JP2022152946A - X線回折測定装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る測定結果を得ることができるX線回折測定装置を提供すること。【解決手段】入射光軸30出射光軸32a、32b、32cとの交差位置34にある被測定物Мによって生じるX線回折に基づいて被測定物の性状を測定するに際し、X線を通過させ出射光軸の軸回り方向に傾くように配置されたる直線状の第1スリット24a、第2スリット24b、第3スリット24cと、スリットの通過X線を検出領域内で検出する第1二次元検出器18a、第2二次元検出器18bと、二次元検出器により検出された通過X線強度を示す回折プロファイルを当該通過X線を区分してそれぞれ算出するプロファイル算出部44とを備える、X線回折測定装置。【選択図】図1

Description

本発明は、X線回折測定装置および方法に関する。
従来から、被測定物に向けてX線を照射して回折パターン(以下、単に「パターン」ともいう)を検出することで当該被測定物の性状を測定するX線回折測定方法が知られている。例えば、測定の効率化を図るため、二次元スリットおよび二次元検出器を組み合わせて用いる手法が種々提案されている。本出願人は、一回的なX線検出動作により被測定物を効果的に測定可能なX線回折測定装置および方法を既に提案した(例えば特許文献1参照)。
特許第6383018号公報
特許文献1のX線回折測定装置および方法では、例えばリチウムイオン電池の充放電Insitu観察のような、回折角の異なる複数の材料からなり、回折位置が時間とともに変化していくようなテストの場合、従来手法では一つの材料(例えば正極材LiCoO2)にしか観察範囲を合わせることができず、他の材料(例えば負極材グラファイト)を観察したい場合は視野制限スリット位置を変更して再度実験する必要がある。この場合、例えば一度の充放電で性状が変化してしまうような充放電条件または材料の場合、各材料のInsitu測定を行って結果を組み合わせても、正しい測定結果を得られない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされものであり、回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る測定結果を得ることができるX線回折測定装置および方法を提供することを目的とする。
(1)入射光軸(例えば、後述する入射光軸30)と出射光軸(例えば、後述する出射光軸32a、32b、32c)との交差位置(例えば、後述する交差位置34)にある被測定物(例えば、後述する被測定物М)によって生じるX線回折に基づいて前記被測定物の性状を測定するX線回折測定装置(例えば、後述するX線回折測定装置10)であって、前記X線回折を生じたX線を通過させる直線状のスリット(例えば、後述する第1スリット24a、第2スリット24b、第3スリット24c)が形成された通過制限部材(例えば、後述する第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26b、第3通過制限部材26c)と、前記スリットを通過したX線を検出領域内で検出する二次元検出器(例えば、後述する第1二次元検出器18a、第2二次元検出器18b)と、前記二次元検出器により検出された二次元X線像に基づいて、前記被測定物の回折角に対するX線強度を示す回折プロファイルを算出するプロファイル算出部(例えば、後述するプロファイル算出部44)とを備え、前記通過制限部材は、異なる回折角に対応する複数の出射光軸上にそれぞれ設けられて複数あり、複数の各前記通過制限部材は、前記スリットが、前記入射光軸および自己に対応する前記出射光軸の両方に直交する直交方向(例えば、後述する直交方向A)に対して、少なくとも自己に対応する前記出射光軸の軸回り方向に傾く(例えば、後述する傾斜角φ)ように配置されており、前記二次元検出器は、複数の各前記通過制限部材ごとに対応する通過X線の強度を当該通過X線を区分してそれぞれ検出し、前記プロファイル算出部は、前記二次元検出器の出力に基づいて複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルを当該通過X線を区分してそれぞれ算出する、X線回折測定装置。
(2)前記二次元検出器は、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1の二次元検出器(例えば、後述する第1二次元検出器18a)と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2の二次元検出器(例えば、後述する第2二次元検出器18b)とを含み、前記第1の二次元検出器は前記第2の二次元検出器よりも前記検出領域が狭く且つ空間分解能が高い、上記(1)のX線回折測定装置。
(3)前記通過制限部材は、超低角の回折角に対応する出射光軸上に設けられた第1の形態の通過制限部材(例えば、後述する第1通過制限部材26a)と、前記超低角に比し広角の回折角に対応する出射光軸上に設けられた第2の形態の通過制限部材(例えば、後述する第2通過制限部材、第3通過制限部材26c)とを含む、上記(1)のX線回折測定装置。
(4)前記二次元検出器は、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1の二次元検出器(例えば、後述する第1二次元検出器18a)と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2の二次元検出器(例えば、後述する第2二次元検出器18b)とを含み、前記第1の二次元検出器は前記第2の二次元検出器よりも前記検出領域が狭く且つ空間分解能が高く、前記第1の二次元検出器は、前記第1の形態に該当する1つの通過制限部材である第1通過制限部材(例えば、後述する第1通過制限部材26a)からの通過X線の強度を検出し、前記第2の二次元検出器は、前記第2の形態に該当する2つの通過制限部材である第2通過制限部材(例えば、後述する第2通過制限部材)および第3通過制限部材(例えば、後述する第3通過制限部材26c)からの通過X線の強度を検出する、上記(3)のX線回折測定装置。
(5)前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材は、自己に対応する前記出射光軸方向に直交する面内方向(例えば、後述するxz平面の面内方向)の位置および前記出射光軸方向の位置ならびに前記出射光軸回りの回転の姿勢(例えば、後述する直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾きの角度である傾斜角φ)のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が調節可能に配置され、前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材の前記位置および/または姿勢を前記プロファイル算出部の出力に基づいて調節するサーボ機構(例えば、後述するサーボ機構28)が設けられている、上記(4)のX線回折測定装置。
(6)前記サーボ機構は、前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および第3通過制限部材の前記位置および/または姿勢を、前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材ごとに独立して調節する、上記(5)のX線回折測定装置。
(7)前記通過制限部材はタングステンの板材である、上記(1)のX線回折測定装置。
(8)入射光軸(例えば、後述する入射光軸30)と出射光軸(例えば、後述する出射光軸32a、32b、32c)との交差位置(例えば、後述する交差位置34)にある被測定物(例えば、後述する被測定物М)によって生じるX線回折に基づいて前記被測定物の性状を測定するX線回折測定方法であって、前記X線回折を生じたX線を通過させる直線状のスリット(例えば、後述する第1スリット24a、第2スリット24b、第3スリット24c)が形成された複数の通過制限部材(例えば、後述する第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26b、第3通過制限部材26c)を、異なる回折角に対応する複数の出射光軸(例えば、後述する出射光軸32a、32b、32c)上に、それぞれの前記スリットが、前記入射光軸および自己に対応する前記出射光軸の両方に直交する直交方向(例えば、後述する直交方向A)に対して、少なくとも自己に対応する前記出射光軸の軸回り方向に傾く(例えば、後述する傾斜角φ)ように配置する通過制限部材プレ配置工程(例えば、後述する通過制限部材プレ配置工程S11)と、前記通過制限部材プレ配置工程で配置された複数の各前記通過制限部材の前記スリットを通過したX線を、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置され自己の検出領域が相対的に狭く且つ空間分解能が高い第1の二次元検出器(例えば、後述する第1二次元検出器18a)と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置され自己の検出領域が相対的に広く且つ空間分解能が低い第2の二次元検出器(例えば、後述する第2二次元検出器18b)とにより検出し、該検出による二次元X線像に基づいて、前記被測定物の回折角に対するX線強度を示す回折プロファイルを複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルとして区分してそれぞれ算出する回折プロファイル算出工程(例えば、後述する回折プロファイル算出工程S12)と、前記回折プロファイル算出工程で算出された複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルに対して、当該プロファイルが、回折角分解能および/または空間分解能について測定結果として扱う条件を充足するか否かを評価する評価工程(例えば、後述する評価工程S13)と、前記評価工程における評価結果に応じて、前記複数の通過制限部材に対して前記通過制限部材プレ配置工程での配置を変更して調整する配置調整工程(例えば、後述する配置調整工程S14)と、を含む X線回折測定方法。
(1)のX線回折測定装置では、二次元検出器によって、複数の各通過制限部材それぞれのスリットを通過した通過X線の強度を当該通過X線を区分して検出し、該検出の出力に基づいて、プロファイル算出部が通過X線に係る回折プロファイルを当該通過X線を区分してそれぞれ算出する。これにより回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る測定結果を得ることができる。
(2)のX線回折測定装置では、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1の二次元検出器は、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2の二次元検出器よりも検出領域が狭く且つ空間分解能が高い。このため、デバイ-シェラーリングパターンの環の間隔が比較的詰まって現れる低角側の回折プロファイルを識別し易くなる。
(3)のX線回折測定装置では、第1の形態の通過制限部材を利用して超低角の回折角を呈する物質の性状を検出する一方、第2の形態の通過制限部材を利用して相対的に広角の回折角を呈する物質の性状を同時に検出する。これにより、デバイ-シェラーリングパターンの環の間隔が比較的詰まって現れ得る低角側の回折プロファイルを高い空間分解能で検出し、且つ、広角側の回折プロファイルを良好な信号強度で同時に検出することができる。
(4)のX線回折測定装置では、相対的に検出領域が狭い第1の二次元検出器で、第1の形態に該当する第1通過制限部材からの通過X線の強度を検出する。同時に、相対的に検出領域が広い第2の二次元検出器で、第2の形態に該当する第2通過制限部材および第3通過制限部材からの通過X線の強度を検出する。これにより、第2の二次元検出器の広い検出領域を無駄なく利用して、回折角の異なる複数の材料に対して、それらの性状に係る測定結果を得ることができる。
(5)のX線回折測定装置では、サーボ機構によって、第1通過制限部材、第2通過制限部材および第3通過制限部材それぞれを、出射光軸方向に直交する面内方向および出射光軸方向の位置ならびに出射光軸回りの回転の姿勢のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢を調節できる。このため、第1通過制限部材、第2通過制限部材および第3通過制限部材の位置および/または姿勢を適切に調節して、精度および確度の高い測定結果を得ることができる。
(6)のX線回折測定装置では、サーボ機構は、第1通過制限部材、第2通過制限部材および第3通過制限部材の前記位置および/または姿勢を、第1通過制限部材、第2通過制限部材および第3通過制限部材ごとに独立して調節する。このため、第1通過制限部材、第2通過制限部材および第3通過制限部材の位置および/または姿勢を一層適切に調節することができる。
(7)のX線回折測定装置では、通過制限部材はタングステンの板材であるため、X線の通過を、厳密にスリットの領域に制限することができる。
(8)のX線回折測定方法では、通過制限部材プレ配置工程で配置された位置での複数の通過制限部材の通過X線の回折プロファイルを、回折プロファイル算出工程で算出する。次いで、当該算出されたプロファイルが、回折角分解能および/または空間分解能について測定結果として扱う条件を充足するか否かを評価工程で評価する。さらに、評価工程における評価結果に応じて、複数の通過制限部材に対して通過制限部材プレ配置工程での配置を配置調整工程で変更して調整する。これにより、回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る精度および確度の高い測定結果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置の構成図である。 単層セルの正極板におけるX線の回折像を示す図である。 リチウムイオン電池の構造を模擬した被測定物の斜視図である。 図3Aの被測定物におけるX線の回折像を示す図である。 図1に示すX線回折測定装置を手動操作して測定を行う場合の動作を表すフローチャートである。 相対的位置関係を特定する幾何学的情報に関する説明図である。 スリットの形状を特定する幾何学的情報に関する説明図である。 検出工程(図4のステップS5)にて検出された二次元X線像を示す図である。 フィルタリング工程(図4のステップS6)で用いるフィルタ画像を模式的に示す図である。 図6Aの二次元X線像に対して、図6Bのフィルタ画像を作用した結果を示す図である。 算出工程(図4のステップS7)における回折プロファイルの算出方法に関する説明図である。 算出工程(図4のステップS7)における回折プロファイルの算出方法に関する説明図である。 層状体の位置毎の回折プロファイルを示す図である。 層状体の位置毎の回折プロファイルを示す図である。 層状体の位置毎の回折プロファイルを示す図である。 本発明の一実施形態に係るX線回折測定方法を表すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置および方法に係る測定のシミュレーションの条件を説明する図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材を除いたと仮定した場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材を用いた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの幅を一定にしてスリットの傾斜角を変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの幅を一定にしてスリットの傾斜角を変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの幅を一定にしてスリットの傾斜角を変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの幅を一定にしてスリットの幅を変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さを変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さを変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さを変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さを変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。 図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さを変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置10の構成図である。X線回折測定装置10は、被測定物Mによって生じるX線の回折を検出することで被測定物Mの性状を測定する。この実施形態では、透過型X線回折法を行うための装置構成を示しているが、反射型X線回折法に適用できる装置構成を採用してもよい。
X線回折測定装置10は、X線発生器12、入射側通過制限機構14、第1出射側通過制限機構16a、第2出射側通過制限機構16b、第3出射側通過制限機構16c、第1二次元検出器18a、第2二次元検出器18bおよび制御装置20を含んで構成される。制御装置20は、マイクロプロセッサーおよびメモリーを含んで構成され、X線回折測定装置10の各部を制御する。制御装置20は、メモリーに格納されたプログラムを読み出して実行することで、同期制御部40、情報取得部42、プロファイル算出部44、性状測定部46およびサーボ指令部47として機能する。なお、制御装置20は、図示しない操作部からの操作を受け付けてサーボ指令部47を手動操作モードで機能させることが可能に構成される。
X線発生器12は、熱電子型、電界放出型またはショットキー型の電子銃を備えており、X線を外部に向けて放射する。なお、X線発生器12は、シンクロトロン、蓄積リング、ライナック、マイクロトロンを含む各種加速器に設けられる挿入光源(具体的には、アンデュレータまたはウィグラー)であってもよい。
第1出射側通過制限機構16a、第2出射側通過制限機構16b、第3出射側通過制限機構16cは、相互に相似の構成を有する機構であり、後述するように、それらの仕様が異なる。
第1出射側通過制限機構16aは、直線状の第1スリット24aを有する第1通過制限部材26aと、第1通過制限部材26aを駆動する第1駆動部28aと、を備える。
第2出射側通過制限機構16bは、直線状の第2スリット24bを有する第2通過制限部材26bと、第2通過制限部材26bを駆動する第2駆動部28bと、を備える。
第3出射側通過制限機構16cは、直線状の第3スリット24cを有する第3通過制限部材26cと、第3通過制限部材26cを駆動する第3駆動部28cと、を備える。
第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cは、何れもタンタルより原子番号の大きい金属材料であればよく、価格や加工性や剛性を考慮するとタングステンが好ましい板材である。このため、X線の通過を、厳密に第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの領域に制限することができる。
ここで、X線発生器12、ピンホール22および被測定物Mを1本の直線で結んだ代表的な光束のことを「入射光軸30」という。上述のように、第1出射側通過制限機構16a、第2出射側通過制限機構16b、第3出射側通過制限機構16cは、相互に相似の構成を有する機構であるため、説明の便宜上、代表的に、第2出射側通過制限機構16bに注目する。
第2出射側通過制限機構16bにおける出射光軸32bは、1つの交差位置34にて入射光軸30と交差する。第2スリット24bは、出射光軸32b上に位置し、入射光軸30および自己に対応する出射光軸32bの両方に直交する直交方向(以下、適宜「直交方向A」と称する)に対して、少なくとも出射光軸32bの軸回り方向に傾くように配置される。第2スリット24bの長手方向を、以下、適宜「傾斜方向B」と称する。このように、被測定物Mを交差位置34に配置して第2スリット24bの通過X線に係る回折プロファイルを第2二次元検出器18bおよび制御装置20のプロファイル算出部44で算出する。
第1出射側通過制限機構16aについても同様に、出射光軸32aが定義され、第1スリット24aは、出射光軸32a上に位置し直交方向Aに対して、少なくとも出射光軸32aの軸回り方向に傾くように配置される。交差位置34に配置した被測定物Mによる第1スリット24aの通過X線に係る回折プロファイルを第1二次元検出器18aおよび制御装置20のプロファイル算出部44で算出する。
また、第3出射側通過制限機構16cについても同様に、出射光軸32cが定義され、第3スリット24cは、出射光軸32c上に位置し直交方向Aに対して、少なくとも出射光軸32cの軸回り方向に傾くように配置される。交差位置34に配置した被測定物Mによる第3スリット24cの通過X線に係る回折プロファイルを第2二次元検出器18bおよび制御装置20のプロファイル算出部44で算出する。
この場合、第2二次元検出器18bは、第2スリット24bの通過X線の強度(X線の回折像)と、第3スリット24cの通過X線の強度とを、区分してそれぞれ検出する。換言すれば、第1二次元検出器18aおよび第2二次元検出器18bは、第1スリット24aの通過X線の強度、第2スリット24bの通過X線の強度および第3スリット24cの通過X線の強度を、各別に区分してそれぞれ検出する。
また、プロファイル算出部44は、第1二次元検出器18aは1スリット24aの通過X線に係る回折プロファイル、第2スリット24bの通過X線に係る回折プロファイルおよび第3スリット24cの通過X線に係る回折プロファイルを、各別に区分してそれぞれ算出する。
第1二次元検出器18aは、出射光軸32aに対応してX線回折ピークにおける低角ピークの位置を含む領域を目標位置として配置される第1の二次元検出器である。また、第2二次元検出器18bは、出射光軸32bおよび出射光軸32cに対応してX線回折ピークにおける高角ピークの位置を含む領域を目標位置として配置される第2の二次元検出器である。第1二次元検出器18aは、第2二次元検出器18bよりも検出領域が狭く且つ空間分解能が高い。
また、第1通過制限部材26aは、超低角の回折角に対応する出射光軸32a上に設けられた第1の形態の通過制限部材である。第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cは、超低角に比し広角の回折角に対応する出射光軸32bおよび出射光軸32cに対応して設けられた第2の形態の通過制限部材である。
図1に示すxyz座標系は、入射光軸30の方向を「y軸」、入射光軸30および出射光軸32bを包含する平面を「yz平面」と定義する直交座標系である。この場合、入射光軸30および出射光軸32bはいずれも「x軸」(「直交方向A」に該当する)と直交する。yz平面は、第1出射側通過制限機構16aおよび第3出射側通過制限機構16cについても同様である。即ち、xyz座標系は、第1出射側通過制限機構16a、第2出射側通過制限機構16bおよび第3出射側通過制限機構16cについて共通である。
第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cは、各自己に対応する出射光軸32a、出射光軸32bおよび出射光軸32cの方向に直交する面内方向(xz平面の面内方向)、および、出射光軸32a、出射光軸32bおよび出射光軸32cの方向(y軸方向)の位置、ならびに、出射光軸32a、出射光軸32bおよび出射光軸32cの回りの回転の姿勢(直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾きの角度である傾斜角φ)のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が調節可能に配置される。
第1通過制限部材26aは、出射光軸32aの方向に直交する面内方向の位置、および、出射光軸32aの方向の位置、ならびに、出射光軸32aの回りの回転の姿勢のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が、制御装置20からの指令で作動する第1駆動部28aによって調節される。詳細には、制御装置20におけるプロファイル算出部44の算出結果に基づいてサーボ指令部47が発する駆動信号により、第1駆動部28aが駆動され、第1通過制限部材26aに係る上述の位置および/または姿勢が調節される。
第2通過制限部材26bは、出射光軸32bの方向に直交する面内方向の位置、および、出射光軸32bの方向の位置、ならびに、出射光軸32bの回りの回転の姿勢のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が、制御装置20からの指令で作動する第2駆動部28bによって調節される。詳細には、制御装置20におけるプロファイル算出部44の算出結果に基づいてサーボ指令部47が発する駆動信号により、第2駆動部28bが駆動され、第2通過制限部材26bに係る上述の位置および/または姿勢が調節される。
第3通過制限部材26cは、出射光軸32cの方向に直交する面内方向の位置、および、出射光軸32cの方向の位置、ならびに、出射光軸32cの回りの回転の姿勢のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が、制御装置20からの指令で作動する第3駆動部28cによって調節される。詳細には、制御装置20におけるプロファイル算出部44の算出結果に基づいてサーボ指令部47が発する駆動信号により、第3駆動部28cが駆動され、第3通過制限部材26cに係る上述の位置および/または姿勢が調節される。
サーボ指令部47、第1駆動部28a、第2駆動部28bおよび第3駆動部28cは、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに係る上述の位置および/または姿勢を、プロファイル算出部44の出力に基づいて調節する、サーボ機構28を構成している。サーボ機構28は、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに係る上述の位置および/または姿勢を、各通過制限部材26a、26bおよび26cごとに独立して制御する。
なお、上述の手動操作モードでの動作においては、サーボ指令部47は操作者による操作部からの操作に応答して、サーボ機構28を手動マニピュレーターとして機能させ、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに係る上述の位置および/または姿勢を手動で調節することが可能に構成される。
次に、図2、図3Aおよび図3Bを参照して、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cの、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cにおける通過X線の強度(X線の回折像)を、第1二次元検出器18aおよび第2二次元検出器18bにより検出する際に留意する現象について説明する。第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに対応する第1出射側通過制限機構16a、第2出射側通過制限機構16bおよび第3出射側通過制限機構16cは、上述のように、相互に相似の構成を有する機構である。従って、この現象も相似的である。このため、代表的に、第2出射側通過制限機構16bの第2スリット24bにおける通過X線の強度を第2二次元検出器18bにより検出する場合について説明する。
図2は、被測定物Mとしての単層セルの正極板におけるX線の回折像を示す図である。本図は、仮に通過制限部材26b(図1)を取り外した状態下で、被測定物Mに対してX線を照射した場合の検出結果を模式的に示す。以下、説明の便宜上、通過制限部材26bの有無にかかわらず、第2二次元検出器18bにおいて光学的なボケが同程度に発生することを想定する。
図2において、矩形で示す領域は、第2二次元検出器18b(図1)上の第2スリット24bにおける通過X線の強度(X線の回折像)の検出に用いる検出領域Rに相当する。この検出領域R内において、検出したX線強度が小さい位置を白色で示すとともに、検出したX線強度が大きい位置を黒色で示す。また、検出領域Rにおける短辺方向をP軸、長辺方向をQ軸とそれぞれ定義する。ここで、P軸方向は、上述の直交方向Aに一致する。
被測定物Mとしての単層セルにおける正極活物質は、相互に近い回折角(概ね、25度<2θ<30度)にて4つのピークを有する材料から構成される。この場合、検出領域R内において、デバイ-シェラーリングパターンの部分像が、直交方向Aに沿って延びる円弧状のパターン51~54として同時に且つ識別可能に検出される。
図1に示す位置関係から理解されるように、回折角が小さいパターン51ほど、検出領域R内のQ座標が小さくなる。反対に、回折角が大きいパターン54ほど、検出領域R内のQ座標が大きくなる。
図3Aは、リチウムイオン電池の構造を模擬した被測定物Mの斜視図である。被測定物Mは、図2で説明した正極板に相当する3つの層状体60a、60b、60cと、これらの層状体60a~60cを両側方から固定する2枚の固定板62、62から構成される。
図3Bは、図3Aの被測定物MにおけるX線の回折像を示す図である。本図は、図2の場合と同様に、通過制限部材26(図1)を取り外した状態下で、被測定物Mに対してX線を照射した場合の検出結果を模式的に示す。
図3Bから理解されるように、検出領域R内において、層状体60a~60cにおけるパターン51~54(図2)が、Q軸方向に沿って平行移動して重なり合った、線状パターン群64として同時に検出される。ところが、最も手前側の層状体60aにおけるパターン53と、最も奥側の層状体60cにおけるパターン52が重なって検出される。このため、線状パターン群64は、太線で示す重なり部66を1本のパターンとみなすと、実質的には11本のパターンからなる。
即ち、現象論的には、被測定物Mの形状または配置によって、複数本のパターン51~54のうちの一部が重なってしまう場合、個々のパターン51~54を分離して識別するのが難しいという問題がある。以下、この現象論的な問題について幾何学的な観点から説明する。
被測定物Mに対してX線を照射した場合、回折X線は、被測定物Mにおける回折位置および回折角の組み合わせに応じて、幾何学的に定められた検出領域R内の二次元位置に到達する。つまり、この回折現象を幾何学的な写像問題と捉えることができる。例えば、写像の一意性が成り立つ測定系では、X線の検出結果に基づいて、回折位置および回折角の組み合わせが一意に特定される。
ところが、被測定物Mの回折位置(具体的には、y座標)に着目した場合、検出領域R内の直交方向Aに関して写像の一意性が成り立たない。これにより、図3Bに示すような、パターン51~54が部分的に重複する現象が生じる。以上、理解を容易にするために不連続体(離散体)を用いて説明したが、有意な厚さの連続体を用いても同様の現象が起こり得る。
一般的には、この種の被測定物Mの測定を行う場合、共焦点光学系を用いて特定の回折位置(特定のy座標)におけるX線のみを検出する手法が用いられる。この場合、回折位置毎の測定を行うために、「被測定物Mの相対移動」および「X線の照射」を順次繰り返す必要がある。
従って、回折位置のプロット数が多ければその分だけ、測定に要する時間が長くなるという問題が生じる。同様に、この問題は、回折角毎の測定を行う場合にも当てはまる。そこで、一回的なX線検出動作により被測定物Mを効果的に測定可能なX線回折測定装置および方法を提案する。
図4は、図1に示すX線回折測定装置10を手動操作して測定を行う場合の動作を表すフローチャートである。なお、図4に係る説明においても、代表的に、第2出射側通過制限機構16bの第2スリット24bにおける通過X線の強度を第2二次元検出器18bにより検出する場合について説明する。
図4のステップS1において、操作者は、測定しようとする被測定物Mを準備し、この被測定物Mを所定の位置(交差位置34)に配置する。この被測定物Mは、X線の回折現象を発生させる物体、即ち、多結晶性であって無秩序配向の材料からなる物体、またはこの材料を含む物体である。
例えば、被測定物Mが有意な厚さ(具体的には、10μm以上)を有する物体である場合、この厚さ方向が入射光軸30(y軸)に対して平行になる向きに配置される。また、被測定物Mが層状体60a~60c(図3A参照)を積層した物体である場合、この積層方向が入射光軸30(y軸)に対して平行になる向きに配置される。
ステップS2において、操作者は、X線回折測定装置10における測定光学系の配置(位置調整)を行う。これにより、入射光軸30および第2出射光軸32bは、交差位置34にて所定の交差角度2θで交わるように調整される。被測定物Mの材料構成は操作者にとって既知であるので、X線の回折を検出し易い交差角度2θに設定する。
ステップS3において、情報取得部42は、ステップS2で配置された光学測定系に関する幾何学的情報を取得する。ここでは、情報取得部42は、交差位置34、第2スリット24bおよび検出領域Rの間の位置関係を特定するための幾何学的情報を取得する。
図5Aに示すように、相対的位置関係を特定する幾何学的情報として、具体的には、[1]交差位置34から第2二次元検出器18bまでの距離L、[2]交差位置34から第2通過制限部材26bまでの距離Rss、[3]入射光軸30と第2出射光軸32bのなす交差角度2θ、[4]第2出射光軸32b上の位置67に対応する座標(P,Q)、[5]二次元検出器18bがなす面の法線と、第2出射光軸32bのなす角(図5Aの例では0度)、[6]第2通過制限部材26bがなす面の法線と、第2出射光軸32bのなす角(図5Aの例では0度)が挙げられる。
図5Bに示すように、第2スリット24bの形状を特定する幾何学的情報として、具体的には、[1]第2スリット24bの傾斜角φ(>0)、[2]第2スリット24bの長さSl、[3]第2スリット24bの幅Sw、[4]スリット中心68と第2出射光軸32bの位置ずれ量(本図例では、位置ずれ量は0)、が挙げられる。
なお、情報取得部42は、幾何学的情報の他、被測定物Mの形状または配置に関する情報を取得してもよい。この情報として、具体的には、[1]被測定物Mと交差位置34の相対位置、[2]被測定物Mの厚さ(y軸方向)が挙げられる。
ステップS4において、X線発生器12は、同期制御部40が行う同期制御に従ってX線を照射する。これにより、X線は、入射光軸30に沿って、入射側通過制限機構14のピンホール22を通過し、被測定物Mの測定部位36に到達する。X線は、被測定物Mの回折位置(内部または表面上の位置)にて回折した後、出射光軸32bに沿って第2通過制限部材26bの第2スリット24bを通過し、第2二次元検出器18bの該当する検出領域(図2におけるR)に到達する。
ステップS5において、第2二次元検出器18bは、同期制御部40が行う同期制御に従って第2スリット24bを通過したX線を検出領域R内で検出し、得られた検出信号を制御装置20に向けて出力する。これにより、制御装置20は、測定部位36による回折状態を示す二次元X線像70を取得する。なお、図6Aに示す二次元X線像70は、図3Aの被測定物MにおけるX線の回折像に相当する。
ステップS6において、プロファイル算出部44は、ステップS5で取得された二次元X線像70に対して、回折位置(y座標)の範囲を制限するフィルタリング処理を行う。具体的には、プロファイル算出部44は、二次元X線像70に対して2値のフィルタ画像72を作用することで処理済みX線像74を得る。
ところで、各々の境界線73p、73mは、二次元位置の座標(P、Q)を用いて、次の(1)式で表現される直線である。
Figure 2022152946000002
境界線73pは、回折角が交差角度2θ、回折位置が上限値(y=yo)である場合に第2スリット24bの上側エッジを通過する、X線の検出位置の集合を示す直線である。境界線73mは、回折角が交差角度2θ、回折位置が下限値(y=yo)である場合に第2スリット24bの下側エッジを通過する、X線の検出位置の集合を示す直線である。ここで、境界線73p、73mはいずれも、P軸方向(直交方向A)に対して傾斜角φ(>0)だけ傾いている。
例えば、φ=0(つまり、tanφ=0)を満たすとき、(1)式の右辺第1項は0となり、右辺第2項(Pの値に依存しない定数項)のみが残る。つまり、右辺第2項の値が等しくなる(yo,2θ)の組み合わせが2組以上ある場合、これらの組み合わせに対応する二次元位置(P,Q)がすべて一致してしまう。
一方、図1に示すようにφ>0を満たすとき、(1)式の右辺第1項は非0となるので、QはPに依存する値をとる。(yo,2θ)の組み合わせに対応するPの値はそれぞれ異なるので、定数項が等しくなる(yo,2θ)の組み合わせが2組以上あっても二次元位置(P,Q)がそれぞれ異なることになる。
プロファイル算出部44は、二次元X線像70を構成する各画素の検出値(つまり、画素値)に対して、当該画素の位置に応じた2値のフィルタ係数Fを乗算することで、回折位置のフィルタリング処理を行う。例えば、図3Aの被測定物Mに関して、すべての層状体60a~60cを含むように回折位置(y座標)の範囲が設定された場合、図6Cに示す処理済みX線像74が得られる。
図6Cに示すように、処理済みX線像74は、個々に識別可能である12個の点状パターンから構成される点状パターン群76を有する。点状パターン群76は、層状体60a~60c(図3A)におけるパターン51~54(図2)が、第2スリット24bの傾斜方向Bに沿って切り出されたパターン群に相当する。
ステップS7において、プロファイル算出部44は、ステップS6でフィルタリングされた処理済みX線像74を用いて、回折位置毎の回折プロファイルを算出する。ここで、「回折プロファイル」は、被測定物Mの回折角(2θobs)に対するX線強度を示す特性曲線を意味する。
図7Aに示すように、プロファイル算出部44は、上述した幾何学的情報を用いて、特定の(yo,2θobs)に応じた回折X線の投影位置、具体的には、楕円曲線として記述したデバイ-シェラーリングパターンの投影位置に相当する円錐曲線78を算出する。そして、プロファイル算出部44は、円錐曲線78上にあるすべての画素に関して画素値を順次積算することで、特定の(yo,2θobs)におけるX線強度を求める。
なお、処理済みX線像74において、上記したフィルタリングにより、境界線73p、73mの間にある画素(画素値が非0)のみ積算が有効であり、それ以外の画素(画素値が0)に関する積算は実質的に無効である。
例えば、プロファイル算出部44は、回折位置y=yoを固定した上で、回折角2θobsを任意の刻み幅で変化させながらX線強度を順次求めることで、回折位置(y)毎の回折プロファイルを算出することができる。
図7Bに示すように、一次元X線像80a~80cは、第2スリット24bの傾斜方向Bに沿って二次元X線像70から抽出された、層状体60a~60cの位置に相当する像である。本図に示す矢印は、回折角2θobsの増加方向を示している。なお、回折角2θobsは、傾斜方向Bに沿った位置に対して非線形な対応関係を有している。
図8A~図8Cは、層状体60a~60cの位置毎の回折プロファイルを示す図である。各々のグラフは、被測定物Mの回折角2θobs(単位:度)に対するX線強度(単位:任意)を示す。これらの図から理解されるように、ピーク強度の大小関係がそれぞれ異なるものの、同じ回折角2θobsにて4つのピークを有する回折プロファイルが得られる。
ピーク強度の大小関係が変化する理由は、[1]検出領域Rの面積が有限のサイズであり、回折角2θobsに応じてデバイ-シェラーリングパターンの検出長さが異なるため、[2]被測定物Mに含まれる材料に若干の結晶配向性があるため、と考えられる。同一の回折プロファイルにおいてピーク強度の相対的大小関係を把握したい場合(具体例として、ピーク角度に関する情報を抽出する場合)には、ピーク強度の絶対値の変動を考慮しなくてもよい。
このように、プロファイル算出部44は、交差位置34、第2スリット24bおよび検出領域Rに関する幾何学的情報を用いて、被測定物Mの回折位置(y座標)に対応する1つまたは複数の回折プロファイルを算出する。第2スリット24bが直線状であるため、比較的平易な幾何学的演算を用いて、各々の回折位置に対応する回折プロファイルを算出することができる。
ここで、被測定物Mは、多結晶性であって無秩序配向の材料を含み、10μm以上の厚さを有する物体であってもよい。図4のステップS2にて既に説明した適切な向きに被測定物Mを配置することで、一回的なX線検出動作によって、厚さ方向の各々の位置における性状を同時に測定することができる。
或いは、被測定物Mは、多結晶性であって無秩序配向の材料を含む層状体60a~60cを積層した物体であってもよい。図4のステップS2にて既に説明した適切な向きに被測定物Mを配置することで、一回的なX線検出動作によって、各々の層状体60a~60cの性状を同時に測定することができる。
ステップS8において、性状測定部46は、ステップS7で算出された回折プロファイルを用いて被測定物Mの性状を測定する。この性状は、例えば、回折強度、格子面間隔、格子定数、ミラー指数、同定された物質名、物質の濃度・応力・温度、電池活物質の充放電深度であってもよい。
ステップS9において、制御装置20は、測定の終了を受け付けたか否かを判定する。未だ終了を受け付けていない場合(ステップS9:NO)、ステップS4に戻って、以下、ステップS4~S9を順次繰り返す。一方、測定の終了を受け付けた場合(ステップS9:YES)、被測定物Mの測定を終了する。
なお、第2二次元検出器18bが光子計数型検出器である場合、プロファイル算出部44は、被測定物M、第2通過制限部材26bおよび第2二次元検出器18bが固定された状態にて第2二次元検出器18bにより逐次検出された二次元X線像70に基づいて、回折プロファイルの時系列を算出可能である。これにより、被測定物Mの性状を時系列的に測定可能となり、いわゆる動態解析を行うことができる。
以上、図2から図8Cを参照して、代表的に、第2出射側通過制限機構16bの第2スリット24bにおける通過X線の強度を第2二次元検出器18bにより検出し、回折プロファイルを算出する場合について説明した。第2出射側通過制限機構16bと相似的な構成を有する第3出射側通過制限機構16cについても、その第3スリット24cにおける通過X線の強度を第2二次元検出器18bにより検出し、回折プロファイルを算出する場合についても同様に説明することができる。
なお、第2スリット24bにおける通過X線の強度を検出する場合と、第3スリット24cにおける通過X線の強度を検出する場合とでは、単一の第2二次元検出器18bにおける検出領域Rを区分して用いる。換言すれば、性状を異にしX線回折ピークが異なる複数の被測定物に対して、同じ第2二次元検出器18bにおける相対的に広い検出領域を区分して用い、無駄なく利用する。これにより、簡単な構成で、複数種類の被測定物に対してX線回折測定を行うことが可能になる。
第2出射側通過制限機構16bと相似的な構成を有する第1出射側通過制限機構16aについても、その第1スリット24aにおける通過X線の強度を第1二次元検出器18aにより検出し、回折プロファイルを算出する場合についても上述と同様に説明することができる。
次に、図9を参照して、本発明の実施形態に係るX線回折測定方法について説明する。このX線回折測定方法の説明を通して、図1を参照して説明した構成を有する本発明の実施形態としてのX線回折測定装置の動作についても明らかにする。
図9は、本発明の一実施形態に係るX線回折測定方法を表すフローチャートである。被測定物Mは、図4のS1におけるようにして、予め、所定の位置(交差位置34)に配置することを前提としている。最初に、通過制限部材プレ配置工程S11では、第1出射側通過制限機構16aの第1通過制限部材26a(第1スリット24a)、第2出射側通過制限機構16bの第2通過制限部材26b(第2スリット24b)および第3出射側通過制限機構16cの第3通過制限部材26c(第3スリット24c)を、被測定物Mについておおよそ予測される各該当位置に配置する。
この配置に際しては、制御装置20に対し、操作者が、図示しない操作部からの操作を行ってサーボ機構28を手動マニピュレーターとして機能させ、第1駆動部28a、第2駆動部28bおよび第3駆動部28cによって、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの、上述の位置および/または姿勢を、或る特定状態となるようにしてもよい。
或いはまた、制御装置20に対し、操作者が、図示しない操作部から被測定物Mに該当することが既知であるか、乃至は、該当することが予測されるカテゴリーを指定する操作を行うと、この指定に応答して、サーボ機構28が自動マニピュレーターとして機能して、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの、上述の位置および/または姿勢を、上述の特定状態となるようにしてもよい。
通過制限部材プレ配置工程S11においても、相対的に幅の狭い第1スリット24aを、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1二次元検出器18aの位置に適合するように配置する。また、第2スリット24bおよび第3スリット24cを、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2二次元検出器18bの位置に適合するように配置する。
第1二次元検出器18aは、第2二次元検出器18bよりも検出領域が狭く且つ空間分解能が高い。このため、デバイ-シェラーリングパターンの環の間隔が比較的詰まって現れる低角側の回折プロファイルを識別し易くなる。
第2二次元検出器18bは、検出領域が相対的に広いが空間分解能が低い。しかしながら、第2二次元検出器18bは、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置されているため、デバイ-シェラーリングパターンの環が太くその間隔が相対的に広くなる場合がある。このため、第2二次元検出器18bについては、空間分解能が低くともX線強度の検出が可能となる傾向がある。
次いで、回折プロファイル算出工程S12では、プロファイル算出部44が、通過制限部材プレ配置工程S11で仮設定された配置における第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの通過X線に係る回折プロファイルを、当該通過X線を区分してそれぞれ算出する。この算出は、概ね、図4のS3からS7の如くして、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの通過X線ごとに、順次的に、または、並列的に実行される。但し、回折プロファイル算出工程S12で、サーボ機構28が自動マニピュレーターとして機能して、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの、上述の位置および/または姿勢を、既定の特定状態となるように操作する場合は、図4のS3における幾何学的情報は既知であり、従って、ステップS3に該当する処理は省かれる。
次いで、評価工程S13では、プロファイル算出部44が、回折プロファイル算出工程S12で算出された、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの通過X線に係る回折プロファイルを評価する。この評価は、回折プロファイル算出工程S12で算出されたデータが測定結果として扱う条件を充足する適切なものか否かを評価する。評価の視点は、回折角分解能、空間分解能、観測可能な回折角範囲などである。
通過制限部材プレ配置工程S11で仮設定された配置における第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの通過X線に係る回折プロファイルがデータが測定結果として適切であることは稀である。評価工程S13で、回折プロファイル算出工程S12で算出されたデータが測定結果として適切でないと評価されたときには、次いで、配置調整工程S14に移行する。
配置調整工程S14では、プロファイル算出部44が、評価結果をさらに適切なものとするための第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの配置の調整に係るデータを出力する。サーボ指令部47がプロファイル算出部44からの上述の配置の調整に係るデータを受けて、該データに基づいてサーボ機構28を作動させる。
上述のように、サーボ機構28は、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに係る上述の位置および/または姿勢を、各通過制限部材26a、26bおよび26cごとに独立して制御する。即ち、サーボ機構28は、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの上述の位置および/または姿勢を各別に独立して制御する。
回折プロファイル算出工程S12、評価工程S13および配置調整工程S14は、評価工程S13で測定結果として適切であるという評価を得るまで繰り返し実行される。評価工程S13で測定結果として適切であるという評価を得たときには、回折プロファイル格納工程S15に移行する。回折プロファイル格納工程S15では、プロファイル算出部44が、回折プロファイル算出工程S12で算出されたデータを所定のメモリーに格納する。
図1の実施形態におけるX線回折測定装置10では、サーボ機構28は、第1通過制限部材26aについて、出射光軸32aの方向に直交する面内方向(xz平面の面内方向)の位置および出射光軸32aの方向(y軸方向)の位置ならびに出射光軸32aの回りの回転の姿勢(直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾きの角度である傾斜角φ)を、サーボ指令部47が発する駆動信号により、第1駆動部28aが調節するように構成される。
同様に、サーボ機構28は、第2通過制限部材26bについて、出射光軸32bの方向に直交する面内方向(xz平面の面内方向)の位置および出射光軸32bの方向(y軸方向)の位置ならびに出射光軸32bの回りの回転の姿勢(直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾きの角度である傾斜角φ)を、サーボ指令部47が発する駆動信号により、第2駆動部28bが調節するように構成される。
さらに、サーボ機構28は、第3通過制限部材26cについて、出射光軸32cの方向に直交する面内方向(xz平面の面内方向)の位置および出射光軸32cの方向(y軸方向)の位置ならびに出射光軸32cの回りの回転の姿勢(直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾きの角度である傾斜角φ)を、サーボ指令部47が発する駆動信号により、第3駆動部28cが調節するように構成される。
サーボ機構28による上述の第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cに関するxz平面の面内方向の位置およびy軸方向の位置ならびに傾斜角φの調整は、即ち、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cに関するxz平面の面内方向の位置およびy軸方向の位置ならびに傾斜角φの調整である。
発明者等は、第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cに関するxz平面の面内方向の位置およびy軸方向(適宜、y座標方向という)の位置ならびに傾斜角φと、第1検出器18a、第2検出器18bで得られる検出出力との関係について、モデルサンプルを設定してシミュレーションを行った。
図10は、本発明の一実施形態に係るX線回折測定装置および方法に係る測定のシミュレーションの条件を説明する図である。 図10の条件では、モデルサンプルとして、y座標方向に、厚さ2.36mmのセルの正極板(LiCoO2)を6枚、2.36mmおきに並べたものを仮定している。図10の下部に、セルの正極板の厚み方向(y座標方向)における密度(正極板の有無に応じて、1、0)の分布が示されている。
図11Aは、図10のシミュレーションで、通過制限部材を除いたと仮定した場合の検出器の出力結果を示す図である。サンプルのy座標方向(サンプル厚さ方向)位置にズレがある6枚の正極材料の各結晶面の回折波によるデバイ-シェラーリングパターンが重なり、どの波形がどの部位の正極結晶の何面を示すのか、解析不能な様相を呈する。
図11Bは、図10のシミュレーションで、通過制限部材を用いた場合の検出器の出力結果を示す図である。回折光がスリットを通過することで、あるサンプルのy座標からの回折光が、限定された直線上にのみ到達するため、図示のような各部位の情報を分離した出力結果が得られる。入射光波長、カメラ長(サンプルと検出器との距離)、サンプル位置からそれぞれのスポットがどのサンプルの何面を示すのか解析可能な状態になる。
図12Aから図12Dは、図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの幅を一定にしてスリットの傾斜角を変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。具体的には、スリットの幅を0.2mmとして、スリットの傾斜角φを15度~60度に変えた場合の検出器出力結果を示す図である。スリットの傾斜角φが大きいと、空間分解能がよくなるが角度分解能は低下する。一方、スリットの傾斜角φが小さいと、角度分解能がよくなるが、空間分解能は低下する。観測できる回折角範囲はφが大きいほど広くなるが、これは回折角分解能の犠牲を伴う。角度分解能、空間分解能、回折角範囲のバランスを考慮してφを設定する。
図13Aから図13Eは、図10のシミュレーションで、通過制限部材のスリットの傾斜角を一定にしてスリットの開口部の高さ変化させた場合の検出器の出力結果を示す図である。スリット開口部の高さが小さくなるほど、空間分解能、回折角分解能ともによくなるが、信号強度は弱くなる。なお、スリット幅0.4mm以下で何とか2mm離れた極板を分離できる。空間分解能および回折角分解能と信号強度のバランスを考慮すると、スリット幅は0.2mmが好ましい。
本実施形態のX線回折測定装置10によれば、以下の効果を奏する。
(1)のX線回折測定装置10は、第1二次元検出器18aおよび第2二次元検出器18bによって、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれの第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cを通過した通過X線の強度を当該通過X線を区分して検出し、該検出の出力に基づいて、プロファイル算出部44が通過X線に係る回折プロファイルを当該通過X線を区分してそれぞれ算出する。これにより回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る測定結果を得ることができる。
(2)のX線回折測定装置10は、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1二次元検出器18aは、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2二次元検出器18bよりも検出領域が狭く且つ空間分解能が高い。このため、デバイ-シェラーリングパターンの環の間隔が比較的詰まって現れる低角側の回折プロファイルを識別し易くなる。
(3)のX線回折測定装置10は、相対的に通過制限部材のスリットの幅が狭い第1の形態の通過制限部材である第1通過制限部材26aを利用して超低角の回折角を呈する物質の性状を検出する一方、第2の形態の通過制限部材である第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cを利用して相対的に広角の回折角を呈する物質の性状を検出する。これにより、デバイ-シェラーリングパターンの環の間隔が比較的詰まって現れ得る低角側の回折プロファイルを高い空間分解能で検出し、且つ、広角側の回折プロファイルを良好な信号強度で同時に検出することができる。
(4)のX線回折測定装置10は、相対的に検出領域が狭い第1二次元検出器18aで、第1の形態に該当する通過制限部材である第1通過制限部材26aからの通過X線の強度を検出する。同時に、相対的に検出領域が広い第2二次元検出器18bで、第2の形態に該当する第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cからの通過X線の強度を検出する。これにより、第2二次元検出器18bの広い検出領域を無駄なく利用して、回折角の異なる複数の材料に対して、それらの性状に係る測定結果を得ることができる。
(5)のX線回折測定装置10は、サーボ機構28によって、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれを、出射光軸方向に直交するxz平面の面内方向および出射光軸方向の位置ならびに出射光軸回りの回転の姿勢である直交方向Aに対する傾斜方向Bの傾斜角φのうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢を調節できる。このため、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cの位置および/または姿勢を適切に調節して、精度および確度の高い測定結果を得ることができる。
(6)のX線回折測定装置10は、サーボ機構28は、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれの前記位置および/または姿勢を、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26c各別に独立して調節する。このため、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれの位置および/または姿勢を一層適切に調節することができる。
(7)のX線回折測定装置10は、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cはタングステンの板材であるため、X線の通過を、厳密に第1スリット24a、第2スリット24bおよび第3スリット24cの領域に制限することができる。
(8)のX線回折測定方法では、通過制限部材プレ配置工程S11で配置された位置での第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれの通過X線の回折プロファイルを、回折プロファイル算出工程S12で算出する。次いで、当該算出されたプロファイルが、回折角分解能および/または空間分解能について測定結果として扱う条件を充足するか否かを評価工程S13で評価する。さらに、評価工程S13における評価結果に応じて、第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれに対して通過制限部材プレ配置工程S11での配置を配置調整工程S14で変更して調整する。これにより、回折角の異なる複数の材料に対して、同時に、それらの性状に係る精度および確度の高い測定結果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。例えば、通過制限部材プレ配置工程S11における第1通過制限部材26a、第2通過制限部材26bおよび第3通過制限部材26cそれぞれの配置は、被測定物の種類に応じた各種の配置を学習しておき、学習された各種の配置のうちから操作者が適宜選択できるように構成してもよい。
10…X線回折測定装置
12…X線発生器
14…入射側通過制限機構
16a…第1出射側通過制限機構
16b…第2出射側通過制限機構
16c…第3出射側通過制限機構
18a…第1二次元検出器
18b…第2二次元検出器
20…制御装置
24a…第1スリット
24b…第2スリット
24c…第3スリット
26a…第1通過制限部材
26b…第2通過制限部材
26c…第3通過制限部材
28…サーボ機構
28a…第1駆動部
28b…第2駆動部
28c…第3駆動部
30…入射光軸
32a、32b、32c…出射光軸
34…交差位置
40…同期制御部
42…情報取得部
44…プロファイル算出部
46…性状測定部
47…サーボ指令部
51~54…パターン
64…線状パターン群
70…二次元X線像
72…フィルタ画像
73m、73p‥境界線
74…処理済みX線像
76…点状パターン群
78…円錐曲線
80a/b/c…一次元X線像

Claims (8)

  1. 入射光軸と出射光軸との交差位置にある被測定物によって生じるX線回折に基づいて前記被測定物の性状を測定するX線回折測定装置であって、
    前記X線回折を生じたX線を通過させる直線状のスリットが形成された通過制限部材と、
    前記スリットを通過したX線を検出領域内で検出する二次元検出器と、
    前記二次元検出器により検出された二次元X線像に基づいて、前記被測定物の回折角に対するX線強度を示す回折プロファイルを算出するプロファイル算出部と
    を備え、
    前記通過制限部材は、異なる回折角に対応する複数の出射光軸上にそれぞれ設けられて複数あり、
    複数の各前記通過制限部材は、前記スリットが、前記入射光軸および自己に対応する前記出射光軸の両方に直交する直交方向に対して、少なくとも自己に対応する前記出射光軸の軸回り方向に傾くように配置されており、
    前記二次元検出器は、複数の各前記通過制限部材ごとに対応する通過X線の強度を当該通過X線を区分してそれぞれ検出し、
    前記プロファイル算出部は、前記二次元検出器の出力に基づいて複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルを当該通過X線を区分してそれぞれ算出する、
    X線回折測定装置。
  2. 前記二次元検出器は、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1の二次元検出器と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2の二次元検出器とを含み、前記第1の二次元検出器は前記第2の二次元検出器よりも前記検出領域が狭く且つ空間分解能が高い、請求項1に記載のX線回折測定装置。
  3. 前記通過制限部材は、超低角の回折角に対応する出射光軸上に設けられた第1の形態の通過制限部材と、前記超低角に比し広角の回折角に対応する出射光軸上に設けられた第2の形態の通過制限部材とを含む、請求項1に記載のX線回折測定装置。
  4. 前記二次元検出器は、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置された第1の二次元検出器と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置された第2の二次元検出器とを含み、前記第1の二次元検出器は前記第2の二次元検出器よりも前記検出領域が狭く且つ空間分解能が高く、
    前記第1の二次元検出器は、前記第1の形態に該当する1つの通過制限部材である第1通過制限部材からの通過X線の強度を検出し、
    前記第2の二次元検出器は、前記第2の形態に該当する2つの通過制限部材である第2通過制限部材および第3通過制限部材からの通過X線の強度を検出する、請求項3に記載のX線回折測定装置。
  5. 前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材は、自己に対応する前記出射光軸方向に直交する面内方向の位置および前記出射光軸方向の位置ならびに前記出射光軸回りの回転の姿勢のうち少なくとも何れかの位置および/または姿勢が調節可能に配置され、
    前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材の前記位置および/または姿勢を前記プロファイル算出部の出力に基づいて調節するサーボ機構が設けられている、請求項4に記載のX線回折測定装置。
  6. 前記サーボ機構は、前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材の前記位置および/または姿勢を、前記第1通過制限部材、前記第2通過制限部材および前記第3通過制限部材ごとに独立して調節する、請求項5に記載のX線回折測定装置。
  7. 前記通過制限部材はタングステンの板材である、請求項1に記載のX線回折測定装置。
  8. 入射光軸と出射光軸との交差位置にある被測定物によって生じるX線回折に基づいて前記被測定物の性状を測定するX線回折測定方法であって、
    前記X線回折を生じたX線を通過させる直線状のスリットが形成された複数の通過制限部材を、異なる回折角に対応する複数の出射光軸上に、それぞれの前記スリットが、前記入射光軸および自己に対応する前記出射光軸の両方に直交する直交方向に対して、少なくとも自己に対応する前記出射光軸の軸回り方向に傾くように配置する通過制限部材プレ配置工程と、
    前記通過制限部材プレ配置工程で配置された複数の各前記通過制限部材の前記スリットを通過したX線を、X線回折ピークにおける低角ピークの位置に配置され自己の検出領域が相対的に狭く且つ空間分解能が高い第1の二次元検出器と、X線回折ピークにおける高角ピークの位置に配置され自己の検出領域が相対的に広く且つ空間分解能が低い第2の二次元検出器とにより検出し、該検出による二次元X線像に基づいて、前記被測定物の回折角に対するX線強度を示す回折プロファイルを複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルとして区分してそれぞれ算出する回折プロファイル算出工程と、
    前記回折プロファイル算出工程で算出された複数の各前記通過制限部材ごとの通過X線に係る回折プロファイルに対して、当該プロファイルが、回折角分解能および/または空間分解能について測定結果として扱う条件を充足するか否かを評価する評価工程と、
    前記評価工程における評価結果に応じて、前記複数の通過制限部材に対して前記通過制限部材プレ配置工程での配置を変更して調整する配置調整工程と、を含む
    X線回折測定方法。
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