JP2022150628A - 水系インク組成物 - Google Patents

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清貴 藤原
Kiyotaka Fujiwara
正将 篠原
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Abstract

【課題】印刷画像の耐擦過性に優れる水系インク組成物を提供する。【解決手段】顔料内包樹脂粒子、ジオール系有機溶剤、フッ素系界面活性剤及びアミン系有機溶剤を含有する水系インク組成物であって、前記顔料内包樹脂粒子における樹脂が疎水性樹脂であることを特徴とする水系インク組成物を用いる。【選択図】図2

Description

本発明は、印刷に使用される水系インク組成物に関する。
近年、環境問題に対する関心の高まりに伴い、印刷に使用されるインクについても、環境への負荷を低減したインクが要求されるようになってきている。例えば、アセトンやメチルエチルケトン等の揮発性有機溶剤をベースとするインク組成物は、前記揮発性有機溶剤が乾燥時に大気中に排出され好ましくないことから、前記揮発性有機溶剤を含まないインクとして、水をベースとした水系インク組成物が求められている。
また、前記水系インク組成物は、特別な換気施設を必要とせずにプリンターを配置でき、作業環境が向上することから、オペレーターの健康負荷の軽減にもつながる上、プリント後もほぼ無臭なため、飲食店、病院・ケア施設、子ども施設等の屋内でのディスプレーや各種掲示物のプリントに最適である。
そして、前記水系インク組成物は一般的に、水に加え、顔料、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤等を含有することから、分散安定性や保存安定性に劣ったり、インクジェットプリンターのノズル詰まりを発生したりするという不具合が多く、これらの不具合を解消するため、顔料表面を樹脂によって被覆した顔料内包樹脂微粒子を含有する水系インク組成物が提案されている(特許文献1~4を参照)。
しかし、前記顔料内包樹脂微粒子を含有する水系インク組成物は、印刷画像の表面に外力が加わった場合に生じる摩擦等によって、顔料の欠落に起因した印刷画像の色落ちや劣化等が生じやすいため、印刷画像の耐擦過性に問題を有している。
特開2008-208153号公報 特開2010-275377号公報 特開2009-235387号公報 特開2000-327968号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、印刷画像の耐擦過性に優れる水系インク組成物を提供することを目的とする。
本発明は、顔料内包樹脂粒子、ジオール系有機溶剤、フッ素系界面活性剤及びアミン系有機溶剤を含有する水系インク組成物であって、前記顔料内包樹脂粒子における樹脂が疎水性樹脂であることを特徴とする水系インク組成物を提供する。
前記顔料内包樹脂粒子の平均粒径が30nm以上200nm以下であることが好ましい。
前記ジオール系有機溶剤の添加量がインク組成物全量に対して、10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の添加量がインク組成物全量に対して、0.01質量%以上0.50質量%以下であることが好ましい。
前記アミン系有機溶剤の添加量がインク組成物全量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
前記顔料内包樹脂粒子が、顔料と、水性媒体と、疎水性モノマーと、炭素数15以上23以下の直鎖状アルキル基を有する低CMC界面活性剤と、重合開始剤とを含むエマルジョンにおいて、バッチ式に合成されることが好ましい。
前記重合開始剤が、前記エマルジョンの水相のイオン強度を低下させる作用を有することが好ましい。
本発明によれば、環境への負荷を低減すると共に、分散安定性や保存安定性に優れ、インクジェットプリンターのノズル詰まりが発生しにくいだけでなく、印刷画像の耐擦過性に優れる水系インク組成物が提供される。
実施例1の分散液AのFE-SEM画像である(拡大倍率10万倍)。 実施例1の塗膜形成後の塗膜表面を観察した画像である(拡大倍率200倍)。 比較例1の塗膜形成後の塗膜表面を観察した画像である(拡大倍率200倍)。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について説明する。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の水系インク組成物は、顔料内包樹脂粒子、ジオール系有機溶剤、フッ素系界面活性剤及びアミン系有機溶剤を含有する水系インク組成物であって、前記顔料内包樹脂粒子における樹脂が疎水性樹脂であることが好ましい。
<顔料内包樹脂粒子>
顔料内包樹脂粒子は、水性媒体に不溶性の顔料と、疎水性モノマーと、水性媒体と、界面活性剤とを混合し、水中油滴を含有するエマルジョンを生成させ、重合開始剤を使用してモノマーを重合させる乳化重合より、内部に顔料を包含する顔料内包樹脂粒子を、バッチ式に合成することにより調製する。
ここで、バッチ式とは、1つの設備で工程が行われることを意味する。つまり、本発明においては、内部に顔料を包含する顔料内包樹脂粒子の乳化重合による合成を、同一反応容器内の反応系で行うことができる。
(平均粒径)
顔料内包樹脂粒子の平均粒径は、30nm以上200nm以下の範囲であり、好ましくは50nm以上180nm以下の範囲であり、さらに好ましくは70nm以上150nm以下の範囲である。
顔料内包樹脂粒子の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により行うことができる。あるいは、電界放出形走査電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡による粒子像撮影から粒径測定を行うことも可能である。本発明においては、顔料内包樹脂粒子の平均粒径を、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering: DLS)により測定するか、又は電界放出形走査電子顕微鏡の粒子像撮影から計測することが好ましい。
(顔料)
顔料内包樹脂粒子に用いる顔料としては、水性媒体に溶解しないものであれば特に限定されず、公知の無機顔料や有機顔料を目的に応じて使用することができる。無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用でき、有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等を使用することができる。本発明で使用できる顔料の例は、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists、1982)にも記載されている。これらの顔料の2種類以上を併用してもよい。
顔料内包樹脂粒子における樹脂に対する顔料の割合は、乳化重合時のモノマーの全量を基準として、1.0質量%以上15.0質量%以下であり、好ましくは6.0質量%以上12.0質量%以下である。1.0質量%より少ない場合、顔料の発色が十分ではなく高画質の画像を得ることができない可能性があり、15.0質量%より多い場合、印刷画像の耐擦過性が不十分となる可能性がある。
顔料内包樹脂粒子における樹脂分を除いた顔料の添加量は、インク組成物全量に対して、0.1質量%以上15.0質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下である。0.1質量%より少ない場合、着色が不十分で高画質の画像を得ることができない可能性があり、15.0質量%より多い場合、インク組成物の保存安定性が不十分となる可能性がある。
(疎水性モノマー)
乳化重合を用いた顔料内包樹脂粒子の調製において使用する疎水性モノマーとしては、重合性を有し、重合後の樹脂が疎水性樹脂であれば、特に限定されない。例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の好ましくは炭素数1以上22以下、より好ましくは1以上12以下、さらに好ましくは1以上8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が使用でき、2種類以上のモノマーを、組み合わせて使用してもよい。好ましくはスチレン系モノマー、メタクリル酸エステルが使用され、さらに好ましくはスチレン系モノマーとメタクリル酸エステルの組み合わせが使用される。
ここで、疎水性モノマーとは、単独重合した樹脂の状態において、吸水率1%未満の樹脂となるモノマーを意味する。したがって、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、N-ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の親水性モノマーを含まない。
疎水性モノマーは、樹脂となった場合において、吸水率が1%未満であり、水性媒体に対して膨潤が発生せず、高い表面硬度を得やすいことから、印刷画像の耐擦過性を得るのに有効である。
重合後に樹脂を形成するモノマーの添加量は、インク組成物全量に対して、2.0質量%以上5.0質量%以下であり、好ましくは3.0質量%以上4.0質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以上3.5質量%以下である。2.0質量%より少ない場合、印刷画像の耐擦過性が不十分となる可能性があり、5.0質量%より多い場合、分散安定性やインクジェットプリンターにおける吐出安定性が不十分となる可能性がある。
(水性媒体)
乳化重合を用いた顔料内包樹脂粒子の調製において使用する水性媒体としては、水(例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等)、水溶性有機溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類等が挙げられる。安全性や環境に対する影響の観点からは、水又は水及び水溶性有機溶媒の混合物を用いることが好ましい。
(界面活性剤)
乳化重合を用いた顔料内包樹脂粒子の調製において使用する界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。中でも低CMC界面活性剤が好ましい。
ここで、「低CMC界面活性剤」とは、臨界ミセル濃度(CMC)が低い(例えば、CMCが0.1~0.001mol/l)界面活性剤を意味する。臨界ミセル濃度(CMC)が低いアニオン性界面活性剤としては、直鎖状アルキル基又はアルケニル基を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。例えば、炭素数11~25、好ましくは炭素数15~23の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を有するものが使用できるが、直鎖状アルキル基を有するアニオン性界面活性剤を使用することが好ましく、炭素数15~23の直鎖状アルキル基を有するアニオン系界面活性剤を使用することが、さらに好ましく、炭素数18の直鎖状アルキル基を有するアニオン系界面活性剤を使用することが、いっそう好ましい。
低CMC界面活性剤の添加量は、モノマーの全量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下であり、好ましくは0.03質量%以上0.25質量%以下である。
(重合開始剤)
顔料内包樹脂粒子の合成に使用する重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のパーオキサイド類及び2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)プロピオンアミド]}、2,2’-アゾビス[(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド]、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチル-プロピオンジアミン]四水塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類等の有機系重合開始剤並びに過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等の無機系重合開始剤等が挙げられる。また、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸及びその塩等の還元剤を重合開始剤と組合せて用いる、いわゆるレドックス系重合開始剤も使用することができる。中でも、乳化重合の反応系(エマルジョンの水相)のイオン強度を低下させる作用を有する重合開始剤が好ましい。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が好ましく用いられる。特に、過硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。
重合開始剤の添加量は、モノマーの全量を基準として、1.0質量%以上30.0質量%以下であり、好ましくは5.0質量%以上30.0質量%以下であり、さらに好ましくは10.0質量%以上20.0質量%以下である。1.0質量%より少ない場合、モノマーの重合反応が十分に進行せず、樹脂が顔料を十分に被覆できない可能性があり、30.0質量%以下より多い場合、モノマーの重合反応が速くなりすぎて、樹脂に発泡やクラックが生じる可能性がある。
<ジオール系有機溶剤>
本発明に用いるジオール系有機溶剤としては、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール等を用いることができ、好ましくは1,2-ブタンジオールを用いることができる。
ジオール系有機溶剤のインク組成物全量に対する添加量は、10.0質量%以上40.0質量%以下の範囲であり、好ましくは15.0質量%以上30.0質量%以下の範囲である。10.0質量%より少ない場合、インク組成物の表面張力を十分に低下することができず高画質の画像を得ることができない可能性があり、40.0質量%より多い場合、インク組成物の保存安定性が不十分となる可能性がある。
<フッ素系界面活性剤>
本発明に用いるフッ素系界面活性剤としては、メガファックF-114、F-410、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-489、F-172D、F-178K、F-178RM、ESM-1、MCF-350SF、R-08、F-472SF、R-30、BL-20、R-61、R-90(以上全て商品名、DIC株式会社製)、FC-430、FC-4432(以上全て商品名、住友スリーエム株式会社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、CapstoneFS-30、FS-31(以上全て商品名、デュポン社製)、エフトップEF-101、EF-102、EF-103、EF-104、EF-105、EF-112、EF-121、EF-122A、EF-122B、EF-122C、EF-123A、EF-123B、EF-125M、EF-132、EF-201、EF-204(以上全て商品名、株式会社ジェムコ製)、サーフロンS-111n、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(以上全て商品名、AGCセイケミカル株式会社製)、フタージェント100、100C、110、150、150CH、A-K、501、250、251、222F、208G(以上全て商品名、株式会社ネオス製)等を用いることができ、好ましくはエフトップEF-105、メガファックF-470、メガファックF-477、フタージェント150CH、エフトップEF-122B、エフトップEF-122A、メガファックF-494を用いることができる。
フッ素系界面活性剤のインク組成物全量に対する添加量は、0.01質量%以上0.50質量%以下の範囲であり、好ましくは0.02質量%以上0.4質量%以下の範囲である。0.01質量%より少ない場合、分散安定性やインクジェットプリンターにおける吐出安定性が不十分となる可能性があり、0.50質量%より多い場合、インク組成物の保存安定性が不十分となる可能性がある。
<アミン系有機溶剤>
本発明に用いるアミン系有機溶剤としては、ジエタノールアミン(bp268℃)、N-メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N,N-ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N-フェニルエタノールアミン(bp282-287℃)等のアルコールアミン類、ジエチレンジアミン(bp206℃)、トリエチレンテトラミン(bp267℃)、テトラエチレンペンタミン(bp333℃)等のアルキルアミン類等を用いることができる。アミン系有機溶剤は水系インク組成物の印刷時における乾燥の速度を制御することにより、顔料内包樹脂粒子の分散性に影響を与え、印刷画像の耐擦過性向上に寄与していると考えられることから、好ましくは沸点(bp)が200℃以上のアミン系有機溶剤を用いることができ、さらに好ましくはアルコールアミン類を用いることができ、特に好ましくはN-メチルジエタノールアミンを用いることができる。
アミン系有機溶剤のインク組成物全量に対する添加量は、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲であり、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.2質量%以上3質量%以下の範囲である。0.1質量%より少ない場合、印刷画像の耐擦過性を得ることが困難となる可能性があり、10.0質量%より多い場合、臭気が問題となる可能性がある。
<その他の成分>
本発明の水系インク組成物は、その他の成分を含むことができ、通常の水系インクに含有可能な成分であれば特に限定されない。例えば、浸透剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、湿潤剤、消泡剤、追加の界面活性剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等の成分を含んでいてもよい。
<水系インク組成物の調製>
本発明の水性インク組成物は、例えば、水中に、顔料内包樹脂粒子、ジオール系有機溶剤、フッ素系界面活性剤及びアミン系有機溶剤を投入して混合撹拌することにより調製することができる。必要に応じて、その他の成分を配合してもよい。
本発明の水系インク組成物は、印刷に用いる基材を特に限定するものではなく、前記基材としては、普通紙、コート紙、段ボール、木材、布、樹脂を用いたフィルムまたはシート等が挙げられるが、好ましくは樹脂を用いたフィルムまたはシートであり、さらに好ましくは塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリスチレン樹脂のうち、少なくとも1つの樹脂を用いたフィルムまたはシートである。
本発明の水系インク組成物は、印刷の手段、方法について特に限定するものではないが、インクジェットプリンターにおけるノズル詰まりが発生しにくいことからインクジェット印刷に用いることが好ましい。
<実施例1>
(顔料内包樹脂粒子の調製)
市販の顔料分散体であるEMACOL SF CYAN AE2034F(山陽色素社製、顔料濃度20%)2.69gに、イオン交換水200mlを加え、30分間超音波をかけて顔料をイオン交換水に分散させた後、オクタデシル硫酸ナトリウムを18.6mg加えた。得られた水溶液(220ml)を、あらかじめ70℃の恒温槽に入れて温めておいた容量半リットルの四ツ口セパレート反応器(内径7.5cm)に注いだ。該四ツ口セパレート反応器は、アリーン冷却管、窒素ガス流入管及びメカニカルスターラーを備え、さらに、底部から1cm上方に位置する4つのバッフル(幅0.7cm)及び4枚のブレードピッチのパドルインペラ(長さ5cm)を備えていた。水溶液を360rpmで攪拌しながら、30分間窒素ガスでバブリングした。次いで、水溶液にスチレンモノマー3.90gとメタクリル酸メチル3.75gを1回で加え、窒素雰囲気下で20分間、水溶液を攪拌した。乳化重合を開始するために、過硫酸アンモニウム1.14gを溶解させた30mlの過硫酸アンモニウム水溶液を、反応器に1回で添加した。窒素雰囲気下、360rpmで攪拌しながら、70℃で6時間、重合を行った。反応終了後、生成物を室温(25℃)まで冷却し、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM:日本電子株式会社製JSM-7000F)を使用して、形態観察を行い、球形の顔料内包樹脂粒子が合成されていることを確認した。得られた生成物から、シリンジフィルター(孔径1μm)を用いて、粗大粒子を除去し、サンプルとした。
以上の工程を繰り返し実施し、合計1Lのサンプルを得た。このサンプル1Lを、撹拌型ウルトラホルダー(UHP-76K、ADVANTEC社製)を用いて、総量が250mlになるまで限外ろ過し、顔料内包樹脂粒子を含有する分散液A(顔料濃度0.87%、樹脂濃度12.25%)を得た。
分散液Aについて、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM:日本電子株式会社製JSM-7000F)を用いて観察した画像(拡大倍率10万倍)を図1に示す。図1から分散液Aが粒径の揃った球形の顔料内包樹脂の微粒子から構成されていることがわかる。
分散液A中の顔料内包樹脂粒子の体積平均粒径を、動的光散乱測定器(DLS測定器:Malvern社製、ZETASIZER NanoDLS)で測定したところ、91nmであった。
(水系インク組成物の調製)
上記分散液Aを57.5重量部、1,2-ブタンジオールを20.0重量部、フッ素系界面活性剤(デュポン社製ゾニールFSO)を0.1重量部、N-メチルジエタノールアミンを0.6重量部、イオン交換水を合計100重量部となるように混合し、スリーワンモーター撹拌機を用いて1時間攪拌し、実施例1の水系インク組成物を調製した。
<比較例1>
比較例1については、N-メチルジエタノールアミンを配合しなかったこと以外は、上記実施例1の水系インク組成物の調製と同様に調製した。
<性能評価>
実施例1及び比較例1の各水系インク組成物を用いて、インクジェットプリンター UJF-3042FX(ミマキエンジニアリング社製)によるインクジェット印刷を行った。記録媒体としてポリエチレンテレフタレート製基材 HK-31WF(東山フィルム株式会社製)を用いて、インクジェット印刷時のヒーター温度を55℃に設定し、100%濃度のベタ印刷(解像度:900dpi×720dpi、24パス)を行った後、80℃の恒温槽で1時間放置することにより、塗膜形成後の塗膜表面についての性能評価用試料を得た。実施例1及び比較例1の各水系インク組成物を用いた性能評価用試料の塗膜表面について、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX2000/1100)を用いて観察した画像(拡大倍率200倍)を図2及び図3に示す。実施例1の水系インク組成物を用いた図2は、比較例1の水系インク組成物を用いた図3に比較して、均一な塗膜表面を得られていることがわかる。
上記性能評価用試料を用いて、以下の性能評価(耐水性、耐アルコール性)を行った結果を表1に示す。
(耐水性の評価)
イオン交換水に浸した綿棒を用いて、性能評価用試料を100往復摩擦した。綿棒への色移り及び塗膜の剥離が認められなかった往復回数を10往復刻みの10段階で評価した。例えば、「耐水性100」とは、100往復後も綿棒への色移り及び塗膜の剥離が認められなかったこと、「耐水性50」とは、50往復後までは綿棒への色移り及び塗膜の剥離が認められなかったが、51~60往復後に綿棒への色移りまたは塗膜の剥離が認められたこと、「耐水性10未満」とは、1~10往復後に綿棒への色移りまたは塗膜の剥離が認められたことを示す。
(耐アルコール性の評価)
エタノール(濃度10~100%、10%刻み)に浸した綿棒を用いて、性能評価用試料を10往復摩擦後に、綿棒への色移り及び塗膜の剥離が認められなかった最大のエタノール濃度を、耐アルコール性の評価とした。例えば、「耐アルコール性70%」とは、エタノール濃度70%では、綿棒への色移りも塗膜の剥離も認められなかったが、エタノール濃度80%では、綿棒への色移りまたは塗膜の剥離が認められたこと、「耐アルコール性10%未満」とは、エタノール濃度10%で、綿棒への色移りまたは塗膜の剥離が認められたことを示す。
Figure 2022150628000002
表1から明らかなように、本発明の水系インク組成物を用いることにより、耐水性及び耐アルコール性の良好な印刷物を得ることができた。
本発明の水系インク組成物は、印刷用のインクとして好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 顔料内包樹脂粒子、ジオール系有機溶剤、フッ素系界面活性剤及びアミン系有機溶剤を含有する水系インク組成物であって、前記顔料内包樹脂粒子における樹脂が疎水性樹脂であることを特徴とする水系インク組成物。
  2. 前記顔料内包樹脂粒子の平均粒径が30nm以上200nm以下である、請求項1に記載された水系インク組成物。
  3. 前記ジオール系有機溶剤の添加量がインク組成物全量に対して、10.0質量%以上40.0質量%以下である、請求項1または請求項2に記載された水系インク組成物。
  4. 前記フッ素系界面活性剤の添加量がインク組成物全量に対して、0.01質量%以上0.50質量%以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載された水系インク組成物。
  5. 前記アミン系有機溶剤の添加量がインク組成物全量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~4のいずれか1つに記載された水系インク組成物。
  6. 前記顔料内包樹脂粒子が、顔料と、疎水性モノマーと、水性媒体と、界面活性剤と、重合開始剤とを含むエマルジョンにおいて、バッチ式に合成される、請求項1~5のいずれか1つに記載された水系インク組成物。
  7. 前記重合開始剤が、前記エマルジョンの水相のイオン強度を低下させる作用を有する、請求項6に記載された水系インク組成物。
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