JP2022148547A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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昭紘 小泉
Akihiro Koizumi
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Abstract

【課題】 ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層が溶けない温度で金属層を積層することにより、寸法特性が悪化したり、金属層が剥離するのを防止し、しかも、伝送特性の悪化を抑制できる積層体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の少なくとも表面に、融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点よりも5℃以上低い樹脂接着層4を積層し、この樹脂接着層4には導電性の銅箔5を積層したフレキシブル基板等の積層体1であり、樹脂接着層4に、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含有する。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に銅箔5が樹脂接着層4を介し間接的に積層されるので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が溶けた状態で銅箔5に直接接着されることがない。【選択図】 図1

Description

本発明は、フレキシブル基板、高密度フレキシブル基板、又はプリント配線板等となる積層体及びその製造方法に関するものである。
近年、スーパーエンジニアリングプラスチックとしてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が知られ、使用されているが、このポリエーテルエーテルケトン樹脂は、高機能を発揮する熱可塑性樹脂であり、耐熱性・高温特性・耐加水分解性、機械的強度、難燃性、耐薬品性・電気的特性等に優れるという特性に鑑み、電気・電子分野の積層体の製造に利用されている。
この種の積層体1は、図5に示すように、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6に銅箔5が接着して積層された二層構造のフレキシブル基板(FPC)からなり、銅箔5が回路パターンとして機能する(特許文献1、2参照)。ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6は、融点(例えば、343℃)以上の温度(例えば、360℃)に加熱され、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が溶けた状態で銅箔に直接接着される。
係るフレキシブル基板を製造する場合には、前工程として、例えばベースのポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6に銅箔5を直接接着してその露出した表面にエッチング用のフォトレジスト層をラミネートし、中間体の所定の箇所に加工用の孔を穿孔し、フォトレジスト層に紫外線を照射して露光するとともに、現像して未感光部分のフォトレジスト層を溶かしてパターンを浮き上がらせる。こうしてパターンを浮き上がらせたら、中間体の回路パターンをエッチングしてフォトレジスト層を剥離し、中間体を洗浄して乾燥させ、中間体の大部分にカバーフィルムを貼着して絶縁層を形成し、露出した端子部分等にメッキ等の表面処理を施す。
次いで、後工程として、中間体を外形加工して回路パターンの導通性を電気チェックし、中間体に補強材を圧着したり、部品実装した後、最終検査を実施すれば、フレキシブル基板を製造することができる。
特表2015‐536555号公報 特表2009‐545878号公報
従来におけるフレキシブル基板は、以上のようにポリエーテルエーテルケトン樹脂が溶けた状態で銅箔5に直接接着され、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6と銅箔5との線膨張係数の差異により応力が歪むので、150℃~160℃の温度で乾燥等に供されると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6が熱収縮し、その結果、回路パターンの寸法特性が悪化したり、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6に密着していた銅箔5が剥離するという問題が生じる。また、フレキシブル基板は、高湿下で使用されると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム6が湿度により悪影響を蒙り、誘電率や誘電正接が悪化して伝送特性が低下し、実装された半導体が誤動作することがある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層が溶けない温度で金属層を積層することにより、寸法特性が悪化したり、金属層が剥離するのを防止し、しかも、伝送特性の悪化を抑制することのできる積層体及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の少なくとも片面に、融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点よりも5℃以上低いポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の樹脂接着層を積層し、この樹脂接着層に金属層を積層したことを特徴としている。
なお、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対し、無機フィラーが15質量部以上80質量部以下配合されると良い。
また、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、線膨張係数が1ppm/℃以上50ppm/℃以下であると良い。
また、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、算術平均粗さRaが0.1μm以上3μm以下であると良い。
また、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、300℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であることが好ましい。
無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、330℃における貯蔵弾性率が450MPa以下であることが好ましい。
また、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層のJIS K 7209:2000 A法に準拠して測定した23℃の純水に24時間浸水させた後の吸水率が0.5%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の無機フィラーを、平均粒子径が0.3μm以上50μm以下のマイカ、タルク、及び窒化ホウ素の少なくともいずれかとすると良い。
また、無機フィラーのアスペクト比を10以上200以下とすると良い。
また、樹脂接着層は、厚さ0.5μm以上25μm以下に形成されて積層されると良い。
また、樹脂接着層は、ポリエーテルケトンケトン樹脂からなることが好ましい。
また、樹脂接着層は、ポリエーテルケトンケトン樹脂からなり、ガラス転移点温度が150℃以上であることが好ましい。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし12のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層とをそれぞれ成形し、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の少なくとも片面に樹脂接着層を積層し、樹脂接着層には金属層を積層し、これらを熱圧着するとともに、これらの熱圧着時における加工温度を、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点温度をTmA、樹脂接着層の融点温度をTmBとした場合に、TmB以上TmA-5℃以下とすることを特徴としている。
ここで、特許請求の範囲におけるポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層は、溶融押出成形法、カレンダー成形法、又はキャスティング法等の公知の製造法により製造することができる。溶融押出成形法でポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層の少なくともいずれかを製造する場合、押出成形機を使用して成形材料を溶融混練し、押出成形機のダイスからポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層の少なくともいずれかを押し出して冷却することにより、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層の少なくともいずれかを製造することができる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムが含まれる。また、樹脂接着層は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の片面又は両面に積層することができる。
本発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層に金属層が低融点の樹脂接着層を介して間接的に積層されるので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が溶けた状態で金属層に直接接着されることが少ない。また、例え積層体が高湿下で使用されても、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層が湿度により悪影響を蒙ることが少ない。
本発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層が溶けない温度で金属層を積層することにより、寸法特性が悪化したり、金属層が剥離するのを防止することができるという効果がある。また、伝送特性の悪化を抑制し、半導体の誤動作等を防ぐことができるという効果がある。また、融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点よりも5℃以上低いポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の樹脂接着層を用いるので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層に応力歪みが生じす、熱収縮率を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対し、無機フィラーが15質量部以上80質量部以下配合されるので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の線膨張係数を充分に低下させることができ、熱寸法安定性、はんだ耐熱性、密着性の向上が期待できる。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の機械的強度を維持し、ハンドリング性の確保も期待できる。
請求項3記載の発明によれば、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の線膨張係数が1ppm/℃以上50ppm/℃以下なので、積層体のカールを実用上、問題のない範囲に抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の算術平均粗さRaが0.1μm以上3μm以下の範囲なので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層との密着性向上に資することができる。
請求項5記載の発明によれば、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の300℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下なので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層との密着性向上に資することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の330℃における貯蔵弾性率が450MPa以下なので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層との密着性を向上させることが可能になる。
請求項7記載の発明によれば、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層のJIS K 7209:2000 A法に準拠して測定した23℃の純水に24時間浸水させた後の吸水率が0.5%以下なので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層との密着性を向上させたり、高湿度環境下でも伝送特性の悪化を防ぐことが可能となる。
請求項8記載の発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の無機フィラーを、マイカ、タルク、及び窒化ホウ素の少なくともいずれかとするので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の耐熱性を向上させることができる。また、無機フィラーの平均粒子径を0.3μm以上50μm以下とするので、無機フィラーがポリアリーレンエーテルケトン樹脂層から突き出し、無機フィラーの表面が粗れて伝送特性に支障を来すのを防ぐことができる。
請求項9記載の発明によれば、無機フィラーのアスペクト比を10以上200以下とするので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の線膨張係数の低減を図ることができる。
請求項10記載の発明によれば、樹脂接着層がポリエーテルケトンケトン樹脂により、厚さ0.5μm以上25μm以下に形成されるので、優れた高強度、高耐熱性、高剛性、耐衝撃性、難燃性、絶縁性、低吸水性、バリア性、耐摩耗性を得ることが可能となる。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と金属層とを強固に密着することが可能となる。また、積層体の反りを抑制することができるので、次工程の加工を容易にすることが可能となる。
請求項11記載の発明によれば、樹脂接着層がポリエーテルケトンケトン樹脂からなるので、優れた電気絶縁性、機械的性質、耐熱性、耐薬品性、耐放射線性、耐加水分解性、低吸水性、リサイクル性等を得ることができる。
請求項12記載の発明によれば、樹脂接着層がポリエーテルケトンケトン樹脂からなり、ガラス転移点温度が150℃以上なので、熱収縮率の抑制が期待できる。
請求項13記載の発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層、樹脂接着層、及び金属層を熱圧着により強固に一体化することができる。
本発明に係る積層体の実施形態における三層構造のフレキシブル基板を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る積層体の実施形態における四層構造のフレキシブル基板を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る積層体の実施形態における五層構造のフレキシブル基板を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る積層体及びその製造方法の実施形態におけるポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの製造装置を模式的に示す全体説明図である。 従来における積層体を模式的に示す断面説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における積層体1は、図1ないし図4に示すように、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の少なくとも表面に、融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点よりも5℃以上低いポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の樹脂接着層4を積層し、この樹脂接着層4には導電性の銅箔5を積層したフレキシブル基板であり、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標9の達成に貢献する。
積層体1は、図1に示すように、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の全表面に樹脂接着層4が積層被覆され、この樹脂接着層4の全表面に銅箔5が積層された三層構造のフレキシブル基板でも良いが、必要に応じ、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の全裏面に新たな樹脂接着層4が積層被覆された四層構造のフレキシブル基板でも良い(図2参照)し、この新たな樹脂接着層4の全表面に別の銅箔5が積層された五層構造のフレキシブル基板でも良い(図3参照)。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2は、少なくともポリアリーレンエーテルケトン(芳香族ポリエーテルケトンともいう、PAEK)樹脂と無機フィラーとを含有した成形材料3により、押出成形法等の所定の成形法により成形される。このポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の厚さは、特に限定されるものではないが、積層体1のベースとしての強度や剛性、生産性、汎用性を考慮すると、10μm以上1000μm以下、好ましくは30μm以上250μm以下、より好ましくは50μm以上100μm以下が良い。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層2の表面の算術平均粗さRaは、0.1μm以上3μm以下、好ましくは0.2μm以上2μm以下、より好ましくは0.3μm以上1.5μm以下が良い。これは、算術平均粗さRaが0.1μm以上3μm以下の範囲内の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4の密着性が向上するからである。これに対し、算術平均粗さRaが0.1μm以上3μm以下の範囲外の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4の密着性が部分的に悪化するからである。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層2の表面の算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡により測定することができる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの300℃における貯蔵弾性率E’は、1000MPa以下が好ましく、より好ましくは900MPa以下、さらに好ましくは750MPa以下が良い。これは、貯蔵弾性率E’が1000MPa以下であれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4との密着性がさらに向上するからである。貯蔵弾性率E’の下限値は、0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上であれば、積層体1作製時の成形歪みがポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に生じにくく、熱収縮率が悪化しづらくなるので好ましい。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの330℃における貯蔵弾性率E’は、450MPa以下が好ましく、より好ましくは300MPa以下、さらに好ましくは220MPa以下が良い。これは、貯蔵弾性率E’が450MPa以下であれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4との密着性がさらに向上するからである。貯蔵弾性率E’の下限値は、0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上であれば、積層体1作製時の成形歪みがポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に生じにくく、熱収縮率が悪化しづらくなるので好ましい。
成形材料3のポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、アリーレン基、エーテル基、及びカルボニル基からなる熱可塑性の結晶性樹脂で、例えば特許5709878号公報や特許第5847522号公報、あるいは文献[株式会社旭リサーチセンター:先端用途で成長するスーパーエンプラ・PEEK(上)]等に記載された樹脂があげられ、融点が300℃~360℃であり、電気絶縁性、機械的性質、耐熱性、耐薬品性、耐放射線性、耐加水分解性、低吸水性、リサイクル性等に優れる。このポリアリーレンエーテルケトン樹脂の具体例としては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂等があげられる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、ビクトレックス社製の製品名:Victrex Powderシリーズ、Victrex Granulesシリーズ、ダイセル・エボニック社製の製品名:ベスタキープシリーズ、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の製品名:キータスパイア PEEKシリーズがあげられる。また、ポリエーテルケトンケトン樹脂の具体的な製品としては、アルケマ社製の製品名:KEPSTANシリーズがあげられる。ポリエーテルケトン樹脂の具体的な製品としては、ビクトレックス社製の製品名:HT G22、HT G45があげられる。また、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂の具体的な製品としては、ビクトレックス社製の製品名:ST G45が該当する。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、1種単独でも良いし、2種以上を混合して使用しても良く、共重合体でも良い。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、通常、粉末、顆粒型、ペレット型等の成形加工に適した形態で使用される。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば文献[株式会社旭リサーチセンター:先端用途で成長するスーパーエンプラ・PEEK(上)]に記載された製法が用いられる。
成形材料3の無機フィラーは、電気絶縁性や耐熱性等に優れるマイカ、剛性や耐熱性等に優れるタルク、及び熱伝導性・耐熱性・耐食性・電気絶縁性・潤滑・離型性に資する窒化ホウ素の少なくともいずれかとされ、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の熱寸法安定性を向上させるよう機能する。この無機フィラーは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対し、15質量部以上80質量部以下、好ましくは20質量部以上78質量部以下、より好ましくは25質量部以上75質量部以下配合される。
これは、無機フィラーの配合量が15質量部未満の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の線膨張係数を低下させることが容易ではなく、熱寸法安定性も向上しないからである。逆に、無機フィラーの配合量が80質量部を越える場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の機械的強度の維持が困難となり、ハンドリング性の確保も難しくなるからである。
無機フィラーの平均粒子径は、0.3μm以上50μm以下、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下、さらに好ましくは3μm以上10μm以下が良い。これは、無機フィラーの平均粒子径が0.3μm未満の場合には、無機フィラーが凝集しやすく、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂中における均一分散性が低下するという理由に基づく。
これに対し、無機フィラーの平均粒子径が50μmを越える場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の靱性が低下することがあるという理由に基づく。また、無機フィラーの平均粒子径が50μmを越える場合、無機フィラーがポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2からひどく突出し、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の製膜性が著しく低下するという理由に基づく。無機フィラーの平均粒子径は、公知のレーザ回析/散乱法により求めることができる。
無機フィラーのアスペクト比は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の線膨張係数を低減させる観点から、10以上200以下が良い。ここで、アスペクト比は、無機フィラーが鱗片状粉末の場合、粒子の径を厚みで割った値をいう。無機フィラーの具体的なアスペクト比は、10以上200以下、好ましくは10以上90以下、より好ましくは20以上80以下が良い。
これは、アスペクト比が10未満の場合には、加熱寸法安定性の改良効果が低く、しかも、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の押出方向と幅方向の機械的特性、及び加熱寸法安定性の異方性が大きくなり、不適切であるという理由に基づく。これに対し、アスペクト比が200を越える場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の靱性が低下するという理由に基づく。無機フィラーのアスペクト比は、SEM(走査型電子顕微鏡)の採寸により、無機フィラーの面方向の長さと厚さの測定値の平均から求めることができる。
無機フィラーがマイカの場合、マイカ(雲母ともいう)は、自然界で産出される天然マイカ(白雲母、黒雲母、金雲母等)と、タルクを主原料として人工的に製造される合成マイカの2種類に分類されるが、寸法安定性に資する合成マイカが最適である。合成マイカは、非膨潤性、膨潤性、親油性等に分類されるが、非膨潤性が好ましい。合成マイカの具体的な製品としては、ミクロマイカMKシリーズ[製品名:片倉コープアグリ株式会社製]があげられる。
タルクの具体的な製品としては、P‐8(ミクロエースシリーズ)[製品名:日本タルク株式会社製]、FG‐15[製品名:日本タルク株式会社製]が該当する。また、窒化ホウ素の具体的な製品としては、六方晶窒化ホウ素粉末 ショウビーエヌ(登録商標)/UHP‐S2[製品名:昭和電工株式会社製]が該当する。
樹脂接着層4は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点以下の融点でガラス転移温度が150℃よりも高い温度の樹脂により薄膜に形成され、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と銅箔5との間に介在されてこれらを強固に接着するとともに、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の吸水率を抑制し、積層体1であるフレキシブル基板の伝送特性の悪化を防止するよう機能する。この樹脂接着層4には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点(例えば、343℃)よりも5℃以上低い融点が求められるが、これは、樹脂接着層4に銅箔5を積層する場合の加工温度をポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点以下に調整し、加熱寸法収縮率を低減するためである。
樹脂接着層4の融点TmBは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点TmA-5℃以下が好ましく、TmA-8℃以下がより好ましく、TmA-10℃以下がさらに好ましい。これは、樹脂接着層4の融点TmBが係る温度範囲であれば、積層体1作製時の加工温度をポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に応力歪みが入りにくい温度に設定することができ、熱収縮率のさらなる低減が期待できるからである。
樹脂接着層4の具体例としては、少なくともガラス転移温度が150℃よりも高い温度のポリアリーレンエーテルケトン樹脂、より具体的には、高強度、高耐熱性、高剛性、耐衝撃性、難燃性、絶縁性、密着性、低吸水性、バリア性、耐摩耗性に優れるポリエーテルケトンケトン樹脂があげられる。このポリエーテルケトンケトン樹脂は、特に限定されるものではないが、化学式〔化1〕の繰り返し単位を有する樹脂である。
Figure 2022148547000002
さらに、詳しくは、化学式〔化2〕、化学式〔化3〕の繰り返し単位を有する樹脂である。
Figure 2022148547000003
Figure 2022148547000004
化学式〔化2〕と化学式〔化3〕の繰り返し単位は、ランダムな繰り返し、交互な繰り返し、ブロックな繰り返しの何れの繰り返しでも良い。
ここで、化学式〔化2〕及び化学式〔化3〕の単位比は、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(50/50)~(85/15)の範囲が良い。好ましくは(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(55/45)~(75/25)の範囲、さらに好ましくは(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(58/32)~(73/27)の範囲が良い。これは、係る範囲とすれば、結晶化速度が速く、機械的特性、耐溶剤性、耐熱性に優れるポリエーテルケトンケトン樹脂含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムを得ることができるからである。また、ポリエーテルケトンケトン樹脂の融点も365℃以下なので、一般的なプレス成形機やラミネート機で積層体1の作製が可能となり、機械の生産能力に制約を受けにくくなるからである。
また、化学式〔化2〕の単位比が50未満の場合には、ポリエーテルケトンケトン樹脂の結晶化度や結晶化速度が低下するため、このポリエーテルケトンケトン樹脂含有の成形材料より得られるポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの機械的特性、耐溶剤性、耐熱性が低下してしまうからである。逆に、単位比が90を越えたポリエーテルケトンケトン樹脂の場合には、ポリエーテルケトンケトン樹脂の融点とポリエーテルケトンケトン樹脂の分解温度が接近しているため、ポリエーテルケトンケトン樹脂含有の成形材料を溶融押出成形によりポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムを成形するとき、成形中にポリエーテルケトンケトン樹脂が熱分解してしまうおそれがあるからである。
樹脂接着層4の融点TmBは、無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点TmAより低ければ良いが、290℃以上343℃以下が好ましく、より好ましくは295℃以上335℃以下が良い。これは、係る範囲であれば、288℃のはんだ耐熱性に優れ、積層体1の熱収縮率の低減効果が増す傾向にあるからである。
樹脂接着層4用のポリエーテルケトンケトン樹脂の具体的な製品としては、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(60/40)で融点が300℃、ガラス転移点が156℃のKEPSTAN6002[製品名:アルケマ社製]、融点が302℃、ガラス転移点が157℃のKEPSTAN6003[製品名:アルケマ社製]、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(70/30)で融点が332℃、ガラス転移点が162℃のKEPSTAN7002[製品名:アルケマ社製]、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(80/20)KEPSTAN8002:アルケマ社製 融点:360℃ ガラス転移温度:165℃等が該当する。
このように樹脂接着層4にポリエーテルケトンケトン樹脂を採用することで、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2との接着界面の相互作用が増すため、両界面の密着性が向上すると考えられる。これは、ポリエーテルケトンケトン樹脂のカルボニル基と、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2のカルボニル基とが相互作用してポリエーテルケトンケトン樹脂含有の接着層4とポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2との界面密着性が向上すると推測されるからである。
樹脂接着層4とポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2とが共にポリエーテルケトンケトン樹脂製の場合、樹脂接着層4の融点は、ポリエーテルケトンケトン樹脂の種類の選別により調整される。また、樹脂接着層4の厚さは、特に限定されるものではないが、フレキシブル基板に要求される288℃のはんだ耐熱性とフレキシブル基板のカール防止の必要性を考慮すると、0.5μm以上25μm以下、好ましくは2μm以上18μm以下、より好ましくは4μm以上13μm以下の範囲とされる。
樹脂接着層4には、製膜性、塗膜性、吸水率に悪影響を及ぼさない範囲で無機フィラーや有機フィラーのような充填材を含んでも良い。この充填材の種類は、特に限定されるものではないが、無機フィラーとして、例えば、タルク、マイカ、シリカ、窒化ホウ素等があげられ、有機フィラーとして、アラミド繊維があげられる。これらの無機フィラーや有機フィラーは、特に形状を問わず、針状、板状、鱗片状、球状、繊維状であっても構わない。
銅箔5は、例えば厚さ1μm以上35μm以下、好ましくは10μm以上13μm以下の薄い圧延銅箔又は電解銅箔からなり、樹脂接着層4に熱圧着法により積層される。この銅箔5の具体的な製品としては、例えば電解銅箔TQ‐M7VSP[製品名:三井金属鉱業株式会社製]、圧延銅箔HA‐V2タイプ[製品名:JX金属株式会社製]等があげられる。
次に、積層体1の製造方法について説明する。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2や樹脂接着層4は、溶融押出成形法、カレンダー成形法、あるいはキャスティング法等の公知の製造法により製造することができるが、ハンドリング性や製造設備の簡略化を考慮すると、溶融押出成形法により押出成形されるのが好適である。この溶融押出成形法で例えばポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を製造する場合、押出成形機を使用して成形材料3を溶融混練し、押出成形機のTダイス15からポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を押し出して冷却することにより、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を製造することができる。
上記において、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を製造する場合には図4に示すように、先ず、溶融押出成形機10の原料投入口11に用意した成形材料3を好ましくは不活性ガスを供給しながら投入し、成形材料3を熱分解温度以下に加熱した溶融押出成形機10中で溶融混練する。溶融押出成形機10は、特に限定されるものではないが、例えば単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機等が使用される。
溶融押出成形機10の後部上方には、ホッパからなる原料投入口11が設置され、この原料投入口11には、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス(図4の矢印参照)を外部から導入する不活性ガス供給管12が接続されており、この不活性ガス供給管12からの不活性ガスにより、成形材料3のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の酸化劣化や変色が有効に防止され、かつ成形材料3の乾燥度を向上させることができる。
溶融押出成形機10の前部には連結管13が水平に接続され、この連結管13には、成形材料3中のゲルや異物を除去するフィルタと、溶融押出成形機10からTダイス15に成形材料3を軟化させながら、一定速度で高精度に移送するギアポンプ14とが並べて嵌着される。
連結管13の先端部には、溶融したゲル状のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2をリップ口から高精度に押し出すTダイス15が装着され、このTダイス15の下方には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2用の冷却ロール16が複数(本実施形態では3本)並べて軸支されるとともに、この複数の冷却ロール16を挟持して摺接する一対の圧着ロール17が回転可能に軸支されており、この圧着ロール17の下流には、巻芯18にポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を巻き取る巻取機19が設置される。
各冷却ロール16は、例えば一対の圧着ロール17よりも拡径の金属ロールからなり、Tダイス15の下方に回転可能に軸支されて押し出された高温のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を圧着ロール17等との間に挟持し、圧着ロール17と共にポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を短時間で冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御するよう機能する。この冷却ロール16の温度調整方法や冷却方法としては、特に限定されるものではないが、例えば空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒータや誘電加熱等の方法があげられる。
各圧着ロール17は、例えば表面が金属の金属弾性ロールが使用され、この金属弾性ロールが使用される場合には、表面が平滑性に優れるポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の成形が可能となる。圧着ロール17と巻取機19との間には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2にテンションを作用させるテンションロール20が回転可能に軸支されるとともに、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の両側部を切断するスリット刃21が上下動可能に配設される。
成形材料3を溶融押出成形機10の原料投入口11に投入する場合、成形材料3のポリアリーレンエーテルケトン樹脂と無機フィラーを、溶融押出成形機10の原料投入口11にまとめて投入しても良いし、個別に投入しても良い。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂と無機フィラーを溶融混練して成形材料3を調製し、この成形材料3を顆粒タイプに形成した後に溶融押出成形機10の原料投入口11に投入しても良い。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の溶融混練前における含水率は、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下に調整される。これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の溶融混練前における含水率が2000ppmを越える場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が発泡するおそれがあるからである。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の溶融混練前の含水率の下限は、特に限定されるものでないが、100ppm以上が良い。
溶融押出成形機10の溶融混練時におけるポリアリーレンエーテルケトン樹脂の温度は、溶融可能でポリアリーレンエーテルケトン樹脂が分解しない温度であれば、特に制限されるものではないが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の熱分解温度未満の範囲が良い。これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点未満の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の成形材料3を溶融押出成形することができず、逆に熱分解温度を越える場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が激しく分解するおそれがあるという理由に基づく。
成形材料3を溶融押出成形機10中で溶融混練したら、溶融押出成形機10の先端部のTダイス15から帯形のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を連続的に押出成形し、このポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を、複数の冷却ロール16、一対の圧着ロール17、テンションロール20、及び巻取機19の巻芯18に順次巻架するとともに、複数の冷却ロール16に摺接させて冷却し、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の両側部をスリット刃21でそれぞれカットして体裁を整えた後、巻取機19の巻芯18に順次巻き取ってポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の原反とすれば、薄膜のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を製造することができる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と冷却ロール16との密着時間は、特に限定されるものではないが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を瞬時に冷却する観点からすると、0.1秒以上120秒以下、好ましくは0.5秒以上40秒以下、より好ましくは1秒以上30秒以下が最適である。また、製造されたポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2には、公知の樹脂フィルム用のアニール処理機により熱を加え、アニール処理しても良い。この場合のアニール処理温度は、150℃以上300℃以下が好ましい。
次いで、樹脂接着層4用の成形材料を用意して溶融押出成形機中で溶融混練し、溶融押出成形機の先端部のTダイスから帯形の樹脂接着層4を連続的に押出成形し、この樹脂接着層4を、複数の冷却ロール、一対の圧着ロール、テンションロール、及び巻取機の巻芯18に順次巻架するとともに、複数の冷却ロールに摺接させて冷却し、樹脂接着層4の両側部をスリット刃でそれぞれカットして体裁を整えた後、巻取機の巻芯18に順次巻き取って樹脂接着層4の原反とすれば、薄膜フィルムの樹脂接着層4を製造することができる。樹脂接着層4用の溶融押出成形機は、図示しないが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2用の溶融押出成形機10と略同様である。
次いで、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の全表面にフィルム形の樹脂接着層4を直接積層するとともに、この樹脂接着層4の全表面に用意した銅箔5を直接積層し、これらを熱圧着すれば、三層構造の積層体1を製造することができる。この際、熱圧着時における加工温度は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点温度がTmA、樹脂接着層4の融点温度がTmBの場合、TmB-20℃以上TmA以下とされる。例えば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点温度TmAが343℃、樹脂接着層4の融点温度TmBが約307℃の場合、約287℃以上343℃以下の加熱温度で熱圧着される。
これは、係る温度範囲であれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2が溶けない融点以下の温度で銅箔5を樹脂接着層4を介して積層することができるので、寸法特性が悪化したり、銅箔5が剥離するのを防止し、しかも、伝送特性の悪化を抑制することができるからである。
加工温度は、より好ましくはTmB以上TmA以下、さらに好ましくはTmB+5℃以上TmA-5℃以下が良い。これは、積層体1の部分的な密着性ムラが減少し、積層体1のはんだ耐熱性が向上するという理由に基づく。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の樹脂接着層4に積層体1作製時の応力歪みが入りにくく、熱収縮率を抑えることができるという理由に基づく。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2や樹脂接着層4の融点(Tm)は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121に準拠して測定することができる。具体的には、成形した樹脂フィルムや樹脂接着層から測定用試料を切り出し、示差走査熱量計で10℃/minの昇温速度で10℃から400℃の範囲を測定した熱分析結果より、吸熱ピークのピークトップの値を読み取る。2つ以上のピークが存在する場合には、それらのうち、ベースラインからの高さが最も大きいピークトップの値を融点とすれば良い。
積層体1を製造する場合、四層構造の積層体1を製造するときには、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の全表裏面にフィルム形の樹脂接着層4をそれぞれ積層すれば良い。また、五層構造の積層体1を製造するときには、各樹脂接着層4の全表面に銅箔5を積層すれば良い。
積層体1を製造する場合、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2、樹脂接着層4、及び銅箔5を順次積層してこれらを熱圧着しても良いが、何らこの方法に限定されるものではない。例えば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2を溶融押出成形してその全表面にフィルム形の樹脂接着層4を溶融押出成形して積層し、この樹脂接着層4の全表面に繰出機の繰出ロールから繰り出した銅箔5を繰り出して積層し、これらを加熱された加熱ロールと圧着ロール17との間に挟んで熱圧着しても良い。
この際、熱圧着時における加熱ロールの温度は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点温度がTmA、樹脂接着層4の融点温度がTmBの場合、TmB-20℃以上TmA以下が好ましい。例えば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の融点温度TmAが343℃、樹脂接着層4の融点温度TmBが約307℃の場合、約287℃以上343℃以下の加熱温度で熱圧着される。これは、係る温度範囲であれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2が溶けない融点以下の温度で銅箔5を樹脂接着層4を介して積層することができるからである。
上記によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に銅箔5が樹脂接着層4を介して間接的に積層されるので、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が溶けた状態で銅箔5に直接接着されることがなく、例え後に150℃~160℃の温度で乾燥に供されても、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2が熱収縮することがない。したがって、回路パターンの寸法特性が悪化したり、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2から密着していた銅箔5が剥離するという問題を防止することができる。
また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の全表面を被覆する樹脂接着層4の吸水率が低いので、例えフレキシブル基板が高湿下で使用されても、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2が湿度により悪影響を蒙ることがない。したがって、誘電率や誘電正接が悪化して伝送特性が低下するのを防止することができる。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に含まれる無機フィラーがポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2の表面から僅かに突出した状態であると考えられるので、この突出した無機フィラーと樹脂接着層4とで密着性の向上が発現し、結果として、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4との層間の密着性が向上すると推測される。
さらに、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2に対し、コロナ処理やプラズマ処理等の表面改質を実施すれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2と樹脂接着層4との密着性を向上させることができる。
なお、上記実施形態の成形材料3には、本発明の特性を損なわない範囲で上記樹脂や無機フィラーの他、炭酸カルシウム、非晶質シリカ、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機化合物、有機化合物等を選択的に添加しても良い。また、樹脂接着層4に導電性の金属層として銅箔5を積層したが、導電性の金属層としてニッケル合金の薄膜と銅箔5とを順次積層しても良い。また、スパッタリング法により樹脂接着層4に金属層を積層しても良い。さらに、冷却ロール16の本数は、必要に応じ、増減することができる。
以下、本発明に係る積層体及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
先ず、実施例と比較例に使用する12種類のポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1~12と、比較例に使用するポリイミド樹脂フィルム13とを図4に示す製造装置でフィルム幅530mmに溶融押出成形し、これら溶融押出成形した各樹脂フィルムの吸水率、線膨張係数(CTE)、融点、算術平均粗さRa、貯蔵弾性率を可能な限り測定して表1、2、3にまとめた。
成形材料の作製
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂又はポリイミド樹脂を、同方向回転二軸押出機[φ25mm、L/D=41、製品名 TEX25αIII:日本製鋼所社製]のスクリュー根元付近に設けられた第一供給口であるホッパーに投入した。また、無機フィラーを、同方向回転二軸押出機の大気圧に開放されたベント口のすぐ隣のサイドフィーダーの第二供給口より強制圧入した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂又はポリイミド樹脂を投入し、無機フィラーを強制圧入したら、これらを同方向回転二軸押出機のバレルの温度:200℃~380℃、スクリューの回転数:350rpm、時間当たりの吐出量:7.2kg/hrの条件下で溶融混練し、ストランド状に押出成形し、このストランド状の押出成形物を空冷固化した後、ペレット状にカッティングして成形材料を作製した。
樹脂フィルムの成形
成形材料をTダイスを備えたφ40mm単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出し、その後、230℃の冷却ロールである金属ロールで冷却することにより、所定の厚さのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム又はポリイミド樹脂フィルムを製造した。ここで、φ40mm単軸押出成形機の温度は360℃~400℃、Tダイスの温度は400℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は400℃にそれぞれ調整した。
実施例と比較例の樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂の場合には、融点が343℃、ガラス転移温度が147℃のVictrex381G[製品名:ビクトレックス株式会社製]、又は融点が341℃、ガラス転移温度が147℃のVictrex450G[製品名:ビクトレックス株式会社製]を使用した。また、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂の場合には、融点が300℃、ガラス転移温度が156℃のKEPSTAN6002[製品名:アルケマ社製]、融点が331℃、ガラス転移温度が163℃のKEPSTAN7002[製品名:アルケマ社製]、又は融点が360℃、ガラス転移温度が165℃のKEPSTAN8002[製品名:アルケマ社製]を使用した。
樹脂の融点及びガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して差走査熱量計を用いて測定した。具体的には、成形した樹脂フィルムから測定用試料を約5mg切り出し、示差走査熱量計で10℃/minの昇温速度で10℃から400℃の範囲を測定して融点及びガラス転移温度を測定した。
実施例と比較例の無機フィラーとしては、平均粒子径が3.0μm、アスペクト比が40の非膨潤性合成マイカ MK-100DS[製品名:片倉コープアグリ株式会社製]、平均粒子径が1.5μm、アスペクト比が25のタルク FG-15[製品名:日本タルク株式会社製]、平均粒子径が3.3μm、アスペクト比が50のタルク P-8[製品名:日本タルク株式会社製]、又は平均粒子径が0.7μm、アスペクト比が12の窒化ホウ素 UHP-S2[製品名:昭和電工株式会社製]を用いた。
無機フィラーの平均粒子径は、レーザー回折散乱法により粒子径分布を測定し、平均粒子径を求めた。また、無機フィラーのアスペクト比は、SEM(走査型電子顕微鏡)の採寸により、無機フィラーの面方向の長さと厚さの測定値の平均から求めた。
樹脂フィルムの特性
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム等の樹脂フィルムの吸水率は、JIS K 7209A法に基づき、23℃水浸漬×24時間の条件で測定した。水は純水を使用し、浸水前後の重量変化から吸水率を求めた。
樹脂フィルムの線膨張係数(CTE)は、樹脂フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)について測定した。具体的には、樹脂フィルムの押出方向の線膨張係数を測定する場合には、押出方向20mm×幅方向4mm、幅方向の線膨張係数を測定する場合には、押出方向4mm×幅方向20mmの大きさに切り出して測定した。線膨張係数の測定に際しては、熱機械分析装置[製品名:SII//SS7100 日立ハイテクサイエンス株式会社製]を用いた引張モードにより、荷重50mN、昇温速度5℃/minの条件で10℃から200℃の範囲で測定し、25℃から125℃までの範囲の傾きから線膨張係数(ppm/℃)を求めた。
樹脂フィルムの融点TmAは、JIS K 7121に準拠して測定した。具体的には、溶融押出成形した樹脂フィルムから測定用試料を約5mg秤量し、示差走査熱量計[エスアイアイ・テクノロージーズ社製: 高感度型示差走査熱量計 X-DSC 7000]を使用して昇温速度10℃/min、測定温度範囲20℃から380℃まで加熱して測定した。
樹脂フィルムの算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡[製品名 LEXT OLS4100:オリンパス株式会社製]を用いた非接触方式により測定した。この測定の際、樹脂フィルムの製造装置の冷却ロールと接して成形されたフィルム面側を冷却ロール面側Raとし、製造装置の圧着ロールと接して成形されたフィルム面側を圧着ロール面側Raとした。
樹脂フィルムの貯蔵弾性率は、溶融押出成形したポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの押出方向の貯蔵弾性率(E’)を測定した。貯蔵弾性率は、具体的には、成形したポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムの押出方向60mm×幅方向(押出方向の直角方向)6mmの大きさに切り出し、動的粘弾性測定装置[製品名:RSA-G2 ティー・エス・インスルメント・ジャパン社製]を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1 % 、昇温速度3℃ /min、チャック間21mmの条件で測定した。測定温度範囲は、-60℃~360℃とし、300℃と330℃の貯蔵弾性率を読み取った。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。また、無機フィラーは、合成マイカである平均粒子径3μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径3.3μmの微粉タルク[製品名 ミクロエースシリーズP‐8:日本タルク株式会社製]に変更した。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、厚さ50μmと100μmにそれぞれ溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径1.5μmのタルク[製品名 FG‐15:日本タルク株式会社製]に変更した。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム4は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー38質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径0.7μmの窒化ホウ素[製品名 UHP‐S2:昭和電工株式会社製]に変更した。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム5は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー25質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex450G:ビクトレックス株式会社製]に変更した。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径1.5μmのタルク[製品名 FG‐15:日本タルク株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム6は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex450G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径1.5μmのタルク[製品名 FG‐15:日本タルク株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム5と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム7は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー65質量部とを含有した成形材料により、溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。また、無機フィラーは、平均粒子径5μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム8は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部、及び無機フィラー65質量部を含有した成形材料により、溶融押出成形した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、Victrex381G[製品名:ビクトレックス株式会社製]とした。また、ポリエーテルイミド樹脂は、ULTEM1010[製品名:SABIC社製]を選択した。無機フィラーは、平均粒子径5μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。また、製造時の冷却ロールの温度は、290℃に変更した。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム7と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム9は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、溶融押出成形した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルケトンケトン樹脂[製品名 KEPSTAN(登録商標) PEKK8002:アルケマ株式会社製]に変更した。また、無機フィラーは、平均粒子径5μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム10は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、溶融押出成形して表面粗さを小さくした。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。また、無機フィラーは、平均粒子径5μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム11は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、溶融押出成形して表面粗さを小さくした。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径1.5μmのタルク[製品名 FG‐15:日本タルク株式会社製]とした。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3と同様である。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム12は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と無機フィラー38質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形して表面粗さを小さくした。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[製品名 Victrex381G:ビクトレックス株式会社製]とした。これに対し、無機フィラーは、平均粒子径0.7μmの窒化ホウ素[製品名 UHP‐S2:昭和電工株式会社製]に変更した。その他の部分については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム4と同様とした。
比較例用のポリイミド樹脂フィルム13は、ポリイミド樹脂100質量部と無機フィラー45質量部とを含有した成形材料により、厚さ100μmに溶融押出成形した。ポリイミド樹脂は、熱可塑性ポリイミド樹脂[製品名 サープリム(登録商標)TO65:三菱ガス化学株式会社製]とした。また、無機フィラーは、合成マイカである平均粒子径3μm・アスペクト比40の非膨潤性雲母[製品名 ミクロマイカMK‐100DS:片倉コープアグリ株式会社製]とした。
Figure 2022148547000005
Figure 2022148547000006
Figure 2022148547000007
樹脂フィルムを製造したら、銅箔、樹脂接着層、樹脂フィルム、樹脂接着層、及び銅箔を適宜積層し、この積層体を熱圧着して実施例用と比較例用の積層体を作製した。樹脂接着層の融点とガラス転移温度は、樹脂接着層がポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂接着層の場合、KEPSTAN6002が融点:300℃、ガラス転移温度:156℃、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(60/40)であり、KEPSTAN7002が融点:331℃、ガラス転移温度:163℃、(化学式〔化2〕/化学式〔化3〕)=(70/30)である。また、PEEK 450Gが融点:341℃、ガラス転移温度:147℃である。
樹脂接着層の融点とガラス転移温度については、JIS K 7121に準拠して測定した。具体的には、溶融押出成形した樹脂接着層用フィルムから測定用試料を約5mg秤量し、示差走査熱量計〔エスアイアイ・テクノロージーズ社製: 高感度型示差走査熱量計 X-DSC 7000〕を使用して昇温速度10℃/min、測定温度範囲20℃から380℃まで加熱して測定することで、融点とガラス転移温度を求めた。
〔実施例1〕
320mm×320mmにカットした銅箔、300×210mmにカットした樹脂接着層、300×210mmにカットした厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1、300×210mmにカットした樹脂接着層、及び320mm×320mmにカットした銅箔を順次積層し、この積層体を厚み1mmのSUS板で挟み、熱板を310℃に設定した熱プレス機で、面圧4MPa、5分間熱圧着してから取り出すことで、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。
各樹脂接着層及びポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1は、MD方向が300mmに、TD方向が210mmになるようにカットした。各樹脂接着層は、ポリエーテルケトンケトン樹脂[製品名KEPSTAN6002:アルケマ社製]を用いて厚さ5μmに溶融押出成形した。また、各銅箔は、厚さ12μmのTQ‐M7VSP[製品名:三井金属鉱業株式会社製]を使用した。
・積層体の熱収縮率
積層体の熱収縮率については、積層された銅箔を塩化鉄水溶液で溶かして銅箔を除去した樹脂接着層付きのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムを試験体として調製し、150℃×30分の条件下で測定し、積層体のMD方向とTD方向について測定した。具体的には、先ず、加熱前の積層体の長さを測定し、市販されているポリイミド樹脂フィルム[製品名カプトン100H:東レ・デュポン社製]の上に積層体を置き、熱風循環式恒温槽内に、規定する時間、及び温度で処理した後、室温まで冷却し、先に測定した同じ部分について積層体の長さを測定した。寸法の測定に際しては、2次元測長機[製品名:VMH600 ミノグループ社製]を用いた。
加熱収縮率は、次の式で求め、0.1未満を目標値とした。
寸法変化率(%)=100×(Lo-L)/Lo
Lo:試験前の積層体長さ
L :試験後の積層体長さ
・積層体の比誘電率・誘電正接
積層体の比誘電率・誘電正接については、電子計測器[製品名 コンパクトUSBベクトルネットワークアナライザ MS46122B:Anritsu社製]を用い、開放型共振器法の一種であるファブリペロー法により、周波数28GHz付近の乾燥時と浸水24時間後の比誘電率・誘電正接をそれぞれ測定した。
具体的には、銅箔を塩化鉄水溶液で溶かして除去した樹脂接着層付きポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムを100×100mmにカットし、このカットした試験片を、110℃に設定した恒温乾燥機に1時間入れて乾燥させてから取り出し、取り出してから5分以内にファブリペロー法により測定した値を浸水前の比誘電率・誘電正接とした。浸水24時間後の測定については、浸水前の比誘電率・誘電特性を測定した試験片を、イオン交換水に24時間浸水させてから取り出し、ペーパーで積層体表面に付着した水を拭き取った。その後、23±2℃、50±10%RHの環境下で5分間放置してから、ファブリペロー法により測定した。乾燥時と浸水24時間後の測定は、全て23±2℃、50±10%RHの測定環境下で実施した。
共振器は、開放型共振器〔製品名 ファブリペロー共振器 Model No.DPS03:キーコム社製〕を使用した。測定に際しては、開放型共振器冶具の試料台上に積層体を載せ、ベクトルネットワークアナライザー用いて開放型共振器法の一種であるファブリペロー法で測定した。具体的には、試料台の上に積層体を載せない状態と、積層体を載せた状態の共振周波数の差を利用する共振法により、比誘電率と誘電正接とを測定した。測定に用いた具体的な周波数は、28GHzとした。浸水24時間後における誘電正接tanδの値は、0.0070未満を目標値とした。
誘電正接tanδは、浸水前の数値と浸水後の数値との比率が0.6~2.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.7~1.5の範囲が良い。例えば、乾燥時のtanδが0.0030であり、浸水後のtanδが0.0045であった場合は、上記比率は0.0045/0.0030=1.5となる。また、浸水前のtanδが0.0030で、浸水後のtanδが0.0025であった場合、上記比率は0.0025/0.0030=0.83となる。これは、積層体のtanδが、係る範囲を越えて変動すると、プリント配線板の回路パターン設計が著しく困難になり、伝送特性に悪影響を及ぼす可能性があるためである。
・積層体のはんだ耐熱
積層体のはんだ耐熱については、積層体を288℃のはんだ浴に10秒間浮かべ、室温まで冷却した後、積層体の変形やシワの発生の有無を目視により観察して○×評価した。
○:積層体に変形やシワの発生が認められない場合
×:積層体に変形やシワの発生が認められた場合
・積層体の密着性
積層体の密着性については、積層体をカットして幅25mmの試験体とし、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)を参考に、剥離速度0.3mm/min、剥離角180°にて、積層体を支持体に固定し、銅箔を引張治具に固定し、積層体から銅箔を引張った際の剥離強度を測定することにより、密着強度(密着性)を測定した。密着性については以下の基準にて〇△×評価した。
〇:密着性が7N/cm以上で、問題がない。
△:密着性が5N/cm以上7N/cm未満で、実用上問題はないが、不具合が発生
する危険性が示唆される。
×:密着性が5N/cm未満で、実用上問題が発生する。
実施例及び比較例に示す積層体の密着性試験における剥離界面は、全てポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層であった。
〔実施例2〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム2、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔実施例3〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔実施例4〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ8μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、厚さ8μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔実施例5〕
厚さ12μmの銅箔、樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して337℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。
各樹脂接着層は、融点が331℃、ガラス転移点が163℃のポリエーテルケトンケトン樹脂[製品名KEPSTAN7002:アルケマ社製]を用いて厚さ12.5μmに溶融押出成形した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔実施例6〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ50μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔実施例7〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4にまとめた。その他の部分については、実施例5と同様とした。
〔実施例8〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム4、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例9〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム5、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表4に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
Figure 2022148547000008
〔実施例10〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム6、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例11〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム7、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例12〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム8、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例13〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム9、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例14〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、及び厚さ5μmの樹脂接着層を順次積層して360℃で熱圧着することにより、四層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例15〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3を順次積層して310℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例16〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3を順次積層して310℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例17〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム10を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例18〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム11を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔実施例19〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム12を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表5に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
Figure 2022148547000009
〔比較例1〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6にまとめた。その他の部分については、実施例1である。
〔比較例2〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6にまとめた。その他の部分については、実施例1である。
〔比較例3〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6にまとめた。その他の部分については、実施例1である。
〔比較例4〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ50μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム3、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して360℃で熱圧着することにより、三層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6に記載した。その他の部分については、実施例1である。
〔比較例5〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ8μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム1、厚さ8μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して336℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
〔比較例6〕
厚さ12μmの銅箔、厚さ5μmの樹脂接着層、厚さ100μmのポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム13、厚さ5μmの樹脂接着層、及び厚さ12μmの銅箔を順次積層して310℃で熱圧着することにより、五層構造の積層体を作製し、この積層体の熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を測定してその結果を表6に記載した。その他の部分については、実施例1と同様である。
Figure 2022148547000010
〔評 価〕
実施例1~16の積層体の場合、樹脂接着層の融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点よりも低く、樹脂接着層のガラス転移温度が150℃よりも高い温度なので、優れた熱収縮率、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱、密着性を得ることができた。実施例1~16の積層体の場合、表面粗さが小さいので、密着性が低下したものの、実用性に支障を来すことはなかった。
これに対し、比較例1、2の積層体の場合、樹脂接着層が省略され、しかも、熱圧着時の加工温度がポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点以上の360℃なので、熱収縮率が悪化し、実用性が低下した。また、比較例3、4の積層体の場合、樹脂接着層の省略により、密着性が低下し、実用性に疑義が生じた。また、比較例5の積層体の場合、樹脂接着層の融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルムよりも高いので、密着性が悪化した。さらに、比較例6の積層体の場合、浸水後の誘電正接が高く、実用性に深刻な疑義が生じた。
本発明に係る積層体及びその製造方法は、電気、電子、通信、半導体等の分野で使用される。
1 積層体
2 ポリアリーレンエーテルケトン樹脂フィルム(ポリアリーレンエーテルケトン
樹脂層)
4 樹脂接着層
5 銅箔(金属層)
10 溶融押出成形機
15 Tダイス
16 冷却ロール
17 圧着ロール
19 巻取機

Claims (13)

  1. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の少なくとも片面に、融点がポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点よりも5℃以上低いポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の樹脂接着層を積層し、この樹脂接着層に金属層を積層したことを特徴とする積層体。
  2. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対し、無機フィラーが15質量部以上80質量部以下配合される請求項1記載の積層体。
  3. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、線膨張係数が1ppm/℃以上50ppm/℃以下である請求項1又は2記載の積層体。
  4. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、算術平均粗さRaが0.1μm以上3μm以下である請求項1、2、又は3記載の積層体。
  5. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、300℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の積層体。
  6. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層は、330℃における貯蔵弾性率が450MPa以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の積層体。
  7. 無機フィラー含有のポリアリーレンエーテルケトン樹脂層のJIS K 7209:2000 A法に準拠して測定した23℃の純水に24時間浸水させた後の吸水率が0.5%以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の積層体。
  8. ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の無機フィラーを、平均粒子径が0.3μm以上50μm以下のマイカ、タルク、及び窒化ホウ素の少なくともいずれかとした請求項1ないし7のいずれかに記載の積層体。
  9. 無機フィラーのアスペクト比を10以上200以下とした請求項1ないし8のいずれかに記載の積層体。
  10. 樹脂接着層は、厚さ0.5μm以上25μm以下に形成されて積層される請求項1ないし9のいずれかに記載の積層体。
  11. 樹脂接着層は、ポリエーテルケトンケトン樹脂からなる請求項1ないし10のいずれかに記載の積層体。
  12. 樹脂接着層は、ポリエーテルケトンケトン樹脂からなり、ガラス転移点温度が150℃以上である請求項1ないし11のいずれかに記載の積層体。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層と樹脂接着層とをそれぞれ成形し、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の少なくとも片面に樹脂接着層を積層し、樹脂接着層には金属層を積層し、これらを熱圧着するとともに、これらの熱圧着時における加工温度を、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂層の融点温度をTmA、樹脂接着層の融点温度をTmBとした場合に、TmB以上TmA-5℃以下とすることを特徴とする積層体の製造方法。
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