JP2022152764A - ゴム組成物、及び変性ジエン系ゴム - Google Patents

ゴム組成物、及び変性ジエン系ゴム Download PDF

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享 印南
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Abstract

【課題】低発熱性が向上したゴム組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される化合物と、ジエン系ゴムと、充填材と、を含むゴム組成物。【化1】TIFF2022152764000019.tif26170(式(1)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、及び変性ジエン系ゴムに関する。
充填材は、ゴムに混合して、ゴムの補強、増量や特殊機能を付与する等の目的で用いられる配合剤である。ゴムの補強効果が得られ、発熱性の低い、即ち低ロス性のゴム組成物を得ることができる方法として、シリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。無機充填材を使用する方法は、環境性に配慮した低燃費タイヤ向けのゴム組成物等に応用されている。
ゴム組成物に無機充填材を配合する場合、無機充填材、特に、表面にシラノール基を有する親水性のシリカは、疎水性のゴムとの親和性が低く、ゴム組成物中で凝集しやすい。そこで、無機充填材によるゴムの補強性を高め、低発熱性(低ロス性)を得るには、無機充填材とゴムとの親和性を高める必要がある。そのような方法として、特定のテトラジン化合物を用いてゴム成分に低発熱性を付与する方法(特許文献1参照)が知られている。また、別の方法として、4置換オレフィン及び/又は3置換オレフィンを含まない共役ジエン重合体に対して、ニトロン基及びカルボキシ基を有する変性剤を反応させた変性ポリマーをジエン系ゴムと共に用いる方法(特許文献2参照)が知られている。
国際公開第2017/057758号 国際公開第2015/114845号
しかしながら、今後、大気中の二酸化炭素濃度、大気汚染等、環境問題に対する世の中の関心はますます高くなることが予想され、タイヤの転がり抵抗を抑え、自動車の低燃費化につながる技術が求められている。より具体的には、ジエン系ゴムとシリカ等の無機充填材とを含有するゴム組成物に、更なる低ロス性を付与する技術が求められており、かかる要求についてはまだ十分に応えられていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、低発熱性が向上したゴム組成物及び変性ジエン系ゴムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゴム組成物及び変性ジエン系ゴムが低発熱性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]下記式(1)で表される化合物と、ジエン系ゴムと、充填材と、を含むゴム組成物。
Figure 2022152764000001
(式(1)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示す。)
[2]前記化合物は、下記式(2)で表される化合物である、上記ゴム組成物。
Figure 2022152764000002
(式(2)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R7は、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基を示す。)
[3]前記化合物は、下記式(3)で表される化合物である、上記ゴム組成物。
Figure 2022152764000003
(式(3)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は-NR6-で表される基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくはアルケニル基を示す。)
[4]前記Zが-NR6-で表される基である、上記ゴム組成物。
[5]前記R1及びR2が水素原子である、上記ゴム組成物。
[6]前記ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選ばれる1種以上を含む、上記ゴム組成物。
[7]前記充填材は、カーボンブラック及びシリカからなる群より選ばれる1種以上を含む、上記ゴム組成物。
[8]シランカップリング剤をさらに含む、上記ゴム組成物。
[9]硫黄と加硫促進剤とをさらに含む、上記ゴム組成物。
[10]下記式(4a)、(4b)、(4c)、(4d)、(4e)、(4f)、(4g)、(4h)、(4i)、(4j)又は(4k)で表される変性基を有する変性ジエン系ゴム。
Figure 2022152764000004
(各式中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示し、Rはハロゲン原子又はアルキル基を示し、波線はジエン系ゴムの前記変性基との結合部位を示す。)
[11]前記R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である、上記変性ジエン系ゴム。
[12]上記変性ジエン系ゴムと、充填材と、を含むゴム組成物。
本発明によれば、低発熱性が向上したゴム組成物及び変性ジエン系ゴムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(式(1)で表される化合物を含むゴム組成物)
本実施形態のゴム組成物の一例(以下、「第1のゴム組成物」という。)は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)と、ジエン系ゴムと、充填材とを含むものである。
Figure 2022152764000005
ここで、式(1)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示す。本発明による作用効果より有効かつ確実に奏する観点から、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であると好ましく、水素原子又はメチル基であるとより好ましく、水素原子であると更に好ましい。同様の観点から、R3は、アルキル基であると好ましく、メチル基であるとより好ましい。
1及びR2におけるアルキル基は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、炭素数1~18のアルキル基であると好ましく、炭素数1~10のアルキル基であるとより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、炭素数1~10、更に好ましくは炭素数1~8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、及び炭素数3~10、更に好ましくは炭素数3~8、なおもより好ましくは炭素数3~6の環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-エチルプロピル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、n-オクチル基のような直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基のような環状のアルキル基が挙げられる。これらの中でなおも更に好ましいアルキル基は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びn-ペンチル基であり、極めて好ましくはメチル及びエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
1及びR2におけるアリール基は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、炭素数6~14のアリール基であることが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジヒドロインデニル基、及び、9H-フルオレニル基が挙げられる。これらの中では、フェニル基及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。フェニル基は、置換基を有しているものも好ましい。
1及びR2におけるアラルキル基は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、炭素数7~20のアラルキル基であることが好ましい。このようなアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、1-ナフチルメチル基、2-(1-ナフチル)エチル基、2-(2-ナフチル)エチル基が挙げられる。これらの中では、ベンジル基及びフェネチル基がより好ましく、ベンジル基が更に好ましい。
1及びR2におけるアルケニル基は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、炭素数2~18のアルケニル基であることが好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、炭素数2~6のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、及び2-ブテニル基が挙げられる。
1及びR2における1価の複素環基は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、複素環を構成する原子の数(環員数)が4~14であることが好ましく、5~10であることがより好ましい。このような1価の複素環基としては、例えば、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピラジニル基、2-ピリミジル基、4-ピリミジル基、5-ピリミジル基、3-ピリダジル基、4-ピリダジル基、4-(1,2,3-トリアジル)基、5-(1,2,3-トリアジル)基、2-(1,3,5-トリアジル)基、3-(1,2,4-トリアジル)基、5-(1,2,4-トリアジル)基、6-(1,2,4-トリアジル)基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基、1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、6-イソキノリル基、7-イソキノリル基、8-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-キノキサリル基、5-キノキサリル基、6-キノキサリル基、7-キノキサリル基、8-キノキサリル基、3-シンノリル基、4-シンノリル基、5-シンノリル基、6-シンノリル基、7-シンノリル基、8-シンノリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、5-キナゾリル基、6-キナゾリル基、7-キナゾリル基、8-キナゾリル基、1-フタラジル基、4-フタラジル基、5-フタラジル基、6-フタラジル基、7-フタラジル基、8-フタラジル基、1-テトラヒドロキノリル基、2-テトラヒドロキノリル基、3-テトラヒドロキノリル基、4-テトラヒドロキノリル基、5-テトラヒドロキノリル基、6-テトラヒドロキノリル基、7-テトラヒドロキノリル基、8-テトラヒドロキノリル基、1-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フリル基、3-フリル基、2-チエニル基、3-チエニル基、1-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基、1-ピラゾリル基、3-ピラゾリル基、4-ピラゾリル基、5-ピラゾリル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基、4-(1,2,3-チアジアゾリル)基、5-(1,2,3-チアジアゾリル)基、3-(1,2,5-チアジアゾール)基、2-(1,3,4-チアジアゾール)基、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)基、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)基、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)基、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)基、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)基、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)基、1-(1,2,3-トリアゾリル)基、4-(1,2,3-トリアゾリル)基、5-(1,2,3-トリアゾリル)基、1-(1,2,4-トリアゾリル)基、3-(1,2,4-トリアゾリル)基、5-(1,2,4-トリアゾリル)基、1-テトラゾリル基、5-テトラゾリル基、1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基、1-イソインドリル基、2-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基、1-ベンゾイミダゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、4-ベンゾイミダゾリル基、5-ベンゾイミダゾリル基、6-ベンゾイミダゾリル基、7-ベンゾイミダゾリル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、4-ベンゾフラニル基、5-ベンゾフラニル基、6-ベンゾフラニル基、7-ベンゾフラニル基、1-イソベンゾフラニル基、3-イソベンゾフラニル基、4-イソベンゾフラニル基、5-イソベンゾフラニル基、6-イソベンゾフラニル基、7-イソベンゾフニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、4-ベンゾチエニル基、5-ベンゾチエニル基、6-ベンゾチエニル基、7-ベンゾチエニル基、2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、1-インダゾリル基、3-インダゾリル基、4-インダゾリル基、5-インダゾリル基、6-インダゾリル基、7-インダゾリル基、2-モルホリル基、3-モルホリル基、4-モルホリル基、1-ピペラジル基、2-ピペラジル基、1-ピペリジル基、2-ピペリジル基、3-ピペリジル基、4-ピペリジル基、2-テトラヒドロピラニル基、3-テトラヒドロピラニル基、4-テトラヒドロピラニル基、2-テトラヒドロチオピラニル基、3-テトラヒドロチオピラニル基、4-テトラヒドロチオピラニル基、1-ピロリジル基、2-ピロリジル基、3-ピロリジル基、2-テトラヒドロフラニル基、3-テトラヒドロフラニル基、2-テトラヒドロチエニル基、及び3-テトラヒドロチエニル基が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピリミジル基及びピラジル基が更に好ましく、ピリジル基が特に好ましい。
1及びR2における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、スルファニル基、アルキルスルファニル基、及びアリールスルファニル基が挙げられる。また、R1及びR2のそれぞれにおける置換基の数は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3であってもよい。
置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるアミノ基としては、-NH2で表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、1-エチルプロピルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、及び3-メチルペンチルアミノ基のような炭素数1~6(特に炭素数1~4)の直鎖状又は分岐状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基のような炭素数1~6(特に炭素数1~4)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
置換基であるアミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基のような炭素数1~4のアミノアルキル基が挙げられる。
置換基であるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基のようなアルコキシの炭素数が1~4のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
置換基であるアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、及びピバロイル基のようなアルキルの炭素数が1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルカルボニル基が挙げられる。
置換基であるアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、及びn-ブチリルオキシ基のようなアルキルの炭素数が1~4のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
置換基であるアミド基としては、例えば、アセトアミド基及びベンズアミド基のような炭素数2~8のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド基及びチオベンズアミド基のような炭素数2~8のチオアミド基;N-メチルアセトアミド基及びN-ベンジルアセトアミド基のような炭素数2~8のN-置換アミド基が挙げられる。
置換基であるカルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシ-n-プロピル基、カルボキシ-n-ブチル基、カルボキシ-n-ブチル基、及びカルボキシ-n-ヘキシル基のようなアルキルの炭素数が1~6のカルボキシ-アルキル基が挙げられる。
置換基であるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ-n-プロピル基、ヒドロキシ-n-ブチル基のような炭素数1~6のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
置換基であるアルコキシ基としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基が挙げられる。より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、及びn-ヘキシルオキシ基のような炭素数1~6(好ましくは炭素数1~4)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基のような炭素数3~8(好ましくは炭素数3~6)の環状アルコキシ基が挙げられる。
置換基であるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、及びナフトキシ基のような炭素数6~14のアリールオキシ基が挙げられる。
置換基であるアルキルスルファニル基としては、例えば、上記アルコキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換したものが挙げられる。また、置換基であるアリールスルファニル基としては、例えば、上記アリールオキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換したものが挙げられる。置換基であるアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
3におけるアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。また、R3における窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基は、R1及びR2における置換基のうち、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有するものであればよい。
Xはピリジニウムと塩を形成可能なアニオンであれば、特に限定されない。Xとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオン;メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、プロピル硫酸イオン及びブチル硫酸イオンのような炭素数1~4のアルキル硫酸イオン;メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、プロパンスルホン酸イオン、ブタンスルホン酸イオン及びトシルイオンのような炭化水素スルホン酸イオン;リン酸イオン;硝酸イオン;並びに酢酸イオン及び乳酸イオンのような有機酸イオンが挙げられる。これらの中で、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ハロゲン化物イオン及び有機酸イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン及び酢酸イオンがより好ましい。
本実施形態に係る化合物(1)は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、下記式(2)で表される化合物であると好ましい。
Figure 2022152764000006
ここで、式(2)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R7は、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基を示す。本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、LはCR2であると好ましく、R7は、-CH(OH)R4であると好ましい。ここで、R4は、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基を示す。
X、L、R1及びR2は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
7におけるアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルケニル基、並びに、それらの置換基であるアルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、及びアルキルスルファニル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。ただし、上記式(1)におけるR3が式(1)に示されるピリジン環の窒素原子に結合する-CH2-CH(OH)-(ただし、メチレン基が上記窒素原子に結合する。)を有する場合、R7は、当該基を有しない点でR3とは異なる。また、R4におけるアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルケニル基、並びに、それらの置換基であるアルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、及びアルキルスルファニル基の好ましい態様及び例示されるものも、R3におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。ただし、R7が、上記メチレン基に結合する-C(H)OH-を有する場合、R4は、当該基を有しない点でR7とは異なる。
本実施形態に係る化合物(1)は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、下記式(3)で表される化合物であるとより好ましい。
Figure 2022152764000007
ここで、式(3)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示す。Zは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は-NR6-で表される基を示し、アルキレン基の炭素数は、例えば1~10である。R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくはアルケニル基を示し、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から水素原子であると好ましい。本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、LはCR2であると好ましい。
X、L、R1及びR2は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
5及びR6におけるアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルケニル基、並びに、それらの置換基であるアルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、及びアルキルスルファニル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。ただし、上記式(1)におけるR3がピリジン環の窒素原子に結合する-CH2C(=O)Z-(ただし、メチレン基が上記窒素原子に結合する。)を有する場合、R5は、当該-CH2C(=O)Z-を有しない点でR3とは異なる。
ZとR5との組み合わせについて、Zが酸素原子または硫黄原子である場合、R5としては例えば、アルキル基、アリール基、及びアルコキシ基が挙げられる。Zがアルキレン基である場合、R5としては例えば、アルキル基が挙げられる。Zが-NR6-で表される基である場合、R5及びR6としては例えば、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアルコキシ基が挙げられる。
本実施形態に係る化合物(1)は、常法により合成されてもよく、実施例に記載の方法又はその方法に準拠して合成することもできる。
第1のゴム組成物における化合物(1)の配合量は、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ジエン系ゴム100質量%に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であると好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であるとより好ましい。
第1のゴム組成物に含まれる充填材は、より高いゴム補強効果と更なる低発熱性の向上とを図る観点から、無機充填材及びカーボンブラックからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましいが、充填材はこれらに限定されない。無機充填材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
無機充填材は、ケイ素、典型金属又は遷移金属の酸化物又は水酸化物及びそれらの水和物、並びにこれら金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種の固体粒子を含む。無機充填材としては、例えば、シリカ;γ-アルミナ及びα-アルミナのようなアルミナ(Al23);ベーマイト及びダイアスポアのようなアルミナ一水和物(Al23・H2O);ギブサイト及びバイヤライトのような水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(クレー;例えばAl2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O)、ケイ酸マグネシウム(タルク;例えばMg2SiO4、MgSiO3)、ケイ酸カルシウム(例えばCa2・SiO4)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(例えばAl23・CaO・2SiO2)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、及び各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩が挙げられる。これらの無機充填材は、ジエン系ゴムとの親和性を向上させるために、該無機充填材の表面に有機処理が施されていてもよい。
上記の充填材の中では、更に高いゴムの補強効果が得られ、かつ、低発熱性を一層向上できる観点から、無機充填材がシリカを含むと好ましい。シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、及びコロイダルシリカが挙げられ、上記と同様の観点から湿式シリカがより好ましい。シリカは、ジエン系ゴムとの親和性を向上させるために、その表面に有機処理が施されていてもよい。
シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40m2/g以上350m2/g以下であると好ましい。BET比表面積が上記数値範囲内にあることで、ゴムの補強効果とジエン系ゴム中へのシリカの分散性をより高いレベルで両立できる。同様の観点から、シリカのBET比表面積は、80~300m2/gであるとより好ましく、100m2/g以上270m2/g以下であると更に好ましく、110m2/g以上270m2/g以下であるとより一層好ましい。なお、BET比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
このようなシリカの市販品としては、例えば、Quechen Silicon Chemical Co., Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m2/g)、商品名「HD115MP」(BET比表面積=115m2/g)、商品名「HD200MP」(BET比表面積 =200m2/g)、商品名「HD250MP」(BET比表面積=250m2/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m2/g)、商品名「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m2/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m2/g)等が挙げられる。
第1のゴム組成物が、無機充填材、好ましくはシリカ、を化合物(1)と共に含むことにより無機充填材の分散性が大幅に向上し、そのゴム組成物の低発熱性を一層向上させることができる。
第1のゴム組成物に含まれる充填材は、カーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックを用いることにより、ゴム組成物の電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を高め、また、ゴム強度も更に高めることができる。カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販されているカーボンブラックであってもよい。
より具体的には、カーボンブラックとして、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、又はSRFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックは、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックを含むと好ましい。
ゴム組成物における充填材の配合量は、本発明による作用効果及び充填材を用いることによる作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以上120質量部以下であると好ましく、50質量部以上100質量部以下であるとより好ましい。本実施形態においては、特に化合物(1)を用いることにより、従来よりも充填材の配合量を増やしても、充填材の凝集剤を抑制できるため、低発熱性及びゴムの補強性を更に高めることができる。
本実施形態の第1のゴム組成物は、充填材とジエン系ゴムとの結合性をより高める観点から、シランカップリング剤を含むと好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、及び3-トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィドが挙げられる。
ゴム組成物がシランカップリング剤を含む場合、その配合量は、シランカップリング剤を用いることによる作用効果を更に高め、一方でその他の材料を用いることによる作用効果の低下をより抑制する観点から、充填材100質量部に対して1質量部以上20質量部であることが好ましい。
本実施形態の第1のゴム組成物は、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本実施形態の目的を害しない範囲内で適宜選択して含んでもよい。これらの中では、第1のゴム組成物が加硫促進剤と加硫剤とを含むと好ましく、加硫促進剤と加硫剤の1種である硫黄とを含むとより好ましい。これらの配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
老化防止剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系、p-フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、ビス,トリス,ポリフェノール系、ジフェニルアミン系、キノリン系、モノフェノール系、チオビスフェノール系、及びヒンダードフェノール系が挙げられる。これらの中では、更なる老化防止効果の観点から、p-フェニレンジアミン系、及びジフェニルアミン系のアミン系老化防止剤が好ましい。ジフェニルアミン系老化防止剤としては、例えば、4,4’-(α-メチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエン-スルホニルアミド)ジフェニルアミン、及び4,4’-ジオクチルジフェニルアミンが挙げられる。これらの中でも、更に高い老化防止効果の観点から、4,4’-(α-メチルベンジル)ジフェニルアミンが特に好ましい。また、p-フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、及びN-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンが挙げられる。これらの中でも、更に高い老化防止効果及びコストの観点から、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンが特に好ましい。ゴム組成物における老化防止剤の配合量は、ゴム組成物に含まれるジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であってもよい。
軟化剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、石油若しくはコールタール由来の鉱物油系軟化剤、脂肪油若しくは松樹由来の植物油系軟化剤、並びに合成樹脂系軟化剤が挙げられる。
加硫促進剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、メルカプトベンゾチアゾール、及びジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドのようなチアゾール系、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、及びN’-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなスルフェンアミド系、並びに、アミノグアニジン及びジフェニルグアニジンのようなグアニジン系が挙げられる。これらの加硫促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。ゴム組成物における加硫促進剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。また、加硫促進助剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸及び亜鉛華が挙げられる。
加硫剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、硫黄、及び過酸化物が挙げられ、好ましくは硫黄である。ゴム組成物における加硫剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。加硫剤の配合量を0.1質量部以上にすると、より十分な加硫が得られ、5質量部以下にすると、いわゆるスコーチ時間が短くならず、混練中にゴムが焦げてしまうといった不具合をより効果的に抑制できる。
本実施形態の第1のゴム組成物は、本発明の課題解決を阻害しない範囲で、上述のジエン系ゴム以外のゴムを含んでもよい。そのようなゴムとして公知のゴムを用いればよい。
本実施形態の第1のゴム組成物は、例えば下記の製造方法により製造される。ただし、製造方法はこれに限定されない。すなわち、その製造方法は、ジエン系ゴムと、化合物(1)と、充填材とを混練又は混合してゴム組成物を得る混練混合工程(A)を有する。
混練混合工程(A)での混練混合手段としては、相互作用率を向上させる観点から、混練機を用いることが好ましく、そのような混練機としては、ラボプラストミル、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、インターナルミキサー、ローラー、ニーダールーダー、二軸押出機、及びミキシングロール等が例示できる。また、各成分を混練混合手段に投入する順番については特に制限はないが、ジエン系ゴムをまず投入し、次いで、その他の成分を投入することが望ましい。なお、その他の成分の投入方法としては、特に限定されないが、例えば、成分が粉体である場合は、その粉体をそのまま投入する方法、成分を溶媒に溶解させて溶液として投入する方法、及び成分を含むエマルジョン溶液として投入する方法が挙げられる。また、混練混合工程(A)での混練及び混合は、効率上、1段階での混練が望ましいが、必要に応じて複数の段階に分けてもよい。
混練混合工程(A)における温度は80℃以上180℃以下であると好ましく、100℃以上160℃以下であるとより好ましい。また、混練混合工程(A)における混練又は混合時間は、30秒以上600秒以内であると好ましく、60秒以上300秒以内であるとより好ましい。
本実施形態の第1のゴム組成物の製造方法において、上記以外の条件は公知のものであればよく、例えば、その製造方法は、混練混合工程(A)に先立って、ジエン系ゴムを単独で混練する素練り工程を有してもよい。さらに、その素練り工程において、化合物(1)を投入してもよい。
(変性ジエン系ゴム)
本実施形態の変性ジエン系ゴムは、下記式(4a)、(4b)、(4c)、(4d)、(4e)、(4f)、(4g)、(4h)、(4i)、(4j)又は(4k)で表される変性基(以下、これらの変性基をまとめて「変性基(4a)~(4k)」と表記する。)を有する変性ジエン系ゴムである。
Figure 2022152764000008
ここで、各式中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示し、Rはハロゲン原子又はアルキル基を示し、波線はジエン系ゴムの上記変性基との結合部位を示す。
X、L、R1、R2及びR3は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
Rにおけるアルキル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
変性基(4a)~(4k)を有する変性ジエン系ゴムは、化合物(1)と、ジエン系ゴム中の二重結合との間で逆電子要請型Aza-Diels-Alder反応を進行させることにより得られる。
具体的には、下記スキーム(7)、(8)、(9)又は(10)に示すような反応が進行することにより、ジエン系ゴムの二重結合部位に化合物(1)が結合して六員環構造を形成し、変性ジエン系ゴムが製造される。
<スキーム(7)>
Figure 2022152764000009
ここで、各式中のX、L、R1、R2及びR3は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
上記スキーム(7)において、式(1A)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位と化合物(1)との逆電子要請型Aza-Diels-Alder反応によって、式(1B)で表されるビシクロ環構造を形成する。このビシクロ環構造中の-N=N-部は、脱窒素化が容易に進行し、式(1C1)、(1C2)又は(1C3)で表される構造を形成するが、更に空気中の酸素によって酸化され、式(4a)で表される構造を有する、変性ポリマーが製造される。
<スキーム(8)>
Figure 2022152764000010
ここで、各式中のX、L、R1、R2及びR3は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
上記スキーム(8)において、スキーム(7)と同様に、式(1D)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位と化合物(1)とから、式(1E1)又は(1E2)で表されるビシクロ環構造、次いで、式(1F1)、(1F2)、(1F3)、(1F4)、(1F5)又は、(1F6)で表される構造を形成した後、式(4b)又は(4c)で表される構造を有する、変性ジエン系ゴムが製造される。
<スキーム9>
Figure 2022152764000011
ここで、各式中のX、L、R1、R2及びR3は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。また、各式中のRにおけるアルキル基の好ましい態様及び例示されるものは、R3におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
スキーム(9)においては、式(1G)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位と化合物(1)との逆電子要請型Aza-Diels-Alder反応により、式(1H1)又は(1H2)で表されるビシクロ環構造を形成した後、脱窒素化により式(4d)、(4e)、(4f)又は(4g)で表される構造を有する、変性ジエン系ゴムが製造される。なお、式(1G)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位におけるRがハロゲン原子である場合、そのハロゲン原子の脱離が生じることがあり、その場合は、酸化反応により式(4a)で表される構造を有する、変性ジエン系ゴムが製造される。
<スキーム10>
Figure 2022152764000012
ここで、各式中のX、L、R1、R2及びR3は、上記式(1)におけるものと同義であり、上記式(1)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。また、各式中のRにおけるアルキル基の好ましい態様及び例示されるものは、R3におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
スキーム(9)においては、スキーム8と同様に、式(1I)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位と化合物(1)との反応により、式(1J1)又は(1J2)で表されるビシクロ環構造を形成した後、式(4h)、(4i)、(4j)又は(4k)で表される構造を有する、変性ジエン系ゴムが製造される。なお、式(1I)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位におけるRがハロゲン原子である場合、そのハロゲン原子の脱離が生じることがあり、その場合は、酸化反応により式(4a)で表される構造を有する、変性ジエン系ゴムが製造される。
本実施形態の変性ジエン系ゴムは、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、下記式(5a)、(5b)、(5c)、(5d)、(5e)、(5f)、(5g)、(5h)、(5i)、(5j)又は(5k)で表される変性基を有する変性ジエン系ゴムであると好ましい。
Figure 2022152764000013
ここで、各式中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R7は、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基を示し、Rはハロゲン原子又はアルキル基を示し、波線はジエン系ゴムの上記変性基との結合部位を示す。
X、L、R1、R2及びR7は、上記式(2)におけるものと同義であり、上記式(2)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
Rにおけるアルキル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
本実施形態の変性ジエン系ゴムは、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、下記式(6a)、(6b)、(6c)、(6d)、(6e)、(6f)、(6g)、(6h)、(6i)、(6j)又は(6k)で表される変性基を有する変性ジエン系ゴムであると好ましい。
Figure 2022152764000014
ここで、各式中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は-NR6-で表される基を示し、R5及びR6は、それぞれ独立には、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくはアルケニル基を示し、Rはハロゲン原子又はアルキル基を示し、波線はジエン系ゴムの上記変性基との結合部位を示す。
X、L、R1、R2、R5及びR6は、上記式(3)におけるものと同義であり、上記式(3)におけるものと同じ例示及び好ましい態様であるので、ここでの説明は省略する。
Rにおけるアルキル基の好ましい態様及び例示されるものは、R1及びR2におけるものと同様であり、ここでの説明は省略する。
本実施形態の変性ジエン系ゴムの変性基以外の部分を構成するジエン系ゴムとしては、合成ゴム及び天然ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、及びスチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)が挙げられる。
また、天然ゴムとしては、炭素-炭素二重結合を有するものであればよく、例えば、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、及びロシアンタンポポ由来天然ゴムが挙げられる。さらにこれら天然ゴムを変性した、メタクリル酸変性天然ゴム、及びスチレン変性天然ゴムのような変性天然ゴムも本実施形態における天然ゴムに包含される。
これらの中では、本発明による作用効果より有効かつ確実に奏する観点から、SBR、BR、IR及び天然ゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、上述の変性基以外の変性基(以下、「その他の変性基」という。)で変性されていてもよい。その他の変性基により変性される部分は、主鎖であっても、片末端であっても、両末端であってもよい。その他の変性基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、及び水酸基が挙げられる。これらのその他の変性基は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ジエン系ゴムの重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、2.0×105~2.0×106程度であってもよい。なお、重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
ジエン系ゴムの製造方法は、特に限定されず、例えば、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合及びカチオン重合が挙げられる。
本実施形態の変性ジエン系ゴムを合成する際の合成条件は特に限定されない。例えば、変性ジエン系ゴムの合成の際、ジエン系ゴムが固体の場合、化合物(1)とジエン系ゴムを混練することで、変性ジエン系ゴムが得られる。また、変性ジエン系ゴムの合成の際、ジエン系ゴムが液体の場合、ジエン系ゴムの溶液又は懸濁液と化合物(1)とを混合することで、変性ジエン系ゴムが得られる。
変性ジエン系ゴムを合成する際の加熱温度としては、特に制限はなく、例えば、上記混練する方法の場合、温度の上限が、80℃以上180℃以下であることが好ましく、100℃以上160℃以下であることがより好ましい。
変性ジエン系ゴムを合成する際の混練又は混合時間としては、特に制限はなく、例えば、混練する方法の場合、混練時間は30秒以上600秒以内であることが好ましく、60秒以上300秒以内であることがより好ましい。
本実施形態の変性ジエン系ゴムを合成する際の化合物(1)の使用量は、ジエン系ゴム100質量%に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であると好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下であるとより好ましい。
(変性ジエン系ゴムを含むゴム組成物)
本実施形態のゴム組成物の別の一例(以下、「第2のゴム組成物」という。)は、上述の変性ジエン系ゴムと、充填材とを含むものである。変性ジエン系ゴムは上述のとおりであるので、ここでは説明を省略する。また、充填材、並びに、シランカップリング剤、各種の配合剤及びジエン系ゴムのような任意の成分は、第1のゴム組成物におけるものと同様なので、ここでは説明を省略する。上記のうち、ジエン系ゴムは、変性ジエン系ゴムが変性される前のジエン系ゴムを含んでもよい。また、第2のゴム組成物は、上記の化合物(1)を含んでもよい。なお、第2のゴム組成物におけるこれらの成分の配合量は、ジエン系ゴム100質量部を基準とすることに代えて、変性ジエン系ゴム及びジエン系ゴムの合計100質量部を基準とすること以外は、第1のゴム組成物と同様であるので、好ましい配合量の説明は省略する。
本実施形態の第2のゴム組成物は、本発明の課題解決を阻害しない範囲で、上述の変性ジエン系ゴム以外のゴムを含んでもよい。そのようなゴムとして公知のゴムを用いればよい。
本実施形態の第2のゴム組成物は、例えば下記の製造方法により製造される。ただし、製造方法はこれに限定されない。すなわち、その製造方法は、ジエン系ゴムと、化合物(1)と、充填材とを加熱しながら混練又は混合してゴム組成物を得る混練混合工程(B)を有する。あるいは、その製造方法は、上述のようにして得られた変性ジエン系ゴムと充填とを混練してゴム組成物を得る混練工程(C)を有する。
また、その製造方法は、さらに上記ゴム組成物と、加硫剤と、加硫促進剤とを混練又は混合して未加硫のゴム組成物を得る混練工程(D)を有してもよい。さらに、その製造方法は、未加硫のゴム組成物を加硫して加硫ゴム組成物を得る加硫工程を有してもよい。
加硫剤及び加硫促進剤は、混練工程(D)において混練混合手段に投入することが好ましい。これにより、スコーチが早まるのをより確実に防止することができる。また、ゴム組成物に含まれ得る老化防止剤及び軟化剤は、混練混合工程(B)又は混練工程(C)において混練混合手段に投入することが好ましい。
混練混合工程(B)及び混練工程(C)での混練混合手段は、上記の混練混合工程(A)におけるものと同様であればよいので、説明は省略する。また、各成分を混練混合手段に投入する順番については特に制限はないが、ジエン系ゴム又は変性ジエン系ゴムをまず投入し、次いで、その他の成分を投入することが望ましい。なお、その他の成分の投入方法としては、特に限定されないが、例えば、成分が粉体である場合は、その粉体をそのまま投入する方法、成分を溶媒に溶解させて溶液として投入する方法、及び成分を含むエマルジョン溶液として投入する方法が挙げられる。また、混練混合工程(B)及び混練工程(C)での混練及び混合は、効率上、1段階での混練が望ましいが、必要に応じて複数の段階に分けてもよい。
混練混合工程(B)及び混練工程(C)における混練温度は80℃以上180℃以下であると好ましく、100℃以上160℃以下であるとより好ましい。温度を上記範囲内に調整することにより、ジエン系ゴムと化合物(1)とをより確実に反応させることができると共に、ゴム組成物がシランカップリング剤を含む場合は、充填材とシランカップリング剤をより有効かつ確実に相互作用させることができる。同様の観点から、混練混合工程(B)及び混練工程(C)における混練時間は、30秒以上600秒以内であると好ましく、60秒以上300秒以内であるとより好ましい。
混練工程(D)での混練手段としては、混練混合工程(B)において例示した混練機を用いることができる。また、混練工程(D)における混練温度は、加硫の進行を抑制する観点から、100℃以下であることが好ましい。
本実施形態の第2のゴム組成物の製造方法において、上記以外の条件は公知のものであればよく、例えば、その製造方法は、混練混合工程(B)に先立って、ジエン系ゴムを単独で混練する素練り工程を有してもよい。さらに、その素練り工程において、化合物(1)を投入してもよい。
本実施形態が課題を解決できる要因は下記のとおりと考えられる。ただし、要因はこれに限定されない。本実施形態では、化合物(1)を用いることにより、その化合物(1)がジエン系ゴムの主鎖における炭素-炭素二重結合部位と容易に反応して変性ジエン系ゴムを生成することができる。この容易な反応性は化合物(1)が塩であることに起因すると考えられる。化合物(1)がジエン系ゴムの主鎖と反応することで、得られる変性ジエン系ゴムは、化合物(1)に由来する変性基を多く有することになる。当該変性基は、充填材との親和性が高い複数の窒素原子を異なる環に有するので、ゴム組成物における充填材の分散性が高まると考えられる。その結果、充填材同士の摩擦が抑制され、低発熱性に優れたものになると推測される。
化合物(1)は、充填材の分散剤、低発熱化剤、発熱防止材、及び発熱抑制剤として利用でき、より具体的には、ゴム用分散剤、ゴム用低発熱化剤、ゴム用発熱防止材、又はゴム用発熱抑制剤として利用できる。また、本実施形態のゴム組成物は、例えば、タイヤ、防振ゴム、コンベアベルト、及びこれらのゴム部分に用いることができる。これらの中でも、本実施形態のゴム組成物をタイヤに用いると、タイヤのグリップ性が高まると共に、そのタイヤは低燃費性に寄与することもできるので好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた各成分の詳細を下記に示す。
ゴム成分:100質量部、天然ゴム、RSS#3
加硫助剤:3質量部、酸化亜鉛(亜鉛華)、富士フイルム和光純薬工業社製
:2質量部、ステアリン酸、富士フイルム和光純薬工業社製
老化防止剤:2質量部、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、富士フイルム和光純薬工業社製
カーボンブラック:10質量部、旭カーボン社製、商品名「旭#70」
シリカ:50質量部、BET表面積=207m2/g、東ソー・シリカ社製、商品名「ニップシールAQ」
シランカップリング剤:4質量部、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニック ジャパン社製)
加硫剤:1.5質量部、硫黄、平均粒子径250μm、細井化学工業社製
:1質量部、1,3-ジフェニルグアニジン、富士フイルム和光純薬工業社製
(実施例1)
(化合物(1a)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がエチル基、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して4位、Xが臭化物イオンである化合物(1a)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、4-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、ブロモエタン1.5当量、メチルエチルケトン10mLを加え、還流管を装着して外温80℃にて6時間加熱撹拌した。この反応液を室温へ冷却し、そこにイソプロパノール30mL、ジエチルエーテル30mLを加えて懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1a)を茶色の粉末0.98gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,CDCl3,δppm):9.80(d,J=6.5Hz,2H),9.47(d,J=2.0Hz,1H),9.19(d,J=6.5Hz,2H),8.97(d,J=2.5Hz,1H),5.26(q,J=7.5Hz,2H),1.83(t,J=7.5Hz,3H)
(ゴム組成物の製造)
以下の手順にて未加硫のゴム組成物及び加硫ゴム組成物を調製した。
素練り:ミキサー内を60℃に加熱したバンバリーミキサー(東洋精機社製250mLラボプラストミル。以下同様。)に天然ゴムを投入し、回転数60rpmで5分間混錬した。
第1混練混合:70℃に加熱したバンバリーミキサー内に、素練り後のゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤、カーボンブラックと化合物(1a)0.5質量部を添加した。その30秒後にシリカの半量を投入し、その60秒後にシランカップリング剤をまぶしたシリカの残る半量を添加した。その後、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度シリンダーを密閉した後、ゴム温度が150℃に達するまで混練して混練物を得た。
第2混練混合:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業製)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第1混練混合で得られた混練物全量に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施し、未加硫のゴム組成物を得た。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業製)を用いて160℃、10MPaで未加硫のゴム組成物を4.5分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、90であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、102であった。
なお、化合物(1a)とジエン系ゴムとの反応が進行したか否かについては、下記のようにして確認した。すなわち、140℃のバンバリーミキサー内で、イソプレンゴム(JSR製、商品名「IR2000」)60質量部とスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン製、商品名「NS166」)40質量部と化合物(1a)1質量部とシリカ10質量部とを10分間混練した。混練物からアセトンを用いたソックスレー抽出によりアセトン不溶分を抽出した。抽出物を1H-HMRにて分析した。その結果、化合物(1a)のピークが消失し、8~10ppmに新たなピークが発現したことを確認でき、このことから、化合物(1a)とゴムの二重結合とで逆電子要請型Aza-Diels-Alder反応が進行したことがわかった。
(実施例2)
(化合物(1b)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がn-プロピル基、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して4位、Xが臭化物イオンである化合物(1b)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、4-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、ブロモプロパン3.0当量、水3mL及びメチルエチルケトン7mLを加え、還流管を装着して外温80℃にて12時間撹拌した。この反応液を室温へ冷却し、そこにイソプロパノール30mL、ジエチルエーテル30mLを加えて懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1b)を茶色の粉末2.0gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,δppm):9.68(d,J=2.5Hz,1H),9.35(d,J=6.5Hz,2H),9.21(d,J=2.5Hz,1H),9.01(d,J=6.5Hz,1H),4.72(q,J=7.5Hz,2H),2.02(tq,J=7.5Hz,2H),0.94(t,J=7.5Hz,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1b)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、87であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、98であった。
(実施例3)
(化合物(1c)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がn-オクチル基、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して4位、Xがヨウ化物イオンである化合物(1c)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、4-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、ヨウ化オクタン1.2当量、メチルエチルケトン10mLを加え、還流管を装着して外温100℃にて6時間撹拌した。この反応液を室温へ冷却し、そこにイソプロパノール10mL、ジエチルエーテル30mLを加えて懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1c)を茶色の粉末1.39gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した。結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,CDCl3,δppm):9.56(d,J=6.5Hz,2H),9.46(d,J=2.0Hz,1H),9.12(d,J=6.5Hz,2H),8.94(d,J=2.0Hz,1H),5.10(t,J=7.5Hz,2H),2.13(tq,J=7.5Hz,2H),1.58~1.24(m,10H),0.89(t,J=7.5Hz,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1c)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、88であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、101であった。
(実施例4)
(化合物(1d)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がメチル基、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して3位、Xがヨウ化物イオンである化合物(1d)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、3-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、ヨウ化メチル1.2当量、メチルエチルケトン10mLを加え、還流管を装着して外温80℃にて4時間撹拌して懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1d)を茶色の粉末2.79gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,δppm):9.96(bs,1H),9.64(d,J=2.5Hz,1H),9.42(d,J=8.0Hz,1H),9.21(d,J=6.0Hz,1H),9.16(d,J=2.5Hz,1H),8.36(dd,J=8.0,6.5Hz,1H),4.53(s,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1d)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、91であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、104であった。
(実施例5)
(化合物(1e)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がエトキシカルボニルメチル基(-CH2COOC25)、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して4位、Xが塩化物イオンである化合物(1e)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、4-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、クロロ酢酸エチル1.5当量、トルエン9mL及びブタノール1mLを加え、還流管を装着して外温110℃にて6時間撹拌して懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、表題の化合物(1e)を茶色の粉末1.34gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,δppm):9.69(d,J=2.5Hz,1H),9.41(d,J=6.5Hz,2H),9.23(d,J=2.5Hz,1H),9.10(d,J=6.5Hz,2H),5.95(s,2H),4.28(q,J=7.0Hz,2H),1.29(t,J=7.0Hz,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1e)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、89であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、107であった。
(実施例6)
(化合物(1f)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がアセトアミド基(-CH2CONH2)、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して4位、Xが塩化物イオンである化合物(1f)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、4-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、クロロ酢酸アミド1.5当量、水3mL及びメチルエチルケトン7mLを加え、還流管を装着して外温100℃にて6時間撹拌した。この反応液を室温へ冷却し、イソプロパノール100mL、ジエチルエーテル20mLを加えて懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1f)を茶色の粉末2.47gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d6,δppm):9.67(d,J=2.5Hz,1H),9.24(d,J=6.0Hz,2H),9.21(d,J=2.5Hz,1H),9.02(d,J=7.0Hz,2H),8.28(bs,1H),7.77(bs,1H),5.61(s,2H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1f)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、87であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、110であった。
(実施例7)
(化合物(1g)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3がエトキシカルボニルメチル基(-CH2COOC25)、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して3位、Xが塩化物イオンである化合物(1g)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、3-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、クロロ酢酸エチル1.5当量、トルエン9mL及びアセトニトリル1mLを加え、還流管を装着して外温100℃にて6時間撹拌した。この反応液を室温へ冷却し、イソプロパノール100mL、ジエチルエーテル20mLを加えて懸濁液を得た。この懸濁液を濾過して少量のクロロホルムで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1g)を茶色の粉末1.49gで得た。得られた粉末について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,D2O,δppm):9.82(bs,1H),9.51(d,8.0Hz,1H),9.39(d,2.5Hz,1H),9.00 (m,2H),8.31(dd,8.0 Hz,6.0Hz,1H),5.67(s,2H),4.28(q,7.0Hz,2H),1.10(t,7.0Hz,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1g)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、89であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、100であった。
(実施例8)
(化合物(1h)の合成)
式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が2-ブタノール基(-CH2CH(OH)C25)、ピリジン環におけるトリアジン環の結合部位がピリジン環中の窒素原子に対して3位、Xが酢酸イオンである化合物(1h)を下記のようにして合成した。
100mL一口フラスコに、3-シアノピリジン1.58g(0.01モル)、ブチレンオキシド1.5当量、酢酸20mLを加え、室温にて一晩撹拌した。この反応液の溶媒を留去し、少量のジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥し、化合物(1h)を茶色のオイル2.46gで得た。得られた化合物について、1H-NMRにより構造を分析した結果は下記のとおりであった。
1H-NMR(500MHz,D2O,δppm):(s,1H),9.51(d,8.5Hz,1H),9.47(d,2.0Hz,1H),9.09(d,2.0Hz,1H),9.06(d,6.0Hz,1H),8.33(dd,8.0,6.0Hz,1H),4.98(dd,13.5,3.0Hz,1H),4.59(dd,13.5,3.0Hz,1H),4.08(m,1H),1.88(s、3H)、1.60(m,2H),0.90(m,3H)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を化合物(1h)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、82であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、108であった。
(実施例9)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1f)を第1混錬混合前の素練り工程で投入する以外は実施例6と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、87であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、108であった。
(比較例1)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を用いない以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、100であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、100であった。
(比較例2)
(ゴム組成物の製造)
化合物(1a)を3-(4-ピリジル)-1,2,4-トリアジン(以下、「化合物(1i)」という。)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、100であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、91であった。
なお、実施例1と同様にして、化合物(1i)とジエン系ゴムとの反応が進行したか否かを確認した。その結果、化合物(1i)のピークが消失せずに残存していることを確認でき、このことから、化合物(1i)とゴムとの間で反応が進行していないことがわかった。
(比較例3)
化合物(1a)を3,6-ジ(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン(以下、「化合物(1j)という。」)に変更した以外は実施例1と同様にして、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物の発熱性を後述のようにして評価したところ、98であった。また、加硫ゴム組成物のゴムの補強性(ゴムと充填材との親和性)を後述のようにして評価したところ、103であった。
なお、実施例1と同様にして、化合物(1j)とジエン系ゴムとの反応が進行したか否かを確認した。その結果、化合物(1j)のピークが消失したことを確認でき、このことから、化合物(1j)とゴムの二重結合とで逆電子要請型Aza-Diels-Alder反応が進行したことがわかった。
(発熱性の評価)
各加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製、商品名「DMS6100」)を用い、温度60℃、動歪み0.5%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定した。比較例1での損失正接の値を100として相対的な数値で評価した。値が小さい程、tanδが低く、ゴム組成物が低発熱性であることを示す。
(ゴムの補強性の評価)
各加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル(株)製、商品名「DMS6100」)を用い、当該加硫ゴム組成物のガラス転移温度において、動歪み0.5%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定した。比較例1での損失正接の値を100として相対的な数値で評価した。値が大きい程、tanδが高く、ゴム組成物における充填材とゴムとの親和性が高く、高いゴムの補強性があることを示す。
本発明によれば、充填材の分散剤、低発熱化剤、発熱防止材、及び発熱抑制剤として利用でき、より具体的には、ゴム用分散剤、ゴム用低発熱化剤、ゴム用発熱防止材、又はゴム用発熱抑制剤として利用できる化合物を提供することが可能である。また、本発明によれば、タイヤ、防振ゴム、コンベアベルト、及びこれらのゴム部分に用いることができるゴム組成物等を提供することが可能である。したがって、それらの分野に産業上の利用可能性がある。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、ジエン系ゴムと、充填材と、を含むゴム組成物。
    Figure 2022152764000015
    (式(1)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示す。)
  2. 前記化合物は、下記式(2)で表される化合物である、請求項1記載のゴム組成物。
    Figure 2022152764000016
    (式(2)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R7は、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアルケニル基を示す。)
  3. 前記化合物は、下記式(3)で表される化合物である、請求項1記載のゴム組成物。
    Figure 2022152764000017
    (式(3)中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又は-NR6-で表される基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子、又は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、スルファニル基、及びアルキルスルファニル基からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくはアルケニル基を示す。)
  4. 前記Zが-NR6-で表される基である、請求項3記載のゴム組成物。
  5. 前記R1及びR2が水素原子である、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 前記ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 前記充填材は、カーボンブラック及びシリカからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  8. シランカップリング剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  9. 硫黄と加硫促進剤とをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  10. 下記式(4a)、(4b)、(4c)、(4d)、(4e)、(4f)、(4g)、(4h)、(4i)、(4j)又は(4k)で表される変性基を有する変性ジエン系ゴム。
    Figure 2022152764000018
    (各式中、Xはピリジニウムと塩を形成するアニオンを示し、LはCR2又は窒素原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基若しくは1価の複素環基を示し、R3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上を有していてもよい置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を示し、Rはハロゲン原子又はアルキル基を示し、波線はジエン系ゴムの前記変性基との結合部位を示す。)
  11. 前記R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である、請求項10記載の変性ジエン系ゴム。
  12. 請求項10又は11に記載の変性ジエン系ゴムと、充填材と、を含むゴム組成物。
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