JP2022141496A - 加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 工具マガジンに工具の有無を検出するセンサがない構成であっても、格納動作時に工具が破損することを防止する。【解決手段】主軸11は、工具を把持し、保持部41は、ワークWを保持する。工具マガジン70は、複数の工具を格納する。移動装置200は、主軸11と保持部41とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる。CPUは、移動装置200の動作トルクを検出し、その検出結果に基づいて移動装置200を制御する。CPUは、主軸11に把持された工具を工具マガジン70のポットに格納する格納動作の際のトルクリミット値である第1トルクリミット値を、工具により加工対象物を加工している加工動作の際のトルクリミット値である第2トルクリミット値よりも小さく設定して、格納動作を実行するリミット格納モードを実行可能である。【選択図】図2
Description
本発明は、加工対象物を加工可能な加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラム
に関する。
に関する。
加工装置として、加工具が取り付けられた主軸を回転させて加工対象物(ワーク)に切削加工などをする装置が従来から知られている。このような加工装置では、主軸に取り付ける工具を工具マガジンに格納された工具と交換可能としている(例えば、特許文献1)。
ここで、工具マガジンに工具の有無を検出するセンサを設けた場合、工具マガジンに既に工具が格納されているか否かがわかる。但し、このようなセンサを設けなかった場合、工具を工具マガジンの所定位置に格納する格納動作を行う際に、この所定位置に工具があるかわからない場合がある。このため、既に所定位置に工具がある状態で工具の格納動作を行った場合、工具同士が干渉して工具が破損する虞がある。
本発明の加工装置は、工具を把持する主軸と、工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、前記主軸の前記保持部に対する相対位置を検出する位置検出手段と、前記移動手段の動作トルクを検出するトルク検出手段と、前記位置検出手段及び前記トルク検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記移動手段の動作トルクのトルクリミット値を変更可能であり、前記主軸に把持された工具を前記工具マガジンの所定位置に格納すべく前記主軸を前記所定位置に向けて移動させる格納動作の際の前記トルクリミット値である第1トルクリミット値を、工具により加工対象物を加工している加工動作の際の前記トルクリミット値である第2トルクリミット値よりも小さく設定して、前記格納動作を実行するリミット格納モードを実行可能であることを特徴とする。
また、本発明の加工装置は、工具を把持する主軸と、工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、前記主軸の位置を検出する位置検出手段と、前記移動手段の動作トルクを検出するトルク検出手段と、前記位置検出手段及び前記トルク検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記主軸の位置と、前記制御手段が前記移動手段に指令した位置との位置偏差のリミット値である位置偏差リミット値を変更可能であり、前記主軸に把持された工具を前記工具マガジンの所定位置に格納すべく前記主軸を前記所定位置に向けて移動させる格納動作の際の前記位置偏差リミット値である第1位置偏差リミット値を、工具により加工対象物を加工している加工動作の際の前記位置偏差リミット値である第2位置偏差リミット値よりも小さく設定して、前記格納動作を実行するリミット格納モードを実行可能であることを特徴とする。
また、本発明の加工装置は、工具を把持する主軸と、工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、前記主軸の位置を検出する位置検出手段と、前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、前記主軸に把持された工具による加工位置、前記工具マガジンの位置、前記先端検出手段の位置は、XY平面上で互いに異なり、前記制御手段は、前記先端検出手段を使用する場合において、加工に使用する工具のZ軸方向の長さである工具長が分かっている場合には、XY平面上の前記先端検出手段がある位置に向けて前記主軸を移動させてから、前記主軸をZ軸方向に関して前記先端検出手段に向けて第1速度で移動させた後、前記第1速度よりも遅い第2速度で移動させることを特徴とする。
また、本発明の加工装置の制御方法は、工具が取り付けられる主軸を移動手段によって移動させながら前記工具により加工対象物を加工する加工装置の制御方法であって、前記主軸を移動させて前記工具を工具マガジンに格納動作するに際し、前記移動手段の動作トルクのトルクリミット値及び位置偏差リミット値の少なくともいずれか一方を加工対象物を加工している加工動作の際の値よりも小さく変更して前記格納動作を実行することを特徴とする
本発明によれば、工具マガジンに工具の有無を検出するセンサがない構成であっても、格納動作時に工具が破損することを防止できる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置100の全体構成について、図1ないし図4を用いて説明する。
第1の実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置100の全体構成について、図1ないし図4を用いて説明する。
[加工装置]
図1は、本実施形態に係る加工装置100の外観斜視図であり、エアーを発生させる不図示のエアーコンプレッサに、増圧弁90が取り付けられて、増圧弁90によって、圧力が上昇したエアーによって、後述するチャックをアンクランプ状態にする。増圧弁90の後段にエア圧検知センサ91が設けられている。工具のチャックにどの程度の圧力がかかっているか測定するために、エア圧検知センサ91は、工作機械の内部に設けられてもよい。加工装置100は、図1に示すように、外装カバー101内に加工装置本体を収容している。即ち、外装カバー101は、後述する主軸や工具マガジンなどが内部に配置され、工具による加工空間を形成する。外装カバー101は、加工空間にアクセス可能な開閉ドア102を有しており、開閉ドア102を開けることで、ワークの交換や手動による工具の交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。開閉ドア102の開閉は、不図示のセンサにより検知される。
図1は、本実施形態に係る加工装置100の外観斜視図であり、エアーを発生させる不図示のエアーコンプレッサに、増圧弁90が取り付けられて、増圧弁90によって、圧力が上昇したエアーによって、後述するチャックをアンクランプ状態にする。増圧弁90の後段にエア圧検知センサ91が設けられている。工具のチャックにどの程度の圧力がかかっているか測定するために、エア圧検知センサ91は、工作機械の内部に設けられてもよい。加工装置100は、図1に示すように、外装カバー101内に加工装置本体を収容している。即ち、外装カバー101は、後述する主軸や工具マガジンなどが内部に配置され、工具による加工空間を形成する。外装カバー101は、加工空間にアクセス可能な開閉ドア102を有しており、開閉ドア102を開けることで、ワークの交換や手動による工具の交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。開閉ドア102の開閉は、不図示のセンサにより検知される。
開閉ドア102には、透光性の窓103が設けられている。開閉ドア102は、窓103が設けられていない部分に、開閉ロッド104が接続される。
図2に示すように、加工装置100は、移動機構支持部材としてのフレーム1と、それぞれフレーム1に支持された第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30と、加工対象物としてのワークWを支持する支持機構40と、支持機構40を回転可能な回転手段としての第1回転機構(回転機構)50及び第2回転機構(別の回転機構)60と、工具マガジン70と、電装ユニット80とを備える。第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30により、後述する主軸11と保持部41とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段としての移動装置200を構成する。
フレーム1は、内部に空洞を有する架台2上に載置されており、図2に示すように、第1フレーム部3と、第1フレーム部3の端部から直角に折り曲げられた第2フレーム部4とから構成される。本実施形態では、第1フレーム部3は、鉛直方向に沿って配置されており、第2フレーム部4は、水平方向に沿って配置されている。
第1移動機構10は、第2移動機構20を介してフレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向(鉛直方向、第1方向)に主軸11を移動可能である。主軸11には、工具12が工具ホルダを介して着脱自在に取り付けられている。主軸11は、モータ13により回転駆動される。第1移動機構10は、モータ14と、Z軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ14の駆動により主軸11を案内軸に沿ってZ軸方向に往復移動(昇降)させる。主軸11は、Z軸支持部材(不図示)を介して案内軸に移動可能に支持されている。案内軸やZ軸支持部材は、カバー17により覆われている。
第2移動機構20は、フレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向に直交するX軸方向(水平方向、第2方向)に第1移動機構10と共に主軸11を移動可能である。第2移動機構20は、モータ21と、X軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ21の駆動により第1移動機構10を案内軸に沿ってX軸方向に往復移動させる。
第3移動機構30は、フレーム1の第2フレーム部4の第2の面4aに支持されており、Z軸方向及びX軸方向に直交するY軸方向(水平方向、第3方向)に支持機構40を移動可能である。第3移動機構30は、モータ(不図示)と、Y軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータの駆動により支持機構40を案内軸に沿ってY軸方向に往復移動させる。
また、第3移動機構30は、第2回転機構60を支持する支持板部31を備えており、支持板部31が案内軸に沿ってY軸方向に往復移動する。図2に示すように、架台2のY軸方向の支持機構40側は開口しており、支持板部31及び支持板部31に支持された第2回転機構60がY軸方向に移動しても架台2と干渉することを防いでいる。そして、第3移動機構30は、詳しくは後述するように、第2回転機構60及び第1回転機構50と共に支持機構40をY軸方向に移動可能である。
支持機構40は、例えば、歯科用補綴物など工具12により切削加工される加工対象物としてのワークWを支持する。このような支持機構40は、ワークWを保持する保持部41と、両端部が第1回転機構50の回転部51にそれぞれ連結され、保持部41を介してワークWを支持する支持部42とを有する。
第1回転機構50は、支持機構40をZ軸方向に直交する回転軸としてのa軸を中心として回転可能である。本実施形態では、a軸は、X軸方向と平行としている。このような第1回転機構50は、回転部51、52を回転自在に支持する支持フレーム53と、回転部51を回転駆動するモータとを有する。支持フレーム53は、支持機構40の周囲を囲むように略コの字型に形成され、モータ及び片側の回転部51を支持する第1支持部53aと、他側の回転部を支持する第2支持部53bと、第1支持部53aと第2支持部53bとを連結する連結部53cとから構成される。
第1支持部53aに支持された回転部51と、第2支持部53bに支持された回転部は、a軸方向に互いに対向するように、且つ、a軸を回転軸として回転可能に配置されている。そして、支持機構40のa軸方向両端部が、それぞれ両側の回転部に支持されている。これにより、第1回転機構50は、支持機構40を、a軸(X軸)を中心として回転可能に支持する。
第1回転機構50は、少なくとも180°回転可能であり、支持機構40に支持されたワークWの表裏を反転可能である。本実施形態では、第1回転機構50は、支持機構40をa軸を中心として360°回転させることができる。なお、a軸の延長線が支持機構40に支持されたワークWの厚さ方向の中心を通るため、回転中心軸であるa軸から表面までの距離とa軸から裏面までの距離は同じである。したがって、ワークWの表裏が反転しても、ワークWの厚さ方向の中心と工具12との位置関係は変わらない。
第2回転機構60は、支持機構40をZ軸方向及びa軸に直交する別の回転軸としてのb軸を中心として回転可能である。本実施形態では、b軸は、Y軸方向と平行としている。このような第2回転機構50は、第1回転機構50の支持フレーム53が取り付けられる回転部と、回転部を回転駆動するモータとを有する。回転部は、支持フレーム53の連結部53cが取り付けられ、モータに回転駆動されることにより支持フレーム53を、b軸を中心として回転可能である。したがって、第2回転機構60は、第1回転機構50と共に支持機構40を、b軸(Y軸)を中心として回転可能に支持する。
工具保持部としての工具マガジン70は、複数の工具を格納可能であり、第1回転機構50に隣接して配置され、支持部材に支持され、この支持部材は第3移動機構30の支持板部31に支持されている。このため、工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40などと共にY軸方向に移動可能である。但し、支持機構40がa軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転せず、支持機構40がb軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転しない。即ち、工具マガジン70は、支持機構40がa軸及びb軸を中心に回転しても所定の姿勢を維持するように、支持部材71に支持されている。工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40など共にY軸方向に移動可能である。
工具マガジン70には、それぞれ工具ホルダ12aと一体に形成された複数種類の工具が保持された状態でY軸方向に沿って複数列並べて配置されている。そして、主軸11に取り付ける工具を交換可能としている。なお、工具ホルダ12aは、主軸11に保持される部分で、工具と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。なお、本実施形態では、工具12をチャック付の工具ホルダ12aに取り付けた上で、主軸11の工具保持用のチャック部が工具ホルダ12aを介して保持する2重チャックの構成となっている。但し、主軸11に直接、工具を取り付けても良い。工具の交換は、作業者が行っても良いし、加工装置100により自動で行っても良い。本実施形態では、自動で工具の交換を行うべく、主軸11による工具の把持と解放を自動で行えるようにしている。
工具の交換を自動で行う場合には、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の工具が入っていない空きスペースを主軸11の下方に移動させる。言い換えれば、主軸11を工具マガジン70に対してXY平面上で相対移動させる。そして、第1移動機構10により主軸11を下降させ(Z軸方向に移動させ)、主軸11に設けられたチャックなどの着脱装置を動作させることで、主軸11に取り付けられている工具12を外して工具マガジン70の空きスペースに配置する。次いで、第1移動機構10により主軸11を上昇させると共に、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置を主軸11の下方に移動させる。そして、再度、第1移動機構10により主軸11を下降させ、着脱装置を動作させることで、主軸11に交換したい工具12を装着する。なお、工具12は、例えば、ドリルやエンドミルである。
電装ユニット80は、フレーム1の内側に取り付けられている。即ち、電装ユニット80は、第1フレーム部3の第1の面3aの反対側で、第2フレーム部4の第2の面4aの反対側に配置されている。
このような電装ユニット80は、加工装置100を制御するもので、図3に示すように、枠体81に制御基板83、各制御部84a、84b、84c、84x、84y、84zが支持されている。制御基板83は、主軸や各軸のモータの駆動を制御する。各制御部84a、84b、84c、84x、84y、84zは、例えば、それぞれ対応するモータのロータリーエンコーダの信号からモータに出力するパルスを演算し、それぞれ対応するモータの回転を適切に制御するものである。
即ち、図2及び図4を参照して説明すると、制御部84aは、第1回転機構50のモータ54を制御して、支持機構40をa軸を中心に回転させる。制御部84bは、第2回転機構60のモータ62を制御して、支持機構40をb軸を中心に傾斜させ、支持機構40の姿勢を決定する。また、制御部84xは、第2移動機構20のモータ21を制御して主軸11をX軸方向に移動させ、主軸11のX軸方向の位置を決定する。制御部84yは、第3移動機構30のモータ32を制御して支持機構40をY軸方向に移動させ、支持機構40のY軸方向の位置を決定する。制御部84zは、第1移動機構10のモータ14を制御して主軸11をZ軸方向に移動させ、主軸11のZ軸方向の位置を決定する。これにより、主軸11と支持機構40のX軸、Y軸、Z軸の相対位置が決定される。
制御部84cは、主軸11を回転駆動するモータ13を制御する。制御部84cは、主軸11に取り付けられた工具12を高速で回転させるため、他の制御部84a、84b、84x、84y、84zよりも大型、高重量になり易い。そこで、本実施形態では、電装ユニット80の枠体81は、制御部の設置スペースを上下に仕切る仕切り部82を有し、仕切り部82の下方に大型で高重量の制御部84cを設け、仕切り部82の上方に小型で軽量の84a、84b、84x、84y、84zを設けるようにしている。
また、制御基板83は、配線等を行い易くするため枠体81の側面に設けるようにしている。但し、これら電装ユニット19の各部の配置は、どのような順番に入れ変えても良い。
また、本実施形態の加工装置100は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC加工装置である。具体的には、パーソナルコンピュータなどの外部端末を用いてCAD/CAMシステムにより加工データを作成し、このデータに基づいて数値制御によりワークWの加工を行う。このために、加工装置100には、加工装置100に指令を行うパーソナルコンピュータなどの外部端末が接続される。なお、加工装置100自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載したコンピュータが設けられていても良い。後述する制御手段は加工装置、加工装置に接続されたコンピュータのどちらに設けられてもよい。
例えば、加工装置100により歯科用補綴物の作成を行う場合、3次元計測器で計測した歯科用補綴物のデータをCAD/CAMシステムに転送し、CAD/CAMシステムにより加工データを作成する。そして、この加工データに基づいて、加工装置100を制御してワークWを工具12により切削加工することで、歯科用補綴物を作成する。
次に、電装ユニット80内の制御構成について、図4を用いて説明する。電装ユニット80は、制御手段であるCPU85、入出力ポート(I/O)86i、各モータの制御部84x、84y、84z、主軸の制御部84c、a軸の制御部84a、b軸の制御部84bなどを備える。CPU85は、入力されたデータや信号に基づいてメモリ86mを用いて各種の演算を行う。
I/O86iは、加工機本体のエアーブロー部87、集塵装置88、タッチセンサ96に接続される。なお、エアーブロー部87は、主軸11に取り付けた工具12にエアーを吹き付けて、工具12を冷却すると共に工具12に付着した切粉を除去するものである。また、工具12から除去した切粉や加工後にワーク保持装置としての第1回転機構50内に存在する切粉などの異物は、ワーク保持装置に設けた切粉吸引部89から吸引され、集塵装置88により集められる。また、先端検出手段としてのタッチセンサ(工具長センサ)96は、後述するように工具12の長さを検出してCPU85に信号を送る。
CPU85に設けた各モータの制御部84x、84y、84zは、CPU85からの指令に基づいてX、Y、Zの各モータを駆動する。各モータ21、32、14には、それぞれ位置検出手段としてのエンコーダ21a、32a、14aを設けている。エンコーダ21a、32a、14aは、例えば、各モータ21、32、14の回転軸の回転回数や回転角度、回転方向を検知する。そして、各モータ21、32、14の駆動により各ステージx、y、zが実際に移動した量(実際の位置、主軸11の保持部41に対する相対位置)を検出する。
主軸制御部84cは、主軸11を回転させる不図示のモータを制御して、主軸(スピンドル)の回転速度を制御する。また、a、b軸の制御部84a、84bは、CPU85からの指令に基づいてa軸、b軸の各モータ54、62を駆動する。これら各モータ54、62にもエンコーダ54a、62aが設けられており、支持機構40のa軸及びb軸を中心とした回転角度を検出可能である。
このようにCPU85により加工装置100の各部を制御することにより、上述のように保持されたワークWに所定の加工を施す。
[工具の交換]
次に、本実施形態における工具12の交換について詳しく説明する。工具12の交換を自動的に行う構成の場合、工具マガジン70の複数の工具12がそれぞれ格納される部分(以下、ポットという)に工具12を検出する工具検出センサを設けることが知られている。即ち、各ポットにそれぞれ工具検出センサを設け、ポット内の工具12の有無を検出するようにしている。具体的には、工具検出センサを以下のような用途で使用する。
次に、本実施形態における工具12の交換について詳しく説明する。工具12の交換を自動的に行う構成の場合、工具マガジン70の複数の工具12がそれぞれ格納される部分(以下、ポットという)に工具12を検出する工具検出センサを設けることが知られている。即ち、各ポットにそれぞれ工具検出センサを設け、ポット内の工具12の有無を検出するようにしている。具体的には、工具検出センサを以下のような用途で使用する。
まず、工具マガジン70からの工具12を取り出し時には、以下の用途で使用される。
(1)取り出し処理を実行する前に、当該ポットが工具格納済みであることの確認。
(2)取り出し処理を実行した後に、当該ポットが工具未格納であることの確認。
(1)取り出し処理を実行する前に、当該ポットが工具格納済みであることの確認。
(2)取り出し処理を実行した後に、当該ポットが工具未格納であることの確認。
次に、工具マガジン70への工具12の格納時には、以下の用途で使用される。
(3)格納処理を実行する前に、当該ポットが工具未格納であることの確認。
(4)格納処理を実行した後に、当該ポットが工具格納済みであることの確認。
(3)格納処理を実行する前に、当該ポットが工具未格納であることの確認。
(4)格納処理を実行した後に、当該ポットが工具格納済みであることの確認。
このような用途に用いられる工具検出センサは、例えば、ポット内への工具12の進入及び退出に応じて揺動するセンサフラグを設け、このセンサフラグの位置をフォトインタラプタで検出する構成を有する。上述したように、工具マガジン70は、ワークWが保持される第1回転機構50に隣接して配置されるため、加工時の切粉などが付着する場合がある。このため、例えば、切粉がフォトインタラプタに付着した場合には、ポットに工具がないのに工具があると工具検出センサが誤検出する虞がある。また、センサフラグのバリによる誤検出が生じる虞もある。更に、加工装置100においてウェット加工をする場合には、工具マガジン70に多量の水がかかるため、センサ部を防水する必要が有り、コストがかかっていた。
以上より、工具マガジン70から工具検出センサを省略する構成が望まれていた。しかしながら、工具検出センサを無くしてしまうと、工具マガジン70の各ポット内に実際に工具が有るか無いか不明になる。例えば、作業者が工具マガジン70のポットに工具を置き忘れ、そのまま加工を開始してしまうと、工具マガジン70の所定のポットから工具を取り出そうとした場合に、空振りし、主軸11へ工具未装着となる。但し、一般的には、その後のタッチセンサ96等によるセンシングにより主軸11への工具未装着は検出できるので問題ない。
一方、主軸11に工具12を掴ませた状態で、作業者が工具マガジン70のポットに工具を置いてしまう場合がある。例えば、主軸11に工具12を掴ませた状態で加工装置100の電源をOFFし、作業者が開閉ドア(安全ドア)102を開けた場合や、加工中に主軸11に工具12を掴ませた状態で一時停止し、作業者が開閉ドア102を開けた場合である。
これらの場合は、工具マガジン70のポットへ工具12が置かれたことを検出するセンサが無く、また、これを防ぐ手段もない。そして、工具マガジン70のポットへ工具12が置かれた後、加工装置100の電源がOFFからONにされる、或いは、加工が一時停止から再開されるなどにより、所定のシーケンスが動き出すと、所定のシーケンスの何れかのタイミングで、主軸11が掴んでいる工具12を工具マガジン70のポットへ戻そうとする。その場合に、戻そうとした工具と格納済みの工具とが干渉し、工具折損だけでなく、加工装置100に不具合が発生する虞がある。そこで、本実施形態では、工具マガジン70に工具検出センサを設けていない構成で、上述のような問題の発生を抑制するように、以下のような制御を行っている。
[工具の格納動作]
上述のように、本実施形態では工具マガジン70に工具検出センサを設けていないため、主軸11に保持している工具12を工具マガジン70の所定位置(その工具12に対応するポット)に格納する格納動作を以下のように行っている。まず、トルク検出手段でもあるCPU85は、移動装置200の動作トルクのトルクリミット値を変更可能である。移動装置200の動作トルクは、例えば、各モータ21、32、14に流れる電流値からCPU85が検出可能である。CPU85は、動作トルクの検出結果及び位置検出手段としてのエンコーダ21a、32a、14aの検出結果に基づいて移動装置200を制御する。
上述のように、本実施形態では工具マガジン70に工具検出センサを設けていないため、主軸11に保持している工具12を工具マガジン70の所定位置(その工具12に対応するポット)に格納する格納動作を以下のように行っている。まず、トルク検出手段でもあるCPU85は、移動装置200の動作トルクのトルクリミット値を変更可能である。移動装置200の動作トルクは、例えば、各モータ21、32、14に流れる電流値からCPU85が検出可能である。CPU85は、動作トルクの検出結果及び位置検出手段としてのエンコーダ21a、32a、14aの検出結果に基づいて移動装置200を制御する。
CPU85は、格納動作の際のトルクリミット値を第1トルクリミット値、通常の加工動作のトルクリミット値を第2トルクリミット値とした場合、第1トルクリミット値を第2トルクリミット値よりも小さく設定して格納動作を行うリミット格納モードを実行可能である。ここで、格納動作は、主軸11に把持された工具12を工具マガジン70の所定位置に格納すべく主軸を所定位置に向けて移動させる動作である。また、加工動作は、工具12により加工対象物であるワークWを加工している動作である。
例えば、加工動作における第2トルクリミット値、即ち、通常のトルクリミット値は、定格トルクの300%に設定されている。即ち、CPU85は、加工中に定格トルクの300%を検出すると、異常が発生したと判断して加工装置100を緊急停止する。一方、リミット格納モードを実行した際の格納動作における第1トルクリミット値は、動作トルクが定格トルクのT%とすると、T+10%である。
通常の加工動作は、定格トルクの100%以下の動作トルクで行われるが、リミット格納モードにおける格納動作は、例えば、定格トルクの5~10%程度で行う。即ち、本実施形態では、リミット格納モードの実行時の格納動作における主軸11の移動速度を、通常の加工動作における主軸11の移動速度よりも遅くしている。そして、リミット格納モードにおける格納動作を、例えば定格トルクの10%(動作トルクT)で行っていた場合には第1トルクリミット値は定格トルクの20%(T+10%)となる。
また、本実施形態では、CPU85は、上述のトルクリミット値の変更に加えて、位置偏差リミット値も変更可能である。ここで、位置偏差とは、位置検出手段としてのエンコーダ21a、32a、14aにより検出された主軸11の位置と、CPU85が移動装置200の各モータ21、32、14に指令した位置とのズレである。位置偏差リミット値は、この位置偏差のリミット値であり、エンコーダ21a、32a、14aにより検出された実際の主軸11の位置が、CPU85からの指令に基づく位置からリミット値以上にずれた場合に、CPU85が異常であると判断する値である。
CPU85は、リミット格納モードにおいて、格納動作の際の位置偏差リミット値を第1位置偏差リミット値、通常の加工動作の位置偏差リミット値を第2位置偏差リミット値とした場合、第1位置偏差リミット値を第2位置偏差リミット値よりも小さく設定する。本実施形態では、CPU85から各モータ21、32、14の制御部84x、84y、84zへの主軸11の移動量に対する指令はパルス単位で行う。例えば、1パルス当たり50nmの移動量である。
加工動作における第2位置偏差リミット値、即ち、通常の位置偏差リミット値は、例えば、1000パルスに設定されている。即ち、CPU85は、主軸11の実際の位置が指令値に対して1000パルスずれていたら、異常が発生したと判断して加工装置100を緊急停止する。一方、リミット格納モードを実行した際の格納動作における第1位置偏差リミット値は、100パルスに設定する。即ち、通常の位置偏差リミット値の1/10に設定している。
[リミット格納モードの具体例]
このような本実施形態のリミット格納モードにおける格納動作の具体例について、図5を用いて説明する。図5は、現在、主軸11に把持された工具12を工具マガジン70のポット(所定位置)に格納する場合に、リミット格納モード(工具重複格納検出動作)をする場合のフローチャートとなる。まず、CPU85は、プログラムが工具格納の指令であった場合、現在、主軸11により把持されている工具12の番号(掴み工具番号)を取得する(S501)。掴み工具番号は、工具マガジン70のポットから工具12を取り出した際に、保存される工具番号である。
このような本実施形態のリミット格納モードにおける格納動作の具体例について、図5を用いて説明する。図5は、現在、主軸11に把持された工具12を工具マガジン70のポット(所定位置)に格納する場合に、リミット格納モード(工具重複格納検出動作)をする場合のフローチャートとなる。まず、CPU85は、プログラムが工具格納の指令であった場合、現在、主軸11により把持されている工具12の番号(掴み工具番号)を取得する(S501)。掴み工具番号は、工具マガジン70のポットから工具12を取り出した際に、保存される工具番号である。
次に、掴み工具番号の工具12が工具長測定済みか否か確認する(S502)。工具長測定とは、例えば、主軸11が工具12を掴んだ状態で、加工装置100に装備してあるタッチセンサ96へ工具12の先端(刃先)を接触させ、その時のZ軸の位置を取得し、パラメータとして保存することである。なお、工具長の測定は、このようなタッチセンサ以外に光学センサを用いて行っても良い。
工具長測定済みか否かの確認方法としては、例えば、工具マガジン70のポットから工具を取り出した後に工具長測定を実施し、その際に、工具ごとに設けられた工具長測定済みフラグをONにしておき、以降、任意の工具に対する工具長測定済みフラグを参照することで、各工具が工具長測定実施済みかを判断する。
工具長測定済みの場合(即ち、工具長が分かっている場合、S502のYES)は、S504へ進む。一方、未測定の場合(工具長が不明の場合、S502のNO)は、工具長測定を実施する(S503)。具体的には、先端検出手段としてのタッチセンサ96は、主軸11に把持された工具12の先端を検出可能である。CPU85は、加工に使用する工具12のZ軸方向の長さである工具長が不明である場合には、格納動作を実行する前に主軸11に把持された工具12の先端をタッチセンサ96により検出することで工具長を測定する。
工具長が分かっている場合、或いは、工具長を測定したら、工具マガジン70のポットへ工具12が格納済みだと想定し、工具マガジン70のポットに格納された工具12の上端位置よりも、現在の掴み工具の工具刃先が所定の距離(以降、第1距離Lとする)だけ上側の位置となるように、各軸を移動させる(S504)。即ち、本実施形態では、工具マガジン70のポットに工具が格納されているかわからないので、リミット格納モードにおいては、このポットに工具が既に格納されていると想定して格納動作を行う。
この点について、図6を用いて説明する。上述の第1距離Lをとるためには、タッチセンサ96へ工具刃先を接触させた際のZ軸の位置(以降Pzとする)と、タッチセンサ96上面からみた工具マガジン70のポットに既に格納してあると想定している工具(格納済み工具)の上端の位置関係(以降Mとする)とが必要となる。
L、M、Pzの位置関係は次のようになる。即ち、ポットに格納された工具上端よりも、所定の距離Lだけ上方向に、掴み工具の工具刃先を位置決めさせる場合は、
主軸11のZ軸の移動位置=Pz+L-M
となる。例えば、第1距離L=4mm、M=1.6mm程度となる。このように、リミット格納モードにおいては、格納動作の前に現在の掴み工具の工具刃先の位置を知るべく、事前に工具長を測定しておく。
主軸11のZ軸の移動位置=Pz+L-M
となる。例えば、第1距離L=4mm、M=1.6mm程度となる。このように、リミット格納モードにおいては、格納動作の前に現在の掴み工具の工具刃先の位置を知るべく、事前に工具長を測定しておく。
上述のように、格納済み工具の上端から第1距離L、Z軸方向に離れた位置に主軸11を移動させたら、主軸11をZ軸方向下方に第1距離Lよりも短い第2距離だけ低速で移動させ、移動中の動作トルク(ここでは、Z軸のモータ14の動作トルク)を測定する(S505)。第2距離とは、例えば、2mmである。
ここで動作トルクを測定する理由は、動作トルクには装置によって差があることと、経年で変化する可能性があるため、トルクリミット値を固定値にできないからである。このときの移動速度は、例えば100mm/minとする。この速度は、後述するS507での移動速度と同等にする。
次に、S505で測定した動作トルクを元に、トルクリミット値及び位置偏差リミット値を通常時よりも下げる(S506)。即ち、トルクリミット値を第1トルクリミット値に、位置偏差リミット値を第1位置偏差リミット値に設定する。ここで設定するトルクリミット値と位置偏差リミット位置は、次述するS507での移動速度においてリミットにかからない値とする。
次に、工具マガジンのポットへ工具が格納済みだと想定し、主軸11をZ軸方向下方に低速で第3距離だけ移動する(S507)。第3距離は、上述の第2距離と合わせて主軸11が第1距離L以上移動する距離である。この時の速度も、例えば100mm/minである。この移動時には、動作トルクの測定及び位置偏差の測定を行う。即ち、リミット格納モードにおける格納動作における主軸11の移動速度、ここでは、Z軸方向の移動速度を、通常の加工動作における主軸11の移動速度よりも遅くし、この移動時に動作トルク及び位置偏差を測定している。これが格納済み工具の検出動作となる。
この検出動作時に、もし、工具マガジン70のポットに工具が格納済みの場合は、主軸11に把持された工具が格納済みの工具に接触し、検出されるZ軸方向の動作トルクと位置偏差の少なくも何れかが第1トルクリミット値又は第1位置偏差リミット値以上となる。即ち、トルクリミット異常或いは位置偏差リミット異常になる。
したがって、CPU85は、リミット格納モードを実行した際に、検出された動作トルクが第1トルクリミット値となった場合には、工具マガジン70のポットに既に工具が格納されていると判断する(S508のYES)。或いは、CPU85、リミット格納モードを実行した際に、エンコーダ14aにより検出された主軸11の位置(ここではZ軸方向の位置)の位置偏差が第1位置偏差リミット値となった場合には、工具マガジン70のポットに既に工具が格納されていると判断する(S508のYES)。
一方、主軸11をZ軸方向下方に低速で第3距離だけ移動しても、動作トルクと位置偏差の何れもリミット値に達しなかった場合(S508のNO)、工具マガジン70のポットに工具が格納されていない、即ち、格納済み工具を検出しなかったと判断できる。格納済み工具を検出しなかった場合は、S506で変更したトルクリミット値と位置偏差リミット値を元に戻す(S509)。即ち、トルクリミット値を第2トルクリミット値に位置偏差リミット値を第2位置偏差リミット値に設定する。そして、引き続き、現在、主軸11が掴んでいる工具の格納動作を続ける(S510)。
S508において、格納済み工具を検出した場合(S508YES)、まず、S506で変更したトルクリミット値と位置偏差リミット値を元に戻す(S511)。そして、CPU85は、エラー処理をする(S512)。例えば、主軸11をZ軸方向に退避させて(ここでは上昇させて)、装置の動作を停止する。或いは、装置に接続されたパーソナルコンピュータのモニタや、装置に設けられたモニタなどにエラーコードの表示などをする。
このように本実施形態では、リミット格納モードにおける格納動作において、トルクリミット値或いは位置偏差リミット値を通常の加工時よりも下げている。このため、主軸11に掴まれた工具が格納済みの工具に軽く接触しただけで、何れかがリミット値に到達し、エラー処理される。また、これと共に、工具マガジン70のポットに既に工具があると判断できる。このように格納動作においてリミット値を下げているため、工具同士の接触による工具の破損や装置の不具合が発生することを防止できる。また、格納動作における移動速度を低くしており、この移動速度に合わせてリミット値も下げているため、格納動作で工具同士が接触しても、より確実に工具の破損や装置の不具合が発生することを防止できる。
[格納動作の選択]
上述したような工具マガジン70のポットに工具12が格納されているか否かが不明となるケースは、限られている。通常、工具マガジン70のポットに工具12を格納した場合、そのポットに工具12が格納済みであると記憶されるためである。一方、作業者が開閉ドア102を開けた場合には、工具マガジン70のポットに工具を置かれる可能性があり、工具マガジン70のポットに工具が格納されているか否かが不明となる。したがって、本実施形態では、工具の格納動作において、上述のリミット格納モードを実行する場合と、通常の格納動作を行う場合とを選択して実行するようにしている。この点について、まず、図7を用いて説明する。
上述したような工具マガジン70のポットに工具12が格納されているか否かが不明となるケースは、限られている。通常、工具マガジン70のポットに工具12を格納した場合、そのポットに工具12が格納済みであると記憶されるためである。一方、作業者が開閉ドア102を開けた場合には、工具マガジン70のポットに工具を置かれる可能性があり、工具マガジン70のポットに工具が格納されているか否かが不明となる。したがって、本実施形態では、工具の格納動作において、上述のリミット格納モードを実行する場合と、通常の格納動作を行う場合とを選択して実行するようにしている。この点について、まず、図7を用いて説明する。
工具の格納動作を行う場合に、毎回、リミット格納モード(工具重複格納検出動作)を実行すると、時間がかかり無駄が多くなる。このため、本実施形態では、電源投入直後か、ユーザに開閉ドア102を開けられて工具12が工具マガジン70のポットに置かれた可能性がある場合のみ、リミット格納モードを実行するようにしている。なお、電源投入直後は、電源OFF時に開閉ドア102が開かれている場合があるなど、工具マガジン70の工具の格納状態が電源OFF前の状態と変わっている可能性が高いため、リミット格納モードを実行するようにしている。
図7は、工具格納動作の選択と実行を示している。装置の電源投入直後か開閉ドア102の開きがあった場合は、工具重複格納チェックありの工具格納動作を選択し、実行する。工具重複格納チェックが不要な場合に工具12を格納する場合は、通常の工具格納動作を選択し、実行する。工具を掴んでいない場合は、工具格納動作を実行しない。
CPU85は、格納動作を実行する場合、まず、主軸11のチャックを閉じられているか否かを判断する(S701)。主軸11のチャックが閉じている場合は(S701のYES)、S702に進む。主軸11のチャックが開いている場合は(S701のNO)、S707にすすむ。
主軸11のチャックが閉じている場合は(S701のYES)、主軸11が工具12を掴んでいる可能性があるので、タッチセンサ96によりセンシングする等により、主軸11が工具12を把持している否か、即ち、主軸11に工具12が装着済みか否かを確認する(S702)。例えば、上述の工具長測定の動作を実行し、正常に測定ができた場合には主軸11に工具12が装着されていると判断する。一方、工具長測定の動作を実行しても、タッチセンサ96等のセンサ部まで工具刃先が届かない場合は、主軸11に工具12が装着されていないと判断して(S702のNO)、S707へ進む。
主軸11が工具12を把持している、即ち、工具装着済みである場合(S702のYES)、CPU85は、電源投入フラグを確認する(S703)。電源投入フラグは、電源投入後に一度だけONするフラグである。この点に関しては、後述の図8を用いて詳しく説明する。電源投入フラグがONの場合はS705へ進み、そうでない場合はS704へ進む。
電源投入フラグがONでない場合(S703のNO)、CPU85は、開閉ドア102が開いているか否か、ここでは、安全ドア開きフラグを確認する(S704)。安全ドア開きフラグは、開閉ドア102が開いたことによりONするフラグである。この点に関しては、後述の図8及び図9を用いて詳しく説明する。安全ドア開きフラグがONの場合はS705へ進み、そうでない場合はS706へ進む。
電源投入フラグがONである場合(S703のYES)、或いは、安全ドア開きフラグがONの場合(S704のYES)、主軸11は工具12を装着しており、電源ON直後か、又は、開閉ドア102を開けられて工具12が工具マガジン70のポットに置かれた可能性があると考えられる。このため、CPU85は、工具重複格納チェックありの工具格納動作、即ち、リミット格納モードを実行する(S705)。
即ち、CPU85は、装置の電源投入後の最初の格納動作を実行する場合には、格納動作をリミット格納モードにより実行する。また、CPU85は、装置の電源投入から格納動作の実行開始までに開閉ドア102の開閉があった場合には、格納動作をリミット格納モードにより実行する。
安全ドア開きフラグがONでない場合(S704のNO)、電源投入直後でもなく、開閉ドア102も開かれていないので、工具12が工具マガジン70のポットに置かれた可能性が低く、工具重複格納チェックは不要と判断できるため、CPU85は、通常の工具格納動作を実行する(S706)。通常の工具格納動作は、上述したように、トルクリミット値や位置偏差リミット値を加工動作の時のリミット値から変更せずに行う格納動作である。即ち、第2トルクリミット値及び第2位置偏差リミット値に設定した状態で行う格納動作である。
なお、S707では、主軸11には工具12が装着されていないので、工具格納動作は実行しない。S705、S706、S707のいずれかを実行後、図7のフローチャートは終了となる。次に、電源投入直後と、加工を一時停止して再開した後の電源投入フラグ及び安全ドア開きフラグについて、図8及び図9を用いて説明する。
[電源投入直後]
まず、電源投入直後の電源投入フラグ及び安全ドア開きフラグについて、図8を用いて説明する。図8は、電源投入後、原点復帰での工具格納動作を示している。CPU85は、主軸11の原点復帰が、加工装置100の電源投入後、初回か否かを判定する(S801)。初回か否かの判断は、例えば、電源投入後の原点復帰が実行された回数をカウントしておき、カウント値=0ならば初回の原点復帰であり、カウント値が1以上の場合は2回目以降の実行と判断できる。初回の場合はS802へ進み、そうでない場合はS803へ進む。
まず、電源投入直後の電源投入フラグ及び安全ドア開きフラグについて、図8を用いて説明する。図8は、電源投入後、原点復帰での工具格納動作を示している。CPU85は、主軸11の原点復帰が、加工装置100の電源投入後、初回か否かを判定する(S801)。初回か否かの判断は、例えば、電源投入後の原点復帰が実行された回数をカウントしておき、カウント値=0ならば初回の原点復帰であり、カウント値が1以上の場合は2回目以降の実行と判断できる。初回の場合はS802へ進み、そうでない場合はS803へ進む。
原点復帰が電源投入後、初回であれば(S801のYES)、CPU85は、電源投入フラグをONする(S802)。次いで、CPU85は、工具格納動作の選択と実行をする(S803)。これは、図7で説明した内容となる。
図7のフローを実行した後、CPU85は、工具格納に成功したかを判定する(S804)。具体的には、図7のフローにおいて、工具重複格納チェックありの工具格納動作(図7のS705)を実行して成功したか、通常の工具格納動作(S706)を実行して成功した場合は、工具格納を成功と判定する。工具格納動作せずの場合(S707)には、エラーではないので成功と判定する。工具格納成功の場合はS805へ進み、そうでない場合はS806へ進む。
工具格納成功の場合(S804のYES)、電源投入フラグをOFFし、安全ドアフラグがオンであればこれもOFFにし(S805)、図8のフローチャートは終了する。工具格納動作が成功した後で、電源投入フラグと安全ドアフラグをOFFにするので、工具格納動作中にエラーが起きた場合は、再度、工具重複格納チェックを用いた工具格納動作を実行することができる。
工具格納に成功していない場合(S804のNO)、CPU85は、開閉ドア102が開いているか否かを判定する(S806)。開閉ドア102が開いている場合は(S806のYES)、図7のフロー(S803)での工具格納中に開閉ドア102が開かれたためエラーになったと判断し、安全ドア開きフラグをONし(S807)、図8のフローチャートは終了する。一方、開閉ドア102が開いていない場合(S806のNO)、そのまま図8のフローチャートは終了する。
[加工再開後]
次に、加工を一時停止して再開した後の安全ドア開きフラグについて、図9を用いて説明する。加工装置100による自動加工中に加工動作が一時停止され、一時停止中に開閉ドア102を開かれる場合がある。この時も、ユーザに開閉ドア102を開けられて工具12が工具マガジン70のポットに置かれた可能性がある。この場合は、開閉ドア102が開かれた履歴を、フラグにより保持しておく。開閉ドア102が開かれたら、フラグをONにセットし、そうでない場合、通常はOFFにしておく。
次に、加工を一時停止して再開した後の安全ドア開きフラグについて、図9を用いて説明する。加工装置100による自動加工中に加工動作が一時停止され、一時停止中に開閉ドア102を開かれる場合がある。この時も、ユーザに開閉ドア102を開けられて工具12が工具マガジン70のポットに置かれた可能性がある。この場合は、開閉ドア102が開かれた履歴を、フラグにより保持しておく。開閉ドア102が開かれたら、フラグをONにセットし、そうでない場合、通常はOFFにしておく。
そして、一時停止状態から加工を再開し、自動加工が進み、主軸11に掴んでいた工具12を格納する場合に、CPU85は、フラグを確認し、フラグがONで開閉ドア102が開かれた履歴があると判断したならば、リミット格納モード(工具重複格納検出動作)が必要だと判断する。フラグがOFFで開閉ドア102が開かれた履歴が無い場合は、通常の工具格納動作を実行する。このフラグは、工具格納動作、または工具取り出し動作でリセットされ、OFFになる。
図9は、加工を一時停止し、再開した後での工具の格納動作のフローを示している。CPU85は、まず、加工の再開指示が入力されたか否かを判定する(S901)。例えば、再開ボタンがユーザにより押された場合に、再開指示が加工装置100に対して出される。再開指示が入力された場合は(S901のYES)、CPU85は、再開処理を行う(S902)。例えば、主軸11及び保持部41の再開する座標位置への移動、NCファイルの再開する行の特定、状態変数の復元を行う。
一方、再開指示が入力されていない場合(S901のNO)、開閉ドア102が開いているかを判定する(S903)。開閉ドア102が開いている場合は(S903のYES)、安全ドア開きフラグをONにし(S904)、S901に戻る。開閉ドア102が開いていない場合は(S903のNO)、そのままS901に戻る。
S902で再開処理が行われた場合、CPU85は、NCファイル(加工指示のプログラム)の終端までシーケンスを実行したかを判定する(S905)。終端の場合は(S905のYES)、図9のフローチャートは終了する。
NCファイルの終端でない場合は(S905のNO)、CPU85は、NCファイルの指示に工具格納の指示があったかを判定する(S906)。工具格納の指示が有った場合は(S906のYES)、工具格納動作の選択と実行をする(908)。これは、図7で説明した内容となる。ここでは、加工動作中に一時停止され、加工動作を再開した後の最初の格納動作を実行する際に、加工動作の停止中に開閉ドア102の開閉があった場合には(S904で安全ドア開きフラグON)、格納動作をリミット格納モードにより実行する。一方、工具格納の支持がなかった場合は(S906のNO)、NCファイルの指示を実行する(S907)。例えば、各軸の移動指示や、主軸の回転指示を実行する。そして、S905に戻る。
工具格納動作の選択と実行を行ったら、即ち、図7のフローを実行した後、CPU85は、工具格納に成功したかを判定する(S909)。具体的には、図7のフローにおいて、工具重複格納チェックありの工具格納動作(図7のS705)を実行して成功したか、通常の工具格納動作(S706)を実行して成功した場合は、工具格納を成功と判定する。工具格納動作せずの場合(S707)には、エラーではないので成功と判定する。工具格納成功の場合はS910へ進み、そうでない場合はS911へ進む。
工具格納成功の場合(S909のYES)、工具格納が正常に完了したため、安全ドア開きフラグがONであればOFFにし(S910)、図9のフローチャートは終了する。
工具格納に成功していない場合(S909のNO)、CPU85は、開閉ドア102が開いているか否かを判定する(S911)。開閉ドア102が開いている場合は(S911のYES)、図7のフロー(S908)での工具格納中に開閉ドア102が開かれたためエラーになったと判断し、安全ドア開きフラグをONし(S912)、図9のフローチャートは終了する。一方、開閉ドア102が開いていない場合(S911のNO)、そのまま図9のフローチャートは終了する。
上述の図7~図9で説明したように、本実施形態では、電源投入直後であるか否かや、開閉ドア102が開いたか否かに応じて、格納動作において、リミット格納モードを実行するか否かを選択している。リミット格納モードは、トルクリミット値などを下げて、低速で主軸11をZ軸方向に移動させる動作を含むため、格納動作に時間がかかってしまう。このため、工具マガジン70のポットにユーザが工具を格納した可能性がないような場合にまでリミット格納モードを実行した場合には、加工装置100による生産性が低下してしまう。したがって、リミット格納モードの実行の有無を適切に選択することで、工具マガジン70に工具検出センサを設けていない構成で、工具の破損や装置の不具合の発生を抑制しつつ、生産性の低下も抑制できる。
なお、上述の説明では、リミット格納モードにおいて、トルクリミット値と位置偏差リミット値の何れも通常の加工動作時に対して低く設定したが、どちらか一方のみを低く設定し、この一方のみのリミット値で格納済み工具の有無の判定を行うようにしても良い。また、上述の説明では、一時停止中または一時停止して再開した後に安全ドアを開いた場合についてのリミット格納モードを行っているが、加工中に安全ドアを開いた場合や、手動操作で工具交換や工具長測定中に安全ドアを開いた場合でもリミット格納モードを行っても良い。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図1ないし図4を参照しつつ、図10ないし図12を用いて説明する。本実施形態は、先端検出手段としてのタッチセンサ96を使用する場合の制御に関するものである。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態について、図1ないし図4を参照しつつ、図10ないし図12を用いて説明する。本実施形態は、先端検出手段としてのタッチセンサ96を使用する場合の制御に関するものである。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、工具格納や取り出しの前後で、タッチセンサ96に工具12の先端を接触させることで、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する動作を行う場合がある。この際、速い速度で工具12をタッチセンサ96に接触させてしまうと、タッチセンサ96や工具12が損傷する虞があるため、工具12を低速でタッチセンサ96に接触させる。但し、工具12をタッチセンサ96に接触させるための全ての動作において工具12を低速移動させるようにした場合、この工程に時間がかかってしまい、生産性が低下してしまう。
特に、第1の実施形態のように、工具マガジン70に工具検出センサを設けていない構成の場合、工具検出センサを設けている構成と比較して、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する頻度が増えると考えられるため、非加工時間であるタッチセンサ96に接触させる工程に係る時間を短縮することが望まれる。そこで、本実施形態では、工具12をタッチセンサ96に接触させるための動作時間を短縮することで非加工時間を削減し、生産効率を向上させるようにしている。
以下、具体的に説明する。加工装置100は、第1の実施形態の説明から明らかなように、主軸11に把持された工具12による加工位置、工具マガジン70の位置、タッチセンサ96の位置は、XY平面上で互いに異なる。したがって、CPU85は、タッチセンサ96を使用する場合には、XY平面上のタッチセンサ96がある位置に向けて主軸11を相対移動させてから、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて移動させる。
ここで、主軸11に把持されている工具12の工具長が分かっていない場合、主軸11をXY平面上のタッチセンサ96がある位置に位置させた場合に、主軸11に把持された工具12の先端とタッチセンサ96との距離は不明である。このため、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて低速で移動させることで、その移動過程で工具12がいつタッチセンサ96に接触しても、工具12やタッチセンサ96が破損しないようにする。
一方、主軸11に把持されている工具12の工具長が既に分かっている場合、例えば、以前にその工具12をタッチセンサ96に接触させて工具長を測定していた場合、主軸11に把持された工具12の先端とタッチセンサ96との距離を算出できる。このため、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて移動させる際に、或る程度の距離を高速で移動させてもその間に工具12の先端がタッチセンサ96に接触することはない。そして、タッチセンサ96に接触する直前で速度を遅くすれば、工具12がタッチセンサ96に接触しても、工具12やタッチセンサ96が破損しないようにできる。
このため、本実施形態では、CPU85は、タッチセンサ96を使用する場合において、工具長が分かっている場合には、XY平面上のタッチセンサ96がある位置に向けて主軸11を相対移動させてから、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて第1速度で移動させた後、第1速度よりも遅い第2速度で移動させるようにしている。ここで、第1速度は、例えば、10000mm/minであり、第2速度は、例えば、100mm/minである。
なお、工具長が分かっていない場合には、XY平面上のタッチセンサ96がある位置に向けて主軸11を相対移動させてから、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて第2速度で移動させるようにしている。
このように工具12の先端をタッチセンサ96に接触させる動作は、例えば、工具12を工具マガジン70から取り出す動作をし、実際に主軸11で工具12を把持しているか否かを確認する場合が考えられる。また、工具12を工具マガジン70に格納した後、実際の工具12を主軸11に格納できたか否か、言い変えれば、主軸11が工具マガジン70のポット上で工具12を解放する動作を行っても、工具12が主軸11に貼りついたままか否かを確認する場合などが考えられる。以下、それぞれの場合について説明する。
[工具の取り出し動作]
図10は、前者の場合、即ち、工具の取り出し動作における制御のフローチャートである。CPU85は、工具マガジン70から工具12を取り出したら、その工具12の工具長が測定済みか否か確認する(S1001)。この点については、図5のS502で説明した場合と同様である。工具長測定を実施済みの場合はS1002へ進み、そうでない場合はS1005へ進む。
図10は、前者の場合、即ち、工具の取り出し動作における制御のフローチャートである。CPU85は、工具マガジン70から工具12を取り出したら、その工具12の工具長が測定済みか否か確認する(S1001)。この点については、図5のS502で説明した場合と同様である。工具長測定を実施済みの場合はS1002へ進み、そうでない場合はS1005へ進む。
工具長が測定済み、即ち、工具長が既に分かっている場合(S1001のYES)、工具12の先端の検出動作を始める前の早送り位置決め動作を行い、工具12の先端がタッチセンサ96近傍へ位置するように、主軸11をZ軸方向に移動する(S1002)。即ち、XY平面上のタッチセンサ96がある位置に向けて主軸11を相対移動させてから、主軸11をZ軸方向に関してタッチセンサ96に向けて、速い速度である第1速度で移動させる。
図11(a)に示すように、即ち、主軸11をXY平面上でタッチセンサ96の上方に例えば、第1の距離L(例えば4mm)に位置決めした状態で(図6参照)、第1速度で主軸11を下降させる。そして、工具12の先端がタッチセンサ96の上方に所定の距離Kmmの位置へ位置決めする。この際、工具長測定を実施した時のタッチセンサ96の上面に工具12の先端が接触した状態でのZ軸方向の位置(Pz)を使い、Pz+Kに主軸11をZ軸方向に位置決めする。即ち、タッチセンサ96からの距離Kまで第1速度で主軸11を移動させる。
ここで、Kの長さが長いと、以降に実施する工具先端の検出動作に時間がかかる。しかし、Kの長さが短すぎると、工具先端の検出動作を開始する前に、タッチセンサ96へ工具12の先端が接触してしまう虞がある。そのため、Kは例えば2mm程度とする。
次に、移動制限量に最小限の移動量を設定する(S1003)。即ち、工具12の先端の検出動作を行う際に、主軸11が工具12を掴んでいない場合がある。このことを検出するために、主軸11が工具12を掴んでいる時は工具12の先端がタッチセンサ96まで到達でき、主軸11が工具12を掴んでいない時は工具12の先端がタッチセンサ96まで到達できないように、検出動作の移動量制限をかけるようにしている。
そこで、S1003では、すでに工具長測定を実施済みなので、タッチセンサ96の上面のすぐ近くから検出動作を行えるため、移動量制限を最小限にすることができる。これにより、主軸11が工具12を掴んでいない場合に、短時間で異常を検出できる。図11(b)を用いて説明する。まず、第1速度で移動した工具12の先端からタッチセンサ96の上面までの移動量をKとし、主軸11が工具12を掴んでいた場合に、工具12の先端がタッチセンサ96の上面を通過した後の移動量をMとすると、合計移動量のK+Mを移動量制限値として設定する。例えば、K=2mm、M=2mmの合計4mm程度である。この移動量が、後述するように第2速度で主軸11をZ軸方向に移動させる距離である。
一方、S1001において、工具長測定が未実施の場合(1001のNO)、主軸11に把持されている工具の長さがわからないので、工具先端の検出動作の開始位置は、使用可能な最長の工具を想定し、その工具でもタッチセンサ96へ届かない位置へ、主軸11のZ軸方向の位置決めを行う(S1005)。この位置は、事前にパラメータ設定などにより決められている。即ち、上述の工具長が分かっている場合のタッチセンサ96の上面からの距離Kよりも更にタッチセンサ96の上面から離れた距離に、主軸11をZ軸方向に位置決めする。したがって、工具長が分かっていない場合には、工具長が分かっている場合よりも、第1速度で移動する距離が短くなる。
次に、工具長測定が未実施の場合の工具の先端の検出動作の移動量制限について、工具12の長さがわからないので、想定している最長の工具12を検出できる移動距離を設定する(S1006)。この位置は、事前にパラメータ設定などにより決められている。
S1003又はS1006において、工具12の先端を検出するための移動距離が設定されたら、工具12の先端の検出動作を実行する(S1004)。即ち、上述のように設定された移動量分、遅い速度である第2速度で主軸11をZ軸方向にタッチセンサ96に向けて移動させる。
そして、CPU85は、第2速度で移動している間に、工具12の先端がタッチセンサ96へ到達したかを判断する(S1007)。工具12の先端がタッチセンサ96に接触した場合は(S1007のYES)、主軸11が工具12を掴んでいると判断し(S1008)、その時の主軸11のZ軸方向の位置を保存し、動作停止する。
一方、工具12の先端がタッチセンサ96に接触しなかった場合は(S1007のNO)、主軸11が工具12を掴んでいないと判断し(S1009)、動作停止する。この際、接続されたパーソナルコンピュータのモニタや装置に設けられたモニタなどに、主軸11に工具12が把持されていない旨の警告を出すようにしても良い。
[工具の格納動作]
次に、上述の後者の場合、即ち、工具の格納動作における制御について、図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、格納動作後に主軸11に工具12が貼り付いているか否かを判定する制御のフローチャートである。CPU85は、工具マガジン70に工具12の格納動作を行ったら、その工具12の工具長が測定済みか否か確認する(S1201)。S1201~1207は、図10のS1001~1007と同じである。
次に、上述の後者の場合、即ち、工具の格納動作における制御について、図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、格納動作後に主軸11に工具12が貼り付いているか否かを判定する制御のフローチャートである。CPU85は、工具マガジン70に工具12の格納動作を行ったら、その工具12の工具長が測定済みか否か確認する(S1201)。S1201~1207は、図10のS1001~1007と同じである。
即ち、CPU85は、工具12を工具マガジン70に格納した後、S1201~1206を実施し、S1207でタッチセンサ96の上面に工具12の先端が接触した場合は(S1207のYES)、主軸11に工具12が貼り付いていると判断し(S1208)、工具貼り付き状態としてエラー停止する。例えば、タッチセンサ96で工具12の先端を検出したら、主軸11をタッチセンサ96の上面から離れるように上昇させて動作を停止し、パーソナルコンピュータのモニタや装置に設けられたモニタなどに、主軸11に工具12が把持されたままである旨の警告を出す。
一方、工具12の先端がタッチセンサ96の上面に接触しなかった場合は(S1207のNO)、主軸11が工具12を正常に工具マガジン70に格納できたと判断し(S1209)、動作を停止する。
上述のように、本実施形態では、例えば、工具12の取り出し動作の後や工具12の格納動作の後に、工具12の先端をタッチセンサ96に接触させて主軸11に工具12が把持されている否かを確認する際に、工具長が分かっている場合とわかっていない場合とで、この時の主軸11がZ軸方向に第1速度で移動する距離を変えている。即ち、工具長が分かっている場合には、よりタッチセンサ96の上面に近い位置まで第1速度で移動させるようにしている。このため、タッチセンサ96を使用する動作を行う際の動作時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、工具マガジン70に工具検出センサを設けていない構成に好ましく適用できるが、工具検出センサを設けた構成に適用しても良い。また、通常、加工に使用する工具12について、一度、タッチセンサ96に接触させれば工具長が分かるため、それ以降は、工具長が分かっている制御を実行でき、生産性の向上をより図れることになる。即ち、主軸11が把持している工具で少なくとも1回、タッチセンサ96が工具12の先端を検出した際のエンコーダ14aにより検出した位置を元に工具12の先端を、タッチセンサ96の近傍に位置決めする。この際の移動速度を第1速度とする。その後、所定の移動量だけ第1速度よりも遅い第2速度で移動し、移動中にタッチセンサ96が工具12の先端を検出したか否かにより、主軸11が工具12を把持しているか、又は、解放しているかを判断する。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図1ないし図4を参照しつつ、図13及び図14を用いて説明する。本実施形態は、ワークWを保持する保持部41が90°以上回転する場合の制御に関するものである。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第3の実施形態について、図1ないし図4を参照しつつ、図13及び図14を用いて説明する。本実施形態は、ワークWを保持する保持部41が90°以上回転する場合の制御に関するものである。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
例えば、ワークWが歯科用補綴物の場合、前歯の歯と歯の間の形状によっては、ディスク状のワークWの表面又は裏面から加工する場合にアンダーカットになり、表面又は裏面のみの加工だけでは当該箇所に削り残りが発生する。この場合、後工程において、作業者が手作業により削り残りを除去するか、加工装置100において削り残りを除去している。
加工装置100において当該箇所の除去を行う場合は、図13に示すように、ディスク状のワークWを全周で固定するのではなく、一部を開放させたC型形状でクランプし、a軸(X軸方向)を中心に90°回転させた位置に移動し、ディスクを立てた状態で真上から加工することで、削り残りを無くす。即ち、第1回転機構50によりワークWをXY平面と平行な位置(本実施形態では水平位置)から90°回転させる。
ところが、a軸を中心に90度回転させた位置では、主軸11をZ軸方向に最大限退避させた位置へ移動していても、工具12の突き出し量が長い場合には、工具12とワークW又はクランプ機構(保持部41)とが干渉し、加工不良、あるいは加工装置100に不具合を発生させる虞がある。特に、加工装置100の小型化を図った場合、主軸11のZ軸方向の移動量が限られ、ワークWから十分に退避できず、工具12の突き出し量が多いとワークが所定角度以上(例えば90°以上)回転する場合に、工具12とワークWが干渉する虞がある。
そこで、本実施形態では、a軸を中心にワークWを所定の角度以上回転させる場合に、工具12とワークWとの干渉を未然に防ぐようにしている。即ち、CPU85は、保持部41を所定の角度以上回転させる指令があった際に、Z軸方向に関して工具12の主軸11からの突き出し量が所定の閾値を超えている場合には、指令を実行せずにエラーとする。例えば、パーソナルコンピュータのモニタや装置に設けられたモニタなどにエラー表示を出す。このエラー表示には、工具12がワークWと干渉する虞がある旨の表示を含んでも良い。
ここで、工具12の突き出し量とは、図11にNで示す長さであり、主軸11のZ軸方向端部(下端)からの突出量である。工具12の突き出し量は、例えば、25mm以上35mm以下など所定の範囲に設定されるもので、工具12の太さ、形状などによってこの範囲で変わるものである。
以下、図14のフローチャートを用いて具体的に説明する。まず、CPU85は、NCファイル(加工指示のプログラム)の終端までシーケンスを実行したかを判定する(S1401)。終端の場合は(S1401のYES)、加工を終了する。NCファイルの終端でない場合(S1401のNO)、CPU85は、指令がワークWをa軸を中心に所定の角度以上回転させる指示か否かを確認する(S1402)。例えば、ワークWの表面が水平位置にある状態に対して+90°或いは-90°回転した位置(即ち、図13に示した位置)となるよう指令か否かを判断する。なお、ワークWが主軸11に把持された工具12に接触する可能性があれば、ワークWの表面がXY平面と平行な位置にある状態に対して+80°(又は+85°)或いは-80°(又は-85°)回転した位置となるような指令か否かを判断するようにしても良い。
また、本実施形態では、ワークWのこの位置を通過するような指令であっても、ワークWの回転動作時にワークWが主軸11に把持された工具12に接触する虞があるため、指令が所定の角度以上回転する指示であるか否かを判断するようにしている。この所定の角度は、例えば、ワークWの表面がXY平面と平行な位置にある状態に対して±80°、±85°、±90°など、ワークWの形状や厚さ、主軸11をZ軸方向にワークWから最も退避させた(上昇させた)位置における工具12の位置を考慮して、加工装置100の種類によって適宜設定される。
指令が所定の角度以上回転させる指示であれば(S1402のYES)、CPU85は、現在、主軸11に把持されている工具12の突き出し量Nを取得する(S1403)。本実施形態では、主軸11に把持されている工具12の工具長の測定値を取得し、その測定値に基づいて突き出し量Nを算出する。工具長の測定値とは、上述したように、工具12の先端をタッチセンサ96により検出させることで測定される値であり、タッチセンサ96へ工具刃先を接触させた際のZ軸の位置(Pz)である。工具長の測定値は、加工前に予めパラメータとして保存してあるか、加工中に工具12を掴んだ後、工具長測定の動作により測定され、パラメータとして保存されている。
工具12の突き出し量Nについては、予め突き出し量がわかっている工具12で、工具長を測定した値をパラメータとして保存しているため、工具長の測定値と突き出し量との関係から工具12の突き出し量Nを算出できる。例えば、下記の突き出し量の工具12における、工具長の測定値を保存しておく。
(1)突き出し量25mmでの工具長の測定値=-14.5m
(2)突き出し量35mmでの工具長の測定値=-4.5mm
(1)突き出し量25mmでの工具長の測定値=-14.5m
(2)突き出し量35mmでの工具長の測定値=-4.5mm
工具12の突き出し量30mmの工具長の測定値は、上記2つの値の平均となるので、-9.5mmと推定できる。仮に、現在、主軸11が掴んでいる工具12の工具長の測定値が-8.5mmとすると、工具突き出し量30mmの工具よりも、1mm早くタッチセンサ96が工具の先端を検出するので、工具の突き出し量Nは31mmだと算出できる。
S1403で工具12の突き出し量Nを取得したら、この工具12の突き出し量Nと、所定の閾値とを比較する(S1404)。所定の閾値は、本実施形態では30mmとする。そして、突き出し量Nが所定の閾値を超えていれば(S1404のYES)、CPU85は、エラー処理を行う(S1405)。例えば、現在、主軸11が掴んでいる工具12の突き出し量が31mmの場合は、所定の閾値を超えているので、エラー処理を行う。一方、突き出し量Nが所定の閾値以下であれば、(S1404のNO)、通常通り、NC加工を継続し(S1406)、S1401へ戻る。なお、S1402で、指令がワークWをa軸を中心に所定の角度以上回転させる指示でない場合も(S1402のNO)、通常通り、NC加工を継続し(S1406)、S1401へ戻る。
以上のように、ワークWをa軸を中心に所定の角度以上回転させる指示を受け、工具12の突き出し量Nが所定の閾値を超えている場合には、その指令を実行せずにエラー処理を行い、これ以外の場合に加工を継続するようにしている。このため、工具12とワークWが干渉することを防止できる。
なお、ワークWをこのような角度で加工することは稀であり、通常、NCファイルのプログラムにこのような動作を入れないが、この動作が必要な場合もある。したがって、上述のようなエラー処理がなされた場合、作業者は、工具の突き出し量を調整して、突き出し量Nを所定の閾値以下とすることで、加工を最初からやり直し、加工を正常に完了することが可能である。
<他の実施形態>
本発明は、上述の加工装置100の制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムであっても良い。言い換えれば、上述した各実施形態に記載の動作を加工装置100に行わせるための制御をコンピュータに実行させるプログラムであっても良い。また、本発明は、上述した各実施形態の制御を行う加工装置の制御方法であっても良い。即ち、本発明の加工装置の制御方法は、工具12が取り付けられる主軸11を移動装置200によって移動させながら工具12により加工対象物としてのワークWを加工する際の制御方法である。そして、この制御方法では、主軸11を移動させて工具12を工具マガジン70に格納動作するに際し、移動装置200の動作トルクのトルクリミット値及び位置偏差リミット値の少なくともいずれか一方をワークWを加工している加工動作の際の値よりも小さく変更して格納動作を実行するように加工装置100を制御する。
本発明は、上述の加工装置100の制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムであっても良い。言い換えれば、上述した各実施形態に記載の動作を加工装置100に行わせるための制御をコンピュータに実行させるプログラムであっても良い。また、本発明は、上述した各実施形態の制御を行う加工装置の制御方法であっても良い。即ち、本発明の加工装置の制御方法は、工具12が取り付けられる主軸11を移動装置200によって移動させながら工具12により加工対象物としてのワークWを加工する際の制御方法である。そして、この制御方法では、主軸11を移動させて工具12を工具マガジン70に格納動作するに際し、移動装置200の動作トルクのトルクリミット値及び位置偏差リミット値の少なくともいずれか一方をワークWを加工している加工動作の際の値よりも小さく変更して格納動作を実行するように加工装置100を制御する。
11・・・主軸
21a、32a、14a・・・エンコーダ(位置検出手段)
41・・・保持部
50・・・第1回転機構(回転手段)
70・・・工具マガジン
85・・・CPU(制御手段、トルク検出手段)
96・・・タッチセンサ(先端検出手段)
100・・・加工装置
101・・・外装カバー
102・・・開閉ドア
200・・・移動装置(移動手段)
W・・・ワーク(加工対象物)
21a、32a、14a・・・エンコーダ(位置検出手段)
41・・・保持部
50・・・第1回転機構(回転手段)
70・・・工具マガジン
85・・・CPU(制御手段、トルク検出手段)
96・・・タッチセンサ(先端検出手段)
100・・・加工装置
101・・・外装カバー
102・・・開閉ドア
200・・・移動装置(移動手段)
W・・・ワーク(加工対象物)
Claims (16)
- 工具を把持する主軸と、
工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、
前記主軸の前記保持部に対する相対位置を検出する位置検出手段と、
前記移動手段の動作トルクを検出するトルク検出手段と、
前記位置検出手段及び前記トルク検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記移動手段の動作トルクのトルクリミット値を変更可能であり、前記主軸に把持された工具を前記工具マガジンの所定位置に格納すべく前記主軸を前記所定位置に向けて移動させる格納動作の際の前記トルクリミット値である第1トルクリミット値を、工具により加工対象物を加工している加工動作の際の前記トルクリミット値である第2トルクリミット値よりも小さく設定して、前記格納動作を実行するリミット格納モードを実行可能であることを特徴とする加工装置。 - 前記制御手段は、前記リミット格納モードの実行時の前記格納動作における前記主軸の移動速度を、前記加工動作における前記主軸の移動速度よりも遅くすることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
- 前記制御手段は、前記リミット格納モードを実行した際に、前記トルク検出手段により検出された動作トルクが前記第1トルクリミット値となった場合には、前記所定位置に既に工具が格納されていると判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
- 前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記主軸の位置と、前記制御手段が前記移動手段に指令した位置との位置偏差のリミット値である位置偏差リミット値を変更可能であり、前記リミット格納モードにおいて、前記格納動作の際の前記位置偏差リミット値である第1位置偏差リミット値を、前記加工動作の際の前記位置偏差リミット値である第2位置偏差リミット値よりも小さく設定することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の加工装置。
- 前記制御手段は、前記リミット格納モードを実行した際に、前記位置検出手段により検出された前記主軸の位置の位置偏差が前記第1位置偏差リミット値となった場合には、前記所定位置に既に工具が格納されていると判断することを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
- 工具を把持する主軸と、
工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、
前記主軸の位置を検出する位置検出手段と、
前記移動手段の動作トルクを検出するトルク検出手段と、
前記位置検出手段及び前記トルク検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された前記主軸の位置と、前記制御手段が前記移動手段に指令した位置との位置偏差のリミット値である位置偏差リミット値を変更可能であり、前記主軸に把持された工具を前記工具マガジンの所定位置に格納すべく前記主軸を前記所定位置に向けて移動させる格納動作の際の前記位置偏差リミット値である第1位置偏差リミット値を、工具により加工対象物を加工している加工動作の際の前記位置偏差リミット値である第2位置偏差リミット値よりも小さく設定して、前記格納動作を実行するリミット格納モードを実行可能であることを特徴とする加工装置。 - 前記主軸及び前記工具マガジンが内部に配置され、工具による加工空間を形成する外装カバーを備え、
前記外装カバーは、前記加工空間にアクセス可能な開閉ドアを有し、
前記制御手段は、装置の電源投入後の最初の前記格納動作を実行する場合には、前記格納動作を前記リミット格納モードにより実行することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の加工装置。 - 前記制御手段は、前記装置の電源投入から前記格納動作の実行開始までに前記開閉ドアの開閉があった場合には、前記格納動作を前記リミット格納モードにより実行することを特徴とする請求項7に記載の加工装置。
- 前記制御手段は、加工動作中に一時停止され、前記加工動作を再開した後の最初の前記格納動作を実行する際に、前記加工動作の停止中に前記開閉ドアの開閉があった場合には、前記格納動作を前記リミット格納モードにより実行することを特徴とする請求項7又は8に記載の加工装置。
- 前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、を備え、
前記制御手段は、加工に使用する工具のZ軸方向の長さである工具長が不明である場合には、前記格納動作を実行する前に前記主軸に把持された工具の先端を前記先端検出手段により検出することで前記工具長を測定することを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の加工装置。 - 前記主軸に把持された工具による加工位置、前記工具マガジンの位置、前記先端検出手段の位置は、XY平面上で互いに異なり、
前記制御手段は、前記先端検出手段を使用する場合において、前記工具長が分かっている場合には、XY平面上の前記先端検出手段がある位置に向けて前記主軸を相対移動させてから、前記主軸をZ軸方向に関して前記先端検出手段に向けて第1速度で移動させた後、前記第1速度よりも遅い第2速度で移動させることを特徴とする請求項10に記載の加工装置。 - 前記制御手段は、前記先端検出手段を使用する場合において、前記工具長が分かっていない場合には、前記工具長が分かっている場合よりも、前記第1速度で移動する距離を短くすることを特徴とする請求項11に記載の加工装置。
- 前記保持部をX軸を中心に回転させる回転手段を備え、
前記制御手段は、前記保持部を所定の角度以上回転させる指令があった際に、Z軸方向に関して前記工具の前記主軸からの突き出し量が所定の閾値を超えている場合には、前記指令を実行せずにエラーとすることを特徴とする請求項1ないし12の何れか1項に記載の加工装置。 - 工具を把持する主軸と、
工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、
前記主軸の位置を検出する位置検出手段と、
前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記主軸に把持された工具による加工位置、前記工具マガジンの位置、前記先端検出手段の位置は、XY平面上で互いに異なり、
前記制御手段は、前記先端検出手段を使用する場合において、加工に使用する工具のZ軸方向の長さである工具長が分かっている場合には、XY平面上の前記先端検出手段がある位置に向けて前記主軸を移動させてから、前記主軸をZ軸方向に関して前記先端検出手段に向けて第1速度で移動させた後、前記第1速度よりも遅い第2速度で移動させることを特徴とする加工装置。 - 請求項1ないし14の何れか1項に記載の加工装置の前記制御手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
- 工具が取り付けられる主軸を移動手段によって移動させながら前記工具により加工対象物を加工する加工装置の制御方法であって、前記主軸を移動させて前記工具を工具マガジンに格納動作するに際し、前記移動手段の動作トルクのトルクリミット値及び位置偏差リミット値の少なくともいずれか一方を加工対象物を加工している加工動作の際の値よりも小さく変更して前記格納動作を実行することを特徴とする加工装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021041830A JP2022141496A (ja) | 2021-03-15 | 2021-03-15 | 加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラム |
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JP7442704B1 (ja) | 2023-02-09 | 2024-03-04 | Dmg森精機株式会社 | 工作機械、情報処理装置および制御プログラム |
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