JP2022146862A - 制御バルブ - Google Patents

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哲哉 三村
Tetsuya Mimura
哲史 大関
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Yamada Manufacturing Co Ltd
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【課題】本発明は、ロータと摺動リングとの間のシール性の向上と、ロータと摺動リングとの間の摺動性の確保とを両立させた制御バルブを提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る制御バルブ8は、液体の流出口が形成されるとともに、液体が収容されるケーシング21と、前記ケーシング21内に回転可能に収容され、前記流出口に連通可能な連通口が形成されたロータ22と、前記流出口内に配置された状態で前記ロータの外表面に摺動する摺動面141aを有し、前記ロータ22の回転位置に応じて前記流出口と前記連通口とを連通させる摺動リング131と、を備え、前記ロータ22の外表面には、前記摺動面141aとの間で液体を保持する液体保持部が設けられており、前記液体保持部は、液体を収容する凹部を有することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、制御バルブに関する。
冷却水を用いてエンジンを冷却する冷却システムでは、各流路(ラジエータ流路等)への分岐部に、各流路への冷却水の流通を制御する制御バルブが設けられている。
制御バルブは、冷却水の流出口が形成されたケーシングと、流出口に連通可能な連通口を有し、ケーシング内に回転可能に収容されたロータと、流出口内に配置され、ロータの外周面に摺動する摺動リングと、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
この構成によれば、ロータを回転させることで、摺動リングを通じた流出口と連通口との連通及び遮断が切り替えられる。連通口と流出口とが連通すると、ロータ内を流れる冷却液が連通口、摺動リング及び流出口を通じて制御バルブから流出する。これにより、冷却水が、ロータの回転に応じて1つ又は複数の流路に分配される。
特開2016-114125号公報
ところで、エンジンの早期暖機のためには、エンジンの始動開始から暖機終了までの間、冷却システム内をゼロフロー状態にすることが好ましい。ゼロフロー状態とは、少なくともエンジン流路内で冷却水が滞留している状態(ラジエータ流路内に冷却水が流出しない、又はラジエータ流路内の冷却水の流れが少ない状態)である。したがって、早期暖機を実現させるためには、ロータと摺動リングとの間のシール性を向上させる必要がある。
しかしながら、シール性確保のために、ロータの表面粗さを小さくする等して、摺動リングとロータとの密着性を向上させると、ロータを回転させる際のロータと摺動リングとの間に発生する摺動抵抗が増加する。その結果、ロータを回転させるために必要なトルク(定格トルク)が大きくなり、アクチュエータの大型化や消費電力の増加等に繋がる。
上記事情に鑑み、本発明は、ロータと摺動リングとの間のシール性の向上と、ロータと摺動リングとの間の摺動性の確保とを両立させた制御バルブを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る制御バルブは、液体の流出口が形成されるとともに、液体が収容されるケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に収容され、前記流出口に連通可能な連通口が形成されたロータと、前記流出口内に配置された状態で前記ロータの外表面に摺動する摺動面を有し、前記ロータの回転位置に応じて前記流出口と前記連通口とを連通させる摺動リングと、を備え、前記ロータの外表面には、前記摺動面との間で液体を保持する液体保持部が設けられており、前記液体保持部は、液体を収容する凹部を有することを特徴とする。
上記構成では、弁筒部の外周面に、摺動リングの摺動面との間で液体を保持する液体保持部が設けられている構成とした。
この構成によれば、ロータの外表面と摺動リングの摺動面との微小隙間に進入した液体が凹部内で収容される。これにより、ロータの外表面と摺動リングの摺動面との間には、液体保持部と摺動面との間に作用する表面張力等の影響によって液体膜が形成され易い。その結果、液体膜によってロータと摺動リングとの間をシールすることができる。これにより、ロータと摺動リングとの間を通じて摺動リングの内側に液体が漏れにくい。そのため、上記構成によれば、冷却システムのゼロフロー状態を維持し易くなり、車両の早期暖機を実現することができる。
また、上記構成によれば、ロータと摺動リングとの間に形成される液体膜によって、ロータと摺動リングとが直接接触する面積を低減することができる。これにより、また、液体保持部の凹部によって、ロータと摺動リングとの密着性を軽減することができる。そのため、ロータの回転時の摺動抵抗を軽減して、回転トルクの低減を図ることができる。よって、アクチュエータの大型化や消費電力の増加を抑制できる。
したがって、上記構成によれば、ロータと摺動リングとの間のシール性の向上と、ロータと摺動リングとの間の摺動性の確保とを両立させた制御バルブを提供することができる。
しかも、上記構成では、ロータの外表面に凹部を加工することでシール性及び摺動性を確保できるため、例えばロータの外周面に摺動被膜を形成するような従来の構成に比べ、耐久性を向上させることができる。よって、シール性及び摺動性を長期に亘って確保できる。
上記態様の制御バルブにおいて、前記凹部は、前記ロータの回転軸線回りの周方向に延びていてもよい。
上記構成において、凹部がロータの回転方向に沿って延びているため、ロータが回転する際に、ロータの外周面のうち隣り合う凹部の間に位置する頂部が、ロータの回転方向に沿って移動していく。すなわち、摺動リングの摺動面の任意の位置において、ロータの回転に伴い、凹部と、2つの凹部の間に位置する頂部とが交互に通過するのを抑制できる。そのため、摺動リングの摺動面の異常摩耗を抑制できる。
上記態様の制御バルブにおいて、前記ロータは、前記回転軸線と同軸に延びる筒状に形成され、前記ロータの外周面には、前記周方向の一方側に延びるに従い、前記回転軸線に沿う軸方向に螺旋状に延びる溝が形成され、前記溝は、前記軸方向に沿う断面視において、前記凹部が前記軸方向に複数並んで構成されてもよい。
上記構成において、凹部は、ロータの外周面において、周方向の一方側に延びるに従い、回転軸線に沿う軸方向に、螺旋状に延びる溝により構成されている。
この構成によれば、射出成型後のロータに対して旋盤加工等を行うことで、ロータの外表面に簡単に凹部を形成することができる。特に、上記構成では、ロータの外表面を従来に比べて粗いまま加工を終了することができるので、シール性を高めるためにロータの外表面の表面粗さを小さくする場合に比べ、切削時間を短縮できる。その結果、製造効率の向上や製造コストを低減させることができる。
上記態様の制御バルブにおいて、前記外表面の表面粗さをロータ表面粗さとし、前記摺動面の表面粗さをリング表面粗さとすると、前記ロータ表面粗さは、前記リング表面粗さよりも大きくてもよい。
上記構成において、ロータのロータ表面粗さを、リング表面粗さよりも大きくさせることで、液体保持部において、液体をより確実に保持することができる。
上記態様の制御バルブにおいて、前記ロータ表面粗さは、十点平均粗さRzで11μm<X≦45μmの範囲でもよい。
ロータ表面粗さは、十点平均粗さRzで11μm<X≦45μmの範囲であるため、シール性能とトルク低減の両立を図ることができる。
具体的に、ロータ表面粗さが上記下限値よりも大きいため、ロータと摺動リングとの間に作用する摺動抵抗を軽減し、回転トルクを低減することができる。また、ロータ表面粗さが上記上限値以下であるため、特に、ゼロフロー状態(暖機完了までの間)において、ロータと摺動リングとの間のシール性を確保することができる。
本発明によれば、ロータと摺動リングとの間のシール性の向上と、ロータと摺動リングとの間の摩耗の抑制とを両立させた制御バルブを提供することができる。
実施形態に係る冷却システムのブロック図である。 実施形態に係る制御バルブの斜視図である。 実施形態に係る制御バルブの分解斜視図である。 図2のIV-IV線に沿う断面図である。 図2のV-V線に沿う拡大図である。 図5のVI-VI線に沿う断面の拡大図である。 実施形態に係る制御バルブの一部拡大図である。 ロータ表面粗さを変化させた際の「漏れ量」及び「回転トルク」の推移を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、冷却水を用いてエンジンを冷却する冷却システムに、本実施形態の制御バルブを採用した場合について説明する。
[冷却システム1]
図1は、冷却システム1のブロック図である。
図1に示すように、冷却システム1は、車両駆動源に少なくともエンジンを具備する車両に搭載される。なお、車両としては、エンジンのみを有する車両の他に、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等であっても構わない。
冷却システム1は、エンジン2(ENG)、ウォータポンプ3(W/P)、ラジエータ4(RAD)、ヒートエクスチェンジャ5(H/EX)、ヒータコア6(HTR)、EGRクーラ7(EGR)及び制御バルブ8(EWV)が各流路10~14により接続されて構成されている。
ウォータポンプ3、エンジン2及び制御バルブ8は、メイン流路10上で上流から下流にかけて順に接続されている。メイン流路10では、ウォータポンプ3の動作により冷却水がエンジン2及び制御バルブ8を順に通過する。
メイン流路10には、ラジエータ流路11、暖機流路12、空調流路13及びEGR流路14がそれぞれ接続されている。ラジエータ流路11、暖機流路12、空調流路13及びEGR流路14は、メイン流路10のうちウォータポンプ3の上流部分と制御バルブ8とを接続している。
ラジエータ流路11には、ラジエータ4が接続されている。ラジエータ流路11では、ラジエータ4において、冷却水と外気との熱交換が行われる。
暖機流路12には、ヒートエクスチェンジャ5が接続されている。ヒートエクスチェンジャ5とエンジン2との間には、オイル流路18を通してエンジンオイルが循環している。暖機流路12では、ヒートエクスチェンジャ5において、冷却水とエンジンオイルとの熱交換が行われる。すなわち、ヒートエクスチェンジャ5は、水温が油温よりも高い場合にオイルウォーマとして機能し、エンジンオイルを加熱する。一方、ヒートエクスチェンジャ5は、水温が油温よりも低い場合にオイルクーラとして機能し、エンジンオイルを冷却する。
空調流路13には、ヒータコア6が接続されている。ヒータコア6は、例えば空調装置のダクト(不図示)内に設けられている。空調流路13では、ヒータコア6において、冷却水とダクト内を流通する空調空気との熱交換が行われる。
EGR流路14には、EGRクーラ7が接続されている。EGR流路14では、EGRクーラ7において、冷却水とEGRガスとの熱交換が行われる。
上述した冷却システム1では、メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却水が、制御バルブ8内に流入した後、制御バルブ8の動作によって各流路11~13に選択的に分配される。
<制御バルブ8>
図2は、制御バルブ8の斜視図である。図3は、制御バルブ8の分解斜視図である。 図2、図3に示すように、制御バルブ8は、ケーシング21と、ロータ22(図3参照)と、駆動ユニット23と、を備えている。
(ケーシング21)
ケーシング21は、有底筒状のケーシング本体25と、ケーシング本体25の開口部を閉塞する蓋体26と、を有している。なお、以下の説明では、ケーシング21の軸線O1に沿う方向を単にケース軸方向という。ケース軸方向において、ケーシング本体25の周壁部31に対してケーシング本体25の底壁部32に向かう方向を第1側といい、ケーシング本体25の周壁部31に対して蓋体26に向かう方向を第2側という。さらに、軸線O1に直交する方向をケース径方向といい、軸線O1回りの方向をケース周方向という。
ケーシング本体25の周壁部31には、複数の取付片33が形成されている。各取付片33は、周壁部31からケース径方向の外側に突出している。制御バルブ8は、例えば各取付片33を介してエンジンルーム内に固定される。なお、各取付片33の位置や数等は、適宜変更が可能である。
図4は、図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図3、図4に示すように、周壁部31のうちケース軸方向の第2側に位置する部分には、ケース径方向の外側に膨出する流入ポート37が形成されている。流入ポート37には、流入ポート37をケース径方向に貫通する流入口37a(図4参照)が形成されている。流入口37aは、ケーシング21内外を連通している。流入ポート37の開口端面(ケース径方向の外側端面)には、メイン流路10(図1参照)が接続される。
図4に示すように、周壁部31において、軸線O1を間に挟んで流入ポート37にケース径方向で対向する位置には、ケース径方向の外側に膨出するラジエータポート41が形成されている。ラジエータポート41には、フェール開口41a及びラジエータ流出口41bがケース軸方向に並んで形成されている。フェール開口41a及びラジエータ流出口41bは、ラジエータポート41をそれぞれケース径方向に貫通している。本実施形態において、フェール開口41aは、流入口37aにケース径方向で対向している。ラジエータ流出口41bは、フェール開口41aに対してケース軸方向の第1側に位置している。
ラジエータポート41の開口端面(ケース径方向の外側端面)には、ラジエータジョイント42が接続されている。ラジエータジョイント42は、ラジエータポート41とラジエータ流路11(図1参照)の上流端部との間を接続している。なお、ラジエータジョイント42は、ラジエータポート41の開口端面に溶着(例えば、振動溶着等)されている。
フェール開口41aには、サーモスタット45が設けられている。すなわち、サーモスタット45は、流入口37aにケース径方向で対向している。サーモスタット45は、ケーシング21内を流れる冷却水の温度に応じてフェール開口41aを開閉する。
蓋体26において、EGR流出口51の開口縁には、EGRジョイント52が形成されている。EGRジョイント52は、ケース軸方向の第2側に向かうに従いケース径方向の外側に延びる管状に形成され、EGR流出口51とEGR流路14(図1参照)の上流端部との間を接続している。本実施形態において、EGRジョイント52は、蓋体26に一体に形成されている。但し、EGRジョイント52は、蓋体26と別に形成されていてもよい。また、EGR流出口51やEGRジョイント52は、周壁部31等に設けられていても構わない。
図3に示すように、周壁部31において、ラジエータポート41よりもケース軸方向の第1側に位置する部分には、ケース径方向の外側に膨出する暖機ポート56が形成されている。暖機ポート56には、暖機ポート56をケース径方向に貫通する暖機流出口56aが形成されている。暖機ポート56の開口端面には、暖機ジョイント62が接続されている。暖機ジョイント62は、暖機ポート56と上述した暖機流路12(図1参照)の上流端部とを接続している。なお、暖機ジョイント62は、暖機ポート56の開口端面に溶着(例えば、振動溶着等)されている。
図2に示すように、周壁部31のうち、ケース軸方向におけるラジエータポート41と暖機ポート56との間であって、かつ暖機ポート56に対してケース周方向で180°程度ずれた位置には、空調ポート66が形成されている。空調ポート66には、空調ポート66をケース径方向に貫通する空調流出口66aが形成されている。空調ポート66の開口端面には、空調ジョイント68が接続されている。空調ジョイント68は、空調ポート66と空調流路13(図1参照)の上流端部とを接続している。なお、空調ジョイント68は、空調ポート66の開口端面に溶着(例えば、振動溶着等)されている。
(駆動ユニット23)
図2に示すように、駆動ユニット23は、ケーシング本体25の底壁部32に取り付けられている。駆動ユニット23は、図示しないモータや減速機構、制御基板等が収納されて構成されている。
(ロータ22)
図3、図4に示すように、ロータ22は、ケーシング21内に収容されている。ロータ22は、ケーシング21の軸線O1と同軸に配置された円筒状に形成されている。ロータ22は、軸線O1回りに回転することで、各流出口(ラジエータ流出口41b、暖機流出口56a及び空調流出口66a)を開閉する。
図4に示すように、ロータ22は、ロータ本体72の内側に内側軸部73がインサート成形されて構成されている。
内側軸部73は、ロータ本体72(例えば、樹脂材料)よりも剛性が高い材料(例えば、金属材料)により形成されている。内側軸部73は、軸線O1と同軸で延在している。 ロータ22は、例えば、樹脂材料または金属材料等により一体形成されていてもよい。
内側軸部73の第1側端部は、底壁部32に形成された貫通孔32aを通して底壁部32をケース軸方向に貫通している。内側軸部73の第1側端部は、底壁部32に設けられた第1ブッシュ78に回転可能に支持されている。具体的に、底壁部32には、ケース軸方向の第2側に向けて第1軸収容壁79が形成されている。第1軸収容壁79は、上述した貫通孔32aを取り囲んでいる。第1ブッシュ78は、第1軸収容壁79の内側に嵌め込まれている。
内側軸部73のうち、第1ブッシュ78よりもケース軸方向の第1側に位置する部分は、底壁部32よりも外側に位置する部分において、駆動ユニット23に連結されている。これにより、駆動ユニット23の動力が内側軸部73に伝達される。
内側軸部73の第2側端部は、蓋体26に設けられた第2ブッシュ84に回転可能に支持されている。具体的に、蓋体26には、ケース軸方向の第1側に向けて第2軸収容壁86が形成されている。第2軸収容壁86は、上述したEGR流出口51よりもケース径方向の内側で、軸線O1を取り囲んでいる。第2ブッシュ84は、第2軸収容壁86の内側に嵌め込まれている。
ロータ本体72は、内側軸部73の周囲を取り囲んでいる。ロータ本体72は、内側軸部73に接続された外側軸部81と、外側軸部81の周囲を取り囲む弁筒部82と、外側軸部81及び弁筒部82同士を連結するスポーク部83と、を有している。ロータ本体72は、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(芳香族ポリエーテルケトン)及びPA(ポリアミド)からなる群から選ばれる樹脂を主成分として形成されていることが好ましい。
外側軸部81は、内側軸部73におけるケース軸方向の両端部を露出させた状態で、内側軸部73の周囲を全周に亘って取り囲んでいる。本実施形態では、外側軸部81及び内側軸部73によってロータ22の回転軸85を構成している。
第1軸収容壁79内において、第1ブッシュ78に対してケース軸方向の第2側に位置する部分には、第1リップシール87が設けられている。第1リップシール87は、第1軸収容壁79の内周面と回転軸85(外側軸部81)の外周面との間をシールする。
一方、上述した第2軸収容壁86内において、第2ブッシュ84に対してケース軸方向の第1側に位置する部分には、第2リップシール88が設けられている。第2リップシール88は、第2軸収容壁86の内周面と回転軸85(外側軸部81)の外周面との間をシールする。
弁筒部82は、軸線O1と同軸に配置されている。弁筒部82は、ケーシング21内において、流入口37aよりもケース軸方向の第1側に位置する部分に配置されている。具体的に、弁筒部82は、ケース軸方向において、フェール開口41aを回避し、かつラジエータ流出口41b、暖機流出口56a及び空調流出口66aに跨る位置に配置されている。弁筒部82の内側は、流入口37aを通してケーシング21内に流入した冷却水がケース軸方向に流通する流通路91を構成している。一方、ケーシング21内において、弁筒部82よりもケース軸方向の第2側に位置する部分は、流通路91に連通する接続流路92を構成している。
弁筒部82において、上述したラジエータ流出口41bとケース軸方向の同位置には、弁筒部82をケース径方向に貫通するラジエータ連通口95が形成されている。ラジエータ連通口95は、ケース径方向から見てラジエータ流出口41bに挿入された摺動リング131と少なくとも一部が重なり合う場合に、ラジエータ連通口95を通じてラジエータ流出口41bと流通路91内とを連通させる。
弁筒部82において、上述した暖機流出口56aとケース軸方向の同位置には、弁筒部82をケース径方向に貫通する暖機連通口96が形成されている。暖機連通口96は、ケース径方向から見て暖機流出口56aに挿入された摺動リング131と少なくとも一部が重なり合う場合に、暖機連通口96を通じて暖機流出口56aと流通路91内とを連通させる。
弁筒部82において、上述した空調流出口66aとケース軸方向の同位置には、弁筒部82をケース径方向に貫通する空調連通口97が形成されている。空調連通口97は、ケース径方向から見て空調流出口66aに挿入された摺動リング131と少なくとも一部が重なり合う場合に、空調連通口97を通じて空調流出口66aと流通路91内とを連通させる。
ロータ22は、軸線O1回りの回転に伴い、流通路91内と各流出口41b,56a,66aとの連通及び遮断を切り替える。なお、流出口と連通口との連通パターンは、適宜設定が可能である。そして、流出口と連通口とのレイアウトは、設定した連通パターンに応じて切り替えることができる。なお、対応する流出口及び連通口同士は、少なくとも一部がケース軸方向に重なる位置に配置されていれば構わない。
続いて、暖機ポート56及び暖機ジョイント62の接続部分の詳細について説明する。なお、ラジエータポート41とラジエータジョイント42との接続部分、及び空調ポート66と空調ジョイント68との接続部分については、暖機ポート56及び暖機ジョイント62の接続部分と同等の構成であるため、説明を省略する。
図5は、図2のV―V線に相当する拡大断面図である。以下の説明では、暖機流出口56aの軸線O2に沿う方向をポート軸方向という場合がある。この場合、ポート軸方向において、暖機ポート56に対して軸線O1に向かう方向を内側といい、暖機ポート56に対して軸線O1から離間する方向を外側という。また、軸線O2に直交する方向をポート径方向といい、軸線O2回りの方向をポート周方向という場合がある。
図5に示すように、暖機ポート56は、ポート軸方向に延びるシール筒部101と、シール筒部101からポート径方向の外側に張り出すポートフランジ部102と、を有している。シール筒部101の内側は、上述した暖機流出口56aを構成している。
暖機ジョイント62は、軸線O2と同軸に配置されたジョイント筒部110と、ジョイント筒部110におけるポート軸方向の内側端部からポート径方向の外側に張り出すジョイントフランジ部111と、を有している。
ジョイントフランジ部111は、外径がポートフランジ部102と同等で、かつ内径がシール筒部101の外径よりも大きい環状に形成されている。ジョイントフランジ部111は、ポートフランジ部102に振動溶着等によって接合されている。
本実施形態において、暖機ポート56及び暖機ジョイント62で囲まれた部分には、シール機構130が設けられている。シール機構130は、摺動リング131と、付勢部材132と、シールリング133と、ホルダ134と、を有している。図3に示すように、上述したラジエータポート41内及び空調ポート66内にも、暖機ポート56内に設けられたシール機構130と同様の構成からなるシール機構130が設けられている。本実施形態では、ラジエータポート41内及び空調ポート66内に設けられたシール機構130は、暖機ポート56内に設けられたシール機構130と同様の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、摺動リング131は、暖機流出口56a内に挿入されている。摺動リング131は、軸線O2と同軸に延びるとともに、ポート軸方向の外側に向かうに従い外径が段々と縮径する多段筒状に形成されている。具体的に、ポート軸方向の内側に位置する大径部141と、大径部141に対してポート軸方向の外側に連なる小径部142と、を有している。
大径部141の外周面は、シール筒部101の内周面に摺動可能に構成されている。すなわち、大径部141は、暖機ポート56に対するポート径方向への移動がシール筒部101により規制されている。大径部141におけるポート軸方向の内側端面は、弁筒部82の外周面に摺動する摺動面141aを構成している。なお、本実施形態において、摺動面141aは、弁筒部82の曲率半径に倣って形成された湾曲面とされている。
小径部142の外周面は、大径部141の外周面に対して段差面143を介して連なっている。段差面143は、ポート軸方向の内側に向かうに従いポート径方向の外側に傾斜した後、ポート径方向の外側にさらに延びている。したがって、小径部142の外周面と、シール筒部101の内周面と、の間には、ポート径方向にシール隙間Qが設けられている。
一方、小径部142の内周面は、大径部141の内周面に滑らかに連なっている。小径部142におけるポート軸方向の外側端面(以下、「座面142a」という。)は、ポート軸方向に直交する平坦面に形成されている。小径部142の座面142aは、ポート軸方向においてシール筒部101の外側端面と同等の位置に配置されている。なお、摺動リング131は、暖機ジョイント62に対してポート径方向及びポート軸方向で離間している。
付勢部材132は、摺動リング131の座面142aと、暖機ジョイント62と、の間に配置されている。付勢部材132は、例えばウェーブスプリングである。付勢部材132は、摺動リング131をポート軸方向の内側に向けて(弁筒部82に向けて)付勢している。
シールリング133は、例えばYパッキンである。シールリング133は、開口部(二股部)をポート軸方向の内側に向けた状態で、摺動リング131(小径部142)を取り囲んでいる。具体的に、シールリング133は、上述したシール隙間Q内に配置された状態で、二股部の各先端部が小径部142の外周面及びシール筒部101の内周面にそれぞれ摺動可能に密接している。なお、シール隙間Q内において、シールリング133に対してポート軸方向の内側領域は、シール筒部101の内周面と摺動リング131との間を通じてケーシング21の液圧が導入される。この場合、段差面143は、摺動リング131上で摺動面141aとポート軸方向で対向し、ケーシング21内の冷却水の液圧を受けてポート軸方向の内側に押圧される受圧面を構成している。
ホルダ134は、シール隙間Q内において、暖機ポート56及び暖機ジョイント62に対してポート軸方向に移動可能に構成されている。ホルダ134は、ホルダ筒部151、ホルダフランジ部152と、を有している。
ホルダ筒部151は、ポート軸方向に延在している。ホルダ筒部151は、シール隙間Q内にポート軸方向の外側から挿入されている。ホルダ筒部151は、シールリング133の底部が当接することで、シールリング133のポート軸方向の外側への移動を規制する。
ホルダ筒部151は、ポート軸方向において小径部142及び付勢部材132に跨った状態で、小径部142及び付勢部材132の周囲を取り囲んでいる。
ホルダフランジ部152は、ホルダ筒部151におけるポート軸方向の外側端部からポート径方向の外側に突設されている。ホルダフランジ部152は、シール筒部101とジョイント筒部110と、の間に配置されている。
ここで、摺動リング131において、段差面143の面積S1と、摺動面141aの面積S2とは、以下の式(1),(2)を満たすように設定されている。
S1<S2≦S1/k …(1)
α≦k<1 …(2)
k:摺動面141aと弁筒部82との間の微少隙間を流れる冷却水の圧力減少定数
α:冷却水の物性によって決まる圧力減少定数の下限値
なお、段差面143の面積S1と摺動面141aの面積S2は、ポート軸方向に投影したときの面積を意味する。
式(2)におけるαは、冷却水の種類や、使用環境(例えば、温度)等によって決まる圧力減少定数の標準値である。例えば、通常使用条件下において、水の場合にはα=1/2となる。使用する冷却水の物性が変化した場合には、α=1/3等に変化する。
また、式(2)における圧力減少定数kは、摺動面141aがポート径方向の外側端縁から内側端縁にかけて均一に弁筒部82に接しているときには、圧力減少定数の標準値であるα(例えば、1/2)となる。但し、摺動リング131の製造誤差や組付け誤差等によって、摺動面141aの外周部分と弁筒部82との間の隙間が摺動面141aの内周部分に対して僅かに増大することがある。この場合、式(2)における圧力減少定数kは、次第にk=1に近づくことになる。
本実施形態では、摺動リング131の摺動面141aと弁筒部82の外周面との間に、摺動を許容するための微小な隙間があることを前提として、段差面143と摺動面141aの各面積S1,S2の関係が式(1),(2)によって決められている。
すなわち、摺動リング131の段差面143には、ケーシング21内の冷却水の圧力がそのまま作用する。一方で、摺動面141aには、ケーシング21内の冷却水の圧力がそのまま作用しない。具体的に、冷却水の圧力は、摺動面141aと弁筒部82の間の微小な隙間を冷却水がポート径方向の外側端縁から内側端縁に向かって流れるときに圧力減少を伴いつつ作用する。このとき、冷却水の圧力は、ポート径方向の内側に向かって漸減しつつ、摺動リング131をポート軸方向の外側に押し上げようとする。
その結果、摺動リング131の段差面143には、段差面143の面積S1にケーシング21内の圧力Pを乗じた力がそのまま作用する。一方、摺動リング131の摺動面141aには、摺動面141aの面積S2にケーシング21内の圧力Pと圧力減少定数kとを乗じた力が作用する。
本実施形態の制御バルブ8は、式(1)からも明らかなようにk×S2≦S1が成り立つように面積S1,S2が設定されている。このため、P×k×S2≦P×S1の関係も成り立つ。
したがって、摺動リング131の段差面143に作用する押し付け方向の力F1(F1=P×S1)は、摺動リング131の摺動面141aに作用する浮き上がり方向の力F2(F2=P×k×S2)以上に大きくなる。よって、本実施形態の制御バルブ8においては、ケーシング21内の冷却水の圧力の関係のみによっても、摺動リング131と弁筒部82との間をシールすることができる。
一方、本実施形態では、上述したように摺動リング131の段差面143の面積S1が摺動面141aの面積S2よりも小さい。そのため、ケーシング21内の冷却水の圧力が大きくなっても、摺動リング131の摺動面141aが過剰な力で弁筒部82に押し付けられるのを抑制できる。したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、ロータ22を回転駆動する駆動ユニット23の大型化及び高出力化を回避することができる上、摺動リング131や各ブッシュ78,84(図4参照)の早期摩耗を抑制できる。
このように、本実施形態では、摺動リング131に作用するポート軸方向の内側への押し付け力が、摺動リング131に作用するポート軸方向の外側への浮き上がり力を下回らない範囲で、摺動面141aの面積S2が段差面143の面積S1よりも大きく設定されている。そのため、弁筒部82に対する摺動リング131の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、摺動リング131と弁筒部82との間をシールできる。
図6は、図5のVI-VI線に沿う断面の拡大図である。図7は、実施形態に係る制御バルブ8が備えるロータ22(弁筒部82)の外周面を示す一部拡大図である。
図6および図7に示すように、ロータ22が備える弁筒部82の外周面(外表面)には、摺動リング131の摺動面141aとの間で冷却水を保持する液体保持部160が設けられている。
液体保持部160は、冷却水を収容する凹部161と、冷却水が介在する液体介在部162と、を有する。液体保持部160は、弁筒部82の外周面のうち、ロータ22が回転する際に、ラジエータ流出口41b、暖機流出口56a及び空調流出口66aを通過する面(ケース径方向から見て重なり合う部分)に少なくとも設けられていればよい。
凹部161は、弁筒部82の外周面に対してケース径方向の内側に向かって凹んでいる。本実施形態において、凹部161は、弁筒部82の外周面上で螺旋状に延びる溝170により構成されている。溝170は、弁筒部82の外周面に対して旋盤加工等を行うことによって形成される。溝170は、ケース周方向の一方側に向かうに従い、ケース軸方向の第1側に延びている。
凹部161は、弁筒部82をケース軸方向に沿って切断した際に、溝170の開口部のうち同一断面上に現れる部分である。すなわち、凹部161は、ケース軸方向に沿う断面視において、ケース軸方向に複数並んでいる。各凹部161は、ケース軸方向に沿う断面視で例えば三角形状に形成されている。凹部161におけるケース軸方向の寸法は、摺動面141aよりも十分に小さい。凹部161において、ケース軸方向の寸法と、ケース径方向の寸法と、の比率は適宜変更が可能である。
液体介在部162は、弁筒部82において、ケース軸方向で隣り合う凹部161間に位置する部分である。本実施形態において、液体介在部162は、弁筒部82の外周面を構成する。図示の例において、液体介在部162は、隣り合う凹部161同士がケース軸方向に隙間なく並ぶことで、ケース周方向に沿って延びる稜線状に形成されている。但し、液体介在部162は、隣り合う凹部161同士が隙間をあけて並ぶことで帯状に形成されていてもよい。
弁筒部82の外周面のうち、液体保持部160の表面粗さをロータ表面粗さRzとし、摺動面141aの表面粗さをリング表面粗さRzとすると、ロータ表面粗さRzは、リング表面粗さRzよりも大きい(Rz>Rz)。ロータ表面粗さRzは、リング表面粗さRzよりも大きいため、ロータ22のロータ表面粗さRzでシール性をコントロールすることができる。
ロータ22(特に弁筒部82の外周面)は、摺動リング131(特に摺動面141a)よりも硬い方が好ましい。一般的に、ロータ22が摩耗するとシール性がダウンするが、当該構成を有することにより、ロータ22の摩耗を抑制してシール性を維持することができ、ロータ22の粗さを維持してトルクを一定に保つことができる。
摺動リング131は、少なくともCF(フッ化炭素)を含まないものが好ましい。摺動リング131にCFが含まれていると、ロータ22の摩耗が促進してしまうためである。
ロータ表面粗さRzやリング表面粗さRzは、JIS B 0601に規格化されている十点平均粗さRzである。
ロータ表面粗さRzは、ロータ22の外周面のケース軸方向の表面粗さをいい、例えば、表面粗さ・輪郭測定器(型式:SV-C3200H8、株式会社ミツトヨ製)で測定することができる。ロータ表面粗さRzは、十点平均粗さRz(X)で11μmより大きく45μm以下(11μm<X≦45μm)の範囲に設定されている。
リング表面粗さRzは、摺動リング131の摺動面141aの表面粗さをいい、例えば、表面粗さ・輪郭測定器(型式:SV-C3200H8、株式会社ミツトヨ製)で測定することができる。リング表面粗さRzは、ロータ表面粗さRzの値に関わらず、十点平均粗さRzで6.3μm以下に設定されることが好ましい。リング表面粗さRzは、1μmより大きく5μm以下(1μm<X≦5μm)の範囲に設定されることがより好ましい。
[制御バルブ8の動作方法]
次に、上述した制御バルブ8の動作方法を説明する。
<通常動作>
図1に示すように、メイン流路10において、ウォータポンプ3により送出される冷却水は、エンジン2で熱交換された後、制御バルブ8に向けて流通する。図4に示すように、メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却水は、流入口37aを通してケーシング21内の接続流路92内に流入する。
接続流路92内に流入した冷却水のうち、一部の冷却水はEGR流出口51内に流入する。EGR流出口51内に流入した冷却水は、EGRジョイント52を通ってEGR流路14内に供給される。EGR流路14内に供給された冷却水は、EGRクーラ7において、冷却水とEGRガスとの熱交換が行われた後、メイン流路10に戻される。
一方、接続流路92内に流入した冷却水のうち、EGR流出口51内に流入しなかった冷却水は、ケース軸方向の第2側から流通路91内に流入する。流通路91内に流入した冷却水は、流通路91内をケース軸方向に流通する過程で各流出口に分配される。すなわち、流通路91内に流入する冷却水は、各流出口のうち連通口に連通している流出口を通して各流路11~13に分配される。
制御バルブ8において、流出口と連通口との連通パターンを切り替えるには、ロータ22を軸線O1回りに回転させる。そして、設定したい連通パターンに対応する位置でロータ22の回転を停止させることで、ロータ22の停止位置に応じた連通パターンで流出口と連通口とが連通する。
<ゼロフロー状態>
続いて、ゼロフロー状態での冷却システム1の動作を説明する。本実施形態の冷却システム1では、エンジンの始動開始から暖機が完了するまでの間、冷却システム1をゼロフロー状態に維持する。ゼロフロー状態とは、少なくともラジエータ流出口41bとラジエータ連通口95との連通を遮断して(ラジエータ流出口41bの開度を0%にして)、ラジエータ流路11内で冷却水が滞留している状態である。本実施形態では、ゼロフロー状態において、ウォータポンプ3を駆動させた状態で、接続流路92内とEGR流出口51内のみが連通している。
ゼロフロー状態において、接続流路92内に流入した冷却水はEGR流出口51内に流入する。EGR流出口51内に流入した冷却水は、EGRジョイント52を通ってEGR流路14内に供給される。
一方、ゼロフロー状態において、EGR流出口51以外の流出口(ラジエータ流出口41bや暖機流出口56a、空調流出口66a)の開度は0%になっている。したがって、ラジエータ流路11、暖機流路12、空調流路13内では、冷却水が滞留した状態となる。そのため、エンジンから放出された熱と、ラジエータ流出口41b内の冷却水と、の熱交換効率を抑え、早期暖機を実現することができる。
ウォータポンプ3から送り出される冷却水温度(流入ポート37内へ流入する冷却水温度)が所定の温度に達すると、エンジンの暖機が完了したことを判断できる。これにより、冷却システム1は、ゼロフロー状態を解除させ、エンジンの状態や車両の走行状態に応じて上述したように冷却水を各流路11~13に分配する。
ところで、早期暖機を実現させるためには、ロータ22(弁筒部82)と摺動リング131(摺動面141a)との間のシール性を向上させる必要がある。
そこで、本実施形態では、弁筒部82の外周面に、摺動面141aとの間で冷却水を保持する液体保持部160が設けられている構成とした。
この構成によれば、弁筒部82の外周面と摺動面141aとの微小隙間に進入した冷却水が凹部161内で収容される。これにより、弁筒部82の外周面と摺動面141aとの間には、液体保持部160と摺動面141aとの間に作用する表面張力等の影響によって液体膜163が形成され易い。その結果、液体膜163によってロータ22と摺動リング131との間をシールすることができる。これにより、ロータ22と摺動リング131との間を通じて摺動リング131の内側に冷却水が漏れにくい。そのため、上記実施形態によれば、冷却システム1のゼロフロー状態を維持し易くなり、車両の早期暖機を実現することができる。
また、ロータ22と摺動リング131との間に形成される液体膜163によって、ロータ22(弁筒部82)と摺動リング131とが直接接触する面積を低減することができる。これにより、液体保持部160の凹部161によって、ロータ22と摺動リング131との密着性を軽減することができる。そのため、ロータ22の回転時の摺動抵抗を軽減して、回転トルクの低減を図ることができる。よって、アクチュエータの大型化や消費電力の増加を抑制できる。
したがって、上記実施形態によれば、ロータ22と摺動リング131との間のシール性の向上と、ロータ22と摺動リング131との間の摺動性の確保とを両立させた制御バルブ8を提供することができる。
しかも、本実施形態では、弁筒部82の外周面に凹部161を加工することでシール性及び摺動性を確保できるため、例えばロータの外周面に摺動被膜を形成するような従来の構成に比べ、耐久性を向上させることができる。よって、シール性及び摺動性を長期に亘って確保できる。
上記実施形態において、凹部161がロータ22の回転方向(ケース周方向)に沿って延びているため、ロータ22が回転する際に、ロータ22の外周面のうち隣り合う凹部161の間に位置する頂部(液体介在部162)が、ケース周方向に沿って移動していく。すなわち、摺動面141aの任意の位置において、ロータ22の回転に伴い、凹部161と、液体介在部162とが交互に通過するのを抑制できる。そのため、摺動面141aの異常摩耗を抑制できる。
上記実施形態において、凹部161は、弁筒部82の外周面において、ケース周方向の一方側に延びるに従い、ケース軸方向の第1側に延びる螺旋状に延びる溝170により構成されている。
この構成によれば、射出成型後の弁筒部82に対して旋盤加工等を行うことで、弁筒部82の外周面に簡単に凹部161を形成することができる。特に、本実施形態では、弁筒部82の外周面を従来に比べて粗いまま加工を終了することができるので、シール性を高めるために弁筒部82の外周面の表面粗さを小さくする場合に比べ、切削時間を短縮できる。その結果、製造効率の向上や製造コストを低減させることができる。
上記実施形態において、ロータ22のロータ表面粗さRzを、リング表面粗さRzよりも大きくさせることで、液体保持部160において、冷却水をより確実に保持することができる。
上記実施形態において、ロータ表面粗さRzは、十点平均粗さRzで11<X≦45の範囲であるため、シール性能とトルク低減の両立を図ることができる。
具体的に、ロータ表面粗さRzが上記下限値よりも大きいため、ロータ22と摺動リング131との間に作用する摺動抵抗を軽減し、回転トルクを低減することができる。また、ロータ表面粗さRzが上記上限値以下であるため、特に、ゼロフロー状態(暖機完了までの間)において、ロータ22と摺動リング131との間のシール性を確保することができる。
上記実施形態において、リング表面粗さRzは、十点平均粗さRzで6.3μm以下に設定される構成とした。
この構成によれば、ロータ22と摺動リング131との間のシール性の向上と、ロータ22と摺動リング131との間の摩耗の抑制とを両立させることができる。特に、リング表面粗さRzがロータ表面粗さRzに比べて十分に小さい値とすることで、ロータ22の外周面の摩耗を抑制できる。その結果、ロータ表面粗さRzを長期に亘って所望の範囲に維持することができ、シール性を確保し易い。
図8は、標準圧力におけるロータ表面粗さRzを変化させた際の「漏れ量」及び「回転トルク」の推移を示すグラフである。本願発明者は、ロータ表面粗さRzの違いによる、ロータ22(弁筒部82)と摺動リング131(摺動面141a)との間のシール性、摺動性について検証する試験を行った。
グラフの横軸の「ロータ表面粗さRz」は、JIS B 0601に規格化されている十点平均粗さRzであり、表面粗さ・輪郭測定器(型式:SV-C3200H8、株式会社ミツトヨ製)で測定した値である。本試験において、リング表面粗さRzは、ロータ22の摩耗に影響のない範囲として、例えば6.3μm以下とした。
グラフの左縦軸に示す「漏れ量」は、冷却水の温度を-30℃(低温)、25℃(常温)、80℃(一般的な暖機完了温度)に設定した際の測定値である。メモリハイコーダ(型式:860-50、日置電機株式会社製)および16chスキャナユニット(形名:8958、日置電機株式会社製)を使用して測定している。
グラフの右縦軸に示す「回転トルク」は、標準圧力のときのロータ22の回転トルクである。回転トルクメータ(型式:UTMII-2Nm、ユニパルス株式会社製)を使用して測定している。
上記「標準圧力」とは、燃費測定用の走行パターンで行った、走行試験での最高圧力であって、ウォータポンプ3から送り出される冷却水の吐出圧(流入ポート37内へ流入する冷却水の圧力)を示している。
ロータ表面粗さRz及び漏れ量の関係は、ロータ表面粗さRzが大きくなるほど、漏れ量が増加傾向にある。つまり、ロータ22の表面が粗くなるほど、漏れ量がより増える。これは、弁筒部82の外周面と摺動面141aとの間に隙間が生じやすくなるためであると考えられる。図8に示す通り、冷却水が80℃のとき、冷却水の粘度が低下することで流動しやすくなり、ロータ表面粗さRzが45μmよりも大きくなると、漏れ量が所定の規定値C以上に増えてしまい、ゼロフロー状態を効果的に保つことが難しくなった。
ロータ表面粗さRz及び回転トルクの関係は、ロータ表面粗さRzの値が小さくなるほど、回転トルクが増加傾向にある。これは、ロータ22の表面が滑らかになるほど、ロータ22と摺動リング131との間が密着して摩擦力が大きくなるため、ロータ22が回転する際のトルクが増加することが考えられる。トルクは、ロータ表面粗さRzが11μm以下になると、所望のトルクに抑えることができず、消費電力等が増加してしまう結果となった。
ロータ表面粗さRzの違いによるシール性及び摺動性の傾向は、冷却水の測定温度によって絶対値は異なるものの、測定温度に関わらず同様の傾向が得られた。すなわち、冷却水の温度が低下すると、冷却水の粘度が高くなる。そのため、図8に示すグラフにおいて、冷却水のそれぞれの温度(-30℃、25℃、及び80℃)を比較すると、冷却水の温度が低くなるに従い、漏れ量が減少する傾向にある。
ロータ表面粗さRzの違いによるシール性及び摺動性の傾向は、冷却水の圧力(ウォータポンプ3の吐出圧)によって絶対値は異なるものの、測定圧力に関わらず同様の傾向が得られた。すなわち、冷却水の圧力が大きくなると、弁筒部82の外周面と摺動面141aとの間に作用する作用する圧力が大きくなることから、漏れ量は大きくなる傾向にある。また、冷却水の圧力が大きくなると、摺動リング131の段差面143に作用する押し付け方向の力F1が大きくなることから、弁筒部82の外周面と摺動リング131の摺動面141aとの間に作用する摩擦力が大きくなり、摺動抵抗が大きくなる。
上記結果により、本実施形態において、ロータ表面粗さRz(X)は、十点平均粗さRzで11μm<X≦45μmの範囲であることが好ましい。ロータ表面粗さRzのが、上記範囲であると、ロータ22と摺動リング131との間のシール性の向上と、ロータ22と摺動リング131との間の摩耗の抑制とを両立させることができる。
ロータ22と摺動リング131との間のシール性の向上と、ロータ22と摺動リング131との間の摩耗の抑制とを、冷却水の様々な温度域、圧力域で効果的に発揮させるためには、ロータ表面粗さRz(X)は、25μmより大きく44μm以下(25μm<X≦44μm)の範囲であることがより好ましく、25μmより大きく38μm以下(25μm<X≦38μm)の範囲であることがさらに好ましい。特に、ロータ表面粗さRzを38μm以下に設定することで、シール性をより一層確保し、所望のタイミングで所望の流路のみに冷却水を供給することができ、燃費低減を図ることができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
上述した実施形態では、液体として冷却水を用いたが、これに限られない。例えば液体として、水や、溶液等を用いてもよい。
本実施形態において、凹部161は、弁筒部82の外周面上で螺旋状に延びる溝170により構成されている場合について説明したが、これに限られない。凹部161は、弁筒部82の外周面上でケース周方向に直線状に延びる溝により構成されてもよい。凹部161は、弁筒部82の外周面上で波状に延びる溝により構成されてもよい。凹部161は、弁筒部82の外周面に設けられた連続しない凹みでもよい。すなわち、凹部161は、ケース軸方向やケース周方向に間隔をあけて島状に配列されていてもよい。
上述した実施形態では、弁筒部82の外周面に対して旋盤加工等の切削により、凹部161を形成した場合について説明したが、この構成に限られない。凹部161は、サンドブラストやエッチング等、切削加工以外の方法により形成してもよい。
上述した実施形態では、凹部161は、ケース軸方向に沿う断面視で例えば三角形状に形成されている構成について説明したが、これに限られない。凹部161は、ケース軸方向に沿う断面視で、半円状や矩形状等に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、制御バルブ8に流入した冷却水を、ラジエータ流路11、暖機流路12、空調流路13及びEGR流路14に分配する構成について説明したが、この構成のみに限られない。制御バルブ8は、制御バルブ8内に流入する冷却水を少なくとも2つの流路に分配する構成であれば構わない。
また、各連通口や流出口のレイアウトや種類、形状等についても適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、ロータ22の弁筒部82がケース軸方向の両側に開口している構成について説明したが、この構成のみに限られない。ロータ22は、弁筒部82内に冷却水が進入可能であれば適宜設計変更が可能である。例えばロータ22が、弁筒部82におけるケース軸方向の両端開口部を閉塞する閉塞部を有する構成でもよい。この場合には、閉塞部にロータ22の内外をケース軸方向に連通させる連通口等を形成してもよい。この場合においても、閉塞部のうち摺動面141aと向かい合う面(ロータ22の外表面)に液体保持部160を設けてもよい。
上述した実施形態では、ロータ22(弁筒部82)及びケーシング21(周壁部31)をそれぞれ円筒状(ケース軸方向の全体に亘って一様な径)に形成した場合について説明したが、この構成に限られない。すなわち、弁筒部82が周壁部31内を回転可能な構成であれば、弁筒部82の外径及び周壁部31の内径をケース軸方向で変化させてもよい。この場合、弁筒部82及び周壁部31は、例えば球状(ケース軸方向の中央部から両端部に向かうに従い径が縮小する形状)や、球状がケース軸方向に複数連なった形状、テーパ状(ケース軸方向の第1側から第2側にかけて漸次径が変化する形状)、階段状(ケース軸方向の第1側から第2側にかけて段々と径が変化する形状)等、種々の形状を採用することが可能である。
8…制御バルブ
21…ケーシング
22…ロータ
85…回転軸
131…摺動リング
141a…摺動面
160…液体保持部
161…凹部
162…液体介在部

Claims (5)

  1. 液体の流出口が形成されるとともに、液体が収容されるケーシングと、
    前記ケーシング内に回転可能に収容され、前記流出口に連通可能な連通口が形成されたロータと、
    前記流出口内に配置された状態で前記ロータの外表面に摺動する摺動面を有し、前記ロータの回転位置に応じて前記流出口と前記連通口とを連通させる摺動リングと、
    を備え、
    前記ロータの外表面には、前記摺動面との間で液体を保持する液体保持部が設けられており、
    前記液体保持部は、液体を収容する凹部を有する制御バルブ。
  2. 前記凹部は、前記ロータの回転軸線回りの周方向に延びている請求項1に記載の制御バルブ。
  3. 前記ロータは、前記回転軸線と同軸に延びる筒状に形成され、
    前記ロータの外周面には、前記周方向の一方側に延びるに従い、前記回転軸線に沿う軸方向に螺旋状に延びる溝が形成され、
    前記溝は、前記軸方向に沿う断面視において、前記凹部が前記軸方向に複数並んで構成されている請求項2に記載の制御バルブ。
  4. 前記外表面の表面粗さをロータ表面粗さとし、前記摺動面の表面粗さをリング表面粗さとすると、
    前記ロータ表面粗さは、前記リング表面粗さよりも大きい請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御バルブ。
  5. 前記ロータ表面粗さは、十点平均粗さRzで11μm<X≦45μmの範囲である請求項4に記載の制御バルブ。
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