JP2022153764A - ガスセンサ、ガス濃度導出方法及びそのプログラム - Google Patents

ガスセンサ、ガス濃度導出方法及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】被測定ガスの組成が変動する際の第1特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制する。【解決手段】ガスセンサ100は、センサ素子101と、制御部91と、を備える。制御部91は、センサ素子101から取得したポンプ電流Ip0に対してポンプ電流Ip0の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った緩変化処理済み電流Ip0nを導出する。制御部91は、センサ素子101から取得したポンプ電流Ip2に対してポンプ電流Ip2の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った緩変化処理済み電流Ip2nを導出する。制御部91は、緩変化処理済み電流Ip0と、センサ素子101から取得した混成電位セル55の起電力EMFと、緩変化処理済み電流Ip2と、に基づいて、第1特定ガスの濃度を導出する。第1緩変化処理は、第2緩変化処理と比べて変化をより緩やかにする処理である、【選択図】図1

Description

本発明は、ガスセンサ、ガス濃度導出方法及びそのプログラムに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガス中のNOxなどの特定ガスの濃度を検出するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1には、酸素イオン伝導性の固体電解質層を備えるセンサ素子と混成電位セルと、主ポンプセルと、補助ポンプセルと、測定用ポンプセルと、を備えたガスセンサが記載されている。このガスセンサでは、主ポンプセルと補助ポンプセルとの動作によって酸素分圧が一定の低い値に保たれた被測定ガスが、測定用ポンプセルに与えられる。そして、被測定ガス中のNOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセルにより汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、NOx濃度を特定する。また、このガスセンサでは、ポンプ電流Ip2だけでなく、混成電位セルに生じる起電力EMFに基づいて特定される被測定ガス中のアンモニア濃度も用いて、ポンプ電流Ip2とアンモニア濃度とに基づくNOx濃度を特定する。これにより、特許文献1では、アンモニア濃度によるポンプ電流Ip2の変動を考慮してNOx濃度を優れた精度で求めることができるとしている。
特開2018-40746号公報
ところで、特許文献1のように混成電位セルと測定用ポンプセルとを備えたガスセンサにおいて、被測定ガスの組成(例えば被測定ガス中の酸素濃度など)が変動する際に、特定ガスの濃度の検出精度が低下する場合があることが判明した。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、被測定ガスの組成が変動する際の第1特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のガスセンサは、
酸素イオン伝導性の固体電解質層を含み、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室の酸素濃度を調整する調整用ポンプセルと、
前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流側に設けられた測定室において前記被測定ガス中の第1特定ガスに由来して発生する酸素の汲み出しを行う測定用ポンプセルと、
前記被測定ガス中の前記第1特定ガスとは異なる第2特定ガスの濃度に応じた起電力を生じる混成電位セルと、
を有するセンサ素子と、
前記調整用ポンプセルが前記酸素濃度調整室の酸素濃度を調整するときに流れる調整用ポンプ電流を取得する調整用ポンプ電流取得部と、
前記測定用ポンプセルが前記測定室の酸素を汲み出すときに流れる測定用ポンプ電流を取得する測定用ポンプ電流取得部と、
前記混成電位セルの前記起電力を取得する起電力取得部と、
前記取得された前記調整用ポンプ電流に対して該調整用ポンプ電流の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った緩変化処理済み調整用ポンプ電流を導出する第1緩変化処理部と、
前記取得された前記測定用ポンプ電流に対して該測定用ポンプ電流の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った緩変化処理済み測定用ポンプ電流を導出する第2緩変化処理部と、
前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力と、前記緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、に基づいて、前記第1特定ガスの濃度を導出する第1特定ガス濃度導出部と、
を備え、
前記第1緩変化処理は、前記第2緩変化処理と比べて変化をより緩やかにする処理である、
ものである。
このガスセンサでは、調整用ポンプ電流と、測定用ポンプ電流と、起電力と、がそれぞれ取得される。ここで、調整用ポンプ電流は、被測定ガス中の酸素濃度と相関がある。測定用ポンプ電流は、被測定ガス中の第1特定ガスの濃度と相関がある。起電力は、第2特定ガスの濃度と相関がある。そして、起電力は被測定ガス中の酸素濃度によっても変化し、測定用ポンプ電流は第2特定ガスの濃度によっても変化する。そのため、調整用ポンプ電流,起電力,及び測定用ポンプ電流を用いることで、被測定ガス中の第1特定ガスの濃度を導出できる。ただし、このガスセンサでは、調整用ポンプ電流に対して第1緩変化処理を行った緩変化処理済み調整用ポンプ電流を導出し、測定用ポンプ電流に対して第2緩変化処理を行った緩変化処理済み測定用ポンプ電流を導出する。第1緩変化処理は、第2緩変化処理と比べて変化をより緩やかにする処理である。そして、緩変化処理済み調整用ポンプ電流と緩変化処理済み測定用ポンプ電流と起電力とに基づいて、第1特定ガスの濃度を導出する。このように、調整用ポンプ電流及び測定用ポンプ電流の代わりに、緩変化処理済み調整用ポンプ電流と緩変化処理済み測定用ポンプ電流とを用いることで、被測定ガスの組成が変動する際の第1特定ガスの濃度の検出精度の低下を抑制できる。この理由は以下である。本発明者らは、混成電位セルの起電力,調整用ポンプセルの調整用ポンプ電流,及び測定用ポンプセルの測定用ポンプ電流が、被測定ガスの組成の変化に対する応答速度が互いに異なり、調整用ポンプ電流、測定用ポンプ電流、起電力の順に応答速度が遅くなる場合があることを見出した。そして、この応答速度のずれにより、調整用ポンプ電流,測定用ポンプ電流,及び起電力をそのまま用いて第1特定ガス濃度を導出すると、被測定ガスの組成が変動する際に第1特定ガスの濃度の検出精度が低下する場合があることを見出した。そこで、本発明者らは、調整用ポンプ電流及び測定用ポンプ電流の代わりに、測定用ポンプ電流の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った後の緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、第2緩変化処理よりも変化をより緩やかにする第1緩変化処理を行った後の緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、を用いることとした。これにより、調整用ポンプ電流、測定用ポンプ電流、起電力の応答速度の差の影響を小さくすることができるため、被測定ガスの組成が変動する際の第1特定ガスの濃度の検出精度の低下を抑制できる。
ここで、第1緩変化処理は、調整用ポンプ電流に換算可能な情報や調整用ポンプ電流と同視できる情報に対してその変化を緩やかにする処理を行う場合を含む。例えば、調整用ポンプ電流に基づいて被測定ガス中の酸素濃度を導出し、導出した酸素濃度の変化を緩やかにするする処理を行って緩変化処理済み酸素濃度を導出してもよい。この場合の緩変化処理済み酸素濃度は、緩変化処理済み調整用ポンプ電流の一種である。同様に、第2緩変化処理は、測定用ポンプ電流に換算可能な情報や測定用ポンプ電流と同視できる情報に対してその変化を緩やかにする処理を行う場合を含む。
本発明のガスセンサは、前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力とに基づいて、前記第2特定ガスの濃度を導出する第2特定ガス濃度導出部、を備えていてもよい。こうすれば、第1特定ガスの濃度に加えて第2特定ガスの濃度も導出できる。また、調整用ポンプ電流の代わりに緩変化処理済み調整用ポンプ電流を用いて、緩変化処理済み調整用ポンプ電流と起電力とに基づいて第2特定ガスの濃度を導出するから、調整用ポンプ電流と起電力との応答速度の差の影響を小さくすることができる。したがって、被測定ガスの組成が変動する際の第2特定ガスの濃度の検出精度の低下を抑制できる。この場合において、前記第1特定ガス濃度導出部は、前記第2特定ガス濃度導出部が導出した前記第2特定ガスの濃度と、前記緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、に基づいて、前記第1特定ガスの濃度を導出してもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記第1緩変化処理部は、前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、該酸素濃度が上昇中である場合と比べて前記調整用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように前記第1緩変化処理を行い、前記第2緩変化処理部は、前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、該酸素濃度が上昇中である場合と比べて前記測定用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように前記第2緩変化処理を行ってもよい。ここで、被測定ガス中の酸素濃度の減少中には、酸素濃度の上昇中よりも混成電位セルの起電力の応答速度が低下する傾向にある。そのため、酸素濃度の減少中には酸素濃度の上昇中よりも調整用ポンプ電流及び測定用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行うことで、酸素濃度の減少中における調整用ポンプ電流、測定用ポンプ電流、及び起電力の応答速度の差の影響を小さくすることができる。したがって、被測定ガス中の酸素濃度の減少時における第1特定ガスの濃度の検出精度の低下をより抑制できる。ここで、「該酸素濃度が上昇中である場合と比べて前記調整用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように前記第1緩変化処理を行い」とは、酸素濃度の上昇中には第1緩変化処理自体を行わない場合も含む。言い換えると、被測定ガス中の酸素濃度の上昇中には調整用ポンプ電流をそのまま緩変化処理済み調整用ポンプ電流として扱ってもよい。第2緩変化処理についても同様である。
本発明のガスセンサにおいて、前記第1緩変化処理部及び前記第2緩変化処理部は、前記調整用ポンプ電流の変化に基づいて前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かを判定してもよい。この場合において、前記第1緩変化処理部及び前記第2緩変化処理部は、被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かと上昇中であるか否かとを判定してもよい。
本発明のガス濃度導出方法は、
酸素イオン伝導性の固体電解質層を含み、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室の酸素濃度を調整する調整用ポンプセルと、
前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流側に設けられた測定室において前記被測定ガス中の第1特定ガスに由来して発生する酸素の汲み出しを行う測定用ポンプセルと、
前記被測定ガス中の前記第1特定ガスとは異なる第2特定ガスの濃度に応じた起電力を生じる混成電位セルと、
を有するセンサ素子を用いたガス濃度導出方法であって、
前記調整用ポンプセルが前記酸素濃度調整室の酸素濃度を調整するときに流れる調整用ポンプ電流を取得する調整用ポンプ電流取得ステップと、
前記測定用ポンプセルが前記測定室の酸素を汲み出すときに流れる測定用ポンプ電流を取得する測定用ポンプ電流取得ステップと、
前記混成電位セルの前記起電力を取得する起電力取得ステップと、
前記取得された前記調整用ポンプ電流に対して該調整用ポンプ電流の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った緩変化処理済み調整用ポンプ電流を導出する第1緩変化処理ステップと、
前記取得された前記測定用ポンプ電流に対して該測定用ポンプ電流の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った緩変化処理済み測定用ポンプ電流を導出する第2緩変化処理ステップと、
前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力と、前記緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、に基づいて、前記第1特定ガスの濃度を導出する第1特定ガス濃度導出ステップと、
を含むものである。
このガス濃度導出方法では、上述したガスセンサと同様に、緩変化処理済み調整用ポンプ電流と緩変化処理済み測定用ポンプ電流と起電力とに基づいて第1特定ガスの濃度を導出するため、被測定ガスの組成が変動する際の第1特定ガスの濃度の検出精度の低下を抑制できる。なお、このガス濃度導出方法において、上述したガスセンサの種々の態様を採用してもよいし、また、上述したガスセンサの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述したガス濃度導出方法のステップを1以上のコンピューターに実行させるものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、上述したガス濃度導出方法の各ステップが実行されるため、この方法と同様の作用効果が得られる。
ガスセンサ100の断面模式図。 制御装置90と各セルとの電気的な接続関係を示すブロック図。 記憶部94に記憶されたアンモニア濃度導出用対応関係の概念図。 記憶部94に記憶されたNOx濃度導出用対応関係の概念図。 被測定ガス中の酸素濃度が変化した場合のポンプ電流Ip0及び起電力EMFの時間変化を示すグラフ。 比較例,実施例1における基準値からのアンモニア濃度のずれ量の時間変化を示すグラフ。 第1実施形態の濃度導出処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 第2実施形態の緩変化処理済み電流Ip0nを示すグラフ。 比較例,実施例2における基準値からのアンモニア濃度のずれ量の時間変化を示すグラフ。 第2実施形態の濃度導出処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
[第1実施形態]
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。図2は、制御装置90と各セルとの電気的な接続関係を示すブロック図である。このガスセンサ100は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関の排ガス管などの配管に取り付けられる。ガスセンサ100は、内燃機関の排ガスを被測定ガスとして、被測定ガス中の第1特定ガスの濃度と、被測定ガス中の第2特定ガスの濃度とを検出するようになっている。本実施形態では、第1特定ガスがNOxであり、第2特定ガスがアンモニアである場合について説明する。
ガスセンサ100は、センサ素子101と、ガスセンサ100全体を制御する制御装置90と、を備えている。センサ素子101は、長尺な直方体形状をした素子本体101aと、素子本体101aの一部を含んで構成される各セル21,41,50,55,80~83と、素子本体101aを被覆する多孔質の保護層85と、を備えている。図1に示すように、素子本体101aの長手方向を前後方向、素子本体101aの厚み方向を上下方向とする。また、素子本体101aの幅方向(長手方向及び厚み方向に垂直な方向)を左右方向とする。
センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された積層体(素子本体101a)を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
素子本体101aの前端側(図1の左端部側)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所61とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画された素子本体101a内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。また、第4拡散律速部60は、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第3内部空所61に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
また、被測定ガス流通部よりも前端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。
大気導入層48は、多孔質セラミックスからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内,第2内部空所40内,及び第3内部空所61内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。基準電極42は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。
被測定ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間から素子本体101a内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、素子本体101aの外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10から素子本体101aの内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの圧力変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの圧力変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。外側ポンプ電極23は、被測定ガスに接触するように素子本体101aの外側の設けられている。本実施形態では、具体的には、外側ポンプ電極23は素子本体101aの上面に設けられている。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに
接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力(電圧V0)を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、電圧V0が目標値となるように可変電源24のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を行うための空間として設けられている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体
に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、素子本体101aの外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力(電圧V1)に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その電圧V0の上述した目標値が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
第4拡散律速部60は、第2内部空所40で補助ポンプセル50の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第3内部空所61に導く部位である。第4拡散律速部60は、第3内部空所61に流入するNOxの量を制限する役割を担う。
第3内部空所61は、あらかじめ第2内部空所40において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第4拡散律速部60を通じて導入された被測定ガスに対して、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所61において、測定用ポンプセル41の動作により行われる。
測定用ポンプセル41は、第3内部空所61内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を、内側ポンプ電極22よりも高めた材料にて構成された多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第3内部空所61内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力(電圧V2)に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部60を通じて第3内部空所61内の測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された電圧V2が一定(目標値)となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力(電圧Vref)によりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
また、素子本体101aには、検知電極56が配設されている。検知電極56は、被測定ガスと接触するように素子本体101aの外側に配設されている。より具体的には、検知電極56は、素子本体101aの上面に配設されている。また、検知電極56は、素子本体101aのうち外側ポンプ電極23よりも後方に配設されている。この検知電極56と、基準電極42と、両電極間の固体電解質層である第2固体電解質層6,スペーサ層5,第1固体電解質層4,及び第3基板層3とによって、混成電位セル55が構成されている。混成電位セル55では、検知電極56において被測定ガス中のアンモニア濃度に応じた混成電位(起電力EMF)が生じる。そして、検知電極56と基準電極42との間の起電力EMFの値が被測定ガス中のアンモニア濃度の検出及びNOx濃度の検出に用いられる。検知電極56は、アンモニア濃度に応じた混成電位を生じ、アンモニア濃度に対する検出感度を有する材料を主成分として構成されている。検知電極56は、例えば金(Au)などの貴金属を主成分としてもよいし、導電性酸化物を主成分としてもよい。貴金属を主成分とする場合、検知電極56は、Au-Pt合金を主成分とすることが好ましい。ここで、主成分とは、含まれる成分全体のうち存在量(atm%,原子量比)が最も多い成分をいうものとする。本実施形態では、検知電極56は、Au-Pt合金とジルコニアとの多孔質サーメット電極とした。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、素子本体101aを加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75とを備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、素子本体101aを形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第3内部空所61の全域に渡って埋設されており、素子本体101a全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3及び大気導入層48を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
ここで、センサ素子101のうち主に第1特定ガス濃度(ここではNOx濃度)を検出するため用いられる部分(本実施形態では各セル21,41,50,55,80~83)を、検出部とも称する。検出部は、素子本体101aのうちの前側、すなわち素子本体101aの前後方向の中央よりも素子本体101aの前端に近い領域に、配設されている。したがって、検出部に含まれる各電極22,23,42,44,51,56も、素子本体101aのうちの前側に配設されている。
センサ素子101は、図1に示すように、緩衝層84を備えている。緩衝層84は、多孔質体であり、素子本体101aの表面に配設されて保護層85と素子本体101aとを接着する役割を果たす。緩衝層84は、第2固体電解質層6の上面の少なくとも一部を被覆する上側緩衝層84aと、第1基板層1の下面の少なくとも一部を被覆する下側緩衝層84bと、を備えている。上側緩衝層84aは、検知電極56及び外側ポンプ電極23も被覆している。上側緩衝層84a及び下側緩衝層84bの各々は、素子本体101aの前端から、検出部に含まれる各電極22,23,42,44,51,56よりも後方までの領域に存在している。また、上側緩衝層84a及び下側緩衝層84bの各々は、被測定ガス流通部の後端及び保護層85の後端よりも後方まで存在している。緩衝層84は、例えばアルミナ、ジルコニア、スピネル、コージェライト,マグネシアなどの多孔質セラミックスからなるものである。緩衝層84の主成分は、保護層85の主成分と同じであることが好ましい。本実施形態では、緩衝層84はアルミナからなる多孔質セラミックスであるものとした。
保護層85は、多孔質体であり、素子本体101aの前端部の周辺、より具体的には検出部が存在する領域の周囲を被覆している。保護層85は、素子本体101aの前端面を全て被覆し、素子本体101aの上下左右の面の一部を被覆している。保護層85は緩衝層84よりも外側に配置されており、上側緩衝層84aの上面及び下側緩衝層84bの下面を被覆している。保護層85は、被測定ガス流通部の後端よりも後方まで存在している。保護層85は、例えば被測定ガス中の水分等が付着して素子本体101aにクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。保護層85は、例えばアルミナ、ジルコニア、スピネル、コージェライト,マグネシアなどの多孔質セラミックスからなるものである。本実施形態では、保護層85はアルミナからなる多孔質セラミックスであるものとした。保護層85は多孔質体であるため、被測定ガスは保護層85の内部を流通してガス導入口10に到達可能である。また、保護層85及び緩衝層84は多孔質体であるため、被測定ガスは保護層85及び緩衝層84の内部を流通して外側ポンプ電極23及び検知電極56に到達可能である。なお、センサ素子101は緩衝層84及び保護層85を備えなくてもよい。
制御装置90は、図2に示すように、上述した可変電源24,46,52と、制御部91と、を備えている。
制御部91は、CPU92,図示しないRAM,及び記憶部94などを備えたマイクロプロセッサである。記憶部94は、例えばEEPROMなどの情報の書き換えが可能な不揮発性メモリであり、処理プログラム及び各種データを記憶する装置である。制御部91は、混成電位セル55にて検出される起電力EMF、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80にて検出される電圧V0、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される電圧V1、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出される電圧V2、センサセル83にて検出される電圧Vref、主ポンプセル21にて検出されるポンプ電流Ip0、補助ポンプセル50にて検出されるポンプ電流Ip1及び測定用ポンプセル41にて検出されるポンプ電流Ip2を入力する。また、制御部91は、可変電源24,46,52が出力する電圧Vp0,Vp1,Vp2を制御し、これにより、主ポンプセル21,測定用ポンプセル41及び補助ポンプセル50を制御する。記憶部94には、後述する目標値V0*,V1*,V2*、後述する酸素濃度導出用対応関係,アンモニア濃度導出用対応関係及びNOx濃度導出用対応関係なども記憶されている。制御部91のCPU92は、これらの目標値V0*,V1*,V2*を参照して、各セル21,41,50の制御を行う。また、制御部91は、ヒータ72に通電する図示しないヒータ電源を制御して、ヒータ電源がヒータ72に供給する電力を制御する。
制御部91は、電圧V0が目標値(目標値V0*と称する)となるように(つまり第1内部空所20の酸素濃度が目標濃度となるように)可変電源24のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御する。そのため、ポンプ電流Ip0は被測定ガスの酸素濃度に応じて変化する。これにより、制御部91は、ポンプ電流Ip0に基づいて被測定ガス中の酸素濃度を検出できる。例えば、ポンプ電流Ip0と被測定ガス中の酸素濃度との対応関係(酸素濃度導出用対応関係と称する)を表す関係式又はマップなどを予め実験により作成して記憶部94に記憶しておく。そして、制御部91は主ポンプセル21から取得したポンプ電流Ip0とこの対応関係とを用いて、被測定ガス中の酸素濃度を検出する。酸素濃度導出用対応関係では、例えばポンプ電流Ip0の値が大きいほど被測定ガス中の酸素濃度が高くなるように、ポンプ電流Ip0と被測定ガス中の酸素濃度とが対応付けられている。
また、制御部91は、電圧V1が一定値(目標値V1*と称する)となるように(つまり第2内部空所40の酸素濃度がNOxの測定に実質的に影響がない所定の低酸素濃度となるように)可変電源52の電圧Vp1をフィードバック制御する。これとともに、制御部91は、電圧Vp1によって流れるポンプ電流Ip1が一定値(目標値Ip1*と称する)となるように、ポンプ電流Ip1に基づいて電圧V0の目標値V0*を設定(フィードバック制御)する。これにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となる。また、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧が、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御される。目標値V0*は、第1内部空所20の酸素濃度が0%よりは高く且つ低酸素濃度となるような値に設定される。
また、制御部91は、混成電位セル55の起電力EMFを取得し、起電力EMFに基づいて被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する。起電力EMFは被測定ガス中の酸素の影響も受けるため、制御部91は、起電力EMFと、ポンプ電流Ip0に基づいて導出した被測定ガス中の酸素濃度と、を用いて被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する。本実施形態では、記憶部94に、被測定ガス中の酸素濃度と起電力EMFと被測定ガス中のアンモニア濃度との対応関係を表すアンモニア濃度導出用対応関係が記憶されている。図3は、記憶部94に記憶されたアンモニア濃度導出用対応関係の一例を示す概念図である。本実施形態のアンモニア濃度導出用対応関係では、図3に示すように、アンモニア濃度が高いほど起電力EMFが大きくなり、酸素濃度が低いほど起電力EMFが大きくなる傾向となるように、アンモニア濃度,酸素濃度,及び起電力EMFが対応付けられている。なお、図3では、横軸を対数軸として示しており、酸素濃度が一定の場合のアンモニア濃度の対数と起電力EMFとの関係は直線になっている(直線L1~L4)。アンモニア濃度導出用対応関係は、マップ(値を対応付けた表)であってもよいし、関係式(例えば直線L1~L4を表す各々の関係式)であってもよい。このようなアンモニア濃度導出用対応関係は、予め実験により作成されて記憶部94に記憶しておくことができる。制御部91は被測定ガス中の酸素濃度と起電力EMFとこのアンモニア濃度導出用対応関係とを用いて、被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する。これにより、制御部91は、酸素濃度による起電力EMFへの影響を加味したアンモニア濃度を導出できる。言い換えると、制御部91は、酸素濃度による起電力EMFの誤差を補正したアンモニア濃度を導出できる。
さらに、制御部91は、電圧V2が一定値(目標値V2*と称する)となるように(つまり第3内部空所61内の酸素濃度が所定の低濃度になるように)可変電源46の電圧Vp2をフィードバック制御する。これにより、被測定ガス中のNOxが第3内部空所61で還元されることにより発生した酸素が実質的にゼロとなるように、第3内部空所61内から酸素が汲み出される。そして、制御部91は、第1特定ガス(ここではNOx)に由来して第3内部空所61で発生する酸素に応じた検出値としてのポンプ電流Ip2を取得し、このポンプ電流Ip2に基づいて被測定ガス中のNOx濃度を導出する。
ポンプ電流Ip2は、被測定ガス中のアンモニアの影響も受ける。これは、以下の理由による。被測定ガス中にアンモニアが含まれると、アンモニアが被測定ガス流通部内で酸素と反応してNOが生じ、そのNOに由来して第3内部空所61内で酸素が発生する。そのため、測定用ポンプセル41が汲み出す酸素には、このようなアンモニア由来の酸素が含まれてしまう。したがって、ポンプ電流Ip2の値は被測定ガス中のアンモニア濃度によっても変化する。そのため、制御部91は、ポンプ電流Ip2と、上述した起電力EMFに基づいて導出した被測定ガス中のアンモニア濃度と、を用いて被測定ガス中のNOx濃度を検出する。本実施形態では、記憶部94に、ポンプ電流Ip2と、被測定ガス中のアンモニア濃度と、被測定ガス中のNOx濃度との対応関係を表すNOx濃度導出用対応関係が記憶されている。図4は、記憶部94に記憶されたNOx濃度導出用対応関係の一例を示す概念図である。本実施形態のNOx濃度導出用対応関係では、図4に示すように、NOx濃度(図4の例ではNO濃度)が高いほどポンプ電流Ip2が大きくなり、ポンプ電流Ip2が同じ値のときにアンモニア濃度が高いほどNO濃度が低くなる傾向となるように、ポンプ電流Ip2,アンモニア濃度,及びNO濃度が対応付けられている。また、NO濃度が一定の場合のアンモニア濃度とポンプ電流Ip2との関係は直線になっている(直線M1~M5)。NOx濃度導出用対応関係は、マップ(値を対応付けた表)であってもよいし、関係式(例えば直線M1~M5を表す各々の関係式)であってもよい。このようなNOx濃度導出用対応関係は、予め実験により作成されて記憶部94に記憶しておくことができる。制御部91は、被測定ガス中のアンモニア濃度とポンプ電流Ip2とこのNOx濃度導出用対応関係とを用いて、被測定ガス中のNOx濃度を検出する。これにより、制御部91は、アンモニア濃度によるポンプ電流Ip2への影響を加味したNOx濃度を導出できる。言い換えると、制御部91は、アンモニア濃度によるポンプ電流Ip2の誤差を補正したNOx濃度を導出できる。
本発明者らは、混成電位セル55の起電力EMF,主ポンプセル21のポンプ電流Ip0,及び測定用ポンプセル41のポンプ電流Ip2が、被測定ガスの組成の変化に対する応答速度が互いに異なり、ポンプ電流Ip0、ポンプ電流Ip2、起電力EMFの順に応答速度が遅くなる場合があることを見出した。そして、この応答速度のずれにより、ポンプ電流Ip0、ポンプ電流Ip2、起電力EMFをそのまま用いてNOx濃度を導出すると、被測定ガスの組成(例えば被測定ガス中の酸素濃度やアンモニア濃度など)が変動する際にNOx濃度の検出精度が低下する場合があることを見出した。図5は、被測定ガス中の酸素濃度が変化した場合のポンプ電流Ip0及び起電力EMFの時間変化を示すグラフである。図5は、被測定ガス中のアンモニア濃度を一定とした状態で、時刻t1から時刻t3までの間に被測定ガス中の酸素濃度が上昇し、時刻t8から時刻t10までの間に被測定ガス中の酸素濃度が減少した場合のポンプ電流Ip0及び起電力EMFの時間変化を示している。なお、上述したように、被測定ガス中の酸素濃度が高くなるとポンプ電流Ip0は大きくなる。また、図3を用いて説明したように、被測定ガス中の酸素濃度が高くなると起電力EMFは小さくなる。図5の破線で示すように、ポンプ電流Ip0は酸素濃度の上昇期間と同じ時刻t1から時刻t3の期間に上昇して、時刻t3から時刻t8まではほぼ一定の値となった。同様に、ポンプ電流Ip0は酸素濃度の減少期間と同じ時刻t8から時刻t10の期間に減少して、時刻t10からはほぼ一定の値となった。これに対し、図5に二点鎖線で示す起電力EMFは、時刻t1から時刻t5の期間に減少しており、酸素濃度の上昇が終了した時刻t3以降も減少が続いた。また、起電力EMFは、時刻t8から時刻t16の期間に上昇しており、酸素濃度の減少が終了した時刻t10以降も上昇が続いた。このように、ポンプ電流Ip0は被測定ガス中の酸素濃度の変化に対する応答速度が早く、起電力EMFは被測定ガス中の酸素濃度の変化に対する応答速度が遅かった。また、図示は省略するが、被測定ガス中のNOx濃度を変化させてポンプ電流Ip2の時間変化を調べたところ、ポンプ電流Ip2は、ポンプ電流Ip0よりは応答速度が遅く、起電力EMFよりは応答速度が速かった。
このようにポンプ電流Ip0、ポンプ電流Ip2,及び起電力EMFの応答速度が異なる理由は、以下のように考えられる。センサ素子101は、検出部が設けられた前側部分が図示しない保護カバーに覆われた状態で使用される。センサ素子101の前端付近は保護カバー内に流入した被測定ガスが到達しやすい位置に配置される場合が多く、一方で検知電極56は外側ポンプ電極23よりも後方に配置されているため、被測定ガスは検知電極56よりもガス導入口10に比較的早く到達する。また、主ポンプセル21,補助ポンプセル50及び測定用ポンプセル41が被測定ガス流通部内の酸素を汲み出すため、ガス導入口10に到達した被測定ガスは被測定ガス流通部内に吸い込まれやすい。そのため、被測定ガス流通部内の内側ポンプ電極22及び測定電極44の周辺の被測定ガスは比較的早く置換されるから、センサ素子101の周辺の被測定ガスの組成が変化すると内側ポンプ電極22及び測定電極44の周辺の被測定ガスの組成も比較的短時間で変化する。これに対して、検知電極56の周辺では酸素の汲み出しなどは行われないため、検知電極56の周辺の被測定ガスの置換には比較的時間がかかる。以上のように、被測定ガス流通部内は検知電極56と比べて被測定ガスの到達時間が早かったり電極周辺の被測定ガスの置換時間が短かったりすることで、ポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の応答速度は起電力EMFよりも早くなっていると考えられる。また、第3内部空所61は被測定ガス流通部のうちの第1内部空所20の下流側に位置するから、ポンプ電流Ip2の応答速度はポンプ電流Ip0よりも遅くなる。これらにより、センサ素子101ではポンプ電流Ip0、ポンプ電流Ip2、起電力EMFの順に応答速度が遅くなっていると考えられる。
このようにポンプ電流Ip0、ポンプ電流Ip2、及び起電力EMFの応答速度が異なっている場合、これらの値をそのまま用いてNOx濃度を導出すると、NOx濃度の検出精度が低下する場合がある。これについて説明する。図6は、被測定ガス中の酸素濃度が変化した場合の基準値からのアンモニア濃度のずれ量の時間変化を示すグラフである。図6に破線で示した比較例のグラフは、時刻t0~t17の各々について、図5のポンプ電流Ip0及び起電力EMFをそのまま用いて上述したアンモニア濃度導出用対応関係から導出したアンモニア濃度の時間変化を示している。また、図6の縦軸は、被測定ガス中のアンモニア濃度の基準値(正しいアンモニア濃度の値)からの、導出したアンモニア濃度のずれ量を示している。ずれ量が0に近いほど、アンモニア濃度の検出精度が高いことを意味する。図6に示すように、比較例のグラフでは、時刻t2~t4において、ポンプ電流Ip0及び起電力EMFから導出されたアンモニア濃度が基準値よりも高い値になっており、アンモニア濃度の検出精度が低下していた。これは、上述したようにポンプ電流Ip0よりも起電力EMFの方が応答速度が遅いことが理由である。例えば時刻t2では、図5に示したように時刻t1よりも被測定ガス中の酸素濃度が上昇しており、ポンプ電流Ip0はこの酸素濃度の上昇に応じて比較的早く値が変化している。これに対し、検知電極56の周辺では酸素濃度の上昇が遅いことから、時刻t2における起電力EMFの値の変化(ここでは減少)は遅くなっている。そのため、時刻t2におけるポンプ電流Ip0及び起電力EMFをそのまま用いてアンモニア濃度導出用対応関係からアンモニア濃度を導出すると、検知電極56の周辺の実際の酸素濃度よりもポンプ電流Ip0に基づいて導出される酸素濃度の方が高いことから、アンモニア濃度が実際よりも高い値として導出されてしまう。時刻t3,t4においても、時刻t2と同様に起電力EMFが遅れて変化していることで、図6に示すようにアンモニア濃度の検出精度が低下してしまう。比較例のグラフの時刻t9~t15では、時刻t2~t4とは逆に起電力EMFの上昇が遅れることで、ポンプ電流Ip0及び起電力EMFをそのまま用いて導出されるアンモニア濃度が実際よりも低い値になってしまい、やはりアンモニア濃度の検出精度が低下してしまう。このように、ポンプ電流Ip0及び起電力EMFをそのまま用いると、被測定ガスの組成が変動する際に、アンモニア濃度の検出精度が低下する。アンモニア濃度の検出精度が低下すると、そのアンモニア濃度とポンプ電流Ip2とを用いて上述したNOx濃度導出用対応関係から導出したNOx濃度についても、被測定ガス中の実際のNOx濃度からのずれが生じてしまう。したがって、アンモニア濃度の検出精度が低下するとNOx濃度の検出精度も低下する。また、ポンプ電流Ip2とポンプ電流Ip0及び起電力EMFとの間にも応答速度のずれがあるから、このずれによってもNOx濃度の検出精度が低下する。
そこで、本発明者らは、ポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の代わりに、ポンプ電流Ip0の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った後の緩変化処理済み電流Ip0nと、ポンプ電流Ip2の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った後の緩変化処理済み電流Ip2nと、を用いることとした。また、第1緩変化処理は、第2緩変化処理と比べて電流の変化をより緩やかにする処理とした。図5では、破線のポンプ電流Ip0に対して第1緩変化処理を行った緩変化処理済み電流Ip0nの一例を、実線で示している。図5に示すように、時刻t1から時刻t3までの期間で変化が生じているポンプ電流Ip0と比べて、緩変化処理済み電流Ip0nは変化が緩やかになっており、その分だけ時刻t1から時刻t5までという長い期間で変化が生じている。同様に、時刻t8から時刻t10までの期間で変化が生じているポンプ電流Ip0と比べて、緩変化処理済み電流Ip0nは時刻t8から時刻t12までという長い期間で緩やかな変化が生じている。このように、第1緩変化処理が行われることで、緩変化処理済み電流Ip0nはポンプ電流Ip0と比べて応答速度を遅らせた値になっている。そのため、ポンプ電流Ip0の代わりに緩変化処理済み電流Ip0nを用いることで、ポンプ電流Ip0と起電力EMFとの応答速度の差の影響を小さくすることができる。例えば、図6では、この緩変化処理済み電流Ip0nと起電力EMFとを用いてアンモニア濃度導出用対応関係から導出したアンモニア濃度の時間変化を、実施例1のグラフとして実線で示している。実施例1のグラフは、時刻t2~t4及び時刻t9~t11において基準値からのアンモニア濃度のずれ量が比較例1と比べてゼロに近くなっており、実施例1ではアンモニア濃度の測定精度の低下が抑制されていることがわかる。そして、このように緩変化処理済み電流Ip0nを用いて導出されたアンモニア濃度を用いることで、上述したNOx濃度の検出精度の低下も抑制できる。また、ポンプ電流Ip2について第2緩変化処理を行って得られる緩変化処理済み電流Ip2nを用いることで、ポンプ電流Ip2と起電力EMFとの間の応答速度の差の影響も小さくすることができる。そのため、これによってもNOx濃度の検出精度の低下が抑制される。以上のように、ポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の代わりに、緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nを用いることで、ポンプ電流Ip0,ポンプ電流Ip2及び起電力EMFの応答速度の差の影響を小さくすることができるため、被測定ガスの組成が変動する際のNOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
次に、制御部91のCPU92が緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nを用いてNOx濃度を導出する一例について図7を用いて説明する。図7は濃度導出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この濃度導出処理ルーチンを制御部91が実行するためのプログラムは、例えば記憶部94に予め記憶されている。CPU92は、例えば制御装置90の電源がオンされると、まず、ヒータ72に通電してセンサ素子101を固体電解質が活性化する温度(例えば800℃)に維持する。続いて、CPU92は、上述した各ポンプセル21,41,50の制御や、上述した各センサセル80~83からの各電圧V0,V1,V2,Vrefの取得、及び混成電位セル55からの起電力EMFの取得を開始する。また、CPU92は、例えば所定時間毎に濃度導出処理ルーチンを繰り返し実行する。
CPU92は、濃度導出処理ルーチンを開始すると、まず、主ポンプセル21のポンプ電流Ip0,測定用ポンプセル41のポンプ電流Ip2,及び混成電位セル55の起電力EMFを取得する(ステップS100)。次に、CPU92は、取得したポンプ電流Ip0に基づいて第1緩変化処理を行って、緩変化処理済み電流Ip0nを導出する(ステップS150)。本実施形態では、取得したポンプ電流Ip0に対して下記式(1)で表される第1緩変化処理を行うことで、緩変化処理済み電流Ip0nを導出する。式(1)中の“前回Ip0n”は、本ルーチンが前回実行されたときにステップS150で導出された緩変化処理済み電流Ip0nの値である。“今回Ip0”は、今回のステップS100で取得されたポンプ電流Ip0の値である。“T1a”は、第1緩変化処理における時定数であり、1より大きい値である。この時定数T1aが大きいほど、ポンプ電流Ip0の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理が行われる。式(1)からわかるように、第1緩変化処理では、時定数T1aが大きいほど、前回Ip0nと今回Ip0との差に比べて前回Ip0nからの差が小さくなるような値として、今回の緩変化処理済み電流Ip0nを導出する。例えば、濃度導出処理ルーチンが図6の時刻t2に行われる場合には、時刻t2における点bの値が今回Ip0であり、前回(時刻t1)における点aの値が前回Ip0nである。そして、この点a,bの値と式(1)とに基づいて導出される緩変化処理済み電流Ip0nが、図6の時刻t2における点cである。時定数T1aの値は、ポンプ電流Ip0と起電力EMFとの応答速度の差に応じて予め定められており、記憶部94に記憶されている。なお、図6の時刻t0で濃度導出処理ルーチンが行われる場合のように、前回Ip0nが存在しない場合は、CPU92は、ステップS100で取得した今回Ip0をそのまま緩変化処理済み電流Ip0nとすればよい。また、図6の時刻t1のように、前回Ip0n(時刻t0のIp0n)と今回Ip0(時刻t1のIp0)とが同じ値である場合は、今回Ip0(=前回Ip0n)と緩変化処理済み電流Ip0nとが同じ値になる。
Ip0n=前回Ip0n+(今回Ip0-前回Ip0n)/T1a (1)
(ただし、T1a>1)
次に、CPU92は、取得したポンプ電流Ip2に基づいて第2緩変化処理を行って、緩変化処理済み電流Ip2nを導出する(ステップS160)。本実施形態では、取得したポンプ電流Ip2に対して下記式(2)で表される第2緩変化処理を行うことで、緩変化処理済み電流Ip2nを導出する。式(2)は、式(1)と同様の式であり、式(2)中の“前回Ip2n”は、本ルーチンが前回実行されたときにステップS160で導出された緩変化処理済み電流Ip2nの値である。“今回Ip2”は、今回のステップS100で取得されたポンプ電流Ip2の値である。“T2a”は、第2緩変化処理における時定数であり、1より大きい値である。この時定数T2aが大きいほど、ポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように第2緩変化処理が行われる。上述したように、ポンプ電流Ip2の応答速度はポンプ電流Ip0の応答速度よりも遅い(起電力EMFの応答速度に近い)ことから、第2緩変化処理と比べて第1緩変化処理の方が電流の変化をより緩やかにする処理としている。そのため、時定数T2aは時定数T1aよりも小さい値とする。時定数T2aの値は、ポンプ電流Ip2と起電力EMFとの応答速度の差に応じて予め定められており、記憶部94に記憶されている。なお、ステップS150と同様に、ステップS160において前回Ip2nが存在しない場合は、CPU92は、ステップS100で取得した今回Ip2をそのまま緩変化処理済み電流Ip2nとすればよい。
Ip2n=前回Ip2n+(今回Ip2-前回Ip2n)/T2a (2)
(ただし、T1a>T2a>1)
続いて、CPU92は、ステップS150で導出した緩変化処理済み電流Ip0n、及びステップS100で取得した起電力EMFに基づいて、被測定ガス中のアンモニア濃度を導出する(ステップS170)。これにより、例えば図6の時刻t2では、ステップS100で取得したポンプ電流Ip0(点b)の値ではなく、緩変化処理済み電流Ip0n(点c)を用いてアンモニア濃度が導出される。また、本実施形態では、CPU92は、上述した酸素濃度導出用対応関係を用いて緩変化処理済み電流Ip0nに対応する被測定ガス中の酸素濃度を導出し、導出した酸素濃度と、起電力EMFと、図3に示したアンモニア濃度導出用対応関係と、を用いて、アンモニア濃度を導出する。例えば、緩変化処理済み電流Ip0nに対応する酸素濃度が10%であり、起電力EMFが値Va[mV]であった場合には、CPU92が図3のアンモニア濃度導出用対応関係に基づいて導出する被測定ガス中のアンモニア濃度は10ppmとなる。
そして、CPU92は、ステップS170で導出したアンモニア濃度、及びステップS160で導出した緩変化処理済み電流Ip2nに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を導出する(ステップS180)。これにより、ステップS100で取得したポンプ電流Ip2の値ではなく、緩変化処理済み電流Ip2nを用いてNOx濃度が導出される。本実施形態では、CPU92は、ステップS170で導出したアンモニア濃度と、ステップS160で導出した緩変化処理済み電流Ip2nと、図4に示したNOx濃度導出用対応関係と、を用いて、NOx濃度を導出する。例えば、緩変化処理済み電流Ip2nが値Ia[μm]であり、アンモニア濃度が200ppmであった場合には、CPU92が図4のNOx濃度導出用対応関係に基づいて導出する被測定ガス中のNO濃度は200ppmとなる。なお、CPU92は、ステップS170及びステップS180において、図3のアンモニア濃度導出用対応関係及び図4のNOx濃度導出用対応関係を用いる際に、線形補間などの補間を適宜行ってもよい。
ステップS180の処理を実行すると、CPU92は、本ルーチンを終了して、次の濃度導出処理ルーチンを実行する。これにより、CPU92は、濃度導出処理ルーチンを繰り返し実行する。CPU92は、ステップS180を実行する毎に、導出したNOx濃度及びアンモニア濃度をエンジンECUに送信してもよい。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の素子本体101aが本発明の素子本体に相当し、第1内部空所20及び第2内部空所40が酸素濃度調整室に相当し、主ポンプセル21が調整用ポンプセルに相当し、第3内部空所61が測定室に相当し、測定用ポンプセル41が測定用ポンプセルに相当し、混成電位セル55が混成電位セルに相当し、センサ素子101がセンサ素子に相当し、ポンプ電流Ip0が調整用ポンプ電流に相当し、ポンプ電流Ip2が測定用ポンプ電流に相当し、起電力EMFが起電力に相当し、制御部91が調整用ポンプ電流取得部,測定用ポンプ電流取得部,起電力取得部,第1緩変化処理部,第2緩変化処理部,及び第1特定ガス濃度導出部に相当する。また、制御部91が第2特定ガス濃度導出部に相当する。なお、本実施形態では、ガスセンサ100の動作を説明することにより本発明のガス濃度導出方法の一例も明らかにしている。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、CPU92は、ポンプ電流Ip0に基づいて緩変化処理済み電流Ip0nを導出し、ポンプ電流Ip2に基づいて緩変化処理済み電流Ip2nを導出する。そして、CPU92は、緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nと、起電力EMFとに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を導出する。これにより、ポンプ電流Ip0とポンプ電流Ip2と起電力EMFとの応答速度の差の影響を小さくすることができる。したがって、被測定ガスの組成が変動する際のNOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
また、CPU92は、緩変化処理済み電流Ip0nと起電力EMFとに基づいて、被測定ガス中のアンモニア濃度を導出するから、NOx濃度に加えてアンモニア濃度も導出できる。このとき、ポンプ電流Ip0の代わりに緩変化処理済み電流Ip0nを用いてアンモニア濃度を導出するから、ポンプ電流Ip0と起電力EMFとの応答速度の差の影響を小さくすることができる。したがって、被測定ガスの組成が変動する際のアンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
[第2実施形態]
本実施形態では、被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、酸素濃度が上昇中である場合と比べて、ポンプ電流の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行う場合について説明する。ここでは、第1実施形態と同様のガスセンサ100を用いる。
上述した第1実施形態では、混成電位セル55の起電力EMFの応答速度がポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の応答速度よりも遅いことを説明した。これに関して、被測定ガス中の酸素濃度の減少時には、酸素濃度の上昇時よりも起電力EMFの応答速度がより低下する傾向にある。例えば、図5に二点鎖線で示した起電力EMFのグラフでは、酸素濃度が時刻t1から上昇する場合に、起電力EMFは時刻t1から時刻t5の期間で変動が生じている。これに対し、酸素濃度が時刻t8から減少した場合には、起電力EMFは時刻t8から時刻t16までの期間で変動(ここでは上昇)が生じており、時刻t1から時刻t5までの期間よりも長い期間に亘って起電力EMFの変動が生じている。すなわち、図5の起電力EMFは酸素濃度の上昇時よりも酸素濃度の減少時の方が応答速度が低下している。この理由は、以下のように考えられる。まず、検知電極56の内部あるいは表面には被測定ガス中の酸素が吸着している。そのため、被測定ガス中の酸素濃度が減少しても検知電極56に吸着している酸素が残留することから、起電力EMFが酸素濃度の減少後の値となって安定するまでには時間がかかると考えられる。これに対し、被測定ガス中の酸素濃度が増加する際には、検知電極56の内部あるいは表面に吸着する酸素も速やかに増加するため、酸素濃度の減少時と比べて起電力EMFが速やかに酸素濃度の上昇後の値となる。これにより、起電力EMFは酸素濃度の上昇時よりも酸素濃度の減少時の方が応答速度が低下すると考えられる。
このことから、第1実施形態のように、酸素濃度の上昇時と酸素濃度の減少時とで同じように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行うと、酸素濃度の減少時にはポンプ電流Ip0とポンプ電流Ip2と起電力EMFとの応答速度の差の影響を十分小さくすることができず、アンモニア濃度やNOx濃度の検出精度の低下を抑制する効果が小さくなる場合がある。例えば図6の実施例1のグラフにおいても、酸素濃度の上昇時の時刻t2~t4では基準値からのアンモニア濃度のずれ量がほぼゼロであるのに対し、酸素濃度の減少時の時刻t9~t11では比較例よりは基準値からのアンモニア濃度のずれ量が小さくなっているが、ずれ量はゼロにはなっていない。また、時刻t12~t15では、図5に示すように緩変化処理済み電流Ip0nの変化が終了しており緩変化処理済み電流Ip0nとポンプ電流Ip0nとが同じ値になっているが、起電力EMFは変動中である。そのため、図6に示すように時刻t12~t15では実施例1と比較例1とで基準値からのアンモニア濃度のずれ量が同じになっている。
そこで、本実施形態では、被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、酸素濃度が上昇中である場合と比べて、ポンプ電流の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行う。図8は、第2実施形態の緩変化処理済み電流Ip0nを示すグラフである。図8中のポンプ電流Ip0及び起電力EMFは、図5と同じである。図8の緩変化処理済み電流Ip0nは、酸素濃度が減少中である時刻t8から時刻t10の期間,及びその後の時刻t10から時刻t16までの期間において、図5の緩変化処理済み電流Ip0nと比較してポンプ電流Ip0の変化をより緩やかにした値になっている。この図8のような緩変化処理済み電流Ip0nを用いることで、酸素濃度の減少に伴って起電力EMFの応答速度がより低下した場合の、ポンプ電流Ip0と起電力EMFとの応答速度の差の影響を小さくすることができる。例えば、図9では、図8の緩変化処理済み電流Ip0nと起電力EMFとを用いてアンモニア濃度導出用対応関係から導出したアンモニア濃度の時間変化を、実施例2のグラフとして実線で示している。図9に示すように、実施例2のグラフは、比較例1と比べてアンモニア濃度の測定精度の低下が抑制されている。さらに、実施例2のグラフは、時刻t9~t15の期間において、図7に示した実施例1よりもアンモニア濃度の測定精度の低下が抑制されている。そして、このように図8の緩変化処理済み電流Ip0nを用いて導出されたアンモニア濃度を用いることで、比較例及び実施例1と比べて酸素濃度の減少時のNOx濃度の検出精度の低下も抑制できる。第2緩変化処理についても同様に、被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合にポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように行って得られる緩変化処理済み電流Ip2nを用いることで、酸素濃度の減少に伴って起電力EMFの応答速度がより低下した場合の、ポンプ電流Ip2と起電力EMFとの応答速度の差の影響を小さくすることができる。そのため、これによっても酸素濃度の減少時のNOx濃度の検出精度の低下が抑制される。以上のように、被測定ガス中の酸素濃度の減少中には、酸素濃度の上昇中よりもポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行うことで、被測定ガス中の酸素濃度の減少時におけるNOx濃度の検出精度の低下をより抑制できる。
次に、第2実施形態において制御部91のCPU92がNOx濃度を導出する一例について図10を用いて説明する。図10は第2実施形態の濃度導出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図10では、図7と同じ処理については同じステップ番号を付した。
CPU92は、濃度導出処理ルーチンを開始すると、まず、ステップS100を実行してポンプ電流Ip0,ポンプ電流Ip2,及び起電力EMFを取得する。続いて、CPU92は、被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かを判定する(ステップS110)。本実施形態では、CPU92は、ポンプ電流Ip0の変化に基づいて被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かを判定する。具体的には、CPU92は、下記式(3)を満たすときには酸素濃度が減少中であると判定する。式(3)中の“今回Ip0”は、今回のステップS100で取得されたポンプ電流Ip0の値である。式(3)中の“前回Ip0”は、本ルーチンが前回実行されたときにステップS100で取得されたポンプ電流Ip0の値である。式(3)中の“閾値Iref1”は負の値であり、例えば被測定ガス中の酸素濃度のわずかな変動を酸素濃度の減少とみなさないようにするための閾値として、実験により予め定められて記憶部94に記憶されている。上述したようにポンプ電流Ip0は被測定ガス中の酸素濃度に対応するから、CPU92は式(3)を用いて今回Ip0が前回Ip0よりも大きく減少したか否かを判定することによって、被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かを判定することができる。
今回Ip0-前回Ip0≦閾値Iref1 (3)
(ただし、Iref1<0)
ステップS110で酸素濃度が減少中であると判定すると、CPU92は、タイマーのカウントを開始し(ステップS115)、酸素濃度の減少時用の第1緩変化処理を行って、緩変化処理済み電流Ip0nを導出する(ステップS150b)。このステップS150bの第1緩変化処理は、下記式(1b)により行う。式(1b)は、時定数T1bがステップS150の時定数T1aよりも大きい点以外は、上述した式(1)と同じである。これにより、ステップS150bでは、ステップS150と比べてポンプ電流Ip0の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理が行われて、緩変化処理済み電流Ip0nが導出される。
Ip0n=前回Ip0n+(今回Ip0-前回Ip0n)/T1b (1b)
(ただし、T1b>T1a)
続いて、CPU92は、酸素濃度の減少時用の第2緩変化処理を行って、緩変化処理済み電流Ip2nを導出する(ステップS160b)。このステップS160bの第2緩変化処理は、下記式(2b)により行う。式(2b)は、時定数T2bがステップS160の時定数T2aよりも大きい点以外は、上述した式(2)と同じである。これにより、ステップS160bでは、ステップS160と比べてポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように第2緩変化処理が行われて、緩変化処理済み電流Ip2nが導出される。なお、ステップS150b及びステップS160bを行う場合でも、ステップS150及びステップS160を行う場合と同様に、第1緩変化処理の方が第2緩変化処理よりも電流の変化をより緩やかにする処理とする。すなわち、ステップS150bで用いる時定数T1bは、ステップS160bで用いる時定数T2bよりも大きい値とする。
Ip2n=前回Ip2n+(今回Ip2-前回Ip2n)/T2b (2b)
(ただし、T1b>T2b>T2a)
一方、ステップS110で酸素濃度が減少中でないと判定した場合、CPU92は、被測定ガス中の酸素濃度が上昇中であるか否かを判定する(ステップS120)。本実施形態では、CPU92は、ポンプ電流Ip0の変化に基づいて被測定ガス中の酸素濃度が上昇中であるか否かを判定する。具体的には、CPU92は、下記式(4)を満たすときには酸素濃度が上昇中であると判定する。式(4)の左辺は式(3)と同じであるため説明を省略する。式(4)中の“閾値Iref2”は正の値であり、例えば被測定ガス中の酸素濃度のわずかな変動を酸素濃度の上昇とみなさないようにするための閾値として、実験により予め定められて記憶部94に記憶されている。上述したようにポンプ電流Ip0は被測定ガス中の酸素濃度に対応するから、CPU92は式(4)を用いて今回Ip0が前回Ip0よりも大きく上昇したか否かを判定することによって、被測定ガス中の酸素濃度が上昇中であるか否かを判定することができる。
今回Ip0-前回Ip0≧閾値Iref2 (4)
(ただし、Iref2>0)
ステップS120で酸素濃度が上昇中でないと判定した場合は、CPU92は、ステップS115でのタイマーのカウントの開始から所定期間内であるか否かを判定する(ステップS130)。そして、所定期間内である場合には、CPU92は、上述したステップS150b及びステップS160bを実行する。すなわち、CPU92は、酸素濃度の減少中だけでなく、酸素濃度の減少後に酸素濃度が上昇しておらず且つ酸素濃度の減少中から所定期間内である場合にも、ステップS150b及びステップS160bを実行する。この所定期間は、酸素濃度の減少時の起電力EMFの応答速度の低下の程度に応じて、予め定められて記憶部94に記憶されている。本実施形態では、図8における酸素濃度の減少が終了した時刻t10から起電力EMFが安定するまで(起電力EMFが減少後の酸素濃度に対応した値になるまで)の期間である時刻t10~t16の期間よりもわずかに短い期間として、所定期間が定められているものとした。
ステップS120で酸素濃度が上昇中であると判定した場合、又はステップS130で否定判定された場合には、ステップS115で開始したタイマーをリセットし(ステップS140)、ステップS150及びステップS160を実行して、緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nを導出する。ステップS130で否定判定された場合とは、ステップS115のタイマーのカウントが開始されていない場合、又は、酸素濃度が減少も上昇もしておらず且つタイマーのカウントの開始から所定期間が経過した場合である。
以上のように、CPU92がステップS150及びステップS160を行うか、又はステップS150b及びステップS160bを行って、緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nを導出すると、CPU92は、ステップS170及びステップS180を行って本ルーチンを終了する。これにより、緩変化処理済み電流Ip0nと緩変化処理済み電流Ip2nと起電力EMFとに基づいて、被測定ガス中のアンモニア濃度及びNOx濃度が導出される。
例えば図8の時刻t0~t17において図10の濃度導出処理ルーチンを行う場合について説明する。図8の時刻t0,t1ではポンプ電流Ip0が減少も上昇もしておらずタイマーもカウント開始していないから、ステップS130で否定判定がなされる。時刻t2,t3ではポンプ電流Ip0が上昇中であるから、ステップS120で酸素濃度が上昇中であると判定される。時刻t4~t8ではポンプ電流Ip0が減少も上昇もしておらずタイマーもカウント開始していないから、ステップS130で否定判定がなされる。時刻t9,t10ではポンプ電流Ip0が減少中であるから、ステップS110で酸素濃度が減少中と判定され、ステップS115でタイマーのカウントが開始される。時刻t11~t15では、ポンプ電流Ip0が減少も上昇もしておらず、最後にタイマーがカウント開始された時刻t10から所定期間内であるため、ステップS130で肯定判定がなされる。時刻t16,t17では、ポンプ電流Ip0が減少も上昇もしておらず、最後にタイマーがカウント開始された時刻t10から所定期間が経過しているため、ステップS130で否定判定がなされる。これらの結果、図8の時刻t0~t8,及び時刻t16,t17では、ステップS150及びステップS160が実行される。時刻t9~t15では、ステップS150b及びステップS160bが実行される。これにより、被測定ガス中の酸素濃度が減少したことによって起電力EMFの応答速度が酸素濃度の上昇中よりも低下している時刻t9~t15においては、ステップS150,S160と比べてポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理が行われる。したがって、図9に示したように被測定ガス中の酸素濃度の減少中(時刻t9,t10)を含む時刻t9~t15の期間において、アンモニア濃度の検出精度の低下がより抑制され、NOx濃度の検出精度の低下もより抑制される。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、CPU92は、被測定ガス中の酸素濃度の減少中には酸素濃度の上昇中よりもポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行う。これにより、酸素濃度の減少中におけるポンプ電流Ip0,ポンプ電流Ip2,起電力EMFの応答速度の差の影響を小さくすることができる。したがって、被測定ガス中の酸素濃度の減少時におけるNOx濃度の検出精度の低下をより抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した第1実施形態では、CPU92は濃度導出ルーチンのステップS170を行って被測定ガス中のアンモニア濃度を導出したが、これを省略してもよい。この場合、CPU92は、ステップS180において、ステップS150で導出した緩変化処理済み電流Ip0nと、ステップS100で取得した起電力EMFと、ステップS160で導出した緩変化処理済み電流Ip2nと、に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を導出すればよい。この場合、図3のアンモニア濃度導出用対応関係及び図4のNOx濃度導出用対応関係の代わりに、ポンプ電流Ip0とポンプ電流Ip2と起電力EMFとNOx濃度との対応関係を、NOx濃度導出用対応関係として記憶部94に記憶しておけばよい。第2実施形態においても同様である。
上述した第1実施形態では、CPU92は、ステップS170において酸素濃度導出用対応関係を用いて緩変化処理済み電流Ip0nに対応する被測定ガス中の酸素濃度を導出したが、これを省略してもよい。この場合、図3のアンモニア濃度導出用対応関係の代わりに、ポンプ電流Ip0と起電力EMFとアンモニア濃度との対応関係を、アンモニア濃度導出用対応関係として記憶部94に記憶しておけばよい。あるいは、CPU92は、ステップS160において、ステップS100で取得したポンプ電流Ip0に基づいて導出される酸素濃度に対して第1緩変化処理を行って、緩変化処理済み酸素濃度を導出してもよい。ポンプ電流Ip0と被測定ガス中の酸素濃度とは1対1に対応して互いに換算可能であるから、緩変化処理済み酸素濃度は、緩変化処理済み電流Ip0nの一種とみなせる。第2実施形態においても同様である。
上述した第2実施形態では、CPU92は、酸素濃度の上昇中と減少中とのいずれにおいても第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行ったが、酸素濃度が減少中である場合に酸素濃度が上昇中である場合と比べてポンプ電流の変化をより緩やかにするように第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行えばよい。例えば、CPU92は、酸素濃度の上昇中には第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行わずにステップS100で取得したポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2をそのまま用いてアンモニア濃度及びNOx濃度を導出してもよい。言い換えると、酸素濃度の上昇中には、ポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2をそのまま緩変化処理済み電流Ip0n及び緩変化処理済み電流Ip2nとして扱ってもよい。例えば、図10の濃度導出処理ルーチンにおいて、ステップS150及びステップS160を省略して、ステップS170,S180ではステップS100で取得したポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2を用いてもよい。例えば、酸素濃度の上昇時の起電力EMFの応答速度の遅れの程度が小さい場合には、ポンプ電流Ip0及びポンプ電流Ip2をそのまま用いてアンモニア濃度及びNOx濃度を導出しても測定精度がそれほど低下しない場合もある。このような場合には、酸素濃度の減少時(及びその後の所定期間内)に第1緩変化処理及び第2緩変化処理を行えばよく、それ以外の期間では第1緩変化処理及び第2緩変化処理を省略してもよい。
上述した第1,第2実施形態では、式(1),式(2),式(1b),式(2b)を用いて第1,第2緩変化処理を行ったが、第1,第2緩変化処理はポンプ電流の変化を緩やかにするような処理であればよく、これらの式を用いる場合に限られない。例えば、式(1)の時定数T1aの代わりに、“(1-e^(-Δt/τ1a))”を用いた下記式(5)で表される第1緩変化処理を行ってもよい。下記式(5)中の“Δt”は、処理間隔すなわち緩変化処理済み電流Ip0nの導出の時間間隔である。“τ1a”は、第1緩変化処理における時定数である。あるいは、第1,第2緩変化処理として、ポンプ電流の時間変化(傾き)を所定値以下に制限するレート処理を行ってもよい。レート処理では、例えば、今回Ip0と前回Ip0nとの差と、所定のレート値と、のうち絶対値が小さい方の値を前回Ip0nに加えることで、今回Ip0nを導出する。レート値が小さいほど、ポンプ電流の時間変化をより緩やかにするように緩変化処理が行われる。あるいは、第1,第2緩変化処理として、ポンプ電流の移動平均化処理を行ってもよい。例えば、今回Ip0,前回Ip0,及び前々回Ip0の移動平均を、今回Ip0nとしてもよい。
Ip0n=前回Ip0n+(今回Ip0-前回Ip0n)/(1-e^(-Δt/τ1a)) (5)
上述した実施形態では、検知電極56は、素子本体101aのうち外側ポンプ電極23よりも後方に配設されていたが、検知電極56は、被測定ガスと接触するように素子本体101aの外側に配設されていればよい。例えば、検知電極56は外側ポンプ電極23よりも前方に配設されていてもよい。
上述した実施形態では、第1特定ガスをNOxとしたが、NOx以外の酸化物ガスとしてもよい。また、第2特定ガスをアンモニアとしたが、混成電位セルの起電力EMFに基づいて濃度を検出可能であり且つ第1特定ガスとは異なるガスであればよい。例えば、第2特定ガスは、炭化水素ガス又は水素などの可燃性ガスとしてもよいし、二酸化炭素としてもよい。第1特定ガスは、酸化物ガスに限らずアンモニアなどの非酸化物であってもよい。第1特定ガスがアンモニアである場合には、第2特定ガスはアンモニア以外のガスとすればよい。第1特定ガスが酸化物の場合には、上述した実施形態と同様に第1特定ガスそのものを第3内部空所61で還元したときに酸素が発生するから、CPU92はこの酸素に応じた検出値(ポンプ電流Ip2)に基づいて第1特定ガス濃度を検出できる。また、第1特定ガスが非酸化物の場合には、第1特定ガスが例えば第1内部空所20で酸化物に変換(例えばアンモニアであれば酸化されてNOに変換)されることで、変換後の酸化物が第3内部空所61で還元したときに酸素が発生するから、CPU92はこの酸素に応じた検出値(ポンプ電流Ip2)を取得して第1特定ガス濃度を検出できる。このように、第1特定ガスが酸化物と非酸化物とのいずれであっても、ガスセンサ100は、第1特定ガスに由来して第3内部空所61で発生する酸素に基づいて第1特定ガス濃度を検出できる。
上述した第1,第2実施形態では、素子本体101aは複数の固体電解質層(層1~6)を有する積層体としたが、これに限られない。素子本体101aは、酸素イオン伝導性の固体電解質層を少なくとも1つ含み、且つ被測定ガス流通部が内部に設けられていればよい。例えば、図1において第2固体電解質層6以外の層1~5は固体電解質以外の材質からなる構造層(例えばアルミナからなる層)としてもよい。この場合、センサ素子101が有する各電極は第2固体電解質層6に配設されるようにすればよい。例えば、図1の測定電極44は第2固体電解質層6の下面に配設すればよい。また、基準ガス導入空間43を第1固体電解質層4の代わりにスペーサ層5に設け、大気導入層48を第1固体電解質層4と第3基板層3との間に設ける代わりに第2固体電解質層6とスペーサ層5との間に設け、基準電極42を第3内部空所61よりも後方且つ第2固体電解質層6の下面に設ければよい。
上述した第1,第2実施形態では、制御部91は、ポンプ電流Ip1が目標値Ip1*となるように、ポンプ電流Ip1に基づいて電圧V0の目標値V0*を設定(フィードバック制御)し、電圧V0が目標値V0*となるように電圧Vp0をフィードバック制御したが、他の制御を行ってもよい。例えば、制御部91は、ポンプ電流Ip1が目標値Ip1*となるように、ポンプ電流Ip1に基づいて電圧Vp0をフィードバック制御してもよい。すなわち、制御部91は、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80からの電圧V0の取得及び目標値V0*の設定を省略して、ポンプ電流Ip1に基づいて直接的に電圧Vp0を制御(ひいてはポンプ電流Ip0を制御)してもよい。
上述した第1,第2実施形態では、素子本体101aは第1内部空所20と第2内部空所40とを有していたが、第2内部空所40及び補助ポンプセル50を省略してもよい。例えば、主ポンプセル21のみで被測定ガスの酸素濃度を十分低くすることができる場合は、補助ポンプセル50を省略してもよい。補助ポンプセル50を省略する場合、制御部91は、上述したポンプ電流Ip1に基づく目標値V0*の設定を省略すればよい。具体的には、所定の目標値V0*を予め記憶部94に記憶しておき、制御部91は電圧V0が目標値V0*となるように可変電源24の電圧Vp0をフィードバック制御することで、主ポンプセル21を制御すればよい。
1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5 スペーサ層、6 第2固体電解質層、10 ガス導入口、11 第1拡散律速部、12 緩衝空間、13 第2拡散律速部、20 第1内部空所、21 主ポンプセル、22 内側ポンプ電極、22a 天井電極部、22b 底部電極部、23 外側ポンプ電極、24 可変電源、30 第3拡散律速部、40 第2内部空所、41 測定用ポンプセル、42 基準電極、43 基準ガス導入空間、44 測定電極、46 可変電源、48 大気導入層、50 補助ポンプセル、51 補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、52 可変電源、55 混成電位セル、56 検知電極、60 第4拡散律速部、61 第3内部空所、70 ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72 ヒータ、73 スルーホール、74 ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、80 主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81 補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83 センサセル、84 緩衝層、84a 上側緩衝層、84b 下側緩衝層、85 保護層、90 制御装置、91 制御部、92 CPU、94 記憶部、100 ガスセンサ、101 センサ素子、101a 素子本体。

Claims (6)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質層を含み、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
    前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室の酸素濃度を調整する調整用ポンプセルと、
    前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流側に設けられた測定室において前記被測定ガス中の第1特定ガスに由来して発生する酸素の汲み出しを行う測定用ポンプセルと、
    前記被測定ガス中の前記第1特定ガスとは異なる第2特定ガスの濃度に応じた起電力を生じる混成電位セルと、
    を有するセンサ素子と、
    前記調整用ポンプセルが前記酸素濃度調整室の酸素濃度を調整するときに流れる調整用ポンプ電流を取得する調整用ポンプ電流取得部と、
    前記測定用ポンプセルが前記測定室の酸素を汲み出すときに流れる測定用ポンプ電流を取得する測定用ポンプ電流取得部と、
    前記混成電位セルの前記起電力を取得する起電力取得部と、
    前記取得された前記調整用ポンプ電流に対して該調整用ポンプ電流の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った緩変化処理済み調整用ポンプ電流を導出する第1緩変化処理部と、
    前記取得された前記測定用ポンプ電流に対して該測定用ポンプ電流の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った緩変化処理済み測定用ポンプ電流を導出する第2緩変化処理部と、
    前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力と、前記緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、に基づいて、前記第1特定ガスの濃度を導出する第1特定ガス濃度導出部と、
    を備え、
    前記第1緩変化処理は、前記第2緩変化処理と比べて変化をより緩やかにする処理である、
    ガスセンサ。
  2. 請求項1に記載のガスセンサであって、
    前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力とに基づいて、前記第2特定ガスの濃度を導出する第2特定ガス濃度導出部、
    を備えたガスセンサ。
  3. 前記第1緩変化処理部は、前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、該酸素濃度が上昇中である場合と比べて前記調整用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように前記第1緩変化処理を行い、
    前記第2緩変化処理部は、前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中である場合には、該酸素濃度が上昇中である場合と比べて前記測定用ポンプ電流の変化をより緩やかにするように前記第2緩変化処理を行う、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記第1緩変化処理部及び前記第2緩変化処理部は、前記調整用ポンプ電流の変化に基づいて前記被測定ガス中の酸素濃度が減少中であるか否かを判定する、
    請求項3に記載のガスセンサ。
  5. 酸素イオン伝導性の固体電解質層を含み、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
    前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室の酸素濃度を調整する調整用ポンプセルと、
    前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流側に設けられた測定室において前記被測定ガス中の第1特定ガスに由来して発生する酸素の汲み出しを行う測定用ポンプセルと、
    前記被測定ガス中の前記第1特定ガスとは異なる第2特定ガスの濃度に応じた起電力を生じる混成電位セルと、
    を有するセンサ素子を用いたガス濃度導出方法であって、
    前記調整用ポンプセルが前記酸素濃度調整室の酸素濃度を調整するときに流れる調整用ポンプ電流を取得する調整用ポンプ電流取得ステップと、
    前記測定用ポンプセルが前記測定室の酸素を汲み出すときに流れる測定用ポンプ電流を取得する測定用ポンプ電流取得ステップと、
    前記混成電位セルの前記起電力を取得する起電力取得ステップと、
    前記取得された前記調整用ポンプ電流に対して該調整用ポンプ電流の変化を緩やかにする第1緩変化処理を行った緩変化処理済み調整用ポンプ電流を導出する第1緩変化処理ステップと、
    前記取得された前記測定用ポンプ電流に対して該測定用ポンプ電流の変化を緩やかにする第2緩変化処理を行った緩変化処理済み測定用ポンプ電流を導出する第2緩変化処理ステップと、
    前記緩変化処理済み調整用ポンプ電流と、前記取得された前記起電力と、前記緩変化処理済み測定用ポンプ電流と、に基づいて、前記第1特定ガスの濃度を導出する第1特定ガス濃度導出ステップと、
    を含む、ガス濃度導出方法。
  6. 請求項5に記載のガス濃度導出方法のステップを1以上のコンピュータに実行させるプログラム。
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