JP2022147854A - 仮固定組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、はんだ接合において電子部品の位置ずれがないように固定する仮固定組成物を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とする仮固定組成物を提供する。この特徴によれば、高い固定力と良好なはんだ接合性とを有する仮固定組成物を提供することができ、高い固定力により位置ズレを起こしにくく、電子部品を基板上の正確な位置へ配置することができるとともに、良好なはんだ接合を行うことができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、はんだ接合で使用する仮固定組成物に関する。
電子部品等の回路部材を基板などへ実装する手法として、例えば、基板の表面にはんだ付けを行う表面実装手法等が知られている。正常なはんだ接合を形成させるためには、はんだ表面を覆っている金属酸化物を除去する必要がある。金属酸化物を除去する方法としては、例えば、液状やペースト状のフラックス(融剤)を予めはんだに塗布する方法が知られている。
また、電子部品等の回路部材を基板等に実装する場合、回路部材を基板電極の正確な位置に搭載する必要があるが、その後の工程や搬送で、高温での加熱や振動などを伴うと、回路部材の位置ズレが発生することがある。小型部品では、フラックスの接着面積が小さいので仮固定力が低くなるが、特に、アスペクト比の大きいピラー状の回路部材では、仮固定力が著しく低下して、位置ズレや転倒しやすい傾向にある。位置ズレが大きい場合や、転倒した場合には、その後のリフロー等のはんだ付け工程で、回路部材がはんだ付けできなくなる不良が発生してしまう。
特開2017-209690号公報
本発明の課題は、はんだ接合を形成する前において、電子部品等の回路部材の位置ズレがないように固定する仮固定組成物を提供することである。
発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、乾燥して固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とする仮固定組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の仮固定組成物、仮固定組成物を用いたはんだ接合方法及び回路基板の製造方法である。
上記課題を解決するための本発明の仮固定組成物は、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、乾燥して固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とするものである。
この特徴によれば、高い固定力と良好なはんだ接合性とを有する仮固定組成物を提供することができ、電子部品等の回路部材を基板上の正確な位置へ配置することができるとともに、その後の工程や搬送で加熱や振動を伴っても高い固定力により位置ズレを起こしにくく、良好なはんだ接合を行うことができる。
また、本発明の仮固定組成物の一実施態様としては、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が90℃以上であることを特徴とするものである。この特徴によれば、はんだ接合工程の前に実施される高温の工程や、振動を伴う搬送や工程等においても、高い固定力と良好なはんだ接合性とを有する仮固定組成物を提供することができ、高い固定力により位置ズレを起こしにくく、電子部品等の回路部材を基板上の正確な位置へ配置して、仮固定することができるとともに、良好なはんだ接合を行うことができる。
また、本発明の仮固定組成物の一実施態様としては、溶媒(B)の沸点が100℃以上であることを特徴とするものである。
溶媒(B)の沸点が100℃以上であると、回路部材等の搭載を行っている間の溶媒の蒸発や乾燥を防ぐことができ、回路部材等の搭載性が向上する。
また、本発明の仮固定組成物の一実施態様としては、フラックス剤(C)を含むことを特徴とするものである。フラックス剤を含むことにより、はんだ接合工程や回路基板の製造工程等において別途フラックス剤を基板等に塗布する必要がなく工程の効率化を図ることができる。また、フラックス剤を含むことにより、フラックス剤単体の塗布量を調整する必要がなくなり作業性が向上する。
また、本発明の仮固定組成物の一実施態様としては、はんだ粉を含むことを特徴とするものである。はんだ粉を含むことにより、接合材料としてのはんだを別途供給する必要がなく、作業性を簡略したり、はんだを別途供給することができない場合でも、はんだ接合を形成したりすることができる。
また、本発明の仮固定組成物の一実施態様としては、液状であることを特徴とするものである。液体状とすることにより、本発明の仮固定組成物の基板や回路部材への塗布等が容易に行える。
上記課題を解決するための本発明のはんだ接合方法は、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とする仮固定組成物を用いて下記(i)液状の前記仮固定組成物を準備するステップ、(ii)前記(i)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップ、(iii)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップ、(iv)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより、前記仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップ、(v)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップを備えることを特徴とするものである。
この特徴によれば、本発明に係る仮固定組成物を液状にすることが好ましく、基板への塗布や印刷が容易になる。また、液状の本発明の仮固定組成物を乾燥して固化させることにより回路部材を基板に仮固定することができる。
更に、上記課題を解決するための本発明の回路基板の製造方法は、(i)熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とする液状の仮固定組成物を準備するステップと、(ii)前記(i)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップと、(iii)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップと、(iv)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより、前記液状の仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップと、(v)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップと、を備えたことを特徴とするものである。
この特徴によれば、本発明に係る仮固定組成物を液状にすること好ましく、基板への塗布が容易になる。また、液状の本発明の仮固定組成物を固化させることにより回路部材を基板に仮固定することができる。
本発明によれば、電子部品等の回路部材を基板上の正確な位置へ配置することができるとともに、その後の工程や搬送で加熱や振動を伴っても高い固定力により位置ズレを起こしにくく、良好なはんだ接合を行うことができる仮固定組成物を提供することができる。
本発明の片側接合の場合のはんだ接合方法及び回路基板製造方法を説明する概略説明図である。 本発明の両側接合の場合のはんだ接合方法及び回路基板製造方法であって、モールド成形工程の後にリフローはんだ付け工程を行うはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する概略説明図である。 本発明の両側接合の場合のはんだ接合方法及び回路基板製造方法であって、リフローはんだ付け工程の後にモールド成形工程を行うはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する概略説明図である。 本発明の両側接合の場合のはんだ接合方法及び回路基板製造方法であって、導電ピラーブロックを用いるはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する概略説明図である。 (a)は、格子状ピラーブロックの概略図である。(b)はモールド貫通ビアの(a)図におけるC-C線断面概略図である。 モールド貫通ビアを用いた垂直方向導通パッケージの製造方法を説明する概略図である。 モールド貫通ビアを用いた垂直方向導通パッケージの製造方法を説明する概略図であって、図6の続きである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[仮固定組成物]
本発明の仮固定組成物は、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とするものである。
本発明の仮固定組成物は、例えば加熱を施す等することにより本発明の仮固定組成物が乾燥して固化し、仮固定組成物乾燥体となる。乾燥する方法は加熱に限定されるものではなく、温風乾燥や真空乾燥等でもよい。以降は、本明細書において、乾燥後の仮固定組成物を「仮固定組成物乾燥体」とする。また、本発明の仮固定組成物の乾燥による固化は、例えば、溶媒(B)が蒸発・乾燥等することにより引き起こされる。
[熱可塑性樹脂(A)]
熱可塑性樹脂(A)は、本発明の仮固定組成物を構成する主な成分である。熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定されないが、例えば、フェノキシ樹脂、ロジン樹脂、ポリアリレート樹脂(PAR)、オキサゾリン基含有樹脂、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂)(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、ポリウレタン樹脂(PUR)、シリコーン樹脂(SR)が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点Tgは、モールド成形の成形温度をT1とした場合、T1-30℃≦Tgであることが好ましく、はんだ溶融温度より低いことが好ましい。
ガラス転移とは、例えば、昇温過程では、物質がガラス状態からゴム状態に変化する緩和現象であり、前記変化する温度領域内の一点の温度をガラス転移点とよんでいる。一般的にガラス転移点未満の温度領域では、硬くガラス状の性質を示し、ガラス転移点より高い温度領域では、軟らかくゴム状の性質を示す。実際には、ガラス状態からゴム状態への変化は、ガラス転移点において変化が急激に起こるのではなく、温度の幅がある。当該温度幅の中間値の温度がおよそのガラス転移点となるが、例えば、動的粘弾性測定では、tanδのピーク温度、DSC(示差走査熱量)測定では、微分曲線のピーク温度が、一般的にガラス転移点となる。
熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が、モールド成形温度に近い場合、つまり、モールド成形工程において、熱可塑性樹脂(A)の状態について、上記のガラス状態からゴム状態への変化が起こり始めている温度範囲である場合、モールド成形工程(封止工程)の際に、熱可塑性樹脂(A)はガラス状態からゴム状態に変化しつつあるが、軟化していない固体であるため、素子や電子部品等の回路部材は本発明の仮固定組成物が乾燥し固化した仮固定組成物乾燥体によって基板に固定されている。そうすると、モールド成形工程(封止工程)やリフロー等によるはんだ接合工程において、例えば、「当該熱可塑性樹脂ガラス転移点(A)+30℃」の温度より低い温度領域の際に、素子や電子部品等の回答部材が基板上を動いて位置ズレを起こすということが発生しにくい。また、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点がモールド成形温度に近いかそれ以上であると、モールド成形温度においても、熱可塑性樹脂(A)の凝集力が保たれて、接着力を発揮することができる。一方、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が、モールド成形温度よりかなり低くく、モールド成形工程において熱可塑性樹脂(A)が溶融等を起こすような温度範囲である場合、軟化点もモールド成形温度を下回ることが考えられ、そうするとモールド成形工程(封止工程)等の際に、仮固定組成物乾燥体が柔らかくなりすぎて、基板上に素子や電子部品等の回路部材を動かないように固定しておけず、位置ズレが発生したり、熱可塑性樹脂(A)が高温における凝集力がなく、接着力を発揮できず、例えば、低粘度で弱い粘着力ののりのような挙動を示し、引きはがしに対しての抵抗力が弱く、糸を引くように伸ばされて剥離が起きたりする。熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が90℃以上であると、本発明の仮固定組成物において、素子や電子部品等の回答部材が基板上を動いて位置ズレを起こすということが発生しにくく、また、凝集力が保たれて、接着力を発揮することができる。
なお、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点Tgは、JIS K 6240で測定する。
熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(A)の軟化点がモールド成形温度より高く、リフロー温度より低いことが好ましい。
軟化点とは、樹脂等の固体物質の温度が上昇し、軟化して変形し始める温度である。
熱可塑性樹脂(A)の軟化点がモールド成形温度より高く、リフロー温度より低いと、モールド成形工程の際には、熱可塑性樹脂(A)は固体なので、素子や電子部品は本発明の仮固定組成物乾燥体によって基板に固定でき、位置ズレが起きない。また、熱可塑性樹脂(A)の軟化点がリフロー温度より低いので、リフローはんだ付け工程の際には、熱可塑性樹脂(A)は軟化し変形するので固体状態ではなくなるため、基板上の回路部材等は、自重により仮固定組成物乾燥体を貫通して、基板上の電極と接触する。そして、溶融したはんだが電極に濡れ広がりはんだ接合を形成する。
また、軟化点がモールド成形温度より高く、リフロー温度より低いと、モールド成形工程やリフローはんだ付け工程における、例えば、当該熱可塑性樹脂(A)の軟化点より低い温度領域(リフローはんだ付け工程では、リフローの全工程で凝集力が発現されるのではなく、該行程中の当該熱可塑性樹脂(A)の軟化点以下の温度までの昇温過程で凝集力が発現する)等の高温状態においても、熱可塑性樹脂(A)の凝集力が保たれて、接着力を発揮することができる。一方、軟化点がモールド成形温度やリフロー温度より低いと、熱可塑性樹脂(A)は、高温において凝集力がなく、接着力を発揮できず、例えば、低粘度で弱い粘着力ののりのような挙動を示し、引きはがしに対しての抵抗力が弱く、糸を引くように伸ばされて剥離が起きたりする。
上記から、ガラス転移点及び軟化点が上記範囲をとるような樹脂を熱可塑性樹脂(A)として採用すれば、本発明の仮固定組成物や仮固定組成物乾燥体を用いて、はんだ接合や回路基板製造を行う場合に、各工程に適した状態で基板上の素子や電子部品の位置ズレを防いだり、はんだ接合不良を防いだりすることができる。
上記フェノキシ樹脂とは、例えば、下記式(1)で示すような構造を有し、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される高分子量ポリヒドロキシポリエーテルである。
Figure 2022147854000002
フェノキシ樹脂は、分子中に約6%の水酸基を含んでいるので、イソシアネート、酸無水物、トリアジンやメラミン等の架橋剤によって、3次元架橋構造を有することができ、熱硬化性樹脂としても作用するが、本発明の仮固定組成物は、リフローはんだ接合中に、良好なはんだ接合を形成させることができるプロセスウィンドーが広いという観点から、前記した3次元架橋構造を形成する架橋剤を含まないのが好ましい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂や、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂や、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂や、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂や、ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂や、ビフェニル骨格とトリメチルシクロヘキシレン骨格を含有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールアセトフェノン骨格や、ビフェニル骨格とトリメチルシクロヘキシレン骨格を有するフェノキシ樹脂は、分子鎖が剛直のため高いガラス転移点を発現することから、好ましい。
上記フェノキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YX7200B35、YX7553BH30、YX6954BH30(いずれも三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
上記ロジン樹脂とは、ロジン酸を主成分とする天然樹脂、合成樹脂、前記樹脂らの誘導体等であり、例えば、天然樹脂は松脂等からとれる。上記ロジン樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ベンセルKK、ベンセルD-160、パインクリスタルKE-604、パインクリスタルKR-140、パインクリスタルKE-100、パインクリスタルKR-85(いずれも荒川化学社製)が挙げられる。
上記ポリアリレート樹脂とは、ポリエステル樹脂の一種である。ポリアリレートの繰り返し単位は、エステル基(-CO-O-)と芳香環で構成されている。かさ高い芳香環とポリマー主鎖のメチレン基の欠如は、エステル結合回りの繰り返し単位の回転を妨げることによりポリマー鎖を大きく強化する。上記ポリアリレート樹脂のうち、市販されているものとしては、ユニファイナーV-575(ユニチカ社製)が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)におけるフェノキシ樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、35質量%以上、100質量%以下である。フェノキシ樹脂の含有量の下限値は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。フェノキシ樹脂の含有量が35質量%以上の場合、乾燥時に良好な固定力を発揮することができる。
熱可塑性樹脂(A)におけるロジン樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、35質量%以上、100質量%以下である。ロジン樹脂の含有量の下限値は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。ロジン樹脂の含有量が35質量%以上の場合、乾燥時に良好な固定力を発揮することができる。
熱可塑性樹脂(A)におけるポリアリレート樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、35質量%以上、100質量%以下である。ポリアリレート樹脂の含有量の下限値は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。ポリアリレート樹脂の含有量が35質量%以上の場合、乾燥時に良好な固定力を発揮することができる。
本発明の仮固定組成物における熱可塑性樹脂(A)の含有量は、特に制限されないが、例えば、10質量%以上、50質量%以下である。熱可塑性樹脂(A)の含有量の下限値は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。熱可塑性樹脂(A)の含有量の上限値は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
熱可塑性樹脂(A)の含有量が、10質量%以上、50質量%以下の場合、本発明の仮固定組成物は適度な粘度を発現するため、印刷やディスペンサーにより電極へ供給しやすく、乾燥工程前の回路部材等を搭載した状態でも強い粘着により位置ズレが起きにくい。また、乾燥工程後の仮固定組成物乾燥体中の残存溶媒量が少なくなる傾向にあり、仮固定力が高いため、好ましい。
本発明の仮固定組成物における熱可塑性樹脂(A)の含有量が50質量%を超えると、前記したように、回路部材等を搭載状態でのズレが起こりやすく、更には、乾燥速度が速いので、電極に供給後、回路部材等を搭載する前に、自然に乾燥してしまい、回路部材等を搭載できなくなる。また、本発明の仮固定組成物における熱可塑性樹脂(A)の含有量が10質量%を下回ると、乾燥工程前の回路部材等を搭載した状態では粘着性が低く位置ズレしやすく、乾燥工程後でも溶媒が残存しやすく、仮固定組成物乾燥体の仮固定力が低くなる傾向である。
[溶媒(B)]
溶媒(B)としては、熱可塑性樹脂(A)を溶解することができる液体であれば、特に制限はない。具体的には、エチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。また、水酸基を少なくとも1つ以上含む溶媒が好ましい。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテルである。
溶媒(B)の沸点は、特に制限されないが、100℃~300℃が好ましい。この範囲であれば、仮固定組成物を製造している間や、電極への供給の間や、電極に供給した後に回路部材を搭載するまでの間に溶媒が乾燥することにより仮固定組成物が乾燥して仮固定組成物乾燥体になってしまうことがなく、しかし乾燥工程で乾燥して、溶媒の残留がないようにすることで、仮固定力を強くすることができる。
本発明の仮固定組成物における溶媒(B)の含有量は、特に制限されないが、例えば、50質量%以上、80質量%以下である。溶媒(B)の含有量の下限値は、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。溶媒(B)の含有量の上限値は、好ましくは70質量%以下である。溶媒(B)の含有量が50質量%以上の場合、熱可塑性樹脂(A)等の溶かしやすさの点で好ましい。溶媒(B)の含有量が80質量%以下の場合、乾燥しやすさの点で好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の含有量100質量部に対する溶媒(B)の含有量は、例えば、150質量部以上、400質量部以下である。下限値としては、好ましくは200質量部以上である。150質量部以上の場合には、電極へ供給しやすくなる。400質量部以下の場合には、乾燥時間を短縮することができる。
本発明の仮固定組成物の塗布作業時の温度における粘度は、好ましくは100mPa・s以上、2900Pa・s以下である。下限値としては、好ましくは1000mPa・s以上である。上限値としては、好ましくは2800Ps・s以下である。塗布作業温度は、例えば、常温(25℃)である。
[フラックス剤(C)]
本発明の仮固定組成物は、必要に応じて、フラックス剤(C)を含有することができる。
フラックス剤(C)は、金属表面の酸化物を還元または除去し、はんだ接合性を向上させる作用を有する。また、金属表面の酸化物が還元または除去されることによって、濡れ性が向上し、素子の電極と配線基板の電極との位置ズレを補正するというセルフアライメント効果を発揮または向上させることができる。
本発明にいうフラックス剤は、熱可塑性樹脂(A)以外のものをいう。
本発明において、「必要に応じて、フラックス剤を含有する」とは、熱可塑性樹脂(A)がフラックス活性を有しない場合に、仮固定組成物にフラックス活性を付与するとき、または熱可塑性樹脂(A)がフラックス活性を有する場合であっても、さらにフラックス活性を強く発現させる必要があるときにフラックス剤(C)を含むことを意味する。
フラックス剤として、例えば、酸性化合物、塩基性化合物、アルコール性水酸基を有する化合物、アルデヒド類およびカルボン酸と三級アミンの塩を挙げることができる。
フラックス剤は、本発明の仮固定組成物を基板に使用するので、金属イオンやハロゲンなどのイオンを含まないものが耐イオンマイグレーションの観点から好ましい。このため、酸性化合物としては、有機酸(カルボン酸類およびフェノール類等)が好ましく、塩基性化合物としてはイミダゾール類およびアミン類が好ましい。
フラックス剤として用いるカルボン酸類としては、例えば、サリチル酸、安息香酸、m-ジヒドロキシ安息香酸、ピロメリット酸、セバシン酸、アビチエン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸またはマレイン酸等を挙げることができる。フラックス残渣は、イオンマイグレーションを起こす懸念があるので、リフロー後の残存量が少なく、また、残存したとしても比較的イオンマイグレーションを起こしにくい、例えば、サリチル酸やアジピン酸等が、未洗浄プロセスでは好ましい。
フラックス剤として用いるイミダゾール類としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが挙げられる。
フラックス剤として用いるアミノ類としては、例えば、ドデシルアミン等を挙げることができる。
アルデヒドとしては、例えば、アルドース類(グルタルアルデヒド、ペリルアルデヒドおよびグリセルアルデヒド等)を挙げることができる。
本発明において、フラックス剤(C)は、熱可塑性樹脂(A)および溶媒(B)との反応または相互作用によって本発明の効果を阻害することのないフラックス剤を選択して使用する。
本発明のフラックス剤(C)の残渣は、洗浄によって除去されてもよい。フラックス剤(C)が水溶性であれば、洗浄剤として水を用いることができるため、フラックス剤(C)は水溶性であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の含有量100質量部に対するフラックス剤(C)の含有量は、特に制限されないが、例えば、1質量部以上、20質量部以下である。下限値としては、良好なフラックス活性を発現する観点から、好ましくは3質量部以上である。上限値としては、耐イオンマイグレーション性の観点から、好ましくは15質量部以下である。なお、熱可塑性樹脂(A)よりフラックス活性が生じる場合には、フラックス剤(C)を含有しなくてもよい。
フラックス剤(C)は、成形工程においては蒸発や分解せず残存するか、又は一部のみが蒸発・分解することにより、リフローはんだ付け工程においてフラックス活性を発揮する。しかし、リフローはんだ付け工程においては蒸発や分解し、残存量を低減できるため、イオンマイグレーション等の発生を抑制し、はんだ付けの信頼性が向上する。
[はんだ粉]
本発明の仮固定組成物は、はんだ粉を含有することにより、はんだペースト(ソルダーペースト)として使用することができる。
本発明の一実施態様に係る仮固定組成物に含有するはんだ粉は、特に制限されることはないが、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)および錫(Sn)の群から選択される少なくとも2種を含む合金からなるものを好適に使用することができる。たとえば、Pb-Sn系合金はんだ、及びBi-Zn系合金はんだ、Sn-Ag系合金はんだなどのPbフリーはんだ、または、これらのはんだ合金にCu、Bi、In、Alなどを添加したものを使用することができる。
はんだ粉の平均粒径は、1μm~100μmの範囲にあることが好ましく、50μm未満のものがより好ましい。はんだ粉の平均粒径が1μm未満では、本発明の仮固定組成物中で、はんだ粉が凝集する問題が生じるおそれがある。一方、100μmを超えると、接合時に被接合材料間に樹脂を含んだ新たな導電層が形成されてしまうため、導電性が低下するおそれがある。なお、本発明において、平均粒径とは、積算値50%の粒度を意味し、たとえば、SALD-7000(株式会社島津製作所)などの粒度分布測定装置により測定することができる。
仮固定組成物15質量部に対するはんだ粉の含有量は、特に制限されないが、例えば、10質量部以上、300質量部以下である。下限値としては、好ましくは30質量部以上である。上限値としては、好ましくは150質量部以下である。はんだ粉の含有量をこのような範囲に制御することにより、はんだ接合時におけるはんだの濡れ広がり性やはんだ接合性を優れたものとすることができる。
なお、本発明の仮固定組成物におけるはんだ粉以外の成分とはんだ粉との混合方法は、特に制限されることなく、公知の方法を採用することができ、たとえば、自公転ミキサ、ホモジナイザ、ヘイシェルミキサ等により混合することができる。また、凝集物を形成する場合には、ロールミル、ボールミルによりはんだ粉の分散性を向上させることもできる。
[その他の成分]
本発明の仮固定組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等が挙げられる。
[使用方法]
本発明の仮固定組成物は、例えば、次のステップを有するはんだ接合の方法に使用することができる。なお、本発明の仮固定組成物の使用方法に関する以下の説明は、本発明の回路基板の製造方法の説明に置き換えることができる。
(1)液状の本発明の仮固定組成物を準備するステップ。
(2)前記(1)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップ。
(3)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップ。
(4)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより、前記仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップ。
(5)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップ。
<(1)液状の本発明の仮固定組成物を準備するステップ>
液状の本発明の仮固定組成物を準備する工程では、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含む液体を準備する。
容器に溶媒(B)を入れ、溶媒(B)が入った容器内を攪拌しながら熱可塑性樹脂(A)を加えることや、熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を、例えば3本ロールミル等の混錬機を用いて混錬、分散して、真空脱泡することで溶液を準備してもよい。この時に、フラックス剤(C)を一緒に含ませてもよい。
前記液体を準備する場合に、湯浴等を用いて加熱しながら行っても良い。
また、熱可塑性樹脂(A)が固体ではなく既に別の溶媒に含まれている液体の場合は、エバポレーター等で当該別の溶媒を飛ばしてから使用しても良い。
<(2)前記(1)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップ>
前記(1)の工程で得られた液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップでは、前記(1)で準備した液をディスペンサ(塗液吐出装置)等で基板上の電極や回路部材に塗布又はポッティングしたり、印刷機で印刷したりする。
<(3)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップ>
基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップでは、前記(2)のステップを経た基板の電極上に素子や部品を配置するか、又は前記(2)のステップを経た回路部材を基板の電極を有する面に配置する。
配置された素子や部品は、前記(1)の工程で塗布、ポッティング又は印刷された本発明の液状の仮固定組成物の粘性、粘着性によって、基板上に略垂直に配置される。
配置される素子や部品は、ICチップ等の半導体素子やはんだボールやCuピラー等の接続部品や抵抗等の受動性の電子部品等である。また、素子や部品は、はんだバンプやCuピラー等の接続部品を備えたものであってもよく、Cuピラーはその先端にはんだを備えたはんだ付きCuピラーでもよい。
<(4)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより、前記仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップ>
当該ステップは、前記(3)のステップを経た基板に、例えば、所定温度及び所定時間の加熱をオーブン等の装置で加えて、本発明の仮固定組成物の溶媒(B)の一部又は全部を乾燥させて、本発明の仮固定組成物を乾燥して固化させることにより、前記回路部材を前記基板に仮固定するステップである。
所定時間及び所定温度は、材料によって適宜選択されるものであるが、熱可塑性樹脂(A)の軟化点を超えるようには設定しない。乾燥条件は、例えば、オーブンで120℃、30分間である。
<(5)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップ>
当該ステップは、リフローはんだ付け等で素子や電子部品と基板とがはんだによって電気的に接合するステップである。素子や電子部品と基板との間に配置されていた本発明の仮固定組成物の乾燥体が軟化することによってはんだ接合する。本発明の仮固定組成物に含まれる熱可塑性樹脂(A)は、リフローはんだ付け工程において軟化する。
本発明の仮固定組成物が、フラックス剤(C)を含むなどしてフラックス活性を有している場合は、リフローはんだ付け工程において、フラックス活性を発現させて、端子の金属酸化物やはんだ表面の酸化物を還元又は除去し、はんだ接合不良を抑制することができる。
また、リフローはんだ付け工程中に、フラックス剤(C)が蒸発・分解し、リフローはんだ付け工程後においては、フラックス剤(C)の残存量を低減することができるため、フラックス剤(C)の残渣に対する洗浄工程を行わなくても、はんだ付けの信頼性を向上することができる。
リフローはんだ付け工程の温度は、はんだの種類、基板や半導体の耐熱性によって選択される。リフローはんだ付け工程の最高温度は、例えば、260℃である。
はんだ接合方法や回路基板の製造方法として、「洗浄工程」や「モールド成形工程」を付加することができる。また、これ以外の工程を付加することもできる。
<洗浄工程>
洗浄工程とは、フラックス剤や溶媒等の残渣を取り除くための工程である。残渣があると、はんだ接合や回路基板等の信頼性や耐久性が損なわれることがあるためである。
洗浄工程に用いる洗浄剤は、特に制限されず、取り除きたいものや製品等によって適宜選択することができる。本発明の仮固定組成物乾燥体の仮固定後、あるいは、リフロー後の洗浄溶媒としては、本発明の仮固定組成物に用いた溶媒で洗浄することが、洗浄性の観点から好ましい。その他の洗浄溶媒として、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤等が挙げられる。水は環境負荷が低いことから、有機溶媒は洗浄性の観点から好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。また、パインアルファーのようなフラックス洗浄液を用いてもよい。
なお、フラックス剤や溶媒等の残渣等が溶解しにくいときや、溶解するのに時間がかかるときには、加熱した溶剤を用いることや、界面活性剤を含有する溶剤を用いてもよい。この加熱した溶剤の温度としては、高いほど溶解しやすくなるが、その溶剤の沸点未満の温度であることが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。
また、溶解除去の効率を向上させる観点から、超音波を照射つつ溶解除去させることが好ましい。フラックス剤が残存すると、はんだ接合部位を腐食する可能性があり、長期使用の信頼性低下を招く原因となるため、フラックス剤の除去効率を向上させるために、超音波を照射しつつ洗浄処理を行うことが好ましい。なお、超音波の強さとしては、形成したはんだ接合が破断しない程度に調整することが好ましい。また、液中ジェット、ダイレクトパスなどの水流発生装置により洗浄することが、フラックス剤の除去効果を向上させるために好ましい。
<モールド成形工程>
モールド成形工程では、半導体等に代表される電子部材を、熱、光、湿気、ほこり、物理的衝撃等から保護するためにエポキシ樹脂等の硬化性材料により封止する。モールド成形工程における成形温度や時間等の条件は、モールド成形工程に使用する樹脂や方式により異なり、特に限定されるものではない。
以下、図面を用いて、本発明のはんだ接合用方法や回路基板製造方法を説明する。なお、図面において、はんだ付きCuピラー等のはんだ付き導電ピラーを用いた方法を説明するが、本発明のはんだ粉を含む仮固定組成物(以降、本発明のソルダーペーストともいう)等を用いることもでき、また、本発明のはんだ接合方法や回路基板製造方法は、これに限定されるものではない。
図1に、電極2を備える回路基板1の平面図を示す。本発明のはんだ接合方法で用いる回路基板は、電極を備える回路基板であって、一つ以上の電極を備えていればよく、例えば、図1に示された複数の電極が備えられた回路基板、チップ、ウエハ等が挙げられる。また、一部の回路基板上面の電極以外の領域には、ソルダーレジストが形成されている。このような電極を備える回路基板としては、例えば、上記で示したプリント配線基板等が挙げられる。電極表面には、はんだとの濡れ性を向上させるために、例えば、Cu電極表面には、Cu/Ni/Pd/Au、Cu/Ni/Au、Cu/Ni-P/Au、OSP(Organic Solderability Preservative)等からなるUBM(Under Bump Metallization)層又は、Surface Finish処理層を形成していることが好ましい。
また、回路基板の電極表面に油脂等の汚れが付着していると、はんだとの濡れ性が低下し接合性に悪影響を及ぼすので、あらかじめ有機溶媒、酸性水溶液、塩基性水溶液等で脱脂するのが好ましい。脱脂の際には、超音波をかけると洗浄効果が更に高くなるのでより好ましい。電極表面にUBM層又は、Surface Finish処理層がない場合には、電極表面に酸化皮膜が形成されやすいため、酸性水溶液や塩基性水溶液等によりあらかじめ回路基板を洗浄してもよい。
(片側接合:先リフロー後モールド→研磨→再配線)
図1を用いて、片側接合の場合のはんだ接合方法や回路基板製造方法(片側接合)を説明する。
図1(b)に示すように、電極2を備えた回路基板1の電極2に液状の本発明の仮固定組成物3を塗布、ポッティング又は印刷する。塗布、ポッティング又は印刷後の本発明の仮固定組成物3は、液状であっても、回路基板1の電極2が露出してしまうほど電極2から流れるような流動性は有しておらず、電極2を露出させないよう電極2上に留まる程度の粘度や流動性を有している。
次に、図1(c)に示すように、前記本発明の仮固定組成物3に覆われた回路基板1の電極2上に、はんだ付き導電ピラー4を略垂直に配置する。このとき、回路基板1の電極2とはんだ付き導電ピラーのはんだ4a部分とが対向するように配置する。
なお、はんだ付き導電ピラー4の配置には、サポートキャリア等を用いることができる。
前記はんだ付き導電ピラー4を配置した回路基板1をオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3に含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3を乾燥させる。これにより、本発明の仮固定組成物3は乾固し、仮固定組成物乾燥体となることにより、回路基板1の電極2上に配置されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1に仮固定することができる。
はんだ付き導電ピラー4が仮固定組成物乾燥体により仮固定された回路基板1を、リフロー炉に通して、はんだ付き導電ピラーのはんだ4a部分を溶融することにより、リフローはんだ付けを行う。この時、本発明の仮固定組成物3の熱可塑性樹脂(A)は軟化するので、はんだ付き導電ピラー4は自重で沈み、電極2と接触してはんだ接合を形成する。なお、形成されたはんだ接合を図1(d)に示すように、丸みを帯びた形状で図示する。
図1(e)に示すように、はんだ接合された回路基板1にモールド材料5を注入してオーバーモールド工程を行う。前記モールド材料5を注入した回路基板1をリフロー炉又はキュア炉に通してモールド材料5を硬化させる工程を行う。これにより、モールド材料5はモールド材料硬化物になる。なお、モールド材料5を硬化させる工程を段階的に行うこともできる。例えば、前段階硬化工程はプレキュアと呼ばれ、最終硬化段階はポストキュアと呼ばれる。前段階硬化工程のプレキュア工程は、リフローはんだ付け工程におけるリフロー温度よりも低く、モールド材料5のガラス転移点を僅かに下回る温度にて行われる。プレキュア工程の時間は、使用するモールド材料5に依存するが、例えば、1秒~30分程度である。プレキュア工程を設けることで、熱膨張係数の違いにより発生する界面応力による断線等を抑制することができる。
オーバーモールド工程後、モールド材料硬化物の高さは、はんだ付き導電ピラー4の高さより高くなり、はんだ付き導電ピラー4の上面はモールド材料硬化物に覆われることになる。そのため、研磨等によりはんだ付き導電ピラー4の上面をモールド材料硬化物上面から露出させるためのモールド材料硬化物の除去工程を行う。
前記除去工程を行うと、はんだ付き導電ピラー4の上面を覆っていたモールド材料硬化物が除去されて、はんだ付き導電ピラー4の上面は露出する。特に、再配線を形成するために必要な平滑な面とするためには、最後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことが好ましい。露出したはんだ付き導電ピラー4の上面から公知の方法により再配線を施し、はんだ付き導電ピラー4の上面に再配線による回路を形成する再配線工程を行う。例えば、絶縁層としては、ポリイミド(PI)やベンゾオキサゾール(PBO)を用いて、Cu配線は、電解メッキや無電解メッキにて形成することができる。再配線層は、必要に応じて、数層設けることもできる。
なお、リフローはんだ付け工程を行った後にオーバーモールド工程を行った場合を説明したが、オーバーモールド工程を行った後にリフローはんだ付け工程を行うことも可能である。
(両側接合-先モールド後リフロー)
図2を用いて、モールド成形工程の後にリフローはんだ付け工程を行う両側接合の場合のはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、電極を備えた回路基板1A,1Bを2枚準備する。前記回路基板1A,1B上の電極2A,2Bに液状の本発明の仮固定組成物3A,3Bを塗布、ポッティング又は印刷する。
図2(c)に示すように、前記本発明の仮固定組成物3Aに覆われた回路基板1Aの電極2A上に、はんだ付き導電ピラー4を略垂直に配置する。このとき、はんだ付き導電ピラーはその上下の端面のそれぞれにはんだ4a,4bを備えている。回路基板1Aの電極2Aとはんだ付き導電ピラー4のはんだ部分4aとが対向するように配置する。
図2(d)に示すように、前記はんだ付き導電ピラー4を配置した回路基板1A及び前記回路基板1Bを、電極2A及び2Bが対向するように組み合わせる。このように組み合わせた回路基板1A,1Bをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3A,3Bに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bを乾燥させる。これにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bは乾固し、回路基板1A及び回路基板1Bに配置されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1A,1Bに仮固定することができる。
上記においては、回路基板1A及び1Bについて同時に溶媒(B)を乾燥させてはんだ付き導電ピラー4を仮固定する場合を記載したが、別々で乾燥しても構わない。例えば、図2(d)の変形として、図2(c)の状態の後、はんだ付き導電ピラー4を配置した回路基板1Aをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3Aに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3Aを乾燥し乾固させて、回路基板1Aに配置されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1Aに仮固定する。次に、回路基板1Bの電極2Bに、図2(b)と同様に、液状の本発明の仮固定組成物3Bを塗布、ポッティング又は印刷する。次に、回路基板1Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4のもう一方のはんだを、回路基板1Bの電極2Bに対向するように配置し、本発明の仮固定組成物3Bを乾燥し乾固させて、回路基板1Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1Bに仮固定する。
図2(e)に示すように、組み合わせた回路基板1A及び回路基板2Bからなる基板群にモールド材料5を注入する。前記モールド材料5を注入した基板群をリフロー炉又はキュア炉に通してモールド材料5を仮硬化させるプレキュア工程を行う。これにより、モールド材料5はモールド材料仮硬化物になる。プレキュア工程は、リフローはんだ付け工程におけるリフロー温度よりも低く、モールド材料5のガラス転移点を僅かに下回る温度にて行われる。プレキュア工程の時間は、使用するモールド材料5に依存するが、例えば、1秒~30分程度である。プレキュア工程を設けることで、熱膨張係数の違いにより発生する界面応力による断線等を抑制することができる。
図2(f)に示すように、前記モールド材料5を仮硬化した基板群をリフロー炉に通してリフローはんだ付け工程を行う。当該リフローはんだ付け工程において、はんだ付き導電ピラー4のはんだ部分4a及び4bが溶融することにより、前記回路基板1Aの電極2Aと導電ピラーの一方の端面とがはんだ接合される。また、同時に前記回路基板1Bの電極2Bと導電ピラーの他方の端面とがはんだ接合される。この時、本発明の仮固定組成物3A,3Bは、熱可塑性樹脂(A)は軟化して、はんだ4aが電極2Aに、はんだ4bが電極2Bに濡れ広がり、導電ピラー4の上面及び下面ではんだ接合を形成する。また、注入されたモールド材料5もリフローはんだ付け工程によって、硬化する。
(両側接合-先リフロー後モールド)
図3を用いて、リフローはんだ付け工程の後にモールド成形工程を行う両側接合の場合のはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する。
電極2A,2Bを備えた回路基板1A,1Bを2枚準備する。前記回路基板1A,1B上の電極2A,2Bに液状の本発明の仮固定組成物3A,3Bを塗布、ポッティング又は印刷する。なお、回路基板1A,1B上の電極2A,2Bに液状の本発明の仮固定組成物3A,3Bを塗布、ポッティング又は印刷する方法については、図2(a)及び図2(b)と同様である。
前記本発明の仮固定組成物3Aに覆われた回路基板1Aの電極2A上に、はんだ付き導電ピラー4を略垂直に配置する(図2(c)参照。)。はんだ付き導電ピラーはその上下の端面のそれぞれにはんだ4a,4bを備えている。このとき、回路基板1Aの電極2Aとはんだ付き導電ピラー4のはんだ部分とが対向するように配置する。
図3(d)に示すように、前記はんだ付き導電ピラー4を配置した回路基板1A及び前記回路基板1Bを、電極2A及び2Bが対向するように組み合わせる。このように組み合わせた回路基板1A,1Bをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3A,3Bに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bを乾燥させる。これにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bは乾固し、回路基板1A及び回路基板1Bに配置されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1A,1Bに仮固定することができる。
上記においては、回路基板1A及び1Bについて同時に溶媒(B)を乾燥させてはんだ付き導電ピラー4を仮固定する場合を記載したが、別々で乾燥しても構わない。例えば、図3(d)の変形として、図2(c)に示すように、回路基板1Aにはんだ付き導電ピラー4を配置した後、はんだ付き導電ピラー4を配置した回路基板1Aをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3Aに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3Aを乾燥し乾固させて、回路基板1Aに配置されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1Aに仮固定する。次に、回路基板1Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4のもう一方のはんだを、回路基板1Bの電極2Bに対向するように配置し、本発明の仮固定組成物3Bを乾燥し乾固させて、回路基板1Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4を回路基板1Bに仮固定する。
図3(e)に示すように、前記のように組み合わせた回路基板1A及び回路基板1Bからなる基板群をリフロー炉に通してリフローはんだ付け工程を行う。当該リフローはんだ付け工程において、はんだ付き導電ピラー4のはんだ部分4a及び4bが溶融することにより、前記回路基板1Aの電極2Aと導電ピラーの一方の端面とがはんだ接合される。また、同時に前記回路基板1Bの電極2Bと導電ピラーの他方の端面とがはんだ接合される。この時、本発明の仮固定組成物3A,3Bは、熱可塑性樹脂(A)は軟化して、はんだ4aが電極2Aに、はんだ4bが電極2Bに濡れ広がり、導電ピラー4の上面及び下面ではんだ接合を形成する。
図3(f)及び図3(g)に示すように、前記リフローはんだ付け工程を経た基板群にモールド材料5を注入して成形工程を行い、モールド材料5を硬化させる。
前記した両側接合(先モールド後リフロー)や両側接合(先リフロー後モールド)においては、導電ピラーの上下の端面のそれぞれにはんだ4a,4bを備えているはんだ付き導電ピラーを用いて説明したが、はんだ付き導電ピラーとしては、片方の端面にのみはんだを備えたはんだ付き導電ピラーを用いることもできる。片方の端面にのみはんだを備えたはんだ付き導電ピラーを用いた場合、2枚の回路基板の内、回路基板1Aにはんだ付き導電ピラーを配置し、もう一方の回路基板1Bには本発明のソルダーペースト等によるはんだ層を形成する。この場合、本発明のソルダーペーストは、はんだ粉を含まない本発明の仮固定組成物と同じく、前述した乾燥プロセスで仮固定力を発現するので、本発明の仮固定組成物3Bを新たに塗布しなくても、強い仮固定力を発現でき、その後はんだ接合を形成できる。
(両側接合-導電ピラーブロック経由)
図4を用いて、導電ピラーブロックを用いた場合のはんだ接合方法や回路基板製造方法を説明する。
図4(a)に示すように、サポートキャリア6A,6Bを2枚準備する。前記サポートキャリア上に液状の本発明の仮固定組成物3A,3Bを塗布、ポッティング又は印刷する。塗布、ポッティング又は印刷後の本発明の仮固定組成物3A,3Bは、液状であっても、サポートキャリア6A,6Bの表面が露出してしまうほどの流動性は有しておらず、留まる程度の粘度や流動性を有している。
前記本発明の仮固定組成物3Aに覆われたサポートキャリア6A上に、はんだ付き導電ピラー4を略垂直に配置する。このとき、はんだ付き導電ピラーはその上下の端面のそれぞれにはんだ4a,4bを備えている。
図4(a)に示すように、前記はんだ付き導電ピラー4を配置したサポートキャリア6Aと、前記サポートキャリア6Bとを対向するように配置し組み合わせる。このように組み合わせたサポートキャリア6A,6Bをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3A,3Bに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bを乾燥させる。これにより、本発明の仮固定組成物3A,3Bは乾固し、サポートキャリア6A及び6Bに配置されたはんだ付き導電ピラー4をサポートキャリア6A,6Bに仮固定することができる。
上記においては、サポートキャリア6A及び6Bにおいて同時に溶媒(B)を乾燥させてはんだ付き導電ピラー4を仮固定する場合を記載したが、別々に乾燥しても構わない。例えば、図4(a)の変形として、回路基板1Aをサポートキャリア6Aに代えて図2(c)と同様の状態にして、はんだ付き導電ピラー4を配置したサポートキャリア6Aをオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3Aに含有される溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3Aを乾燥し乾固させて、サポートキャリア6Aに配置されたはんだ付き導電ピラー4をサポートキャリア6Aに仮固定する。次に、サポートキャリア6Bに、図2(b)と同様に、液状の本発明の仮固定組成物3Bを塗布、ポッティング又は印刷する。次に、サポートキャリア6Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4のもう一方のはんだを、サポートキャリア6Bに付された本発明の仮固定組成物3Bに対向するように配置し、本発明の仮固定組成物3Bを乾燥し乾固させて、サポートキャリア6Aに仮固定されたはんだ付き導電ピラー4をサポートキャリア6Bに仮固定する。
図4(b)に示すように、前記のように組み合わせたサポートキャリア6A及びサポートキャリア6Bからなるサポートキャリア群にモールド材料5を注入する。
前記モールド材料5を注入したサポートキャリア群をリフロー炉又はキュア炉に通してモールド材料5を仮硬化させるプレキュア工程を行う。これにより、モールド材料5はモールド材料仮硬化物になる。プレキュア工程は、モールド材料5のガラス転移点を僅かに下回る温度にて行われる。プレキュア工程の時間は、使用するモールド材料5に依存するが、例えば、1秒~30分程度である。プレキュア工程を設けることで、熱膨張係数の違いにより発生する界面応力による断線等を抑制することができる。
図4(d)に示すように、前記プレキュア工程を経たサポートキャリア群からサポートキャリア6A,6Bを取り除き、前記はんだ付き導電ピラー4を内包するモールド材料仮硬化物からなる導電ピラーブロックを分離する。サポートキャリアから導電ピラーブロックを分離しやすくするために、導電ピラー4を仮固定組成物3A及び3B上に配置して、乾固後、離型剤をサポートキャリア6A及び6Bに塗布、スプレーしてもよい。また、予め離型処理を施したサポートキャリアを用いてもよい。
図4(e)に示すように、前記導電ピラーブロックの上面及び下面のそれぞれに電極2A,電極2Bを備えた回路基板1A,1Bを配置し、リフロー炉に通してリフローはんだ付け工程を行う。当該リフローはんだ付け工程において、はんだ付き導電ピラー4のはんだ部分が溶融することにより、前記はんだ付き導電ピラー4の一方及び他方の端面にそれぞれ前記電極2A,2Bがはんだ接合される。この時、本発明の仮固定組成物3A,3Bは、熱可塑性樹脂(A)は軟化して、はんだ4aが電極2Aに、はんだ4bが電極2Bに濡れ広がり、導電ピラー4の上面及び下面ではんだ接合を形成する。また、仮硬化したモールド材料仮硬化物もリフローはんだ付け工程においてポストキュアが行われ、モールド材料硬化物になる。また、図4(e)の構造に配置する前に、回路基板1A、1Bの電極2A、2Bに、仮固定組成物3A、3Bを、前述した方法で、塗布、印刷してもよい。また、導電ピラーブロックの導電ピラー上面、下面に、同様に仮固定組成物3A、3Bを塗布、印刷してもよい。また、回路基板1A、1B及び導電ピラーブロックの導電ピラー上面、下面の両方に、仮固定組成物3A、3Bを塗布、印刷してもよい。
導電ピラーブロックを用いた両側接合の場合を説明したが、片側接合にも適用できる。つまり、サポートキャリア6Aに片側にのみはんだを備えたはんだ付き導電ピラーを用いて、片側のみの接合方法に適用することもできる。
図5を用いて、格子状ピラーブロック8の製造方法を説明する。図5(a)に示すように、サポート基板10は、平面視において正方形であり、内側に正方形状の開口している空間11を備えている。空間11の周りのサポート基板10上の所定の位置に、液状の本発明の仮固定組成物3を塗布、ポッティング又は印刷する。
なお、サポート基板10の形状は正方形に限定されない。長方形、八角形、円、および他の直交または非直交形状などの代替の形状とすることもできる。
本発明の仮固定組成物3が塗布等された、空間11の周りのサポート基板10上の所定の位置に、空間11を囲むように、導電ピラー9を略垂直に配置する。導電ピラー9を配置したサポート基板10をオーブンに入れ、所定温度及び所定時間による加熱を施し、本発明の仮固定組成物3に含まれる溶媒(B)を乾燥させることにより、本発明の仮固定組成物3を乾燥させる。本発明の仮固定組成物3は乾固し、仮固定組成物乾燥体となる。これにより、サポート基板10に配置された導電ピラー9をサポート基板10に仮固定することができ、サポート基板10上に導電ピラー9が複数個設置された格子状ピラーブロック8が製造される。その後、図5(b)に示すように、オーバーモールド工程により導電ピラー9を樹脂中に埋め込み、必要に応じて、切断、研磨などにより形状を整えて、モールド貫通ビア13(以後、TMV13という)が製造される。なお、モールド貫通ビアとは、through mold via(TMV)のことであるが、through package viaとよばれることもある。
オーバーモールド工程は、サポート基板10に導電ピラー9が複数個設置された格子状ピラーブロック8にモールド材料5を注入して行う。このとき、サポート基板10の空間11には、例えば中子を設置する等して空間11にはモールド材料5が注入しないようにする。モールド材料5を注入したサポート基板10をリフロー炉又はキュア炉に通してモールド材料5を硬化させる。これによりモールド材料5はモールド材料硬化物となる。その後、空間11に設置された中子とサポート基板10とを取り除くことにより、TMV13におけるモールド材料硬化物は空間11の部分が中空に形成された構成となる。
オーバーモールド工程後、モールド材料硬化物は、サポート基板10に配置された導電ピラー9の高さより高くなり、導電ピラー9を覆うように形成される。そのため、研磨等により導電ピラー9の上面をモールド材料硬化物から露出させるモールド材料硬化物の除去工程を行うことが好ましい。特に、再配線を形成するために必要な平滑な面とするためには、最後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことが好ましい。
前記除去工程を行うと、導電ピラー9の上面を覆っていたモールド材料硬化物が除去されて、導電ピラー9の上面は露出する。露出した導電ピラー9の上面に公知の方法で再配線を施し、導電ピラーの上面に再配線による回路を形成する再配線工程を行う。例えば、絶縁層としては、ポリイミド(PI)やベンゾオキサゾール(PBO)を用いて、Cu配線は、電解メッキや無電解メッキにて形成することができる。再配線層は、必要に応じて、数層設けることもできる。
(TMVを用いた垂直方向導通パッケージの製造方法)
図6を用いて、TMVを用いた垂直方向導通パッケージの製造方法を説明する。
図6(a)に示すように、本発明の仮固定組成物3によりサポート基板10へ導電ピラー9を仮固定し、モールド材料5によるオーバーモールド工程及びオーバーモールド工程により形成されたモールド材料硬化物の除去工程を経たTMV13を第1サポートキャリア61に仮固定シート12が接するように配置して、空間11に半導体チップ60を配置する。なお、仮固定シート12は、公知の電子部品工程用の粘着シートを用いることができる。
次に、図6(b)に示すように、モールド材料62を注入してオーバーモールド工程を行う。仮固定シート12に配置された導電ピラー9の高さより、モールド材料62によるモールド材料硬化物の高さが高くなり、導電ピラー9を覆うように形成される。
次に、図6(c)に示すように、研磨等により導電ピラー9の上面をモールド材料62によるモールド材料硬化物から露出させるモールド材料硬化物の除去工程を行う。特に、再配線を形成するために必要な平滑な面とするためには、最後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことが好ましい。
次に、図6(d)に示すように、モールド材料硬化物の除去工程を施した面に、第1再配線層63を形成する。第1再配線層は公知の方法で形成することができる。
次に、図6(e)に示すように、第1再配線層63を形成したチップやTMV13を全体モールドした成形物(全体モールド成形物15)から仮固定シート12及び第1サポートキャリア61を取り除き、全体モールド成形物15を分離する。
次に、図6(f)に示すように、第1再配線層63側が仮固定シート14に接するように仮固定シート14に全体モールド成形物15を配置し、仮固定シート14の下には第2サポートキャリア64を配置する。全体モールド成形物15における、第1再配線層63とは反対側の面(図6(f)においては、全体モールド成形物15の上面)に第2再配線層65を形成するために必要な平滑な面とするための、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行う。なお、仮固定シート14は、公知の電子部品工程用の粘着シートを用いることができる。
次に、図7(g)に示すように、全体モールド成形物15の第1再配線層63が形成されているのとは反対側の面に、第2再配線層65を形成する。第2再配線層65は公知の方法で形成することができる。
次に、図7(h)に示すように、第2再配線層65の電極の位置に、フラックスを介してはんだボール66を設置して、リフローによりバンプを形成する。
次に、図7(i)に示すように、第1再配線層63の下面に配置されていた仮固定シート14及び第2サポートキャリア64を取り除くことによって、TMVパッケージ16が製造される。TMVパッケージ16の第1再配線層63が上面となるように、TMVパッケージ16を反転させる。
次に、図7(j)に示すように、第1再配線層63上に、アンテナ67や半導体チップ68、電子部品やチップ部品等の部品69等を配置する。ここで、第1再配線層63上に配置するものとして、アンテナ67や半導体チップ68、部品69を示したが、第1再配線層63上に配置するものは、これらに限定されない。これにより、第2再配線層65(1階の基板)に搭載されている半導体チップ61(例えば、ロジック)と、第1再配線層63(2階の基板)に搭載された半導体チップ68(例えば、DRAM)、アンテナ67、部品69との接続は、マザーボードや実装基板を介さず、TMVにより短い距離で直接電気的に接続できる。そのため、本発明のTMVパッケージは、特に、1階のロジックと2階のメモリーとの間で、高速で、ロスが少ない電気信号を送受信でき高いパフォーマンスを発揮することができる。
前記した両側接合(先モールド後リフロー)、両側接合(先リフロー後モールド)や両側接合(導電ピラーブロック経由)においては、導電ピラーの上下の端面のそれぞれにはんだ4a,4bを備えているはんだ付き導電ピラーを用いて説明したが、導電ピラーとしては、導電ピラーの片方の端面にのみはんだを備えたはんだ付き導電ピラーや、上下の端面のいずれにもはんだを備えない導電ピラーを用いることもできる。この場合、導電ピラーのはんだが備えられていない端面に対向する回路基板の電極に、はんだが備えられていればよい。例えば、片方の端面にのみはんだを備えたはんだ付き導電ピラーを用いる場合、2枚の回路基板の内、回路基板1Aにはんだ付き導電ピラーを配置し、もう一方の回路基板1Bには本発明のソルダーペースト等によるはんだ層を形成すればよい。また、上下の端面のいずれにもはんだを備えない導電ピラーを用いる場合、回路基板1A及び1Bには、本発明のソルダーペースト等によるはんだ層を形成すればよい。
上記実施態様では、本発明の仮固定組成物を用いて電極上に導電ピラーやはんだ付き導電ピラーを仮固定する態様を説明したが、その他の回路部材の仮固定にも利用することができる。例えば、図6のプロセスで、半導体チップ60の仮固定に用いることもできる。この場合は、溶剤を効率良く乾燥できるように、チップ底面の全面に薄く塗布するか、チップ底面の外周近傍に塗布するか、チップを所定の位置に配置後、チップ側面と基板面との交線に沿って両面に付着するように塗布する等することが好ましい。
また、本発明の仮固定組成物の使用方法として、電極に塗布する態様を説明したが、例えば、はんだ、はんだ付き導電ピラー、導電ピラー等の回路部材に塗布してもよい。
はんだ付き導電ピラーを用いた場合で説明したが、回路部材としては、はんだ付き導電ピラーに限定されるものではなく、ICチップ、LEDチップ、MEMS等の半導体素子やCuピラー、はんだボール、Cu核はんだボール等の接続部品やチップ抵抗やチップコンデンサー等の表面実装用途等の電子部品やディスクリート等でも適用でき、回路部材は、例えば、はんだバンプやCuピラー、はんだキャップCuピラー、リード等を備えていてもよい。
[仮固定組成物の用途]
本発明の仮固定組成物は、電子部品の製造工程における仮固定や紙、木材、ガラス、金属、半導体、セラミックス、基板、布、プラスチック等の仮固定部材として使用することができる。
電子部品としては、半導体素子や液晶表示素子、太陽電池等の電子部品が挙げられ、製造工程としては、例えば、リフロー等のはんだ付け工程等を挙げることができる。特に、PoP(Package on package)やInFO(Integrated Fan-Out)パッケージなど2段以上パッケージや基板(本明細では再配線からなる配線層も基板として説明する)を積み重ねた構造において、上下のパッケージ、基板間を電気的に接続するために設けられるTMV(through mold via)、TPV(through package via)を形成する工程において、本発明の仮固定組成物により導電ピラーを仮固定してモールドすることで、従来工法に比べて飛躍的に生産性を向上することができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例で使用した各成分の物性値については、下記の方法に基づいて測定した値を使用した。
本発明で用いた測定方法および評価方法は以下のとおりである。
[1]測定方法および評価方法
(1)樹脂単体の加熱押し当て試験
所望の温度で保持したヒートステージ上に、原料樹脂単体(固形)の小片(ブロック状)を薬さじで載せて3分保持した後、ヘラを押し当てて変化を観察した。また、樹脂単体として、粉体も3分間載せた後観察した。
ヒートステージが125℃、175℃、230℃の時のそれぞれの状態で次のとおり評価した。
(125℃の場合)
A:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈まず、小片樹脂が流動しないとき
B:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈むが、樹脂粉体全体が溶けない(透明状の液体とならない)とき
C:小片のヘラを押しヘラ当てた場合、ヘラが沈み、樹脂粉体全体が溶けて透明状の液体となったとき
(175℃の場合)
A:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈まず、小片樹脂が流動しないとき
B:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈むが、樹脂粉体全体が溶けない(透明状の液体とならない)とき
C:小片のヘラを押しヘラ当てた場合、ヘラが沈み、樹脂粉体全体が溶けて透明状の液体となったとき
(230℃の場合)
A:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈み、樹脂粉体全体が溶けて透明状の液体となったとき
B:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈むが、樹脂粉体全体が溶けない(透明状の液体とならない)とき
C:小片にヘラを押し当てた場合、ヘラが沈まず、小片樹脂が流動しないとき
(2)搭載後の位置ズレ(搭載性)
FR-4基板(ソルダーレジスト(SR)開口径0.39m、SR厚さ20μm)の電極(ENIG:Cu/Ni/Au(Ni層の厚さ0.3μm、Au層の厚さ0.03μm))に実施例及び比較例で製造した仮固定組成物を0.2μL塗布して、室温(25℃)で1分放置後、はんだボール(SAC305、φ0.61mm)、または、Cuピラー(φ0.4mm、H=0.5mm、1mm、3mm、表面(全面)に内側からNi(3μm)/SAC305(8μm)をメッキ)をピンセットで搭載し、はんだボール及びCuピラー搭載直後と、搭載して1分後の搭載位置の変化(位置ズレ)を観察した。はんだボール及びCuピラーの位置は、デジタルマイクロスコープの観察像、または、動画撮影により確認した。
また、はんだボール及びCuピラーが基板に保持されているとは、基板を5°傾けても、はんだボール及びCuピラーが動かないことをいう。
評価は次のとおりである。
A:ボール、Cuピラー搭載後にボール、Cuピラーが基板に保持されていて、位置ズレしないとき、または位置ズレが50μm以内のとき
B:基板にボール、Cuピラーが保持されていて、位置ズレが50μmを超え、300μm以内のとき
C:基板にボール、Cuピラーが保持されていて、位置ズレが300μmを超えるとき、または、保持されない(乾燥により粘着力、表面張力がなくなりボールが転がる、Cuピラーが倒れる場合など)とき
(3)乾燥後の位置ズレ(搭載性)
120℃、30分間、または、175℃、1時間の乾燥後、乾燥固化によりはんだボール、Cuピラーが基板に固定されていて、はんだボール、Cuピラーが基板に保持された位置からの位置ズレを観察した。
評価は次のとおりである。
A:位置ズレが100μm以内のとき
B:位置ズレが100μmを超え、300μm以内のとき
C:位置ズレが300μmを超えるとき
(4)仮固定性
(4-1)仮固定性(乾燥後の倒立性)
(3)の評価における乾燥を行った後の基板を用いて、室温(25℃)で、基板を略垂直に立てた時のはんだボール、Cuピラーについて観察した。
A:はんだボール、Cuピラーが動かず落下しないとき
C:はんだボール、Cuピラーが落下したとき
(4-2)仮固定性(乾燥後のシェア強度)
(3)の評価における乾燥を行った後の基板を用いて、ダイシェアテスター(デイジー社製シリーズ5000)にて、室温(25℃)、60℃、125℃、または、175℃のステージに3分保持後、基板上のはんだボール、Cuピラーに対し、シェアツール速度300μm/s、シェアツールを材料からの高さ30μmにして基板と平行に力を加え、シェア強度を測定するシェアテストを5回実施して、シェア強度の平均値を算出した。
評価は次のとおりである。
(室温(25℃)の場合)
A:シェア強度の平均値が、500gf以上のとき
B:シェア強度の平均値が200gf以上でかつ500gf未満のとき
C:シェア強度の平均値が200gf未満のとき
(60℃の場合)
A:シェア強度の平均値が、200gf以上のとき
B:シェア強度の平均値が、100gf以上でかつ200gf未満のとき
C:シェア強度の平均値が、100gf未満のとき
(125℃の場合)
A:シェア強度の平均値が、100gf以上のとき
B:シェア強度の平均値が、50gf以上でかつ100gf未満のとき
C:シェア強度の平均値が、50gf未満のとき
(175℃の場合)
A:シェア強度の平均値が、100gf以上のとき
B:シェア強度の平均値が、50gf以上でかつ100gf未満のとき
C:シェア強度の平均値が、50gf未満のとき
(5)実装性
(2)搭載後の位置ズレ(搭載性)に記載した方法で基板にはんだボール、Cuピラーを搭載し、120℃、30分間、または、175℃、1時間の乾燥固化後に、窒素雰囲気にてJEDECの推奨条件でリフローはんだ付けを実施した。このときの温度プロファイルの最高到達温度は260℃とした。はんだ付けを実施したはんだボール、Cuピラーについて、ダイシェアテスターにて、室温(25℃)ではんだボール、Cuピラーのシェア強度を5回測定し、平均値を算出した。
評価は次のとおりである。
A:5回全てはんだ内部での凝集破壊であり、かつ、シェア強度の平均値が800gf以上のとき
B:5回全てはんだ内部での凝集破壊であり、かつ、シェア強度の平均値が800gf未満のとき、又は、はんだ内部での凝集破壊が2~5回(その他は界面)であり、かつ、シェア強度の平均値が800gf以上のとき
C:上記以外のとき
(6)プロセス適合性
(6-1)仮固定→リフローはんだ付け工程→モールド成形工程のプロセスへの適合性
(6-2)仮固定→モールド成形工程→リフローはんだ付け工程のプロセスへの適合性
(6-3)仮固定→モールド成形工程→格子状ピラーブロック形成→フラックス塗布(必要に応じて)→仮固定→モールド成形工程→再配線のプロセスへの適合性
(6-1)及び(6-2)のプロセス適合性の評価は次のとおりである。
A:搭載性の全ての評価がA、仮固定性の評価で、125℃又は、175℃の温度のうち、少なくともどちらか一方の評価がA、実装性の評価がAであるとき
B:搭載性の評価で、搭載後の位置ズレ又は、乾燥後の位置ズレのどちらか一方がBで、その他は前述のプロセス評価A判定と同じであるとき
C:上記以外のとき
(6-3)のプロセス適合性の評価は次のとおりである
A:搭載性の全ての評価がA、仮固定性の評価で、125℃又は、175℃の温度のうち、少なくともどちらか一方の評価がAのとき(実装性の評価はA~Cのどれでも可)
B:搭載性の評価で、搭載後の位置ズレ又は、乾燥後の位置ズレのどちらか一方がBで、その他は前述のプロセス評価A判定と同じとき
C:上記以外のとき
(7)はんだペーストの濡れ広がり性
実施例及び比較例に係る仮固定組成物15質量部に対して、IPC Type4のSAC305のはんだ粉 85質量部を配合し、遊星式脱泡機で混合することによりはんだペーストを製造した。
約0.01g(0.010~0.015g)のはんだペーストを全面金メッキのベタ基板(ENIG:Cu/Ni/Au(Ni層の厚さ0.3μm、Au層の厚さ0.03μm))上に供給して、窒素雰囲気でリフローはんだ付けを実施した。
はんだペーストの濡れ広がり性について、リフローはんだ付け工程前後の面積を用いて以下の式1から値を算出し、5回テストの平均値を算出した。
(式1)
はんだ濡れ広がり=((リフローはんだ付け工程後の面積)-(リフローはんだ付け工程前の面積))×100/リフローはんだ付け工程前の面積
評価は次のとおりである。
A:濡れ広がりが70以上
B:濡れ広がりが40以上、70未満
C:濡れ広がりが40未満
(2)搭載後の位置ズレ(搭載性)、(3)乾燥後の位置ズレ(搭載性)、(4)仮固定性、(5)実装性の評価においては、はんだボールの代わりに、Cuピラー(φ0.4mm、H=0.5mm、1mm、3mm)を用いることもできる。
実施例及び比較例で使用した熱可塑性樹脂(A)は、以下のとおりである。なお、Tgとはガラス転移点、Tsとは軟化点である。
<熱可塑性樹脂(A)>
・YX6954BH30(フェノキシ樹脂、固形分30%、Tg=130℃、三菱ケミカル株式会社製)
・YX7200B35(フェノキシ樹脂、固形分35%、Tg=150℃、三菱ケミカル株式会社製)
・YX7553BH30(フェノキシ樹脂、固形分35%、Tg=155℃、三菱ケミカル株式会社製)
・JER1256(フェノキシ樹脂、固形分100%、Tg=95℃、三菱ケミカル株式会社製)
・パインクリスタルKE-604(酸変性ロジン樹脂、固形分100%、Ts=132℃、荒川化学工業株式会社製)
・パインクリスタルKR-140(重合ロジン樹脂、固形分100%、Ts=142℃、荒川化学工業株式会社製)
・ペンセルD-160(重合ロジンエステル樹脂、固形分100%、Ts=158℃、荒川化学工業株式会社製)
・ペンセルKK(重合ロジンエステル樹脂、固形分100%、Ts=172℃、荒川化学工業株式会社製)
・パインクリスタルKR-85 GR-14R(ロジン樹脂、固形分100%、Ts=86℃、荒川化学工業株式会社製)
・4275(フェノキシ樹脂、固形分100%、Tg=68℃、三菱ケミカル株式会社製)
[実施例1]
フェノキシ樹脂の固形分が100質量部となる量のフェノキシ樹脂の2-ブタノン及びシクロヘキサノン溶液(YX6954BH30、固形分30%)にジエチレングリコールモノメチルエーテルを200質量部加えた後、2-ブタノン及びシクロヘキサノンを真空蒸留し、フェノキシ樹脂のジエチレングリコールモノメチルエーテル溶液300質量部を得た。
フェノキシ樹脂のジエチレングリコールモノメチルエーテル溶液300質量部にサリチル酸を11質量部加え、三本ロールを用いて混錬し、実施例1のフェノキシ樹脂組成物311質量部を得た。
[実施例2~10]
表1及び2に記載の配合表を用いて、実施例1と同様の方法で実施例2~10を製造した。なお、YX6954BH30、YX7200B35、及びYX7553BH30は溶媒で希釈した溶液として供給されるが、配合表に示される前記樹脂の配合量は、固形分の配合量を示している。
[比較例1~3]
表3に記載の配合表を用いて、実施例1と同様の方法で比較例1~3を製造した。また、前述したように、YX7200B35は溶媒で希釈した溶液として供給されるが、配合表に示される前記樹脂の配合量は、固形分の配合量を示している。
Figure 2022147854000003
Figure 2022147854000004
Figure 2022147854000005
実施例から本発明の仮固定組成物は、仮固定力が良好であり、また、はんだ接合における回路部材の位置ズレがないことについても良好である。
比較例の仮固定組成物は、仮固定力が不良であり、はんだ接合における回路部材の位置ズレにおいても不良である。
実施例2、4及び比較例1を比較すると、実施例2及び4の溶媒(B)は、比較例1の溶媒(B)よりも沸点が高い溶媒であるため、仮固定力が良好で、搭載性も良好である。しかし、比較例1は、溶媒(B)の沸点が実施例2及び4の溶媒(B)よりも低いため、乾燥が早く、はんだボールの搭載ができず、仮固定力を発揮することができない。
実施例7、8、9、10及び比較例2を比較すると、実施例7、8、9、10における熱可塑性樹脂(A)の軟化点は、比較例2の熱可塑性樹脂(A)の軟化点よりも高いため、高温での仮固定力が良好である。しかし、比較例2の熱可塑性樹脂(A)の軟化点は低いため、比較例2は高温での仮固定力が不良である。
本発明の実施例と比較例3とを比較すると、実施例における熱可塑性樹脂(A)は、ガラス転移点が90℃以上であるため、全ての評価において結果が良好である。一方、比較例3においては、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が90℃未満であるため、仮固定力を発揮することができず、回路部材の位置ズレを防止することができない。
本発明の仮固定組成物は、電子部品の製造工程における仮固定に使用することができ、紙、木材、ガラス、金属、半導体、セラミックス、基板、布、プラスチック等の仮固定部材として使用することができる。
1,1A,1B・・回路基板、2,2A,2B・・電極、3,3A,3B・・仮固定組成物、4・・はんだ付き導電ピラー、4a,4b・・はんだ、5・・モールド材料、6A,6B・・サポートキャリア、7・・ソルダーレジスト、8・・格子状ピラーブロック、9・・導電ピラー、10・・サポート基板、11・・空間、12,14・・仮固定シート、13・・モールド貫通ビア、15・・全体モールド成形物、16・・TMVパッケージ、60・・半導体チップ、61・・第1サポートキャリア、62・・モールド材料、63・・第1再配線層、64・・第2サポートキャリア、65・・第2再配線層、66・・はんだボール、67・・アンテナ、68・・半導体チップ、69・・部品

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(A)及び溶媒(B)を含み、固化することにより回路部材を仮固定することを特徴とする仮固定組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点が90℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の仮固定組成物。
  3. 溶媒(B)の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮固定組成物。
  4. フラックス剤(C)を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の仮固定組成物。
  5. はんだ粉を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の仮固定組成物。
  6. 液状であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の仮固定組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の仮固定組成物を用いたはんだ接合方法であって、下記(i)~(v)のステップを有することを特徴とする、はんだ接合方法。
    (i)液状の前記仮固定組成物を準備するステップ
    (ii)前記(i)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップ
    (iii)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップ
    (iv)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより、前記仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップ
    (v)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップ
  8. (i)液状の請求項1~6のいずれか一項に記載の仮固定組成物を準備するステップ
    (ii)前記(i)に記載の液状の仮固定組成物を基板の電極を有する面又は回路部材に塗布するステップ
    (iii)基板の電極を有する面に塗布された前記液状の仮固定組成物に回路部材を配置する、又は前記液状の仮固定組成物が塗布された回路部材を基板の電極を有する面に配置するステップ
    (iv)前記液状の仮固定組成物を乾燥させることにより前記液状の仮固定組成物を固化させて、前記回路部材を仮固定するステップ
    (v)前記固化された仮固定組成物をはんだの融点以上の温度に加熱するステップ
    を備えたことを特徴とする回路基板の製造方法。

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