JP2022147673A - 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置 - Google Patents

熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022147673A
JP2022147673A JP2021049021A JP2021049021A JP2022147673A JP 2022147673 A JP2022147673 A JP 2022147673A JP 2021049021 A JP2021049021 A JP 2021049021A JP 2021049021 A JP2021049021 A JP 2021049021A JP 2022147673 A JP2022147673 A JP 2022147673A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ink
hot
resin powder
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021049021A
Other languages
English (en)
Inventor
陽介 北川
Yosuke Kitagawa
広 小代
Hiroshi Koshiro
智浩 水原
Tomohiro MIZUHARA
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Original Assignee
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsui Shikiso Chemical Co Ltd filed Critical Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Priority to JP2021049021A priority Critical patent/JP2022147673A/ja
Publication of JP2022147673A publication Critical patent/JP2022147673A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 繊維製品等の対象物品に対し図柄等を熱転写するための熱転写材を、熱転写する図柄等及び対象物品に対する熱溶融接着部等を無製版で効率よく製造し得る熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置の提供【解決手段】 一方の面にインク受容層が形成された帯状の基材Rを所定の経路に沿って駆動する駆動システムD、インク像層形成位置10においてインク像層mを形成するインク像層形成部E、同一位置の保持層形成位置20において保持層nを形成する保持層形成部F、前方の粉層形成位置30においてホットメルト樹脂粉層pを形成するホットメルト樹脂粉層形成部G、その前方の樹脂粉除去位置40において不要ホットメルト樹脂粉を除去する不要ホットメルト樹脂粉除去部H、更に前方の樹脂層形成位置50においてホットメルト樹脂層qを形成するホットメルト樹脂層形成部Jを有する熱転写材製造装置A。【選択図】 図1

Description

本発明は、衣料品を始めとする繊維製品等の対象物品に対し図柄等を熱転写するための熱転写材を製造する熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置に関する。
従来、衣料品を始めとする繊維製品等に対し図柄等を転写するための転写紙を製造する場合、離型処理を施した紙や合成樹脂フィルム等の基材に、所望の図柄層や接着剤層等をスクリーン印刷により形成していた。
図柄層の形成のためには、図柄を構成する各色に対応するスクリーン版を作成し、各色のインキ毎に、別々のスクリーン版を用いてスクリーン印刷機による印刷を行う必要があった。
また、転写後の図柄が転写対象物の地色等の影響を防ぐには、前記図柄層に重ねて隠蔽性白色インク層を形成するために、別に作成したスクリーン版を用いてスクリーン印刷を行う必要があった。
更に、転写対象物に接着させるための接着剤層を形成するために、別に作成したスクリーン版を用いてホットメルト性樹脂インクのスクリーン印刷を行うことや、ホットメルト性樹脂粉を散布して熱処理を行うことを要した。
しかし、このような従来の方法による転写紙の製造は、各スクリーン版の作成に日数及び費用を要し、特に小ロット多品種の製造には極めて非効率で高コストであり、生産性が低い。
特開2010-64354号公報には、インクジェット印刷法を用いた無製版の転写紙製造方法として、紙基材に昇華性染料を印刷した転写紙を用いてポリエステル繊維製の布等に昇華により図柄等を転写する方法が開示されている。
しかし、この方法は、ポリエステル繊維製の転写対象物への転写に限られ、また、昇華による転写を妨げることとなる隠蔽性白色インク層を設けることができないため、地色の影響がほとんどない白色(又は淡色)のポリエステル繊維製の転写対象物に対する図柄等の転写以外には使用し難いものである。
一方、国際公開2019/142657号公報には、無製版での転写紙製造方法として、基材の所定面における1又は2以上の所定の事後印刷用領域部上に剥離が可能なように形成された接着層上に、無製版によるインクジェット印刷法で図柄層を印刷することにより転写紙を得る方法が開示されている。
しかし、この方法においては、接着層の形成のために、スクリーン版を作成してスクリーン印刷を行うことから、無版による転写紙の製造とは言い得ない点があった。
また、特開2019-39082号公報には、顔料と定着樹脂とを含む転写捺染用インクを用い、
インクジェット記録装置により前記転写捺染用インクを転写紙上に吐出して画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程によって画像が形成された前記転写紙を前記定着樹脂の架橋温度よりも低温で乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程によって乾燥された前記転写紙を布帛に重ね合わせて前記定着樹脂の架橋温度より高温で加熱しながら加圧することで前記転写紙上に形成された画像を前記布帛に転写する転写工程と、
前記転写工程によって画像が転写された後の前記布帛から前記転写紙を剥離する剥離工程と、
を含む転写捺染方法であって、
前記転写紙は親水性のインク受容層と、親水性の乳化剤によって表面が被覆された疎水性粒子のエマルジョンからなる離型層形成剤とで形成される表面層を有し、
前記乾燥工程または前記転写工程において前記離型層形成剤が加熱されることで前記インク受容層の近傍に疎水性の離型層を形成する転写捺染方法が開示されている。
しかしこの方法の場合、基材である転写紙上で画像を形成する転写捺染用インクに含まれる定着樹脂のみにより転写対象である布帛への接着を行うので、耐久性を求められる繊維製品等については、転写画像に求められる堅牢性は不十分であると考えられる。
また、転写対象繊維製品等の地色の影響を十分に防ぎ得る隠蔽層が設けられない転写紙であるため、白色(又は淡色)の繊維製品等以外には使用し難い。
更に、定着樹脂の架橋温度よりも低温で乾燥させることで転写紙が得られ、その転写紙を用いて対象布帛に画像を転写する際に、定着樹脂の架橋温度より高温で加熱加圧するものであるため、使用前の転写紙において定着樹脂の架橋が徐々に進行することによる不都合が生じることが予想される。
また、特開2020-1233号公報には、加飾対象としての布帛および繊維製品のうちの少なくとも1つを加飾する加飾方法であって、
剥離シートと、前記剥離シート上に形成され、熱可塑性樹脂粒子と前記加飾対象を加飾するための加飾粒子とを含む転写層と、を備える熱転写シートを用意する用意工程;
前記加飾対象に前記熱転写シートの前記転写層の側の面を当接させた状態で加熱した後、前記剥離シートを剥がして、前記加飾対象の表面に前記転写層を固着する転写工程;
少なくとも前記転写層にインクを浸透させて、画像を形成する画像形成工程;
を包含し、前記画像形成工程において、インクジェットプリンタを用いる加飾方法が開示されている。
この方法によれば、白色顔料インク層などの隠蔽性顔料を転写層に用いることにより、転写対象繊維製品等の地色が転写画像に影響することを防ぎ得る
しかし、この加飾方法においては、剥離シート上に形成された転写層を布帛や繊維製品等に転写したのち、転写対象に転写された転写層に対し、インクジェット印刷などの方法で画像形成するものであるから、極めて非効率で複雑な製造工程と言える。
また布帛や繊維の全面に転写シート層を形成するものであることから、風合いや通気性の問題も懸念される。通気性や風合いの問題を改善しようとすれば、更に図柄単位でカッティングを行い、不要部を取り除いた転写シートを熱転写して画像形成しなければならなくなる。
特開2010-64354号公報 国際公開2019/142657号公報 特開2019-39082号公報 特開2020-1233号公報
本発明は、繊維製品等の対象物品に対し図柄等を熱転写するための熱転写材を、熱転写する図柄等及び対象物品に対する熱溶融接着部等を無製版で効率よく形成し得る熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、例えば次のように表すことができる。
(1) 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置又はインク像層形成位置と同一位置である保持層形成位置において、前記インク像層上の全て又は所要部分、及び、前記インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成すること、
前記経路における保持層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において、前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成すること、
前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上の保持層又は上に保持層が存在しないインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去すること、
及び、
前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
を含み、
前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造方法。
(2) 上記ホットメルト樹脂粉層の形成が、ホットメルト樹脂粉層の形成対象である保持層を形成する保持層形成用インク及び保持層が存在しないインク像層を形成するインク像形成用インクの何れに対してもホットメルト樹脂粉の付着が可能な状態で行われるものである上記(1)記載の方法。
(3) 上記インク像層形成位置におけるインクジェット印刷によるインク像層形成は、上記基材における熱転写箇所が前記インク像層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
上記保持層形成位置におけるインクジェット印刷による保持層形成は、前記熱転写箇所が前記保持層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
上記粉層形成位置におけるホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層形成は、前記熱転写箇所が前記粉層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
上記樹脂粉除去位置における不要のホットメルト樹脂粉の除去は、前記熱転写箇所が前記樹脂粉除去位置に位置することを検知した上で行うものであり、
上記樹脂層形成位置におけるホットメルト樹脂粉の熱処理によるホットメルト樹脂層形成は、前記熱転写箇所が前記樹脂層形成位置に位置することを検知した上で行うものである上記(1)又は(2)記載の方法。
(4) 上記基材がポリエステル樹脂フィルム製である上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の方法。
(5) 上記インク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分が、0.3cm/g以上の細孔容積を有する多孔質物質を含有するものである上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の方法。
(6) 上記インク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分の表面の表面自由エネルギーが、25(mJ/m2)乃至35(mJ/m2)である上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の方法。
(7) 上記インク受容層が、イオン性ゲル化剤としてカチオン化合物モノマー、カチオン化合物ポリマー、又は塩基性無機金属塩を含有する上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の方法。
(8) 上記インク像形成用インクが水性インクであり、そのインクの表面張力が23乃至35(mN/m)である上記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の方法。
(9) 上記保持層形成用インクが水性インクであり、そのインクの表面張力が23乃至35(mN/m)である上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載の方法。
(10) 上記ホットメルト樹脂粉層形成のために用いられたホットメルト樹脂粉のうち、基材に保持されなかったホットメルト樹脂粉の全部又は部分が、ホットメルト樹脂粉層形成のために再利用されることを含む上記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の方法。
(11) 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において前記インク像層上に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成すること、
前記インク像層上にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上のインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去すること、
及び、
前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
を含み、
前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造方法。
(12) 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送するための駆動又は搬送システム、
前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成するためのインク像層形成部、
前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置又はインク像層形成位置と同一位置である保持層形成位置において、前記インク像層上の全て又は所要部分、及び、前記インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成するための保持層形成部、
前記経路における保持層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において、前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成するためのホットメルト樹脂粉層形成部、
保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上の保持層又は上に保持層が存在しないインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去するための樹脂粉除去部、及び、
前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成するためのホットメルト樹脂層形成部
を含み
前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造装置。
(13) 上記ホットメルト樹脂層形成部によるホットメルト樹脂粉層の形成が、ホットメルト樹脂粉層の形成対象である保持層を形成する保持層形成用インク及び保持層が存在しないインク像層を形成するインク像形成用インクの何れに対してもホットメルト樹脂粉の付着が可能な状態で行われるものである上記(12)記載の装置。
(14) 上記基材における熱転写箇所が上記インク像層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記インク像層形成位置に位置することを検知した上で、上記インクジェット印刷によるインク像層形成を行うものであり、
前記熱転写箇所が上記保持層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記保持層形成位置に位置することを検知した上で、上記インクジェット印刷による保持層形成を行うものであり、
前記熱転写箇所が上記粉層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記粉層形成位置に位置することを検知した上で、上記ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層形成を行うものであり、
前記熱転写箇所が上記樹脂粉除去位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記樹脂粉除去位置に位置することを検知した上で、上記不要のホットメルト樹脂粉の除去を行うものであり、
前記熱転写箇所が上記樹脂層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記樹脂層形成位置に位置することを検知した上で、上記ホットメルト樹脂粉の熱処理によるホットメルト樹脂層形成を行うものである上記(12)又は(13)記載の装置。
本発明の熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置によれば、インク像等を対象物に熱転写させ得る熱転写材を、インク像層及びホットメルト樹脂層等を無製版で形成して効率良く製造することができる。
帯状の基材を用いる熱転写材製造装置の説明図である。 帯状の基材を用いる熱転写材製造工程の模式的な平面図及び断面図である。 帯状の基材を用いる熱転写材製造工程の模式的な平面図・側面図及び断面図である。 熱転写材を用いてインク像を転写したTシャツの模式的な平面図である。 図4におけるV-Vの模式的な要部断面図である。 シート状の基材を用いる熱転写材製造装置の説明図である。 シート状の基材を用いる熱転写材製造工程の模式的な平面図及び断面図である。 シート状の基材を用いる熱転写材製造工程の模式的な平面図及び断面図である。
[1] 本発明の実施の形態を説明する。
本発明の熱転写材製造方法は、
基材を所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
前記経路上のそれぞれ所定の位置において、
基材の一方の面に設けられたインク受容層に対しインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
インク像層上の全て又は所要部分、及び、インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成すること、
保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉層を形成すること、
不要のホットメルト樹脂粉を基材から除去すること、及び、
ホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
を含むものである。
また本発明の別の熱転写材製造方法は、
基材を所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
前記経路上のそれぞれ所定の位置において、
基材の一方の面に設けられたインク受容層に対しインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
インク像層上にホットメルト樹脂粉層を形成すること、
不要のホットメルト樹脂粉を基材から除去すること、及び、
ホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
を含むものである。
また本発明の熱転写材製造装置は、
基材を所定の経路に沿って駆動又は搬送する駆動又は搬送システム、
前記経路上のそれぞれ所定の位置において、
基材の一方の面に設けられたインク受容層に対しインクジェット印刷によりインク像層を形成するためのインク像層形成部、
インク像層上の全て又は所要部分、及び、前記インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成するための保持層形成部、
保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成するためのホットメルト樹脂粉層形成部、
不要のホットメルト樹脂粉を基材から除去するための樹脂粉除去部、
及び、
ホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成するためのホットメルト樹脂層形成部
を有する。
(1) 基材
基材は、厚さが薄いもの(例えば帯状体又はシート状体)である。
(1-1) 基材の素材は、特に限定されるものではないが、加熱加圧転写の条件(例えば転写温度100乃至200℃、転写時間2乃至30秒、転写圧10乃至200kPa)に耐える耐熱性や強度(耐圧性等)を有するものとすることができる。
基材の素材の具体例としては、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂等の合成樹脂フィルム(例えば厚さ20乃至400μm)や紙を挙げることができるが、これらに限るものではない。ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN), ポリブチレンナフタレート(PBN)等を挙げることができる。
季節や地域等による湿度変化の影響を紙に比し受けにくいという点で、PETを始めとするポリエステル樹脂フィルム等の合成樹脂フィルムが好ましい。
(1-2) 帯状の基材の一方の面には、直接又は他の層を介してインク受容層が設けられ、帯状の基材の例えば所定長毎に又はその他の区切りにより区切られた部分毎に、インク受容層に対しインク像層や保持層が形成され、更にホットメルト樹脂層が形成され、例えば、帯状のままで、区切られた部分毎のインク像層等の熱転写に用いることができる他、区切られた部分毎に又はインク像層毎に切断して熱転写に用いることもできる。
帯状の基材の他方の面には、必要に応じ、ブロッキング防止処理が施されたもの(例えば、ブロッキング防止のための離型層が設けられたもの)とすることができる。
また、帯状の基材は、本発明の方法や装置に用いる上で少なくとも必要な長さ以上の長さにわたり連続するものとすることができ、例えば、帯状の基材が駆動される所定の経路の長さの5乃至1000倍の長さにわたり連続するものとすることができるが、これに限るものではない。
帯状の基材は、連続方向における何れの位置においても一定幅であることが一般的であるが、連続方向の位置によって幅(連続方向に直交する方向の寸法)が変化するものとすることもできる。
帯状の基材は、例えば予めロール状(例えば巻枠又は巻き芯等に巻回されたもの)の形態をなす連続的な帯状の基材とすることが好ましいが、これに限るものではなく、シートを短冊状に切断したものを接着テープ(例えば紙の場合は水溶性糊料の接着テープ、ポリエステルフィルムの場合は熱接着テープ)や接着剤で長手方向に繋ぎ合わせて巻き取ることにより、ロール状の形態をなす連続的な帯状の基材としたものを用いることもできる。
(1-3) シート状の基材の一方の面には、直接又は他の層を介してインク受容層が設けられ、インク受容層に対しインク像層や保持層が形成され、更にホットメルト樹脂層が形成され、例えば、そのまま熱転写に用いることができる他、1枚のシート状の基材に2以上のインク像層等を設け、インク像層等毎に別々に熱転写を行うことや、インク像層等毎に切断して用いることもできる。
シートの基材の他方の面には、必要に応じ、ブロッキング防止処理が施されたもの(例えば、ブロッキング防止のための離型層が設けられたもの)とすることができる。
シート状の基材の形状は、方形状の他、例えば、各種多角形、円形、楕円形、その他の閉曲線で囲まれた形状とすることができる。
(2) 駆動又は搬送システム
(2-1) 駆動システムは、例えば、帯状の基材を、所定の経路に沿ってその帯状の基材の連続方向に前進又は停止させ得るものとすることができる(例えば、前記所定長毎に又はその他の区切りにより区切られた部分毎に前進させることもでき、必要であれば後退可能とすることもできる)。
これにより、帯状の基材の連続方向に順次設定することができる(例えば所定長毎の又はその他の区切りにより区切られた部分毎の)各熱転写箇所を、インク像層形成位置、保持層形成位置(保持層形成位置が存在しない場合及びインク像層形成位置と同一位置である場合を含む)、粉層形成位置、樹脂粉除去位置(粉層形成位置と同一位置である場合を含む)、及び、樹脂層形成位置(樹脂粉除去位置と同一位置である場合を含む)のそれぞれに順次前進させ、それぞれの位置においてインク像層形成、保持層形成、ホットメルト樹脂粉層形成、不要ホットメルト樹脂粉除去、及び、ホットメルト樹脂層形成の処理工程を実施することができる。なお、帯状の基材を停止させた状態で熱転写箇所に対し何れかの処理工程を実施する位置が複数存在する場合、それらの複数位置の2以上に、異なる熱転写箇所が同時に位置して帯状基材が停止した状態で、それぞれの処理工程が実施され得るように、各熱転写箇所の配置と各処理工程実施位置と基材を駆動する経路を設定することが望ましい。
(a) 駆動システムは、例えば、巻回された帯状の基材をセットした巻き出し部から巻き出された帯状の基材を、巻き取り部との間に張り渡し、必要に応じ、その中間に帯状の基材の経路保持や方向転換のためのガイド部や張力維持部又は中間駆動部等が設けられたものとすることができる。
ガイド部としては、例えばガイドローラを用いることができる。
中間駆動部としては、例えば、帯状の基材を挟圧する駆動ローラとピンチローラ又は一対の駆動ローラで、制御部により制御される電動機により回転及び停止が制御されるものとすることができる。
帯状の基材は、例えば、制御部により制御されるブレーキ部や電動機により巻き出し部又はその他のガイドローラ等の従動ローラや駆動ローラの回転が制御されて、又は、制御部により制御される各種アクチュエータによりガイドローラ等の従動ローラや駆動ローラの回転軸線位置が制御されて、巻き出し部と巻き取り部との間の帯状の基材の張力(又は、その他の張力維持部、中間駆動部、インク像層形成位置、保持層形成位置、粉層形成位置、樹脂粉除去位置、樹脂層形成位置等の所要箇所における張力)が制御されるものとすることができる。
(b) 帯状の基材には、その帯状の基材の連続方向に所要長ずつ駆動及び停止(必要であれば後退駆動)して帯状の基材の連続方向に間隔おきに位置する熱転写箇所をそれぞれインク像層形成位置等の前記各位置に合わせるための光電管マーク、パンチ穴、その他の検知(例えば光学的検知又は電磁的検知)による位置合わせを可能とする被検知部が印刷、穿孔又はその他の手段により設けられたものとすることができる。
また、帯状の基材における熱転写箇所の位置を検知するための検知手段として、所定の経路の必要箇所にセンサを設けることや、巻き取り部、駆動ローラ、従動ローラなどによる駆動距離の計測等を行うものとすることができる。
帯状の基材における被検知部を検知することによる位置合わせは、例えば、各熱転写箇所を帯状の基材における所定の連続方向長毎に設け、帯状の基材に所要の張力を維持することにより、インク像層形成位置のみについて駆動システムによる位置合わせを行うことにより、保持層形成位置(保持層形成位置が存在しない場合及びインク像層形成位置と同一位置である場合を含む)、粉層形成位置、樹脂粉除去位置(粉層形成位置と同一位置である場合を含む)、及び、樹脂層形成位置(樹脂粉除去位置と同一位置である場合を含む)の位置合わせが同時に行われるものとすることができる。また、位置合わせを各位置について個別に行い得る微調整装置(例えば、必要な張力が加えられた状態での位置合わせ)を駆動システムの各位置に対応する箇所に設けることもできる。
(2-2) 搬送システムは、シート状の基材を、所定の経路に沿って前進(例えば、一定長さ[例えば搬送するシート状の基材の搬送方向長さに応じた長さ]ずつ前進)又は停止させ得るものとすることができる(必要であれば後退可能とすることもできる)。
これにより、シート状の基材に設定することができる熱転写箇所(必要であれば1枚のシート状の基材に複数設定することもできる)を、インク像層形成位置、保持層形成位置(保持層形成位置が存在しない場合及びインク像層形成位置と同一位置である場合を含む)、粉層形成位置、樹脂粉除去位置(粉層形成位置と同一位置である場合を含む)、及び、樹脂層形成位置(樹脂粉除去位置と同一位置である場合を含む)のそれぞれに順次前進させ、それぞれの位置においてインク像層形成、保持層形成、ホットメルト樹脂粉層形成、不要ホットメルト樹脂粉除去、及び、ホットメルト樹脂層形成の処理工程を実施することができる。なお、シート状の基材を停止させた状態でその熱転写箇所に対し何れかの処理工程を実施する位置が複数存在する場合、それらの複数位置の2以上に、異なるシート状の基材の熱転写箇所が同時に位置してそれらが停止した状態で、それぞれの処理工程が実施され得るように各処理工程実施位置とシート状の基材を駆動する経路を設定することが望ましい。
搬送システムは、例えば、所定の経路の必要箇所に、シート状の基材をその所定の経路に沿って前進又は停止(必要であれば後退)させるための、そのシート状の基材を挟圧する駆動ローラとピンチローラ又は一対の駆動ローラ、経路保持や方向転換のためのガイド部(ガイドローラ等)やコンベヤベルトを有するものとすることができる。
また、シート状の基材の位置や姿勢を検知するための検知手段として、所定の経路の必要箇所にセンサを設けたり、駆動ローラ、従動ローラ、コンベヤベルトなどによる搬送距離の計測等を行うものとすることができる。
シート状の基材には、そのシート状の基材を所定の経路に沿って前進又は停止(必要であれば後退)させてそのシート状の基材の熱転写箇所をインク像層形成位置等の前記各位置に合わせるため(又は姿勢を補正するため)に検知し得る前縁、後縁、側縁等の縁部を有する他に、光電管マーク、パンチ穴、その他の検知(例えば光学的検知又は電磁的検知)による位置合わせを可能とする被検知部が印刷、穿孔又はその他の手段により設けられたものとすることができる。
前記コンベヤベルトは、例えば、上面にシート状の基材を載置又は保持(例えば、コンベヤベルトに設けた吸引孔を通じた空気吸引等による負圧による保持、コンベヤベルトと共に移動してコンベヤベルトとの間にシート状の基材を挟む押圧体による保持等)した状態で搬送するためのものである。
前記のシート状の基材の姿勢は、例えば、所定の搬送面に沿って搬送されている長方形状のシート状の基材についての搬送方向に対する長辺又は短辺の傾斜である。
前記のセンサは、例えば、シート状の基材の前縁、後縁、側縁のそれぞれ1又は2以上の箇所を検知するものや、シート状の基材に設けた光電管マーク、パンチ穴、その他の検知マーク(例えば光学的検知又は電磁的検知)を検知するものである。
また搬送システムは、例えば、必要に応じ、搬送方向に対するシート状の基材の傾き等の姿勢を検知又は計測し、その傾きを補正する動作を駆動ローラに行わせたり、別途の補正ローラ等の修正手段を設けることや、所定の経路に対するシート状の基材横ずれを検知してその横ずれを修正するためのガイド部材等の手段を設けることもできる。
(2-3) このような駆動又は搬送システムの制御は、例えば、各センサによる検知情報に基づき制御部(例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、その他のデジタル制御装置等)により、電動機やその他のアクチュエータ等が制御されることによって行われるものとすることができる。
(3) 熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性
インク受容層は、基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたものであり、前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層は、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである。
熱転写の際の基材の剥離というのは、布製品等の転写対象物に対し、本発明の方法又は装置により得られた熱転写材を用いてインク像等の熱転写を行う際に、ホットメルト樹脂層を転写対象物に当接させてその熱転写材の基材の裏面と転写対象物の間で熱転写材を加熱加圧した後の基材の剥離であり、基材の剥離を助けるための離型性というのは、例えば、基材の剥離を円滑に若しくは容易に行い得るようにするため、或いは、基材の剥離によって、転写されるインク像等に対し損傷が生じないようにするための離型性を言う。
前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものの例としては、
・基材の一方の面に、離型層を介してインク受容層又は前記他の層が設けられた場合、
・基材の一方の面に、離型性を備えたインク受容層又は離型性を備えた前記他の層が設けられた場合、
・基材自体又は少なくとも基材の一方の面自体が、離型性を有する場合
を挙げることができる。
前記他の層の例としては、例えば無色透明の保護層を挙げることができ、当該他の層が離型性を備えるものとすることもできる。
(4) インク受容層
インク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分(インク受容層の全体であることが好ましい)については、そのインクジェット印刷によるインク像形成用インクが良好な鮮明性、シャープ性、滲み防止性、混色防止(多色インク等のインクの混合防止)性を発揮し得るものとする上で、例えば0.3cm/g以上、好ましくは0.5cm/g以上の細孔容積を有する多孔質物質を含有するもの(例えば前記鮮明性、シャープ性、滲み防止性、混色防止性を発揮し得る程度に十分に又は満遍なく含有するもの)とすることができる。インク受容層のうち、インク像層が形成されずに保持層形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分についても同様である。
前記多孔性物質としては、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、アルミニウムシリケートなどが挙げられ、これらの2以上を組み合わせて用いることもできるが、必ずしもこれらに限るものではない。
またインク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分については、表面(例えば塗工表面)の表面自由エネルギーは、25(mJ/m2)乃至35(mJ/m2)であることが好ましい。インク受容層のうち、インク像層が形成されずに保持層形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分についても同様である。
なお、前記表面自由エネルギーは、接触角測定装置(CAX-150:協和界面科学株式会社製)を用いた測定方法により計測する。
水、ジヨードメタン、nーヘキサデカンの3種の液体を用いてそれぞれの液体のフィルム上での接触角を測定し、Kitazaki-Hataの計算式によって求められるものである。
表面自由エネルギーは、表面張力調整剤を用いて調整することができる。
前記表面張力調整剤は、インク受容層に求められる物性(例えば前記インク像形成用インク等の鮮明性、シャープ性、滲み防止性、混色防止性を発揮し得る物性)を損なわないものが好ましく、各種オイル類、界面活性剤、シリコーンをグラフトした界面活性剤などを例示することができる。
インク受容層は、例えば、前記多孔性物質、表面張力調整剤等の成分を、固着用樹脂と共にインク化したインク受容層形成処理剤を、基材の一方の面の全面又は所要部分に直接又は他の層を介して塗工又はその他の手段により形成(固定)することができる。固着用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン酸エステル樹脂等を、例えばエマルジョン、ディスパージョン、有機溶剤溶解物として用いることができる。
離型性を備えるインク受容層は、例えば、各種ワックス類、パラフィン、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂などから選択した離型性成分を、インク受容層を形成する成分に配合したインク受容層形成処理剤を用いて形成することができる。
基材の一方の面に、離型層を介してインク受容層又は前記他の層を設ける場合の当該離型層は、前記基材の一方の面に、例えば各種ワックス類、パラフィン、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂などから選択した離型性成分を含有する離型処理剤を塗工等することにより形成することができる。
また、インクジェット印刷によるインク像形成用インク(又は保持層形成用インク)の鮮明性、シャープ性、滲み防止性、混色防止性を向上させる上で、インク受容層を形成する成分に、イオン性ゲル化剤としてカチオン化合物モノマー、カチオン化合物ポリマー、塩基性無機金属塩等の何れか1種又は適切な場合は2種以上を配合することができる。
前記カチオン性化合物モノマーの例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリドなどが挙げられ、前記カチオン性ポリマーの例としては、ポリアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体、2-(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合体、ジメチルアミン-エピクロルヒドリン縮合物、カチオン化デンプン、カチオン化セルロースなどが挙げられ、前記塩基性無機金属塩の例としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどが挙げられるが、それぞれ、これらに限るものではない。また、それぞれ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(5) インク像層形成部
(5-1) インク像層形成部は、所定の経路におけるインク像層形成位置(基材が停止した状態に限らない)において、必要に応じ基材における熱転写箇所がインク像層形成位置に位置することを検知手段により検知した上で、入力する印刷データ(例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、その他のデジタル制御装置等の制御部を介して入力する印刷データ)に応じ、インク受容層に対し、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成する。印刷データは、通常、インク受容層に対し形成されるインク像が布状製品等の転写対象物に反転転写されることを前提とするものである。
(5-2) インクジェット印刷は、例えば、多色印刷インクジェットヘッドを備えたインクジェット印刷装置を用いて行うことができるが、これに限るものではない。多色印刷を行う場合のインク像形成用インクとしては、例えば、基本3原色(Cyan、Magenta、Yellow)及び黒色の4色のインクを用いることができるが、これに限るものではなく、例えば、これらの4色に、緑色、橙色、紫色、白色などの特色インクを加えることにより色域を広げることもできる。
(5-3) インクジェット印刷におけるインクジェット方式は特に限定されるものではなく、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射する放射圧を利用した音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式などが挙げられるが、好ましくはピエゾ方式である。
(5-4) インクジェット印刷機のプリントヘッドは、例えば、基材の幅方向(所定の経路の方向に対し直交する方向)にヘッドを移動させつつ印刷するシリアルヘッドの他、ヘッドが基材の幅方向の必要範囲をカバーするため幅方向のヘッド移動を要しないラインヘッドを用いることもできる。
基材の経路方向については、ヘッドは経路方向における一定位置として基材をその経路方向に移動させつつ印刷するもの又は基材が停止した状態でヘッドを基材の経路方向に移動させて印刷するもの(例えば、シリアルヘッドの場合は、経路方向における一定位置において基材の幅方向にヘッドを移動させて印刷した後、シリアルヘッドを基材の経路方向に所要距離移動させ、その位置において基材の幅方向にヘッドを移動させて印刷することを、必要なだけ繰り返して所要の印刷を行い、ラインヘッドの場合は、基材の経路方向における一定位置において印刷した後、ラインヘッドを基材の経路方向に所要距離移動させ、その位置において印刷することを、必要なだけ繰り返して所要の印刷を行う)とすることができる。更に例えば、ヘッドが基材の幅方向及び経路方向の何れの必要範囲もカバーし、基材及びヘッドが何れも停止した状態で必要な印刷を行い得るものとすることもできる。
(5-5) 前記のようなインクジェット印刷は、基材が停止した状態で行うことが、精度よく印刷を行う上で好ましい。
基材が停止した状態でインクジェット印刷を行う場合、所定経路の所定の印刷位置において基材の一時的な位置決め支持を行うことにより、印刷精度を可及的に高めることができる。
帯状の基材におけるこのような一時的な位置決め支持の例としては、印刷位置付近の所定経路に、
(a) 帯状の基材の一方の側縁部及び他方の側縁部が、互いに内方を向いて相対する一対の溝状ガイド部におけるそれぞれの溝状ガイド部の溝状部内を通過する状態で案内されることにより、基材の幅方向の蛇行を防止すること、
(b) 帯状の基材を厚さ方向において(例えば空圧、油圧又は電磁力等により)押圧保持する保持部を、インク像層形成部を挟んで複数箇所に設けて印刷時にそれらの保持部により押圧保持(印刷後は押圧保持を解除)すること、
(c) 帯状の基材の背面側である基材側に空気吸引等による負圧を作用させて印刷時に保持(印刷後は負圧による保持を解除)すること
の何れか又はこれらの2以上の組み合わせを挙げることができる。
シート状の基材におけるこのような一時的な位置決め支持の例としては、経路方向の一方の端部と他方の端部の間で所要の張力をかけた状態で停止することを挙げることができ、このような状態での停止は、基材の一方の端部において駆動ローラとピンチローラで静止状態で挟圧し、他方の端部において駆動ローラ又は回転停止制御された従動ローラとピンチローラで静止状態で挟圧することにより実現し得る。
(6) インク像形成用インク
インク像形成用インクとしては、環境負荷及び作業者に対する負荷が低いインクとして、水性インクが好ましい。水性インクの着色剤としては、良好な堅牢性を実現する上で、顔料を使用することが好ましい。
着色剤として顔料を使用する水性のインク像形成用インクとしては、例えば、顔料を水分散させたものと固着用樹脂を用いてインク化したものを用いることができる。このようなインク像形成用インクを、基材上にインクジェット印刷を行って固定することにより、熱転写後の耐洗濯性等の良好な堅牢性を有するインク像層を得ることができる。
水性インクにおける好ましい顔料の例としては、アゾ系、インダンスレン系、又はイミダゾロン系の黄色顔料;アゾ系、キナクリドン系、クロモフタル系、又はジケトピロロピロール系の赤色顔料;フタロシアニン系青色顔料;カーボンブラック;フタロシアニン系緑色顔料;インダンスレン系橙色顔料;オキサゾリン系紫色顔料;酸化チタン、アルミニウムシリケート、酸化亜鉛等の白色顔料などを挙げることができる。
水性インクにおける固着用樹脂は、特に限定されるものではないが、熱転写材としての堅牢性を実現し得る固着用樹脂の好ましい例として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などを挙げることができる。ホットメルト樹脂粉の良好な付着性及び熱転写後の堅牢性の点において、これらのうちポリウレタン樹脂がより好ましい。
更に、水性のインク像形成用インクの表面張力は、例えば23乃至35(mN/m)の範囲とすることができる。基材上(特にPETを始めとするポリエステル樹脂フィルム等の合成樹脂フィルム基材)のインク受容層に形成するインク像層について、鮮明性、シャープ性、滲み防止、混色防止(多色インク等のインクの混合防止)を実現する上で、好ましくは24乃至30(mN/m)、より好ましくは24乃至27(mN/m)である。なお、これらの表面張力は、表面張力測定装置(DY-300:協和界面科学(株))を用いてWilhelmy法によって求められるものである。
水性のインク像形成用インクの表面張力は、例えば、表面張力調整剤を用いて調整することができる。表面張力調整剤は、インクジェット用インクであるインク像形成用インクとしての物性を損なわないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤又はアセチレングリコール系表面調整剤などを用いことができる。
(7) 保持層形成部
(7-1) 保持層形成部は、所定の経路におけるインク像層形成位置と粉層形成位置の間に位置する又はインク像層形成位置と同一位置である保持層形成位置(基材が停止した状態に限らない)において、必要に応じ基材における熱転写箇所が保持層形成位置に位置することを検知手段により検知した上で、(インク像層形成部と同様に)入力する印刷データに応じ、インク像層上の全て又は所要部分(例えばインク像層を被覆するように)、及び、インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成する。
保持層は、インク像層上の全てに形成するものであることが好ましい。その場合、インク像層以外の部分には保持層を形成しないものとすることができるが、インク受容層のうちインク像層以外の部分に保持層形成用インクによる保持層を形成することもできる。
また、保持層は、インク像層上の所要部分に形成するものとすることもできる。その場合、インク像層以外の部分には保持層を形成しないものとすることができるが、インク受容層のうちインク像層以外の部分に保持層形成用インクによる保持層を形成することもできる。
なお、保持層形成部において保持層形成を行わないで熱転写材を製造すること、又は、保持層形成部を有しない熱転写材製造装置とすることもできる。
(7-2) 保持層形成のための、保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷は、インクジェット印刷されたインク像形成用インクが湿潤状態である間に行うことができる(例えば、インク像形成用インク印刷後60秒以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは10秒以内)。尤も、これに限るものではなく、インク像形成用インクが乾燥した状態で保持層形成用インクによる印刷を行うこともできる。
(7-3) 保持層形成用インクは、インク像形成用インクと同様に、環境負荷及び作業者に対する負荷が低いインクとして、水性インクであることが好ましい。水性の保持層形成用インクに着色剤を用いる場合は、良好な堅牢性を実現する上で、顔料を使用することが好ましい。
保持層形成用インクは、例えば、酸化チタンなどの白色顔料を含有する白色の隠蔽性インクとすることができる他、インク像形成用インクに用い得るものとして例示した種々の色彩の顔料を用いた着色インクとすることや、顔料などの着色剤を含有しないもの(例えば無着色インクや無色透明インク)とすることもできる。
保持層形成用インクとして白色の隠蔽性インクを用いてインク像層を覆うことにより、転写対象物に転写されたインク像のうち裏側に白色隠蔽性の保持層が存在する部分(例えばインク像の全部)が、転写対象物の地色等による影響が防がれてインク像自体が明瞭に表れるものとすることができる。
白色隠蔽性の保持層形成用インクをインク受容層のうちインク像層以外の部分に用いて形成した保持層については、転写対象物に転写された場合に、転写対象物の地色等による影響が防がれて白色が明瞭に表れるものとすることができる。
着色剤として顔料を使用する水性の保持層形成用インクとしては、例えば、顔料を水分散させたものと固着用樹脂を用いてインク化したものを用いることができる。また、顔料を用いずに固着用樹脂を用いてインク化したものを保持層形成用インクとして用いることもできる。このようなインク像形成用インクを、基材上にインクジェット印刷を行って固定することにより、熱転写後の耐洗濯性等の良好な堅牢性を有する保持層を得ることができる。
その水性インクに配合し得る固着用樹脂は、インク像形成用インクの場合と同様に、特に限定されるものではないが、熱転写材としての堅牢性を実現し得る固着用樹脂の好ましい例として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などを挙げることができる。ホットメルト樹脂粉の良好な付着性及び熱転写後の堅牢性の点において、これらのうちポリウレタン樹脂がより好ましい。
水性の保持層形成用インクの表面張力も、インク像形成用インクと同様に、例えば23乃至35(mN/m)の範囲とすることができる。水性の保持層形成用インクの表面張力は、インク受容層に形成されたインク像層上に保持層形成用インク(又はインク像層が形成されていないインク受容層に印刷される保持層形成用インク)により形成する保持層について、鮮明性、シャープ性、滲み防止、混色防止(多色インク等の積層するインク等の混合防止)を実現する上で、好ましくは24乃至30(mN/m)、より好ましくは24乃至27(mN/m)である。水性の保持層形成用インクの表面張力は、インク像形成用インクと同様に、表面張力調整剤を用いて調整することができる。
(8) ホットメルト樹脂粉層形成部
(8-1) ホットメルト樹脂粉層形成部は、所定の経路におけるインク像層形成位置及び保持層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置(基材が停止した状態に限らない)において、必要に応じ基材における熱転写箇所が粉層形成位置に位置することを検知手段により検知した上で、(必要な場合は、インク像層形成部と同様に入力するデータに応じ、)保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方(好ましくは保持層上)に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成する。
なお、保持層形成位置が存在しない場合は、ホットメルト樹脂粉層形成部は、所定の経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において、インク像層上に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成する。
(8-2) ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層の形成は、インクジェット印刷された保持層形成用インクが湿潤状態である間に、保持層上にホットメルト樹脂粉を付着させることにより行う。ホットメルト樹脂粉の付着は、例えば、保持層形成用インクのインクジェット印刷後90秒以内に行うものとすることができる。好ましくは60秒以内、より好ましくは30秒以内である。
なお、インク像層上に保持層が形成されていない(被覆されていない)インク像層が存在する場合においては、そのインク像層におけるインク像形成用インク及び保持層における保持層形成用インクが湿潤状態である間に、それらのインク像層及び保持層上にホットメルト樹脂粉を付着させることにより行う。ホットメルト樹脂粉の付着は、例えば、インク像形成用インクのインクジェット印刷後90秒以内に行うものとすることができる。好ましくは60秒以内、より好ましくは30秒以内である。
(8-3) 保持層形成用インク(又はインク像形成用インク)が湿潤状態である間に、保持層上(又はインク像層)にホットメルト樹脂粉を供給して付着させる手段としては、保持層(又はインク像層)に対し、例えば、ホットメルト樹脂粉を散布して保持層(又はインク像層)に付着させる手段、ホットメルト樹脂粉を気流によって保持層(又はインク像層)に到達させて付着させる手段、ホットメルト樹脂粉を静電力によって保持層(又はインク像層)に到達させて付着させる手段、ホットメルト樹脂粉溜まり中を通過させるようなディッピングにより保持層(又はインク像層)に付着させる手段等を挙げることができるが、これらに限るものではない。
ホットメルト樹脂粉は、保持層(又はインク像層)に均一状に付着させて可及的に均一な厚さのホットメルト樹脂粉層を形成することが好ましい。そのための機器の例として、ホットメルト樹脂粉を収容した容器やホットメルト樹脂粉が送給される管路等であって、スリット状孔(例えば、保持層[又はインク像層]の全体を横切る直線に沿って一定の小幅のスリット状孔)を通じて孔の全長にわたり実質上一定の供給速度(単位時間当りの樹脂粉体供給量)でホットメルト樹脂粉を供給し得るものを挙げることができる。
また、ホットメルト樹脂粉の散布領域を特定し得るメッシュ状の供給部を備えた容器や管路等を用いることや、容器や管路等からホットメルト樹脂粉を供給し得るメッシュ状又はスリット状等のヘッドを、制御部からの入力データに応じて移動(又は移動及びヘッド口の開閉等によるホットメルト樹脂粉供給と供給停止)させることによりホットメルト樹脂粉の散布領域を制御して保持層(又はインク像層)にホットメルト樹脂粉を供給するものを用いることも可能である。
(8-4) 必要に応じ、ホットメルト樹脂粉が粉層形成位置から保持層形成位置やインク像層形成位置へ漏れることを防ぐ樹脂粉漏出防止部、例えば、制御部からの指示等により漏出防止のために開閉等の作動をなし得るカーテン状部やエアカーテン部等[例えば、帯状の基材の場合は前記経路における後方に続く保持層(又はインク像層)との間の部分、シート状の基材の場合は、前記経路における後方に続くシート状の基材との間の部分において樹脂粉漏出を防止し得るもの]を設けることもできる。
(8-5) ホットメルト樹脂粉としては、特に限定されないが、熱転写対象物(例えば各種繊維製品)に対し転写されて接着した状態において十分な堅牢性示すものが好ましく、熱転写対象物(例えば各種繊維製品を構成する繊維等)の熱転写における耐熱性を考慮すると、融点が100乃至140℃で、粒子径が30乃至300μm程度のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等の粉体を用いることが好ましい。とりわけ、伸縮性、耐洗濯性などを考慮すると、ポリウレタン樹脂粉、例えば融点が100乃至140℃のポリウレタン樹脂粉が好ましい。ホットメルト樹脂は、例えば、加熱加圧及び冷却後は無色透明となるものとすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。
(9) 不要ホットメルト樹脂粉除去部
保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上の保持層又は上に保持層が存在しない(保持層で被覆されていない)インク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を(或いは、他に不要のホットメルト樹脂粉が存在する場合はそのホットメルト樹脂粉を)、所定の経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置である樹脂粉除去位置(基材が停止した状態に限らない)において、必要に応じ基材における熱転写箇所が樹脂粉除去位置に位置することを検知手段により検知した上で、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去するものとすることができる。
前記不要のホットメルト樹脂粉を基材から除去する不要ホットメルト樹脂粉除去部は、インク像層及び保持層に損傷を与えないように不要ホットメルト樹脂粉を除去することができるものとすることが求められる。
不要ホットメルト樹脂粉除去に用いる装置類としては、例えば、(好ましくは基材裏面から)基材に対し打撃、回転ブラシの回転接触又はその他の手段により振動を与えて基材からホットメルト樹脂粉を脱落させる装置、基材の表面側(及び裏面側)に対し作用させてホットメルト樹脂粉を吸引除去する吸引装置、気体流により基材からホットメルト樹脂粉を除去するエアブラシ装置等を挙げることができ、これらの2種以上を組み合わせることもできるが、これらに限るものではない。
エアブラシ装置としては、例えば、前記基材の一方の面に対し垂直状又は傾斜状の気流を与える多数の気流ノズルをマトリックス状に配列して保持層(又はインク像層)の周縁位置のデータに基づいて選択されたノズルより気流を噴出するものを用いることもできる。
なお、ホットメルト樹脂粉層の形成のために用いられたホットメルト樹脂粉のうち、基材から除去された(例えば下方の所定箇所に落下した)ホットメルト樹脂粉、基材に付着したり基材上に載ったりしなかった(例えば下方の所定箇所に落下した)ホットメルト樹脂粉、基材から吸引除去されたホットメルト樹脂粉等、基材に保持されなかったホットメルト樹脂粉の全部又は部分は、回収循環装置等によりホットメルト樹脂粉供給箇所等へ戻される等してホットメルト樹脂粉層形成のために(例えば自動的に)再利用されるものとすることができる。
(10) ホットメルト樹脂層形成部
ホットメルト樹脂層形成部は、所定の経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置(好ましくは樹脂粉除去位置よりも前方の位置)である樹脂層形成位置において(基材が停止した状態に限らない)、必要に応じ基材における熱転写箇所が樹脂層形成位置に位置することを検知手段により検知した上で、ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化(溶融後、溶融樹脂を自然冷却又は強制的冷却装置による冷却等の冷却による固化)させてホットメルト樹脂層を形成する。
熱処理は、ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉と共に、基材上のインク像層、又は、インク像層及び保持層に対しても行うものとすることにより、インク像層、又は、インク像層及び保持層の乾燥を促進又はより十分なものとしてホットメルト樹脂層との一体性を高め、転写対象物(繊維製品等)への熱転写後の転写像等の諸物性をより良好なものとすることができる。
熱処理は、例えば100乃至160℃で、1乃至5分程度施すものとすることができる。
ホットメルト樹脂層形成に用いる熱処理装置としては、例えば、ボックス式、トンネル式のいずれの熱処理装置も採用し得、帯状の基材(例えばロール状又はその他の連続状の基材)にはトンネル式の熱処理装置が好ましく、シート状の基材にはボックス式の熱処理装置が好ましい。
ロール状又はその他の連続状の帯状の基材を用いた場合、ホットメルト樹脂層形成部の前方において、得られた熱転写材を、例えば、(ミシン目加工装置による)ミシン目加工若しくは(スリッター機による)スリット加工を行った上で巻き取ること、又は、切断して多数のシート体とすることができる。
前記ミシン目加工は、帯状の熱転写材を、その連続方向に対し直交する方向(又はその他の交差方向)に、例えば連続方向の所定間隔毎に、後に切離し得るように加工するものである。前記切断は、同様の方向に直ちに切断するものである。
一方、前記スリット加工は、帯状の熱転写材を、連続方向の全長にわたり所定幅(例えば半分の幅)に2以上に分割するものである。
(11) 加熱加圧転写
本発明の方法又は装置により得られた熱転写材を用いたインク像等の熱転写は、ホットメルト樹脂層を布製品等の転写対象物に当接させてその熱転写材の基材の裏面と転写対象物の間で熱転写材を加熱加圧(例えば熱プレス機や熱アイロン等を用いて100乃至200℃で熱プレス)した後、(基材とインク受容層の間の離型性を生じる物質の物性等に応じ)熱時或いは冷却後に基材を剥離させることにより行うことができる。
転写対象物としては、様々な着色布、白色布、衣料品(例えば、スポーツウェア、Tシャツ、下着、スウェットシャツ、靴下)等を始めとする種々の繊維を用いた繊維製品を例示することができるが、これらに限るものではない。
(12) 制御部
制御部としては、例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、その他のデジタル制御装置等を用いることができる。
制御部は、例えば、帯状の基材又はシート状の基材における、所要箇所に設けられた被検知部、又は、各端縁部等を、所定の経路に沿った所要位置に設けた検知装置(例えば光学的検知装置又は電磁的検知装置等)により検知することや、帯状の基材の駆動距離を巻き取り部、駆動ローラ、従動ローラなどにより計測することや、シート状の基材の搬送距離を駆動ローラ、従動ローラ、コンベヤベルトなどにより計測すること等の検知手段によって、帯状の基材における例えば所定長毎の若しくはその他の区切りにより区切られた部分毎の各熱転写箇所の位置、シート状の基材の位置(若しくは姿勢)やその熱転写箇所の位置、帯状の基材又はシート状の基材における、インク像層形成、保持層形成、ホットメルト樹脂粉層形成を行うべき位置、不要ホットメルト樹脂粉除去、ホットメルト樹脂層形成等を行うべき位置を特定することができるので、制御部から駆動又は搬送システムに対する指示を行いつつ、インク像層形成部、保持層形成部、ホットメルト樹脂粉層形成部、不要ホットメルト樹脂粉除去部、及びホットメルト樹脂層形成部に対し指示を行って熱転写材を効率良く製造することができる。
(13) 以上のように、本発明の熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置によれば、インク像等を対象物に熱転写させ得る熱転写材を、インク像層及びホットメルト樹脂層等を無製版で形成して効率良く製造することができ、熱転写材の自動的な製造も可能である。
[2] 本発明の実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
図面は何れも本発明の実施の形態の例としての熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置に関する。
(1) 帯状の基材用の熱転写材製造装置
熱転写材製造装置Aは、巻回された帯状の基材Rをセットした巻き出し部D1から巻き出され、巻き取り部D2との間に張り渡された帯状の基材Rを所定の経路に沿って前進又は停止させ得る(必要であれば後退させる)駆動システムD、前記経路におけるインク像層形成位置10においてインク像層mを形成するインク像層形成部E、前記経路におけるインク像層形成位置10よりも前方に隣接した保持層形成位置20において保持層nを形成する保持層形成部F、前記経路における保持層形成位置20よりも前方において下降した最下部の粉層形成位置30においてホットメルト樹脂粉層pを形成するホットメルト樹脂粉層形成部G、前記経路における粉層形成位置30よりも前方において急傾斜状に上昇している樹脂粉除去位置40において不要ホットメルト樹脂粉を除去する不要ホットメルト樹脂粉除去部H、不要ホットメルト樹脂粉を受容するための不要ホットメルト樹脂粉受容部I、不要ホットメルト樹脂粉受容部Iに受容したホットメルト樹脂粉を再利用のために循環させるための不要ホットメルト樹脂粉循環部C、前記経路における樹脂粉除去位置40よりも前方に上昇した後の水平状の位置である樹脂層形成位置50においてホットメルト樹脂層qを形成するホットメルト樹脂層形成部J、並びに、所定の経路に沿って駆動される帯状の基材Rについて要所において検知される位置情報等に基づき駆動システムに対する指示を行いつつ、インク像層形成部、保持層形成部、ホットメルト樹脂粉層形成部、不要ホットメルト樹脂粉除去部、及びホットメルト樹脂層形成部に対し指示を行って熱転写材製造プロセスを実行し得るようプログラムされた制御部及び所要の検知手段(図示を略す)を有する。
なお、前記経路は、下降及び上昇せず水平状とすることや、下降及び上昇を小さく若しくは緩やかにすることもできる。
(2) シート状の基材用の熱転写材製造装置
熱転写材製造装置Bは、シート状の基材Sを所定の経路に沿って前進又は停止させ得る(必要であれば後退させる)搬送システムTの他、熱転写材製造装置Aと同様に、インク像層形成部E、保持層形成部F、ホットメルト樹脂粉層形成部G、不要ホットメルト樹脂粉除去部H、不要ホットメルト樹脂粉受容部I、不要ホットメルト樹脂粉循環部C、ホットメルト樹脂層形成部J、並びに、制御部及び検知手段(図示を略す)を有する。前記経路は、下降及び上昇せず図6のように水平状とすることや、下降及び上昇を小さく若しくは緩やかにすることもできる。
1.インク受容層が設けられた基材の作成
(1) 基材R(1)
ポリエステル樹脂フィルム(厚さ100μm)からなる帯状の基材の一方の面の全面に、シリカ、シリコーンオイル、ポリウレタン樹脂、シリコーンワックスを含有するインク受容層形成処理剤を塗工することにより、表面自由エネルギーが26mJ/m2であり離型性を有するインク受容層が形成された、基材R(1)を得た。
(2) 基材R(2)
ポリエステル樹脂フィルム(厚さ100μm)からなる帯状の基材の一方の面の全面に、シリコーンワックスを含有する離型処理剤及びシリカ、シリコーンオイル、ポリウレタン樹脂を含有するインク受容層形成処理剤を順に塗工することにより、離型層を介して表面自由エネルギーが28mJ/m2であるインク受容層が形成された、基材R(2)を得た。
(3) 基材S(3)
基材R(1)を500mm×400mmの長方形シート状に裁断することにより、基材S(3)を得た。
(4) 比較基材R(4)
ポリエステル樹脂フィルム(厚さ100μm)からなる帯状の基材の一方の面の全面に、シリコーンワックスを含有する離型処理剤を塗工することにより、表面自由エネルギーが19mJ/m2である離型層が形成された、比較基材R(4)を得た。
(5) 比較基材R(5)
離型処理剤やインク受容層形成処理剤等が塗工されていない、表面自由エネルギーが70mJ/m2であるポリエステル樹脂フィルム(厚さ100μm)からなる帯状の基材を比較基材R(5)とした。
2.インク像形成用インクの作成
(1) インク像形成用インク
フタロシアニン系青色顔料とポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が26.7mN/mの水性青色インク、キナクリドン系赤色顔料とポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が26.2mN/mの水性赤色インク、アゾ系黄色顔料とポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が28.2mN/mの水性黄色インク、及び、カーボンブラックとポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が25.6mN/mの水性黒色インクを作成し、それぞれインク像形成用インクJ-1C、J-1M、J-1Y、及び、J-1Kとした。
(2) 比較インク像形成用インク
フタロシアニン系青色顔料とポリウレタン樹脂を含有する表面張力が37.8mN/mの水性青色インク、キナクリドン系赤色顔料とポリウレタン樹脂を含有する表面張力が38.3mN/mの水性赤色インク、アゾ系黄色顔料とポリウレタン樹脂を含有する表面張力が37.5mN/mの水性黄色インク、及び、カーボンブラックとポリウレタン樹脂を含有する表面張力が38.1mN/mの水性黒色インクを作成し、それぞれ比較インク像形成用インクH-1C、H-1M、H-1Y、及び、H-1Kとした。
3.保持層形成用インクの作成
(1) 保持層形成用インク1
酸化チタン白色顔料とポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が24.9mN/mの隠蔽性の水性ホワイトインクを作成し、隠蔽性の保持層形成用インクJ-1Wとした。
(2) 保持層形成用インク2
ポリウレタン樹脂とシリコーン系表面調整剤を含有する表面張力が25.3mN/mの水性クリアーインクを作成し、保持層形成用インクJ-2CLとした。
(3) 比較保持層形成用インク1
酸化チタン白色顔料とポリウレタン樹脂を含有する表面張力が38.4mN/mの隠蔽性の水性ホワイトインクを作成し、比較保持層形成用インクH-1Wとした。
4.実施例1乃至6及び比較例1乃至3
(1) 実施例1
熱転写材製造装置Aを用いて、基材R(1)を、要所において検知される位置情報等に基づく制御部の指示の下、駆動システムDにより所定の経路に沿って駆動しつつ、次のような処理を行って熱転写材を製造した。
帯状の基材R(1)の連続方向に順次設定した熱転写箇所Raのうち何れかの熱転写箇所Raがインク像層形成位置10に位置することを検知手段により検知した状態で基材R(1)を停止させ、インク受容層に対し、インク像層形成部E(インクジェット印刷装置)によるインク像形成用インク(J-1C、J-1M、J-1Y、J-1K)を用いたインクジェット印刷によってインク像層m(反転したM文字の画像)を形成した。
続いて、基材R(1)を停止させた状態を維持したままで、インク像層形成位置10と同一位置である保持層形成位置20において、インク像層mを形成する湿潤状態のインク像形成用インク及びインク像層mの外周に1mm幅ではみ出した領域(図面では、はみ出し領域は省略する。)のインク受容層に対し、保持層形成部F(インクジェット印刷装置)による保持層形成用インクJ-1Wを用いたインクジェット印刷によって隠蔽性の保持層nを形成した。
次に、基材R(1)を前進駆動して所定の経路における保持層形成位置20よりも前方の粉層形成位置30に前記熱転写箇所Raが位置することを検知手段により検知した状態で、保持層形成用インクが湿潤状態である間に、ホットメルト樹脂粉層形成部Gによりホットメルト樹脂粉p1を散布して保持層n上に付着させることによりホットメルト樹脂粉層pを形成した。
次いで、基材R(1)を前進駆動し、所定の経路における粉層形成位置30よりも前方の樹脂粉除去位置40に前記熱転写箇所Raが位置する状態で、基材R(1)に対しその裏側から不要ホットメルト樹脂粉除去部Hにより振動を与えることによって、基材R(1)の保持層n以外の部分に存在し得るホットメルト樹脂粉p1を除去した。
更に基材R(1)を前進駆動し、所定の経路における樹脂粉除去位置40よりも前方の樹脂層形成位置50において、ホットメルト樹脂層形成部Jにより前記熱転写箇所Raに対し150℃で3分間の熱処理を加えて、インク像層m及び保持層nを十分に乾燥させると共にホットメルト樹脂粉層pを構成するホットメルト樹脂粉p1を溶融させ、次いで自然冷却により溶融樹脂を固化させてホットメルト樹脂層qを形成することにより、基材R(1)の離型性を有するインク受容層上に形成されたインク像層m(反転したM文字の画像)がホットメルト樹脂層qにより被覆された熱転写箇所Raが得られた。
以上のような処理を、基材R(1)を駆動システムDにより所定の経路に沿って駆動しつつ各熱転写箇所について行い、巻取り装置により巻き取ることにより、基材R(1)の連続方向に順次設定された各熱転写箇所Raが同様に処理されて巻き取られたM文字の画像についての帯状の熱転写材を得た。
(2) 実施例2
基材R(1)を基材R(2)に変更した以外は実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材を得た。
(3) 比較例1
基材R(1)を比較基材R(4)に変更した以外は実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材が得た。
(4) 比較例2
基材R(1)を比較基材R(5)に変更した以外は実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材が得た。
(5) 実施例3
隠蔽性の保持層形成用インクJ-1Wを保持層形成用インクJ-2CLに変更した以外は実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材を得た。
(6) 比較例3
インク像形成用インク(J-1C、J-1M、J-1Y、J-1K)及び蔽性の保持層形成用インクJ-1Wを、それぞれ、比較インク像形成用インク(H-1C、H-1M、H-1Y、H-1K)及び比較保持層形成用インクH-1Wに変更した以外は実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材を得た。
(7) 実施例4
熱転写材製造装置Bを用いて、基材S(3)を、要所において検知される位置情報等に基づく制御部の指示の下、搬送システムTのコンベヤベルト上に保持して所定の経路に沿って搬送しつつ、次のような処理を行って熱転写材を製造した。
シート状の基材S(3)の熱転写箇所がインク像層形成位置10に位置することを検知手段により検知した状態で基材S(3)を停止させ、インク受容層に対し、インク像層形成部E(インクジェット印刷装置)によるインク像形成用インク(J-1C、J-1M、J-1Y、J-1K)を用いたインクジェット印刷によってインク像層m(反転したM文字の画像)を形成した。
続いて、基材S(3)を停止させた状態を維持したままで、インク像層形成位置10と同一位置である保持層形成位置20において、インク像層mを形成する湿潤状態のインク像形成用インク及びインク像層mの外周に1mm幅ではみ出した領域のインク受容層に対し、保持層形成部F(インクジェット印刷装置)による保持層形成用インクJ-1Wを用いたインクジェット印刷によって隠蔽性の保持層nを形成した。
次に、基材S(3)を前進搬送して所定の経路における保持層形成位置20よりも前方の粉層形成位置30に前記熱転写箇所が位置することを検知手段により検知した状態で、保持層形成用インクが湿潤状態である間に、ホットメルト樹脂粉層形成部Gによりホットメルト樹脂粉p1を散布して保持層n上に付着させることによりホットメルト樹脂粉層pを形成した。
次いで、基材S(3)を前進搬送し、所定の経路における粉層形成位置30よりも前方の樹脂粉除去位置40に前記熱転写箇所が位置する状態で、上方から空気流を吹き出す不要ホットメルト樹脂粉除去部Hにより基材S(3)上の保持層n以外の部分に存在し得るホットメルト樹脂粉p1を除去した。
更に基材S(3)を前進搬送し、所定の経路における樹脂粉除去位置40よりも前方の樹脂層形成位置50において、ホットメルト樹脂層形成部Jにより前記熱転写箇所に対し150℃で3分間の熱処理を加えて、インク像層m及び保持層nを十分に乾燥させると共にホットメルト樹脂粉層pを構成するホットメルト樹脂粉p1を溶融させ、次いで自然冷却により溶融樹脂を固化させてホットメルト樹脂層qを形成することにより、基材S(3)の離型性を有するインク受容層上に形成されたインク像層m(反転したM文字の画像)がホットメルト樹脂層qにより被覆されたシート状の熱転写材が得られた。
(8) 実施例5
インク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によるインク像層mの形成を行わず、保持層形成位置20において、実施例1におけるインク像層mに対応する部分及びインク像層mの外周に1mm幅ではみ出した領域のインク受容層に対し、保持層形成部F(インクジェット印刷装置)による保持層形成用インクJ-1Wを用いたインクジェット印刷によって隠蔽性の保持層nによる反転したM文字の画像を形成したこと以外は、実施例1と同様に処理することにより、M文字の白色画像についての帯状の熱転写材を得た。
(9) 実施例6
保持層形成用インクJ-1Wを用いたインクジェット印刷による保持層nの形成を行わないこと以外は、実施例1と同様に処理することにより、M文字の画像についての帯状の熱転写材を得た。
(10) 熱転写
実施例1乃至6及び比較例1乃至3において得られた各熱転写材を、白色及び黒色の各綿ニット生地TシャツXに対し、ホットメルト樹脂層qを当接させ、熱プレス機を用いて160℃、300g/cmで10秒間の熱プレスを行い、その後、各基材を剥離することにより、各綿ニット生地TシャツX上にM文字の画像を形成した。
5.各実施例及び比較例における物性及び性能等の評価
(1) 基材に形成されたインク受容層若しくは離型層又は基材自体についての表面自由エネルギー、並びに、インク像形成用インク及び保持層形成用インクの表面張力を、表1に示す。
なお、前記表面自由エネルギーは、接触角測定装置(CAX-150:協和界面科学株式会社製)を用いた測定方法により計測した。
水、ジヨードメタン、nーヘキサデカンの3種の液体を用いてそれぞれの液体のフィルム上での接触角を測定し、Kitazaki-Hataの計算式によって求めた。
また、表面張力は、表面張力測定装置(DY-300:協和界面科学(株))を用いてWilhelmy法によって求めた。
Figure 2022147673000002
(2) 各実施例及び比較例における熱転写材についての印刷画像及び転写画像の評価、並びに、転写時の離型性、転写後の隠蔽性及び選択堅牢性を評価を、表2に示す。
なお、転写後の隠蔽性は、黒色綿ニット生地TシャツXに熱転写した画像についての評価である。
表2中の記号の意味は次の通りである。
○・・・優れる
△・・・劣る
×・・・不良
Figure 2022147673000003
10 インク像層形成位置
20 保持層形成位置
30 粉層形成位置
40 樹脂粉除去位置
50 樹脂層形成位置
A 帯状の基材用の熱転写材製造装置
B シート状の基材用の熱転写材製造装置
C 不要ホットメルト樹脂粉循環部
D 駆動システム
D1 巻き出し部
D2 巻き取り部
E インク像層形成部
F 保持層形成部
G ホットメルト樹脂粉層形成部
H 不要ホットメルト樹脂粉除去部
I 不要ホットメルト樹脂粉受容部
J ホットメルト樹脂層形成部
R 帯状の基材
Ra 熱転写箇所
S シート状の基材
T 搬送システム
X Tシャツ
m インク像層
n 保持層
p ホットメルト樹脂粉層
p1 ホットメルト樹脂粉
q ホットメルト樹脂層

Claims (14)

  1. 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
    前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
    前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置又はインク像層形成位置と同一位置である保持層形成位置において、前記インク像層上の全て又は所要部分、及び、前記インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成すること、
    前記経路における保持層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において、前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成すること、
    前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上の保持層又は上に保持層が存在しないインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去すること、
    及び、
    前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
    を含み、
    前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造方法。
  2. 上記ホットメルト樹脂粉層の形成が、ホットメルト樹脂粉層の形成対象である保持層を形成する保持層形成用インク及び保持層が存在しないインク像層を形成するインク像形成用インクの何れに対してもホットメルト樹脂粉の付着が可能な状態で行われるものである請求項1記載の方法。
  3. 上記インク像層形成位置におけるインクジェット印刷によるインク像層形成は、上記基材における熱転写箇所が前記インク像層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
    上記保持層形成位置におけるインクジェット印刷による保持層形成は、前記熱転写箇所が前記保持層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
    上記粉層形成位置におけるホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層形成は、前記熱転写箇所が前記粉層形成位置に位置することを検知した上で行うものであり、
    上記樹脂粉除去位置における不要のホットメルト樹脂粉の除去は、前記熱転写箇所が前記樹脂粉除去位置に位置することを検知した上で行うものであり、
    上記樹脂層形成位置におけるホットメルト樹脂粉の熱処理によるホットメルト樹脂層形成は、前記熱転写箇所が前記樹脂層形成位置に位置することを検知した上で行うものである請求項1又は2記載の方法。
  4. 上記基材がポリエステル樹脂フィルム製である請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
  5. 上記インク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分が、0.3cm/g以上の細孔容積を有する多孔質物質を含有するものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
  6. 上記インク受容層のうち、少なくともインク像形成用インクによるインクジェット印刷が行われる部分の表面の表面自由エネルギーが、25(mJ/m2)乃至35(mJ/m2)である請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
  7. 上記インク受容層が、イオン性ゲル化剤としてカチオン化合物モノマー、カチオン化合物ポリマー、又は塩基性無機金属塩を含有する請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
  8. 上記インク像形成用インクが水性インクであり、そのインクの表面張力が23乃至35(mN/m)である請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
  9. 上記保持層形成用インクが水性インクであり、そのインクの表面張力が23乃至35(mN/m)である請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
  10. 上記ホットメルト樹脂粉層形成のために用いられたホットメルト樹脂粉のうち、基材に保持されなかったホットメルト樹脂粉の全部又は部分が、ホットメルト樹脂粉層形成のために再利用されることを含む請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
  11. 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送すること、
    前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成すること、
    前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において前記インク像層上に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成すること、
    前記インク像層上にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上のインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去すること、
    及び、
    前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成すること
    を含み、
    前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造方法。
  12. 厚さが薄い基材を、所定の経路に沿って駆動又は搬送するための駆動又は搬送システム、
    前記基材の一方の面に直接又は他の層を介して設けられたインク受容層に対し、前記経路におけるインク像層形成位置において、所要の像を表すためのインク像形成用インクを用いたインクジェット印刷によりインク像層を形成するためのインク像層形成部、
    前記経路におけるインク像層形成位置よりも前方の位置又はインク像層形成位置と同一位置である保持層形成位置において、前記インク像層上の全て又は所要部分、及び、前記インク受容層のうちインク像層以外の部分の、一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉保持のための保持層形成用インクを用いたインクジェット印刷により保持層を形成するための保持層形成部、
    前記経路における保持層形成位置よりも前方の位置である粉層形成位置において、前記保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方に、ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層を形成するためのホットメルト樹脂粉層形成部、
    保持層上及び保持層が存在しないインク像層上の一方又は両方にホットメルト樹脂粉層を形成した後、基材上の保持層又は上に保持層が存在しないインク像層以外の部分に存在し得る不要のホットメルト樹脂粉を、前記経路における粉層形成位置よりも前方の位置又は粉層形成位置と同一位置である樹脂粉除去位置において、ホットメルト樹脂粉の熱処理前に、基材から除去するための樹脂粉除去部、及び、
    前記経路における樹脂粉除去位置よりも前方の位置又は樹脂粉除去位置と同一位置である樹脂層形成位置において、前記ホットメルト樹脂粉層を構成するホットメルト樹脂粉を熱処理により溶融固化させてホットメルト樹脂層を形成するためのホットメルト樹脂層形成部
    を含み
    前記基材の一方の面に直接設けられたインク受容層又は前記他の層を介してインク受容層が設けられた場合の当該他の層が、熱転写の際の基材の剥離を助けるための離型性を有するように設けられたものである熱転写材製造装置。
  13. 上記ホットメルト樹脂層形成部によるホットメルト樹脂粉層の形成が、ホットメルト樹脂粉層の形成対象である保持層を形成する保持層形成用インク及び保持層が存在しないインク像層を形成するインク像形成用インクの何れに対してもホットメルト樹脂粉の付着が可能な状態で行われるものである請求項12記載の装置。
  14. 上記基材における熱転写箇所が上記インク像層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記インク像層形成位置に位置することを検知した上で、上記インクジェット印刷によるインク像層形成を行うものであり、
    前記熱転写箇所が上記保持層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記保持層形成位置に位置することを検知した上で、上記インクジェット印刷による保持層形成を行うものであり、
    前記熱転写箇所が上記粉層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記粉層形成位置に位置することを検知した上で、上記ホットメルト樹脂粉によるホットメルト樹脂粉層形成を行うものであり、
    前記熱転写箇所が上記樹脂粉除去位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記樹脂粉除去位置に位置することを検知した上で、上記不要のホットメルト樹脂粉の除去を行うものであり、
    前記熱転写箇所が上記樹脂層形成位置に位置することを検知する検知手段を有し、その検知手段により前記熱転写箇所が前記樹脂層形成位置に位置することを検知した上で、上記ホットメルト樹脂粉の熱処理によるホットメルト樹脂層形成を行うものである請求項12又は13記載の装置。
JP2021049021A 2021-03-23 2021-03-23 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置 Pending JP2022147673A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021049021A JP2022147673A (ja) 2021-03-23 2021-03-23 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021049021A JP2022147673A (ja) 2021-03-23 2021-03-23 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022147673A true JP2022147673A (ja) 2022-10-06

Family

ID=83463404

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021049021A Pending JP2022147673A (ja) 2021-03-23 2021-03-23 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022147673A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6979742B2 (ja) デジタル印刷プロセス
EP3538371B1 (en) Printing device with conveyor belt
US6249297B1 (en) Process for continuously printing a plastic film, device for carrying out the process and printed plastic film obtained by the process
JP3327782B2 (ja) インクジェット記録用転写媒体、これを用いた転写方法及び被転写布帛
TWI685429B (zh) 印畫物的形成方法、轉印層的剝離方法、及熱轉印印表機
JPH07145576A (ja) インク用転写媒体およびこれを用いた画像形成方法
JPS6223783A (ja) 感熱転写記録方法
US10576757B2 (en) Dryer, liquid discharge apparatus, drying method, and inkjet recording apparatus
TWI741181B (zh) 噴墨印表機及使用其之噴墨印刷方法
US20220097444A1 (en) Digital printed heat transfer graphics for soft goods
JP6191713B2 (ja) 熱転写プリンタ及び熱転写方法
WO1998003724A1 (en) Method and apparatus for printing textile labels, in particular heat-sealable textile labels
WO2014084104A1 (ja) ロール状転写フィルムのプリントマーク転写システム
CN115485146A (zh) 用于打印柔性幅材的系统和方法以及打印组合物
EP3251863B1 (en) Method for controlling a web in a printing apparatus
JP2022147673A (ja) 熱転写材製造方法及び熱転写材製造装置
JP7077749B2 (ja) 熱転写印画装置
JP4439717B2 (ja) 転写物の製造方法
JP2004188704A (ja) インクジェット記録方法
JP2729992B2 (ja) 転写記録方法,転写記録装置及び転写シート
US20040099169A1 (en) Method of generating a graphic image on a substrate material and a graphic product generated
WO2021029003A1 (ja) 布状製品類用印刷転写装置及び方法
WO2021049009A1 (ja) 熱転写印画装置、印画物の製造方法、及び中間転写媒体
KR20080108978A (ko) 화상 형성기용 건조 시스템
EP1259382B1 (en) Printing process and printing apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231208