JP2022150239A - 三次元造形物製造用組成物および三次元造形物の製造方法 - Google Patents

三次元造形物製造用組成物および三次元造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂の含有率が低く、かつ、三次元造形物の製造過程での吐出時における流動性、成形性に優れる三次元造形物製造用組成物を提供すること、また、樹脂の含有率が低い組成物を用いて安定的に三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の三次元造形物製造用組成物は、複数の層を積層して三次元造形物を製造するのに用いるものであって、無機材料で構成された複数個の無機粒子、および、樹脂を含む材料で構成され、前記無機粒子のうち少なくとも一部は、表面の少なくとも一部に、前記樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられたものであり、前記無機粒子:100質量部に対する前記樹脂の含有量は、0.3質量部以上0.5質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物製造用組成物および三次元造形物の製造方法に関する。
近年、三次元物体のモデルデータを多数の二次元断面層データに分割した後、各二次元断面層データに対応する断面部材を順次造形しつつ、断面部材を順次積層することによって三次元造形物を形成する積層法である三次元造形法が注目されている。
積層法は、造形しようとする三次元造形物のモデルデータさえあれば、直ちに形成することが可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元造形物を形成することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して形成するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
三次元造形物の製造方法としては、金属粒子等の無機粒子と、バインダーとを含む組成物を吐出して層を形成する熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Molding)がある(例えば、特許文献1参照)。
上記のような熱溶融積層法では、組成物の吐出時における粘度を低下させ、流動性、成形性を良好なものとする目的で、バインダーの含有率を30~60体積%と高いものとしている。
特表2017-530029号公報
しかしながら、上記のように組成物中におけるバインダー量が多いと、脱脂、焼結の工程での収縮量が大きくなり、最終的に得られる三次元造形物において、不本意な反りや歪み、割れ等が生じやすく、残炭率が高くなりやすく、寸法精度が低下する等の問題がある。また、組成物中におけるバインダー量が多いと、三次元造形物の製造過程でバインダーの除去に要する時間、エネルギー量が増大し、三次元造形物の生産性を低下させ、環境負荷も大きくなる。
以上のようなことから、組成物中のバインダー量を低減させることが求められるが、従来の熱溶融積層法において、単にバインダーの含有率を低下させた場合には、組成物の吐出時における粘度が上昇するだけでなく、組成物中において、バインダーが偏在し、無機粒子間距離が狭まり流動性が著しく低下するだけでなく、無機粒子間の密着性も低下し、脱脂処理により得られる脱脂体、焼結体の強度が低下しやすいという問題があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係る三次元造形物製造用組成物は、複数の層を積層して三次元造形物を製造するのに用いる三次元造形物製造用組成物であって、
無機材料で構成された複数個の無機粒子、および、樹脂を含む材料で構成され、
前記無機粒子のうち少なくとも一部は、表面の少なくとも一部に、前記樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられたものであり、
前記無機粒子:100質量部に対する前記樹脂の含有量は、0.3質量部以上0.5質量部以下である。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物製造用組成物では、前記無機粒子は、Feを含む材料で構成されたものである。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物製造用組成物では、前記被膜は、前記無機粒子と共有結合により結合している。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物製造用組成物では、前記被膜は、前記無機粒子とシランカップリング結合している。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物製造用組成物では、前記被膜を構成する前記樹脂は、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびビニル系モノマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである。
また、本発明の適用例に係る三次元造形物の製造方法は、複数の層を積層して三次元造形物を製造する方法であって、
本発明の適用例に係る三次元造形物製造用組成物を、加熱した状態で吐出することにより、前記層を形成する層形成工程と、
複数の前記層が積層された積層体に対し脱脂処理を施し脱脂体を得る脱脂工程と、
前記脱脂体を焼結する焼結工程と、を有する。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記三次元造形物製造用組成物の吐出は、ノズル径が1.5mm以上3.0mm以下の吐出手段により行う。
図1は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物製造用組成物を模式的に示す断面図である。 図2は、無機粒子の表面に被膜を形成する好適な方法を模式的に示す図である。 図3は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である造形部形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図4は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である支持部形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図5は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である造形部形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図6は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である支持部形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図7は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程、特に、造形部形成工程および支持部形成工程を複数回行った後の状態を模式的に示す縦断面図である。 図8は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である脱脂工程を模式的に示す縦断面図である。 図9は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である焼結工程を模式的に示す縦断面図である。 図10は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法を示すフローチャートである。 図11は、三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、好適な実施形態について詳細な説明をする。
[1]三次元造形物製造用組成物
まず、本発明の三次元造形物製造用組成物について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物製造用組成物を模式的に示す断面図である。図2は、無機粒子の表面に被膜を形成する好適な方法を模式的に示す図である。
本実施形態に係る三次元造形物製造用組成物1A’は、複数の層1を積層して三次元造形物10を製造するのに用いるものであり、無機材料で構成された複数個の無機粒子11、および、樹脂を含む材料で構成されたものである。特に、三次元造形物製造用組成物1A’は、三次元造形物10の製造に際して、加熱により、前記樹脂を溶融した状態で吐出される、熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Molding)に供されるものであり、前記樹脂は、熱溶融積層法により形成された層中において、無機粒子11を結合するバインダーとして機能するものである。そして、無機粒子11のうち少なくとも一部は、表面の少なくとも一部に、前記樹脂を含む材料で構成された被膜12が設けられたものであり、無機粒子11の含有量を100質量部としたときの前記樹脂の含有量は、0.3質量部以上0.5質量部以下である。
これにより、被膜およびバインダーに含まれる樹脂の含有率が低く、かつ、三次元造形物の製造過程での吐出時における流動性、成形性に優れる三次元造形物製造用組成物1A’を提供することができる。その結果、三次元造形物10の製造過程での収縮量を十分に小さくし、最終的に得られる三次元造形物10における不本意な反りや歪み、割れ等の発生、寸法精度の低下、残炭率の増加等を効果的に防止し、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができ、環境負荷も低減することができる。また、三次元造形物10の製造過程で三次元造形物10の実体部に対応する部位内で、樹脂が偏在することを効果的に防止することができ、焼結時の各部位での収縮の均一性を高めることができ、脱脂体70や三次元造形物10の強度を優れたものとすることができる。
これに対し、前述した条件を満たさない場合には、上記のような優れた効果が得られない。
例えば、無機粒子の表面に樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられていない場合には、三次元造形物用組成物中における被膜およびバインダーに含まれる樹脂の含有率が比較的低いと、三次元造形物の製造過程での三次元造形物用組成物の吐出時における流動性、成形性が著しく低下し、最終的に得られる三次元造形物の強度、信頼性が劣ったものとなる。また、無機粒子の表面に樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられていない場合において、三次元造形物用組成物中における被膜およびバインダーに含まれる樹脂の含有率が比較的高いものとすると、脱脂、焼結の工程での収縮量が大きくなり、最終的に得られる三次元造形物において、不本意な反りや歪み、割れ等が生じやすく、残炭率が高くなりやすく、寸法精度が低下する等の問題が発生し、三次元造形物の生産性を低下させ、環境負荷も大きくなる。
また、無機粒子の表面に樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられていたとしても、三次元造形物の製造に供される組成物中に含まれる被膜およびバインダーに含まれる樹脂の含有量が前記の条件を満たさず少なすぎると、三次元造形物の製造過程での組成物の吐出時における流動性、成形性が著しく低下し、最終的に得られる三次元造形物の強度、信頼性が劣ったものとなる。
また、無機粒子の表面に樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられていたとしても、三次元造形物の製造に供される組成物中に含まれる被膜およびバインダーに含まれる樹脂の含有量が前記の条件を満たさず多すぎると、以下のような問題を生じる。すなわち、脱脂、焼結の工程での収縮量が大きくなり、最終的に得られる三次元造形物において、不本意な反りや歪み、割れ等が生じやすく、残炭率が高くなりやすく、寸法精度が低下する等の問題が発生し、三次元造形物の生産性を低下させ、環境負荷も大きくなる。
前述したように、三次元造形物製造用組成物1A’中における無機粒子11の含有量を100質量部としたときの被膜に含まれる樹脂の含有量は、0.3質量部以上0.5質量部以下であればよい。
[1-1]無機粒子
無機粒子11は、製造すべき三次元造形物10の実体部の形成に用いられる成分である。
ただし、無機粒子11の組成と、三次元造形物10の実体部の組成とは、異なるものであってもよい。より具体的には、無機粒子11は、三次元造形物10の製造過程において、例えば、酸化反応、窒化反応、還元反応等により、組成が変化するものであってもよい。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる無機粒子11は、無機材料で構成されたものであればよく、無機粒子11の構成材料としては、例えば、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Feを含む無機粒子11の構成材料としては、例えば、単体金属としてのFeや、各種ステンレス鋼等の鋼等が挙げられる。
上記のように、無機粒子11は、無機材料で構成されたものであるが、例えば、不純物として、少量の有機成分を含んでいてもよい。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる無機粒子11の融点は、被膜に含まれる樹脂の融点以上であることが好ましい。
また、三次元造形物製造用組成物1A’は、複数個の無機粒子11として、同一の組成を有するもののみを含むものであってもよいし、互いに組成の異なる複数種の無機粒子11を含むものであってもよい。
無機粒子11の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上100μm以下であるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
なお、本明細書中において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA-II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
三次元造形物製造用組成物1A’中における無機粒子11の含有率は、特に限定されないが、70.0質量%以上であるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の製造過程での三次元造形物製造用組成物1A’の吐出時における流動性、成形性をより優れたものとすることができるとともに、最終的に得られる三次元造形物10における不本意な反りや歪み、割れ等の発生、寸法精度の低下、残炭率の増加等をより効果的に防止し、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができ、環境負荷も低減することができる。また、三次元造形物10の強度をより優れたものとすることができる。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる複数個の無機粒子11のうち少なくとも一部は、凝集した状態になっていてもよい。例えば、三次元造形物製造用組成物1A’中には、表面の少なくとも一部に後に詳述する被膜12が設けられた無機粒子11と、他の無機粒子11とが接合した状態のものが含まれていてもよい。
[1-2]樹脂
三次元造形物製造用組成物1A’は、樹脂を含んでいる。
当該樹脂は、少なくとも、被膜12を構成する成分であり、特に、本実施形態では、被膜12に加え、樹脂粒子13の構成成分としても、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれている。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる被膜およびバインダーに含まれる樹脂としては、例えば、ポリブチルアクリレート等が挙げられる。
[1-3]被膜
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる無機粒子11のうち少なくとも一部は、表面の少なくとも一部に、樹脂を含む材料で構成された被膜12が設けられている。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる樹脂としては前述したようなものを用いることができるが、被膜12を構成する樹脂は、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびビニル系モノマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものが好ましい。
被膜12は、単に無機粒子11を物理的に被覆しているものであってもよいし、化学的に無機粒子11と結合しているものであってもよい。
特に、被膜12が、無機粒子11と共有結合により結合している場合、被膜12と無機粒子11との結合力がより強固なものとなり、例えば、三次元造形物10の製造時において、三次元造形物製造用組成物1A’を吐出する際に、被膜12が無機粒子11から不本意に脱落することをより効果的に防止することができ、前述した効果がより顕著に発揮される。
中でも、被膜12が無機粒子11とシランカップリング結合している場合、脱水縮合により重合開始基を無機粒子表面に固定することができる。
無機粒子11と共有結合で結合する被膜12は、例えば、以下のようにして形成することができる。
まず、無機粒子11の表面に、重合開始基を導入する。
重合開始基は、例えば、無機粒子11と前述したようなカップリング剤とを反応させることにより、好適に導入することができる。より具体的には、例えば、表面に水酸基を有する無機粒子11と、前述したようなカップリング剤との間で、脱水縮合反応を行うことにより、導入することができる。
その後、重合開始基が導入された無機粒子11と、形成すべき被膜12の構成モノマーとを、必要に応じて重合触媒を用いて、反応させる。このような反応としては、例えば、通常のラジカル重合反応や、分子量制御性のよいリビングラジカル重合手法であるニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)等が挙げられる。
重合触媒としては、例えば、CuBr等の銅系の触媒等を好適に用いることができる。
また、上記のような銅系の触媒は、種々の配位子と組み合わせて用いてもよい。これにより、触媒活性をより優れたものとすることができる。
また、必要に応じて、触媒の価数を制御するための、還元剤を併用してもよい。このような還元剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。
図2には、無機粒子11の表面に被膜を形成する好適な方法、より具体的には、無機粒子11の表面に、シランカップリング剤を用いて重合開始基を導入した後に、モノマーであるブチルアクリレートを反応させて、ポリブチルアクリレートで構成された被膜12を形成する方法を示す。
また、被膜12の形成には、複数種のモノマーを用いてもよい。
被膜12は、均一な組成を有するものであってもよいし、互いに異なる組成の部位を有するものであってもよい。より具体的には、例えば、単一の無機粒子11に設けられた被膜12が、例えば、組成の異なる複数の層を有する積層体で構成されたもの等、互いに異なる組成の部位を有するものであってもよいし、三次元造形物製造用組成物1A’が、所定の組成の被膜12で被覆された無機粒子11と、当該被膜12とは異なる組成の被膜12で被覆された無機粒子11とを含むものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
なお、本明細書において、被膜12の平均厚さとは、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる全ての被膜12が、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる全ての無機粒子11の外表面に、均一な厚さの被膜12を形成していると仮定した場合の当該仮定した被膜12の厚さのことを言う。
なお、本明細書において、被膜12による無機粒子11への平均被覆率とは、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる全ての無機粒子11の外表面の総面積に対する、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる全ての被膜12の全表面積の割合のことを言う。
なお、図示の構成では、被膜12は、無機粒子11の表面に接触するように被覆されているが、例えば、図示しない中間層を介して、無機粒子11を被覆するものであってもよい。
[1-4]樹脂粒子
本実施形態では、前記樹脂を、被膜12の構成材料として含むとともに、無機粒子11には付着しておらず、無機粒子11とは独立した形態の樹脂粒子13としても含んでいる。
上記のように、本実施形態では、樹脂粒子13は、前記樹脂を含む材料で構成されたものである。言い換えると、本実施形態の三次元造形物製造用組成物1A’中において、樹脂は、被膜12中に含まれるとともに、樹脂粒子13中にも含まれる。
三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる樹脂としては前述したようなものを用いることができ、被膜12を構成する樹脂と同一の条件のものであってもよいし、異なる条件のものであってもよい。
特に、樹脂粒子13を構成する樹脂は、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびビニル系モノマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。
樹脂粒子13の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上50μm以下であるのが好ましい。
[1-5]その他の成分
三次元造形物製造用組成物1A’は、上記以外の成分を含んでいてもよい。以下、この項目内で、これらの成分を「その他の成分」という。
このような成分としては、例えば、分散剤;界面活性剤;増粘剤;凝集防止剤;消泡剤;スリップ剤;顔料、染料等の着色剤;浸透促進剤;湿潤剤;定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;揮発性成分としての溶剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ただし、三次元造形物製造用組成物1A’中におけるその他の成分の含有率、すなわち、無機粒子11、被膜およびバインダーに含まれる樹脂以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましい。
[2]三次元造形物の製造方法
次に、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図3~図9は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法の工程を模式的に示す縦断面図である。図10は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る三次元造形物10の製造方法は、複数の層1を積層して三次元造形物10を製造する方法であって、前述した本発明の三次元造形物製造用組成物1A’を、加熱した状態で吐出することにより、層1を形成する層形成工程と、複数の層1が積層された積層体50に対し脱脂処理を施し脱脂体70を得る脱脂工程と、脱脂体70を焼結する焼結工程と、を有する。
特に、本実施形態の三次元造形物の製造方法は、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる構成成分の少なくとも一部を溶融した状態で、三次元造形物製造用組成物1A’を吐出して行う熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Molding)を適用するものであり、層形成工程を繰り返し行った後に、脱脂工程および焼結工程を行う。
このような構成により、樹脂の含有率が低い組成物を用いて安定的に三次元造形物10を製造することができる三次元造形物10の製造方法を提供することができる。特に、三次元造形物10の製造過程での脱脂工程、焼結工程での収縮量を十分に小さくし、最終的に得られる三次元造形物10における不本意な反りや歪み、割れ等の発生、寸法精度の低下、残炭率の増加等を効果的に防止し、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができ、環境負荷も低減することができる。また、三次元造形物10の製造過程で三次元造形物10の実体部に対応する部位内で、三次元造形物製造用組成物における樹脂が偏析することを効果的に防止することができ、焼結時の各部位での収縮の均一性を高めることができ、三次元造形物10の強度を優れたものとすることができる。
なお、前述したように、本発明においては、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる樹脂の含有量が少ないものであるため、例えば、脱脂工程と焼結工程とを実質的に同一工程で行ってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
[2-1]層形成工程
層形成工程では、三次元造形物製造用組成物1A’を用いて層1を形成する。
三次元造形物製造用組成物1A’は、目的とする三次元造形物10の実体部に相当する部位を形成するのに用いる組成物であるが、本実施形態では、三次元造形物製造用組成物1A’に加えて、三次元造形物10の製造時において三次元造形物製造用組成物1A’による造形部1Aを支持する機能を有する支持部1Bの形成用に支持部形成用組成物1B’を用いる。言い換えると、本実施形態では、層形成工程は、三次元造形物製造用組成物1A’を用いて造形部1Aを形成する造形部形成工程と、支持部形成用組成物1B’を用いて支持部1Bを形成する支持部形成工程とを含んでいる。
これにより、より高い寸法精度で三次元造形物10を製造することができる。また、オーバーハング構造を有する三次元造形物10や、複雑な形状、微細な形状を有する三次元造形物10も好適に製造することができる。
なお、図示の構成では、複数回の層形成工程で形成する全ての層1が造形部1Aおよび支持部1Bを有するものとして示しているが、例えば、造形部1Aのみで構成された層1や、支持部1Bのみで構成された層1を形成してもよい。
また、以下の説明では、積層される各層1において、造形部形成工程を行った後に、支持部形成工程を行う場合について、代表的に説明するが、積層される各層1のうち少なくとも一部について、造形部形成工程と支持部形成工程との順番を入れ替えて行ってもよい。
図3、図5に示すように、造形部形成工程では、三次元造形物製造用組成物1A’を用いて造形部1Aを形成する。特に、造形部形成工程では、三次元造形物製造用組成物1A’を構成する成分の少なくとも一部を溶融した状態で吐出して、所定のパターンの造形部1Aを形成する。
このように、溶融した状態の三次元造形物製造用組成物1A’を吐出して造形部1Aを形成することで、微細な形状、複雑な形状を有するパターンであっても好適に形成することができる。
造形部1Aは、最終的に得られる三次元造形物10の実体部となるべき部位に対応する。
三次元造形物製造用組成物1A’の吐出方法は、特に限定されず、例えば、ディスペンサーを用いた方法であってもよいし、インクジェット法であってもよい。
三次元造形物製造用組成物1A’を吐出する吐出手段のノズル径は、1.5mm以上3.0mm以下であるのが好ましい。
無機粒子を含む組成物を用いた従来の熱溶融積層法では、組成物を吐出するノズルの径が上記のように小さいものであると、樹脂の含有率が高い組成物でないと吐出不良を生じやすく、また、三次元造形物製造用組成物における樹脂の含有率を高いものとした場合には、上記のような問題が特に発生しやすかった。これに対し、本発明では、吐出手段のノズル径が上記のように小さいものであっても、安定的に三次元造形物製造用組成物を吐出することができ、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。すなわち、三次元造形物製造用組成物1A’を吐出する吐出手段のノズル径が前記範囲内の値である場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
造形部1Aの厚さは、特に限定されないが、ノズル径以下であるのが好ましい。
なお、複数の造形部1Aの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
三次元造形物10の製造においては、三次元造形物製造用組成物1A’として、複数種の組成物を用いてもよい。
図4、図6に示すように、支持部形成工程では、支持部形成用組成物1B’を用いて支持部1Bを形成する。特に、支持部形成工程では、支持部形成用組成物1B’を構成する成分の少なくとも一部を溶融した状態で吐出して、所定のパターンの支持部1Bを形成する。
このように、溶融した状態の支持部形成用組成物1B’を吐出して支持部1Bを形成することで、微細な形状、複雑な形状を有するパターンであっても好適に形成することができる。
支持部1Bは、三次元造形物10の製造時において、三次元造形物製造用組成物1A’による造形部1Aを支持する機能を有しており、サポート材やサポート材料とも呼ばれる。
支持部形成用組成物1B’の吐出方法は、特に限定されず、例えば、ディスペンサーを用いた方法であってもよいし、インクジェット法であってもよい。
支持部形成用組成物1B’を吐出する吐出手段のノズル径は、2.5mm以下であるのが好ましい。
支持部1Bの厚さは、特に限定されないが、ノズル径以下であるのが好ましい。
なお、複数の支持部1Bの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、支持部形成工程は、前述した造形部形成工程と同時進行的に行ってもよい。
三次元造形物10の製造においては、支持部形成用組成物1B’として、複数種の組成物を用いてもよい。
なお、支持部形成用組成物1B’については、後に詳述する。
図7に示すように、三次元造形物10の製造においては、造形部形成工程および支持部形成工程を所定回数だけ行うことにより、層1、すなわち、造形部1Aおよび支持部1Bの形成を複数回行い、複数の層1が積層された積層体50を得る。
すなわち、すでに形成された層1上に新たな層1を形成すべきか否かを判断し、形成すべき層1がある場合には新たな層1を形成し、形成すべき層1がない場合には積層体50に対して後に詳述する工程を行う。
[2-2]脱脂工程
図8に示すように、脱脂工程では、前述した層形成工程を複数回行うことにより得られた図7に示すような積層体50、特に、本実施形態では、複数回の造形部形成工程および複数回の支持部形成工程を行うことにより得られた、複数の造形部1Aおよび複数の支持部1Bを備える積層体50の造形部1A中に含まれる樹脂を除去し、脱脂体70を得る。
脱脂工程での処理温度は、造形部1A中に含まれる樹脂を除去できる温度であれば、特に限定されない。
脱脂工程は、処理温度が一定となるように行ってもよいし、処理温度を変化させて行ってもよい。より具体的には、脱脂工程は、例えば、第1の温度まで昇温させる工程と、第1の温度で保持する工程と、第2の温度に昇温する工程とを有していてもよい。
なお、通常、脱脂工程において、造形部1A中の樹脂の大部分は除去されるが、脱脂体70の造形部1A中には、一部の樹脂が残存していてもよい。このような場合でも、通常、後の焼結工程において、残存する樹脂は十分に除去され、最終的に得られる三次元造形物10中には実質的に被膜およびバインダーに含まれる樹脂が残存しないものとなる。
[2-3]焼結工程
図9に示すように、焼結工程では、脱脂工程後の造形部1Aを焼結する。これにより、造形部1A中に含まれる無機粒子11が強固に結合し、三次元造形物10が得られる。
焼結工程は、処理温度が一定となるように行ってもよいし、処理温度を変化させて行ってもよい。より具体的には、焼結工程は、例えば、第1の温度まで昇温させる工程と、第1の温度で保持する工程と、第2の温度に昇温する工程とを有していてもよい。
焼結工程を行う雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気中や、窒素ガス雰囲気中、不活性ガス雰囲気中、水素等の還元性雰囲気中、酸素等の酸化性雰囲気中等で行うことができる。また、焼結工程は、減圧下、真空中で行ってもよい。
前述したような三次元造形物の製造方法をフローチャートにまとめると、図10のようになる。
[2-4]支持部形成用組成物
支持部形成用組成物1B’は、支持部1Bの形成に用いられるものである。
支持部形成用組成物1B’としては、例えば、三次元造形物製造用組成物1A’中に含まれる樹脂よりも融点の高い樹脂を含むものを好適に用いることができる。
[3]三次元造形物製造装置
次に、三次元造形物製造装置について説明する。
図11は、三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
三次元造形物製造装置M100は、層1の形成を複数回行うことにより、三次元造形物10を製造するのに用いられるものである。特に、本実施形態の三次元造形物製造装置M100は、造形部1Aおよび支持部1Bの形成を行うものであり、制御部M1と、三次元造形物10の実体部に対応する造形部1Aの形成に用いる三次元造形物製造用組成物1A’を吐出する三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2と、造形部1Aを支持する支持部1Bの形成に用いる支持部形成用組成物1B’を吐出する支持部形成用組成物吐出ノズルM3とを備えている。三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2は、第1の管路LAを介して、三次元造形物製造用組成物1A’を収納する第1の容器TAに接続されており、支持部形成用組成物吐出ノズルM3は、第2の管路LBを介して、支持部形成用組成物1B’を収納する第2の容器TBに接続されている。第1の管路LAの途中には図示しないポンプが設置されており、第1の容器TAから第1の管路LAを介して三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2に三次元造形物製造用組成物1A’が供給されるように構成されている。第2の管路LBの途中には図示しないポンプが設置されており、第2の容器TBから第2の管路LBを介して支持部形成用組成物吐出ノズルM3に支持部形成用組成物1B’が供給されるように構成されている。
これにより、前述したような本発明の三次元造形物の製造方法を好適に実行することができ、信頼性の高い三次元造形物10を安定的に製造することができる。
制御部M1は、コンピューターM11と、駆動制御部M12とを有している。
コンピューターM11は、内部にCPUやメモリー等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューターM11は、三次元造形物10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データを駆動制御部M12に対して出力する。
制御部M1が有する駆動制御部M12は、三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2、支持部形成用組成物吐出ノズルM3、層形成部M4等をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2および支持部形成用組成物吐出ノズルM3の駆動、三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2による三次元造形物製造用組成物1A’の吐出、支持部形成用組成物吐出ノズルM3による支持部形成用組成物1B’の吐出、ステージM41の下降量等を制御する。
層形成部M4は、三次元造形物製造用組成物1A’および支持部形成用組成物1B’が供給され、三次元造形物製造用組成物1A’および支持部形成用組成物1B’を用いて形成された層1を支持するステージM41と、ステージM41を取り囲む枠体M45とを有している。
ステージM41は、先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、駆動制御部M12からの指令により所定量だけ順次下降する。
ステージM41は、表面、より詳しくは、三次元造形物製造用組成物1A’および支持部形成用組成物1B’が付与される部位、が平坦なものである。これにより、厚みの均一性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。
ステージM41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージM41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージM41の表面には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、三次元造形物製造用組成物1A’の構成材料や、支持部形成用組成物1B’の構成材料がステージM41に強固に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージM41の耐久性を特に優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージM41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
三次元造形物製造用組成物吐出ノズルM2は、駆動制御部M12からの指令により移動し、三次元造形物製造用組成物1A’をステージM41上の所望の部位に所定のパターンで吐出するように構成されている。
支持部形成用組成物吐出ノズルM3は、駆動制御部M12からの指令により移動し、支持部形成用組成物1B’をステージM41上の所望の部位に所定のパターンで吐出するように構成されている。
上記のような構成により、複数の層1を積層して、積層体50を得ることができる。
得られた積層体50に対して、脱脂工程および焼結工程を施すことにより、三次元造形物10を得ることができる。
脱脂工程、焼結工程は、三次元造形物製造装置M100を用いて行うものであってもよいし、他の装置等を用いて行うものであってもよい。
[4]三次元造形物
本発明に係る三次元造形物は、前述したような本発明の三次元造形物の製造方法を用いて好適に製造することができる。
このような三次元造形物10は、信頼性に優れている。
三次元造形物10の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、三次元造形物10は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、単一の層について、造形部形成工程の後に支持部形成工程を行うものとして説明したが、少なくとも1つの層の形成において、造形部形成工程と支持部形成工程の順番は逆であってもよい。また、異なる領域で複数種の組成物を同時に付与してもよい。言い換えると、造形部形成工程および支持部形成工程を同時進行的に行ってもよい。また、製造すべき三次元造形物の形状等によっては、支持部形成工程を行わず、層形成工程は、造形部形成工程のみを行うものであってもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層の形成に造形部および支持部を形成する場合について代表的に説明したが、積層体は、例えば、造形部を有さない層や、支持部を有さない層を備えるものであってもよい。また、ステージとの接触面に、実体部に対応する部位が形成されない層、例えば、支持部のみで構成された層、を形成し、当該層を犠牲層として機能させてもよい。
また、本発明では、前述した三次元造形物製造用組成物および支持部形成用組成物に加えて、前述した三次元造形物製造用組成物、支持部形成用組成物以外の組成物を用いてもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、工程・処理の順番は、前述したものに限定されず、その少なくとも一部を入れ替えて行ってもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被膜形成工程、積層体中に含まれる重合体の重合度を高めるための熱処理工程等が挙げられる。
また、三次元造形物製造装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、ステージの表面に直接層を形成する場合について代表的に説明したが、例えば、ステージ上に造形プレートを配置し、当該造形プレート上に層を積層して三次元造形物を製造してもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法は、前述したような三次元造形物製造装置を用いて実行するものに限定されない。
例えば、前述した実施形態では、ステージが昇降する構成について説明したが、ステージと枠体等とが相対的に移動すれば、同様の効果が得られるため、例えば、ステージは昇降せずに、枠体等が昇降するように構成されていてもよい。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(25℃)において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(25℃)における数値である。
[5]三次元造形物製造用組成物の調製
(実施例1)
無機粒子としての平均粒径が4.0μmであるSUS630粒子:1000gと、重合開始基反応溶媒としてヘキサン:327.5gとの混合物に対して、30分間の超音波処理を施した。
次に、重合開始基シランカップリング剤として(3-トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロピオネート:5gを追加し、超音波処理:30分間、手振り分散処理:5分間を1セットとして、3回実施した。
次に、真空中、110℃で2時間の加熱処理を施すことにより、ヘキサンを除去し、無機粒子表面の水酸基と重合開始基とを脱水縮合反応で結合させた。
その後、ヘキサン洗浄により未結合重合開始基シランカップリング剤を除去し、デカンテーションでヘキサンを除去した後、50℃真空乾燥によりヘキサンを除去し、重合開始基修飾無機粒子を得た。
一方、CuBr:0.0486g、TPMA:0.099g、アニソール:9.95gをそれぞれ秤量し、Nガス雰囲気下で混合撹拌し、触媒溶液を調製した。
次に、上記重合開始基修飾粒子:450g、ブチルアクリレート:29.25g、アニソール:497.5g、AIBN:0.0969gをNガス雰囲気下で混合撹拌した。
そこに、上記のようにして調製した触媒溶液を投入し、Nガス雰囲気下70℃で撹拌を開始した。撹拌開始後3.5時間の時点でAIBN:0.1086gを追加投入し、合計2.5時間撹拌することにより、表面に第1樹脂であるポリブチルアクリレートで構成された被膜が設けられた無機粒子の分散液が得られた。
その後、上記の被膜が設けられた無機粒子の分散液から、溶媒、触媒液を除去し、イソプロパノール300mLで洗浄を3回繰り返した。イソプロパノールを追い出し後、真空中50℃で被膜が設けられた無機粒子からイソプロパノールを除去乾燥した。
このようにして、被膜が設けられた複数個の無機粒子で構成される三次元造形物製造用組成物A1を得た。
(比較例1)
ブチルアクリレートの使用量を変更して、表1に示す構成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、三次元造形物製造用組成物A2を得た。
前記実施例および比較例で調製した三次元造形物製造用組成物の条件を表1にまとめて示す。なお、表中、(3-トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロピオネートを「C1」で示す。
Figure 2022150239000001
[6]三次元造形物の製造、評価
三次元造形物製造装置の三次元造形物製造用組成物吐出ノズルから、上記のようにして調製した各三次元造形物製造用組成物を吐出させることで、三次元造形物製造用組成物の吐出安定性を評価した。その結果、実施例1では、優れた吐出安定性が得られることを確認した。これに対し、比較例1では、吐出安定性に劣っていた。
図11に示すような三次元造形物製造装置を用意し、80℃に加熱された三次元造形物製造用組成物吐出ノズルから、上記のようにして調製した各三次元造形物製造用組成物を、それぞれ紐形状として吐出させ、その後、三次元造形物製造用組成物を大気中で10分間放置することで、試験片を作成した。なお、三次元造形物製造用組成物吐出ノズルのノズル径は、2.5mmであった。
上述した方法により得られた試験片の線幅を計測し、試験片の線幅がノズル径の90%以上100%以下である場合を「〇」、試験片の線幅がノズル径の90%未満または造形線が形成されない吐出不良の場合を「×」と判定した。実施例1は「〇」であったが、比較例1は「×」であった。このことから、本発明では、優れた成形性が得られていることがわかる。
10…三次元造形物、50…積層体、70…脱脂体、1…層、1A’…三次元造形物製造用組成物、11…無機粒子、12…被膜、13…樹脂粒子、1B’…支持部形成用組成物、1A…造形部、1B…支持部、M100…三次元造形物製造装置、M1…制御部、M11…コンピューター、M12…駆動制御部、M2…三次元造形物製造用組成物吐出ノズル、M3…支持部形成用組成物吐出ノズル、M4…層形成部、M41…ステージ、M45…枠体、TA…第1の容器、TB…第2の容器、LA…第1の管路、LB…第2の管路

Claims (7)

  1. 複数の層を積層して三次元造形物を製造するのに用いる三次元造形物製造用組成物であって、
    無機材料で構成された複数個の無機粒子、および、樹脂を含む材料で構成され、
    前記無機粒子のうち少なくとも一部は、表面の少なくとも一部に、前記樹脂を含む材料で構成された被膜が設けられたものであり、
    前記無機粒子:100質量部に対する前記樹脂の含有量は、0.3質量部以上0.5質量部以下である、三次元造形物製造用組成物。
  2. 前記無機粒子は、Feを含む材料で構成されたものである、請求項1に記載の三次元造形物製造用組成物。
  3. 前記被膜は、前記無機粒子と共有結合により結合している、請求項1または2に記載の三次元造形物製造用組成物。
  4. 前記被膜は、前記無機粒子とシランカップリング結合している、請求項3に記載の三次元造形物製造用組成物。
  5. 前記被膜を構成する前記樹脂は、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびビニル系モノマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の三次元造形物製造用組成物。
  6. 複数の層を積層して三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物製造用組成物を、加熱した状態で吐出することにより、前記層を形成する層形成工程と、
    複数の前記層が積層された積層体に対し脱脂処理を施し脱脂体を得る脱脂工程と、
    前記脱脂体を焼結する焼結工程と、を有する、三次元造形物の製造方法。
  7. 前記三次元造形物製造用組成物の吐出は、ノズル径が1.5mm以上3.0mm以下の吐出手段により行う、請求項6に記載の三次元造形物の製造方法。
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