JP2022152565A - ニトロ化タンパク質分解剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内の様々な組織における多様な疾患や症状、特に肌においては黄ぐすみ等のタンパク質のニトロ化に起因する各種症状を改善する効果を有するニトロ化タンパク質分解剤、および皮膚外用剤を提供する。【解決手段】ケイハキタミ(農林水産省品種登録第10597号)の花弁抽出物を乳酸菌により発酵させて得られる発酵物を含有するニトロ化タンパク質分解剤、および前記発酵物を含有する皮膚外用剤である。【選択図】なし

Description

本願発明は、バラ花弁の乳酸菌発酵物に関し、更に詳しくは、ケイハキタミの花弁抽出物を乳酸菌で発酵させて得られる発酵物を含有するニトロ化タンパク質分解剤及び皮膚外用剤に関する。
バラは、バラ科バラ属に分類される植物の総称であり、原生品種に加え、交配等で作出された園芸品種が数多く存在する。園芸品種はオールドローズとモダンローズに大別され、オールドローズとして、セイヨウバラ(Rosa Centifolia)、ダマスク(Rosa Damask)、ガリカ(Rosa Gallica)、アルバ(Rosa Alba)、モダンローズとして、フロリバンダ・ローズやハイブリッド・ティー・ローズ等が存在するが、学名・種による分類にとどまらず、植物体の外観や生態的特徴等でさらに細かく分類され、園芸品種を含めたバラの総品種数は20万種とも言われている。また、それぞれの品種のバラはその植物体内に含有する成分組成も多様で、期待される生化学的な作用は品種によって異なることが知られている。非特許文献1には、バラ花弁中のアントシアニン、フラボノール、カロテノイドの含有量が品種によって異なること、特許文献1には、バラ抽出物の脂肪細胞における脂肪産生促進度が品種によって異なることが記載されている。したがって、利用するバラから特定の作用を得るためには、品種登録や商標登録がなされていること等により他の品種と厳密に区別することができ、かつ、安定して生産されている品種のバラを供することが必要である。
以上のように、品種によって様々な生化学的作用が期待されるバラの中には、皮膚に対して有用な作用をもつことが報告されているものもある。特許文献2には、美白用皮膚外用剤としてセイヨウバラ(Rosa Centifolia)の抽出物が有効であることが記載されている。特許文献3にはエラスターゼ活性阻害剤、抗酸化剤、コラゲナーゼ活性阻害剤としてハイブリッド・ティー・ローズまたはその抽出物が有効であることが記載されている。これらの他にも、皮膚に対する有用な作用を有するバラの抽出物が多く知られているにも関わらず、ニトロ化タンパク質分解効果を有するものについては全く知られていなかった。一方、特許文献4には、バラまたはその抽出物を乳酸菌で発酵することで抗アレルギー効果及び美白効果が増強されることが記載されている。しかしながら、バラの抽出物においてニトロ化タンパク質分解効果を有するものが知られていないところ、乳酸菌による発酵により、該効果が増強されることはもちろん、該効果を有するようになる例も知られていなかった。
ニトロ化タンパク質とは、生体内で発生した活性窒素種によって、タンパク質を構成する芳香族アミノ酸のチロシン、トリプトファンの残基中のベンゼン環にニトロ基が付与されるニトロ化と呼ばれるタンパク質翻訳後修飾を受けたニトロ化誘導体の総称である。生体内に存在する多くのタンパク質中のトリプトファンの含有率はチロシンのそれよりもはるかに小さく、タンパク質のニトロ化反応は主にチロシン残基に生じると考えられている(非特許文献2)。非特許文献3には、タンパク質のニトロ化が酵素やチロシンキナーゼ型受容体の機能低下を引き起こすことで、細胞機能に影響を及ぼすことが記載されている。非特許文献4には、タンパク質中のニトロチロシンの蓄積が動脈硬化や虚血性脳疾患等の数々の疾患に関与することが記載されている。これらの他にも、タンパク質のニトロ化は、生体内の様々な組織で多様な疾患や症状に関与することが報告されており、皮膚においては、肌の黄ぐすみに関与することが知られている。特許文献5には、肌の黄ぐすみの原因は、従来考えられていた真皮中に存在するタンパク質の糖化物やカルボニル化物だけではなく、角層中に存在するタンパク質を構成するアミノ酸がニトロ化されることによって生じるニトロ化タンパク質が大きな原因であり、タンパク質のニトロ化に起因する各種症状を改善するためには、ニトロ化によって生じたニトロ化タンパク質を分解することが有効であることが記載されている。従って、ニトロ化タンパク質を分解することができれば、黄ぐすみ等のタンパク質のニトロ化に起因する各種症状の改善が期待される。
特開2019-135213号公報 特開2002-029959号公報 特開2011-236147号公報 特開2010-270152号公報 特開2017-181423号公報
Front Plant Sci.,2019,Feb 12;10:123 Front Chem.,2016,Jan 7;3:70 Diabetes,2008,Apr;57(4):889-98 Science,2000,Nov 3;290(5493):985-9
本願発明は、生体内の様々な組織における多様な疾患や症状、特に肌においては肌の黄ぐすみ等のタンパク質のニトロ化に起因する各種症状を改善する効果を有するニトロ化タンパク質分解剤や皮膚外用剤を提供することを課題とする
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、ケイハキタミの花弁抽出物を乳酸菌により発酵させて得られる発酵物を用いることにより上記課題を解決した。
ケイハキタミの花弁抽出物を乳酸菌により発酵させて得られる発酵物は、従来バラの花弁やその抽出物、またその抽出物を発酵させて得られる発酵物が有することが知られていないニトロ化タンパク質分解効果を有し、かつ、その効果が著しく高いため、肌の黄ぐすみ等のタンパク質のニトロ化に起因する各種症状を改善する効果が高い。加えて、本発明のニトロ化タンパク質分解剤や皮膚外用剤は、継続的あるいは連続的に使用してニトロ化タンパク質分解を繰り返すことでニトロ化タンパク質の蓄積を防ぎ、結果として皮膚を含む生体内の様々な組織におけるタンパク質のニトロ化割合の上昇を抑制し、これによって各種症状を予防することもできる。
以下、本願発明について詳細に説明する。
本願発明で用いられるケイハキタミは、バラ科バラ属のモダンローズとして、ハイブリッド・ティー・ローズに分類され、「月光」という別名でも知られる園芸品種であり、農林水産省品種登録第10597号(京成バラ園芸、1999年)に登録されている。本願発明の発酵物は、このケイハキタミの花弁抽出物(以後、ケイハキタミ抽出物と称する)を、乳酸菌によって発酵させて得られる発酵物(以後、ケイハキタミ発酵物と称する)である。もっとも、工業生産上、作業上等の理由により、調製の過程で花弁以外の部分(例えば、萼、花糸、葯、柱頭、花柱、子房、胚珠、花柄、花枝)が多少含まれることは差し支えない。
乳酸菌による発酵に供するケイハキタミ抽出物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、ケイハキタミの花弁を溶媒で抽出することによって調製することができる。ケイハキタミ抽出物を得るための溶媒は、特に限定されないが、例えば、水(精製水等)もしくは無機塩の水溶液(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム等)緩衝液(リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等)、無機酸の水溶液(塩酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、有機酸の水溶液(酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、界面活性剤の水溶液(サポニン、レシチン等)、低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン等)、炭化水素類(プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸メチル等)、糖類(グルコース、フルクトース、ショ糖、マルトース、オリゴ糖等)またはこれらの混液等を用いることができる。ケイハキタミの花弁と溶媒との混合比(重量比)は、花弁の乾燥重量換算で一般に1:1~1:1000、好ましくは1:5~1:100、より好ましくは1:10~1:50の範囲である。
ケイハキタミ抽出物を得るための抽出工程は、特に限定されないが、例えば、次の方法で行うことができる。まず、抽出しようとするケイハキタミの花弁を前記溶媒に浸漬、または分散させる。この場合、花弁は生のまま用いても、また予め乾燥もしくは半乾燥した上で用いてもよい。また、形状としては、特に限定されないが、採取したものをそのまま用いることもできるが、細断あるいは粉砕して微細化したものを用いてもよい。抽出工程は、ケイハキタミの花弁を溶媒に浸漬、または分散させるだけで十分であり、抽出時間は特段設ける必要はないが、花弁の腐敗等が生じない程度に一定時間の抽出時間を適宜設けてもよい。得られたケイハキタミ抽出物は発酵工程に供する前に、ろ過あるいは遠心分離等の固液分離手段によって液相を分取し、浸漬、または分散させた花弁等を取り除くのが好ましいが、発酵工程において障害にならなければ、本固液分離工程を省いても差し支えない。ケイハキタミ抽出物は調製後、そのまま発酵に用いてもよいし、常法に従って溶媒置換や精製処理を施した上で用いてもよいし、必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上で用いてもよい。場合によっては、固液分離後の液相を、スプレードライ法、凍結乾燥法等、常法に従って固体化し、さらに必要に応じて粉砕して粉末状とした上で用いてもよい。
前記の方法で調製したケイハキタミ抽出物は、これを発酵工程に供する前に、必要に応じて殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去することが好ましい。この場合、雑菌除去方法としては、供する花弁を予め殺菌用エタノール等で洗浄殺菌した上、無菌溶媒で抽出する方法や、花弁を溶媒で抽出し、抽出物を得た後、加熱殺菌する方法を用いるようにしてもよい。加熱殺菌法としては、105~121℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法が一般に用いられる。もっとも、本殺菌工程は必須工程ではない。次工程の発酵工程において障害にならなければ、本殺菌工程を省いても差し支えない。
本願発明で発酵に用いる乳酸菌は、特に限定されないが、汎用性の観点から、ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を用いることが好ましい。発酵工程に供する前に基本培地で前培養しておくことが好ましい。この段階での培養は、乳酸菌が生育できれば常法通りで差し支えない。乳酸菌の基本培地の組成としては、最低限の炭素源と窒素源とリン源を含んでいれば十分であるが、例えば、MRS培地等の、乳酸菌全体の良好な生育を示す培地として開発された培地を用いるのが好ましい(MRS培地組成:ペプトン10g、牛肉エキス10g、酵母エキス5g、グルコース20g、Tween80 1g、KHPO 2g、酢酸ナトリウム5g、クエン酸二アンモニウム2g、MgSO・7HO 0.2g、MnSO・nHO 0.05g、精製水1L)。前記以外の培地組成であっても、乳酸菌が資化・増殖できる物質であれば、本願発明に適用されるのは勿論である。さらに、基本培地には各種添加物、例えば、無機塩の水溶液(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム等)もしくは緩衝液(リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等)、無機酸の水溶液(塩酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、有機酸の水溶液(酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、界面活性剤の水溶液(サポニン、レシチン等)、低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン等)、炭化水素類(プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸メチル等)、糖類(グルコース、フルクトース、ショ糖、マルトース、オリゴ糖等)またはこれらの混液等を添加することができるが、添加する場合は乳酸菌の生育に影響しない範囲での添加が好ましい。さらに、後の発酵工程において、乳酸菌の発酵に影響しない範囲の濃度で上記各種成分が溶媒に含まれていてもよい。
ケイハキタミ発酵物を得るための発酵工程は、特に限定されないが、例えば、前記の方法で調製したケイハキタミ抽出物へ乳酸菌を接種し、発酵培養することができる。乳酸菌の接種量は、特に限定されないが、好適には抽出物に対し10~1010個/mLの範囲である。発酵温度は特に限定されないが、一般に5~50℃の範囲、好ましくは乳酸菌の生育至適温度である25~40℃の範囲である。発酵日数は、特に限定されないが、例えば、至適温度において一般に1~15日、好ましくは3~10日の範囲である。発酵培養は静置で行えば十分であるが、発酵時間の短縮等の為、振とう培養、通気培養を行うことも可能である。以上の発酵処理が終了したならば、発酵を停止させる為、上記条件で発酵工程を経た発酵培養液に80~120℃で15~120分程度の加熱殺菌処理を施すことが好ましい。殺菌処理後の発酵培養液を、これをそのまま、あるいは一般かつ好適にはろ過あるいは遠心分離等の固液分離手段によって液相を分取し、発酵物とすることができる。
ケイハキタミ発酵物は調製後、そのまま用いてもよいし、常法に従って精製処理を施した上で用いてもよいし、必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上で用いてもよい。場合によっては、固液分離後の液相を、スプレードライ法、凍結乾燥法等、常法に従って固体化し、さらに必要に応じて粉砕して粉末状とした上で用いてもよい。
また、ケイハキタミ発酵物を本願発明の各剤として用いる場合は、ケイハキタミ発酵物をそのまま剤としてもよいし、一般的な基剤にケイハキタミ発酵物を混合して用いても差し支えない。最終形態として、液状、乳化物状、ゲル状、固形状、粉末状、顆粒状等のどのような形態であっても問題なく、その効果を損なわない範囲で皮膚外用剤に用いられる任意配合成分を必要に応じて適宜配合することができる。前記任意配合成分としては、例えば、油剤、界面活性剤、粉体、色材、水、アルコール類、増粘剤、キレート剤、シリコーン類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、香料、各種薬効成分、pH調整剤、中和剤などが挙げられる。また、前記最終形態として、例えば、皮膚外用剤であれば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、ジェル、パック、洗顔料等の基礎化粧料、口紅、ファンデーション、リキッドファンデーション、メイクアッププレスドパウダー等のメイクアップ化粧料、洗顔料、ボディーシャンプー、石けん等の清浄用化粧料、さらには浴剤等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
各剤中におけるケイハキタミ発酵物の配合量は、所望の効果に応じて適宜調整すればよいが、蒸発残分に換算して0.0001~10質量%、好ましくは0.001~1質量%の範囲が最適である。
本願発明のニトロ化タンパク質分解は、ニトロ化タンパク質およびその構成アミノ酸の分解・消化だけでなく、還元・酸化その他の化学反応によるニトロ基の消失が含まれる。
以下、本願発明におけるケイハキタミ発酵物の効果試験の実施例を示す。さらに、ケイハキタミ発酵物を用いた皮膚外用剤への応用処方例等について述べるが、ここに記載された実施例に限定されるものではない。
<抽出物に植菌する乳酸菌の調製>
乳酸菌はラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を用いた。乳酸菌株の1白金耳をMRS培地30mLに摂取し、30℃にて3日間静置培養を行い、乳酸菌培養液とした。(MRS培地組成:ペプトン10g、牛肉エキス10g、酵母エキス5g、グルコース20g、Tween80 1g、KHPO 2g、酢酸ナトリウム5g、クエン酸二水素アンモニウム2g、MgSO・7HO 0.2g、MnSO・nHO 0.05g、精製水1L)
<抽出物および発酵物の調製>
予め乾燥させたケイハキタミの花弁10gに精製水100mLを加え、室温で抽出した後、ろ過により花弁を取り除き、ケイハキタミ抽出物を得た。前記乳酸菌培養液5mLを得られた抽出物に加えよく撹拌した。乳酸菌を植え付けた抽出物は30℃にて3日間静置培養を行った後、105℃、15分間の滅菌処理を行った。滅菌後、ろ過により固形分を取り除き、ケイハキタミ発酵物とした。比較対照として、ハイブリッド・ティー・ローズに分類されるバラの他品種であるダブルデライトの乾燥花弁から、前記のケイハキタミ抽出物および発酵物と同様の方法でダブルデライト抽出物、およびダブルデライト発酵物を調製した。
<ニトロ化タンパク質分解活性測定>
ニトロ化タンパク質の構成アミノ酸であるニトロチロシン(3-ニトロチロシン)をPBS(-)に溶解し、終濃度が0.2mMのニトロチロシン溶液を調製した。PBS(-)またはニトロチロシン溶液を96well-plateに250μLずつ分注し、抽出物および発酵物は終濃度が100ppm、亜ジチオン酸ナトリウムは終濃度が1mM(174ppm)になるよう各試料をそれぞれのwellに添加した。37℃で72時間インキュベートした後、プレートリーダーにて450nmの吸光度を測定した。下記の式で算出された値をニトロ化タンパク質分解度として解析に用いた。
Figure 2022152565000001
Figure 2022152565000002
表1にケイハキタミ発酵物のニトロ化タンパク質分解効果の結果を示した。
陰性対照である精製水を添加した比較例1ではニトロ化タンパク質分解度は0.0%であったのに対し、ニトロ化タンパク質還元剤として各種有機合成反応等に用いられる亜ジチオン酸ナトリウムをニトロチロシンに対して等量を大きく超えて添加した比較例2でも本条件下では53.5%であった。一方、ダブルデライト抽出物を添加した比較例3、ダブルデライト発酵物を添加した比較例4、ケイハキタミ抽出物を添加した比較例5ではいずれも比較例2を大きく下回り、ニトロ化タンパク質分解剤としての実質的な有用性が認められる程度の作用を呈しなかったのに対し、驚くべきことに、ケイハキタミ発酵物を添加した実施例1でのみ、比較例2より低濃度で、かつ比較例2を上回るニトロ化タンパク質分解効果が見出された。
次に、本願発明のケイハキタミ発酵物を含有する皮膚外用剤の処方例を示すが、本願発明はこれに限定されるものでない。なお、以下において、成分名の後ろに記載する数値は配合量を示し、各実施例は、合計100質量%として表示する。部はすべて質量部を、また%はすべて質量%を意味する。以下の各実施例で示すケイハキタミ発酵物は、[0021]に準じた方法で、抽出工程において、後記の各種溶媒で抽出した抽出物をそれぞれ乳酸菌により発酵させて得られた発酵物であり、その配合量は蒸発残分に換算した質量%で示した。ただし、100%EtOH、または50%EtOH水溶液で抽出した抽出物は、発酵に供する前に精製水へ溶媒置換をおこなった。なお、各実施例においても、本願の効果が確認された。
(実施例2)化粧用クリーム(質量%)
a)ミツロウ・・・2.0
b)ステアリルアルコール・・・5.0
c)ステアリン酸・・・8.0
d)スクワラン・・・10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・1.0
g)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:精製水)・・・0.001
h)1,3-ブチレングリコール・・・5.0
i)水酸化カリウム・・・0.3
j)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
k)精製水・・・残部
製法
a)~f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。h)~k)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)~f)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。その後、g)を加え、攪拌し均一に溶解する。
(実施例3)化粧水(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:精製水)・・・1.0
b)グリセリン・・・5.0
c)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.)・・・1.0
d)エタノール・・・6.0
e)香料・・・適量
f)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
g)精製水・・・残部
製法
a)~g)までを混合し、均一に溶解する。
(実施例4)乳液(質量%)
a)ミツロウ・・・0.5
b)ワセリン・・・2.0
c)スクワラン・・・8.0
d)ソルビタンセスキオレエート・・・0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)・・・1.2
f)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:1%クエン酸水溶液)・・・0.05
g)1,3-ブチレングリコール・・・7.0
h)カルボキシビニルポリマー・・・0.2
i)水酸化カリウム・・・0.1
j)精製水・・・残部
k)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
l)エタノール・・・7.0
製法
a)~e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)~k)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)~e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃でf)、l)を添加し、40℃まで攪拌、冷却する。
(実施例5)洗顔料(質量%)
a)ステアリン酸・・・12.0
b)ミリスチン酸・・・14.0
c)ラウリン酸・・・5.0
d)ホホバ油・・・3.0
e)グリセリン・・・10.0
f)ソルビトール・・・15.0
g)1,3-ブチレングリコール・・・10.0
h)POE(20)グリセロールモノステアリン酸エステル・・・2.0
i)水酸化カリウム・・・5.0
j)水・・・残部
k)キレート剤・・・適量
l)香料・・・適量
m)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:0.2%クエン酸水溶液)・・・0.1
製法
a)~h)までを加熱溶解し70℃に保つ。j)にi)を溶解後a)~h)に加えケン化する。その後k)、l)を入れ攪拌しながら冷却する。50℃でm)を添加し、40℃まで攪拌、冷却する。
(実施例6)エッセンス(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:100%EtOH)・・・0.01
b)カルボキシビニルポリマー・・・0.05
c)L-アルギニン・・・適量
d)グリセリン・・・5.0
e)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.)・・・1.0
f)エタノール・・・6.0
g)香料・・・適量
h)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
i)精製水・・・残部
製法
b)をi)の一部で分散した後、c)を加えてpHを6.5に調製する。その後a)~i)までを混合し、均一に溶解する。
(実施例7)化粧用ジェル(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:50%EtOH水溶液)・・・0.1
b)カルボキシビニルポリマー・・・0.5
c)水酸化ナトリウム・・・0.05
d)パラオキシ安息香酸メチル・・・0.1
e)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール・・・0.5
f)(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10・・・0.5
g)PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン・・・0.5
h)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油・・・0.1
i)香料・・・適量
j)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
k)精製水・・・残部
製法
b)をk)の一部で分散した後、c)を加える。その後a)~k)までを混合し、均一に溶解する。
(実施例8)口紅(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:0.5%BG水溶液)・・・0.01
b)キャンデリラロウ・・・9.0
c)固形パラフィン・・・8.0
d)ミツロウ・・・5.0
e)カルナバロウ・・・5.0
f)ラニリン・・・11.0
g)ヒマシ油・・・残部
h)2-エチルヘキサン酸セチル・・・0.5
i)イソプロピルミリスチン酸エステル・・・10.0
j)二酸化チタン・・・5.0
k)赤色201号・・・0.6
l)赤色202号・・・1.0
m)赤色223号・・・0.2
n)香料・・・適量
o)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
製法
j)~m)をg)の一部に分散し、ローラーで処理する。その後a)~o)までを混合し、加熱融解した後、均一に分散する。分散後、型に流し込み急冷し、スティック状とする。
(実施例9)パウダーファンデーション(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:5%BG水溶液)・・・0.05
b)スクワラン・・・10.0
c)セスキオレイン酸ソルビタン・・・3.5
d)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
e)酸化チタン・・・13.0
f)セリサイト・・・25.0
g)タルク・・・残部
h)ベンガラ・・・0.8
i)黄酸化鉄・・・2.5
j)黒酸化鉄・・・0.1
製法
e)~j)を混合し、粉砕機にかけて粉砕する。その後、混合溶解したa)~d)までを加えて撹拌混合し、再び粉砕した後、金皿容器にプレスする。
(実施例10)入浴剤(質量%)
a)ケイハキタミ発酵物(抽出溶媒:2%グルコース水溶液)・・・0.5
b)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール・・・0.2
c)(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10・・・0.2
d)PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン・・・0.2
e)炭酸水素ナトリウム・・・50.0
f)硫酸ナトリウム・・・残部
g)香料・・・適量
h)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
製法
a)~h)を均一に混合する。
以上詳述したごとく、ケイハキタミの花弁抽出物を乳酸菌により発酵させて得られる発酵物は、ニトロ化タンパク質の分解を促進する効果が顕著であることが確認された。肌において、ニトロ化タンパク質は肌の黄ぐすみの原因物質となることが知られていることから、肌の黄ぐすみが目立つ肌に、本願発明の皮膚外用剤を適用することにより、タンパク質のニトロ化に起因する各種症状の改善が期待される。

Claims (4)

  1. ケイハキタミ(農林水産省品種登録第10597号)の花弁抽出物を乳酸菌により発酵させて得られる発酵物を含有するニトロ化タンパク質分解剤。
  2. 前記発酵物を含有する皮膚外用剤。
  3. 前記乳酸菌がラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である請求項1又は2に記載の剤。
  4. ニトロ化タンパク質分解のための前記発酵物又は前記発酵物含有組成物の使用。





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