JP2022143533A - 電極形成用組成物及び太陽電池素子 - Google Patents

電極形成用組成物及び太陽電池素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿環境下における信頼性に優れるアルミニウム/銀積層電極を形成可能な電極形成用組成物及び高温高湿環境下における信頼性に優れる太陽電池素子の提供。【解決手段】銀含有粒子と、ビスマス含有粒子とを含み、前記ビスマス含有粒子はビスマス粒子を含み、前記ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である、電極形成用組成物。【選択図】図3

Description

本開示は、電極形成用組成物及び太陽電池素子に関する。
近年、地球温暖化、大気汚染等をはじめとする環境問題への関心が高まっている。中でも地球温暖化問題の対策としては、化石燃料に替わる再生可能エネルギーの需要が高まっている。再生可能エネルギーとしては、太陽光、地熱、風力、波力、潮力、バイオマス等が挙げられる。特に太陽光発電は、無尽蔵な太陽光エネルギーを活用すると同時に、発電の際に二酸化炭素を排出しないクリーンな自然エネルギーとして注目を集め、深刻化するエネルギー問題の有効な解決策として期待されている。
太陽電池としては、半導体基板としてシリコン(Si)基板を用いた結晶シリコン系太陽電池が一般的である。Si基板を用いた太陽電池セル(太陽電池素子)の受光面及び裏面(受光面と逆の面)のそれぞれには、キャリアを回収するための集電用電極と、キャリアを出力として取り出すための出力取出し電極(バスバー電極)とが形成される。受光面の集電用電極は特に、フィンガー電極と呼ばれる。受光面電極の形成には、銀(Ag)電極形成用組成物が用いられ、フィンガー電極及びバスバー電極部の印刷は、個別又は一括で行われる。裏面については、バスバー電極の形成は銀電極形成用組成物が、集電用電極にはアルミニウム(Al)電極形成用組成物がそれぞれ用いられる。各電極形成用組成物には、導電性金属粒子、ガラス粒子及び種々の添加剤等が含有される。
受光面電極及び裏面バスバー電極を形成するための銀電極形成用組成物には、前記導電性金属粒子として、銀粒子が一般的に用いられている。この理由として、銀の体積抵抗率が低い(1.47×10-6Ωcm)こと、上記熱処理条件において銀粒子が自己還元して焼結すること、銀粒子とシリコン基板が良好なオーミックコンタクトを形成すること及び銀粒子から形成された電極がはんだ材料の濡れ性に優れ、太陽電池素子間を電気的に接続する配線材料(タブ線等)を好適に接着可能であることが挙げられる。
アルミニウム電極形成用組成物を用いて裏面の集電用電極を形成する際、アルミニウム電極形成用組成物中のアルミニウムが、シリコンとの共晶反応を経て裏面の表面に高濃度拡散層(p-Si層、Back Surface Field;BSF)を形成する。これにより、p型シリコン基板中の少数キャリアである電子を受光面側に追い返す構造が付与され、キャリア再結合の確率を低減することができる。
しかしながら、従来のアルミニウム電極形成用組成物を用いた裏面電極/BSF構造では、裏面の少数キャリア再結合速度は3×10cm/s程度と速く、太陽電池素子の発電性能を低下させる要因になり得る。
裏面再結合損失の低減策として、PERC(Passivated Emitter, Rear Cell)構造が注目されている(例えば、特許文献1参照)。PERC構造は、裏面再結合の一因である裏面電極とSi基板間のオーミックコンタクト部をポイント状又はライン状に制限しているのが特徴で、裏面電極のコンタクト部以外はすべてパッシベーション膜で覆われている。PERC構造に用いることができる裏面パッシベーション膜としては、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition;ALD)又はCVD法(Chemical Vapor Deposition)によるアモルファス酸化アルミニウム(AlO)膜が挙げられる。ALD法やCVD法によるAlO膜は、大きな負の固定電荷をもつことが知られ、これを適用したPERC構造太陽電池素子は高い発電性能を示すことが知られている。
PERC構造では、裏面電極とシリコン基板のコンタクト部が限られていることから、両面受光(bifacial)型の太陽電池素子が実現できる。bifacial-PERC構造の利点として、裏面に差し込んだ光を活用できること等が挙げられる。
上述したPERC構造(bifacial-PERC及びMBB(Multi Busbar)-bifacial-PERC構造を含む)において、裏面電極を形成する際は、一般的に銀を含む電極形成用組成物と、アルミニウムを含む電極形成用組成物とを、基板の所定の領域にそれぞれ印刷し、乾燥した後、一括して熱処理する。
上記構造では、アルミニウム電極の表面に形成されている酸化アルミニウム(Al)の膜と配線材料を被覆しているはんだとの濡れ性が悪いため、アルミニウム電極には配線材料を直接接合できない。また、裏面においては、受光面側と同様、配線材料を接続する箇所には出力取出し電極としての銀電極を形成する必要があるため、裏面電極プロセスにおいては、成膜したパッシベーション膜の上にまず銀電極形成用組成物を塗布する。このとき、従来のプロセスで形成された裏面電極では、アルミニウム電極と、裏面出力取出し電極としての銀電極との段差(厚さの差)によって、配線材料の接続不良が生じたり、太陽電池としての信頼性が損なわれる可能性がある。
これは、例えば、以下のようにして考えることができる。裏面電極のうち、出力取出し電極としての銀電極は、銀電極形成用組成物の使用量低減等の観点から、配線材料の接続方向に沿って連続的に形成されず、配線材料の接続方向に沿って、銀電極と銀電極との間にアルミニウム電極が形成されることがある。熱処理(焼成後)のアルミニウム電極の厚さは一般的に20μm~40μmであり、裏面出力取出し電極としての銀電極の厚さは一般的に2μm~5μmである。このような場合、配線材料の一部がアルミニウム電極上に配置されることになるが、アルミニウム電極と銀電極との段差が大きいと、配線材料の変形が段差に追従できず、銀電極での配線材料の接続が不十分になることが考えられる。また、銀電極において配線材料の接続ができたとしても、配線材料が段差に応じて凹凸を形成しながら変形するため、熱による内部応力以外の応力が加わると考えられる。このような中で、太陽電池部材に温度変化が与えられるような試験又は環境(例えば、温度サイクル試験)中に、接続部に亀裂等が生じることで、発電性能の低下率が大きくなってしまう。
上述したような課題を解決する方法として、アルミニウム電極と銀電極とをそれぞれ基板上に形成するのではなく、基板上に形成したアルミニウム電極と、その上に形成される銀電極とが積層した状態の電極(以下、アルミニウム/銀積層電極ともいう)を形成することが有効と考えられる。
アルミニウム/銀積層電極を形成する方法としては、例えば、アルミニウム粒子を含む電極形成用組成物を所望のパターンで基板の裏面に塗布し、アルミニウム粒子含有膜を形成した後に、銀を含む電極形成用組成物を所望のパターンでアルミニウム粒子含有膜の上に印刷し、一括して熱処理することが考えられる。
特許第6203990号公報
太陽電池は一般に屋外で使用されるため、アルミニウム/銀積層電極は高温高湿環境下におかれても劣化等が生じにくく、充分な信頼性を有していることが望まれる。
上記事情に鑑み、本開示は、高温高湿環境下における信頼性に優れるアルミニウム/銀積層電極を形成可能な電極形成用組成物、及び高温高湿環境下における信頼性に優れる太陽電池素子の提供を課題とする。
上記課題を実施するための手段には、以下の実施形態が含まれる。
<1>銀含有粒子と、ビスマス含有粒子とを含み、前記ビスマス含有粒子はビスマス粒子を含み、前記ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である、電極形成用組成物。
<2>前記ビスマス含有粒子全体に占める前記ビスマス粒子の割合が50質量%以上である、<1>に記載の電極形成用組成物。
<3>前記銀含有粒子の含有量に対する前記ビスマス含有粒子の含有量の質量比(ビスマス含有粒子/銀含有粒子)が0.30~1.40である、<1>又は<2>に記載の電極形成用組成物。
<4>ガラス粒子を更に含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<5>前記ガラス粒子はホウ素を含有するガラス粒子を含む、<4>に記載の電極形成用組成物。
<6>前記ガラス粒子はリンを含有するガラス粒子を含む、<4>又は<5>に記載の電極形成用組成物。
<7>溶剤及び樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>~<6>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<8>アルミニウム電極の上に銀電極を形成するための、<1>~<7>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<9>半導体基板と、前記半導体基板上に設けられるパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に設けられる<1>~<8>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物を含むアルミニウム/銀積層電極と、を有する太陽電池素子。
本開示によれば、高温高湿環境下における信頼性に優れるアルミニウム/銀積層電極を形成可能な電極形成用組成物、及び高温高湿環境下における信頼性に優れる太陽電池素子が提供される。
太陽電池素子の裏面におけるアルミニウム電極及びアルミニウム/銀積層電極の断面の一例を示す図である。 アルミニウム/銀積層電極の製造方法の一例を示す断面模式図である。 アルミニウム/銀積層電極の製造方法の一例を示す断面模式図である。 アルミニウム/銀積層電極の製造方法の一例を示す断面模式図である。 アルミニウム/銀積層電極の断面模式図である。 太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 太陽電池素子の一例を示す断面模式図(図5AのA-A´部の切断面)である。 太陽電池素子の一例を示す断面模式図(図5BのB-B´部の切断面)である。 太陽電池素子の一例を示す断面模式図(図5BのC-C´部の切断面)である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施形態に限られるものではない。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
図面において、同等の構成要素には同一の符号を付す。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「断面」との語は、太陽電池素子を半導体基板の面方向に対して垂直に切断して得られる面を意味する。
本開示において「熱処理」との語には、熱処理の対象物に含まれる粒子が焼結又は溶融する条件で行う加熱(焼成等)を含む。
<電極形成用組成物>
本開示の電極形成用組成物は、銀含有粒子と、ビスマス含有粒子とを含み、前記ビスマス含有粒子はビスマス粒子を含み、前記ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である、電極形成用組成物である。
銀含有粒子とともにビスマス含有粒子を含み、かつビスマス含有粒子として体積平均粒子径が1.5μm以下であるビスマス粒子を含む電極用組成物は、ビスマス含有粒子として体積平均粒子径が1.5μm以上であるビスマス粒子を含む電極用組成物に比べ、高温高湿環境下における信頼性に優れるアルミニウム/銀積層電極を形成することができる。その理由は、例えば、下記のように考えられる。
アルミニウム粒子を含む電極形成用組成物を用いて形成した層の上に銀粒子を含む電極形成用組成物を用いて層を形成した状態で熱処理を行ってアルミニウム/銀積層電極を形成する場合、熱処理によって形成されるアルミニウム電極(アルミニウム焼結部)と銀電極(銀粒子焼結部)との界面においてアルミニウムと銀との相互拡散が生じ、アルミニウムの一部が銀電極側に移行する。
アルミニウムと銀との相互拡散は、アルミニウム電極と銀電極との間の導電パスの形成に寄与する一方で、過度の相互拡散は銀電極の表面の銀濃度が低下し、銀粒子焼結部の形成を困難にする原因となりうる。
そこで、銀粒子とともにビスマス含有粒子を含む電極形成用組成物を用いることで、熱処理によりビスマス含有粒子が溶融及び酸化して、銀電極とアルミニウム電極との界面に酸化ビスマス相を形成する。この酸化ビスマス相が、銀電極とアルミニウム電極との過度の相互拡散を抑制する性質(以下、拡散バリア性ともいう)を発現する。このため、銀電極へのアルミニウムの移行が抑制されて、表面の銀濃度が充分に高いアルミニウム/銀積層電極が得られる。
電極形成用組成物に含まれるビスマス含有粒子は、銀電極とアルミニウム電極との界面に酸化ビスマス相を形成するとともに、アルミニウム粒子の焼結物の間にも酸化ビスマス相を形成する。ビスマス含有粒子として含まれるビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下であると、アルミニウム粒子の焼結物の間が緻密な酸化ビスマス相で埋められ、アルミニウム電極のバルク強度が高まることでアルミニウム電極の内部にクラックが生じにくい状態になると考えられる。その結果、高温高湿環境下でも優れた信頼性が得られると考えられる。
(銀含有粒子)
電極形成用組成物は、銀含有粒子を含む。電極形成用組成物に含まれる銀含有粒子は、1種のみでも2種以上であってもよい。
銀含有粒子は、銀を含む粒子であれば特に制限されない。中でも、銀含有粒子は、銀粒子及び銀合金粒子から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、銀粒子及び銀含有率が50.0質量%以上である銀合金粒子から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
銀粒子における銀の含有率は特に制限されない。例えば、銀の含有率は銀粒子全体の95.0質量%以上とすることができ、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
銀合金粒子は、銀を含む合金の粒子であれば特に制限されない。中でも、銀合金粒子の融点及び焼結性の観点から、銀の含有率は粒子全体の50.0質量%以上であることが好ましく、60.0質量%以上であることがより好ましく、70.0質量%以上であることが更に好ましく、80.0質量%以上であることが特に好ましい。上記含有率は、95.0質量%以下であってもよい。
銀合金として具体的には、Ag-Pd系合金、Ag-Pd-Au系合金、Ag-Pd-Cu系合金、Ag-Pd-In系合金、Ag-In系合金、Ag-Sn系合金、Ag-Zn系合金、Ag-Sn-Zn系合金等が挙げられる。
銀含有粒子は、銀及び銀合金の構成成分に該当しない成分を含まなくても、含んでいてもよい。
銀含有粒子は、銀及び銀合金の構成成分に該当しない成分を含む場合、その含有率は、銀含有粒子中に3.0質量%以下とすることができ、1.0質量%以下であることが好ましい。
銀含有粒子の粒子径は特に制限されないが、レーザー回折・散乱法により得られる体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(体積平均粒子径、以下「D50%」と略記することがある)として0.1μm~50.0μmであることが好ましく、0.15μm~40.0μmであることがより好ましく、0.2μm~30.0μmであることが更に好ましい。銀含有粒子の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、アルミニウム/銀積層電極の表面における銀の濃度を充分に高くでき、配線材料の接続強度が向上する。銀含有粒子の体積平均粒子径が50.0μm以下であると、アルミニウム/銀積層電極内の抵抗が低減する傾向にある。
銀含有粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、ベックマン・コールター(株)、LS 13 320型レーザー散乱回折法粒度分布測定装置)によって測定される。具体的には、溶剤(テルピネオール)125gに、銀含有粒子を0.01質量%~0.3質量%の範囲内で添加し、分散液を調製する。この分散液の約100ml程度をセルに注入して25℃で測定する。粒度分布は溶媒の屈折率を1.48として測定する。
銀含有粒子の形状は特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等であってもよい。銀含有粒子同士の焼結性の観点からは、略球状、扁平状又は板状が好ましい。
(ビスマス含有粒子)
電極形成用組成物は、ビスマス含有粒子を含む。電極形成用組成物に含まれるビスマス含有粒子は、1種のみでも2種以上であってもよい。ただし、ビスマス含有粒子はビスマス粒子を含み、ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である。
本開示において「ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である」とは、電極形成用組成物に含まれる全ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下であることを意味する。
ビスマス含有粒子としては、ビスマス粒子、酸化ビスマス粒子及びビスマス合金粒子が挙げられる。
本開示において、ビスマス含有粒子がガラス状である場合(すなわち、ビスマスをガラス成分として含むガラス粒子)は「ビスマス含有粒子」に該当しないものとする。
(ビスマス粒子)
本開示においてビスマス粒子とは、ビスマスの含有率が粒子全体の95.0質量%以上である粒子を意味する。
ビスマス粒子におけるビスマスの含有率は、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
ビスマス粒子の体積平均粒子径は、1.5μm以下であれば特に制限されない。緻密な酸化ビスマス相を形成する観点からは、ビスマス粒子の体積平均粒子径は1.2μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.8μm以下であることが更に好ましい。
電極形成組成物中の分散性の観点からは、ビスマス粒子の体積平均粒子径は0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましい。
ビスマス粒子の体積平均粒子径は、銀含有粒子の体積平均粒子径と同様にして測定される。
ビスマス粒子の形状は特に制限されず、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等であってもよい。拡散バリア性の観点からは、略球状、扁平状又は板状が好ましい。
(ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子)
電極形成用組成物は、ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子を含んでもよい。
ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子としては、酸化ビスマス粒子、及びビスマス合金粒子が挙げられる。
本開示において酸化ビスマス粒子とは、酸化ビスマスの含有率が粒子全体の95.0質量%以上である粒子を意味する。
酸化ビスマス粒子における酸化ビスマスの含有率は、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
酸化ビスマスとして具体的には、三酸化ビスマス(Bi)が挙げられる。
本開示においてビスマス合金粒子とは、ビスマスを含む合金であってビスマスの含有率が全体の95.0質量%以下であるものの粒子を意味する。
ビスマスを含む合金として具体的には、Bi-Sn系合金、Bi-Sn-Cu系合金、Bi-Pb-Sn系合金、Bi-Cd系合金等が挙げられる。
ビスマス合金粒子の融点及び拡散バリア性の観点から、ビスマス合金粒子のビスマスの含有率は粒子全体の40.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以下であることがより好ましく、60.0質量%以下であることが更に好ましく、70.0質量%以下であることが特に好ましい。
ビスマス含有粒子は、ビスマス、ビスマス合金及び酸化ビスマスの構成成分に該当しない成分を含まなくても、含んでいてもよい。
ビスマス含有粒子がビスマス、ビスマス合金及び酸化ビスマスの構成成分に該当しない成分を含む場合、良好な酸化ビスマス相の形成及び拡散バリア性の観点から、その含有率は、ビスマス含有粒子全体の3.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子の粒子径は特に制限されないが、体積平均粒子径が0.1μm~20.0μmであることが好ましく、0.15μm~15.0μmであることがより好ましく、0.2μm~10.0μmであることが更に好ましい。
ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子の粒子径が0.1μm以上であると、電極形成組成物中の分散性の観点から好ましい。ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子の粒子径が20.0μm以下であると、拡散バリア性が効果的に発揮される。
ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子の体積平均粒子径は、銀含有粒子の体積平均粒子径と同様にして測定される。
ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子の形状は特に制限されず、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等であってもよい。拡散バリア性の観点からは、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
電極形成用組成物がビスマス粒子と、ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子とを含む場合、緻密な酸化ビスマス相を形成する観点からは、ビスマス含有粒子全体に占めるビスマス粒子の割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
電極形成用組成物がビスマス粒子以外のビスマス含有粒子を含む場合、ビスマス粒子以外のビスマス含有粒子として酸化ビスマス粒子を含むことが好ましい。
電極形成用組成物がビスマス含有粒子として酸化ビスマス粒子を含んでいると、熱処理により形成される酸化ビスマス相の組成がより均一になる。これは、酸化ビスマスは熱処理前にすでに酸化しているため、ビスマスが熱処理により酸化して形成される酸化ビスマス相に比べて結晶構造が整った酸化ビスマス相が形成されるためと考えられる。
電極形成用組成物における銀含有粒子に対するビスマス含有粒子の質量比(ビスマス含有粒子/銀含有粒子、Bi/Ag比とも称する)は、0.30~1.40であることが好ましく、0.40~1.30であることがより好ましく、0.50~1.20であることが更に好ましく、0.60~1.10であることが特に好ましい。Bi/Ag比を0.30以上とすることで、アルミニウムと銀との相互拡散が効果的に抑制される傾向にある。Bi/Ag比を1.40以下とすることで、アルミニウム/銀積層電極の表面の銀濃度が充分に確保され、接続材料の接続強度(はんだの濡れ性)が良好に維持される傾向にある。
(ガラス粒子)
必要に応じ、電極形成用組成物はガラス粒子を含んでもよい。電極形成用組成物がガラス粒子を含んでいると、熱処理によって溶融したガラス粒子がアルミニウム粒子の焼結物の間に形成される酸化ビスマス相ととともにアモルファス相を形成する。このアモルファス相によってアルミニウム/銀積層電極の基板に対する密着性が向上し、アルミニウム/銀積層電極の接続強度が向上する。
電極形成用組成物に含まれるガラス粒子の組成は、特に制限されない。電極形成用組成物に含まれるガラス粒子は1種のみでも2種以上であってもよい。
太陽電池素子の信頼性の観点からは、電極形成用組成物は、ガラス粒子としてリンを含有するガラス粒子(以下、リン含有ガラス粒子ともいう)を含むことが好ましい。リンを含有するガラスとしては、酸化リン(P)を含むガラス粒子が挙げられ、リン酸塩ガラスが好ましい。
本開示においてリン酸塩ガラスとは、酸化リン(P)を網目形成酸化物として含むガラスを意味する。
電極形成用組成物がリン含有ガラス粒子を含むことで太陽電池素子の信頼性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、下記のように考えられる。
アルミニウム/銀積層電極が高温高湿環境下におかれると、アルミニウム電極と銀電極との界面において酸化ビスマス相の一部がビスマスに還元して、体積変化が生じる。その結果、アルミニウム電極と銀電極との界面に亀裂等が生じて電極の信頼性が低下する原因となる。電極形成用組成物がリンを含有するガラス粒子を含んでいると、熱処理によってリンを含有するガラス粒子の溶融物がアルミニウム電極と銀電極との界面において酸化ビスマス相と反応し、酸化ビスマスの還元を抑制するように作用する。その結果、アルミニウム電極と銀電極との界面の状態が良好に維持されて、高温高湿環境下での信頼性が向上すると考えられる。
リン含有ガラス粒子を構成するガラスの組成としては、ガラスの機能上の観点から、酸化リンの含有率が全体の20.0質量%以上であることが好ましく、30.0質量%以上であることがより好ましく、35.0質量%以上であることが更に好ましい。酸化リン(P)の含有率は全体の50.0質量%以下であることが好ましく、45.0質量%以下であることがより好ましく、40.0質量%以下であることが更に好ましい。
リン含有ガラス粒子は、酸化リンと、酸化リン以外の酸化物とを含んでもよい。
リン含有ガラス粒子を構成するガラスに含まれる酸化リン以外の酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化カリウム(KO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化錫(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ランタン(La)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化テルル(TeO)、酸化ルテチウム(Lu)、酸化アンチモン(Sb)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe)、酸化銀(AgO)及び酸化マンガン(MnO)が挙げられる。
リン含有ガラス粒子は酸化バナジウム、酸化アルミニウム、酸化錫及び酸化亜鉛から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化錫を含むことがより好ましく、錫含有リン酸塩ガラス(P-SnO系)等が好ましい例として挙げられる。このような組成のガラスを用いることで、アルミニウム/銀積層電極の高温高湿環境下での信頼性がより向上する傾向にある。
リン含有ガラス粒子が酸化錫を含む場合、酸化錫の含有率は全体の20.0質量%以上であることが好ましく、30.0質量%以上であることがより好ましく、40.0質量%以上であることが更に好ましい。酸化錫の含有率は全体の80.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以下であることがより好ましく、60.0質量%以下であることが更に好ましい。
リン含有ガラス粒子は酸化ホウ素を含まないか、又は酸化ホウ素の含有率が酸化リンの含有率よりも低いことが好ましい。
リン含有ガラス粒子の粒子径は特に制限されないが、体積平均粒子径が0.2μm~50.0μmであることが好ましく、1.0μm~30μmであることがより好ましい。リン含有ガラス粒子の体積平均粒子径が0.2μm以上であると、電極極形成用組成物の製造時の作業性が向上する。リン含有ガラス粒子の体積平均粒子径が50.0μm以下であると、電極形成用組成物中への分散性が向上し、アルミニウム/銀積層電極におけるホウ素の分布の均一性が向上する。
リン含有ガラス粒子の体積平均粒子径は、銀含有粒子の体積平均粒子径と同様にして測定される。
太陽電池素子の発電性能の観点からは、電極形成用組成物は、ホウ素を含有するガラス粒子(以下、ホウ素含有ガラス粒子ともいう)を更に含むことが好ましく、ホウ酸塩ガラスを含むことがより好ましい。
本開示においてホウ酸塩ガラスとは、酸化ホウ素(B)を網目形成酸化物として含むガラスを意味する。
電極形成用組成物がホウ素含有ガラス粒子を含むことで太陽電池素子の発電性能が向上する理由は必ずしも明らかではないが、下記のように考えられる。
ビスマス含有粒子により形成される酸化ビスマス相は、アルミニウム粒子含有膜が形成される基板の表面のパッシベーション膜を保護するためのSiN膜を溶解して、パッシベーション効果を低減させる可能性がある。
電極形成用組成物がホウ素含有ガラス粒子を含んでいると、ホウ素含有ガラス粒子が熱処理により溶融し、溶融物の一部はアルミニウム粒子含有膜が配置された基板の表面に達する。その結果、基板表面付近の酸化ビスマス相のビスマス濃度が低下して酸化ビスマス相によるSiN膜の溶解が抑制され、発電性能が良好に維持されると考えられる。
ホウ素含有ガラス粒子を構成するガラスの組成としては、ガラスの機能上の観点から、酸化物としての酸化ホウ素の含有率が全体の3.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以上であることが更に好ましい。酸化ホウ素の含有率は全体の25.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがより好ましく、15.0質量%以下であることが更に好ましい。
ホウ素含有ガラス粒子は、酸化ホウ素と、酸化ホウ素以外の酸化物とを含んでもよい。
ホウ素含有ガラス粒子を構成するガラスに含まれる酸化ホウ素以外の酸化物としては、リン含有ガラス粒子を構成するガラスに含まれてもよい酸化物として例示した酸化物が挙げられる。
ホウ素含有ガラス粒子は酸化リンを含まないか、又は酸化リンの含有率が酸化ホウ素の含有率よりも低いことが好ましい。
ホウ素含有ガラス粒子は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化銅及び酸化リチウムから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化ビスマスを含むことがより好ましく、ビスマス含有ホウ酸塩ガラス(B-Bi系)等が好ましい例として挙げられる。このような組成のガラスは軟化点が低く、熱処理後に得られる電極の基板への密着性がより向上する傾向にある。
ホウ素含有ガラス粒子が酸化ビスマスを含む場合、酸化ビスマスの含有率が全体の75.0質量%以上であることが好ましく、80.0質量%以上であることがより好ましく、85.0質量%以上であることが更に好ましい。酸化ビスマスの含有率は全体の97.0質量%以下であることが好ましく、95.0質量%以下であることがより好ましく、90.0質量%以下であることが更に好ましい。
ホウ素含有ガラス粒子の粒子径は特に制限されないが、体積平均粒子径が0.2μm~10.0μmであることが好ましく、0.5μm~8.0μmであることがより好ましい。ホウ素含有ガラス粒子の体積平均粒子径が0.2μm以上であると、電極極形成用組成物の製造時の作業性が向上する。ホウ素含有ガラス粒子の体積平均粒子径が10.0μm以下であると、電極形成用組成物中への分散性が向上し、アルミニウム/銀積層電極におけるホウ素の分布の均一性が向上する。
ホウ素含有ガラス粒子の体積平均粒子径は、銀含有粒子の体積平均粒子径と同様にして測定される。
信頼性の向上と発電性能の維持とを両立させる観点からは、電極形成用組成物は、リン含有ガラス粒子とホウ素含有ガラス粒子とをそれぞれ含んでもよく、リン酸塩ガラス粒子とホウ酸塩ガラス粒子とをそれぞれ含んでもよい。
電極形成用組成物がリン含有ガラス粒子とホウ素含有ガラス粒子とを含む場合、リン含有ガラス粒子とホウ素含有ガラス粒子との合計に対するリン含有ガラス粒子の含有率は、3.0質量%~50.0質量%であることが好ましく、3.5質量%~45.0質量%であることがより好ましく、4.0質量%~40.0質量%であることが更に好ましい。
リン含有ガラス粒子とホウ素含有ガラス粒子との合計に対するリン含有ガラス粒子の含有率を3.0質量%以上とすることで、アルミニウム/銀積層電極の信頼性がより効果的に向上する傾向にある。また、リン含有ガラス粒子の含有率を50.0質量%以下とすることで、酸化ビスマス相によるSiN膜の溶解がより効果的に抑制され、発電性能が良好に維持される。
SiN膜の上にアルミニウム/銀積層電極を形成する場合は、鉛を実質的に含まない鉛フリーガラスを用いることが好ましい。鉛フリーガラスとしては、特開2006-313744号公報の段落番号0024~0025に記載の鉛フリーガラス、特開2009-188281号公報等に記載の鉛フリーガラス等が挙げられる。
ガラス粒子の軟化点は特に制限されないが、650℃以下であることが好ましく、500℃以下であることがより好ましい。ガラス粒子の軟化点は、熱機械分析装置(TMA)を用いて通常の方法によって測定される。
ガラス粒子の形状は特に制限されず、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等であってもよい。銀含有粒子及びビスマス含有粒子との濡れ性の観点からは、ガラス粒子の形状は略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
電極形成用組成物に含まれるガラス粒子の含有率は、電極形成用組成物全体の1.0質量%~15.0質量%であることが好ましく、3.5質量%~14.0質量%であることがより好ましく、4.0質量%~12.0質量%であることが更に好ましい。
ガラス粒子の含有率を3.0質量%以上とすることで、高温高湿環境下における良好な信頼性が維持される傾向にある。ガラス粒子の含有率を15.0質量%以下とすることで、アルミニウム電極の上に形成される銀電極の表面の銀濃度が充分に確保され、接続材料の接続強度(はんだの濡れ性)が良好に維持される傾向にある。
電極形成用組成物に含まれるガラス粒子の含有量に対するビスマス含有粒子の含有量の質量比(ビスマス含有粒子/ガラス粒子、Bi/G比ともいう)は、0.5~15.0であることが好ましく、1.0~12.0であることがより好ましく、1.5~10.0であることが更に好ましい。Bi/G比を0.5以上とすることで、酸化ビスマス相の拡散バリア性が充分に発現する傾向にある。Bi/G比を15.0以下とすることで、ガラス粒子の効果が充分に得られる傾向にある。
(溶剤及び樹脂)
電極形成用組成物は、溶剤及び樹脂の少なくとも一方を含んでいてもよい。
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂の少なくとも一方を含むことで、電極形成用組成物の液状性(粘度、表面張力等)を、基板等に付与する際の付与方法に適した範囲内に調整することができる。
電極形成用組成物に含まれる溶剤又は樹脂は、それぞれ1種のみでも2種以上であってもよい。
溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素溶剤、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、トリオキサン等の環状エーテル溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール溶剤、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノアセテート、2,2,4-トリメチル-1,3ペンタンジオールモノプロピオネート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の多価アルコールのエステル溶剤、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのエーテル溶剤、α-テルピネン、α-テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α-ピネン、β-ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤などが挙げられる。
溶剤は、電極形成用組成物の付与性(例えば、塗布性又は印刷性)の観点からは、溶剤は多価アルコールのエステル溶剤、テルペン溶剤及び多価アルコールのエーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、多価アルコールのエステル溶剤及びテルペン溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
樹脂は、熱処理によって熱分解されうる樹脂であれば特に制限されず、天然高分子であっても、合成高分子であってもよい。具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、ポリビニルアルコール化合物、ポリビニルピロリドン化合物、アクリル樹脂、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、ひまし油脂肪酸変性アルキド樹脂等のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂などが挙げられる。
熱処理による熱分解性の観点からは、樹脂はセルロース樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、特に制限されない。中でも樹脂の重量平均分子量は、5,000~500,000が好ましく、10,000~300,000であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量が5,000以上であると、電極形成用組成物の粘度の増加が抑制できる傾向にある。これは例えば、樹脂が粒子に吸着したときの立体的な反発作用が充分となり、これら樹脂同士の凝集が抑制されるためと考えることができる。一方、樹脂の重量平均分子量が500,000以下であると、樹脂同士が溶剤中で凝集することが抑制され、電極形成用組成物の粘度の増加が抑制できる傾向にある。また樹脂の重量平均分子量が500,000以下であると、樹脂の燃焼温度が高すぎて電極形成用組成物を熱処理する際に燃焼されずに異物として残存することが抑制され、より低抵抗率な電極を形成することができる傾向にある。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP-H、PStQuick B、東ソー(株))を用いて3次元で近似する。GPCの測定条件は、以下の通りである。
・装置:(ポンプ:L-2130型[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(検出器:L-2490型RI[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(カラムオーブン:L-2350[(株)日立ハイテクノロジーズ])
・カラム:Gelpack GL-R440 + Gelpack GL-R450 + Gelpack GL-R400M(計3本)(日立化成(株))
・カラムサイズ:10.7mm×300mm(内径)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:10mg/2mL
・注入量:200μL
・流量:2.05mL/分
・測定温度:25℃
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、溶剤及び樹脂の含有率は、電極形成用組成物の所望の液物性、使用する溶剤及び樹脂の種類等に応じて選択できる。
例えば、溶剤及び樹脂の合計含有率は、電極形成用組成物全体の3.0質量%~70.0質量%であることが好ましく、20.0質量%~55.0質量%であることがより好ましく、30.0質量%~50.0質量%であることが更に好ましい。
溶剤及び樹脂の総含有率が上記範囲内であることにより、電極形成用組成物を基板に付与する際の付与適性が良好になり、所望の幅及び高さを有する電極をより容易に形成することができる傾向にある。
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、溶剤及び樹脂の含有比は、電極形成用組成物が所望の液物性となるように、使用する溶剤及び樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
電極形成用組成物は、銀含有粒子の焼結性、ビスマス含有粒子の拡散バリア性、ガラス粒子によるアルミニウム/銀積層電極の強度及び密着性の向上効果等の観点から、銀含有粒子、ビスマス含有粒子及びガラス粒子の合計含有率が、電極形成用組成物全体の30.0質量%以上97.0質量%以下であることが好ましく、45.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましく、50.0質量%以上70.0質量%以下であることが更に好ましい。
(その他の成分)
電極形成用組成物は、上述した成分に加え、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含有してよい。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、無機結合剤、金属酸化物(酸化ビスマスを除く)、セラミックス、有機金属化合物等を挙げることができる。
(電極形成用組成物の製造方法)
電極形成用組成物の製造方法は、特に制限されない。例えば、電極形成用組成物に含まれる成分を分散及び混合することで製造することができる。分散及び混練の方法は特に制限されず、通常用いられる方法から選択して適用することができる。
(アルミニウム/銀積層電極)
本開示の電極形成用組成物を用いて形成されるアルミニウム/銀積層電極は、上述した電極形成用組成物の熱処理物を含む。
より具体的には、アルミニウム/銀積層電極はアルミニウムを含む電極と、アルミニウムを含む電極の上に配置される銀を含む電極とを備え、アルミニウムを含む電極は酸化ビスマス相を更に含む。
アルミニウムを含む電極が酸化ビスマス相を含むか否かは、透過型電子顕微鏡を用いて確認できる。具体的には、結晶Biの格子縞(原子の配列)の存在によって酸化ビスマス相の存在を確認できる。
アルミニウムを含む電極は、アモルファス相を更に含んでもよく、アルミニウムを含む電極に含まれる酸化ビスマス相とアモルファス相とが混じりあった状態であってもよい。
アルミニウムを含む電極がアモルファス相を含むか否かは、透過型電子顕微鏡を用いて確認できる。具体的には、アモルファス特有の組織の存在によってアモルファス相の存在を確認できる。
太陽電池素子の発電性能の観点からは、アモルファス相はホウ素を更に含むことが好ましい。ホウ素を含むアモルファス相は、例えば、ホウ素含有ガラス粒子を含む電極形成用組成物を熱処理することで形成される。
太陽電池素子の信頼性の観点からは、アモルファス相はリンを更に含むことが好ましい。リンを含むアモルファス相は、例えば、リン含有ガラス粒子を含む電極形成用組成物を熱処理することで形成される。
上記構成のアルミニウム/銀積層電極は、太陽電池素子を構成する基板の上に配置されることが好ましく、太陽電池素子の裏面に相当する側に配置されることがより好ましい。
本開示において「基板の上」には、基板の表面に形成されるパッシベーション膜、パッシベーション膜の保護膜等の膜の上も含まれる。
アルミニウムを含む電極の厚み(厚みが一定でない場合は、最小厚み)は、例えば、0.5μm~50.0μmの範囲であってよい。
銀を含む電極の厚み(厚みが一定でない場合は、最小厚み)は、例えば、0.5μm~30.0μmの範囲であってよい。
上記構成のアルミニウム/銀積層電極は、例えば、上述した電極形成用組成物を用いて製造することができる。
電極形成用組成物を用いて製造されるアルミニウム/銀積層電極及びこれを含む太陽電池素子の構造の一例について、図1を用いて説明する。
図1は、電極形成用組成物を用いて作製したPERC構造の太陽電池素子の裏面電極の断面模式図である。図1に示すように、半導体基板1の表面にはパッシベーション膜18及び保護膜19(SiN)がこの順で成膜され、その上にアルミニウム電極(アルミニウム粒子焼結部とも言う)5及びアルミニウム/銀積層電極8が形成されている。
アルミニウム/銀積層電極8は、アルミニウム電極と銀電極(銀粒子焼結部ともいう)とが積層された箇所を含む。例えば、アルミニウム/銀積層電極8の最表面に、銀粒子焼結部が形成されてよい。また、アルミニウム電極5と、アルミニウム/銀積層電極8を構成するアルミニウム電極とは、同時に形成されてよい。
(アルミニウム/銀積層電極の製造方法)
電極形成用組成物を用いてアルミニウム/銀積層電極を製造する方法は特に制限されない。
例えば、半導体基板の上にアルミニウム粒子含有膜を形成する工程と、電極形成用組成物を、アルミニウム粒子含有膜の上に付与し、必要に応じて乾燥する工程と、アルミニウム粒子含有膜及び電極形成用組成物を熱処理する工程と、をこの順に実施する方法が挙げられる。
アルミニウム粒子含有膜は、パッシベーション膜及び保護膜(SiN)が成膜された半導体基板上に形成されてもよい。また、アルミニウム粒子含有膜は、半導体基板上に付与したアルミニウム電極形成組成物を乾燥して形成されてよい。半導体基板は、シリコン(Si)基板であってよい。アルミニウム電極形成用組成物を用いて、アルミニウム粒子含有膜を半導体基板上に形成する場合の、アルミニウム電極形成用組成物を付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサー法等を挙げることができ、生産性の観点から、スクリーン印刷法が好ましい。アルミニウム電極形成用組成物を付与した後の乾燥条件としては、当該技術分野で通常用いられる熱処理条件を適用することができる。
電極形成用組成物を、アルミニウム粒子含有膜上に付与する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサー法等を挙げることができ、生産性の観点から、スクリーン印刷法が好ましい。
電極形成用組成物をスクリーン印刷法によってアルミニウム粒子含有膜上に付与する場合、電極形成用組成物は、ペースト状であることが好ましい。ペースト状の電極形成用組成物は、20Pa・s~1000Pa・sの範囲の粘度を有することが好ましい。尚、電極形成用組成物の粘度は、ブルックフィールドHBT粘度計を用いて25℃で測定される。
電極形成用組成物のアルミニウム粒子含有膜への付与量は、形成する電極の大きさに応じて適宜選択することができる。例えば、電極形成用組成物の付与量としては、1.0mg/cm~20.0mg/cmとすることができ、2.0mg/cm~15.0mg/cmであることが好ましい。
また、電極形成用組成物を用いてアルミニウム/銀積層電極を形成する際の熱処理条件としては、当該技術分野で通常用いられる熱処理条件を適用することができる。熱処理温度としては、一般的な結晶シリコン系太陽電池素子を製造する際に用いられる700℃~900℃の範囲を好適に用いることができる。
また熱処理時間は、熱処理温度に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒~20秒とすることができる。
熱処理装置としては、上記温度に加熱できるものであれば適宜採用することができ、赤外線加熱炉、トンネル炉等を挙げることができる。赤外線加熱炉は、電気エネルギーを電磁波の形で加熱材料に投入し熱エネルギーに変換されるため高効率であり、また、より短時間での急速加熱が可能である。更に、燃焼による生成物が少なく、また非接触加熱であるため、生成する電極の汚染を抑えることが可能である。トンネル炉は、試料を自動で連続的に入り口から出口へ搬送し、熱処理するため、炉体の区分けと搬送スピードの制御によって、より均一に熱処理することが可能である。太陽電池素子の発電性能の観点からは、トンネル炉により熱処理することが好適である。
以下、アルミニウム/銀積層電極の製造方法の具体例を、図面を参照しながら説明する。ただし、本開示はこれに限定されるものではない。代表的なアルミニウム/銀積層電極の製造方法の一例を、図2A~図2Cに示す。
まず図2Aに示すように、パッシベーション膜18及び保護膜(SiN)19が成膜された半導体基板1の一方の面に、ペースト状のアルミニウム電極形成用組成物2を、スクリーン印刷法で塗布する。これを150℃程度の温度で加熱し、アルミニウム電極形成用組成物2中の溶剤を除去する。これにより、図2Bに示すように、パッシベーション膜18及び保護膜(SiN)19が成膜された半導体基板1上にアルミニウム粒子含有膜3が形成される。
次いで、アルミニウム粒子含有膜3上の所望の領域に、電極形成用組成物4を塗布し、これを150℃程度の温度で加熱し、乾燥する。なお、電極形成用組成物4がペースト状の場合は、アルミニウム電極形成用組成物2と同様、スクリーン印刷法で塗布される。その後、これを上述した条件で熱処理する。これにより、図2Cに示すように、アルミニウム/銀積層電極8が、パッシベーション膜18及び保護膜(SiN)19が成膜された半導体基板1上に形成される。
アルミニウム/銀積層電極8は、最表面に銀粒子焼結部7が配置され、銀粒子焼結部7とパッシベーション膜18及び保護膜(SiN)19が成膜された半導体基板1との間には、アルミニウム粒子焼結部/酸化ビスマス相混合部6が配置される。
図3は、図2Cのうち、アルミニウム/銀積層電極の形成箇所を拡大して示したものである。図3に示すように、アルミニウム粒子焼結部/酸化ビスマス相混合部6は、アルミニウム粒子焼結部5と、アルミニウム粒子焼結部5の空隙部に充填された酸化ビスマス相9とを含む。アルミニウム粒子焼結部/酸化ビスマス相混合部6がこのような構成を有するのは、上述したように、電極形成用組成物4中のビスマス含有粒子の一部又は全体が熱処理によりアルミニウム粒子含有膜3に移行するためである。
酸化ビスマス相9は、銀粒子焼結部7とアルミニウム粒子焼結部5とを隔てるように配置されていてもよく、アルミニウム粒子焼結部5中のアルミニウム粒子と、銀粒子焼結部7とが接触している箇所が部分的に形成されてもよい。この場合、アルミニウム粒子と銀粒子との過度の相互拡散が抑制される程度に、銀粒子焼結部7とアルミニウム粒子焼結部5とを隔てるように酸化ビスマス相9が配置されていることが好ましい。
<太陽電池素子>
本開示の太陽電池素子は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられるパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に設けられる上述した電極形成用組成物の熱処理物を含むアルミニウム/銀積層電極と、を有する太陽電池素子である。
上記太陽電池素子は、必要に応じ、半導体基板の上に設けられるパッシベーション膜を保護するための保護膜を備えてもよい。
上記太陽電池素子のアルミニウム/銀積層電極は、半導体基板の裏面に設けられるものであってもよい。また、上記太陽電池素子はPERC構造を有するものであってもよい。
以下、太陽電池素子の構成の具体例を、図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。代表的な太陽電池素子の一例を、図4、図5A、図5B、図6A、図6B及び図6Cに示す。
図4は、太陽電池素子の受光面側の概略平面図である。図4に示す受光面電極14は、一般的には銀電極ペーストを用いて形成される。具体的には、反射防止膜13上に銀電極ペーストを所望のパターンで付与し、乾燥した後、大気中700℃~900℃程度で熱処理して形成される。
図5Aは、太陽電池素子の裏面の概略平面図である。図5Aに示す太陽電池素子の裏面には、アルミニウム電極5が全面に形成されている。図5Bは、太陽電池素子の裏面のうち、アルミニウムフィンガー電極20及びアルミニウムバスバー電極21が裏面の一部に形成された場合の概略平面図である。
太陽電池素子の裏面には、上述したように、アルミニウム電極形成用組成物の付与及び乾燥後、電極形成用組成物を所望のパターンで付与し乾燥する。次いで、これを大気中700℃~900℃程度で熱処理して、アルミニウム/銀積層電極を形成する。熱処理は、上述した受光面電極14の形成のための熱処理と一括して行ってもよい。
図6A~6Cの概略断面図に示すように、半導体基板1の一方の面の表面付近には、n型拡散層12が形成され、n型拡散層12上に出力取出電極14及び反射防止膜13が形成されている。
図6Aは図5AにおけるA-A´部の切断面である。A-A´断面が裏面パッシベーション膜の開口部を横切らない場合、裏面は図6Aに示す構造をもつ。図6Bは、図5BにおけるB-B´部の切断面である。B-B´断面が裏面パッシベーション膜の開口部を横切らない場合、裏面は図6Bに示す構造をもつ。図6Cは、図5BにおけるC-C´部の切断面である。C-C´断面が裏面パッシベーション膜の開口部(アルミニウムフィンガー電極20)を横切る場合、裏面は図6Cに示す構造をもつ。
図6A~図6Cに示すように、受光面側では、熱処理によって受光面電極14を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜13とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極14とn型拡散層12とが電気的に接続(オーミックコンタクト)される。
裏面側では、熱処理によってアルミニウム電極5、アルミニウムフィンガー電極20又はアルミニウムバスバー電極21中のアルミニウムが半導体基板1の裏面の一部(裏面パッシベーション膜成膜部をレーザーなどで除去した部分)に拡散して、p型拡散層15を形成することによって、半導体基板1とアルミニウム電極15との間にオーミックコンタクトが部分的に形成される。
以下、本開示の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本開示の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、各種粒子の体積平均粒子径(D50%)はレーザー散乱回折法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社、LS 13 320型、測定波長:632nm)を用いて算出した。
ガラス粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社、TM-1000)を用いて観察して判定した。ガラス粒子のガラス粒子の軟化点は、示差熱・熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所、DT-60H)を用いて測定される示差熱(DTA)曲線から求めた。具体的には、DTA曲線において、吸熱部から軟化点を見積もることができる。
<実施例1>
(1)リン酸塩ガラス粒子の調製
酸化リン(P)38.0質量%、酸化錫(SnO)57.9質量%、酸化亜鉛(ZnO)3.5質量%及び酸化アルミニウム(Al)1.5質量%からなるリン酸塩ガラスを得た。得られたリン酸塩ガラスの軟化点は340℃であった。リン酸塩ガラスを用いて、体積平均粒子径が15.0μmであるリン酸塩ガラス粒子を得た。粒子の形状は略球状であった。
(2)ホウ酸塩ガラス粒子の調製
二酸化ケイ素(SiO)1.4質量%、酸化ホウ素(B)12.5質量%、酸化ビスマス(Bi)85.3質量%及び酸化リチウム(LiO)0.9質量%からなるホウ酸塩ガラスを得た。得られたホウ酸塩ガラスの軟化点は440℃であった。ホウ酸塩ガラスを用いて、体積平均粒子径が1.1μmであるホウ酸塩ガラス粒子を得た。粒子の形状は略球状であった。
(3)電極形成用組成物の調製)
下記の成分をロールミル(株式会社アイメックス、BR-150HCV)を用いて混合し、ペースト状の電極形成用組成物を調製した。
銀粒子(体積平均粒子径:0.6μm、銀含有率:99.9質量%):32.7質量部
ビスマス粒子:(体積平均粒子径:0.6μm、ビスマス含有率:99.9質量%)19.6質量部
リン酸塩ガラス粒子:1.4質量部
ホウ酸塩ガラス粒子:5.7質量部
酸化ビスマス粒子:(体積平均粒子径:2.5μm、純度:99質量%)5.1質量部
テルピネオール:30.7質量部
エチルセルロース(日新化成株式会社、STD-10):4.8質量部
(4)太陽電池素子の作製
受光面にn型拡散層、テクスチャ及び反射防止(SiN)膜が形成され、受光面とは反対側の面(以下、「裏面」ともいう)にパッシベーション膜としての酸化アルミニウム(AlO)膜及び保護膜(SiN)膜がこの順に形成された厚さ160μmのp型シリコン単結晶基板を用意し、158.75mm×158.75mmの大きさに切り出した。次いで、裏面のパッシベーション膜/保護膜の一部について、図5Bに示すように、アルミニウムフィンガー電極を形成する箇所をレーザーによって除去し、シリコン基板を露出させた。受光面上に、銀粒子及び鉛ガラス粒子を含む銀電極形成用組成物(デュポン社製、PV20)を図4に示すような電極パターンとなるように(実際には、受光面出力取出電極14の本数を9本とした)スクリーン印刷により付与した。これを250℃の設定温度及び240インチ/分の搬送速度の条件で加熱したトンネル炉(Despatch社)で加熱し、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、シリコン基板の裏面側に、アルミニウム電極形成用組成物(Ruxing社、RX8401)と、上記で得られた電極形成用組成物とを、スクリーン印刷により、図5Bに示すような電極パターン(実際には、アルミニウムバスバー電極21の本数を9本とし、アルミニウムバスバー電極21の1本あたりのアルミニウム/銀積層電極の形成箇所を6か所とした)の形状に付与した。
具体的には、アルミニウム電極形成用組成物を、アルミニウムフィンガー電極20及びアルミニウムバスバー電極21の細線パターンの形状に印刷し、乾燥してアルミニウム粒子含有膜を形成した。その後、アルミニウム粒子含有膜の上に電極形成用組成物を印刷した。
アルミニウムフィンガー電極の形成箇所は、シリコン基板が露出している部分と一致させた。アルミニウム電極形成用組成物の印刷条件は、熱処理後のアルミニウム電極の厚さが30μmとなるように調節した。電極形成用組成物の印刷は、1.6mm×8.0mmサイズのパッド形状が配列されたパターンを用いて、8.0mg/cmの塗布量になるように行った。
アルミニウム電極形成用組成物及び電極形成用組成物をそれぞれ印刷した後は、250℃の設定温度及び240インチ/分の搬送速度の条件で、トンネル炉(Despatch社)で加熱し、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いてトンネル炉(Despatch社)を用いて大気雰囲気下、最高温度870℃の設定温度及び240インチ/分の搬送速度の条件で熱処理を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子を作製した。
<実施例2>
実施例1において、ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.4μmであること以外は実施例1と同様にして電極形成用組成物を調製し、太陽電池素子を作製した。
<比較例1>
実施例1において、ビスマス粒子の体積平均粒子径が3.1μmであること以外は実施例1と同様にして電極形成用組成物を調製し、太陽電池素子を作製した。
<評価>
(1)アルミニウム/銀積層電極の断面組織観察
作製した太陽電池素子の裏面出力取出電極の断面を、走査電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU5000)を用いて、加速電圧15kVで観察した。また、装置付属のEDX分析(エネルギー分散型X線分析、Energy dispersive X-ray spectroscopy)を実施し、裏面出力取出電極としてのアルミニウム/銀積層電極の表面における銀粒子焼結部の形成及びアルミニウム/銀積層電極の内部における酸化ビスマス相の形成の状態を調べた。
断面組織観察の結果、実施例1、2及び比較例1で作製した太陽電池素子の裏面には、アルミニウム粒子焼結部の上に銀粒子焼結部が配置された状態のアルミニウム/銀積層電極が形成されていた。EDX分析の結果、実施例1、2及び比較例1のいずれにおいても、アルミニウム/銀積層電極の最表面には銀粒子焼結部が形成され、アルミニウム粒子焼結部の空隙部には酸化ビスマス相が、それぞれ形成されていた。
(2)高温高湿環境下での信頼性
作製した太陽電池素子のうち、裏面出力取出電極に、配線材料を接続したものを用いて、高温高湿環境下での電極部の抵抗値を評価した。具体的には、配線材料(Ulbrich社、Multi-Tabbing wire、Sn-Pb系共晶はんだ被覆、Cuコア材の寸法は直径0.4mm)を、裏面出力取出電極上に載せ、配線材料の上からはんだごてを押し当ててはんだを溶融させることで接続した。その後、配線材料を接続した太陽電池素子を恒温恒湿槽(エスペック株式会社、PSL-2KPH)に入れ、120℃及び100%(相対湿度)の条件で50時間保持した。次いで、配線材料の長さ方向に等間隔でプローブピンを押し当て、汎用ソースメータ(2400型、ケースレー社製)を用いて、-0.5V~+0.5Vの範囲の印可電圧における平均抵抗値(単位:mΩ)を測定し、抵抗値とした。高温高湿環境下での信頼性評価は、抵抗値が40mΩ以下で良好と判断した。結果を表1に示す。
Figure 2022143533000002
表1に示すように、ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である電極形成用組成物を用いた実施例1及び実施例2は、ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μmを超える電極形成用組成物を用いた比較例1に比べて高温高湿環境下での抵抗値が小さく、優れた信頼性を示した。
1…半導体基板、2…アルミニウム電極形成用組成物(ペースト状)、3…アルミニウム粒子含有膜、4…電極形成用組成物(乾燥前後)、5…アルミニウム粒子焼結部、アルミニウム電極、6…アルミニウム粒子焼結部/酸化ビスマス相混合部、7…銀粒子焼結部、8…アルミニウム/銀積層電極、9…酸化ビスマス相、12…n+型拡散層、13…反射防止膜、14…受光面電極及び出力取出電極、15…p+型拡散層、18…パッシベーション膜、19…保護膜(SiN)、20…アルミニウムフィンガー電極、21…アルミニウムバスバー電極

Claims (9)

  1. 銀含有粒子と、ビスマス含有粒子とを含み、前記ビスマス含有粒子はビスマス粒子を含み、前記ビスマス粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下である、電極形成用組成物。
  2. 前記ビスマス含有粒子全体に占める前記ビスマス粒子の割合が50質量%以上である、請求項1に記載の電極形成用組成物。
  3. 前記銀含有粒子の含有量に対する前記ビスマス含有粒子の含有量の質量比(ビスマス含有粒子/銀含有粒子)が0.30~1.40である、請求項1又は請求項2に記載の電極形成用組成物。
  4. ガラス粒子を更に含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
  5. 前記ガラス粒子はホウ素を含有するガラス粒子を含む、請求項4に記載の電極形成用組成物。
  6. 前記ガラス粒子はリンを含有するガラス粒子を含む、請求項4又は請求項5に記載の電極形成用組成物。
  7. 溶剤及び樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
  8. アルミニウム電極の上に銀電極を形成するための、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
  9. 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられるパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に設けられる請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物を含むアルミニウム/銀積層電極と、を有する太陽電池素子。
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