JP2022147651A - ビールテイスト飲料及びその渋味マスキング方法 - Google Patents

ビールテイスト飲料及びその渋味マスキング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供する。【解決手段】ビールテイスト飲料は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物と、テクトリゲニン類とを含む。【選択図】なし

Description

本発明はビールテイスト飲料及びその渋味マスキング方法に関する。
近年、健康志向の高まりにより、生理作用を有する成分を含有する飲料が求められている。しかしながら、生理作用を有する成分のいくつかは、渋味が強く、飲料に含有させた際に飲料の後味が悪くなる等の問題点を有している。この問題を解決するために、現在までに様々な技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、所定量のキサンタンガムを含有させたアサイー含有飲料が記載され、渋味が低減されるとされている。
また、例えば、特許文献2には、所定量のマスキング素材を含有させた非発酵ビールテイスト飲料が記載され、ポリフェノールの総含有量が高いにもかかわらず、後に残る渋味が非常に少ないとされている。
さらに、例えば、特許文献3には、所定量のマルトヘキサオース及び/又はマルトヘプタオースを配合した高ポリフェノール含有容器詰め飲料が記載され、苦渋味が低減されるとされている。
一方、特許文献4には、テクトリゲニン類及び人工甘味料を含有する、体脂肪低減作用及び血糖値上昇抑制作用を有する組成物が記載されている。
特開2017-131127号公報 特開2015-221019号公報 特開2008-61593号公報 特開2015-156854号公報
葛等のマメ科植物に多く含まれるテクトリゲニン類は、体脂肪低減作用及び血糖値上昇抑制作用を有する。しかしながら、テクトリゲニン類をビールテイスト飲料に含有させる場合、テクトリゲニン類の渋味がビールテイスト飲料の風味に悪影響を与える場合があった。
本発明の目的は、渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供することにある。
本発明は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物と、テクトリゲニン類とを含むビールテイスト飲料を提供する。
ある一形態においては、前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物は0.5×10-3mg/l以上で含まれる。
ある一形態においては、前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールは50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下で含まれる。
ある一形態においては、前記テクトリゲニン類は30mg/l以上140mg/l以下で含まれる。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料はポリフェノールを含み、総ポリフェノール濃度は80mg/l以下である。
ある一形態においては、前記テクトリゲニン類は葛花処理物に由来する。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料は非発酵ビールテイスト飲料である。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料はノンアルコールビールテイスト飲料である。
また、本発明は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む渋味物質を含むビールテイスト飲料用渋味マスキング剤を提供する。
また、本発明は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を、渋味物質を含むビールテイスト飲料に含有させることを含むビールテイスト飲料における渋味マスキング方法を提供する。
ある一形態においては、前記渋味マスキング方法は前記渋味物質を含むビールテイスト飲料における前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を0.5×10-3mg/l以上に調整することを含む。
ある一形態においては、前記渋味マスキング方法は前記渋味物質を含むビールテイスト飲料における前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下に調整することを含む。
ある一形態においては、前記渋味物質はテクトリゲニン類を含む。
また、本発明は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有させることと、テクトリゲニン類を含有させることとを含む、ビールテイスト飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料の製造方法は、前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を0.5×10-3mg/l以上に調整することを含む。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料の製造方法は、前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下に調整することを含む。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料の製造方法は、前記テクトリゲニン類の濃度を30mg/l以上140mg/l以下に調整することを含む。
ある一形態においては、前記ビールテイスト飲料の製造方法は、総ポリフェノール濃度を80mg/l以下に調整することをさらに含む。
本発明によれば、渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書の数値範囲の上限、及び下限は当該数値を任意に選択して、組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、ビールテイスト飲料及びその渋味をマスキングする方法を例示するものであって、本発明は、以下に示すビールテイスト飲料及びその渋味をマスキングする方法に限定されない。
<ビールテイスト飲料>
ビールテイスト飲料は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物(以下、「ATHP」と略記することがある)及び3-メチル-2-ブテン-1-チオール(以下、「MBT」と略記することがある)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物と、テクトリゲニン類とを含む。
ビールテイスト飲料がATHP及びMBTからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含むことで、テクトリゲニン類に由来する渋味がマスキングされる。
ある一形態において、本明細書におけるビールテイスト飲料はATHP及びMBTを含む。ビールテイスト飲料がATHP及びMBTを含むことで、テクトリゲニン類に由来するビールテイスト飲料における渋味が相乗的にマスキングされ、さらにビールテイスト飲料にビールらしい刺激が付与される。
<2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物>
2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物(ATHP)は、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンからなる群から選択される少なくとも一種を含む。ビールテイスト飲料に含まれるATHPは、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンを互変異性体として含んでいてよい。したがって、ビールテイスト飲料中の2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンと2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンは、互いに平衡状態にあり、それらの存在比率は、周囲のpH環境等に依存して決定される。
ビールテイスト飲料に含まれるATHPは、テクトリゲニン類に由来するビールテイスト飲料における渋味をマスキングする。ATHPは、香料として市販され、ビールテイスト飲料に添加されたものであってもよく、一般的なビールテイスト飲料の製造に用いられる原料に含まれるものであってもよい。ここで、ビールテイスト飲料とは、飲んだときにビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーが感じられる飲料を意味する。
ビールテイスト飲料中のATHPの濃度を所定の濃度にすることにより、ビールテイスト飲料における渋味は、より効果的にマスキングされる。
ビールテイスト飲料のATHPの濃度は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から好ましくは0.5×10-3mg/l(0.5ppb)以上、より好ましくは0.8×10-3mg/l以上、より好ましくは1.0×10-3mg/l以上、より好ましくは3.0×10-3mg/l以上、さらに好ましくは10×10-3mg/l以上、特に好ましくは30×10-3mg/l以上である。また、ATHPの濃度の上限は、飲み応え、ボディ感の観点から例えば200×10-3mg/l(200ppb)以下、好ましくは150×10-3mg/l以下、より好ましくは120×10-3mg/l以下、より好ましくは100×10-3mg/l以下、さらに好ましくは90×10-3mg/l以下、特に好ましくは80×10-3mg/l以下である。
ビールテイスト飲料に含まれるATHPの濃度は、例えば、液体クロマトグラフィー質量分析装置を用いて測定することができる。
<3-メチル-2-ブテン-1-チオール>
ビールテイスト飲料に含まれる3-メチル-2-ブテン-1-チオール(MBT)は、テクトリゲニン類に由来するビールテイスト飲料における渋味をマスキングする。ビールテイスト飲料に含まれるMBTは、香料として市販され、ビールテイスト飲料に添加されたものであってもよく、一般的なビールテイスト飲料の製造に用いられる原料に含まれるものであってもよい。
ビールテイスト飲料中のMBTの濃度を所定の濃度にすることにより、ビールテイスト飲料における渋味は、より効果的にマスキングされる。
ビールテイスト飲料のMBTの濃度は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、好ましくは50×10-6mg/l(50ppt)以上、より好ましくは80×10-6mg/l以上、より好ましくは100×10-6mg/l以上、より好ましくは120×10-6mg/l以上、さらに好ましくは150×10-6mg/l以上である。また、ビールテイスト飲料のMBTの濃度は、ビールテイスト飲料の風味の観点から、好ましくは900×10-6mg/l(900ppt)以下、より好ましく800×10-6mg/l以下、さらに好ましく600×10-6mg/l以下、特に好ましくは500×10-6mg/l以下である。
ビールテイスト飲料に含まれるMBTの濃度は、例えば、岸本らの方法(Kishimoto, T. et al., Odorants comprising hop aroma of beer: hop-derived odorants increased in the beer hopped with aged hops, Proceedings of the 31st E BC Congress, Venice 2007)を用いて測定することができる。
ビールテイスト飲料がATHP及びMBTを含む場合、ビールテイスト飲料におけるATHPの濃度A[mg/l]に対するMBTの濃度B[mg/l]の比B/Aは、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、例えば1.0×10-3以上、好ましくは1.5×10-3以上、より好ましく2.0×10-3以上、さらに好ましくは2.5×10-3以上、特に好ましくは3.0×10-3以上である。また、比B/Aの上限値は特に限定されないが、ビールらしい刺激の観点から例えば20.0×10-3以下である。
<テクトリゲニン類>
ビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン類は、生理作用を有する。ビールテイスト飲料がテクトリゲニン類を含むことで、ビールテイスト飲料はテクトリゲニン類に由来する生理作用、例えば体脂肪低減作用及び血糖値上昇抑制作用を有することが期待される。
テクトリゲニン類は、テクトリゲニン、その配糖体又は誘導体、及びそれらの混合物を含む。テクトリゲニン類は、例えばテクトリゲニン、テクトリジン(tectoridin)、テクトリゲニン7-O-キシロシルグルコシド(tectorigenin 7-O-xylosylglucoside)等を含んでいてよい。また、テクトリゲニン類の一部は、ポリフェノールとして検出される。
テクトリゲニン類は、マメ科植物由来物であることが好ましい。ビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン類は、マメ科植物由来物として市販され、ビールテイスト飲料に添加されたものであってもよい。
マメ科植物由来物とは、テクトリゲニン類を含むマメ科植物を処理して得られたものである。処理手段は特に限定されず、例えば、細断、破砕、磨砕、乾燥、加熱、抽出等の植物を加工処理する際に通常採られ得る物理的又は化学的処理であればよい。マメ科植物由来物は、葛花処理物が好ましく、葛花処理物の中でも葛花乾燥物又は葛花抽出物がより好ましく、葛花抽出物を濃縮した不揮発性成分である葛花エキスがさらに好ましい。
葛花乾燥物は、葛花を乾燥して得られる物であり、例えば、葛花自体を乾燥したもの、葛花自体を乾燥後破砕して得られるもの等が挙げられる。葛花乾燥物を得るための葛花の乾燥手段は特に限定されないが、例えば、全開する前の蕾の段階で採集された葛花を、日干し、熱風乾燥等により乾燥することで葛花乾燥物を得ることができる。乾燥の程度は、葛花の水分含有量が十分に低下したことが確認されるまでの程度であればよく、例えば、水分含有量が10質量%又はそれ以下となるまでの程度であることが好ましい。また、必要に応じて、葛花乾燥物は、粉砕することにより、粉末の形態とすることができる。
葛花抽出物は、葛花の含有成分が抽出された物であれば特に限定されず、例えば葛花を圧搾して得られる搾汁、葛花と溶媒とを用いて抽出して得られた抽出液等が挙げられる。また、葛花抽出物は、搾汁又は抽出液の溶媒希釈物、濃縮物又は乾燥物であってもよく、例えば、液状、ペースト状、粉末状、細粒状、顆粒状、ペレット状、錠状等の固体状であってもよい。いずれの場合も葛花抽出物のみでも良いし、例えば液状、ペースト状の場合は溶媒等と混合状態でも良い。また、固体状の場合は賦形剤と混合したもの、さらに賦形剤、結合剤等と共に成型したものでも良い。
テクトリゲニン類の調製方法、葛花乾燥物及び葛花抽出物の詳細については、例えば特開2015-156854号公報を参照することができる。
ビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン類の濃度は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、例えば30mg/l(30ppm)以上、好ましくは50mg/l以上、より好ましくは100mg/l以上である。また、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、例えば140mg/l(140ppm)以下、好ましくは130mg/l以下である。なお、本明細書において「テクトリゲニン類の濃度」という文言は特に言及しない限りビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン7-O-キシロシルグルコシドの濃度の合計を意味する。
ビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン類の濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて測定することができる。
ビールテイスト飲料がATHPを含む場合、ビールテイスト飲料におけるテクトリゲニン類の濃度C[mg/l]に対するATHPの濃度A[mg/l]の比A/Cは、渋味をマスキングする観点から、例えば0.5×10-5以上、好ましくは0.7×10-5以上、より好ましくは1.0×10-5以上、さらに好ましくは3.0×10-5以上、特に好ましくは5.0×10-5以上である。また、ビールテイスト飲料の飲み応え、ボディ感の観点から、例えば150×10-5以下、好ましくは120×10-5以下、より好ましくは100×10-5以下、より好ましくは90×10-5以下、さらに好ましくは80×10-5以下、特に好ましくは70×10-5以下である。
ビールテイスト飲料がMBTを含む場合、ビールテイスト飲料におけるテクトリゲニン類の濃度C[mg/l]に対するMBTの濃度B[mg/l]の比B/Cは、渋味をマスキングする観点から、例えば0.8×10-6以上、好ましくは1.0×10-6以上、より好ましくは1.2×10-6以上、より好ましくは1.5×10-6以上、さらに好ましくは1.8×10-6以上、特に好ましくは2.0×10-6以上である。また、ビールテイスト飲料の風味の観点から、例えば8.0×10-6以下、好ましくは9.0×10-6以下、より好ましくは6.5×10-6以下、特に好ましくは5.0×10-6以下である。
ビールテイスト飲料は、ポリフェノールを含んでいてもよい。ビールテイスト飲料に含まれるポリフェノールは、ビールテイスト飲料に添加されたものであってもよく、ホップ等の一般的なビールテイスト飲料の製造に用いられる原料に含まれるものであってもよい。
テクトリゲニン類の一部はポリフェノールとして検出されるため、ビールテイスト飲料中のテクトリゲニン類の濃度は、ビールテイスト飲料中の総ポリフェノール濃度と正の相関関係を有していてよい。ビールテイスト飲料中の総ポリフェノール濃度は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、好ましく30mg/l(30ppm)以上、より好ましくは40mg/l以上、さらに好ましくは50mg/l以上である。また、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、好ましくは80mg/l(80ppm)以下、より好ましくは70mg/l以下、さらに好ましくは60mg/l以下である。
ビールテイスト飲料における総ポリフェノール濃度は、例えば、三価鉄イオンとの反応を利用した比色法(「改訂BCOJビール分析法」、1998年、8.19総ポリフェノール参照。)により測定することができる。
ビールテイスト飲料がATHPを含む場合、ビールテイスト飲料における総ポリフェノール濃度D[mg/l]に対するATHPの濃度A[mg/l]の比A/Dは、渋味をマスキングする観点から、例えば1.7×10-5以上であり、好ましくは2.5×10-5以上であり、さらに好ましくは20×10-5以上である。また、ビールテイスト飲料の風味の観点から例えば130×10-5以下、より好ましく110×10-5以下、さらに好ましくは100×10-5以下である。
ビールテイスト飲料がMBTを含む場合、ビールテイスト飲料における総ポリフェノール濃度D[mg/l]に対するMBTの濃度B[mg/l]の比B/Dは、渋味をマスキングする観点から、例えば3.0×10-6以上であり、好ましくは3.8×10-6以上であり、さらに好ましくは4.0×10-6以上である。また、ビールテイスト飲料の風味の観点から例えば15×10-6以下、より好ましく12×10-6以下、さらに好ましくは10×10-6以下である。
ビールテイスト飲料は、例えば発酵ビールテイスト飲料、または非発酵ビールテイスト飲料であってよく、好ましくは非発酵ビールテイスト飲料である。また、ビールテイスト飲料は、ノンアルコールビールテイスト飲料であってよい。
発酵ビールテイスト飲料とは、酵母による発酵工程を経て製造され、アルコール含有量に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料である。使用される酵母としては、上面発酵酵母、又は下面発酵酵母が挙げられる。
非発酵ビールテイスト飲料とは、発酵工程を経ずに製造され、アルコール含有量に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料である。すなわち、本明細書における非発酵ビールテイスト飲料とは、アルコール飲料であってもよく、アルコール含有量が1体積%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。非発酵ビールテイスト飲料としては、具体的には、発泡酒、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料が挙げられる。その他、発酵工程を経ずに製造された飲料を、アルコール含有蒸留液及び炭酸ガスと混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、スピリッツ等の一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。
ノンアルコールビールテイスト飲料とは、実質的にアルコールを含まず、ビールのような味及び香りを呈するものであって、飲用の際にビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料をいう。ノンアルコールビールテイスト飲料は、発酵工程を経て製造されたものでも、発酵工程を経ずに製造されたものであってもよい。ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール濃度は、1体積%未満であり、例えば0.5体積%以下、0.1体積%以下、0.005体積%未満であってよく、アルコールを全く含まないものであってもよい。なお、本明細書において「アルコール」という文言は特に言及しない限りエタノールを意味する。
ビールテイスト飲料は、必要に応じて、食物繊維、大豆ペプチド、ホップ抽出物、炭酸、エキス、香料、酸味料、甘味料、苦味料、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、各種栄養成分等を含んでもよい。
香料としては、例えば、モルトフレーバー、ホップフレーバー、ビールフレーバー、アルコールフレーバー、カラメルフレーバー等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、リン酸、コハク酸、アスコルビン酸、フィチン酸、乳酸又はそれらの塩等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
甘味料としては、例えば、果糖、ショ糖、ブドウ糖、グラニュー糖、乳糖、麦芽糖などの糖類;キシリトール、D-ソルビトールなどの低甘味度甘味料;タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、サッカリンナトリウムなどの高甘味度甘味料等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
苦味料としては、例えば、ホップ由来の苦味物質、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、ペプチド類、テオブロミン、アロイン、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、β-グルコオリゴ糖、キナ抽出物等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
着色料としては、例えば、カラメル色素等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
pH調整剤としては、例えば、リン酸、乳酸等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ビールテイスト飲料は、例えば、後述するビールテイスト飲料の製造方法で製造することができる。
<渋味マスキング剤>
渋味マスキング剤は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。渋味マスキング剤は、渋味物質を含むビールテイスト飲料の渋味マスキングに用いられる。渋味マスキング剤は、渋味物質を含むビールテイスト飲料に適量添加されることにより、渋味物質を含むビールテイスト飲料における渋味を効果的にマスキングする。
渋味マスキング剤におけるATHP及びMBTからなる群から選択される少なくとも一種の化合物の含有量は、効果を損なわない範囲で適宜設定することができ、例えば、0.1質量%以上99質量%以下であってよい。
渋味マスキング剤の添加量は、マスキングの対象となる渋味物質を含むビールテイスト飲料中に含まれる渋味物質の種類、渋味物質の量又は目標とする渋味のマスキングレベルに応じて適宜選択すればよい。
ある一形態において、渋味マスキング剤は、ATHP及びMBTを含む。渋味マスキング剤がATHP及びMBTを含むことで、渋味物質を含むビールテイスト飲料における渋味が相乗的にマスキングされ、さらにビールテイスト飲料に対しビールらしい刺激が付与される。
渋味マスキング剤は、ビールテイスト飲料における渋味物質がテクトリゲニン類を含む場合、渋味をより効果的にマスキングする。すなわち、渋味マスキング剤は、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料の渋味マスキングに用いられてよい。
渋味マスキング剤は、その効果を損なわない範囲で、他の食品原料、食品添加物等を含んでもよい。渋味マスキング剤は、例えば、色素、香料、ビタミン類、アミノ酸、水溶性食物繊維、安定化剤、増量剤、乳化剤など、食品分野で通常用いられている原料、食品添加物等を含んでもよい。
渋味マスキング剤の形態は特に限定されず、例えば固形、粉末、顆粒、液体等の形態とすることができる。
<渋味マスキング方法>
渋味マスキング方法は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を、渋味物質を含むビールテイスト飲料に含有させることを含む。
渋味マスキング方法では、渋味物質を含むビールテイスト飲料にATHP及びMBTからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有させることで、渋味物質を含むビールテイスト飲料における渋味がマスキングされる。
渋味マスキング方法における渋味物質を含むビールテイスト飲料にATHP及びMBTからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有させるタイミングは、特に制限されず、当該化合物をビールテイスト飲料の製造工程における適当な工程で含有させることができる。
渋味マスキング方法は、ATHPを渋味物質を含むビールテイスト飲料に添加して、ATHPの濃度を所定濃度に調整することを含むことが好ましい。渋味物質を含むビールテイスト飲料におけるATHPの濃度を所定濃度にすることで、渋味物質を含むビールテイスト飲料における渋味がより効果的にマスキングされる。
渋味マスキング方法は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、ATHPを添加して、ATHPの濃度を好ましくは0.5×10-3mg/l(0.5ppb)以上、より好ましくは1.0×10-3mg/l以上、さらに好ましくは3.0×10-3mg/l以上、さらに好ましくは10×10-3mg/l以上、特に好ましくは30×10-3mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、渋味マスキング方法は、ビールテイスト飲料の風味の観点から、ATHPを添加して、ATHPの濃度を例えば150×10-3mg/l(150ppb)以下、好ましくは100×10-3mg/l以下、より好ましくは90×10-3mg/l以下、さらに好ましくは80×10-3mg/l以下に調整することを含んでもよい。
渋味マスキング方法は、MBTを渋味物質を含むビールテイスト飲料に添加して、MBTの濃度を所定濃度に調整することを含むことが好ましい。渋味物質を含むビールテイスト飲料におけるMBTの濃度を所定濃度にすることで、渋味物質を含むビールテイスト飲料における渋味がより効果的にマスキングされる。
渋味マスキング方法は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、MBTを添加して、MBTの濃度を好ましくは50×10-6mg/l(50ppt)以上、より好ましくは100×10-6mg/l以上、さらに好ましくは150×10-6mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、渋味マスキング方法は、ビールテイスト飲料の風味の観点から、MBTを添加して、MBTの濃度を例えば800×10-6mg/l(800ppt)以下、好ましくは600×10-6mg/l以下、より好ましくは500×10-6mg/l以下に調整することを含んでもよい。
渋味マスキング方法のマスキング対象となるビールテイスト飲料は、例えば、発酵ビールテイスト飲料、または非発酵ビールテイスト飲料であってもよく、好ましくは非発酵ビールテイスト飲料である。また、ビールテイスト飲料は、ノンアルコールビールテイスト飲料であってよい。
渋味マスキング方法のマスキング対象となるビールテイスト飲料が含有する渋味物質は、好ましくはテクトリゲニン類を含む。マスキング対象となるビールテイスト飲料に含まれるテクトリゲニン類の濃度は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、例えば30mg/l(30ppm)以上、好ましくは50mg/l以上、より好ましくは100mg/l以上である。また、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、例えば140mg/l(140ppm)以下、好ましくは130mg/l以下である。
さらに、渋味マスキング方法のマスキング対象となるビールテイスト飲料が含有する渋味物質は、ポリフェノールとして検出されることが好ましい。マスキング対象となるビールテイスト飲料に含まれる総ポリフェノール濃度は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、好ましく30mg/l(30ppm)以上、より好ましくは40mg/l以上、さらに好ましくは50mg/l以上である。また、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、好ましくは80mg/l(80ppm)以下、より好ましくは70mg/l以下、さらに好ましくは60mg/l以下である。
<ビールテイスト飲料の製造方法>
ビールテイスト飲料の製造方法は、2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有させることと、テクトリゲニン類を含有させることとを含んでいればよく、従来のビールテイスト飲料の製造方法を利用することができる。ビールテイスト飲料の製造方法により、渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料が製造される。
本明細書におけるビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト飲料の原料であるホップ、カラメル色素等を含む組成物に、葛花処理物等を添加するテクトリゲニン類添加工程と、前記組成物に対してマスキング化合物を添加するマスキング化合物添加工程とを含んでもよい。テクトリゲニン類添加工程とマスキング化合物添加工程の順番は、特に限定されない。
テクトリゲニン類添加工程は、ビールテイスト飲料の原料であるホップ、カラメル色素等を含む組成物にテクトリゲニン類を添加する工程である。
テクトリゲニン類添加工程は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、テクトリゲニン類を添加して、テクトリゲニン類の濃度を例えば30mg/l(30ppm)以上、好ましくは50mg/l以上、より好ましくは100mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、テクトリゲニン類添加工程は、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、テクトリゲニン類を添加して、テクトリゲニン類の濃度を例えば140mg/l(140ppm)以下、好ましくは130mg/l以下に調整することを含んでもよい。
テクトリゲニン類添加工程は、ポリフェノールとして検出されるテクトリゲニン類を添加する工程であってもよい。テクトリゲニン類添加工程は、ビールテイスト飲料の生理作用の観点から、ポリフェノールとして検出されるテクトリゲニン類を添加して、総ポリフェノール濃度を好ましくは30mg/l(30ppm)以上、より好ましくは40mg/l以上、さらに好ましくは50mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、テクトリゲニン類添加工程は、ビールテイスト飲料の渋味の観点から、ポリフェノールとして検出されるテクトリゲニン類を添加して、総ポリフェノール濃度を好ましくは80mg/l(80ppm)以下、より好ましくは70mg/l以下、さらに好ましくは60mg/l以下に調整することを含んでもよい。
マスキング化合物添加工程は、ビールテイスト飲料の原料であるホップ、カラメル色素等を含む組成物にATHP及びMBTからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を添加する工程である。
マスキング化合物添加工程は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、ATHPを添加して、ATHPの濃度を好ましくは0.5×10-3mg/l(0.5ppb)以上、より好ましくは1.0×10-3mg/l以上、さらに好ましくは3.0×10-3mg/l以上、さらに好ましくは10×10-3mg/l以上、特に好ましくは30×10-3mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、マスキング化合物添加工程は、ビールテイスト飲料の風味の観点から、ATHPを添加して、ATHPの濃度を例えば150×10-3mg/l(150ppb)以下、好ましくは100×10-3mg/l以下、より好ましくは90×10-3mg/l以下、さらに好ましくは80×10-3mg/l以下に調整することを含んでもよい。
マスキング化合物添加工程は、ビールテイスト飲料における渋味をマスキングする観点から、MBTを添加して、MBTの濃度を好ましくは50×10-6mg/l(50ppt)以上、より好ましくは100×10-6mg/l以上、さらに好ましくは150×10-6mg/l以上に調整することを含んでもよい。また、マスキング化合物添加工程は、ビールテイスト飲料の風味の観点から、MBTを添加して、MBTの濃度を例えば800×10-6mg/l(800ppt)以下、好ましくは600×10-6mg/l以下、より好ましくは500×10-6mg/l以下に調整することを含んでもよい。
ビールテイスト飲料の製造方法は、公知の装置等を用いた、ホップ、カラメル色素等を添加する工程、煮沸工程、pH調整工程、ろ過工程、香味調整工程、炭酸ガスを溶解させる工程等をさらに含んでもよい。
ビールテイスト飲料の製造方法は、必要に応じて、食物繊維、大豆ペプチド、ホップ抽出物、炭酸、エキス類、香料、酸味料、甘味料、苦味料、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、各種栄養成分等を添加する工程をさらに含んでもよい。
テクトリゲニン類添加工程に用いられるテクトリゲニン類は、マメ科植物由来物であることが好ましく、葛花処理物であることがより好ましく、葛花処理物の中でも葛花乾燥物又は葛花抽出物であることがさらに好ましく、葛花抽出物を濃縮した不揮発性成分である葛花エキスであることが特に好ましい。
ビールテイスト飲料の製造方法は、例えば、難消化性デキストリン、ホップ、カラメル色素等を含む、pH調整をした液体に対して、テクトリゲニン類を添加することと、ろ過で清澄化することと、香料を添加することで香味を調整することと、炭酸ガスを溶解させることと、マスキング化合物を添加することとを含んでいてよい。
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<製造例1>
難消化性デキストリン2.0kg、大豆食物繊維0.5kg、重曹適量に対し、200Lになるように湯を加えた後、ホップ、カラメル色素を添加した。60分間煮沸し、その後、湯を加えて液量を再調整した後、pH調整のためにリン酸を適量添加し、攪拌した。その後葛の花エキス(東洋新薬社製)を適量添加した後、ワールプール(旋回分離槽)でさらに攪拌をした。その後、熱交換器によって、得られた液を冷却した。冷却後、脱気水にて希釈後、珪藻土を用いたろ過を実施して清澄化した後、香料にて香味を調整し、0.23MPaとなるように炭酸ガスを溶解させ、容器に充填した。
<分析方法>
ビールテイスト飲料におけるテクトリゲニン類の濃度、総ポリフェノール濃度、ATHP濃度及びMBT濃度は、以下のようにして評価した。
<テクトリゲニン類の濃度>
テクトリゲニン類の濃度として、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン7-O-キシロシルグルコシドの濃度の合計を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法による定量から求めた。具体的には、ビールテイスト飲料をメンブレンフィルターによりろ過し、超音波処理により脱気したのち、HPLC装置に注入し、処理した。測定条件の一例は表1及び表2の通りである。なお、テクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン7-O-キシロシルグルコシドの標準品を精密に秤量し、少量のDMSOに溶解後、50%(v/v)メタノール溶液に溶解し、濃度を0.01mg/mLとしたものを標準溶液として使用した。
Figure 2022147651000001
Figure 2022147651000002
<総ポリフェノール濃度>
総ポリフェノール濃度は、三価鉄イオンとポリフェノールの反応による比色法(「改訂BCOJビール分析法」、1998年、8.19総ポリフェノール参照。)により測定した。具体的には、10mLのガス抜き後のビールテイスト飲料と8mLのCMC/EDTA試薬(0.2%EDTAを含有するCMC(カルボキシメチルセルロース)-ナトリウム塩の1%溶液)を混合した後、0.5mLの三価鉄試薬(3.5gのクエン酸鉄(III)アンモニウムを100mLの蒸留水に溶かしたもの)を添加し、充分に混合した。次いで、当該混合液に0.5mLのアンモニア試薬(濃アンモニア水(d=0.92g/mL)を2倍容の蒸留水で希釈した溶液)を添加して完全に混合した後、蒸留水で25mLに調整し、再度充分に混合した。当該混合液を10分間静置した後、セル幅10mmのセルを用いて、600nmの吸光度を測定した。吸光度測定のブランクとして、三価鉄試薬を添加していないブランク溶液を用いた。当該ブランク溶液は、具体的には、10mLのガス抜き後のビールテイスト飲料と8mLの前記CMC/EDTA試薬を混合した後、0.5mLの前記アンモニア試薬を添加して完全に混合した後、蒸留水で25mLに調整し、再度充分に混合し、得られた混合液を10分間静置することにより、調製した。次式により、吸光度から各ビールテイスト飲料の総ポリフェノール濃度を求めた。
P=A×820
「P」は総ポリフェノール濃度(mg/l)
「A」は600nmの吸光度
<ATHP濃度>
20gのビールテイスト飲料に50μLの内部標準溶液(4μg/mLのATHP安定同位体)及び、200μLのギ酸及び10mLの蒸留水を加え、OASIS MCX 500mg/6ml(Waters)へ負荷した。5mLの1%ギ酸水で、カラムを洗浄後、5mLの2%アンモニア-メタノールで溶出し、溶出液を蒸留水で2倍希釈したのち、LC/MS/MSにて分析した。
LC/MS/MS(AB-SCIEX社製5500QTRAP)を使用し、カラムはACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×100mm(waters)を用いて分離した。移動相条件はA液:10mM炭酸水素アンモニウム、B液:アセトニトリルにて、(B%,t):(10%、1min)、(50%、6min)、ATHPのトラジションは126→84(コリジョンエナジー:23V)として分析した。定量は、標準品を添加して作成した検量線を使用して行った。
<MBT濃度>
MBTの濃度は、岸本らの方法(Kishimoto, T. et al., Odorants comprising hop aroma of beer: hop-derived odorants increased in the beer hopped with aged hops, Proceedings of the 31st E BC Congress, Venice 2007)に準拠して測定した。
<比較例1-1から比較例1-7>
製造例1において葛の花エキスの添加量を変えることで、テクトリゲニン類の濃度が異なるビールテイスト飲料を製造し、テクトリゲニン類の濃度が、それぞれ0mg/l、30mg/l、40mg/l、70mg/l、100mg/l、110mg/l、140mg/lである、比較例1-1から比較例1-7のビールテイスト飲料を得た。
<実施例1-1から実施例1-7>
比較例1-5で得られたテクトリゲニン類の濃度が100mg/lのビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、0.5×10-3mg/l、1×10-3mg/l、5×10-3mg/l、50×10-3mg/l、80×10-3mg/l、100×10-3mg/l、150×10-3mg/lに調整して、実施例1-1から実施例1-7のビールテイスト飲料を得た。
<実施例2-1から実施例2-9>
比較例1-5で得られたテクトリゲニン類の濃度が100mg/lのビールテイスト飲料にMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、5×10-6mg/l、10×10-6mg/l、50×10-6mg/l、100×10-6mg/l、150×10-6mg/l、200×10-6mg/l、500×10-6mg/l、800×10-6mg/l、1000×10-6mg/lに調整して、実施例2-1から実施例2-9のビールテイスト飲料を得た。
<実施例3-1から実施例3-9>
比較例1-5で得られたテクトリゲニン類の濃度が100mg/lのビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を50×10-3mg/lに調整した。さらにMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、5×10-6mg/l、10×10-6mg/l、50×10-6mg/l、100×10-6mg/l、150×10-6mg/l、200×10-6mg/l、500×10-6mg/l、800×10-6mg/l、1000×10-6mg/lに調整して、実施例3-1から実施例3-9のビールテイスト飲料を得た。
<官能評価>
次いで、製造したビールテイスト飲料の官能評価を行った。評価項目は、渋味の強さ、飲み応え・ボディ感、日光臭、ビールらしい刺激とした。これらの評価項目は、テクトリゲニン類の濃度、総ポリフェノール濃度、ATHP濃度及びMBT濃度以外の条件による影響を受けるため、テクトリゲニン類の濃度、総ポリフェノール濃度、ATHP濃度及びMBT濃度以外の条件を一定に揃えた。
6名のビール類の専門評価者が各ビールテイスト飲料を試飲し、以下の評価基準に基づいて採点をした。専門評価者に対し、事前テストを実施し、評点に大きなずれがないことを確認した。
渋味の強さは、比較例1-1を対照とし、対照と比べてどのくらい強いかを5段階で評価した。渋味の強さは、3以下でよいとした。評価基準を表3に示す。
飲み応え・ボディ感は、比較例1-1を対照とし、対照と比べてどのくらい強いかを5段階で評価した。飲み応え・ボディ感は、3以上でよいとした。評価基準を表4に示す。
日光臭は、実施例2-1を対照とし、対照と比べてどのくらい強いかを5段階で評価した。評価基準を表5に示す。
ビールらしい刺激は、アサヒスーパードライを対照とし、対照と比べてどのくらい刺激があるかを5段階で評価した。ビールらしい刺激は、2以上でよいとした。評価基準を表6に示す。
評点は、6名の評価者の官能評点の平均値とした。評価結果及び評価者により得られたコメントを表7から表10に示す。
Figure 2022147651000003
Figure 2022147651000004
Figure 2022147651000005
Figure 2022147651000006
Figure 2022147651000007
表7の結果から、葛の花エキスの添加量が増加するごとに、ビールテイスト飲料の渋味が増し、味のバランスが悪くなることがわかる。
Figure 2022147651000008
表8の結果から、ビールテイスト飲料におけるATHPの濃度が増加するごとに、渋味がマスキングされ、飲み応え・ボディ感が増加することがわかる。ビールテイスト飲料におけるATHPの濃度を0.5×10-3mg/l以上にすることで、ビールテイスト飲料における渋味が効果的にマスキングされることがわかる。また、ATHPの濃度を0.5×10-3mg/l以上80×10-3mg/l以下にすることで、ビールテイスト飲料における渋味がマスキングされ、ビールテイスト飲料に飲み応え・ボディ感を付与でき、ビールテイスト飲料の風味が優れることがわかる。以上より、ATHPの濃度を0.5×10-3mg/l以上にすることにより、渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供することができる。
Figure 2022147651000009
表9の結果から、ビールテイスト飲料におけるMBTの濃度を50×10-6mg/lより大きくすることで、ビールテイスト飲料における渋味が効果的にマスキングされることがわかる。またビールテイスト飲料におけるMBTの濃度を50×10-6mg/l超800×10-6mg/l以下にすることで、ビールテイスト飲料の渋味がマスキングされ、ビールテイスト飲料に対してビールらしい刺激を付与でき、ビールテイスト飲料の風味が優れることがわかる。以上より、MBTの濃度を50×10-6mg/lより大きくすることにより、渋味がマスキングされた、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供することができる。
Figure 2022147651000010
表10の結果から、ATHPの濃度を10×10-3mg/l以上、MBTの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下にすることで、ビールテイスト飲料における渋味が効果的にマスキングされ、ビールテイスト飲料に対してビールらしい刺激を付与でき、ビールテイスト飲料の風味が優れることがわかる。以上より、ATHPの濃度を10×10-3mg/l以上、MBTの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下にすることにより、渋味がマスキングされ、ビールらしい刺激が付与された、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料を提供することができる。
<参考例>
参考例として、公知のポリフェノール含有飲料に用いられる渋味マスキング成分であるγ-シクロデキストリン又はソーマチンを含有させたテクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料とATHPあるいはATHP及びMBTを含有させたテクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料の泡の状態及び渋味の強さを比較した。
<参考例1-1から参考例1-5>
比較例1-5で得られたテクトリゲニン類の濃度が100mg/lのビールテイスト飲料に、γ-シクロデキストリン(CAVAMAX W8、シクロケム社)、ソーマチン(ネオサンマルクAG、三栄源社製)、ATHP、MBTを、表11に示すように適宜添加して、参考例1-1から参考例1-5のビールテイスト飲料を得た。ビールテイスト飲料におけるγ-シクロデキストリン及びソーマチンの添加量は、特開2015-221019号公報の記載を参考にした。
<官能及び泡の評価>
6名のビール類の専門評価者が各ビールテイスト飲料の泡の評価と試飲を行った。専門評価者に対し、事前テストを実施し、評点に大きなずれがないことを確認した。泡の状態は、150秒以上泡が消えない状態をA、泡が100秒未満付与されている状態をB、60秒未満泡が付与されている状態をCとした。評価結果及び評価者により得られたコメントを表11に示す。
Figure 2022147651000011
表11より、ビールテイスト飲料における泡の状態、渋味及び風味の観点から、γ-シクロデキストリン及びソーマチンは、テクトリゲニン類を含むビールテイスト飲料の渋味をマスキングする成分として不適であることがわかる。

Claims (18)

  1. 2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物と、テクトリゲニン類とを含むビールテイスト飲料。
  2. 前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を0.5×10-3mg/l以上で含む請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. 前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールを50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下で含む請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 前記テクトリゲニン類を30mg/l以上140mg/l以下で含む請求項1から3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
  5. ポリフェノールを含み、総ポリフェノール濃度が80mg/l以下である請求項1から4のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
  6. 前記テクトリゲニン類が葛花処理物に由来する請求項1から5のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
  7. 非発酵ビールテイスト飲料である請求項1から6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
  8. ノンアルコールビールテイスト飲料である請求項1から7のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
  9. 2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む渋味物質を含むビールテイスト飲料用渋味マスキング剤。
  10. 2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を、渋味物質を含むビールテイスト飲料に含有させることを含むビールテイスト飲料における渋味マスキング方法。
  11. 前記渋味物質を含むビールテイスト飲料における前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を0.5×10-3mg/l以上に調整することを含む請求項10に記載の渋味マスキング方法。
  12. 前記渋味物質を含むビールテイスト飲料における前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下に調整することを含む請求項10又は11に記載の渋味マスキング方法。
  13. 前記渋味物質がテクトリゲニン類を含む請求項10から12のいずれか一項に記載の渋味マスキング方法。
  14. 2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物及び3-メチル-2-ブテン-1-チオールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有させることと、テクトリゲニン類を含有させることとを含む、ビールテイスト飲料の製造方法。
  15. 前記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を0.5×10-3mg/l以上に調整することを含む請求項14に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
  16. 前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を50×10-6mg/l以上800×10-6mg/l以下に調整することを含む請求項14又は15に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
  17. 前記テクトリゲニン類の濃度を30mg/l以上140mg/l以下に調整することを含む請求項14から16のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
  18. 総ポリフェノール濃度を80mg/l以下に調整することをさらに含む請求項14から17のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
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