JP2022148374A - シール付軸受 - Google Patents

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紘平 酒井
Kohei Sakai
拓史 佐藤
Takushi Sato
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Abstract

【課題】シール摺動面とシール部材のシールリップ間をシールリップの複数の突起によって流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起とシール摺動面の摺動部の面積を大きくする。【解決手段】突起12は、シール摺動面11に対する接線方向に延びる平面状等の平坦な先端部12aを有する。その先端部12aの周方向幅をDとし、シール摺動面11の曲率半径をR1として、D/R1≧0.00075を満足する。これにより、先端部12aとシール摺動面11の摺動部を周方向に拡大する。【選択図】図5

Description

この発明は、転がり軸受及びシール部材を備えるシール付軸受に関する。
転がり軸受の早期破損を防止するため、シール部材が利用されている。例えば、自動車、各種建設用機械等の車両に搭載されたトランスミッション内にはギアの摩耗粉等の異物が混在するため、シール部材により、摩耗粉等の軸受内部への侵入を防止している。
一般に、シール部材は、ゴム状材料等の弾性材で環状に形成されたシールリップを有する。軌道輪、スリンガ等、軸受回転に伴ってシール部材に対して周方向に相対回転する相手部品には、シールリップと摺接するシール摺動面が形成されている。
一般的なシール部材は、シールリップとシール摺動面が全周で滑り接触し、微視的には固体接触領域を伴っている。シールリップの引き摺り抵抗(シールトルク)は、軸受トルクの上昇を招く。また、その滑り接触は、転がり軸受の温度上昇の一因となる。また、軸受内部が外部に対してシール部材で閉塞されるので、軸受内部と外部間の圧力差によってシールリップがシール摺動面に押し付けられる吸着作用が生じてシールトルクが増大することがある。これらのことから、一般的なシール部材では、軸受の高速運転に限界がある。
シール部材のシールリップを相手部品と非接触に配置し、ラビリンスシールを形成すれば、シールトルクを無くすことは可能だが、シール部材及び相手部品間の隙間の大きさについて所定粒径の異物侵入を防止できるような各種誤差の管理が難しい。
これに対し、シールリップが周方向に並んだ複数の突起を有し、これら複数の突起が周方向に隣り合う突起同士の間を通じて軸受内部と外部に連通する隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って隙間から突起とシール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によってシールリップ及びシール摺動面間を流体潤滑状態にすることができるシール付軸受が提案されている(特許文献1)。
特許文献1のシール付軸受は、所定粒径の異物侵入を防ぐことが可能な隙間を通じて転がり軸受の内部空間と外部間での潤滑油の流通を許すことにより、シール摺動面上での潤滑油を潤沢とし、軸受回転に伴って潤滑油を突起とシール摺動面間に引き摺り込ませる際のくさび効果により、油膜を厚く形成して各突起とシール摺動面を油膜で完全に分離させ、シールリップとシール摺動面間を流体潤滑状態にすることができる。このため、特許文献1のシール付軸受によれば、所定粒径の異物侵入を防ぎつつ軸受の高速運転に対応可能でありながら、シールトルクを著しく低減することができる。
国際公開第2016/143786号
特許文献1のシール付軸受のように、シールリップの突起とシール摺動面間のくさび効果で流体潤滑状態を実現する場合、突起の全幅に凸円孤面状の先端部を形成すると、優れたくさび効果を得ることができ、低速時から流体潤滑状態に移行させるのに好適である反面、流体潤滑状態に移行した後、突起の凸円弧面状の先端部とシール摺動面の摺動部(ヘルツ接触領域)の面積が比較的小さく、このため、摺動部での面圧を抑えて潤滑油のせん断抵抗を抑制することにとって不利となる。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、シール摺動面とシール部材のシールリップ間をシールリップの複数の突起によって流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起とシール摺動面の摺動部の面積を大きくすることにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、転がり軸受の内部空間を外部に対して密封するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に摺動するシール摺動面とを備え、前記シール部材は、弾性材により環状に形成されたシールリップを有し、前記シールリップは、周方向に並んだ複数の突起を有し、前記複数の突起は、周方向に隣り合う前記突起同士の間に隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って前記隙間から前記突起と前記シール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によって前記シールリップ及び前記シール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能な態様で形成されているシール付軸受において、前記突起は、前記シール摺動面に対する接線方向に延びる平面状又は前記シール摺動面と同方向に曲がりかつ前記シール摺動面の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成された先端部を有し、前記先端部の周方向幅をDとし、前記シール摺動面の曲率半径をR1として、D/R1≧0.00075を満足している構成を採用した。
上記構成のように、突起の先端部をシール摺動面に対する接線方向に延びる平面状又はシール摺動面と同方向に曲がりかつシール摺動面の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成し、その周方向幅Dをシール摺動面の曲率半径R1の0.00075倍以上にすれば、突起の先端部を凸円孤面状にする場合に比して突起の先端部とシール摺動面間に油膜が介在する摺動部を周方向に拡大して摺動部の面積を大きくすることができる。
前記突起の前記先端部は、前記シール摺動面と同方向に曲がりかつ前記シール摺動面の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成されているとよい。このような凹曲面状の先端部は、前記平面状の先端部に比して前述の摺動部を周方向により拡大して摺動部の面積を大きくすることができる。
より好ましくは、前記突起の前記先端部は、前記シール摺動面の曲率と同等の曲率をもった凹曲面状に形成されていることにより、先端部の周方向幅を最大限に活用して前述の摺動部の面積を大きくすることができる。
また、前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部と、これら両側の接続部からそれぞれ前記突起の根元まで連続する端部とを有し、これら両側の端部は、前記突起の根元側に向かって互いに周方向に遠ざかる方へ傾斜した斜面状に形成されているとよい。このようにすると、突起を周方向に横断する方向に切断した断面(周方向横断面)は略台形状となるため、シール摺動面と突起間の相対回転の方向がいずれであっても、突起の根元側での弾性変形を抑えて、斜面状の端部から先端部までシール摺動面との間に一連のくさび状隙間を形成することができる。
また、前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部と、これら両側の接続部からそれぞれ前記突起の根元まで連続する端部とを有し、これら両側の端部は、互いに平行な平面状に形成されているとよい。このようにすると、突起の周方向横断面は略矩形状となるため、突起の先端部の周方向幅を大きくする場合に好適である。
また、前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部を有し、これら接続部は、それぞれ前記突起の根元まで連なる円孤面状に形成されているとよい。このようにすると、シール摺動面と突起間の相対回転の方向がいずれであっても、突起の根元側での弾性変形を抑えて、接続部から先端部までシール摺動面との間に一連のくさび状隙間を形成することができる。
この発明に係るシール付軸受は、例えば、車両のトランスミッション、ディファレンシャル、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機及びホイール軸受の中のいずれか一つの回転部を支持する用途に好適である。
この発明は、上記構成の採用により、シール摺動面とシール部材のシールリップ間をシールリップの複数の突起によって流体潤滑状態にすることが可能なシール付軸受において、突起とシール摺動面の摺動部の面積を大きくすることができる。
この発明の第一実施形態に係るシール付軸受を示す断面図 図1のシールリップの内部空間側の側面の一部を自然状態で示す拡大側面図 図2のIII―III線の断面図 図1の突起付近の拡大図 図2のV-V線の断面図 図5の突起がシール摺動面に対して摺動する様子を示す断面図 この発明の第二実施形態を示す断面図 この発明の第三実施形態を示す断面図 この発明の第四実施形態を示す断面図 この発明のシール付軸受が搭載される電動垂直離着陸機の斜視図 図10に示す電動垂直離着陸機の駆動部におけるモータの一部断面図
この発明の一例として、第一実施形態に係るシール付軸受を添付図面の図1~図6に基づいて説明する。
図1に示すこのシール付軸受は、転がり軸受1と、転がり軸受1の両側に配置された二つのシール部材2と、を備える。
転がり軸受1は、内輪3と、外輪4と、内輪3と外輪4との間に介在する複数の転動体5と、複数の転動体5を保持する保持器6とで構成されている。シール部材2は、転がり軸受1の内部空間7を外部に対して密封する。この密封の目的は、このシール付軸受の周囲である外部の異物が内外輪3、4間の内部空間7に侵入することを抑制して転がり軸受1の早期損傷を防止することであり、内部空間7を液密に密封することではない。
内輪3及び外輪4は、転動体5に対応の軌道面を有する。内輪3は、回転軸Sに取り付けられ、回転軸Sと一体に回転する。外輪4は、ハウジング、ギア等、回転軸からの荷重を負荷させる部材に取り付けられる。転動体5は、内輪3及び外輪4間に介在しながら公転する。
転動体5として、玉が採用されている。このシール付軸受は、深溝玉軸受となっている。
内部空間7は、外部から供給される潤滑油(図示省略。以下、同じ。)によって潤滑される。潤滑方式としては、例えば、潤滑油をシール付軸受に掛けるはね掛け方式、又はシール付軸受の下部をオイルバスに漬ける油浴方式が挙げられる。初期潤滑剤として内部空間7に適量のグリースが封入されていてもよい。
回転軸Sは、例えば、車両のトランスミッション、ディファレンシャル、等速ジョイント、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機及びホイール軸受の中のいずれか一つに備わる回転部として設けられる。
なお、以下では、シール付軸受の軸受中心軸(図示省略、以下、同じ。)に沿った方向を「軸方向」という。軸方向に直交する方向を「径方向」という。軸受中心軸回りの円周に沿った方向を「周方向」という。図1において、軸受中心軸は、回転輪とする内輪3の中心軸であり、同図において左右方向に相当する。
外輪4の内周の端部に、シール部材2を保持するシール溝8が形成されている。シール部材2は、その外周縁をシール溝8に圧入することにより、外輪4に取り付けられる。
このシール付軸受を囲む外部には、ギアの摩耗粉、クラッチの摩耗粉、微小砕石等、このシール付軸受の組み込み先に応じた異物が存在する。このような粉状の異物は、潤滑油や雰囲気の流れによってシール部材2付近に到達し得る。シール部材2は、外部から内部空間7への異物侵入を抑制するためのものである。
シール部材2は、金属板製の芯金9と、環状に形成されたシールリップ10とを有する。芯金9は、周方向に連なる環状に形成されたプレス加工部品になっている。
シールリップ10は、弾性材により形成されている。弾性材としては、例えば、加硫成形されたゴム材、ゴム材相当のエラストマ等が挙げられる。ゴム材として、例えば、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。
その弾性材として、例えば、硬さ65HS以上、75HS以下のものを採用することができる。このショア硬さ(HS)は、JIS K 6301「加硫ゴム物理試験方法」に準拠したショア硬さ試験方法での値である。
内輪3の外周には、シールリップ10に対して周方向に摺動するシール摺動面11が形成されている。シール摺動面11は、周方向全周に連続する円筒面状になっている。従い、シール摺動面11の曲率半径R1は、全周で一定であって、シール摺動面11の半径に相当する。
シールリップ10は、ラジアルリップになっている。ここで、ラジアルリップは、軸方向に沿ったシール摺動面又は軸方向に対して45°以内の鋭角の勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップであって、当該シール摺動面との間に径方向の締め代をもったもののことをいう。
図2は、シールリップ10が単独で自然な状態のとき(成形時の形状)の側面視を示し、図3は、図2のシールリップ10を径方向に切断した断面を示す。
図2、図3に示すように、シールリップ10は、軸方向に一定の幅で径方向に連続する円環状に形成された腰部と、腰部から外部側へ曲がる突片状に形成された頭部とを有する。
シールリップ10の頭部は、図2の状態のときにシールリップ10の内径を規定する先端縁を有する。シール部材2を図1の所定配置に取り付けると、シールリップ10は、シール摺動面11に対する締め代により、シール摺動面11に押し付けられて、図4に示すように外部側へ曲がったゴム状弾性の変形を生じ、シールリップ10の緊迫力を生む。シール部材2の取り付け誤差、製造誤差等は、シールリップ10の撓み具合の変化によって吸収される。
図2、図3に示すように、シールリップ10は、周方向に並んだ複数の突起12を有する。突起12は、その全長に亘って周方向と直交する方向に延びている。突起12の高さは、その全長に亘って一定になっている。突起12は、周方向に一定のピッチで並んでいる。突起12の全長は、シール摺動面11との間に径方向の締め代をもった範囲の全域に亘っている。シールリップ10の全体的な形状は、突起12のピッチに対応した回転対称形になっている。
図5に示すように、突起12は、突起12の頂きを含む周方向幅Dに亘って平面状に形成された先端部12aと、先端部12aの周方向一方側の端P1から突起12の根元側に曲がる接続部12bと、先端部12aの周方向他方側の端P2から突起12の根元側に曲がる接続部12bと、周方向一方側の接続部12bから突起12の根元まで連続する端部12cと、周方向他方側の接続部12bから突起12の根元まで連続する端部12cとを有する。ここで、突起12の根元とは、突起12の突出高さが実質的に無くなり、シールリップ10の他の表面部に連なる部位のことをいう。
複数の突起12の各先端部12aに接する仮想円Cを考えたとき、各突起12の先端部12aは、仮想円Cに対する接線TLに沿った方向に延びる平面状に形成されている。仮想円Cと先端部12aの接点は、先端部12aの周方向幅Dを二等分する中央上に設定されている。接線TLは、先端部12aの周方向中央上の接点における接線である。先端部12aの周方向幅Dは、先端部12aと接続部12bの境界である端P1,P2間の周方向長さに相当する。
シール部材2を図1、図4のようにシール摺動面11と同軸に配置する際、突起12は、図5に示す平面状の先端部12aの周方向幅Dの中央上からシール摺動面11に接触することになる。すなわち、突起12の先端部12aは、シール摺動面11に対する接線方向(接線TLに沿った方向)に延びる平面状に形成されている。
図5に示す突起12の先端部12aの周方向幅Dと、図1に示すシール摺動面11の曲率半径R1との関係は、D/R1≧0.00075を満足している。
図5に示すように、突起12の両側の接続部12bは、それぞれ先端部12aから端部12cまで連なる曲面状に形成されている。接続部12bが有する曲率の半径をR2とすると、突起12の先端部12aの周方向幅Dと、接続部12bの曲率半径R2との関係は、R2/D≧0.03を満足している。
なお、D/R1=0.00075かつR2/D=0.03の場合、突起12の先端部12a及び接続部12bを成形する転写面をエンドミル加工で金型に形成することは困難であるが、レーザ加工で形成することが可能である。
突起12の両側の端部12cは、突起12の根元側に向かって互いに周方向に遠ざかる方へ傾斜した斜面状に形成されている。端部12cは、接続部12bから突起12の根元まで一定の傾斜で延びている。
図1のようにシール部材2を転がり軸受1に取り付ける際、複数の突起12の先端部12aがシール摺動面11に接触する。図4に示すように、突起12は、軸受中心軸を含む仮想平面上においてシール摺動面11に対して直角な方向に高さをもつため、シールリップ10の緊迫力に抗して突っ張る。これにより、周方向に隣り合う突起12同士の間かつシール摺動面11とシールリップ10との間において、内部空間7と外部に連通する隙間13が生じさせられる。隙間13の流路断面高さは、周方向に隣り合う突起12同士を繋ぐリップ部分とシール摺動面11との間の径方向距離に相当する。シールリップ10は、複数の突起12上でのみシール摺動面11と摺動し、周方向に隣り合う突起12同士を繋ぐリップ部分は、シール摺動面11と非接触の状態に保たれるようになっている。
突起12の端部12cは、シール摺動面11との間に隙間13側で大、突起12側で小となるくさび状隙間を形成する。また、突起12の先端部12aは、軸受中心軸を含む仮想平面上において、概ねシール摺動面11に沿った領域をもつ。この領域は、シール摺動面11に沿った方向(図示例においては軸方向に相当)に幅をもって存在する。このため、軸受回転に伴う突起12とシール摺動面11の摺動部、すなわち、突起12が隙間13内の潤滑油をシール摺動面11との間に周方向に引き摺り込む際のくさび効果によって油膜形成が促進され、突起12とシール摺動面11との間に油膜が介在させられる領域は、前述の仮想平面上においてシール摺動面11に沿った方向に所定以上の有限長Lで生じる。このような突起12とシール摺動面11の摺動部は、Hertzの弾性接触理論に基づく接触楕円状に生じると考えられるので、その接触楕円状の長軸が有限長Lに相当する。
軸受回転の停止時、突起12は、概ね図5の横断面形状を保つが、シールリップ10の緊迫力により、シール摺動面11に突起12の先端部12a、接続部12bが押し付けられている。このため、突起12は弾性変形させられており、その先端部12a、接続部12bは僅かに押しつぶされ、全面的にシール摺動面11との固体接触領域が分布している。
その停止時状態から軸受回転が始まると、図6に示すように、突起12とシールリップ10が周方向に相対回転する。ここで、突起12に対してシール摺動面11が相対的に回転する方向を同図に矢線で示す周方向(右回り方向)に仮定する。突起12とシール摺動面11の摺動部では、突起12の先端部12aや接続部12bがシール摺動面11との固体接触領域で右回り方向に引き摺られ、また、隙間13内の潤滑油(同図中にドット模様を付して示す。)が突起12の接続部12b、先端部12aとシール摺動面11との間のくさび状隙間に引き摺り込まれる。このとき、前述の固体接触領域における突起12とシール摺動面11間の摩擦による引き摺り抵抗や、突起12とシール摺動面11間でせん断される潤滑油のせん断抵抗が突起12に作用するため、突起12の接続部12bや先端部12a付近が図6のように弾性変形させられ、端部12cから接続部12b、先端部12aの周方向中央(接触楕円状の短軸方向中央)まで一連のくさび状隙間が形成される。これにより、突起12による油膜切りが防止され、くさび効果によって油膜形成が効果的に促される。シールリップ10とシール摺動面11間の相対回転の周速が一定未満のとき、微視的には固体接触領域を含む境界潤滑状態ないし混合潤滑状態となる。
軸受回転が速くなり、突起12とシール摺動面11の相対回転の周速が一定以上になると、突起12の先端部12aとシール摺動面11間の油膜厚さは、突起12とシール摺動面11間の合成粗さσを余裕で上回り、各突起12とシール摺動面11が油膜で完全に分離させられた流体潤滑状態になる。これにより、シールリップ10とシール摺動面11間を油膜で完全に分離させた流体潤滑状態にすることができる。このような流体潤滑状態になれば、シール部材2によるシールトルクを非接触式のシールと同等まで低減し、ひいてはシール付軸受の温度上昇を抑制し、シールリップ10の吸着作用を防止することができる。
ここで、油膜パラメータΛ≧3であれば、摺動部の潤滑モードは流体潤滑状態であると考えられる。油膜パラメータΛは、摺動部での最小油膜厚さhに対する合成粗さσの比であり、Λ=h/σである。最小油膜厚さhは、弾性流体潤滑理論に基づいて求められる。合成粗さσ=√((Rq1 +Rq2 )/2)である。Rqは、前述の摺動部を成すシール摺動面11の二乗平均平方根粗さである。Rqは、突起12の表面における二乗平均平方根粗さとすると、二乗平均平方根粗さは、JIS(B0601:2013)に規定された二乗平均平方根粗さRqの値(μm)である。
油膜パラメータΛは合成粗さσに依存し、合成粗さσが小さいほど油膜を厚くすることができる。前述の周速が極低速のときから突起12とシール摺動面11の摺動部を流体潤滑状態とするため、その摺動部における合成粗さσを0.9μm以下にすることが好ましい。例えば、合成粗さσが0.9μm、潤滑油をミッション油(30cst,40℃)、雰囲気温度を20℃、周速0.2m/sの計算条件において、Johnsonチャートによる油潤滑モードを判定したところ、最小油膜厚さhが2.8μm、油膜パラメータΛが3以上となり、潤滑モードがE-Iモードとなった。したがって、突起12とシール摺動面11の合成粗さσが0.9μm以下であれば、軸受の実使用領域において確実に流体潤滑状態になることが見込まれる。
例えば、車両のトランスミッション内の回転部を支持する用途では、一般に、跳ねかけ、オイルバス等の適宜の方式でシール付軸受に給油される。よって、シールリップ10の周辺には、外部から供給される潤滑油が存在している。その潤滑油は、トランスミッション内に存在するギア等の他の潤滑部分でも共通に用いられる。その潤滑油は、オイルポンプで循環されており、その循環経路に設けられたオイルフィルタによって濾過される。粒径0.05mmを超える大きな異物が内部空間7に侵入すると、軸受寿命に悪影響を及ぼすと考えられる。突起12の高さを0.07mm以下に設定すれば、そのような大きな異物が容易に通過できない隙間13を生じさせることができる。突起12の高さが0.07mm以下の場合、例えば、周方向に隣り合う突起12同士の間隔が0.3mm以上2.6mm以下、突起12の周方向幅が0.2mm以上1.0mm以下、かつ突起12の表面の曲率半径を0.15mm以上2.0mm未満の範囲に設定することができる。この例では、その油温30~120℃、シールリップ10とシール摺動面11の相対的な周速が0.2m/s以上の場合に、計算上、Greenwood-Johnsonの決めた無次元数である粘性パラメータgvと弾性パラメータgeに基づく潤滑領域図(Johnsonチャート)において等粘度-剛体領域(R-Iモード)又は等粘度-弾性体領域(E-Iモード,ソフトEHL)のいずれかの潤滑モード、すなわち前述の流体潤滑状態になると考えられる。なお、前述の間隔が2.6mmの場合、突起12とシール摺動面11との間には、計算上、約3μmの油膜が形成され、2.6mmより小さい場合に油膜が厚くなる傾向がある。前述の間隔が2.6mm以下では、軸受回転トルクが低下傾向(すなわちシールトルクの低下傾向)を示す。前述の間隔が0.3mm未満では、突起12を成形するための転写面をエンドミル加工で金型に形成することが困難になる。
前述のように突起12とシール摺動面11間の潤滑モードが混合潤滑、ないし流体潤滑状態になると、突起12とシール摺動面11の固体接触領域が略無くなる、ないし完全に無くなるが、突起12とシール摺動面11間でせん断される潤滑油のせん断抵抗が突起12に作用し続けるため、図6に示すような突起12の弾性変形が継続する。
前述のD/R1=0.00075かつR2/D=0.03を満足するときのように突起12の接続部12bを小さく略角面状に形成する場合、回転停止時、突起12の接続部12bとシール摺動面11との間には、流体潤滑状態を実現可能なくさび状隙間を形成することはできない。しかし、回転時に突起12に作用する抵抗により、突起12が流体潤滑状態の実現に要するくさび状隙間を形成するように弾性変形させられるため、流体潤滑状態の実現に支障はない。
突起12とシール摺動面11間が流体潤滑状態のときのシールトルクを抑制するには、突起12とシール摺動面11間での潤滑油のせん断抵抗を抑制することが重要になる。突起12とシール摺動面11の摺動部における突起12の面圧を低減すれば、潤滑油のせん断抵抗が低くなるので、シールトルクを抑制することができる。その摺動部における突起12の面圧は、その摺動部を成す突起12の面積に依存する。
突起12の先端部12aがD/R1≧0.00075を満足する周方向幅Dで前述の平面状に形成されていることにより(図1、図5参照)、突起12とシール摺動面11の摺動部である前述の接触楕円領域の全域又はこの全域を含む周方向領域を先端部12aとシール摺動面11との間に発生させることができる。このため、図4、図6に示す突起12の先端部12aとシール摺動面11の摺動部の面積は、突起の先端部を凸円孤面状に形成した場合に比して大きくなる。これは、平面状の先端部12aをもつ突起12の方が、摺動部を成す突起12が周方向に比較的長くなるためである。これにより、摺動部における突起12の先端部12aの面圧を低減することができる。
例えば、突起の全幅を凸円孤面状とした比較モデルとして、その凸円孤面状の半径が1.5mm、突起の高さが40μm、突起の周方向間隔が2°間隔(周方向に並ぶ突起数で180個)、シール摺動面の曲率半径R1が32mm、シールリップを形成する弾性材がアクリルゴム製(ショア硬さ:70±5HS)、突起に作用するシールリップの緊迫力が1Nのものを想定し、運転条件として、シール部材が静止でシール摺動面の回転速度が1500min-1、潤滑油の動粘度(40℃)が26mm/sを考えたとき、前述の接触楕円の面積を計算すると、その面積は0.0032mm(接触楕円の長軸長さが0.3mm、短軸長さが0.15mm)になる。一方、比較モデルとシール摺動面、突起の全幅及び高さ、周方向間隔、弾性材、緊迫力、運転条件を同一にしつつ第一実施形態に係る突起12を採用した実施モデルにおいて、接触楕円の面積を計算すると、比較モデルに比して接触楕円の短軸長さが拡大し、その面積が大きくなった。
上述のように、図1~図6に示すこのシール付軸受は、転がり軸受1の内部空間7を外部に対して密封するシール部材2と、シール部材2に対して周方向に摺動するシール摺動面11とを備え、シール部材2が弾性材により環状に形成されたシールリップ10を有し、シールリップ10が周方向に並んだ複数の突起12を有し、複数の突起12が周方向に隣り合う突起12同士の間に隙間13を生じさせ、かつ軸受回転に伴って隙間13から突起12とシール摺動面11間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によってシールリップ10及びシール摺動面11間を流体潤滑状態にすることが可能な態様で形成されており、突起12がシール摺動面11に対する接線方向に延びる平面状に形成された先端部12aを有し、先端部12aの周方向幅をDとし、シール摺動面11の曲率半径をR1として、D/R1≧0.00075を満足していることにより、突起12の先端部12aとシール摺動面11の摺動部を周方向に拡大して、摺動部の面積を大きくすることができる。これにより、その摺動部における先端部12aの面圧を抑制し、ひいては、先端部12aとシール摺動面11間での潤滑油のせん断抵抗を抑制してシールトルクの抑制を図ることができる。
また、このシール付軸受は、突起12が先端部12aの周方向両側からそれぞれ突起12の根元側に曲がる接続部12bと、これら両側の接続部12b,12bからそれぞれ突起12の根元まで連続する端部12cとを有し、これら両側の端部12c,12cが突起12の根元側に向かって互いに周方向に遠ざかる方へ傾斜した斜面状に形成されていることにより、突起12の周方向横断面が略台形状となるため(図5参照)、シール摺動面11と突起12間の相対回転の方向がいずれであっても、比較的幅広な突起12の根元側での弾性変形を抑えて、斜面状の端部12cから先端部12aまでシール摺動面11との間に一連のくさび状隙間を形成することができる(図6参照)。
第一実施形態では、突起12の先端部12aを平面状に形成したが、先端部を凹曲面状に変更することにより、シール摺動面11との摺動部の面積をより大きくすることが可能である。その一例としての第二実施形態を図7に示す。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
第二実施形態に係るシールリップ20の突起21は、シール摺動面11と同方向に曲がりかつシール摺動面11の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成された先端部21aを有する。
図7例において、突起21の先端部21aは、曲率半径R3で規定された円孤面からなる。先端部21aの曲率半径R3とシール摺動面11の曲率半径R1は、同一に設定されている。従い、先端部21aは、シール摺動面11と同等の曲率をもった凹曲面状に形成されている。
突起21の接続部21bは、角張った形状になっている。接続部21bを角張った形状に変更したことで第一実施形態よりも小さくした分、突起21の端部21cが先端部21aの近傍まで延長されている。このように角張った接続部21bを採用した突起21であっても、突起21に作用する抵抗によって、シール摺動面11と突起21との間に流体潤滑状態への移行に要するくさび状隙間を形成するように突起21が弾性変形させられる(図6参照)。
第二実施形態に係るシール付軸受は、上述のように、突起21の先端部21aがシール摺動面11と同方向に曲がりかつシール摺動面11の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成されていることにより、第一実施形態の先端部に比して、先端部21aとシール摺動面11の摺動部を周方向により拡大して、その面積をより大きくすることができる。
また、第二実施形態に係るシール付軸受は、特に、突起21の先端部21aがシール摺動面11の曲率と同等の曲率をもった凹曲面状に形成されていることにより、同等未満の曲率を採用した場合に比して、先端部21aの周方向幅を最大限に活用して先端部21aとシール摺動面11の摺動部の面積を大きくすることができる。
第一、第二実施形態では、突起の周方向横断面形状を略台形状にしたが、他の周方向横断面形状を採用することも可能である。その一例としての第三実施形態を図8に示す。ここでは、第二実施形態との更なる相違点を述べるに留める。
第三実施形態に係るシールリップ30の突起31では、先端部31aの周方向両側の接続部31bからそれぞれ連続する両側の端部31cが、互いに平行な平面状に形成されている。このため、突起31の周方向横断面は略矩形状となるため、第一、第二実施形態の略台形状の突起に比して、先端部31aの周方向幅をよりも大きくする場合に好適である。
突起の周方向横断面形状の他の例としての第四実施形態を図9に示す。
第四実施形態に係るシールリップ40の突起41では、先端部41aの周方向両側にある接続部41bが、それぞれ突起41の根元まで連なる円孤面状に形成されている。このため、突起41の周方向横断面形状は、突起41の根元側で比較的幅広になっており、接続部41bは、シール摺動面11との間にくさび状隙間を形成することになる。したがって、第四実施形態に係るシール付軸受は、シール摺動面11と突起41間の相対回転の方向がいずれであっても、比較的幅広な突起41の根元側での弾性変形を抑えつつ、接続部41bから先端部41aまでシール摺動面11との間に一連のくさび状隙間を形成することができる。
なお、第三、第四実施形態において、突起31,41の先端部31a,41aは、上述の平面状又は凹曲面状のいずれでもよい。
また、上述の各実施形態では、シール部材を芯金と加硫ゴム材とから構成したものを例示したが、この発明は、単材の弾性材により形成されるシール部材に適用することも可能である。
また、上述の各実施形態では、ラジアルリップを例示したが、この発明は、軸方向に対して45°を超える勾配をもったシール摺動面と密封作用を奏するシールリップ(アキシアルリップ)に適用することも可能である。
また、上述の各実施形態では、内輪回転のラジアル玉軸受を例示したが、この発明は、外輪回転の軸受、スラスト軸受、ころ軸受等の適宜の形式にも適用することも可能である。また、シール摺動面を回転輪に形成した例を示したが、固定輪に形成する場合にこの発明を適用することも可能である。
また、近年では、自動車に代わる移動手段として飛行可能な自動車、いわゆる空飛ぶクルマが注目されている。空飛ぶクルマは、上記の社会的問題の解消に期待されており、地域内移動、地域間移動、観光・レジャー、救急医療、災害救助など、様々な場面での活用が期待されている。
空飛ぶクルマとしては、垂直離着陸機(VTOL;Vertical Take-Off and Landing aircraft)が注目されている。垂直離着陸機は、空と離発着場を垂直に昇降できることから、滑走路が必要とならず、利便性に優れる。特に、近年ではCOの削減に向けた社会的要請などからバッテリとモータで飛行するタイプの電動垂直離着陸機(eVTOL)が開発の主流となっている。なお、ここでの垂直離着陸機の概念には、車輪を具備しないものも含まれる。
この発明に係るシール付軸受は、上述のように高速回転に好適で低トルク性(省エネ運転性)にも優れるので、電動モータのバッテリ駆動で回転翼の高速回転を行う電動垂直離着陸機の駆動部にも好適である。その一例として、この発明に係るシール付軸受が搭載される電動垂直離着陸機を図10に示す。
図10に示す電動垂直離着陸機101は、機体中央に位置する本体部102と、前後左右に配置された4つの駆動部103を有するマルチコプターである。駆動部103は、電動垂直離着陸機101の揚力および推進力を発生させる装置であり、駆動部103の駆動によって電動垂直離着陸機101が飛行する。電動垂直離着陸機101において駆動部103は複数あればよく、4つに限定されない。
本体部102は乗員(例えば1~2名程度)が搭乗可能な居住空間を有している。この居住空間には、進行方向や高度などを決めるための操作系や、高度、速度、飛行位置などを示す計器類などが設けられている。本体部102からは4本のアーム102aがそれぞれ延び、各アーム102aの先端に駆動部103が設けられている。図10において、アーム102aには、回転翼104を保護するため、回転翼104の回転周囲を覆う円環部が一体に設けられている。また、本体部102の下部には、着陸時に機体を支えるスキッド102bが設けられている。
駆動部103は、回転翼104と、該回転翼104を回転させるモータ105とを有する。駆動部103において、回転翼104はモータ105を挟んで軸方向両側に一対設けられている。各回転翼104は、径方向外側へ延びる2枚の羽根をそれぞれ有する。
本体部102には、バッテリ(図示省略)および制御装置(図示省略)が設けられている。制御装置はフライトコントローラとも呼ばれる。電動垂直離着陸機101の制御は、制御装置によって、例えば以下のように実施される。制御装置が、現姿勢と目標姿勢の差から揚力を調整すべきモータ105に回転数変更の指令を出力する。その指令に基づいて、モータ105に備えられたアンプがバッテリからモータ105へ送る電力量を調整し、モータ105(および回転翼104)の回転数が変更される。また、モータ105の回転数の調整は、複数のモータ105に対して、同時に実施され、それによって機体の姿勢が決まる。
図11は、駆動部におけるモータの一部断面図を示している。図11において、モータ105の回転軸107の一端側(図上側)には上述の回転翼が取り付けられ、他端側(図下側)にはロータが取り付けられる。ロータは、ハウジング106に固定されたステータに対向配置され、該ステータに対して回転可能になっている。なお、モータ105は、アウターロータ型のブラシレスモータや、インナーロータ型のブラシレスモータの構成を採用できる。
モータ105は、ハウジング(装置ハウジング)106と、ロータ(図示省略)と、ステータ(図示省略)と、アンプ(図示省略)と、2個の転がり軸受110、110とを備える。ハウジング106は外筒106aと内筒106bを有し、これらの間には冷却媒体流路106cが設けられている。この流路106cに冷却媒体を流すことにより、過度の温度上昇を防止できる。ハウジング106の材質は特に限定されず、例えば鉄系材料やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などを用いることができる。
また、転がり軸受110は、上述の第一~第四実施形態のいずれかに該当するものである。転がり軸受110は、ハウジング106内で回転軸107を回転自在に支持している。転がり軸受110の外輪111の外径形状は、ハウジング内周の嵌合部と同一の形状であり、ハウジング106に対して、軸受ハウジングなどを介さずに直接嵌合される。転がり軸受110,110の内輪112同士の間には内輪間座108が挿入され、外輪111同士の間には外輪間座109が挿入され、予圧が印加されている。
なお、駆動部における軸受構成は、図11の構成に限定されない。図11では、モータの回転軸と回転翼の回転軸とを同一の回転軸としたが、モータの回転軸と回転翼の回転軸とが伝達機構を介して接続された構成であってもよい。この場合、駆動部における回転軸を支持する転がり軸受は、モータの回転軸を支持する転がり軸受でもよく、回転翼の回転軸を支持する転がり軸受でもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、110 転がり軸受
2 シール部材
3 内輪
4、111 外輪
5 転動体
6 保持器
7 内部空間
10、20、30、40 シールリップ
11 シール摺動面
12、21、31、41 突起
12a、21a、31a、41a 先端部
12b、21b、31b、41b 接続部
12c、21c、31c 端部
13 隙間
101 電動垂直離着陸機
103 駆動部
104 回転翼
105 モータ
107 回転軸

Claims (8)

  1. 転がり軸受の内部空間を外部に対して密封するシール部材と、前記シール部材に対して周方向に摺動するシール摺動面とを備え、
    前記シール部材は、弾性材により環状に形成されたシールリップを有し、前記シールリップは、周方向に並んだ複数の突起を有し、前記複数の突起は、周方向に隣り合う前記突起同士の間に隙間を生じさせ、かつ軸受回転に伴って前記隙間から前記突起と前記シール摺動面間に引き摺り込まれる潤滑油の油膜によって前記シールリップ及び前記シール摺動面間を流体潤滑状態にすることが可能な態様で形成されているシール付軸受において、
    前記突起は、前記シール摺動面に対する接線方向に延びる平面状又は前記シール摺動面と同方向に曲がりかつ前記シール摺動面の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成された先端部を有し、
    前記先端部の周方向幅をDとし、前記シール摺動面の曲率半径をR1として、D/R1≧0.00075を満足していることを特徴とするシール付軸受。
  2. 前記突起の前記先端部は、前記シール摺動面と同方向に曲がりかつ前記シール摺動面の曲率に対して同等以下の曲率をもった凹曲面状に形成されている請求項1に記載のシール付軸受。
  3. 前記突起の前記先端部は、前記シール摺動面の曲率と同等の曲率をもった凹曲面状に形成されている請求項2に記載のシール付軸受。
  4. 前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部と、これら両側の接続部からそれぞれ前記突起の根元まで連続する端部とを有し、これら両側の端部は、前記突起の根元側に向かって互いに周方向に遠ざかる方へ傾斜した斜面状に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のシール付軸受。
  5. 前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部と、これら両側の接続部からそれぞれ前記突起の根元まで連続する端部とを有し、これら両側の端部は、互いに平行な平面状に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のシール付軸受。
  6. 前記突起は、前記先端部の周方向両側からそれぞれ前記突起の根元側に曲がる接続部を有し、これら接続部は、それぞれ前記突起の根元まで連なる円孤面状に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のシール付軸受。
  7. 車両のトランスミッション、ディファレンシャル、等速ジョイント、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機及びホイール軸受の中のいずれか一つの回転部を支持する請求項1から6のいずれか1項に記載のシール付軸受。
  8. 回転翼および該回転翼を回転させるモータを有する駆動部を複数備え、前記回転翼の回転によって飛行する電動垂直離着陸機に搭載されるものであって、
    内輪と、外輪と、該内輪および外輪の間に介在する複数の転動体と、これら転動体を保持する保持器とを備え、
    前記駆動部における回転軸を支持する請求項1から6のいずれか1項に記載のシール付軸受。
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