JP2022153027A - 中綿構造体及びこれを用いた詰め物体 - Google Patents

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一郎 小澤
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Abstract

【課題】保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性の高い中綿構造体及びこれを用いた詰め物体を提供する。【解決手段】少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、長繊維Aは長繊維Bに比べて相対的に短く、長繊維A及び長繊維Bは一体化されている長繊維中綿23と、不織布22を含む中綿構造体であって、不織布22は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されており、長繊維中綿23と不織布22は一体化されている。本発明の詰め物体は、前記中綿構造体を、表地と裏地からなる側地内の少なくとも一部または全部に充填して形成する。【選択図】図1

Description

本発明は中綿構造体及びこれを用いた詰め物体に関する。さらに詳しくは、嵩高で形態安定性の高い中綿構造体及びこれを用いた詰め物体に関する。
羽毛布団、羽毛ジャケットなどの羽毛製品に充填される羽毛は、一般的には水鳥の羽毛が使用されている。水鳥としてはグース(ガチョウ)、ダック(アヒル)、北極圏の海岸線に生息するアイダー(野生の鴨)などである。羽毛には、胸毛にあたるダウンと、羽根と呼ばれるフェザーがあり、ともに羽毛製品に使われている。羽毛の産地はポーランド、ハンガリーなどの中欧、スカンジナビア半島を含む北欧、中国などである。羽毛は、嵩高性に優れ、暖かく、掛け布団や羽毛ジャケットの羽毛製品として高級素材の地位を占めている。
しかし、天然の羽毛は水鳥に依存しており、その供給量には限度がある上、自然条件や厄病(例えば鳥ウィルス)の影響によって供給量も変動するという問題がある。あるいは自然保護の観点から、野生の鳥を捕捉することには限度がある。その上、天然の羽毛は、洗いが不充分であると悪臭の原因となるため、事前に悪臭の原因となる汚物を除去し、羽毛の洗浄の程度を見る清浄度と酸素計数を一定のレベルに保つ管理が必要である。加えて、羽毛布団、羽毛ジャケットなどの羽毛製品の洗濯は容易ではないという基本的な問題がある。
そこで、従来から詰め綿については多くの提案がある。特許文献1にはポリエステル繊維を加熱処理により収縮させて捲縮を発現させ、嵩高と弾力性を持たせることが提案されている。特許文献2には芯糸に花糸を巻き付けて絡ませた詰め綿が提案されている。本出願人は特許文献3~5において芯糸と花糸を交絡した詰め綿を提案している。
特開平6-93513号公報 特開2016-027213号公報 特開2012-067429号公報 特開2012-067430号公報 特開2020-165025号公報
しかし、従来の中綿構造体及び詰め物体は保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性に問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性の高い中綿構造体及びこれを用いた詰め物体を提供する。
本発明の中綿構造体は、少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、前記長繊維Aは前記長繊維Bに比べて相対的に短く、前記長繊維A及び前記長繊維Bは一体化されている長繊維中綿と、不織布を含む中綿構造体であって、前記不織布は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されており、前記長繊維中綿と不織布は一体化されている。
本発明の詰め物体は、前記の中綿構造体を、表地と裏地からなる側地内の少なくとも一部または全部に充填したものである。
本発明は、長繊維中綿と不織布を含み、不織布は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されており、長繊維中綿と不織布は一体化されていることにより、保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性の高い中綿構造体及びこれを用いた詰め物体を提供できる。また、本発明の中綿構造体は、全体が合成繊維で形成され、長繊維中綿と不織布は一体化されており、嵩高であることから、汗、雨、水などで濡れても乾きやすく、洗濯後も乾燥しやすい利点がある。
図1は本発明の一実施形態の中綿構造体の模式的斜視図である。 図2A-Dは本発明の別の実施形態の不織布と長繊維中綿を一体化する工程を示す模式的説明図であり、図2Aは不織布にスリットを形成した模式的斜視図である。 図2Bは不織布のスリットに長繊維中綿を通した模式的斜視図である。 図2Cは図2Bの模式的断面図である。 図2Dは不織布を拡開した模式的断面図である。 図3は図2Dの実施形態の中綿構造体の模式的斜視図である。 図4は本発明の一実施形態の長繊維中綿の側面図である。 図5は本発明の一実施形態の長繊維中綿の製造方法の模式的説明図である。
本発明の中綿構造体は長繊維中綿と不織布が一体化されていることにより、長繊維中綿と不織布はそれぞれ互いに固定した構造となり、自由な動きが制限され、保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性が向上する。また、長繊維中綿は、少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、前記長繊維Aは前記長繊維Bに比べて相対的に短く、前記長繊維A及び前記長繊維Bは一体化されており、不織布は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されていることにより、保温性、嵩高性が優れると共に捲縮繊維と長繊維中綿とが適度に絡まることにより、洗濯耐久性が向上する。
長繊維中綿と不織布の質量割合は、中綿構造体を100質量%としたとき、長繊維中綿10~90質量%、不織布90~10質量%が好ましく、より好ましくは長繊維中綿20~80質量%、不織布80~20質量%、さらに好ましくは長繊維中綿30~70質量%、不織布70~30質量%、とくに好ましくは長繊維中綿40~60質量%、不織布60~40質量%である。
前記不織布は、シート状不織布であり、繊維ウェブ表面からバインダー樹脂がスプレー付与されたケミカルボンド不織布であるのが好ましい。これにより形態安定性の良いシート状不織布とすることができる。また、内部のバインダーが少なくなることで、風合いの柔らかいものとすることができる。なお、内部の保形のために、接着性繊維、すなわち中空ポリエステル短繊維や捲縮ポリエステル短繊維よりも表面が低融点の短繊維、好ましくは低融点ポリエステル短繊維を混綿する。
前記不織布に用いる繊維のうち、少なくとも中空ポリエステル短繊維繊維表面にシリコーン油剤が付与されているのが好ましい。これにより風合いを良好にできる。
前記不織布の単位面積当たりの質量(目付)は5~50g/mであるのが好ましい。これにより、目付の軽い中綿構造体が得られる。中綿構造体の単位面積当たりの質量(目付)は10~40g/mが好ましく、さらに好ましくは15~30g/mである。
前記不織布の静置状態における見かけ厚さは2~15mmであるのが好ましい。これにより、長繊維中綿と組み合わせて所望の厚さの中綿構造体(詰め綿体)とすることができる。なお、見かけ厚さは、特に荷重をかけることなく測定する。
前記不織布を構成する繊維の繊度は0.5~5decitexであるのが好ましく、さらに好ましくは1~3.3decitexである。これにより、保温性の高い中綿構造体とすることができる。
前記不織布は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点ポリエステル短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されている。中空ポリエステル短繊維は保温性が高い。中空率は30%程度が好ましい。これに捲縮ポリエステル短繊維、特に顕在捲縮ポリエステル短繊維と混綿することで嵩高でソフトな風合いにでき、長繊維中綿のループ繊維と絡まることにより耐久性が向上する。また低融点ポリエステル短繊維を混綿することにより、形態安定性を高く維持できる。各繊維の混綿割合は、不織布を100質量%としたとき、中空ポリエステル短繊維は30~50質量%、顕在捲縮ポリエステル短繊維は30~50質量%、低融点ポリエステル短繊維は10~30質量%が好ましい。各短繊維の繊維長は38~60mm程度が好ましい。この不織布はシリコーン油剤を付与した中空ポリエステル短繊維を混綿し、ウェブ形成し、バインダー樹脂をスプレーして乾燥することにより製造する。なお、このような不織布は、倉敷繊維加工株式会社から市販されている。
本発明の長繊維中綿は、少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成される。長繊維A及び長繊維B以外の繊維を加えることは任意であるが、長繊維中綿を100質量%としたとき長繊維A及び長繊維B合計で70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上とする。長繊維A及び長繊維Bは一体化されている。ここで一体化とは、繊維同士が絡み合ったり巻き付いた状態をいう。長繊維Aは長繊維Bに比べて相対的に短い。長繊維Aと長繊維Bとの長さの差を設けることでかさ高性を出すことができる。
本発明の長繊維中綿には、導電性繊維を長繊維Aに含ませてもよい。長繊維Aは長繊維Bに比べて相対的に短く、帯電防止に効果がある。長繊維Aは導電性繊維を10質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。具体的には、長繊維Aは導電性繊維10質量%以上100質量%以下とするのが好ましい。より好ましくは15質量%以上50質量%以下である。前記の範囲であれば帯電防止機能を発揮できる。導電性繊維を10質量%以上100質量%未満とする場合は、導電性繊維糸と通常の糸(例えば下記の長繊維Bとして使用するポリエステル糸など)を引き揃え、交絡、合糸などの方法で一体化する。導電性繊維は、金属繊維、炭素繊維、金属粒子や炭素粒子を練りこんだ繊維、導電性高分子を用いた繊維などがある。例えばKBセーレン社製制電糸、クラレ社製制電糸などがある。また、長繊維Aは長繊維Bに比べて相対的に短いことから、長繊維Aに導電性繊維糸を含ませると導電性繊維糸の使用量を少なくでき、コストを安くできる。一方、長繊維Bに導電性繊維糸を含ませると、嵩高性は低くなる傾向となる。長繊維A及び長繊維Bを含む長繊維中綿の中における導電性繊維の割合は、0.5~5質量%程度が好ましい。この範囲であれば帯電防止機能を発揮できる。さらに、得られた長繊維中綿を5~50本程度の束状として用いられることがある。この場合、5~50本すべての長繊維中綿の長繊維Aに導電性繊維を用いなくともよく、長繊維Aに導電性繊維を含む長繊維中綿を、例えば30本の束であれば3~12本程度、すなわち束状本数における5~40%程度の本数用いればよい。この場合、長繊維中綿を複数本用いた束状体における導電性繊維の割合は、0.05~0.9質量%程度が良い。
長繊維Bは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの中実糸(普通糸)が使用できるが、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)中空糸である。ポリエチレンテレフタレート中空糸は断熱効果により温かく、かつPETはコシがあり、かさ高性を高く維持できる。中空率は30%程度が好ましい。
長繊維中綿1本の単位長さ当たりの質量は0.01~3g/mが好ましく、0.02~1.5g/mがさらに好ましい。この範囲であると、詰め物加工にする際の取り扱いに便利である。
長繊維Bは、長繊維Aに比べて1.1~100倍長いのが好ましく、より好ましくは2~100倍であり、さらに好ましくは4~60倍である。この範囲であると、長繊維Bが長い分だけループ繊維になり、嵩高くできる。
長繊維A及び長繊維Bは、交絡加工、エアージェット加工、巻き付け加工及び長繊維Aに対して長繊維Bを噴射する加工から選ばれる少なくとも一つの加工により一体化されているのが好ましい。交絡加工は長繊維Aと長繊維Bの走行方向に対して垂直方向に圧空を噴射するエアー交絡機による加工である。エアージェット加工はいわゆるタスラン加工であり、長繊維Aと長繊維Bに対して進行方向に圧空を押し込む加工である。巻き付け加工は長繊維Aに対して長繊維Bを巻き付け、一体化する加工である。長繊維Aに対して長繊維Bを噴射させる加工は、長繊維Aに長繊維Bを噴射させ絡める加工である。
長繊維中綿は、平滑剤が固定されていることが好ましい。生産性が向上するためである。平滑剤としてはシリコーン樹脂、フッ素樹脂等がある。一例としてシリコーン樹脂を挙げると、長繊維中綿に、シリコーン樹脂を付与し、キュアリングにより熱固定するのが好ましい。シリコーン樹脂の好ましい付着量は、長繊維中綿に対して0.1~10質量%の範囲である。さらに、硬さ調整のためアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等を併用しても良い。
長繊維A及び長繊維Bの単繊維繊度は0.1~300decitex、かつトータル繊度が10~600decitexの範囲が好ましい。更に好ましくは単繊維繊度が1.0~50decitex、かつトータル繊度が20~250decitexの範囲である。繊度が前記の範囲であれば、へたりにくく、かつ風合いも良好である。
次に不織布と長繊維中綿の一体化について説明する。両者の一体化手段としては、一例として下記が挙げられる。
(1)不織布の上に長繊維中綿を一方向に配列し、長繊維中綿の長さ方向と直交する方向に縫製糸で固定する。
(2)不織布に対して、複数列に多数のスリット孔を開け、前記スリット孔に長繊維中綿を通し、前記不織布の表面及び裏面に交互に前記長繊維中綿を露出させる。
前記(2)の手段は縫製糸を使用しないことから風合いが良く、かつ長繊維中綿と不織布はそれぞれ互いに固定した構造となり、自由な動きが制限され、保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性が向上する。長繊維中綿は複数本まとめて配列するのが好ましい。
本発明の中綿構造体は衣服の所望に位置に配置させることができる。例えば衿、前身頃、後身頃、腰裏等の衣服のパーツや、肩、肘、膝、尻、頭等の部位にパーツとして配置し、他のパーツと縫製一体化し衣服を作製することで温めたい部分のみを温めることができる。また、中綿構造体をパーツとして配置させることで、激しい動きを伴う場合にも有効な、動きやすさと保温の両方の機能を有する衣服になる。さらに、身体の一部の保護を強化する機能も付加することができる。用途としては、作業用、スポーツ用、カジュアル用が挙げられる。服の種類としては、ブルゾン、ジャケット、コート、パンツ、ツナギの衣類などがある。
詰め物体の使用例として、例えば、作業服の衿部に中綿構造体を配置させることで、首にソフトにフィットして保温性と肌触りの良さに寄与し、寒冷地での屋外作業においても快適に作業することが可能となる。また、作業服の背中部に中綿構造体を配置させることで、保温性と共に仰向けの状態で実施する作業でも背中を痛めずに快適に作業することが可能となる。また、作業服の肩部に中綿構造体を配置させることで、保温性と共に重い荷物を肩にかけたり担いだりしても肩を痛めないことが可能となる。また、作業服の肘部または膝部に中綿構造体を配置させることで、保温性と共に肘部または膝部をアスファルト等の固い地面に突くような体勢をとっても肘または膝を痛めないことが可能となる。また、尻部に中綿構造体を配置させることで、保温性と共に屋外の至る場所に座っても、尻部を痛めずまたは不快感を与えないという機能を付加できる。また、作業服のフード部位に中綿構造体を配置させることで、保温性と共に落下物から保護することが可能となる。
以下図面を用いて説明する。以下の図面において同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施形態の中綿構造体の模式的斜視図である。この中綿構造体は、不織布22のスリット孔24に長繊維中綿23が通され一体化している。
図2A-Dは本発明の一実施形態の不織布と長繊維中綿を一体化する工程を示す模式的説明図であり、図2Aは不織布22にスリット孔24を形成した模式的斜視図、図2Bは不織布22のスリット孔24に長繊維中綿23を通した模式的斜視図、図2Cは図2Bの模式的断面図、図2Dは不織布を拡開した模式的断面図である。
まず、図2Aに示すように不織布22を折り畳み、スリット孔24を複数列、間を開けて形成する。次に、図2Bに示すように不織布22のスリット孔24に長繊維中綿23を通す。図2Cは図2Bの模式的断面図である。次に、図2Dに示すように不織布22を拡開する。これにより中綿構造体21が得られる。なお、中綿構造体は、不織布シートの上に長繊維中綿が複数本まとめられて一方向に多数列配列され、例えば縫製糸によって固定されていてもよい。中綿構造体21における長繊維中綿19は、間をあけて配列されていてもよいし、密に配列されていてもよい。好ましくは芯糸間隔として3~9cm、より好ましくは4~8cm程度、間をあけて配列されていると、空気を多く含み、嵩高となる。また、洗濯しても長繊維中綿同士の絡みが生じにくく、嵩高性を高く維持できる。通常長繊維中綿は10本から50本程度まとめられた「束」をとして取り扱われることが多いが、その場合は、束における複数本の芯糸の略中心の間隔を、前述の通り間をあけて配列する。
図3は図2Dの実施形態の中綿構造体21の模式的斜視図である。この中綿構造体21は、不織布22に、複数列に多数のスリット孔24が開けられ、スリット孔24に長繊維中綿23を通し、不織布22の表面及び裏面に交互に長繊維中綿23を露出させている。この中綿構造体21は、縫製糸を使用しないことから風合いが良く、かつ長繊維中綿23と不織布22はそれぞれ互いに固定した構造となり、自由な動きが制限され、保温性、嵩高性及び洗濯などの耐久性が向上する。
図4は本発明の一実施形態の長繊維中綿の側面図である。この長繊維中綿1は、芯糸2(長繊維A)と花糸3(長繊維B)の構成繊維が互いに絡まっており、花糸3(長繊維B)が開繊されて部分的にループ状繊維を形成している。この長繊維中綿はエアー交絡糸ともいう。
図5は長繊維中綿の製造方法を示す模式的説明図である。巻き糸体4から芯糸4a(長繊維A)と巻き糸体15から芯糸15a(長繊維Aの制電糸)を引き出し、巻き糸体5から花糸5a(長繊維B)を引き出し、2個のフィードローラ6、7と糸ガイド8を通過させてエアー交絡装置10に供給する。エアー交絡装置10に圧力空気11を供給すると、糸道9内の繊維は開繊されたり旋回されることにより、互いに交絡する。12は長繊維中綿である。芯糸の供給速度は10~200m/分、花糸の供給速度は20~10000m/分、巻き取り速度10~200m/分、空気圧力0.01~1.0MPaの交絡ノズルで混繊交絡処理を施した後、デリベリローラ13とワインダーローラ14を通過後の糸を巻き糸体16に巻き取る。この方法は、糸の巻き取り速度を20~1500m/分と高速化でき、生産性が高いところに利点がある。
得られた長繊維中綿は、シリコーン樹脂を付与する。シリコーン樹脂としては、分子末端がハイドロジェン基(-OH)、ビニル基(-CH=CH2)等を有する反応性シリコーン処理剤を使用するのが好ましい。例えば、松本油脂製薬社製、商品名“TERON E 530”バルキーシリコーン、“TERON E 731”、“TERON E 722”等のソフトシリコーンを使用できる。付与量は、乾燥重量で中綿構造体に対し0.1~10質量%付与するのが好ましい。次に熱処理工程において、140~190℃で1~10分間熱処理し、シリコーン樹脂をキュアリングする。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)不織布の作成
シリコーン油剤加工された次の繊維を使用した。
・ポリエチレンテレフタレート(PET)中空繊維(繊度3.3decitex、繊維長51mm、シリコーン油剤加工)40重量%、
・顕在捲縮PET繊維(繊度3.3decitex、繊維長51mm)40重量%、
・低融点PET繊維(繊度3.3decitex、繊維長51mm)20重量%
以上の繊維を混綿し、ウェブとし、アクリル系エマルジョンバインダーをスプレー塗布して乾燥し、ケミカルボンド不織布とした。単位当たりの質量(目付)は30g/m2、厚みは約6mmであった。
(2)長繊維中綿の作成
芯糸として、導電性繊維であるKBセーレン社製制電糸、繊度22decitex、フィラメント数3本及びPETフィラメント糸、繊度41decitex、フィラメント数18本を使用し、花糸としてPET中空フィラメント糸(中空率35%)、繊度39decitex、フィラメント数12本を使用し、長繊維中綿を作製した。芯糸中の導電性繊維は約40質量%であった。長繊維中綿全体における導電性繊維の割合は約1.6質量%であった。
次にシリコーン樹脂付与工程では、上記長繊維中綿を15本束状にして処理した。シリコーン樹脂としては、松本油脂製薬社製、商品名“テロン E-530”、10質量%、架橋剤として同社製、商品名“マーポテロン E-722”、0.5質量%を加えた水溶液を使用し、付与量は乾燥重量で長繊維中綿に対し3.0wt%散布した。次に熱処理工程において、140~190℃で1~13分間熱処理し、シリコーン樹脂を熱キュアリング固定した。得られた長繊維中綿15本の束の質量は1.8g/mであった。
(3)中綿構造体の作製
前記で得られたケミカルボンド不織布の表面に長繊維中綿15本の束を図1に示すように配列した。配列本数は15本/5cm、長繊維中綿束と束の間隔は5cm開けた。その後、不織布と長繊維中綿を縫製により固定した。縫製糸の間隔は10cmとした。
(4)詰め物体の作製
前記中綿構造体を質量(目付)250g/mの織物(ポリエステル100%)の表地と裏地内に充填し、ジャンパーを縫製した。得られたジャンパーはJIS L0217 103法で10回洗濯後においても中綿の偏りはなく、保温性、嵩高性及び形態安定が良好であった。また、汗、雨、水などで濡れても乾きやすく、洗濯後も乾燥しやかった。
(実施例2)
実施例1の不織布と長繊維中綿を使用して図2A-Dに示す中綿構造体を作成した。配列本数は5本/5cm、スリットとスリットの間隔は4cm開けた。得られた中綿構造体の質量(目付)は72g/m2、静置状態における見かけ厚さは30mmであった。それ以外は実施例1と同様にジャンパーを縫製した。得られたジャンパーはJIS L0217 103法で10回洗濯後においても中綿の偏りはなく、保温性、嵩高性及び形態安定が良好であった。また、汗、雨、水などで濡れても乾きやすく、洗濯後も乾燥しやかった。
本発明の中綿構造体は衣服又は掛け布団等の中綿に好適である。また本発明の中綿構造体は衣服の一部に配置されるのが好ましく、例えば衿、前身頃、後身頃、腰裏等の衣服のパーツや、肩、肘、膝、尻、頭等の部位にパーツとして配置し、他のパーツと縫製一体化し衣服を作製することで温めたい部分のみを温めることができ、また保護したい部分のみを保護することができる。このような多岐の用途としては作業用、スポーツ用、カジュアル用が挙げられ、服の種類としてはブルゾン、ジャケット、コート、パンツ、ツナギ等がある。
1 長繊維中綿
2,4a 芯糸
3,5a 花糸
4,5,15,16 巻き糸体
6,7 フィードローラ
8 糸ガイド
9 交絡機の糸道
10 エアー交絡装置
11 圧力空気
12 混繊交絡糸
13 デリベリローラ
14 ワインダーローラ
15a 芯糸(長繊維Aの制電糸)
21 中綿構造体
22 不織布
23 長繊維中綿
20 縫製糸
24 スリット孔

Claims (7)

  1. 少なくとも2種類の長繊維A及び長繊維Bで構成され、前記長繊維Aは前記長繊維Bに比べて相対的に短く、前記長繊維A及び前記長繊維Bは一体化されている長繊維中綿と、不織布を含む中綿構造体であって、
    前記不織布は中空ポリエステル短繊維と、捲縮ポリエステル短繊維と、低融点短繊維が混綿された繊維ウェブで構成されており、
    前記長繊維中綿と不織布は一体化されていることを特徴とする中綿構造体。
  2. 前記不織布は繊維ウェブ表面からバインダー樹脂がスプレー付与されたケミカルボンド不織布である請求項1に記載の中綿構造体。
  3. 少なくとも前記中空ポリエステル短繊維は、繊維表面にシリコーン油剤が付与されている請求項1又は2に記載の中綿構造体。
  4. 前記不織布の単位面積当たりの質量(目付)は5~50g/mである請求項1~3のいずれか1項に記載の中綿構造体。
  5. 前記不織布の静置状態における見かけ厚さは2~15mmである請求項1~4のいずれか1項に記載の中綿構造体。
  6. 前記不織布を構成する繊維の繊度は0.5~5decitexである請求項1~5のいずれか1項に記載の中綿構造体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の中綿構造体を、表地と裏地からなる側地内の少なくとも一部または全部に充填したことを特徴とする詰め物体。
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