JP2022150770A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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光亮 柳澤
Mitsuaki Yanagisawa
尚志 本間
Hisashi Honma
翔 龍岡
Sho Tatsuoka
俊介 東城
Shunsuke Tojo
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Abstract

Figure 2022150770000001
【課題】合金鋼の断続切削加工であっても、優れた耐欠損性を有する被覆工具の提供
【解決手段】工具基体と該工具基体の表面に被覆層を有し、
1)前記被覆層は、その平均層厚が1.0~20.0μmであって、その平均組成を組成式:(V1-xAl)(C1-y)で表したとき、xが0.76~0.95,yが0.000~0.005であるVとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層を有し、
2)前記複合窒化物層または複合炭窒化物層は、NaCl型面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を有し、
3)結晶粒内の平均方位差が2度以上である前記結晶粒が前記結晶粒の中で25面積%以上を占める、
ことを特徴とする表面被覆切削工具
【選択図】図1

Description

本発明は、表面被覆切削工具(以下、被覆工具ということがある)に関するものである。
従来、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金等の工具基体の表面に、被覆層を形成した被覆工具が知られており、優れた耐摩耗性を発揮することが知られている。
そして、被覆工具の耐久性を向上させるべく、被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、工具基体の表面上に(Al1-x)の窒化物、炭窒化物、窒酸化物および炭窒化酸化物のいずれか(xは0.24~0.45)を被覆した被覆工具が記載され、該被覆工具は刃先の欠けやチッピング、被覆層の剥離が防止され、良好な湿潤性を有するとされている。
特開2005-271106号公報
本発明は、前記事情や前記提案を鑑みてなされたものであって、合金鋼のような高温発生を伴い、切刃に対して衝撃的な負荷が作用する断続切削加工であっても、優れた耐欠損性を有する被覆工具を提供することを目的する。
本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具は、
工具基体と該工具基体の表面に被覆層を有し、
1)前記被覆層は、その平均層厚が1.0~20.0μmであって、その平均組成を組成式:(V1-xAl)(C1-y)で表したとき、xが0.76~0.95,yが0.000~0.005であるVとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層を有し、
2)前記複合窒化物層または複合炭窒化物層は、NaCl型面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を有し、
3)結晶粒内の平均方位差が2度以上である前記結晶粒が前記結晶粒の中で25面積%以上を占めること。
さらに、前記実施形態に係る表面被覆切削工具は、以下の(1)~(2)の事項のいずれか、または、両方を満足してもよい。
(1)前記工具基体と前記VとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1~20.0μmの合計平均層厚を有する下部層が存在すること。
(2)前記複合窒化物層または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも酸化アルミニウム層を含む上部層が1.0~25.0μmの合計平均層厚で存在すること。
前記によれば、耐チッピング性の向上した表面被覆切削工具を得ることができる。
本発明の実施形態に係る被覆層の縦断面を模式的に示した図である。 GOS方位の説明のための模式図である。 実施例4における結晶粒内の平均方位差の面積割合の度数分布を示すヒストグラムである。 比較例4における結晶粒内の平均方位差の面積割合の度数分布を示すヒストグラムである。 本実施形態に係る表面被覆切削工具を製造するための装置の一例のガス供給管の一部分の斜視模式図である。 図5のガス供給管の断面模式図である。
本発明者は、VとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層(以下、(VAl)(CN)層ということがある)を被覆した被覆工具について、検討を行ったところ、VとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層を単に被覆しただけでは耐欠損性が十分ではないことを知見した。
そこで、検討を重ねた結果、(VAl)(CN)層のNaCl型面心立方構造を有する結晶粒において、所定の結晶粒内の平均方位差を有する結晶粒が特定の面積割合で度数分布すると、耐欠損性が向上することを見出した。
以下では、本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具について説明する。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、数値範囲を「L~M」(L、Mは共に数値)で表現するときは、その範囲は上限値(M)および下限値(L)を含んでおり、上限値(M)と下限値(L)の単位は同じである。
I.被覆層
本実施形態の被覆層(2)は、図1に示すように、工具基体(1)の表面上に存在し、(VAl)(CN)層(3)を含む。工具基体(1)と(VAl)(CN)層(3)との間には、下部層(4)を有してもよく、(VAl)(CN)層の表面には上部層(5)を有してもよい。
以下、(VAl)(CN)層を中心に説明する。
1.(VAl)(CN)層
(1)平均層厚
(VAl)(CN)層の平均層厚は、1.0~20.0μmであることが好ましい。その理由は、平均層厚が1.0μm未満では、平均層厚が薄いため長期の使用にわたって耐摩耗性を十分確保することができず、一方、平均層厚が20.0μmを超えると、(VAl)(CN)層の結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなるためである。
(2)組成
(VAl)(CN)層の組成は、平均組成を組成式:(V1-xAl)(C1-y)で表したとき、xが0.76~0.95,yが0.000~0.005であることが好ましい。ここで、0.000は、分析限界よりも少ないことを示す。
その理由は、以下のとおりである。xが0.76未満では、(VAl)(CN)層の耐摩耗性が十分ではなく、一方、0.95を超えると、(VAl)(CN)層の脆化が生じやすく耐欠損性が低下するためである。また、yは前記範囲にあるとき、(VAl)(CN)層と工具基体または後述する下部層との密着性が向上し、切削加工時の衝撃を緩和して、被覆層の耐欠損性が確実に向上するためである。
なお、(V1-xAl)と(C1-y)との比は特に限定されるものではないが、(V1-xAl)を1とするとき、(C1-y)との比は0.8~1.2とすることが好ましい。その理由は、(V1-xAl)に対する(C1-y)の比が前記範囲内であれば、より確実に本発明の目的が達成できるためである。
(3)NaCl型面心立方構造
(VAl)(CN)層には、NaCl型面心立方構造を有する結晶粒が含まれていることが好ましい。すなわち、縦断面において、NaCl型の面心立方構造の結晶粒の占める面積割合が60%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましい。そして、全ての結晶粒(面積割合が100%)がNaCl型の面心立方構造であってもよい。
ここで、縦断面とは、インサートでは、工具基体の表面の凹凸を無視して工具基体の表面が平面と考えたときの工具基体に垂直な断面であり、軸物工具では軸に対して垂直な断面である。
(4)結晶粒内の平均方位差
(VAl)(CN)層のNaCl型面心立方構造を有する結晶粒において、平均方位差が2度以上であるものが、面積割合で25面積%以上を占めることが好ましい。
この平均方位差が2度以上である結晶粒は、結晶粒内の結晶方位差に起因する歪を有している。そのため、この結晶粒が(VAl)(CN)層のNaCl型面心立方構造を有する全ての結晶粒に対して、25%以上の面積割合を占めると、(VAl)(CN)層が適切な歪を有し、その硬さや靭性が向上する。
この面積割合の上限は、特に制約はなく100面積%であってもよいが、70面積%がより好ましい。また、この面積割合は、35~70面積%がより一層好ましく、50~60面積%がさらにより一層好ましい。
ここで、(VAl)(CN)層のNaCl型面心立方構造を有する結晶粒の結晶粒内の平均方位差は次のようにして測定する。
[1]結晶粒界の定義
高分解能電子線後方散乱回折装置(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)を用いて、工具基体の表面に平行な方向に幅10μm、縦は層厚(平均層厚)分の観察視野に対して結晶粒界を判定する。
この観察視野面内を二次元方向にそれぞれ0.01μm間隔で解析し、観察視野面内のNaCl型の面心立方構造を有する測定点を求める。このNaCl型の面心立方構造を有する測定点の中で隣接する測定点(以下、ピクセルともいい、図2に示すように、点と表記しているものの領域である)の間で5度以上の方位差がある場合、あるいは隣接するNaCl型の面心立方構造を有する測定点がない場合は、5度以上の方位差を検出した測定点、あるいはNaCl型の面心立方構造ではない測定点とNaCl型の面心立方構造を有する測定点同士の境界(測定領域同士の境界)を粒界と定義する。
そして、粒界により囲まれた領域でNaCl型の面心立方構造を有する測定点を含むものを1つの結晶粒と定義する。ただし、隣接するピクセル全てと5度以上の方位差がある、あるいは、隣接するNaCl型の面心立方構造を有する測定点がないような、単独に存在するピクセルは結晶粒とせず、2ピクセル以上が連結しているものを結晶粒として取り扱う。このようにして、粒界判定を行い、結晶粒を特定する。
[2]GOS値
一つの結晶粒内で、あるピクセルとそれ以外の全てのピクセルとの方位差を測定し、それを平均化したものをGOS(Grain Orientation Spread)値というが、本明細書および特許請求の範囲において、結晶粒内の平均方位差というものは、このGOS値のことである。
GOS値については、例えば文献「日本機械学会論文集(A編)71巻712号(2005-12) 論文No.05-0367 1722~1728」に説明がなされている。
GOS値を数式で表す場合、図2に示すように、同一結晶粒内のピクセル数をn、結晶粒内の異なるピクセルにおのおの付けた番号をiおよびj(ここで 1≦i、j≦nとなる)とし、ピクセルiでの結晶方位とピクセルjでの結晶方位から求められる結晶方位差をαij(i≠j)として、下記[数1]のようになる。
Figure 2022150770000002

[3]GOS値の測定
幅(工具基体の表面に平行な方向)に10μm、(VAl)(CN)層の層厚方向には平均層厚をとった観察視野を測定範囲として、5視野の測定を実施する。
視野内のNaCl型面心立方構造を有する結晶粒に属する全てのピクセルに対して結晶粒内の平均方位差を求め、その結果を1度間隔で分割し、各分割した区分に属するピクセルを集計する。そして、この区分毎に集計したピクセル数を全てのピクセル数で除せば、結晶粒内の平均方位差の面積割合を示すヒストグラムが作成できる。そして、2度以上の区分に含まれる面積の割合を求める。
ここで、工具基体の表面とは、縦断面の観察像における、工具基体と被覆層(後述する下部層が存在すれば、被覆層の代わりに下部層を用いる。以下同様である。)の界面粗さの平均線とする。すなわち、工具基体がインサートのような平面の表面を有するときは、前記縦断面においてエネルギー分散型X線分析法(EDS:Energy dispersive X-ray spectroscopy)を用いた元素マッピングを実施し、得られた元素マップに対して公知の画像処理を行うことで被覆層と工具基体の界面を定め、こうして得られた被覆層と工具基体との界面の粗さ曲線について、平均線を算術的に求め、これを工具基体の表面とする。そして、この平均線に対して、垂直な方向を工具基体に垂直な方向(層厚方向)とする。
また、工具基体がドリルのように曲面の表面を有する場合であっても、被覆層の層厚に対して工具径が十分に大きければ、測定領域における被覆層と工具基体との間の界面は略平面となることから、同様の手法により工具基体の表面を決定することができる。すなわち、例えばドリルであれば、軸方向に垂直な断面の被覆層の縦断面においてEDSを用いた元素マッピングを実施し、得られた元素マップに対して公知の画像処理を行うことで被覆層と工具基体の界面を定め、こうして得られた被覆層と工具基体との界面の粗さ曲線について、平均線を算術的に求め、これを工具基体の表面とする。そして、この平均線に対して、垂直な方向を工具基体に垂直な方向(層厚方向)とする。
2.下部層
本実施形態の(VAl)(CN)層を含む被覆層は、それだけでも十分に前記目的を達成するが、Tiの炭化物層、窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1~20.0μmの合計平均層厚を有する下部層を設けた場合には、この層が奏する効果と相俟って、被覆工具としてより優れた特性が発揮される。ただし、Tiの炭化物層、窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなる下部層を設ける場合、下部層の合計平均層厚が0.1μm未満では、下部層の働きが十分に発揮されず、一方、20.0μmを超えると結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなる。
3.上部層
また、本実施形態の(VAl)(CN)層を含む被覆層に、酸化アルミニウム層を含む合計の平均層厚が0.1~25.0μmとなる上部層を設けると、被覆工具としてより優れた特性が発揮されて好ましい。ここで、合計平均層厚が0.1μm未満であると、上部層の働きが十分に発揮されず、一方、25.0μmを超えると、チッピングが発生しやすくなる。
II.工具基体
(1)材質
材質は、従来公知の工具基体の材質であれば、本発明の目的を達成することを阻害するものでない限り、いずれのものも使用可能である。一例をあげるならば、超硬合金(WC基超硬合金、WCの他、Coを含み、さらに、Ti、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含むもの等)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの等)、セラミックス(炭化チタン、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなど)、cBN焼結体のいずれかであることが好ましい。
(2)形状
工具基体の形状は、切削工具として用いられる形状であれば特段の制約はなく、インサートの形状、ドリルの形状が例示できる。
III.製造方法
本実施形態の(VAl)(CN)層の製造方法は、例えば、NHガスとHガスからなるガス群Aと、VCl、AlCl、N、Hからなるガス群Bを用いて、CVD法により行うことができる。
ここで、ガス群Aとガス群Bとは、熱CVD装置の反応容器内の空間で被成膜物の直前までガスを分離して供給し、被成膜物の直前でガス群Aとガス群Bが混合し、反応させるようにする。これは、互いに反応活性の高いガス種を成膜領域にわたって均一に供給して、皮膜を均一に成膜するために有効であり、詳細な技術内容は、例えば、特許6358420号公報に開示されている。
同公報に記載されている成膜装置は、図5、6に示すガス供給管を有しており、その構造を説明する。
図5、6に示すように、その中心を中心に所定の回転速度で回転する円筒管であるガス供給管(8)は、その軸心方向に沿って延びる仕切部材により、内部をほぼ二等分され、ガス群A流通部(11)とガス群B流通部(12)を有している。
ガス供給管(8)には、図5に示すようにほぼ同じ高さの位置にある噴出口対を構成するガス群A噴出口(9)とガス群B噴出口(10)が高さ方向に沿って複数設けられている。
図6に示すガス群A噴出口(9)とガス群B噴出口(10)は、同じ噴出口対に属しており、ガス群A噴出口(9)の外周側開口端の中心(13)とガス群B噴出口(10)の外周側開口端の中心(14)の中心との距離(16)が規定されている。また、ガス群A噴出口(9)の外周側開口端の中心(13)とガス供給管の回転軸中心(15)とガス群B噴出口(10)の外周側開口端の中心(14)の中心とのなす角を回転軸と垂直な面に投影した角度(17)が規定されている。
IV.測定方法
(1)平均層厚
前述のとおり工具基体の表面を決定した後、工具基体の表面に対して垂直な方向に沿って複数の分析ライン(例えば5本)で測定を行う。(VAl)(CN)層の平均層厚は、Al原子が出現し、その含有割合が1原子%となったところを隣接層との境界と定め、分析ライン毎の層厚を求め、平均をとって平均層厚とする。
(2)組成
(VAl)(CN)層の組成は、以下のようにして求める。
Alの平均含有割合xについては、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyser)を用い、表面を研磨した試料において、電子線を試料表面側から照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの平均含有割合xを求める。
Cの平均含有割合yについては、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)により求めた。イオンビームを試料表面側から70μm×70μmの範囲に照射し、スパッタリング作用によって放出された成分について深さ方向の濃度測定を行う。Cの平均含有割合yは(VAl)(CN)層についての深さ方向の平均値を示す。
(3)NaCl型面心立方構造を有する結晶粒
高分解能電子線後方散乱回折装置(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)により、(VAl)(CN)層の結晶構造を同定し、NaCl型面心立方構造であることを確認し、その面積割合を求める。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。すなわち、工具基体の材質としてWC基超硬合金を用いたインサート切削工具をあげるが、工具基体の材質は前述のものであればよく、その形状は前述のとおりドリル等の形状であってもよい。
1.工具基体の製造
原料粉末として、いずれも1~3μmの平均粒径を有するWC粉末、TaC粉末、NbC粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、Co:6.0質量%、TaC:0.5質量%、NbC:0.5質量%、残部がWC及び不可避不純物となるように配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形した。
その後、この圧粉体を5Paの真空中、1370~1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、三菱マテリアル社製JOMU140715ZZER-Mのインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体Aを製造した。
2.成膜
工具基体Aの表面に、CVD装置を用いて、(VAl)(CN)層を成膜し、表4に示す実施例1~8を得た。成膜条件は、表1に示すとおりであったが、概ね、次のとおりであった。
反応ガス組成(ガス成分の含有割合は、ガス群Aとガス群Bの合計を100容量%とする容量%である):
ガス群A NH:2.0~3.0%、H:65~75%
ガス群B AlCl:0.6~0.9%、VCl:0.2~0.3%、
Al(CH:0.0~0.5%、N:12.5~15.0%、
:残
反応雰囲気圧力:4.5~5.0kPa
反応雰囲気温度:700~900℃
ここで、ガス群Aとガス群Bは、それぞれ、前述の特許6358420号公報に記載されたCVD装置の、原料ガスA、原料ガスBとして供給された。ガス供給管の回転速度、ガス供給管のガス群A噴出口(9)の外周側開口端の中心(13)とガス群B噴出口(10)の外周側開口端の中心(14)の中心との距離(16)、ガス群A噴出口(9)の外周側開口端の中心(13)とガス供給管の回転軸中心(15)とガス群B噴出口(10)の外周側開口端の中心(14)の中心とのなす角を回転軸と垂直な面に投影した角度(17)は以下のとおりである。
ガス供給管の回転速度:5~20rpm
距離(16):6mm
角度(17):16度
なお、実施例7~8については、表2に示す条件により表3に示す下部層および/または上部層を成膜した。
比較のために、工具基体Aの表面に表1に示す成膜条件によって、(VAl)(CN)層を成膜し、表4に示す比較例1~6を得た。
実施例では、ガス群Aとガス群Bとは、熱CVD装置の反応容器内の空間で被成膜物の直前までガスを分離して供給し、被成膜物の直前でガス群Aとガス群Bが混合し、反応させるようにしたが、比較例では、原料ガスを2系統に分離せずに1本のガス供給管から熱CVD装置の反応容器内に供給した。そのため、ガス群A噴出口(9)とガス群B噴出口(10)の区別はなく噴出口対は存在しないガス供給管を用いた。
なお、比較例7~8については、表2に示す条件により表3に示す下部層および/または上部層を成膜した。
前記実施例1~8、比較例1~8について、前述した方法を用いて、平均Al含有割合xと平均C含有割合yを算出した。また、前述の方法により結晶粒内の平均方位差およびこの平均方位差が2度以上の結晶粒の面積割合も測定した。
図3、4は、それぞれ、実施例4、比較例4の結晶粒内の平均方位差の面積割合の度
数分布を示すヒストグラムである。
加えて、NaCl型の面心立方構造を有する結晶粒の割合、結晶粒内の平均方位差を求めた。
また、平均層厚は、各構成層の縦断面に対して、走査型電子顕微鏡(倍率5000倍)を用いて観察し、観察視野内の5点の層厚を測定して平均して求めた。
これらの結果を表4にまとめた。
Figure 2022150770000003
Figure 2022150770000004
Figure 2022150770000005
Figure 2022150770000006
つづいて、実施例1~10および比較例1~10について、いずれもカッタ径63mmの工具鋼製カッタ先端部に固定治具にてクランプした状態で、合金鋼SCM440の乾式正面フライス加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
切削試験:乾式正面フライス切削加工
被削材:JIS・SCM440
切削速度:230m/min
切り込みap:1.5mm
切り込みae:50mm
一刃送り量:1.5mm/刃
切削時間:30分
表5に、切削試験の結果を示す。なお、比較例1~8については、切削時間終了前にチッピング発生が原因で寿命に至ったため、寿命に至るまでの時間を示す。
Figure 2022150770000007
表5に示す結果から明らかなように、実施例はいずれもチッピングの発生がなく、耐欠損生が向上しており、長期にわたって優れた切削性能を発揮する。
これに対して、比較例1~8は、いずれも切削時間終了前にチッピングが発生し、短時間で使用寿命に至っている。
1 工具基体
2 被覆層
3 (VAl)(CN)層
4 下部層
5 上部層
6 (VAl)(CN)層のNaCl型面心立方構造を有する結晶粒の粒界
7 測定点(ピクセル)
8 ガス供給管
9 ガス群A噴出口
10 ガス群B噴出口
11 ガス群A流通部
12 ガス群B流通部
13 ガス群A噴出口の外周側開口端の中心
14 ガス群B噴出口の外周側開口端の中心
15 回転軸中心
16 距離
17 角度

Claims (3)

  1. 工具基体と該工具基体の表面に被覆層を有する表面被覆切削工具であって、
    1)前記被覆層は、その平均層厚が1.0~20.0μmであって、その平均組成を組成式:(V1-xAl)(C1-y)で表したとき、xが0.76~0.95,yが0.000~0.005であるVとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層を有し、
    2)前記複合窒化物層または複合炭窒化物層は、NaCl型面心立方構造を有する複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を有し、
    3)結晶粒内の平均方位差が2度以上である前記結晶粒が前記結晶粒の中で25面積%以上を占める、
    ことを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記工具基体と前記VとAlの複合窒化物層または複合炭窒化物層の間に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなり、0.1~20.0μmの合計平均層厚を有する下部層が存在することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記複合窒化物層または複合炭窒化物層の上部に、少なくとも酸化アルミニウム層を含む上部層が1.0~25.0μmの合計平均層厚で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
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