JP2022155172A - インク組成物用着色剤水溶液、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物用着色剤水溶液、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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英太郎 戸谷
Eitaro Toya
桂一 立石
Keiichi Tateishi
貴志 齊藤
Takashi Saito
勇太 ▲高▼▲崎▼
Yuta Takasaki
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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れるインク組成物用着色剤水溶液及びインク組成物、上記インク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物、並びに上記インクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO2-Z1及び-SO2-Z2)が置換したフタロシアニン染料の着色剤と、ベンゼン環又はナフタレン環に、NH基を介してトリアジン環が結合した第一の添加剤と、上記着色剤の原料又は中間体となる特定のフタロニトリル誘導体である第二の添加剤及び水を含有するインク組成物用着色剤水溶液、インク組成物、上記インク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物、及び上記インクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法。【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物用着色剤水溶液、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法に用いられるインク組成物としては、種々の着色剤(色素)を含む組成物が提案されている。また、様々な性能を向上させるべく、インク組成物に添加する化合物(添加剤)についても検討がされている。例えば、特許文献1~2には、シアン染料を含むインク組成物に用いることができる添加剤として平面性の高い化合物が記載されている。
特許第4686151号公報 国際公開第2021/039651号
近年、50mL以上の容量を有する大容量インクタンクを搭載したインクジェットプリンターが開発されており、大容量インクタンクを搭載したインクジェットプリンターは、インクカートリッジの交換頻度を減らすことができるため印刷コストなどの観点で優れていると言われている。
しかしながら、大容量インクタンクでは、インクタンク内に長期間インク組成物が留まることになるため、インク組成物には従来にないレベルの貯蔵安定性が要求される。
また、インク組成物を調製するために用いられる着色剤水溶液についても貯蔵安定性が求められている。
特許文献1では上記観点での検討がなされていない。
特許文献2では、インク組成物の貯蔵安定性について検討されているが、更なる改良の余地がある。
特に、インク組成物の調製に用いられる着色剤水溶液のpH値が高くなる(例えば、pH値が9.0より大きくなる)と、インクジェット記録用インク組成物のpH値(例えば、pH値=8.5)が実質的に調整困難となる場合がある。更に、着色剤水溶液、及びインク組成物のpH値が高くなると、着色剤及び添加剤の分解を生じる場合もある。
着色剤水溶液のpH値が低くなる(例えば、pH値が6.0より小さくなる)と着色剤(例えば、酸性染料)や添加剤の析出発生のリスクが高くなる。
インク組成物のpH値が低くなる(例えば、pH値が6.0より小さくなる)とインクジェットプリンターのインクヘッドの腐食のリスクが高まる。また、着色剤水溶液と同様に着色剤(例えば、酸性染料)や添加剤の析出発生のリスクが高くなる。
したがって、pH値の変動は、最適化された液物性(溶解性安定性、吸光度、粘度、表面張力等)のブレも連動し、繊細なインクヘッドの特性への影響が懸念される。例えば、インク組成物の吐出安定性(詰まり)及び連続吐出安定性(信頼性)を低下させるおそれがある。
本発明の課題は、貯蔵安定性に優れる(防腐性に優れ、長期間保存した場合に、不溶物の析出が少なく、吸光度、粘度、及び表面張力の変化が少なく、かつpH値の変化も少ない)、インク組成物用着色剤水溶液及びインク組成物、上記インク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物、並びに上記インクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
<1>
水と、
着色剤として、下記一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
第一の添加剤として、下記一般式(II)で表される化合物と、
第二の添加剤として、下記一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
を含む、インク組成物用着色剤水溶液。
Figure 2022155172000001
Figure 2022155172000002
Figure 2022155172000003
Figure 2022155172000004
Figure 2022155172000005
一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
Figure 2022155172000006
一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
Figure 2022155172000007
Figure 2022155172000008
Figure 2022155172000009
Figure 2022155172000010
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
<2>
上記着色剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、5.0~20.0質量%である、<1>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<3>
上記第一の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.10~5.00質量%である、<1>又は<2>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<4>
上記第二の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.01~1.0質量%である、<1>~<3>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<5>
さらに、キレート剤を含有する、<1>~<4>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<6>
上記キレート剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、<5>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<7>
さらに、防腐剤を含有する、<1>~<6>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<8>
上記防腐剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、<7>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<9>
さらに、緩衝剤を含有する、<1>~<8>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<10>
25℃でのpH値が6.5~9.0である、<1>~<9>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<11>
さらに、第三の添加剤として、下記一般式(S)で表される化合物を含有する、<1>~<10>のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
Figure 2022155172000011
一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。*はトリアジン環への結合部位を表し、nは1~5の整数を表し、RtはCOOM、SOM、又はPO(OM)を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。nが複数存在する場合、複数のnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Mが複数存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<12>
上記一般式(S)で表される化合物が、下記化合物群(s)から選ばれる少なくとも1種の化合物である、<11>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
Figure 2022155172000012
上記化合物群(s)の化合物中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表す。化合物中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<13>
上記第三の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~0.05質量%である、<11>又は<12>に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
<14>
水と、
着色剤として、下記一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
第一の添加剤として、下記一般式(II)で表される化合物と、
第二の添加剤として、下記一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
を含む、インク組成物。
Figure 2022155172000013
Figure 2022155172000014
Figure 2022155172000015
Figure 2022155172000016
Figure 2022155172000017
一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
Figure 2022155172000018
一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
Figure 2022155172000019
Figure 2022155172000020
Figure 2022155172000021
Figure 2022155172000022
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
<15>
さらに、第三の添加剤として、下記一般式(S)で表される化合物を含有する、<14>に記載のインク組成物。
Figure 2022155172000023
一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。*はトリアジン環への結合部位を表し、nは1~5の整数を表し、RtはCOOM、SOM、又はPO(OM)を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。nが複数存在する場合、複数のnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Mが複数存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<16>
上記一般式(S)で表される化合物が、下記化合物群(s)から選ばれる少なくとも1種の化合物である、<15>に記載のインク組成物。
Figure 2022155172000024
上記化合物群(s)の化合物中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表す。化合物中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<17>
上記着色剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.1~10.0質量%である、<14>~<16>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<18>
さらに、キレート剤を含有する、<14>~<17>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<19>
上記キレート剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、<18>に記載のインク組成物。
<20>
さらに、防腐剤を含有する、<14>~<19>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<21>
上記防腐剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、<20>に記載のインク組成物。
<22>
さらに、緩衝剤を含有する、<14>~<21>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<23>
25℃でのpH値が6.5~9.0である、<14>~<22>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<24>
<14>~<23>のいずれか1項に記載のインク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物。
<25>
インクジェット方式の記録ヘッドを用いて<24>に記載のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程を有するインクジェット記録方法。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れる(防腐性に優れ、長期間保存した場合に、不溶物の析出が少なく、吸光度、粘度、及び表面張力の変化が少なく、かつpH値の変化も少ない)インク組成物用着色剤水溶液及びインク組成物、上記インク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物、並びに上記インクジェット記録用インク組成物を用いるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
<インク組成物用着色剤水溶液>
本発明のインク組成物用着色剤水溶液(単に「着色剤水溶液」とも呼ぶ。)は、
水と、
着色剤として、下記一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
第一の添加剤として、下記一般式(II)で表される化合物と、
第二の添加剤として、下記一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
を含む。
Figure 2022155172000025
Figure 2022155172000026
Figure 2022155172000027
Figure 2022155172000028
Figure 2022155172000029
一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
Figure 2022155172000030
一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
Figure 2022155172000031
Figure 2022155172000032
Figure 2022155172000033
Figure 2022155172000034
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水溶性中では塩はイオンに全解離状態で溶解し存在する。酸解離定数(pKa)が高いイオン性親水性基を有する場合は、大半が解離して一部塩(非解離)の状態で水に溶解して存在している場合もある。
〔着色剤〕
本発明の着色剤水溶液は、着色剤として、化合物A~化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
(化合物A)
本発明における化合物Aについて説明する。
化合物Aは下記一般式(I-1)で表される化合物である。
Figure 2022155172000035
一般式(I-1)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。複数のZは同じでも異なってもよい。
化合物Aは、フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO-Z)が置換したフタロシアニン染料である。すなわち、一般式(I-1)中、-SO-Zは、フタロシアニン骨格のβ位の水素原子と置換するものであり、フタロシアニン骨格のα位の水素原子には置換しない。一般式(I-1)中の4つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。
なお、フタロシアニン骨格のα位及びβ位は下記式(a)に示したとおりである。
Figure 2022155172000036
一般式(I-1)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
「少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基」は、「少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基」であってもよいし、「イオン性親水性基以外の基に少なくとも1つのイオン性親水性基が置換してなる基を置換基として有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基」であってもよい。
は、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基又はアリール基を表すことが好ましく、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有するアルキル基を表すことがより好ましい。
が、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有するアルキル基を表す場合、上記アルキル基としては特に限定されないが、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3~5のアルキル基であることが染料の水溶性と置換基の安定性の点から更に好ましい。上記アルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよいが、炭素数3~5の直鎖状であることが、原料の入手性と染料の水溶性の観点から好ましい。上記アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、「アルキル基」は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。すなわち「アルキル基」には、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基なども包含される。他の置換基の中のアルキル基(例えば、アルキルオキシ基やアルキルチオ基の中のアルキル基)も同様である。「アルケニル基」及び「アルキニル基」も同様である。
が、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有するアリール基を表す場合、上記アリール基としては特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基であることが好ましく、炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~10のアリール基であることが原料の入手性と染料の水溶性の観点から特に好ましい。上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
が、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有するヘテロ環基を表す場合、上記ヘテロ環基としては特に限定されないが、炭素数2~12のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数2~8のヘテロ環基であることがより好ましく、炭素数2~6のヘテロ環基であることが原料の入手性と染料の水溶性及び置換基の安定性の観点から特に好ましい。上記ヘテロ環基に含まれるヘテロ原子としては特に限定されないが、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。
上記イオン性親水性基は、スルホ基(-SOM)、カルボキシ基(-COM)、チオカルボキシ基、スルフィノ基(-SOM)、ホスホノ基(-PO(OT)(OM)、ジヒドロキシホスフィノ基、リン酸基(-PO(OM))、4級アンモニウム基、アシルスルファモイル基(-SOCOT)、スルホニルカルバモイル基(-CONSO-T)、及びスルホニルアミノスルホニル基(-SOSO-T)から選択される基である。上記Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。上記Tは一価の置換基(例えば、アルキル基又はアリール基)である。
が含むイオン性親水性基は、染料に水溶性を付与し、染料インク組成物の貯蔵安定性を高めるという観点から、酸性基であることが好ましく、スルホ基(-SOM)、カルボキシ基(-COM)、及びリン酸基(-PO(OM))の少なくとも1種であることがより好ましく、スルホ基(-SOM)又はカルボキシ基(-COM)であることが更に好ましく、スルホ基(-SOM)であることが最も好ましい。
上記Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
Mがカウンターカチオンを表す場合、例えば、アンモニウムイオン(NH )、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、有機カチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)等が挙げられる。
Mは水素原子、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであることが好ましく、アルカリ金属イオン、又はアルカリ金属イオンとアンモニウムイオンの混合イオンであることがより好ましい。
-SOMのMは、染料の水溶性付与の観点からリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はこれらの2~3種混合イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はナトリウムイオンとアンモニウムイオンの混合イオンであることが更に好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることが特に好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
-COMのMは、染料の水溶性付与の観点からリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はこれらの2~3種混合イオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はナトリウムイオンとアンモニウムイオンの混合イオンであることが更に好ましく、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが特に好ましく、カリウムイオンであることが最も好ましい。
なお、Mは2価のカウンターカチオンであってもよい。Mが2価のカウンターカチオンである場合は、例えば、2つの-SO のカウンターカチオンを1つのMが兼ねる形態などをとり得る。水溶性の観点から、Mは1価のカウンターカチオンであることが好ましい。
はイオン性親水性基を1つのみ有していても良いし、2つ以上有していても良い。Zが2つ以上のイオン性親水性基を有する場合、同種のイオン性親水性基であっても良いし、互いに異なるイオン性親水性基であっても良い。
Mが特定のカチオン(例えば、リチウムイオン)を表す場合は、すべてのMがリチウムイオンでなくてもよい(例えば、2~3種の混合塩であってもよい)が、実質的には最も存在比率が高いカウンターカチオンがリチウムイオンであることが好ましい。このような存在比率の条件下において、Mとして水素原子、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン:NHイオン)、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを含むことができる。リチウムイオンの量は、M全体の個数に対して、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上であり、100%が最も好ましい。
特定のカチオンが、リチウムイオン以外(例えば、ナトリウムイオン)を表す場合もリチウムイオンの場合と同様である。
が、イオン性親水性基以外の基に少なくとも1つのイオン性親水性基が置換してなる基を置換基として有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基である場合、上記イオン性親水性基以外の基としては、例えば、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基等が挙げられる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記イオン性親水性基以外の基の例に含まれる。上記イオン性親水性基以外の基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることが染料の溶解安定性の観点からより好ましい。
は、イオン性親水性基を含む置換基に加えて、イオン性親水性基を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。上記イオン性親水性基を含む置換基以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基等が挙げられる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記イオン性親水性基を含む置換基以外の置換基の例に含まれる。上記イオン性親水性基を含む置換基以外の置換基が有機基(炭素原子を少なくとも1個含む基)である場合は、炭素数1~10の有機基であることが好ましく、炭素数1~6の有機基であることが染料の溶解安定性の観点からより好ましい。
の好ましい例としては、例えば、-(CH-SOM、-(CH-SOM、-(CHCH(CH)-SOM、-(CH-SOM、-(CH-COM、-(CH-COM、-(CH-COM、-COCSOM、-COCOCSOM、-CHCH(OH)CHSOM、-CHCH(OH)CHCOM、-(CH-SONHCHCH(OH)CHSOM、-(CH-SONHCHCH(OH)CHCOM、-(CH-CONHCSOM、-(CH-CONHCHCH(OH)CHCHSOM、-(CH-CONHCHCH(OH)CHCOM、-(CH-SONHCHCHN{CHCHSOM}、-(CH-SONHCHCHN{CHCHCOM}
Figure 2022155172000037
が挙げられる。上記構造式中、*はスルホニル基との結合位置を示す。
上記化学式及び構造式中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表し、具体例及び好ましい例は前述したものと同様である。
一般式(I-1)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
本発明の着色剤水溶液が化合物Aを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物Aは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
本発明の着色剤水溶液は化合物Aを含むことが好ましい。
(化合物B)
本発明における化合物Bについて説明する。
化合物Bは下記一般式(I-2)で表される化合物である。
Figure 2022155172000038
一般式(I-2)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。複数のZは同じでも異なってもよい。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。
化合物Bは、フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO-Z及び-SO-Z)が置換したフタロシアニン染料である。すなわち、一般式(I-2)中、-SO-Z及び-SO-Zは、フタロシアニン骨格のβ位の水素原子と置換するものであり、フタロシアニン骨格のα位の水素原子には置換しない。一般式(I-2)中の3つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。
一般式(I-2)中のZについては、先に記載した一般式(I-1)中のZと同様である。
一般式(I-2)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
一般式(I-2)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。
は、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表すことが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基を表すことがより好ましい。
が、置換若しくは無置換のアルキル基を表す場合、上記アルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3~5のアルキル基であることが染料の水溶性と置換基の安定性の点から更に好ましい。上記アルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよいが、炭素数3~5の直鎖状であることが、原料の入手性と染料の水溶性の観点から好ましい。上記アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。
が、置換若しくは無置換のアリール基を表す場合、上記アリール基としては特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基であることが好ましく、炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~10のアリール基であることが原料の入手性と染料の水溶性の観点から特に好ましい。上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
が、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す場合、上記ヘテロ環基としては特に限定されないが、炭素数2~12のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数2~8のヘテロ環基であることがより好ましく、炭素数2~6のヘテロ環基であることが原料の入手性と染料の水溶性及び置換基の安定性の観点から特に好ましい。上記ヘテロ環基に含まれるヘテロ原子としては特に限定されないが、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。
が置換アルキル基、置換アリール基又は置換ヘテロ環基を表す場合、上記置換基としては、上記イオン性親水性基以外の基であれば特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基等が挙げられる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記置換基の例に含まれる。上記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換若しくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換若しくは無置換のアリールスルホニル基がより好ましく、置換若しくは無置換のスルファモイル基、又は置換若しくは無置換のカルバモイル基が更に好ましく、置換若しくは無置換のスルファモイル基が特に好ましい。
上記置換基が有機基である場合は、炭素数1~20の有機基であることが好ましく、炭素数1~10の有機基であることが染料の溶解安定性の観点からより好ましい。
強い分子間相互作用を示すという理由から、Zは、ヒドロキシ基及び三級窒素原子の少なくとも1種を有することが好ましく、ヒドロキシ基を有することがより好ましく、アルコール性水酸基(アルキル基に結合したヒドロキシ基)を有することが更に好ましい。
が三級窒素原子を有する場合は、Zは下記一般式(N-1)で表される置換基を有することが好ましい。
Figure 2022155172000039
一般式(N-1)中、R及びRはそれぞれ独立に1価の置換又は無置換の炭化水素基を表し、Lは2価の置換又は無置換の炭化水素基を表す。*はZ残基との結合位置を表す。
及びRが表す1価の炭化水素基としては特に限定されないが、例えばアルキル基が挙げられ、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
とRとがそれぞれ独立にアルキル基を表し、RとRとの総炭素数が6以下であることが染料の水溶性の観点から好ましい。
が表す2価の炭化水素基としては特に限定されないが、例えばアルキレン基が挙げられ、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキレン基であることがより好ましく、染料の水溶性の観点から炭素数3~5のアルキレン基が特に好ましい。
、R及びLは置換基を有していても良く、置換基としては上記イオン性親水性基以外の基であれば特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基等が挙げられる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記置換基の例に含まれる。上記置換基が有機基である場合は、炭素数1~10の有機基であることが好ましく、炭素数1~6の有機基であることがより好ましい。
の好ましい例としては、例えば、-CHCHCHOH、-CHCH(OH)CH、-CHCH(OH)CHOH、-CHCHCHN(CH、-(CH-SONHCHCHCH、-(CH-SONHCHCHOH、-(CH-SON(CHCHOH)、-(CH-SONHCHCHCHOH、-(CH-SONHCHCH(OH)CH、-(CH-SONHCHCH(OH)CHOH、-CHCHCH(CH)SONHCHCH(OH)CHOH、-(CH-CONHCHCH(OH)CH、-(CH-CONHCHCH(OH)CHOH、-(CH-SONHCHCHN(CH、-(CH-SONHCHCHCHN(CH、-(CHCONHCHCHN(CH、-(CHSONHCHCHOCHCHOCH、-(CHCONHCHCH(OH)CHOH、-(CHCONHCHCHOH、-CHCHOCHCHOH、-CHCH(OH)CHSONHCHCHOH、-CHCH(OH)CHSON(CHCHOH)、-CHCHCH(CH)SONHCHCH(OH)CH
Figure 2022155172000040
が挙げられる。上記構造式中、*はスルホニル基との結合位置を示す。
本発明の着色剤水溶液が化合物Bを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物Bは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
本発明の着色剤水溶液は化合物Bを含むことが好ましい。
(化合物C-I及び化合物C-II)
本発明における化合物C-I及び化合物C-IIについて説明する。
化合物C-Iは一般式(I-3-1)で表される化合物であり、化合物C-IIは一般式(I-3-2)で表される化合物である。
Figure 2022155172000041
一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。複数のZは同じでも異なってもよい。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(I-3-1)で表される化合物と、一般式(I-3-2)で表される化合物とは、置換基の導入位置が異なる位置異性体である。
化合物C-I及び化合物C-IIは、フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO-Z及び-SO-Z)が置換したフタロシアニン染料である。すなわち、一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中、-SO-Z及び-SO-Zは、フタロシアニン骨格のβ位の水素原子と置換するものであり、フタロシアニン骨格のα位の水素原子には置換しない。一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中の2つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中の2つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。
一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中のZについては、先に記載した一般式(I-1)中のZと同様である。
一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中のZについては、先に記載した一般式(I-2)中のZと同様である。
一般式(I-3-1)及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
本発明の着色剤水溶液は、化合物C-I及び化合物C-IIの少なくとも1種を含むことが好ましいが、化合物C-Iのみを含んでも良いし、化合物C-IIのみを含んでも良いし、化合物C-I及び化合物C-IIを両方含んでも良い。
本発明の着色剤水溶液が化合物C-Iを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物C-Iは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
本発明の着色剤水溶液が化合物C-IIを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物C-IIは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
(化合物D)
本発明における化合物Dについて説明する。
化合物Dは一般式(I-4)で表される化合物である。
Figure 2022155172000042
一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。複数のZは同じでも異なってもよい。
化合物Dは、フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO-Z及び-SO-Z)が置換したフタロシアニン染料である。すなわち、一般式(I-4)中、-SO-Z及び-SO-Zは、フタロシアニン骨格のβ位の水素原子と置換するものであり、フタロシアニン骨格のα位の水素原子には置換しない。一般式(I-4)中の3つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。
一般式(I-4)中のZについては、先に記載した一般式(I-1)中のZと同様である。
一般式(I-4)中のZについては、先に記載した一般式(I-2)中のZと同様である。
一般式(I-4)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
本発明の着色剤水溶液が化合物Dを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物Dは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
本発明の着色剤水溶液は化合物Dを含むことが好ましい。
(化合物E)
化合物Eについて説明する。
化合物Eは一般式(I-5)で表される化合物である。
Figure 2022155172000043
一般式(I-5)中、Zは上記一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)におけるものと同じ意味を表す。複数のZは同じでも異なってもよい。
化合物Eは、フタロシアニン骨格のβ位に置換スルホニル基(-SO-Z)が置換したフタロシアニン染料である。すなわち、一般式(I-5)中、-SO-Zは、フタロシアニン骨格のβ位の水素原子と置換するものであり、フタロシアニン骨格のα位の水素原子には置換しない。一般式(I-5)中の4つの-SO-Zは全て同じ基であることが好ましい。
一般式(I-5)中のZについては、先に記載した一般式(I-2)中のZと同様である。
一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよいが、全て同じであることが好ましい。
本発明の着色剤水溶液が化合物Eを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる化合物Eは1種でも良いし、2種以上であっても良い。
本発明の着色剤水溶液は化合物Eを含むことが好ましい。
化合物A~化合物DにおけるZは全て同じ基であることが好ましい。
化合物B~化合物EにおけるZは全て同じ基であることが好ましい。
以下に、化合物A~化合物Eの具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。なお、下記具体例は、特定の置換基R(Rは-SO又は-SOを表す。)の位置異性体(下記(2A)~(2D)参照。)を含む混合物であるため置換基の導入位置は特定せず同一のもととして取り扱う。また、下記具体例において、置換スルホニル基(-SO又は-SO)は、β位のいずれかの水素原子と置換するものであり、各構造式中の「H」を記載した部分には置換しないことを表す。
Figure 2022155172000044
化合物A(一般式(I-1)で表される化合物)の具体例を、置換位置を区別することなく挙げる。すなわち、下記具体例は、それぞれ、上記(2A)~(2D)のように置換位置が異なる位置異性体を包含するものである。この場合のRはそれぞれ置換基(-SO)を表す。また、イオン性親水性基(例えば、-SOM、-COM)のカウンターカチオン(M)を塩の形で記載するが、単独塩に限定されるものではなく、一部遊離酸(例えば、M=Liイオンと水素原子、Naイオンと水素原子)、及び混合塩(例えば、M=LiイオンとNaイオンの塩、NaイオンとNHイオンの塩)の形態であっても良い。
Figure 2022155172000045
Figure 2022155172000046
Figure 2022155172000047
Figure 2022155172000048
Figure 2022155172000049
Figure 2022155172000050
化合物B(一般式(I-2)で表される化合物)の具体例を、置換位置を区別することなく挙げる。すなわち、下記具体例は、それぞれ、上記(2A)~(2D)のように置換位置が異なる位置異性体を包含するものである。この場合のRはそれぞれ独立に置換基(-SO又は-SO)を表す。また、イオン性親水性基(例えば、-SOM、-COM)のカウンターカチオン(M)を塩の形で記載するが、単独塩に限定されるものではなく、一部遊離酸(例えば、M=Liイオンと水素原子、Naイオンと水素原子)、及び混合塩(例えば、M=LiイオンとNaイオンの塩、NaイオンとNHイオンの塩)の形態であっても良い。
Figure 2022155172000051
Figure 2022155172000052
Figure 2022155172000053
Figure 2022155172000054
化合物C-I(一般式(I-3-1)で表される化合物)及び化合物C-II(一般式(I-3-2)で表される化合物)の具体例を、置換位置を区別することなく挙げる。すなわち、下記具体例は、それぞれ、上記(2A)~(2D)のように置換位置が異なる位置異性体を包含するものである。この場合のRはそれぞれ独立に置換基(-SO又は-SO)を表す。また、イオン性親水性基(例えば、-SOM、-COM)のカウンターカチオン(M)を塩の形で記載するが、単独塩に限定されるものではなく、一部遊離酸(例えば、M=Liイオンと水素原子、Naイオンと水素原子)、及び混合塩(例えば、M=LiイオンとNaイオンの塩、NaイオンとNHイオンの塩)の形態であっても良い。
Figure 2022155172000055
Figure 2022155172000056
Figure 2022155172000057
Figure 2022155172000058
Figure 2022155172000059
化合物D(一般式(I-4)で表される化合物)の具体例を、置換位置を区別することなく挙げる。すなわち、下記具体例は、それぞれ、上記(2A)~(2D)のように置換位置が異なる位置異性体を包含するものである。この場合のRはそれぞれ独立に置換基(-SO又は-SO)を表す。また、イオン性親水性基(例えば、-SOM、-COM)のカウンターカチオン(M)を塩の形で記載するが、単独塩に限定されるものではなく、一部遊離酸(例えば、M=Liイオンと水素原子、Naイオンと水素原子)、及び混合塩(例えば、M=LiイオンとNaイオンの塩、NaイオンとNHイオンの塩)の形態であっても良い。
Figure 2022155172000060
Figure 2022155172000061
Figure 2022155172000062
化合物E(一般式(I-5)で表される化合物)の具体例を、置換位置を区別することなく挙げる。すなわち、下記具体例は、それぞれ、上記(2A)~(2D)のように置換位置が異なる位置異性体を包含するものである。この場合のRは置換基(-SO)を表す。
Figure 2022155172000063
Figure 2022155172000064
Figure 2022155172000065
化合物Aは公知の方法(例えば、特許第3949385号公報、特許第4145153号公報、特許第4512543号公報、特許第4625644号公報の実施例に記載の方法等)を単独または複数組み合わせ、必要に応じて更に精製を適用することで合成、単離及び精製することができる。化合物B、化合物C-I、化合物C-II、化合物D及び化合物Eについても化合物Aと同様の方法で得ることができる。
本発明の着色剤水溶液は、着色剤として、化合物A、化合物B、化合物C-I、化合物C-II、化合物D、及び化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
本発明の着色剤水溶液は、例えば、着色剤として、化合物A及び化合物Bを含有してもよいし、化合物A、化合物B、化合物C―I及び化合物C-IIを含有してもよいし、化合物A、化合物B、化合物C-I、化合物C-II及び化合物Dを含有してもよいし、化合物A、化合物B、化合物C-I、化合物C-II、化合物D及び化合物Eを含有してもよい。
本発明の着色剤水溶液は、着色剤として、化合物A、化合物B、化合物C-I、化合物C-II、化合物D及び化合物Eを含有することが、着色剤水溶液及びインク組成物の長期貯蔵安定性、インク吐出安定性(信頼性)、印画物の色相、着色力(印画濃度)及び画像堅牢性の観点から特に好ましい。
本発明の着色剤水溶液が、化合物A~化合物Eを含む場合、本発明の着色剤水溶液に含まれる、化合物Aの質量をW、化合物Bの質量をW、化合物C-Iの質量と化合物C-IIの質量との和をW、化合物Dの質量をW、化合物Eの質量をWとし、WとWとWとWとWの総和をWA2とした場合(すなわち、W+W+W+W+W=WA2とした場合)、
A2に対するWの割合({(W/WA2)×100})が0.4~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合({(W/WA2)×100})が1.0~55.0質量%であり、
A2に対するWの割合({(W/WA2)×100})が10.0~55.0質量%であり、
A2に対するWの割合({(W/WA2)×100})が1.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合({(W/WA2)×100})が0.1~20.0質量%であることが好ましい。
A2に対するWの割合が1.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が15.0~55.0質量%であり、
A2に対するWの割合が10.0~55.0質量%であり、
A2に対するWの割合が1.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が0.1~20.0質量%であることがより好ましい。
A2に対するWの割合が2.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が15.0~50.0質量%であり、
A2に対するWの割合が10.0~50.0質量%であり、
A2に対するWの割合が1.0~40.0質量%であり、
A2に対するWの割合が0.1~15.0質量%であることが更に好ましい。
A2に対するWの割合が3.0~40.0質量%であり、
A2に対するWの割合が20.0~50.0質量%であり、
A2に対するWの割合が12.0~50.0質量%であり、
A2に対するWの割合が1.0~35.0質量%であり、
A2に対するWの割合が0.1~12.0質量%であることが一層好ましい。
A2に対するWの割合が5.0~35.0質量%であり、
A2に対するWの割合が20.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が15.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が1.0~30.0質量%であり、
A2に対するWの割合が0.1~10.0質量%であることが、染料混合物の水溶性と溶液物性値の外的要因による変化抑制の観点から特に好ましい。
A2に対するWの割合が5.0~30.0質量%であり、
A2に対するWの割合が20.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が15.0~45.0質量%であり、
A2に対するWの割合が1.0~30.0質量%であり、
A2に対するWの割合が0.5~10.0質量%であることが、染料混合物の水溶性と溶液物性値の外的要因による変化抑制の観点から最も好ましい。
化合物A/化合物B/化合物C-I及び化合物C-II/化合物D/化合物Eの混合比率(質量比率)は、{33.00%/43.00%/22.00%/4.00%/0.00%}~{6.00%/25.05%/37.90%/25.05%/6.00%}が好ましく、{32.5%/42.00%/21.00%/4.50%/0.00%}~{6.05%/25.10%/37.70%/25.10%/6.05%}が更に好ましく、{32.28%/41.78%/20.79%/4.75%/0.40%}~{6.25%/25.00%/37.60%/25.00%/6.25%}が、フタロシアニン染料の溶解性、貯蔵安定性及び普通紙の印画濃度の観点から最も好ましい。
本発明の着色剤水溶液において、化合物A~化合物Eを上記の割合で使用することにより、最も高い水溶性を有する化合物Aと最も強い分子間相互作用を誘導する化合物Eが最適な比率で共存することができ、従来のフタロシアニン染料混合物を用いた着色剤水溶液と比べて、大幅に速く着色剤水溶液の物性を安定化することができ、その結果、着色剤水溶液として、液物性の物理化学的な変化が極めて小さく、高い貯蔵安定性を発揮できると推定される。
着色剤水溶液の貯蔵安定性の観点から、本発明の着色剤水溶液中の着色剤の含有量は、着色剤水溶液中の全質量を基準として、5.0~20.0質量%であることが好ましく、5.0~15.0質量%であることがより好ましく、5.0~12.0質量%であることが更に好ましく、8.0~12.0質量%であることが特に好ましい。
〔第一の添加剤〕
本発明の着色剤水溶液は、第一の添加剤として、一般式(II)で表される化合物を含有する。
(一般式(II)で表される化合物)
一般式(II)で表される化合物(「化合物(II)」とも呼ぶ。)について説明する。
Figure 2022155172000066
一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
一般式(II)で表される化合物は、1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物であることが好ましい。
非局在化したπ電子系を構成するπ電子の数が増え、π電子系が広がると可視域に吸収を持つことが多い。本発明で無色とは、画像に影響を及ぼさない範囲で極わずかに着色している状態も含まれる。また、一般式(II)で表される水溶性化合物は、蛍光性の化合物であっても良いが、蛍光のない化合物が好ましく、さらに好ましくは最も長波側の吸収ピークの波長(λmax)が350nm以下、より好ましくは320nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物である。
一般式(II)で表される化合物の1分子中の非局在化π電子の数の上限に特に制限はないが、80個以下が好ましく、中でも50個以下が好ましく、特に30個以下が好ましい。また、10個を超えるπ電子が1つの大きな非局在系を形成していてもよいが、2つ以上の非局在系を形成していてもよい。
一般式(II)で表される化合物は、水溶性であることが好ましく、20℃において100gの水に対して少なくとも1g以上溶解する化合物であることが好ましい。より好ましくは5g以上溶解する化合物であり、最も好ましくは10g以上溶解する化合物である。
一般式(II)で表される化合物は、1分子中に少なくとも1つの親水性基を有する。一般式(II)で表される化合物は、1分子中に少なくとも2つの親水性基を有することが好ましい。
親水性基としては、スルホ基(-SOM)、カルボキシ基(-COM)、ヒドロキシ基(-OM)、リン酸基(-PO(OM))、カルボンアミド基、スルホンアミド基、4級アンモニウム基などが挙げられるが、これらに限定されない。親水性基としては、イオン性親水性基が好ましく、スルホ基(-SOM)及びカルボキシ基(-COM)がより好ましく、スルホ基(-SOM)が最も好ましい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。カウンターカチオンとしては特に制限はなく、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができる。
Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンであることが好ましく、アルカリ金属イオンであることがより好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが更に好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることが特に好ましい。また、カウンターカチオンは単独塩であっても混合塩であっても良い。
一般式(II)で表される化合物は、1分子中に、親水性基を1~10個有することが好ましく、2~8個有することがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、1分子中に、イオン性親水性基を2~6個有することが好ましく、2~4個有することがより好ましい。
一般式(II)中のR21~R29のいずれか少なくとも1つがイオン性親水性基を有することが好ましく、-SOMを有することがより好ましく、R21~R29の2~6つが-SOMを有することが更に好ましく、R21~R29の2~4つが-SOMを有することが特に好ましい。
一般式(II)中、R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(アニリノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、ハロゲン原子、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルホニル基、スルフェニル基、スルフィニル基、前述の親水性基等を挙げることができる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記置換基の例に含まれる。
21~R28はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表すことが好ましい。上記アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが最も好ましい。上記アルキル基は、前述の親水性基を置換基として有することが貯蔵安定性の観点から好ましい。
21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28はそれぞれ結合して環を形成してもよい。環としては、特に限定されないが、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよく、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記環は、R21~R28が結合している窒素原子以外にヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい。
29は置換基を表し、置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(アニリノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、ハロゲン原子、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルホニル基、スルフェニル基、スルフィニル基、前述の親水性基等を挙げることができる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も上記置換基の例に含まれる。
29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。環としては、特に限定されないが、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよく、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記環はヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい。
一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表し、ベンゼン環を表すことが好ましい。
Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表し、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
本発明の着色剤水溶液中の化合物(II)の含有量(化合物(II)を2種以上含有する場合は、化合物(II)の総量)は、着色剤水溶液の全質量を基準として、5.0~20.0質量%であることが好ましく、10.0~20.0質量%であることがより好ましく、12.0~18.0質量%であることが最も好ましい。
化合物(II)は公知の方法(例えば、特許第4686151号公報などに記載の方法)を単独及び複数組み合わせ、必要に応じて更に逆浸透膜精製方法、ゲルろ過クロマトグラフィー精製方法、分取方式の高速液体クロマトグラフィー精製方法を適用することで容易に合成、単離及び精製することができる。
化合物(II)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022155172000067
Figure 2022155172000068
Figure 2022155172000069
Figure 2022155172000070
Figure 2022155172000071
Figure 2022155172000072
Figure 2022155172000073
本発明の着色剤水溶液において、第一の添加剤(一般式(II)で表される化合物)の含有量は、着色剤水溶液の全質量を基準として、0.10~5.00質量%であることが好ましく、0.30~2.00質量%であることがより好ましく、0.50~1.00質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、着色剤と第一の添加剤の相互作用による相溶性の観点から好ましい。
〔第二の添加剤〕
本発明の着色剤水溶液は、第二の添加剤として、一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物を含有する。以下、一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物を、「化合物(III)」とも呼ぶ。
(化合物(III))
化合物(III)について説明する。
Figure 2022155172000074
Figure 2022155172000075
Figure 2022155172000076
Figure 2022155172000077
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。
Zが-OMを表す場合、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mは、単一であってもよいし、複数種が混在していてもよい。また、1種の化合物(III)中に複数の-OMが存在する場合、複数の-OMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
カウンターカチオンとしては特に制限はなく、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができる。
Mは水素原子、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであることが好ましく、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであることがより好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが更に好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることが特に好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
Mが特定のカチオン(例えば、リチウムイオン)を表す場合は、すべてのMがリチウムイオンでなくてもよいが、実質的には最も存在比率が高いカウンターカチオンがリチウムイオンであることが好ましい。このような存在比率の条件下において、Mとして水素原子、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アンモニウムイオンなどを含むことができる。リチウムイオンの量としては、M全体に対して、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上であり、上限としては100%が好ましい。
特定のカチオンが、リチウムイオン以外(例えば、ナトリウムイオン)を表す場合もリチウムイオンの場合と同様である。
Zが置換アミノ基を表す場合、置換アミノ基としては、アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1~10のアルキルアミノ基がより好ましい。上記アルキルアミノ基は更に置換基を有していてもよく、上記置換基としては、ヒドロキシ基が好ましい。
ZがZを表す場合のZについては、先に記載した一般式(I-1)中のZと同様である。
ZがZを表す場合のZについては、先に記載した一般式(I-2)中のZと同様である。
一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mについては、先に記載したZが-OMを表す場合のMと同様であり好ましい例も同じである。
2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよく、5~6員のヘテロ環としては、例えば、フタルイミド環、カルボン酸無水物が挙げられる。
一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表し、具体的には、O又はNHであることが好ましい。
本発明の着色剤水溶液中の第二の添加剤(化合物(III))の含有量は、染料水溶液の全質量を基準として、0.01~1.0質量%であることが好ましく、更に0.03~0.500質量%であることがより好ましく、0.05~0.5質量%であることが特に好ましい。
本発明の着色剤水溶液中の第二の添加剤(化合物(III))の含有量が、0.01質量%以上であると、着色剤と第二の添加剤との着色剤水溶液中での相互作用(相溶性)が強まり、第一の添加剤の水溶液長期溶解安定性の効果がより発揮されやすくなる。一方、本発明の着色剤水溶液中の第二の添加剤(化合物(III))の含有量が、1.0質量%以下であると、着色剤水溶液中の固形分濃度が上昇せず、着色剤水溶液を保存した際の液物性の経時変動幅が小さくなり、着色剤水溶液を用いて調製したインクジェット記録用インク組成物のインク連続吐出安定性(信頼性)が向上する。
本発明の着色剤水溶液中の、第二の添加剤と着色剤との比率(第二の添加剤の質量基準の含有量:着色剤の質量基準の含有量)は、0.001:1.0~0.10:1.0の範囲が好ましく、0.001:1.0~0.05:1.0の範囲がより好ましく、0.001:1~0.01:1の範囲が特に好ましい。上記範囲であると、着色剤と第二の添加剤との相互作用の観点から好ましい。
本発明の着色剤水溶液中の第二の添加剤は、着色剤としての化合物A~Eの原料又は中間体となるフタロニトリル誘導体である。本発明の着色剤水溶液中の第二の添加剤の含有量を上記範囲とすることで、詳細な理由は不明であるが、第二の添加剤の類似骨格部分が着色剤(化合物A~化合物E)と相互作用して相溶性が向上することで、本発明の着色剤水溶液及びインク組成物の保存時に、着色剤の析出発生を抑制することができ、本発明の着色剤水溶液及びインク組成物の貯蔵安定性を飛躍的に向上することができると考えられる。そのため、長期保存後の本発明のインク組成物を用いてインクジェットプリンターで記録画像を印画する際に、インクヘッドの詰まりが起こりにくく、高品質な印画物を得ることが可能となったと推定している。
第二の添加剤である化合物(III)は、例えば、フタル酸、フタルアミド及びフタロニトリル誘導体等を原料又は中間体として、公知の方法(特許第4691318号公報、特許4625644号公報)を単独及び複数組み合わせ、必要に応じて更に逆浸透膜精製方法、ゲルろ過クロマトグラフィー精製方法、分取方式の高速液体クロマトグラフィー精製方法を適用することで容易に合成、単離及び精製することができる。
第二の添加剤である化合物(III)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
Figure 2022155172000078
Figure 2022155172000079
Figure 2022155172000080
〔第三の添加剤〕
本発明の着色剤水溶液は、第三の添加剤として、下記一般式(S)で表される化合物を含有することが好ましい。一般式(S)で表される化合物を、「化合物(S)」とも呼ぶ。
Figure 2022155172000081
一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。*はトリアジン環への結合部位を表し、nは1~5の整数を表し、RtはCOOM、SOM、又はPO(OM)を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。nが複数存在する場合、複数のnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Mが複数存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。上記ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。上記アリールアミノ基は、炭素数6~20のアリールアミノ基であることが好ましく、炭素数6~10のアリールアミノ基であることがより好ましく、フェニルアミノ基であることが更に好ましい。上記アリールアミノ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、特に制限はないが、アミノ基が好ましい。
ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。T、T、及びTのうち一つが*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表してもよいし、T、T、及びTのうち二つが*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表してもよいし、T、T、及びTの全てが*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表してもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mは、単一であってもよいし、複数種が混在していてもよい。また、1種の化合物(S)中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
化合物(S)は、分子内塩の形態をとることもできる。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
カウンターカチオンとしては特に制限はなく、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができる。
Mは水素原子、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであることが好ましく、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであることがより好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが更に好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることが特に好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
Mが特定のカチオン(例えば、リチウムイオン)を表す場合は、すべてのMがリチウムイオンでなくてもよいが、実質的には最も存在比率が高いカウンターカチオンがリチウムイオンであることが好ましい。このような存在比率の条件下において、Mとして水素原子、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アンモニウムイオンなどを含むことができる。リチウムイオンの量としては、M全体に対して、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上であり、上限としては100%が好ましい。
特定のカチオンが、リチウムイオン以外(例えば、ナトリウムイオン)を表す場合もリチウムイオンの場合と同様である。
化合物(S)は、水溶液として使用する目的から、水溶性を高めるイオン性親水性基を有する化合物が好ましい。イオン性親水性基としては、スルホ基(-SOM)、カルボキシ基(-COM)、リン酸基(-PO(OM))及び水酸基(-OM)が含まれる。イオン性親水性基としては、スルホ基(-SOM)、カルボキシ基(-COM)、及び水酸基(-OM)が好ましく、スルホ基(-SOM)及び水酸基(-OM)がより好ましく、スルホ基(-SOM)が最も好ましい。Mについては前述したとおりである。特にスルホ基のリチウム塩(-SOLi)は化合物の水溶解性を高め、溶液安定性を向上させるため好ましい。
イオン性親水性基は遊離酸の状態でもよいし、塩の状態でもよいし、遊離酸と塩が混在した状態でもよい。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水溶性中では塩はイオンに全解離状態で溶解し存在する。酸解離定数(pKa)が高いイオン性親水性基を有する場合は、大半が解離して一部塩(非解離)の状態で水に溶解して存在している場合もある。
一般式(S)で表される化合物は、下記化合物群(s)から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(S)が分子内塩の形態をとる場合のカチオン及びアニオンの電荷位置は局在化した化学構造式で例示するが、有機化学の常識の範囲で取り得る極限化学構造のすべて含むことができる。
Figure 2022155172000082

上記化合物群(s)の化合物中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表す。化合物中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
Mについては前述したとおりである。
化合物(S)の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022155172000083
Figure 2022155172000084
化合物(S)は公知の方法(例えば、特許第4686151号公報などに記載の方法)を単独及び複数組み合わせ、必要に応じて更に逆浸透膜精製方法、ゲルろ過クロマトグラフィー精製方法、分取方式の高速液体クロマトグラフィー精製方法を適用することで容易に合成、単離及び精製することができる。
化合物(S)の代表的な合成スキームの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
塩化シアヌルを原料にして、s-トリアジン環を有する化合物は公知の方法を単独及び複数組み合わせて容易に合成できる。s-トリアジン環上の3種類の置換基は、塩化シアヌルの3つの塩素原子の反応性と導入する置換基種に応じて、公知の方法(例えば、反応時の系のpH値、導入置換基の求核性及び置換基の導入順により)選択性良く誘導することができる。
Figure 2022155172000085
Figure 2022155172000086
Figure 2022155172000087
上記R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子又は化合物(S)における対応する置換基を表す。Mは化合物(S)におけるものと同じ意味を表す。
前述の化合物(s)-2は、上記(c)で表される化合物に相当し、上記合成スキームにより合成することができる。
前述の化合物(s)-1、(s)-3、(s)-7~(s)-20は、上記(d)で表される化合物に相当し、上記合成スキームにより合成することができる。
前述の化合物(s)-4は、上記(f)で表される化合物に相当し、上記合成スキームにより合成することができる。
前述の化合物(s)-21は、上記(g)で表される化合物に相当し、上記合成スキームにより合成することができる。
前述の化合物(s)-5、及び(s)-6は、上記(i)で表される化合物に相当し、上記合成スキームにより合成することができる。
本発明の着色剤水溶液中の第三の添加剤である化合物(S)の含有量(化合物(S)を2種以上含有する場合は、化合物(S)の総量)は、着色剤水溶液の全質量を基準として、0.001~0.05質量%であることが好ましく、0.003~0.05質量%であることがより好ましく、0.005~0.01質量%であることが特に好ましい。
本発明の着色剤水溶液中の化合物(S)の含有量が、0.001質量%以上であると、着色剤水溶液中での一般式(II)で表される化合物との分子間相互作用が強くなり(相溶性が高くなり)、一般式(II)で表される化合物の水溶液長期溶解安定性の効果がより発揮されやすくなる。一方、着色剤水溶液中の化合物(S)の含有量が、0.05質量%以下であると、着色剤水溶液中の固形分濃度が上昇せず、着色剤水溶液を保存した際の液物性の経時変動幅が小さくなり、着色剤水溶液を用いて調製したインクジェット記録用インク組成物の連続吐出安定性(信頼性)が向上する。
(キレート剤)
本発明の着色剤水溶液は、キレート剤を含有しても良い。
キレート剤(「キレート化剤」とも呼ぶ。)は、無機又は金属カチオン(特に好ましくは多価カチオン)に結合してキレート化合物を生成する化合物である。
本発明において、キレート剤は無機又は金属カチオン(特に多価カチオン)に由来する着色剤水溶液及びインク組成物中の不溶性の析出異物の形成及び生長を防止する機能を有する(すなわち可溶化剤として機能する)。
本発明の着色剤水溶液は、キレート剤を含有することで着色剤水溶液及び着色剤水溶液を用いたインク組成物の長期保存において析出異物の発生を抑制することができ、長期保存後の着色剤水溶液及びインク組成物を用いたインクジェット記録用インク組成物を使用してインクジェットプリンターで印画する際に、ノズル等でのインク詰まりが起こりにくく、高品質な印画物を得ることが可能となる。本発明に使用可能なキレート剤としては、特に限定はなく、種々のものが使用可能である。
キレート剤としては、キレート作用により、着色剤水溶液及びインク組成物中に存在するカチオンと錯体を形成して、着色剤水溶液及びインク組成物中に析出異物の発生及び生長を抑制する効果のある可溶化剤であれば、種々のものが単独または複数組み合わせて使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩(例えば、EDTA-4ナトリウム(4ナトリウム塩)、EDTA-4リチウム(4リチウム塩)など)、ピコリン酸またはその塩(例えば、ピコリン酸ナトリウム)、キノリン酸またはその塩(例えば、キノリン酸ナトリウム)、1,10-フェナントロリン、8-ヒドロキシキノリン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸4ナトリウム、メチルグリシン2酢酸(MGDA)またはその塩、L-グルタミン酸2酢酸(GLDA)またはその塩、L-アスパラギン酸2酢酸(ASDA)またはその塩、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)またはその塩、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)またはその塩、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)またはその塩、(S,S)-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)またはその塩などが挙げられる。上記キレート剤のうちの塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属塩の他に、アンモニウム、アミンなどの塩が好ましい。これらは、上記のキレート剤の中でも、着色剤水溶液及びインク組成物のpH変化に対するキレート作用の減衰がさらに小さい。そのため、より広範囲のpHにおいてキレート作用が発現し、例えば、経時変化などの着色剤水溶液及びインク組成物のpH変化への対応性をさらに向上させることができる。
キレート剤の含有量は、着色剤水溶液の全質量を基準として、0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.01~0.5質量%であることがより好ましく、0.01~0.1質量%であることが特に好ましい。
キレート剤の含有量が、0.001質量%以上であれば、キレート作用を効果的に発現させることができ、1.0質量%以下であれば、キレート剤の添加によって、着色剤水溶液の粘度が過剰に増大することや、pHが過剰に増加することを抑えることができる。
(水)
本発明の着色剤水溶液は、媒体として水を用いて調液することができる。必要に応じて、更に親油性媒体又は水性媒体を用いて、それらの中に、着色剤、第一の添加剤、第二の添加剤等を溶解又は分散させることによって作製することも可能である。
本発明の着色剤水溶液に含まれる水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等が挙げられる。
本発明の着色剤水溶液中の水の含有量は特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から、着色剤水溶液の全質量を基準として、50~95質量%であることが好ましく、60~95質量%であることがより好ましく、70~95質量%であることが更に好ましく、80~95質量%であることが特に好ましい。
(水混和性有機溶剤)
本発明の着色剤水溶液は、水に加えて、その他の溶剤を含有することができる。その他の溶剤としては、水混和性有機溶剤が好ましい。
水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明の着色剤水溶液が水混和性有機溶剤を含有する場合は、水混和性有機溶剤の含有量は、着色剤水溶液の全質量を基準として、0.01~50質量%であることが好ましく、0.01~30質量%であることがより好ましく、0.01~20質量%であることが更に好ましい。
(防腐剤)
本発明の着色剤水溶液は防腐剤を含有しても良い。
本発明において、防腐剤とは微生物、特に細菌及び真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものを言う。防腐剤には防黴剤も包含される。
本発明の着色剤水溶液に防腐剤を用いることで、着色剤水溶液の長期保存においても細菌や黴の発生及び増殖を抑制することができ、長期保存後の着色剤水溶液を用いたインクジェット記録用インク組成物を使用してインクジェットプリンターで印画する際に、ノズル等でのインク詰まりが起こりにくく、高品質な印画物を得ることが可能となる。
本発明において、防腐剤としては、種々のものが使用可能である。
防腐剤としては、重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)、塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、複素環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン等)、アルカンジオール類(ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、イソペンチルジオール(3-メチル-1,3-ブタンジオール)、ヘキサンジオール(1,2-ヘキサンジオール)等)、カプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、及びその塩など種々のものが使用可能である。
防腐剤として好ましくは複素環化合物、フェノール誘導体、フェノキシエーテル誘導体、及びアルカンジオール類からなる群より選ばれる防腐剤を少なくとも1種用いることが好ましい。また、防腐剤としては防菌防微ハンドブック(技報堂:1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用し得る。
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
本発明の着色剤水溶液は、2種以上の防腐剤を含有してもよい。防腐剤を2種以上併用して使用すると、着色剤水溶液及び着色剤水溶液を用いたインクジェット記録用インク組成物を使用して形成した記録画像の保存安定性、特に色相安定性が向上し、また長期保存後の着色剤水溶液を用いたインクジェット記録用インク組成物を使用してインクジェットプリンターで印画する際のインク吐出安定性が格段に向上するなど、本発明の効果が更に良好に発揮される。これは、2種以上の防腐剤に菌及び黴が接触することにより、個々の防腐剤に対する菌及び黴の耐性獲得が抑制されるためであると考えられる。
2種以上の防腐剤を組み合わせる場合、それらの防腐剤は異なった化学構造の骨格を有するものであることが好ましい。また、2種以上の防腐剤を含有する場合には、少なくとも1種の防腐剤が、複素環化合物、フェノール誘導体、フェノキシエーテル誘導体、又はアルカンジオール類であることが好ましく、なかでも複素環化合物であることが好ましい。例えば、複素環化合物とフェノキシエーテル誘導体の組み合わせ、複素環化合物とフェノール誘導体との組み合わせ、複素環化合物とアルカンジオール類との組み合わせ等が好ましく挙げられる。
更に、複素環化合物としては、チアゾール系化合物又はベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
チアゾール系化合物は、防腐剤のなかでも、特に防黴剤として機能する。チアゾール系化合物としては、ベンズイソチアゾリン、イソチアゾリン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンズチアゾール及び3-アリルオキシ-1,2-ベンズイソチアゾール-1,1-オキシド等を挙げることができる。また、チアゾール系防黴剤としてLONZA(株)より製造販売されているPROXEL(登録商標)シリーズ(BDN、BD20、GXL、LV、XL2、XL2(s)及びUltra10等)を使用することもできる。
ベンゾトリアゾール系化合物は、防錆剤としても機能し、例えば、インクジェットヘッドを構成する金属材料(特に、42合金(42%ニッケルを含有するニッケル-鉄合金))が着色剤水溶液及びインク組成物との接触を原因の一つとする錆の発生を防止することができる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩等を挙げることができる。
2種以上の防腐剤を組み合わせる場合の含有量比は、特に限定的ではないが、各防腐剤のそれぞれの含有量が、防腐剤の総含有量の1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また各防腐剤のそれぞれの含有量が、防腐剤の総含有量の99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、それぞれの防腐剤の効果を効率的に得ることができ、また防腐剤間の相乗効果も得やすくなる。また、防腐剤の効果を維持しつつ、着色剤水溶液やインク組成物に触れた人、特に防腐剤に対して敏感な人が、かぶれ等を生じる可能性も低減できる。
本発明の着色剤水溶液が防腐剤を含有する場合、防腐剤の含有量(防腐剤を2種以上含有する場合にはその総含有量)は特に限定されないが、着色剤水溶液全量を基準として、0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.005~1.0質量%であることがより好ましく、0.01~1.0質量%であることが更に好ましく、0.01~0.5質量%であることが特に好ましく、0.01~0.4質量%であることが最も好ましい。上記範囲とすることで、防腐剤の効果をより効率的に得ることができ、また水の腐敗や析出物の発生を抑制できる。
本発明の着色剤水溶液において、着色剤、第一の添加剤、第二の添加剤、第三の添加剤との全質量(「着色剤+第一から第三添加剤」とも記載する。)に対する防腐剤の質量比{防腐剤/(着色剤+第一から第三添加剤)}は、0.0005/1.0~0.01/1.0が好ましく、0.001/1.0~0.008/1.0がより好ましく、0.01/1.0~0.05/1.0であることが最も好ましい。
(緩衝剤)
本発明の着色剤水溶液は緩衝剤(pH値安定化剤)を含んでいても良い。
本発明の着色剤水溶液の貯蔵安定性と着色剤水溶液を用いたインク組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、本発明の着色剤水溶液は、弱酸性~中性~塩基性であることが好ましく、中性~塩基性であることがより好ましく、中性~弱塩基性であることが更に好ましく、弱塩基性であることが最も好ましい。例えば、着色剤水溶液の25℃でのpH値が、6.5~9.0であることが好ましく、6.8~9.0であることがより好ましく、7.0~9.0であることが最も好ましい。
着色剤水溶液の25℃でのpH値が6.5以上であれば、着色剤水溶液及びインク組成物に調液した際の溶解安定性が向上し、析出物の発生が抑制される。一方、着色剤水溶液の25℃でのpH値が9.0以下であれば、着色剤水溶液、及びインク組成物に用いる着色剤の一部が分解する可能性が低減し、着色剤水溶液、及びインク組成物の貯蔵安定性や信頼性が向上する。
緩衝剤(pH値安定化剤)としては、着色剤水溶液中のpH値の変動を抑制する緩衝剤であれば特に限定されることはない。好ましい緩衝剤の例は、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリム、酢酸/トリエチルアミン混液、リン酸/トリエチルアミン混液などが挙げられる。
緩衝剤としては、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリムが好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリムがより好ましく、炭酸水素ナトリウムが最も好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の着色剤水溶液は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有し得る。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、pH調整剤等の公知の添加剤(特開2003-306623号公報に記載)が挙げられる。
本発明の着色剤水溶液は、典型的には、シアン色調インク組成物に用いることができるが、シアン色調インク組成物のみならず、調色染料インク等を用いてグレイ色調インク組成物、ブラック色調インク組成物、ブラウン色調インク組成物、グリーン色調インク組成物、ブルー色調インク組成物、メタリンク色調インク組成物等に用いることができる。
本発明の着色剤水溶液は、インク組成物を調製するために用いられるが、インク組成物としては、画像を形成するための画像記録材料としてのインク組成物が挙げられ、具体的には、インクジェット記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット記録材料である。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、
水と、
着色剤として、一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
第一の添加剤として、一般式(II)で表される化合物と、
第二の添加剤として、一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
を含む、インク組成物である。
本発明のインク組成物は、例えば、前述の本発明の着色剤水溶液を用いて調製することができる。より具体的には、例えば、本発明の着色剤水溶液に、水混和性有機溶剤、第三の添加剤(化合物(S))、その他の添加剤(例えば、pH調整剤、表面張力調整剤など)、水等を加えることで、インク組成物を調製することができる。
本発明のインク組成物は、第三の添加剤(化合物(S))を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、さらに、キレート剤を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、さらに、防腐剤を含有することが好ましい。
着色剤、第一の添加剤、第二の添加剤、第三の添加剤、水、水混和性有機溶剤、キレート剤、及び防腐剤については、着色剤水溶液の説明において記載したものと同様である。また、本発明のインク組成物が含有してもよいその他の成分も、着色剤水溶液の説明において記載したものと同様である。
本発明のインク組成物の25℃でのpH値は、6.5~9.0であることが好ましく、6.8~9.0であることがより好ましく、7.0~9.0であることが最も好ましい。
本発明のインク組成物中の防腐剤の含有量は、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.005~1.0質量%であることがより好ましく、0.01~1.0質量%であることが更に好ましく、0.01~0.5質量%であることが特に好ましく、0.01~0.4質量%であることが最も好ましい。
本発明のインク組成物中のキレート剤の含有量は、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.01~0.5質量%であることがより好ましく、0.01~0.1質量%であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、CCD(Charge-Coupled Device)などの固体撮像素子やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録及び再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピングなどの記録方法に使用でき、特にインクジェット記録方法における使用に適する。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として用いることが特に好ましい。
本発明のインク組成物中の着色剤の含有量は、インク組成物中の全質量を基準として、0.1~10.0質量%であることが好ましく、1.0~8.0質量%であることがより好ましく、2.0~6.0質量%であることが更に好ましく、2.5~6.0質量%であることが特に好ましく、3.0~5.5質量%であることが最も好ましい。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用シアン色調インク組成物(単に「シアンインク」とも呼ぶ。)として使用でき、濃シアンインク及び淡シアンインクのどちらにも適用可能である。
濃シアンインクの場合は、特に、フォト用途及びドキュメント用途のインクに適している。
一方、淡シアンインクの場合は、特に、淡色のシアン画像及び淡色の混色(ブルー、グリーン、グレイ等)画像形成用途に適している。
濃シアンインクの場合、シアンインク中の着色剤(シアン染料)の含有量は、シアンインク中の全質量を基準として、2.5~10.0質量%であることが好ましく、3.0~8.0質量%であることがより好ましく、3.5~6.0質量%であることが更に好ましく、3.5~5.5質量%であることが特に好ましい。
淡シアンインクの場合、シアンインク中の着色剤(シアン染料)の含有量は、シアンインク中の全質量を基準として、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.5~3.0質量%であることがより好ましく、1.0~2.5質量%であることが更に好ましく、1.0~2.5質量%であることが特に好ましい。
シアンインク中の着色剤(シアン染料)の含有量を上記範囲にすることで、貯蔵安定性、各種受像紙(インクジェット専用紙及び普通紙)への印画濃度及び画像堅牢性に優れる。
本発明のインク組成物は、単色調インク組成物だけでなく、様々な色調(グリーン、ブルー、グレイ、ブラック等)のインク組成物で用いることができるが、用いる着色剤(水溶性染料)と添加剤の相互作用の観点からシアン色調インク組成物に適している。
本発明のインク組成物中における、キレート剤と色材(ここでの「色材」とは、前述の着色剤、グレイ~ブラック色調インク組成物調液時に用いる着色剤、調色剤、及びその他の併用してもよい着色剤などを含めたすべての色材を意味する。)との比率(キレート剤の質量基準の含有量:色材の質量基準の含有量)は、0.0001:1~0.15:1の範囲であることが好ましい。より好ましくは(キレート剤の質量基準の含有量:着色剤の質量基準の含有量)が、0.0001:1~0.05:1の範囲であり、さらに好ましくは0.0002:1~0.005:1の範囲である。
金属塩を形成する可能性があるのは、着色剤(染料)の製造プロセスで混入するか、インク組成物のインク収容容器に含まれ、インク組成物中に溶出する可能性のある金属であるが、上記の比率であれば、インクジェットヘッドの目詰まりの要因となる異物の発生を効果的に抑制できる。また、キレート作用を効果的に発現させることができ、インク組成物の粘度が過剰に増大することや、pHが過剰に増加することを抑えることができる。
<インクジェット記録用インク組成物>
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、前述の本発明のインク組成物を含む。前述の本発明のインク組成物をそのままインクジェット記録用インク組成物として使用することもできる。
本発明のインクジェット記録用インク組成物が、シアンの色調に優れ、かつ貯蔵安定性に優れる理由については完全には明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推定している。
特定の着色剤(シアン染料)と、化合物(II)とを含む水溶液を用いて、インクジェット記録用インク組成物を調液することで、インクジェット法により、シアンの色調に優れた画像を形成することができる。形成された直後の画像では、着色剤は比較的安定な会合状態を形成していると考えられる。一方で、周囲の環境の湿度が高くなると、水溶性の高い着色剤(染料)は、水分をドライビングフォースとして、更に安定な会合状態へ進行する(色素のH会合体のような存在状態の変化)と考えられ、その結果、画像の色調が変化(H会合体に由来する色調の短波長シフト)してしまうと推定される。
そこで、本発明では、平面性の高い化合物である化合物(II)を添加することで、インクジェット法により形成された直後の画像における、着色剤の比較的安定な会合状態を、着色剤と化合物(II)の分子間相互作用にて安定化する、又は画像形成直後から着色剤と化合物(II)の分子間相互作用にてより安定な会合状態を形成できる。その結果、周囲の環境(湿度・光・活性ガス)変化による、着色剤が会合状態の変化を引き起こすことなく、画像の色調の変化を抑制することができたと考えられる。更に、第二の添加剤である化合物(III)を併用することにより、着色剤と化合物(II)及び化合物(III)の相互作用と相溶性向上により、インク組成物の貯蔵安定性が飛躍的に向上し、防腐性が向上するとともに、インク組成物の長期保存後もpH値、吸光度、粘度、及び表面張力の変動幅を最小限度に抑制することが可能となったと考えられる。この効果は、第三の添加剤である化合物(S)を加えることにより、更に向上すると考えられる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドを用いて前述の本発明のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程を有する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録用インク組成物にエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8-169172号公報、同8-27693号公報、同2-276670号公報、同7-276789号公報、同9-323475号公報、特開昭62-238783号公報、特開平10-153989号公報、同10-217473号公報、同10-235995号公報、同10-337947号公報、同10-217597号公報、同10-337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善したりする目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特願2000-363090号、同2000-315231号、同2000-354380号、同2000-343944号、同2000-268952号、同2000-299465号、同2000-297365号等の各明細書に記載された方法を好ましく用いることができる。
本発明のインクジェットの記録方法の記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(着色剤水溶液1の調製)
着色剤としてA-1を10.0g、第一の添加剤として(P-4)を1.00g、第二の添加剤としてG-1を0.05g、キレート剤(EDTA)0.15g、防腐剤(LONZA(株)製のPROXEL(登録商標)XL2(s))0.10g、緩衝剤(NaHCO)0.10gを脱イオン水60.0gに溶解させ、pH調整剤(10mol/Lの水酸化リチウム水溶液)にてpH=8.5に調液し、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、脱イオン水で洗浄し、着色剤水溶液1(100g)を調製した。
Figure 2022155172000088
〔実施例2〕
(着色剤水溶液2の調製)
着色剤として、A-12を3.16g、B-2を4.22g、C-4-1及びC-4-2をあわせて2.11g、D-2を0.47g、E-1を0.04g、第一の添加剤として(P-3)を1.00g、第二の添加剤としてG-2を0.05g、キレート剤(EDTA)0.15g、防腐剤(LONZA(株)製のPROXEL(登録商標)XL2(s))0.10g、緩衝剤(NaHCO)0.10gを脱イオン水60.0gに溶解させ、pH調整剤(10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液)にてpH=8.5に調液し、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、脱イオン水で洗浄し、着色剤水溶液2(100g)を調製した。なお、C-4-1及びC-4-2の質量は、立体異性体別の区別なく合計の質量として記載する。
Figure 2022155172000089
〔実施例3〕
(着色剤水溶液3の調製)
着色剤として、A-12を0.625g、B-2を2.500g、C-4-1及びC-4-2をあわせて3.750g、D-2を2.500g、E-1を0.625g、第一の添加剤として(P-3)を1.00g、第二の添加剤としてG-3を0.05g、キレート剤(EDTA)0.15g、防腐剤(LONZA(株)製のPROXEL(登録商標)XL2(s))0.10g、緩衝剤(NaHCO)0.10gを脱イオン水60.0gに溶解させ、pH調整剤(10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液)にてpH=8.5に調液し、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、脱イオン水で洗浄し、着色剤水溶液3(100g)を調製した。なお、C-4-1及びC-4-2の質量は、立体異性体別の区別なく合計の質量として記載する。
Figure 2022155172000090
〔実施例4~10〕
各成分の種類及び量を、それぞれ下記表1~2に示した種類及び量に変更した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液4~10(各100g)を調製した。なお、C-4-1及びC-4-2の質量は、それぞれ独立に立体異性体別の区別なく合計の質量として記載する(各表において、C-4-1及びC-4-2をあわせた質量を、C-4-1の右に記載する)。
〔実施例11~15〕
第三の添加剤を、それぞれ下記表3~4に示した量で併用した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液11~15(各100g)を調製した。なお、C-4-1及びC-4-2の質量は、それぞれ独立に立体異性体別の区別なく合計の質量として記載する(各表において、C-4-1及びC-4-2をあわせた質量を、C-4-1の右に記載する)。また、C-10-1及びC-10-2の質量は、それぞれ独立に立体異性体別の区別なく合計の質量として記載する(各表において、C-10-1及びC-10-2をあわせた質量を、C-10-1の右に記載する)。
〔実施例16〕
下記表5に示した成分で、pHを9.0に変更して調液した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液16を100g調製した。表5において、C-4-1及びC-4-2をあわせた質量を、C-4-1の右に記載した。実施例17~20も同様である。
〔実施例17〕
下記表5に示した成分で、pHを8.0に変更して調液した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液17を100g調製した。
〔実施例18〕
下記表5に示した成分で、pHを7.5に変更して調液した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液18を100g調製した。
〔実施例19〕
下記表5に示した成分で、pHを7.0に変更して調液した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液19を100g調製した。
〔実施例20〕
下記表5に示した成分で、pHを6.5に変更して調液した以外は実施例3と同様にして着色剤水溶液20を100g調製した。
〔比較例1~8〕
各成分の種類及び量を、それぞれ下記表6~7に示した種類及び量に変更した以外は実施例1と同様にして比較着色剤水溶液1~8(各100g)を調製した。
Figure 2022155172000091
Figure 2022155172000092
Figure 2022155172000093
Figure 2022155172000094
Figure 2022155172000095
Figure 2022155172000096
Figure 2022155172000097
<着色剤水溶液の貯蔵安定性>
・防腐性
日水製薬(株)製の細菌検査用フードスタンプ(生菌数用及び真菌用)のキャップをとり、寒天培地面に充分な着色剤水溶液を塗布した。キャップをしないまま10時間放置することにより、菌の付着を促した。その後でキャップをし、生菌数用フードスタンプについては36℃の恒温槽中で2日間、真菌用フードスタンプについては23℃の恒温槽中で5日間、培養した。目視観察により、以下の基準にて以下の3段階で評価を行った。
A・・・黴の発生なし
B・・・黴の発生が僅かに確認されるが増殖傾向は認められない
C・・・黴の発生あり、さらに増殖傾向も認められる
実施例1~20及び比較例1~10で調液した着色剤水溶液1~20及び比較着色剤水溶液1~10を、強制試験として、60℃、相対湿度50%の条件で4週間保存した後、60℃、相対湿度50%の条件で10週間保存した後、60℃、相対湿度50%の条件で15週間保存した後、及び60℃、相対湿度50%の条件で20週間保存した後、以下に示す評価項目で評価を実施した。
・不溶物(析出物)の有無(ろ過残渣)
着色剤水溶液を、孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、目視観察し、溶解状態を保っているものをA、異物の析出又は分離が起きたものをCの2段階で評価した。
・液物性変化
着色剤水溶液調液直後のそれぞれの水溶液と同等の物性(吸光度、粘度、及び表面張力)を保っているものをA、強制試験後に1項目、液物性値が±3%以上変化したものをB、強制試験後に2項目以上、液物性値が±3%以上変化したものをCとし、3段階で評価した。なお、吸光度、粘度、及び表面張力値はそれぞれ以下の方法で測定した。
(吸光度)
島津製作所製UV-Visスペクトログラフィー(UV-1800)を用いて、着色剤水溶液450mgを秤量後、50mlに脱イオン水にて希釈し、更に、希釈液2mlを用いて100mLに脱イオン水にて希釈後、希釈水溶液を1cm×1cmの石英セルに注入し、25℃、相対湿度50%環境下、250nm~900nmの範囲の吸光度を測定した。紫外~可視域(350~700nm)のλmaxの吸光度を確認後、強制試験前後の変化を算出した。
(粘度)
東機産業株式会社製 粘度計(RE85)を用い、着色剤水溶液1.5mLを秤量後、25℃、相対湿度50~70%環境下、測定時間2分で実施した。
(表面張力)
協和界面科学株式会社製 表面張力計(DY-200)を用い、着色剤水溶液5mLを秤量後、25℃、相対湿度30%環境下、白金プレートを用いて測定を実施した。
・pH値変化
着色剤水溶液調液直後のそれぞれの水溶液と同等のpH値を保っているものをA、強制試験後にpH値が±0.3以上変化したものをB、強制試験後にpH値が±0.5以上変化したものをCとし、3段階で評価した。なお、pH値はそれぞれ以下の方法で測定した。
東亜ディーケーケー株式会社製 pHメータ(HM-25G)を用い、着色剤水溶液5mLを秤量後、25℃、相対湿度50~70%環境下、測定時間2分で実施した。
〔実施例21〕
実施例3で調液した着色剤水溶液3を48.0質量部、グリセリン9.70質量部、トリエチレングリコール3.40質量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル9.90質量部、2-ピロリドン2.5質量部、1,2-ヘキサンジオール1.30質量部、サーフィノール(登録商標)465(日信化学工業(株)製)1.0質量部を脱イオン水20.0質量部に溶解させ、pH調整剤(10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液)にてpH=8.5に調液し、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、脱イオン水で洗浄し、シアン染料インク組成物であるインク組成物21(100質量部)を調製した。
〔実施例22〕
実施例11で調液した着色剤水溶液11を48.0質量部、グリセリン9.70質量部、トリエチレングリコール3.40質量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル9.90質量部、2-ピロリドン2.5質量部、1,2-ヘキサンジオール1.30質量部、サーフィノール(登録商標)465(日信化学工業(株)製)1.0質量部を脱イオン水20.0質量部に溶解させ、pH調整剤(10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液)にてpH=8.5に調液し、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、脱イオン水で洗浄し、シアン染料インク組成物であるインク組成物22(100質量部)を調液した。
<インク組成物の貯蔵安定性>
実施例21~22で調液したインク組成物21~22を、強制貯蔵安定性試験として、60℃、相対湿度50%の条件で4週間保存した後、60℃、相対湿度50%の条件で10週間保存した後、60℃、相対湿度50%の条件で15週間保存した後、及び60℃、相対湿度50%の条件で20週間保存した後、貯蔵安定性の評価を実施した。
不溶物(析出物)の有無(ろ過残渣)、防腐性、液物性値変化(吸光度、粘度、及び表面張力)、及びpH値変化は、実施例1~20及び比較例1~10と同様の方法・水準で評価した。但し、吸光度測定方法のみ下記条件で算出した。
<吸光度>
島津製作所製UV-Visスペクトログラフィー(UV-1800)を用いて、インク組成物450mgを秤量後、50mlに脱イオン水にて希釈し、更に、希釈液2mlを用いて50mlに脱イオン水にて希釈後、希釈液を1cm×1cmの石英セルに注入し、25℃、相対湿度50%環境下、350nm~900nmの範囲の吸光度を測定した。可視域(400~700nm)のλmaxの吸光度を確認後、強制試験前後の変化を算出した。
結果を下記表8~9に示す。
防腐性について、生菌数用フードスタンプを36℃の恒温槽中で2日間培養した結果を「暴露時間 2日間」の欄に、真菌用フードスタンプを23℃の恒温槽中で5日間培養した結果を「暴露時間 5日間」の欄にそれぞれ記載した。
強制試験として、60℃、相対湿度50%の条件で4週間保存した後の結果を「4週間」の欄に、60℃、相対湿度50%の条件で10週間保存した後の結果を「10週間」の欄に、60℃、相対湿度50%の条件で15週間保存した後の結果を「15週間」の欄に、相対湿度50%の条件で20週間保存した後の結果を「20週間」の欄に、それぞれ記載した。
Figure 2022155172000098
Figure 2022155172000099
上記の結果より、本発明の実施例の着色剤水溶液及びインク組成物は、特定の着色剤(染料)を高濃度で含有していても貯蔵安定性に優れることが分かった。特に、着色剤の固形分濃度が5.0~20.0質量%、第一の添加剤の固形分濃度が0.10~5.00質量%、第二の添加剤の固形分濃度が0.01~1.0質量%、第三の添加剤の固形分濃度が0.001~0.05質量%であることで強制試験を15~20週間行った後でも液物性が変化せず、着色剤水溶液及びインク組成物の貯蔵安定性が非常に高いことが分かった。

Claims (25)

  1. 水と、
    着色剤として、下記一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
    第一の添加剤として、下記一般式(II)で表される化合物と、
    第二の添加剤として、下記一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
    を含む、インク組成物用着色剤水溶液。
    Figure 2022155172000100

    Figure 2022155172000101

    Figure 2022155172000102

    Figure 2022155172000103

    Figure 2022155172000104

    一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    Figure 2022155172000105

    一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
    Figure 2022155172000106

    Figure 2022155172000107

    Figure 2022155172000108

    Figure 2022155172000109

    一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
    一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
  2. 前記着色剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、5.0~20.0質量%である、請求項1に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  3. 前記第一の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.10~5.00質量%である、請求項1又は2に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  4. 前記第二の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.01~1.0質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  5. さらに、キレート剤を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  6. 前記キレート剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、請求項5に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  7. さらに、防腐剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  8. 前記防腐剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、請求項7に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  9. さらに、緩衝剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  10. 25℃でのpH値が6.5~9.0である、請求項1~9のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  11. さらに、第三の添加剤として、下記一般式(S)で表される化合物を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
    Figure 2022155172000110

    一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。*はトリアジン環への結合部位を表し、nは1~5の整数を表し、RtはCOOM、SOM、又はPO(OM)を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。nが複数存在する場合、複数のnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Mが複数存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  12. 前記一般式(S)で表される化合物が、下記化合物群(s)から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項11に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
    Figure 2022155172000111

    上記化合物群(s)の化合物中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表す。化合物中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  13. 前記第三の添加剤の含有量が、インク組成物用着色剤水溶液中の全質量を基準として、0.001~0.05質量%である、請求項11又は12に記載のインク組成物用着色剤水溶液。
  14. 水と、
    着色剤として、下記一般式(I-1)で表される化合物A、一般式(I-2)で表される化合物B、一般式(I-3-1)で表される化合物C-I、一般式(I-3-2)で表される化合物C-II、一般式(I-4)で表される化合物D、及び一般式(I-5)で表される化合物Eからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
    第一の添加剤として、下記一般式(II)で表される化合物と、
    第二の添加剤として、下記一般式(III-1)~(III-4)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物と、
    を含む、インク組成物。
    Figure 2022155172000112

    Figure 2022155172000113

    Figure 2022155172000114

    Figure 2022155172000115

    Figure 2022155172000116

    一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、及び一般式(I-4)中、Zは、少なくとも1つのイオン性親水性基を含む置換基を有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。一般式(I-1)、一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、及び一般式(I-3-2)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    一般式(I-2)、一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中、Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(I-3-1)、一般式(I-3-2)、一般式(I-4)、及び一般式(I-5)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    Figure 2022155172000117

    一般式(II)中、Ar20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R21~R28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R21とR22が結合して環を形成してもよい。R23とR24が結合して環を形成してもよい。R25とR26が結合して環を形成してもよい。R27とR28が結合して環を形成してもよい。R29は置換基を表す。Ar20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R29が複数存在する場合、複数のR29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R29が複数存在する場合、複数のR29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
    Figure 2022155172000118

    Figure 2022155172000119

    Figure 2022155172000120

    Figure 2022155172000121

    一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Zは、-OM、置換若しくは無置換のアミノ基、Z又はZを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Zは少なくとも1つのイオン性親水性基を置換基として含有する、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただし、Zはイオン性親水性基を有さない。一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中の複数のZは同じでも異なってもよい。
    一般式(III-1)中、Rは、-COM、-CONH、又は-CNを表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。2つのRは同じであっても異なっていてもよい。隣接している2つのRは、窒素原子又は酸素原子を介して5~6員のヘテロ環を形成していてもよい。
    一般式(III-1)、一般式(III-2)、一般式(III-3)、及び一般式(III-4)中、Xは求核剤になり得る原子又は原子団を表す。
  15. さらに、第三の添加剤として、下記一般式(S)で表される化合物を含有する、請求項14に記載のインク組成物。
    Figure 2022155172000122

    一般式(S)中、T、T、及びTはそれぞれ独立に、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、*-N-((CH-OH)、*-OM、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。ただし、T、T、及びTのうち少なくとも一つは、*-NH-(CH-Rt、*-NH-(CH-OH、又は*-N-((CH-OH)を表す。*はトリアジン環への結合部位を表し、nは1~5の整数を表し、RtはCOOM、SOM、又はPO(OM)を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。nが複数存在する場合、複数のnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Mが複数存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  16. 前記一般式(S)で表される化合物が、下記化合物群(s)から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項15に記載のインク組成物。
    Figure 2022155172000123

    上記化合物群(s)の化合物中のMは水素原子又はカウンターカチオンを表す。化合物中に複数のMが存在する場合、複数のMはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
  17. 前記着色剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.1~10.0質量%である、請求項14~16のいずれか1項に記載のインク組成物。
  18. さらに、キレート剤を含有する、請求項14~17のいずれか1項に記載のインク組成物。
  19. 前記キレート剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、請求項18に記載のインク組成物。
  20. さらに、防腐剤を含有する、請求項14~19のいずれか1項に記載のインク組成物。
  21. 前記防腐剤の含有量が、インク組成物中の全質量を基準として、0.001~1.0質量%である、請求項20に記載のインク組成物。
  22. さらに、緩衝剤を含有する、請求項14~21のいずれか1項に記載のインク組成物。
  23. 25℃でのpH値が6.5~9.0である、請求項14~22のいずれか1項に記載のインク組成物。
  24. 請求項14~23のいずれか1項に記載のインク組成物を含むインクジェット記録用インク組成物。
  25. インクジェット方式の記録ヘッドを用いて請求項24に記載のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程を有するインクジェット記録方法。

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