JP2022142657A - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐圧を維持することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体を利用する半導体装置である。半導体装置は、第1導電型のドリフト層を備える。半導体装置は、ドリフト層の上面に接している第2導電型のボディ層を備える。半導体装置は、ボディ層の上部に配置されている第1導電型のソース領域を備える。半導体装置は、ソース領域の上面からソース領域およびボディ層を貫通してドリフト層まで到達しているトレンチを備える。トレンチは、m面で形成されている側壁とc面で形成されている第1底面とを備える。半導体装置は、第1底面に配置されている特定膜を備える。半導体装置は、特定膜の上面および側壁に配置されているゲート絶縁膜を備える。第1底面と側壁との間に、丸みを有する第1の角部が形成されている。特定膜は、第1の角部を覆っている。
【選択図】図1
【解決手段】ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体を利用する半導体装置である。半導体装置は、第1導電型のドリフト層を備える。半導体装置は、ドリフト層の上面に接している第2導電型のボディ層を備える。半導体装置は、ボディ層の上部に配置されている第1導電型のソース領域を備える。半導体装置は、ソース領域の上面からソース領域およびボディ層を貫通してドリフト層まで到達しているトレンチを備える。トレンチは、m面で形成されている側壁とc面で形成されている第1底面とを備える。半導体装置は、第1底面に配置されている特定膜を備える。半導体装置は、特定膜の上面および側壁に配置されているゲート絶縁膜を備える。第1底面と側壁との間に、丸みを有する第1の角部が形成されている。特定膜は、第1の角部を覆っている。
【選択図】図1
Description
本明細書に開示の技術は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
非特許文献1、2には、GaNを材料に用いた縦型トレンチMOSFETを作製する技術が開示されている。ドライエッチングにて形成したトレンチに、TMAH薬液を用いたウェットエッチング処理を行うことで、チャネルとなる平坦な側壁(m面)を形成している。
GaN-Based Trench Gate Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor Fabricated with Novel Wet Etching(Applied Physics Express 1 021104 (2008))
T. Ishida, S. Yamada, T. Narita, and T. Kachi, ISPlasma2019, 2019, 19pF16O
TMAH薬液を用いたGaNのウェットエッチングでは、m面およびc面のエッチングレートが他の面に比して遅い性質を有する。従って、TMAH薬液でトレンチをエッチングすることにより、平坦な側壁(m面)および底面(c面)を形成することが可能である。しかし、トレンチの側壁および底面が平坦化される結果、側壁と底面とが互いに垂直に交差するような鋭利な角部が形成されてしまう。この角部に電界集中するため、半導体装置の耐圧が低下するおそれがある。
本明細書が開示する半導体装置は、ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体を利用する半導体装置である。半導体装置は、第1導電型のドリフト層を備える。半導体装置は、ドリフト層の上面に接している第2導電型のボディ層を備える。半導体装置は、ボディ層の上部に配置されている第1導電型のソース領域を備える。半導体装置は、ソース領域の上面からソース領域およびボディ層を貫通してドリフト層まで到達しているトレンチを備える。トレンチは、m面で形成されている側壁とc面で形成されている第1底面とを備える。半導体装置は、第1底面に配置されている特定膜を備える。半導体装置は、特定膜の上面および側壁に配置されているゲート絶縁膜を備える。第1底面と側壁との間に、丸みを有する第1の角部が形成されている。特定膜は、第1の角部を覆っている。
上記の半導体装置では、トレンチの第1底面の第1の角部が特定膜で覆われている。第1の角部を特定膜で保護することができるため、トレンチの形成工程中において、第1の角部が丸みを有している状態を維持することができる。第1の角部への電界集中を緩和できるため、半導体装置の耐圧を維持することが可能となる。
本明細書が開示する技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
本明細書が開示する一例の半導体装置では、特定膜は誘電体であってもよい。
この構成によれば、特定膜によって電界緩和を行うことができる。
本明細書が開示する一例の半導体装置では、トレンチは、c面で形成されている第2底面を備えていてもよい。第2底面は、第1底面と側壁との間に配置されているとともに第1底面よりも上側に配置されていてもよい。第1底面は、第1の角部を介して第2底面に接続していてもよい。第2底面は、第2の角部を介して側壁に接続していてもよい。第2の角部の曲率半径は、第1の角部の曲率半径よりも小さくてもよい。第2底面および第2の角部は、ゲート絶縁膜で覆われていてもよい。
この構成によれば、第2底面の下側に、第1底面を配置することができる。電界はトレンチの最下部である第1底面に集中するが、第1底面の角部の曲率半径が大きくされているため、第1底面で電界緩和することができる。第2底面の第2の角部への電界集中を抑制することが可能となる。
本明細書が開示する一例の半導体装置では、第1底面の下側に第1底面に接して形成されている第2導電型の特定領域をさらに備えていてもよい。半導体装置の上面視において、特定領域の幅はトレンチの側壁間の幅よりも小さくてもよい。
この構成によれば、第2導電型の特定領域と第1導電型のドリフト層とのpn接合により空乏層を形成できるため、トレンチ底面における電界緩和が可能となる。また半導体装置のオン時には、トレンチ側壁に対向した領域にチャネル反転層が発生するため、トレンチ側壁に沿って電流経路が形成される。そして特定領域の幅はトレンチの側壁間の幅よりも小さいため、特定領域によって形成された空乏層が電流経路に与える影響を抑制することができる。半導体装置のオン抵抗の上昇を抑制することが可能となる。
本明細書が開示する一例の半導体装置の製造方法は、ウルツ鉱型構造を有し表面がc面である化合物半導体基板の表面から、<11-20>方向に長手方向を有するトレンチを形成するトレンチ形成工程を備える。トレンチの底面と側壁とを接続している角部が丸みを有している。製造方法は、トレンチの底面および側壁に、底面における膜厚が側壁における膜厚よりも厚い特定膜を形成する工程を備える。製造方法は、底面および角部に特定膜が残存するとともに側壁が露出するように、特定膜をエッチングする工程を備える。製造方法は、特定膜のエッチングレートが化合物半導体基板のエッチングレートに比して低いとともに、m面のエッチングレートが他の面のエッチングレートに比して低いエッチングを用いて、側壁をエッチングする側壁エッチング工程を備える。製造方法は、特定膜の上面および側壁にゲート絶縁膜を成膜する工程を備える。
この製造方法によれば、トレンチの底面の角部を特定膜で保護した状態で、側壁をエッチングすることができる。側壁エッチング工程において、角部が丸みを有している状態を維持することができる。角部への電界集中を緩和できるため、半導体装置の耐圧を維持することが可能となる。
本明細書が開示する一例の半導体装置の製造方法では、特定膜は誘電体であってもよい。
この構成によれば、特定膜によって電界緩和を行うことができる。
本明細書が開示する一例の半導体装置の製造方法では、トレンチ形成工程で形成されるトレンチは、底面の幅よりも開口部の幅の方が大きいテーパ形状の断面形状を備えていてもよい。側壁エッチング工程後のトレンチは、底面の幅が開口部の幅と同程度まで拡大された矩形形状の断面形状を備えていてもよい。
この製造方法によれば、側壁エッチング工程により、側壁に平坦なm面を露出させることができる。トレンチの最下部に位置している、特定膜で覆われた底面に電界が集中するが、この底面の角部の曲率半径が大きくされているため、電界緩和することができる。新たに形成された底面の角部への電界集中を抑制することが可能となる。
本明細書が開示する一例の半導体装置の製造方法は、トレンチ形成工程の後に、底面に不純物をイオン注入する工程をさらに備えていてもよい。不純物は、トレンチの底面が配置されている化合物半導体基板の導電型とは反対の導電型を形成するための不純物であってもよい。
この製造方法によれば、底面の下側に、化合物半導体基板の導電型とは反対の導電型を有する領域を形成することができる。底面の下側に、pn接合による空乏層を形成できるため、トレンチ底面における電界緩和が可能となる。
(半導体装置1の構造)
図1に、半導体装置1の側面における断面図を示す。半導体装置1は、MOSFETと称されるパワー半導体素子である。半導体装置1は、トレンチゲート型である。図1において、参照番号10はGaN基板を示している。GaN基板10は、ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体基板である。GaN基板10の表面10sは、(0001)面(c面)である。GaN基板10の表面10sにソース電極30が形成されており、裏面にドレイン電極31が形成されている。GaN基板10は、n+型のドレイン層11、n型のドリフト層12、p型のボディ層13、n+型のソース領域14およびp+型のボディコンタクト領域15を備えている。
図1に、半導体装置1の側面における断面図を示す。半導体装置1は、MOSFETと称されるパワー半導体素子である。半導体装置1は、トレンチゲート型である。図1において、参照番号10はGaN基板を示している。GaN基板10は、ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体基板である。GaN基板10の表面10sは、(0001)面(c面)である。GaN基板10の表面10sにソース電極30が形成されており、裏面にドレイン電極31が形成されている。GaN基板10は、n+型のドレイン層11、n型のドリフト層12、p型のボディ層13、n+型のソース領域14およびp+型のボディコンタクト領域15を備えている。
GaN基板10には、ソース領域14の上面からソース領域14およびボディ層13を貫通してドリフト層12まで到達している、トレンチ20が形成されている。トレンチ20は、側壁20s、第1底面20b1、第1角部20c1、を備えている。側壁20sは、GaNのm面で形成されている面である。第1底面20b1は、GaNのc面で形成されている面である。m面は、(1-100)面、(10-10)面、(-1010)面、(-1100)面、(01-10)面、(0-110)面の総称である。m面は、非極性面である。m面は、[0001]方向のc軸に平行な面であり、c面と直交している面である。第1角部20c1は、第1底面20b1と側壁20sとを接続している部位であり、丸みを有している。
第1底面20b1には、特定膜21が配置されている。本実施例では、特定膜21はシリコン窒化膜(Si3N4)であり、誘電体である。特定膜21は、第1角部20c1を覆っている。特定膜21の上面および側壁20sには、ゲート絶縁膜22が配置されている。ゲート絶縁膜22は、ゲート性能に特化した、特定膜21とは異なる膜種とすることができる。ゲート絶縁膜22の膜種としては、例えば、Al2O3系やSiO2系の膜を用いることができる。トレンチ20の内部には、ゲート絶縁膜22を介して、導電性のトレンチゲート電極23が充填されている。トレンチゲート電極23の上面には、層間絶縁膜24が形成されている。層間絶縁膜24によって、トレンチゲート電極23は、ソース電極30から絶縁されている。
(半導体装置1の製造方法)
図2のフローおよび図3~図6の断面図を用いて、半導体装置1の製造方法を説明する。ステップS10において、ドレイン層11、ドリフト層12、ボディ層13がこの順に積層されたGaN基板10を準備する。GaN基板10の表面10sからイオン注入して、ソース領域14とボディコンタクト領域15を製造する。
図2のフローおよび図3~図6の断面図を用いて、半導体装置1の製造方法を説明する。ステップS10において、ドレイン層11、ドリフト層12、ボディ層13がこの順に積層されたGaN基板10を準備する。GaN基板10の表面10sからイオン注入して、ソース領域14とボディコンタクト領域15を製造する。
ステップS20において、GaN基板10の表面10sから、<11-20>方向に長手方向を有するトレンチ20を形成する(図3参照)。GaN基板10の表面10sはc面であるため、側壁20sはm面となり、第1底面20b1はc面となる。トレンチ20は、既知のフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術により形成することができる。ドライエッチング条件を調整することにより、側壁20sを基板の表面10sに対して略垂直であるとともに、第1角部20c1が丸みを有するように形成することができる。
ステップS30において、トレンチ20の第1底面20b1および側壁20sに、特定膜21(シリコン窒化膜)を成膜する(図4参照)。特定膜21は、第1底面20b1における膜厚T1が、側壁20sにおける膜厚T2よりも厚くなるように成膜される。このような特定膜21は、側壁よりも底面の膜厚が厚くなるような異方性を有する成膜方法を用いればよい。例えば、ステップカバレッジの悪いCVD法や、PVD法などを用いることができる。
ステップS40において、第1底面20b1および第1角部20c1に特定膜21が残存するとともに、側壁20sの特定膜21が除去されるように、特定膜21をエッチングする(図5参照)。これにより、第1角部20c1が特定膜21で覆われている状態で、側壁20sのみを露出させることができる。具体的には、第1底面20b1の膜厚T1が側壁20sの膜厚T2よりも厚いため、特定膜21を等方エッチングすることにより、側壁20sの特定膜21のみを選択的に除去することができる。本実施例では、熱リン酸によるウェットエッチングにより、特定膜21(シリコン窒化膜)をエッチングした。
ステップS50において、特定膜21のエッチングレートがGaN基板10のエッチングレートに比して低いとともに、m面のエッチングレートが他の面のエッチングレートに比して低いエッチングを用いて、側壁20sをエッチングする。本実施形態では、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いたウェットエッチングを行った。これにより、第1角部20c1を特定膜21で保護しながら、側壁20sをエッチングすることができる。また側壁20sのエッチングでは、エッチングがm面で自動停止するため、側壁20sを平坦化することができる。側壁20sはチャネルとなるため、平坦化によりデバイス特性を向上させることが可能となる。
なお、ステップS20のトレンチ形成工程において、側壁20sを基板の表面10sに対して略垂直に形成している。よって側壁20sはほぼm面で形成されているため、ステップS50における側壁20sのエッチング量は非常に少ない。従って、エッチング前後におけるトレンチ20の断面形状や幅の変化量は、無視できる程度に小さくすることができる。
ステップS60において、特定膜21の上面および側壁20sにゲート絶縁膜22を成膜する(図6参照)。ゲート絶縁膜22は、特定膜21よりもステップカバレッジの良好な方法で成膜することができる。本実施形態では、ゲート絶縁膜22は、ALD法で成膜したアルミニウムシリケート(AlSiO)膜とした。
ステップS70において、トレンチゲート電極23、層間絶縁膜24、ソース電極30、ドレイン電極31の形成が行われる。以上により、図1に示す半導体装置1が完成する。
(効果)
ステップS50において、第1角部20c1を特定膜21で保護しながら側壁20sをエッチングすることができるため、第1角部20c1が丸みを有している状態を維持することができる。第1角部20c1への電界集中を緩和できるため、半導体装置1の耐圧を維持することが可能となる。
ステップS50において、第1角部20c1を特定膜21で保護しながら側壁20sをエッチングすることができるため、第1角部20c1が丸みを有している状態を維持することができる。第1角部20c1への電界集中を緩和できるため、半導体装置1の耐圧を維持することが可能となる。
半導体装置1の動作時には、トレンチ20の最下部である第1底面20b1に電界が集中する。この第1底面20b1に誘電体である特定膜21(シリコン窒化膜)を配置することにより、第1底面20b1の誘電体膜厚を側壁20sの誘電体膜厚よりも厚くすることができる。第1底面20b1での電界緩和を行うことができるため、半導体装置1の耐圧を維持することが可能となる。
(半導体装置1aの構造)
実施例2に係る半導体装置1a(図7)は、実施例1の半導体装置1(図1)に比して、トレンチの底面の形状が異なっている。実施例1の半導体装置1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。
実施例2に係る半導体装置1a(図7)は、実施例1の半導体装置1(図1)に比して、トレンチの底面の形状が異なっている。実施例1の半導体装置1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。
トレンチ20aは、側壁20s、第1底面20b1、第1角部20c1、第2底面20b2、第2角部20c2、を備えている。第2底面20b2は、c面で形成されている。第2底面20b2は、第1底面20b1と側壁20sとの間に配置されているとともに第1底面20b1よりも上側に配置されている。第1底面20b1は、第1角部20c1を介して第2底面20b2に接続している。第2底面20b2は、第2角部20c2を介して側壁20sに接続している。第2角部20c2の曲率半径は、第1角部20c1の曲率半径よりも小さい。換言すると、第1角部20c1の方が第2角部20c2よりも丸みを有している。第1底面20b1および第1角部20c1は、特定膜21で覆われている。第2底面20b2、第2角部20c2および特定膜21の上面は、ゲート絶縁膜22で覆われている。
また、第1底面20b1の下側には、p型の特定領域16が配置されている。特定領域16は、第1底面20b1に接して形成されている。特定領域16の幅W1は、トレンチ20aの側壁20s間の幅W2よりも小さい。
(半導体装置1aの製造方法)
実施例1のフロー図(図2)において、実施例2に特有な工程のみを説明する。図8に、ステップS20のトレンチ形成工程で形成される、実施例2のトレンチ20aを示す。トレンチ20aは、第1底面20b1の幅W11よりも、開口部の幅W12の方が大きいテーパ形状の断面形状を備えている。
実施例1のフロー図(図2)において、実施例2に特有な工程のみを説明する。図8に、ステップS20のトレンチ形成工程で形成される、実施例2のトレンチ20aを示す。トレンチ20aは、第1底面20b1の幅W11よりも、開口部の幅W12の方が大きいテーパ形状の断面形状を備えている。
実施例2では、ステップS20のトレンチ形成工程の後に、第1底面20b1にp型不純物(例:マグネシウム)をイオン注入する工程をさらに備えている。これにより図8に示すように、第1底面20b1の下側に特定領域16を形成することができる。特定領域16は、第1底面20b1が配置されているn型ドリフト層12とは反対のp型の導電型を有する領域である。
ステップS30において特定膜21を成膜し、ステップS40において特定膜21をエッチングする。これにより図9に示すように、第1角部20c1および第1底面20b1が特定膜21で覆われている状態で、側壁20sのみを露出させることができる。
ステップS50において、側壁20sをTMAHを用いてエッチングする。TMAH薬液を用いたGaNのウェットエッチングでは、m面およびc面のエッチングレートが他の面に比して遅い性質を有する。従って、側壁20sのエッチングでは、エッチングがm面で自動停止する。m面はc面に対して垂直であるため、側壁20sが基板の表面10sに対して垂直な面となるように、横方向へエッチングが進む。また第1角部20c1および第1底面20b1は特定膜21で保護されているため、エッチングが行われない。よって、特定膜21の上面21sを基準として、横方向へ広がるようにエッチングが進む。その結果、図10に示すように、トレンチ20aの底面の幅が開口部の幅W12と同程度まで拡大される。そして、特定膜21の上面21sと同一平面内に、新たな底面である第2底面20b2が形成される。エッチングはc面で自動停止するため、第2底面20b2はc面となる。第2底面20b2(c面)と側壁20s(m面)とは互いに垂直に交差するため、トレンチ20aの断面形状は矩形形状となる。交差部分には、丸みが小さい第2角部20c2が形成される。以上より、第2底面20b2の下側に、特定膜21で覆われた第1底面20b1が突出している構造を形成することができる。その後、ステップS60およびS70が行われることで、図7に示す半導体装置1aが完成する。
(効果)
半導体装置1a(図7)では、第2底面20b2の下側に、第1底面20b1を配置することができる。電界はトレンチ20aの最下部である第1底面20b1に集中するが、第1底面20b1の第1角部20c1の曲率半径が大きくされているため、第1底面20b1で電界緩和することができる。第2底面20b2の第2角部20c2への電界集中を抑制することが可能となる。
半導体装置1a(図7)では、第2底面20b2の下側に、第1底面20b1を配置することができる。電界はトレンチ20aの最下部である第1底面20b1に集中するが、第1底面20b1の第1角部20c1の曲率半径が大きくされているため、第1底面20b1で電界緩和することができる。第2底面20b2の第2角部20c2への電界集中を抑制することが可能となる。
p型の特定領域16とn型のドリフト層とのpn接合により空乏層を形成できるため、トレンチ20aの底面における電界緩和が可能となる。また半導体装置1aのオン時には、側壁20sに対向した領域にチャネル反転層ILが発生するため、側壁20sに沿って電流経路が形成される。そして特定領域16の幅W1はトレンチ20aの側壁20s間の幅W2よりも小さいため、特定領域16によって形成された空乏層が電流経路に与える影響を抑制することができる。半導体装置1aのオン抵抗の上昇を抑制することが可能となる。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
(変形例)
実施例2の半導体装置1a(図7)は、特定領域16を備えていない構成であってもよい。この構成によっても、第2角部20c2への電界集中を抑制する効果が得られる。
実施例2の半導体装置1a(図7)は、特定領域16を備えていない構成であってもよい。この構成によっても、第2角部20c2への電界集中を抑制する効果が得られる。
半導体装置1を構成する化合物半導体基板は、GaNに限られない。ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体であれば何れの半導体であってもよく、例えばAlNであってもよい。
特定膜21は誘電体に限られない。ステップS50において、化合物半導体基板のエッチングレートに比して十分に低いエッチングレートを有する膜であれば、何れの膜であってもよい。特定膜21はシリコン窒化膜(Si3N4)に限られない。例えばシリコン酸化膜でもよい。
ゲート絶縁膜22は、AlSiO膜に限られない。例えば、CVD法により成膜したシリコン酸化膜でもよい。
n型は、第1導電型の一例である。p型は、第2導電型の一例である。
1:半導体装置 12:ドリフト層 13:ボディ層 14:ソース領域 16:特定領域 20:トレンチ 20b1:第1底面 20b2:第2底面 20c1:第1角部 20c2:第2角部 21:特定膜 22:ゲート絶縁膜
Claims (8)
- ウルツ鉱型構造を有する化合物半導体を利用する半導体装置であって、
第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の上面に接している第2導電型のボディ層と、
前記ボディ層の上部に配置されている第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域の上面から前記ソース領域および前記ボディ層を貫通して前記ドリフト層まで到達しているトレンチであって、m面で形成されている側壁とc面で形成されている第1底面とを備える前記トレンチと、
前記第1底面に配置されている特定膜と、
前記特定膜の上面および前記側壁に配置されているゲート絶縁膜と、
を備え、
前記第1底面と前記側壁との間に、丸みを有する第1の角部が形成されており、
前記特定膜は、前記第1の角部を覆っている、半導体装置。 - 前記特定膜は誘電体である、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記トレンチは、c面で形成されている第2底面であって、前記第1底面と前記側壁との間に配置されているとともに前記第1底面よりも上側に配置されている前記第2底面をさらに備えており、
前記第1底面は、前記第1の角部を介して前記第2底面に接続しており、
前記第2底面は、第2の角部を介して前記側壁に接続しており、
前記第2の角部の曲率半径は、前記第1の角部の曲率半径よりも小さく、
前記第2底面および前記第2の角部は、前記ゲート絶縁膜で覆われている、請求項1または2に記載の半導体装置。 - 前記第1底面の下側に前記第1底面に接して形成されている第2導電型の特定領域をさらに備え、
前記半導体装置の上面視において、前記特定領域の幅は前記トレンチの前記側壁間の幅よりも小さい、請求項3に記載の半導体装置。 - 半導体装置の製造方法であって、
ウルツ鉱型構造を有し表面がc面である化合物半導体基板の表面から、<11-20>方向に長手方向を有するトレンチを形成するトレンチ形成工程であって、前記トレンチの底面と側壁とを接続している角部が丸みを有している、前記トレンチ形成工程と、
前記トレンチの底面および側壁に、前記底面における膜厚が前記側壁における膜厚よりも厚い特定膜を形成する工程と、
前記底面および前記角部に前記特定膜が残存するとともに前記側壁が露出するように、前記特定膜をエッチングする工程と、
前記特定膜のエッチングレートが前記化合物半導体基板のエッチングレートに比して低いとともに、m面のエッチングレートが他の面のエッチングレートに比して低いエッチングを用いて、前記側壁をエッチングする側壁エッチング工程と、
前記特定膜の上面および前記側壁にゲート絶縁膜を成膜する工程と、
を備える、半導体装置の製造方法。 - 前記特定膜は誘電体である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記トレンチ形成工程で形成される前記トレンチは、前記底面の幅よりも開口部の幅の方が大きいテーパ形状の断面形状を備えており、
前記側壁エッチング工程後の前記トレンチは、前記底面の幅が前記開口部の幅と同程度まで拡大された矩形形状の断面形状を備えている、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記トレンチ形成工程の後に、前記底面に不純物をイオン注入する工程をさらに備え、
前記不純物は、前記トレンチの底面が配置されている前記化合物半導体基板の導電型とは反対の導電型を形成するための不純物である、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
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