JP2022150773A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体燃料の噴射全体量を大きく変えずに、空燃比をリッチ化することができる燃料噴射制御装置を提供する。【解決手段】燃料噴射制御装置10は、ガス燃料の噴射量に応じたガスインジェクタ42の通電時間を規定するガスパルス信号を生成する。燃料噴射制御装置10は、排気ガスが流通する排気系50に設置される排気センサ58の複数の気筒52毎の計測感度Sに基づき、燃料噴射量係数kを当該複数の気筒52毎に記憶する記憶部72を有する。また、燃料噴射制御装置10は、記憶部72に燃料噴射量係数kに基づき、計測感度Sが高い気筒52の気体燃料の噴射量を減らし、計測感度Sが低い気筒52の気体燃料の噴射量を増やす噴射量調整部74を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、燃料噴射制御装置に関する。
特許文献1には、ガソリン等の液体燃料と圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)等の気体燃料とを選択的に切り替えて単一エンジンに供給するバイフューエルシステムの燃料噴射制御装置が開示されている。
ところで、バイフューエルシステムは、液体燃料の成分と気体燃料の成分の違いから、複数の気筒毎にメタン(CH4)の濃度に違いが生じることがある。これにより、燃料噴射制御装置は、排気系に設けられた排気センサの検出において、排気ガスの空燃比が濃いと誤認してしまう可能性がある。その結果、空燃比フィードバックの過補正が起こり、制御空燃比がリーンバイヤスして三元触媒の機能が低下することになる。
本発明は、上記のバイフューエルシステムの燃料噴射制御装置に関連するものであり、気体燃料の噴射全体量を大きく変えずに、空燃比をリッチ化することができる燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一態様は、液体燃料噴射弁の通電時間を規定する第1パルス信号を用いて、気体燃料の噴射量に応じた気体燃料噴射弁の通電時間を規定する第2パルス信号を生成する燃料噴射制御装置であって、排気ガスが流通する排気系に設置される排気センサの複数の気筒毎の計測感度に基づき、前記気体燃料の噴射量に関わる情報を当該複数の気筒毎に記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記気体燃料の噴射量に関わる情報に基づき、前記計測感度が高い気筒の前記気体燃料の噴射量を減らし、計測感度が低い気筒の前記気体燃料の噴射量を増やす噴射量調整部と、を備える。
上記の燃料噴射制御装置は、気体燃料の噴射全体量を大きく変えずに、空燃比をリッチ化することができる。
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る燃料噴射制御装置10は、図1に示すように、液体燃料(例えば、ガソリン)と気体燃料(例えば、圧縮天然ガス)とを選択的に切り替えてエンジン12(図2参照)に供給するバイフューエルシステム14に適用される。以下、本発明の理解の容易化のために、先にバイフューエルシステム14の各構成について詳述していく。
バイフューエルシステム14は、エンジン12を搭載した図示しない車両(四輪自動車等)に設けられる。バイフューエルシステム14は、液体燃料供給系16、気体燃料供給系18、燃料スイッチ20、1st-ECU22(Electronic Control Unit)及び2nd-ECU24を備える。
液体燃料供給系16は、2nd-ECU24からのガソリンパルス信号(第1パルス信号)に基づいて、液体燃料としてのガソリンをエンジン12に供給する供給系統である。液体燃料供給系16は、ガソリンタンク26、ガソリン供給パイプ28、及びガソリンインジェクタ30(液体燃料噴射弁)を備える。
ガソリンタンク26は、ガソリンを貯蔵する耐腐食性容器であり、ガソリンを吸い上げてガソリン供給パイプ28へ送出するポンプ及びレギュレータ(不図示)等を内蔵する。ガソリン供給パイプ28は、ガソリンタンク26からガソリンインジェクタ30へガソリンを流通させる。
ガソリンインジェクタ30は、ソレノイドバルブ等の電磁弁を適用することができ、例えば、エンジン12の吸気ポート(不図示)に向けて噴射口30aが露出するように装着される。ガソリンインジェクタ30は、通電時間(開弁時間)を規定する2nd-ECU24のガソリンパルス信号に応じて開弁することで、吸気ポートにガソリンを噴射する。
気体燃料供給系18は、2nd-ECU24からのガスパルス信号(第2パルス信号)に基づいて、ガス燃料をエンジン12に供給する。このため、気体燃料供給系18は、ガスタンク32、高圧ガス供給パイプ34、遮断弁36、レギュレータ38、低圧ガス供給パイプ40、ガスインジェクタ42(気体燃料噴射弁)、ガス燃料圧力センサ44及びガス燃料温度センサ46を備える。
ガスタンク32は、高圧のガス燃料が充填される高耐圧容器である。高圧ガス供給パイプ34は、ガスタンク32とレギュレータ38の間を接続し、ガスタンク32からレギュレータ38へ高圧のガス燃料を流通させる。遮断弁36は、高圧ガス供給パイプ34に設けられ、2nd-ECU24からの駆動信号(開弁信号、閉弁信号)に応じて高圧ガス供給パイプ34の開閉を行う。
レギュレータ38は、遮断弁36の下流側に配置された減圧弁であり、遮断弁36の開弁時にガスタンク32から供給される高圧のガス燃料を所望の圧力まで減圧して低圧ガス供給パイプ40へ送出する。低圧ガス供給パイプ40は、レギュレータ38とガスインジェクタ42の間を接続し、レギュレータ38からガスインジェクタ42へ低圧のガス燃料を流通させる。
ガスインジェクタ42は、ソレノイドバルブ等の電磁弁を適用することができ、例えば、エンジン12の吸気ポートに向けて噴射口42aが露出するように装着される。ガスインジェクタ42は、通電時間(開弁時間)を規定する2nd-ECU24のガスパルス信号に応じて開弁することで、吸気ポートにガス燃料を噴射する。
ガス燃料圧力センサ44は、レギュレータ38より低圧側、つまり低圧ガス供給パイプ40の内部圧力を検出し、検出結果であるガス燃料圧力信号を2nd-ECU24へ出力する。ガス燃料温度センサ46は、低圧ガス供給パイプ40の内部温度を検出し、その検出結果であるガス燃料温度信号を2nd-ECU24へ出力する。
燃料スイッチ20は、エンジン12の運転に使用する燃料を、ユーザの手動操作下に切り替える。燃料スイッチ20は、スイッチの切替状態(ガソリン、ガス燃料)を示す燃料切替信号を2nd-ECU24に出力する。なお、バイフューエルシステム14は、ガソリン及びガス燃料の供給を自動で切り替えるシステムでもよい。
1st-ECU22及び2nd-ECU24の各々は、1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェース、電子回路、通信モジュールを有する(共に図示せず)。1st-ECU22は、ガソリンの噴射を制御する従来のECUを適用することができる。2nd-ECU24は、バイフューエルシステム14を構成した際に、ガソリン用の制御内容をガス燃料用の制御内容に変換するためのECUである。1st-ECU22及び2nd-ECU24は、1つのECUに統合されていてもよい。
1st-ECU22の内部及び2nd-ECU24の内部には、メモリに記憶された図示しないプログラムを1以上のプロセッサが実行することで、バイフューエルシステム14の動作を制御する機能ブロックが複数形成される。なお、各機能ブロックの少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路、ディスクリートデバイスを含む電子回路により構成されてもよい。メモリは、種々のドライブ(HDD、SSD等)を適用可能であり、或いはプロセッサや集積回路等に付随したものを含み得る。
1st-ECU22及び2nd-ECU24は、シリアル通信バスの一種であるCAN(Controller Area Network)バス48によって接続され、CANバス48を介した通信を行うことによって種々の情報を取得することが可能である。例えば、2nd-ECU24は、CANバス48を介して1st-ECU22と通信を行うことで、エンジン12の運転状態を求めるために必要となるセンサ信号を取得する。
1st-ECU22は、エンジン12の運転を検出する各種センサ(不図示)のセンサ信号に基づいて、ガソリンインジェクタ30から噴射するガソリン噴射量(液体燃料噴射量)を算出する。各種センサとしては、アクセルペダルセンサ、エンジン12の回転数センサ(例えば、クランク角度センサ)、スロットル開度センサ、吸気圧センサ、吸気温センサ、冷却水温センサ等が挙げられる。1st-ECU22は、ガソリン噴射量の算出結果に基づき、ガソリンインジェクタ30の通電時間を規定するガソリンパルス信号を生成して2nd-ECU24へ出力する。
2nd-ECU24は、本発明の燃料噴射制御装置10を構成しており、燃料スイッチ20の燃料切替信号、1st-ECU22のガソリンパルス信号、アクセルペダルセンサのアクセル開度信号、スロットル開度センサのスロットル開度信号、ガス燃料圧力センサ44のガス燃料圧力信号及びガス燃料温度センサ46のガス燃料温度信号等を受信して、液体燃料供給系16及び気体燃料供給系18を制御する。すなわち、2nd-ECU24は、ガソリンパルス信号の送信によりガソリンインジェクタ30を開閉する液体燃料噴射制御、遮断弁36への開弁信号及びガスパルス信号の送信によりガスインジェクタ42を開閉する気体燃料噴射制御を選択的に行う。
具体的には、2nd-ECU24は、燃料切替信号に基づき、エンジン12の運転に使用する燃料としてガソリンを認識した場合に、液体燃料噴射制御を実施する。液体燃料噴射制御において、2nd-ECU24は、例えば、1st-ECU22から受信したガソリンパルス信号をそのままガソリンインジェクタ30へ出力する。
一方、2nd-ECU24は、燃料切替信号に基づき、エンジン12の運転に使用する燃料としてガス燃料を認識した場合に、気体燃料噴射制御を実施する。気体燃料噴射制御において、2nd-ECU24は、まず開弁信号を遮断弁36に送信して遮断弁36を開弁させ、ガスタンク32からガスインジェクタ42へのガス燃料の供給を開始する。
そして、2nd-ECU24は、1st-ECU22のガソリンパルス信号、ガス燃料圧力信号、ガス燃料温度信号、アクセル開度信号及びスロットル開度信号に基づきガス燃料の噴射量を算出し、ガスパルス信号を生成する。
また、本実施形態に係る2nd-ECU24は、図2に示すように、エンジン12の下流側(燃料排出側)に設けられる排気系50に応じて、複数の気筒52毎にガス燃料の噴射量を調整する制御(以下、気筒噴射量調整という)を行う。次に、エンジン12の排気系50の各構成、及び排気系50の各構成に基づく気筒噴射量調整の制御内容について詳述する。なお、以下では、4つの気筒52を有するエンジン12を例に説明するが、エンジン12の気筒数は、特に限定されないことは勿論である。
具体的には、エンジン12の排気系50は、複数(4つ)の気筒52毎に接続される複数(4つ)の排気分枝管54と、複数の排気分枝管54が合流した1つの排気合流管56と、を有する。各排気分枝管54内には、接続されている気筒52から排気される排気ガスの分枝通路55が設けられている。排気合流管56内には、複数の分枝通路55が合流する合流通路57が設けられている。
また、排気系50は、排気合流管56の合流通路57に排気センサ58を備える。排気センサ58は、排気合流管56の内周面から中心部に突出し、合流通路57を流通する排気ガスを直接検出する検出子60を有する。この種の排気センサ58としては、周知の空燃比センサ又は酸素濃度センサ(O2センサ)を適用することができる。例えば、空燃比センサの検出子60は、排気合流管56の外部の酸素量と合流通路57の排気ガスの酸素量との差に相関した起電力を生じる。排気センサ58の検出値は、1st-ECU22にフィードバックされ、1st-ECU22は、空燃比を勘案したパルス幅(燃料噴射時間)からなるガソリンパルス信号を生成する。
ここで、バイフューエルシステム14は、ガソリンとガス燃料との燃料成分の違いから、ガス燃料を燃焼した際に、排気ガス中のメタン(CH4)濃度が高くなる。このようにメタン濃度が高くなると、排気系50の排気センサ58の反応に影響を及ぼし、空燃比が濃いと検出してしまう(言い換えれば、制御用の空燃比が欠乏側に移動(リーンバイヤス)してしまう)。これにより、三元触媒の排気ガスの浄化率が低下することになる。
上記したように、排気ガスの合流通路57に設けられている排気センサ58は、複数の気筒52全ての排気ガス成分を検出するが、排気系50のレイアウトの影響を受けて、各気筒52の排気ガスの計測感度Sに違いが生じる。以下、図2中の第1気筒52A、第2気筒52B、第3気筒52C、第4気筒52Dを有するエンジン12において、第1気筒52Aの計測感度S1及び第4気筒52Dの計測感度S4が高く、第2気筒52Bの計測感度S2及び第3気筒52Cの計測感度S3が低い場合について説明する。
すなわち、第1気筒52Aに接続される第1排気分枝管54A、第4気筒52Dに接続される第4排気分枝管54Dのレイアウト(配置や形状)は、第2気筒52Bに接続される第2排気分枝管54Bや第3気筒52Cに接続される第3排気分枝管54Cに比べて長く又曲がりが大きい。このため、第1気筒52Aや第4気筒52Dから排気された排気ガスは、第2気筒52Bや第3気筒52Cから排気された排気ガスに比べて、メタンが流通し難くなり、結果的に合流通路57においてメタンの濃度が高くなる。合流通路57の排気センサ58は、第1気筒52Aや第4気筒52Dの排気ガスについて第2気筒52Bや第3気筒52Cの排気ガスよりも濃い空燃比を検出する。換言すれば、排気センサ58の計測感度Sは、第1気筒52A及び第4気筒52Dにおいて高くなる一方で、第2気筒52B及び第3気筒52Cにおいて低くなる。
2nd-ECU24は、エンジン12の排気系50のレイアウトに基づくシミュレーションや実験等を実施して、複数の気筒52毎の計測感度Sを記憶している。例えば、計測感度Sは、複数の気筒52全体を100%とし、実験等において検出した排気センサ58の気筒52毎の検出結果(空燃比)と、適宜の計算式とを用いて、各気筒52の割合として配分される。図2中の例では、第1気筒52Aの計測感度S1及び第4気筒52Dの計測感度S4が30%となり、第2気筒52Bの計測感度S2及び第3気筒52Cの計測感度S3が20%となっている。
また、2nd-ECU24は、上記のように取得された各気筒52の計測感度Sに基づき、ガス燃料の噴射量の算出時に乗算する各気筒52の燃料噴射量係数k(気体燃料の噴射量に関わる情報)を予め記憶している。以下、燃料噴射量係数kについて、第1気筒52Aの燃料噴射量係数をk1、第2気筒52Bの燃料噴射量係数をk2、第3気筒52Cの燃料噴射量係数をk3、第4気筒52Dの燃料噴射量係数をk4という。各気筒52の燃料噴射量係数kは、1を基準とした場合の割合(%)で表され、複数の気筒52全ての燃料噴射量係数kを合算すると、気筒数と同じ値になるように配分される。
各気筒52の燃料噴射量係数k(k1、k2、k3、k4)は、空燃比補正トリムの算出方法に基づき、適切な値に設定される。例えば、空燃比補正トリムの計算式は、下記の式(1)で表される。
空燃比補正トリム=
1/(S1×k1+S2×k2+S3×k3+S4×k4) …(1)
空燃比補正トリム=
1/(S1×k1+S2×k2+S3×k3+S4×k4) …(1)
上記の式(1)の空燃比補正トリムは、図3に示すように、燃料がガソリンの場合、基本的に1.0倍となるように設定される。ただし、燃料がガス燃料の場合は、上記したように制御範囲がリーン側に寄るリーンバイヤスが生じる可能性がある。このため、各燃料噴射量係数kは、空燃比補正トリムがリッチ寄り(1.0倍よりも僅かに大きくなるような値)になるように設定されることが好ましい。
具体的には、2nd-ECU24は、燃料噴射量係数kについて、計測感度Sが高い気筒52の方を小さな値に設定し、計測感度Sが低い気筒52の方を大きな値に設定する。例えば、図2に示すように、第1気筒52A及び第4気筒52Dの各計測感度が30%、第2気筒52B及び第3気筒52Cの各計測感度が20%の場合には、第1気筒52Aの燃料噴射量係数k1及び第4気筒52Dの燃料噴射量係数k4をそれぞれ0.98とし、第2気筒52Bの燃料噴射量係数k2及び第3気筒52Cの燃料噴射量係数k3をそれぞれ1.02とする。この各値を式(1)に当て嵌めて空燃比補正トリムを算出すると、1.004倍となる。すなわち、ガス燃料の全体の噴射量を変えずに、空燃比補正トリムをリッチ寄りに変化させることができる。
上記の気筒噴射量調整を実施するために、2nd-ECU24の内部には、図4に示すように、取得部70、記憶部72、噴射量調整部74が形成される。取得部70は、各種センサ及び1st-ECU22からガソリンパルス信号、ガス燃料圧力信号、ガス燃料温度信号、アクセル開度信号及びスロットル開度信号を取得し、記憶部72に一時的に記憶する。また、記憶部72は、シミュレーションや実験等により求められた複数の気筒52毎の計測感度S及び燃料噴射量係数kを予め記憶している。
噴射量調整部74の内部には、噴射量算出部76及びガスパルス信号生成部78が設けられている。噴射量算出部76は、取得部70が取得したガソリンパルス信号、ガス燃料圧力信号、ガス燃料温度信号、アクセル開度信号及びスロットル開度信号等から算出される基準噴射量Aに対し各燃料噴射量係数kを乗算することで、ガス燃料の噴射量を補正(算出)する。この結果、2nd-ECU24は、計測感度Sが高い気筒52のガス燃料の噴射量を減らし、計測感度Sが低い気筒52のガス燃料の噴射量を増やす制御を実施する。
ガスパルス信号生成部78は、噴射量算出部76が算出した各気筒52の噴射量に基づきガスパルス信号を生成し、生成したガスパルス信号をガスインジェクタ42へ出力する。これにより、ガスインジェクタ42は、ガスパルス信号の通電時間に基づき開弁してガス燃料を噴射する。
本実施形態に係る燃料噴射制御装置10(2nd-ECU24)は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その作用効果について説明する。
2nd-ECU24は、エンジン12にガス燃料を噴射する気体燃料噴射制御において、複数の気筒52毎にガス燃料の噴射量を調整する気筒噴射量調整を実施する。この際、2nd-ECU24の噴射量算出部76は、記憶部72に記憶されている各気筒52の燃料噴射量係数k(k1、k2、k3、k4)に基づき、複数の気筒52毎のガス燃料の噴射量を算出する。また、ガスパルス信号生成部78は、算出された複数の気筒52毎のガス燃料の噴射量に基づき、ガスパルス信号を生成し、各気筒52のガスインジェクタ42に出力する。
これにより、各気筒52のガスインジェクタ42は、指示された噴射量のガス燃料を吸気ポートに噴射する。すなわち、計測感度Sが高い気筒52(第1気筒52A、第4気筒52D)のガスインジェクタ42は、噴射量が少なくなったガス燃料を噴射する。その一方で、計測感度Sが低い気筒52(第2気筒52B、第3気筒52C)のガスインジェクタ42は、計測感度Sが高い気筒52のガスインジェクタ42が減らした量分だけ噴射量が多くなったガス燃料を噴射する。その結果、図5に示すように、排気センサ58は、計測感度Sが高い気筒52の影響を強く受け、その検出値は空燃比補正トリムを大きくする方向に移動させる。また、計測感度Sが低い気筒52の排気ガスは、よりリッチ化することになる。
従って、2nd-ECU24は、エンジン12に供給するガス燃料の全体量を変えずに、空燃比補正トリム(制御空燃比)のリッチ化を図ることができる。結果的に、バイフューエルシステム14は、2nd-ECU24内における燃料噴射量係数kを変更するだけで、三元触媒内の空燃比をリッチ化することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。例えば、各気筒52の燃料噴射量係数kは、複数の気筒52全ての燃料噴射量係数kを合算した場合に、気筒数と同じ値から僅かにずれて設定されてもよい。これにより、気体燃料の噴射全体量が若干変化することになるが、計測感度Sに合わせて燃料噴射量係数kをより一層適切に設定することが可能となる。
気筒52間の計測感度Sは、運転状態により変化することから、燃料噴射制御装置10は、車両の運転状態、例えばエンジン12の回転数に応じて気筒52毎の噴射量を増減させるようにしてもよい。すなわち、燃料噴射量係数kは、固定値ではなく、運転状態に応じて変動可能な変動値であってもよい。
上記の実施形態から把握し得る技術的思想及び効果について以下に記載する。
本発明の一態様は、液体燃料噴射弁(ガソリンインジェクタ30)の通電時間を規定する第1パルス信号(ガソリンパルス信号)を用いて、気体燃料の噴射量に応じた気体燃料噴射弁(ガスインジェクタ42)の通電時間を規定する第2パルス信号(ガスパルス信号)を生成する燃料噴射制御装置10であって、排気ガスが流通する排気系50に設置される排気センサ58の複数の気筒52毎の計測感度Sに基づき、気体燃料(ガス燃料)の噴射量に関わる情報を当該複数の気筒52毎に記憶する記憶部72と、記憶部72に記憶された気体燃料の噴射量に関わる情報(燃料噴射量係数k)に基づき、計測感度Sが高い気筒52の気体燃料の噴射量を減らし、計測感度Sが低い気筒52の気体燃料の噴射量を増やす噴射量調整部74と、を備える。
上記によれば、燃料噴射制御装置10は、気筒52毎にガス燃料の噴射量を変える(計測感度Sが高い気筒52のガス燃料の噴射量を減らし、計測感度Sが低い気筒52のガス燃料の噴射量を増やす)ことで、空燃比補正トリムを適切に補正することができる。これにより、燃料噴射制御装置10は、気体燃料(ガス燃料)の噴射全体量を大きく変えずに、空燃比をリッチ化させ、空燃比のリーンバイヤスの影響を減らして、三元触媒の浄化率低下を抑制することが可能となる。
また、気体燃料の噴射量に関わる情報は、複数の気筒52毎に設定される燃料噴射量係数kであり、噴射量調整部74は、基準噴射量Aに燃料噴射量係数kを乗算することで、複数の気筒52毎の気体燃料の噴射量を算出する。これにより、燃料噴射制御装置10は、気体燃料の噴射量を複数の気筒52毎に適切に設定することができる。
また、複数の気筒52毎の燃料噴射量係数kは、1を基準とした場合の割合で表され、複数の気筒52全ての燃料噴射量係数kを合算すると、気筒52数と同じ値になるように配分される。これにより、燃料噴射制御装置10は、エンジン12に供給する気体燃料の全体量を一定にすることができる。
10…燃料噴射制御装置 22…1st-ECU
24…2nd-ECU 50…排気系
52…気筒 56…排気合流管
57…合流通路 70…取得部
72…記憶部 74…噴射量調整部
76…噴射量算出部 78…ガスパルス信号生成部
24…2nd-ECU 50…排気系
52…気筒 56…排気合流管
57…合流通路 70…取得部
72…記憶部 74…噴射量調整部
76…噴射量算出部 78…ガスパルス信号生成部
Claims (3)
- 液体燃料噴射弁の通電時間を規定する第1パルス信号を用いて、気体燃料の噴射量に応じた気体燃料噴射弁の通電時間を規定する第2パルス信号を生成する燃料噴射制御装置であって、
排気ガスが流通する排気系に設置される排気センサの複数の気筒毎の計測感度に基づき、前記気体燃料の噴射量に関わる情報を当該複数の気筒毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記気体燃料の噴射量に関わる情報に基づき、前記計測感度が高い気筒の前記気体燃料の噴射量を減らし、前記計測感度が低い気筒の前記気体燃料の噴射量を増やす噴射量調整部と、を備える
燃料噴射制御装置。 - 請求項1記載の燃料噴射制御装置において、
前記気体燃料の噴射量に関わる情報は、前記複数の気筒毎に設定される燃料噴射量係数であり、
前記噴射量調整部は、基準噴射量に前記燃料噴射量係数を乗算することで、前記複数の気筒毎の前記気体燃料の噴射量を算出する
燃料噴射制御装置。 - 請求項2記載の燃料噴射制御装置において、
前記複数の気筒毎の前記燃料噴射量係数は、1を基準とした場合の割合で表され、前記複数の気筒全ての前記燃料噴射量係数を合算すると、気筒数と同じ値になるように配分される
燃料噴射制御装置。
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