋処理等をさらに含んでいてもよい。このような作製方法は、当業界で周知慣用であるので、詳細な説明は省略する。
別の実施形態においては、上記積層物に含まれる樹脂フィルムは、樹脂基材と樹脂層(代表的には、PVA系樹脂層)との積層体を用いて作製される。例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色すること;により作製され得る。本実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とPVA系樹脂とを含むPVA系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂基材上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成し得る。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成し得る。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、PVA分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得、高い光学特性を達成し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、高い光学特性を達成し得る。樹脂基材は、得られる偏光子の保護層としてそのまま用いてもよく、樹脂基材/PVA系樹脂層の積層体から剥離されてもよい。このような樹脂フィルム(偏光子)の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
樹脂フィルム10の第二主面10bに配置される保護材1としては、任意の適切な部材(例えば、フィルム、層)が用いられる。例えば、保護材として、上記樹脂基材を用いることができる。また、保護材として、後述の偏光子の保護層または位相差層の少なくとも一つを用いてもよい。この場合、保護材は、接着剤または粘着剤を介して樹脂フィルムに積層され得る。
B-2.化学修飾
上記化学修飾は、例えば、用いる修飾化剤の性質に応じて、任意の適切な方法により行うことができる。例えば、気相反応により行うことができる。具体的には、気化した修飾化剤を含む雰囲気下に上記樹脂フィルム(積層物)を置くことにより行うことができる。気相反応を採用する場合、反応時間は、例えば、30秒~60分である。別の例としては、液相反応により行うことができる。具体的には、上記樹脂フィルムの主面(第一主面10a)に修飾化剤を含む反応液を塗工してもよいし、修飾化剤を含む反応液に上記樹脂フィルム(積層物)を浸漬してもよい。浸漬による液相反応を採用する場合、浸漬時間は、例えば、10秒~5分である。
例えば、化学修飾により処理面(第一主面)の接触角を5°以上上昇させることが好ましく、より好ましくは7°以上であり、さらに好ましくは10°以上である。このような処理を施すことにより、得られる偏光子内への水分の侵入を効果的に抑制して、偏光性能の低下が抑制された偏光子(偏光板)を得ることができる。
C.偏光板
本発明の実施形態による偏光板は、上記偏光子を有する。代表的には、上記偏光子と、保護層または位相差層の少なくとも一つとを有する。本発明の実施形態による偏光板は、代表的には、画像表示パネルに用いられる。具体的には、画像表示パネル本体の視認側に配置される。
図3は、本発明の1つの実施形態による偏光板の模式的な断面図である。偏光板200は、偏光子10と、偏光子10の第一主面10a側(視認側)に配置された第一保護層21と、偏光子10の第二主面10b側に配置された粘着剤層40および剥離フィルム50を有する。偏光子10の少なくとも第一主面10aには、上記化学修飾部が形成されている。画像表示パネルにおいて、化学修飾部を有する第一主面10aが視認側に配置されることにより、外部環境からの影響による偏光性能の低下を効果的に抑制することができる。なお、図示例とは異なり、化学修飾部を有する第一主面10a側に粘着剤層40および剥離フィルム50が配置され、第二主面10b側(視認側)に第一保護層21が配置されていてもよい。
剥離フィルム50は、粘着剤層40に対して剥離可能に貼り合わせられており、粘着剤層40を保護し得る。剥離フィルム50を用いることにより、例えば、積層物100のロール形成が可能となる。実用的には、偏光板200は、粘着剤層40により、画像表示パネル本体に貼り付け可能とされる。剥離フィルム50は、偏光板200が使用に供されるまで仮着されるセパレーターとして機能し得る。
図示しないが、偏光子10と粘着剤層40との間には、第二保護層が配置されていてもよい。また、偏光板は、位相差層を有していてもよい。具体的には、位相差層付偏光板であってもよい。位相差層は、例えば、偏光子10と粘着剤層40との間に配置される。
偏光板を構成する各部材は、任意の適切な接着層(一部は図示せず)を介して積層され得る。接着層の具体例としては、接着剤層、粘着剤層が挙げられる。偏光板は、長尺状であってもよいし、枚葉状であってもよい。ここで、「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状をいい、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状をいう。長尺状の位相差層偏光板は、ロール状に巻回可能である。
C-1.保護層
上記保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成され得る。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂が挙げられる。
上記偏光板は、代表的には、画像表示装置の視認側に配置され、第一保護層21は視認側に配置される。したがって、第一保護層21には、必要に応じて、ハードコート(HC)処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。
保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μm、より好ましくは10μm~40μm、さらに好ましくは15μm~35μmである。なお、上記表面処理が施されている場合、第一保護層21の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
上記第二保護層は、1つの実施形態においては、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。第二保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μmであり、より好ましくは10μm~40μmであり、さらに好ましくは10μm~30μmである。
C-2.粘着剤層
粘着剤層40の厚みは、好ましくは10μm~20μmである。粘着剤層40を構成する粘着剤としては、任意の適切な構成が採用され得る。具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、およびポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製することができる。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ベース樹脂は、好ましくはアクリル樹脂である(具体的には、粘着剤層は、好ましくはアクリル系粘着剤で構成される)。
C-3.剥離フィルム
上記剥離フィルムは、任意の適切なプラスチックフィルムで構成され得る。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが挙げられる。剥離フィルムは、セパレーターとして機能し得る。具体的には、剥離フィルムとして、表面が剥離剤でコートされたプラスチックフィルムが好ましく用いられる。剥離剤の具体例としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤が挙げられる。
剥離フィルムの厚みは、好ましくは20μm~80μmであり、より好ましくは35μm~55μmである。
C-4.位相差層
上記位相差層は、二層以上の積層構造を有していてもよいし、単一層とされていてもよい。位相差層の厚みは、その構成(単一層であるか積層構造を有するか)にもよるが、例えば1μm以上50μm以下である。1つの実施形態においては、位相差層の厚みは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは8μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下である。なお、位相差層が積層構造である場合、「位相差層の厚み」は、各位相差層の厚みの合計を意味する。具体的には、「位相差層の厚み」には接着層の厚みは含まれない。
上記位相差層としては、好ましくは、液晶化合物の配向固化層(液晶配向固化層)が用いられる。液晶化合物を用いることにより、例えば、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。したがって、位相差層付偏光板の顕著な薄型化を実現することができる。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。位相差層においては、代表的には、棒状の液晶化合物が位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。
上記液晶配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
位相差層が単一層である場合の1つの実施形態においては、位相差層は、λ/4板として機能し得る。具体的には、位相差層のRe(550)は、好ましくは100nm~180nmであり、より好ましくは110nm~170nmであり、さらに好ましくは110nm~160nmである。位相差層の厚みは、λ/4板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得る。位相差層が上述の液晶配向固化層である場合、その厚みは、例えば1.0μm~2.5μmである。本実施形態においては、位相差層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは40°~50°であり、より好ましくは42°~48°であり、さらに好ましくは44°~46°である。また、位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示すことが好ましい。
位相差層が単一層である場合の別の実施形態においては、位相差層は、λ/2板として機能し得る。具体的には、位相差層のRe(550)は、好ましくは200nm~300nmであり、より好ましくは230nm~290nmであり、さらに好ましくは230nm~280nmである。位相差層の厚みは、λ/2板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得る。位相差層が上述の液晶配向固化層である場合、その厚みは、例えば2.0μm~4.0μmである。本実施形態においては、位相差層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは10°~20°であり、より好ましくは12°~18°であり、さらに好ましくは12°~16°である。
位相差層が積層構造を有する場合の1つの実施形態においては、位相差層は、偏光子側から順に第一位相差層(H層)と第二位相差層(Q層)とが配置された、二層の積層構造を有する。H層は、代表的にはλ/2板として機能し得、Q層は、代表的にはλ/4板として機能し得る。具体的には、H層のRe(550)は好ましくは200nm~300nmであり、より好ましくは220nm~290nmであり、さらに好ましくは230nm~280nmであり;Q層のRe(550)は、好ましくは100nm~180nmであり、より好ましくは110nm~170nmであり、さらに好ましくは110nm~150nmである。H層の厚みは、λ/2板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得る。H層が上述の液晶配向固化層である場合、その厚みは、例えば2.0μm~4.0μmである。Q層の厚みは、λ/4板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得る。Q層が上述の液晶配向固化層である場合、その厚みは、例えば1.0μm~2.5μmである。本実施形態においては、H層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは10°~20°であり、より好ましくは12°~18°であり、さらに好ましくは12°~16°であり;Q層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは70°~80°であり、より好ましくは72°~78°であり、さらに好ましくは72°~76°である。なお、H層およびQ層の配置順序は逆であってもよく、H層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度およびQ層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は逆であってもよい。また、それぞれの層(例えば、H層およびQ層)は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。
位相差層(積層構造を有する場合には少なくとも一つの層)は、代表的には、屈折率特性がnx>ny=nzの関係を示す。なお、「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny>nzまたはny<nzとなる場合があり得る。位相差層のNz係数は、好ましくは0.9~1.5であり、より好ましくは0.9~1.3である。
上述のとおり、位相差層は、好ましくは液晶配向固化層である。上記液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋(すなわち、硬化)させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた位相差層となる。
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃~120℃であり、さらに好ましくは50℃~100℃であり、最も好ましくは60℃~90℃である。
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、ネマチック性液晶モノマーが好ましい。
別の実施形態においては、位相差層は、偏光子側から、λ/4板として機能し得る第一位相差層と、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す第二位相差層(いわゆるポジティブCプレート)との積層構造を有する。λ/4板の詳細については上述のとおりである。本実施形態においては、第一位相差層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは40°~50°であり、より好ましくは42°~48°であり、さらに好ましくは44°~46°である。また、第一位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示すことが好ましい。
上記ポジティブCプレートの厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは-50nm~-300nmであり、より好ましくは-70nm~-250nmであり、さらに好ましくは-90nm~-200nmであり、特に好ましくは-100nm~-180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。ポジティブCプレートの面内位相差Re(550)は、例えば10nm未満である。
nz>nx=nyの屈折率特性を有する第二位相差層は、任意の適切な材料で形成され得るが、好ましくは、ホメオトロピック配向に固定された液晶材料を含むフィルムからなる。ホメオトロピック配向させることができる液晶材料(液晶化合物)は、液晶モノマーであってもよいし、液晶ポリマーであってもよい。当該液晶化合物および当該位相差層の形成方法の具体例としては、特開2002-333642号公報の[0020]~[0028]に記載の液晶化合物および当該位相差層の形成方法が挙げられる。この場合、第二位相差層の厚みは、好ましくは0.5μm~5μmである。
C-5.偏光板の作製
本発明の実施形態による偏光板は、上記偏光子に各層を積層することにより得ることができる。各層の積層は、例えば、ロール搬送しながら(いわゆるロールトゥロールにより)行われる。上記保護層の積層は、例えば、接着剤を用いて行われる。上記位相差層の積層は、代表的には、基材に形成された液晶配向固化層を転写することにより行われる。位相差層が積層構造を有する場合には、それぞれの位相差層を樹脂フィルムに順次積層(転写)してもよく、位相差層の積層物を樹脂フィルムに積層(転写)してもよい。転写は、例えば、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて行われる。活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化後の厚み(接着剤層の厚み)は、好ましくは0.4μm以上であり、より好ましくは0.4μm~3.0μmであり、さらに好ましくは0.6μm~1.5μmである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、厚みは下記の測定方法により測定した値である。また、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
<厚み>
10μm以下の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、製品名「JSM-7100F」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
[実施例1]
(積層物の作製)
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、この樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの樹脂フィルムを形成し、樹脂基材/樹脂フィルムの構成を有する積層物を得た。
(化学修飾1)
室温下で、得られた積層物の樹脂フィルムの露出面に、無水トリフルオロ酢酸(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度98.0%以上)を塗工した。
(偏光板Aの作製)
上記樹脂フィルム(偏光子)の化学修飾を施した面に、紫外線硬化型接着剤を介して、HC-TACフィルム(厚み32μm)を第一保護層として貼り合わせた。HC-TACフィルムは、TACフィルム(厚み25μm)にハードコート(HC)層(厚み7μm)が形成されたフィルムであり、TACフィルムが樹脂フィルム側となるようにして貼り合わせた。次いで、樹脂フィルムから樹脂基材を剥がし、この剥離面に、厚み20μmの粘着剤層(HC-TACフィルムよりも透湿度が高い)を形成し、セパレーター(PET系フィルム、厚み38μm)を貼り合わせた。こうして、偏光板を得た。
(偏光板Bの作製)
上記樹脂フィルム(偏光子)の化学修飾を施した面に、厚み23μmの粘着剤層を形成し、セパレーター(PET系フィルム、厚み38μm)を貼り合わせた。次いで、樹脂フィルムから樹脂基材を剥がし、この剥離面に、紫外線硬化型接着剤を介して、HC-TACフィルム(厚み32μm)を第一保護層として貼り合わせた。HC-TACフィルムは、TACフィルム(厚み25μm)にハードコート(HC)層(厚み7μm)が形成されたフィルムであり、TACフィルムが樹脂フィルム側となるようにして貼り合わせた。こうして、偏光板を得た。
[実施例2]
化学修飾に際し、上記積層物に対する処理を下記の手順で行ったこと以外は実施例1と同様にして、偏光板Aおよび偏光板Bを得た。
(化学修飾2)
長尺状の積層物を長手方向および幅方向に沿って切断して得られた200mm×150mmの枚葉状の積層物および4mlの無水トリフルオロ酢酸を入れた容器(カップ)を、内部を窒素で満たしたポリエチレン製の袋(旭化成ホームプロダクツ株式会社製、ジップロック(登録商標)フリーザーバッグ、268mm×273mm)に入れて密封し、室温下に5分間静置した。
[実施例3]
化学修飾に際し、上記静置時間を30分としたこと以外は実施例2と同様にして、偏光板Aおよび偏光板Bを得た。
[比較例1]
得られた積層物に対し化学修飾を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
<評価>
各実施例および比較例について、下記の評価を行った。評価結果を表1にまとめる。
1.接触角
各実施例および比較例において、化学修飾後の樹脂フィルム(偏光子)の化学修飾面の水接触角を測定した。具体的には、23℃、50%RHの環境下において、接触角計(協和界面科学社製、商品名「DMo-501型」、コントロールボックス「DMC-2」、制御・解析ソフト「FAMAS(バージョン5.0.30)」)を用いて液滴法により測定した。蒸留水の滴下量は2μLとし、滴下5秒後の画像からθ/2法により接触角を算出した。
なお、表1に記載の値は、測定3回の平均値である。
2.フッ素含有量
各実施例および比較例において、化学修飾後の樹脂フィルム(偏光子)から2cm×4cm(8cm)の試験片を切り出し、これをセラミックボードに入れて秤量後、助燃剤を添加した。次に、自動試料燃焼装置を用いて燃焼させ、発生したガスを吸収液10mLに捕集した。捕集後の吸収液を超純水で15mLとし、イオンクロマトグラフィーによる分析を行うことによりフッ素含有量を求めた。
なお、分析装置・測定条件は以下のとおりである。
〇分析装置
(1)自動試料燃焼装置:日東精工アナリテック社製、「AQF-2100H」
(2)イオンクロマトグラフィー装置:Thermo Fisher Scientific社製、「ICS-3000」
〇測定条件
(1)自動試料燃焼装置
Inlet温度:1000℃
Outlet温度:1100℃
ガス流量O:400mL/min
ガス流量Ar:200mL/min
Ar送液ユニット:100mL/min
(2)イオンクロマトグラフィー装置
分離カラム:Dionex IonPac AS18-fast(4mm×150mm)
ガードカラム:Dionex IonPac AS18-fast(4mm×30mm)
除去システム:Dionex ADRS-600(エクスターナルモード)
検出器:電気伝導度検出器
溶離液:KOH水溶液(溶離液ジェネレーターEGCIIIを使用)
溶離液流量:1.2mL/min
試料注入量:250μL
なお、表1に記載の値は、測定2回(実施例1のみ3回)の平均値である。
3.耐久性
実施例および比較例で得られた偏光板からセパレーターを剥がし、無アルカリガラス板に貼り合わせた。この状態で85℃、85%RHのオーブン内に24時間静置した後、湿熱試験前後の偏光板の単体透過率を測定し、湿熱試験による単体透過率の変化を算出した。単体透過率Tsは、紫外可視分光光度計(日本分光社製、V-7100)を用いて測定した。なお、Tsは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。
なお、表1に記載の値は、湿熱試験前の単体透過率から湿熱試験後の単体透過率を引いた値を示している。
Figure 2022155952000002
表1より、化学修飾により偏光性能の低下が抑制されていることがわかる。
本発明の実施形態による偏光子は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の画像表示装置に用いられる。
1 保護材
10 偏光子(樹脂フィルム)
21 第一保護層
40 粘着剤層
50 剥離フィルム
100 積層物
200 偏光板

Claims (10)

  1. ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムから構成され、
    少なくとも前記第一主面に前記樹脂フィルムが化学修飾された化学修飾部を有し、
    前記化学修飾部は、化学修飾されていない他の部位よりも疎水性が高い、
    偏光子。
  2. 前記化学修飾部はフッ素を含む基を含む、請求項1に記載の偏光子。
  3. 前記フッ素を含む基はトリフルオロアセチル基を含む、請求項2に記載の偏光子。
  4. 前記化学修飾部は無水トリフルオロ酢酸により化学修飾されている、請求項1から3のいずれかに記載の偏光子。
  5. フッ素含有量が20μg/g以上である、請求項1から4のいずれかに記載の偏光子。
  6. 前記化学修飾部の接触角が90°以上である、請求項1から5のいずれかに記載の偏光子。
  7. 厚みが8μm以下である、請求項1から6のいずれかに記載の偏光子。
  8. ヨウ素を含み、互いに対向する第一主面および第二主面を有する樹脂フィルムの少なくとも前記第一主面を化学修飾することを含む、
    請求項1から7のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  9. 前記化学修飾により前記第一主面の接触角を5°以上上昇させる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載の偏光子と、
    保護層または位相差層の少なくとも一つと、
    を有する、偏光板。
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