JP2022149411A - 三次元造形物の製造方法および支持層形成用の組成物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法および支持層形成用の組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることができ、信頼性の高い三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること、また、前記三次元造形物の製造方法に好適に用いることができる支持層形成用の組成物を提供すること。【解決手段】本発明の三次元造形物の製造方法は、無機粉末とバインダーとを含む第1組成物を用いて造形層を形成する造形層形成工程と、ブロック共重合体を含む第2組成物を用いて支持層を形成する支持層形成工程と、造形層のバインダーを除去する脱脂工程と、造形層を焼結する焼結工程とを有し、ブロック共重合体がソフトブロックとハードブロックとを有し、ハードブロックがスチレンブロックであり、ソフトブロックのガラス転移温度が-80℃以上-30℃以下であり、ハードブロックのガラス転移温度が70℃以上110℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法および支持層形成用の組成物に関する。
近年、三次元物体のモデルデータを多数の二次元断面層データに分割した後、各二次元断面層データに対応する断面部材を順次造形しつつ、断面部材を順次積層することによって三次元造形物を形成する積層法である三次元造形法が注目されている。
積層法は、造形しようとする三次元造形物のモデルデータさえあれば、直ちに形成することが可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元造形物を形成することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して形成するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
三次元造形物の製造方法としては、熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Molding)がある(例えば、特許文献1参照)。
特に、熱溶融積層法において、目的とする三次元造形物の実体部に相当する部位である造形層の形成に、金属粉末等の無機粉末と、バインダーとを含む組成物を用いることにより、樹脂と同一のFDM装置を使用して造形ができる。金属粉末は樹脂バインダーで固化するため粉塵の飛散や粉塵爆発を回避できる。
熱溶融積層法では、目的の三次元造形物がオーバーハング形状等の複雑形状を有するものである場合、当該三次元造形物の実体部に相当する造形層を形成する際に、支持層、すなわち、サポート材料で支持する必要がある。支持層には、三次元造形物の造形時において、造形層と優れた密着性を有することが求められる。
特開2018-119026号公報
しかしながら、上記のように、目的とする三次元造形物の実体部に相当する造形層の形成に、無機粉末とバインダーとを含む組成物を用いた熱溶融積層法では、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることができないという問題点があった。より具体的には、支持層上に造形層が接触するように積層した場合には、造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることができるのに対し、造形層上に支持層が接触するように積層しようとした場合には、支持層を形成することすら困難になるほど、造形層と支持層との密着性が劣ったものとなる場合があることを本発明者は見出していた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係る三次元造形物の製造方法は、無機粉末とバインダーとを含む第1組成物を用いて造形層を形成する造形層形成工程と、ブロック共重合体を含む第2組成物を用いて支持層を形成する支持層形成工程と、前記造形層および前記支持層を有する積層体から前記バインダーを除去する脱脂工程と、前記脱脂工程後の前記造形層を焼結する焼結工程とを有し、
前記ブロック共重合体が、ソフトブロックとハードブロックとを有し、
前記ハードブロックが、スチレンブロックであり、
前記ソフトブロックのガラス転移温度が、-80℃以上-30℃以下であり、
前記ハードブロックのガラス転移温度が、70℃以上110℃以下である。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記バインダーの溶解パラメーターの分散力成分をδdA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの極性成分をδpA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの水素結合成分をδhA[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの分散力成分をδdB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの極性成分をδpB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの水素結合成分をδhB[cal/(cm)]としたとき、下記式(1)で示される δが2.4[cal/(cm)]以下である。
δ= [(δdA-δdB)2+(δpA-δpB)2+(δhA-δhB)2]1/2 ・・・ (1)
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記ブロック共重合体は、スチレン-イソプレンブロックを有する。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記ブロック共重合体は、2元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレンのブロック共重合構造を有する。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記ブロック共重合体は、3元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレンのブロック共重合構造を有する。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエンブロックを有する。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記バインダーは、パラフィンワックスである。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記脱脂工程での処理温度は、前記ブロック共重合体の融点以下の温度である。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記ブロック共重合体のガラス転移温度が-30℃以下である。
また、本発明の他の適用例に係る三次元造形物の製造方法では、前記支持層形成工程において、200℃以上230℃以下の温度に加熱されたノズルを備える吐出手段から、前記第2組成物を吐出する。
また、本発明の適用例に係る支持層形成用の組成物は、三次元造形物の造形において、無機粉末およびバインダーを含む造形層形成用の組成物とともに用いられる支持層形成用の組成物であって、
ソフトブロックとハードブロックとを有するブロック共重合体を含み、
前記ハードブロックが、スチレンブロックであり、
前記ソフトブロックのガラス転移温度が、-80℃以上-30℃以下であり、
前記ハードブロックのガラス転移温度が、70℃以上110℃以下である。
図1は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である造形層形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図2は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である支持層形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図3は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である造形層形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図4は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である支持層形成工程を模式的に示す縦断面図である。 図5は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程、特に、造形層形成工程および支持層形成工程を複数回行った後の状態を模式的に示す縦断面図である。 図6は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である脱脂工程を模式的に示す縦断面図である。 図7は、三次元造形物の製造方法の好適な実施形態での工程である焼結工程を模式的に示す縦断面図である。 図8は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法を示すフローチャートである。 図9は、三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、好適な実施形態について詳細な説明をする。
[1]三次元造形物の製造方法
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1~図7は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法の工程を模式的に示す縦断面図である。図8は、本発明の好適な実施形態の三次元造形物の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る三次元造形物10の製造方法は、無機粉末とバインダーとを含む第1組成物1A’を用いて造形層1Aを形成する造形層形成工程と、ブロック共重合体を含む第2組成物1B’を用いて支持層1Bを形成する支持層形成工程と、造形層1Aおよび支持層1Bを有する積層体50から前記バインダーを除去する脱脂工程と、脱脂工程後の造形層1Aを焼結する焼結工程とを有する。そして、これらの工程を実施することで三次元造形物10を製造する方法である。そして、前記ブロック共重合体は、ソフトブロックとハードブロックとを有し、前記ハードブロックがスチレンブロックであり、前記ソフトブロックのガラス転移温度が-80℃以上-30℃以下であり、かつ、前記ハードブロックのガラス転移温度が70℃以上110℃以下である。
特に、本発明の三次元造形物の製造方法は、造形層形成工程および支持層形成工程を、それぞれ、各層の形成に用いる組成物中に含まれる構成成分の少なくとも一部を溶融した状態で、対応する各組成物を吐出して行う熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Molding)を適用するものであり、造形層形成工程および支持層形成工程を含む一連工程を繰り返し行った後に、脱脂工程および焼結工程を行う。
このような構成により、三次元造形物10の造形時における造形層1Aと支持層1Bとの密着性を十分に優れたものとすることができるともに、脱脂工程後の支持層1Bの形状を好適に維持することができ、信頼性の高い三次元造形物10を製造することができる。
特に、造形層1Aの形成に用いる第1組成物1A’中におけるバインダーの含有率を低くした場合であっても、三次元造形物10の造形時における造形層1Aと支持層1Bとの密着性を十分に優れたものとすることができる。一般に、造形層の形成、すなわち、三次元造形物の実体部の形成に用いる組成物中におけるバインダーの含有率を低減させることにより、脱脂焼結時の反り、割れおよび膨れといった不具合の発生も低減し、脱脂焼結の時間が短縮され、三次元造形物の生産性が向上する等の利点がある一方で、造形層上に支持層が接触するように積層しようとした場合に、造形層と支持層との密着性の低下がより顕著なものとなる。これに対し、本発明では、造形層1Aの形成に用いる第1組成物1A’中におけるバインダーの含有率を低いものとした場合に、上述したような効果を得つつ、上述したような問題の発生を効果的に防止することができる。したがって、製造される三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
また、優れた強度、硬度等、無機材料が有する特徴を有する三次元造形物10を提供することができる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料を含まないものであると、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることが困難となり、信頼性の高い三次元造形物を得ることができない。特に、第1組成物中におけるバインダーの含有率が後述するような低いものである場合に、このような問題はより顕著になる。
また、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料を含むものであっても、当該樹脂材料を構成するハードブロックがスチレンブロックでないと、例えば、支持層の耐熱性が不十分となり、脱脂工程において十分に形状を保持することが困難となる等の問題を生じる。
また、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料をあり、かつ、当該樹脂材料を構成するハードブロックがスチレンブロックであっても、前記ソフトブロックのガラス転移温度が前記下限値未満であると、例えば、支持層の耐熱性が不十分となり、脱脂工程において十分に形状を保持することが困難となる等の問題を生じる。
また、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料をあり、かつ、当該樹脂材料を構成するハードブロックがスチレンブロックであっても、前記ソフトブロックのガラス転移温度が前記上限値を超えると、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性が低下し、製造される三次元造形物の信頼性が劣ったものとなる。特に、造形層上に接触するように支持層を形成しようとした場合に、当該支持層を形成することすら困難になるほど、造形層と支持層との密着性が劣ったものとなる場合がある。
また、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料をあり、かつ、当該樹脂材料を構成するハードブロックがスチレンブロックであっても、前記ハードブロックのガラス転移温度が前記下限値未満であると、例えば、支持層の耐熱性が不十分となり、脱脂工程において十分に形状を保持することが困難となる等の問題を生じる。
また、支持層の形成に用いられる組成物が、ソフトブロックとハードブロックとを有する樹脂材料をあり、かつ、当該樹脂材料を構成するハードブロックがスチレンブロックであっても、前記ハードブロックのガラス転移温度が前記上限値を超えると、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性が低下し、製造される三次元造形物の信頼性が劣ったものとなる。特に、造形層上に接触するように支持層を形成しようとした場合に、当該支持層を形成することすら困難になるほど、造形層と支持層との密着性が劣ったものとなる場合がある。
なお、本発明で適用される積層法においては、造形層を形成する造形層形成工程、および、支持層を形成する支持層形成工程を、それぞれ、少なくとも1回行えばよいが、以下の説明では、造形層形成工程および支持層形成工程を、それぞれ、複数回行う方法、特に、積層される各層が造形層および支持層を有する場合について、代表的に説明する。また、以下の説明では、積層される各層において、造形層形成工程を行った後に、支持層形成工程を行う場合について、代表的に説明するが、積層される各層のうち少なくとも一部について、造形層形成工程と支持層形成工程との順番を入れ替えて行ってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
[1-1]造形層形成工程
図1、図3に示すように、造形層形成工程では、無機粉末とバインダーとを含む第1組成物1A’を用いて造形層1Aを形成する。特に、造形層形成工程では、第1組成物1A’を構成する成分の少なくとも一部を溶融した状態で吐出して、所定のパターンの造形層1Aを形成する。
このように、溶融した状態の第1組成物1A’を吐出して造形層1Aを形成することで、微細な形状、複雑な形状を有するパターンであっても好適に形成することができる。
造形層1Aは、最終的に得られる三次元造形物10の実体部となるべき部位に対応する。
造形層形成工程における吐出される第1組成物1A’の温度は、80℃以上230℃以下であるのが好ましい。
これにより、第1組成物1A’をより好適に軟化、溶融させることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、より確実に三次元造形物10の強度を優れたものとすることができる。また、当該工程で形成する造形層1Aが接触する、すでに形成された造形層1Aや支持層1Bが過剰に軟化することを好適に防止することができる。
第1組成物1A’の吐出手段は、特に限定されず、例えば、アクチュエータの圧力変化により第1組成物1A’を吐出する方法、フィラメント形状の第1組成物1A’を溶融しながら押し出す方法、またはペレット形状の第1組成物1A’を溶融しながら押し出す方法などが挙げられる。
造形層1Aの厚さは、特に限定されないが、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
なお、複数の造形層1Aの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
三次元造形物10の製造においては、第1組成物1A’として、複数種の組成物を用いてもよい。
なお、第1組成物1A’については、後に詳述する。
[1-2]支持層形成工程
図2、図4に示すように、支持層形成工程では、ブロック共重合体を含む第2組成物1B’を用いて支持層1Bを形成する。特に、支持層形成工程では、第2組成物1B’を構成する成分の少なくとも一部を溶融した状態で吐出して、所定のパターンの支持層1Bを形成する。
このように、溶融した状態の第2組成物1B’を吐出して支持層1Bを形成することで、微細な形状、複雑な形状を有するパターンであっても好適に形成することができる。
支持層1Bは、三次元造形物10の製造時において、第1組成物1A’による造形層1Aを支持する機能を有しており、サポート材やサポート材料とも呼ばれる。
支持層形成工程における第2組成物1B’を吐出するノズルの加熱温度、すなわち、支持層形成工程において吐出される第2組成物1B’の温度は、200℃以上230℃以下であるのが好ましい。
これにより、第2組成物1B’をより好適に軟化、溶融させることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、当該工程で形成する支持層1Bが接触する、すでに形成された造形層1Aや支持層1Bが過剰に軟化することを好適に防止することができる。
第2組成物1B’の吐出手段は、特に限定されず、例えば、アクチュエータの圧力変化により第1組成物1A’を吐出する方法、フィラメント形状の第1組成物1A’を溶融しながら押し出す方法、またはペレット形状の第1組成物1A’を溶融しながら押し出す方法などが挙げられる。
支持層1Bの厚さは、特に限定されないが、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
なお、複数の支持層1Bの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、支持層形成工程は、前述した造形層形成工程と同時進行的に行ってもよい。
三次元造形物10の製造においては、第2組成物1B’として、複数種の組成物を用いてもよい。
なお、第2組成物1B’については、後に詳述する。
図5に示すように、三次元造形物10の製造においては、造形層形成工程および支持層形成工程を所定回数だけ行うことにより、層1、すなわち、造形層1Aおよび支持層1Bの形成を複数回行い、複数の層1が積層された積層体50を得る。
すなわち、すでに形成された層1上に新たな層1を形成すべきか否かを判断し、形成すべき層1がある場合には新たな層1を形成し、形成すべき層1がない場合には積層体50に対して後に詳述する工程を行う。
[1-3]脱脂工程
図6に示すように、脱脂工程では、前述した造形層形成工程および支持層形成工程を行うことにより得られた図5に示すような積層体50、特に、本実施形態では、複数回の造形層形成工程および複数回の支持層形成工程を行うことにより得られた、複数の造形層1Aおよび複数の支持層1Bを備える積層体50から、バインダーを除去し、脱脂体70を得る。
脱脂工程での処理温度は、バインダーを除去できる温度であれば、特に限定されないが、ブロック共重合体の融点以下の温度であるのが好ましい。
これにより、高い選択性で積層体50からバインダーを除去することができ、脱脂工程後にブロック共重合体を残存させることができる。その結果、脱脂工程中や脱脂工程後に支持層1Bの形状が崩れることをより好適に防止することができる。
なお、本明細書において、融点とは、樹脂については、軟化点ともいう。
脱脂工程での具体的な処理温度は、70℃以上700℃以下であるのが好ましく、
90℃以上600℃以下であるのがより好ましい。なお、脱脂工程初期段階における温度上昇速度は、0.2℃/分以上0.6℃/分以下とすることが好ましい。これにより、比較的低融点なワックス成分を除去することができる。
これにより、高い選択性で積層体50からバインダーを除去することができ、脱脂工程後にブロック共重合体を残存させることができる。その結果、脱脂工程中や脱脂工程後に支持層1Bの形状が崩れることをより好適に防止することができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
脱脂工程は、処理温度が一定となるように行ってもよいし、処理温度を変化させて行ってもよい。より具体的には、脱脂工程は、例えば、第1の温度まで昇温させる工程と、第1の温度で保持する工程と、第2の温度に昇温する工程とを有していてもよい。
この場合、第2の温度が、ブロック共重合体の融点以下の温度であるのが好ましい。
また、第1の温度で除去する成分と、第2の温度で除去する成分とが異なっていてもよい。
脱脂工程の処理時間は、特に限定されないが、300分間以上1500分間以下であるのが好ましく、600分間以上1200分間以下であるのがより好ましい。
これにより、積層体50からバインダーを十分に除去することができ、最終的に得られる三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、通常、脱脂工程において、バインダーの大部分は除去されるが、脱脂体70中には、一部のバインダーが残存していてもよい。このような場合でも、通常、後の焼結工程において、残存するバインダーは十分に除去され、最終的に得られる三次元造形物10中には実質的にバインダーが残存しないものとなる。
[1-4]焼結工程
図7に示すように、焼結工程では、脱脂工程後の造形層1Aを焼結する。これにより、造形層1A中に含まれる無機粒子が強固に結合し、三次元造形物10が得られる。
焼結工程での具体的な処理温度は、500℃以上1300℃以下であるのが好ましく、600℃以上1250℃以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の不本意な変形を防止しつつ、無機粉末をより好適に結合することができ、最終的に得られる三次元造形物10の強度等をより優れたものとすることができる。また、省エネルギー、三次元造形物10の生産性の観点からも好ましい。
焼結工程は、処理温度が一定となるように行ってもよいし、処理温度を変化させて行ってもよい。より具体的には、焼結工程は、例えば、第1の温度まで昇温させる工程と、第1の温度で保持する工程と、第2の温度に昇温する工程とを有していてもよい。
焼結工程の処理時間は、特に限定されないが、1200分間以上3000分間以下であるのが好ましく、1500分間以上2400分間以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の不本意な変形を防止しつつ、無機粉末をより好適に結合することができ、最終的に得られる三次元造形物10の強度等をより優れたものとすることができる。また、省エネルギー、三次元造形物10の生産性の観点からも好ましい。
焼結工程を行う雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気中や、窒素ガス雰囲気中、不活性ガス雰囲気中、水素等の還元性雰囲気中、酸素等の酸化性雰囲気中等で行うことができる。また、焼結工程は、減圧下、真空中で行ってもよい。
前述したような三次元造形物の製造方法をフローチャートにまとめると、図8のようになる。
[1-5]第1組成物
第1組成物1A’は、少なくとも、無機粉末とバインダーとを含み、造形層1Aの形成に用いられるものである。
[1-5-1]無機粉末
第1組成物1A’中に含まれる無機粉末は、最終的に得られる三次元造形物10の実体部の形成に用いられる成分である。
ただし、無機粉末の組成と、三次元造形物10の実体部の組成とは、異なるものであってもよい。より具体的には、無機粉末は、三次元造形物10の製造過程において、例えば、酸化反応、窒化反応、還元反応等により、組成が変化するものであってもよい。
第1組成物1A’中に含まれる無機粉末は、無機材料で構成された粉末であればよく、無機粉末の構成材料としては、例えば、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1組成物1A’中に含まれる無機粉末の融点は、特に限定されないが、800℃以上2000℃以下であるのが好ましく、1000℃以上1500℃以下であるのがより好ましい。
また、無機粉末は、構成粒子の組成が同一のものであってもよいし、組成の異なる粒子を含むものであってもよい。
無機粉末の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止できる。
なお、本明細書中において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA-II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
第1組成物1A’中における無機粉末の含有率は、特に限定されないが、85質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、90質量%以上94質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、造形層形成工程における加熱により、第1組成物1A’の流動性をより好適なものとすることができ、造形層1Aの形成をより好適に行うことができる。また、脱脂工程で除去すべきバインダー等の含有率が必要以上に高くなることを効果的に防止することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
[1-5-2]バインダー
第1組成物1A’がバインダーを含むことにより、造形層形成工程においては第1組成物1A’の流動性を十分に確保することができるとともに、脱脂工程では、ブロック共重合体を残存させつつ、選択的にバインダーを除去することができ、形状が好適に保持された脱脂体70を得ることができる。
バインダーは、通常、三次元造形物10の製造過程、特に、脱脂工程において除去される成分であり、最終的に得られる三次元造形物10中には実質的に含まれない成分である。
第1組成物1A’中に含まれるバインダーの融点は、特に限定されないが、40℃以上250℃以下であるのが好ましく、50℃以上230℃以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーの機能がより効果的に発揮される。
第1組成物1A’中に含まれるバインダーとしては、例えば、パラフィンワックス、カルナバワックス、モンタンワックス等の各種ワックスや、ポリエチレン系共重合体、ポリスチレン、等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
第1組成物1A’中におけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、5質量%以上15質量%以下であるのが好ましく、6質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、造形層形成工程における加熱により、第1組成物1A’の流動性をより好適なものとすることができ、造形層1Aの形成をより好適に行うことができる。また、脱脂工程で除去すべきバインダー等の含有率が必要以上に高くなることを効果的に防止することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、バインダーの含有率が前記範囲内の値である場合、すなわち、上記のように比較的低い値である場合、従来においては、造形層と支持層との密着性が特に低いものになり易かったが、本発明では、このような場合でも、造形層1Aと支持層1Bとの密着性を十分に優れたものとすることができる。すなわち、バインダーの含有率が前記範囲内の値であると、本発明による効果がより顕著に発揮される。
[1-5-3]その他の成分
第1組成物1A’は、上記以外の成分を含んでいてもよい。以下、この項目内で、これらの成分を「その他の成分」という。
このような成分としては、例えば、分散剤;界面活性剤;増粘剤;凝集防止剤;消泡剤;スリップ剤;顔料、染料等の着色剤;浸透促進剤;湿潤剤;定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;揮発性成分としての溶剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ただし、第1組成物1A’中におけるその他の成分の含有率、すなわち、無機粉末、バインダー以外の成分の含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-6]第2組成物
第2組成物1B’は、少なくともブロック共重合体を含み、支持層1Bの形成に用いられるものである。第2組成物1B’は、本発明の支持層形成用の組成物ということもできる。すなわち、本発明の支持層形成用の組成物は、無機粉末およびバインダーを含む造形層形成用の組成物とともに三次元造形物の造形に用いられる支持層形成用の組成物であり、ソフトブロックとハードブロックとを有するブロック共重合体を含み、ハードブロックがスチレンブロックであり、ソフトブロックのガラス転移温度が-80℃以上-30℃以下であり、前記ハードブロックのガラス転移温度が70℃以上110℃以下である。
これにより、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることができ、信頼性の高い三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法に好適に用いることができる支持層形成用の組成物を提供することができる。
なお、ソフトブロックはソフトセグメントとも呼ばれ、ハードブロックはハードセグメントとも呼ばれる。
[1-6-1]ブロック共重合体
第2組成物1B’中に含まれるブロック共重合体は、三次元造形物10の製造過程において造形層1Aを支持し、積層体50や脱脂工程で得られる脱脂体70の形状を好適に保持する機能を有するとともに、焼結工程で除去される成分である。
ブロック共重合体を構成するハードブロックのガラス転移温度は、70℃以上110℃以下であればよいが、73℃以上105℃以下であるのが好ましく、75℃以上100℃以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
第2組成物中に含まれるブロック共重合体は、第1組成物中に含まれるバインダーとの間で、以下のような関係を満たすのが好ましい。すなわち、第1組成物中に含まれるバインダーの溶解パラメーターの分散力成分をδdA[cal/(cm)]、第1組成物中に含まれるバインダーの溶解パラメーターの極性成分をδpA[cal/(cm)]、第1組成物中に含まれるバインダーの溶解パラメーターの水素結合成分をδhA[cal/(cm)]、ブロック共重合体の溶解パラメーターの分散力成分をδdB[cal/(cm)]、ブロック共重合体の溶解パラメーターの極性成分をδpB[cal/(cm)]、ブロック共重合体の溶解パラメーターの水素結合成分をδhB[cal/(cm)]としたとき、下記式(1)で示される δが2.4[cal/(cm)]以下であるのが好ましい。
δ= [(δdA-δdB)2+(δpA-δpB)2+(δhA-δhB)2]1/2 ・・・ (1)
これにより、三次元造形物10の造形時における造形層1Aと支持層1Bとの密着性をより優れたものとすることができ、より信頼性の高い三次元造形物10を製造することができる。
ブロック共重合体は、ハードブロックとしてスチレンブロックを有しているが、さらに、スチレンブロック以外のハードブロックを有していてもよい。
ブロック共重合体を構成するソフトブロックは、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、イソプレン、ブタジエン等のゴム成分の単量体等が挙げられる。
ブロック共重合体がスチレン-イソプレンブロックを有するものが好ましい。
ブロック共重合体がスチレン-イソプレンブロックを有するものである場合、当該ブロック共重合体は、例えば、2元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレンのブロック共重合構造を有するものであってもよい。
また、ブロック共重合体は、3元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレンのブロック共重合構造を有するものであってもよい。
また、ブロック共重合体がスチレン-ブタジエンブロックを有するものであることが好ましい。
ブロック共重合体のガラス転移温度は、-30℃以下であるのが好ましく、-50℃以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の造形時における造形層1Aと支持層1Bとの密着性をより優れたものとすることができ、より信頼性の高い三次元造形物10を製造することができる。
[1-7]三次元造形物製造用組成物セット
本発明に係る三次元造形物製造用組成物セットは、少なくとも1種の第1組成物と、少なくとも1種の第2組成物とを備える。
これにより、三次元造形物の造形時における造形層と支持層との密着性を十分に優れたものとすることができ、信頼性の高い三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法に好適に用いることができる三次元造形物製造用組成物セットを提供することができる。
本発明に係る三次元造形物製造用組成物セットを構成する各組成物は、混合しないような状態で保持されており、例えば、それぞれ、別の容器に収納されているか、または、区画された空間にそれぞれ収納されているのが好ましい。
[2]三次元造形物製造装置
次に、三次元造形物製造装置について説明する。
図9は、三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
三次元造形物製造装置M100は、層1、すなわち、造形層1Aおよび支持層1Bの形成を複数回行うことにより、三次元造形物10を製造するのに用いられるものであって、制御部M1と、三次元造形物10の実体部に対応する造形層1Aの形成に用いる第1組成物1A’を吐出する第1組成物吐出ヘッドM2と、造形層1Aを支持する支持層1Bの形成に用いる第2組成物1B’を吐出する第2組成物吐出ヘッドM3とを備えている。第1組成物吐出ヘッドM2は、第1の管路LAを介して、第1組成物1A’を収納する第1の容器TAに接続されており、第2組成物吐出ヘッドM3は、第2の管路LBを介して、第2組成物1B’を収納する第2の容器TBに接続されている。第1の管路LAの途中には図示しないポンプが設置されており、第1の容器TAから第1の管路LAを介して第1組成物吐出ヘッドM2に第1組成物1A’が供給されるように構成されている。第2の管路LBの途中には図示しないポンプが設置されており、第2の容器TBから第2の管路LBを介して第2組成物吐出ヘッドM3に第2組成物1B’が供給されるように構成されている。
これにより、前述したような本発明の三次元造形物の製造方法を好適に実行することができ、信頼性の高い三次元造形物10を安定的に製造することができる。
制御部M1は、コンピューターM11と、駆動制御部M12とを有している。
コンピューターM11は、内部にCPUやメモリー等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューターM11は、三次元造形物10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データを駆動制御部M12に対して出力する。
制御部M1が有する駆動制御部M12は、第1組成物吐出ヘッドM2、第2組成物吐出ヘッドM3、層形成部M4等をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、第1組成物吐出ヘッドM2および第2組成物吐出ヘッドM3の駆動、第1組成物吐出ヘッドM2による第1組成物1A’の吐出、第2組成物吐出ヘッドM3による第2組成物1B’の吐出、ステージM41の下降量等を制御する。
層形成部M4は、第1組成物1A’および第2組成物1B’が供給され、第1組成物1A’および第2組成物1B’を用いて形成された層1を支持するステージM41と、ステージM41を取り囲む枠体M45とを有している。
ステージM41は、先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、駆動制御部M12からの指令により所定量だけ順次下降する。
ステージM41は、表面、より詳しくは、第1組成物1A’および第2組成物1B’が付与される部位、が平坦なものである。これにより、厚みの均一性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。
ステージM41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージM41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージM41の表面には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、第1組成物1A’の構成材料や、第2組成物1B’の構成材料がステージM41に強固に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージM41の耐久性を特に優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージM41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
第1組成物吐出ヘッドM2は、駆動制御部M12からの指令により移動し、第1組成物1A’をステージM41上の所望の部位に所定のパターンで吐出するように構成されている。
第1組成物吐出ヘッドM2は、図示しない第1組成物を溶融するヒーターと、溶融された第1組成物を吐出するノズルと、溶融された第1組成物に圧力を加圧する加圧手段とを有する。なお、第1組成物吐出ヘッドM2がディスペンサーであり、第1組成物が造形環境下において流体である場合には、ヒーターを有していなくても構わない。
第2組成物吐出ヘッドM3は、駆動制御部M12からの指令により移動し、第2組成物1B’をステージM41上の所望の部位に所定のパターンで吐出するように構成されている。
第2組成物吐出ヘッドM3は、図示しない第1組成物を溶融するヒーターと、溶融された第1組成物を吐出するノズルと、溶融された第1組成物に圧力を加圧する加圧手段とを有する。なお、第2組成物吐出ヘッドM3がディスペンサーであり、第2組成物が造形環境下において流体である場合には、ヒーターを有していなくても構わない。
上記のような構成により、複数の層1を積層して、積層体50を得ることができる。
得られた積層体50に対して、脱脂工程および焼結工程を施すことにより、三次元造形物10を得ることができる。
脱脂工程、焼結工程は、三次元造形物製造装置M100を用いて行うものであってもよいし、他の装置等を用いて行うものであってもよい。
[3]三次元造形物
本発明に係る三次元造形物は、前述したような本発明の三次元造形物の製造方法を用いて好適に製造することができる。
このような三次元造形物10は、信頼性に優れている。
三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、単一の層について、造形層形成工程の後に支持層形成工程を行うものとして説明したが、少なくとも1つの層の形成において、造形層形成工程と支持層形成工程の順番は逆であってもよい。また、異なる領域で複数種の組成物を同時に付与してもよい。言い換えると、造形層形成工程および支持層形成工程を同時進行的に行ってもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層の形成に造形層および支持層を形成する場合について代表的に説明したが、積層体は、例えば、造形層を有さない層や、支持層を有さない層を備えるものであってもよい。また、ステージとの接触面に、実体部に対応する部位が形成されない層、例えば、支持層のみで構成された層、を形成し、当該層を犠牲層として機能させてもよい。
また、本発明では、第1組成物および第2組成物に加えて、第1組成物、第2組成物以外の組成物を用いてもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、工程・処理の順番は、前述したものに限定されず、その少なくとも一部を入れ替えて行ってもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、積層体中に含まれる重合体の重合度を高めるための熱処理工程等が挙げられる。
また、三次元造形物製造装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、ステージの表面に直接層を形成する場合について代表的に説明したが、例えば、ステージ上に造形プレートを配置し、当該造形プレート上に層を積層して三次元造形物を製造してもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法は、前述したような三次元造形物製造装置を用いて実行するものに限定されない。
例えば、前述した実施形態では、ステージが昇降する構成について説明したが、ステージと枠体等とが相対的に移動すれば、同様の効果が得られるため、例えば、ステージは昇降せずに、枠体等が昇降するように構成されていてもよい。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(25℃)において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(25℃)における数値である。
[4]第1組成物の調製および第2組成物の用意
(第1組成物A1)
無機粉末としての平均粒径が4μmであるSUS粉末:100質量部と、バインダーとしてのパラフィンワックス:1.96質量部と、ポリエチレン共重合体:1.82質量部と、ポリスチレン:2.10質量部と、可塑剤:1.12質量部とを混合して、第1組成物A1を得た。
(第1組成物A2~A3)
第1組成物の調製に用いる成分の種類、各成分の配合比率を変更することにより、表1に示すような条件のものとした以外は、前記調製例A1と同様にして第1組成物A2~A3を調製した。
(第2組成物B1~B7)
2元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレンのブロック共重合構造を有する2元ブロック共重合体、3元ブロック共重合体、ポリエチレン/ポリグリシジルメタクリレート、ポリスチレンを第2組成物とした。
前記調製例A1~A3で調製した第1組成物の条件を表1にまとめて示し、前記第2組成物B1~B7で用意した第2組成物の条件を表2にまとめて示す。なお、表中、ガラス転移温度をTgで示す。また、表中には、ブロック共重合体中におけるソフトブロックの割合をXS[質量%]、ブロック共重合体中におけるハードブロックの割合をXH[質量%]としたときのXS/XHの値も併せて示す。
Figure 2022149411000001
Figure 2022149411000002
[5]三次元造形物製造用組成物セット、三次元造形物の製造
(実施例1)
上記のようにして調整した第1組成物A1と第2組成物B1とを組み合わせて三次元造形物製造用組成物セットとした。
そして、この三次元造形物製造用組成物セットを用いて、以下のようにして三次元造形物を製造した。
すなわち、前記のようにして得られた三次元造形物製造用組成物セットを用いて、オーバーハング構造を有し、第1組成物に第2組成物が重なるような成形体及び第2組成物に第1組成物が重なるような成形体を、造形体を以下のように形成した。
まず、図9に示すような三次元造形物製造装置を用意し、220℃に加熱された第1組成物吐出ヘッドから、ステージ上に所定のパターンで、第1組成物を複数の液滴として吐出して造形層を形成する造形層形成工程を行うとともに、220℃に加熱された第2組成物吐出ヘッドから、ステージ上に所定のパターンで、第2組成物を複数の液滴として吐出して支持層を形成する支持層形成工程を行った。
各層での造形層のパターンおよび支持層のパターンを調整しつつ、造形層形成工程および支持層形成工程を繰り返し行い、複数の層を積層することにより、複数の造形層により目的とする三次元造形物の実体部に対応する部位が形成された積層体を得た。
(実施例2~4)
第1組成物と第2組成物との組み合わせを表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして三次元造形物製造用組成物セットを得、三次元造形物を製造した。
(比較例1~3)
第1組成物と第2組成物との組み合わせを表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして三次元造形物製造用組成物セットを得、三次元造形物の製造を試みた。比較例1では、第1組成物上に第2組成物を造形する事ができたが、ソフトブロック部及びハードブロックのTgが実施例に比べ低いため、脱脂工程で造形体が変形し崩れた。なお、比較例2および3については、ハードブロック部のみのため、第1組成物からなる造形層上に第2組成物からなる支持層が接触するように積層しようとした場合に、支持層を形成することができず、三次元造形物を製造することができなかった。比較例3のように、ノズル温度が高温な200℃でも第1組成物に密着できず、ポリスチレン単体では第1組成物からなる造形層上への密着が難しかった。
実施例はいずれも第1組成物からなる造形層上への密着可能であり、脱脂工程でも変形崩れがなかった。よって実施例に含まれるソフトブロック部の密着性への効果が明確となった。
前記各実施例および各比較例の三次元造形物製造用組成物セットの構成を表3にまとめて示す。表3中には、第1組成物中に含まれるバインダーの溶解パラメーターの分散力成分をδdA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの極性成分をδpA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの水素結合成分をδhA[cal/(cm)]、第2組成物中に含まれるブロック共重合体の溶解パラメーターの分散力成分をδdB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの極性成分をδpB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの水素結合成分をδhB[cal/(cm)]としたとき、下記式(1)で示される δ[cal/(cm)]の値も併せて示した。
δ= [(δdA-δdB)2+(δpA-δpB)2+(δhA-δhB)2]1/2 ・・・ (1)
全ての例でΔδは2.4[cal/(cm)]を下回り良好だったが、実施例1から4は0.5[cal/(cm)]を下回り、密着性が良好な事と一致した。一方比較例1ではΔδは0.89[cal/(cm)]と良好だったが、Tgが低すぎるため耐熱性に劣り、脱脂プロセス性において変形崩れを起こした。比較例2及び3はΔδが1.5[cal/(cm)]を上回り、実施例に比べ密着性が低い結果と一致した。
Figure 2022149411000003
[6]評価
[6-1]密着性
前記各実施例および各比較例の三次元造形物の製造時における、造形層上に支持層が接触するように積層しようとした部位での造形層と支持層との密着性について、以下の基準に従い〇×評価した。
<造形層と当該造形層上に設けた支持層との密着性>
〇:造形完了まで、第1組成物上の第2組成物が脱離しない。
×:造形完了まで、第1組成物上の第2組成物が脱離する。
<支持層と当該支持層上に設けた造形層との密着性>
〇:造形完了まで、第2組成物上の第1組成物が脱離しない。
×:造形完了まで、第2組成物上の第1組成物が脱離する。
[6-2]脱脂プロセス性
前記各実施例および各比較例の三次元造形物の製造時における、脱脂プロセス性について、以下の基準に従い〇×評価した。
〇:脱脂途中の脱ワックス工程(150℃以下)で第2組成物が変形し崩れない。
×:脱脂途中の脱ワックス工程(150℃以下)で第2組成物が変形し崩れる。
これらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 2022149411000004
表4から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
10…三次元造形物、50…積層体、70…脱脂体、1…層、1A’…第1組成物、1B’…第2組成物、1A…造形層、1B…支持層、M100…三次元造形物製造装置、M1…制御部、M11…コンピューター、M12…駆動制御部、M2…第1組成物吐出ヘッド、M3…第2組成物吐出ヘッド、M4…層形成部、M41…ステージ、M45…枠体、TA…第1の容器、TB…第2の容器、LA…第1の管路、LB…第2の管路

Claims (11)

  1. 無機粉末とバインダーとを含む第1組成物を用いて造形層を形成する造形層形成工程と、ブロック共重合体を含む第2組成物を用いて支持層を形成する支持層形成工程と、前記造形層および前記支持層を有する積層体から前記バインダーを除去する脱脂工程と、前記脱脂工程後の前記造形層を焼結する焼結工程とを有し、
    前記ブロック共重合体が、ソフトブロックとハードブロックとを有し、
    前記ハードブロックが、スチレンブロックであり、
    前記ソフトブロックのガラス転移温度が、-80℃以上-30℃以下であり、
    前記ハードブロックのガラス転移温度が、70℃以上110℃以下である、三次元造形物の製造方法。
  2. 前記バインダーの溶解パラメーターの分散力成分をδdA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの極性成分をδpA[cal/(cm)]、前記バインダーの溶解パラメーターの水素結合成分をδhA[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの分散力成分をδdB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの極性成分をδpB[cal/(cm)]、前記ブロック共重合体の溶解パラメーターの水素結合成分をδhB[cal/(cm)]としたとき、下記式(1)で示される δが2.4[cal/(cm)]以下である、請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
    δ= [(δdA-δdB)2+(δpA-δpB)2+(δhA-δhB)2]1/2 ・・・ (1)
  3. 前記ブロック共重合体は、スチレン-イソプレンブロックを有する、請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記ブロック共重合体は、2元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレンのブロック共重合構造を有する、請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記ブロック共重合体は、3元共重合構造である、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレンのブロック共重合構造を有する、請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記ブロック共重合体は、スチレン-ブタジエンブロックを有する、請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記バインダーは、パラフィンワックスである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 前記脱脂工程での処理温度は、前記ブロック共重合体の融点以下の温度である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  9. 前記ブロック共重合体のガラス転移温度が-30℃以下である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  10. 前記支持層形成工程において、200℃以上230℃以下の温度に加熱されたノズルを備える吐出手段から、前記第2組成物を吐出する、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  11. 三次元造形物の造形において、無機粉末およびバインダーを含む造形層形成用の組成物とともに用いられる支持層形成用の組成物であって、
    ソフトブロックとハードブロックとを有するブロック共重合体を含み、
    前記ハードブロックが、スチレンブロックであり、
    前記ソフトブロックのガラス転移温度が、-80℃以上-30℃以下であり、
    前記ハードブロックのガラス転移温度が、70℃以上110℃以下である、支持層形成用の組成物。
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