JP2022145091A - 微粒子、組成物及び物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属イオンを担持した微粒子であって、有機溶剤に対する分散性に優れる微粒子を提供する。【解決手段】表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、微粒子担体の表面及び内部に存在する非イオン性官能基によって配位されている金属イオンとを含む微粒子。【選択図】なし
Description
本開示は、微粒子、組成物及び物品に関する。
シリコーン粒子等の粒子は、合成樹脂、ワックス、塗料、インキ、接着剤、化粧料、フィルム及びシートなどに対する添加剤として広く使用されている。また、粒子に金属イオンを担持させることにより、粒子に様々な機能を付与することが検討されている。例えば、銀イオンに代表される金属イオンが抗菌性を有することは古くから知られており、銀イオンの抗菌性を利用した抗菌剤及び抗菌加工製品が広く普及している。
従来、上記機能を付与するための金属イオンを粒子に担持させる方法として、無機粒子担体中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を、イオン交換反応により金属イオンで置換する方法が知られている。通常、無機粒子担体として、ゼオライト及びシリカゲル等のケイ酸塩、又はリン酸カルシウム及びハイドロキシアパタイト等のリン酸塩が用いられている。無機粒子担体に担持された金属イオンは、無機粒子担体の内部から徐々に放出され、金属イオンに基づく機能が持続的に発現する。
例えば、特許文献1には、ゼオライト粒子中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を、銀イオン及び少なくとも1種のアミンのイオンで置換したゼオライト粒子が開示されている。
本開示者らの検討によれば、特許文献1のゼオライト粒子は、有機溶剤に対する分散性が低いことがわかった。また、例えば、1次粒子の粒子径が小さい微粒子は、経時的に凝集して2次粒子を形成する傾向にある。凝集力の高い微粒子を有機溶剤に配合すると、微粒子は1次粒子の状態では有機溶剤中で分散せずに、2次粒子又はさらにその集合体を形成する。したがって、有機溶剤中に微粒子が良好に分散された混合物を調製することが困難となり、添加剤としての微粒子がその機能を良好に発揮できないことがある。
本開示の一つの課題は、金属イオンを担持した微粒子であって、有機溶剤に対する分散性に優れる微粒子を提供することにある。
本開示者らは、上記課題を解決すべく、金属イオンをイオン交換反応ではなく錯体形成により微粒子担体に担持させることに着目した。その結果、本開示者らは、表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、微粒子担体の表面及び内部に存在する非イオン性官能基によって配位されている金属イオンとを含む微粒子が、有機溶剤に対する分散性に優れることを見出した。
本開示の微粒子は、表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、微粒子担体の表面及び内部に存在する非イオン性官能基によって配位されている金属イオンとを含む。
本開示によれば、金属イオンを担持した微粒子であって、有機溶剤に対する分散性に優れる微粒子を提供することができる。
[微粒子]
本開示の微粒子は、
表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基(以下「官能基(L)」ともいう)を有する微粒子担体と、
上記微粒子担体の表面及び内部に存在する官能基(L)によって配位されている金属イオンと
を含む。
以下、単に「微粒子」と記載するときは、本開示の微粒子を指す。
本開示の微粒子は、
表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基(以下「官能基(L)」ともいう)を有する微粒子担体と、
上記微粒子担体の表面及び内部に存在する官能基(L)によって配位されている金属イオンと
を含む。
以下、単に「微粒子」と記載するときは、本開示の微粒子を指す。
官能基(L)は、金属イオンに対する配位子として機能する。官能基(L)が金属イオンに配位して錯体を形成することで、金属イオンは微粒子担体によって良好に担持される。官能基(L)は微粒子担体の表面だけでなく内部にも含まれることから、金属イオンは微粒子担体の表面だけでなく内部においても良好に担持されている。
微粒子は、微粒子担体の表面に露出した官能基として非イオン性官能基を有することから、有機溶剤及び樹脂に対する良好な分散性を示す。微粒子は、金属イオンが微粒子担体の表面だけでなく内部にも担持されていることから、金属イオンに基づく機能を持続的に発現すると考えられる。
上記有機溶剤としては、例えば、後述する有機溶剤が挙げられる。上記樹脂(マトリックス樹脂)としては、例えば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及び環状ポリオレフィン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル系光硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリアリールフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、アセタール樹脂、セルロース樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂並びにシリコーン樹脂が挙げられる。本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルを総称する意味で用い、(メタ)アクリロイルは、アクリロイル及びメタクリロイルを総称する意味で用いる。
微粒子の粒子径は、微粒子の用途に応じて適宜選択される。
一実施形態において、微粒子の平均1次粒子径は、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは10nm以上400nm以下、さらに好ましくは10nm以上300nm以下である。微粒子を樹脂中に分散させる場合のように、高い透明性が求められる場合には、微粒子の平均1次粒子径は、好ましくは10nm以上100nm以下である。微粒子は、粒子径が小さいにもかかわらず、有機溶剤中における凝集が抑制されている。したがって、例えば微粒子及び有機溶剤を含む組成物を用いて、透明性に優れた塗膜を形成することができる。
一実施形態において、微粒子の平均1次粒子径は、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは10nm以上400nm以下、さらに好ましくは10nm以上300nm以下である。微粒子を樹脂中に分散させる場合のように、高い透明性が求められる場合には、微粒子の平均1次粒子径は、好ましくは10nm以上100nm以下である。微粒子は、粒子径が小さいにもかかわらず、有機溶剤中における凝集が抑制されている。したがって、例えば微粒子及び有機溶剤を含む組成物を用いて、透明性に優れた塗膜を形成することができる。
微粒子の平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定する。具体的には、SEM画像中の微粒子100個を無作為に選択し、1次粒子の長径の平均値を求め、長径の数平均値を、微粒子の平均1次粒子径とする。
<微粒子担体>
微粒子担体は、その表面及び内部に、官能基(L)を1種又は2種以上有する。微粒子担体は、担体の表面だけでなく、担体の内部にも、官能基(L)を有する。したがって、本開示の微粒子は、その表面だけでなく内部にも、官能基(L)によって配位されている金属イオンを含む。
微粒子担体は、その表面及び内部に、官能基(L)を1種又は2種以上有する。微粒子担体は、担体の表面だけでなく、担体の内部にも、官能基(L)を有する。したがって、本開示の微粒子は、その表面だけでなく内部にも、官能基(L)によって配位されている金属イオンを含む。
官能基(L)としては、金属イオンに配位して錯体を形成できる非イオン性官能基であれば特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和結合(C=C);フェニル基(-C6H6)等のアリール基;ヒドロキシ基(-OH)、カルボニル基(>C(=O))、メルカプト基(-SH)、アミノ基(-NH2)、イソチオシアネート基(-N=C=S)及びニトロ基(-NO2)が挙げられる。これらの中でも、微粒子担体に適度な疎水性を付与し、有機溶剤及び樹脂中における微粒子の分散性をより向上できるという観点から、エチレン性不飽和結合が好ましい。
微粒子担体が、非イオン性官能基ではなく、カルボキシ基、スルホ基及び硫酸基などのアニオン性官能基を有する場合、金属イオンとアニオン性官能基とのイオン間相互作用によって微粒子担体同士が凝集する傾向にある。このため、このような微粒子担体は、有機溶剤等の分散媒に対する良好な分散性を示さない傾向にある。これに対して、微粒子担体が、非イオン性官能基(L)を有する場合、微粒子担体同士の凝集が抑制される。したがって、このような微粒子担体は、有機溶剤等の分散媒に対して良好な分散性を示す。
一実施形態において、微粒子担体は、官能基(L)を含む基、例えばエチレン性不飽和結合を含む基(以下「エチレン性不飽和基」ともいう)、を有する。エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基(-CH=CH2)及びアリル基(-CH2-CH=CH2)などのアルケニル基;アクリロイル基(-C(=O)-CH=CH2)、メタクリロイル基(-C(=O)-C(CH3)=CH2)、アクリロイルオキシアルキル基(-R-O-C(=O)-CH=CH2))及びメタクリロイルオキシアルキル基(-R-O-C(=O)-C(CH3)=CH2)が挙げられる。式中、Rはアルカンジイル基である。これらの中でも、微粒子担体の製造容易性という観点から、アルケニル基が好ましく、ビニル基及びアリル基がより好ましい。
微粒子担体の材質は、特に限定されないが、有機及び無機ハイブリッドポリマーであることが好ましい。有機及び無機ハイブリッドポリマーの無機成分が、微粒子担体の主骨格を構成する。有機及び無機ハイブリッドポリマーの有機成分が、有機溶剤及び樹脂に対する微粒子担体の分散性を高める。有機成分の少なくとも一部分が、官能基(L)を含む基である。
有機及び無機ハイブリッドポリマーは、一実施形態において、有機基を有するケイ素原子(Si)がシロキサン結合(≡Si-O-Si≡)により連結されたオルガノポリシロキサンである。すなわち、微粒子担体は、一実施形態において、官能基(L)を含む基を有するオルガノポリシロキサン微粒子である。
オルガノポリシロキサンとしては、例えば、平均単位式(1):
(R1 3SiO1/2)a(R1 2SiO2/2)b(R1SiO3/2)c(SiO4/2)d
を有するポリマーが挙げられる。
(R1 3SiO1/2)a(R1 2SiO2/2)b(R1SiO3/2)c(SiO4/2)d
を有するポリマーが挙げられる。
平均単位式(1)中、R1は、それぞれ独立に一価の有機基であり、好ましくは一価のエチレン性不飽和基、一価の炭化水素基(ただし、エチレン性不飽和基を除く)、又は一価の置換炭化水素基(ただし、エチレン性不飽和基を除く)である。R1の炭素数は、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上6以下である。一価の置換炭化水素基は、炭化水素基を基本骨格とし、例えば、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、イソチオシアネート基、ニトロ基及びカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む。R1は、好ましくは一価のエチレン性不飽和基又は一価の炭化水素基であり、より好ましくは一価のエチレン性不飽和基である。
一価のエチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基の炭素数は、好ましくは2以上8以下、より好ましくは2以上6以下、さらに好ましくは2以上3以下である。一価のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、すなわち式:-R12-OC(=O)-CR11=CH2で表される基も挙げられ、具体的には、アクリロイルオキシプロピル基、メタクリロイルオキシプロピル基が挙げられる。該式中、R11は水素原子又はメチル基であり、R12はアルカンジイル基であり、好ましくは炭素数1以上5以下のアルカンジイル基である。
一価のエチレン性不飽和基の中でも、アルケニル基が好ましく、ビニル基及びアリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基及びキシリル基等のアリール基;並びにベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。一価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下である。
一価の置換炭化水素基としては、例えば、3-メルカプトプロピル基(-(CH2)3-SH)、及び3-アミノプロピル基(-(CH2)3-NH2)が挙げられる。
R1は、微粒子化の観点から、好ましくは、それぞれ独立にアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上3以下のアルキル基、ビニル基又はアリル基であり、さらに好ましくは、メチル基又はビニル基である。
ただし、平均単位式(1)を有するオルガノポリシロキサン1分子中において、少なくとも一部のR1は、一価のエチレン性不飽和基、アリール基又はアラルキル基等の官能基(L)を含む基であり、好ましくは一価のエチレン性不飽和基であり、より好ましくはアルケニル基である。一価のエチレン性不飽和基、アリール基又はアラルキル基の合計割合は、オルガノポリシロキサン1分子中の全R1を基準として、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。一価のエチレン性不飽和基、アリール基又はアラルキル基は、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を含む疎水性基である。
平均単位式(1)におけるa、b、c及びdは、それぞれ各構成単位(R1
3SiO1/2)、(R1
2SiO2/2)、(R1SiO3/2)及び(SiO4/2)のモル分率の平均値を表す。各構成単位のモル分率の和である、a、b、c及びdの合計は、1である。
aは、R1
3SiO1/2(M単位)で表されるシロキサン単位のモル分率である。aは、0以上0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下である。
bは、R1
2SiO2/2(D単位)で表されるシロキサン単位のモル分率である。bは、0以上0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下である。
cは、R1SiO3/2(T単位)で表されるシロキサン単位のモル分率である。cは、0.3以上1以下であり、好ましくは0.4以上、0.5以上又は0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上である。
dは、SiO4/2(Q単位)で表されるシロキサン単位のモル分率である。dは、0以上0.7以下であり、好ましくは0.6以下、0.5以下又は0.4以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下である。
分岐した構成単位の総和を示すc及びdの合計は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上である。
オルガノポリシロキサンは、平均単位式(1)における構成単位(R1
3SiO1/2)を有する場合、該構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。平均単位式(1)における構成単位(R1
2SiO2/2)及び(R1SiO3/2)についても同様である。
オルガノポリシロキサンは、上記各構成単位における上記R1の少なくとも一部がR2Oに置き換えられた構成単位を有してもよい。該式中、R2は、水素原子又はアルキル基である。R2Oは、オルガノポリシロキサン骨格中に含まれるケイ素原子に結合したヒドロキシ基又はアルコキシ基を意味する。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上3以下である。
上記各構成単位における上記R1の少なくとも一部がR2Oに置き換えられた構成単位の量は、上記構成単位のモル分率の和である、a、b、c及びdの合計1に対して、好ましくは0以上0.10以下であり、より好ましくは0以上0.05以下、さらに好ましくは0以上0.03以下である。本構成単位におけるアルコキシ基は、例えば、後述するアルコキシシランに含まれる加水分解性基であるアルコキシ基であって、加水分解・重縮合せずに分子内に残存したものである。本構成単位におけるヒドロキシ基は、例えば、アルコキシ基が加水分解後、重縮合せずに分子内に残存したヒドロキシ基である。
オルガノポリシロキサンは、好ましくはシルセスキオキサンである。本明細書においてシルセスキオキサンとは、主鎖骨格がSi-O結合からなり、主構成単位として(R1SiO3/2)単位を含み、上記cが0.7以上であるオルガノポリシロキサンである。シルセスキオキサンの構造としては、例えば、ランダム構造、完全カゴ型構造、不完全カゴ型構造及びハシゴ型構造が挙げられるが、これらの中でも、製造容易性という観点から、ランダム構造を有するシルセスキオキサンが好ましい。
微粒子担体は、後述する金属イオンの通路となる細孔構造を有することが好ましい。細孔の大きさは、特に限定されないが、例えば0.1nm以上1nm以下である。微粒子担体は、典型的には従来のゼオライト粒子と同程度のミクロポアを有することが好ましい。細孔の大きさ及び細孔分布は、ガス吸着法によって求められる。細孔構造は、後述する微粒子の製造方法により形成できる。
微粒子担体の形状は、厳密な球形でなくてもよい。微粒子担体を平面に投影して形成された仮想形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形及び四角形などの幾何学的な形状;並びに不規則な形状が挙げられる。
微粒子担体及び本開示の微粒子は、一実施形態において、水及び有機溶剤に不溶である。「水及び有機溶剤に不溶」とは、微粒子担体及び微粒子を水又は有機溶剤に浸漬した場合において、該微粒子担体及び該微粒子が粒子形状を維持することを意味する。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール及びn-ブタノールなどのアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコール溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル溶剤;n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの炭化水素溶剤;塩化メチレン及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル溶剤;アセトニトリル及びN,N-ジメチルホルムアミドなどの含窒素溶剤;並びにジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶剤が挙げられる。
<金属イオン>
本開示の微粒子は、上記微粒子担体の表面及び内部に存在する官能基(L)によって配位されて錯体を形成している金属イオンを含む。
本開示の微粒子は、上記微粒子担体の表面及び内部に存在する官能基(L)によって配位されて錯体を形成している金属イオンを含む。
金属イオンとしては、例えば、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+、Cu2+)、金イオン(Au+)、水銀イオン(Hg2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、アルミニウムイオン(Al3+)、ニッケルイオン(Ni2+)、鉄イオン(Fe2+)、カドミウムイオン(Cd2+)、コバルトイオン(Co2+)及び鉛イオン(Pb2+)が挙げられる。
本開示において金属イオンにおける官能基(L)の配位数及び安定度は、微粒子の分散性に影響する。微粒子の分散性をより向上させるという観点から、金属イオンにおける官能基(L)の配位数は、1又は2が好ましい。このような条件を満たす金属イオンとして、又は微粒子の分散性という観点から、1価の陽イオン、又は、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+)、金イオン(Au+)及び水銀イオン(Hg2+)が好ましい。金属イオンにおける官能基(L)の配位数が3を超えると、配位結合により複数の微粒子が架橋されて、微粒子の凝集が起こることがある。
銀イオン(Ag+)及び銅イオン(Cu+)は、σ結合及びπ結合の相乗効果によりエチレン性不飽和結合との間で安定な錯体を形成することから、好ましい。また、銀イオンは、光又は熱による変色が問題となることがあるが、エチレン性不飽和結合との間で錯体を形成することにより、このような変色を抑制できる。
本開示の微粒子における金属イオンの担持量は、好ましくは5質量%以上70質量%以下、より好ましくは10質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下である。上記担持量は、理論値であり、次の計算式によって算出される百分率である。
ここで、「微粒子担体の質量 g」及び「金属イオンの質量 g」は、各原料から収率100%として計算される理論値であり、実測値ではない。
図1に本開示の微粒子の一実施形態を示す。微粒子10は、表面及び内部に、官能基(L)としてのビニル基12を有する微粒子担体11と、微粒子担体11の表面及び内部に存在するビニル基12によって配位されている金属イオンとしての銀イオン(Ag+)13とを含む。微粒子担体11は、オルガノポリシロキサン14から構成される担体である。
[微粒子の製造方法]
本開示の微粒子の製造方法は、一実施形態において、官能基(L)を有するアルコキシシランを含むアルコキシシラン及び水を混合して、該アルコキシシランの加水分解物(以下「シラン加水分解物」ともいう)を得る工程(1)と、得られたシラン加水分解物と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、官能基(L)によって配位された金属イオンを含む錯体モノマーを形成する工程(2)と、得られた錯体モノマーを含むシラン加水分解物と塩基とを混合して該シラン加水分解物を重縮合させる工程(3)とを含む。
本開示の微粒子の製造方法は、一実施形態において、官能基(L)を有するアルコキシシランを含むアルコキシシラン及び水を混合して、該アルコキシシランの加水分解物(以下「シラン加水分解物」ともいう)を得る工程(1)と、得られたシラン加水分解物と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、官能基(L)によって配位された金属イオンを含む錯体モノマーを形成する工程(2)と、得られた錯体モノマーを含むシラン加水分解物と塩基とを混合して該シラン加水分解物を重縮合させる工程(3)とを含む。
本開示の微粒子の製造方法は、他の実施形態において、上記工程(1)と、得られたシラン加水分解物と塩基とを混合して該シラン加水分解物を重縮合させて、微粒子担体を得る工程(2’)と、得られた微粒子担体と金属イオンの供給源となる化合物とを混合する工程(3’)とを含む。
架橋反応は二段階にて進行し、初めにアルコキシシランのアルコキシ基が加水分解してシラノール基となり、次いで、シラノール基同士が縮合して、シロキサン結合が形成される。通常、硬化を促進するために、触媒が使用される。
なお、本開示の製造方法は、表面及び内部に官能基(L)を有する微粒子担体と、少なくとも一部の官能基(L)によって配位されている金属イオンとを含む微粒子を製造できれば、上記方法に限定されない。
<工程(1)>
工程(1)では、官能基(L)を有するアルコキシシランを含むアルコキシシランと水とを混合する。アルコキシシランは、オルガノポリシロキサン中の各構成単位を与える。アルコキシシランとして、一実施形態において、加水分解及び重縮合反応により、平均単位式(1)中の各構成単位を形成可能なアルコキシシランを用いる。
工程(1)では、官能基(L)を有するアルコキシシランを含むアルコキシシランと水とを混合する。アルコキシシランは、オルガノポリシロキサン中の各構成単位を与える。アルコキシシランとして、一実施形態において、加水分解及び重縮合反応により、平均単位式(1)中の各構成単位を形成可能なアルコキシシランを用いる。
構成単位(R1
3SiO1/2)を形成するアルコキシシランとしては、R1
3Si(OR2)で表される化合物が挙げられ、例えば、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン及びエトキシジメチルフェニルシラン;並びにメトキシトリメチルシラン及びエトキシトリメチルシランが挙げられる。
構成単位(R1
2SiO2/2)を形成するアルコキシシランとしては、R1
2Si(OR2)2で表される化合物が挙げられ、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン及びジメトキシベンジルメチルシラン;並びにジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン及びジプロポキシジエチルシランが挙げられる。
構成単位(R1SiO3/2)を形成するアルコキシシランとしては、R1Si(OR2)3で表される化合物が挙げられ、例えば、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリメトキシアリルシラン、トリエトキシアリルシラン、(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン及び(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン;並びにメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン及びブチルトリメトキシシランが挙げられる。
構成単位(SiO4/2)を形成するアルコキシシランとしては、Si(OR2)4で表される化合物が挙げられ、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキシシランが挙げられる。
上記アルコキシシランにおいて、R1は、平均単位式(1)中のR1と同義であり、R2は、アルキル基である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上3以下である。微粒子担体を製造しやすいことから、特に、R1がビニル基又はアリル基であり、R2がメチル基又はエチル基であるアルコキシシランが好ましい。これらの基を有するアルコキシシランは、重縮合により微細な微粒子を形成しやすい。
アルコキシシランと混合される水の量は、アルコキシシランの加水分解を良好に進めるという観点から、アルコキシシラン1モルに対して、1モル以上10モル以下が好ましく、2モル以上4モル以下がより好ましい。
工程(1)は、アルコキシシランの加水分解を促進する観点から、酸触媒の存在下に行うことが好ましい。酸触媒としては、例えば、塩化水素、硫酸及び硝酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸及びフマル酸などの有機酸が挙げられる。酸触媒の量は、アルコキシシラン1モルに対して、0.0001モル以上0.1モル以下が好ましく、0.001モル以上0.05モル以下がより好ましい。酸触媒は、1種又は2種以上用いることができる。
一実施形態では、工程(1)では、上記アルコキシシランと希塩酸とを混合する。
アルコキシシランと水との混合物を撹拌することにより、シラン加水分解物が得られる。シラン加水分解物の少なくとも一部は、官能基(L)を有する。撹拌時間は、好ましくは1分以上60分以下である。撹拌時の温度は、好ましくは5℃以上50℃以下であり、例えば常温である。
一実施形態において、シラン加水分解物を水で希釈して、シラン加水分解物濃度が1質量%以上10質量%以下の水溶液を調製する。水量により、微粒子の粒子径を制御できる。このとき、微粒子の粒子径を制御するために、溶液に界面活性剤を添加してもよい。一般的に、界面活性剤の濃度が高ければ高いほど、微粒子の粒子径は減少する。上記水溶液において、界面活性剤の終濃度は、好ましくは0.001質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上3質量%以下である。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)が挙げられる。これらの中でも、SDSが好ましい。界面活性剤は、1種又は2種以上用いることができる。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で得られたシラン加水分解物と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、錯体モノマーを形成する。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、金属イオンの水溶液とを混合する。金属イオンの添加量は、シラン加水分解物1モルに対して、好ましくは0.01モル以上1モル以下、より好ましくは0.1モル以上0.7モル以下である。
工程(2)では、工程(1)で得られたシラン加水分解物と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、錯体モノマーを形成する。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、金属イオンの水溶液とを混合する。金属イオンの添加量は、シラン加水分解物1モルに対して、好ましくは0.01モル以上1モル以下、より好ましくは0.1モル以上0.7モル以下である。
シラン加水分解物の水溶液と金属イオンの水溶液との混合物を撹拌することにより、官能基(L)を有するシラン加水分解物における官能基(L)が金属イオンに配位して、錯体モノマーが形成される。撹拌時間は、好ましくは1分以上30分以下である。撹拌時の温度は、好ましくは5℃以上40℃以下であり、例えば常温である。一実施形態において、シラン加水分解物における官能基(L)と金属イオンとの間での錯体形成(工程(2))と、シラン加水分解物の重縮合反応(工程(3))とを同時に進めてもよい。
金属イオンの水溶液は、例えば、金属イオンの供給源となる化合物である金属塩及び/又は金属ハロゲン化物を水に溶解させることで得られる。金属塩及び金属ハロゲン化物としては、例えば、硝酸銀(I)、硫酸銀(I)、塩化銅(I)、塩化銅(II)二水和物、硫酸銅(II)五水和物、ジシアノ金(I)酸カリウム、チオシアン酸水銀(II)、塩化亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)七水和物、塩化アルミニウム(III)六水和物、塩化ニッケル(II)六水和物、塩化鉄(II)四水和物、塩化カドミウム(II)、塩化コバルト(II)及び塩化鉛(II)が挙げられる。これらの中でも、得られる微粒子の分散性の観点から、硝酸銀(I)が好ましい。金属塩及び/又は金属ハロゲン化物は、1種又は2種以上用いることができる。
<工程(3)>
工程(3)では、シラン加水分解物の重縮合反応を促進する目的で、工程(2)で得られた錯体モノマーを含むシラン加水分解物と塩基とを混合する。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、塩基の水溶液とを混合する。
工程(3)では、シラン加水分解物の重縮合反応を促進する目的で、工程(2)で得られた錯体モノマーを含むシラン加水分解物と塩基とを混合する。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、塩基の水溶液とを混合する。
塩基としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン及びトリエタノールアミンなどの含窒素化合物;水酸化ナトリウムなどのアルカリ水酸化物が挙げられる。塩基は、1種又は2種以上用いることができる。上記混合において、塩基の水溶液を用いることが好ましく、例えば、アンモニア水、トリエタノールアミン水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が挙げられ、アンモニア水が好ましい。上記混合後の塩基の終濃度は、0.1M以上10M以下が好ましく、0.5M以上3M以下がより好ましい。塩基量により、微粒子の粒子径を制御できる。
シラン加水分解物の水溶液と塩基の水溶液との混合物を撹拌することにより、シラン加水分解物の重縮合反応が進行して、微粒子が得られる。撹拌時間は、好ましくは1分以上60分以下である。撹拌時の温度は、好ましくは5℃以上50℃以下であり、例えば常温である。
<工程(2’)>
工程(2’)では、工程(1)で得られたシラン加水分解物と塩基とを混合して該シラン加水分解物を重縮合させて、微粒子担体を得る。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、塩基の水溶液とを混合する。
工程(2’)では、工程(1)で得られたシラン加水分解物と塩基とを混合して該シラン加水分解物を重縮合させて、微粒子担体を得る。一実施形態において、シラン加水分解物の水溶液と、塩基の水溶液とを混合する。
塩基の具体例及び塩基の水溶液の具体例は、上述したとおりである。上記混合後の塩基の終濃度は、0.1M以上10M以下が好ましく、0.5M以上3M以下がより好ましい。
シラン加水分解物の水溶液と塩基の水溶液との混合物を撹拌することにより、シラン加水分解物の重縮合反応が進行して、微粒子担体が得られる。撹拌時間は、好ましくは1分以上60分以下である。撹拌時の温度は、好ましくは5℃以上50℃以下であり、例えば常温である。
<工程(3’)>
工程(3’)では、工程(2’)で得られた微粒子担体と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、微粒子を得る。一実施形態において、微粒子担体の水分散体と、金属イオンの水溶液とを混合する。金属イオンの添加量は、上記官能基(L)1モルに対して、好ましくは0.01モル以上1モル以下、より好ましくは0.1モル以上0.7モル以下である。
工程(3’)では、工程(2’)で得られた微粒子担体と金属イオンの供給源となる化合物とを混合して、微粒子を得る。一実施形態において、微粒子担体の水分散体と、金属イオンの水溶液とを混合する。金属イオンの添加量は、上記官能基(L)1モルに対して、好ましくは0.01モル以上1モル以下、より好ましくは0.1モル以上0.7モル以下である。
微粒子担体の水分散体と金属イオンの水溶液との混合物を撹拌することにより、微粒子担体における官能基(L)が金属イオンに配位して、本開示の微粒子が得られる。ここで、金属イオンは微粒子担体の内部に侵入することにより、官能基(L)と錯体を形成すると考えられる。撹拌時間は、好ましくは1分以上30分以下である。撹拌時の温度は、好ましくは5℃以上40℃以下であり、例えば常温である。
金属塩及び金属ハロゲン化物の具体例は、上述したとおりである。
<他の工程>
本開示の微粒子の製造方法は、上記の通り得られた微粒子担体又は微粒子を、少なくとも一部のR1が一価のエチレン性不飽和基、アリール基又はアラルキル基等の官能基(L)を含む基である上記アルコキシシランで処理する工程をさらに含んでもよい。特に、上記の通り得られた微粒子担体が官能基(L)を有さない場合は、この工程により官能基(L)を後から導入することができる。
本開示の微粒子の製造方法は、上記の通り得られた微粒子担体又は微粒子を、少なくとも一部のR1が一価のエチレン性不飽和基、アリール基又はアラルキル基等の官能基(L)を含む基である上記アルコキシシランで処理する工程をさらに含んでもよい。特に、上記の通り得られた微粒子担体が官能基(L)を有さない場合は、この工程により官能基(L)を後から導入することができる。
本開示の微粒子の製造方法は、精製工程をさらに含んでもよい。精製方法としては、例えば、遠心沈降分離方法、イオン交換樹脂を用いた精製方法、及び透析方法が挙げられ、簡便性の観点から遠心沈降分離方法が好ましい。
[組成物]
本開示の組成物は、本開示の微粒子を1種又は2種以上含む。
本開示の組成物は、一実施形態において、水及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む。例えば、微粒子は、水及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種中に分散されている。有機溶剤としては、例えば、上述した具体例が挙げられる。
本開示の組成物は、本開示の微粒子を1種又は2種以上含む。
本開示の組成物は、一実施形態において、水及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む。例えば、微粒子は、水及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種中に分散されている。有機溶剤としては、例えば、上述した具体例が挙げられる。
微粒子を水又は有機溶剤中に分散させる方法としては、例えば、マグネチックスターラー、攪拌羽根付きモーター、ホモジナイザー又は超音波洗浄器を用いる方法が挙げられる。
本開示の組成物は、一実施形態において、樹脂を1種又は2種以上含む。例えば、微粒子は、樹脂(マトリックス樹脂)中に分散されている。微粒子は、樹脂中での分散性に優れていることから、樹脂の透明性を維持できる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及び環状ポリオレフィン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル系光硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリアリールフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、アセタール樹脂、セルロース樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂並びにシリコーン樹脂が挙げられる。
微粒子と樹脂とは、例えば、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラー、ロール及びニーダ等の公知の混合装置を用いて混合することができる。
組成物中の微粒子の含有割合は、組成物の用途に応じて任意に選択でき、一実施形態において0.01質量%以上70質量%以下、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
組成物中の分散媒の含有割合は、組成物の用途に応じて任意に選択でき、一実施形態において30質量%以上99.5質量%以下、好ましくは50質量%以上99質量%以下、より好ましくは60質量%以上98質量%以下である。分散媒は、例えば、水、有機溶剤である。
本開示の微粒子は、樹脂100質量部に対して、一実施形態において0.1質量部以上50質量部以下、好ましくは0.5質量部以上40質量部以下、より好ましくは1質量部以上30質量部以下の量で用いることができる。
本開示の組成物は、必要に応じて、重合性モノマー、重合開始剤、分散安定剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
本開示の組成物を用いて、ペレット、シート、フィルム、板、容器及びパイプ等の種々の成形体を形成することができる。本開示の組成物を、塗料及びコーティング剤のように、基材表面に塗布してもよい。
[物品]
本開示の物品は、本開示の組成物を含んでいれば特に限定されない。上記物品は、本開示の組成物から形成されるか、或いは、本開示の組成物から形成された構成部分(例えば、表層、部材又は部品)を備える。
本開示の物品は、本開示の組成物を含んでいれば特に限定されない。上記物品は、本開示の組成物から形成されるか、或いは、本開示の組成物から形成された構成部分(例えば、表層、部材又は部品)を備える。
上記物品としては、例えば、タッチパネル、フェイスシールド、手すり、ボタン、スイッチ及び窓などを保護するためのフィルム製品;靴下、肌着、タオル、カーテン及びカーペットなどの繊維製品;床材、壁紙、タイル及び塗装材などの建材;スポンジ、まな板、フィルム包材、ブラシ及び弁当箱などのキッチン用品;バスマット、トイレケース付きブラシ及びボトルなどのバス・トイレ用品;歯ブラシ、靴の中敷き、マスク及び抗菌スプレーなどの生活用品;ぬいぐるみ及び積み木などの玩具;洗濯機、掃除機及び冷蔵庫などの家電製品;ステアリング、シフトノブ、空気清浄機及び内装材などの自動車用部品が挙げられる。
本開示は、例えば以下の[1]~[11]に関する。
[1]表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、微粒子担体の表面及び内部に存在する非イオン性官能基によって配位されている金属イオンとを含む微粒子。
[2]微粒子担体が、非イオン性官能基を含む基を有するオルガノポリシロキサンから構成される担体である、上記[1]に記載の微粒子。
[3]非イオン性官能基が、エチレン性不飽和結合である、上記[1]又は[2]に記載の微粒子。
[4]非イオン性官能基を含む基が、ビニル基及びアリル基からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[2]に記載の微粒子。
[5]金属イオンにおける非イオン性官能基の配位数が、1又は2である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の微粒子。
[6]金属イオンが、1価の陽イオンである、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の微粒子。
[7]金属イオンが、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+)、金イオン(Au+)及び水銀イオン(Hg2+)からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の微粒子。
[8]微粒子における金属イオンの担持量が、5質量%以上70質量%以下である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の微粒子。
[9]微粒子の平均1次粒子径が、10nm以上500nm以下である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の微粒子。
[10]上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の微粒子を含む組成物。
[11]上記[10]に記載の組成物を含む物品。
[1]表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、微粒子担体の表面及び内部に存在する非イオン性官能基によって配位されている金属イオンとを含む微粒子。
[2]微粒子担体が、非イオン性官能基を含む基を有するオルガノポリシロキサンから構成される担体である、上記[1]に記載の微粒子。
[3]非イオン性官能基が、エチレン性不飽和結合である、上記[1]又は[2]に記載の微粒子。
[4]非イオン性官能基を含む基が、ビニル基及びアリル基からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[2]に記載の微粒子。
[5]金属イオンにおける非イオン性官能基の配位数が、1又は2である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の微粒子。
[6]金属イオンが、1価の陽イオンである、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の微粒子。
[7]金属イオンが、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+)、金イオン(Au+)及び水銀イオン(Hg2+)からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の微粒子。
[8]微粒子における金属イオンの担持量が、5質量%以上70質量%以下である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の微粒子。
[9]微粒子の平均1次粒子径が、10nm以上500nm以下である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の微粒子。
[10]上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の微粒子を含む組成物。
[11]上記[10]に記載の組成物を含む物品。
以下、具体的な実施例を用いて本開示の微粒子を説明するが、本開示の微粒子は実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
トリエトキシビニルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水(H2O)24mL、10質量%SDS水溶液(SDSaq)6mL、1M硝酸銀水溶液(AgNO3aq)2mL、及び15Mアンモニア水(NH3aq)2mLを順次添加した。5分後、微粒子を含む水分散体が得られた。微粒子における銀イオンの担持量(理論値)は、20質量%であった。
トリエトキシビニルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水(H2O)24mL、10質量%SDS水溶液(SDSaq)6mL、1M硝酸銀水溶液(AgNO3aq)2mL、及び15Mアンモニア水(NH3aq)2mLを順次添加した。5分後、微粒子を含む水分散体が得られた。微粒子における銀イオンの担持量(理論値)は、20質量%であった。
[分散性評価]
実施例1で得られた微粒子の、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)それぞれに対する分散性を以下のようにして評価した。
実施例1で得られた微粒子の、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)それぞれに対する分散性を以下のようにして評価した。
遠心分離機を用いて、実施例1で得られた水分散体中の微粒子を沈降させ、その上澄み液を廃棄した後、微粒子にイソプロピルアルコール(IPA)40mLを加え、超音波処理により微粒子をIPA中に再分散させた。この洗浄操作をもう1回繰り返した。
最後に、微粒子に10mLのPGMEを加え、超音波処理により微粒子を1質量%の量でPGME中に再分散させた。得られた微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM;日立ハイテクノロジーズ(株)製「SU-8000」)画像を図2に示す。図2のSEM画像によれば、得られた微粒子の粒子径は、50nm以上90nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は77nmであった。同様の操作をMIBK及びMEKそれぞれを用いて行った。得られた微粒子は、PGMEだけでなく、MIBK及びMEKにも非常によく分散した。
得られた微粒子のSEM-EDX(元素分析;日立ハイテクノロジーズ(株)製「SU-8000」)を行ったところ、銀(Ag)が検出された(図3)。この結果から、微粒子担体に、銀イオン(Ag+)が担持されていることが確認できた。
上記製造工程から明らかなように、シラン加水分解物のビニル基が銀イオンに配位して錯体モノマーを形成し、該錯体モノマーが重縮合して微粒子を形成している。したがって、得られた微粒子は、内部及び表面に官能基(L)としてのビニル基を有する微粒子担体と、該ビニル基により配位された銀イオンとを有するといえる。
[抗菌性試験]
実施例1で得られた微粒子を濃度0.05質量%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル水溶液に加え、微粒子濃度0.01質量%の検体10mLを得た。以下の方法に従って抗菌性試験を行ったところ、持続力に優れた抗菌効果が認められた。抗菌性試験からも、微粒子において銀イオンが微粒子担体に担持されていることが確認できた。
実施例1で得られた微粒子を濃度0.05質量%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル水溶液に加え、微粒子濃度0.01質量%の検体10mLを得た。以下の方法に従って抗菌性試験を行ったところ、持続力に優れた抗菌効果が認められた。抗菌性試験からも、微粒子において銀イオンが微粒子担体に担持されていることが確認できた。
微粒子(水分散体)の抗菌性は、以下の手順にしたがって評価した。
まず、試験に用いる大腸菌(NBRC 3972)を液体培地にて、35℃で24時間、増菌培養した。培養後、滅菌した普通ブイヨン培地(1/500NB培地)を用いて大腸菌の濃度を108cfu/mLに調整した(cfu:コロニー形成単位)。この菌液0.1mLを、微粒子を含む上記検体10mLに接種し、25℃で24時間放置した。その後、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて検体の10倍希釈系列を調製した。各希釈系列から1mL採取し、これをSCDLP寒天培地と混釈した。これを30℃で48時間培養した後、生育したコロニーをカウントし、生菌数に換算した。陰性対照として、微粒子を含まないPBS(0.1質量%以下の界面活性剤を含んでもよい)も同様に試験した。最後に、以下の計算式(Logは底が10の常用対数)を用いて抗菌活性値を算出した。抗菌活性値(24時間)が3.0以上の場合を有効と判定した。実施例1では、抗菌活性が有効であった。
まず、試験に用いる大腸菌(NBRC 3972)を液体培地にて、35℃で24時間、増菌培養した。培養後、滅菌した普通ブイヨン培地(1/500NB培地)を用いて大腸菌の濃度を108cfu/mLに調整した(cfu:コロニー形成単位)。この菌液0.1mLを、微粒子を含む上記検体10mLに接種し、25℃で24時間放置した。その後、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて検体の10倍希釈系列を調製した。各希釈系列から1mL採取し、これをSCDLP寒天培地と混釈した。これを30℃で48時間培養した後、生育したコロニーをカウントし、生菌数に換算した。陰性対照として、微粒子を含まないPBS(0.1質量%以下の界面活性剤を含んでもよい)も同様に試験した。最後に、以下の計算式(Logは底が10の常用対数)を用いて抗菌活性値を算出した。抗菌活性値(24時間)が3.0以上の場合を有効と判定した。実施例1では、抗菌活性が有効であった。
[実施例2~6]
各成分の使用量を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、微粒子を得た。実施例2~6で得られた微粒子は、いずれもPGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。また、いずれの実施例においても、抗菌活性が有効であった。
各成分の使用量を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、微粒子を得た。実施例2~6で得られた微粒子は、いずれもPGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。また、いずれの実施例においても、抗菌活性が有効であった。
[実施例7]
トリエトキシビニルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水24mL、10質量%SDS水溶液6mL、及び15Mアンモニア水2mLを順次添加した。5分後、官能基(L)としてビニル基を有する微粒子担体を含む水分散体が得られた。ここに、1M硝酸銀水溶液2mLを添加し、30分間撹拌した。以上のようにして、微粒子担体上に銀イオンが担持された微粒子が得られた。得られた微粒子の粒子径は、50nm以上90nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は71nmであった。微粒子における銀イオンの担持量(理論値)は、20質量%であった。実施例7で得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。また、実施例7では、抗菌活性が有効であった。
トリエトキシビニルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水24mL、10質量%SDS水溶液6mL、及び15Mアンモニア水2mLを順次添加した。5分後、官能基(L)としてビニル基を有する微粒子担体を含む水分散体が得られた。ここに、1M硝酸銀水溶液2mLを添加し、30分間撹拌した。以上のようにして、微粒子担体上に銀イオンが担持された微粒子が得られた。得られた微粒子の粒子径は、50nm以上90nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は71nmであった。微粒子における銀イオンの担持量(理論値)は、20質量%であった。実施例7で得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。また、実施例7では、抗菌活性が有効であった。
実施例7で得られた微粒子のSEM-EDX(元素分析)を行ったところ、実施例1と同様に銀(Ag)が検出された(図4)。この結果から、微粒子担体に、銀イオン(Ag+)が担持されていることが確認できた。図4のSEM-EDXスペクトルは、図3のSEM-EDXスペクトルと同様のピークを示している。したがって、実施例7で得られた微粒子も、内部及び表面に官能基(L)としてのビニル基を有する微粒子担体と、該ビニル基により配位された銀イオンとを有するといえる。
[比較例1]
市販の銀ゼオライト粒子(シナネンゼオミック社、AJ10N)を入手し、MIBK分散体(粒子濃度1質量%)を調製した。この分散液をスライドガラスに滴下し、光学顕微鏡で観察したところ、粒子径2.5μm前後の粒子が凝集している様子が観察された。
市販の銀ゼオライト粒子(シナネンゼオミック社、AJ10N)を入手し、MIBK分散体(粒子濃度1質量%)を調製した。この分散液をスライドガラスに滴下し、光学顕微鏡で観察したところ、粒子径2.5μm前後の粒子が凝集している様子が観察された。
[比較例2]
トリエトキシメチルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水24mL、10質量%SDS水溶液6mL、及び15Mアンモニア水1mLを順次添加した。5分後、粒子径が50nm以上90nm以下の範囲の微粒子を含む水分散体が得られた。ここに、10vol%の3-アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液3mLを添加した。5分後、アミノ化された微粒子が得られた。これを遠心分離し、IPAに懸濁した後、再び遠心分離した。これを40mLのメタノールに懸濁し、超音波処理した。ここに無水コハク酸0.2gを添加し、60℃で1時間反応させた。これにより、金属イオンに配位可能なイオン性官能基としてカルボキシ基を有する微粒子担体が得られた。ここに、0.1M硝酸銀水溶液20mLを添加したが、徐々に微粒子担体が凝集した。これは、カルボキシ基を有する微粒子担体が銀イオンによって架橋されたためと考えられる。
トリエトキシメチルシラン2gと0.1M希塩酸0.6mLとを混合し、30分間撹拌して、シラン加水分解物を得た。ここに、純水24mL、10質量%SDS水溶液6mL、及び15Mアンモニア水1mLを順次添加した。5分後、粒子径が50nm以上90nm以下の範囲の微粒子を含む水分散体が得られた。ここに、10vol%の3-アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液3mLを添加した。5分後、アミノ化された微粒子が得られた。これを遠心分離し、IPAに懸濁した後、再び遠心分離した。これを40mLのメタノールに懸濁し、超音波処理した。ここに無水コハク酸0.2gを添加し、60℃で1時間反応させた。これにより、金属イオンに配位可能なイオン性官能基としてカルボキシ基を有する微粒子担体が得られた。ここに、0.1M硝酸銀水溶液20mLを添加したが、徐々に微粒子担体が凝集した。これは、カルボキシ基を有する微粒子担体が銀イオンによって架橋されたためと考えられる。
[参考例1]
純水を38mL、1M硝酸銀水溶液を0mL、15Mアンモニア水を2mLに変更したこと以外は実施例2と同様にして、微粒子を得た。得られた微粒子の粒子径は、35nm以上50nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は41nmであった。得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。しかしながら、硝酸銀水溶液を用いていないため、銀イオンの担持量は0質量%であった。参考例1では、抗菌活性は有効ではなかった。
純水を38mL、1M硝酸銀水溶液を0mL、15Mアンモニア水を2mLに変更したこと以外は実施例2と同様にして、微粒子を得た。得られた微粒子の粒子径は、35nm以上50nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は41nmであった。得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。しかしながら、硝酸銀水溶液を用いていないため、銀イオンの担持量は0質量%であった。参考例1では、抗菌活性は有効ではなかった。
[参考例2]
トリエトキシビニルシランの代わりにトリエトキシメチルシランを用いたこと以外は実施例4と同様に実施して、微粒子を得た。得られた微粒子の粒子径は、35nm以上50nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は38nmであった。得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。参考例2では、抗菌活性は有効ではなかった。これは、微粒子担体に含まれるメチル基が銀イオンと錯体を形成しなかったためと考えられる。このため、銀イオンの担持量は0質量%であると考えられる。
トリエトキシビニルシランの代わりにトリエトキシメチルシランを用いたこと以外は実施例4と同様に実施して、微粒子を得た。得られた微粒子の粒子径は、35nm以上50nm以下の範囲にあり、平均1次粒子径は38nmであった。得られた微粒子は、PGME、MIBK及びMEKに対する上記分散性が良好であった。参考例2では、抗菌活性は有効ではなかった。これは、微粒子担体に含まれるメチル基が銀イオンと錯体を形成しなかったためと考えられる。このため、銀イオンの担持量は0質量%であると考えられる。
[実施例8]
実施例1で得られた微粒子(MIBK分散体)を含むインキを、以下の通りポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。
実施例1で得られた微粒子(MIBK分散体)を含むインキを、以下の通りポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。
まず、以下の組成をもつインキを調製した。
溶剤:MIBK 5.046g
微粒子:実施例1で得られた微粒子のMIBK分散体(微粒子濃度2質量%)
0.789g
UV硬化性樹脂:KRM8713B(ダイセル・オルネクス) 0.157g
重合開始剤:Omnirad184(BASF) 0.006g
溶剤:MIBK 5.046g
微粒子:実施例1で得られた微粒子のMIBK分散体(微粒子濃度2質量%)
0.789g
UV硬化性樹脂:KRM8713B(ダイセル・オルネクス) 0.157g
重合開始剤:Omnirad184(BASF) 0.006g
上記インキをPETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡)に塗布・乾燥後、紫外線を照射した。これにより、PETフィルム表面に、微粒子を含む硬化膜(膜厚約200nm)を形成した。
10…微粒子
11…微粒子担体
12…官能基(L)
13…金属イオン
14…オルガノポリシロキサン
11…微粒子担体
12…官能基(L)
13…金属イオン
14…オルガノポリシロキサン
Claims (11)
- 表面及び内部に、金属イオンに配位可能な非イオン性官能基を有する微粒子担体と、
前記微粒子担体の表面及び内部に存在する前記非イオン性官能基によって配位されている金属イオンと
を含む微粒子。 - 前記微粒子担体が、
前記非イオン性官能基を含む基を有するオルガノポリシロキサン
から構成される担体である、請求項1に記載の微粒子。 - 前記非イオン性官能基が、エチレン性不飽和結合である、請求項1又は2に記載の微粒子。
- 前記非イオン性官能基を含む基が、ビニル基及びアリル基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の微粒子。
- 前記金属イオンにおける前記非イオン性官能基の配位数が、1又は2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の微粒子。
- 前記金属イオンが、1価の陽イオンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の微粒子。
- 前記金属イオンが、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+)、金イオン(Au+)及び水銀イオン(Hg2+)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか一項に記載の微粒子。
- 前記微粒子における前記金属イオンの担持量が、5質量%以上70質量%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の微粒子。
- 前記微粒子の平均1次粒子径が、10nm以上500nm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の微粒子。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の微粒子を含む組成物。
- 請求項10に記載の組成物を含む物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021046351A JP2022145091A (ja) | 2021-03-19 | 2021-03-19 | 微粒子、組成物及び物品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022145091A true JP2022145091A (ja) | 2022-10-03 |
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ID=83454312
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JP2021046351A Pending JP2022145091A (ja) | 2021-03-19 | 2021-03-19 | 微粒子、組成物及び物品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2021
- 2021-03-19 JP JP2021046351A patent/JP2022145091A/ja active Pending
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