JP2022140993A - 電流検出回路、半導体装置 - Google Patents

電流検出回路、半導体装置 Download PDF

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Makoto Sada
徹 宅間
Toru TAKUMA
貴如 指宿
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Abstract

【課題】レイアウト面積の小さい電流検出回路を提供する。【解決手段】電流検出回路OCPは、パワートランジスタM10と同期して動作するように構成されたセンストランジスタM11と、センストランジスタM11に流れるセンス電流I1をセンス電圧V1に変換するように構成されたセンス抵抗R1と、を有する。センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11は、パワートランジスタM10の半導体基板上におけるゲートサイズG10よりも小さい。また、センストランジスタM11の実効ゲートサイズG11’は、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11よりも小さい。例えば、センストランジスタM11をゲート分割トランジスタとし、一方のゲート・ソース間をショートしてもよい。このとき、G11とG11’との比は5以上としてもよい。【選択図】図14

Description

本明細書中に開示されている発明は、電流検出回路、及び、これを用いた半導体装置に関する。
本願出願人は、以前より、電流検出回路(例えば過電流保護回路)に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
特開2009-099828号公報
しかしながら、従来の電流検出回路は、レイアウト面積を縮小する余地があった。
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、レイアウト面積の小さい電流検出回路、及び、これを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
例えば、本明細書中に開示されている電流検出回路は、パワートランジスタと同期して動作するように構成されたセンストランジスタと、前記センストランジスタに流れるセンス電流をセンス電圧に変換するように構成されたセンス抵抗と、を有し、前記センストランジスタの半導体基板上におけるゲートサイズは、前記パワートランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さく、前記センストランジスタの実効ゲートサイズは、前記センストランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さい構成とされている。
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
本明細書中に開示されている発明によれば、レイアウト面積の小さい電流検出回路、及び、これを用いた半導体装置を提供することが可能となる。
図1は、半導体装置を1つの方向から見た斜視図である。 図2は、半導体装置の電気的構造を示すブロック回路図である。 図3は、半導体装置の通常動作及びアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。 図4は、主要な電気信号の波形図である。 図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。 図6は、アクティブクランプ耐量及び面積抵抗率の関係を実測によって調べたグラフである。 図7は、半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。 図8は、半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。 図9は、半導体装置の第1実施形態(=アクティブクランプ動作時にパワーMISFETの第1Half-ON制御を行うための回路構成)を示す図である。 図10は、図9のパワーMISFETを第1MISFET及び第2MISFETとして表した等価回路図である。 図11は、図9におけるゲート制御回路及びアクティブクランプ回路の一構成例を示す回路図である。 図12は、半導体装置において、アクティブクランプ動作時にパワーMISFET9の第1Half-ON制御が行われる様子を示すタイミングチャートである。 図13は、過電流保護回路の第1例を示す図である。 図14は、過電流保護回路の第2例を示す図である。 図15は、ゲート分割トランジスタの実効ゲートサイズを示す図である。 図16は、センス抵抗の面積削減率を示す図である。 図17は、半導体装置の第2実施形態を示す図である。 図18は、パワートランジスタとは異なるチャネル構造を持つ単一ゲート型のセンストランジスタの一例を示す断面斜視図である。 図19は、車両の一構成例を示す外観図である。
<半導体装置>
以下では、添付図面を参照して、半導体装置に関する種々の実施形態を説明する。
図1は、半導体装置1を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1がローサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明する。
図1を参照して、半導体装置1は、半導体層2を含む。半導体層2はシリコンを含む。半導体層2は、直方体形状のチップ状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、並びに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A,5B,5C,5Dを有している。
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。側面5Aおよび側面5Cは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。側面5Bおよび側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
半導体層2には、出力領域6および入力領域7が設定されている。出力領域6は、側面5C側の領域に設定されている。入力領域7は、側面5A側の領域に設定されている。平面視において、出力領域6の面積SOUTは、入力領域7の面積SIN以上である(SIN≦SOUT)。
面積SINに対する面積SOUTの比SOUT/SINは、1以上10以下であってもよい(1<SOUT/SIN≦10)。比SOUT/SINは、1以上2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。入力領域7の平面形状および出力領域6の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。むろん、比SOUT/SINは、0を超えて1未満であってもよい。
出力領域6は、絶縁ゲート型のパワートランジスタの一例として、パワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)9を含む。パワーMISFET9は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。
入力領域7は、制御回路の一例としてのコントロールIC(Integrated Circuit)10を含む。コントロールIC10は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいてパワーMISFET9を駆動制御するゲート制御信号を生成する回路を含む。コントロールIC10は、パワーMISFET9と共に所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。なお、IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
入力領域7は、領域分離構造8によって出力領域6から電気的に絶縁されている。図1では、領域分離構造8がハッチングによって示されている。具体的な説明は省略するが、領域分離構造8は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有してもよい。
半導体層2の上には、複数(この形態では3つ)の電極11,12,13が形成されている。図1では、ハッチングによって複数の電極11~13が示されている。複数の電極11~13は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等によって外部接続される端子電極として形成されている。複数の電極11~13の個数、配置及び平面形状は任意であり、図1に示される形態に限定されない。
複数の電極11~13の個数、配置および平面形状は、パワーMISFET9の仕様及びコントロールIC10の仕様に応じて調整される。複数の電極11~13は、この形態では、ドレイン電極11(出力電極)、ソース電極12(基準電圧電極)および入力電極13を含む。
ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4の上に形成されている。ドレイン電極11は、パワーMISFET9によって生成された電気信号を外部に伝達する。
ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層またはAl層を含む単層構造を有していてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
ソース電極12は、第1主面3において出力領域6の上に形成されている。ソース電極12は、パワーMISFET9及びコントロールIC10の各種機能回路に基準電圧(たとえばグランド電圧)を提供する。
入力電極13は、第1主面3において入力領域7の上に形成されている。入力電極13は、コントロールIC10を駆動するための入力電圧を伝える。
半導体層2の上には、制御配線の一例としてのゲート制御配線17がさらに形成されている。ゲート制御配線17は、出力領域6及び入力領域7に選択的に引き回されている。ゲート制御配線17は、出力領域6においてパワーMISFET9のゲートに電気的に接続され、入力領域7においてコントロールIC10に電気的に接続されている。
ゲート制御配線17は、コントロールIC10によって生成されたゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御信号は、オン信号Vonおよびオフ信号Voffを含み、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。
オン信号Vonは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも高い(Vth<Von)。オフ信号Voffは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vthよりも低い(Voff<Vth)。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
ゲート制御配線17は、この形態では、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、互いに電気的に絶縁されている。
この形態では、2つの第1ゲート制御配線17Aが異なる領域に引き回されている。また、2つの第2ゲート制御配線17Bが異なる領域に引き回されている。また、2つの第3ゲート制御配線17Cが異なる領域に引き回されている。
第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、同一のまたは異なるゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御配線17の個数、配置、形状等は任意であり、ゲート制御信号の伝達距離及び伝達すべきゲート制御信号の数に応じて調整される。
ソース電極12、入力電極13及びゲート制御配線17は、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、アルミニウム合金及び銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13及びゲート制御配線17は、Al-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、及び、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13及びゲート制御配線17は、同一種の電極材料を含んでいてもよいし、互いに異なる電極材料を含んでいてもよい。
図2は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では半導体装置1が車に搭載される場合を例にとって説明する。
半導体装置1は、出力電極としてのドレイン電極11、基準電圧電極としてのソース電極12、入力電極13、ゲート制御配線17、パワーMISFET9およびコントロールIC10を含む。
ドレイン電極11は、パワーMISFET9のドレインに電気的に接続されている。ドレイン電極11は、負荷に接続される。ソース電極12は、パワーMISFET9のソースに電気的に接続されている。ソース電極12は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に基準電圧を提供する。
入力電極13は、MCU[Micro Controller Unit]、DC/DCコンバータ、LDO[Low Drop Out]等に接続されてもよい。入力電極13は、コントロールIC10に入力電圧を提供する。パワーMISFET9のゲートは、ゲート制御配線17を介してコントロールIC10(後述のゲート制御回路25)に接続されている。
コントロールIC10は、この形態では、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25およびアクティブクランプ回路26を含む。
電流・電圧制御回路23は、ソース電極12、入力電極13、保護回路24およびゲート制御回路25に接続されている。電流・電圧制御回路23は、入力電極13からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路30、第1定電圧生成回路31、第2定電圧生成回路32および基準電圧・基準電流生成回路33を含む。
駆動電圧生成回路30は、ゲート制御回路25を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧生成回路30により生成された駆動電圧は、ゲート制御回路25に入力される。
第1定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路31は、ツェナーダイオードまたはレギュレータ回路を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路24(たとえば過電流保護回路34)に入力される。
第2定電圧生成回路32は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路32は、ツェナーダイオードまたはレギュレータ回路を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路24(たとえば過熱保護回路36)に入力される。
基準電圧・基準電流生成回路33は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧及び基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧及び基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路25およびパワーMISFET9のソースに接続されている。保護回路24は、過電流保護回路34および過熱保護回路36を含む。
過電流保護回路34は、過電流からパワーMISFET9を保護する。過電流保護回路34は、ゲート制御回路25に接続されている。過電流保護回路34は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路34によって生成された信号は、ゲート制御回路25(より具体的には、後述する駆動信号出力回路40)に入力される。
過熱保護回路36は、過度な温度上昇からパワーMISFET9を保護する。過熱保護回路36は、電流・電圧制御回路23に接続されている。過熱保護回路36は、半導体装置1の温度を監視する。過熱保護回路36は、感温ダイオードまたはサーミスタ等の感温デバイスを含んでいてもよい。過熱保護回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワーMISFET9のゲートに接続されている。
ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、ゲート制御配線17の個数に応じた複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートに入力される。
ゲート制御回路25は、具体的に述べると、入力電極13に印加された電気信号(入力信号)に応じて複数のゲート制御信号を一括制御することによりパワーMISFET9をオン/オフする一方、アクティブクランプ回路26の動作時にパワーMISFET9のオン抵抗を引き上げるように複数のゲート制御信号を個別制御する機能を備えている(詳細については後述)。
ゲート制御回路25は、より具体的には、発振回路38、チャージポンプ回路39および駆動信号出力回路40を含む。発振回路38は、電流・電圧制御回路23からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路38によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路39に入力される。チャージポンプ回路39は、発振回路38からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路39によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路40に入力される。
駆動信号出力回路40は、チャージポンプ回路39からの電気信号および保護回路24(より具体的には、過電流保護回路34)からの電気信号に応じて複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートに入力される。これにより、パワーMISFET9が駆動制御される。
アクティブクランプ回路26は、逆起電力からパワーMISFET9を保護する。アクティブクランプ回路26は、ドレイン電極11、パワーMISFET9のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路26は、複数のダイオードを含んでいてもよい。
アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに順バイアス接続された複数のダイオード、および、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。
複数のダイオードは、pn接合ダイオード、または、ツェナーダイオード、もしくは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続されたツェナーダイオードおよびpn接合ダイオードを含んでいてもよい。
図3は、図1に示す半導体装置1の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。図4は、図3に示す回路図に適用される主要な電気信号の波形図である。
ここでは、パワーMISFET9のドレインに誘導性負荷Lが接続された回路例を用いて、半導体装置1の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明する。ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)を利用したデバイスが、誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、L負荷とも称される。
図3を参照して、パワーMISFET9のソースは、グランドに接続されている。パワーMISFET9のドレインは、誘導性負荷Lに電気的に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびドレインは、アクティブクランプ回路26に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびソースは、抵抗Rに接続されている。アクティブクランプ回路26は、この回路例では、互いにバイアス接続されたk個(kは自然数)のツェナーダイオードDZを含む。
図3と図4を参照し、オフ状態のパワーMISFET9のゲートにオン信号Vonが入力されると、パワーMISFET9がオフ状態からオン状態に切り替わる(通常動作)。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦Von)の電圧を有している。パワーMISFET9は、所定のオン時間TONだけ、オン状態に維持される。
パワーMISFET9がオン状態に切り替わると、ドレイン電流IDが、パワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ始める。ドレイン電流IDは、パワーMISFET9のオン時間TONに比例して増加する。誘導性負荷Lは、ドレイン電流IDの増加に起因して誘導性エネルギを蓄積させる。
パワーMISFET9のゲートにオフ信号Voffが入力されると、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(Voff<Vth)を有している。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。パワーMISFET9がオフ状態に切り替わると、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、逆起電力としてパワーMISFET9に印加される。
これにより、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になる(アクティブクランプ動作)。パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、ドレイン電圧VDSが、クランプ電圧VDSSCLまで急激に上昇する。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSSを超えた場合(VDSS<VDSSCL)、パワーMISFET9は破壊に至る。パワーMISFET9は、クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下(VDSSCL≦VDSS)になるように設計される。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下の場合(VDSSCL≦VDSS)、逆方向電流IZが、アクティブクランプ回路26に流れる。これにより、アクティブクランプ回路26の端子間に制限電圧VLが形成される。制限電圧VLは、この形態では、アクティブクランプ回路26におけるツェナーダイオードDZの端子間電圧VZの総和(VL=k・VZ)である。
また、逆方向電流IZは、抵抗Rを通過してグランドに至る。これにより、抵抗Rの端子間に端子間電圧VRが形成される。抵抗Rの端子間電圧VR(=IZ×R)は、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦VR)に調整される。端子間電圧VRは、クランプオン電圧VCLPとしてパワーMISFET9のゲート・ソース間に印加される。従って、パワーMISFET9は、アクティブクランプ状態においてオン状態を維持する。クランプオン電圧VCLP(端子間電圧VR)は、オン信号Von未満の電圧を有していてもよい。
これにより、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、パワーMISFET9で消費(吸収)される。ドレイン電流IDは、アクティブクランプ時間TAVを経て、パワーMISFET9のオフ直前のピーク値IAVからゼロに減少する。これにより、ゲート電圧VGSがグランド電圧になり、ドレイン電圧VDSが電源電圧VBになり、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。
パワーMISFET9のアクティブクランプ耐量Eacは、アクティブクランプ動作時における耐量によって定義される。アクティブクランプ耐量Eacは、より具体的には、パワーMISFET9のオン状態からオフ状態への遷移時において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対する耐量によって定義される。
アクティブクランプ耐量Eacは、さらに具体的には、図3の回路例で明らかにされたように、クランプ電圧VDSSCLに起因して生じるエネルギに対する耐量によって定義される。
オン抵抗及びアクティブクランプ耐量は、一例として、トランジスタのチャネルの面積によって調整される。チャネルの面積を増加させた場合、通常動作時において電流経路を増加させることができるから、オン抵抗を低下させることができる。しかし、この場合、アクティブクランプ動作時において逆起電力に起因する急激な温度上昇によってアクティブクランプ耐量が低下する。
反対に、チャネルの面積を減少させた場合、通常動作時において電流経路が縮小するから、オン抵抗が増加する。しかし、この場合、アクティブクランプ動作時において逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量を向上させることができる。このように、チャネルの面積に基づく調整法にはトレードオフの関係が存在するため、低オン抵抗及び高アクティブクランプ耐量を両立することは困難である。
以下では、このようなトレードオフを解消することのできるパワーMISFETの新規な構造について提案する。
<パワーMISFET(ゲート分割型)>
図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。なお、本図では、説明の便宜上、第1主面3の上部構造(ソース電極12及びゲート制御配線17、並びに、層間絶縁層など)を省略している。
本図の半導体装置1において、半導体層2は、この形態では、n型の半導体基板51およびn型のエピタキシャル層52を含む積層構造を有している。半導体基板51によって半導体層2の第2主面4が形成されている。エピタキシャル層52によって半導体層2の第1主面3が形成されている。半導体基板51およびエピタキシャル層52によって半導体層2の側面5A~5Dが形成されている。
エピタキシャル層52は、半導体基板51のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有する。半導体基板51のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。エピタキシャル層52のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
エピタキシャル層52は、半導体基板51の厚さTsub未満の厚さTepi(Tepi<Tsub)を有している。厚さTsubは、50μm以上450μm以下であってもよい。厚さTsubは、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、又は、350μm以上450μm以下であってもよい。
厚さTsubを低減させることにより、抵抗値を低減できる。厚さTsubは、研削によって調整される。この場合、半導体層2の第2主面4は、研削痕を有する研削面であってもよい。
エピタキシャル層52の厚さTepiは、厚さTsubの1/10以下であることが好ましい。厚さTepiは、5μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
半導体基板51は、ドレイン領域53として半導体層2の第2主面4側に形成されている。エピタキシャル層52は、ドリフト領域54(ドレインドリフト領域)として半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。ドリフト領域54の底部は、半導体基板51およびエピタキシャル層52の境界によって形成されている。以下、エピタキシャル層52をドリフト領域54という。
出力領域6において半導体層2の第1主面3の表層部には、p型のボディ領域55が形成されている。ボディ領域55は、パワーMISFET9の基礎となる領域である。ボディ領域55のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
ボディ領域55は、ドリフト領域54の表層部に形成されている。ボディ領域55の底部は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
パワーMISFET9は、第1MISFET56(第1トランジスタ)および第2MISFET57(第2トランジスタ)を含む。第1MISFET56は、第2MISFET57から電気的に分離されており、独立して制御される。第2MISFET57は、第1MISFET56から電気的に分離されており、独立して制御される。
つまり、パワーMISFET9は、第1MISFET56及び第2MISFET57の双方がオン状態において駆動するように構成されている(Full-ON制御)。また、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオン状態である一方で第2MISFET57がオフ状態で駆動するように構成されている(第1Half-ON制御)。更に、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオフ状態である一方で第2MISFET57がオン状態で駆動するように構成されている(第2Half-ON制御)。
Full-ON制御の場合、全ての電流経路が解放された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に低下する。一方、第1Half-ON制御または第2Half-ON制御の場合、一部の電流経路が遮断された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に増加する。
第1MISFET56は、具体的には複数の第1FET(Field Effect Transistor)構造58を含む。複数の第1FET構造58は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数の第1FET構造58は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
図5では第1FET構造58の一端部側の領域を図示し、第1FET構造58の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第1FET構造58の他端部側の領域の構造は、第1FET構造58の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第1FET構造58の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第1FET構造58は、この形態では、第1トレンチゲート構造60を含む。第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、第1トレンチゲート構造60が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第1幅WT1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、一方側の第1側壁61、他方側の第2側壁62、ならびに、第1側壁61および第2側壁62を接続する底壁63を含む。以下では、第1側壁61、第2側壁62および底壁63を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁61が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁62が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第1トレンチゲート構造60は、断面視において第1主面3側から底壁63側に向けて第1幅WT1が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第1間隔IT1を空けて第1主面3側の領域に位置している。第1間隔IT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第1間隔IT1は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
第2MISFET57は、この形態では、複数の第2FET構造68を含む。複数の第2FET構造68は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。
複数の第2FET構造68は、複数の第1FET構造58と同一方向に沿って延びている。複数の第2FET構造68は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。複数の第2FET構造68は、この形態では、1個の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されている。
図5では第2FET構造68の一端部側の領域を図示し、第2FET構造68の他端部側の領域の図示を省略している。なお、第2FET構造68の他端部側の領域の構造は、第2FET構造68の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
各第2FET構造68は、この形態では、第2トレンチゲート構造70を含む。第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
なお、第2幅WT2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1以上(WT1≦WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1以下(WT1≧WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1と等しい(WT1=WT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1以上(DT1≦DT2)であってもよい。第2深さDT2は、第1深さDT1以下(DT1≧DT2)であってもよい。なお、第2深さDT2は、第1深さDT1と等しい(DT1=DT2)ことが好ましい。
第2トレンチゲート構造70は、一方側の第1側壁71、他方側の第2側壁72、ならびに、第1側壁71および第2側壁72を接続する底壁73を含む。以下では、第1側壁71、第2側壁72および底壁73を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁71が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁72が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第2トレンチゲート構造70は、断面視において第1主面3側から底壁73側に向けて第2幅WT2が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第2間隔IT2を空けて第1主面3側の領域に位置している。第2間隔IT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、又は、8μm以上10μm以下であってもよい。第2間隔IT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
複数の第1トレンチゲート構造60および複数の第2トレンチゲート構造70の間の領域には、セル領域75がそれぞれ区画されている。複数のセル領域75は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数のセル領域75は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70と同一方向に沿って延びている。複数のセル領域75は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の外壁からは、ドリフト領域54の内部に第1空乏層が拡がる。第1空乏層は、第1トレンチゲート構造60の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。同様に、第2トレンチゲート構造70の外壁からは、ドリフト領域54内に第2空乏層が拡がる。第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。
第2トレンチゲート構造70は、第2空乏層が第1空乏層に重なる態様で、第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて配列されている。つまり、第2空乏層は、セル領域75において第2トレンチゲート構造70の底壁73に対して第1主面3側の領域で第1空乏層に重なる。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。
第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の底壁73に対してドリフト領域54の底部側の領域で第1空乏層に重なることが好ましい。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60の底壁63および第2トレンチゲート構造70の底壁73に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を適切に抑制できる。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の側壁間のピッチPSは、0.2μm以上2μm以下であってもよい。ピッチPSは、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61(第2側壁62)および第2トレンチゲート構造70の第2側壁72(第1側壁71)の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
ピッチPSは、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、0.8μm以上1.0μm以下、1.0μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、又は、1.8μm以上2.0μm以下であってもよい。ピッチPSは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の中央部間のピッチPCは、1μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、第1トレンチゲート構造60の中央部および第2トレンチゲート構造70の中央部の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
なお、ピッチPCは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、5μm以上6μm以下、または、6μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
第1トレンチゲート構造60は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81、第1絶縁層82および第1電極83を含む。第1ゲートトレンチ81は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第1ゲートトレンチ81は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を区画している。以下では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61、第2側壁62および底壁63ともいう。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って膜状に形成されている。第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内において凹状の空間を区画している。第1絶縁層82において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に倣って形成されている。これにより、第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第1絶縁層82は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第1絶縁層82は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85を含む。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側においてU字空間を区画している。第1底側絶縁層84は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第1底側絶縁層84は、ドリフト領域54に接している。第1底側絶縁層84の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第1開口側絶縁層85は、第1ゲートトレンチ81の開口側の内壁を被覆している。第1開口側絶縁層85は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の開口側の領域において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆している。第1開口側絶縁層85は、ボディ領域55に接している。第1開口側絶縁層85の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第1底側絶縁層84は、第1厚さT1を有している。第1開口側絶縁層85は、第1厚さT1未満の第2厚さT2(T2<T1)を有している。第1厚さT1は、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。第2厚さT2は、第1開口側絶縁層85において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。
なお、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に対する第1厚さT1の第1比T1/WT1は、0.1以上0.4以下であってもよい。また、第1比T1/WT1は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第1比T1/WT1は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
なお、第1底側絶縁層84の第1厚さT1は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第1厚さT1は、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に応じて、4000Å以上12000Å以下に調整されてもよい。第1厚さT1は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第1底側絶縁層84の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第1開口側絶縁層85の第2厚さT2は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分から第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分に向けて第1厚さT1が減少する態様で形成されている。
第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分の厚さは、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分の厚さよりも小さい。第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第1厚さT1の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第1底側絶縁層84の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
第1電極83は、第1絶縁層82を挟んで、第1ゲートトレンチ81に埋め込まれている。第1電極83にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第1ゲート制御信号(第1制御信号)が印加される。第1電極83は、この形態では、第1底側電極86、第1開口側電極87および第1中間絶縁層88を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。
第1底側電極86は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、より具体的には、第1底側絶縁層84を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、第1底側絶縁層84を挟んでドリフト領域54に対向している。第1底側電極86の一部は、第1底側絶縁層84を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第1底側電極86は、第1ゲートトレンチ81の開口側において、第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。このような構造によれば、第1底側電極86に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第1底側絶縁層84の拡張されたU字空間に第1底側電極86を埋設することにより、第1底側電極86が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第1底側電極86の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第1底側電極86は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1底側電極86は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。なお、導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1開口側電極87は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に埋設されている。第1開口側電極87は、より具体的には、第1開口側絶縁層85を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第1開口側電極87は、第1開口側絶縁層85を挟んでボディ領域55に対向している。第1開口側電極87の一部は、第1開口側絶縁層85を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第1開口側電極87は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1開口側電極87は、第1底側電極86と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第1開口側電極87は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第1中間絶縁層88は、第1底側電極86および第1開口側電極87の間に介在し、第1底側電極86および第1開口側電極87を電気的に絶縁している。第1中間絶縁層88は、より具体的には、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の領域において第1底側絶縁層84から露出する第1底側電極86を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1底側電極86の上端部(より具体的には突出部)を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1絶縁層82(第1底側絶縁層84)に連なっている。
第1中間絶縁層88は、第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1未満(T3<T1)である。第3厚さT3は、第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第1中間絶縁層88は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第1中間絶縁層88は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1開口側電極87において第1ゲートトレンチ81から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1開口側電極87の露出部は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう湾曲状に形成されている。
第1開口側電極87の露出部は、膜状に形成された第1キャップ絶縁層によって被覆されている。第1キャップ絶縁層は、第1ゲートトレンチ81内において、第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)に連なっている。第1キャップ絶縁層は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
各第1FET構造58は、p型の第1チャネル領域91(第1チャネル)を更に含む。第1チャネル領域91は、ボディ領域55において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向する領域に形成される。
第1チャネル領域91は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。第1チャネル領域91は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第1ソース領域92をさらに含む。第1ソース領域92は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第1チャネル領域91を画定する。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1ソース領域92を含む。複数の第1ソース領域92は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1ソース領域92は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61及び第2側壁62に沿って形成されている。複数の第1ソース領域92は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。
複数の第1ソース領域92の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これにより、複数の第1ソース領域92は、第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向している。このようにして、第1MISFET56の第1チャネル領域91が、ボディ領域55において複数の第1ソース領域92およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第1コンタクト領域93を更に含む。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1コンタクト領域93を含む。複数の第1コンタクト領域93は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
複数の第1コンタクト領域93は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61及び第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、複数の第1ソース領域92に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。複数の第1コンタクト領域93の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
第2トレンチゲート構造70は、第2ゲートトレンチ101、第2絶縁層102および第2電極103を含む。第2ゲートトレンチ101は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第2ゲートトレンチ101は、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を区画している。以下では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71、第2側壁72および底壁73ともいう。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿い膜状に形成されている。第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内において凹状の空間を区画している。第2絶縁層102において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に倣って形成されている。これにより、第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
第2絶縁層102は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。第2絶縁層102は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105を含む。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側においてU字空間を区画している。第2底側絶縁層104は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第2底側絶縁層104は、ドリフト領域54に接している。第2底側絶縁層104の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
第2開口側絶縁層105は、第2ゲートトレンチ101の開口側内壁を被覆している。第2開口側絶縁層105は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の開口側の領域において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71及び第2側壁72を被覆している。第2開口側絶縁層105は、ボディ領域55に接している。第2開口側絶縁層105の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
第2底側絶縁層104は、第4厚さT4を有している。第2開口側絶縁層105は、第4厚さT4未満の第5厚さT5(T5<T4)を有している。第4厚さT4は、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。第5厚さT5は、第2開口側絶縁層105において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。
第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に対する第4厚さT4の第2比T4/WT2は、0.1以上0.4以下であってもよい。例えば、第2比T4/WT2は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第2比T4/WT2は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以下(T4/WT2≦T1/WT1)であってもよい。第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以上(T4/WT2≧T1/WT1)であってもよい。また、第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1と等しくてもよい(T4/WT2=T1/WT1)。
第2底側絶縁層104の第4厚さT4は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第4厚さT4は、第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に応じて、4000Å以上12000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第2底側絶縁層104の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第4厚さT4は、第1厚さT1以下(T4≦T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1以上(T4≧T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1と等しくてもよい(T4=T1)。
第2開口側絶縁層105の第5厚さT5は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T5<T4)である。第5厚さT5は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。100Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第5厚さT5は、第2厚さT2以下(T5≦T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2以上(T5≧T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2と等しくてもよい(T5=T2)。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分から第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分に向けて第4厚さT4が減少する態様で形成されている。
第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分の厚さは、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71及び第2側壁72を被覆する部分の厚さよりも小さい。第2底側絶縁層104により区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第4厚さT4の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、例えば、第2底側絶縁層104の内壁に対するエッチング法(例えばウエットエッチング法)によって形成される。
第2電極103は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101に埋め込まれている。第2電極103にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む所定の第2ゲート制御信号(第2制御信号)が印加される。
第2電極103は、この形態では、第2底側電極106、第2開口側電極107および第2中間絶縁層108を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。第2底側電極106は、この形態では、第1底側電極86に電気的に接続されている。第2開口側電極107は、第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
第2底側電極106は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、より具体的には、第2底側絶縁層104を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、第2底側絶縁層104を挟んでドリフト領域54に対向している。第2底側電極106の一部は、第2底側絶縁層104を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
第2底側電極106は、第2ゲートトレンチ101の開口側において、第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。このような構造によれば、第2底側電極106に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第2底側絶縁層104の拡張されたU字空間に第2底側電極106を埋設することにより、第2底側電極106が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第2底側電極106の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
第2底側電極106は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2底側電極106は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2開口側電極107は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に埋設されている。第2開口側電極107は、より具体的には、第2開口側絶縁層105を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第2開口側電極107は、第2開口側絶縁層105を挟んでボディ領域55に対向している。第2開口側電極107の一部は、第2開口側絶縁層105を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
第2開口側電極107は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2開口側電極107は、第2底側電極106と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第2開口側電極107は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
第2中間絶縁層108は、第2底側電極106および第2開口側電極107の間に介在し、第2底側電極106および第2開口側電極107を電気的に絶縁している。第2中間絶縁層108は、より具体的には、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の領域において第2底側絶縁層104から露出する第2底側電極106を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2底側電極106の上端部(より具体的には突出部)を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2絶縁層102(第2底側絶縁層104)に連なっている。
第2中間絶縁層108は、第6厚さT6を有している。第6厚さT6は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T6<T4)である。第6厚さT6は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
第6厚さT6は、第3厚さT3以下(T6≦T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3以上(T6≧T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3と等しくてもよい(T6=T3)。
第2中間絶縁層108は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。なお、第2中間絶縁層108は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第2開口側電極107において第2ゲートトレンチ101から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2開口側電極107の露出部は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう湾曲状に形成されている。
第2開口側電極107の露出部は、膜状に形成された第2キャップ絶縁層によって被覆されている。第2キャップ絶縁層は、第2ゲートトレンチ101内において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)に連なっている。第2キャップ絶縁層は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
各第2FET構造68は、p型の第2チャネル領域111(第2チャネル)をさらに含む。第2チャネル領域111は、より具体的には、ボディ領域55において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向する領域に形成される。
第2チャネル領域111は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。第2チャネル領域111は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第2ソース領域112をさらに含む。第2ソース領域112は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第2チャネル領域111を画定する。
第2ソース領域112のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、第1ソース領域92のn型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2ソース領域112を含む。複数の第2ソース領域112は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2ソース領域112は、具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2ソース領域112は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。
各第2ソース領域112は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92と対向している。また、各第2ソース領域112は、各第1ソース領域92と一体を成している。図5では、第1ソース領域92および第2ソース領域112を境界線によって区別して示しているが、第1ソース領域92および第2ソース領域112の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
各第2ソース領域112は、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92の一部または全部と対向しないように、各第1ソース領域92から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1ソース領域92および複数の第2ソース領域112は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
複数の第2ソース領域112の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これによって、複数の第2ソース領域112は、第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向している。このようにして、第2MISFET57の第2チャネル領域111が、ボディ領域55において複数の第2ソース領域112およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第2コンタクト領域113を更に含む。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、第1コンタクト領域93のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2コンタクト領域113を含む。複数の第2コンタクト領域113は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2コンタクト領域113の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
複数の第2コンタクト領域113は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、複数の第2ソース領域112に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。
図5を参照して、各第2コンタクト領域113は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93と対向している。各第2コンタクト領域113は、各第1コンタクト領域93と一体を成している。
図5では、第1ソース領域92および第2ソース領域112と区別するため、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を纏めて「p」の記号で示している。
各第2コンタクト領域113は、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93の一部または全部と対向しないように、各第1コンタクト領域93から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1コンタクト領域93および複数の第2コンタクト領域113は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
図5を参照して、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に挟まれた領域に形成されていない。
同様に、図示はしないが、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の他端部及び第2トレンチゲート構造70の他端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部に挟まれた領域に形成されていない。
図5を参照し、半導体層2の第1主面3には、複数(ここでは2つ)のトレンチコンタクト構造120が形成されている。複数のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120および他方側のトレンチコンタクト構造120を含む。
一方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域に位置する。他方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域に位置する。
他方側のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120とほぼ同様の構造を有している。以下では、一方側のトレンチコンタクト構造120側の構造を例にとって説明し、他方側のトレンチコンタクト構造120側の構造についての具体的な説明は、省略される。
トレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に接続されている。トレンチコンタクト構造120は、この形態では、平面視において第1方向Xに沿って帯状に延びている。
トレンチコンタクト構造120の幅WTCは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、トレンチコンタクト構造120が延びる方向(第1方向X)に直交する方向(第2方向Y)の幅である。
幅WTCは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
幅WTCは、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1と等しいことが好ましい(WTC=WT1)。幅WTCは、第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2と等しいことが好ましい(WTC=WT2)。
トレンチコンタクト構造120は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。トレンチコンタクト構造120の深さDTCは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
深さDTCは、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1と等しいことが好ましい(DTC=DT1)。深さDTCは、第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2と等しいことが好ましい(DTC=DT2)。
トレンチコンタクト構造120は、一方側の第1側壁121と、他方側の第2側壁122と、第1側壁121および第2側壁122を接続する底壁123とを含む。以下では、第1側壁121、第2側壁122および底壁123を纏めて「内壁」ということがある。第1側壁121は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に接続された接続面である。
第1側壁121、第2側壁122および底壁123は、ドリフト領域54内に位置している。第1側壁121および第2側壁122は、法線方向Zに沿って延びている。第1側壁121および第2側壁122は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
半導体層2内において第1側壁121が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(例えば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁122が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。トレンチコンタクト構造120は、断面視において半導体層2の第1主面3側から底壁123側に向けて幅WTCが狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。底壁123は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状に形成されている。底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔ITCを空けて第1主面3側の領域に位置している。間隔ITCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。間隔ITCは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
間隔ITCは、第1トレンチゲート構造60の第1間隔IT1と等しいことが好ましい(ITC=IT1)。間隔ITCは、第2トレンチゲート構造70の第2間隔IT2と等しいことが好ましい(ITC=IT2)。
トレンチコンタクト構造120は、コンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133を含む。コンタクトトレンチ131は、半導体層2の第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
コンタクトトレンチ131は、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を区画している。以下では、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を、コンタクトトレンチ131の第1側壁121、第2側壁122および底壁123ともいう。
コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62に連通している。コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72に連通している。コンタクトトレンチ131は、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101との間で1つのトレンチを形成している。
コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の内壁に沿って膜状に形成されている。コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131内において凹状の空間を区画している。コンタクト絶縁層132においてコンタクトトレンチ131の底壁123を被覆する部分は、コンタクトトレンチ131の底壁123に倣って形成されている。
コンタクト絶縁層132は、第1底側絶縁層84(第2底側絶縁層104)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。つまり、コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の底壁123側の領域が拡張され、先細りが抑制されたU字空間を区画している。このようなU字空間は、例えば、コンタクト絶縁層132の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
コンタクト絶縁層132は、第7厚さT7を有している。第7厚さT7は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
第7厚さT7は、トレンチコンタクト構造120の幅WTCに応じて4000Å以上12000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、又は、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、コンタクト絶縁層132の厚化により半導体装置1の耐圧を高めることができる。
第7厚さT7は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1と等しい(T7=T1)ことが好ましい。第7厚さT7は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4と等しい(T7=T4)ことが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)及び酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiN層およびSiO層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、半導体層2側からこの順に積層されたSiO層およびSiN層を含む積層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、SiO層またはSiN層からなる単層構造を有していてもよい。コンタクト絶縁層132は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。コンタクト絶縁層132は、第1絶縁層82(第2絶縁層102)と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
コンタクト絶縁層132は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。コンタクト絶縁層132は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。
コンタクト絶縁層132は、この形態では、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し絶縁層132Aを有している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁を被覆している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁を被覆している。
引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81内で、第1底側絶縁層84及び第1開口側絶縁層85と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁において、第1底側絶縁層84と共にU字空間を区画している。
引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁において、第2底側絶縁層104と共にU字空間を区画している。
コンタクト電極133は、コンタクト絶縁層132を挟んでコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、第1電極83および第2電極103とは異なり、一体物としてコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、コンタクトトレンチ131から露出する上端部、コンタクト絶縁層132に接する下端部を有している。
コンタクト電極133の下端部は、第1底側電極86(第2底側電極106)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう凸湾曲状に形成されている。コンタクト電極133の下端部は、より具体的には、コンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、底壁123に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、コンタクト電極133に対する局所的な電界集中を抑制できるので、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、コンタクト絶縁層132の拡張されたU字空間にコンタクト電極133を埋設することにより、コンタクト電極133が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、コンタクト絶縁層132の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第1底側電極86に電気的に接続されている。コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第2底側電極106に電気的に接続されている。これにより、第2底側電極106は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
コンタクト電極133は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し電極133Aを有している。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内に位置している。引き出し電極133Aは、さらに、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内に位置している。
引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト電極133および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81内において第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第2底側電極106に電気的に接続されている。
第2ゲートトレンチ101内において、コンタクト電極133と第2開口側電極107との間には、第2中間絶縁層108が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101内において、第2開口側電極107から電気的に絶縁されている。
コンタクト電極133は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。コンタクト電極133は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。コンタクト電極133は、第1底側電極86および第2底側電極106と同一の導電材料を含むことが好ましい。
コンタクト電極133において、コンタクトトレンチ131から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してコンタクトトレンチ131の底壁123側に位置している。コンタクト電極133の露出部は、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう湾曲状に形成されている。
コンタクト電極133の露出部は、膜状に形成された第3キャップ絶縁層139により被覆されている。第3キャップ絶縁層139は、コンタクトトレンチ131内においてコンタクト絶縁層132に連なっている。第3キャップ絶縁層139は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
なお、コントロールIC10から第1ゲート制御配線17A(不図示)に入力されるゲート制御信号は、第1開口側電極87に伝達される。また、コントロールIC10から第2ゲート制御配線17B(不図示)に入力されるゲート制御信号は、第2開口側電極107に伝達される。また、コントロールIC10から第3ゲート制御配線17C(不図示)に入力されるゲート制御信号は、コンタクト電極133を介して第1底側電極86および第2底側電極106に伝達される。
第1MISFET56(第1トレンチゲート構造60)及び第2MISFET57(第2トレンチゲート構造70)が共にオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオフ状態に制御される。
第1MISFET56および第2MISFET57が共にオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される(Full-ON制御)。
第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオン状態に制御され、第2チャネル領域111はオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。
第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオフ状態に制御され、第2チャネル領域111はオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。
このようにして、パワーMISFET9では、1つの出力領域6に形成された第1MISFET56および第2MISFET57を利用して、Full-ON制御、第1Half-ON制御および第2Half-ON制御を含む複数種の制御が実現される。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオン信号Vonが印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87は、ゲート電極として機能する。
これにより、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の電圧降下を抑制できるので、第1底側電極86及び第1開口側電極87の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるので、消費電力低減を図ることができる。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオフ信号Voff(たとえば基準電圧)が印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86がフィールド電極として機能する一方で、第1開口側電極87がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオン信号Vonが印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106および第2開口側電極107は、ゲート電極として機能する。
これにより、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の電圧降下を抑制できるから、第2底側電極106及び第2開口側電極107の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオフ信号Voff(基準電圧)が印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106がフィールド電極として機能する一方で、第2開口側電極107がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
図5を参照して、第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル面積S1で形成されている。第1チャネル面積S1は、各セル領域75に形成された複数の第1ソース領域92のトータル平面面積によって定義される。
第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル割合R1(第1割合)で形成されている。第1チャネル割合R1は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第1チャネル面積S1が占める割合である。
第1チャネル割合R1は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第1チャネル割合R1は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第1チャネル割合R1は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が50%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62のほぼ全域に第1ソース領域92が形成される。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1コンタクト領域93は形成されない。第1チャネル割合R1は、50%未満であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が0%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1ソース領域92は形成されない。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62にボディ領域55および/または第1コンタクト領域93だけが形成される。第1チャネル割合R1は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第1チャネル割合R1が25%である例が示されている。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において第2チャネル面積S2で形成されている。第2チャネル面積S2は、各セル領域75に形成された複数の第2ソース領域112のトータル平面面積によって定義される。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において、第2チャネル割合R2(第2割合)で形成されている。第2チャネル割合R2は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第2チャネル面積S2が占める割合である。
第2チャネル割合R2は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第2チャネル割合R2は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第2チャネル割合R2は、10%以上35%以下であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が50%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72のほぼ全域に第2ソース領域112が形成される。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2コンタクト領域113は形成されない。第2チャネル割合R2は、50%未満であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が0%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2ソース領域112は形成されない。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72にボディ領域55および/または第2コンタクト領域113だけが形成される。第2チャネル割合R2は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第2チャネル割合R2が25%である例が示されている。
このように、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は、各セル領域75において0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)の総チャネル割合RT(RT=R1+R2)で形成される。
各セル領域75における総チャネル割合RTは、この形態では50%である。この形態では、全ての総チャネル割合RTが等しい値に設定されている。そのため、出力領域6内(単位面積)における平均チャネル割合RAVは50%となる。平均チャネル割合RAVは、全ての総チャネル割合RTの和を、総チャネル割合RTの総数で除したものである。
なお、総チャネル割合RTは、セル領域75毎に調整されてもよい。つまり、異なる値をそれぞれ有する複数の総チャネル割合RTがセル領域75毎に適用されてもよい。総チャネル割合RTは、半導体層2の温度上昇に関係している。たとえば、総チャネル割合RTを増加させると、半導体層2の温度が上昇し易くなる。一方で、総チャネル割合RTを減少させると、半導体層2の温度が上昇し難くなる。
これを利用して、総チャネル割合RTは、半導体層2の温度分布に応じて調整されてもよい。たとえば、半導体層2において温度が高まり易い領域の総チャネル割合RTを比較的小さくし、半導体層2において温度が高まり難い領域の総チャネル割合RTを比較的大きくしてもよい。
半導体層2において温度が高まり易い領域として、出力領域6の中央部を例示できる。半導体層2において温度が高まり難い領域として、出力領域6の周縁部を例示できる。むろん、半導体層2の温度分布に応じて総チャネル割合RTを調整しながら、平均チャネル割合RAVが調整されてもよい。
20%以上40%以下(たとえば25%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域(たとえば中央部)に複数集約させてもよい。60%以上80%以下(たとえば75%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり難い領域(たとえば周縁部)に複数集約させてもよい。40%を超えて60%未満(たとえば50%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域および温度が高まり難い領域の間の領域に複数集約させてもよい。
さらに、20%以上40%以下の総チャネル割合RT、40%以上60%以下の総チャネル割合RTおよび60%以上80%以下の総チャネル割合RTが、規則的な配列で、複数のセル領域75に適用されてもよい。
一例として、25%(low)→50%(middle)→75%(high)の順に繰り返す3種の総チャネル割合RTが、複数のセル領域75に適用されてもよい。この場合、平均チャネル割合RAVは、50%に調整されてもよい。このような構造の場合、比較的簡単な設計で、半導体層2の温度分布に偏りが形成されるのを抑制できる。
図6は、アクティブクランプ耐量Eacおよび面積抵抗率Ron・Aの関係を実測によって調べたグラフである。図6のグラフは、第1MISFET56および第2MISFET57を同時にオン状態およびオフ状態に制御した場合の特性を示している。
図6において、縦軸はアクティブクランプ耐量Eac[mJ/mm]を示しており、横軸は面積抵抗率Ron・A[mΩ・mm]を示している。アクティブクランプ耐量Eacは、図3において述べた通り、逆起電力に対する耐量である。面積抵抗率Ron・Aは、通常動作時における半導体層2内のオン抵抗を表している。
図6には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4は、平均チャネル割合RAV(つまり、各セル領域75に占める総チャネル割合RT)が66%、50%、33%および25%に調整された場合の特性をそれぞれ示している。
平均チャネル割合RAVを増加させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが低下し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが低下した。これとは反対に、平均チャネル割合RAVを低下させた場合、通常動作時に面積抵抗率Ron・Aが増加し、アクティブクランプ動作時にアクティブクランプ耐量Eacが向上した。
面積抵抗率Ron・Aを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%以上(より具体的には33%以上100%未満)であることが好ましい。アクティブクランプ耐量Eacを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%未満(より具体的には0%を超えて33%未満)であることが好ましい。
平均チャネル割合RAVの増加に起因して面積抵抗率Ron・Aが低下したのは、電流経路が増加したためである。また、平均チャネル割合RAVの増加に起因してアクティブクランプ耐量Eacが低下したのは、逆起電力に起因する急激な温度上昇が引き起こされたためである。
とりわけ、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的大きい場合には、互いに隣り合う第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の間の領域において局所的かつ急激な温度上昇が発生する可能性が高まる。アクティブクランプ耐量Eacは、この種の温度上昇に起因して低下したと考えられる。
一方、平均チャネル割合RAVの低下に起因して面積抵抗率Ron・Aが増加した理由は、電流経路が縮小したためである。平均チャネル割合RAVの低下に起因してアクティブクランプ耐量Eacが向上したのは、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的小さくなり、局所的かつ急激な温度上昇が抑制されたためと考えられる。
図6のグラフの結果から、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)に基づく調整法にはトレードオフの関係が存在するため、当該トレードオフの関係から切り離して優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立することは困難であることが分かる。
一方、図6のグラフの結果から、パワーMISFET9において、通常動作時に第1プロット点P1(RAV=66%)に近づく動作をさせて、アクティブクランプ動作時に第4プロット点P4(RAV=25%)に近づく動作をさせることにより、優れた面積抵抗率Ron・A及び優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立できることが分かる。そこで、半導体装置1では、以下の制御が実施される。
図7は、図1に示す半導体装置1の通常動作を説明するための断面斜視図である。図8は、図1に示す半導体装置1のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図7および図8では、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図7を参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第3オン信号Von3が入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2及び第3オン信号Von3は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図7では、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。チャネル利用率RUは、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111のうちオン状態に制御されている第1チャネル領域91および第2チャネル領域111の割合である。
なお、特性チャネル割合RCは、平均チャネル割合RAVにチャネル利用率RUを乗じた値(RC=RAV×RU)である。パワーMISFET9の特性(面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eac)は、特性チャネル割合RCに基づいて定められる。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図6のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図8を参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1クランプオン信号VCon1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2クランプオン信号VCon2が入力される。
オフ信号Voff、第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、それぞれ等しい電圧を有していてもよい。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87がオフ状態となり、第1底側電極86、第2底側電極106及び第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図8では、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングにより示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングにより示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これによりアクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図6のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
この場合、コントロールIC10は、通常動作時及びアクティブクランプ動作時の間で異なる特性チャネル割合RC(チャネルの面積)が適用されるように、第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。コントロールIC10は、より具体的には、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56及び第2MISFET57を制御する。
コントロールIC10は、さらに具体的には、通常動作時に第1MISFET56および第2MISFET57をオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に第1MISFET56をオフ状態に制御すると共に第2MISFET57をオン状態に制御する。
従って、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する。すなわち、通常動作時には、第1MISFET56および第2MISFET57を利用して電流を流すことができる。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。
一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する。すなわち、第1MISFET56を停止させた状態で第2MISFET57を利用して電流を流すことができるから、第2MISFET57により逆起電力を消費(吸収)できる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
その結果、図6に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供できる。
なお、上記の制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
<半導体装置(第1実施形態)>
図9は、半導体装置1の第1実施形態(=アクティブクランプ動作時にパワーMISFET9の第1Half-ON制御を行うための回路構成)を示すブロック回路図である。
本実施形態の半導体装置1は、ドレイン電極11(=出力電極OUT)と、ソース電極12(=接地電極GND)と、パワーMISFET9と、ゲート制御回路25と、アクティブクランプ回路26と、を有する。なお、既出の構成要素については、これまでと同一の符号を付している。
また、本図では、説明を簡単とするために、一部の構成要素のみを抽出して示したが、半導体装置1には、基本的に、先出の半導体装置1(図1)と同様の構成要素が含まれていると理解してよい。
パワーMISFET9は、これまでにその構造を詳細に説明してきたゲート分割素子である。すなわち、パワーMISFET9は、図10で示すように、並列接続された第1MISFET56及び第2MISFET57(=それぞれ第1トランジスタ及び第2トランジスタに相当)として等価的に表すことができる。
別の見方をすると、それぞれ独立して制御される第1MISFET56及び第2MISFET57が、単一のゲート分割素子であるパワーMISFET9として、一体的に形成されていると理解することもできる。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のゲート制御(延いては、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲート制御)を行う。例えば、ゲート制御回路25は、入力電極13に入力される外部制御信号INがハイレベルとされるイネーブル状態(=第1動作状態に相当)において、第1MISFET56及び第2MISFET57をいずれもオンする一方、外部制御信号INがローレベルとされるディセーブル状態(=第2動作状態に相当)において、第1MISFET56及び第2MISFET57をいずれもオフするように、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲート信号G1及びG2を生成する。
なお、ローサイドスイッチとして用いられる半導体装置1において、外部制御信号INは、パワーMISFET9のオン/オフ制御信号として機能するだけでなく、半導体装置1の電源電圧としても用いられている。
また、ゲート制御回路25は、アクティブクランプ回路26から内部ノード電圧Vyの入力を受け付けており、イネーブル状態(IN=H)からディセーブル状態(IN=L)への遷移後、アクティブクランプ回路26による制限が掛かる前(=出力電圧VOUTがクランプされる前)に、第2MISFET57のゲート・ソース間をショートする機能、つまり、G2=GNDとして第2MISFET57を完全に停止させることにより、パワーMISFET9の第1Half-ON制御を実現する機能を備えている。
アクティブクランプ回路26は、第1MISFET56のドレイン・ゲート間に接続されており、ドレイン電極11の出力電圧VOUTが過電圧となったときに、第1MISFET56を強制的にオンさせる(フルオフさせない)ことで、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのドレイン・ソース間電圧(=VOUT-GND)を所定のクランプ電圧Vclp以下に制限する。なお、第2MISFET57は、アクティブクランプ動作に寄与しないので、そのドレイン・ゲート間には、アクティブクランプ回路26が接続されていない。
図11は、図9におけるゲート制御回路25及びアクティブクランプ回路26の一構成例を示す回路図である。
まず、アクティブクランプ回路26の構成について具体的に説明する。本構成例のアクティブクランプ回路26は、m段(例えばm=8)のツェナーダイオード列264と、n段(例えばn=3)のダイオード列265と、を含む。
ツェナーダイオード列264のカソードは、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのドレインとともに、ドレイン電極11(=出力電圧VOUTが印加される出力電極OUTに相当)に接続されている。なお、ドレイン電極11には、先出の図9及び図10で示したように、コイル又はソレノイドなどの誘導性負荷Lが接続され得る。ツェナーダイオード列264のアノードは、ダイオード列265のアノードに接続されている。ダイオード列265のカソードは、第1MISFET56のゲート(=ゲート信号G1の印加端)に接続されている。
次に、ゲート制御回路25の構成について具体的に説明する。本構成例のゲート制御回路25は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタM1及びM2と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタM3と、抵抗R1H及びR1Lと、抵抗R2H及びR2Lと、抵抗R3と、スイッチSW1~SW3と、を含む。
スイッチSW1は、入力電極13と抵抗R1H(=第1上側抵抗に相当)の第1端との間に接続されており、反転低電圧検出信号UVLOB(=低電圧検出信号UVLOの論理レベルを反転させた信号)に応じてオン/オフされる。より具体的に述べると、スイッチSW1は、UVLOB=H(UVLO=L)であるときにオンして、UVLOB=L(UVLO=H)であるときにオフする。
スイッチSW2は、入力電極13と抵抗R2H(=第2上側抵抗に相当)の第1端との間に接続されており、反転低電圧検出信号UVLOBに応じてオン/オフされる。より具体的に述べると、スイッチSW2は、UVLOB=H(UVLO=L)であるときにオンして、UVLOB=L(UVLO=H)であるときにオフする。
スイッチSW3は、アクティブクランプ回路26における内部ノード電圧Vyの印加端(=例えば、ツェナーダイオード列264とダイオード列265との接続ノード)と抵抗R3の第1端との間に接続されており、低電圧検出信号UVLOに応じてオン/オフされる。より具体的に述べると、スイッチSW3は、UVLO=H(UVLOB=L)であるときにオンして、UVLO=L(UVLOB=H)であるときにオフする。なお、内部ノード電圧Vyの印加端は、上記に限定されるものではなく、例えば、ダイオード列265を形成するn段のダイオードのうち、いずれかのアノード電圧を内部ノード電圧Vyとして用いても構わない。
ところで、低電圧検出信号UVLO及び反転低電圧検出信号UVLOBは、外部制御信号IN(=半導体装置1の電源電圧に相当)と低電圧検出閾値Vuvloとの比較結果に応じてそれぞれの論理レベルが切り替わる。より具体的に述べると、IN<Vuvloであるときには、UVLO=H、UVLOB=L(UVLO検出時の論理レベル)となり、スイッチSW1及びSW2がオフしてスイッチSW3がオンする。逆に、IN>Vuvloであるときには、UVLO=L、UVLOB=H(UVLO解除時の論理レベル)となり、スイッチSW1及びSW2がオンしてスイッチSW3がオフする。このように、スイッチSW1及びSW2とスイッチSW3とは、相補的にオン/オフされる。
抵抗R1Hの第2端とトランジスタM1のソース及びバックゲートは、いずれも第1MISFET56のゲートに接続されている。トランジスタM1のドレインは、抵抗R1L(=第1下側抵抗に相当)の第1端に接続されている。抵抗R1Lの第2端は、ソース電極12(=接地電圧GNDが印加される接地電極GNDに相当)に接続されている。トランジスタM1のゲートは、入力電極13に接続されている。
抵抗R2Hの第2端とトランジスタM2のソース及びバックゲートは、いずれも第2MISFET57のゲートに接続されている。トランジスタM2のドレインは、抵抗R2L(=第2下側抵抗に相当)の第1端に接続されている。抵抗R2Lの第2端は、ソース電極12(=接地電極GNDに相当)に接続されている。トランジスタM2のゲートは、入力電極13に接続されている。
トランジスタM3のドレインは、第2MISFET57のゲートに接続されている。トランジスタM3のゲートは、抵抗R3の第1端に接続されている。トランジスタM3のソース及びバックゲートと抵抗R3の第2端は、ソース電極12に接続されている。
以下では、第1MISFET56のゲート・ソース間電圧をVgs1とし、トランジスタM3のオンスレッショルド電圧をVthとし、ツェナーダイオード列264の降伏電圧をmVZとし、ダイオード列265の順方向降下電圧をnVFとして、アクティブクランプ動作時におけるパワーMISFET9の第1Half-ON制御を説明する。
図12は、半導体装置1において、アクティブクランプ動作時にパワーMISFET9の第1Half-ON制御が行われる様子を示すタイミングチャートであり、上から順番に、外部制御信号IN、低電圧検出信号UVLO及び反転低電圧検出信号UVLOB、ゲート信号G1(実線)及びG2(破線)、出力電圧VOUT、並びに、出力電流IOUTが描写されている。なお、本図では、ドレイン電極11(出力電極OUT)に誘導性負荷Lが接続されているものとする。
時刻t11では、外部制御信号INがローレベル(=パワーMISFET9をオフするときの論理レベル)からハイレベル(=パワーMISFET9をオンするときの論理レベル)に遷移し始める。ただし、この時点では、IN<Vuvloであるため、UVLO=H、UVLOB=Lとなっている。従って、ゲート制御回路25では、スイッチSW1及びSW2がオフして、スイッチSW3がオンした状態となり、ゲート信号G1及びG2がローレベルに維持されるので、第1MISFET56及び第2MISFET57がいずれもオフしたままとなる。その結果、出力電流IOUTは流れず、VOUT≒VBとなる。
時刻t12において、IN>Vuvloになると、UVLO=L、UVLOB=Hとなる。従って、ゲート制御回路25では、スイッチSW1及びSW2がオンして、スイッチSW3がオフした状態となる。このとき、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲートと入力電極13との間が導通するので、ゲート信号G1及びG2がハイレベルに立ち上がり、第1MISFET56及び第2MISFET57がいずれもオンする。その結果、出力電流IOUTが流れ始めるので、出力電圧VOUTが接地電圧GND近傍まで低下する。この状態は、パワーMISFET9のFull-ON状態に相当する。特に、時刻t12~t13に内包される時刻tx~tyは、パワーMISFET9の定常オン期間T1に相当する。なお、ゲート信号G1及びG2それぞれの立ち上がり速度(=スイッチオン時のスルーレート)は、抵抗R1H及びR2Hそれぞれの抵抗値に応じて調整することができる。
また、スイッチSW3がオフしているので、トランジスタM3のゲートにアクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vyが印加されることはなく、トランジスタM3が意図せずにオンすることもない。
その後、時刻t13では、外部制御信号INがハイレベルからローレベルに遷移し始める。その結果、トランジスタM1及びM2がオンして、第1MISFET56及び第2MISFET57それぞれのゲートとソース電極12(=接地電極GND)との間が導通するので、ゲート信号G1及びG2が低下し、第1MISFET56及び第2MISFET57がオンからオフに転じる。なお、ゲート信号G1及びG2それぞれの立ち下がり速度(=スイッチオフ時のスルーレート)は、抵抗R1L及びR2Lそれぞれの抵抗値に応じて調整することができる。
このとき、誘導性負荷Lは、パワーMISFET9のオン期間に蓄えたエネルギーを放出するまで出力電流IOUTを流し続ける。その結果、出力電圧VOUTは、電源電圧VBよりも高い電圧まで急上昇する。
ただし、時刻t15において、出力電圧VOUTがクランプ電圧Vclp(=Vgs1+nVF+mVZ)まで上昇すると、アクティブクランプ回路26の働きにより、第1MISFET56がオンする(フルオフされない)ので、出力電流IOUTが第1MISFET56を介して放電される。従って、出力電圧VOUTは、クランプ電圧Vclp以下に制限される。このようなアクティブクランプ動作は、誘導性負荷Lに蓄えられたエネルギーが放出し尽くされて出力電流IOUTが流れなくなる時刻t16まで継続される。
一方、第2MISFET57に着目すると、時刻t14において、IN<Vuvloとなり、低電圧検出信号UVLOがローレベルからハイレベルに立ち上がった時点で、スイッチSW3がオンするので、トランジスタM3のゲートにアクティブクランプ回路26の内部ノード電圧Vy(>Vth)が印加される。従って、トランジスタM3がオンして、第2MISFET57のゲート・ソース間がショート(G2=VOUT)される。
すなわち、第2MISFET57は、トランジスタM3の働きにより、アクティブクランプ回路26による制限が掛かる前(時刻t15以前)に完全に停止される。この状態はパワーMISFET9の第1Half-ON状態に相当する。
このように、Full-ON状態から第1Half-ON状態への切替を行うことにより、アクティブクランプ動作時(=時刻t15~t16)のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時(=時刻t11~t13)のチャネル利用率RU未満となる。
従って、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する(例えばRC=50%)。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する(例えばRC=25%)。これにより、誘導性負荷Lの逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
よって、図6で示したトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供することが可能となる。特に、IPD分野において、アクティブクランプ耐量Eacは、より大きな誘導性負荷Lを駆動するために重要な特性の一つとなる。
なお、図9~図12では、アクティブクランプ動作時において、第1Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において、第2Half-ON制御が適用されてもよい。その場合には、第1MISFET56と第2MISFET57を相互に入れ替えて理解すればよい。
<過電流保護回路(第1例)>
図13は、過電流保護回路の第1例を示す図である。過電流保護回路OCPは、パワートランジスタM10に流れる出力電流I0を検出して所定の上限値Iocp以下に制限する回路ブロックであり、電流検出回路の一例として理解することができる。本図の過電流保護回路OCPは、その回路要素として、センストランジスタM11と、トランジスタM12~M14と、センス抵抗R1と、基準抵抗R2と、電流源CS1及びCS2を含む。
パワートランジスタM10は、負荷と接地端との間を導通/遮断するローサイド側のスイッチングデバイスであり、先出のパワーMISFET9に相当する。ただし、以下で説明する過電流保護回路OCPの適用に際して、パワートランジスタM10は、必ずしもこれまでに説明してきたゲート分割素子である必要はない。なお、パワートランジスタM10のドレインは、出力電極OUT(=ドレイン電極)に接続されている。パワートランジスタM10のソースは、接地端(=ソース電極)に接続されている。パワートランジスタM10のゲートは、不図示のゲートドライバに接続されている。
センストランジスタM11のドレインは、パワートランジスタM10のドレインと共に出力電極OUTに接続されている。センストランジスタM11のゲートは、パワートランジスタM10のゲートに接続されている。パワートランジスタM10及びセンストランジスタM11は、半導体基板上におけるそれぞれのゲートサイズG10及びG11の比がG10:G11=α:1(ただしα>1、例えばα≧100、好ましくは例えばα=1000)となるように素子設計されている。すなわち、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11は、パワートランジスタM10の半導体基板上におけるゲートサイズG10よりも小さい。上記のゲートサイズという文言は、W/L(=ゲート長Lとゲート幅Wとの比)と理解してもよいし、半導体基板上に占めるレイアウト面積と理解してもよい。
このように、センストランジスタM11は、パワートランジスタM10と同期して動作するように構成されており、パワートランジスタM10に流れる出力電流I0に応じたセンス電流I1(=I0/α)を生成する。
電流源CS1及びCS2それぞれの第1端は、いずれも、電源電圧VDDの印加端に接続されている。電流源CS1の第2端は、トランジスタM12のドレインに接続されている。電流源CS2の第2端は、トランジスタM13のドレインに接続されている。なお、電流源CS1及びCS2は、それぞれ、所定の基準電流I2を生成する。トランジスタM12及びM13それぞれのゲートは、いずれもトランジスタM12のドレインに接続されている。トランジスタM12のソースは、基準抵抗R2の第1端に接続されている。トランジスタM13のソースは、センストランジスタM11のソース(=出力電流I0に応じたセンス電流I1の出力端)とともに、センス抵抗R1の第1端に接続されている。トランジスタM14のドレインは、パワートランジスタM10のゲートに接続されている。トランジスタM14のゲートは、トランジスタM13のドレインに接続されている。センス抵抗R1並びに基準抵抗R2それぞれの第2端、及び、トランジスタM14のソースは、いずれも接地端に接続されている。
上記構成から成る過電流保護回路OCPにおいて、トランジスタM13のソースには、センス電圧V1(=(I1+I2)×R1)が生成される。つまり、センス抵抗R1は、センストランジスタM11に流れるセンス電流I1をセンス電圧V1に変換するための電流/電圧変換素子として機能する。一方、トランジスタM12のソースには、基準電圧V2(=I2×R2)が生成される。従って、トランジスタM13のドレインに現れる過電流保護信号V3は、センス電圧V1が基準電圧V2よりも低いときにローレベル(=異常未検出時の論理レベル)となり、センス電圧V1が基準電圧V2よりも高いときにハイレベル(=異常検出時の論理レベル)となる。
このように、電流源CS1並びにCS2、トランジスタM12並びにM13、及び、センス抵抗R1並びに基準抵抗R2は、センス電圧V1と所定の基準電圧V2を比較するように構成されたコンパレータCMPとして機能する。
なお、過電流保護信号V3がハイレベルであるときには、トランジスタM14がオンしてパワートランジスタM10のゲート信号が引き下げられる。その結果、パワートランジスタM10が強制的にオフされるので、出力電流I0を制限することが可能となる。
<レイアウト面積に関する考察>
過電流保護回路OCPの理論式としては、次の(1)~(4)式が成立する。
I0=(G10/G11)×I1 … (1)
I1+I2=V1/R1 …(2)
V1=V2 … (3)
I2=V2/R2 … (4)
また、(1)~(4)式より、出力電流I0の上限値Iocp(=過電流検出閾値に相当)は、次の(5)式で表すことができる。
Iocp=(G10/G11)×{(1/R1)-(1/R2)}×V2 … (5)
なお、過電流保護回路OCPの設計上、Iocp、G10、V2及びR2は、いずれも定数となるので、G11及びR1を変数として回路設計が行われる。ここで、(5)式から分かるように、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11を小さくするほど、センス抵抗R1の抵抗値をより大きい値に設計することができる。センス抵抗R1の抵抗値を大きくするということは、すなわち、センス抵抗R1を形成する単位抵抗素子の並列本数を減らすということに他ならない。そのため、ゲートサイズG11を縮小するほど、センス抵抗R1のレイアウト面積を縮小することが可能となる。
ただし、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11には、製造プロセス上の最小ルールサイズがあり、ゲートサイズG11を際限なく縮小することはできない。そのため、ゲートサイズG11が大きいことに起因してセンス抵抗R1の抵抗値を十分に引き上げることができず、結果としてセンス抵抗R1のレイアウト面積(延いては過電流保護回路OCP全体のレイアウト面積)が大きくなってしまう。
以下では、このような課題を解決することのできる新規構成例を紹介する。
<過電流保護回路(第2例)>
図14は、過電流保護回路の第2例を示す図である。本図の過電流保護回路OCPは、先出の第1例(図13)を基本としつつ、センストランジスタM11として、複数のゲート信号を用いて複数のチャネル領域を個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタが用いられている。本図に即して述べると、センストランジスタM11は、2つのゲート(=第1ゲート及び第2ゲート)を持つゲート2分割トランジスタとされている。
なお、センストランジスタM11の半導体基板上における全体のゲートサイズをG11とし、第1ゲートのゲートサイズをG11’とし、第2ゲートのゲートサイズをG11”とすると、次の(6)式が成立する。
G11=G11’+G11” … (6)
ここで、センストランジスタM11の第1ゲートは、パワートランジスタM10のゲートに接続されている。一方、センストランジスタM11の第2ゲートは、センストランジスタM11のソースとショートされている。すなわち、第1ゲートに接続された第1チャネル領域は、パワートランジスタM10と同期してオン/オフされるが、第2ゲートに接続された第2チャネル領域は、常にオフ状態とされている。このような接続を行うことにより、センストランジスタM11の実効ゲートサイズがセンストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11よりも小さくなる。
なお、本明細書中における「実効ゲートサイズ」とは、パワートランジスタM10の定常オン期間T1(=図12の時刻tx~tyを参照)において、チャネルの形成に実効的に寄与しているゲートサイズである。
また、「センストランジスタM11の実効ゲートサイズがセンストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11よりも小さくなる。」とは、パワートランジスタM10の定常オン期間T1において、センストランジスタM11のチャネルをオンしている(チャネルを開いている)ゲートサイズG11’が、実際のセンストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11よりも小さくなる、という意味である。見方を変えると、センストランジスタM11は、一部のチャネルがオンしていないと理解しても良い。
別の見方をすると、パワートランジスタM10及びセンストランジスタM11それぞれの半導体基板上におけるゲートサイズをG10及びG11とし、パワートランジスタM10の定常オン期間におけるパワートランジスタM10及びセンストランジスタM11それぞれの実効ゲートサイズをG10’及びG11’とすると、G11’/G11<G10’/G10が成立する。なお、本図の過電流保護回路OCPでは、パワートランジスタM10のゲートが単一であり、G10=G10’であるから、G11’/G11<1と読み替えることができる。
なお、センストランジスタM11の第2ゲートとソースとの間をショートするのではなく、センストランジスタM11の第2ゲートに対して、常にオフ信号(=ローレベルのゲート信号)を与えてもよい。
図15は、センストランジスタM11の実効ゲートサイズを示す図である。本図の左側には、センストランジスタM11のゲートが単一である場合のゲートサイズ(=半導体基板上における実際のゲートサイズ)が示されている。一方、本図の右側には、センストランジスタM11が2つのゲート(第1ゲート及び第2ゲート)を持ち、第2ゲートをソースとショートした場合の実効ゲートサイズが示されている。
本図の右側で示すように、センストランジスタM11の第2ゲートをソースとショートした場合、センストランジスタM11の実効ゲートサイズは、G11’(={G11’/(G11’+G11”)}×G11)となる。従って、センストランジスタM11の実効ゲートサイズG11’を、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズG11(=G11’+G11”)よりも小さくすることができる。このとき、出力電流I0の上限値Iocpは、次の(7)式で表すことができる。
Iocp=(G10/G11’)×{(1/R1)-(1/R2)}×V2 …(7)
上記の(7)式からも分かるように、センストランジスタM11の実効ゲートサイズG11’が小さくなるほど、センス抵抗R1の抵抗値をより大きい値に設計することができるので、センス抵抗R1のレイアウト面積を縮小することが可能となる。
図16は、センス抵抗R1の面積削減率を示す図である。本図の左側には、センストランジスタM11のゲートが単一である場合の素子レイアウトが模式的に示されている。一方、本図の右側には、センストランジスタM11が2つのゲート(第1ゲート及び第2ゲート)を持ち、第2ゲートをソースとショートした場合の素子レイアウトが模式的に示されている。なお、以下の説明では、設計条件をIocp=10A、G10=1000、R2=100kΩ、V2=0.1Vとして定義する。
まず、本図の左側を参照しながら、センストランジスタM11のゲートが単一である場合の素子レイアウトについて説明する。この場合、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズをG11=2(最小ルールサイズ)に設定すると、先の(5)式より、センス抵抗R1の抵抗値がR1≒5Ωとなる。ここで、センス抵抗R1を形成する単位抵抗素子1本当たりの最小抵抗値を100Ωと仮定すると、必要な単位抵抗素子の並列本数は、20本(=100Ω/5Ω)となる。
次に、本図の右側を参照しながら、センストランジスタM11が2つのゲート(第1ゲート及び第2ゲート)を持ち、第2ゲートをソースとショートした場合の素子レイアウトについて説明する。また、センストランジスタM11のゲートサイズ比については、G11:G11’:G11”=10:2:8とする。この場合、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズをG11=2(最小ルールサイズ)に設定すると、G11’=0.4となるから、先の(7)式より、センス抵抗R1の抵抗値がR1≒25Ωとなる。ここで、先と同じく、センス抵抗R1を形成する単位抵抗素子1本当たりの最小抵抗値を100Ωと仮定すると、必要な単位抵抗素子の並列本数は、4本(=100Ω/25Ω)となる。
上記の対比から明らかなように、センストランジスタM11の半導体基板上におけるゲートサイズをG11とし、センストランジスタM11の実効ゲートサイズをG11’としたとき、センス抵抗R1の面積削減率は、G11’/G11となる。本図に即して述べると、センス抵抗R1のレイアウト面積を1/5に縮小することが可能となる。なお、G11とG11’との比(=G11/G11’)は5以上であることが望ましい。
<半導体装置(第2実施形態)>
図17は半導体装置1の第2実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1は、先出の第1実施形態(図9)を基本としつつ、過電流保護回路34の周辺要素として、センストランジスタMs、センス抵抗Rs、及び、トランジスタM21並びにM22が明示されている。
パワーMISFET9は、これまでにも説明してきたように、複数のゲート信号G1及びG2を用いて第1チャネル領域及び第2チャネル領域をそれぞれ個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタである。なお、パワーMISFET9のドレインと第1ゲート(=ゲート信号G1の印加端)との間には、パワーMISFET9のドレイン電圧を所定のクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路26が接続されている。この点についても、第1実施形態(図9)と特に変わるところはない。
また、パワーMISFET9がオフする過渡期において、パワーMISFET9の第2ゲートがオフするタイミングは、第1ゲートがオフするタイミングよりも早い。この点についても、先出の第1実施形態(特に図12を参照)と同様である。
センストランジスタMsは、パワーMISFET9に流れる出力電流IOUTに応じたセンス電流Isを生成する。なお、センストランジスタMsとしては、過電流保護回路OCPの第2例(図14)に倣い、ゲート分割トランジスタが用いられている。
センストランジスタMsのドレインは、パワーMISFET9のドレインと共にドレイン電極11(=出力電極)に接続されている。センストランジスタMsの第1ゲートは、パワーMISFET9の第1ゲートに接続されている。一方、センストランジスタMsの第2ゲートは、センストランジスタMsのソースとショートされている。このような接続により、センストランジスタMsをパワーMISFET9と同期してオン/オフしつつ、センストランジスタMsの実効ゲートサイズを、センストランジスタMsの半導体基板上における実際のゲートサイズよりも小さくすることができる。
センス抵抗Rsは、センストランジスタMsのソースとソース電極12(=接地電極)との間に接続されており、センス電流Isをセンス電圧Vsに変換する。
過電流保護回路34は、センス電圧Vsの検出結果に基づいてトランジスタM21及びM22をそれぞれ駆動することにより出力電流IOUTを所定の上限値以下に制限する。なお、トランジスタM21及びM22は、それぞれ、パワーMISFET9の第1ゲート及び第2ゲートと接地端との間に接続されており、過電流検出時にオンしてパワーMISFET9のゲート信号G1及びG2をローレベルに引き下げる。このようなスイッチング動作により、パワーMISFET9を強制的にオフすることができるので、出力電流IOUTを所定の上限値以下に制限することが可能となる。
<センストランジスタの変形例>
図18は、パワートランジスタとは異なるチャネル構造を持つ単一ゲート型のセンストランジスタの一例を示す断面斜視図である。
これまでの説明では、センストランジスタとしてゲート分割トランジスタを用いる構成を例示したが、センストランジスタの実効ゲートサイズを半導体基板上における実際のゲートサイズよりも小さくする手法は、これに限定されるものではなく、任意の手法を採用しても構わない。
例えば、センストランジスタとしては、単一のゲートを持ち、パワートランジスタよりも動作するチャネル割合が低いものを使用してもよい。なお、本図では、平均チャネル割合RAV(延いては各セル領域75の総チャネル割合RT)が33%に調整されたセンストランジスタM11が例示されている。
<車両への適用>
図19は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電源電圧の供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18と、を搭載している。
車両Xには、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle」、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)、または、モータに関する制御(トルク制御、及び、電力回生制御など)を行う電子制御ユニットである。
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]及びDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
電子機器X15は、ドアロック及び防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品またはメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
なお、先に説明した半導体装置1は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
例えば、本明細書中に開示されている電流検出回路は、パワートランジスタと同期して動作するように構成されたセンストランジスタと、前記センストランジスタに流れるセンス電流をセンス電圧に変換するように構成されたセンス抵抗と、を有し、前記センストランジスタの半導体基板上におけるゲートサイズは、前記パワートランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さく、前記センストランジスタの実効ゲートサイズは、前記センストランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さい構成(第1の構成)とされている。
なお、上記第1の構成から成る電流検出回路において、前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタそれぞれの前記半導体基板上におけるゲートサイズをG10及びG11とし、前記パワートランジスタの定常オン期間における前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタそれぞれの実効ゲートサイズをG10’及びG11’とすると、G11’/G11<G10’/G10である構成(第2の構成)にしてもよい。
なお、上記第1または2の構成から成る電流検出回路において、前記センストランジスタは、複数のゲート信号を用いて複数のチャネル領域を個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタである構成(第3の構成)にしてもよい。
また、上記第3の構成から成る電流検出回路において、前記センストランジスタは、第1ゲートと第2ゲートを有し、前記センストランジスタの前記第1ゲートは、前記パワートランジスタのゲートに接続されており、前記センストランジスタの前記第2ゲートは、前記センストランジスタのソースとショートされた構成(第4の構成)にしてもよい。
また、上記第1の構成から成る電流検出回路において、前記センストランジスタは、単一のゲートを持ち、前記パワートランジスタよりも動作するチャネル割合が低い構成(第5の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第5いずれかの構成から成る電流検出回路において、前記センストランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズをG11とし、前記パワートランジスタの定常オン期間における前記センストランジスタの実効ゲートサイズをG11’としたとき、G11とG11’との比は5以上である構成(第6の構成)にしてもよい。
また、上記第1~第6いずれかの構成から成る電流検出回路は、前記センス電圧と所定の基準電圧を比較するように構成されたコンパレータをさらに有する構成(第7の構成)にしてもよい。
また、本明細書中に開示された半導体装置は、例えば、前記パワートランジスタと、上記第1~第7いずれかの構成から成る電流検出回路と、を有する構成(第8の構成)とされている。
なお、上記第8の構成から成る半導体装置において、前記パワートランジスタは、複数のゲート信号を用いて複数のチャネル領域を個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタである構成(第9の構成)にしてもよい。
また、上記第9の構成から成る半導体装置は、前記パワートランジスタのドレインと第1ゲートとの間に接続されており前記パワートランジスタのドレイン電圧を所定のクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路をさらに有する構成(第10の構成)にしてもよい。
また、上記第10の構成から成る半導体装置において、前記センストランジスタのゲートは、前記パワートランジスタの前記第1ゲートに接続されている構成(第11の構成)にしてもよい。
また、上記第10または第11の構成から成る半導体装置は、前記パワートランジスタがオフする過渡期において、前記パワートランジスタの第2ゲートがオフするタイミングが前記第1ゲートがオフするタイミングよりも早い構成(第12の構成)にしてもよい。
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、車載用ローサイドスイッチICを例に挙げて説明を行ったが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、これに限定されるものではなく、その他の用途に供される車載用IPD[intelligent power device](車載用ハイサイドスイッチICまたは車載用電源ICなど)を始めとして、パワートランジスタを有する半導体装置全般に広く適用することが可能である。
すなわち、本明細書中に開示されている発明は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
1 半導体装置
2 半導体層
3 第1主面
4 第2主面
5A~5D 側面
6 出力領域
7 入力領域
8 領域分離構造
9 パワーMISFET
11 ドレイン電極
12 ソース電極
13 入力電極
17 ゲート制御配線
17A 第1ゲート制御配線
17B 第2ゲート制御配線
17C 第3ゲート制御配線
23 電圧制御回路
24 保護回路
25 ゲート制御回路
26 アクティブクランプ回路
264 ツェナーダイオード列
265 ダイオード列
30 駆動電圧生成回路
31 電圧生成回路
32 電圧生成回路
33 基準電流生成回路
34 過電流保護回路
36 過熱保護回路
38 発振回路
39 チャージポンプ回路
40 駆動信号出力回路
51 半導体基板
52 エピタキシャル層
53 ドレイン領域
54 ドリフト領域
55 ボディ領域
56 第1MISFET
57 第2MISFET
58 第1FET構造
60 第1トレンチゲート構造
61 第1側壁
62 第2側壁
63 底壁
68 第2FET構造
70 第2トレンチゲート構造
71 第1側壁
72 第2側壁
73 底壁
75 セル領域
81 第1ゲートトレンチ
82 第1絶縁層
83 第1電極
84 第1底側絶縁層
85 第1開口側絶縁層
86 第1底側電極
87 第1開口側電極
88 第1中間絶縁層
91 第1チャネル領域
92 第1ソース領域
93 第1コンタクト領域
101 第2ゲートトレンチ
102 第2絶縁層
103 第2電極
104 第2底側絶縁層
105 第2開口側絶縁層
106 第2底側電極
107 第2開口側電極
108 第2中間絶縁層
111 第2チャネル領域
112 第2ソース領域
113 第2コンタクト領域
120 トレンチコンタクト構造
121 第1側壁
122 第2側壁
123 底壁
131 コンタクトトレンチ
132 コンタクト絶縁層
132A 絶縁層
133 コンタクト電極
133A 電極
139 第3キャップ絶縁層
CMP コンパレータ
CS1、CS2 電流源
DZ ツェナーダイオード
L 誘導性負荷
M1~M3 トランジスタ
M10 パワートランジスタ
M11、Ms センストランジスタ
M12~M14、M21、M22 トランジスタ
OCP 過電流保護回路(電流検出回路の一例)
OUT 出力電極
R、R1H、R1L、R2H、R2L、R3 抵抗
R1、Rs センス抵抗
R2 基準抵抗
SW1~SW3 スイッチ
X 車両
X11~X18 電子機器

Claims (12)

  1. パワートランジスタと同期して動作するように構成されたセンストランジスタと、前記センストランジスタに流れるセンス電流をセンス電圧に変換するように構成されたセンス抵抗と、を有し、
    前記センストランジスタの半導体基板上におけるゲートサイズは、前記パワートランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さく、前記センストランジスタの実効ゲートサイズは、前記センストランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズよりも小さい、電流検出回路。
  2. 前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタそれぞれの前記半導体基板上におけるゲートサイズをG10及びG11とし、前記パワートランジスタの定常オン期間における前記パワートランジスタ及び前記センストランジスタそれぞれの実効ゲートサイズをG10’及びG11’とすると、G11’/G11<G10’/G10である、請求項1に記載の電流検出回路。
  3. 前記センストランジスタは、複数のゲート信号を用いて複数のチャネル領域を個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタである、請求項1または2に記載の電流検出回路。
  4. 前記センストランジスタは、第1ゲートと第2ゲートを有し、
    前記センストランジスタの前記第1ゲートは、前記パワートランジスタのゲートに接続されており、前記センストランジスタの前記第2ゲートは、前記センストランジスタのソースとショートされている、請求項3に記載の電流検出回路。
  5. 前記センストランジスタは、単一のゲートを持ち、前記パワートランジスタよりも動作するチャネル割合が低い、請求項1に記載の電流検出回路。
  6. 前記センストランジスタの前記半導体基板上におけるゲートサイズをG11とし、前記パワートランジスタの定常オン期間における前記センストランジスタの実効ゲートサイズをG11’としたとき、G11とG11’との比は5以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電流検出回路。
  7. 前記センス電圧と所定の基準電圧とを比較するように構成されたコンパレータをさらに有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電流検出回路。
  8. 前記パワートランジスタと、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の電流検出回路と、
    を有する、半導体装置。
  9. 前記パワートランジスタは、複数のゲート信号を用いて複数のチャネル領域を個別制御するように構成されたゲート分割トランジスタである、請求項8に記載の半導体装置。
  10. 前記パワートランジスタのドレインと第1ゲートとの間に接続されており、前記パワートランジスタのドレイン電圧を所定のクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路をさらに有する、請求項9に記載の半導体装置。
  11. 前記センストランジスタのゲートは、前記パワートランジスタの前記第1ゲートに接続されている、請求項10に記載の半導体装置。
  12. 前記パワートランジスタがオフする過渡期において、前記パワートランジスタの第2ゲートがオフするタイミングが前記第1ゲートがオフするタイミングよりも早い、請求項10または11に記載の半導体装置。
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